(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヘッダには、前記ヘッダ内の空間を上下方向に区画し、冷媒の流動方向を左側または右側に転換されるようにガイドするバッフルが備えられる、請求項1に記載の熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施の形態を説明する。ただし、本発明の思想は、提示される実施の形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同じ思想の範囲内で他の実施の形態を容易に提案できるはずである。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換器の構成を示す斜視図で、
図2は、
図1のI−I’に沿う断面図で、
図3は、
図1のII−II’に沿う断面図である。
【0018】
図1ないし
図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換器10には、上下方向または垂直方向に所定長分だけ延びるヘッダ50、100と、ヘッダ50、100に結合されて横方向または左右方向に延びる多数のフラットチューブ20と、ヘッダ50、100の間に所定間隔で配列し、フラットチューブ20によって貫通する多数の放熱フィン30が備えられる。ヘッダ50、100が垂直方向に延びるという点で、「垂直型ヘッダ」と名付けることができる。
【0019】
詳細に、ヘッダ50、100には、冷媒が熱交換器10に流入するようにする冷媒流入部51と熱交換器10内で熱交換された冷媒が流出するようにする冷媒流出部55との形成される第1ヘッダ50、及び第1ヘッダ50から離隔される第2ヘッダ100が備えられる。多数のフラットチューブ20の一方の端部は、第1ヘッダ50に結合され、多数のフラットチューブ20の他方の端部は、第2ヘッダ100に結合されることができる。
【0020】
第1ヘッダ50及び第2ヘッダ100の内部には、冷媒の流動空間が規定される。第1ヘッダ50または第2ヘッダ100内部の冷媒は、フラットチューブ20に流入することができ、フラットチューブ20を流動した冷媒は、第1ヘッダ50または第2ヘッダ100で方向転換されることができる。
【0021】
一例として、フラットチューブ20を介して左側方向に流動した冷媒は、第1ヘッダ50で方向転換されて右側方向に流動し、フラットチューブ20を介して右側方向に流動した冷媒は、第2ヘッダ100で方向転換されて左側方向に流動できる(
図3参照)。よって、第1ヘッダ50または第2ヘッダ100は、「リターンヘッダ」と名付けることができる。
【0022】
冷媒流入部51は、第1ヘッダ50の下部に形成され、冷媒流出部55は、第1ヘッダ50の上部に形成されることができる。冷媒流入部51から流入した冷媒は、フラットチューブ20を循環しながら重力の反対方向に流動した後、冷媒流出部55に流出できる。すなわち、冷媒は、冷媒流入部51から冷媒流出部55に向かって、上方に流動することができる。
【0023】
フラットチューブ20は、第1ヘッダ50及び第2ヘッダ100の間に多数備えられ、多数のフラットチューブ20は、縦方向に互いに離隔して配置されることができる。
【0024】
フラットチューブ20には、外観を形成するチューブボディー21及びチューブボディー10の内部に多数の冷媒流路(micro channel)25が形成されるようにする区画リブ22が含まれる。フラットチューブ20の内部に流入した冷媒は、多数の冷媒流路25に均一に分配されて流動できる。そして、放熱フィン30には、多数のフラットチューブ20が貫通されるようにする貫通ホール32が形成される。
【0025】
第1ヘッダ50または第2ヘッダ100の内部には、冷媒が第1ヘッダ50、フラットチューブ20及び第2ヘッダ100を通ってジグザグで流動できるようにガイドするバッフル58が提供される。バッフル58は、第1ヘッダ50または第2ヘッダ100の内部空間を上部及び下部に区画するように配置されることができる。
【0026】
バッフル58によって、フラットチューブ20に沿って流れる冷媒の流路は、S状のメアンダライン(meander line)を形成できる。フラットチューブ20に沿って流れる冷媒の流路がメアンダラインを形成することによって、冷媒と空気との接触面積及び接触時間が増大して、熱交換効率が増大することができる。
