特許第5775219号(P5775219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5775219-繊維の状態を評価するための方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775219
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】繊維の状態を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   G01N33/50 H
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-523040(P2014-523040)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公表番号】特表2014-521959(P2014-521959A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012048456
(87)【国際公開番号】WO2013016604
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】61/512,762
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】森田 直博
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0041663(US,A1)
【文献】 特表2005−513029(JP,A)
【文献】 特表2007−532925(JP,A)
【文献】 特開2010−276558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/50
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維の状態を評価するための方法であって、
−少なくとも1つの繊維のサンプルを提供する工程であって、前記繊維が1cmから50cmの長さを有する、工程と、
−少なくとも1つの繊維が通過する穴を有するメッシュを提供する工程と、
−前記繊維のサンプルを前記メッシュと接触させて配置し、前記繊維が前記メッシュ穴を通過することを可能にする工程と、並びに、
−前記サンプルの、前記メッシュを通過する前記繊維の量を測定する工程と、
−前記繊維の量に基づいて、前記サンプルの状態を評価する工程と、
を含み、前記繊維がケラチン繊維であり、前記ケラチン繊維がヒトの毛髪である、方法。
【請求項2】
繊維の状態を評価するために選択された部分が、前記サンプルの末端部先端である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
評価する前記状態が、繊維破断、先端分裂、繊維縮れ、繊維配列、繊維強度、及びそれらの組み合わせ、繊維の健全性、繊維損傷、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記量が、直接目視検査によって測定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
異なる繊維の損傷を評価及び比較するための方法であって、
−繊維の少なくとも2つの異なるサンプルを提供する工程であって、前記繊維が1cm〜50cmの長さを有する、工程と、
−少なくとも1つのメッシュを提供する工程であって、前記メッシュが、少なくとも1つの繊維が通過する穴を有する、工程と、
−前記繊維のサンプルを前記メッシュと接触させて配置し、前記繊維が前記メッシュ穴を通過することを可能にする工程と、並びに、
−前記サンプルの、前記メッシュを通過する前記繊維の量を測定する工程と、
−前記繊維の量に基づいて、前記サンプルの状態を評価する工程と、
−前記サンプルの前記状態を比較する工程と、
を含み、前記繊維がケラチン繊維であり、前記ケラチン繊維がヒトの毛髪である、方法。
【請求項6】
前記サンプルが、前記繊維の由来、前記繊維の部分、及び/又は前記繊維に適用される処置によって、互いに異なる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
