(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(5.本発明の詳細な説明)
本発明の第一の実施態様は、免疫不全疾患又は障害を治療、管理及び/又は予防する方法であって、当該治療又は予防を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。
【0014】
本態様に包含される特定の方法では、前記免疫調節化合物は、免疫不全疾患又は障害を治療、管理、及び/又は予防する別の薬剤(「第2の活性剤」)或いは方法と組み合わせて投与される。第2の活性剤としては小分子及び大分子(例えばタンパク質及び抗体)(その例は本明細書に示されている)、並びに幹細胞が挙げられる。該免疫調節化合物の投与と組み合わせて使用可能な方法又は療法としては、抗体注射又は注入、及び幹細胞移植が挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
免疫不全疾患又は障害の例としては、アデノシンデアミナーゼ欠乏症、正常なIg又はIgの上昇を伴う抗体欠乏症、毛細血管拡張性運動失調症(ataxia-tenlangiectasia)、不全リンパ球症候群、分類不能型免疫不全症、高IgMを伴うIg欠乏症、Ig重鎖欠損症、IgA欠乏症、胸腺腫を伴う免疫不全、網状変性、ネゼロフ症候群、選択的IgGサブクラス欠乏症、新生児一過性低ガンマグロブリン血症、ウィルスコット-アルドリッチ症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖重症複合型免疫不全症が挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
(5.1 定義)
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「医薬として許容し得る塩」という用語は、医薬として許容され得る無毒な酸(無機酸及び有機酸を含む)から調製される塩を指す。好適な無毒な酸としては、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレン酸(glucorenic)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp−トルエンスルホン酸などが挙げられるが、それらに限定されない。好適なものとして、塩酸、臭化水素酸、リン酸、及び硫酸がある。
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的分子間力によって結合された化学量又は非化学量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0017】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「プロドラッグ」という用語は、加水分解し、酸化し、或いは生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で反応して、該化合物を提供することが可能である化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバミン酸塩、生物加水分解性炭酸塩、生物加水分解性ウレイド及び生物加水分解性リン酸塩類似体などの生物加水分解性成分を含む化合物が挙げられるが、それらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO
2、−ONO又は−ONO
2成分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは、典型的には、「バージャーの医化学、及び創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」, 172-178, 949-982(Manfred E. Wolff編, 第5版, 1995)、及び「プロドラッグのデザイン(Design of Prodrugs)」(H. Bundgaard編, Elselvier、New York 1985)に記載されている方法などのよく知られている方法を用いて調製され得る。
【0018】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「生物加水分解性カルバミン酸塩」、「生物加水分解性炭酸塩」、「生物加水分解性ウレイド」及び「生物加水分解性リン酸塩」という用語は、1)化合物の生物学的活性に干渉せず、摂取、作用の持続又は作用の発生などのインビボの有益な特性をその化合物に付与することができ、或いは2)生物学的に不活性であるが、生物学的に活性な化合物にインビボで変換される化合物のカルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド又はリン酸塩をそれぞれ意味する。生物加水分解性カルバミン酸塩の例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式アミン及び複素芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0019】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「立体異性体」という用語は、鏡像異性的/立体異性的に純粋な本発明の化合物及び鏡像異性的/立体異性的に富化された本発明の化合物の全てを包含する。
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「立体異性的に純粋」又は「鏡像異性的に純粋」という用語は、化合物が1つの立体異性体を含み、その対となる立体異性体又は鏡像異性体を実質的に含まないことを意味する。例えば化合物が80%、90%、又は95%以上のある立体異性体と、20%、10%又は5%未満の対となる立体異性体とを含む場合に、その化合物は立体異性的又は鏡像異性的に純粋である。特定の場合において、本発明の化合物は、化合物が約80%ee(鏡像異性体過剰率)以上、好ましくは特定のキラル中心に関して90%ee以上、より好ましくは特定のキラル中心に関して95%eeである場合に、光学的に活性である、或いはキラル中心に関して立体異性的/鏡像異性的に純粋(すなわち、実質的にR型又は実質的にS型)であるとみなされる。
【0020】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「立体異性的に富化された」又は「鏡像異性的に富化された」という用語は、本発明の化合物のラセミ混合物並びに他の立体異性体混合物(例えばR/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)を包含する。
【0021】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「治療する」、「治療している」、及び「治療」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患している際に起こる、疾患若しくは障害の重篤度を軽減する、或いは疾患若しくは障害の進行を遅延させる、又は緩慢にする作用を意図する。
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「予防する」、「予防している」、及び「予防」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる、該疾患若しくは障害の重篤度を阻害又は軽減する作用を意図する。
【0022】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「管理する」、「管理している」、及び「管理」という用語は、特定の疾患若しくは障害に既に罹患したことがある患者において、その疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害に罹患した患者が緩解状態を維持する時間を長くすることを包含する。この用語は、該疾患若しくは障害の閾値、発達及び/又は持続時間を調整すること、或いは患者が該疾患若しくは障害に応答する途上を変化させることを含む。
【0023】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、化合物の「治療有効量」という用語は、該疾患若しくは障害の治療又は管理に治療利益をもたらすのに、或いは該疾患若しくは障害に関連する1以上の症状を遅延又は最小限とするのに十分な量である。化合物の治療有効量とは、該疾患若しくは障害の治療又は管理に治療利益をもたらす、単独又は他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「治療有効量」という用語は、全体的な療法を向上させる、疾患若しくは障害の症状若しくは原因を軽減若しくは回避する、又は別の治療薬の治療効力を増強する量を含み得る。
【0024】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、化合物の「予防的有効量」は、疾患若しくは障害、又は該疾患若しくは障害に関連する1以上の症状を予防する、或いはその再発を予防するのに有効な量である。化合物の予防有効量とは、該疾患の予防に予防利益をもたらす、単独又は他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を向上させる、又は別の予防薬の予防効力を増強する量を含み得る。
【0025】
(5.2 免疫調節化合物)
本発明の化合物は商業的に購入することができるか、又は本明細書に開示されている特許又は特許公開に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、既知の分解剤又はキラルカラム、並びに他の標準的な合成有機化学技術を用いて、光学的に純粋な組成物を非対称的に合成又は分割することが可能である。本発明に使用される化合物は、ラセミ体であるか、立体異性的に富化されているか、或いは立体異性的に純粋な免疫調節化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを含んでもよい。
【0026】
本発明に使用される化合物は、分子量が約1,000g/モル未満の小有機分子であり、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖又は他の巨大分子ではない。
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「免疫調節化合物」及び「IMiD(商標)」(Celgene Corporation)という用語は、TNF−α、LPS誘発単球IL1β及びIL12を顕著に阻害し、IL6生成を部分的に阻害する小有機分子を包含する。具体的な免疫調節化合物について以下に説明する。
【0027】
TNF−αは、急性炎症時にマクロファージ及び単球によって生成される炎症性サイトカインである。TNF−αは、細胞内の広範な伝達事象に関与する。理論に制限されることなく、本発明の免疫調節化合物によって発揮される生物学的効果の1つは、TNF−αの合成を低減することである。本発明の免疫調節化合物は、TNF−αmRNAの分解を促進させる。
【0028】
さらに、理論に制限されることなく、本発明に使用される免疫調節化合物は、T細胞の強力な共刺激剤でもあり、用量依存的に細胞増殖を著しく増強することがある。本発明の免疫調節化合物は、また、CD4+T細胞部分集合体よりCD8+T細胞部分集合体に対してより高い共刺激効果を有することがある。加えて、それらの化合物は、好ましくは抗炎症特性を有し、T細胞を効率的に共刺激する。さらに、理論に制限されることなく、本発明に使用される免疫調節化合物は、サイトカインの活性化を介して間接的に、またナチュラルキラー(「NK」)細胞に対して直接的に、という双方で作用し得る可能性があり、限定されるものではないが、IFN−γなどの有益なサイトカインを生成するNK細胞の能力を増強する。
【0029】
免疫調節化合物の具体的な例としては、米国特許第5,929,117号に開示されているような置換スチレンのシアノ及びカルボキシ誘導体;米国特許第5,874,448号及び同第5,955,476号に開示されているような1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン;米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン;米国特許第5,635,517号、同第6,476,052号、同第6,555,554号及び同第6,403,613号に開示されている化合物を含むが、それらに限定されない1−オキソ及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン(例えばサリドマイドの4−メチル誘導体);米国特許第6,380,239号に記載されているインドリン環の4位又は5位が置換された1−オキソ及び1,3−ジオキソイソインドリン(例えば4−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4−カルバモイルブタン酸;米国特許6,458,810号に記載されている2位が2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルで置換されたイソインドリン−1−オン及びイソインドリン−1,3−ジオン(例えば2−(2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシ−5−フルオロピペリジン−5−イル)−4−アミノイソインドリン−1−オン);米国特許第5,698,579号及び同第5,877,200号に開示されている一群の非ポリペプチド環状アミド;米国特許第6,281,230号及び同第6,316,471号に記載されているようなアミノサリドマイド、並びにアミノサリドマイドの類似体、加水分解生成物、代謝物質、誘導体及び前駆体、及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミド及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドール;並びに2001年10月5日に出願された米国特許出願第09/972,487号、2001年12月21日に出願された米国特許出願第10/032,286号、及び国際出願第PCT/US01/50401号(国際公開第WO 02/059106号)に示されているようなイソインドール−イミド化合物が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書中に特定されている特許及び特許出願の各々の全体は、引用により本明細書中に組み込まれている。免疫調節化合物は、サリドマイドを含まない。
【0030】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,635,517号に記載されているベンゾ環がアミノに置換された1−オキソ及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。これらの化合物は構造Iを有する:
【化1】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH
2であり、R
2は、水素又は低級アルキル、特にメチルである。)。具体的な免疫調節化合物としては:
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン;
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリン;
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−6−アミノイソインドリン;
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−7−アミノイソインドリン;
1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン;及び
1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,335,349号及び同第6,476,052号並びに国際特許出願第PCT/US97/13375号(国際公開第WO 98/03502号)に記載されているような一群の置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミド及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドールに属する。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化2】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH
2であり;
(i)R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R
1、R
2、R
3及びR
4の1つは、−NHR
5であり、R
1、R
2、R
3及びR
4の残りは水素であり;
R
5は水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり;
R
6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンジル又はハロであり;
R
6は、X及びYがC=Oであり、且つ(i)R
1、R
2、R
3及びR
4の各々がフルオロであるか、或いは(ii)R
1、R
2、R
3及びR
4の1つがアミノである場合は、水素以外である。)。
【0032】
この群を代表する化合物は、以下の式の化合物である:
【化3】
(式中、R
1は、水素又はメチルである。)。個別の実施態様において、本発明は、これらの化合物の鏡像異性的に純粋な形態(例えば光学的に純粋な(R)又は(S)鏡像体)の使用を包含する。
【0033】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2003/0096841号及び第2003/0045552号、並びに国際出願第PCT/US01/50401号(国際公開第WO 02/059106号)に開示されている一群のイソインドール−イミドに属する。代表的な化合物は、式IIの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、及び立体異性体の混合物である:
【化4】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、他方は、CH
2又はC=Oであり;
R
1は、H、(C
1〜C
8)アルキル、(C
3〜C
7)シクロアルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
0〜C
4)アルキル−(C
1〜C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリール、C(O)R
3、C(S)R
3、C(O)OR
4、(C
1〜C
8)アルキル−N(R
6)
2、(C
1〜C
8)アルキル−OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−C(O)OR
5、C(O)NHR
3、C(S)NHR
3、C(O)NR
3R
3’、C(S)NR
3R
3’又は(C
1〜C
8)アルキル−O(CO)R
5であり;
R
2は、H、F、ベンジル、(C
1〜C
8)アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル又は(C
2〜C
8)アルキニルであり;
R
3及びR
3’は、独立に、(C
1〜C
8)アルキル、(C
3〜C
7)シクロアルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
0〜C
4)アルキル−(C
1〜C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリール、(C
0〜C
8)アルキル−N(R
6)
2、(C
1〜C
8)アルキル−OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−C(O)OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−O(CO)R
5又はC(O)OR
5であり;
R
4は、(C
1〜C
8)アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、(C
1〜C
4)アルキル−OR
5、ベンジル、アリール、(C
0〜C
4)アルキル−(C
1〜C
6)ヘテロシクロアルキル又は(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリールであり;
R
5は、(C
1〜C
8)アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、又は(C
2〜C
5)ヘテロアリールであり;
R
6の各基は、独立に、H、(C
1〜C
8)アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
2〜C
5)ヘテロアリール又は(C
0〜C
8)アルキル−C(O)O−R
5であるか、或いはR
6基が結合して、ヘテロシクロアルキル基を形成することが可能であり;
nは、0又は1であり;
*は、キラル−炭素中心を表す。)。
【0034】
式IIの具体的な化合物において、nが0の場合は、R
1は、(C
3〜C
7)シクロアルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
0〜C
4)アルキル−(C
1〜C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリール、C(O)R
3、C(O)OR
4、(C
1〜C
8)アルキル−N(R
6)
2、(C
1〜C
8)アルキル−OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−C(O)OR
5、C(S)NHR
3又は(C
1〜C
8)アルキル−O(CO)R
5であり;
R
2は、H又は(C
1〜C
8)アルキルであり;
R
3は、(C
1〜C
8)アルキル、(C
3〜C
7)シクロアルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C
0〜C
4)アルキル−(C
1〜C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリール、(C
5〜C
8)アルキル−N(R
6)
2、(C
0〜C
8)アルキル−NH−C(O)O−R
5、(C
1〜C
8)アルキル−OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−C(O)OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−O(CO)R
5又はC(O)OR
5であり、他の可変部分も同じ定義を有する。
【0035】
式IIの他の具体的な化合物において、R
2は、H又は(C
1〜C
4)アルキルである。
式IIの他の具体的な化合物において、R
1は、(C
1〜C
8)アルキル又はベンジルである。
式IIの他の具体的な化合物において、R
1は、H、(C
1〜C
8)アルキル、ベンジル、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、又は
【化5】
である。
【0036】
式IIの他の具体的な化合物において、R
1は、
【化6】
である
(式中、QはO又はSであり、R
7の各基は、独立に、H、(C
1〜C
8)アルキル、(C
3〜C
7)シクロアルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、ベンジル、アリール、ハロゲン、(C
0〜C
4)アルキル−(C
1〜C
6)ヘテロシクロアルキル、(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリール、(C
0〜C
8)アルキル−N(R
6)
2、(C
1〜C
8)アルキル−OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−C(O)OR
5、(C
1〜C
8)アルキル−C(CO)R
5又はC(O)R
5、或いはR
7の隣接基を合わせて、二環式アルキル又はアリール環を形成することが可能である。)。
【0037】
式IIの他の具体的な化合物において、R
1はC(O)R
3である。
式IIの他の具体的な化合物において、R
3は、(C
0〜C
4)アルキル−(C
2〜C
5)ヘテロアリール、(C
1〜C
8)アルキル、アリール又は(C
0〜C
4)アルキル−OR
5である。
【0038】
式IIの他の具体的な化合物において、ヘテロアリールは、ピリジル、フリル又はチエニルである。
式IIの他の具体的な化合物において、R
1はC(O)OR
4である。
式IIの他の具体的な化合物において、C(O)NHC(O)のHを(C
1〜C
4)アルキル、アリール又はベンジルで置換することが可能である。
【0039】
また、この群の化合物の例としては、[2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル]−アミド;(2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル;4−(アミノメチル)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン;N−(2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル)−アセトアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}シクロプロピル−カルボキサミド;2−クロロ−N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}アセトアミド;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)−3−ピリジルカルボキサミド;3−{1−オキソ−4−(ベンジルアミノ)イソインドリン−2−イル}ピペリジン−2,6−ジオン;2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−4−(ベンジルアミノ)イソインドリン−1,3−ジオン;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}プロパンアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}−3−ピリジルカルボキサミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}ヘプタンアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}−2−フリルカルボキサミド;{N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)カルバモイル}メチル酢酸;N−(2−(2,6−ジオキソ(3ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)ペンタンアミド;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)−2−チエニルカルボキサミド;N−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;及びN−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2002/0045643号、国際公開第WO 98/54170号及び米国特許第6,395,754号に開示されている一群のイソインドール−イミドに属する。代表的な化合物は、式IIIの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、及び立体異性体の混合物である:
【化7】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、他方は、CH
2又はC=Oであり;
Rは、H又はCH
2OCOR’であり;
(i)R
1、R
2、R
3又はR
4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R
1、R
2、R
3又はR
4の1つは、ニトロ又は−NHR
5であり、R
1、R
2、R
3又はR
4の残りは水素であり;
R
5は、水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり;
R
6は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり、
R’は、R
7−CHR
10−N(R
8R
9)であり;
R
7は、m−フェニレン又はp−フェニレン又は−(C
nH
2n)−であり、nは、0から4の値であり;
互いに独立にとらえたR
8及びR
9の各々は、水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであるか、或いは合わせてとらえたR
8及びR
9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン又は−CH
2CH
2X
1CH
2CH
2−であり、X
1は−O−、−S−又は−NH−であり;
R
10は、水素、炭素原子数〜8のアルキル、又はフェニルであり;
*は、キラル−炭素中心を表す。)。
【0041】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化8】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH
2であり;
(i)R
1、R
2、R
3又はR
4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R
1、R
2、R
3及びR
4の1つは、−NHR
5であり、R
1、R
2、R
3及びR
4の残りは水素であり;
R
5は水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり;
R
6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり;
R
7は、m−フェニレン又はp−フェニレン又は−(C
nH
2n)−であり、nは、0から4の値であり;
