(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
リチウム電池などに用いられる電極体は、セパレータを挟んで複数の正極シート(正極板)および負極シート(負極板)を積層することにより製造される。極板(電極板(電極シート)、正極板(正極シート)または負極板(負極シート))を予めセパレータにより挟んだ状態の部材、いわゆる、袋入りの極板を用いる製造方法において、袋状のセパレータ内の極板の位置精度がさらに高く、電極体の製造にさらに適した袋入りの極板を供給することが要望されている。 本発明の一態様は、第1の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を幅方向に少なくとも部分的に貼り合せる第1の貼り合せユニットを有する装置である。この装置は、さらに、第1のセパレータ帯を第1の位置へ供給する第1の搬送ユニットと、第2のセパレータ帯を、第1の位置へ、第1のセパレータ帯に対し角度をなすように供給する第2の搬送ユニットと、極板を、第1の位置へ、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯の間で、それぞれに対し角度をなすように、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を第1の位置で幅方向に貼り合せるタイミングに同期して供給する第3の搬送ユニットとを有する。
【0004】
本発明の他の態様の1つは、極板を挟んだ状態で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯が極板の周囲の少なくとも一部で貼り合された部品を製造することを有する方法である。この方法の一例は、電極組立体を製造する方法、電極組立体を含む電池の製造方法、上記装置の制御方法である。貼り合された部品を製造することは、以下の工程を含む。
1.第1のセパレータ帯を第1の位置へ供給するとともに、第2のセパレータ帯を第1の位置へ第1のセパレータ帯に対し角度なすように供給し、第1の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を幅方向に少なくとも部分的に貼り合せること(幅方向に貼り合せる工程)。
2.電極を、第1の位置へ、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯の間で、それぞれに対し角度をなすように、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を第1の位置で幅方向に貼り合せるタイミングに同期して供給すること(極板を供給する工程)。
【0005】
袋入りの極板を製造する場合、予め袋状に成形されたセパレータに対し極板を確実に挿入する方法は、極板に対しある程度大きなサイズの袋を形成する必要がある。このため、袋状のセパレータ内における極板の位置精度を向上することが難しい。極板をセパレータに搭載したり、挟んだ状態で袋状に成形する方法は、セパレータ内の極板を避けて、セパレータのみを溶着するためにある程度の誤差を見込む必要がある。したがって、袋状の(袋化された)セパレータ内における極板の位置精度を向上することが難しい。
【0006】
上記の装置および方法においては、セパレータ同士を溶着等により貼り合せる第1の位置へ、極板を異なる角度から、セパレータ同士を貼り合せるタイミングに同期して供給する。したがって、予め袋状に成形されたセパレータに極板を挿入する必要はなく、また、極板を挟んだ状態でセパレータを貼り合せる必要がない。このため、袋状のセパレータ内における極板の位置精度を向上できる。さらに、セパレータ同士を貼り合せる第1の位置へ、極板を異なる角度からセパレータ同士を貼り合せるタイミングに同期して供給するので、袋状のセパレータ内における極板の位置精度を向上できる。
【0007】
第3の搬送ユニットは、極板を断続的に、第1の位置へ、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯の搬送速度よりも高速で供給するフィーダを
含む。第1の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯が貼り合された直後に極板の先端が第1の位置に到達するように、フィーダにより極板を供給できる。このため、セパレータ同士を貼り合せた部分と極板とのクリアランスを小さくでき、袋状のセパレータ内における極板の位置精度を向上できる。
【0008】
この装置は、第1の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯が溶着された直後に極板の先端が第1の位置に到達するように、フィーダにより極板を供給する制御ユニットを
有する。また、極板を供給する工程は、極板を断続的に、第1の位置へ、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯の搬送速度よりも高速で、第1の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯が貼り合された直後に極板の先端が前記第1の位置に到達するように極板を供給
する。
【0009】
この装置は、さらに、第1の位置の下流の第2の位置で、第1の貼り合せユニットと同期して、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯の少なくとも一方の縁に沿って、少なくとも部分的に貼り合せる第2の貼り合せユニットとを有することが望ましい。また、貼り合された部品を製造することは、第1の位置の下流の第2の位置で、幅方向に少なくとも部分的に貼り合せることと同期して、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を、第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯の少なくとも一方の縁に沿って貼り合せること(縁に沿って貼り合せる工程)を含むことが望ましい。セパレータ帯を縁に沿って縦方向に貼り合せることにより極板をセパレータにより袋詰めできる。
【0010】
第1および第2の貼り合せユニットはリニアに同期して動くタイプであってもよい。また、第1の貼り合せユニットおよび第2の貼り合せユニットはロータリータイプであってもよい。これらの貼り合せユニットがロータリータイプであり、さらに、第2の位置の下流の第3の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を搬送する搬送ローラーを有する装置は、第1の貼り合せユニット、第2の貼り合せユニットおよび搬送ローラーをドロー制御するユニットを有することが好ましい。
【0011】
第1の位置で袋状のセパレータ内における極板の位置が精度よく決まった状態で、ドロー制御された第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯に極板を挟み込んで第2の位置に搬送できる。このため、ロータリータイプの貼り合せユニットにより、セパレータ帯の縁に沿った所定の位置を精度よく貼り合せできる。
【0012】
また、貼り合された部品を製造することは、さらに、第2の位置の下流の第3の位置で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を搬送ローラーにより搬送することと、第1の貼り合せユニット、第2の貼り合せユニットおよび搬送ローラーをドロー制御することとを含むことが望ましい。
【0013】
