(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775216
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】飛行機走行ギア用駆動装置
(51)【国際特許分類】
B64C 25/36 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
B64C25/36
【請求項の数】53
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-513059(P2014-513059)
(86)(22)【出願日】2011年6月17日
(65)【公表番号】特表2014-515334(P2014-515334A)
(43)【公表日】2014年6月30日
(86)【国際出願番号】EP2011060172
(87)【国際公開番号】WO2012171589
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】512268480
【氏名又は名称】エル−3 コミュニケーションズ マグネット−モータ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】L−3 COMMUNICATIONS MAGNET−MOTOR GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】オズワルド,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーグ,マンフレッド
【審査官】
黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/023505(WO,A2)
【文献】
特開2005−059828(JP,A)
【文献】
米国特許第06719275(US,B1)
【文献】
米国特許第04659039(US,A)
【文献】
米国特許第03005510(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/34 − 25/36
B64C 25/40
B64C 25/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通車輪軸(A)上に少なくとも第1車輪(4)及び第2車輪(6)を有する飛行機走行ギア(2)用駆動装置(16)であって、該駆動装置(16)は、第1及び第2車輪(4,6)のうち少なくとも1つと駆動的に連結可能であり、
前記駆動装置(16)は、前記第1及び第2車輪(4,6)のうち少なくとも1つを駆動するための少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)を具備し、前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、第1及び第2車輪(4,6)のうち1つに連結されたスプロケットエレメント(108,110)と選択的に噛合可能な動力伝達用鎖(136)を具備しており、前記動力伝達用鎖(136)は、前記スプロケットエレメントと噛合する位置及び前記スプロケットエレメントと解除する位置の間での前記駆動装置の操作において、可動可能であることを特徴とする飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項2】
前記駆動装置(16)は、前記第1及び第2車輪(4,6)の両方に駆動的に連結可能であり、前記駆動装置(16)は、前記第1及び第2車輪(4,6)のそれぞれ1つを駆動するための第1及び第2動力出力アセンブリ(122,124)を具備し、前記動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、前記第1及び第2車輪(4,6)のそれぞれに連結されたスプロケットエレメント(108,110)のぞれぞれと選択的に噛合可能な動力伝達用鎖(136)を具備している請求項1に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項3】
前記動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、第1スプロケットホイール(132)及び第2スプロケットホイール(134)を具備し、前記動力伝達用鎖(136)が、前記第1スプロケットホイール(132)及び前記第2スプロケットホイール(134)を際限なく作動させている請求項1又は2に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項4】
前記第1スプロケットホイール(132)が、前駆駆動装置(16)のパワートレインに駆動的に連結される請求項3に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項5】
前記第2スプロケットホイール(134)が、遊動スプロケットホイールである請求項4に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項6】
前記第1スプロケットホイール(132)及び前記第2スプロケットホイール(134)の両方が、前駆駆動装置(16)のパワートレインに駆動的に連結される請求項4に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項7】
前記動力伝達用鎖(136)が、前記動力伝達用鎖(136)の内側で、前記第1及び第2スプロケットホイール(132,134)と噛合している請求項3乃至6のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項8】
前記動力伝達用鎖(136)が、前記動力伝達用鎖(136)の外側で、前記スプロケットエレメント(108)と選択的に噛合可能である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項9】
エンドレスな前記動力伝達用鎖(136)は、ループを定義し、且つ前記ループのプリセットされた噛合部分において、前記スプロケットエレメント(108)と選択的に噛合可能である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項10】
前記噛合部分が、第1スプロケットホイール(132)及び第2スプロケットホイール(134)の間にある請求項9に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項11】
前記噛合部分における、前記動力伝達用鎖(136)の案内が供給される請求項9又は10に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項12】
該案内が、前記スプロケットエレメントの形状に構成されている請求項11に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項13】
前記ループは、前記ループが凹面である噛合部分を除いて、凸面である請求項9乃至12のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、アームの形状をしており、前記動力伝達用鎖(136)が、それぞれの前記アームに沿って配置される請求項1乃至13のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項15】
前記アームが、前記駆動装置(16)のリマインダに対応して固定される回転軸に沿って回転可能である請求項14に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、アームの形状をしており、前記動力伝達用鎖(136)が、それぞれの前記アームに沿って配置され、前記アームが、前記駆動装置(16)のリマインダに対応して固定される回転軸に沿って回転可能であり、及び前記回転軸が、前記第1スプロケットホイール(132)の軸と十分に対応する請求項3乃至7のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項17】
前記アームが、油圧又は電気アクチュエータにより、回転可能である請求項14乃至16のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、それぞれの前記動力出力アセンブリを回転させるための旋回シリンダを具備する請求項1乃至17のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項19】
前記旋回シリンダの軸が、前記動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれの回転軸と一致する請求項18に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項20】
前記旋回シリンダが、油圧アクチュエータである請求項18又は19に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項21】
前記動力伝達用鎖(136)が、ローラチェーン、スリーブ型チェーン及びガレチェーンのうち1つである請求項1乃至20のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、平行に走らせる複数の動力伝達用鎖を具備する、又は前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)のそれぞれが、多数列の動力伝達用鎖を具備する請求項1乃至21のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項23】
前記駆動装置(16)の長手延長方向(C)は、前記共通車輪軸(A)と直角な面にある請求項1乃至22のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項24】
第1動力出力アセンブリ(122)の第1スプロケットホイール(132)及び第2動力出力アセンブリ(124)の第1スプロケットホイールは、前記駆動装置(16)の長手延長方向(C)と十分直角な共通出力段軸上に整列される請求項3乃至23のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項25】
第1ギア構造体及び前記第1動力出力アセンブリ(122)により、前記第1車輪(4)と駆動的に連結可能である第1モータ(18)、並びに第2ギア構造体及び前記第2動力出力アセンブリ(124)により、前記第2車輪(6)と駆動的に連結可能である第2モータ(20)を具備しており、前記第1及び第2モータ(18,20)が、前記駆動装置(16)の長手延長方向(C)に沿って、縦一列になって配置される請求項2乃至24のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項26】
操作における第1モータ(18)は、第1ベベルギア(38)を駆動し、前記第1ベベルギア(38)が、第1ギア構造体及び第1動力出力アセンブリ(122)により、前記第1車輪(4)と駆動的に連結可能であり、並びに操作における第2モータ(20)は、第2ベベルギア(40)を駆動し、前記第2ベベルギア(40)が、第2ギア構造体及び第2動力出力アセンブリ(124)により、前記第2車輪(6)と駆動的に連結可能である請求項25に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項27】
前記第1及び第2モータ(18,20)が、同軸上で配置される請求項25又は26に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項28】