互いに独立にとらえたR
8及びR
9の各々は、水素、又は炭素原子数1〜8アルキルであり、或いは合わせてとらえたR
8及びR
9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン又は−CH
2CH
2X
1CH
2CH
2−であり、X
1は−O−、−S−又は−NH−であり;
R
10は、水素、炭素原子数〜8のアルキル、又はフェニルである。)。
【0042】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化9】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH
2であり;
R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R
1、R
2、R
3及びR
4の1つは、ニトロ又は保護アミノであり、R
1、R
2、R
3及びR
4の残りは、水素であり;
R
6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである。)。
【0043】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化10】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH
2であり;
(i)R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシであるか、或いは(ii)R
1、R
2、R
3及びR
4の1つは、−NHR
5であり、R
1、R
2、R
3及びR
4の残りは水素であり;
R
5は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、又はCO−R
7−CH(R
10)NR
8R
9であり、R
7、R
8、R
9及びR
10の各々は、本明細書に定められている通りであり;
R
6は、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである。)。
【0044】
それらの化合物の具体的な例は、以下の式の化合物である:
【化11】
(式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=O又はCH
2であり;
R
6は水素、炭素原子数1〜8のアルキル、ベンジル、クロロ又はフルオロであり;
R
7は、m−フェニレン、p−フェニレン又は−(C
nH
2n)−であり、nは、0から4の値であり;
互いに独立にとらえたR
8及びR
9の各々は、水素、又は炭素原子数1〜8のアルキルであり、或いは合わせてとらえたR
8及びR
9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン又は−CH
2CH
2X
1CH
2CH
2−であり、X
1は−O−、−S−又は−NH−であり;
R
10は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、又はフェニルである。)。
【0045】
本発明の最も好ましい免疫調節化合物は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−イソインドリン−1,3−ジオン及び3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンである。それらの化合物は、標準的な合成法(例えば引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,635,517号を参照)により得ることが可能である。それらの化合物は、Celgene Corporation(ニュージャージー州Warren)から入手可能である。4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンは、以下の化学構造を有する。
【化12】
【0046】
化合物3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、以下の化学構造を有する。
【化13】
【0047】
他の実施態様において、本発明の具体的な免疫調節化合物は、引用により本明細書中に組み込まれている、2003年9月4日に出願された米国仮出願第60/499,723号、及び2004年9月3日に出願された、それに対応する本出願に開示されている形態A、B、C、D、E、F、G及びHなどの3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの多型形態を包含する。例えば3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Aは、非水性溶媒系から得ることが可能である非溶媒和結晶性物質である。形態Aは、約8、14.5、16、17.5、20.5、24及び26度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約270℃である。形態Aは弱い吸湿性か、又は非吸湿性であり、これまでに開示されている3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの、最も熱力学的に安定な無水多型であることが明らかである。
【0048】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Bは、限定されるものではないがヘキサン、トルエン及び水を含む様々な溶媒系から得ることが可能である半水和結晶性物質である。形態Bは、約16、18、22及び27度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、かつDSC曲線からの吸熱は約146及び268℃であり、脱水と特定され、高温顕微鏡検査によって融解する。相互変換研究によれば、水性溶媒系において形態Bは形態Eへ変換し、アセトン及び他の無水系においては他の形態へ変換することが示されている。
【0049】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Cは、限定されるものではないがアセトンなどの溶媒から得ることが可能である半溶媒和結晶性物質である。形態Cは、約15.5及び25度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。形態Cは吸湿性でなく、RHは約85%以下であるが、より高い相対的吸湿性の形態Bに変換することが可能である。
【0050】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Dは、アセトニトリルと水との混合物から調製された結晶性の溶媒和多型である。形態Dは、約27及び28度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約270℃である。形態Dは弱い吸湿性か、又は非吸湿性であり、典型的にストレスを受けるとより高い相対的吸湿性の形態Bに変換することが可能である。
【0051】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Eは、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを水中でスラリー化したり、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンをアセトンと水の割合が約9:1の溶媒系においてゆっくり蒸発させることによって得ることが可能である二水和結晶性物質である。形態Eは、約20、24.5及び29度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。形態Eはアセトン溶媒系において形態Cに変換し、THF溶媒系においては形態Gに変換する。水性溶媒系では、形態Eは最も安定な形態であることが明らかである。形態Eに対して行った脱溶媒和実験では、約125℃で約5分間加熱した際、形態Eは形態Bへ変換可能であることが示されている。175℃で約5分間加熱した場合は、形態Bは形態Fに変換することが可能である。
【0052】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Fは、形態Eの脱水により得ることが可能である非溶媒和結晶性物質である。形態Fは、約19、19.5及び25度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。
【0053】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Gは、限定されるものではないがテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒中で形態B及びEをスラリー化することにより得ることが可能である非溶媒和結晶性物質である。形態Gは、約21、23及び24.5度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約267℃である。
【0054】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Hは、形態Eを0%の相対湿度に曝すことによって得ることが可能である部分水和(約0.25モル)結晶性物質である。形態Hは、約15、26及び31度(2θ)に大きなピークを含むX線粉末回折パターンを有し、示差走査熱分析の溶融最高温度が約269℃である。
【0055】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、それぞれが引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,874,448号及び5,955,476号に開示されているような1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は以下の式の化合物である:
【化14】
(式中、Yは、酸素又はH
2であり;
R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、互いに独立に、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、又はアミノである。)。
【0056】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化15】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、互いに独立に、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、又は炭素原子数1〜4のアルコキシである。)。
【0057】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,403,613号に記載されている1−オキソ及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化16】
(式中、Yは、酸素又はH
2であり;
R
1及びR
2の第1の基は、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、R
1及びR
2の第2の基は、第1の基とは独立に、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R
3は、水素、アルキル又はベンジルである。)。
【0058】
具体的な化合物の例は、以下の式の化合物である:
【化17】
(式中、R
1及びR
2の第1の基は、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R
1及びR
2の第2の基は、第1の基とは独立に、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、アルキルの炭素原子数が1〜4のアルキルアミノ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R
3は、水素、炭素原子数1〜4のアルキル、又はベンジルである。)。具体的な例としては、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−メチルイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0059】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化18】
(式中、R
1及びR
2の第1の基は、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R
1及びR
2の第2の基は、第1の基とは独立に、水素、ハロ、炭素原子数1〜4のアルキル、炭素原子数1〜4のアルコキシ、アルキルの炭素原子数が1〜4のアルキルアミノ、各アルキルの炭素原子数が1〜4のジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり;
R
3は、水素、炭素原子数1〜4のアルキル、又はベンジルである。)。
【0060】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物としては、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,380,239号及び2004年7月28日に出願された同時係属米国出願第10/900,270号に記載されているインドリン環の4位又は5位が置換された1−オキソ及び1,3−ジオキソイソインドリンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物、及びその塩である:
【化19】
(式中、C
*で示される炭素原子は、(nが0でなく、R
1がR
2と同じでない場合に)キラル中心を構成し;X
1及びX
2の一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数1〜6のアルキル、又はNH−Zであり、X
1及びX
2の他方は、水素であり;R
1及びR
2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH−Zであり;R
3は、水素、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又はハロアルキルであり;Zは水素、アリール、炭素原子数1〜6のアルキル、ホルミル、又は炭素原子数1〜6のアシルであり;nは、0、1又は2の値を有し;X
1がアミノであり、nが1又は2である場合は、R
1及びR
2は、共にヒドロキシではない。)。
【0061】
さらなる代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化20】
(式中、C
*で示される炭素原子は、nが0でなく、R
1がR
2でない場合にキラル中心を構成し;X
1及びX
2の一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数1〜6のアルキル、又はNH−Zであり、X
1及びX
2の他方は、水素であり;R
1及びR
2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH−Zであり;R
