(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値の複数の候補と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値の複数の候補とを取得する閾値候補取得手段と、
前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得手段と、
前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記複数の参照周期から前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される参照周期が除去され、且つ該参照周期が除去された複数の参照周期のうち前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される参照周期の日数が前記第2閾値に対応する日数に変更されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得手段と、
前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得手段と、
前記第1閾値の候補と前記第2閾値の候補との組み合わせごとに前記代表値取得手段により取得された代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期とに基づいて、前記第1閾値の候補と前記第2閾値の候補との複数の組み合わせの中から、月経周期の日数の予測に用いられる組み合わせを決定する決定手段と、
前記対象者の過去の複数の月経周期から、前記決定手段により決定された前記組み合わせに含まれる前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去手段と、
前記除去手段により前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記決定手段により決定された前記組み合わせに含まれる前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更手段と、
前記変更手段により前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値とを取得する閾値取得手段と、
前記複数の月経周期から、前記閾値取得手段により取得された前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去手段と、
前記除去手段により前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記閾値取得手段により取得された前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更手段と、
前記変更手段により前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日数のばらつきが大きい月経周期を、生理日の予測に用いる月経周期の計算に用いると、予測精度が低下する。しかしながら、ばらつきが大きいという理由で、計算された月経周期を無効とすると、月経周期を用いて生理日を予測することができない。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制して生理日を予測可能とする情報処理装置及び情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値の複数の候補と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値の複数の候補とを取得する閾値候補取得手段と、前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得手段と、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記複数の参照周期から前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される参照周期が除去され、且つ該参照周期が除去された複数の参照周期のうち前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される参照周期の日数が前記第2閾値に対応する日数に変更されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得手段と、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得手段と、
前記第1閾値の候補と
前記第2閾値の候補との組み合わせごとに前記代表値取得手段により取得された代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期と
に基づいて、
前記第1閾値の候補と
前記第2閾値の候補との複数の組み合わせの中から、月経周期の日数の予測に用いられる組み合わせを決定する決定手段と、前記対象者の過去の複数の月経周期から、前記決定手段により決定された前記組み合わせに含まれる前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去手段と、前記除去手段により前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記決定手段により決定された前記組み合わせに含まれる前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更手段と、前記変更手段により前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、情報処理装置は、過去の複数の参照周期の中で、異常値としての第1外れ値が第1閾値の候補により特定されると仮定した場合の第1外れ値が除去され、且つ、予測の精度を低下させる第2外れ値が第2閾値の候補により特定されると仮定した場合の第2外れ値が、予測の精度を低下させないと仮定される日数に変更されることによって修正された複数の参照周期を取得する。そして、情報処理装置は、複数の参照周期の代表値と過去の基準周期と
に基づいて、予測に用いられる第1閾値及び第2閾値を決定する。従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制する第1閾値及び第2閾値を決定することが可能となる。
【0009】
また、情報処理装置は、決定された第1閾値に基づいて、複数の月経周期の中で、異常値である可能性がある第1外れ値を除去する。その後、情報処理装置は、決定された第2閾値に基づいて、異常値ではないと考えられるものの、予測の精度を低下させる可能性がある第2外れ値を、予測の精度を低下させないと考えられる日数に変更する。情報処理装置は、このように修正された複数の月経周期に基づいて、対象者の月経周期の日数を予測する。これにより、予測に不要な異常値を除去するとともに、第2外れ値をそのまま残すことにより予測の精度が低下することも、第2外れ値を単純に除去してしまうことにより予測の精度が低下することも防止することができる。
【0010】
従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制して、月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値とを取得する閾値取得手段と、前記複数の月経周期から、前記閾値取得手段により取得された前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去手段と、前記除去手段により前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記閾値取得手段により取得された前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更手段と、前記変更手段により前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、情報処理装置は、複数の月経周期の中で、異常値である可能性がある第1外れ値を除去する。その後、情報処理装置は、異常値ではないと考えられるものの、予測の精度を低下させる可能性がある第2外れ値を、予測の精度を低下させないと考えられる日数に変更する。情報処理装置は、このように修正された複数の月経周期に基づいて、対象者の月経周期の日数を予測する。これにより、予測に不要な異常値を除去するとともに、第2外れ値をそのまま残すことにより予測の精度が低下することも、第2外れ値を単純に除去してしまうことにより予測の精度が低下することも防止することができる。従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制して、月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、対象者の過去の複数の月経周期の中の外れ値を特定するための閾値の複数の候補を取得する閾値候補取得手段と、前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得手段と、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごとに、前記複数の参照周期のうち前記閾値により外れ値として特定される参照周期に所定の処理が施されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得手段と、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得手段と、
前記閾値の候補ごとに前記代表値取得手段により取得された
前記代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期
とに基づいて、
前記複数の候補の中から、前記対象者の月経周期の日数の予測に用いられる閾値を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、情報処理装置は、過去の複数の参照周期の中で、予測の精度を低下させる外れ値が閾値の候補により特定されると仮定した場合の外れ値に所定の処理が施されることによって修正された複数の参照周期を取得する。そして、情報処理装置は、複数の参照周期の代表値と過去の基準周期と
に基づいて、予測に用いられる閾値を決定する。従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制する閾値を決定することが可能となる。そのため、この閾値に基づいて、予測精度の低下を抑制して月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の情報処理装置において、前記第1周期取得手段は、前記基準周期と前記複数の参照周期との複数の組を取得し、前記第2周期取得手段は、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補と前記第1周期取得手段により取得された組との組み合わせごとに、修正された複数の参照周期を取得し、前記代表値取得手段は、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補と前記第1周期取得手段により取得された組との組み合わせごとに、前記修正された複数の参照周期の代表値を取得し、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごと
に得られる複数の比較結果
であって、該閾値の候補と前記第1周期取得手段により取得された組との組み合わせごとに前記代表値取得手段により取得された代表値と、該組に含まれる基準周期との比較結果を含む複数の比較結果に基づいて、前記予測に用いられる閾値を決定することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、情報処理装置は、閾値の候補ごとに得られる、複数の代表値と複数の基準周期とのそれぞれの比較結果に基づいて、予測に用いられる閾値を決定する。従って、より適切な閾値を決定することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の情報処理装置において、前記第1周期取得手段は、連続する複数の参照周期と、前記複数の参照周期に連続し且つ前記複数の参照周期よりも新しい基準周期とを取得することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、前記第1周期取得手段は、連続する複数の参照周期と、前記複数の参照周期に連続し且つ前記複数の参照周期よりも新しい時期の基準周期との複数の組を取得し、前記決定手段は、
前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごとに前記代表値取得手段により取得された代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期との比較結果を重み付けして、前記予測に用いられる閾値を決定し、前記基準周期が古いほど、該基準周期と前記代表値との比較結果の重みを小さくすることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、基準周期が時期的に現在の月経周期から近いほど、その基準周期を用いた比較結果の、閾値の決定に対する影響度が大きくなる。従って、月経周期の予測のためにより適切な閾値を決定することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置において、前記決定手段は、
前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごとに、前記代表値取得手段により取得された代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期との差を取得し、前記閾値候補取得手段により取得された複数の閾値の候補の中に、取得された差が最も小さい第1候補の該差から所定範囲内の差が取得された第2候補がある場合、前記対象者と異なるユーザのうち、前記決定手段により前記第1候補が決定されたユーザの数と、前記決定手段により前記第2候補が決定されたユーザの数とに基づいて、前記第1候補と前記第2候補の中から、前記予測に用いられる閾値を決定することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、代表値と基準周期との差が同程度に小さい閾値の候補が複数ある場合、情報処理装置は、閾値の候補が予測に用いられる閾値として過去に決定されたユーザの人数に基づいて、これらの閾値の候補の中から何れかを、予測に用いられる閾値に決定する。従って、月経周期の予測のためにより適切な閾値を決定することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の情報処理装置において、前記決定手段は、前記決定手段により前記第1候補が決定されたユーザのうち前記対象者が有する特徴との同一性がある特徴を有するユーザの数と、前記決定手段により前記第2候補が決定されたユーザのうち前記対象者が有する前記特徴との同一性がある特徴を有するユーザの数とに基づいて、前記予測に用いられる閾値を決定することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、情報処理装置は、閾値の候補が予測に用いられる閾値として過去に決定されたユーザのうち対象者の特徴と同一性がある特徴を有するユーザの数に基づいて、予測に用いられる閾値を決定する。従って、対象者にとってより適切な閾値を決定することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項3乃至8の何れか1項に記載の情報処理装置において、前記閾値候補取得手段は、前記複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値の複数の候補と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値の複数の候補とを取得し、前記第2周期取得手段は、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記複数の参照周期から前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される参照周期が除去され、且つ該参照周期が除去された複数の参照周期のうち前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される参照周期の日数が前記第2閾値に対応する日数に変更されることにより修正された前記複数の参照周期を取得し、前記代表値取得手段は、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の代表値を取得し、前記決定手段は、
