特許第5775218号(P5775218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775218
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】電気自動車用の電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-520510(P2014-520510)
(86)(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公表番号】特表2014-521201(P2014-521201A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】CN2012078386
(87)【国際公開番号】WO2013010442
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2014年3月10日
(31)【優先権主張番号】201120255383.9
(32)【優先日】2011年7月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512197733
【氏名又は名称】シェンゼェン ビーワイディー オート アールアンドディー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】505327398
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ル、ジア
(72)【発明者】
【氏名】ル、ジペイ
(72)【発明者】
【氏名】チュ、ジアンフア
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−192551(JP,A)
【文献】 実開昭61−080562(JP,U)
【文献】 特開2009−021048(JP,A)
【文献】 特開2010−009809(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0112424(US,A1)
【文献】 特開2006−286357(JP,A)
【文献】 特開2010−097722(JP,A)
【文献】 特開2009−259581(JP,A)
【文献】 特開平08−264170(JP,A)
【文献】 特開2010−086887(JP,A)
【文献】 特開平02−049654(JP,A)
【文献】 特開平07−052660(JP,A)
【文献】 特開2003−323874(JP,A)
【文献】 特開2003−036819(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0263705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイと、
帯板で前記トレイに固定された少なくとも1個のバッテリモジュールと、
を含む電気自動車用の電力供給装置であって、
各バッテリモジュールは、
前記トレイに載置される底板と、前記底板に配置される第1乃至第4の側板と、を備えるハウジングであって、前記第1及び第3の側板が厚さ方向において互いに向かい合い、前記第2及び第4の側板が前後方向において互いに向かい合うハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、厚さ方向に沿って配列される複数個の電池を備えるバッテリパックと、
前記第1の側板と前記バッテリパックとの間、及び前記第3の側板と前記バッテリパックの間にそれぞれ配置される、前記バッテリパックを固定するための、第1の弾性部材と、
を含
前記第1及び第3の側板の外表面に、傾斜面をそれぞれ備える突出部がそれぞれ配置され、
前記帯板は帯状の形態であり、
前記帯板の一端は前記トレイに固定され、前記帯板の他端は、前記第1の側板の傾斜面を備える突出部、前記バッテリモジュールの上面、及び前記第3の側板の傾斜面を備える突出部を順に通って、最後に前記トレイに固定される、
電力供給装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記バッテリパックを固定するための少なくとも1つの支持棒を、さらに含む、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記支持棒は、第1乃至第6の支持棒を含み、
前記第1及び第4の支持棒は、前後方向において、前記第1の側板の両端にそれぞれ配置され、
前記第2及び第3の支持棒は、前後方向において、前記第3の側板の両端にそれぞれ配置され、
前記第5の支持棒は、前記第1及び第2の支持棒の間に接続され、
前記第6の支持棒は、前記第3及び第4の支持棒の間に接続される、