3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;Zは水素、アリール、又は炭素原子数1〜6のアルキル若しくはアシルであり;nは、0、1又は2の値を有する。)。
【0062】
具体的な例としては、それぞれ以下の構造を有する2−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−4−カルバモイル−酪酸及び4−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−4−カルバモイル−酪酸、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ及び立体異性体が挙げられるが、それらに限定されない。
【化21】
【0063】
他の代表的な化合物は、以下の式の化合物、及びその塩である:
【化22】
(式中、C
*で示される炭素原子は、nが0でなく、R
1がR
2でない場合にキラル中心を構成し;X
1及びX
2の一方は、アミノ、ニトロ、炭素原子数1〜6のアルキル、又はNH−Zであり、X
1及びX
2の他方は、水素であり;R
1及びR
2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH−Zであり;R
3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;Zは水素、アリール、又は炭素原子数1〜6のアルキル若しくはアシルであり;nは、0、1又は2の値を有する。)。
【0064】
具体的な例としては、それぞれ以下の構造を有する4−カルバモイル−4−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−酪酸、4−カルバモイル−2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−酪酸、2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−4−フェニルカルバモイル−酪酸、及び2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−ペンタン二酸、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ及び立体異性体が挙げられるが、それらに限定されない。
【化23】
【0065】
それらの化合物の他の具体的な例は、以下の式の化合物である:
【化24】
(式中、X
1及びX
2の一方は、ニトロ又はNH−Zであり、X
1及びX
2の他方は、水素であり;
R
1及びR
2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH−Zであり;
R
3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;
Zは、水素、フェニル、炭素原子数1〜6のアシル、又は炭素原子数1〜6のアルキルであり;
nは、0、1又は2の値を有し;
X
1及びX
2の一方がニトロであり、nが1又は2である場合は、R
1及びR
2は、ヒドロキシ以外であり;
−COR
2及び−(CH
2)
nCOR
1が異なる場合は、C
*で示される炭素原子は、キラル中心を構成する。)。他の代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化25】
(式中、X
1及びX
2の一方は、炭素原子数1〜6のアルキルであり;
R
1及びR
2の各々は、互いに独立に、ヒドロキシ又はNH−Zであり;
R
3は、炭素原子数1〜6のアルキル、ハロ又は水素であり;
Zは、水素、フェニル、炭素原子数1〜6のアシル、又は炭素原子数1〜6のアルキルであり;
nは、0、1又は2の値を有し;
−COR
2及び−(CH
2)
nCOR
1が異なる場合は、C
*で示される炭素原子は、キラル中心を構成する。)。
【0066】
本発明のさらに他の具体的な免疫調節化合物としては、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,458,810号に記載されている2位が2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルで置換されたイソインドリン−1−オン及びイソインドリン−1,3−ジオンが挙げられるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、以下の式の化合物である:
【化26】
(式中、
*で示される炭素原子は、キラル中心を構成し;
Xは、−C(O)−又は−CH
2−であり;
R
1は、炭素原子数1〜8のアルキル、又は−NHR
3であり;
R
2は、水素、炭素原子数1〜8のアルキル、又はハロゲンであり、
R
3は、水素であり;
無置換の炭素原子数1〜8のアルキル、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換された、炭素原子数1〜8のアルキル;
炭素原子数3〜18のシクロアルキル;
無置換フェニル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、又は炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたフェニル;
無置換ベンジル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたベンジル、或いは−COR
4であり;
R
4は、水素であり;
無置換の炭素原子数1〜8のアルキル、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換された、炭素原子数1〜8のアルキル;
炭素原子数3〜18のシクロアルキル;
無置換フェニル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、又は炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたフェニル;或いは
無置換ベンジル、又は炭素原子数1〜8のアルキル、炭素原子数1〜8のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子数1〜4のアルキルアミノで置換されたベンジルである。)。
【0067】
本発明の化合物は商業的に購入するか、又は本明細書に開示されている特許又は特許公開に記載されている方法に従って調製することが可能である。さらに、公知の分割剤又はキラルカラム、並びに他の標準的な合成有機化学技術を用いて、光学的に純粋な化合物を非対称的に合成又は分割することが可能である。
【0068】
本発明の様々な免疫調節化合物は、1つ以上のキラル中心を含み、鏡像異性体のラセミ混合物又はジアステレオ異性体の混合物として存在することが可能である。本発明は、当該化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、並びにそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば等量又は不等量の本発明の特定の免疫調節化合物の鏡像異性体を含む混合物を本発明の方法及び組成物に使用することができる。キラルカラム又はキラル分割剤などの標準的な技術を使用してこれらの異性体を非対称的に合成又は分解することができる。例えばJacques, J.らの文献、「鏡像異性体、ラセミ体、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」(Wiley-Interscience, New York, 1981)、Wilen, S. H.らの論文, Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel, E.L.の文献, 「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw-Hill, NY, 1962)及びWilen, S.H.の文献, 「分割剤、及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and optical Resolutions)」, 268頁(E.L. Eliel編, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0069】
描写の構造とその構造に与えられた名称との間に相違がある場合は、描写の構造がより重要視されることに留意されたい。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太線又は点線で示されていない場合は、その構造又は構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含するものと解釈される。
【0070】
(5.3 第2の活性剤)
本発明の方法では、免疫調節化合物を他の薬理活性化合物(第2の活性剤)と併用することが可能である。特定の組合せは、免疫不全障害の治療、予防及び/又は管理に相乗的に作用すると考えられている。また、免疫調節化合物は特定の第2の活性剤に伴う有害作用を軽減する働きをすることが可能であり、いくつかの第2の活性剤は免疫調節化合物に伴う有害作用を軽減するために使用可能である。
【0071】
本発明の方法においては、1以上の第2の有効成分又は薬剤を免疫調節化合物とともに使用することが可能である。第2の活性剤は、大分子(例えばタンパク質)又は小分子(例えば合成無機、有機金属、又は有機分子)であり得る。
本発明はまた、天然タンパク質、天然に存在するタンパク質、及び組換えタンパク質の使用を包含する。
【0072】
本発明はさらに、それらの基礎となるタンパク質の薬理活性の少なくともいくらかをインビボで示す天然に存在するタンパク質の突然変異体及び誘導体(例えば修飾型)を包含する。変異体の例としては、タンパク質の天然形態における対応する残基と異なる1つ以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。それらの天然形態(例えば非グリコシル化形態)に通常存在する炭水化物成分を欠いたタンパク質も「変異体」という用語に包含される。誘導体の例としては、ペギル化誘導体、及びIgG1又はIgG3をタンパク質又は当該タンパク質の活性部位に融合することによって形成されるタンパク質などの融合タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。例えばPenichet, M.L.及びMorrison, S.L., J Immunol. Methods 248:91-101 (2001)を参照されたい。
【0073】
本発明の一実施態様では、大分子活性剤は免疫調節化合物の投与に伴う有害作用を軽減、除去又は防止する。特定の免疫調節化合物及び治療される疾患又は障害によって、有害作用としては、傾眠及び催眠、めまい及び起立性低血圧症、好中球減少症;好中球減少症、HIVウイルス量の増加、徐脈、スチィーヴンズ−ジョンソン症候群及び毒性表皮壊死症を原因とする感染、並びに発作(例えば大発作痙攣)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
また、小分子である第2の活性剤も、免疫調節化合物の投与に伴う有害作用を軽減するために使用可能である。しかしながら、いくつかの大分子と同様に、多くが免疫調節化合物とともに(例えば前、後又は同時に)投与した場合に相乗効果をもたらし得ると考えられている。
【0075】
具体的な第2の活性剤としては、限定されるものではないがアンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン及びエリスロマイシンなどの抗生物質(治療用又は予防用);限定されるものではないがアマンタジン、リマンタジン、アシクロビル及びリバビリンなどの抗ウイルス薬;免疫グロブリン;血漿;限定されるものではないがレバミゾール及びイソプリノシンなどの免疫増強薬;限定されるものではないがガンマグロブリン、転写因子、インターロイキン及びインターフェロンなどの生物製剤;限定されるものではないが胸腺分泌物などのホルモン;並びに限定されるものではないがB細胞刺激剤(例えばBAFF/BlyS)、サイトカイン(例えばIL−2、IL−4及びIL−5)、増殖因子(例えばTGF−β)、抗体(例えば抗CD40及びIgM)、非メチル化CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(例えばTCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT(配列番号:1))、及びワクチン(例えばウイルス及び腫瘍ペプチドワクチン)などの他の免疫剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0076】
もう1つの実施態様では、本発明の方法は、免疫不全疾患又は障害の治療、予防及び/又は管理に使用される他の方法と併用することが可能である。他の方法の例としては、幹細胞移植、例えばポリエチレングリコールに結合されたウシアデノシンデアミナーゼ(PEG−ADA)を用いた酵素置換療法、胎児胸腺移植、培養新生児胸腺移植、胸腺上皮細胞移植、及び胎児肝臓移植が挙げられるが、それらに限定されない。
【0077】
(5.4 治療及び予防の方法)
本発明の方法は、様々な免疫不全疾患又は障害を治療、予防及び/又は管理する方法を包含する。当該疾患又は障害の例としては、アデノシンデアミナーゼ欠乏症、正常なIg又はIgの上昇を伴う抗体欠乏症、毛細血管拡張性運動失調症(ataxia-tenlangiectasia)、不全リンパ球症候群、分類不能型免疫不全症、ディジョージ症候群、高IgMを伴うIg欠乏症、Ig重鎖欠損症、IgA欠乏症、胸腺腫を伴う免疫不全、網状変性、ネゼロフ症候群、選択的IgGサブクラス欠乏症、新生児一過性低ガンマグロブリン血症、ウィルスコット-アルドリッチ症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症、及びX連鎖重症複合型免疫不全症が挙げられるが、それらに限定されない。
【0078】
本発明により包含される方法は、免疫不全疾患又は障害を罹患している、又は罹患しているおそれのある患者(例えばヒト)に対して、本発明の1以上の免疫調節化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体若しくはプロドラッグを投与することを含む。
【0079】
本発明の一実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、約0.10から約150mg/日の量を経口で、単一又は分割した日用量で投与され得る。特定の実施態様において、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))イソインドリン−1,3−ジオンは、約0.1から約1mg/日の量、或いは一日おきに約0.1から約5mgの量で投与され得る。特定の実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは約1から約25mg/日に量、或いは一日おきに約10から約50mgの量で投与され得る。別の実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、約50mg/日の量で投与され得る。別の実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、約25mg/日の量で投与され得る。別の実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、約10mg/日の量で投与され得る。