一つのサンプルが、未処置の繊維(複数を含む)を含み、他のサンプルが、美容的、化学的、及び/又は機械的処置で処置された繊維(複数を含む)を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルが、異なる化粧品処置、化学的処置、及び/又は機械的処置で処置される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記比較を利用して、処置の有効性についての広告内容を裏付ける工程を更に含む、請求項又は請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様において、本発明は、メッシュを用いて繊維損傷などの状態を評価するための方法に関する。第2の態様において、本発明は、上述の方法を用いて異なる繊維サンプルの状態を比較するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、具体的には、ヒトの毛髪繊維は、経時的に損傷し得る。損傷は、大気汚染、日光曝露、水プールの塩素、及び/又は雨を含む環境要因によって引き起こされ得る。損傷はまた、グルーミング(化粧品)処置、化学的処置、及び/又は機械的処置を、繊維に適用することによっても引き起こされる場合がある。毛髪繊維が損傷すると、その毛髪繊維は、例えば、「まとまりのない髪」、「枝毛」、及び/又は退色といった、望ましくない状態を有し得る。
【0003】
毛髪繊維に引き起こされる損傷の程度を含む状態の評価は、様々な環境要因の影響、並びにケラチン繊維への美容的(グルーミング)、化学的、及び機械的処置の影響を理解する上で興味深い。そのような評価はまた、毛髪の損傷の予防及び/又は修復に使用される処置の有効性を立証する目的においても、興味深い。種々の解析方法を使用する、毛髪の損傷を評価するためのいくつかの試みが、これまでに報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法は通常、多種の機器を必要とし、当業者により解釈されるが、消費者及び/又はユーザーにはほとんど理解可能ではない、データを提供する。したがって、毛髪損傷などの繊維状態を評価する方法、特に、実行し易い方法及び/又は理解し易い方法を提供する必要性が依然として存在する。
【0005】
毛髪損傷などの繊維状態の程度の直接可視化を可能にする方法の必要性が更に存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、繊維の状態を評価するための方法に関し、該方法は、
−少なくとも1つの繊維のサンプルを提供する工程であって、繊維が1cmから50cmの長さを有する、工程と、
−少なくとも1つの繊維が通過する穴を有するメッシュを提供する工程と、
−繊維のサンプルをメッシュと接触させて配置し、繊維がメッシュ穴を通過することを可能にする工程と、並びに、
−サンプルの、メッシュを通過する繊維の量を測定する工程と、
−繊維の量に基づいて、サンプルの状態を評価する工程と、
を含み、繊維がケラチン繊維であり、ケラチン繊維がヒトの毛髪である
【0007】
該方法は、毛髪繊維サンプルの損傷の程度を含む繊維サンプルの状態の評価を可能にする。
【0008】
本発明は、異なる繊維の状態を評価及び比較するための方法にも関し、該方法は、
−少なくとも2つの異なる繊維サンプルを提供する工程であって、繊維が1cm〜50cmの長さを有する、工程と、
−少なくとも1つのメッシュを提供する工程であって、該メッシュが、少なくとも1つの繊維が通過する穴を有する、工程と、
−繊維のサンプルをメッシュと接触させて配置し、繊維がメッシュ穴を通過することを可能にする工程と、並びに、
−サンプルの、メッシュを通過する繊維の量を測定する工程と、
−繊維の量に基づいて、サンプルの状態を評価する工程と、
−サンプルの状態を比較する工程と、
を含み、繊維がケラチン繊維であり、ケラチン繊維がヒトの毛髪である
【0009】
該方法は、異なる毛髪繊維サンプルの損傷の程度を含む異なる繊維サンプルの状態の評価及び比較を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】メッシュ穴を通過する繊維の量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
繊維サンプル
本発明の方法は、少なくとも1つの繊維サンプル(複数を含む)を提供する工程(いわゆる、「サンプル提供工程」)を含む。本明細書で使用される「繊維」とは、任意の繊維、好ましくは、本発明の方法とは別に、且つ/又は本発明の方法中に実行される美容的、化学的、及び/又は機械的処置のうちのいずれかに影響され得る繊維を意味する。前記繊維は、好ましくは、哺乳類の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪のように作製された合成繊維(以下、「人工毛」)を含むヒトの毛髪である。ヒトの毛髪の由来は、白人、アフリカ人、アジア人、又は任意の他の由来であってもよい。毛髪繊維は、身体の任意の部分から、例えば、脚、腕、胴体、顔面又は頭皮から得ることができる。毛髪繊維は、頭皮から得ることが好ましい。
【0012】
