特許第5775223号(P5775223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775223
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】口腔内速崩壊性錠剤用造粒物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/26 20060101AFI20150820BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   A61K47/26
   A61K9/20
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61K47/34
   A61K47/10
   A61K47/02
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-534391(P2014-534391)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(86)【国際出願番号】JP2013073808
(87)【国際公開番号】WO2014038593
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-194894(P2012-194894)
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-25656(P2013-25656)
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031093
【氏名又は名称】テイカ製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】島谷 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】川岸 貴博
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−247873(JP,A)
【文献】 特開平7−187993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/12
A61K 9/20
A61K 47/02
A61K 47/10
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の水溶性高分子、及び
(b)タンニン酸
を含む口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
【請求項2】
水溶性高分子が、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びコポリビドンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
【請求項3】
(a)成分の含有量が、造粒物の全量に対して、0.001〜60重量%である請求項1又は2に記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
【請求項4】
(b)成分の含有量が、造粒物の全量に対して、0.001〜60重量%である請求項1〜3の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
【請求項5】
さらに、賦形剤を含む請求項1〜4の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
【請求項6】
賦形剤がマンニトール、及び乳糖水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の造粒物を含む口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項8】
さらに、結合剤、及び/又は崩壊剤を含有する請求項7に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項9】
結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項10】
崩壊剤がクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8又は9に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項11】
日本薬局方に規定される崩壊試験により測定される崩壊時間が30秒以内である請求項7〜10の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項12】
硬度が5kgf以上である請求項7〜11の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項13】
(A)請求項1〜6の何れかに記載の造粒物、又は
(B)請求項1〜6の何れかに記載の造粒物、並びに添加剤、及び/若しくは医薬有効成分の混合物を圧縮成型する口腔内速崩壊性錠剤の製造方法。
【請求項14】
添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である請求項13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の唾液又は少量の水の存在下において速やかにかつ良好に崩壊する口腔内速崩壊性錠剤用の造粒物、この造粒物を含む口腔内速崩壊性錠剤、及び口腔内速崩壊性錠剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
経口固形製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が一般的に知られている。しかしながら、これらの剤形で取り扱い性が良く、かつ服用し易いものは少ない。例えば、錠剤及びカプセル剤は、その形状が大きくなるに従い飲み込み難くなるという問題があり、また、顆粒剤及び散剤は、服用時にむせるという問題や歯の間に入り込むという問題がある。更に、これらの剤形はいずれも服用時に水を必要とし、緊急時や、重症患者が寝ながらにして服用することは困難であるという問題もある。
【0003】
水なしで服用できる剤形としては、錠剤を噛み砕いて服用するチュアブル錠が知られているが、現在提供されているものは崩壊性が悪く、高齢者、小児、幼児、嚥下困難な患者、寝たきりの患者等が服用することは困難であるという問題がある。
【0004】
従って、水なしでも容易に服用することができ、また手軽に何時、何処でも随時服用することのできる口腔内速崩壊性錠剤の開発が要望されている。
【0005】