【0027】
整理すると、バッフル58によって第1ヘッダ50または第2ヘッダ100の内部空間は、多数の空間に区画され、各区画された空間は、フラットチューブ20に冷媒を流動させ始める空間部として理解されうる。
【0028】
一方、第2ヘッダ100には、第2ヘッダ100の内部空間を左右方向に区画する区画部150、及び区画部150の下側に提供される遮断リブ158が提供される。区画部150は、バッフル58によって区画された空間のうち、最上部の空間に備えられる。そして、遮断リブ158は、区画部150によって区画された左側空間または右側空間の下部を遮蔽するように構成される。
図3には、左側空間の下部を遮蔽するように示される。
【0029】
詳細に、区画部150は、冷媒流出口55に対応する高さに配置される。すなわち、区画部150は、冷媒流出口55の一方(左側または右側)に結合される多数のフラットチューブ20と対応する高さに配置されることができる。
【0030】
言い換えれば、区画部150は、冷媒流入部51から冷媒流出部55まで熱交換器10の内部を流動する冷媒の全体流路の中で、冷媒流入部51より冷媒流出部55側により近い流路上に配置されるものと理解されることができる。
【0031】
図3を参照して、本実施の形態に係る冷媒の流動を説明する。
【0032】
冷媒は、冷媒流入部51を介して流入して、多数のフラットチューブ20の内部を流動する(
図3にて右側方向に)。冷媒は、冷媒流入部51の上側に位置したバッフル58によって一定高さ以上に上方に流動することが制限されることができる。フラットチューブ20を通った冷媒は、第2ヘッダ100の内部から上方へ流動し、その流動方向が転換されて左側方向に流動する。冷媒は、第2ヘッダ100に備えられるバッフル58によって、一定高さ以上に上方に流動するのが制限されることができる。
【0033】
そして、フラットチューブ20を通った冷媒は、第1ヘッダ50で再度方向転換されてフラットチューブ20を流動する。このような冷媒の循環過程(左側または右側流動)は繰り返され、上述のように、バッフル58によって容易になされることができる。そして、冷媒は、冷媒流入部51から流入して循環しながら冷媒流出口55に向かって上方に、すなわち重力の反対方向に移動されることができる。
【0034】
このような冷媒の循環過程において、冷媒が第2ヘッダ100の上部に至ると、冷媒は、区画部150に沿って上方に流動する。この過程において、冷媒は、区画部150の一方(
図3では、右側)から他方(
図3では、左側)に向かって流動する。一例として、他方は、一方の「反対側」でありうる。
【0035】
すなわち、冷媒は、区画部150を貫通してフラットチューブ20に流動する。そして、冷媒がフラットチューブ20を通過すると、第1ヘッダ50に流入した後、冷媒流出口55を介して熱交換器10の外部に流出する。
【0036】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る第2ヘッダの構成について図面を参照して説明する。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るヘッダアセンブリーの構成を示す斜視図で、
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る区画部の構成を示す斜視図で、
図6は、
図4のIII−III’に沿う断面図である。
【0038】
図4ないし
図6に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る第2ヘッダ100には、冷媒の流動空間を形成するヘッダ本体110と、ヘッダ本体110の前方を遮蔽しフラットチューブ20が結合されるチューブ結合部120とが備えられる。ヘッダ本体110とチューブ結合部120が別に備えられても良く、一つの構成として一体になっても良い。
【0039】
チューブ結合部120には、フラットチューブ20が結合される多数の結合ホール125が形成される。多数の結合ホール125は、フラットチューブ20の数と対応する個数分だけ形成され、縦方向に互いに離隔して形成される。一例として、多数の結合ホール125は、同じ間隔で離隔して配置されることができる。
【0040】