繊維が哺乳類の毛である場合、本発明の損傷評価は、インビボで、切除することなく毛髪サンプルとして哺乳類の毛を用いて、行なうことができる。あるいは、本発明の評価は、生体外で行われ得る。
【0013】
繊維のサンプルの選択された部分は、本発明の評価方法に使用される。いずれの部分も使用することができ、損傷の程度の理解の観点から、並びに、使用される場合は、処置の有効性の理解の観点から、繊維末端部の先端部分が好まれ得る。
【0014】
このサンプルは、約100の繊維〜約300,000の繊維、好ましくは、約500の繊維〜約150,000の繊維、より好ましくは、約1,000の繊維〜約100,000の繊維を含み得る。これらの繊維は、互いに束ねられ、その束が少なくとも1つの自由端を有してもよい。通常、1つのサンプルは、同一の由来(例えば、同一人物、及び身体の同一領域)の繊維、及び/又は同一の部分(例えば、毛髪繊維の、根元端部又は先端部)の繊維を含み、並びに/あるいは同一の化粧品処置、化学的処置、及び/又は機械的処置が施されている。少なくとも2つの、好ましくは2つ〜4つの、より好ましくは2つの、異なるケラチン繊維のサンプルを提供する場合、「異なるサンプル」とは、繊維の由来、繊維の部分、及び/又は繊維に適用される処置が、互いに異なるサンプルを意味する。
【0015】
繊維は、本発明の損傷評価方法において十分な長さであり得る。繊維は、好ましくは、1cm〜50cm、より好ましくは、3cm〜30cm、更により好ましくは、5cm〜20cmの長さを有する。繊維が相互に束ねられるときに、繊維が束ねられた点を超える長さを有することが好ましい。
【0016】
メッシュ
該方法は、メッシュを調製する工程(いわゆる、「メッシュ提供工程」)も含み、該メッシュは、少なくとも1つのケラチン繊維が通過することができるような寸法を有する穴を有する。本方法における使用に好適なメッシュには、任意の従来のメッシュが含まれるが、メッシュが、繊維が通過するときに繊維によって破断されない材料で構成されることを条件とする。
【0017】
本発明において、メッシュの穴が、評価の精度を考慮して、繊維の直径よりも約1.1倍〜約20倍大きい、より好ましくは、繊維の直径よりも約5倍〜約15倍大きい寸法を有することが好ましい。
【0018】
本発明において、特に毛髪繊維のサンプルを用いるときに、メッシュの穴が、約0.05mm〜約3mm、より好ましくは、約0.15mm〜約2mm、更により好ましくは、約0.2mm〜約1mmの寸法を有することが好ましい。
【0019】
本発明において、メッシュが、ある硬度を有する材料で構成されることも好ましい。好ましくは、メッシュは、評価される繊維よりも硬い材料で構成される。本明細書において有用なそのような材料には、例えば、鋼鉄及び鉄などの金属、並びに評価される繊維が接触するときに伸長しない硬質プラスチックが含まれる。メッシュが評価される繊維よりも軟らかい材料で構成される場合、メッシュは、繊維によって押圧されるときに容易に伸長する傾向がある。したがって、繊維、すなわち、任意の繊維が、その状態にかかわらず、メッシュ穴を通過することが、困難になる場合があり、状態を的確に評価することも困難になり得る。
【0020】
メッシュはまた、繊維サンプルとは異なる色を有し得る。具体的には、評価が目視検査及び/又は画像分析を含む場合、メッシュが、繊維とは対照的な色を有することが好ましくあり得る。例えば、暗い色の毛髪繊維サンプルが提供される場合、明るい色、例えば、白色又はベージュ色のメッシュを提供することが好ましい。メッシュを、任意の光(例えば、蛍光及び/若しくはリン光)の不在下などの日光条件に代わる条件下、並びに/又は赤外線下で、繊維と区別することができる場合もある。
【0021】
処置
本方法はまた、サンプルを処置する工程(いわゆる、「処置工程」)も含み得る。処置工程は、サンプル提供工程の前に実行することができる。処置工程は、サンプル提供工程の前若しくは後に実行することができ、好ましくは、測定工程の前に実行される。処置工程は、任意の好適な化粧品組成物、化学的処置、及び/又は機械的処置を使用して、サンプルを処置することにより、実行することができる。
【0022】
この工程は、化粧品組成物を、ケラチン繊維に対して適用することにより、実行することができる。シャンプー、コンディショニング組成物、ヘアリンスオフトリートメント、ヘアリーブオントリートメント、スタイリング組成物などの、当該技術分野において既知の、いずれの好適な化粧品組成物も使用することができる。例えば、Pantene(登録商標)及びHead & Shoulders(登録商標)の、いずれの市販のシャンプー、コンディショナー、ヘアリンスオフトリートメント、及びヘアリーブオントリートメントも使用することができる。
【0023】
