(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775206
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】コンピューティング装置及びコンピュータによって実行される自動運転の方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/0962 20060101AFI20150820BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20150820BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20150820BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
G08G1/0962
G01C21/36
G08G1/16 C
B60R21/00 626B
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-236661(P2014-236661)
(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-103257(P2015-103257A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年12月15日
(31)【優先権主張番号】14/088,218
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】ダニル プロコロブ
(72)【発明者】
【氏名】上原 康生
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−219760(JP,A)
【文献】
特開2007−263751(JP,A)
【文献】
特開平08−201407(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0312912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60W 30/00−30/20
G01C 21/00−21/36
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計画された乗り物の経路に沿った自動運転のために乗り物の動作を実行する1以上の乗り物のシステムに接続された自動聴覚インタフェースを実行するためのコンピューティング装置であって、
当該コンピューティング装置の操作を制御するための1以上のプロセッサと、
該1以上のプロセッサによって用いられるデータ及びプログラム命令を記憶するためのメモリと、を具備し、前記1以上のプロセッサが、
聴覚アイコンであって当該聴覚アイコンを示す表示が前記自動聴覚インタフェースに表示される聴覚アイコンを、前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための前記乗り物の動作であって、加速、減速、方向転換及び操縦を含む前記乗り物の動作と、関連付ける指示をユーザから受け、
前記1以上の乗り物のシステムによって実行される前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための次の前記乗り物の動作の事象の指示を、経路計画アプリケーションから受信し、
前記1以上の乗り物のシステムが前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための前記乗り物の動作を実行する前に、オーディオシステムに対して前記乗り物の動作と関連付けられた前記聴覚アイコンを実行するための命令を送信し、
前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための前記乗り物の動作を実行させるための命令を前記1以上の乗り物のシステムに送信するための、
前記メモリに記憶された指令を実行するように構成された、コンピューティング装置。
【請求項2】
前記聴覚アイコンが、前記乗り物の動作の特性をユーザに警告するように構成された請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項3】
前記聴覚アイコンが、音又は一連の音を含む請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項4】
前記聴覚アイコンを前記乗り物の動作と関連付ける前記指示が、前記聴覚アイコンのための調節レベルを含む請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項5】