第2ヘッダ100には、第2ヘッダ100内の冷媒流動空間を区画する区画部150が提供される。区画部150は、ヘッダ本体110の上端内側面から下方に延びる。一例として、区画部150は、第2ヘッダ100の上部空間を左右方向に区画し、冷媒が上方移動する場合、冷媒の流動方向に略平行に延びる。
【0041】
詳細に、区画部150には、板状を有する区画部本体151と、区画部本体151に貫通形成され、冷媒の流動方向に沿って配置される多数のホール154、155、156が備えられる。区画部本体151は、第2ヘッダ150の内部空間の一部を区画して冷媒が特定フラットチューブ20に一度に流入するのを防止する「遮断板」として理解されることができる。
【0042】
多数のホール154、155、156は、区画部本体151の一方に沿って流動する冷媒が均一に分配されて区画部本体151の他方に流動できるようにガイドする。
【0043】
詳細に、多数のホール154、155、156には、冷媒の流動方向を基準に最上流側に配置される第1ホール154、第1ホール154から冷媒流動方向に離隔されて配置される第2ホール155、及び第2ホール155から冷媒流動方向に離隔されて配置される第3ホール156が備えられる。
【0044】
すなわち、第2ホール155は、第1ホール154より下流側に位置し、第3ホール156は、第2ホール155より下流側に位置する。一例として、冷媒が区画部150の下部から上部に向かって流動する場合、第1ホール154は、区画部150の下部に位置し、第2ホール155は、区画部150の略中央部に位置し、第3ホール156は、区画部150の上部に位置できる。図面では、上の3個のホールについてのみ図面符号を付して説明したが、図面に開示したように、これらのホールの間には、多数のホールがさらに配置されることができる。
【0045】
多数のホール154、155、156は、互いに異なる大きさを有するよう形成される。詳細に、第2ホール155の直径bは、第1ホール154の直径aより大きく形成され、第3ホール156の直径cは、第2ホール155の直径bより大きく形成される。すなわち、冷媒の流動方向を基準に、上流側に位置したホールの大きさが下流側に位置したホールの大きさより小さく形成されることができる。
【0046】
そして、第1ホール154と第3ホール156との間に多数のホールが配置されることができ、ホールの大きさは、第1ホール154から第3ホール156に行くほど、次第に大きくなるように形成されるものと理解されることができる。
【0047】
一例として、熱交換器10が蒸発器として機能する場合、熱交換器10に流入する冷媒の状態は、二相状態である。そして、冷媒は、熱交換器10を通りながら蒸発して乾度が上昇し、冷媒流出部55に近づくほど、気相の状態に近くなる。
【0048】
気相の冷媒は、液相の冷媒より流速が速いので、冷媒流出部55から吐出する以前に通る多数のフラットチューブ20のうち、少なくとも一つのフラットチューブ20に冷媒の偏り現象が発生できる。特に、ヘッダ50、100が縦方向に配置される場合に重力が作用して、少なくとも一つのフラットチューブ20は、多数のフラットチューブ20のうち、下部に位置したフラットチューブ20である可能性が大きくなる。
【0049】
したがって、本実施の形態は、多数のフラットチューブ20のうち、下部に配置されたフラットチューブ20と対応する位置に第1ホール154を位置させ、上部に位置したフラットチューブ20と対応する位置に第3ホール156を位置させることを特徴とする。言い換えられば、第1、2、3ホール154、155、156は、下側から上側方向に順に配置される。
【0050】
したがって、冷媒は、流動方向を基準に最も近い第1ホール154に偏る傾向が発生するようになるが、第1ホール154の大きさが最も小さく形成されることによって、冷媒は、第1ホール154だけでなく、第1ホール154より大きさが大きな第2ホール155または第3ホール156に均一に分配されて、ホール154、155、156を通過できるようになる。
【0051】
区画部150には、区画部本体151の上面としてヘッダ本体110の上面下側に結合される上面結合部152、及び区画部本体151の下面として遮断リブ158に結合されるリブ結合部153が備えられる。
【0052】
区画部150は、ヘッダ本体110の上面から下方に所定長分だけ延び、区画部150の下端部には、遮断リブ158が結合される。遮断リブ158は、区画部150の下端部から前方に延びてチューブ結合部120に結合される。
【0053】