1つの組成物のみを、繊維に対して適用してもよい。別の方法としては、2つ又はいくつかの組成物を、同時に又は順次に、適用してもよい。更には、各組成物の適用の前、及び/又は適用の後に、繊維を更に、湿潤させ、すすぎ洗いし、及び/又は乾燥させてもよい。一実施形態では、この処置工程は、シャンプーで繊維を処置(洗浄)し、次いで洗浄した繊維を水ですすぎ洗いし、次いで繊維を乾燥させることを含む。別の実施形態では、処置工程は、シャンプーで繊維を処置(洗浄)し、次いで洗浄した繊維を水ですすぎ洗いし、次いでコンディショニング組成物で繊維を処置し、次いで処置した繊維を水ですすぎ洗いし、次いで繊維を乾燥させることを含む。別の実施形態では、処置工程は、シャンプーで繊維を処置(洗浄)し、次いで洗浄した繊維を水ですすぎ洗いし、次いでコンディショニング組成物で繊維を処置し、次いで処置した繊維を水ですすぎ洗いし、次いでヘアリンスオフトリートメントで繊維を少なくとも1回処置し、次いで処置した繊維を水ですすぎ洗いし、次いで繊維を乾燥させることを含む。
【0024】
別の方法として、又は補足的に、この工程は、化学的処置を使用して繊維を化学的に処置することにより、実行することができる。パーマネントウェーブ処置、ブリーチ処置、及び/又は色染め処置などの、当該技術分野において既知の、いずれの好適な化学的処置も使用することができる。
【0025】
別の方法として、又は補足的に、この工程は、繊維を機械的に処置することにより、実行することができる。ブラッシング、コーミング、タオル摩擦、及び/又はブロー乾燥などの、当該技術分野において既知の、いずれの好適な機械的処置も使用することができる。
【0026】
接触
本方法はまた、この繊維のサンプルをメッシュと接触させて配置し、繊維がメッシュ穴を通過することを可能にする工程(いわゆる、「接触工程」)も含む。
【0027】
好ましくは、メッシュ面が(繊維長さに対して)実質的に垂直にサンプルに接触させることができるように、メッシュはサンプルの繊維先端側からサンプルに接触させる。
【0028】
あるいは、メッシュは、繊維縮れ及び/又は配列を評価する場合、繊維サンプルの側方向から接触させてもよい。
【0029】
量の測定
本方法はまた、サンプルの、メッシュを通過する繊維の量を測定する工程(いわゆる、「量の測定工程」)も含む。
【0030】
好ましくは、メッシュを通過する繊維の量は、直接目視検査及び/又は画像分析によって評価される。直接目視検査には、いかなる電気計測装置をも必要とせずに、サンプルを調べる工程が含まれる。画像解析には、少なくとも1種の繊維又は基材の試料若しくは各試料を撮影する工程と、所望により、繊維又は基材と粒子との間のコントラストを高めるように画像を処理及び/又は修正する工程と、外観検査によって又はコンピュータ援用検査によって画像を解析する工程と、が含まれる。
【0031】
直接的な外観検査又は画像解析は、当業者により、並びに/又は消費者及び/若しくはエンドユーザーを包含する非当業者によって実施可能である。検査が非当業者によって実施される場合、この人物は、メッシュを通過する繊維の量の評価に対して得られる繊維状態の評価が容易に理解可能であるため、検査前に訓練を受ける必要がないかもしれない。
【0032】
あるいは、メッシュを通過する繊維の量は、メッシュを通過する繊維部分の重量を測定することによって評価される。例えば、重量を測定する前に、このような繊維部分は、メッシュを通過すると同時に切断される。
【0033】
状態評価
評価する状態は、繊維破断、先端分裂、繊維縮れ、繊維配列、繊維強度、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。このような状態は、繊維損傷として判断することができる。繊維がケラチン繊維である場合、このような状態は、ケラチン繊維の健全性として判断することができる。
【0034】
例えば、繊維破断、先端分裂、及び強度は、繊維サンプルの先端部からメッシュと接触させる場合、量の測定によって評価することができる。サンプルのより多くの量の繊維がメッシュ穴を通過する場合、サンプルは破断が少ない、先端分裂が少ない、及び/又は強度が高いことが評価される。
【0035】
繊維縮れ及び配列はまた、繊維サンプルの先端部からメッシュと接触させる場合の量の測定によっても評価することができる。サンプルのより多くの量の繊維がメッシュ穴を通過する場合、サンプルは縮れが少ない、及び/又は配列が多いことが評価される。
【0036】
あるいは、繊維縮れ及び配列は、繊維サンプルの側方向からメッシュと接触させる場合の量の測定によって評価することができる。この評価では、繊維サンプルの先端部からメッシュと接触させる場合の上記類似の縮れ/配列評価とは対照的に、サンプルのより多くの量の繊維がメッシュ穴を通過する場合、サンプルは、縮れが多い、及び/又は配列が少ないことが評価される。
【0037】
比較
本方法はまた、異なるサンプルの量の工程(いわゆる、「比較工程」)も含む。
【0038】
