特許第5775212号(P5775212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775212
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】毛髪移植素材
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/10 20060101AFI20150820BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   A61F2/10
   A61L27/00 C
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-508269(P2014-508269)
(86)(22)【出願日】2011年7月26日
(65)【公表番号】特表2014-512249(P2014-512249A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】KR2011005490
(87)【国際公開番号】WO2012148042
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2013年11月28日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0039163
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511169944
【氏名又は名称】リー,ヒー ヤング
(74)【代理人】
【識別番号】100066061
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(74)【代理人】
【識別番号】100143340
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 美良
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヒー ヤング
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−152944(JP,A)
【文献】 特開2010−143847(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3081636(JP,U)
【文献】 特表2004−506489(JP,A)
【文献】 特開平10−211204(JP,A)
【文献】 特表2011−506035(JP,A)
【文献】 特開2002−145701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0161179(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/86327(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/10
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛幹、毛根、および毛根に付着している細胞−コラーゲン複合層が含まれた毛髪部が冷却される段階と、
前記冷却された毛髪を消毒する段階と
前記消毒した毛髪に対して不活性化される段階とを含んで製造された毛髪移植素材。
【請求項2】
前記不活性化される段階の後、前記毛根部位に幹細胞を培養する幹細胞培養段階をさらに含む、請求項に記載の毛髪移植素材。
【請求項3】
前記冷却される段階で毛髪部は食塩水またはPBS溶液を用いて冷却されることを特徴とする、請求項1または2に記載の毛髪移植素材。
【請求項4】
前記冷却される段階が凍結乾燥で行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の毛髪移植素材。
【請求項5】
前記毛髪部の毛根が内毛根鞘層を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の毛髪移植素材。
【請求項6】
前記毛髪を消毒する段階では、液体消毒または気体消毒によって細菌を除去することを特徴とする、請求項1または2に記載の毛髪移植素材。
【請求項7】
前記毛髪を消毒する段階では、高温の水を用いて有害細菌を除去するが、43℃以上の水または水蒸気を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の毛髪移植素材。
【請求項8】
前記不活性化される段階で高周波(マイクロ波)照射またはアルコール(エタノール)を用いることを特徴とする、請求項または記載の毛髪移植素材。
【請求項9】
前記不活性化される段階で核酸が不活性化される場合、酵素またはガンマ線照射を用いることを特徴とする、請求項またはに記載の毛髪移植素材。
【請求項10】
前記不活性化される段階で脱細胞化過程を含むが、塩化ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウムを用いて細胞を破壊する過程を含むことを特徴とする、請求項またはに記載の毛髪移植素材。
【請求項11】
前記不活性化される段階の後、毛髪を並んで平面に配列するための手段として、ストリップ状のフィルムに毛幹を付着させて固定する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項またはに記載の毛髪移植素材。
【請求項12】
前記幹細胞培養段階で不活性化された前記毛髪を、単核細胞の幹細胞が添加された培養液に入れ、温蔵培養を行う過程を含むことを特徴とする、請求項に記載の毛髪移植素材。
【請求項13】
前記幹細胞培養段階で、前記幹細胞は、自家脂肪由来間質細胞、毛包単核間質細胞、自家骨髄/抹消血液単核細胞、および臍帯皿毛包単核細胞よりなる群から1種以上選んで用いることを特徴とする、請求項に記載の毛髪移植素材。
【請求項14】
前記幹細胞培養段階で培養液添加物質として上皮増殖因子を含むことを特徴とする、請求項に記載の毛髪移植素材。
【請求項15】
前記幹細胞培養段階で上皮細胞に分化させる過程を含むことを特徴とする、請求項に記載の毛髪移植素材。