貼り合せユニットは、熱圧着するユニット、セパレータ帯を機械的に変形させて貼り合せるなどの、セパレータ帯を接着剤などの他の部材を用いずに貼り合せるユニットであることが望ましい。電池の諸性能への影響を抑制できる。貼り合せユニットの典型的なものは、溶着により第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯を貼り合せる溶着ユニットである。装置は、さらに、溶着により貼り合された部分の通過を検出するセンサー群を有し、ドロー制御するユニットは、溶着部分の通過によりドロー値を判断する機能を含むことが望ましい。
【0014】
セパレータにインクジェットなどの方法によりマーキングしてもよく、マーク用の切り込みなどを入れてもよい。しかしながら、貼り合せた部分とマーキングとの位置精度を高める必要があり、切り込みなどを入れると張力により分断される可能性がある。セパレータを溶着により貼り合せた部分は、色、透光性または反射性が変わる。したがって、光学センサーにより貼り合せた部分を直に検出でき、貼り合せた部分の通過によりドロー値を制御することが可能である。
【0015】
さらに、この装置は、溶着により貼り合せた部分を検出し、溶着により貼り合せた部分のほぼ中央で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯をカットするカッターを有することが望ましい。溶着により貼り合せると、上述したように光学センサーで貼り合せた部分を検出できる。このため、カッターの直前で貼り合せた部分を検出して、そのほぼ中央でカットすることにより、袋状のセパレータ内における極板の位置精度をさらに向上できる。
【0016】
また、製造方法等における、貼り合された部品を製造することは、さらに、溶着により貼り合された部分を検出し、溶着により貼り合された部分のほぼ中央で第1のセパレータ帯および第2のセパレータ帯をカットすることを含むことが望ましい。
【0017】
また、この装置は、第3の搬送ユニットへ極板を供給する供給コンベアを有することが望ましい。供給コンベアは、極板が上流から下流の第3の搬送ユニットに向かう方向に可動な状態で搭載される第1の搬送面を形成する第1のユニットと、第1の搬送面の第1の縁に沿って極板を上流から下流の方向に可動な状態でガイドする第2の搬送面を形成する第2のユニットとを含む。さらに、第2の搬送面は、第1の搬送面に対し下方に配置された第1の領域と、第1の領域と連続した領域であって、第1の搬送面に対し上方に配置された第2の領域とを含む。
【0018】
この供給コンベアの第2の搬送面の第1の領域は、第1の搬送面に対し下方に配置される。このため、第1の領域は第1の搬送面に載せられる極板に対して非接触である。しかしながら、第2の領域と連続した第1の領域を設けることにより、薄板状の極板であっても、極板を第2の搬送面の第2の領域に確実に当ててガイドできる。このため、薄い極板を第1の搬送面および第2の搬送面で搬送しながら所定の向きにアライメントでき、アライメントに要する時間を短縮できる。
【0019】
この供給コンベアは、第3の搬送ユニットに対して極板を供給するだけではなく、薄物を搬送する汎用の搬送装置として提供することも可能である。このタイプの搬送装置は、極板に限らず薄い板状あるいはシート状の部材、部品、商品あるいは製品を所定の位置にコンベアとして搬送するとともに、コンベアから出力される際のそれらの薄物を所定の姿勢に整える(アライメントする)ことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に極板を袋詰めする装置の概略構成を示している。この袋詰め装置1は、極板13を第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12で挟み、セパレータを第1の貼り合せユニット10および第2の貼り合せユニット20により貼り合せして袋詰めにする装置である。極板13は典型的には正極板(正極シート)であり、負極板(負極シート)であってもよい。この装置1は、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を第1の位置P1で貼り合せる第1の貼り合せユニット10と、第1のセパレータ帯11を第1の位置P1に供給する第1の搬送ユニット110と、第2のセパレータ帯12を第1の位置P1に供給する第2の搬送ユニット120と、極板13を第1の位置P1に供給する第3の搬送ユニット130と、第1の貼り合せユニット10とを含み、その下流に配置された袋詰めユニット140と、第3のユニット130に極板13を搬送する供給コンベア139とを含む。
【0022】
第1の搬送ユニット110は、上流側より順番に配置された、セパレータロール111の引き出し量を制御するテンションコントローラー119と、セパレータ帯11を大気圧放電プラズマにより処理するイオナイザ118と、テンションセンサー117と、セパレータ継ぎ部115と、ガイドローラー113および112とを備えている。テンションコントローラー119は、エッジポジション制御機能付きであり、エッジ位置を検出するセンサー119aと、エッジ位置制御用駆動部119bと、テンション制御用モーター119cと、テンション制御用のパウダークラッチ119dと、セパレータロール111の回転を制御するエアーシャフト119eとを含む。
【0023】
テンションセンサー117は、段差ローラータイプであり、セパレータ帯11に対して適度なテンション(バックテンション、張力)が与えられるように複数のローラーの相対的な位置を制御する。セパレータ継ぎ部115には複数のセパレータ押さえシリンダ115aが配置されており、セパレータ帯11を一時的に保持してロール111を交換したり、継いだりすることができるようになっている。
【0024】
ガイドローラー113および112は、セパレータ帯11の供給方向を制御するローラーである。ガイドローラー113は、セパレータ帯11の供給方向を後述する極板13の供給方向Xに対し直交する方向Yに変換し、Y方向の上側から下側に向かって搬送されるように変更する。ガイドローラー112は、セパレータ帯11の供給方向を供給方向Xに対して時計方向に角度θ(+θ)だけ傾いた方向になるように変換する。
【0025】
第2の搬送ユニット120は、第1の搬送ユニット110と共通した構成である。第2の搬送ユニット120は、セパレータロール121の引き出し量を制御するテンションコントローラー119と、セパレータ帯12を大気圧放電プラズマにより処理するイオナイザ118と、テンションセンサー117と、セパレータ継ぎ部115と、ガイドローラー123および122とを備えている。ガイドローラー123は、セパレータ帯12の供給方向を、極板13の供給方向Xに対し直交する方向Yで、セパレータ帯11の供給方向と逆の、下側から上側に向かって搬送されるように変更する。ガイドローラー122は、セパレータ帯12の供給方向を供給方向Xに対して反時計方向に角度θ(−θ)だけ傾いた方向になるように変換する。
【0026】
第3の搬送ユニット130は、供給コンベア139から供給される切断済みの極板13を、セパレータ同士を貼り合せる第1の位置P1へ供給する。第3の搬送ユニット130は、第1の位置P1へ極板13を高速で供給する極板フィーダ131と、極板コンベア139から極板フィーダ131へ極板13を供給する際のバッファリング機能とアライメント調整機能とを備えたエアー浮上微傾斜テーブル(エアー浮上テーブル)135と、供給コンベア139からエアー浮上テーブル135へ極板13が供給されるタイミングを制御する第1の極板エスケープシリンダ(第1のゲート)138と、エアー浮上テーブル135から極板フィーダ131へ極板13が供給されるタイミングを制御する第2の極板エスケープシリンダ(第2のゲート)133とを含む。