区画部150によって、第2ヘッダ100の上部の冷媒流動空間は、左右方向に区画される。区画された流動空間には、冷媒が区画部150側に流動するようにする第1流路170、及び区画部150を通過した冷媒がフラットチューブ20側に流動するようにする第2流路180が備えられる。
【0054】
第1流路170の下端部には、冷媒が第1流路170に流入する通路として規定される流路流入部172が形成される。流路流入部172は、第2ヘッダ100の横幅に対応する長さのうち、遮断リブ158の長さを除いた残りの長さに対応する幅を有するようになる。
【0055】
冷媒流入部51に流入する冷媒は、熱交換されながら上昇流動し、第2ヘッダ100の上部に至ると、流路流入部172を介して第1流路170に流入する。
【0056】
そして、ホール154、155、156の大きさ差によって、冷媒は、流動方向を基準に最も近い第1ホール154だけでなく、相対的に大きさが大きな第2ホール155または第3ホール156を介して区画部150を通過できるようになる。すなわち、冷媒は、区画部150の全体断面積を介して均一に分配または通過されることができる。
【0057】
区画部150を通過した冷媒は、第2流路180に沿って流動した後、多数のフラットチューブ20に流入する。多数のフラットチューブ20は、区画部150と略平行に上下方向に配置されるので、冷媒は、多数のフラットチューブ20に均一に分配されて流入することができる。
【0058】
一方、第2流路180の下端部は、遮断リブ158によって遮蔽されるので、冷媒は、第2流路180に直接流入することが制限され、流路流入部172、第1流路170及び区画部150を介して第2流路180に流入することができる。
【0060】
本実施の形態は、区画部150がヘッダ100の上部側、すなわち冷媒の均一な分配が脆弱な部分に提供されて、冷媒の均一な分配をガイドすると説明されたが、これとは異なり、区画部150は、ヘッダ100の下部または中間部に提供されても良く、ヘッダ100の上部から下部に至るまで長く配置されても良い。この場合、ヘッダ100の全体空間にわたって冷媒の均一な分配がガイドされることができる。
【0062】
図5には、多数のホール154、155、156が所定の直径を有する円状を有すると説明されたが、これとは異なり、縦または横方向に切り取ったスリット(slit)の形状を有するように備えられても良い。
【0064】
本実施の形態では、区画部によってヘッダの内部空間のうち、一部空間を区画すると説明されたが、区画部の代わりをして別の配管が提供されることによって、冷媒流路が区画されるように構成されても良い。
【0065】
以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、区画部の構成においてのみ差があるので、差異を中心に説明し、第1の実施の形態と同じ部分に対しては、第1の実施の形態の説明と図面符号を援用する。
【0066】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るヘッダの構成を示す断面図である。
【0067】
図7に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る第2ヘッダ100には、第2ヘッダ100の上部空間を区画する多数の区画部250、260が備えられる。多数の区画部250、260には、遮断リブ158の一方の端部に結合される第1区画部250及び第1区画部250からチューブ結合部120側に離隔されて遮断リブ158に結合される第2区画部260が備えられる。
【0068】
第1区画部250には、冷媒が通過する多数の貫通ホール251、252、253が形成される。多数の貫通ホール251、252、253には、位置上、下方から上方に向かって第1ホール251、第2ホール252及び第3ホール253が含まれる。もちろん、このような3個の貫通ホールの他に、多数のホールがさらに含まれることができる。
【0069】
第1の実施の形態において説明したように、多数の貫通ホール251、252、253の大きさは、第1ホール251から第3ホール253に行くほど、ますます大きくなるように形成されることができる。ただし、第1、2、3ホール251、252、253は、同じ大きさに形成されても良い。
【0070】