【請求項16】
前記毛髪として動物の毛を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の毛髪移植素材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪移植素材に係り、より詳しくは、毛髪を用いて頭などの必要な部位に毛髪を移植する毛髪移植素材に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪移植は、毛髪(毛)が殆どない人々に適用して毛髪を人工的に植え込むことにより、毛髪によるストレスや社会適応力などが低下することを防止し、何よりも毛髪移植者の精神的な健康に役立てようとするものである。
【0003】
このような毛髪移植は、生毛を移植する方法と、人工毛を移植する方法がある。生毛移植の場合は、自分の毛髪の一部を採取して毛髪のない部位に毛根(毛包)を移植することにより、後で毛髪が成長できるようにする。
【0004】
このような生毛移植は、毛根を1本1本分離した後、移植する部位に植毛針など用いて移植することにより、出血が少なく、跡が殆どなくかつ成長する毛髪の方向や位置の決定が自由であるという長所を持っているが、毛根を1本ずつ分離して施術するため、相当な時間がかかるのはもとより、相当な経験を必要とするとの問題がある。
【0005】
特に、生毛移植の場合は、移植する毛髪として自分のものを使用しなければならないが、毛髪移植者自身は、毛髪(毛)が不足しているため、多くの数の毛根を採取することは困難であり、広範囲な移植が難しいという問題点がある。よって、移植する毛髪が足りない場合があり、自己毛髪移植に限界があった。さらに、抜いた毛髪の保存などが難しいので、実時間で直ちに毛髪移植をしなければならない時間的な制約もあった。
【0006】
よって、毛髪が足りない部位への毛髪移植の際に十分な毛髪を供給することができるように、自分の頭髪だけでなく、腋毛、陰毛などの毛髪を用いて移植し、或いは他人の毛髪または動物の毛を用いて頭などの必要な部位に移植することが可能な毛髪移植素材の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、人体のいずれの部位からも毛髪を抜いて、毛髪が足りない部位、たとえば頭などに移植することが可能な毛髪移植素材を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、自分の毛髪ではなく、他人の毛髪または動物の毛を用いて移植することが可能な毛髪移植素材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、毛幹、毛根、および毛根に付着している細胞−コラーゲン複合層が含まれた毛髪部が冷却される段階と、前記冷却された毛髪を消毒する段階とを含んで製造された毛髪移植素材を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記消毒した毛髪に対して不活性化される段階をさらに含んで製造された毛髪移植素材を提供する。また、本発明は、前記不活性化される段階の後、前記毛根部位に幹細胞を培養する幹細胞培養段階をさらに含む毛髪移植素材を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記冷却される段階で毛髪部を食塩水またはPBS(phosphate buffered saline)溶液を用いて冷却されることを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記冷却される段階が凍結乾燥で行われることを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記毛髪部の毛根が内毛根鞘層を含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記毛髪を消毒する段階で液体消毒または気体消毒によって有害細菌を除去する。前記気体消毒は酸化エチレン消毒、ホルマリン消毒、オゾン消毒およびプラズマ消毒のいずれか一つを含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記毛髪を消毒する段階で高温の水を用いて有害細菌を除去するが、43℃以上の水または水蒸気を用いることを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記不活性化される段階で高周波(マイクロ波)照射またはアルコール(エタノール)を用いることを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記不活性化される段階で核酸が不活性化される場合、酵素またはガンマ線照射を用いることを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0018】
また、本発明は、前記不活性化される段階で脱細胞化過程を含むが、塩化ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウムを用いて細胞を破壊する過程を含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記不活性化される段階の後、毛髪を並んで平面に配列するための手段として、ストリップ状のフィルムに毛幹を付着させて固定する段階をさらに含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記幹細胞培養段階で不活性化させた前記毛髪を単核細胞の幹細胞が添加された培養液に入れて温蔵培養を行う過程を含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記幹細胞培養段階で前記幹細胞が自家脂肪由来間質細胞(autologous ADSC、adipose tissue derived stromal/stem cells)、毛包単核間質細胞(follicular mononuclear cell)、自家骨髄/抹消血液単核細胞(autologous bone marrow/peripheral blood mononuclear cell)、臍帯皿毛包単核細胞(umbilical cord/cord blood mononuclear cell)よりなる群から1種以上選んで用いることを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0022】