前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに前記代表値取得手段により取得された代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期とに基づいて、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との複数の組み合わせの中から、前記予測に用いられる組み合わせを決定することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、情報処理装置は、過去の複数の参照周期の中で、異常値としての第1外れ値が第1閾値の候補により特定されると仮定した場合の第1外れ値が除去され、且つ、予測の精度を低下させる第2外れ値が第2閾値の候補により特定されると仮定した場合の第2外れ値が、予測の精度を低下させないと仮定される日数に変更されることによって修正された複数の参照周期を取得する。そして、情報処理装置は、複数の参照周期の代表値と過去の基準周期との比較結果に基づいて、予測に用いられる第1閾値及び第2閾値を決定する。従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制する第1閾値及び第2閾値を決定することが可能となる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項3乃至9の何れか1項に記載の情報処理装置において、前記代表値取得手段は、前記閾値の候補ごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の平均値及び中央値をそれぞれ取得し、
前記決定手段は、前記閾値の候補と前記代表値取得手段による代表値の取得方法との複数の組み合わせの中から、前記予測に用いられる組み合わせを決定することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、対象者の月経周期を予測するときに、対象者の過去の複数の月経周期の分布状況に適した代表値を取得することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項3乃至10の何れか1項に記載の情報処理装置において、前記対象者の現在の月経周期で測定された体温の短期
日数の移動平均が該体温の長期
日数の移動平均よりも大きくなるタイミングが、前記現在の月経周期内で到来していない場合、前記決定手段により決定された閾値と、前記対象者の過去の複数の月経周期とに基づいて、前記対象者の現在の月経周期の日数を予測し、予測された前記日数に基づいて、次の生理日を予測する第1予測手段と、前記短期
日数の移動平均が前記長期
日数の移動平均よりも大きくなるタイミングが前記現在の月経周期内で到来している場合、該タイミングに基づいて、次の生理日を予測する第2予測手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、移動平均により、体温の時系列が平滑化される。そのため、現在の月経周期の体温の短期
日数の移動平均が長期
日数の移動平均よりも高くなるタイミングを特定することにより、実際に低温期から高温期に移行するタイミングの前後で体温が上下に変動する場合であっても、そのタイミングを適切に特定することができる。高温期の日数は比較的安定しているので、特定されたタイミングに基づいて、より精度の高い生理日の予測が可能となる。
【0030】
請求項12に記載の発明は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値の複数の候補と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値の複数の候補とを取得する閾値候補取得ステップと、前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得ステップと、前記閾値候補取得ステップにより取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記複数の参照周期から前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される参照周期が除去され、且つ該参照周期が除去された複数の参照周期のうち前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される参照周期の日数が前記第2閾値に対応する日数に変更されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得ステップと、前記閾値候補取得ステップにより取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記第2周期取得ステップにより取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得ステップと、
前記第1閾値の候補と
前記第2閾値の候補との組み合わせごとに前記代表値取得ステップにより取得された代表値と、前記第1周期取得ステップにより取得された前記基準周期と
に基づいて、
前記第1閾値の候補と
前記第2閾値の候補との複数の組み合わせの中から、月経周期の日数の予測に用いられる組み合わせを決定する決定ステップと、前記対象者の過去の複数の月経周期から、前記決定ステップにより決定された前記組み合わせに含まれる前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去ステップと、前記除去ステップにより前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記決定ステップにより決定された前記組み合わせに含まれる前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更ステップと、前記変更ステップにより前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測ステップと、を含むことを特徴とする。
【0031】
請求項13に記載の発明は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値とを取得する閾値取得ステップと、前記複数の月経周期から、前記閾値取得ステップにより取得された前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去ステップと、前記除去ステップにより前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記閾値取得ステップにより取得された前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更ステップと、前記変更ステップにより前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測ステップと、を含むことを特徴とする。
【0032】
請求項14に記載の発明は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、対象者の過去の複数の月経周期の中の外れ値を特定するための閾値の複数の候補を取得する閾値候補取得ステップと、前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得ステップと、前記閾値候補取得ステップにより取得された閾値の候補ごとに、前記複数の参照周期のうち前記閾値により外れ値として特定される参照周期に所定の処理が施されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得ステップと、前記閾値候補取得ステップにより取得された閾値の候補ごとに、前記第2周期取得ステップにより取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得ステップと、
前記閾値の候補ごとに前記代表値取得ステップにより取得された代表値と、前記第1周期取得ステップにより取得された前記基準周期と
に基づいて、
前記複数の候補の中から、前記対象者の月経周期の日数の予測に用いられる閾値を決定する決定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0033】
請求項15に記載の発明は、コンピュータを、対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値の複数の候補と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値の複数の候補とを取得する閾値候補取得手段、前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得手段、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記複数の参照周期から前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される参照周期が除去され、且つ該参照周期が除去された複数の参照周期のうち前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される参照周期の日数が前記第2閾値に対応する日数に変更されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得手段、前記閾値候補取得手段により取得された第1閾値の候補と第2閾値の候補との組み合わせごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得手段、
前記第1閾値の候補と
前記第2閾値の候補との組み合わせごとに前記代表値取得手段により取得された代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期と
に基づいて、
前記第1閾値の候補と
前記第2閾値の候補との複数の組み合わせの中から、月経周期の日数の予測に用いられる組み合わせを決定する決定手段、前記対象者の過去の複数の月経周期から、前記決定手段により決定された前記組み合わせに含まれる前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去手段、前記除去手段により前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記決定手段により決定された前記組み合わせに含まれる前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更手段、及び、前記変更手段により前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測手段、として機能させることを特徴とする。
【0034】
請求項16に記載の発明は、コンピュータを、対象者の過去の複数の月経周期のうち除去される第1外れ値を特定するための出現確率を示す第1閾値と、前記複数の月経周期のうち日数が変更される第2外れ値を特定するためのパーセンタイルを示す第2閾値とを取得する閾値取得手段、前記複数の月経周期から、前記閾値取得手段により取得された前記第1閾値により前記第1外れ値として特定される月経周期を除去する除去手段、前記除去手段により前記月経周期が除去された前記複数の月経周期のうち、前記閾値取得手段により取得された前記第2閾値により前記第2外れ値として特定される月経周期の日数を該第2閾値に対応する日数に変更する変更手段、及び、前記変更手段により前記月経周期の日数が変更された前記複数の月経周期に基づいて、前記対象者の月経周期の日数を予測する予測手段、として機能させることを特徴とする。
【0035】
請求項17に記載の発明は、コンピュータを、対象者の過去の複数の月経周期の中の外れ値を特定するための閾値の複数の候補を取得する閾値候補取得手段、前記複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得する第1周期取得手段、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごとに、前記複数の参照周期のうち前記閾値により外れ値として特定される参照周期に所定の処理が施されることにより修正された前記複数の参照周期を取得する第2周期取得手段、前記閾値候補取得手段により取得された閾値の候補ごとに、前記第2周期取得手段により取得された前記複数の参照周期の代表値を取得する代表値取得手段、
及び、前記閾値の候補ごとに前記代表値取得手段により取得された
前記代表値と、前記第1周期取得手段により取得された前記基準周期
とに基づいて、
前記複数の候補の中から、前記対象者の月経周期の日数の予測に用いられる閾値を決定する決定手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明の1つの側面によれば、情報処理装置は、複数の月経周期の中で、異常値である可能性がある第1外れ値を除去する。その後、情報処理装置は、異常値ではないと考えられるものの、予測の精度を低下させる可能性がある第2外れ値を、予測の精度を低下させないと考えられる日数に変更する。情報処理装置は、このように修正された複数の月経周期に基づいて、対象者の月経周期の日数を予測する。これにより、予測に不要な異常値を除去するとともに、第2外れ値をそのまま残すことにより予測の精度が低下することも、第2外れ値を単純に除去してしまうことにより予測の精度が低下することも防止することができる。従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制して、月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【0037】
本発明の別の側面によれば、情報処理装置は、過去の複数の参照周期の中で、予測の精度を低下させる外れ値が閾値の候補により特定されると仮定した場合の外れ値に所定の処理が施されることによって修正された複数の参照周期を取得する。そして、情報処理装置は、複数の参照周期の代表値と過去の基準周期と
に基づいて、予測に用いられる閾値を決定する。従って、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制する閾値を決定することが可能となる。そのため、この閾値に基づいて、予測精度の低下を抑制して月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、情報処理システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0040】
