(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0022】
[1]吸収性物品:
吸収性物品の一実施形態は、
図1に示す吸収性物品10aのように、一方の面23aに開口14aが形成された溝部17aを有する吸収体22aと、この吸収体22aの一方の面23aを被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22aの他方の面23b(
図2参照)を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20と、を備え、溝部17aは、
図2に示すように、吸収体22aの厚さ方向(
図2に示すT方向)に直交する面における開口幅が一方の面23aから他方の面23bに向うに従って小さくなっているものである。このように構成された吸収性物品は、吸収体に溝部を有しているため、着用者の体型や姿勢の変化に対応して曲がり易く、フィット性が良好である。また、溝部が、一方の面及び他方の両面に開口を形成するもの(即ち、吸収体を貫通した溝(貫通溝))である場合には、吸収体のよれが生じ難いという利点がある。更に、フィット性を良好にするために形成した上記溝部が吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅が一方の面から他方の面に向うに従って小さくなっているため、上記溝部を形成することに起因する不具合(例えば、大きな段差が肌に当って痛みを感じること)が生じ難く、着用感が向上されている。
【0023】
なお、
図1は
、吸収性物品の一の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、吸収性物品10aをトップシート18側から見た状態を示しており、
図2は、
図1に示す吸収性物品10aをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。なお、
図1〜16において、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0024】
図1に示す吸収性物品10aは、例えば、経血を吸収する生理用ナプキン、おりものを吸収するおりものシート等として利用することができる。なお、本発明の吸収性物品としては、上記生理用ナプキン、おりものシート以外に、尿などの排泄物を吸収性する使い捨ておむつ(例えば、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッド等)も挙げることができる。
【0025】
[1−1]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するため、吸収性材料によって構成される部材であり、
図2に示すように、吸収体22aは、トップシート18とバックシート20との間に配置されている。そして、この吸収体22aは、上述したように、少なくとも一方の面23a(トップシート18が配置される側の面)に開口が形成された溝部17aを有し、この溝部17aは、吸収体22aの厚さ方向に直交する面における開口幅が一方の面23aから他方の面23bに向うに従って小さくなっているものである。このような構成の吸収体を備えることによって、上述したようなフィット性が良好であり、着用感が向上される吸収性物品を得ることができる。
【0026】
吸収体を構成する吸収性材料としては、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを用いることが好ましく、SAPとしては、ポリアクリル酸ナトリウムを用いることが好ましい。そして、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
【0027】
フラッフパルプとSAPを材料として用いる場合、SAPの含有量は、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度であることが好ましい。なお、SAPは、フラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
【0028】
ここで、本明細書において「吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅が一方の面から他方の面に向うに従って小さくなっている」とは、具体的には、溝部の内壁面が斜面や階段状の面であることを意味し、より具体的には、
図2に示す内壁面15aのような斜面や、
図4に示す内壁面15bのような階段状の面を例示することができる。
【0029】
溝部の内壁
面は、吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅が一方の面から他方の面に向うに従って連続的に小さくなるような斜面であ
る。このような斜面であると、着用者の肌が接する部分が平面状であるため、従来の吸収性物品のように、大きな段差が肌に当って痛みを感じるなどの不具合が生じ難く、着用感が更に向上する。
【0030】
例えば、
図1に示す吸収性物品10aの吸収体22aは、吸収体22aの厚さ方向(
図2中のT方向)に直交する面における開口幅が一方の面23aから他方の面23bに向うに従って連続的に小さくなるような斜面からなる内壁面15aを有する溝部17aを備える例である。
【0031】
また、
参考例として、溝部の内壁面としては、吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅が一方の面から他方の面に向うに従って段階的に小さくなるような階段状であること
が挙げられる。このような階段状であると、従来の吸収性物品の吸収体の溝部のように大きな段差が形成されている場合に比べて、着用者の肌が接する面積が多いため、着用者の肌にかかる力が分散される。そのため、段差が肌に当って痛みを感じるなどの不具合が生じ難く、着用感が更に向上する。
【0032】
例えば、