前記調節レベルが、前記乗り物の動作の厳格さをユーザに警告するように構成された請求項4に記載のコンピューティング装置。
【請求項6】
前記聴覚アイコンを前記乗り物の動作と関連付ける前記指示が、前記聴覚アイコンのための乗り物の移動方向を含む請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項7】
前記聴覚アイコンを前記乗り物の動作と関連付ける前記指示が、前記聴覚アイコンのためのリード時間定数を含む請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項8】
前記1以上のプロセッサが、
前記自動聴覚インタフェースに表示された視覚アイコンを前記聴覚アイコンと関連付ける指示をユーザから受けるように更に構成された請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項9】
前記視覚アイコンが、前記乗り物の動作の特性をユーザに警告するように構成された請求項8に記載のコンピューティング装置。
【請求項10】
計画された乗り物の経路に沿った自動運転のために乗り物の動作を実行する1以上の乗り物のシステムに接続された自動聴覚インタフェースを実行するためのコンピュータによって実行される自動運転の方法であって、
1以上のプロセッサによって、聴覚アイコンであって当該聴覚アイコンを示す表示が前記自動聴覚インタフェースに表示された聴覚アイコンを、前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための前記乗り物の動作であって加速、減速、方向転換及び操縦を含む前記乗り物の動作と関連付ける指示をユーザから受けることと、
1以上のプロセッサによって、前記1以上の乗り物のシステムによる、実行される前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための次の前記乗り物の動作の事象の指示を、経路計画アプリケーションから受信することと、
1以上のプロセッサによって、前記1以上の乗り物のシステムが、実行される前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための前記乗り物の動作を実行する前に、前記乗り物の動作に関連付けられた前記聴覚アイコンを実行するための命令を、オーディオシステムに対して送信することと、
1以上のプロセッサによって、前記計画された乗り物の経路に沿った自動運転のための前記乗り物の動作を実行させるために、命令を前記1以上の乗り物のシステムに送信することと、を含む方法。
【請求項11】
前記聴覚アイコンが、音又は一連の音を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記聴覚アイコンを前記乗り物の動作と関連付ける前記指示が、前記聴覚アイコンのための調節レベルを含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記調節レベルが、前記乗り物の動作の厳格さをユーザに警告するように構成された請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記聴覚アイコンを前記乗り物の動作と関連付ける前記指示が、前記聴覚アイコンのための乗り物の移動方向を含む請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記聴覚アイコンを前記乗り物の動作と関連付ける指示が、前記聴覚アイコンのためのリード時間定数を含む請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
部分的に自動化された又は監視された運転システムは、例えば、運転者が不注意になっている場合に警告を送信する運転者の視線追跡、及び、乗り物がその車線から出ている場合に運転者に警告を送信する乗り物の車線追跡などの技術を用いて、道路上で安全かつ効率的に乗り物を運転する際に、運転者を支援するように設計されている。一部自動運転システム又は監視運転システムによって生成される警告の多くは、運転者に歓迎されておらず、警告の押し付けがましい機能及び遅いタイミングにより、不要な懸念が生じる可能性がある。警告が受信されると、運転者が介入(intervene)することが直ちに必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