[1.情報処理システムの構成及び機能概要]
先ず、本実施形態に係る情報処理システムSの構成及び機能概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの概要構成の一例を示す図である。
【0041】
図1に示すように、情報処理システムSは、情報処理サーバ1と、複数のユーザ端末2と、複数の体温計3と、を含んで構成されている。情報処理サーバ1と、各ユーザ端末2とは、ネットワークNWを介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築されている。
【0042】
情報処理サーバ1は、女性の健康に関する情報をユーザ端末2へ配信するサーバ装置である。また、情報処理サーバ1は、ユーザ端末2から、ユーザの基礎体温、生理日等の情報を取得する。そして、情報処理サーバ1は、取得した情報に基づいて、ユーザの排卵日を推定し、又は次回の生理日を予測する。
【0043】
ユーザ端末2は、情報処理システムSを利用するユーザの端末装置である。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等であってもよい。ユーザ端末2は、体温計3により測定された基礎体温を情報処理サーバ1へ送信する。また、ユーザ端末2は、ユーザから入力された実際の生理日を情報処理サーバ1へ送信する。そして、ユーザ端末2は、情報処理サーバ1により推定された排卵日、生理日等の情報を表示する。
【0044】
体温計3は、ユーザの基礎体温を測定する電子体温計である。体温計3は、例えば近距離無線通信により、測定した体温をユーザ端末2へ送信する。なお、体温計で測定された体温をユーザがユーザ端末2に手入力してもよい。
【0045】
ユーザは、体温計3を用いて、例えば日々(1日に1回)体温を測定する。実際に測定された体温を、実測値という。また、ユーザが実際の生理日を入力すると、月経周期が確定する。月経周期は、例えば前回の生理日から次の生理日の前日までの期間である。生理日が連続する場合、情報処理サーバ1は、連続した生理日のうちの初日を、月経周期の確定に用いる生理日に決定する。情報処理サーバ1は、周期ベース予測手法と、体温ベース予測手法とをそれぞれ用いて、次回の生理日を予測する。周期ベース予測手法は、過去の複数の月経周期の日数を用いた手法である。体温ベース予測手法は、体温の実測値を用いた手法である。体温ベース予測手法を用いる場合、情報処理サーバ1は、次の生理日を予測するとともに、現月経周期における排卵日を推定してもよい。現月経周期は、過去の生理日のうち最後の生理日から開始し、且つ次の生理日の前日で終了する月経周期である。すなわち、現月経周期は、現在進行中の月経周期である。
【0046】
[2.情報処理サーバの構成]
次に、情報処理サーバ1の構成について、
図2A乃至
図3を用いて説明する。
【0047】
図2Aは、本実施形態に係る情報処理サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。
図2Aに示すように、情報処理サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、入出力インターフェース13と、システム制御部14と、を備えている。そして、システム制御部14と入出力インターフェース13とは、システムバス15を介して接続されている。
【0048】
通信部11は、ネットワークNWに接続してユーザ端末2等との通信状態を制御するようになっている。
【0049】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されている。記憶部12は、記憶手段の一例である。この記憶部12には、会員情報DB12a、体温DB12b、生理日DB12c、パラメータDB12d等のデータベースが構築されている。「DB」は、データベースの略語である。
図3は、情報処理サーバ1の記憶部12bに構築されたデータベースに登録される内容の一例を示す図である。
【0050】
会員情報DB12aには、情報処理システムSを利用するユーザに関するユーザ情報がユーザごとに登録される。具体的に、会員情報DB12aには、ユーザ情報として、ユーザID、パスワード、ニックネーム、氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、電子メールアドレス等のユーザの属性が対応付けて登録される。ユーザIDは、ユーザの識別情報である。
【0051】
体温DB12bには、実測値に関する情報が登録される。具体的に、体温DB12bには、ユーザID、測定日及び実測値が対応付けて登録される。ユーザIDは、体温を測定したユーザを示す。測定日は、体温が測定された日を示す。例えば、システム制御部14は、ユーザ端末2から、ユーザ端末2を利用するユーザID、測定日及び実測値を受信する。そして、システム制御部14は、受信した情報を体温DB12bに登録する。
【0052】
生理日DB12cには、生理日に関する情報が登録される。具体的に、生理日DB12cには、ユーザID及び生理日が対応付けて登録される。ユーザIDは、生理日を入力したユーザを示す。例えば、システム制御部14は、ユーザ端末2から、ユーザ端末2を利用するユーザID、ユーザが入力した生理日を受信する。そして、システム制御部14は、受信した情報を生理日DB12cに登録する。
【0053】
パラメータDB12dには、生理日の予測に用いられるパラメータを含むパラメータ情報が登録される。システム制御部14は、一人のユーザについて、基本的に新しい月経周期が始まるごとに、パラメータ情報をパラメータDB12dに登録する。具体的に、パラメータDB12dには、パラメータ情報として、ユーザID、登録日、周期ベース予測手法のパラメータ、周期ベース予測手法の予測生理日、体温ベースパラメータ、推定高温期日数が対応付けて登録される。ユーザIDは、パラメータを用いて生理日が予測されるユーザを示す。登録日は、パラメータ情報がパラメータDB12dに登録された日付を示す。周期ベース予測手法のパラメータは、例えば異常値除去の閾値、ウインソリゼーション(ウインソライジング)の閾値及び代表値種別を含む。異常値除去とは複数の月経周期の中から外れ値として閾値を超える又は閾値よりも外側に位置するデータを除去することである。この外れ値を、異常値という。異常値は、本発明における第1外れ値の一例である。異常値除去の閾値は、異常値として除去される月経周期の閾値を示す。具体的に、異常値除去の閾値には、例えば百分率が格納されてもよい。異常値除去の閾値は、本発明における第1閾値の一例である。ウインソリゼーションは、統計データの分布の中で、外れ値として閾値を超える又は閾値よりも外側に位置するデータの値をその閾値に変更することである。この外れ値は、本発明における第2外れ値の一例である。本実施形態のウインソリゼーションの閾値は、複数の月経周期の中から日数が変更される月経周期の閾値を示すとともに、変更後の日数を示す。具体的に、ウインソリゼーションの閾値には、例えば百分率が格納されてもよい。ウインソリゼーションの閾値は、本発明における第2閾値の一例である。代表値種別は、複数の月経周期の代表値の取得方法を示す。具体的に、代表値種別は、平均値を取得するか又は中央値を取得するかを示す。周期ベース予測手法の予測生理日は、周期ベース予測手法で予測された生理日である。体温ベース予測手法のパラメータは、例えば短期日数及び長期日数を含む。短期日数は、体温の短期の移動平均を計算する場合に用いられる日数である。長期日数は、体温の長期の移動平均を計算する場合に用いられる日数である。長期日数は短期日数よりも長い。推定高温期日数は、体温ベース予測手法により推定された高温期の日数である。一般的に、月経周期は低温期と高温期に分けられる。低温期は、月経周期内で比較的体温が低い期間であり、高温期は、月経周期内で比較的体温が高い期間である。月経周期の開始とともに低温期が開始し、その後高温期に移行する。
【0054】
次に、記憶部12に記憶されるその他の情報について説明する。記憶部12には、ウェブページを表示するためのHTML文書、XML(Extensible Markup Language)文書、画像データ、テキストデータ、電子文書等の各種データが記憶されている。また、記憶部12には、各種の設定値、閾値、定数等が記憶されている。
【0055】
また、記憶部12には、オペレーティングシステム、WWW(World Wide Web)サーバプログラム、DBMS(Database Management System)、予測処理プログラム等の各種プログラムが記憶されている。予測処理プログラムは、排卵日を推定し及び生理日を予測するためのプログラムである。予測処理プログラムは、本発明における情報処理プログラムの一例である。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNWを介して取得されるようにしてもよいし、磁気テープ、光ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。また、予測処理プログラムは、プログラム製品であってもよい。
【0056】
また、記憶部12には、端末用アプリケーションプログラムが記憶されている。端末用アプリケーションプログラムは、ユーザ端末2により実行されるプログラムである。端末用アプリケーションプログラムは、実測値や生理日等の情報を情報処理サーバ1へ送信したり、推定排卵日及び予測生理日等の情報を表示したりするためのプログラムである。ユーザ端末2は、例えば情報処理サーバ1から端末用アプリケーションプログラムをダウンロードする。
【0057】
入出力インターフェース13は、通信部11及び記憶部12とシステム制御部14との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0058】
システム制御部14は、CPU14a、ROM(Read Only Memory)14b、RAM(Random Access Memory)14c等により構成されている。CPU14は、プロセッサの一例である。なお、本発明は、CPUと異なる様々なプロセッサに対しても適用可能である。記憶部12、ROM14b及びRAM14cは、それぞれメモリの一例である。なお、本発明は、ハードディスク、ROM及びRAMと異なる様々なメモリに対しても適用可能である。
【0059】
なお、情報処理サーバ1が、複数のサーバ装置で構成されてもよい。例えば、ユーザ端末2からの情報を取得するサーバ装置、排卵日の推定及び生理日の予測を行うサーバ装置、ユーザ端末2へ情報を提供するサーバ装置、及びデータベースを管理するサーバ装置等が、互いにLAN等で接続されてもよい。この場合、排卵日の推定及び生理日の予測を行うサーバ装置が、本発明における情報処理装置の一例であってもよい。また、本発明における情報処理装置は、1つのサーバ装置に実装されてもよいし、複数のサーバ装置の連携した処理によって実装されてもよい。
【0060】
[3.システム制御部の機能概要]
次に、
図2B、
図4A乃至
図12Bを用いて、システム制御部14の機能概要について説明する。
図2Bは、本実施形態に係るシステム制御部14の機能ブロックの一例を示す図である。システム制御部14は、所定の条件に基づいて、周期ベース予測手法及び体温ベース予測手法の何れか用いるかを決定する。そして、システム制御部14は、決定した手法を用いて次回の生理日を予測する。そのため、システム制御部14は、CPU14aが、予測処理プログラム等のプログラムを読み出し実行することにより、
図2Bに示すように、パラメータ候補取得部141、周期セット取得部142、修正参照周期取得部143、代表値取得部144、パラメータ決定部145、周期ベース予測部146、期間日数決定部147、タイミング特定部148、体温ベース予測部149等として機能する。パラメータ候補取得部141は、本発明における閾値候補取得手段の一例である。周期セット取得部142は、本発明における第1周期取得手段の一例である。修正参照周期取得部143は、本発明における第2周期取得手段の一例である。代表値取得部144は、本発明における代表値取得手段の一例である。パラメータ決定部145は、本発明における比較手段及び決定手段のそれぞれの一例である。周期ベース予測部146は、本発明における除去手段、変更手段、予測手段、閾値取得手段、及び第1予測手段のそれぞれの一例である。
【0061】
[3−1.周期ベース予測手法]
周期ベース予測手法を用いる場合、システム制御部14は、過去の複数の月経周期を取得する。次いで、システム制御部14は、過去の複数の月経周期のうち閾値により特定される外れ値に所定の処理を施して、収載された複数の月経周期を取得する。所定の処理は、例えば、閾値により特定される外れ値を除去することであってもよいし、閾値により特定される外れ値にウインソリゼーションを施すことであってもよい。或いは、システム制御部14は、所定の処理は、異常値除去とウインソリゼーションの両方を行うことであってもよい。この場合、システム制御部14は、先に異常値除去を行い、その後でウインソリゼーションを行ってもよい。複数の月経周期から異常値が除去された後であっても、参照周期の日数のばらつきが大きい場合がある。ばらつきが大きいままであると、予測の精度が低下する可能性がある。しかしながら、異常値が除去された状態で、更に外れ値を特定して、この外れ値を単に除去してしまっても。予測の精度が低下する可能性がある。そこで、ウインソリゼーションにより、外れ値を、月経周期の分布の外側に位置するという情報を残すように変更することで、予測精度の低下を抑制することができる。複数の月経周期が修正されると、システム制御部14は、修正された複数の月経周期の代表値を計算する。そして、システム制御部14は、月経周期の代表値に基づいて、次回の生理日を予測する。
【0062】
[3−1−1.パラメータの決定]
システム制御部14は、周期ベース予測手法を用いて生理日を予測するために、周期ベース予測手法で用いられるパラメータを、ユーザごとに決定する。決定されるパラメータは、異常値除去の閾値、ウインソリゼーションの閾値及び代表値種別を決定のうち少なくとも何れか1つである。なお、異常値除去の閾値、ウインソリゼーションの閾値及び代表値種別の少なくとも1つは、例えば情報処理システムS全体で予め定められていてもよい。また、例えば複数の月経周期の修正に異常値除去のみが用いられる場合、ウインソリゼーションの閾値は不要である。また、例えば複数の月経周期の修正にウインソリゼーションのみが用いられる場合、異常値除去の閾値は不要である。
【0063】
システム制御部14は、過去の複数の月経周期と、パラメータの候補とを用いて、周期ベース予測手法により月経周期を予測する。そして、システム制御部14は、予測した月経周期と別の過去の月経周期とを比較して、パラメータの候補のうち何れかの候補を、実際の予測に用いるパラメータに決定する。決定されたパラメータをシステム制御部14が用いることで、過去の複数の月経周期の日数にばらつきがあったとしても、次回の生理日を精度よく予測することができる。
【0064】
パラメータ候補取得部141は、外れ値の閾値の複数の候補を取得する。具体的に、パラメータ候補取得部141は、異常値除去の閾値の複数の候補と、ウインソリゼーションの閾値の複数の候補との少なくとも何れか一方を取得する。例えば、記憶部12に異常値除去の閾値の複数の候補を格納するテーブルが記憶されてもよい。また例えば、ウインソリゼーションの閾値の複数の候補を格納するテーブルがそれぞれ記憶されてもよい。パラメータ候補取得部141は、記憶部12に記憶されたテーブルから閾値の複数の候補を取得してもよい。それぞれの閾値の候補の数は2以上である。異常値除去の閾値の候補の数とウインソリゼーションの閾値の数は同一であってもよいし、同一ではなくてもよい。また、代表値種別が情報処理システムS全体で予め定められていない場合、パラメータ候補取得部141は、代表値種別の候補として、「平均値」と「中央値」とを取得してもよい。例えば、月経周期の分布に中心的傾向があり又は対称性がある場合、平均値を用いた方が予測精度が向上するかもしれない。一方、月経周期の分布に中心的傾向がないか又は対称性がない場合、中央値を用いた方が予測精度が向上するかもしれない。