このような口腔内速崩壊性錠剤を製造する技術としては、活性成分及び糖類を寒天水溶液に懸濁させたものを鋳型(PTP包装用樹脂フィルムシート)に充填した後、ゼリー状に固化させ、更に減圧乾燥又は通風乾燥する方法や(特許文献1)、薬剤、水溶性結合剤、及び水溶性賦形剤を含む乾燥状態の錠剤材料を錠剤の形態として次段の製造工程へ移行させる際にその形態を維持可能な硬度とするために最低必要な低圧力で加圧成型した後、成型された錠剤を加湿し、更に加湿された錠剤を乾燥する方法(特許文献2)が知られている。
しかし、これらの方法は、特殊な製造設備を必要とし、また、それに伴い製造工程が複雑であるという問題がある。
【0006】
そのため、簡単な製造設備を用いて簡単な工程で製造可能であり、かつ口腔内で優れた崩壊性を示すと共に実用上問題のない成型性を有する製剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2807346号
【特許文献2】特許第2919771号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、簡単な製造装置を用いて簡単な工程で製造でき、且つ口腔内で速やかな崩壊性を有するとともに、実用に耐えうる適度な成型性を有する口腔内速崩壊性錠剤、その製造方法、及びこの口腔内速崩壊性錠剤の構成材料となる造粒物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも1種の水溶性高分子と、タンニン酸とを含む造粒物を、必要に応じて、結合剤、及び/又は崩壊剤と共に圧縮成型することにより、特殊な製造装置を使用することなく簡単な工程で、従来の口腔内速崩壊性錠剤と同等又はそれ以上の崩壊性と成型性とを兼ね備えた口腔内速崩壊性錠剤が製造できることを見出した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物、口腔内速崩壊性錠剤、及び口腔内速崩壊性錠剤の製造方法を提供する。
項1. (a)少なくとも1種の水溶性高分子、及び(b)タンニン酸を含む口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
項2.水溶性高分子が、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びコポリビドンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
項3. (a)成分の含有量が、造粒物の全量に対して、0.001〜60重量%である項1又は2に記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
項4. (b)成分の含有量が、造粒物の全量に対して、0.001〜60重量%である項1〜3の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
項5. さらに、賦形剤を含む項1〜4の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
項6. 賦形剤がマンニトール、及び乳糖水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である項5に記載の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物。
項7. 項1〜6の何れかに記載の造粒物を含む口腔内速崩壊性錠剤。
項8. さらに、結合剤、及び/又は崩壊剤を含有する項7に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項9. 結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項10. 崩壊剤がクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8又は9に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項11. 日本薬局方に規定される崩壊試験により測定される崩壊時間が30秒以内である項7〜10の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項12. 硬度が5kgf以上である項7〜11の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項13. (A)項1〜6の何れかに記載の造粒物、又は(B)項1〜6の何れかに記載の造粒物、並びに添加剤、及び/若しくは医薬有効成分の混合物を圧縮成型する口腔内速崩壊性錠剤の製造方法。
項14. 添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である項13に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の口腔内速崩壊性錠剤は、口腔内で優れた崩壊性を示すと共に適度な成型性を有する製剤であるため、服用性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)口腔内速崩壊性錠剤用造粒物
本発明の口腔内速崩壊性錠剤用造粒物は、(a)少なくとも1種の水溶性高分子、及び(b)タンニン酸を含む造粒物であって、口腔内速崩壊性錠剤用の造粒物である。
本発明において、「口腔内速崩壊性錠剤用」とは、口腔内速崩壊性錠剤の構成材料ないしは製造材料としての用途を有するという意味である。
【0013】
(a)成分
水溶性高分子は、医薬又は食品などの製剤分野で使用され得るものであれば、特に限定されない。このような水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、又はそれらの薬学的に許容される塩のようなセルロース系高分子化合物;ポビドン、ポリビニルアルコール(部分ケン化物、完全ケン化物を含む)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、コポリビドンのようなポリビニル系高分子化合物;プルラン、デキストリン、部分アルファー化デンプン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、キサンタンガムのような多糖類;ゼラチンなどが挙げられる。
水溶性高分子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0014】
中でも、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びコポリビドンが好ましい。
【0015】
ポビドンは、医薬又は食品などの製剤分野で使用され得るものであればよく、特に限定されない。このようなポビドンとして、例えば、プラスドンK−25(K値:25)、プラスドンK−29/32(K値:29〜32)、プラスドンK−90(K値:90)、プラスドンK−90D(K値:90)、プラスドンK−90M(K値:90)(何れも商品名、ISPジャパン社)、コリドン25(K値:25)、コリドン30(K値:30)、コリドン90F(K値:90)(いずれも商品名、BASFジャパン社)等が挙げられる。