完全な自動運転システムは、運転者の相互作用又はその他の外部制御がなく、道路上で乗り物が操作されるような、例えば自己運転する乗り物(self-driving vehicles)として、設計される。しかしながら、完全な自動運転システムは、乗り物の自動運転システムの制御から予想される点に関して、運転者に次の(upcoming)乗り物の操作を通知し、運転者に事前に心構えをさせるように現在設計されていない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載されている自動運転システムは、少なくとも部分的に経路計画アプリケーションにより指定された経路に沿って、目標値(例えば、速度、加速度、減速度、物体までの距離、乗り物の位置及び乗り物の向き)の範囲内において、自動的に乗り物を運転することができる。自動運転システムのための聴覚インタフェースは、経路計画アプリケーション及び乗り物の周辺環境によって特定された経路に基づいて、運転者がオーディオシステムから、例えば乗り物によって実行される乗り物の動作のような、次の自動操作へと通知を関連付ける(link)ことを可能とするように設計され得る。通知には、優しい警告、例えば、心地よい音若しくは中性の(neutral)音又は一連の音(sequences of sounds)が含まれ、当該通知は、自動運転システムによって実行される予想動作と強く相関するか又は当該動作によって調節することができる。
【0004】
一実施形態において、コンピューティング装置が開示される。コンピューティング装置は、コンピューティング装置の操作を制御するための1以上のプロセッサと、1以上のプロセッサによって用いられるデータ及びプログラム命令を記憶するためのメモリと、を有する。1以上のプロセッサは、聴覚アイコンを乗り物の動作と関連付ける指示をユーザから受信し、1以上の乗り物のシステムによる次の乗り物の動作の実行の指示を、経路計画アプリケーションから受信し、且つ、1以上の乗り物のシステムが乗り物の動作を実行する前に、オーディオシステムに対して乗り物の動作と関連付けられた聴覚アイコンを実行するための命令を送信するための、メモリに記憶された指令を実行するように構成される。
【0005】
別の実施形態において、コンピュータによって実行される自動運転の方法が開示される。この方法は、聴覚アイコンを乗り物の動作と関連付ける指示をユーザから受信することと、1以上の乗り物のシステムによる、次の乗り物の動作の実行の指示を経路計画アプリケーションから受信することと、1以上の乗り物のシステムが乗り物の動作を実行する前に、乗り物の動作に関連付けられた聴覚アイコンを実行するための命令をオーディオシステムに対して送信することと、を含む。
【0006】
添付の図面を参照して本明細書を説明するが、複数の図において、同一の参照符号は、同様の部分について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】自動運転システムの聴覚インタフェースを実行するコンピューティング装置のブロック図である。
【
図2】
図1のコンピューティング装置を含む乗り物の概略図である。
【
図3】
図1のコンピューティング装置を用いて実行される自動運転システムの聴覚インタフェースの一例である。
【
図4】
図3の自動運転システムの聴覚インタフェースを用いて実行される処理の論理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示には、自動運転システムの聴覚(auditory)インタフェース、並びに、聴覚インタフェースを実行するための方法及び装置の種々の実施形態が記載されている。聴覚インタフェースは、運転者が自動運転システムと相互作用することを可能とし、且つ、自動運転システムが関連付けられた乗り物の動作を実行する前に、次の乗り物の動作又は計画された乗り物の動作を、例えば運転者に対してオーディオシステムによって発せられる音又は一連の音のような警告と関連付けることを可能とする。聴覚インタフェースは、乗り物が行なう動作、及び、必要に応じて、1以上の乗り物のシステムに対して処置を講ずる潜在的な必要があることを警告する動作を、あらかじめ運転者に通知するための便利で押し付けがましくない手段である。
【0009】
図1は、自動運転システムの聴覚インタフェースを実行するコンピューティング装置100のブロック図である。コンピューティング装置100は、乗り物搭載式、携帯式、デスクトップ式又は単一のコンピューティング装置の他の形式の任意の形式であってもよく、複数のコンピューティングの複合式であってもよい。コンピューティング装置の処理装置は、情報を操作又は処理することが可能な従来の中央処理装置(CPU)102又はその他のいずれかの種類の装置又は複数の装置とすることができる。コンピューティング装置のメモリ104は、ランダムアクセスメモリデバイス(RAM)又はその他のいずれかの適切な種類の記憶デバイスとすることができる。メモリには、バス108を用いてCPUによってアクセスされるデータ106が含まれ得る。
【0010】