前記第1モータ(18)は、第1モータシャフト(28)を有し、且つ前記第2モータ(20)は、第2モータシャフト(30)を有し、前記第1モータシャフト(28)は、中空であり、且つ前記第2モータシャフト(30)の周囲に配置されている請求項25乃至27のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項29】
前記第1及び第2モータ(18,20)が、電気モータ又は油圧モータである請求項25乃至28のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項30】
前記第1ギア構造体は、第3ベベルギア(54)及び第1ギアエレメントシャフト(66)を有する第1ギアエレメント(42)を具備し、並びに前記第2ギア構造体は、第4ベベルギア(56)及び第2ギアエレメントシャフト(68)を有する第2ギアエレメント(44)を具備し、前記第1及び第2ギアエレメントシャフト(66,68)のうち1つは、中空部を有し、前記第1及び第2ギアエレメントシャフト(66,68)の他の1つは、前記中空部の中で支持されている請求項25乃至29のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項31】
モータ(120)及び差動ギア(150)を具備し、前記モータ(120)は、前記差動ギア(150)並びに前記第1及び第2動力出力アセンブリ(122,124)により、前記第1及び第2車輪(4,6)と駆動的に連結可能である請求項2乃至24のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項32】
前記モータ(120)は、前記差動ギア(150)と噛合するためのベベルギア(140)を具備する請求項31に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項33】
前記差動ギア(150)は、第1及び第2ギア構造体並びに前記第1及び第2動力出力アセンブリ(122,124)によりそれぞれ、前記第1及び第2車輪(4,6)と連結可能である請求項31又は32に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項34】
前記差動ギア(150)は、ベベル差動、遊星差動、ボール差動又はフェースギア差動である請求項31乃至33のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項35】
前記モータ(120)が、電気モータ又は油圧モータである請求項31乃至34のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項36】
前記第1及び第2ギア構造体は、それぞれ遊星ギア(46,48)を具備する請求項25乃至35のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項37】
前記駆動装置(16)は、飛行機走行ギアに取り付けられるための取り付け構造体を具備し、並びに前記取り付け構造体を除いた全体の前記駆動装置(16)は、前記動力伝達用鎖(136)が、前記スプロケットホイール(108)と選択的に噛合可能であるように、それに加えて可動可能である請求項1乃至36のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項38】
前記取り付け構造体を除いた前記駆動装置(16)は、前記取り付け構造体に対応して、枢動的に回転可能及び/又は横方向に置き換え可能である請求項37に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項39】
前記取り付け構造体を除いた前記駆動装置(16)は、電気又は油圧アクチュエータにより、可動可能である請求項37又は38に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項40】
一体化自由車輪配置を具備している請求項1乃至39のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項41】
前記自由車輪配置の自由車輪方向は、可逆的である請求項40に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項42】
自己安全噛合/解放機構を具備している請求項1乃至41のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項43】
前記自己安全噛合/解放機構は、空気圧式、油圧式若しくは電気式手法で操作される請求項42に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項44】
車輪速度を検出する及びモータ速度を調節することにより、前記スプロケットエレメント(108,110)それぞれと共に、前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)それぞれの前記動力伝達用鎖(136)の回転速度を同じ速度で進行させるよう構成される自己安全噛合/解放機構を具備している請求項1乃至43のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項45】
前記スプロケットエレメント(108,110)それぞれと共に、前記少なくとも1つの動力出力アセンブリ(122,124)それぞれの前記動力伝達用鎖の目標とされた噛合のためのスプロケット歯のそれぞれの位置決めを検出するための検出装置を具備している請求項44に記載の飛行機走行ギア用駆動装置。
【請求項46】
共通車輪軸(A)上にある少なくとも1つの第1車輪(4)及び第2車輪と、請求項1乃至45のいずれか1項に記載の駆動装置(16)とを具備している飛行機走行ギア。
【請求項47】
前記第1及び第2車輪(4,6)を支持している走行ギア脚部(14)を有し、前記駆動装置(16)が、前記走行ギア脚部(14)に取り付けられている請求項46に記載の飛行機走行ギア。
【請求項48】
前記駆動装置(16)の長手延長方向は、前記走行ギア脚部(14)と十分に平行である請求項47に記載の飛行機走行ギア。
【請求項49】
ノーズ走行ギア若しくはメイン走行ギアとして使用されるよう構成される請求項46乃至48のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア。
【請求項50】
前記駆動装置(16)の第1動力出力アセンブリ(122)の動力伝達用鎖と噛合可能である前記第1車輪(4)と連結している、第1スプロケットエレメント(108)と、前記駆動装置(16)の第2動力出力アセンブリ(124)の動力伝達用鎖と噛合可能である前記第2車輪(6)と連結している、第2スプロケットエレメント(110)とを具備している請求項46乃至49のいずれか1項に記載の飛行機走行ギア。
【請求項51】
前記第1及び第2スプロケットエレメント(108,110)が、前記第1及び第2車輪(4,6)のそれぞれのリムに取り付けられる請求項50に記載の飛行機走行ギア。
【請求項52】
前記第1及び第2スプロケットエレメント(108,110)及び/又は前記それぞれのリムが、アルミニウム又はチタンのような軽金属から成る請求項51に記載の飛行機走行ギア。
【請求項53】
前記第1及び第2スプロケットエレメント(108,110)が、アルミニウム又はチタンのような軽金属から成る請求項50に記載の飛行機走行ギア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行機走行ギア用駆動装置及び駆動装置を具備する飛行機走行ギアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型商用航空機(以下、「飛行機」と称す。)は、空港の飛行場若しくは行動地域にてタクシング(地上走行)するために、ガスタービンエンジンを使用する。飛行機のガスタービンエンジンが、低出力状態、例えば着陸時のタクシング操作中において必要とされるように、効率良く操作するように設計されていない場合、地上での飛行機の操縦では、大量の燃料を消費する。燃料価格の増加は、タクシング中ますます厄介に、このような燃料消費を引き起こしていた。また、一続きのフライトに係る燃料効率は、目的地の空港にてタクシングするためのフライト中に実行されなくてはならない、という多量の燃料に起因して低下する。また、特殊車両が、飛行場において、飛行機を引っ張る若しくは押すために使用される。しかしながら、このような特殊車両は、それ自体が高価であること及び大抵の空港では数多く保有できないので、例えばゲートからプッシュバック操作のような短い距離でのみ通常使用される。更にこのことは、上述の欠点を引き起こすタクシングの多くで使用されるガスタービンエンジンに通じる。
【0003】
飛行機のタクシングの代替的な解決手段が、先行技術に開示されてきた。独国特許出願公開第2008/006295号明細書(特許文献1)には、飛行機の走行ギア脚部上に取り付けられた電気モータを開示している。該電気モータは、モータシャフトを具備し、該モータシャフトは、飛行機走行ギアのギア構造体と噛合/解除させ且つ車輪を駆動させるために、異なった位置間で軸方向に動かせられるようになっている。
【0004】
改善点としては、このような提案に記されているが、特に大型商用航空機においては、タービンエンジンの助けなしで飛行機を駆動するために必要な駆動力を供給するよう試みたとき、これらの提案は、耐久性/耐性年数を単位として、結果を満足させるということを生じさせない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第2008/006295号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の事情を鑑み、さらなる耐用年数を有すると同時に、例えば公衆旅客機のような大型商用航空機をタクシングさせるために必要な駆動力を供給する飛行機走行ギア用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題は、請求項1に記されている駆動装置により解決される。
【0008】
共通車輪軸上に少なくとも第1車輪及び第2車輪を有するクレームされた飛行機走行ギア用駆動装置は、少なくとも1つの第1及び第2車輪を駆動的に連結可能であり、前記駆動装置(16)は、少なくとも1つの第1及び第2車輪を駆動するための少なくとも1つの動力出力アセンブリを具備し、前記少なくとも1つの動力出力アセンブリが、前記第1及び第2車輪のうち1つに連結しているスプロケットエレメント(sprocket element)と選択的に噛合可能である動力伝達用鎖を具備している。とりわけ、前記駆動装置は、第1及び第2車輪の1つを正確に駆動的に連結可能であり、且つ第1及び第2車輪の1つを正確に駆動するための少なくとも1つの動力出力アセンブリを正確に具備し、前記少なくとも1つの動力出力アセンブリが、第1及び第2車輪のうち1つを正確に連結しているスプロケットエレメントと選択的に噛合可能である動力伝達用鎖を具備している。
【0009】
また、前記駆動装置は、第1及び第2車輪の両方を駆動的に連結可能である。とりわけ、更なる態様では、前記駆動装置は、第1及び第2車輪の両方を駆動的に連結可能であり、前記駆動装置は、第1及び第2車輪のそれぞれ1つを駆動するため第1及び第2動力出力アセンブリを具備し、それぞれの動力出力アセンブリは、それぞれの車輪に連結しているそれぞれのスプロケットエレメントと選択的に噛合可能である動力伝達用鎖を具備している。また、第1及び第2車輪を駆動的に連結可能である、共通車輪軸上に少なくとも第1及び第2歯車を有する飛行機走行ギア用駆動装置は、前記駆動装置が、第1及び第2車輪のそれぞれ1つを駆動するための第1及び第2動力出力アセンブリを具備し、それぞれの動力出力アセンブリは、それぞれの車輪に連結されたそれぞれのスプロケットエレメントと選択的に噛合可能である動力伝達用鎖を具備している、ということを正確に開示する。
【0010】