【0080】
本発明の免疫調節化合物は患者の体液性免疫を追加刺激する上で有効であると考えられている。よって、別の実施態様において、本発明は免疫原に対する免疫応答を増強する方法であって、当該増強を必要とする患者に対して、治療又は予防有効量の本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体若しくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。該免疫調節化合物は患者を免疫原に曝す前、曝している間、又は曝した後に投与することができる。
【0081】
特定の実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、限定されるものではないが病的障害、癌、及び自己免疫疾患用のワクチンなどのワクチンの作用を増強するために使用可能である。ワクチンの目的の1つは、免疫原に対する免疫応答を誘導し、それにより特定の免疫原に対して親和性を有するメモリーB細胞(及びT細胞)の集団を形成することである。理論に制限されることなく、本発明に使用される免疫調節化合物はB細胞TLR9のレベル、増殖及び活性化を増強することが示されていることから、このメモリー細胞の形成は増強され、その免疫原に対する免疫防護が向上され得ると考えられる。よって、本発明はまた、患者において免疫原に対する免疫応答を増強する方法であって、当該増強を必要とする患者に対して、免疫調節化合物及び免疫原を含むワクチンを投与することを含む方法を包含する。該免疫調節化合物はワクチンの投与前、投与と同時、又は投与後に投与することが可能である。
【0082】
免疫調節化合物とともに使用することが可能な好適なワクチンとしては、動物、植物、細菌、原虫、寄生虫、ウイルスに由来する抗原、又はそれらの組合せを含むものが挙げられるが、それらに限定されない。該抗原性又は免疫原性の薬剤は、限定されるものではないが、RSVウイルスタンパク質、例えばRSV F糖タンパク質、RSV G糖タンパク質;インフルエンザウイルスタンパク質、例えばインフルエンザウイルスノイラミダーゼ、インフルエンザウイルス血球凝集素;単純ヘルペスウイルスタンパク質、例えば単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(例えばgB、gC、gD及びgEを含む)をはじめとする、ウイルスに由来するペプチド、タンパク質、ポリペプチド又はそのフラグメントのいずれであってもよい。本発明の組成物において使用するための抗原性又は免疫原性の薬剤は、アデノウイルス科(例えばマストアデノウイルス及びアビアデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、単純ヘルペスウイルス5、及び単純ヘルペスウイルス6)、レビウイルス科(例えばレビウイルス、腸内細菌MS2期、アロレビウイルス)、ポックスウイルス科(例えばコルドポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、豚痘ポックスウイルス、モラシポックスウイルス、及びエントモポックスウイルス)、パポバウイルス科(例えばポリオーマウイルス及びパピローマウイルス)、パポバウイルス科(例えばパラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス1、モボリウイルス(例えば麻疹ウイルス)、ルブラウイルス(例えば流行性耳下腺炎ウイルス)、ニューモノウイルス科(pneumonovirinae)(例えばニューモウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス)、メタニューモウイルス(例えば鳥類ニューモウイルス及びヒトメタニューモウイルス)、ピコルナウイルス科(例えばエンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパトウイルス(例えばヒトA型肝炎ウイルス)、カルジオウイルス、及びアプトウイルス)、レオウイルス科(例えばオルトレオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、シポウイルス、フィジウイルス、フィトレオウイルス、及びオリザウイルス)、レトロウイルス科(例えば哺乳類B型レトロウイルス、哺乳類C型レトロウイルス、鳥類C型レトロウイルス、D型レトロウイルス群、BLV−HTLVレトロウイルス)、レンチウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス1及びヒト免疫不全ウイルス2)、スプーマウイルス、フラビウイルス科(例えばC型肝炎ウイルス)、ヒパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、トガウイルス(例えばアルファウイルス(例えばシンドビスウイルス)及びルビウイルス(例えば風疹ウイルス)、ラブドウイルス科(例えばベシクロウイルス、リッサウイルス、エフェメロウイルス、シトラブドウイルス、及びネクレオラブドウイルス)、アレナウイルス科(例えばアレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピーウイルス及びラッサ熱ウイルス)、及びコロナウイルス科(例えばコロナウイルス、及びロトウイルス)の抗原などの、病原性ウイルスの抗原であり得る。
【0083】
一実施態様において、前記ワクチンは、下記のものをはじめとする癌又は腫瘍抗原を含むものであり得るが、それらに限定されない:KS1/4パン癌腫抗原、卵巣癌抗原(CA 125)、前立腺酸性ホスフェート(prostatic acid phosphate)、前立腺特異的抗原、黒色腫関連抗原p97、黒色腫抗原gp75、高分子量黒色腫抗原(HMW−MAA)、前立腺特異的メンブラン抗原、癌胎児性抗原(CEA)、多型性上皮ムチン抗原、ヒト乳脂肪球抗原、結腸直腸腫瘍関連抗原(CEA、TAG−72、CO17−1A、GICA 19−9、CTA−1及びLEAなど)、バーキットリンパ腫抗原−38.13、CD19、ヒトBリンパ腫抗原−CD20、CD33、黒色腫特異的抗原(ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2、ガングリオシドGM3、腫瘍特異的移植型の細胞特異的抗原(TSTA)(T−抗原DNA腫瘍ウイルス及びRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原を含むウイルス誘発性の腫瘍抗原など)、癌胎児性抗原−α−フェトタンパク質(結腸、膀胱腫瘍癌胎児性抗原のCEAなど)、ヒト肺癌抗原L6、L20などの分化抗原、繊維肉腫抗原、ヒト白血病T細胞抗原−Gp37、ネオ糖タンパク質、スフィンゴ脂質、EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)などの乳癌抗原、HER2抗原(pl85
HER2)、多型性上皮ムチン(PEM)、悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1、胎児赤血球、一次内胚葉に見られるI抗原などの分化抗原、成人赤血球、移植前胚に見られるI抗原、胃腺癌に見られるI(Ma)、乳房上皮に見られるM18、M39、骨髄細胞に見られるSSEA−1、結腸直腸癌に見られるVEP8、VEP9、Myl、VIM−D5、D
156−22、TRA−1−85(血液型H)、結腸腺癌に見られるC14、肺腺癌に見られるF3、胃癌に見られるAH6、Yハプテン、胚性癌腫に見られるLe
y、TL5(血液型A)、A431細胞に見られるEGF受容体、膵臓癌に見られるE
1系(血液型B)、胚性癌腫細胞に見られるFC10.2、胃腺癌抗原、CO−514(血液型Le
a)、腺癌に見られるNS−10、CO−43(血液型Le
b)、A431細胞のEGF受容体に見られるG49、結腸腺癌に見られるMH2(血液型ALe
b/Le
y)、結腸癌に見られる19.9、胃癌ムチン、骨髄細胞に見られるT
5A
7、黒色腫に見られるR
24、胚性癌腫細胞に見られる4.2、G
D3、D1.1、OFA−1、G
M2、OFA−2、GD
2、及びM1:22:25:8、並びに4から8細胞期の胚に見られるSSEA−3及びSSEA−4、並びに皮膚T細胞リンパ腫由来の、T細胞受容体由来ペプチドである。
【0084】
ワクチンに使用するための免疫原は、限定されるものではないが、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質、核酸及び多糖類を含む、適当な条件下で対象において免疫応答をもたらすいずれの物質であってもよい。ワクチン中の免疫原の濃度は、当業者に知られている標準的な方法を用いて決定することができ、その免疫原の効力及び性質によって異なる。
【0085】
体液性免疫の追加刺激を必要とする患者は限定されるものではないが、人口統計、遺伝因子、及び実施環境をはじめとする様々な因子に基づいて決定することができる。高レベルの病原体に曝される地域に居住する、又は旅行する者が当該患者の一例であり得る。遺伝的に伝わる免疫障害の家族歴を有する者がもう1つの例である。さらに、高レベルの病原体に典型的に曝される者(例えば医療従事者)が当該患者のさらにもう1つの例である。
【0086】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、免疫応答に関して使用する場合、「増強する」という用語は、抗原性又は免疫原性の薬剤が、免疫調節化合物で処理された、又は処理される対象に投与される場合に、当技術分野で公知の抗体濃度測定の常法、例えば比濁分析、免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ及びELISAにより測定した際に、法同量のその抗原性又は免疫原性薬剤単独が投与される対象に比べて抗体の形成が増強されることを意味する。いくつかの実施態様において、本発明の方法が使用される場合、抗体の形成は、当該方法が使用されない場合に見られる抗体形成と比べて約5%、10%、20%、50%又は100%増加する。
【0087】
本明細書に用いられているように、且つ特に指定がなければ、「免疫原」という用語は、対象において免疫応答、すなわち、抗体の形成を誘発することが可能である外来の対象物を意味する。免疫原としては、動物、植物、細菌、原虫、寄生虫、ウイルス由来の抗原、又はそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。抗原は、限定されるものではないがポリペプチド、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質及び多糖類をはじめとする、対象において免疫応答をもたらす物質であり得る。
【0088】
(5.4.1 第2の活性剤又は療法を用いる組合せ療法組合せ)
本発明の具体的な方法は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグを、1以上の第2の活性剤又は他の療法と組み合わせて投与することを含む。本発明の免疫調節剤の例は、本明細書に開示されている(例えば、5.2の項を参照されたい)。第2の活性剤及び他の療法の例も本明細書に開示されている(例えば、5.3の項を参照されたい)。
【0089】
患者への免疫調節化合物及び第2の活性剤の投与を、同一又は異なる投与経路により同時に又は順次に行うことが可能である。特定の活性剤に対して採用される特定の投与経路の適合性は、活性剤自体(例えば血液流に入る前に分解することなく経口投与できるかどうか)、及び治療される疾病に依存することになる。本発明の免疫調節化合物の好ましい投与経路は、経口である。本発明の第2の活性剤又は成分の好ましい投与経路は、当業者によく知られている。例えば、「メルクマニュアル(The Merck Manual)」, 1023-1041 (第17版, 1999)を参照されたい。
【0090】
投与される第2の活性剤の量は、使用される特定の薬剤、治療又は管理される疾病の種類、疾病の重篤度及び病期、並びに患者に対して同時投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の随意の追加的な活性剤の量に基づいて決定することができる。当業者ならば、当技術分野で公知の常法に従って具体的な量を決定することができる。最初はその療法に通常使用される第2の活性剤の量から始め、前記の因子に従って量を調整する。例えば、「医師用卓上参考書(Physician 's Desk Reference)」(第56版, 2004)を参照されたい。
【0091】
本発明の一実施態様において、第2の活性剤は静脈又は皮下投与され、約1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50又は約200mgの量を毎日1回又は2回投与される。第2の活性剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理される疾病の種類、疾病の重篤度及び病期、並びに患者に対して同時に投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の随意の追加的な活性剤の量に依存することになる。
【0092】
一実施態様において、免疫調節化合物は約0.1から約150mg、好ましくは約1から約25mg、より好ましくは約2から約10mgの量で、単独又は本明細書に開示されている第2の活性剤(例えば、5.3の項を参照されたい)と組み合わせて、通常の療法の前、最中、又は後に毎日経口投与することができる。
【0093】
(5.4.2 繰り返し療法)
特定の実施態様において、本発明の予防又は治療薬剤が患者に繰り返して投与される。繰返し療法は、一定期間にわたって活性剤を投与した後に、一定期間休止し、この一連の投与を繰り返すことを含む。繰り返し療法は、1つ以上の療法に対する抵抗の発生を抑え、療法の1つの副作用を回避又は低減し、且つ/又は治療の効果を向上させることが可能である。
【0094】
その結果、本発明の1つの具体的な実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、約1週間又は2週間の休止期間を含む4から6週間サイクルで、単一又は分割用量を毎日投与される。本発明は、さらに、投与サイクルの頻度、数及び長さを増加させることを可能にする。したがって、本発明の他の具体的な実施態様は、単独で投与する場合に、典型的な場合に比べてより多くのサイクルに対して本発明の免疫調節化合物を投与することを包含する。さらに他の具体的な実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、通常第2の活性成分が投与されていない患者では容量規定毒性を引き起こすであろう、より多くのサイクルについて投与される。
【0095】