メモリ104は、オペレーティングシステム110及びインストールされたアプリケーション112を有してもよく、インストールされたアプリケーション112は、CPU102が自動運転システムのために聴覚インタフェースを実行することを可能とするプログラムを有する。コンピューティング装置100には、二次的な記憶装置、追加の記憶装置又は外部記憶装置114、例えば、メモリカード、フラッシュドライブ、又はその他のいずれかの形態のコンピュータ可読媒体も含まれ得る。一実施形態において、インストールされたアプリケーション112は、外部記憶装置114内の全体又は一部に格納することができ、必要に応じて、メモリ104にロードして処理することができる。
【0011】
コンピューティング装置100は、1以上の乗り物のシステム116に連結することもできる。乗り物のシステム116には、例えば、オーディオシステム118が含まれ得る。オーディオシステム118は、
図2に更に記載されているように、例えば、乗り物の室内の種々の場所に配置された複数のスピーカーを用いて、乗り物内に音を提供するように構成することができる。コンピューティング装置100は、運転者からの入力を受信し、乗り物の運転者にフィードバックを提供するように構成された1以上の乗り物インタフェース120に連結することもできる。乗り物インタフェース120には、例えば、インタラクティブディスプレイ122が含まれ得る。インタラクティブディスプレイ122は、
図3に更に記載されているように、運転者が、オーディオシステム118の操作を制御する目的で、コンピューティング装置100に命令を送信できるように構成することができる。他の乗り物インタフェース120、例えば、音声認識システムは、オーディオシステム118などの種々の乗り物のシステム116に関する運転者の命令を受信するように構成することもできる。
【0012】
図1に記載されているコンピューティング装置100の例において、メモリ104に格納されたアプリケーション112には、データ解析装置、経路計画装置、目標値生成装置、エラー検出装置、適応モジュールなどの自動運転アプリケーション、又は、運転者を特定し、乗り物の自動運転のための経路を計画し、乗り物の位置精度を向上させるなどの動作を実行することによって、自動運転システムを実行するように構成された、その他のいずれかのアプリケーションも含まれ得る。
【0013】
図2は、
図1に記載されているコンピューティング装置100を含む乗り物200の概略を示している。コンピューティング装置100は、
図2に示されている乗り物200内に配置することができるか、又は、別の場所に、乗り物200から離れて配置することができる(図示せず。)。コンピューティング装置100が乗り物から離れている場合、乗り物200には、乗り物の装置100との通信機能が含まれる。
【0014】
乗り物200には、乗り物200の室内の角部内に位置するスピーカー202、204、206、208などのオーディオシステム118の複数の構成要素も含まれ得る。この例では、スピーカー202は運転者の左前方にあり、スピーカー204は運転者の右前方にあり、スピーカー206は運転者の右後方にあり、そして、スピーカー208は乗り物200の室内の運転者の左後方にある。ただし、スピーカー202、204、206、208の他の構成又は数も可能である。スピーカー202、204、206、208は、コンピューティング装置100と通信することができ、オーディオシステム118及び/又はコンピューティング装置100からの命令を受信するように構成することができる。スピーカー202、204、206、208は、スピーカー202、204、206、208のそれぞれからの音の進行方向を示す代表的な音波によって示されている。
【0015】
乗り物200には、乗り物200の運転者が乗り物200に命令を送信し、乗り物のシステム116からフィードバックを受信することができる1以上の乗り物のインタフェース120も含まれ得る。
図2に示されている乗り物のインタフェース120の一例は、インタラクティブディスプレイ122である。インタラクティブディスプレイ122を用いて、運転者は、
図3に更に記載されているように、種々の乗り物のシステム116に関する情報と種々の乗り物のシステム116を制御する入力命令の両方を見ることができる。乗り物のインタフェース120の他の例(図示せず。)には、舵取ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、つまみ若しくはスイッチベースのオーディオ制御、乗り物の環境制御、又は運転者が乗り物200と相互作用することができるその他のいずれかの乗り物のインタフェース120が含まれ得る。
【0016】
図3は、
図1のコンピューティング装置100を用いて実行される自動運転システムの聴覚インタフェース300の一例である。聴覚インタフェース300は、例えば、