それぞれの動力出力アセンブリ、特に現在ある1つの動力出力アセンブリ又は第1及び第2動力出力アセンブリのそれぞれは、多くの利点を有するそれぞれの車輪のスプロケットエレメントと選択的に噛合可能である動力伝達用鎖を具備するような、駆動装置を提供している。動力伝達用鎖は、噛合/解除に関連した先述の提案にて使用される平歯車のような他の伝達とは対照的に、飛行機走行ギアに対する飛行機走行ギア用駆動装置の高度で且つ逆の操作条件に対して、相対的に反応しにくいことが判明している。飛行機走行ギアは、例えば広い温度差動、(例えば大変な多湿条件といったような)多種多様の気候条件、並びに塩及び飛行機部品や滑走路の除氷に使用される除氷剤等といった、複数の負の影響へと提示される。これらの影響の多くは、飛行機走行ギア部品の完全性を攻撃する(劣化させる)のに大変積極的で、腐食や他の有害なプロセスを導いている。このことは特に、それらが着陸後にクリーンにされる前に、塩及び薬品が、一続きのフライトの間中、何時間も飛行機走行ギアに引っ付いている。例えばこれらの積極的な影響により共に調節された平歯車が、商用航空機の駆動において、大きな負荷の存在下で落下する傾向がある。当該駆動装置の出力段において、動力伝達用鎖を用いることにより、前記装置と飛行機走行ギアとの間で高度に長持ちする噛合/解除機構が、備え付けられる。前記動力伝達用鎖は、その構造に起因して、腐食に対して感度が低い。また、万が一腐食が起こった場合、動力伝達用鎖の精密寸法が、負の効果に起因して保持されない時に、動力伝達用鎖の機能性は、その表面上で、化学的プロセスに対して感度が低く、且つその機能性の劣化に対する感度が低い。その結果、動力伝達用鎖は、飛行機駆動時に飛行機走行ギア駆動装置により、伝達された高い力の下、より長持ちする。
【0011】
総じて、動力伝達用鎖は、車輪のスプロケットエレメントと選択的に噛合可能である。結果として、動力伝達用鎖が、スプロケットエレメントから解除された位置にあるときは、飛行機の歯車が、駆動装置から独立して回転できるような、駆動装置と、第1及び第2車輪との間の連結が、今はない。このように、例えば飛行機を着陸させる際、車輪の速度が、駆動装置により発生される抵抗なしで、飛行機の速度に順応することができる。言い換えると、このような配置が、本発明の意義においては、完全に解除され得たわけではなく且つそれゆえに選択的に噛合可能であるというわけではないので、選択的に噛合可能である動力伝達用鎖は、駆動装置及び飛行機走行ギアの車輪のスプロケットを越えている伝達用鎖とは、基本的に異なる。
【0012】
選択的に噛合可能という言い回しは、動力伝達用鎖が、車輪のスプロケットエレメントの噛合位置と、車輪のスプロケットエレメントの解除位置との間における操作において、可動可能となるというように理解される。言い換えると、選択的噛合という言い回しが、時間選択的噛合と関連し、即ち、動力伝達用鎖が、時間内にいくつかのポイントにてスプロケットエレメントと噛み合っている一方、動力伝達用鎖及びスプロケットエレメントの間の解除は、時間内で他の位置に存在する。電気若しくは油圧モータのようなアクチュエータが、このような動作をもたらすために備え付けられている。動力伝達用鎖が、前記噛合位置若しくは前記解除位置にある場合には、コントロールユニットが備え付けられ、該コントロールユニットは、アクチュエータを制御し、且つ時間内であらゆるポイントにて指揮することができる。
【0013】
動力伝達用鎖は、動力伝達用鎖の延長が、駆動装置、特にパワートレインそれ自体や歯車のスプロケットエレメントといったリマインダの上等な分離を可能にするという場合に、付加的な利点を有するといえる。その結果として、駆動装置のリマインダは、より優れた動きやすさを伴って、飛行機走行ギアのフレームワークに位置することが可能である。このように、駆動装置を含んでいる、飛行機走行ギアの総合的に高度で空間効率の良い配置が、達成される。
【0014】
1つ若しくはそれ以上の動力伝達用鎖による動力伝達を伴って達成された援助というものは、1つの動力出力アセンブリがそこにある場合には、1つの車輪と駆動的に連結可能であり、2つの動力出力アセンブリがそこにある場合には、2つの車輪と駆動的に連結可能であり、そして2つ以上の動力出力アセンブリも同様にそこにある場合には、2つ以上の車輪と駆動的に連結可能である、という状況に適用される。
【0015】
更なる態様によれば、それぞれの動力出力アセンブリは、第1スプロケットホイール及び第2スプロケットホイールを具備し、動力伝達用鎖は、該第1及び第2スプロケットホイールを際限なく食い込ませている。このように、動力出力アセンブリの中にある動力伝達用鎖のループが、確立される。前記ループの一部は、動力出力アセンブリの適当な動きを通じて、それぞれの車輪のスプロケットエレメントの中に噛合されて、接触する。このように、動力伝達用鎖は、第1及び第2スプロケットホイールの1つ若しくは両方を動かすことにより、スプロケットエレメントから簡便に噛合若しくは解除可能である。
【0016】
更なる態様として、第1スプロケットホイールは、駆動装置のパワートレインに、駆動的に連結している。このように、駆動装置が作動しているとき、第1スプロケットホイールは、動力伝達用鎖を駆動し、中で噛合しているときに、順にスプロケットエレメントを駆動する。限られたパワートレインは、第1スプロケットホイールを駆動するのに適している、それぞれの駆動部若しくはモータの種類を網羅することを目的としている。更にまたその表現は、第1及び第2動力出力アセンブリに対する2つの第1スプロケットホイールを駆動する1つのモータ/駆動部及び2つのモータ/駆動部の2つの代替手段を網羅することを目的としている。これらの代替手段については、後述する。
【0017】
更なる態様によれば、第2スプロケットホイールが遊びスプロケットホイールである。言い換えると、第1スプロケットホイールのみが、駆動装置のパワートレインにより駆動されて操作される。第2スプロケットホイールと駆動装置のパワートレインの間の駆動的連結が、確立されるべきでない場合に、このことは、第2スプロケットホイールの高度に自由な位置調整を認める。または、第1及び第2スプロケットホイールの両方が、駆動装置のパワートレインに駆動的に連結される。このように、第1及び第2スプロケットホイールのそれぞれのみ、パワートレインから動力伝達用鎖へと、外部動力出力アセンブリあたりの必須の動力の一部を伝達することが要求される。それゆえ、よりコンパクト且つ耐久性のある設計を認めるには、第1スプロケットホイールは、より低い出力伝達キャパシティが次元化される。
【0018】
更なる態様によれば、動力伝達用鎖は、該動力伝達用鎖の内側で、第1及び第2スプロケットホイールと噛合している。このように、第1及び第2スプロケットホイールの周囲の動力伝達用鎖に係る基本的なループは、操作中、現状の荷重に対する高度な安定を確立する。とりわけ、第1及び第2スプロケットホイールは、動力伝達用鎖の内側で噛合しているただ1つのスプロケットホイールである。特別な態様では、操作中の第1及び第2スプロケットホイールを超えた動力伝達用鎖のとりわけ滑らか且つ安定な運転が達成されるように、動力伝達用鎖は、どんな種類のねじれをも示さない。
【0019】
更なる態様によれば、動力伝達用鎖は、該動力伝達用鎖の外側でスプロケットエレメントと選択的に噛合可能である。とりわけ、スプロケットエレメントは、動力伝達用鎖の外側に噛合しているただ1つのスプロケットエレメントになり得る。結果的に、車輪のスプロケットエレメントを伴った動力伝達用鎖の噛合は、第1及び第2スプロケットホイールを超えた側面の反対側で、動力伝達用鎖の側面で起こる。特に、第1及び第2スプロケットホイールの周囲のループは、車輪のスプロケットエレメントと比較して、小さな第1及び第2スプロケットホイールで実行され、前記第1及び第2スプロケットホイールの間のループ部分は、スプロケットエレメントとの噛合のための拡張された噛合部を供給している。このような拡張された噛合部が、動力伝達用鎖からスプロケットエレメントへの動力伝達の拡張領域を可能にし、該スプロケットエレメントは必須の高い動力伝達を可能にする。また、異なるサイズの第1スプロケットホイール及び車輪のスプロケットエレメントは、よりコンパクトなモータが使用可能になるように、モータのトルク要件を減らす出力ギア比を備えている。
【0020】
更なる態様によれば、無限動力伝達用鎖は、ループを定義し、且つ該ループのプリセット噛合部の中で、スプロケットエレメントと共に選択的に噛合可能である。金網の不揃いさが、プリセット噛合部に繰り返して表れるように、動力伝達用鎖が、プリセット噛合部を無限に通過するということが明白である。特別な態様において、噛合部が、第1及び第2スプロケットホイールの間にある。
【0021】
更なる態様によれば、噛合部における動力伝達用鎖の案内手段が備え付けられ、好ましくは、スプロケットエレメントの形状に適合されている。とりわけ、該案内手段の半径は、スプロケットエレメントの半径に適合されるようになる。このように、噛合部に沿って閉じ込めた噛合が達成されるように、噛合部がとても効果的に利用される。とりわけ、噛合部のエッジにおける動力伝達用鎖の噛合された位置及び解除された位置の間のスムーズな伝達が供給されるように、噛合部における案内手段の半径が、車輪のスプロケットエレメントの半径よりもわずかに大きくなる。
【0022】
また、動力伝達用鎖のループの形状が、案内手段なしの車輪のスプロケットエレメントを構成しており、その構成は、噛合位置の中に入った時に、起こっている。このような構成は、動力伝達用鎖との接触が得られた時に、車輪のスプロケットエレメントにより与えられる圧力と組み合わさった第1及び第2スプロケットホイールによる動力伝達用鎖上に押し付けられる張力によって、達成される。動力伝達用鎖及びスプロケットエレメントの間の解除状態における動力伝達用鎖の中での張力を保持するのに、第1及び第2スプロケットホイールが、それぞれに対して置換され得る。アクチュエータがこのような置換をもたらすのに備え付けられる。
【0023】
更なる態様によれば、ループは、該ループが凹面となるような噛合部
を除いて、凸状である。ループの凹面及び凸面部の間の移行領域が、噛合部を越えて拡張されるときに、ループの凹面部が、必ずしも噛合部と正確に一致しないと理解される。特に、ループが、噛合部の側面上の第1及び第2スプロケットホイールの間で、十分に幅広く凹面であるということも可能にする。
【0024】
更なる態様によれば、少なくとも1つの動力出力アセンブリのそれぞれが、アーム形状をしており、同時に動力伝達用鎖が、それぞれのアームに沿って配置されている。該アームは、駆動装置のリマインダから伸長している。このように、動力伝達用鎖及びスプロケットエレメントの間の選択的噛合が、不要態様において、駆動装置のリマインダ及び車輪のスプロケットエレメント及び/又はそれ自身互いに干渉している車輪なしで、達成されるように、動力伝達用鎖は、駆動装置のリマインダから離れて伸びている。とりわけ空間効率の良い配置が提供されるように、駆動装置のリマインダから離れたアームの伸長はまた、駆動装置のリマインダを取り付けるための付加的な自由度を作り出している。
【0025】
更なる態様によれば、アームが、駆動装置のリマインダに対応して固定される回転軸の周りを回転可能である。特別な態様においては、該回転軸が、第1スプロケットホイールの軸と十分に調和している。しかしながら、該回転軸が、第2スプロケットホイールの軸と十分に調和することもまた可能にする。
【0026】
更なる態様によれば、アームが、油圧若しくは電気アクチュエータによって回転可能である。
【0027】
更なる態様によれば、少なくとも1つの動力出力アセンブリのそれぞれが、該それぞれの動力出力アセンブリを回転させるための旋回シリンダを具備する。該旋回シリンダは、回転能力をもたらすという効果があり、同時に低い空間要求を有し、飛行機走行ギアにおける大きい動力/トルク伝達能力があり、及び開示された操作シナリオにおける耐久性がある。特別な態様によれば、旋回シリンダの軸が、それぞれの動力出力アセンブリの回転軸と十分に対応する。旋回シリンダの軸が、第1スプロケットホイールの軸と十分に対応し得るということを更に可能にする。このように、噛合/解除機構のための低い空間要求を伴ったコンパクトなデザイン並びに駆動装置の出力段における動力伝達が、達成される。特別な態様においては、旋回シリンダが油圧アクチュエータである。