図3に示す吸収性物品10bの吸収体22bは、一方の面23aに開口14bを有し、かつ、吸収体22bの厚さ方向(
図4中のT方向)に直交する面における開口幅が一方の面23aから他方の面23bに向うに従って段階的に小さくなるような階段状の内壁面15bを有する溝部17bを備える例である。
【0033】
なお、溝部の内壁面が上記階段状である場合、上記条件を満たすものであればその段数は特に制限はなく、
図4に示す吸収性物品10bのように2段であってもよいし、1段または3段以上であってもよい。
【0034】
溝部の開口の形状は
、例えば、細長形状、円形状、曲線状の辺を有する略四角状などの形状を挙げることができる。
本発明においては、その長辺が吸収体の長手方向に沿って形成されている細長形状であ
る。このような細長形状であると、吸収体がその長手方向に折れ曲がり易くなるため、吸収性物品のフィット性が更に向上するという利点がある。例えば、
図1及び
図2に示す吸収性物品10aは、長辺が、吸収体22aの長手方向に沿って形成された細長形状の開口14aを形成する有底の溝部17aを有する吸収体22aを備える例である。なお、開口の形状が細長形状である溝部の場合、その長手方向に延びる一対の内壁面(例えば、
図1及び
図2に示す内壁面15a)は斜面であることが好ましい。
【0035】
図1に示す吸収性物品10aの吸収体22aように、細長形状の開口14aを形成する溝部17aを有する場合、上記開口の幅(
図1に符号d1で示す)は5〜50mmであることが好ましく、10〜40mmであることが更に好ましい。上記幅が狭すぎると、着用時のフィット性が低下するおそれがある。また、開口の内壁面を十分に傾斜させることが困難になり、着用感が十分に向上されなくなるおそれがある。一方、上記幅が広すぎると、吸収体の吸収力が低下するおそれがある。また、溝部から吸収体が裂けてしまうおそれがある。
【0036】
なお、細長形状の開口である場合、
図1に示す吸収性物品10aのような直線状に限定されず、曲線状(即ち、曲線状の辺を有する略四角状)であってもよい。
【0037】
また、
本発明においては、開口を形成する溝部を複数有し、これら複数の溝部が、吸収体の長手方向に沿って配列され
る。このような複数の溝部を有すると、良好なフィット性を有することに加え、溝部に流れ込んだ尿などが、溝部に沿って流れてしまうことが抑制されるという利点がある。また、貫通溝の場合には吸収体を構成するパルプやSAPの移動が制限されるので、吸収体がよれ難いという利点がある。例えば、
図5及び
図6に示す吸収性物品10cの吸収体22cは、円形状の開口14cを形成する溝部17cを4つ有し、これら4つの溝部17cが、吸収体22cの長手方向に沿って配列されている例を示している。なお、溝部17cの内壁面15cは、吸収体22cの厚さ方向に直交する面における開口幅(直径)が一方の面から他方の面に向うに従って連続的に小さくなるような斜面である
。吸収体には、細長形状の開口を形成する複数の溝部が、吸収体の長手方向に沿って配列され、複数の溝部全体で破線を構成するように溝部を形成してい
る。
【0038】
なお、複数の円形状の開口は、
図5に示す吸収性物品10cの開口14cのように全て同じ大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよい。
【0039】
また、円形状の開口の数や位置(即ち、溝部の数や位置)は、上記条件を満たす限り特に制限はなく、適宜設定することができる。
【0040】
上記溝部は
、一方の面にのみ開口を形成するもの(即ち、吸収体を貫通しないもの)であ
る。参考例として、一方の面及び他方の両面に開口を形成するもの(即ち、吸収体を貫通するもの)
を挙げることができる。溝部が吸収体を貫通しないもの(即ち、底面を有する穴)である場合、溝部において、吸収性物品が折れ曲がり易いことに加え、尿などの排泄物が溝部に入り込んだ際に、溝部の底面の吸収体が上記排泄物を吸収するため、漏れの発生を防止することができる。一方、溝部が吸収体を貫通するもの(即ち、貫通した孔)である場合、溝部において、吸収性物品が更に折れ曲がり易く、フィット性が更に向上するという利点がある。また、吸収体を構成するパルプやSAPの移動が制限されるので、吸収体がよれ難いという利点がある。
【0041】
例えば、
図1及び
図2に示す吸収性物品10aの吸収体22aは、一方の面23aにのみ開口14aを形成する溝部17aを有する例を示している。また、例えば、
図7及び
図8に示す吸収性物品10dの吸収体22dは、一方の面23a及び他方の両面23bの両面に開口14d1,14d2を形成する溝部17dを有する例を示している。
【0042】
なお、溝部が貫通した孔である場合、
図7に示す溝部17dのように、吸収体22dの一方の端縁24aから他方の端縁24bまで形成されていてもよい。即ち、吸収体が、溝部によって複数に分割されていてもよい。なお、溝部17dの内壁面15dは、吸収体22d(22d1,22d2)の厚さ方向に直交する面における開口幅(隣り合う吸収体22d1と吸収体22d2の間の距離)が、一方の面から他方の面に向うに従って連続的に小さくなるような斜面である。
【0043】
溝部の内壁面の傾斜度は、特に制限はないが、例えば、10〜60°であることが好ましく、20〜45°であることが更に好ましい。上記傾斜度が10°未満であると、非吸引部分の幅が大きくなりすぎるおそれがある。一方、60°超であると、着用感が悪くなるおそれがある。
【0044】
吸収体の形状については、特に制限はないが、従来の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
【0045】
[1−2]トップシート:
トップシートは、少なくとも一部が液透過性材料からなるものであり、吸収性物品の使用時において着用者の肌側に位置するシートである。
【0046】