一実施態様において、本発明の免疫調節化合物は、毎日、又は約0.1から約150mgの用量で3から4週間連続的に投与された後に1から2週間休止される。4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンは、好ましくは、初期用量を0.1から5mg/日として、療法に絶えられる限り(毎週)1から10mg/日ずつ最大50mg/日まで増加させながら毎日且つ連続的に投与される。特定の実施態様において、3−(4−アミノ−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、約1、5、10又は25mg/日、好ましくは約10mg/日の用量で3から4週間にわたって投与された後に、4から6週間サイクルのうち1から2週間休止される。
【0096】
本発明の一実施態様において、本発明の免疫調節化合物及び第2の活性成分は、4から6週間のサイクルを通じて、第2の活性成分の前に本発明の免疫調節化合物を30から60分間投与する形で経口投与される。本発明の他の実施態様において、本発明の免疫調節化合物と第2の活性成分の組合せが、サイクル毎に約90分間にわたって静脈注射される。具体的な実施態様において、1サイクルは、約1から約25mg/日の3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン及び約50から約200mg/m
2/日の第2の活性成分を3から4週間にわたって毎日投与した後に1から2週間休止することを含む。他の具体的な実施態様において、各サイクルは、約5から約10mg/日の4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−イソインドリン−1,3−ジオン及び約50から約200mg/m
2/日の第2の活性成分を3から4週間にわたって毎日投与した後に1から2週間休止することを含む。典型的には、組合せ治療が患者に投与される間のサイクルの数は、約1から約24サイクル、より典型的には約2から約16サイクル、さらにより典型的には4から8サイクルである。
【0097】
(5.5 医薬組成物及び単位投与形態)
個別の単一単位投与形態の調製に医薬組成物を使用することが可能である。本発明の医薬組成物及び投与形態は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグを含む。本発明の医薬組成物及び投与形態は、1つ以上の賦形剤をさらに含むことが可能である。
【0098】
本発明の医薬組成物及び投与形態は、1つ以上のさらなる活性成分を含むことも可能である。結果として、本発明の医薬組成物及び投与形態は、本明細書に開示されている活性成分(例えば免疫調節化合物及び第2の活性剤)を含む。随意の第2の、又は追加的な活性成分の例は本明細書に開示されている(例えば、5.3の項を参照されたい)。
【0099】
本発明の単一単位投与形態は、患者に対する経口、粘膜(例えば経鼻、舌下、腔口、頬又は直腸)、非経口(例えば皮下、静脈、静脈内ボーラス、筋肉内又は動脈内)、局所(例えば点眼剤又は他の眼科製剤)、経皮投与に好適である。投与形態の例としては、下記のものが挙げられるが、それらに限定されない:錠剤;カプレット;軟弾性ゼラチンなどのカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼシジ;分散液;坐薬;粉末;煙霧剤(例えば経鼻スプレー又は吸入剤);ゲル;懸濁液(例えば水性又は非水性懸濁液、水中油エマルジョン又は油中水液体エマルジョン)、溶液及びエリキシルを含む、患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体投与形態;患者に対する非経口投与に好適な液体投与形態;局所投与に好適な点眼剤又は他の眼科製剤;並びに患者に対する非経口投与に好適な液体投与形態を提供するように復元できる無菌固形物(例えば結晶又は非結晶固形物)である。
【0100】
本発明の投与形態の組成、形状及び種類は、典型的にはそれらの用途に応じて変わることになる。例えば、疾病の急性治療に使用される投与形態は、同じ疾病の慢性治療に使用される投与形態よりも1つ以上の活性成分をより多く含有することができる。同様に、非経口投与形態は、同じ疾病を治療するのに使用される経口投与形態よりも1つ以上の活性成分をより少なく含有することができる。本発明に包含される具体的な投与形態が互いに異なるこれら及び他の様式は、当業者に容易に理解されるであろう。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第18版, Mack Publishing, ペンシルバニア州Easton(1990)を参照されたい。
【0101】
典型的な医薬組成物及び投与形態は、1つ以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、製薬業の当業者によく知られており、好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書に提示されている。特定の賦形剤が、医薬組成物又は投与形態への導入に好適であるかどうかは、その投与形態が患者に投与される方式を含むが、それに限定されない、当該技術分野でよく知られている様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口投与形態は、非経口投与形態での使用に適さない賦形剤を含有することができる。特定の賦形剤の適合性は、投与形態における具体的な活性成分にも依存し得る。例えば、乳糖などのいくつかの賦形剤によって、又は水に曝露した場合に、いくつかの活性成分の分解が加速され得る。1級又は2級アミンを含む活性成分は、特にこうした加速分解をしやすい。結果的に、本発明は、乳糖及び他の単糖又は二糖類を含有していてもごくわずかしか含まない医薬組成物及び投与形態を包含する。本明細書に用いられているように、「無乳糖」という用語は、乳糖が存在しているとしても、その量は、活性成分の分解速度を実質的に上昇させるのに不十分なものであることを意味する。
【0102】
本発明の無乳糖組成物は、当該技術分野でよく知られており、例えば米国薬局方 (USP) 25-NF20 (2002)に列記されている賦形剤を含むことが可能である。概して、無乳糖組成物は、医薬として適合可能且つ医薬として許容し得る量の活性成分、結合剤/充填剤及び潤滑剤を含む。好ましい無乳糖投与形態は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0103】
本発明は、水はいくつかの化合物の分解を促進させうるため、活性成分を含む無水医薬組成物及び投与形態をさらに包含する。例えば、水を(例えば5%)添加することは、保存寿命、又は調合物の経時的安定性等の特性を決定付けるために長期保存をシミュレートする手段として医薬技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, 「薬剤安定性:原理及び実際(Drug Stability: Principles & Practice)」, 第2版, ニューヨーク州ニューヨークMarcel Dekker, 1995年, 379-80頁を参照されたい。実際、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速させる。したがって、調合物の製造、処理、梱包、保管、出荷及び使用時に水分及び/又は湿気に触れることが多いため、調合物に対する水の影響は、極めて大きいことがある。
【0104】
本発明の無水医薬組成物及び投与形態は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を用いて調製され得る。乳糖、及び1級又は2級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物及び投与形態は、製造、梱包及び/又は保管時に水分及び/又は湿気との実質的な接触が想定される場合は、無水であることが好ましい。
【0105】
無水医薬組成物は、その無水特性が維持されるように調製、かつ保管されるべきである。よって、無水組成物は、それらを好適な調合キットに含むことができるように、水への曝露を防止することが知られている材料を使用して梱包されるのが好ましい。好適な梱包の例としては、気密密封箔、プラスチック、単位容量容器(例えばバイアル)、ブリスタ包装及びストリップ包装が挙げられるが、それらに限定されない。
【0106】
本発明は、活性成分が分解する速度を低減する1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び投与形態をさらに包含する。本明細書において「安定剤」と称する当該化合物としては、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤又は塩緩衝剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0107】
賦形剤の量及び種類と同様に、投与形態における活性成分の量及び具体的な種類は、患者に投与される経路を含むが、それらに限定されない要因に応じて異なることもある。しかし、本発明の典型的な投与形態は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグを約0.10から約150mg含む。典型的な投与形態は、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体若しくはプロドラッグを約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150又は200mg含む。特定の実施態様において、投与形態は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンを約1、2、5、10、25又は50mg含む。特定の実施態様において、投与形態は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを5、10、25又は50mg含む。典型的な投与形態は、第2の活性成分を1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50から約200mg含む。勿論、前記薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理されている疾病及び障害の種類、並びに患者に対して同時に投与される本発明の免疫調節化合物及び任意の随意の追加的な活性剤の量に依存することになる。
【0108】
(5.5.1 経口投与形態)
経口投与に好適である本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば咀嚼性錠剤)、カプレット、カプセル及び液体(例えば矯味シロップ)を含むが、それらに限定されない個別の投与形態として提供され得る。当該投与形態は、所定量の活性成分を含有し、当業者によく知られている製薬方法で調製され得る。概略的に、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第18版, Mack Publishing, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0109】
本発明の典型的な経口投与形態は、均質混和剤中の活性成分と少なくとも1つの賦形剤とを従来の医薬調合技術に従って混合させることによって調製される。賦形剤は、投与に望まれる製剤の形態に応じて広範な形態をとることができる。例えば、経口液体又は噴霧投与形態での使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤及び着色剤が挙げられるが、それらに限定されない。固形経口投与形態(例えば粉末、錠剤、カプセル及びカプレット)での使用に好適な賦形剤の例としては、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0110】
錠剤及びカプセルは、投与が容易であるために、最も有利な経口投与形態であり、その場合は固形賦形剤が採用される。望まれる場合は、標準的な水性又は非水性技術によって錠剤にコーティングすることが可能である。当該投与形態は、製薬方法のいずれかによって調製され得る。概して、医薬組成物及び投与形態は、活性成分と、液体担体、微粉化固体担体、又はその両方とを均一且つ密に混合し、次いでその生成物を必要に応じて所望の形に成形することによって調製される。
【0111】
例えば、錠剤を圧縮又は成形によって調製することが可能である。任意に賦形剤と混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を好適な機械で圧縮することによって、圧縮錠剤を調製することが可能である。不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することによって成形錠剤を製造することが可能である。
【0112】
本発明の経口投与形態に使用できる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤及び潤滑剤が挙げられるが、それらに限定されない。医薬組成物及び投与形態での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末状トラガカント、グアールガム、セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば第2208、2906及び2910)、微結晶セルロース、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0113】
微結晶セルロースの好適な形態としては、AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales、ペンシルバニア州Marcus Hookより入手可能)、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC−581として販売されている微結晶セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。好適な無水又は低水分賦形剤又は添加剤としては、AVICEL−PH−103(商標)及びStarch1500LMが挙げられる。
【0114】
本明細書に開示されている医薬組成物及び投与形態での使用に好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末状セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の医薬組成物における結合剤又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は投与形態の約50から約99重量%存在する。
【0115】
水性環境に曝されると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物に崩壊剤が使用される。過大量の崩壊剤を含有する錠剤は、保管時に崩壊することがあり、過小量の崩壊剤を含有する錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、活性成分の放出を不利に変化させるほど過大でもなく過小でもない十分量の崩壊剤を使用して、本発明の固体経口投与形態を形成するべきである。使用される崩壊剤の量は、調合物の種類によって異なり、当業者にとって容易に区別可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5から約15重量%の崩壊剤、好ましくは約1から約5重量%の崩壊剤を含む。
【0116】