第2区画部260には、冷媒が通過する多数の貫通ホール261、262、263が形成される。多数の貫通ホール261、262、263には、位置上下方から上方に向かって第4ホール261、第5ホール262及び第6ホール263が含まれる。もちろん、このような3個の貫通ホールの他に、多数のホールがさらに含まれることができる。
【0071】
第1の実施の形態において説明したように、多数の貫通ホール261、262、263の大きさは、第4ホール261から第6ホール263に行くほど、ますます大きくなるように形成されることができる。ただし、第4、5、6ホール261、262、263は、同じ大きさに形成されても良い。
【0072】
第1区画部250及び第2区画部260によって、第2ヘッダ100の上部空間は、多数の流路170、180、190により区画される。
【0073】
詳細に、多数の流路170、180、190には、流路流入部172を介して第2ヘッダ100の上部に流入した冷媒が第1区画部250側に流動する第1流路170と、第2区画部260を通過した冷媒がフラットチューブ20に流動する第2流路180、及び第1区画部250と第2区画部260との間の空間として第1区画部250を通過した冷媒が第2区画部260に向かって流動する第3流路190が備えられる。
【0074】
一方、第1区画部250と第2区画部260とが互いに対向して配置される状態で、第1区画部250の貫通ホール251、252、253と、第2区画部260の貫通ホール261、262、263とは、互いに異なる高さに形成される。
【0075】
一例として、第4ホール261は、第1ホール251より高く位置し、第5ホール262は、第2ホール252より高く位置し、第6ホール263は、第3ホール253より高く位置する。詳細に、第4ホール261の下端部の位置は、第1ホール251の中心部位置に対応し、第5、6ホール262、263の下端部位置は、第2、3ホール252、253の中心部位置にそれぞれ対応できる。
【0076】
もちろん、これとは反対に、第1、2、3ホール251、252、253が第4、5、6ホール261、262、263より高い位置に形成されても良い。
【0077】
このように、第1区画部250の貫通ホール251、252、253と、第2区画部260の貫通ホール261、262、263とが互いに異なる高さに形成されることによって、第1、2、3ホール251、252、253を通過した冷媒が第4、5、6ホール261、262、263を直に通過する流動が発生することが制限される。
【0078】
したがって、第3流路190での冷媒速度は顕著に減少し、これにより冷媒の運動エネルギーが低下する。結局、流路流入部172を介して流入した冷媒は、第1ホール251に集中することが防止されることができ、むしろ冷媒の慣性力によって第2ホール252または第3ホール253に流動できる。
【0079】
整理すれば、第2ヘッダ100内に多数の区画部を提供し、区画部に各々形成された貫通ホールの高さを異なるように位置させることによって、冷媒の流速を低くすることができ、これにより多数の貫通ホールのうち、下部に位置した貫通ホールだけでなく、上部に位置した貫通ホールまで冷媒が均一に分配されて区画部を通過できるという効果が現れる。
【0080】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るヘッダの構成を示す縦断面図で、
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るヘッダの構成を示す横断面図である。
【0081】
図8及び
図9に示すように、本発明の第3の実施の形態に係るヘッダ100には、ヘッダ本体110及びヘッダ本体110の内部に提供される区画部350が備えられる。
【0082】
区画部350は、内部に冷媒の流動空間を規定するパイプであって、ヘッダ本体110の内部空間を多数の空間に区画するように構成される。ヘッダ本体110内にパイプ形状の区画部350が提供されることによって、本実施の形態に係るヘッダは、「二重管」構造から構成されるものと理解されることができる。これは、区画部がプレート形状にて提供される以前の実施の形態と区別される点である。
【0083】
フラットチューブ20は、ヘッダ本体110の前方に延び、チューブ結合部120は、ヘッダ本体110の前面部を形成する。そして、区画部350には、フラットチューブ20と対向する前面部351、及びフラットチューブ20と対向する方向に形成される後面部355が備えられる。