【0028】
更なる態様によれば、動力伝達用鎖が、ローラチェーン、スリーブ型チェーン及びガレチェーン(Galle-chain)のうち1つである。
【0029】
更なる態様によれば、少なくとも1つの動力出力アセンブリのそれぞれが、同時に作動している複数の動力伝達用鎖を具備する、又は少なくとも1つの動力出力アセンブリのそれぞれが、複数列の動力伝達用鎖を具備する。動力アセンブリあたりの動力伝達用鎖の数又は横列動力伝達用鎖あたりの列の数が、2、3、4、5又はそれ以上になり得る。同時に作動している時間は、動力伝達用鎖の2つの側面のそれぞれ、即ち、いずれかのスプロケットエレメントに噛合していない側面が、お互いに隣接して配置される。複数の動力伝達用鎖がお互いに隣接して配置されると称されることも可能である。複数列の動力伝達用鎖なる用語は、互いに隣接して配置された複数列の噛合部を有した動力伝達用鎖と関係し、これらの噛合部の側面に対する外側部が、2つの噛合部のための外側部として役立っている。言い換えると、複数列の動力伝達用鎖は、お互いに隣接した複数の単列動力伝達用鎖の配置と考えられるが、1つの側面部のみが、2つの列の間にあり、前記側面部が、両方の側面自体に噛合部を支持している。複数の動力伝達用鎖若しくは複数列の動力伝達用鎖が、動力出力アセンブリあたり存在しているならば、このような動力出力アセンブリはまた、一致した複数の第1スプロケットホイール及び一致した複数の第2スプロケットホイールを具備し、複数の動力伝達用鎖それぞれの/複数列の動力伝達用鎖の列のそれぞれは、それぞれの第1スプロケットホイールの1つ及びそれぞれの第2スプロケットホイールの1つを越えて作動している。また、複数の動力伝達用鎖/複数列の動力伝達用鎖の複数の列が、それぞれの車輪と連結している一致した複数のスプロケットエレメントと選択的に噛合する。動力伝達用鎖のそれぞれ/複数列の動力伝達用鎖の列それぞれは、複数のスプロケットエレメントの1つに選択的に噛合可能である。動力出力アセンブリあたりのこのような複数の動力伝達サブシステムを供給することにより、動力伝達サブシステムのそれぞれが、1つの動力伝達用鎖/多数列の伝達用鎖の1つの列、1つの第1スプロケットホイール、1つの第2スプロケットホイール及び飛行機走行ギアの車輪の1つに連結された1つのスプロケットエレメントを具備しており、それぞれのサブシステムが、より低い伝達容量のために設計され、より低い手間且つ値段で設計及び生産をできるように、所望の動力伝達容量が、複数のサブシステムの間で分割される。代わりに、冗長性がこのように導入され、サブシステムの1つの不全した場合の安全操作を保証している。ここに記されている全ての態様はまた、1つの単列動力伝達用鎖を正確に具備している動力出力アセンブリのそれぞれと共に実現されるということが、明確に指摘されている。
【0030】
更なる態様によれば、駆動装置の長手延長方向は、共通車輪軸に直角な面である。このように、駆動装置のモータが、その長手方向において、2つの車輪の間に限定されることはない。モータの長手延長で、このような厳しい制限を伴わない場合、モータにより達成される速度及び/又はトルク及び/又は速度トルクプロダクトが、先行技術と比較して、増やされる。その結果として、飛行機をタクシングさせるためのそれ以上の動力が、モータにより発生させられる。駆動装置の長手延長方向が、該駆動装置に具備されるモータのシャフトの軸と関係しており、且つモータの長手延長にもまた関連している。結果として、改良されたモータ特性が実現されるように、モータの方位が、モータのより自由度のある長さを認める。駆動装置の特別な方位もまた、より自由に選択されることを、第1及び第2車輪の間の間隔で可能にする。動力出力アセンブリが、動力伝達用鎖を具備している場合、第1及び第2車輪の間の間隔(中間領域)は更に、前記中間領域の中で、2つの動力伝達用鎖のみを動かすために要求される領域に減らされる。第1及び第2車輪の間の間隔の減少は、飛行機走行ギアの全体が、飛行中に、より空間効率の良い態様で収納されるように減らされるために、車輪配置のための全体の空間要求をもたらす。通常、駆動装置の長手延長に対する方向は、駆動装置の最も大きな幾何学的延長の方向と対応する。共通車輪軸なる記載は、第1及び第2車輪の中心を通過する幾何学的な軸と関連している。
【0031】
共通車輪軸に対して直角な面が、第1及び第2車輪の間に位置決められる。このように、第1及び第2車輪との間における空間は、先行技術のものよりも更により効果的に使用される。駆動装置は、第1及び第2車輪を補助する走行ギア脚部と十分平行、例えば走行ギア脚部の前に位置される。結果として、駆動装置の大部分は、2つの車輪の間の空間の中で横たわっている。2つの車輪の間の空間は、第2車輪の円周の上に、第1車輪の円周の突起によって囲まれたすべての余地と関係している。この空間は、先行技術における配置においては大部分未使用というわけではなく、フライト中の車輪配置を収容するときに説明されなくてはならない。結果として、車輪の間の間隔を減らす及び車輪の間の残りの空間を使用することが可能となることにより、空間要求を減らすと同時に、本発明では、先行技術よりもより強力で可能な限り大きなモータで、提供することを可能にする。
【0032】
しかしながら、駆動装置の長手延長方向が、共通車輪軸に直角な面にあることは必須ではない。とりわけ、駆動装置の長手延長方向はまた、共通車輪軸と平行になる。このような場合、2つの動力出力アセンブリの第1車輪それぞれが、駆動装置の反対側に設置される。
【0033】
別態様として、第1動力出力アセンブリの第1スプロケットホイール及び第2動力出力アセンブリの第1スプロケットホイールは、共通出力段軸に並べられ、該段軸は、駆動装置の長手延長方向と、十分に垂直である。共通出力段軸が、共通車輪軸と平行になる。このような位置確認は、駆動装置及び車輪構造体の間の簡便な選択的噛合を可能にする。2つの第1スプロケットホイール並びに第1及び第2車輪の2つのスプロケットエレメントもまた、駆動装置の外側のギア比段を規定することを可能にする。第1スプロケットホイールが小さい直径を有し、且つスプロケットエレメントが大きい直径を有する場合、大きい伝達比を有する減速ギア段が達成され、且つコンパクトなモータを使用する十分なトルクを生み出すのを助ける。結果として、このギア比段は、駆動装置内で実施されるすべてのギア比に加えて、駆動装置をコンパクトに保持するのを助ける。
【0034】
更なる態様としては、駆動装置は、第1ギア構造体及び第1動力出力アセンブリにより第1車輪と駆動的に連結可能である第1モータ並びに第2ギア構造体及び第2動力アセンブリにより第2車輪と駆動的に連結可能である第2モータを具備し、前記第1及び第2モータが、駆動装置の長手延長方向に沿って縦一列になって配置されている。縦一列になって配置とは、駆動装置の長手延長方向において、縦に並べる配置と関連している。2つの車輪それぞれを駆動するための対応するモータを備えることは、駆動装置が、独立して第1及び第2車輪を駆動することをできるようにすること、並びに飛行機がコーナーを曲がるときに所望の車輪速度差を提供することを可能にする。例えば、走行ギア脚部は、飛行機のハンドルを右若しくは左へと切るために、ステアリングモータにより、旋回させられる。ステアリングモータに備え付けられるステアリング信号はまた、これらのモータが、所望の回転半径に従って、第1及び第2車輪を駆動できるように、第1及び第2モータに備え付けられる。結果として、飛行機の旋回は、タイヤの摩耗及び裂け目並びにタイヤ配置の他のエレメントを減らすことを可能にする。また、異なる速度で第1及び第2車輪を駆動することにより、飛行機の旋回を起こすことも可能である。縦一列における第1及び第2モータの配置は、2つのモータの空間効率の良い位置調整を認め、2つのモータの設備が、駆動装置の長手延長だけでなく外側延長を増加させている。それゆえ、2つのモータの設備は、駆動装置を調整するために必須の第1及び第2車輪の間の間隔において、衝撃を持たない。その結果として、第1及び第2車輪の改良された駆動は、達成されるのと同時に、全体の飛行機走行ギアの空間効率の良い配置を確かにしている。更に、この直列配置が、駆動装置の長手延長方向から独立して正規化されていることが、指摘されている。
【0035】
正確に1つの動力出力アセンブリが、正確に1つの車輪を駆動するために備え付けられている場合、同じ幾何学的軸に備え付けられている2つの車輪が、それら2つの車輪の速度が異なるように、機械的に分離される。このように、飛行機の旋回もまた、タイヤの摩耗及び裂け目並びにタイヤ配置の他のエレメントを減らすように達成される。言い換えると、1つの動力出力アセンブリによって駆動されない車輪は、受動素子であり、且つ操作条件によるそれの車輪速度を調節する。
【0036】
更なる態様によれば、操作時の第1モータが、第1ベベルギアを駆動すると同時に、前記第1ベベルギアが、第1ギア構造体及び第1動力出力アセンブリにより、第1車輪と駆動的に連結可能であり、並びに操作時の第2モータが、第2ベベルギアを駆動すると同時に、前記第2ベベルギアが、第2ギア構造体及び第2動力出力アセンブリにより、第2車輪と駆動的に連結可能である。第1及び第2ベベルギアは、第1及び第2モータにより駆動されたエレメントの回転軸の方向の変化を認める。とりわけ、第1及び第2モータのシャフトの回転は、モータシャフトと一直線になっている若しくは平行ではなく、且つ第1及び第2ギア構造体それぞれに備わっている他のギアエレメントの回転を引き起こすことができる。更にとりわけ、90°の駆動エレメントの回転軸の旋回が、達成される。結果として、回転軸が、共通車輪軸と同一若しくは平行になっているギア構造体要素は、第1及び第2ベベルギアを通じて駆動され得る。そのとき、この回転は、便利な方法で、第1及び第2車輪に伝達される。駆動要素の回転軸の旋回はまた、フェースギア及び平歯車の組み合わせにより、達成される。このような配置は、このアプリケーションがベベルギアの使用を示すすべての場所に、交互に備え付けられる。
【0037】
更なる態様によれば、第1及び第2モータが、同軸上で配置される。この配置は、第1及び第2モータが配置された周囲に、回転の1つの共通軸が駆動装置内にあるときにのみ、空間の高度に効率的な使用を認める。駆動装置の水平な延長が、最小限に保持されるというのは、水平方向に沿って2つのオフセットモータシャフトが、車輪を駆動するのに必須ではないからである。
【0038】
更なる態様によれば、第1モータが、第1モータシャフトを有し、且つ第2モータが、第2モータシャフトを有するとともに、第1モータシャフトが中空になっており、且つ第2モータシャフトの周りに配置されている。他のモータシャフトの周りの1つの中空モータシャフトの配置は、第1及び第2モータが、同軸上で配置され得るということを確実にすると同時に、第1及び第2車輪の駆動における完全な自立が達成される。
【0039】
特別な態様においては、第1及び第2モータが、電気モータ又は油圧モータである。
【0040】
更なる態様において、第1ギア構造体は、第3ベベルギア及び第1ギアエレメントシャフトを有する第1ギアエレメントを具備し、並びに第2ギア構造体は、第4ベベルギア及び第2ギアエレメントシャフトを有する第2ギアエレメントを具備し、第1及び第2ギアエレメントシャフトの1つが、中空部を有し、第1及び第2ギアエレメントシャフトの他の1つが、前記中空部にて支持されている。第1及び第2ギアエレメントシャフトの回転軸は、位置合わせされている。他の中で、1つのギアエレメントの支持が、第1モータから第1車輪及び第2モータから第2車輪へと、2つの独立した動力伝達の高度にコンパクト且つ安定した配置を認める。第1ベベルギアは、第3ベベルギアと噛合しており、第2ベベルギアは、第4ベベルギアと噛合している。このように、第1ギア比段が正規化される。第1及び第3ベベルギアの間のギア比は、第2及び第4ベベルギアの間のギア比と同じである。第1及び第2モータにより発生された動力は、2つの同軸のモータシャフトを通じて、2つのギアエレメントへ伝達され、該ギアエレメントは、共通軸に並んでいるのではなく、お互いに平行して移されている。コンパクトな動力伝達というのは、それの出力にて‐回転の自由速度と一体となった2つの平行に移されたギアエレメントを提供することにより達成される。他のものの中に支持された1つのギアエレメントと共に、駆動装置の横寸法が、最低限に保持されている。