本発明の医薬組成物及び投与形態に使用できる崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0117】
本発明の医薬組成物及び投与形態に使用できる潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリル酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。さらなる潤滑剤としては、例えば、シロイドシリカゲル(W.R. Grace Co.(メリーランド州Baltimore)製AEROSIL200)、合成シリカの凝集噴霧剤(Degussa Co.(テキサス州Plano)により市販)、CAB−O−SIL(Cabot Co.(マサチューセッツBoston)が販売する焼成二酸化ケイ素生成物)、及びそれらの混合物が挙げられる。潤滑剤は、使用されるとしても、典型的には、それらが導入される医薬組成物又は投与形態の約1重量%未満の量で使用される。
本発明の好ましい固形経口投与形態は、本発明の免疫調節化合物、無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド無水シリカ及びゼラチンを含む。
【0118】
(5.5.2 遅延放出投与形態)
本発明の活性成分は、当業者によく知られている制御放出手段又は送達デバイスによって投与され得る。例としては、それぞれ引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第3,845,770号、3,916,899号、3,536,809号、3,598,123号、並びに4,008,719号、5,674,533号、5,059,595号、5,591,767号、5,120,548号、5,073,543号、5,639,476号、5,354,556号及び5,733,566号に記載されている活性成分が挙げられるが、それらに限定されない。前記投与形態は、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリックス、ゲル、透析膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はそれらの組合せを用いて、1以上の活性成分の徐放又は放出制御を提供するように使用され、様々な比率の所望の放出プロファイルで提供することができる。本明細書に記載されている制御放出調合物を含む、当業者に知られている好適な制御放出調合物を、本発明の活性成分と共に使用するために容易に選択することが可能である。したがって、本発明は、制御放出に向けて構成された錠剤、カプセル、ジェルキャップ及びカプレットを含むが、それらに限定されない経口投与に好適な単一単位投与形態を包含する。
【0119】
すべての制御放出医薬製品は、非制御放出性製品と比較して薬物療法を向上させるという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療における最適に設計された制御放出性製剤の使用は、最短時間で状態を治癒又は抑制するのに最小量の薬物を採用することによって特徴付けられる。制御放出性調合物の利点としては、薬物の活性の延長、投与頻度の低減、患者コンプライアンスの向上が挙げられる。加えて、制御放出性調合物を使用して、作用の発生時間、又は薬物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすことができるため、副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0120】
たいていの制御放出性調合物は、所望の治療効果を即座にもたらす一定量の薬剤(活性成分)を最初に放出し、別の量の薬剤を徐々に且つ連続的に放出して、長期間にわたってこの治療又は予防効果のレベルを維持するように設計される。体内でこの一定の薬剤レベルを維持するために、代謝され、体内から排泄される薬剤の量に匹敵する速度で薬剤を剤形から放出させなければならない。活性成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水又は他の生理的条件又は化合物を含むが、それらに限定されない様々な条件によって刺激され得る。
【0121】
(5.5.3 非経口投与形態)
非経口投与形態は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含むが、それらに限定されない様々な経路によって患者に投与することができる。それらの投与は、典型的には、汚染物質に対する患者の自然防御を回避するので、非経口投与形態は、好ましくは、無菌であるか、又は患者への投与前に滅菌することが可能である。非経口投与の例としては、注射用溶液、医薬として許容し得る注射用ビヒクルに溶解又は懸濁させる乾燥製品、注射用懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
本発明の非経口投与形態を提供するのに使用できる好適なビヒクルは、当業者によく知られている。例としては、注射用水USP;限定されるものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液などの水性ビヒクル;限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどの水和性ビヒクル;並びに限定されるものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0123】
また、本明細書に開示されている1以上の活性成分の溶解度を高める化合物を本発明の非経口投与形態に配合することも可能である。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を使用して、本発明の免疫調節化合物及びその誘導体の溶解度を高めることが可能である。例えば、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0124】
(5.5.4 局所及び粘膜投与形態)
本発明の局所及び粘膜投与形態としては、噴霧剤、煙霧剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、点眼剤若しくは他の眼科製剤又は当業者に知られている他の形態が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第16及び18版, Mack Publishing, Easton, PA(1980 & 1990)、及び「医薬投与形態概論(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」, 第4版, Lea & Febiger, Philadelphia(1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに好適な投与形態を洗口液又は経口ゲルとして調合することが可能である。
【0125】
本発明に包含される局所及び粘膜投与形態を提供するのに使用できる好適な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)及び他の材料は、製薬業界の当業者によく知られており、所定の医薬組成物又は投与形態が適用される特定の組織に依存する。この事実を考慮すると、非毒性でかつ医薬として許容し得る溶液、乳剤、又はゲルを形成するのに典型的な賦形剤には、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱物油、及びその混合物が含まれるが、これらに限定されない。望まれる場合は、保湿剤又は湿潤剤を医薬組成物及び投与形態に添加することが可能である。こうした追加的な成分の例は当技術分野でよく知られている。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第16及び18版, Mack Publishing, Easton, PA(1980 & 1990)を参照されたい。
【0126】
医薬組成物又は剤形のpHを調節して、1つ以上の活性成分の送達を向上させることもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張度を調節して、送達を向上させることが可能である。ステアリン酸塩などの化合物を添加して、送達を向上させるように、1つ以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させることも可能である。この点において、ステアリン酸塩は、調合物の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、且つ送達促進剤又は浸透促進剤として機能することが可能である。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物を使用して、得られる組成物の特性をさらに調節することが可能である。
【0127】
(5.5.5 キット)
典型的には、本発明の活性成分は、同時に、又は同一の投与経路で患者に投与されないのが好ましい。したがって、本発明は、医療実務者によって使用されると、患者に対する適切な量の活性成分の投与を簡潔化することが可能であるキットを包含する。
【0128】
本発明の典型的なキットは、本発明の免疫調節化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグの投与形態を含む。本発明に包含されるキットは、追加的な活性成分をさらに含むことが可能である。追加的な活性成分の例としては、本明細書に開示されている活性成分(例えば、5.3の項を参照されたい)が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明のキットは、活性成分を投与するのに使用されるデバイスをさらに含むことが可能である。当該デバイスの例としては、シリンジ、点滴バッグ、貼付剤及び吸入器が挙げられるが、それらに限定されない。
【0129】
本発明のキットは、移植用細胞又は血液、並びに1つ以上の活性成分を投与するのに使用できる医薬として許容し得るビヒクルをさらに含むことが可能である。例えば、活性成分が、非経口投与に向けて再構成しなければならない固体形態で提供される場合は、キットは、活性成分を溶解させて、非経口投与に好適である無粒子の無菌溶液を形成することができる好適なビヒクルの密封容器を含むことが可能である。医薬として許容し得るビヒクルとしては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液を含むが、それらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを含むが、それらに限定されない水和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルを含むが、それらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、それらに限定されない。
【実施例】
【0130】
(6.実施例)
以下、実施例により本発明の特定の実施態様を示すが、本発明はそれらに限定するものではない。
【0131】
(6.1 材料及び方法)
(6.1.1 材料)
健康なドナー由来の軟膜(50ml)をSan Diego Blood Bankから入手した。抗CD40(#5555587)、FITC結合抗ヒトCD69(#5555530)、FITC結合抗ヒトCD40(#555588)、PE結合抗ヒトCD80(#557227)、PerCP−Cy5.5結合抗ヒトHLA−DR(#552764)CD40リガンド(CD154,#555698)をBD Pharmingenから購入した。大腸菌(E.coli) (#L6529)由来のLPSをSigmaから購入した。組換えヒトIL−4(#200−04)をPepro Techから購入した。ヤギ抗ヒトIgM(Fc5uフラグメント,#109−006−129)をJackson Immuno Research, Lab Inc.から購入した。細胞増殖ELISA(BrdU,#1−647−229)をRoche Applied Scienceから購入した。PE抗ヒトTLR9(#12−9099,クローン#eB72−1665)をeBioscienceから購入した。リン酸化−STAT6(#9361)をCell Signalingから購入した。
【0132】
(6.1.2 HPBMCの精製及びCD19
+細胞の単離)
ヒト軟膜(50ml)を50mlの無菌PBS(Ca
++、Mg
++フリー)で希釈し、穏やかに混合した。希釈軟膜の25mlアリコートを各50mlの遠沈管に移し、この管の底にHistopaque−1077(14ml,#1077−1,Sigma)を静かに層化した。このサンプルを室温、2,000rpmで30分間遠心分離した。単核細胞を含む界面を50mlの遠沈管に移し、PBSで1回洗浄した(1200rpm,5分)。上清を廃棄した。細胞ペレットをMiltenyiバッファーに再懸濁させた。この懸濁液に抗CD19
+マイクロビーズを加え(バッファー80μl中10
7細胞、10
7細胞に対して20μl抗体ビーズ)、4℃で15分間インキュベートした。細胞ペレットを1回洗浄し、1mlのMiltenyiバッファーに再懸濁させた。この細胞懸濁液を磁気カラムに加え、カラム内を10mlのMiltenyiバッファーで洗浄した。CD19
+細胞を、磁場を用いずに1mlのMiltenyiバッファーにより遊離させる。CD19
+細胞をRPMI完全培地で2回洗浄した。B細胞(2×10
5)を96ウェルプレートにプレーティングした。
【0133】
(6.1.3 抗IgM、抗CD40、LPS、BAFF及びIL−4によるB細胞の刺激)
B細胞を、濃度60μM、6μM、0.6μM、0.06μM、0.006μM、及び0.0006μMの1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで30分間前処理した後、2μg/mlの抗IgM、2μg/mlの抗CD40、40ng/mlのIL−4、100ng/mlの組換えBAFF、及び/又は0.5μg/mlのLPSを加えた。B細胞を典型的には免疫調節化合物単独で、又は1以上の前記刺激の存在下で3日間処理した。免疫調節化合物で処理した、又は処理しない刺激B細胞を細胞増殖アッセイ及びサイトカイン分析に用いた。
【0134】
(6.1.4 IgE ELISA)
ヒトPBMC(1×10
6/ml)を、抗CD40(2μg/ml)及びIL−4(40ng/ml)の存在下、免疫調節化合物で3週間処理した。製造業者の説明書に従い、上清50μlをIgE ELISAに使用した。吸光度をELISAリーダーによりOD=450nmで読み取った。
【0135】
(6.1.5 ウエスタンブロット法)
CD−19B細胞(2×10
6/ml)を10μM及び1μMの1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで30分間前処理した。細胞懸濁液にIL−4(100ng/ml)を30分間加え、細胞ペレットをPBSで1回洗浄し、50μlのサンプルバッファーを用いて溶解した。細胞溶解液を100℃で5分間加熱し、20μlの細胞溶解液を4〜20%のTris−グリシン SDS−PAGE(Invitrogen)にロードした。移したメンブランを4℃で一晩、1:1000抗リン酸化STAT6抗体(Cell signaling)でブロットした後、HRP結合抗ウサギ 二次抗体でブロットした。このメンブランのシグナルを、製造業者の説明書に従い、ECLキットにより現像した。