図1及び2を参照して説明したインタラクティブディスプレイ122を用いて、運転者に表示することができる。聴覚インタフェース300は、運転者が、オーディオシステム118及び自動運転システムを実行するように構成されたその他のアプリケーション112などの、乗り物のシステム116と相互作用できるように構成することができる。聴覚インタフェース300を介してアクセスされる、かかるアプリケーション112の1つは、乗り物200の経路を計画し、周辺環境に対するその現在位置に基づいて、及び計画された目的地に基づいて、これらに従うように構成された経路計画アプリケーションとすることができる。経路計画アプリケーションは、将来の乗り物の動作を決定し種々の乗り物のシステム116によって実行されるように構成されている。
【0017】
例えば、聴覚インタフェース300は、運転者からの入力であって、オーディオシステム118の出力を、経路計画アプリケーションによって示されるような計画された又は次の乗り物の操作に関連付けるようにされた、運転者からの入力を受信するように構成することができる。聴覚インタフェース300は、タッチ入力、ジェスチャー入力、ダイヤル若しくはつまみベースの入力、キーボードベースの入力、音声入力、又は、運転者が、聴覚インタフェース300に表示される設定フィールドのうちの1つに追加できるように構成されたその他のいずれかの種類の入力を含む、種々の入力を受信するように構成することができる。聴覚インタフェース300には、乗り物の動作フィールド302、聴覚アイコンフィールド304、調節フィールド306、方向フィールド308、リード時間定数フィールド(lead time constant field)310及び視覚アイコン312を含む、種々の設定フィールドが含まれ得るが、これらに限定されない。自動運転システムの聴覚インタフェース300によって表示される設定フィールドはそれぞれ、以下に詳細に説明する。
【0018】
聴覚インタフェース300の乗り物の動作フィールド302には、ドロップダウン選択が含まれ得るが、運転者入力フィールドも含まれ得るか、又は、乗り物の動作フィールドは、代替的に、運転者入力フィールドとして設計することもできる。乗り物の動作フィールド302は、運転者によって、計画された経路に沿って発生する従来の乗り物の動作又は乗り物の状態の変化の一覧から追加することができる。例えば、
図3に示されているように、乗り物の動作フィールド302に追加するのに用いることができる次の乗り物の動作は左折である。乗り物の動作フィールド302の「左折」を選択し又は入力することによって、運転者は、自動運転システムに対して、乗り物の動作フィールド302より下の残りの設定フィールドの入力が、左折がもうすぐ行われる(upcoming)又は今にも行われそう(imminent)であることを示す経路計画アプリケーションに基づく乗り物のシステム116からの応答に対応していることを示している。乗り物の動作フィールド302に入力又は選択することができる他の乗り物の動作には、右折、加速、減速、横方向の車線移動又は車線操作、(例えば、停止位置からの)起動、停止、方向転換、進入ランプの把握、出口ランプの把握などが含まれ得る。
【0019】
聴覚インタフェース300の聴覚アイコンフィールド304には、ドロップダウン選択が含まれているだけでなく、聴覚アイコンフィールドは、運転者入力フィールドとして設計することもできる。聴覚アイコンフィールド304は、意味を有する音の表示、又は一連の音が追加されるように構成されており、これらは、人工的であるか又は実際のものであってもよく、関連する乗り物の動作302に説明されている次の乗り物の動作を表わすように設計されている。これらの意味を有する音又は一連の音は、聴覚アイコンである。「左折」が乗り物の動作フィールド302に追加されている例では、運転者によって選択されるか又は自動運転システムによって提供される論理聴覚アイコンは、起動すると、ターンシグナル(例えば、ウィンカー)によって作製される一連の音と一致している。例えば、聴覚アイコンは、
図3に示されているように、聴覚アイコンフィールド304に追加するための「ターンシグナル」という句によって表わされる一連のクリック音であり得る。
【0020】
別の例(図示せず。)において、聴覚アイコンは、エンジンのシミュレートされた音であり得る。これらのエンジン音は、乗り物の動作フィールド302内に追加された乗り物の動作「乗り物の加速」に関連付けることができ、聴覚アイコンフィールド304において「エンジン回転」という表示により表わすことができる。別の例において、聴覚アイコンは、計画された乗り物の動作を伝達するように設計された音声ベースのアナウンスとすることができ、例えば、「前方左折」という句は、1以上のスピーカー202、204、206、208を介して運転者に再生することができる。これらは、乗り物の動作フィールド302及び聴覚アイコンフィールド304のわずかな例の対であり、その他の多くの例も可能である。