【0016】
ヒドロキシプロピルセルロースは、医薬又は食品などの製剤分野で使用され得るものであればよく、特に限定されない。このようなヒドロキシプロピルセルロースとして、例えば、HPC−SSL(粘度2.0〜2.9mPa・s)、HPC−SL(粘度3.0〜5.9mPa・s)、HPC−L(粘度6.0〜10.0mPa・s)、HPC−M(粘度150〜400mPa・s)、HPC−H(粘度1000〜4000mPa・s)(いずれも商品名、日本曹達社)等が挙げられる。
【0017】
プルランは、医薬又は食品などの製剤分野で使用され得るものであればよく、特に限定されない。このようなプルランとして、例えば、プルラン(商品名、林原社)等が挙げられる。
【0018】
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーは、医薬又は食品などの製剤分野で使用され得るものであればよく、特に限定されない。このようなポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーとして、例えば、コリコートIR(商品名、BASFジャパン社)等が挙げられる。
【0019】
コポリビドンは、医薬又は食品などの製剤分野で使用され得るものであればよく、特に限定されない。このようなコポリビドンとして、例えば、コリドンVA64(商品名、BASFジャパン社)、プラスドンS-630(商品名、ISPジャパン社)等が挙げられる。
【0020】
造粒物中の(a)成分の含有量は、造粒物の全量に対して、約0.001重量%以上が好ましく、約0.01重量%以上がより好ましく、約0.1重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、この造粒物を用いて製造した錠剤が、十分な成型性を有するものとなる。また、約60重量%以下が好ましく、約30重量%以下がより好ましく、約10重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、この造粒物を用いて製造した錠剤が、十分な崩壊性を有するものとなる。
【0021】
(b)成分
タンニン酸は、各種の植物材料から抽出できる。例えば、柿の実、栗の渋皮、五倍子、没食子、タラ末、マメ科のタマリンドの種子皮、又はミモザ樹皮などから水又はエタノールを用いて抽出できる。好ましくは、第16改正日本薬局方に収載されている五倍子、又は没食子から抽出したタンニン酸を用いることができる。タンニン酸は未精製品であっても、精製品であってもよいが、精製品がより好ましい。
【0022】
造粒物中の(b)成分であるタンニン酸の含有量は、造粒物の全量に対して、約0.001重量%以上が好ましく、約0.01重量%以上がより好ましく、約0.1重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、この造粒物を用いて製造した錠剤が、十分な崩壊性を有するものとなる。また、60重量%以下が好ましく、約30重量%以下がより好ましく、約10重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、この造粒物を用いて製造した錠剤が、十分な成型性を有するものとなる。
【0023】
また、(a)成分含有量と(b)成分含有量との比率((a)成分:(b)成分)は、約1:0.001〜1000が好ましく、約1:0.01〜100がより好ましく、約1:0.1〜10がさらにより好ましい。この範囲であれば、十分な成型性と崩壊性を有するものとなる。
【0024】
その他の成分
造粒物は、上記(a)成分及び(b)成分に加え、添加剤である賦形剤を含むことが望ましく、これにより、造粒物を用いて製造した錠剤の成型性及び崩壊性をさらに向上させることが可能となる。
賦形剤としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、イソマルト等の糖アルコール類;乳糖水和物、無水乳糖、白糖、精製白糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、トレハロース等の糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン類;グリシン、アラニンなどのアミノ酸類;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸類;結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類;タルク;酸化チタン等が挙げられる。賦形剤としては、造粒物を口腔内で素速く崩壊させるという点で、糖アルコ−ル類、及び糖類が好ましく、中でも、マンニトール、及び乳糖水和物がより好ましい。
賦形剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0025】
造粒物には、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品に一般的に使用される添加剤を適量含むことができる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
着色剤としては、食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。
矯味剤としては、クエン酸水和物、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
甘味剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
香料としては、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、ケイヒ油、チョウジ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油、ローマカミツレ油、メントール等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム等が挙げられる。
添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0026】
造粒物には、医薬の有効成分を適量含むことができる。医薬有効成分は、この造粒物を含む口腔内速崩壊性錠剤の崩壊性、及び成型性を損なわない種類、及び量であれば良く、特に限定されない。
【0027】
造粒
上記各成分を含む造粒物の造粒処理としては、湿式造粒処理、乾式造粒処理、流動層造粒処理等が挙げられ、簡便性に優れる点で、特に湿式造粒処理が好ましい。
湿式造粒処理は、各成分を溶媒と練合し、次いでこれを造粒する処理である。この処理においては、破砕造粒法、押出し造粒法、攪拌造粒法、転動造粒法などの一般的な製剤の製造に用いられる方法や装置を使用することができる。また、この処理で用いられる溶媒として、一般的な製剤の製造に用いられるエタノール、イソプロパノール等のアルコール類や水を溶媒として使用することができる。