【0027】
エアー浮上微傾斜テーブル135は、極板13のエッジの位置を決める凸状のガイド135cに向かって微小な角度で傾斜した傾斜面135bと、この傾斜面135bの上で極板13を浮上させて極板フィーダ131に向けて搬送する極板エアーブロー用のノズル135aとを含む。エアー浮上微傾斜テーブル135では、ノズル135aから傾斜面135bに沿って搬送方向(X方向)に放出された圧縮空気により、ガイド135cによりアライメントされた極板13が浮上した状態で極板フィーダ131に向けていつでも放出できる状態で待機する。
【0028】
極板フィーダ131は、フィードローラー131aと、フィードローラー131aを回転駆動するサーボモーター131bと、補助ローラー131cとを含む。極板フィーダ131は、フィードローラー131aなどが常時回転しており、第2のゲート133が開いてエアー浮上テーブル135から極板13が送られてくると、フィードローラー131aと補助ローラー131cとで極板13を挟み、セパレータ帯11および12よりも早い速度で極板13を第1の位置P1に向けて送り出す。
【0029】
第3の搬送ユニット130は、さらに、供給コンベア139の上の極板13のエッジを検出する第1のセンサー151と、エアー浮上テーブル135の上の極板13のエッジを検出する第2のセンサー152と、極板フィーダ131から供給された極板13のエッジを検出する第3のセンサー153とを含む。これらのセンサー151〜153は、極板13の先端または後端を光学的に検出する。センサー151〜153は、極板13の位置を画像解析により、あるいはメカ的に検出するものであっても良い。
【0030】
袋詰めユニット140は、第3の搬送ユニット130により搬送された極板13を、第1の搬送ユニット110により上方から供給された第1のセパレータ帯11と、第2の搬送ユニット120により下方から供給された第2のセパレータ帯12とにより袋詰めする。袋詰めユニット140は、極板13を第1のセパレータ帯11と第2のセパレータ帯12とにより挟み込んでセパレータ同士を溶着により貼り合せする溶着ライン141と、溶着されたセパレータ同士をカットするカッティング部145とを含む。
【0031】
溶着ライン141は、最初の溶着する位置(第1の位置)P1から下流に向かって順番に、セパレータ同士を幅方向に溶着して貼り合せ、第1の溶着部分h1を形成する第1の貼り合せユニット(第1の溶着ユニット、横溶着ユニット)10と、セパレータ同士の縁(エッジ)を供給方向(X方向)に溶着して貼り合せ、第2の溶着部分h2を形成する第2の貼り合せユニット(第2の溶着ユニット、縦溶着ユニット)20と、溶着されたセパレータ帯11および12を極板13を含めて搬送するフィルム送りユニット(フィルムフィーダ)30とを含む。
【0032】
カッティング部145は、溶着ライン141の動きと下流のロータリーカッター50の動きとを連携させる同期制御用のロータリエンコーダ40と、溶着された第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を第1の溶着部分h1でカットするロータリーカッター50と、カットされた袋詰め電極15を取り出すコンベア60とを含む。
【0033】
第1の溶着ユニット10はロータリータイプであり、テープ状の第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12に幅方向(横方向)の溶着を施すロータリーヒーター(ヒートローラ)16と、ロータリーヒーター16を回転駆動するサーボモーター17と、補助ローラー18とを含む。ロータリーヒーター16は、回転対称な位置に軸方向に延びた加熱領域(不図示)を備えている。
【0034】
なお、以下では、ロータリーヒーターを用いて溶着する例を説明するが、セパレータ同士を溶着する方法は加熱に限らず、超音波、レーザーなどの他の方法を用いるものであってもよい。また、セパレータ同士を貼り合せる方法(貼りつける方法、接合する方法)は、溶着に限らず、熱圧着などの溶融を伴わない方法、針なしステープラーのように機械的にセパレータ同士を変形させて貼り合せる方法などを採用してもよい。薬剤を用いてセパレータ同士を貼り合せる方法を採用することも可能であるが、薬剤としては、電池の性能に影響を与えないもの、あるいは電解液と同等のものを採用することが好ましい。
【0035】
第2の溶着ユニット20は、第1の位置P1の下流の第2の位置P2においてテープ状の第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12の端に沿って縦方向の溶着を施すロータリーヒーター(ヒートローラ)26と、ロータリーヒーター26を回転駆動するサーボモーター27と、補助ローラー28とを含む。ロータリーヒーター26は、周方向に延びた加熱領域(不図示)を備えている。
【0036】
フィルムフィーダ30は、第2の位置P2の下流の第3の位置P3で第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を同時に搬送する搬送ローラーとして機能する。フィルムフィーダ30は、駆動ローラー31と、駆動ローラー31を回転駆動するサーボモーター32と、補助ローラー33とを含む。
【0037】
ロータリーカッター50は、第3の位置P3の下流の第4の位置P4において第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を、貼り合された状態で同時にカットする。ロータリーカッター50は、回転対称な位置に軸方向に延びた歯を含むカッター51と、カッター51を回転駆動するサーボモーター52と、補助ローラー53とを含む。
【0038】
袋詰めユニット140は、さらに、第2の溶着ユニット20の上流に配置された第4のセンサー154と、フィルムフィーダ30の上流に配置された第5のセンサー155と、ロータリーカッター50の上流に配置された第6のセンサー156と、取り出しコンベア60をモニタリングする第7のセンサー157とを含む。第4のセンサー154、第5のセンサー155および第6のセンサー156は、第1の溶着ユニット10によりセパレータ帯11および12に幅方向(横方向)に形成された第1の溶着部分h1を光学的に検出するセンサーである。
【0039】
セパレータ帯11および12は、極板同士の短絡を防止するもので、電解液を保持する機能を備えてもよい。セパレータ帯11および12は、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン等から構成される微多孔性膜であり、過電流が流れると、その発熱によって膜の空孔が閉塞され電流を遮断する機能をも有する。セパレータは、ポリオレフィンなどの単層膜のみに限られず、ポリプロピレン層をポリエチレン層でサンドイッチした三層構造や、ポリオレフィン微多孔膜と有機不織布などを積層したものも用いることができる。
【0040】
セパレータ帯11および12を構成するこれらの素材は、溶着温度、たとえば120〜140℃以上に加熱されると、変色したり、不透明であったものが透光性を持つなどの変化を示す。したがって、第1の溶着部分h1を、適当な光学センサーにより検出できる。このため、第1の溶着部分h1が通過したことを検出することにより、セパレータ帯11および12の移動速度をローカルであるいはリモートで検出できる。また、第1の溶着部分h1が通過したことを検出することにより、ロータリーカッター50で第1の溶着部分h1を切断するタイミングを微調整できる。