【0084】
円筒形状の区画部350を考慮する時、前面部351は、区画部350の中心Cを通る縦方向の中心線を基準として前方に位置する。そして、後面部355は、縦方向の中心線を基準として後方に位置する。
【0085】
後面部355には、区画部350の内部を流動する冷媒が区画部350の外側に流動するようにガイドする多数のホール357が形成される。多数のホール357は、縦方向に互いに離隔して配置される。したがって、多数のホール357は、冷媒が区画部350の後方に流動するようにガイドする「ガイドホール」として理解されることができる。
【0086】
区画部350の下側には、遮断リブ358、359が提供される。遮断リブ358、359には、ヘッダ本体110の前面から後方に延びる第1遮断リブ358、及びヘッダ本体110の後面から前方に延びる第2遮断リブ359が備えられる。
【0087】
第1遮断リブ358は、区画部350の一方に結合され、第2遮断リブ359は、区画部350の他方に結合される。遮断リブ358、359によって、区画部350の下側から上方に流動する冷媒は、区画部350の外側に流動することが制限される。
【0088】
区画部350の下端部には、冷媒が流入する流路流入部172が形成される。冷媒は、流路流入部172を介して区画部350の内部に流動する。上述のように、冷媒は、遮断リブ358、359によって流路流入部172に流入するようにガイドされることができる。
【0089】
図9に示すように、区画部350の内部を流動する冷媒は、ホール357を介して後方に排出し、区画部350とヘッダ本体110との間の空間を介して前方にガイドされることができる。ここで、空間は、区画部350の外周面とヘッダ本体110の内周面との間の空間として理解され、冷媒を区画部350の後方から前方に流動させる「前方ガイド流路」として名付けることができる。
【0090】
すなわち、冷媒は、区画部350からフラットチューブ20に直接流動しなくて後方へ移動した後、方向転換されて前方へ移動されることができる。このように、冷媒の流動方向が転換され、冷媒の流動断面積が増加することによって、冷媒速度は減少し、冷媒の運動エネルギーが低下する。結局、流路流入部172を介して流入した冷媒は、多数のホール357のうち、下部に位置したホール357に集中することが防止でき、むしろ冷媒の慣性力によって多数のホール357のうち、上部に位置したホール357に流動できる。
【0091】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係るヘッダの構成を示す縦断面図で、
図11は、本発明の第4の実施の形態に係るヘッダの構成を示す横断面図である。
【0092】
図10及び
図11に示すように、本発明の第4の実施の形態に係るヘッダ100には、ヘッダ本体110及びヘッダ本体110の内部に提供される区画部450が備えられる。区画部450には、第1区画部451及び第1区画部451の内部に提供される第2区画部455が備えられる。
【0093】
第1、2区画部451、455は、それぞれ略円筒形状のパイプであって、ヘッダ本体110の内部空間を多数の空間に区画するように構成される。ヘッダ本体110内にパイプ形状の第1、2区画部451、455が提供されることによって、本実施の形態に係るヘッダは、「3重管」構造から構成されるものと理解されることができる。
【0094】
フラットチューブ20は、ヘッダ本体110の前方に延び、チューブ結合部120は、ヘッダ本体110の前面部を形成する。第1区画部451には、多数の第1ホール452が形成され、第2区画部455には、多数の第2ホール456が形成される。第1ホール452及び第2ホール456は、縦方向に互いに離隔して配置される。
【0095】
第1ホール452及び第2ホール456は、第1、2区画部451、455の各後面部に形成される。「後面部」の概念は、第3の実施の形態で説明した内容を援用する。
【0096】
そして、第1ホール452と第2ホール456とは、互いに異なる高さに形成される。これと関連して、
図7にて説明された内容、すなわち貫通ホール251、252、253と、貫通ホール261、262、263とが互いに異なる高さに形成される内容を援用する。
【0097】
区画部450の下側には、遮断リブ458、459が提供される。遮断リブ458、459には、ヘッダ本体110の前面から後方に延びる第1遮断リブ458、及びヘッダ本体110の後面から前方に延びる第2遮断リブ459が備えられる。