請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
2個の帯板が配置される、
請求項に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記2個の帯板は互いに平行である、
請求項に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記第1及び第3の側板は、金属材料で作られている、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記第2及び第4の側板は、プラスチック材料で作られている、
請求項に記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記帯板の両端は前記トレイにネジでそれぞれ固定される、
請求項に記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記第2の側板と前記バッテリパックとの間、及び前記第4の側板と前記バッテリパックとの間にそれぞれ載置される、前記電池のタブを保護するための、第2の性部材を、さらに含む、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の性部材は、熱可塑性エラストマーで作られている、
請求項に記載の電力供給装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の性部材は、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリカゲル、又はこれらの組み合わせで作られている、
請求項に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、電池の技術分野、より詳細には、電気自動車用の電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄バッテリは、電気自動車のエネルギー蓄積装置として、そして重要な部品として、電気自動車の性能に顕著な影響を及ぼす。電池の膨張は、バッテリの信頼性に影響を及ぼす場合がある。例えば、(1)膨張すると、電池がバッテリモジュール内で移動するようになり、電池間の接続が弱まる場合がある、(2)膨張すると、電池の大きさが大きくなり、モジュールハウジングの強度とモジュールハウジングの占める空間に対する要求が増す場合がある、(3)膨張すると、制御不能な要因により、設計する際に電池間の隙間を前以って定めるのが難しくなる場合がある、つまり、隙間が小さ過ぎると、電池をハウジング内に配置するのが難しくなったり、ハウジングが損傷したりする場合があり、隙間が大き過ぎると、電池がモジュール内で揺動する場合がある、(4)電池の不均一な膨張が原因となって、電池間の隙間が不均一になるので、バッテリの熱均一性に影響が及ぶ場合がある。
【0003】
一般的なバッテリの膨張は制御できないので、バッテリの信頼性は低い。そのため、電気自動車の信頼性は低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、先行技術に存在する少なくとも一つの課題を少なくともある程度解決すること、あるいは、消費者に有益な商業的選択をもたらすことを模索するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態によれば、電気自動車用の電力供給装置が提供される。該電力供給装置は、トレイと、帯板で前記トレイに固定された少なくとも1個のバッテリモジュールと、を含む電気自動車用の電力供給装置であって、各バッテリモジュールは、前記トレイに載置される底板と、前記底板に配置される第1乃至第4の側板と、を備える、ハウジングであって、前記第1及び第3の側板が厚さ方向において互いに向かい合い、前記第2及び第4の側板が前後方向において互いに向かい合うハウジングと、前記ハウジング内に配置され、厚さ方向に沿って配列される複数個の電池を備えるバッテリパックと、前記第1の側板と前記バッテリパックとの間、及び前記第3の側板と前記バッテリパックとの間にそれぞれ配置される、前記バッテリパックを固定するための、第1の可撓性部材と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の電気自動車用の電力供給装置によれば、バッテリモジュールは、ハウジング内にバッテリパックを固定し、帯板でトレイに固定されて形成されるので、バッテリは、帯板とハウジングの両者を用いて固定される。これにより、電池が膨張したときに、電池の大きさと位置が変化するのを防止でき、バッテリの熱均一性を保証できる。一方、バッテリパックは、揺動しないように、第1の可撓性部材によってハウジング内に配置され得るので、電気自動車用の電力供給装置の信頼性を効果的に保証できる。
【0007】