図4Aは、パラメータの候補の一例を示す図である。
図4Aの例では、異常値除去の閾値の候補の数は3であり、ウインソリゼーションの閾値の候補の数は3である。また、代表値種別の候補として「平均値」と「中央値」とがある。
【0065】
異常値除去の閾値、ウインソリゼーションの閾値及び代表値種別のうち2以上のパラメータが決定される場合、パラメータ候補取得部141は、2以上のパラメータの候補の組み合わせを複数生成する。この組み合わせを、候補組み合わせという。例えば3個のパラメータが決定される場合、パラメータ候補取得部141は、異常値除去の閾値の複数の候補のうちの何れかと、ウインソリゼーションの閾値の複数の候補のうちの何れかと、代表値種別の複数の候補のうちの何れかとにより構成される候補組み合わせを複数生成する。
図4Bは、生成された複数の候補組み合わせのうち3個の候補組み合わせの例を示す図である。
図4Aの例では、18個の候補組み合わせを生成することが可能である。
【0066】
周期セット取得部142は、生理日の予測の対象者の過去の複数の月経周期の中から、1つの基準周期と参照周期とで構成される周期セットを取得する。複数の参照周期は、月経周期の仮予測に用いられる月経周期である。基準周期は、仮予測された月経周期と比較される月経周期である。基準周期は複数の参照周期の何れかであってもよいし、基準周期は複数の参照周期とは異なる月経周期であってもよい。また、複数の参照周期は連続していても連続していなくてもよい。また、基準周期と複数の参照周期とは連続していても連続していなくもよい。また、基準周期の時期的位置は複数の参照周期より前であってもよいし後であってもよい。また、基準周期は複数の参照周期の間に挟まれてもよい。
【0067】
周期セット取得部142は、1つの周期セットのみを取得してもよいし、複数の周期セットを取得してもよい。周期セットの数は情報処理システムSの管理者により予め設定されてもよいし、周期セット取得部142が決定してもよい。複数の周期セットを取得する場合、周期セット取得部142は、例えば基準周期の時期的位置、複数の参照周期の一部又は全部、及び参照周期の数の少なくとも何れかが互いに異なる複数の周期セットを取得してもよい。
図4Cは、周期セットの取得例を示す図である。
図4Cにおいて、過去の月経周期C1〜C9の上に表示されている番号は、月経周期の時期的位置を示す。符号Cnのnとして、時期的位置を示す番号が付されている。例えば、1番目の月経周期C1は、過去の月経周期のうち最新の月経周期であり、2番目の月経周期C2は2番目に新しい月経周期である。
図4Cの例では、各周期セットの参照周期の数は6である。また、6個の参照周期は連続している。また、基準周期は、6個の参照周期に連続し且つこれらの参照周期よりも新しい。
図4Cの例では、3個の周期セットが取得されている。例えば、第1周期セットは、基準周期C1と参照周期C2〜C7とで構成される。第2周期セットは、基準周期C2と参照周期C3〜C8とで構成される。第3周期セットは、基準周期C3と参照周期C4〜C9とで構成される。
【0068】
修正参照周期取得部143は、パラメータ候補取得部141により取得された閾値の候補ごとに、周期セット取得部142により取得された複数の参照周期を、閾値の候補を用いて修正する。そして、周期セット取得部142は、修正された複数の参照周期を取得する。パラメータ候補取得部141により、異常値除去の閾値とウインソリゼーションの閾値とを少なくとも含む候補組み合わせが取得された場合、修正参照周期取得部143は、候補組み合わせごとに複数の参照周期を修正して、修正された複数の参照周期を取得する。
【0069】
例えば、パラメータ候補取得部141が、閾値の候補として少なくとも異常値除去の閾値の候補OFを取得したとする。この場合、周期セット取得部142は、日数ごとの参照周期の出現確率を計算する。そして、周期セット取得部142は、複数の参照周期の中から、出現確率がOF%未満である日数の参照周期を、異常値として除去する。そして、周期セット取得部142は、異常値が除去された複数の参照周期を、修正された参照周期として取得する。
【0070】
例えば、パラメータ候補取得部141が、閾値の候補として少なくともウインソリゼーションの閾値の候補WNを取得したとする。この場合、周期セット取得部142は、日数の短い順に並べられた複数の参照周期の中から、WNパーセンタイル未満の日数の参照周期の日数を、WNパーセンタイルに変更する。更に、周期セット取得部142は、複数の参照周期の中から、(100−WN)パーセンタイルよりも長い日数の参照周期の日数を、(100−WN)パーセンタイルに変更する。ここで、修正前の複数の参照周期の中に、閾値WNが示す位置と完全に一致する位置の参照周期が存在しないかもしれない。例えば、参照周期の数が6である場合、16.7%の位置にある参照周期、及び33.3%の位置にある参照周期は存在する。しかしながら、閾値WNが20%である場合、20%の位置にある参照周期は存在しない。この場合、修正参照周期取得部143は、例えば閾値WNが示す位置から前後それぞれ直近の位置にある参照周期の日数とその位置とに基づいて、補間によりWNパーセンタイルを計算してもよい。或いは、修正参照周期取得部143は、例えば、WNパーセンタイル未満の日数の参照周期の日数を、閾値WNが示す位置よりも内側にある参照周期のうち直近の参照周期の日数に変更してもよい。「内側」とは、WNパーセンタイルから(100−WN)パーセンタイルまでの範囲を示す。また、閾値(100−WN)が示す位置と完全に一致する位置の参照周期が存在しない場合も、WNパーセンタイルと同様であってもよい。
【0071】
例えば、パラメータ候補取得部141が、閾値の候補として、異常値除去の閾値の候補OF及びウインソリゼーションの閾値の候補WNの両方を含む候補組み合わせを取得した場合、修正参照周期取得部143は、例えば先ず閾値除去を行い、次いでウインソリゼーションを行ってもよい。
図5A乃至
図6Cは、閾値除去及びウインソリゼーションが行われる過程の例を示す。例えば、周期セット取得部142により
図4Cに示す第1周期セットが取得されたとする。基準周期C1の日数は30である。参照周期C2〜C7の日数は、それぞれ35、24、34、29、29、29である。
図5Aは、修正参照周期取得部143により取得された参照周期の頻度分布の一例を示すとともに、その頻度分布と閾値OFとの位置関係の一例を示すグラフである。なお、
図5Aは、説明のために参照周期の頻度分布の一例を示すものであり、参照周期C2〜C7の実際の頻度分布とは必ずしも一致しない。
図5Bは、異常値が除去された複数の参照周期の例を示す図である。例えば、35日の参照周期の出現確率がOFパーセント未満であり、24日、29日及び34日の参照周期のそれぞれの参照周期の出現確率がOFパーセント以上であるとする。この場合、修正参照周期取得部143は、参照周期C2〜C7の中から、日数が35日である参照周期C2を異常値として除去する。これにより、修正参照周期取得部143は、
図5Bに示すように、修正された参照周期C3〜C7を取得する。
図5Cは、異常値が除去された後の参照周期の頻度分布の一例を示すグラフである。
図5Cでは、出現確率がOFパーセント未満の参照周期が除去されたことが示されている。
【0072】
図6Aは、異常値が除去された参照周期の頻度分布の一例を示すとともに、その頻度分布と閾値WNとの位置関係の一例を示すグラフである。修正参照周期取得部143は、異常値除去におけるOFパーセンタイルを、ウインソリゼーションにおける0パーセンタイルに決定する。また、修正参照周期取得部143は、異常値除去における(100−OF)パーセンタイルを、ウインソリゼーションにおける100パーセンタイルに決定する。そして、修正参照周期取得部143は、決定された範囲内で、WNパーセンタイル及び(100−WN)パーセンタイルを決定する。
図6Bは、ウインソリゼーションが施された複数の参照周期の例を示す図である。例えば、WNパーセンタイルが25日であり、(100−WN)パーセンタイルが32日であるとする。この場合、修正参照周期取得部143は、
図6Bに示すように、参照周期C3の24日を25日に変更し、参照周期C4の34日を32日に変更する。
図6Cは、ウインソリゼーションの後の参照周期の頻度分布の一例を示すグラフである。
図6Cでは、WNパーセンタイル未満の日数の参照周期がWNパーセンタイルに変更され、(100−WN)パーセンタイルよりも長い日数の参照周期が(100−WN)パーセンタイルに変更されている。
【0073】
代表値取得部144は、パラメータ候補取得部141により取得された閾値の候補ごとに、修正参照周期取得部143により取得された、修正された複数の参照周期の代表値を計算する。パラメータ候補取得部141により、異常値除去の閾値とウインソリゼーションの閾値とを少なくとも含む候補組み合わせが取得された場合、修正参照周期取得部143は、候補組み合わせごとに、修正された複数の参照周期の代表値を計算する。予測に用いられる代表値種別が予め定められている場合、代表値取得部144は、修正された複数の参照周期の平均値又は中央値のうち予め定められている方のみを取得する。一方、代表値種別が予め定められていない場合、代表値取得部144は、修正された複数の参照周期の平均値及び中央値の両方を取得する。具体的に、代表値取得部144は、取得された候補組み合わせに含まれる代表値種別が「平均値」である場合、平均値を計算し、代表値種別が「中央値」である場合、中央値を決定する。
図7Aは、ウインソリゼーションの後の参照周期の頻度分布の一例を示すとともに、その頻度分布と代表値との位置関係の一例を示すグラフである。
図7Bは、代表値が決定される様子と、代表値と基準周期の日数との差が計算される様子の一例を示す図である。例えば、代表値種別が「平均値」である場合、代表値取得部144は、
図6Cに示す参照周期に対して、
図7Bに示すように平均値28.8を計算する。一方、代表値種別が「中央値」である場合、代表値取得部144は、中央値29を決定する。取得された代表値は、月経周期の仮の予測値に相当する。
【0074】
パラメータ決定部145は、パラメータ候補取得部141により取得された閾値の候補ごとに、又は候補組み合わせごとに、代表値取得部144により取得された代表値と基準周期の日数とを比較する。そして、パラメータ決定部145は、この比較の結果に基づいて、予測に用いるパラメータ又は組み合わせを決定する。例えば、パラメータ決定部145は、代表値と基準周期との差を計算してもよい。例えば、パラメータ決定部145は、
図7Bに示すように、基準周期C1の日数30と平均値28.8との差1.2を計算する。パラメータ決定部145は、計算された差が最も小さいパラメータ又は組み合わせを、予測に用いるパラメータ又は組み合わせに決定してもよい。代表値と基準周期の日数との差は、月経周期の仮の予測値と実際の月経周期との差である。従って、この差が小さいほど、月経周期の予測精度が高いと考えられる。
【0075】
周期セット取得部142により複数の周期セットが取得された場合、修正参照周期取得部143、代表値取得部144及びパラメータ決定部145は、パラメータ候補取得部141により取得された閾値の候補ごとに又は候補組み合わせごとに、複数の周期セットのそれぞれに対して処理を実行する。すなわち、修正参照周期取得部143は、閾値の候補ごとに又は候補組み合わせごとに、複数の周期セットのそれぞれの複数の参照周期を修正して、修正された複数の参照周期をそれぞれ取得する。また、代表値取得部144は、閾値の候補ごとに又は候補組み合わせごとに、複数の周期セットのそれぞれにおいて修正された複数の参照周期の代表値を取得する。また、パラメータ決定部145は、閾値の候補ごとに又は候補組み合わせごとに、複数の周期セットのそれぞれに対して取得された代表値と複数の周期セットのそれぞれの基準周期の日数とを比較する。
【0076】
パラメータ決定部145は、例えばパラメータの候補ごとに又は候補組み合わせごとに、複数の周期セットのそれぞれに対して計算された差の合計を計算してもよい。そして、パラメータ決定部145は、差の合計が最も小さいパラメータの候補又は候補組み合わせを、予測に用いるパラメータ又は組み合わせに決定してもよい。以降においては、単に「候補」という場合、パラメータの候補又は候補組み合わせを示すものとする。なお、パラメータ決定部145は、合計の代わりに、例えば平均値や中央値等を計算してもよい。
【0077】
パラメータ決定部145は、複数の周期セットのそれぞれの代表値と基準周期の差を用いてパラメータを決定するとき、周期セットに含まれる基準周期の時期的位置に基づいて、代表値と基準周期の差に重み付けしてもよいし重み付けしなくてもよい。例えば、パラメータ決定部145は、基準周期の時期的位置が古いほど重みを小さくしてもよい。パラメータ決定部145は、現月経周期の日数を予測するためのパラメータを決定する。時期的位置が古い基準周期ほど、現月経周期から時期的に遠い。そのため、基準周期の時期的位置が古いほど、基準周期と現月経周期との類似性が低い可能性がある。そこで、基準周期の時期的位置が古いほど重みを小さくすることにより決定されたパラメータが用いられることで、月経周期の日数の予測精度を高めることができる。
【0078】
図8Aは、代表値と基準周期の差の合計の計算例を示す図である。例えば、
図4Aに示す候補組み合わせが取得され、
図4Cに示す第1周期セット〜第3周期セットが取得されたとする。この場合、パラメータ決定部145は、候補組み合わせごとに、代表値と基準周期との差の加重合計を計算する。このとき、パラメータ決定部145は、例えば第1周期セットの代表値と基準周期との差に重み係数1を掛け、第2周期セットの代表値と基準周期との差に重み係数0.8を掛け、第3周期セットの代表値と基準周期との差に重み係数0.5を掛けてもよい。なお、基準周期の時期的位置が古いほど重み係数が小さくなるという条件を満たす限り、各周期セットの重み係数は自由に設定されてもよい。
【0079】
ところで、代表値と基準周期との差が最も小さい候補の当該差と同程度の差が、他の1又は複数の候補について計算される場合があるかもしれない。すなわち、仮の予測の精度が同程度に高い候補が複数存在するかもしれない。ここで、代表値と基準周期との差が最も小さい候補を、第1候補という。第1候補について取得された差から所定範囲内にある差が取得された候補を、第2候補という。パラメータ決定部145は、この場合であっても、第1候補を、予測に用いるパラメータ又は組み合わせに決定してもよい。或いは、パラメータ決定部145は、所定の条件に基づいて、第1候補と第2候補との中から。予測に用いるパラメータ又は組み合わせを決定してもよい。第1候補について取得された差から所定範囲内にある差が取得された候補が複数存在するかもしれない。その場合、パラメータ決定部145は、これらの候補のうち所定数以下の候補のみを第2候補として特定してもよいし、全ての候補を第2候補として特定してもよい。
【0080】
パラメータ決定部145は、例えば今回の生理日の予測の対象者と異なるユーザのうち、予測に用いるパラメータ又は組み合わせとして第1候補が決定されたユーザの人数と、予測に用いるパラメータ又は組み合わせとして第2候補が決定されたユーザの人数とを取得してもよい。パラメータ決定部145は、パラメータDB12dに登録されているパラメータ情報に基づいて、このようなユーザの人数を取得することができる。パラメータ決定部145は、第1候補と1又は複数の第2候補とのうち、例えば取得された人数が最も多い候補を、予測に用いるパラメータ又は組み合わせを決定してもよい。その理由は、多くのユーザに対して用いられているパラメータほど、様々なユーザに適した予測を行うことが可能なパラメータである蓋然性があるからである。