【0098】
第1遮断リブ458は、第2区画部455の一方に結合され、第2遮断リブ459は、第2区画部455の他方に結合される。遮断リブ458、459によって、区画部451、455の下側から上方に流動する冷媒は、第2区画部455の外側に流動することが制限される。
【0099】
第2区画部455の下端部には、冷媒が流入する流路流入部172が形成される。冷媒は、流路流入部172を介して第2区画部455の内部に流動する。上述のように、冷媒は、遮断リブ458、459によって流路流入部172に流入するようにガイドされることができる。
【0100】
図11に示すように、第2区画部455の内部を流動する冷媒は、第2ホール456を介して後方に排出し、第1ホール452を介して後方に排出する。
【0101】
そして、第1区画部451から排出した冷媒は、第1区画部451とヘッダ本体110との間の空間を介して前方にガイドされることができる。ここで、空間は、第1区画部451の外周面とヘッダ本体110の内周面との間の空間として理解される。
【0102】
すなわち、冷媒は、区画部450からフラットチューブ20に直接流動しなく、後方へ移動した後に方向転換されて前方へ移動されることができる。このように、冷媒の流動方向が転換され、冷媒の流動断面積が増加することによって、冷媒速度は減少し、冷媒の運動エネルギーが低下する。結局、流路流入部172を介して流入した冷媒は、第1、2ホール452、456のうち、下部に位置したホールに集中することが防止でき、むしろ冷媒の慣性力によって第1、2ホール452、456のうち、上部に位置したホールに流動できる。
【0103】
そして、第1ホール452と第2ホール456とが互いに異なる高さに形成されることによって、第1ホール452を通過した冷媒が第2ホール456を直に通過する流動が発生することが制限される。したがって、区画部450内での冷媒速度は顕著に減少し、これにより冷媒の運動エネルギーが低下する。
【0104】
図12は、本発明の第5の実施の形態に係るヘッダの構成を示す斜視図で、
図13は、本発明の第5の実施の形態に係るヘッダの構成を示す縦断面図で、
図14は、本発明の第5の実施の形態に係るヘッダの構成を示す横断面図である。
【0105】
図12ないし
図14に示すように、本発明の第5の実施の形態に係るヘッダ100には、前面にフラットチューブ20が結合される結合ホール125を形成するヘッダ本体110、及びヘッダ本体110の内部に提供される区画部550が備えられる。区画部550は、パイプ形状を有し、その内部には、冷媒が流動する流動空間が規定されることができる。
【0106】
そして、区画部550の下側には、冷媒を区画部550の内部に流動するようにガイドする遮断リブ558、559が備えられる。遮断リブ558、559には、ヘッダ本体110の前面から後方に延びる第1遮断リブ558、及びヘッダ本体110の後面から前方に延びる第2遮断リブ559が備えられる。第1、2遮断リブ558、559の構成は、
図8にて説明した遮断リブ358、359の構成と似ているので、ここでは、具体的な説明を省略する。
【0107】
区画部550の下端部には、冷媒が区画部550の内部に流動するようにガイドする流路流入部172が形成される。
【0108】
フラットチューブ20は、ヘッダ本体110の前方に延び、チューブ結合部120は、ヘッダ本体110の前面部を形成する。そして、区画部550の外周面には、フラットチューブ20と対向する前面部551、及びフラットチューブ20と対向する方向に形成される後面部553が備えられる。
【0109】
そして、後面部553には、区画部350の内部を流動する冷媒が区画部550の外側に流動するようにガイドする多数のホール555、556、557が形成される。多数のホール555、556、557は、縦方向に互いに離隔して配置される。したがって、多数のホール555、556、557は、冷媒が区画部550の後方に流動するようにガイドする「ガイドホール」として理解されることができる。
【0110】
多数のホール555、556、557には、区画部550の下部に形成される第1ホール555、第1ホール555の上側に配置される第2ホール556、及び第2ホール556の上側に配置される第3ホール557が備えられる。冷媒の流動方向は、区画部550の下部から上方に向かうと規定される。