また、本発明は、前記幹細胞培養段階で培養液添加物質として上皮増殖因子(epidermal growth factor)を含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記幹細胞培養段階で上皮細胞に分化させる過程を含むことを特徴とする毛髪移植素材を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記毛髪として動物の毛を用いることを特徴とする毛髪移植素材を提供することにある。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る抜いた毛髪を用いた毛髪移植素材は、人体のいずれの部位からも毛髪を抜いて、毛髪が足りない部位、たとえば頭などに移植することが可能であるという効果がある。
【0026】
本発明に係る抜いた毛髪を用いた毛髪移植素材は、自分の毛髪ではなく、他人の毛髪または動物の毛を用いて、毛髪が必要な部位に移植することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一般的な毛髪が含まれている毛包を示す断面図
図2】本発明の一実施例に係る毛髪移植素材を製造する段階を示す模式図
図3】毛髪をフィルムに固着することを示す概略図
図4】毛髪をフィルムに固着することを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、発明の実施のための具体的な内容では本発明の好適な一実施例を詳細に説明する。まず、図面中、同一の構成要素または部品は出来る限り同一の参照符号を付した。本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある関連した公知技術についての詳細な説明は省略した。
【0029】
本明細書で使用される、程度の用語「約」や「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造および物質許容誤差が提示されるとき、その数値からまたはその数値に近接した意味で使用され、本発明の理解を容易にするために、正確かつ絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために用いられる。
【0030】
本発明に適用される毛髪は、ヒトの人体および動物の頭髪や鬚、陰毛などから採取した毛をいう。毛包とは、毛根を包んでいる嚢状の上皮性組織をいう。また、毛根とは、毛髪が皮膚に植え込まれた部分をいう。
【0031】
本発明は、生長に重要な上皮細胞および毛根細胞を十分に含まない毛根の含まれた毛髪を抜いてこれを頭皮などに移植し、かつ、他人への移植の際に上皮細胞などを除去する。上皮細胞および毛根細胞の不足を補うため、又は除去した細胞部分を代替するパズル片の役割を果たすように、毛髪の移植を受ける者の生体から抽出された単核細胞を幹細胞として実験室で培養して、移植すべき部分に接ぐことによって、毛髪が成長できる環境が造成される。
【0032】
このような原理は、下等動物から切り出された身体の一部を復旧する途中で、残っている部分を基底体として、隣近に最も適した細胞を生成する原理を利用したものであって、ヒト幹細胞の活性化技術によって可能となった。
【0033】
分化される細胞では、残っている細胞が重要なのではなく、残っている3次元構造が支持体として重要な根拠となるので、適合性が足りない細胞はむしろ抗原性を生じさせるので除去することが有利である。従って、抗原性と反応性の原因になる全ての物質を除去するための過程を必要とする。
【0034】
また、これらの素材は、他人または動物から得られるが、保管・運搬過程で変質し或いは有害細菌によって培養が失敗することもあるので、細胞消毒などの過程および移植を受ける者の幹細胞培養過程が求められる。
【0035】
図1は一般的な毛髪が含まれている毛包を示し、図2は本発明の一実施例に係る毛髪移植素材を製造する段階を示す模式図である。
【0036】
本発明は、他人または自分の皮膚のうち、毛幹、毛根および毛根に付着している細胞−コラーゲン複合層が含まれた毛髪部が冷却された後、消毒を施して毛髪移植する素材を提供するが、選択的に消毒した毛髪が不活性化されて毛髪移植素材を製造することを特徴とする。
【0037】
また、前記毛髪の毛根部位に幹細胞を培養する段階を含むことを特徴とする。
【0038】
前記毛髪は、例えば、機械的外力を加えて抜くことができるが、毛幹、毛根、および毛根に付着している細胞−コラーゲン複合層が含まれた毛髪部を抜いて使用することができる。
【0039】
前記毛髪が冷却される前に、毛髪の主要構造は毛幹、毛根、および毛根に付着している細胞−コラーゲン複合層が含まれることが好ましい。これらの3次元構造を保った状態の移植される毛髪素材になってもよい。
【0040】
前記毛髪の状態は、合成期(anagen phase 毛髪形成期)のものを活用することが好ましいが、合成期の毛髪は成長し続けることができ、毛髪が移植された後にもよく成長することができるという利点がある。
【0041】
一方、本発明において、毛髪は内毛根鞘を含むことが好ましい。また、上皮細胞層、血管および乳頭が含まれないようにすることが好ましく、前記上皮細胞層、血管および乳頭が含まれている場合にはこれらを除去することが好ましい。
【0042】
本発明に係る前記毛髪は冷却過程を経るが、前記冷却過程は支持体の3次元構造をそのまま保つことができるようにするものであって、毛髪の保存期間を増加させる効果があるため、前記毛髪が冷却される過程は必須であるといえる。
【0043】
冷却過程はたとえば凍結乾燥過程または冷蔵保管などである。
【0044】
特に、凍結乾燥の場合、3次元構造をそのまま保つことができ、長期保管が可能であるという利点がある。前記凍結乾燥は、氷点以下に降温した素材を真空に近い低圧状態に置くことにより、液体状態である水を経ることなく、水が除去されて素材が直ちに固体状態になるので、素材の形態を比較的よく維持する乾燥法であるといえる。前記凍結乾燥を行って素材を保管する場合には、窒素充填を行って素材を長期保管して使用することもできる。