【0041】
なお、リチウム電池用の電極体を構成する極板13の1つは正極シート(正極板)である。正極シート(正極板)は、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)などの正極活物質と、カーボンブラックなどの導電材と、ポリ四フッ化エチレンの水性ディスパージョンなどの接着剤とを含む正極活性材を正極側集電体としてのアルミニウム箔などの金属箔の両面に塗着、乾燥させ、圧延したのち所定の大きさに切断したものである。
【0042】
極板13の他の1つは負極シート(負極板)である。負極シート(負極板)は、負極活性材を、負極側集電体としてのニッケル箔或いは銅箔などの金属箔の両面に塗着、乾燥させ、圧延したのち所定の大きさに切断したものである。負極活性材は、非晶質炭素などの正極活物質のリチウムイオンを吸蔵および放出する負極活物質を含む。極板13、すなわち、正極シートまたは負極シートは、リチウム電池用の電極体に限定されず、他のタイプの電池用の電極体であってもよく、燃料電池用の電極体であってもよい。
【0043】
図2は袋詰め装置1のブロック図である。袋詰め装置1は、第1の搬送ユニット110、第2の搬送ユニット120、第3の搬送ユニット130および袋詰めユニット140を構成する各装置を制御する制御ユニット200を含む。制御ユニット200は、CPUおよびメモリなどのコンピュータ資源を含む。制御ユニット200は、プログラム(プログラム製品)により袋詰め装置1の各ユニットを制御する。制御ユニット200は、極板13を、セパレータ同士を貼り合せる第1の位置P1に適切なタイミングで極板フィーダ131により極板13を送り込む極板供給制御機能(極板供給制御ユニット、供給制御ユニット)210と、袋詰めユニット140の送り量を制御するドロー制御機能(ドロー制御ユニット)220とを含む。
【0044】
供給制御ユニット210は、第3の搬送ユニット130を構成する機器を制御し、極板13を、第1の位置P1へ、セパレータ帯11および12が貼りあわされるタイミングに同期して供給する。さらに具体的には、供給制御ユニット210は、第1の位置P1において第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12が溶着された直後に極板13の先端13eが第1の位置P1に到達するように、極板フィーダ131により極板13をX方向に搬送する。
【0045】
そのため、供給制御ユニット210は、第3の搬送ユニット130のエアー浮上テーブル135と極板フィーダ131との間の第2のゲート133を適切な時刻t1に開ける。その結果、エアー浮上テーブル135の上でエアー源134から供給されたエアーにより微小に浮上した状態でスタンバイしている極板13が、極板フィーダ131に送り込まれる。極板フィーダ131に送り込まれた極板13は、フィードローラー131aおよび補助ローラー131cに挟み込まれた状態で加速され、X方向に搬送される。
【0046】
第1の溶着ユニット10のロータリーヒーター16は、1または複数の溶着領域16aを含む。ロータリーヒーター16の回転速度が一定、または制御されていれば、所定の周期で第1の位置P1において溶着(横溶着)が行われる。本例のロータリーヒーター16は回転対称な位置(180度の位置)に2つの溶着領域16aを含む。このため、ロータリーヒーター16が半回転する度に溶着が行われ、第1および第2のセパレータ帯11および12が溶着され、幅方向に延びた第1の溶着部分h1が形成される。
【0047】
供給制御ユニット210は、第2のゲート133が開いてから、極板13が極板フィーダ131により搬送され、極板13の先端13eが第1の位置P1に到達するまでの時間Tが予めセットされている。供給制御ユニット210は、第1の溶着ユニット10で定期的に溶着が行われるのに同期して、第1の溶着部分h1が形成されるタイミング(時刻)より時間Tだけ前の時刻t1に第2のゲート133を開いて、極板フィーダ131に極板13を供給する。
【0048】
その結果、第1の位置P1で第1の溶着部分h1が形成されるのとほとんど時間差のないタイミング(ほぼ同時または直後)で、極板13の先端13eが第1の位置P1に到達する。その後、第1の溶着ユニット10はロータリーヒーター16の溶着領域16a以外の場所と、サブローラー18とにより、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を挟みこんだ状態でX方向に送り出す。したがって、極板13は、第1の溶着部分h1に先端13eがほぼ当たった状態で第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12に挟み込まれ、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12とともに下流の第2の溶着ユニット20に向けて搬送される。
【0049】
供給制御ユニット210は、第1の位置P1へ供給された極板13が第1および第2のセパレータ帯11および12とともに搬送されている状態を第3のセンサー153により確認する機能を含む。供給制御ユニット210は、さらに、第2のゲート133の上流における極板13の状態(スタンバイ状況)を第2のセンサー152で確認する機能と、第1のゲート138の上流における極板13の状態を第1のセンサー151で確認する機能とを含む。
【0050】
第1の位置P1の上流では、第1の搬送ユニット110のガイドローラー112により、第1のセパレータ帯11が、極板13が供給されるX方向に対して時計方向に角度θだけ傾いて供給される。また、第2の搬送ユニット120のガイドローラー122により、第2のセパレータ帯12が、極板13が供給されるX方向に対して反時計方向に角度θだけ傾いて供給される。したがって、この袋詰め装置1においては、第2のセパレータ帯12は、第1の位置P1へ、第1のセパレータ帯11に対し、Y方向(極板13の供給方向と直交する方向)に角度2θをなすように供給される。さらに、極板13は、第1の位置P1へ、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12の間で、それぞれに対しY方向に角度θをなすように供給される。
【0051】
このため、袋詰め装置1において、極板13は、第1の位置P1へ到達するまでの間、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12と接触することなく、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12とは独立して第1の位置P1へ搬送される。したがって、極板13を、セパレータ帯11および12の搬送速度と異なる、早い速度で、セパレータ帯11および12が溶着される第1の位置P1へ送り込むことが可能となる。このため、セパレータ帯11および12が溶着された位置、すなわち、第1の溶着部分h1に当たるあるいは近接する位置に、精度よく極板13を収めることができる。このように、装置1においては、袋状になったセパレータ帯11および12の中における極板13の位置精度を向上できる。
【0052】