【0041】
別態様によれば、駆動装置が、モータ及び差動ギアを具備し、該モータが、該差動ギア並びに第1及び第2動力出力アセンブリにより、第1及び第2車輪と駆動的に連結可能である。差動ギアの提供は、飛行機が曲がり角を曲がった時の車輪速度の機械的調節を可能にする。結果として、2つの車輪が、1つのモータで駆動されるのと同時に、差動ギアは、車輪速度を一定の回転半径に機械的に順応させることにより、タイヤの摩耗及び裂け目の減少並びに他の車輪構造体要素を確かにする。差動ギアとは、ギアボックスの中に集約されているという意味がある、統合された差動ギアのことである。モータは、差動ギアと共に噛合するためのベベルギアを具備する。このように、駆動装置の長手延長方向から共通軸と平行若しくは同軸方向への動力伝達軸の高効率な回転が、達成される。差動ギアは、第1及び第2ギア構造体による第1及び第2車輪並びに第1及び第2動力出力アセンブリとそれぞれ連結可能である。また、差動ギアは、ベベル差動、遊星差動、ボール差動、又は表面ギア差動である。モータが、電気モータ又は油圧モータである。
【0042】
更なる態様としては、第1及び第2ギア構造体が、それぞれ遊星ギアを具備する。遊星ギアは、大変コンパクトな態様で、回転速度の減速及びトルクの一定の増加を可能にする。少しの空間要求を伴って、ギア比段が、遊星ギアを通じて、駆動装置により実行される。ベベルギアと関連するギア比段と、動力出力アセンブリ及び車輪のスプロケットエレメントに関連するギア比段と共に、3つの減速段が、大変コンパクトな態様で正規化される。ベベルギア段は、モータシャフトの方向から共通軸と一直線になっている若しくは平行である方向へと回転軸の90°回転を可能にする。このような回転軸の90°回転が、駆動装置の方向に起因して要求されない場合、ベベルギアは、別の適切なギア段により差し替えられる。駆動装置出力における減速段は、第1及び第2車輪それぞれに連結されたスプロケットエレメントとともに、駆動装置の動力伝達用鎖の同時に起こる噛合の簡便な実現を可能にする。
【0043】
更なる態様としては、駆動装置は、飛行機走行ギアに取り付けられるための取り付け構造体を具備し、並びに動力伝達用鎖が、スプロケットエレメントと選択的に噛合可能なように、取り付け構造体
を除いた全体の駆動装置は、それに関連して可動可能である。言い換えると、スプロケットエレメントと動力伝達用鎖の噛合は、それの取り付け構造体に対応して全体の駆動装置を作動させることにより、達成される。特別な態様においては、取り付け構造体
を除いた駆動装置が、取り付け構造体に関連して、枢動可能に回転及び/又は横方向に動かされる。更なる特別な態様においては、取り付け構造
体を除いた駆動装置が、電気又は油圧アクチュエータにより可動可能である。
【0044】
駆動装置はまた、一体化自由‐車輪配置を具備する。駆動装置が、噛合された位置にあるときでさえ、自由‐車輪配置は、駆動装置のモータへの伝達されるための車輪の回転を回避する。結果として、モータから動力出力アセンブリへの動力伝達経路の中の1つのポイントにて、モータから車輪への標準操作的電力潮流を検査したときに、段は、下方(ダウンストリーム)エレメントから上方(アップストリーム)エレメントへの動力伝達を妨げるようなオーバーランクラッチ若しくはその同等品を備えることが可能である。このような自由‐車輪配置は、万が一駆動装置のモータに欠陥があれば、飛行機に回転し続けることを認める。欠陥モータは、車輪の回転をブロックできない。また、第1及び第2車輪に連結されたスプロケットエレメントと、駆動装置とを噛合させる工程においては、不統一な噛合の試みに起因する駆動装置に対する厄介な損傷が、噛合操作の間中回避されるように、自由‐車輪配置は、動力伝達用鎖の速度に合わせたスプロケットエレメントの速度の同期化を確かにする。自由‐車輪配置は、開示されたギア配置の中に含まれる回転自在に固定された連結の中へと組み込まれる。例えば、第1及び第2ギア構造体に関連して、2つの第1スプロケットホイールの連結が、一体化自由‐車輪配置を有する。また、第1及び第2遊星ギアの第1及び第2リングギアは、一体化自由‐車輪配置を有する。該自由‐車輪配置は、機械的に正規化される。自由‐車輪配置のフリーホイール方向は、逆にできる。このことは、駆動装置と共に前方及び後方の両方で飛行機を駆動するときに存在するように、自由‐車輪配置の利点を認める。
【0045】
更なる態様において、駆動装置は、自己安全噛合/解除機構を具備する。このような自己安全噛合/解除機構は、特に離着陸時のような潜在的に高度に危険な飛行機の着陸装置の予期しない挙動をもたらす車輪構造と、駆動装置との不用意な噛合を回避する。自己安全噛合/解除機構は、空気圧式、油圧式又は電気式手法で操作される。
【0046】
更なる態様において、駆動装置は、車輪速度を感知し、且つモータの速度を調節することにより、それぞれのスプロケットエレメントを伴った少なくとも1つの動力出力アセンブリのそれぞれの動力伝達用鎖の回転速度を同期させるために構成された噛合/解除機構を具備する。結果として、動力伝達用鎖及びスプロケットエレメントの同期化角速度は、動力伝達用鎖の噛合部分に伝達され、該噛合部分は、構成要素の摩滅が低くなるように、これらの構成要素の正確な噛合を可能にする。駆動装置は、車輪速度を測定するセンサと連通し、且つ駆動装置のモータの制御コマンドを作り出すコントロールユニットを具備する。2つの独立モータが第1及び第2車輪を駆動させるのに備え付けられる場合、2つのセンサが、車輪速度を測定するために備え付けられ、且つ2つの制御コマンドが、独立している2つのモータを制御するためのコントロールユニットにより作り出される。
【0047】
別態様としては、それぞれスプロケットエレメントを伴った少なくとも1つの動力出力アセンブリのそれぞれの動力伝達用鎖の目標とされた噛合のための、スプロケット歯の相対的な位置決めを感知するためのセンシング装置を具備する。スプロケット歯の位置の直接測定を使用することが、構成要素の高度に精密な噛合を可能にさせるように、構成要素の摩滅を決定的にする変数、即ち相対的な位置づけは、駆動装置のモータの制御において、直接的に使用可能である。動力伝達用鎖のエレメントの位置は、動力伝達用鎖の位置にて、例えば相対値エンコーダ、レゾルバ又は別の位置センサのような分離センサを用いて決定される。モータが電気モータである場合、それは通常、出力が動力伝達用鎖の位置を決定するのに使用されるモータの位置を決定するための位置センサを具備し、その決定が、ギアボックスのギア比を考慮している。スプロケットエレメントの位置はまた、走行ギア脚部の中に集約されている位置センサにより決定される。飛行機走行ギアは、ABSブレーキングシステムを具備し、その場合は、ABSブレーキングシステムの位置センサの出力が、スプロケットエレメントの位置を決定するのに使用される。スプロケットエレメントの位置を決定する位置センサは、駆動装置に取り付けられる。位置センサは、スプロケットエレメントの歯の距離を測定する若しくはスプロケットエレメントの歯により誘発される光学的若しくは誘導的センサである。歯の間の空間の位置は、このように大変正確に測定され得る。
【0048】
別態様によれば、飛行機走行ギアは、共通車輪軸上に少なくとも1つの第1及び第2車輪と、前述の態様のいずれかに記載されている駆動装置とを具備する。飛行機走行ギアは、第1車輪に連結し、駆動装置の第1動力出力アセンブリの動力伝達用鎖と噛合可能である第1スプロケットエレメント、及び第2車輪に連結し、駆動装置の第2動力出力アセンブリの動力伝達用鎖と噛合可能である第2スプロケットエレメントを具備する。
【0049】
飛行機走行ギアはまた、第1及び第2車輪を支持する走行ギア脚部を有し、とりわけ取り付け構造体を用いて、駆動装置が、前記走行ギア脚部に取り付けられている。車輪は、車輪シャフトアセンブリを用いて走行ギア脚部により、支持される。走行ギア脚部の付属品は、飛行機走行ギアに対する駆動装置の安定な付属品としての効果がある。駆動装置の長手延長方向は、走行ギア脚部と十分に平行である。この配置は、総合的に空間効率の良い飛行機走行ギアが形成されるように、駆動装置の位置決めのために、第1及び第2車輪の間の空間を使用することを可能にする。とりわけ、飛行中における飛行機走行ギアのための収容スペースは、低く保持される。また、走行ギア脚部と平行な駆動装置の位置決めは、最小限の付加的空気力学的抵抗が駆動装置により導入されるのみであることを明確にする。
【0050】
更なる態様においては、飛行機走行ギアが、ノーズ走行ギア若しくはメイン走行ギアとして使用されるように適用される。また、第1及び第2スプロケットエレメントは、第1及び第2車輪のそれぞれのリムに取り付けられる。第1及び第2リムは、第1及び第2車輪軸ギアを取り付けるのにとても適したものであるように、それらは、飛行中及び地上においても、飛行機全体の重量を運ぶのに適し、且つ極端な環境条件に耐えるために設計された本質的に安定な構造である。第1及び第2スプロケットエレメント及び/又はそれぞれのリムは、アルミニウム若しくはチタンといった軽金属から成る。
【0051】
第1及び第2車輪と駆動的に連結可能である2つの動力出力アセンブリを伴った駆動装置を有する飛行機走行ギアに関する性質及び特徴は、正確に1つの車輪と駆動的に連結可能である1つの動力出力アセンブリを正確に伴った駆動装置を有する飛行機走行ギアに類似的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の典型的な第1態様に係る飛行機走行ギアの三次元的表現を示す。
【
図2】本発明の典型的な第1態様に係る飛行機走行ギアの横断面を示す。
【
図4】本発明の典型的な第1態様に係る飛行機走行ギアの更なる横断面を示す。
【
図5b】解除位置にある駆動装置を伴った、
図5aにおける横断面図の拡大部分を示す。
【
図6】本発明の典型的な第2態様に係る飛行機走行ギアの横断面を示す。
【
図7a】本発明の典型的な第3態様に係る飛行機走行ギアの三次元的表現を示す図であって、解除位置における動力伝達用鎖を示している。
【
図7b】本発明の典型的な第3態様に係る飛行機走行ギアの三次元的表現を示す図であって、噛合位置における動力伝達用鎖を示している。
【
図8a】本発明の典型的な第3態様に係る飛行機走行ギアの横断面を示す図であって、
図7aの三次元的表現に対応する横断面図である。
【
図8b】本発明の典型的な第3態様に係る飛行機走行ギアの横断面を示す図であって、
図7bの三次元的表現に対応する横断面図である。
【
図9】
図7における横断面図及び他の詳細部分の拡大部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、図面を参照しながら、本発明の形態をより詳細に説明する。
【0054】
図1は、本発明の典型的な第1態様に係る飛行機走行ギア2の三次元的表現を示す。飛行機走行ギア2は、第1車輪4及び第2車輪6を具備し、該車輪は、シャフトアセンブリ12により連結されている。第1車輪4及び第2車輪6は、幾何学的な感覚の点で、共通車輪軸A上で、整列している。第1車輪4が、第1リム32を具備し、該リムは、第1車輪軸ギア8に備え付けられる。第2車輪6が、第2リム34を具備し、該リムは、第2車輪軸ギア10に備え付けられる。第1及び第2車輪軸ギア8,10は、リムと車輪軸ギアとの間の回転可能に固定された連結を可能にするようないずれかの適切な態様において、第1及び第2車輪4,6の第1及び第2リム32,34に取り付けられる。リム及び車輪軸ギアはまた、一片で成る、即ちそれぞれ、第1リム32及び第1車輪軸ギア8が、一片で成り、並びに第2リム34及び第2車輪軸ギア10が、一片で成る。これらのように、第1及び第2車輪軸ギア8,10に伝達された回転運動が、第1及び第2車輪4,6へと伝達するように、第1及び第2車輪軸ギア8,10並びに第1及び第2車輪4,6の間での固定化された連結が、達成される。第1及び第2車輪軸ギア8,10は、円形外歯車であり、それらの歯は、該外歯車の軸エッジの間で直線及び垂直に配置されている。