一実施形態では、一方のサンプルは、繊維の先端部分を含み得、他方のサンプルは、同一繊維の根元部分を含み得る。同一繊維の、異なる部分を提供して比較すること、具体的には、先端と根元とを提供して比較することにより、繊維の成長につれての、経時的な損傷の程度の差異を評価することが可能になる。
【0039】
この比較工程はまた、繊維に対する1つの処置の効果を、未処置のものと比較するためにも有益である。一実施形態では、一方のサンプルは、未処置の繊維を含み得、他方のサンプルは、化粧品組成物で処置された繊維を含み得る。他方のサンプルは、シャンプー、及び/又はコンディショニング組成物、及び/又はヘアリンスオフトリートメント、及び/又はリーブオントリートメント、及び/又は任意の他の好適な化粧品組成物で処置することができる。処置された繊維と未処置の繊維との比較は、シャンプーなどの組成物の、毛髪に対する損傷効果を評価するために、あるいは対照的に、繊維の損傷の予防及び/又は修復に関する、コンディショニング組成物などの組成物の利益を評価するために、有益である。
【0040】
比較工程は更に、繊維の損傷の予防及び/又は修復に関する、少なくとも2つの異なる処置の有効性を比較するために有益である。一実施形態では、サンプルは、異なる化粧品組成物で処置することができる。例であって、包括的ではないが、(1)一方のサンプルは、一方のシャンプーで処置し、他方のサンプルは、別のシャンプーで処置することができる。(2)一方のサンプルは、一方のシャンプーで処置し、他方のサンプルは、同一のシャンプーで処置し、一方のコンディショナーで処置することができる。(3)一方のサンプルは、一方のシャンプー、次いで、一方のコンディショナーで処置し、他方のサンプルは、同一のシャンプー、次いで、別のコンディショナーで処置することができ、(4)一方のサンプルは、一方のシャンプー、次いで、一方のコンディショナーで処置し、他方のサンプルは、同一のシャンプー、次いで、同一のコンディショナー、次いで、リンスオフトリートメントで処置することができ、(5)一方のサンプルは、一方のシャンプー、次いで、一方のコンディショナーで処置し、他方のサンプルは、同一のシャンプー、次いで、同一のコンディショナー、次いで、リーブオントリートメントで処置することができ、(6)一方のサンプルは、一方のシャンプー、次いで、一方のコンディショナーで処置し、他方のサンプルは、別のシャンプー、次いで、同一のコンディショナーで処置することができ、(7)一方のサンプルは、一方のシャンプーで1回処置し、他方のサンプルは、同一のシャンプーで2回若しくは数回処置することができ、(8)一方のサンプルは、一方のコンディショナーで1回処置し、他方のサンプルは、同一のコンディショナーで2回若しくは数回処置することができる。異なって処置された繊維(複数を含む)を比較することは、異なるシャンプーの損傷効果を比較するために((1)を参照)、シャンプー処置の上へのコンディショナーの軽減効果を評価するために((2)を参照)、繊維(複数を含む)の損傷を防ぐ、及び/又は修復するためのコンディショニング組成物の有益を比較するために((3)を参照)、シャンプー処置の上へのリンスオフトリートメントの軽減効果を評価するために((4)を参照)、シャンプー処置の上へのリーブオントリートメントの軽減効果を評価するために((5)を参照)、異なるシャンプー処置の上への一方のコンディショナーの軽減効果を評価するために((6)を参照)、繊維(複数を含む)の上への処置の反復効果を評価するために((7)及び(8)を参照)、有益である。
【0041】
比較工程は、例えば、化学的処置及び/又は機械的処置の効果を比較するために有益である。例えば、一実施形態では、一方のサンプルは、未処置の繊維を含み得、他方のサンプルは、化学的に処置されている繊維を含む。別の方法としては、サンプルは、異なる化学的処置で処置された繊維を含み得る。別の実施形態では、一方のサンプルは、未処置の繊維を含み得、他方のサンプルは、機械的に処置されている繊維を含む。別の方法としては、サンプルは、異なる機械的処置で処置された繊維を含み得る。
【0042】
広告内容の裏付け
本方法はまた、上述の評価を利用して広告内容を裏付ける工程(いわゆる、「広告工程」)を含む。2つの異なるサンプル間の比較の結果に基づいた広告工程を行なうことは、例えば、繊維の損傷の予防及び/又は修復に関する処置の有効性の広告のために、並びに/あるいは損傷の予防及び/又は修復に関する、1つの処置の、別の処置に対する優位性の広告のために、有益である。1つの処置(例えば、コンディショニング組成物)を別の処置と比較して広告する場合、本発明の方法を使用して得られたデータ及び/又は写真は、繊維の損傷の予防及び/又は修復に関して、上述の処置が他の処置と比べて優れた効能を提供するという広告内容の、裏付け及び/又は立証のために使用することができる。