図3(a)に、第1の位置P1において溶着により貼り合されたセパレータ帯11および12に極板13が収納された様子を示している。第1の溶着部分h1が第1の位置P1において形成された直後に、極板13は先端13eが第1の位置P1に到達するように送り込まれる。したがって、第1の溶着部分h1と極板13の先端13eとの間隔Wcを非常に狭くすることができ、たとえば、0.5mm以下にすることができる。第1の溶着部分h1と極板13の先端13eとの間(クリアランス)を小さくすることにより、袋状になったセパレータ帯11および12の中における極板13の位置精度を向上できる。たとえば、この袋詰め装置1において、第1の溶着部分h1の幅(X方向の長さ)は約2.0mmであり、隣り合う極板13同士の間隔を3.0mm±0.5mmに制御できる。
【0053】
ドロー制御機能220は、第1の溶着ユニット10、第2の溶着ユニット20、フィルムフィーダ30およびロータリーカッター50のそれぞれのサーボモーター17、27、32、52の回転(送り量)を、ぞれぞれのユニット10、20、30および50において所定のドロー値(張りの程度)が得られるようにモーションコントロールする。たとえば、ドロー制御機能220は、ロータリーカッター50のサーボモーター52およびフィルムフィーダ30のサーボモーター32を、フィルムフィーダ30のセパレータ帯11および12の送り速度に対して、ロータリーカッター50の送り速度が若干早くなるように相対的に制御する。
【0054】
同様に、ドロー制御機能220は、フィルムフィーダ30のサーボモーター32の速度、第2の溶着ユニット20のサーボモーター27の速度、第1の溶着ユニット10のサーボモーター17の速度を、上流の機器のセパレータ帯11および12の送り速度に対して下流の機器のセパレータ帯11および12の送り速度が大きくなるように相対的に制御する。ドロー制御機能220は、袋詰めユニット140の4つのサーボモーターのモーションコントロールをしてもよく、第1の搬送ユニット110のテンションコントローラー119のサーボモーター119cおよび第2の搬送ユニット120のテンションコントローラー119のサーボモーター119cを含めた、6つのサーボモーターのモーションコントロールをする機能を備えていてもよい。
【0055】
ドロー制御機能220は、それぞれのユニット20、30および50におけるセパレータ帯11および12の通過速度を第4のセンサー154、第5のセンサー155および第6のセンサー156により検出する機能を含む。これらのセンサー154〜156は、セパレータ帯11および12の中で色が変わった第1の溶着部分h1を検出する。第1の溶着部分h1は、セパレータ帯11および12に所定のピッチ(間隔)で形成されるので、第1の溶着部分h1が検出される間隔(周期)を知ることにより、各ユニット20、30および50におけるセパレータ帯11および12の速度(速度差)が判明する。このため、ドロー制御機能220は、各ユニット20、30および50の間のセパレータ帯11および12に所定のドロー値(張力)が得られるようにドロー制御することができる。
【0056】
袋詰めユニット140のサーボモーターをドロー制御することにより、袋詰めユニット140の各ユニット10、20、30および50を通過するセパレータ帯11および12には一定の張力が与えられる。したがって、セパレータ帯11および12は、極板13を挟み込んだ状態で緩んだり撓んだり、さらには皺になったりすることなく、これらのユニット10、20、30および50の間を移動する。このため、袋状になったセパレータ帯11および12の内部における極板13の位置精度を保持しながら、セパレータ帯11および12をロータリーカッター50まで搬送できる。
【0057】
図3(b)に、第2の位置P2において、第2の溶着ユニット20によりセパレータ帯11および12が縁に沿って貼り合わされ、第2の溶着部分h2が形成される様子を示している。第2の溶着ユニット20のロータリーヒーター26は、
図2に示すように、セパレータ帯11および12の端(エッジ)の部分に当たる周方向に沿って設けられた溶着領域26aを含む。制御ユニット200は、第2の溶着ユニット20の上流の第4のセンサー154により、第1の溶着ユニット10により形成された第1の溶着部分h1を検出し、第1の溶着部分h1に同期して第2の溶着ユニット20により第2の溶着部分h2を形成する溶着制御機能212を含む。
【0058】
第1の溶着部分h1を検出することにより、第2の溶着ユニット20のサーボモーター27がドロー制御されて速度が可変になっている場合であっても、セパレータ帯11および12の所定の場所に縦方向の第2の溶着部分h2を形成できる。このため、セパレータ帯11および12に挟まれた極板13を精度よく第1の溶着部分h1および第2の溶着部分h2で囲い、セパレータ帯11および12を袋化する。さらに、袋状になったセパレータ帯11および12内の極板13の位置精度を向上できる。セパレータから突き出る状態となる極板13の端子部13aの側のセパレータ帯11および12の縁にも、セパレータ帯が延びた方向(縦方向)に溶着部分を形成してもよい。
【0059】
図3(c)に、第4の位置P4において、ロータリーカッター50によりセパレータ帯11および12が第1の溶着部分h1のほぼ中心でカットされる様子を示している。制御ユニット200は、ロータリーカッター50の上流の第6のセンサー156により、第1の溶着ユニット10により形成された第1の溶着部分h1を検出し、第1の溶着部分h1に同期してセパレータ帯11および12をカットするカッター制御機能214を含む。第1の溶着部分h1を検出することにより、サーボモーター52および上流のユニットのサーボモーターがドロー制御されて速度が可変になっている場合であっても、第1の溶着部分h1の中央部分C1を認識し、その位置C1でセパレータ帯11および12をカットできる。
【0060】
このため、
図3(d)に示すように、袋詰め装置1により、極板13が袋状に加工されたセパレータ帯11および12に挟まれた、いわゆる袋入りの極板であって、寸法精度が高く、袋状のセパレータ内における極板の位置のばらつきの少ない製品15を提供できる。
【0061】
図4に、袋詰め装置1を制御してセパレータの袋入り極板、あるいは極板を含む袋化されたセパレータ(部品または製品)15を製造する工程80をフローチャートにより示している。この工程80で製造される、極板を挟んだ状態でセパレータ帯11およびセパレータ帯12が極板13の周囲の少なくとも一部で貼り合された部品15は、他方の電極、たとえば負極シートと交互に積層することにより電池用の電極組立体を製造し、提供できる。さらに、電極組立体を電解液とともにケースに収納することにより電池、たとえばリチウム電池を製造し、提供できる。
【0062】
この工程80では、まず、ステップ81において、第1のセパレータ帯11を第1の位置P1へ供給するとともに、第2のセパレータ帯12を第1の位置P1へ第1のセパレータ帯に対し角度なすように供給し、第1の位置P1でセパレータ帯11および12を幅方向に少なくとも部分的に貼り合せる(幅方向に貼り合せる工程)タイミングであるか否かを判断する。具体的には、ステップ81において、第1の溶着ユニット10により第1の位置P1で幅方向の溶着(横溶着)が行われるタイミングを判断する。
【0063】
横溶着が行われるタイミングであれば、第1の溶着ユニット10が横溶着を行うのと同期して、ステップ82において、供給制御ユニット210が第3の搬送ユニット130を制御し、極板フィーダ131を用いて極板13を第1の位置P1に送り込む(極板を供給する工程)。ステップ82においては、極板13が断続的に、第1の位置P1へ、セパレータ帯11および12の搬送速度よりも高速で、第1の位置P1でセパレータ帯11および12が貼り合された直後に極板13の先端13eが第1の位置P1に到達するように供給される。このため、極板13は、第1の溶着ユニット10により形成される幅方向の第1の溶着部分h1に先端13eがほぼ当たるようセパレータ帯11および12の間に挿入される。したがって、セパレータ帯11および12内の所定の位置に精度よく(公差が少ない状態で)収納される。