【0081】
図8Bは、第1候補が決定されたユーザの人数及び第2候補が決定されたユーザの人数の例を示すグラフである。候補組み合わせCC2が第1候補として特定され、候補組み合わせCC8が第2候補として特定されたとする。ここで
図8Bに示すように、候補組み合わせCC8が決定されたユーザの人数が、候補組み合わせCC2が決定されたユーザの人数よりも多い。従って、パラメータ決定部145は、候補組み合わせCC8を、予測に用いられるパラメータの組み合わせに決定してもよい。
【0082】
なお、一人のユーザについて複数のパラメータ情報が複数登録される場合がある。この場合、パラメータ決定部145は、例えば登録日が最新であるパラメータ情報を用いて、人数をカウントしてもよい。或いは、パラメータ決定部145は、例えば複数のパラメータ情報に基づいて、第1候補及び第2候補が予測に用いるパラメータ又は組み合わせとして決定された頻度をそれぞれ計算してもよい。そして、パラメータ決定部145は、例えば第1候補及び第2候補のうち頻度が最も高い候補が、予測に用いるパラメータ又は組み合わせが決定されたと判定してもよい。
【0083】
また、パラメータ決定部145は、第1候補が決定されたユーザのうち対象者が有する特徴との同一性がある特徴を有するユーザの人数を取得してもよい。また、パラメータ決定部145は、第2候補が決定されたユーザのうち対象者が有する特徴との同一性がある特徴を有するユーザの人数を取得してもよい。そして、パラメータ決定部145は、取得された人数に基づいて、予測に用いるパラメータ又は組み合わせ決定してもよい。その理由は、対象者が有する特徴と同一の特徴を有するユーザの月経又は月経周期の傾向は、対象者の月経又は月経周期の傾向と類似している蓋然性があるからである。特徴の例として、年齢、年代、予測に用いるパラメータ又は組み合わせが決定された季節又は月、体温の推移の傾向、低温期の日数、高温期の日数等が挙げられる。パラメータ決定部145は、例えば会員情報DB12aに基づいて年齢又は年代を取得することができる。また、パラメータ決定部145は、例えばパラメータDB12dに登録されたパラメータ情報に基づいて、予測に用いるパラメータ又は組み合わせが決定された季節又は月を取得することができる。また、パラメータ決定部145は、体温DB12b及び生理日DB12cに基づいて、体温の推移の傾向、低温期の日数及び高温期の日数を取得することができる。対象者の特徴との同一性がある特徴とは、例えば対象者の特徴と同一の特徴であってもよいし、対象者の特徴から所定範囲以内の特徴であってもよいし、対象者の特徴と類似する特徴であってもよい。
【0084】
[3−1−2.生理日の予測]
周期ベース予測部146は、パラメータ決定部145により決定されたパラメータ又は組み合わせを用いて、対象者の現月経周期の日数を予測する。具体的に、周期ベース予測部146は、生理日の予測の対象者の過去の複数の月経周期を取得する。次いで、周期ベース予測部146は、取得された複数の月経周期のうちパラメータとして決定された閾値により特定される外れ値に所定の処理を施すことにより、修正された複数の月経周期を取得する。より詳細に、周期ベース予測部146は、複数の月経周期から異常値を除去し、又は複数の月経周期に対してウインソリゼーションを施す。或いは、周期ベース予測部146は、異常値の除去を行った後に、更にウインソリゼーションを行う。パラメータ決定部145により異常値除去の閾値が決定された場合、周期ベース予測部146は、この閾値を用いて異常値を除去する。パラメータ決定部145によりウインソリゼーションの閾値が決定された場合、周期ベース予測部146は、この閾値を用いてウインソリゼーションを行う。周期ベース予測部146は、修正された複数の月経周期の代表値を、現月経周期の日数の予測値として取得する。パラメータ決定部145により代表値種別として「平均値」が決定された場合、周期ベース予測部146は平均値を計算し、代表値種別として「中央値」が決定された場合、周期ベース予測部146は中央値を決定する。次いで、周期ベース予測部146は、現月経周期の初日に、取得した代表値を加算して、予測生理日を計算する。
【0085】
ところで、過去の月経周期の頻度分布が2個の極大値を有する場合があるかもしれない。この場合、周期ベース予測部146は、例えば頻度分布全体に対して1つの代表値のみを決定してもよい。或いは、周期ベース予測部146は、例えば月経周期の分布を、頻度が極小値となる周期の位置で分割してもよい。周期ベース予測部146は、例えば分割された分布ごとに代表値を取得してもよい。そして、周期ベース予測部146は、代表値ごとに、現月経周期の初日に代表値を加算して、予測生理日を計算してもよい。すなわち、周期ベース予測部146は、次の生理日を2個予測してもよい。この場合、周期ベース予測部146は、ユーザ端末2に、例えば「周期が短い場合の次回生理予定日はX日、周期が長い場合の次回生理予定日はY日」と表示させてもよい。Xは、2個の予測生理日のうち今日から近い方の予測生理日であり、Yは、今日から遠い方の予測生理日である。なお、極大値が3個以上ある場合、周期ベース予測部146は、例えば月経周期の分布を分割せずに、次の生理日を1つのみ予測してもよい。
【0086】
なお、周期ベース予測手法で用いられるパラメータの全てが予め定められていてもよい。例えば、パラメータが記憶部12に記憶されていてもよい。この場合、閾値候補取得部141、周期セット取得部142、修正参照周期取得部143、代表値取得部144及びパラメータ決定部145は不要である。
【0087】
[3−2.体温ベース予測手法]
体温ベース予測手法を用いる場合、システム制御部14は、生理日が予測される対象者の体温の実測値の短期の移動平均と長期の移動平均とを、例えば日ごとに計算する。そして、システム制御部14は、現月経周期において、短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミングを特定する。短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミングとは、例えば短期の移動平均線と長期の移動平均線が交差するタイミングのうち、移動平均線が交差するタイミングの直後の短期の移動平均が長期の移動平均よりも高いタイミングである。このように移動平均線が交差することを、Pクロスオーバー(ポジティブクロスオーバー)という。短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるとは、Pクロスオーバーが起こることである。
図9は、現在の月経周期における体温の実測値のグラフと、体温の短期の移動平均線と長期の移動平均線との例を示す図である。
図9に示すように、1月1日から現在の月経周期が始まった後、1月12日でPクロスオーバーが発生している。システム制御部14は、特定されたタイミングに基づいて、次の生理日を予測し又は排卵日の到来を推定する。或いは、システム制御部14は、次の生理日の予測と排卵日の到来の推定の両方を行ってもよい。
【0088】
上述したように、月経周期は、一般的に低温期と高温期とから成る。月経周期の中で排卵日には、卵胞から卵子が排出される。すると、卵胞から黄体が形成される。この黄体から黄体ホルモンが分泌される。この黄体ホルモンにより体温が上昇し、低温期から高温期に移行する。黄体が萎縮すると、黄体ホルモンの分泌が終わる。すると、子宮内膜を維持することができなくなり、月経となる。また、黄体ホルモンの分泌が終わると体温が低下する。従って、次の月経周期の低温期に移行する。黄体ホルモンの寿命は相当に安定している。例えば、黄体ホルモンの寿命は一般的に14日±2日である。
【0089】
低温期から高温期に移行する日又はその日の近隣の日が排卵日である蓋然性が高い。しかしながら、実際の日々の体温は安定して推移しない場合がある。例えば、低温期から高温期に移行するはずのタイミングの前後で体温が上下に大きく変動することがあるかもしれない。従って、日々の体温の実測値のみを見ても、高温期に移行したか否かの判断が難しい。
【0090】
これに対して、本実施形態の体温ベース予測手法では、移動平均が用いられるので、体温の時系列が平滑化される。また、短期の移動平均は直近の短期間における体温の傾向を示し、長期の移動平均は長期間における体温の傾向を示す。従って、短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミングにより、低温期から高温期に移行するタイミングを適切に特定することが可能である。従って、排卵日の到来を精度よく推定することができる。
図9の例では、1月12日又はその周辺の日に排卵日が到来している蓋然性が高い。
【0091】
同一の対象者であっても、月経周期によって低温期の日数は比較的変動しやすい。その一方で、高温期の日数は比較的安定している。その理由は、高温期の日数は黄体の寿命に対応するからである。従って、排卵日が到来した日を推定することができれば、次の月経周期の予測が可能である。
【0092】
計算される移動平均は如何なる種類の移動平均であってもよい。例えば、単純移動平均、加重移動平均又は指数移動平均等が計算されてもよい。指数移動平均の計算式としては、公知のあらゆる式が利用可能である。例えば期間の日数がpであるとする。日数pは、実際には短期日数又は長期日数である。この場合、指数移動平均の計算が開始された日からt日後の日の指数移動平均EMA
p(t)は、例えば下記の式1により計算されてもよい。
【数1】
【0093】
e(t)は、t日後の日の体温の実測値である。dは減衰係数である。dは、例えば下記の式2により計算されてもよい。
【数2】
【0094】
[3−2−1.パラメータの決定]
期間日数決定部147は、体温ベース予測手法を用いた排卵日の到来の推定又は生理日の予測を行うために、体温ベース予測手法で用いられるパラメータを決定する。決定されるパラメータは、移動平均の計算に用いられる短期日数と長期日数である。
【0095】
例えば、単純移動平均又は加重移動平均の場合、短期日数及び長期日数は、平均値を計算するための基となる体温の実測値の数を示す。短期日数をsとし、長期日数をlとする。短期の移動平均は、直近のs日間の体温の実測値の平均値である。長期の移動平均は、直近のl日間の体温の実測値の平均値である。指数移動平均の場合、短期日数及び長期日数は、平均を計算するためのパラメータの1つである。指数移動平均が計算されるごとに、計算に用いられた体温の実測値の重みは指数関数的に減少していく。従って、短期日数及び長期日数は、例えば体温の実測値の重みが所定値以下になるまでに要する日数であってもよい。式1及び式2の場合、短期日数及び長期日数は、体温の実測値の重みが2分の1以下になるまでに要する日数である。
【0096】
例えば、期間日数決定部147は、対象者の過去の1以上の月経周期の体温の実測値を用いて、体温ベース予測手法で用いられるパラメータを決定してもよい。過去の1以上の月経周期は、例えば現月経周期と連続する月経周期であってもよい。また、過去の2以上の月経周期の体温の実測値が用いられる場合、例えばこれらの月経周期は連続する月経周期であってもよい。期間日数決定部147は、例えばパラメータとして用いられる短期日数及び長期日数のそれぞれの候補を用いて、過去の1以上の月経周期における短期の移動平均と長期の移動平均とを計算してもよい。
図10は、過去の3月経周期における体温のグラフと、体温の短期の移動平均線と長期の移動平均線との例を示す図である。
【0097】
期間日数決定部147は、過去の1以上の月経周期における体温の短期の移動平均が長期の移動平均よりも小さくなるタイミングが、過去の1以上の月経周期の初日である生理日と重なるように、パラメータとして用いられる短期日数と長期日数とを決定する。短期の移動平均が長期の移動平均よりも小さくなるタイミングとは、例えば短期の移動平均線と長期の移動平均線が交差するタイミングのうち、移動平均線が交差するタイミングの直後の短期の移動平均が長期の移動平均よりも低いタイミングである。このように移動平均線が交差することを、Nクロスオーバー(ネガティブクロスオーバー)という。短期の移動平均が長期の移動平均よりも小さくなることは、Nクロスオーバーが起こることである。
図11は、過去の3月経周期における体温の短期の移動平均線と長期の移動平均線との関係の例を示す図である。
図11の例では、3回の生理日のそれぞれにNクロスオーバーのタイミングがおおよそ重なっている。
【0098】
上述したように、高温期から次の月経周期の低温期に移行する日が実際の生理日である蓋然性が高い。従って、Nクロスオーバーのタイミングが実際の生理日と重なるように期間日数決定部147が短期日数及び長期日数を決定することで、移動平均を用いた排卵日の到来の推定精度又は生理日の予測精度を高めることができる。
【0099】
具体的に、期間日数決定部147は、例えば生理日とNクロスオーバーのタイミングとの差を示す関数errが最小となるように、短期日数と長期日数を決定してもよい。関数errの媒介変数は短期日数sと長期日数lである。便宜上、行列(s,l)の転置行列をxとし、errの媒介変数を行列xとする。この場合、errは、例えば下記の式3により表されてもよい。
【数3】
【0100】
menday(i)は、過去のn個の月経周期のうちi番目の月経周期の初日、すなわち生理日である。ncoday(x,i)は、xで計算された短期の移動平均と長期の移動平均に基づいて特定されたNクロスオーバーが起きた日のうち、menday(i)に最も近い日である。期間日数決定部147は、例えばerr(x)が最小となるxを求める凸最適化問題を解いてもよい。この問題は、例えば下記の式4により示されてもよい。
【数4】
【0101】
X及びYはそれぞれ任意の自然数の集合である。この最適化問題を解くことが可能なアルゴリズムであれば、期間日数決定部147は如何なるアルゴリズムを用いてもよい。例えば、期間日数決定部147は、シンプレックス法等を用いてもよい。或いは、長期日数の上限が予め定められている場合、期間日数決定部147は、例えば短期日数と長期日数の全ての組み合わせについてerrを計算し、最も小さいerrが計算された短期日数と長期日数との組み合わせを、排卵日の到来の推定又は次の生理日の予測に用いる短期日数と長期日数に決定してもよい。
【0102】
期間日数決定部147は、過去の1以上の月経周期における体温の短期の移動平均が長期の移動平均よりも小さくなるタイミングと生理日との差が小さくなるように短期日数及び長期日数を決定するとともに、例えば過去の1以上の月経周期における短期の移動平均と長期の移動平均との差の積分値が大きくなるように、短期日数及び長期日数を決定してもよい。すなわち、例えば
図10において、短期の移動平均線と長期の移動平均線とで囲まれた領域の面積が極力大きくなるように、期間日数決定部147は短期日数及び長期日数を決定してもよい。その理由は、Nクロスオーバーを明確に特定するためである。全体的に短期の移動平均と長期の移動平均との差が小さい場合、Nクロスオーバーを特定しにくかったり、1月経周期内にNクロスオーバーが複数発生したりする場合があるからである。短期の移動平均と長期の移動平均との差の定積分area(x)は、下記の式5で表される。
【数5】
【0103】
TEは、過去の1以上の月経周期の最初の月経周期の初日から最後の月経周期の最終日までに経過した日数である。EMA
sは、期間の日数をsとする短期の移動平均であり、EMA
lは、期間の日数をlとする長期の移動平均である。
【0104】
これまでの2つの条件を表すため、例えば、短期の移動平均が長期の移動平均よりも小さくなるタイミングと生理日との差が大きくなるほど小さくなり、且つ短期の移動平均と長期の移動平均との差の定積分が大きくなるほど大きくなる関数f(x)が用いられてもよい。例えば、f(x)は下記の式6で表されてもよい。