【0021】
聴覚インタフェース300の調節フィールド306には、ドロップダウン選択が含まれているだけでなく、調節フィールドは、運転者入力フィールドとして設計することもできる。調節フィールド306は、オーディオシステム118が、聴覚アイコンフィールド304に追加された所定の聴覚アイコンを実行する場合、単数音又は一連の音の間隔、音色、ピッチ又は速度がどのように生成するかについての指示が追加されるように構成されている。人間は、リズム、ピッチ、音色及びその他の聴覚パラメータの変化に敏感であるので、運転者は、例えば、運転者が気を散らすか又は運転者を悩ませる「チャターボックス(chatter box)」効果を回避する際に支援が可能な調節フィールド306を用いて、調節レベルを調節することができる。さらに、同じ聴覚アイコンは、乗り物の動作を区別するために、例えば、異なる形態の音のボリューム若しくは速度の音又は一連の音において、異なる調節レベルを選択することにより、次の同様の乗り物の動作に用いることができる。
【0022】
乗り物の動作「左折」が乗り物の動作フィールド302内に追加され、聴覚アイコン「ターンシグナル」が聴覚アイコンフィールド304内に追加されている、
図3に示す例では、運転者は、一瞬である一連の音の速度の表現、例えば「速いクリック(Rapid Click)」を調節フィールド306に追加し、オーディオシステム118が、経路計画アプリケーションによって示されるような次の左折を示す一連の音を生成すると、それぞれのクリック音の間の接近した間隔を運転者が好むことを示すことができる。乗り物の動作「乗り物の加速」が乗り物の動作フィールド302内に追加され、聴覚アイコン「エンジン回転」が聴覚アイコンフィールド304内に追加されている別の例では、運転者は、例えば、調節フィールド306に追加する「回転増加」というテキストを用いて、エンジンのRPMが増加しているという表現を調節フィールド306に追加することができる。
【0023】
聴覚インタフェース300の方向フィールド308には、ドロップダウン選択が含まれているだけでなく、方向フィールドは、運転者入力フィールドとして設計することもできる。方向フィールド308は、オーディオシステム118が、聴覚アイコンフィールド304において表わされた音又は一連の音を生成する位置の指示が追加されるように構成されている。例えば、
図2に示すように、乗り物200には、乗客室のそれぞれの角部にスピーカー202、204、206、208が含まれ得る。スピーカー群の個別のスピーカー(例えば、前方スピーカー202、204、後方スピーカー206、208、左前方スピーカー202、及び右側スピーカー204、206)の位置を用いて、方向フィールド308に追加することができる。別の例(図示せず。)において、オーディオシステム118には、音反映機能(sound projecting capability)が含まれ、当該音反映機能によって、オーディオシステム118が、音を特定の方向に、例えば、運転者が位置する場所の方に反映させることができる。動作「左折」が乗り物の動作フィールド302内に追加されている例では、運転者は、スピーカー202の位置、例えば、
図3に示されているような「左前方」の表現を方向フィールド308に追加することができる。
【0024】
聴覚インタフェース300のリード時間定数フィールド310には、ドロップダウン選択が含まれているだけでなく、リード時間定数フィールドは、運転者入力フィールドとして設計することもできる。リード時間定数フィールド310は、所定の乗り物の動作の前に、時間の表示が追加され、聴覚アイコンフィールド304において表わされている関連する聴覚アイコンを生成するように構成されている。例えば、乗り物の動作フィールド302に「左折」が追加される場合、リード時間が長いほど、次の加速又は減速乗り物の動作を運転者に警告する必要よりも、次の左折を運転者に警告することが運転者にとって望ましいと考えられる。
図3に示されている例において、リード時間定数フィールド310は、経路計画アプリケーションが、乗り物200によって「左折」の乗り物の動作が実行されることを示す7秒前から開始する、オーディオシステム118によって「ターンシグナル」聴覚アイコンが生成されることを示す「7秒」という値を追加する。乗り物の動作フィールド302が「乗り物の加速」を追加するか否かについての別の例では、リード時間定数フィールド310は、「2秒」という値を追加することができる。
【0025】