【0064】
ステップ83において、ドロー値の調整が必要になると、ステップ84においてドロー制御機能220は、袋詰めユニット140に属する各ユニット10、20、30および50のサーボモーターの速度を適宜制御する。ドロー制御機能220は、モーターの回転速度を制御してもよく、クラッチ、ギアなどを用いて各ユニットの搬送速度を制御してもよい。
【0065】
ステップ85において、第4のセンサー154による第1の溶着部分h1の検出結果より、第2の溶着ユニット20の搬送速度の調整が必要であれば、ステップ86において、溶着制御機能212が第2の溶着ユニット20のサーボモーター27の搬送速度を制御する。第2の溶着ユニット20は、第1の溶着部分h1に対して所定の位置で、セパレータ帯11および12の端を貼り合せ(溶着し)、第2の溶着部分h2を形成する。ステップ86において第2の溶着ユニット20の搬送速度を制御することによりステップ83においてドロー値の調整が必要になれば、ステップ84においてドロー制御機能220が各ユニットのサーボモーターを制御する。
【0066】
ステップ87において、第6のセンサー156による第1の溶着部分h1の検出結果より、ロータリーカッター50の搬送速度の調整が必要であれば、ステップ88において、カッター制御機能214がロータリーカッター50のサーボモーター52の搬送速度を制御する。ロータリーカッター50は、第1の溶着部分h1の所定の位置でセパレータ帯11および12をカットし、外寸の精度および極板の位置精度の高い袋入りの極板15を製造する。この袋入りの極板15を用いて電極体を形成し、リチウム電池を製造できる。
【0067】
ステップ88においてロータリーカッター50の搬送速度を制御することによりステップ83においてドロー値の調整が必要になれば、ステップ84においてドロー調整機能220が各ユニットのサーボモーターを制御する。
【0068】
なお、上記では、袋詰め装置1によりリチウムイオン電池用の電極体(セル)を製造するために適した袋入りの極板を製造する例を説明しているが、リチウムイオン電池に限らず、積層型の電極体を含む電池の製造に、この袋詰め装置1は好適である。また、セパレータに内蔵される極板は正極板に限らず、負極板であってもよい。以降の実施形態においても同様である。
【0069】
上記の袋詰め装置1においては、袋詰めユニット140に溶着ライン141に加えてカッティング部145を設け、袋入りの極板15を極板単位で分離して製品として製造している。これに対し、カッティング部145を省略し、正極シートまたは負極シートを袋詰めしたセパレータ帯11および12の連続体を、負極シートまた正極シートを挟みながら折り重ねて電極体を製造する装置を提供することも可能であり、このような電極体の製造装置も本発明に含まれる。以降の実施形態においても同様である。
【0070】
また、カッティング部145に続いて、セパレータに袋詰めされカッティングされた正極シートまたは負極シートを、別途供給される負極シートまたは正極シートを積層して電極体を製造する装置を提供することも可能であり、このような積層装置も本発明に含まれる。以降の実施形態においても同様である。
【0071】
図5に、異なる袋詰め装置の概略構成を示している。この袋詰め装置2は、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を第1の位置P1で貼り合せる第1の貼り合せユニット10aと、第1のセパレータ帯11を第1の位置P1に供給する第1の搬送ユニット110と、第2のセパレータ帯12を第1の位置P1に供給する第2の搬送ユニット120と、極板13を第1の位置P1に供給する第3の搬送ユニット130と、第3のユニット130に極板13を搬送する供給コンベア300と、第1の貼り合せユニット10aを含み、第1の貼り合せユニット10aの下流に配置された袋詰めユニット240と、装置2を制御する制御ユニット200とを含む。なお、上記実施形態と共通の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0072】
第3の搬送ユニット130は、供給コンベア300から供給された極板13を第1の位置P1へ高速で供給する極板フィーダ(極板送り出しローラー)131と、供給コンベア300から搬出された極板13を極板フィーダ131へ供給するピンチローラー250とを含む。
【0073】
第3の搬送ユニット130は、さらに、供給コンベア300の上の極板13のエッジを検出する第1のセンサー251と、極板フィーダ131から供給された極板13のエッジを検出する第2のセンサー252とを含む。ピンチローラー250は、供給コンベア300の下流側の端に重複するように配置されており、第1のセンサー251が極板13を検出すると、下降して供給コンベア300の上の極板13に上方から接触し、極板13を極板フィーダ131へ送り出す。その後、ピンチローラー250は上昇して第1のセンサー251が次の極板13を検出するまで待機する。極板フィーダ131は、第2のセンサー252が極板13を検出すると、第1の貼り合せユニット10aの動作と同期して極板13を第1の位置P1に向けて送り出す。
【0074】
袋詰めユニット240は、セパレータ同士を溶着により貼り合せる溶着ライン241と、貼り合されたセパレータ同士をカットするカッティング部245とを含む。なお、セパレータ同士を貼り合せる方法は溶着に限定されず、熱圧着などの他の方法でもよいことは上述した通りである。
【0075】
溶着ライン241は、第1の位置P1から下流に向かって順番に、セパレータ同士を溶着する溶着ユニット70と、溶着されたセパレータ帯11および12を極板13を含めて搬送するフィルムフィーダ30とを含む。溶着ユニット70は、セパレータ同士を幅方向に貼り合せて第1の溶着部分h1を形成する第1の溶着ユニット(横溶着ユニット)10aと、セパレータ同士のエッジを供給方向(X方向)に貼り合せて第2の溶着部分h2を形成する第2の溶着ユニット(縦溶着ユニット)20aとを含む。カッティング部245は、溶着された第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12を第1の溶着部分h1でカットするロータリーカッター50と、カットされた袋詰め電極15を取り出すコンベア60とを含む。
【0076】
第1の横溶着ユニット10aは、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12に幅方向(横方向)の溶着を施す第1のヒートシールヘッド(横溶着ヘッド)71を含む。横溶着ヘッド71は、セパレータ帯11の上方に配置され、セパレータ帯に沿って前後さらに上下に移動する上側ヘッド71aと、セパレータ帯12に対し下方に配置され、前後および上下に動く下側ヘッド71bと、上側ヘッド71aおよび下側ヘッド71bのそれぞれの幅方向に延びた加熱領域71cとを含む。
【0077】
縦溶着ユニット20aは、第1のセパレータ帯11および第2のセパレータ帯12の端に沿って縦方向の溶着を施す第2のヒートシールヘッド(縦溶着ヘッド)72を含む。縦溶着ヘッド72も、セパレータ帯11に対し上方に配置され、前後および上下に動く上側ヘッド72aと、セパレータ帯12に対し下方に配置され、前後および上下に動く下側ヘッド72bと、上側ヘッド72aおよび下側ヘッド72bのそれぞれの搬送方向(X方向)に延びた加熱領域72cとを含む。
【0078】