【0055】
飛行機走行ギア2は、更に、下肢軸Dに沿って走っている走行ギア脚部14及び駆動装置16を具備し、該駆動装置は、前記走行ギア脚部14に取り付けられている。駆動装置16は、第1モータ18、第2モータ20、ギアボックス26、第1出力段ギア22及び第2出力段ギア24を具備する。第1及び第2モータ18,20は、また駆動装置16の長手延長方向と称される、共通長手軸Cに沿って配置されている。第1及び第2出力段ギア22,24は、共通出力段軸Bに沿って配置されている。第1及び第2出力段ギア22,24が、第1及び第2車輪軸ギア8,10との噛合を選択的にもたらされることが可能となるように、駆動装置16は、走行ギア脚部14に可動可能に取り付けられている。噛合の操作は、第1及び第2出力段ギア22,24を、同時に第1及び第2車輪軸ギア8,10と噛合させる。第1モータ18は、第1出力段ギア22と駆動的に連結可能であり、そして、第2モータ20は、第2出力段ギア24と駆動的に連結可能である。このように、飛行機走行ギア2を備えている飛行機が、空港の飛行場若しくは行動地域におけるコーナーを容易に曲がれるように、第1及び第2車輪4,6は、第1及び第2モータ18,20により異なる速度で駆動される。ギアボックス26は、ギアボックスギア比を提供する。また、出力段ギア22、24及び車輪軸ギア8、10は、出力ギア比を提供する。ギアボックスギア比及び出力段ギア比の産物は、走行ギア脚部14の前に収められ、且つ第1車輪4及び第2車輪6の間の空間の中に延長可能である2つの同程度にとても小さなモータを伴った大型の飛行機の駆動を可能にする。ギア比は、第1及び第2モータ18,20の高いモータ速度を、タクシング操作中における飛行機の駆動に必須である大量のトルクに変換する。
【0056】
図1に示された典型的な態様において、第1及び第2モータ18,20が電気モータである。しかしながら、駆動装置16はまた、油圧モータを備えることが可能である。
【0057】
図2は、
図1に係る飛行機走行ギア2の横断面図である。該横断面は、走行ギア脚部14の前にある車輪軸と平行である。駆動装置16が、横断面による駆動装置の長手延長に沿って半分にカットされる、即ち
図2における横断面が駆動装置16の内装を示すように、第1及び第2出力段ギア22,24が一列に並べられている、出力段軸が、横断面に横たわっている。
図2における飛行機走行ギア2が、
図1の飛行機走行ギアに対応している場合、同じ符号が、同類の構成のものとして使用される。
図2は、第1及び第2車輪軸ギア8,10が、第1及び第2リム32,34に取り付けられていることをよく図示している。
【0058】
第2モータ20は、第1モータ18を通じて伸長している第2モータシャフト30を具備する。第1モータ18は、中空であり、且つ第2モータシャフト30の周りに配置されている第1モータシャフト28を具備する。
図2に示されている典型的な態様において、第1モータシャフト28は、第2モータシャフト30の小さな部分に沿って伸長する。第1及び第2モータ18,20は、同軸上で配置される、即ち第1及び第2モータシャフト28,30の中心軸が、全く同一或いは第1及び第2モータの長手延長を定義している軸Cと同一である。また、語としての軸とは、それの幾何学的な意味合いで使用される。
【0059】
第1モータ18及び第2モータ20は、縦一列で配置される、即ちそれらは、ギアボックスから見て他の関係の後ろに1つ、若しくは
図2の横断面からみて他の関係の前に1つが配置されている。この視野方向はおおよそ、飛行機の飛行機走行ギア2の前に位置されているときには、観測者の視野方向に対応する。第1及び第2モータ18,20の同軸配置は、駆動装置16の長手延長に沿って、同一外延的である2つのモータの供給を可能にする。言い換えると、2つのモータが、共通軸に対して直角のすべての方向におけるそれらの軸から十分同様に延長しており、とりわけ、横方向においては、共通車輪軸方向として定義されている。
【0060】
図3は、
図2の中心に示されているギアボックス部の拡大されたバージョンである。
図3は、第1モータ18の第1モータシャフト28と、第2モータ20の第2モータシャフト30の端部とを示す。第1モータシャフト28は、その端部位置において第1ベベルギア38を具備する。第2モータシャフト30は、その端部位置において第2ベベルギア40を具備する。ギアボックス26は更に、第1ギアエレメント42及び第2ギアエレメント44を具備する。第1ギアエレメント42は、第1ベベルギア38と噛合している、第3ベベルギア54を具備する。第2ギアエレメント44は、第2ベベルギア40と噛合している、第4ベベルギア56を具備する。第1ギアエレメント42は更に、第1ギアエレメントシャフト66を具備し、且つ第2ギアエレメント44は、第2ギアエレメントシャフト68を具備する。第1ギアエレメントシャフト66及び第2ギアエレメントシャフト68は、共通軸に沿って並んでいる。
図3に係る典型的な態様において、第1及び第2ギアエレメントシャフト66,68の軸は、出力段軸と一致し、該出力段軸上に第1及び第2出力段ギア22,24が並んでいる。第1及び第2ギアエレメントシャフトそれぞれは、ギアボックス26の中心部から、
図2にて一番よく見られる、ギアボックス26の横端部に配置された第1及び第2出力段ギア22,24に向かって延長する。第1〜第4ベベルギアを通じて、第1及び第2モータシャフト28,30の回転は、第1及び第2ギアエレメント42,44の回転を起こす。この態様において、第1及び第2ギアエレメント42,44の回転軸は、第1及び第2モータシャフト28,30の回転軸と直角になる。そのことは、第1及び第3ベベルギア38,54の配置並びに第2及び第4ベベルギア40,56の配置が、フェースギア及び平歯車それぞれの配置により、取って代わることを指摘する。
【0061】
ギアボックス26の中心部に面している第1ギアエレメントシャフト66に係る部分は、中空である。ギアボックス26の中心部に面している第2ギアエレメントシャフト68に係る部分は、第1ギアエレメントシャフト66の中で支持されている。第1ギアエレメントシャフト66の中での第2ギアエレメントシャフト68に係る支持は、全体として第1及び第2ギアエレメントシャフト66,68並びに第1及び第2ギアエレメント42,44の正確且つ安定な整列を可能にする。第2ギアエレメントシャフト68は、第1軸方向及び半径方向複合型ベアリング70並びに半径方向ベアリング72により、第1ギアエレメントシャフト66の中にて支持される。
【0062】
ギアボックス26は更に、第1遊星ギア46及び第2遊星ギア48を具備する。それはまた、第3ギアエレメント62及び第4ギアエレメント64を具備する。第1遊星ギア46は、第1ギアエレメント42と第3ギアエレメント62を連結させ、並びに第2遊星ギア48は、第2ギアエレメント44と第4ギアエレメント64を連結させる。
【0063】
ギアボックス26は、第1遊星ギア46のためのリングギアとしての機能を果たす、第1内歯車50を具備する。第1ギアエレメント42は、第1遊星ギア46の太陽ギアとしての機能を果たす、第1外歯車部58を具備する。第3ギアエレメント62は、第1複数の遊星ギア74を具備する。第1複数の遊星ギア74は、第1内歯車50及び第1外歯車部58と噛合している。このように、第1外歯車部58、第1複数の遊星ギア74及び第1内歯車50は、第1遊星ギア46を形成する。
【0064】
ギアボックス26は更に、第2遊星ギア48のためのリングギアとしての機能を果たす、第2内歯車52を具備する。第2ギアエレメント44は、第2遊星ギア48の太陽ギアとしての機能を果たす、第2外歯車部60を具備する。第4ギアエレメント64は、第2複数の遊星ギア76を具備する。第2複数の遊星ギア76は、第2内歯車52及び第2外歯車部60と噛合している。このように、第2外歯車部60、第2複数の遊星ギア76及び第2内歯車52は、第2遊星ギア48を形成する。
【0065】
第1ギアエレメントシャフト66の外側部分、即ち第1出力段ギア22に面している第1ギアエレメントシャフト66の部分は、第2軸方向及び半径方向複合型ベアリング78により、第3ギアエレメント62のくぼみの中で支持される。このように、第1ギアエレメント42及び第3ギアエレメント62の間の安定な整列が達成され、それは、第1遊星ギア46の確実な機能を認める。第2ギアエレメントシャフト68の外側部分、即ち第2出力段ギア24に面している第2ギアエレメントシャフト68の部分は、第3軸方向及び半径方向複合型ベアリング80により、第4ギアエレメント64のくぼみの中で支持される。このように、第2ギアエレメント44及び第4ギアエレメント64の間の安定な整列が達成され、それは、第2遊星ギア48の確実な機能を認める。
【0066】
第3ギアエレメント62は、第4軸方向及び半径方向複合型ベアリング82により、ギアボックス26のハウジングに接触して支持される。同じように、第4ギアエレメント64は、第5軸方向及び半径方向複合型ベアリング84により、ギアボックス26のハウジングに接触して支持される。第1出力段ギア22は、第3ギアエレメント62に取り付けられ、第2出力段ギア24は、第4ギアエレメント64に取り付けられる。この取り付けは、第3ギアエレメント62及び第4ギアエレメント64と、第1出力段ギア22及び第2出力段ギア24との間の回転可能に固定された連結を考慮するいかなる適切な方法において行われる。
【0067】
お互いに関連する第1及び第2ギアエレメント42,44を支持し、且つ第1及び第2ギアエレメント42,44並びにギアボックス26のハウジングに対応する第3及び第4ギアエレメント62,64を支持することにより、第1乃至第4ギアエレメント42、44、62、64の整列が正規化され、且つ第1及び第2モータシャフト28,30から第1及び第2出力段ギア22,24への回転エネルギーの伝達のためのコンパクト且つ安定なギア構造体を可能にする。その開示されたギア構造体はまた、極めてコンパクトな態様で、第1モータシャフト28と第1出力段ギア22並びに第2モータシャフト30と第2出力段ギア24の独立した駆動可能な連結を可能にする。これは、飛行機走行ギアに係る高度に空間臨界な環境における駆動装置16の収納を可能にする。
【0068】
図2及び3においては、典型的なギア構造体により達成される総減速比が、議論される。開示されたシステムは、3つの減速段を具備する。第1減速段は、第1及び第2ベベルギア38,40と、第3及び第4ベベルギア54,56との間でそれぞれ起こる。第2減速段は、第1及び第2遊星ギア46,48それぞれにより、正規化される。第3減速段は、第1及び第2出力段ギア22,24と、第1及び第2車輪軸ギア8,10との間でそれぞれ起こる。第1及び第2減速段は、ギアボックス26の中に組み込まれるのに対し、第3減速段は、第1及び第2車輪4,6と関連するギアを伴ったギアボックスの出力段における噛合により、ギアボックスの外側で正規化される。
【0069】
駆動装置16による第1及び第2車輪4,6の選択的駆動は、駆動装置並びに第1及び第2車輪軸8,10の間における選択的噛合により達成される。選択的噛合のメカニズムは、2つのエレメント、特に2つのギアの噛合及び解除を可能にするメカニズムと称される。噛合/解除のポイント、即ち、選択的噛合のポイントは、回転エネルギーの伝達方向を単位として、ギアボックス26の後方に位置する。言い換えると、第1及び第2モータシャフト28,30が、ギアボックス26の中でギア配置と、即ち第1及び第2減速段におけるギア配置といつも噛み合っている。駆動装置16並びに第1及び第2車輪4,6の間の選択的駆動は、駆動装置の出力側における選択的噛合により、達成される。