本開示の実施形態の追加の態様及び利益は、以下の詳細な説明の中で、部分的に示されるか、以下の詳細な説明から部分的に明らかになるか、または本開示の実施形態を実施することにより知ることができる。
【0008】
本開示の実施形態のこれら及び他の態様及び利益は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになり、より簡単に理解できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置の構造を示す概略図である。
図2】バッテリモジュールと帯板の構造の概略図である。
図3図2の構造の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を詳細に参照する。図面を参照して本明細書に記載された実施形態は、説明用のものであり、例示的なものであり、本開示の概要を理解するために用いられる。実施形態は、本開示を限定するように解釈されてはならない。同一又は類似の要素及び同一又は類似の機能を有する要素は、詳細な説明の全体を通して、同様の参照番号で表示される。
【0011】
本明細書において、特に明記又は限定がない限り、「前」、「後ろ」、「内部」、「外部」、「上方」、「上部」、「底部」などの相対的な語のみならず、それらの派生語(例えば、「水平方向に」、「下方に」、「上方に」など)は、以下の議論において、図中で説明される、又は示されるような方向を意味するように解釈される必要がある。これらの相対的な語は、記載の便宜のためのものであり、本開示が特定の方向で構成されたり、操作されたりすることを必要とするものではない。
【0012】
本開示の一実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置は、トレイと、帯板で前記トレイに固定された少なくとも1個のバッテリモジュールと、を含み、各バッテリモジュールは、前記トレイに載置される底板と、前記底板に配置される第1乃至第4の側板と、を備える、ハウジングであって、前記第1及び第3の側板が厚さ方向において互いに向かい合い、前記第2及び第4の側板が前後方向において互いに向かい合うハウジングと、前記ハウジング内に配置され、厚さ方向に沿って配列される複数個の電池を備えるバッテリパックと、前記第1の側板と前記バッテリパックとの間、及び前記第3の側板と前記バッテリパックの間にそれぞれ配置される、前記バッテリパックを固定するための、第1の可撓性部材と、を含む。
【0013】
本開示の実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置に関して、バッテリモジュールは、バッテリパックをハウジング内に固定して形成され、帯板でトレイに固定される。このように、帯板とハウジングとを協同させてバッテリモジュールを固定する。これにより、電池が膨張している間、電池の大きさと位置の変化を防止し、電池の熱均一性を保証できる。一方で、バッテリパックは、第1の可撓性部材で揺動しないようにハウジング内に配置できるので、電気自動車用の電力供給装置の信頼性を効果的に保証できる。
【0014】
本開示の更なる実施形態では、ハウジングは、バッテリパックを固定するための少なくとも1つの支持棒を、さらに含む。
【0015】
特に、支持棒は、1乃至6つの支持棒を含んでいて、第1及び第4の支持棒は、前後方向において、第1の側板の両端にそれぞれ配置され、第2及び第3の支持棒は、前後方向において、第3の側板の両端にそれぞれ配置され、第5の支持棒は第1及び第2の支持棒の間に接続され、第6の支持棒は第3及び第4の支持棒の間に接続される。
【0016】
本開示のある実施形態では、帯板は帯状の形態であり、その一端はトレイに固定され、他端は、第1の側板、バッテリモジュールの上面、及び第3の側板を順に通って、最後にトレイに固定される。
【0017】
代案として、2個の帯板が配置される。さらに、2個の帯板は互いに平行である。
【0018】
本開示の更なる実施形態では、それぞれ傾斜面を備える突出部は、第1及び第3の側板の外表面にそれぞれ配置され、帯板の他端は、第1の側板の傾斜面を備える突出部、バッテリモジュールの上面、及び第3の側板の傾斜面を備える突出部を順に通って、最後にトレイに固定される。
【0019】
第1及び第3の側板は金属材料で作られているのが好ましい。
【0020】
また、第2及び第4の側板はプラスチック材料で作られている。
【0021】
帯板の両端は、ネジで、それぞれトレイに固定される。
【0022】
電力供給装置は、第2の側板とバッテリパックの間、及び第4の側板とバッテリパックの間に載置された、電池のタブを保護するための、第2の可撓性部材を、さらに含む。
【0023】
第1及び第2の可撓性部材は、熱可塑性エラストマーで作られている。
【0024】
第1及び第2の可撓性部材は、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリカゲル、又はこれらの組み合わせで作られている。