【0028】
乾式造粒処理は、各成分を均一に混合し、次いでこれを造粒する処理である。この処理においては、圧縮造粒法等の一般的な製剤の製造に用いられる方法や装置を使用することができる。
流動層造粒処理は、各成分を溶媒、又は溶媒と結合剤との混合液等を噴霧しながら造粒する処理である。この処理においては、流動層造粒法等の一般的な製剤の製造に用いられる方法や装置を使用することができる。
【0029】
(II)口腔内速崩壊性錠剤
打錠
上記説明した造粒物を用いて、本発明の口腔内速崩壊性錠剤(以下、「本発明の錠剤」と言うこともある)を製造するには、上記説明した本発明の造粒物を、必要に応じて、結合剤、崩壊剤などのその他の成分と混合し、圧縮成型すればよい。
圧縮成型には、ロータリー式打錠機、単発打錠機等の一般に錠剤の成型に使用される方法や装置を使用することができる。また、この圧縮成型における圧縮圧は、約100kgf/cm以上が好ましく、約200kgf/cm以上がより好ましく、約400kgf/cm以上がさらにより好ましい。また、6000kgf/cm以下が好ましく、約3000kgf/cm以下がより好ましく、約1500kgf/cm以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、打錠時における臼杵の負担が少なく、さらに打錠時における打錠圧の維持もし易い。
【0030】
なお、上記圧縮成型に先立ち、造粒物を、流動層乾燥機、棚式乾燥装置等を用いた乾燥;スクリーンミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル等を用いた整粒;振動ふるいを用いた篩過等の錠剤の製造に必要な操作に付してもよい。
【0031】
錠剤は、実質的に、上記説明した本発明の造粒物のみで構成することもできるが、結合剤、崩壊剤などのその他の成分を含むこともできる。
その他の成分を含む場合でも、本発明の錠剤における造粒物の含有量は、錠剤の全量に対して、約10重量%以上が好ましく、約30重量%以上がより好ましく、約60重量%以上がさらにより好ましい。即ち、本発明の錠剤が造粒物以外の成分を含む場合、造粒物以外の含有量は、錠剤の全量に対して、約90重量%以下が好ましく、約70重量%以下がより好ましく、約40重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
【0032】
なお、本発明の錠剤は圧縮成型により製造されるため、造粒物の形状と、本発明の錠剤中の造粒物の形状とは、通常、異なる。
【0033】
結合剤
本発明の錠剤は、結合剤を含むことができる。結合剤は、圧縮時に造粒物を相互に結合させる作用を有するものである。
結合剤としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。中でも、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースが好ましい。
結合剤の含有量は、錠剤の全量に対して、約0.01重量%以上が好ましく、約0.1重量%以上がより好ましく、約1重量%以上がさらにより好ましい。また、錠剤の全量に対して、約30重量%以下が好ましく、約20重量%以下がより好ましく、約10重量%以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
結合剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0034】
崩壊剤
本発明の錠剤は、崩壊剤を含むことができる。崩壊剤は、水を含んで膨れる成分、又は水を含んで崩れる成分である。
崩壊剤としては、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、アルギン酸、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。中でも、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
崩壊剤の含有量は、錠剤の全量に対して、約0.01重量%以上が好ましく、約0.1重量%以上がより好ましく、約1重量%以上がさらにより好ましい。また、錠剤の全量に対して、約30重量%以下が好ましく、約20重量%以下がより好ましく、約10重量%以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
崩壊剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0035】
その他の成分
本発明の錠剤は、賦形剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品に一般的に使用される添加剤を適量含むことができる。また、医薬有効成分を含むこともできる。
添加剤、及び医薬有効成分は、それぞれ、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0036】
このようにして得られる本錠剤は、実用上問題ない適度な成型性を有し、更に口腔内での優れた崩壊性を有している。
【0037】
本発明の錠剤は、第16改正日本薬局方解説書に規定の崩壊試験法による崩壊時間(特に、崩壊試験器(富山産業製)を用いて測定した崩壊時間)が、30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることが好ましく、10秒以下であることがさらにより好ましい。
本発明の錠剤は、硬度(特に、錠剤硬度計(富山産業製)を用いて測定した硬度)が5kgf以上であることが好ましく、6kgf以上であることがより好ましく、7kgf以上であることがさらにより好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(1)物性試験
<崩壊試験>
試験は、第16改正日本薬局方解説書に規定の崩壊試験法を参考に、崩壊試験器(富山産業製)を用いて実施し、試験数は6錠とし、その崩壊時間の平均値で評価した。
<硬度試験>
試験は、錠剤硬度計(富山産業製)を用いて実施し、試験数は10錠とし、その硬度の平均値で評価した。
【0039】
(2)錠剤の製造
実施例1〜2
後掲の表1に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0040】
比較例1〜2
後掲の表1に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0041】
比較例3
後掲の表1に示す組成に基づき、マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0042】
比較例4
後掲の表1に示す組成に基づき、マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0043】