【0136】
(6.2 CD80、CD40及びHLA−DR発現のFACS分析)
B細胞を、LPS;CD40リガンド及びIL−4;又はBAFFの存在下、1μMの1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで3日間処理した。このB細胞懸濁液をPBSで1回洗浄し、暗所で、FITC結合抗ヒトCD40、PE結合抗ヒトCD80、又はPerCP−Cy5.5結合抗ヒトHLA−DRとともに30分間インキュベートした。B細胞に対してBD FACSAria(BD biosciences)を用いてFACS分析を行った。
【0137】
CD80、CD40及びHLA−DRはB細胞活性化の分子マーカーである。
図1Aに示されているように、CD40リガンドとIL−4の存在下で1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理されたB細胞は、CD80発現の増強を示した。さらに、
図1Bで示されるように、細胞を1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理した場合、CD80を発現するB細胞の数もまた増加した。CD40(
図2A)及びHLA−DRの発現もまた、BAFF又はLPSで処理したB細胞における1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンによりアップレギュレートされた。これらの結果は、本発明の免疫調節化合物はB細胞の活性化を刺激し得ることを示す。
【0138】
(6.3 CD69発現のFACS分析)
B細胞を、抗IgM、抗CD40及びIL−4の存在下で3日間、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン(
図3A)又は1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン(
図3B)で処理した。B細胞の懸濁液をPBSで1回洗浄し、FITC結合抗ヒトCD69とともに暗所にて30分間インキュベートした。B細胞に対して、フローサイトメーター(EPICS XL-MCL, Beckman Coulter Company)を用い、FACS分析を行った。
CD69はB細胞の活性化のもう1つの分子マーカーである。
図3A及び3Bに示されるように、抗ヒトIgM、抗ヒトCD40、及び組換えヒトIL−4で処理したCD19
+B細胞において、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン及び1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンの双方は、CD69発現を用量依存的に増強した。これらの結果は、本発明の免疫調節化合物はB細胞の活性化を増強し得ることを示す。
【0139】
(6.4 TNFα発現に対するIMiDに効果)
1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理されたB細胞におけるTNFαレベルを、TNFα ELISAを用いて測定した。
図4に示されるように、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン及び1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンは、B細胞においてTNFαの生成を用量依存的に増強する。
【0140】
(6.5 ルミネックスによるサイトカインIL−6の測定)
B細胞を、抗IgM、抗CD40及びIL−4の存在下、60μM、6μM、0.6μM、0.06μM、0.006μM及び0.0006μMの1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで3日間処理した。上清(25μl)を採取し、25μlの抗IL−6ビーズとともに約1時間インキュベートした。これらのビーズを3回洗浄した後、25μlの検出抗体、次いでストレプトアビジン−フィコエリトリンとともに1時間インキュベートした。これらのビーズを3回洗浄した後、100μlのシース液(Sheath Fluided)中に再懸濁させた。このプレートをBio-Plex機器(Bio-Rad)にて読み取った。
図5に示されるように、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンは、抗IgM、抗CD40及びIL−4と組み合わせた場合には免疫調節化合物によるIL−6発現を用量依存的に増強したが(
図5B)、単独ではIL−6の発現を増強しなかった(
図5A)。
【0141】
(6.6 活性化B細胞の形態学的変化)
B細胞を、抗IgM、抗CD40及びIL−4の存在下で3日間、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理した(
図6)。位相差顕微鏡をMetaMorphソフトウエアとともに用いて画像を取り込んだ。
【0142】
(6.7 BrdU ELISAによる細胞増殖)
B細胞受容体抗原(「BCR」)の架橋は、抗原に応答したB細胞活性化の主要なシグナルであり、それに続くB細胞活性化、増殖、及び分化の誘発に重要である。B細胞の活性化を評価するため、B細胞を、刺激の存在下で3日間、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理した。細胞を採取する24時間前に250μlの細胞培養に25μlのBrdUを加えた。標識上清を除去した後、B細胞を60℃で乾燥させた。100μlのFixDenat溶液を加え、細胞を室温で30分間固定した。プレート軽くたたいてFixDenat 溶液を除去した後、室温で90分間、各ウェルに100μlの抗BrdU−PODを加え、プレートを3回洗浄した。プレートに10分間100μlの基質を加えた後、100μlの停止溶液を加えた。ELISAマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)を用い、OD450nmで吸光度を測定した。
図7Aに示されるように、両免疫調節化合物とも、単独ではB細胞の活性化には最小の作用しか示さないが、B細胞表面上のBCRの架橋剤として働くIgMと組み合わせた場合にはB細胞の増殖を増強し、その結果B細胞の活性化をもたらす。
【0143】
また、形態学的変化も、B細胞の増殖を誘発するIMiDのB細胞共刺激を裏付ける。
図7Bに示されるように、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン及び抗IgMによって処理した場合、B細胞は大きな凝集塊を形成し、これは刺激されていないB細胞又は1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン単独、若しくは抗CD40及びIL−4を伴う1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理されたB細胞とは著しく異なる。明らかにIMiDはBCRに対してB細胞増殖を促進する共刺激因子として働いている。
【0144】
他の因子もまた、B細胞の活性化及び増殖をもたらし得る。これに関して、LPS及びBAFFシグナル伝達を媒介とするB細胞増殖も検討した。
図7Cに示されるように、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンは抗IgMと類似の作用を示した。LPSはBCRと結合してB細胞を活性化するが、BAFFはBAFF受容体を介して独特なB細胞応答を誘発する。1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンによるBCR及びBAFF細胞シグナル伝達の調節は、IMiDが体液性の免疫応答、特に胸腺依存性の応答を誘発する可能性があることを示唆する。
【0145】
(6.8 FACSアレイによるTLR9の発現)
B細胞を96ウェルプレートに平板培養し、刺激の存在下で3日間、濃度60μM、6μM、0.6μM、0.06μM、0.006μM及び0.0006μMの1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで処理した。B細胞を1%パラホルムアルデヒドで30分間固定した後、1%Triton X−100で30分間細胞を透過処理した。B細胞を抗ヒトTLR9抗体R−フィコエリトリン(PE)結合抗ヒトTLR9抗体とともに暗所で1時間インキュベートした(0.5μg/10
6細胞)。次に、B細胞をPBSで1回洗浄した。B細胞を、1%BSAを含有する150μlのPBSに再懸濁させ、FACSアレイ機器(BD Bioscience)で読み取った。
図8A〜8Dは、免疫調節化合物が、他の刺激、特にIgMとの組合せにおいてTLR発現を増強し得ることを示す。
【0146】
(6.9 サイトカインシグナル伝達に対する効果)
B細胞の増殖に影響を及ぼすサイトカインシグナル伝達に対する免疫調節化合物の効果を、6.1.3の項に記載されている手順を用いて検討した。
図9A〜9Cに示されるように、免疫調節化合物は、IL−4誘発細胞増殖に対して阻害効果を示したが、IL−2、IL−5、及びIFN−γ誘発細胞増殖に対しては促進効果が見られた。結果を
図9Dに要約する。
【0147】
(6.9.1 IL−4媒介B細胞活性化に対する効果)
IL−4シグナル伝達に対する免疫調節化合物の効果がIL−4媒介B細胞活性化に影響を及ぼすかどうかを評価するため、三反復、6用量の前初期発現マーカーCD69発現のFACSアレイを、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを用いて検討した。
図10A及びBに示されるように、いずれの免疫調節化合物も、IL−4刺激CD19
+B細胞におけるCD69発現を阻害しなかった。よって、免疫調節化合物はこのプロセスには影響を及ぼさないことが明らかである。
【0148】
(6.9.2 IMiDはSTAT6シグナル伝達を介してIgE合成を阻害する)
IL−4は、免疫グロブリンクラスの切り替えの際にIgEを生成する、B細胞に対する独特なシグナルである。免疫調節化合物がIgE合成を調節することが可能であったかどうかを評価するため、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1−オキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを、CD40+IL−4の存在下で3週間、ヒトPBMCとともにインキュベートした。このデータは、これらの化合物が実際にIgE合成を、IC
50 0.1μM〜0.3μM前後で用量依存的に阻害したことを示した(
図11A及びB)。
【0149】
免疫調節化合物はまた、同様にIL−4シグナル伝達により媒介されるIgG1合成も阻害した(
図11C)。IL−4はこの受容体と結合し、IgE遺伝子の転写を促進するSTAT6シグナル伝達を誘発することが示された。STAT6の活性化はIL−4により誘発されるIgE及びIgG
1クラスの切り替えに重要であることから、免疫調節化合物がSTAT6のリン酸化を阻害することが可能であったかどうかを検討した。B細胞を1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで30分間前処理した後、100ng/mlのIL−4で30分間刺激した。STAT6の活性化を抗リン酸化−STAT6(Tyr641)により評価した。このデータは、免疫調節化合物がSTAT6のリン酸化を遮断することが可能であることを示す(
図11D)。
【0150】
IL−4誘発増殖の抑制に加え、CD40+IL−4誘発HLA−DR発現も検討した。B細胞を、CD40L+IL−4とともに1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンで72時間処理し、細胞表面発現マーカーCD40及びHLA−DRをFACSにより測定した。このデータは、B細胞が単独で刺激に応答して活性化され得るが、免疫調節化合物による増強は見られなかったことを示した(
図11E)。これに対し、BAFFで処理されたB細胞では、1,3−ジオキソ−
2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンはCD40発現を60%、HLA−DR発現を86%高めた(
図11F)。このデータは、免疫調節化合物がCD40+IL−4シグナル伝達に対して効果がなかったという従前の知見と一致している。よって、免疫調節化合物はB細胞増殖の阻害に関連したCD40/IL−4/IgEシグナル伝達を遮断することが示された。
【0151】
(6.10 様々なIMiDによるIgE生成の阻害)
(6.10.1 手順)
PBMCの処理:200μlの1×10
6/mlヒトPBMCを96ウェルプレートにプレーティングし、これらの細胞を示された濃度(60、6、0.6、0.06、0.006、0.0006μM)のIMiDで30分間前処理した。抗CD40(#AHS4002, Biosource, 2μg/ml)及びIL−4(#200−04, Pepro Tech, 40ng/ml)を各ウェルに加えた。ヒトPBMCをIMiD、抗CD40及びIL−4の存在下で3週間インキュベートした。50μlの上清に対してIgE ELISAを行った。
【0152】
IgE ELISA:IgE ELISA定量キットをBethyl Laboratories,Inc.(#E80-108)から購入した。Nunc−Immuno ELISAプレート(Nalge Nunc International)を室温で1時間、1:1000ヤギ抗ヒトIgEでコーティングし、このプレートを1%BSAで30分間遮断した。50μlの上清と100μlのIgE標品を各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。次に、このプレートをPBSで3回洗浄した。100μlのヤギ抗ヒトIgE−HRP結合抗体を各ウェルに加え、60分間インキュベートした。ELISAプレートを、ELISAプレートリーダーにてOD=450nmで読み取った。
【0153】
(6.10.2 結果)
下記表1に示されるように、IgE合成の阻害において供試した12のIMiDのうち5つが特に有効な特徴を示した。このIgEの阻害はIMiDの抗炎症特性と相関していた。表2は、IFN−γ及びIL−2に関するIMiDのIgE阻害とEC50の間の相関を示す。IFN−γはIL−4/IgEシグナル伝達の強力なアンタゴニストであることから、これらの結果は、この系におけるIFN−γの潜在的刺激がIgE阻害の機構に関与する可能性があることを示唆する。これらの結果はアレルギー疾患におけるIMiDの治療効力の指標となる。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
本明細書に引用されている参照文献はすべて、引用により本明細書中に組み込まれている。本発明を特定の実施態様に関して記載してきたが、当業者には添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び改良が行えることが明らかであろう。
【0157】
前記の本発明の実施態様は例示に過ぎず、当業者ならば通常の実験で、具体的な化合物、材料及び手順の多くの等価物を認識し、或いは確認することができるであろう。このような等価物は本発明の範囲内にあるものと考えられ、添付の特許請求の範囲に包含される。