【0025】
本開示の実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置は、図1〜3を参照して、以下で詳細に説明される。一例として、1個のバッテリモジュールがトレイに配置されたものを以下で説明する。
【0026】
図1に示したように、本開示の実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置は、トレイ16、及び帯板2でトレイに固定される少なくとも1個のバッテリモジュール200を含む。
【0027】
各バッテリモジュール200は、ハウジングとハウジング内に配置されるバッテリパック5を含む。バッテリパック5は、厚さ方向に沿って配列された複数の電池を備える。本開示において、厚さ方向とは、図2に示したように、A−Bで示される方向である。
【0028】
ハウジングは、底板14、底板14に配置される第1乃至第4の側板、及びバッテリパックを固定するための少なくとも1つの支持棒を備える。第1乃至第4の側板は、10、17、3、及び15でそれぞれ示される。第1の側板10及び第3の側板3は、A−B方向で互いに向かい合い、バッテリパック5の両端にそれぞれ配置される。第2の側板17と第4の側板15は、前後方向、実質的にはA−B方向に垂直に互いに向かい合う。したがって、図2に示したように、第1乃至第4の側板は、上部カバーのない平行六面体のハウジングを形成する。バッテリパック5は、ハウジング内に定められた空間に収容される。底板14は、トレイ16に載置される。
【0029】
実施形態において、第2の側板17が配置される端部は、バッテリモジュール200の前端部と呼ばれるのに対し、第4の側板15が配置される端部は、バッテリモジュール200の後端部と呼ばれる。
【0030】
本開示の実施形態では、第1の可撓性部材11は、第1の側板10とバッテリパック5の間、及び第3の側板13とバッテリパック5の間にそれぞれ配置される。第1の可撓性部材11は、バッテリパックを固定し、帯板2を用いてバッテリパック5を固定している間にハウジングを締め付けることによる変形からバッテリパック5を保護するために、弾性を有する。一方、第1の可撓性部材により、寸法の許容差をなくすことができると共に、バッテリパックを据え付けている間に生じる不確かな隙間を防ぐことができる。
【0031】
第1乃至第4の側板を底板14に固定するために、複数の支持棒が使用されるので、ハウジングの大きさは限定される。そうでなければ、電池が膨張する間に、電池の大きさと電池の移動距離が著しく変化する場合がある。特に、複数の支持棒には、第1の支持棒9、第2の支持棒6、第3の支持棒1、第4の支持棒13、第5の支持棒8、及び第6の支持棒12が含まれる。
【0032】
第1の支持棒9と第4の支持棒13は、前後方向において、第1の側板10の両端にそれぞれ配置され、第2の支持棒6と第3の支持棒1は、前後方向において、第3の側板3の両端にそれぞれ配置される。第5の支持棒8は、第1の支持棒9と第2の支持棒6との間に接続され、第6の支持棒12は、第3の支持棒1と第4の支持棒13との間に接続される。
【0033】
第5の支持棒8が第1の支持棒9と第2の支持棒6との間に接続されることにより、第1乃至第3の側板10、17、及び3は、第1の支持棒9、第2の支持棒6、及び第5の支持棒8によってさらに固定される。つまり、バッテリモジュール200の前端部は確保され、ハウジングは、帯板2がハウジングに力を及ぼすときに、変形から防止される。
【0034】
同様に、第6の支持棒12が第3の支持棒1と第4の支持棒13との間に接続されることにより、第1の側板10、第4の側板15、及び第3の側板3は、第3の支持棒1、第4の支持棒13、及び第6の支持棒12によってさらに固定される。つまり、バッテリモジュール200の後端部は確保され、ハウジングは、帯板2がハウジングに力を及ぼすときに、変形から防止される。
【0035】
バッテリパック5は、第1乃至第6の支持棒、底板、及び第1乃至第4の側板で固定されるように、バッテリモジュール200の大きさが決定される。この大きさにより、電池間の接続の信頼性は保証され、電池が膨張する間に生じる変形からハウジングは保護される。
【0036】
本開示の実施形態では、第1の側板10と第3の側板3は、金属材料で作られるのが好ましい。特に、第1の側板10と第3の側板3は、帯板2の固定する力を直接担い、該力をハウジング内のバッテリパック5に伝達するので、第1の側板10と第3の側板3によって、電池は厚さ方向に沿って互いに逆向きに押圧される。また、第2及び第4の側板はプラスチック材料で作られている。
【0037】
図1に示したように、帯板2は帯状の形態であり、帯板2の一端はトレイ16上に固定され、その他端は第1の側板10、バッテリモジュール200の上面、及び第3の側板3を順に通って、最後にトレイ16に固定される。