実施例3〜4
後掲の表2に示す組成に基づき、(a)成分と乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品に乳糖水和物以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0044】
実施例5〜10
後掲の表2に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0045】
実施例11〜12
後掲の表3に示す組成に基づき、医薬有効成分(塩酸メクリジン)、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物)と(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0046】
実施例13〜16
後掲の表3に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0047】
実施例17〜18
後掲の表3に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分と(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0048】
比較例5〜6
後掲の表4に示す組成に基づき、医薬有効成分(塩酸メクリジン)、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物)を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0049】
比較例7〜10
後掲の表4に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0050】
比較例11〜12
後掲の表4に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0051】
実施例19
後掲の表5に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0052】
実施例20
後掲の表5に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0053】
比較例13
後掲の表5に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0054】
比較例14
後掲の表5に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た
【0055】
比較例15
後掲の表5に示す組成に基づき、マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た
【0056】
比較例16
後掲の表5に示す組成に基づき、マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た
【0057】
比較例17
後掲の表5に示す組成に基づき、マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た
【0058】
比較例18
後掲の表5に示す組成に基づき、マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の製剤化基剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た
【0059】
実施例21
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分と乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0060】
実施例22
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分と乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0061】
実施例23
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0062】
実施例24
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0063】
実施例25
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0064】
実施例26
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0065】
実施例27
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0066】
実施例28
後掲の表6に示す組成に基づき、(a)成分とマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0067】
実施例29
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分(塩酸メクリジン)、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物)と(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0068】
実施例30
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分(塩酸メクリジン)、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に医薬有効成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物)と(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0069】
実施例31
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0070】
実施例32
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0071】
実施例33
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0072】
実施例34
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0073】
実施例35
後掲の表7に示す組成に基づき、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分と(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0074】