溶着ユニット70は、さらに、横溶着ヘッド71および縦溶着ヘッド72を、搬送方向(X方向)および上下方向(Y方向)に同期して駆動する駆動ユニット73を含む。
【0079】
図6(a)〜(d)に、本例の溶着ユニット70によりセパレータ同士が溶着される様子を示している。この溶着ユニット70は、横溶着ヘッド71および縦溶着ヘッド72が、セパレータ帯11および12を上下からクランプした(挟み込んだ)状態でセパレータ帯11および12と同期してX方向(前後方向)に移動することにより、横溶着および縦溶着を同期して行う。
【0080】
すなわち、
図6(a)はクランプする前の状態(第1のヘッド位置(原位置))91を示す。上側ヘッド71aおよび下側ヘッド71bは、セパレータ帯11および12から上下に離れた位置から、X方向へ搬送されるセパレータ帯11および12と同期して第1の位置P1に向けてそれぞれ下降および上昇を開始する。
【0081】
図6(b)はクランプした直後の状態(第2のヘッド位置)92を示す。上側ヘッド71a(72a)は第1の位置P1でセパレータ帯11および12をクランプし、下側ヘッド71b(72b)は第2の位置P2でセパレータ帯11および12をクランプする。その状態でセパレータ帯11および12と同期してX方向の下流側に移動しながら横溶着および縦溶着を行う。極板13は、クランプすると同期して第1の位置P1に供給される。したがって、第1の位置P1では第1の溶着部分h1が形成されるとともに極板13がセパレータ帯11および12に挿入される。第2の位置P2では第2の溶着部分h2が形成される。
【0082】
図6(c)は下流でアンクランプする直前の状態(第3のヘッド位置)93を示し、
図6(d)はアンクランプした後、上側ヘッド71aおよび72a、および下側ヘッド71bおよび72bが第1のヘッド位置91に向かって上流に移動する状態(第4のヘッド位置)94を示す。上側ヘッド71aおよび72a、および下側ヘッド71bおよび72bは、これらの第1のヘッド位置91から第4のヘッド位置94の動きを繰り返すことにより、セパレータ帯11および12を袋状に貼り合せる。また、第3の搬送ユニット130が極板13を貼り合せるタイミングと同期して供給することによりセパレータの袋内に精度よく極板13を挿入できる。
【0083】
図7に、供給コンベア(搬送装置)300の概略構成を抜き出して示している。
図8に、供給コンベア(搬送装置)300の概略構成を長手方向の断面図(
図7のVIII−VIII断面)により示している。
図9に、供給コンベア300の内部構成を幅方向の断面図(
図7のIX−IX断面)により示している。この袋詰め装置2においては、供給コンベア300によりアライメントされた状態で極板13を第3の搬送ユニット130に供給する。具体的には、ピンチローラー250を介して極板フィーダ131へ極板13を供給する。
【0084】
供給コンベア300は、薄板状(平板状)の極板13が載せられ、搬送方向(X方向)に極板13が可動な第1の搬送面311を形成する第1のユニット310と、第1の搬送面311に直交する第2の搬送面321を形成する第2のユニット320とを含む。第1の搬送面311は極板13が搭載された状態でX方向に動くように極板13をガイドする面である。第2の搬送面321は、第1の搬送面311の幅方向302、すなわちX方向に直交する左右方向(第2の方向)302の左縁(第1の縁)311aに沿って極板13がX方向に動くようにガイドする面である。
【0085】
第1のユニット310は、第1の縁311aの側が不支持の第1のコンベアユニット410を含む。すなわち、第1のコンベアユニット410は、右方(一方)302bが支持され、左方(他方)302aが開放された片持ち(片側支持)タイプである。第1のコンベアユニット410は、ローラーコンベア310aであり、X方向に並んだ複数のローラーユニット330と、各ローラーユニット330を回転させるための駆動力を供給する駆動ユニット350とを含む。極板13を載せて搬送する第1の搬送面311は、各ローラーユニット330の回転するローラー表面345、具体的にはローラー表面345と極板13の底部13bとの接触する部分を含む第1の面411により形成される。
【0086】
第1のコンベアユニット410は、搬送物(搬送対象物)、本例であれば極板13にエアーが吹き付けられるなどの方法により駆動力を与えられるタイプ(受動式)であってもよい。本例の第1のコンベアユニット410は、駆動ユニット350を備えた能動式のコンベアユニットであり、こちらの方が搬送物の搬送速度を一定に保ちやすく、複数の極板13の間隔や姿勢を制御しやすい。
【0087】
複数のローラーユニット330は、最も上流側(搬入側)301aに配置された入口ローラーユニット330aと、最も下流側(搬出側、第3の搬送ユニット130の側)301bに配置された出口ローラーユニット330bと、入口ローラーユニット330aおよび出口ローラーユニット330bの間に配置された複数の中間ローラーユニット330cとを含む。
【0088】
入口ローラーユニット330aおよび出口ローラーユニット330bは、それぞれの搬送方向が第1のコンベアユニット410全体の搬送方向を向くように配置されている。すなわち、ローラーユニット330aおよび330bの回転軸340は、搬送方向に対して直交(左右方向302と一致)するように配置されている。ローラーユニット330aおよび330bの搬送方向は、第1のコンベアユニット410全体の搬送方向と並行である。
【0089】
一方、複数の中間ローラーユニット330cのそれぞれは、搬送方向が第1のコンベアユニット410全体の搬送方向に対し第2のユニット320(第2の搬送面321)の方向に傾くように配置されている。具体的には、それぞれのローラーユニット330cの回転軸340が、第1の縁311aに対し直交せず、第1のコンベアユニット410全体の搬送方向に傾いて配置されている。傾きは複数のローラーユニット330cで共通であってもよく、個々に角度が変わっていてもよい。ローラーユニット330の傾きは進行方向(X方向)に対して90度以下、すなわち、鋭角であり、複数の中間ローラーユニット330cのそれぞれの搬送方向は第1のコンベアユニット410全体の搬送方向に対し第1の縁311aの方向に傾いている。
【0090】
複数の中間ローラーユニット330cの傾きは同一であってもよく、入口から出口に向かって傾きが大きくなるように配置してもよく、入口から中央付近に向かって傾きが大きくなり、中央付近から出口に向かって傾きが小さくなるように配置してもよい。
【0091】
第1のコンベアユニット410は片持ちタイプであり、それぞれのローラーユニット330a、330bおよび330cは、両持ち(両支持)の主ローラー部346と、片持ち(片側支持)のサブローラー部347とを含む。主ローラー部346は、中央より第1の縁311aに近い側に配置された中間支持ユニット343と、第1の縁311aと反対側の縁311bとで支持されている。サブローラー部347は、中間支持ユニット343で主ローラー部346に連結され、中間支持ユニット343により片持ち(片側支持)されている。
【0092】
個々のローラーユニット330は、回転軸340と、回転軸340の周りにローラー表面345を形成する円筒状のローラー本体341と、第2の縁311bの一端(右端)340bを回転可能に支持する支持ユニット342と、回転軸340の右端340bと第1の縁311aの側の他端(左端)340bとの間を回転可能に支持する中間支持ユニット343とを含む。
【0093】