【0045】
一方、前記冷蔵保管を行う場合は、たとえば、食塩水(0.9%)、または食塩水に他のイオンが追加された等張液(例えば、PBS(phosphate buffered saline))を用いて冷却されることができる。冷蔵保管時の冷蔵温度は0〜4℃の程度であるが、不凍液を入れて0℃未満で保管することもある。また、冷蔵の際に乾燥防止のために真空包装で保管することもできる。
【0046】
また、前記冷却過程を経た毛髪はさらに消毒過程を経ることができるが、前記消毒方法は、様々な消毒方法、たとえば、液体を用いる方法や、気体を用いる方法などによって有害細菌を除去することができる。
【0047】
前記液体を用いる消毒方法で使う液体としては、たとえば、Zephanone、widexなどが挙げられる。前記気体を用いる場合には、酸化エチレン消毒、ホルマリン消毒、オゾン消毒およびプラズマ消毒のいずれか一つを選択して消毒することができる。
【0048】
また、高温の水または水蒸気を用いて前記毛髪を消毒することもできるが、このときの留意点は、タンパク質の変性により効果が低下するおそれがあるので、短時間で施行することである。前記高温の水を用いて有害細菌を除去する過程で、43℃以上の水または水蒸気を用いて消毒することができる。
【0049】
次に、毛髪に含まれている毛根部位が不活性化される過程を選択的に含むことができるが、前記毛根部位が不活性化される理由は、自分の細胞でないものは身において抗原性および生物学的活性を持つことになってそれを破壊するので、抗原性および生物学的活性を除去するためである。
【0050】
前記不活性化される段階で細胞が不活性化される方法として、高周波(マイクロ波)照射、アルコール(エタノール)またはホルムアルデヒドを使用することができる。前記ホルムアルデヒドは、利用後に、前記ホルムアルデヒドを除去する過程をさらに行わなければならない。
【0051】
また、前記不活性化される段階で核酸が不活性化される場合、酵素を用いるか或いはガンマ線を照射して核酸を不活性化することができる。前記核酸を不活性化することが可能な酵素としては、非制限的な例としてエンドヌクレアーゼを用いることができる。
【0052】
また、前記不活性化される段階では脱細胞化のための過程を含むことができるが、細胞を除去する方法では貯蔵液または高張液の状態を用いて細胞を除去する。貯蔵液を用いる方法では、例えば蒸留水に毛根部位を浸漬して細胞を破壊する方法と、塩化ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウムを用いて高張液状態で細胞を破壊する過程を含むこともできる。
【0053】
前記不活性化段階を経た毛髪は、毛根として使われる部位に、移植されるヒトの幹細胞を培養し、毛包に代える役割を果たすが、これを行う前に、毛髪を固定することがさらに含まれることもある。前記毛髪が不規則的に隣接すると、コラーゲン成分は互いに癒着して変形するおそれがあり、消毒物質の浸透を妨害するおそれがあるので、処理過程中に毛髪を固定することができる。
【0054】
前記毛髪を固定するための非制限的な例として、毛髪を並んで配列するために、ストリップ状のフィルムに毛幹を付着させて固定することができる。毛髪を配列するための手段として、図3は毛幹を固着したことを概略的に示す。前記ストリップ状のフィルムは、熱可塑性樹脂であることが好ましく、毛幹を圧着して付着させることができる。前記ストリップ状のフィルムに接着性のあるバインダーを塗布して毛幹を付着させることもできる。
【0055】
また、前記毛髪を並んで毛束として配列するための手段として、図4に示すように、毛髪を並んで配列するために、並んで配列されたスリップを含む高分子樹脂に挿し込んで固定することもできる。
【0056】
次に、前記毛髪の毛根となる部位に幹細胞を培養する段階が含まれ得るが、前記毛髪を幹細胞の含まれた培養液に入れて温蔵培養する過程を経ることもある。
【0057】
前記培養液としては、一般な動物細胞培養用培地を使用するが、例えば、アミノ酸、ビタミン、無機塩分、ブドウ糖、脂質などが含有された動物細胞培養培地DMEMを使用することができる。
【0058】
前記幹細胞としては、自家脂肪由来間質細胞(autologous ADSC、adipose tissue derived stromal/stem cells)、毛包単核間質細胞(bone marrow/peripheral blood mononuclear cell)、自家骨髄/抹消血液単核細胞(bone marrow/peripheral blood mononuclear cell)、臍帯皿毛包単核細胞umbilical cord/cord blood mononuclear cell)などよりなる群から1種以上選択して用いることが好ましい。
【0059】
また、前記培養液に添加物質として上皮増殖因子(epidermal growth factor)を含むことが好ましい。前記培養液に幹細胞を培養する過程中に、上皮細胞に分化させる過程が含まれるため、毛包を形成することができる。
【0060】
培養過程などの全過程が完了すると、適切な選別方法を用いて1本ずつ移植しなければならないので、選別する方法を含まなければならないが、前記培養後、毛根のコラーゲンの表面に生きている、培養された幹細胞を付着培養したものを顕微鏡で見ながら選別することができる。または、選別方法によって、直接肉眼で毛髪の模様を観察しながら毛包の生成有無を判断して選別し、これを移植用注射器に1本ずつ装着する過程で連結できる。
【0061】
このような一連の段階は、提示する抗原性と反応性の除去過程によって、足りない自分の毛髪の代わりに他人の毛髪を用いて移植することができるうえ、ヒト以外の豚、犬などの動物の毛の構造を用いて患者に移植することができるという利点がある。
【0062】
以上説明した本発明は、前述した実施例および添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱することなく様々な置換、変形および変更が可能なのは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明白であろう。
図1
図2
図3
図4