実施例36
後掲の表7に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0075】
比較例19
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分(塩酸メクリジン)、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物)を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0076】
比較例20
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分(塩酸メクリジン)、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量に医薬有効成分(スコポラミン臭化水素酸塩水和物)を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0077】
比較例21
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0078】
比較例22
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0079】
比較例23
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0080】
比較例24
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0081】
比較例25
後掲の表8に示す組成に基づき、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒であるエタノールの適量に医薬有効成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0082】
比較例26
後掲の表8に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、及びマンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にマンニトール以外の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約800kgf/cmの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0083】
(3)結果
実施例1〜2、比較例1〜4の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表1に示す。
【表1】
【0084】
表1から明らかなように、実施例1及び2の錠剤は、崩壊時間が何れも8秒、更に硬度がそれぞれ5.37kgf及び5.21kgfであり、優れた崩壊性と成型性を示した。これに対し、(b)成分であるタンニン酸を含まない比較例1及び2の錠剤は、崩壊時間がそれぞれ40秒及び19秒であり、実施例1及び2の錠剤に比べて崩壊性が悪かった。また、(a)成分のポビドン又はヒドロキシプロピルセルロースを含まない比較例3の錠剤は、硬度が4.36kgfであり、実施例1及び2の錠剤に比べて成型性が悪く、成型不良が認められた。また、(a)成分も(b)成分も含まない比較例4の錠剤は、硬度が1.55kgfであり、実施例1及び2の錠剤に比べて成型性が一層悪く、成型不良が認められた。
【0085】
実施例3〜10の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表2に示す。
【表2】
【0086】
表2の試験結果から明らかなように、実施例3〜10の錠剤は、崩壊時間が8〜12秒、硬度が5.43〜6.92kgfであり、優れた崩壊性と成型性を示した。
【0087】
実施例11〜18、比較例5〜12の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表3〜4に示す。
【表3】

【表4】
【0088】
表3の試験結果から明らかなように、実施例11〜18の錠剤は、崩壊時間が5〜12秒、硬度が5.28〜7.12kgfであり、医薬有効成分の種類にかかわらず、優れた崩壊性と成型性を示した。
これに対して、表4の試験結果から明らかなように、(b)成分であるタンニン酸を含まない比較例5〜12の錠剤は、崩壊時間が14〜43秒であり、実施例11〜18の錠剤に比べて崩壊性が悪かった。
【0089】
実施例19〜20、比較例13〜18の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表5に示す。
【表5】

表5の試験結果から明らかなように、実施例19〜20の錠剤は、崩壊時間がそれぞれ12秒及び16秒、更に硬度がそれぞれ5.87kgf及び6.20kgfであり、優れた崩壊性と成型性を示した。これに対し、(b)成分を含まない比較例13〜14の錠剤は、崩壊時間がそれぞれ41秒及び43秒であり、実施例19〜20の錠剤に比べて崩壊性が悪かった。また、(a)成分を含まない比較例15及び比較例17の錠剤は、硬度がそれぞれ4.36kgf及び4.27kgfであり、実施例19〜20の錠剤に比べて成型性が悪く、成型不良が認められた。また、(a)成分も(b)成分も含まない比較例16及び比較例18の錠剤は、硬度がそれぞれ1.55kgf及び1.68kgfであり、実施例19〜20の錠剤に比べて成型性が一層悪く、成型不良が認められた。
【0090】
実施例21〜28の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表6に示す。
【表6】

表6の試験結果から明らかなように、実施例21〜28の錠剤は、崩壊時間が9〜21秒、硬度が5.36〜7.26kgfであり、優れた崩壊性と成型性を示した。
【0091】
実施例29〜36、比較例19〜26の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表7〜8に示す。
【表7】
【0092】
【表8】

表7〜8の試験結果から明らかなように、実施例29〜36の錠剤は、崩壊時間が9〜21秒、硬度が6.23〜7.42kgfであり、医薬有効成分の種類にかかわらず、優れた崩壊性と成型性を示した。これに対し、(b)成分を含まない比較例19〜26の錠剤は、崩壊時間が17〜42秒であり、実施例29〜36の錠剤に比べて崩壊性が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の口腔内速崩壊性錠剤は、複雑な製造工程や特殊な製造装置を使用しないで製造できるものであり、かつ、含有する医薬有効成分の種類にかかわらず優れた崩壊性と成型性を兼ね備えたものである。従って、工業的な大規模生産に適すると同時に、種々の医薬有効成分を配合することのできる口腔内速崩壊性錠剤として、広く利用可能なものである。