【0070】
開示されている典型的態様において、第1減速段が1.5〜2.5のギア比を有する。第2減速段が3〜4のギア比を有する。第3減速段が3.5〜4.5のギア比を有する。このように、最大トルク500〜600N・m及び最大速度6000〜8000rpmを有する単駆動装置によりタクシングするための前輪において、10000〜18000N・mのトルクを必要としている70000〜80000kgの間の最大離陸重量を伴った飛行機を駆動することを可能にする。これらの数値は、実物から成り、且つ駆動装置及び飛行機走行ギア全体の設計の全くの一例に過ぎないということが、明確に規定される。
【0071】
駆動装置は、メインタービンの助けなしで、飛行機をタクシングさせることを可能にする。これらは、飛行機を始動、着陸及び飛行させるために使用され、且つ上記に述べた駆動装置の存在下で、飛行場で操縦中に動力をオフすることが可能である。駆動装置を操作するための動力は、現在の飛行機に共通してある補助動力装置により供給される。補助動力装置は、メインタービンよりも小さいガスタービンエンジンである。それは、離陸前に、例えば客室の空気調節、乗客の娯楽システム及び他の飛行機に係る電気器具を操作するといった電気エネルギーを飛行機に供給するために、通常起動される。補助動力装置は、電気的エネルギー及び/又は油圧モータの代わりの油圧を提供するように構成される。また、例えば燃料電池若しくは充電式電池といった、駆動装置のための分離型動力源になり得る。
【0072】
図4は、
図1及び2に表現されている飛行機走行ギア2の更なる横断面図である。該横断面は、車輪軸と直角であり、且つ十分に中心部において車輪軸及び走行ギア脚部をカットする。
図4の横断面は、
図2において、矢印X−Xにより示される視野方向と共に示される。
図4は、駆動装置の長手延長方向が、共通車輪軸Aと直角な面の中に存在するということを示す。
【0073】
図4は、第1及び第2車輪軸ギア8,10との噛合位置における駆動装置16を示す。更にとりわけ、第1及び第2モータ18,20が、それぞれ第1及び第2車輪4,6と、駆動的に連結可能であるように、第1及び第2動力出力ギア22,24が、第1及び第2車輪軸ギア8,10と噛合する。駆動装置16の長手延長は、噛合位置において、走行ギア脚部14と十分に平行である。
【0074】
飛行機走行ギア脚部14の駆動装置16に対する取り付けについては、更に詳細が説明される。駆動装置16は、取り付けアーム88を具備する。走行ギア脚部14は、駆動装置16を取り付けるための支持部86を具備する。支持部86及び取り付けアーム88は、走行ギア脚部14に対応する駆動装置16の回転を可能にする態様で、連結される。言い換えると、枢軸連結が、支持部86及び取り付けアーム88の間で確立される。
図4に係る典型的な態様としては、取り付けアーム88は、取り付け用ボルト、ネジ又はその類似物を受けるための穴が備わっている。支持部86は、駆動装置の取り付けアーム88を受けるための窪みを有し、プレートが、
図4の横断面図に示されている1つの支持部の窪みのそれぞれの側面に備わっている。上述のようなボルト、ネジ若しくはその類似物が、取り付けアーム88に備わっている穴及び支持部86に備わっている穴を通じて、ある程度延長して位置決められるように、支持部86の2つのプレートは、取り付けアーム88に備わっている穴と一直線になっている穴を具備する。このように、支持部86及び取り付けアーム88は連結され、前記ボルト、ネジ又はその類似物の中心軸は、走行ギア脚部14に対応した駆動装置16の回転のための枢軸になっている。
【0075】
図5aは、
図4に示されている駆動装置16及び走行ギア脚部14との間の取り付け配置の拡大バージョンである。
図5bは、
図5aに示されている取り付け配置の拡大バージョンであり、駆動装置16は、第1及び第2車輪軸ギア8,10に関連した解除位置にある。
【0076】
駆動装置16は、噛合/解除機構90を具備する。該駆動装置は更に、噛合/解除機構90と、例えばボルト、ネジ、ロッド若しくはその類似物により連結される、噛合制御アーム94を具備する。噛合/解除機構90は、アクチュエータ92及び連結エレメント96を有するベルクランクを具備する。アクチュエータ92及び連結エレメント96は、お互いに対応して回転を可能にするように、例えばボルト、ネジ、ロッド、若しくはその類似物により連結される。連結エレメント96は、噛合制御アーム94に連結された噛合/解除機構90の一部である。アクチュエータ92は、それの1つの端部にて、支持部86に固定される。それの他の端部は、連結エレメント96との連結を具備する。アクチュエータ92は、支持部86に固定された1つの端部及び連結エレメント96に連結された他の端部の間の長手延長における可変長を有する。アクチュエータ92の長さの可変は、駆動装置16の取り付けアーム88を受けるために供給される支持部86の窪みの下部平面98に沿って動かされるため、アクチュエータ92及び連結エレメント96との間に連結をもたらす。このことは、連結エレメント96、噛合制御アーム94及び駆動装置16の一致した動作をもたらす。アクチュエータ92は、電気、油圧若しくは空気圧アクチュエータである。アクチュエータ92の操作は、アクチュエータ92の長さの変化をもたらし、アクチュエータ92の中に滑るように位置されるピストンを供給することにより達成される。
【0077】
図5aにおいて、駆動装置16が、第1及び第2車輪軸ギアとの噛合位置にあることが示されている。噛合位置において、アクチュエータ92の長さは最小である。連結エレメント96は、走行ギア脚部14の方に引き寄せられ、走行ギア脚部14の方に噛合制御アーム94を順に引く。これは、走行ギア脚部14の方に、駆動装置16のより低い部分、即ち取り付けアーム88の下部の駆動装置の部分を順に引く。このことは、第1及び第2車輪軸ギアと噛合している第1及び第2動力出力ギアをもたらす。
【0078】
図5bにおいて、駆動装置16は、第1及び第2車輪軸ギアに関連して、解除位置にあることが示されている。
図5aと比較すると、アクチュエータ92は、長さで延長されている。
図5aにおける位置取りと比較した場合、このことは、走行ギア脚部14から離れ且つ支持部86の窪みの下部面98より下へ動かされるために、アクチュエータ92及び連結エレメント96との連結をもたらす。駆動装置16が、第1及び第2車輪軸ギアに対応して解除されるように、連結エレメント96はまた、走行ギア脚部14から更に動かされる位置にあり、その上走行ギア脚部14から更に離れるために駆動装置の噛合制御アーム94をもたらす。また、アクチュエータ92の長さは、噛合若しくは解除の状態がある場合に決められる。駆動装置16は、アクチュエータ92の長さを可変することにより、噛合/解除され得る。
【0079】
アクチュエータ92及び連結エレメント96が、ベルクランクを形成し、該ベルクランクは、自己安全のために噛合/解除機構90を可能にする、といったことについては次に説明される。
図5bに示される解除位置において、連結エレメント96の方向が、下部平面98と十分に垂直である。駆動装置16の重さは、取り付けアーム88及び連結エレメント96により部分的に支持される。連結エレメント96を通じて、下部面98と垂直である力は、支持部86の上にもたらされる。前記力が下部面98と垂直になる場合、下部面98に沿ったアクチュエータ92及び連結エレメント96の間の連結を動かすための力は、解除位置における駆動装置の重さによっては引き起こされない。それゆえ、解除位置において、力は、駆動装置16の解除を保持するためのアクチュエータにより、供給される必要はない。また、万が一駆動装置が解除されると同時にアクチュエータが機能しなくなった場合、駆動装置16が、第1及び第2車輪軸ギアと不注意に噛合することは全くない。アクチュエータ92による積極的活動は、噛合の中に、駆動装置16及びギア構造体を持ち込むように義務付けられる。したがって、車輪が、飛行機の着陸速度に起因して高速で回転するとき、ダメージは、所望でない噛合により、駆動装置16若しくはギア構造体に対して引き起こされることはない。また、離着陸の間に所望でない噛合が、危険な結果をはらむかもしれない場合、駆動装置16は、安全上問題はない。それゆえ、噛合/解除機構90は、自己安全と判断される。
【0080】
図6は、本発明の第2態様に係る飛行機走行ギア2の一部分を示す。大方の場合、
図6に係る第2態様は、同じエレメントが同じ符号で示されるように、
図1乃至
図5に係る第1態様と対応する。同一のエレメントについての記述は、簡潔に省略される。しかしながら、
図6に示される飛行機走行ギア2の第2態様に係る駆動装置16は、一部異なって設計される。
図6に係る駆動装置16は、一つのモータ120のみを有する。モータ120は、ベベルギア140を備えるモータシャフト130を具備する。ベベルギア140は、差動ギア150のベベルギア152と噛合する。差動ギア150は、
図3に対応して示される、第1及び第2遊星ギア46,48を用いて、同じように
図3に対応して示される第3及び第4ギアエレメントそれぞれと連結されている。差動ギア150は、第1シャフト部166及び第2シャフト部168を具備する。第1シャフト部166は、
図3に示されている第3ギアエレメント62の窪みの中で支持される。第2シャフト部168は、
図3に示されている第4ギアエレメント64の窪みの中で支持される。第3及び第4ギアエレメント62,64の中での第1及び第2シャフト部166,168の支持を通じて、差動ギア150並びに第3及び第4ギアエレメント62,64の間の安定な整列が、達成される。
【0081】
差動ギア150は、第3及び第4ギアエレメント62,64を異なる速度で回転されるようにする。このことは順に、同様に異なる速度で、第1及び第2出力段ギア22,24並びに第1及び第2車輪4,6の回転を可能にする。差動ギアは、それ(差動ギア)が、出力におけるよくある抵抗に従って、それの2つの出力、即ち第1及び第2差動ギアシャフト166,168のそれぞれの速度を調節するという固有特性を有する。このことは、外車輪を、回転操作中、内車輪より早く駆動されるようにする。また、走行ギアが
図6に係る駆動装置16を備えている飛行機が、飛行場で旋回するとき、差動ギア150は、第1及び第2車輪が、所望の旋回半径に従ったそれぞれの速度に沿って回転することを確実にする。また、第1態様(
図1乃至
図5)と関連して記載されているように、タイヤの低摩滅及び2つのモータの供給により達成される全体ギア構造体はまた、差動ギア150の供給により達成される。しかしながら、モータ120は、第1及び第2車輪4,6のための同じ駆動容量を達成するためには、第1態様における第1及び第2モータ18,20それぞれの2倍の動力を提供しなくてはならない。
【0082】
図7は、本発明の第3態様における飛行機走行ギア2の一部分を示す。大方の場合、
図7に係る第3態様は、同じエレメントが同じ符号で示されるように、
図1乃至
図6に係る第1及び第2態様と対応する。特に、第1及び第2モータ18,20並びにギアボックス26は、第1態様に関して記載されているそれぞれのエレメントと全く同じものである。また、これらのエレメントは、第2態様に関して記載されているモータ及びギアボックス配置の代替手段により代わることが可能である。これらのエレメント及びそのほかの同じようなエレメントに係る記載は、簡潔に省略される。しかしながら、
図7に示される第3態様の飛行機走行ギア2は、第1及び第2態様とは、一部異なって設計される。
【0083】
図7における視野方向は、
図1における視野方向と類似している。しかしながら、より良い明瞭度のために、第1車輪4及び関連する第1リム32並びに第2車輪6が示されていない。そのままで明確に、これらのエレメントは、操作段階において、飛行機走行ギア2の中にある。また、シャフトアセンブリ12は、第1及び第2態様とはわずかに異なって、設定される。しかしながら、このようなシャフトアセンブリは、任意の適切な構造物を有することになり、且つ本発明では必要ではない。