【数6】
【0105】
α及びβはそれぞれ定数である。なお、式6は、関数f(x)の式の一例である。式6と異なる式で関数f(x)が計算されてもよい。
【0106】
期間日数決定部147は、例えばfが最大となるように、短期日数と長期日数を決定してもよい。例えば、期間日数決定部147は、fが最大となるxを求める凸最適化問題を解いてもよい。この問題は、例えば下記の式7により示されてもよい。
【数7】
【0107】
この最適化問題を解くことが可能なアルゴリズムであれば、期間日数決定部147は如何なるアルゴリズムを用いてもよい。例えば、期間日数決定部147は、シンプレックス法等を用いてもよい。或いは、長期日数の上限が予め定められている場合、期間日数決定部147は、例えば短期日数と長期日数の全ての組み合わせについてfを計算し、最も大きいfが計算された短期日数と長期日数との組み合わせを、排卵日の到来の推定又は次の生理日の予測に用いる短期日数と長期日数に決定してもよい。
【0108】
なお、短期の移動平均が長期の移動平均よりも小さくなるタイミングと生理日との差が大きくなるほど大きくなり、且つ短期の移動平均と長期の移動平均との差の定積分が大きくなるほど小さくなる関数g(x)が最小となるように、期間日数決定部147は、短期日数及び長期日数を決定してもよい。関数f(x)の符号を反転することにより、−f(x)が最小となる短期日数及び長期日数を求める最適化問題に変わるので、関数f(x)の最適化問題と関数g(x)の最適化問題は実質的に同じである。
【0109】
[3−2−2.排卵日の推定、生理日の予測]
タイミング特定部148は、期間日数決定部147により決定された短期日数と長期日数を用いて、現月経周期における短期の移動平均と長期の移動平均を計算する。指数移動平均を計算する場合、タイミング特定部148は、例えば過去の1以上の月経周期内の何れかの日から指数移動平均の計算を開始してもよい。タイミング特定部148は、現月経周期において、短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミング、すなわちPクロスオーバーが起きた日を特定する。
【0110】
体温ベース予測部149は、タイミング特定部148により特定されたタイミングに基づいて、排卵日の到来を推定し、又は次の生理日を予測する。
【0111】
排卵日の到来を推定する場合、体温ベース予測部149は、例えばPクロスオーバーが起きた日を排卵日と推定してもよい。或いは、体温ベース予測部149は、例えばPクロスオーバーが起きた日から所定日後又は所定日前の日を、排卵日と推定してもよい。或いは、排卵日検査によって対象者の過去の月経周期における排卵日が判明している場合、体温ベース予測部149は、例えば判明した排卵日と過去の月経周期においてPクロスオーバーが起きた日との差を計算してもよい。そして、体温ベース予測部149は、現月経周期でPクロスオーバーが起きた日に、計算した差を加算することにより、推定排卵日を計算してもよい。
【0112】
次の生理日を予測する場合、体温ベース予測部149は、例えばPクロスオーバーが起きた日に所定日数を加算することにより予測生理日を計算してもよいし、推定排卵日に所定日数を加算することにより予測生理日を計算してもよい。加算される日数は、例えば14日±2日の範囲内で予め定められてもよい。或いは、体温ベース予測部149は、例えば過去の1以上の月経周期の短期の移動平均及び長期の移動平均に基づいて、過去の1以上の月経周期におけるPクロスオーバーが起きた日からNクロスオーバーが起きた日までの日数の代表値を計算してもよい。体温ベース予測部149は、例えば平均値を計算してもよいし、中央値を計算してもよい。そして、体温ベース予測部149は、例えば現月経周期でPクロスオーバーが起きた日に、計算された代表値を加算することにより、予測生理日を計算してもよい。
図12Aは、予測生理日が計算される様子の一例を示す図である。例えば、
図11の例の場合、3月経周期においてPクロスオーバーが起きた日からNクロスオーバーが起きた日までの日数は、それぞれ11、13及び15である。従って平均値は13である。
図12Aに示すように、現月経周期においてPクロスオーバーが起きた日は1月14日である。従って、体温ベース予測部149は、次の生理日を1月27日と予測する。
【0113】
なお、排卵日の推定の対象の月経周期は現月経周期であってもよいし、過去の月経周期であってもよい。例えば、タイミング特定部148は、期間日数決定部147により決定された短期日数と長期日数を用いて、過去の或る月経周期における短期の移動平均と長期の移動平均を計算し、その月経周期において、短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミングを特定してもよい。そして、体温ベース予測部149は、特定されたタイミングに基づいて、その月経周期における排卵日を推定してもよい。また、体温ベース予測手法で用いられる短期日数及び長期日数は予め定められていてもよい。例えば、短期日数及び長期日数が予め記憶部12に記憶されていてもよい。この場合、期間日数決定部147は不要である。
【0114】
[3−3.予測手法の切り替え]
周期ベース予測手法によれば、過去の3以上の月経周期のそれぞれの日数が特定されていれば、現在が低温期であるか高温期であるかに関わらず、次の生理日を予測することができる。一方、体温ベース予測手法によれば、体温の短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなったタイミング、すなわちPクロスオーバーが起きたタイミングに基づいて、次の生理日を精度よく予測することができる。しかしながら、現月経周期においてPクロスオーバーがまだ起きていない場合、すなわち現在が低温期である蓋然性が高い場合、体温ベース予測手法を用いることができない。
【0115】
そこで、現月経周期において体温の短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなったタイミングがタイミング特定部148により特定されていない場合、周期ベース予測部146が次の生理日を予測してもよい。一方、短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなったことタイミングがタイミング特定部148により特定された場合、体温ベース予測部149が次の生理日を予測してもよい。
【0116】
図12Bは、次の生理日の予測に用いられる手法の決定例を示す図である。
図12Bに示すように、1月13日から16日までは、短期の移動平均が長期の移動平均よりも低い。従って、この期間は、周期ベース予測部146が周期ベース予測手法を用いて次の生理日を予測する。1月17日にはPクロスオーバーが起きている。従って、1月17日以降は、体温ベース予測部149が体温ベース予測手法を用いて次の生理日を予測する。
【0117】
なお、例えば如何なる状況であっても、常に周期ベース予測部146が次の生理日を予測してもよい。この場合、体温ベース予測部149は不要である。また例えば、現月経周期においてPクロスオーバーが起こったタイミングがまだ特定されていない場合、システム制御部14は、第3−1節で説明された周期ベース予測手法とは異なる手法を用いて次の生理日を予測してもよい。例えば、過去の1以上の周期の日数の代表値を現月経周期の初日の生理日に加算することにより次の生理日を予測する手法であれば、システム制御部14は如何なる手法を用いてもよい。この場合、例えば過去の1以上の周期のうち少なくとも1つの周期の日数が修正又は変更されてもよい。そして、Pクロスオーバーが起こったタイミングが特定された後は、体温ベース予測部149が次の生理日を予測してもよい。或いは、例えば現月経周期においてPクロスオーバーが起こったタイミングがまだ特定されていない場合、システム制御部14は、次の生理日を予測しなくてもよい。そして、Pクロスオーバーが起こったタイミングが特定された後は、体温ベース予測部149が次の生理日を予測してもよい。この場合、周期ベース予測部146は不要である。
【0118】
[4.情報処理システムの動作]
次に、情報処理システムSの動作について、
図13乃至
図19を用いて説明する。
【0119】
図13は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14の生理日予測処理の一例を示すフローチャートである。例えば、ユーザの操作に基づいて、ユーザ端末2は、端末用アプリケーションプログラムを起動する。そして、ユーザは体温計3を用いて本日の体温を計測する。すると、ユーザ端末2は、計測された体温を実測値として体温計3から受信する。そして、ユーザ端末2は、体温の実測値を、ユーザ端末2を利用するユーザのユーザIDとともに情報処理サーバ1へ送信する。ユーザ端末2から体温の実測値及びユーザIDを受信したとき、システム制御部14は、生理日予測処理を実行する。この場合、ユーザIDが示すユーザは、次の生理日が予測される対象者である。
【0120】
図13に示すように、体温ベース予測部149は、受信された実測値を記録する(ステップS1)。具体的に、体温ベース予測部149は、今日の日付を測定日として取得する。そして、体温ベース予測部149は、受信された実測値及びユーザIDと、測定日とを対応付けて体温DB12bに登録する。
【0121】
次いで、周期ベース予測部146は、対象者のユーザIDが示すユーザについて記録された過去の月経周期の数が、記憶部12に予め記憶された閾値KNよりも大きいか否かを判定する(ステップS2)。例えば、周期ベース予測部146は、対象者のユーザIDに対応する生理日を生理日DB12cから検索する。周期ベース予測部146は、この検索により見つかった生理日の数から1を減算して、過去の月経周期の数を計算する。閾値KNは、例えば2以上の数のうちの何れかを示してもよい。周期ベース予測部146は、過去の月経周期の数が閾値KNよりも大きいと判定した場合には(ステップS2:YES)、ステップS3に進む。一方、周期ベース予測部146は、過去の月経周期の数が閾値KNよりも大きくはないと判定した場合には(ステップS2:NO)、生理日予測処理を終了させる。
【0122】
ステップS3において、体温ベース予測部149は、各日の体温の実測値が記録された過去の月経周期の数が閾値KNよりも大きいか否かを判定する。例えば、体温ベース予測部149は、ステップS2において見つかった生理日を日付の古い順に並べ替える。体温ベース予測部149は、並べ替えられた生理日の中で隣り合う2つの生理日ごとに、月経周期を特定する。或る生理日から次の生理日の前日までが、1つの月経周期である。体温ベース予測部149は、月経周期ごとに、体温DB12bから、対象者のユーザIDに対応する体温の実測値のうち、月経周期の初日から最終日までの実測値をそれぞれ検索する。検索の結果、初日から最終日までの全ての日で実測値が見つかった場合、体温ベース予測部149は、各日の体温の実測値が記録された過去の月経周期の数を1増加させる。体温ベース予測部149は、このようにしてカウントされた月経周期の数が閾値KNよりも大きいと判定した場合には(ステップS3:YES)、ステップS4に進む。一方、体温ベース予測部149は、各日の体温の実測値が記録された過去の月経周期の数が閾値KNよりも大きくはないと判定した場合には(ステップS3:NO)、生理日予測処理を終了させる。なお、或る月経周期において、一部の日の体温の実測値が記録されていない場合、体温ベース予測部149は、例えばその一部の日の前後の日などの体温の実測値で、その日の実測値を補間してもよい。これにより、体温ベース予測部149は、各日の体温の実測値が記録された月経周期の数を増やしてもよい。或いは、体温ベース予測部149は、例えば体温の実測値が記録されていない日の体温の入力を促すメッセージをユーザ端末2に送信してもよい。そして、体温ベース予測部149は、例えばユーザにより手入力された体温を実測値としてユーザ端末2から取得してもよい。
【0123】
ステップS4において、システム制御部14は、現月経周期用のパラメータ情報が登録されているか否かを判定する。例えば、システム制御部14は、ステップS2において見つかった生理日のうち最新の生理日を、現月経周期の初日として特定する。次いで、システム制御部14は、パラメータDB12dから、対象者のユーザIDに対応するパラメータ情報のうち、登録日が現月経周期の初日以降であるパラメータ情報を検索する。検索の結果、システム制御部14は、パラメータ情報がパラメータDB12dに登録されていると判定した場合には(ステップS4:YES)、ステップS6に進む。一方、システム制御部14は、パラメータ情報がパラメータDB12dに登録されていないと判定した場合には(ステップS4:NO)、ステップS5に進む。ステップS5において、システム制御部14は、パラメータ決定処理を実行する。パラメータ決定処理において、システム制御部14は、周期ベース予測手法及び体温ベース予測手法のパラメータを生成する。また、システム制御部14は、周期ベース予測手法により次の生理日を予測する。また、システム制御部14は、体温ベース予測手法により、現月経周期の高温期の日数を推定する。そして、システム制御部14は、現月経周期用のパラメータ情報を生成する。パラメータ決定処理の詳細は後述する。次いで、システム制御部14は、ステップS6に進む。
【0124】
ステップS6において、体温ベース予測部149は、現月経周期の各日の体温の実測値が記録されているか否かを判定する。例えば、体温ベース予測部149は、体温DB12bから、対象者のユーザIDに対応する体温の実測値のうち、現月経周期の初日から今日までの実測値をそれぞれ検索する。検索の結果、初日から今日までの全ての日で実測値が見つかった場合、体温ベース予測部149は、現月経周期の各日の体温の実測値が記録されていると判定する(ステップS6:YES)。この場合、体温ベース予測部149は、ステップS7に進む。一方、初日から今日までのうち少なくとも1日で実測値が見つからなかった場合、体温ベース予測部149は、現月経周期の各日の体温の実測値が記録されていないと判定する(ステップS6:NO)。この場合、体温ベース予測部149は、ステップS10に進む。なお、体温ベース予測部149は、例えば体温の実測値が記録されていない日の体温を補間により決定してもよいし、ユーザに入力させてもよい。
【0125】
ステップS7において、タイミング特定部148は、現月経周期用のパラメータ情報から、短期日数及び長期日数を取得する。次いで、タイミング特定部148は、現月経周期の各日の体温の実測値と、短期日数及び長期日数とに基づいて、現月経周期の初日から今日までの各日の短期の移動平均と長期の移動平均とを計算する(ステップS8)。次いで、タイミング特定部148は、現月経周期でPクロスオーバーが特定されるか否かを判定する(ステップS9)。例えば、或る日の短期の移動平均が長期の移動平均よりも低く、且つその1日後の短期の移動平均が長期の移動平均よりも高い場合、タイミング特定部148は、Pクロスオーバーが起こったと判定してもよい。この場合、タイミング特定部148は、例えばこれら2日間のうち何れかの日を、Pクロスオーバーが起こった日として特定する。例えば、タイミング特定部148は、短期の移動平均と長期の移動平均との差が小さい方の日を、Pクロスオーバーが起こった日として特定してもよい。また例えば、或る日の短期の移動平均が長期の移動平均よりも低く、その或る日の1日後の短期の移動平均が長期の移動平均と一致し、且つその或る日の2日後の短期の移動平均が長期の移動平均よりも高い場合、タイミング特定部148は、Pクロスオーバーが起こったと判定してもよい。この場合、タイミング特定部148は、例えばこれら3日間のうち中央の日を、Pクロスオーバーが起こった日として特定してもよい。タイミング特定部148は、Pクロスオーバーが特定されると判定した場合には(ステップS9:YES)、ステップS11に進む。一方、タイミング特定部148は、Pクロスオーバーが特定されなかったと判定した場合には(ステップS9:NO)、ステップS10に進む。