【0038】
複数個の帯板が備えられると好ましい。図1及び2に示したように、2個の帯板が、互いに平行をなして配置されるとより好ましい。
【0039】
本開示の実施形態では、帯板2は、第1の側板10と第3の側板3に力を及ぼすので、第1の側板10と第3の側板3は、バッテリパック5にそれぞれ当接している。その結果、第1の側板10と第3の側板3によってバッテリパックは締め付けられている。したがって、帯板は、ステンレス鋼又はSPCC(Steel Plate Cold Commercial、冷間圧延鋼板)などの高強度を有する材料で作られてもよい。
【0040】
本開示の好適な実施形態では、図3に示したように、それぞれ傾斜面を備える突出部が、第1の側板10及び第3の側板3の外表面に、それぞれ配置される。帯板2の他端は、第1の側板10の突出部7、バッテリモジュール200の上面、及び第3の側板3の突出部18を順に通って、最後にトレイ16に固定される。帯板2の両端は、ネジでトレイ16にそれぞれ固定される。したがって、第1の側板10と第3の側板3は、帯板2をトレイ16に固定することにより、バッテリパック5にさらに締め付けられる。同時に、突出部がそれぞれ傾斜面を備えることにより、帯板2によって生じる力は、第1の側板10と第3の側板3に伝達され、第1の側板10と第3の側板3は、電池を互いに逆方向に押圧する。その結果、バッテリパック5は固定される。
【0041】
本開示の別の好適な実施形態では、電力供給装置は、第2の側板17とバッテリパック5との間、及び第4の側板15とバッテリパック5との間にそれぞれ配置される、電池のタブを保護するための、第2の可撓性部材を、さらに含む。
【0042】
本開示の実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置の組み立て方法は、図1〜3を参照して以下に詳細に説明する。
【0043】
第1に、第1の側板10と第3の側板3の内表面に、可撓性部材4をそれぞれ取り付けた後、バッテリパック5が第1及び第3の側板10、13に取り付けられた可撓性部材4で締め付けられるように、厚さ方向に沿って複数個の電池を配列して形成されたバッテリパック5を第1の側板10と第3の側板3の間に配置する。次に、バッテリパック5、並びに第1及び第3の側板を底板14に配置する。
【0044】
第2に、前後方向において第1の側板10の両端に、第1の支持棒9と第4の支持棒13とをそれぞれ載置し、前後方向において第3の側板3の両端、第2の支持棒6と第3の支持棒1とをそれぞれ載置する。その後、第1の支持棒9と第2の支持棒6との間に第5の支持棒8を接続し、第3の支持棒1と第4の支持棒13との間に第6の支持棒12を接続する。次に、溶接により、バッテリパック5の電池を直列又は並列に互いに接続する。最後に、第1の支持棒9、第2の支持棒6、及び第5の支持棒8に、第2の側板17をネジでそれぞれ接続し、第4の支持棒13、第3の支持棒1、及び第6の支持棒12に、第4の側板15をネジでそれぞれ接続する。これにより、バッテリモジュール200が形成される。
【0045】
第3に、バッテリモジュール200をトレイ16に配置する。帯板2の一端はトレイ16に固定され、他端は第1の側板10の突出部7、バッテリモジュール200の上面、及び第3の側板3の突出部18を順に通って、最後に、ネジでトレイ16に固定される。これにより、本開示の実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置が形成される。
【0046】
本開示の実施形態では、第1及び第2の可撓性部材は、弾性を有する全ての公知の材料で作られた第1及び第2の弾性部材の一例であってもよい。例えば、第1及び第2の可撓性部材(第1及び第2の弾性部材)は、熱可塑性エラストマー(TPE)で作られてもよい。また、第1及び第2の性部材は、エチレンプロピレンジエンモノマー又はシリカゲルで作られてもよい。
【0047】
本開示の実施形態に係る電気自動車用の電力供給装置では、電池の膨張をハウジングによって制限できるので、バッテリパックの性能と信頼性は保証される。一方、電力供給装置で占められる空間は小さく、電力供給装置の操作と組み立ては簡単である。
【0048】
例示的な実施形態を示して説明したが、上述の実施形態は、本開示を限定するように解釈されるものではなく、本開示の精神、原理及び範囲から逸脱せずに、実施形態において、変形し、代替し、修正することができることを、当業者は理解するであろう。
【0049】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年7月19日に、中華人民共和国の中華人民共和国国家知識産権局に出願された中国特許出願第201120255383.9号の優先権の利益を主張し、該出願の内容の全てはここに参照されて包含される。

図1
図2
図3