コンピューティング装置100は、乗り物200の移動経路に沿って特定の動的状況が突然発生した場合、リード時間定数フィールド310内に追加された値を無効にするように構成することもできる。乗り物200の経路に侵入する障害のような突然の状況の例では、コンピューティング装置100は、音又は一連の音(例えば、「チャターボックス」効果)に対して潜在的に気を散らすような変化を回避するように、特定の動的状況が発生するとすぐに聴覚アイコンを実行する場合、適切なフィルタリング/平均化パラメータを実行するように構成することができる。
【0026】
聴覚インタフェース300の視覚アイコンフィールド312には、ドロップダウン選択が含まれているだけでなく、視覚アイコンフィールドは、運転者入力フィールドとして設計することもできる。視覚アイコンフィールド312は、視覚表示又はプロンプトの表示が追加され、聴覚アイコンに基づいて発生する可聴プロンプトと対にされるように構成されている。例えば、次の「左折」乗り物の動作は、特定の調節、方向及びリード時間定数を有する「ターンシグナル」聴覚アイコンと、乗り物200の計器盤上にある矢印形状の点滅表示灯、車線転向又は変更に関して用いられる周知の視覚的表示などの視覚アイコンの両方を用いて、運転者に予示することができる。このように、視覚アイコンは、聴覚アイコンに加えて、運転者に提供される視覚的表示を表わす。
【0027】
図3の例において、視覚アイコンフィールド312は、「左ウインカー」の値を追加し、次の「左折」乗り物の動作も、乗り物200の意向を伝え運転者に左折させるように「左ウインカー」視覚アイコンを生成することを示すことができる。別の例(図示せず。)において、視覚アイコンを生成する視覚インタフェースは、聴覚アイコンの使用と対にすることができる。視覚インタフェースの例では、色に基づく表示は、視覚インタフェースとして機能することができ、ディスプレイ部分は、聴覚アイコンに基づいて生成した音又は一連の音に従って着色することができ、これによって、聴覚障害のある運転者を支援することができる。システムが視覚アイコンを実行することは必要ではないが、対になった聴覚アイコンと視覚アイコンが通信に用いられるので、対になった2つの手段を用いて、経路計画アプリケーションと運転者との間の通信の信頼性を高めることもできる。
【0028】
自動運転システムによる使用における聴覚インタフェース300の利点の1つは、運転者が、従来の経路、すなわち、運転者が移動することが多い経路に沿って生成される、予想される聴覚アイコンに慣れ親しむようになることができることである。運転者は、これらの従来の経路に沿って、予想される聴覚アイコンを認識でき、そして、運転者が乗り物200との相互作用又は乗り物の制御を必要とし得る経路に沿って異常を示し得る、予想される聴覚アイコンからの逸脱を認識することもできる。例えば、運転者の乗り物の減速の予想に反して、運転者が乗り物200の経路に接近する障害物を見た場合、乗り物200が加速する予定であることを示す聴覚アイコンを聞いて、非常に慣れ親しんだ旋律の誤った音色を聞くかのような状況に運転者の意識を高めることができる。
【0029】
図3を参照して説明した例の代替例において、聴覚インタフェース300は、音又は一連の音の標準化又はプログラムされた一覧、及び計画された又は次の乗り物の動作に基づいて、事前に追加した乗り物の動作フィールド302とこれに対応する聴覚アイコンフィールド304、調節フィールド306、方向フィールド308、リード時間定数フィールド310、及び視覚アイコンフィールド312を含むように構成することができる。それぞれの設定フィールドにおける事前追加値は、聴覚インタフェース300を用いて運転者によって変更されるように設計することができるか、又は標準設定のままにしておくことができる。
【0030】
図4は、
図3の自動運転システムの聴覚インタフェース300を用いて実行される処理400の論理フローチャートである。処理のステップ402において、コンピューティング装置100は、聴覚アイコンと乗り物の動作との間の関連付けについての指示を受信することができる。例えば、運転者は、乗り物の動作フィールド302に乗り物の動作を選択又は入力することができ、聴覚インタフェース300の聴覚アイコンフィールド304に聴覚アイコンを選択又は入力することができる。聴覚アイコンには、音及び一連の音が含まれ、聴覚アイコンは、次の乗り物の動作の特性(nature)について運転者に警告するように構成することができる。
図3に示されている例において、表示されている乗り物の動作は「左折」であり、表示されている関連する聴覚アイコンは「ターンシグナル」である。
【0031】