ローラーコンベア310aの駆動ユニット350は、非接触で塵などが発生しにくいマグネット駆動タイプである。駆動ユニット350は、X方向に延びた駆動磁気車355と、この駆動磁気車355を駆動ベルト353で繋がれた駆動プーリー352および従動プーリー354を介して回転駆動するサーボモーター351と、各ローラーユニット330の回転軸340の一部に設けられた従動磁気車356とを含む。従動磁気車356は、磁場を介して駆動磁気車355により回転駆動させる。駆動ユニット350および支持ユニット342は、ハウジング(フレーム)380の内部に収容されている。なお、本例の駆動ユニット350は、永久磁石により形成された磁気車355および356を用いた非接触型の駆動ユニットであるが、ローラーコンベア310aの駆動方式はこれに限定されない。
【0094】
第1の搬送面311のサブローラー部347の不支持の側である第1の縁311aに、サブローラー部347に対してクリアランスが最小限となるように第2の搬送面321が配置されている。
【0095】
第2のユニット320は、第2の搬送面321を形成するベルトコンベア(サイドコンベア)320aを含む。サイドコンベア320aは、コンベアベルト(サイドベルト)360と、サイドベルト360を巻き掛ける上流側301aの第1のプーリー371および下流側301bの第2のプーリー372と、第1のプーリー371を介してベルト360に駆動力を供給する駆動ユニット(サーボモーター)370とを含む。極板13をガイドする第2の搬送面321は、サイドベルト360のベルト表面360aにより形成される。
【0096】
サイドコンベア320aの第2の搬送面321、すなわち、サイドベルト360の表面360aは、第1の搬送面311に対し下方303bに配置された第1の領域391と、第1の搬送面311に連続した面であって第1の搬送面311に対し上方303aに配置された第2の領域392とを含む。
【0097】
第1の領域391は、搬送物である極板13に対して非接触となる領域(非接触領域、非接触面)である。第2の領域392は、極板13に対して接触可能な領域(接触領域、接触面)である。サイドコンベア320aの第2の搬送面321と、ローラーコンベア310aの第1の搬送面311とは、搬送方向視において横T字状に配置されており、第2の領域392が、第1の搬送面311よりも上方303aで搬送方向に移動し、第1の領域391が、第1の搬送面311よりも下方303bで搬送方向に移動する。
【0098】
第2の搬送面321は、極板13の搬送には直接的には寄与しない非搬送用の領域である第1の領域391を含む。第2の搬送面321に、上方の搬送面である第2の領域392に連続する非搬送用の領域を下方に設けることにより、薄板(薄膜)状の極板13であっても、第2の領域392の下側に潜り込んだりすることがない。したがって、薄板状の搬送物であっても、その一部に第2の搬送面321を確実に当てて、所望の方向に移動またはガイドできる。
【0099】
第2のコンベアユニット420も受動式であっても能動式であってもよい。本例の第2のコンベアユニット420は第1のコンベアユニット410と同様に能動式のコンベアユニットであり、こちらの方が搬送物の搬送速度を一定に保ちやすく、複数の極板13の間隔や姿勢を制御しやすい。
【0100】
この供給コンベア300は、入口ローラーユニット330aを介して第1の搬送面311に極板13が搬入されると、X方向に対して傾いた複数の中間ローラーユニット330cが電極13をX方向に搬送するとともに第2の搬送面321の方向に搬送(幅寄せ)する。第2の搬送面321は第1の搬送面311の下側にも伸びているので、薄板状の極板13であっても搬送中にいずれかの部分が第2の搬送面321に接する。その後、第1の搬送面311により極板13はさらに第2の搬送面321に幅寄せされる。このため、極板13は第2の搬送面321、すなわち、サイドベルト360に一方の縁(エッジ)13aが全体的に接し第2の搬送面321を基準として姿勢が整えられる。したがって、極板13が供給コンベア300の出口ローラーユニット330bに到達したときは、極板13は第2の搬送面321を基準にアライメント(姿勢調整)され、搬出先の第3の搬送ユニット130に供給される。
【0101】
この供給コンベア300のサイドベルト360を支持する下流側301bの第2のプーリー372の径は、上流側301aの第1のプーリー371の径よりも小さい。このため、第2のプーリー372を出口ローラーユニット330bのより近くに配置でき、極板13のガイド面である第2の搬送面321からのリリースポイントを下流側301bにシフトできる。したがって、アライメントされた極板13が出口ローラーユニット330bにより搬出される際、あるいは出口ローラーユニット330bの上でピックアップされる際に姿勢が変わってしまうような事態を未然に防止できる。
【0102】
このように供給コンベア300で極板13を搬送することにより、極板13の位置および姿勢を、第2の搬送面321に沿った姿勢で下流側301bへ出力できる。したがって、供給コンベア300により極板13を所定の位置に搬送するとともに、極板13を所定の姿勢に整える(アライメントする)ことができ、極板13のアライメントに要する時間を節約できる。
【0103】
なお、第1のユニット310は、片持ち(片側支持)タイプのコンベアユニットに限定されず、両持ち(両側支持)タイプのコンベアユニットを含むものであってもよい。しかしながら、第1のユニット310の第1の縁311aに対しクリアランスが最小限となるように第2の搬送面321を設けるためには、第1のユニット310は片持ちタイプであることが望ましい。
【0104】
また、第1のユニット310は、ローラーコンベアに限定されない。同様に、第2のユニット320は、ベルトコンベアに限定されない。ただし、搬送中に搬送対象物を第2の搬送面321の方向の寄せるにはローラーコンベアが適している。また、薄板状の搬送対象物をアライメントするには第2の搬送面321はX方向(搬送方向)に連続していることが好ましく、ベルトコンベアであることが望ましい。
【0105】
ローラーユニット330は、搬送する極板13の重量等に応じて中間支持ユニット343を省略することも可能である。また、片持ちタイプのローラーユニット330は全体が進行方向に対して鋭角に傾いたローラーユニットであってもよく、主ローラー部とは別に、第1の縁311aの近傍に設けられた片持ちタイプのショートローラーが進行方向に対して鋭角に傾いていてもよい。
【0106】
このように、供給コンベア300を用いて搬送対象物を搬送する工程は、供給コンベア300が搬送対象物(極板13)を搬送中に搬送対象物の一方の縁を第1の搬送面311上で第2の搬送面321に接触させてアライメントすることを含む。薄い搬送対象物を搬送中にアライメントでき、アライメントに要する時間を削減することができる。
【0107】
この供給コンベア300は、極板13に限らず、搬送対象物を搬送するとともに所定の姿勢に整えることができる。特に、上下に連続した第2の搬送面を備えた供給コンベア300は、薄く、シート状の搬送対象物をアライメントするのに適しており、極板13に限らずさまざまは薄板状のものを搬送する搬送装置としても好適である。供給コンベア300から搬送対象物をピックアップする方法の1つは、上述したように、出力側(下流側)の端にピンチローラー250を設けて、下流の装置、上記の例では極板フィーダ131へ供給することである。下流の装置は、たとえば、アライメント済みの極板13を収納する領域や部品搬送用のストッカであってもよい。アライメントされた極板13は、袋詰め用の装置に限らず、極板13をセパレータ11または12と交互に積層して電極組立体を製造するような装置にも適用できる。