【実施例】
【0043】
材料
サンプル:長さ15cm、1束約2gの毛髪繊維(約2,000の毛髪繊維)の東洋人の染めていない/パーマをかけていない毛髪
メッシュ:ステンレス製の約0.7mmの寸法の穴がある。
ノンコンディショニングシャンプー組成物:pH=5〜7を有し、ラウレス−3硫酸アンモニウム(12.8%)、ラウリル硫酸アンモニウム(9.1%)、コカミドDEA(2.3%)、キシレンスルホン酸アンモニウム(1%)、EDTA(0.1%)、防腐剤(<1%)、残部(100%とする)水を含む。
コンディショニングシャンプー組成物:pH=5〜7を有し、ラウレス−3硫酸ナトリウム(6.0%)、ラウリル硫酸ナトリウム(6.0%)、コカミドプロピルベタイン(1%)、コカミドMEA(0.85%)、ジステアリン酸グリコール(1.5%)、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(0.3%)、ポリクアテルニウム−76(0.1%)、ジメチコン(2%)、防腐剤(0.6%)、残部の(100%とする)水を含む。
コンディショニング組成物:pH=5〜7を有し、ベヘントリモニウムメトサルフェート(1.8%)、脂肪アルコール(5.2%)、アミノジメチコン(2.5%)、防腐剤(0.6%)、残部の(100%とする)水を含む。
【0044】
化合物の百分率は、組成物の総重量当たりの重量パーセントである。
【0045】
プロトコル
実行される方法に応じて、工程の一部、例えば処置工程は、省略される場合がある。
1.[サンプル提供工程]上記毛髪サンプルを調製する。
2.[メッシュ提供工程]上記メッシュを調製する。
3.[処置工程A]この処置工程Aでは、サンプルは、以下に記載されるように、ノンコンディショニングシャンプー組成物を適用することによって美容的に処置され、また、梳毛によって機械的にも処置される。
3.1サンプルをバーに掛ける
3.2サンプルを20秒湿潤させ、そのサンプルを絞って過剰な水を除去する
3.3ノンコンディショニングシャンプー組成物0.2mLをサンプルに適用し、30秒間搾る
3.4サンプルを30秒間すすぎ洗いし、そのサンプルを絞って過剰な水を除去する
3.5制御湿度及び制御温度(湿度45%、温度21℃)中に、一晩の間サンプルを留置する。
3.6サンプルを8000回櫛で梳く
3.7 3.1〜3.6のプロトコルを繰り返す
3.8 3.1〜3.5のプロトコルを繰り返す
4.[処置工程B]この処置工程Bでは、サンプルは、以下に記載されるように、ノンコンディショニングシャンプー組成物、コンディショニングシャンプー組成物、及びコンディショニング組成物を適用することによって美容的に処置され、また、梳毛によって機械的にも処置される。
4.1サンプルをバーに掛ける
4.2サンプルを20秒湿潤させ、そのサンプルを絞って過剰な水を除去する
4.3コンディショニングシャンプー組成物0.2mLをサンプルに適用し、30秒間搾る
4.4サンプルを30秒間すすぎ洗いし、そのサンプルを絞って過剰な水を除去する
4.5コンディショニング組成物0.2mLをサンプルに適用し、30秒間搾る
4.6サンプルを30秒間すすぎ洗いし、そのサンプルを絞って過剰な水を除去する
4.7制御湿度及び制御温度(湿度45%、温度21℃)中に、一晩の間サンプルを留置する。
4.8サンプルを8000回櫛で梳く
4.9 4.1〜4.8のプロトコルを繰り返す
4.10 4.1〜4.7のプロトコルを繰り返す
5.[接触工程]各サンプルの毛髪先端から3cmのところにバンディングバンドを付け、その毛髪先端が、同じ高さで上方に向くように、各サンプルを保持し、毛髪の長さに対してほぼ垂直に、上方から(毛髪先端側から)メッシュと接触させる
6.[測定工程]直接目視検査によってメッシュを通過する毛髪繊維の量を測定する。
7.[状態評価工程]繊維の量に基づいて繊維損傷状態を評価する。
【0046】
異なる処置がなされた毛髪先端部分の損傷の評価及び比較
上記の材料及びプロトコルに従って、2つのサンプルは、表1に示されるように、異なる処置が提供され、毛髪損傷が評価される。評価結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示されるように、サンプルBの損傷は、サンプルAのものよりもはるかに少ない。これはまた、サンプルBに対して処置Bのみで使用されたコンディショニングシャンプー組成物及びコンディショニング組成物の有効性を示す。
【0049】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0050】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0051】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1