【0084】
第1態様における飛行機走行ギア2と、第3態様における飛行機走行ギア2との主たる違いは、次のようになる。第1態様における第1及び第2出力段ギア22,24は、それぞれ、第1及び第2動力出力アセンブリ122,124に置き換えられる。また、第1及び第2車輪軸ギア8,10は、それぞれ、第1及び第2スプロケットエレメント108,110に置き換えられる。
【0085】
第1及び第2スプロケットエレメント108,110のそれぞれは、それぞれのスプロケットエレメントの外周に沿って配置された2つのスプロケット歯の隣接した列を、それの外側に有する輪状構造である。第1及び第2スプロケットエレメント108,110のそれぞれは、それぞれに関連する車輪2及び4のリムに、固定されて連結される。第1態様にて上述したように、スプロケットエレメント108及び110のそれぞれ1つは、どちらかが適切な態様で、それぞれのリムに堅固に連結される、又はそれぞれのリムと共に、一片として製造されることができる。いずれの場合において、スプロケットエレメントの旋回が、関連する車輪の旋回を導くことが確実になる。スプロケットエレメントが、輪状構造ではなく、ディスク状構造とすることもまた可能である。
【0086】
第1及び第2動力出力アセンブリ122,124のそれぞれは、それの1つの端部でギアボックス26と連結するアーム状構造である。第1及び第2動力出力アセンブリ122,124のそれぞれにとって、2列の動力伝達用鎖は、アーム状構造に沿って、延々と作動する。とりわけ、
図8にてより詳しく説明するが、2列の動力伝達用鎖は、アーム状構造の前記1つの端部にて2つの第1スプロケットホイールを、そしてアーム状構造の前記1つの他の端部にて2つの第2スプロケットホイールを延々と作動させる。第1スプロケットホイールは、ギアボックス26と駆動的に連結可能である。
【0087】
第1及び第2動力出力アセンブリ122,124は、第1態様に関連及び
図1に示されている出力段軸Bとして定義されているように、ギアボックス26の出力段軸Bの周りをそれぞれ回転可能である。
図7aにおいては、どのようにして、
図7a及び7bに係るアーム状構造の長手延長方向が、駆動装置16の長手延長と平行になるかが示される。第1及び第2動力出力アセンブリ122,124の動力伝達用鎖は、第1及び第2スプロケットエレメント108,110とはそれぞれ噛合していない。また、該動力伝達用鎖は、第1及び第2スプロケットエレメント108,110から解除された位置にある。
【0088】
そのこととは対照的に、
図7bは、第1動力出力アセンブリ122の動力伝達用鎖が、第1スプロケットエレメント108と噛合している事例を示す。前記噛合は、ギアボックス26の出力段軸の周りに、第1動力出力アセンブリ122を回転させることにより、達成される。言い換えると、第1動力出力アセンブリ122の長手延長方向は、駆動装置16の長手延長方向に対応して回転される。第1動力出力アセンブリ122及び駆動装置16の長手延長方向は、もはやお互いに平行はなく、いまだに平行面に位置決められている。
【0089】
図7bは、第1スプロケットエレメント108と噛合する位置にあるための、第1動力出力アセンブリ122のみを示す。第2動力出力アセンブリ124は、第2スプロケットエレメント110から解除される位置にあることが示されている。通常の操作条件下で、動力出力アセンブリ122及び124の両方が、噛合している状態にある、又は動力出力アセンブリ122及び124の両方が、解除している状態にあるといったうちいずれかは、典型的な事実である。しかしながら、異なる操作位置のより良い描写において、第1及び第2動力出力アセンブリ122,124は、
図7bにおいては、異なる位置に示されている。
【0090】
第3態様に係る飛行機走行ギア2の操作については、次に示される。飛行機走行ギア2を有する飛行機が、例えば特殊車両による引っ張り若しくは押し、又は離着陸中において飛行機を駆動させるために駆動装置16を必要としない時、第1及び第2動力出力アセンブリ122,124は、
図7aにおいては、解除の位置にある。2つの車輪(図示せず)は、駆動装置16から独立的に回転できる。飛行機走行ギア2により飛行機を駆動させることが、例えばタクシング中に望まれたときに、2つの動力出力アセンブリ122及び124は、
図7bにおける第1出力アセンブリ122に関連して示されるように、噛合する位置にある。動力伝達用鎖が、第1及び第2スプロケットエレメント108,110、ひいては第1及び第2車輪(図示せず)に、駆動力を伝達するように、動力出力アセンブリ122及び124の動力伝達用鎖が、ギアボックス26を通じて、第1及び第2モータ18,20により駆動される。
【0091】
第1及び第2動力出力アセンブリ122,124のそれぞれが、示されている2列の動力伝達用鎖よりも他の動力伝達用鎖を備えるように設計され得ることが指摘されている。とりわけ、動力出力アセンブリにより、1、2、3、4、5又はそれ以上の単一、即ち単列動力伝達用鎖を設けられる。また、3、4、5又はそれ以上の隣接した列を伴った多列動力伝達用鎖は、動力出力アセンブリにより設けられることが可能になる。第1及び第2スプロケットエレメント108,110は、それぞれの動力伝達用鎖に選択的に噛合可能にするために同数のスプロケット歯の隣接した列を有する。また、動力出力アセンブリは、同数の隣接した第1及び第2スプロケットホイールを有する。
【0092】
図8a及びbは、右側(
図7の描画面において)から第3態様に係る飛行機走行ギア2を示し、
図8a及びbの操作条件は、
図7a及びbの操作条件にそれぞれ対応している。第1車輪4及び第1リム32が、より良い描画のために、再び省略されるように、
図8の図は、第1車輪4の内側で飛行機走行ギア2を通した断面図に対応している。
図7とは対照的に、
図8は第2車輪6を示す。
【0093】
図8に表現されている、第1動力出力アセンブリ122の更に詳細を説明する。視野方向に起因して、動力伝達用鎖136の側面のみが、見られる。もちろん、前述のように、2つ以上の動力伝達用鎖及び/又は2つ以上の列を有する動力伝達用鎖が、動力出力アセンブリにより存在する。
【0094】
動力出力アセンブリ122は、第1スプロケットホイール132及び第2スプロケットホイール134を具備する。動力伝達用鎖136は、第1及び第2スプロケットホイール132,134の間に配置される。特に、動力伝達用鎖136は、制限なき態様において、第1及び第2スプロケットホイール132,134の周りで駆動する。第1及び第2スプロケットホイール132,134は、アーム状構造を有する第1動力出力アセンブリ122の端部にて、十分に位置決められる。該アームは、十分に延長方向を有する。
【0095】
動力伝達用鎖136は、第1及び第2スプロケットホイール132,134の周囲にループを形成する。該ループは、第1及び第2スプロケットホイール132,134の間に、2つの脚(部)を具備する。第1脚部が、第1スプロケットエレメント108に面していると同時に、第2脚部が、第1スプロケットエレメント108から離れて面している。第2脚部は、第1及び第2スプロケットホイール132,134の間の十分に直線上にある。第1脚部は凹型であり、該凹型は、第1スプロケットエレメント108の半径よりもわずかに長い半径を有している。
図8aに示すように、第1動力出力アセンブリが解除された位置にあるときでさえ、動力伝達用鎖136の第1脚部は、鎖案内構造により示された形状に保持され、該構造は、動力伝達用鎖に凹型を保持させる。
図8bにおいて、駆動力が、複数のスプロケット歯及び鎖エレメントを越えて、動力伝達用鎖136から第1スプロケットエレメント108上へと伝達されるように、第1脚部の凹型が、動力伝達用鎖136のループの延長された噛合部分を認める。このように、分散型の動力伝達が達成され、配置の高度なパフォーマンス及び強い耐久性を与えている。
【0096】
第1若しくは第2動力出力アセンブリに関連して記載された全ての態様が、他の第1及び第2動力出力アセンブリのうち1つに平等に適用されることが、重視される。
【0097】
開示されているような動力出力アセンブリ及びスプロケットエレメントのそれぞれのコンビネーションはまた、出力段ギア及び車輪軸ギアに関連した第1態様において、前述したように、出力ギア比を提供する。第3態様に係る出力ギア比は、第1スプロケットホイール132の半径により分割される、スプロケットエレメント108の半径として定義される。前述の結果は、それゆえ第3態様と同様に構成可能である。
【0098】
代替的な態様によれば、第1及び第2モータ18,20並びにギアボックス26は、長手延長方向が、
図8に符号132として示されている第1及び第2動力出力アセンブリ132,134のうち1つに係る第1スプロケットホイールを通じた軸と一致あるいは平行のいずれかである、別のモータ、ギアボックス、アセンブリに置き換えられる。また、この態様では、動力は、それぞれ動力伝達用鎖を有する第1及び第2動力出力アセンブリ122、124により、効率的かつ耐久性のある態様にて、駆動装置から車輪へと伝達される。
【0099】
図9は、
図7及び8に示される第3態様に係る飛行機走行ギアの拡大且つ詳細部分を示す。それは、ギアボックス26及び第1スプロケットホイール132の間に配置される旋回シリンダを示す。この目的としては、旋回シリンダが、ギアボックス26に固定して連結されている固定部192、及び該固定部192に対称的に連結されているが、固定部192に対して回転可能な回転部194を具備する。固定部192及び回転部194の両方は、それぞれお互いから90°の間隔を有する4つのフィンを具備する。フィンは、90°に近接するために、固定部192に対応する回転部194のそれぞれの動きを制限する。また、例えば固定部及び回転部の両方のための6つのフィンのような、他の数のフィン並びに例えば60°に接近することを制限するような、他の角度制限がまた、使用可能である。該旋回シリンダ190の中にある油圧は、回転の所望の角度が前記油圧を制御することにより達成されるように、回転部194の回転を決定する。回転部は、適切なギア若しくは他の適切な連結のいずれかによって、第1動力出力アセンブリ122のアーム構造に固定的に連結している。それに対して、旋回シリンダは、ギアボックス26から第1スプロケットホイール132へと、駆動力の伝達を可能にする。この目的としては、ギアボックス26及び第1スプロケットホイールの間の駆動連結は、旋回シリンダ190を通じて伸長する。このように、動力出力アセンブリを回転するための大変コンパクトな回転機構が、提供される。
【0100】
他の適切な回転機構が、同じように使用されるということが、しかしながら指摘される。
【0101】
開示された全ての態様ではまた、1つの動力出力アセンブリ若しくは1つの出力段ギアのみ具現化されている。このような場合、1つのモータのみが必須であり、差異が提供されなくてもよい。このような場合、2つの車輪のうち1つのみが、駆動装置により駆動される。そのほかの車輪は、それの回転速度が、駆動されている車輪の回転速度とは異なるように提供される。第3態様においては、駆動装置は、動力出力アセンブリのみとして、第1動力出力アセンブリを例えば有するであろう。また、第1スプロケットホイール108は、飛行機走行ギアのスプロケットエレメントのみになったであろう。このように、駆動装置は、第1車輪4を駆動可能であり、第2車輪6は、受動部品として、第1車輪4の駆動を構成している。前記に開示された全てのバリエーションは、このような態様でも平等に応用可能である。
【符号の説明】
【0102】
2 飛行機走行ギア
12 シャフトアセンブリ
14 走行ギア脚部
16 駆動装置
18 第1モータ
20 第2モータ
26 ギアボックス
34 第2リム
108 第1スプロケットエレメント
110 第2スプロケットエレメント
122 第1動力出力アセンブリ
124 第2動力出力アセンブリ