【0126】
ステップS10において、周期ベース予測部146は、現月経周期用のパラメータ情報に含まれる予測生理日をユーザ端末2へ送信して、生理日予測処理を終了させる。ユーザ端末2は、情報処理サーバ1から受信した予測生理日を画面に表示する。
【0127】
ステップS11において、体温ベース予測部149は、現月経周期でPクロスオーバーが起こった日に基づいて、推定排卵日を決定する。例えば、体温ベース予測部149は、Pクロスオーバーが起こった日を推定排卵日に決定してもよい。次いで、体温ベース予測部149は、Pクロスオーバーが起こった日に、現月経周期用のパラメータ情報に含まれる推定高温期日数を加算することにより、予測生理日を計算する(ステップS12)。次いで、体温ベース予測部149は、推定排卵日及び予測生理日をユーザ端末2に送信して(ステップS13)。生理日予測処理を終了させる。ユーザ端末2は、情報処理サーバ1から受信した推定排卵日及び予測生理日を画面に表示する。
【0128】
図14は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14のパラメータ決定処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示すように、システム制御部14は、周期ベースパラメータ決定処理を実行する(ステップS21)。周期ベースパラメータ決定処理において、システム制御部14は、周期ベース予測手法で用いられるパラメータを決定する。周期ベースパラメータ決定処理の詳細は後述する。次いで、周期ベース予測部146は、周期ベース予測処理を実行する(ステップS22)。周期ベース予測処理において、周期ベース予測部146は、周期ベース予測手法により予測生理日を決定する。周期ベース予測処理の詳細は後述する。
【0129】
次いで、期間日数決定部147は、体温ベースパラメータ決定処理を実行する(ステップS23)。体温ベースパラメータ決定処理において、期間日数決定部147は、体温ベース予測手法で用いられるパラメータを決定する。体温ベースパラメータ決定処理の詳細は後述する。次いで、体温ベース予測部149は、体温ベース予測手法のパラメータに決定された短期日数と長期日数とに基づいて計算される短期の移動平均と長期の移動平均とに基づいて、過去の1以上の月経周期におけるPクロスオーバーが起こった日とNクロスオーバーが起こった日とを特定する。そして、体温ベース予測部149は、Pクロスオーバーが起こった日からNクロスオーバーが起こった日までの日数の平均値を、推定高温期日数として計算する(ステップS24)。
【0130】
次いで、システム制御部14は、今日の日付を登録日として取得する。次いで、システム制御部14は、対象者のユーザID、登録日、周期ベースパラメータ決定処理及び体温ベースパラメータ決定処理で決定されたパラメータ、周期ベース予測手法により決定された予測生理日、及び推定高温期日数を含むパラメータ情報を生成する。そして、システム制御部14は、生成されたパラメータ情報をパラメータDB12dに登録して(ステップS25)、パラメータ決定処理を終了させる。
【0131】
図15は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14の周期ベースパラメータ決定処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示すように、パラメータ候補取得部141は、参照周期の数RNを決定する(ステップS31)。例えば、パラメータ候補取得部141は、記憶部12に予め記憶されている、参照周期の数の初期値を取得する。次いで、パラメータ候補取得部141は、過去の月経周期の数が初期値よりも大きいか否かを判定する。過去の月経周期の数が初期値よりも大きい場合、パラメータ候補取得部141は、初期値をRNに決定する。一方、過去の月経周期の数が初期値以下である場合、パラメータ候補取得部141は、過去の月経周期の数から1を減算することにより、RNを計算する。
【0132】
次いで、パラメータ候補取得部141は、番号iを1に設定する(ステップS32)。そして、パラメータ候補取得部141は、記憶部12から、異常値除去の閾値の候補OF(i)を取得する。次いで、パラメータ候補取得部141は、番号jを1に設定する(ステップS33)。そして、パラメータ候補取得部141は、記憶部12から、ウインソリゼーションの閾値の候補WN(j)を取得する。次いで、パラメータ候補取得部141は、代表値種別を「平均値」に設定する(ステップS34)。次いで、システム制御部14は、日数差計算処理を実行する(ステップS35)。日数差計算処理において、システム制御部14は、ステップS32〜S34で決定された、パラメータの候補組み合わせに基づいて、複数の参照周期を修正する。そして、システム制御部14は、修正された参照周期の代表値と基準周期との差を、合計日数差として計算する。日数差計算処理の詳細は後述する。
【0133】
次いで、パラメータ候補取得部141は、代表値種別が「平均値」であるか否かを判定する(ステップS36)。このとき、パラメータ候補取得部141は、代表値種別が「平均値」であると判定した場合には(ステップS36:YES)、ステップS37に進む。ステップS37において、パラメータ候補取得部141は、代表値種別を「中央値」に変更して、ステップS35に進む。一方、パラメータ候補取得部141は、代表値種別が「平均値」ではないと判定した場合には(ステップS36:NO)、ステップS38に進む。ステップS38において、パラメータ候補取得部141は、番号jが、ウインソリゼーションの閾値の候補の数未満であるか否かを判定する。このとき、パラメータ候補取得部141は、パラメータ番号jが、ウインソリゼーションの閾値の候補の数未満であると判定した場合には(ステップS38:YES)、ステップS39に進む。ステップS39において、パラメータ候補取得部141は、番号jに1を加算して、ステップS34に進む。一方、パラメータ候補取得部141は、パラメータ番号jが、ウインソリゼーションの閾値の候補の数未満ではないと判定した場合には(ステップS38:NO)、ステップS40に進む。ステップS40において、パラメータ候補取得部141は、番号iが、異常値除去の閾値の候補の数未満であるか否かを判定する。このとき、パラメータ番号iが、異常値除去の閾値の候補の数未満であると判定した場合には(ステップS40:YES)、ステップS41に進む。ステップS41において、パラメータ候補取得部141は、番号iに1を加算して、ステップS33に進む。一方、パラメータ候補取得部141は、パラメータ番号iが、異常値除去の閾値の候補の数未満ではないと判定した場合には(ステップS40:NO)、ステップS42に進む。
【0134】
ステップS42において、パラメータ決定部145は、全ての候補組み合わせを、合計日数差が小さい順に並べ替える。次いで、パラメータ決定部145は、合計日数差が最も小さい候補組み合わせを第1候補として特定する。次いで、パラメータ決定部145は、第1候補の合計日数差から所定範囲内の合計日数差が計算された別の候補組み合わせがあるか否かを判定する(ステップS43)。例えば、パラメータ決定部145は、第1候補の合計日数差に、記憶部12に予め記憶されている係数を掛けて、合計日数差の基準値を計算する。この係数の値は、例えば1よりも大きい。次いで、パラメータ決定部145は、第1候補を除き、合計日数差が基準値以下である候補組み合わせが1つ以上あるか否かを判定する。このとき、合計日数差が基準値以下である候補組み合わせが1つ以上ある場合、パラメータ決定部145は、第1候補の合計日数差から所定範囲内の合計日数差が計算された別の候補組み合わせがあると判定する(ステップS43:YES)。この場合、パラメータ決定部145は、合計日数差が基準値以下である候補組み合わせを第2候補として特定する。そして、パラメータ決定部145は、ステップS45に進む。一方、合計日数差が基準値以下である候補組み合わせがない場合、パラメータ決定部145は、第1候補の合計日数差から所定範囲内の合計日数差が計算された別の候補組み合わせがないと判定する(ステップS43:NO)。この場合、パラメータ決定部145は、ステップS44に進む。
【0135】
ステップS44において、パラメータ決定部145は、第1候補を、周期ベース予測手法で用いるパラメータに決定して、周期ベースパラメータ決定処理を終了させる。
【0136】
ステップS45において、パラメータ決定部145は、人数取得処理を実行する。人数取得処理において、パラメータ決定部145は、第1候補が周期ベース予測手法のパラメータとして決定されたユーザの数を取得し、且つ第2候補が周期ベース予測手法のパラメータとして決定されたユーザの数を取得する。人数取得処理の詳細は後述する。次いで、パラメータ決定部145は、第1候補及び第2候補のうち、パラメータとして決定されたユーザの数が最も多い候補を、周期ベース予測手法で用いるパラメータに決定して(ステップS46)、周期ベースパラメータ決定処理を終了させる。
【0137】
図16は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14の日数差計算処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示すように、パラメータ決定部145は、合計日数差TD(i,j,k)を0に設定する(ステップS51)。次いで、周期セット取得部142は、月経周期の番号mを1に設定する(ステップS52)。次いで、周期セット取得部142は、生理日予測処理で特定された過去の複数の月経周期のうち月経周期(m)の日数を、基準周期の日数として取得する(ステップS53)。月経周期(m)は、過去の月経周期のうちm番目に新しい月経周期である。次いで、次いで、周期セット取得部142は、生理日予測処理で特定された過去の複数の月経周期のうち、月経周期(m+1)〜月経周期(m+RN+1)のそれぞれの日数を、参照周期の日数として取得する(ステップS54)。そして、周期セット取得部142は、取得した参照周期の日数を昇順に並べ替える。
【0138】
次いで、修正参照周期取得部143は、日数ごとに参照周期の出現数をカウントする。そして、修正周期群取得部143は、各出現数をRNで割ることにより、日数ごとに参照周期の出現確率を計算する(ステップS55)。次いで、修正参照周期取得部143は、取得された参照周期から、出現確率がOF(i)パーセント未満である日数の参照周期を、異常値として除去する(ステップS56)。
【0139】
次いで、修正参照周期取得部143は、異常値が除去された残りの参照周期の日数の中から、WN(j)パーセンタイル及び(100−WN(j))パーセンタイルを決定する。そして、修正参照周期取得部143は、残りの参照周期のうちWN(j)パーセンタイル未満の日数の参照周期の日数を、WN(j)パーセンタイルに変更する(ステップS57)。また、修正参照周期取得部143は、残りの参照周期のうち(100−WN(j))パーセンタイルを超える日数の参照周期の日数を、(100−WN(j))パーセンタイルに変更する(ステップS58)。
【0140】
次いで、代表値取得部144は、代表値種別kが「平均値」であるか否かを判定する(ステップS59)。このとき、代表値取得部144は、代表値種別kが「平均値」であると判定した場合には(ステップS59:YES)、ステップS60に進む。ステップS60において、代表値取得部144は、修正された参照周期の日数の平均値を代表値Pとして計算して、ステップS62に進む。一方、代表値取得部144は、代表値種別kが「平均値」ではないと判定した場合には(ステップS59:NO)、ステップS61に進む。ステップS61において、代表値取得部144は、修正された参照周期の日数の中央値を代表値Pとして決定して、ステップS62に進む。
【0141】
ステップS62において、パラメータ決定部145は、基準周期の日数と代表値Pとの差の絶対値Dを計算する。次いで、パラメータ決定部145は、記憶部12から重み係数W(m)を取得する。mの値が大きいほど、W(m)の値は小さくなる。次いで、パラメータ決定部145は、差の絶対値DにW(m)を掛けて、加重差を計算する。そして、パラメータ決定部145は、合計日数差T(i,j,k)に加重差を加算して、T(i,j,k)を更新する(ステップS63)。
【0142】
次いで、周期セット取得部142は、番号mと参照周期の数RNとの和が、過去の月経周期の数未満であるか否かを判定する(ステップS64)。このとき、周期セット取得部142は、番号mと参照周期の数RNとの和が過去の月経周期の数未満であると判定した場合には(ステップS64:YES)、ステップS65に進む。ステップS65において、周期セット取得部142は、番号mに1を加算して、ステップS53に進む。一方、周期セット取得部142は、番号mと参照周期の数RNとの和が過去の月経周期の数未満ではないと判定した場合には(ステップS64:NO)、日数差計算処理を終了させる。
【0143】
図17は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14の人数取得処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、対象者の特徴の同一性の判定に年代を用いた場合の例を説明する。
図17に示すように、パラメータ決定部145は、会員情報DB12aから、対象者のユーザIDに対応する年齢を取得する。そして、パラメータ決定部145は、取得した年齢に基づいて、対象者の年代を取得する(ステップS71)。次いで、パラメータ決定部145は、第1候補及び1又は複数の第2候補の中から1つを選択する(ステップS72)。次いで、パラメータ決定部145は、パラメータDB12dから、選択された候補の異常値除去の閾値、ウインソリゼーションの閾値及び代表値種別の全てを含むパラメータ情報を検索する。そして、パラメータ決定部145は、検索により見つかったパラメータ情報のリストを生成する(ステップS73)。
【0144】
次いで、パラメータ決定部145は、リストから、最新ではないパラメータ情報を削除する(ステップS74)。例えば、パラメータ決定部145は、リスト中のパラメータ情報からユーザIDを取得する。次いで、パラメータ決定部145は、取得したユーザIDに対応するパラメータ情報のうち登録日が最新のパラメータ情報をパラメータDB12dから検索する。次いで、パラメータ決定部145は、リスト中のパラメータ情報の登録日が、最新の登録日よりも古い場合には、そのパラメータ情報を削除する。パラメータ決定部145は、これらの処理を、リスト中のパラメータ情報ごとに実行する。
【0145】
次いで、パラメータ決定部145は、対象者の年代と一致するユーザの人数をカウントする(ステップS75)。例えば、パラメータ決定部145は、リスト中のパラメータ情報に含まれるユーザIDに対応する年齢を会員情報DB12aから取得する。そして、パラメータ決定部145は、取得した年齢に基づいて、ユーザIDが示すユーザの年代を取得する。取得された年代が対象者の年代と一致する場合、パラメータ決定部145は、ユーザの人数を1増加させる。パラメータ決定部145は、これらの処理を、リスト中のパラメータ情報ごとに実行する(ステップS75)。
【0146】
次いで、パラメータ決定部145は、第1候補及び1又は複数の第2候補の全てを選択したか否かを判定する(ステップS76)。このとき、パラメータ決定部145は、まだ選択されていない候補があると判定した場合には(ステップS76:NO)、ステップS77に進む。ステップS77において、パラメータ決定部145は、まだ選択されていない候補の中から1つを選択して、ステップS73に進む。一方、パラメータ決定部145は、全ての候補を選択したと判定した場合には(ステップS76:YES)、人数取得処理を終了させる。