コンピューティング装置100は、調節レベルを聴覚アイコンと関連付ける指示を受信することもでき、調節レベルは、乗り物の動作の厳格さ(severity)を運転者に警告するように構成されている。例えば、乗り物の動作フィールド302に「左折」が追加される場合、運転者は、「速いクリック」を調節フィールド306に追加し、次の「左折」乗り物の動作と関連付けられた一連のクリック音が、それぞれのクリックの間に短い時間間隔を有することを示し得る。同様に、乗り物の動作フィールド302に「左側車線変更」が追加される場合、運転者は、「遅いクリック(Slow Click)」を調節フィールド306に追加し、次の「左側車線変更」乗り物の動作と関連付けられた一連のクリック音が、それぞれのクリックの間に長い時間間隔を有することを示し得る。したがって、「左折」乗り物の動作は、一連のクリック音の速度に基づいて、「左側車線変更」乗り物の動作よりも厳格であると認識することができる。
【0032】
コンピューティング装置100は、方向を聴覚アイコンと関連付ける指示を受信することもできる。例えば、方向フィールド308は、聴覚アイコンが生成される、例えば、スピーカー又はスピーカー群202、204、206、206が聴覚アイコンを再生する乗り物の室の領域の表示を追加することができる。また、コンピューティング装置100は、リード時間定数を聴覚アイコンと関連付ける指示を受信することもできる。例えば、リード時間定数フィールド310は、聴覚アイコンを再生する所定の乗り物の動作前の時間の表示を追加することができる。
【0033】
コンピューティング装置100は、聴覚アイコンを視覚アイコンと関連付ける指示を受信することもできる。視覚アイコンは、聴覚アイコンの使用を補完して、次の乗り物の動作の特性を運転者に警告するように構成することもできる。例えば、聴覚アイコンフィールド304に、「ターンシグナル」であって、「左折」乗り物の動作前にターンシグナルの一連のクリック音と左側点滅灯がともに運転者に表示されることを示す「ターンシグナル」が追加される場合、視覚アイコンフィールド312は、「左ウインカー」を追加することができる。
【0034】
処理400のステップ404において、コンピューティング装置100は、1以上の乗り物のシステム116による次の乗り物の動作の実行についての指示を受信することができる。例えば、経路計画アプリケーションは、乗り物200の経路及び乗り物200の周辺環境に基づいて、次の乗り物の動作を決定するように構成することができる。経路計画アプリケーションは、次の乗り物の動作の実行前に次の乗り物の動作を示すコンピューティング装置100に信号を送信するように構成することができる。
【0035】
処理400のステップ406において、コンピューティング装置100は、オーディオシステムに命令を送信し、1以上の乗り物のシステム116が乗り物の動作を実行する前に、乗り物の動作と関連付けられた聴覚アイコンを実行することができる。例えば、乗り物の動作が所定のリード時間内に実行される予定であると、経路計画アプリケーションは、コンピューティング装置100に信号を送信し、オーディオシステム118を用いて、計画された乗り物の動作と関連付けられた聴覚アイコンを実行することができる。
図3に示されているように、経路計画アプリケーションが、7秒以内に左折が生じることをコンピューティング装置100に示すと、コンピューティング装置100は、オーディオシステム118に信号を送信し、ターンシグナル聴覚アイコンを実行することができる。
【0036】
前述の説明は、現在最も実用的な実施形態であると考えられるものに関する。しかしながら、本開示が、これらの実施例に限定されるものではなく、むしろ、添付されている特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる、種々の変更及び均等な構成を網羅するものとすることが理解される必要がある。例えば、上述の実施形態において、乗り物200は、概して、自動車について説明している。しかしながら、乗り物200は自動車に限定されるものではなく、自動運転システムの聴覚インタフェース300として、飛行機、ボートなどの、運転者又は操縦者によって一般に制御される他の乗り物によって実施することもできる。さらに、乗り物200は、運転者又は操縦者によって制御されるものに限定される必要はなく、経路計画アプリケーションと同等のアプリケーションの制御下で操作を実行する、1以上のロボット又はロボットツールであり得る。したがって、特許請求の範囲は、法律の下で許可されているようなすべての変更及び均等な構成を包含するように、最も広い解釈が許容される必要がある。
【符号の説明】
【0037】
100 コンピューティング装置
102 中央処理装置
104 メモリ
106 データ
108 バス
110 オペレーティングシステム
112 アプリケーション
114 外部記憶装置
116 1以上の乗り物のシステム
118 オーディオシステム
120 乗り物のインタフェース
122 インタラクティブディスプレイ