【0111】
第1、2、3ホール555、556、557は、互いに異なる大きさを有するよう形成される。詳細に、第2ホール556の直径は、第1ホール555の直径より小さく形成され、第3ホール557の直径は、第2ホール556の直径より小さく形成される。すなわち、冷媒の流動方向を基準に、上流側に位置したホールの大きさが下流側に位置したホールの大きさより大きく形成されることができる。
【0112】
そして、第1ホール555と第3ホール557との間に多数のホールが配置されることができ、ホールの大きさは、第1ホール555から第3ホール557へ行くほど、ますます小さくなるように形成されるものと理解されることができる。
【0113】
区画部550の内部流動空間は、ヘッダ本体110の内部空間より小さく形成される。したがって、冷媒が区画部550の下側のヘッダ本体110から区画部550の内部に流動すると、狭くなった流動空間のため、冷媒の流動速度が増加するようになる。
【0114】
この場合、冷媒の慣性または運動量(momentum)に応じて、冷媒流動が区画部550の上部側に偏る現象が発生できる。特に、ヘッダ100を流動する冷媒の全体流量が多いほど、区画部550の下部よりは上部側に冷媒が偏る現象が激しくなることができる。
【0115】
すなわち、第1の実施の形態の思想と比較する時、熱交換器またはヘッダを通過する冷媒の全体流量が設定された流量以上の場合、本実施の形態に係るホールの構造を採択することが有利になりうる。
【0116】
したがって、本実施の形態では、区画部の下部より上部側に位置したホールの大きさがより小さく形成されて、冷媒が区画部の上部側に偏る現象を防止できる。結局、冷媒は、区画部の下部から上部に至るまで均一に分配されることができる。
【0117】
図14に示すように、冷媒は、区画部550の内部から後方または側方に向かって排出した後、前方に方向転換され、フラットチューブ20に流動できる。
【0118】
図15は、本発明の第6の実施の形態に係る区画部の構成を示す断面図である。
【0119】
図15に示すように、本発明の第6の実施の形態に係る区画部650には、冷媒の流動空間または流動断面積を変化させるための傾斜面651が備えられる。ここで、区画部650は、パイプ形状を有することができる。
【0120】
図15の断面図は、区画部650を縦方向に切り取った図であって、図示の台形の断面積の変化は、冷媒の流動断面積が上方に向かって減少することとして理解されることができる。台形の一面は、傾斜面651を形成できる。
【0121】
傾斜面651は、縦方向の仮想の線を中心に断面積が小さくなる方向に傾斜するように延びることができる。冷媒の流動方向、すなわち上方に向かって流動断面積が小さくなることによって、冷媒の流動速度は、上方に向かって増加できる。
【0122】
区画部650には、上方へ行くほど直径が小さくなる第1ホール653、第2ホール655及び第3ホール657が備えられる。区画部650の下部から上部に向かって、第1ホール653、第2ホール655及び第3ホール657が順に配列されることができる。
【0123】
区画部650の流動断面積が上部へ行くほど狭くなるにつれて、冷媒の流動速度が増加することに対し、第1ホール653の大きさが小さく形成されることによって、区画部650の上部側に冷媒が偏る現象が防止できる。結局、区画部650の下部から上部に至るまで冷媒が均一に分配されて、フラットチューブ20に流入するようになる。
【0125】
以上の実施の形態では、区画部が上部に向かって断面積が小さくなる方向に傾斜すると説明したが、これとは異なり、下部に向かって断面積が小さくなる方向に傾斜するように形成されても良い。
【0126】
この場合、冷媒が区画部の上部に流動しながら流動断面積が増加することによって、冷媒の流動速度が減少できる。したがって、多数のホールは、上部へ行くほど、その直径が大きくなるように構成されることができる。
【0127】
このような区画部の形状またはホールの大きさは、冷媒の流量または流速に応じて適宜に選択されることができる。
【0129】
上の実施の形態では、区画部650が傾斜するように形成されると説明されたが、ヘッダ本体110が
図15に示すように傾斜するように形成されて、冷媒の流動断面積を変化させるように構成されても良い。この場合、区画部は、ヘッダ本体の内部空間を区画するプレート形状にて提供されることができる。