【0147】
図18は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14の周期ベース予測処理の一例を示すフローチャートである。
図18に示すように、周期ベース予測部146は、パラメータとして決定された異常値除去の閾値OF、ウインソリゼーションの閾値WN及び代表値種別PRを取得する(ステップS81)。次いで、周期ベース予測部146は、対象者の過去の複数の月経周期のそれぞれの日数を取得する(ステップS82)。
【0148】
次いで、周期ベース予測部146は、日数ごとに過去の月経周期の出現数をカウントする。そして、周期ベース予測部146は、各出現数を、過去の月経周期の数で割ることにより、日数ごとに過去の月経周期の出現確率を計算する(ステップS83)。次いで、周期ベース予測部146は、取得された月経周期から、出現確率がOFパーセント未満である日数の参照周期を、異常値として除去する(ステップS84)。次いで、周期ベース予測部146は、異常値が除去された残りの月経周期の日数の中から、WNパーセンタイル及び(100−WN)パーセンタイルを決定する。そして、周期ベース予測部146は、残りの月経周期のうちWNパーセンタイル未満の日数の月経周期の日数を、WNパーセンタイルに変更する(ステップS85)。また、周期ベース予測部146は、残りの月経周期のうち(100−WN)パーセンタイルを超える日数の月経周期の日数を、(100−WN)パーセンタイルに変更する(ステップS86)。
【0149】
次いで、周期ベース予測部146は、代表値種別PRが「平均値」であるか否かを判定する(ステップS87)。このとき、周期ベース予測部146は、代表値種別PRが「平均値」であると判定した場合には(ステップS87:YES)、ステップS88に進む。ステップS88において、周期ベース予測部146は、修正された月経周期の日数の平均値を代表値Pとして計算して、ステップS90に進む。一方、周期ベース予測部146は、代表値種別PRが「平均値」ではないと判定した場合には(ステップS87:NO)、ステップS89に進む。ステップS89において、周期ベース予測部146は、修正された月経周期の日数の中央値を代表値Pとして決定して、ステップS90に進む。
【0150】
ステップS90において、周期ベース予測部146は、現月経周期の初日の日付に代表値Pを加算して、予測生理日を計算する。そして、周期ベース予測部146は、周期ベース予測処理を終了させる。
【0151】
図19は、本実施形態に係る情報処理サーバ1のシステム制御部14の体温ベースパラメータ決定処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示すように、期間日数決定部147は、短期日数と長期日数との組み合わせを1つ取得する(ステップS101)。次いで、期間日数決定部147は、取得した組み合わせと、対象者の過去の1以上の月経周期の体温の実測値に基づいて、過去の1以上の月経周期の体温の短期の移動平均と長期の移動平均とを計算する(ステップS102)。次いで、期間日数決定部147は、計算した移動平均に基づいて、Nクロスオーバーが起こった日を特定する(ステップS103)。短期の移動平均と長期の移動平均との高低の関係が逆になることを除き、Nクロスオーバーが起こった日の特定方法は、Pクロスオーバーが起こった日の特定方法と同一である。Pクロスオーバーが起こった日の特定方法は、
図13に示す生理日予測処理のステップS9についての説明で述べられている。
【0152】
次いで、期間日数決定部147は、過去の1以上月経周期のそれぞれの最終日の次の日である生理日について、生理日と、Pクロスオーバーが起こった日のうちその生理日に最も近い日との差を計算する。そして、期間日数決定部147は、生理日とPクロスオーバーが起こった日との差の平均値を計算する(ステップS104)。すなわち、期間日数決定部147は式3を計算する。次いで、期間日数決定部147は、過去の1以上の月経周期における短期の移動平均と長期の移動平均との差の定積分を計算する(ステップS105)。すなわち、期間日数決定部147は式5を計算する。次いで、期間日数決定部147は、ステップS104及びS105の計算結果を用いて、式6に示す関数fを計算する(ステップS106)。
【0153】
次いで、期間日数決定部147は、短期日数と長期日数との全ての組み合わせを取得したか否かを判定する(ステップS107)。このとき、期間日数決定部147は、まだ取得していない組み合わせがあると判定した場合には(ステップS107:NO)、ステップS108に進む。ステップS108において、期間日数決定部147は、まだ取得していない組み合わせのうち1つを取得して、ステップS102に進む。一方、期間日数決定部147は、全ての組み合わせを取得したと判定した場合には(ステップS107:YES)、ステップS109に進む。
【0154】
ステップS109において、期間日数決定部147は、短期日数と長期日数との複数の組み合わせのうち、関数fが最も大きい組み合わせを、体温ベース予測手法のパラメータに決定する。そして、体温ベース予測部149は、体温ベースパラメータ決定処理を終了させる。
【0155】
以上説明したように、本実施形態によれば、システム制御部14が、異常値除去の閾値の複数の候補と、ウインソリゼーションの閾値の複数の候補との少なくとも何れかの閾値の複数の候補を取得してもよい。また、システム制御部14が、対象者の過去の複数の月経周期の中から、基準周期と複数の参照周期とを取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補ごとに、複数の参照周のうち閾値の候補により特定される外れ値に所定の処理が施されることにより修正された複数の参照周期を取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補ごとに、修正された複数の参照周期の代表値を取得してもよい。また、システム制御部14が閾値の候補ごとに取得された代表値と基準周期とを比較してもよい。また、システム制御部14が、比較結果に基づいて、閾値の複数の候補の中から、対象者の月経周期の日数の予測に用いられる閾値を決定してもよい。この場合、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制する閾値を決定することが可能となる。そのため、この閾値に基づいて、予測精度の低下を抑制して月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【0156】
また、システム制御部14が、異常値除去の閾値の複数の候補と、ウインソリゼーションの閾値の複数の候補とを取得してもよい。また、システム制御部14が、異常値除去の閾値の候補とウインソリゼーションの閾値の候補とを含む候補組み合わせごとに、複数の参照周期から異常値除去の閾値により異常値として特定される参照周期が除去され、且つその異常値が除去された複数の参照周期のうちウインソリゼーションの閾値により外れ値として特定される参照周期の日数がウインソリゼーションの閾値に対応する日数に変更されることにより修正された複数の参照周期を取得してもよい。また、システム制御部14が、候補組み合わせごとに、修正された複数の参照周期の代表値を取得してもよい。また、システム制御部14が、候補組み合わせごとに代表値と基準周期とを比較してもよい。また、システム制御部14が、比較結果に基づいて、複数の候補組み合わせの中から、予測に用いられる候補組み合わせを決定してもよい。この場合、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制する異常値除去の閾値及びウインソリゼーションの閾値を決定することが可能となる。
【0157】
また、システム制御部14が、異常値除去の閾値とウインソリゼーションの閾値とを取得してもよい。また、システム制御部14が、複数の月経周期から、異常値除去の閾値により異常値として特定される月経周期を除去してもよい。また、システム制御部14が、異常値が除去された複数の月経周期のうち、ウインソリゼーションの閾値により外れ値として特定される月経周期の日数をそのウインソリゼーションの閾値に対応する日数に変更してもよい。そして、システム制御部14が、月経周期の日数が変更された複数の月経周期に基づいて、対象者の月経周期の日数を予測してもよい。この場合、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制して、月経周期を予測することが可能であり、この月経周期を用いて生理日を予測することが可能である。
【0158】
また、システム制御部14が、複数の周期セットを取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補と周期セットとの組み合わせごとに、修正された複数の参照周期を取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補と周期セットとの組み合わせごとに、修正された複数の参照周期の代表値を取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補と周期セットとの組み合わせごとに、代表値と基準周期とを比較してもよい。そして、システム制御部14が、閾値の候補ごとに得られる複数の比較結果に基づいて、予測に用いられる閾値を決定してもよい。この場合、より適切な閾値を決定することができる。
【0159】
また、システム制御部14が、連続する複数の参照周期と、複数の参照周期に連続し且複数の参照周期よりも新しい基準周期とを取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補ごとに得られる複数の比較結果のそれぞれを重み付けして、予測に用いられる閾値を決定してもよい。このとき、システム制御部14が、基準周期が古いほど、その基準周期と代表値との比較結果の重みを小さくしてもよい。この場合、月経周期の予測のためにより適切な閾値を決定することができる。
【0160】
また、システム制御部が、複数の閾値の候補の中に、代表値と基準周期との差が最も小さい第1候補のその差から所定範囲内の差が取得された第2候補がある場合、対象者と異なるユーザのうち、予測に用いられる閾値として第1候補が決定されたユーザの数と、予測に用いられる閾値として第2候補が決定されたユーザの数とに基づいて、第1候補と第2候補の中から、予測に用いられる閾値を決定してもよい。この場合、月経周期の予測のためにより適切な閾値を決定することができる。
【0161】
また、システム制御部14が、予測に用いられる閾値として第1候補が決定されたユーザのうち対象者が有する特徴との同一性がある特徴を有するユーザの数と、予測に用いられる閾値として第2候補が決定されたユーザのうち対象者が有する特徴との同一性がある特徴を有するユーザの数とに基づいて、予測に用いられる閾値を決定してもよい。この場合、対象者にとってより適切な閾値を決定することができる。
【0162】
また、システム制御部14が、閾値の候補ごとに、修正された複数の参照周期の平均値及び中央値をそれぞれ取得してもよい。また、システム制御部14が、閾値の候補ごとに、平均値及び中央値のそれぞれと基準周期とを比較してもよい。そして、システム制御部14が、閾値の候補と代表値種別とを含む複数の候補組み合わせの中から、予測に用いられる候補組み合わせを決定してもよい。この場合、対象者の過去の複数の月経周期の分布状況に適した代表値を取得することができる。
【0163】
また、システム制御部14が、対象者の現在の月経周期で測定された体温の短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミングが、現在の月経周期内で到来していない場合、決定された閾値と、対象者の過去の複数の月経周期とに基づいて、対象者の現在の月経周期の日数を予測し、予測された日数に基づいて、次の生理日を予測してもよい。また、システム制御部14が、短期の移動平均が長期の移動平均よりも大きくなるタイミングが現在の月経周期内で到来している場合、そのタイミングに基づいて、次の生理日を予測してもよい。この場合、低温期から高温期に移行した後は、より精度の高い生理日の予測が可能となる。
【0164】
また、システム制御部14が、過去の1以上の月経周期の間に測定された複数日分の体温について、短期日数の移動平均が長期日数の移動平均よりも低くなるタイミングが、過去の1以上の生理日と重なるように、短期日数と長期日数とを決定してもよい。また、システム制御部14が、対象の月経周期で測定された体温の移動平均について、短期日数の移動平均が長期日数の移動平均よりも高くなるタイミングを特定してもよい。そして、システム制御部14が、特定されたタイミングに基づいて、対象とする月経周期の次の生理日を予測し、又は対象とする月経周期中の排卵日の到来を推定してもよい。この場合、移動平均により、体温の時系列が平滑化されるので、このタイミングを特定することにより、実際に低温期から高温期に移行するタイミングの前後で体温が上下に変動する場合であっても、そのタイミングを適切に特定することができる。また、高温期から低温期に移行するタイミングで生理日となる。そのため、短期日数と長期日数とを適切に決定することができる。従って、精度の低下を抑制した排卵日の推定及び生理日の予測の少なくとも何れか一方が可能となる。
【0165】
また、システム制御部14が、過去の1以上の月経周期において、短期日数の移動平均が長期日数の移動平均よりも高くなるタイミングから、短期日数の移動平均が長期日数の移動平均よりも低くなるタイミングまでの日数の代表値を、現在の月経周期において短期日数の移動平均が長期日数の移動平均よりも高くなるタイミングに加算して、次の生理日を予測してもよい。この場合、対象者の高温期の傾向に応じてより適切に、排卵日の推定及び生理日の予測の少なくとも何れか一方を行うことができる。
【0166】
また、システム制御部14が、過去の1以上の月経周期で測定された体温の短期の移動平均がその体温の長期の移動平均よりも低くなるタイミングと生理日との時間差が小さくなるように、且つ、過去の1以上の月経周期における短期の移動平均と長期の移動平均との差の積分値が大きくなるように、短期日数と長期日数とを決定してもよい。この場合、体温の短期の移動平均と長期の移動平均との差の積分値と、体温の短期の移動平均が長期の移動平均よりも低くなるタイミングと生理日との時間差とに基づいて、より適切な短期の日数と長期の日数を決定することができる。
【0167】
また、システム制御部14が、現月経周期において短期の移動平均が長期の移動平均よりも高くなるタイミングが特定されなかった場合、過去の1以上の月経周期の日数に基づいて、次の生理日を予測してもよい。この場合、まだ低温期から高温期に移行していない場合であっても、生理日を予測することができる。
【0168】
なお、上記各実施形態においては、本発明の情報処理装置が、クライアントサーバシステムにおけるサーバ装置に適用されていた。しかしながら、本発明の情報処理装置が、サーバ装置以外の情報処理装置に適用されてもよい。例えば、本発明の情報処理装置がユーザ端末2等に適用されてもよい。この場合、情報処理装置は、ユーザからの体温に実測値及び生理日の入力を受け付け、そのユーザの排卵日を推定し又は次の生理日を予測してもよい。
本発明は、月経周期のばらつきが大きい場合であっても、予測精度の低下を抑制して生理日を予測可能とすることを目的とする。情報処理装置は、外れ値の閾値の複数の候補のそれぞれに基づいて修正された複数の参照周期の代表値と基準周期との比較結果に基づいて、月経周期の予測に用いられる閾値を決定する。或いは、情報処理装置は、過去の複数の月経周期のうち、第1閾値により特定される第1外れ値を除去し、第2閾値により特定される第2外れ値を第2閾値に対応する日数に変更して、月経周期の日数を予測する。