トップシートは、そのバックシート側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させるために、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の表面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
【0047】
トップシートを構成する液透過性材料としては
、不織
布を挙げることができる
。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン(登録商標)等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0048】
[1−3]バックシート:
バックシートは、トップシートの一方の面側に配置される液不透過性材料からなるものであり、吸収性物品の使用時において着用者の着衣側に位置するシートである。
【0049】
バックシートは、着用者の尿が吸収性物品の外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成されている。その配置方法については特に制限はなく、例えば、トップシートと一致するように、バックシートを配置する構成を採用することができる。なお、吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分に液不透過性材料からなるバックシートを配置することが好ましい。
【0050】
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、吸収性物品内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
【0051】
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、手触り(触感)を良好なものとするために用いられるものである。
【0052】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0053】
[1−4]その他のシート:
本発明の吸収性物品は、上述したトップシート及びバックシート以外に、その他のシートとして、例えば、液透過性シート、セカンドシートなどを挙げることができる。液透過性シートを配置すると、吸収体で吸収しきれなかった尿などの排泄物を、上記液透過性シートが一旦保持し、拡散させるため、吸収体全体を有効に使用することができるとともに、排泄物の吸収速度が向上するという利点がある。
【0054】
液透過性シートを構成する材料としては、例えば、ティシュペーパー、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、または、これらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
【0055】
液透過性シートは、吸収体とトップシートの間及び吸収体とバックシートの間の少なくともいずれかに配置することが好ましい。例えば、
図1及び
図2に示す吸収性物品10aは、吸収体22aとトップシート18の間に上側液透過性シート25を配置するとともに、吸収体22aとバックシート20の間に下側液透過性シート26を配置し、これらの両側縁を互いに接着させた例を示している。
【0056】
上記セカンドシートは、後述するセカンドシートと同様のものを用いることができる。
【0057】
[2]使い捨ておむつ:
次に、本発明の吸収性物品は、既に上述したように、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッド等の使い捨ておむつに適用することができる。そして、テープ型おむつ及びパンツ型おむつには、それぞれ、1ピースタイプ、及び、2ピースタイプのものがあり、本発明の吸収性物品は、いずれのタイプにも適用することができる。
【0058】
なお、本明細書において「テープ型おむつ」とは、例えば、
図9に示すテープ型おむつ100のように、吸収体22eと、この吸収体22eの一方の面側に配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22eの他方の面側に配置される液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6を前身頃2に対して固定するためのファスニングテープ7を更に備えた使い捨ておむつのことである。なお、
図9に示すように、吸収体22eは、細長形状の開口14eを形成する有底の溝部17eを有している。
【0059】
また、本明細書において「パンツ型おむつ」とは、例えば、
図10に示すパンツ型おむつ110のように、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士を接合することによって、接合部8、一つのウエスト周り開口部9及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成され、予めパンツ型に構成されたおむつのことである。なお、
図10に示すように、吸収体22fは、細長形状の開口14fを形成する有底の溝部17fを有している。
【0060】
そして、「1ピースタイプ」とは、トップシート、バックシート、吸収体を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体がトップシートとバックシートの間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシート及び/またはバックシートと一体的に構成されたタイプのおむつのことである。
【0061】
「2ピースタイプ」とは、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材とから構成され、外装部材の内側に吸収性本体が配置されたタイプのおむつのことである。
【0062】
上記吸収性本体は、吸収体、トップシート及びバックシートを構成要素として備えた部材であり、トップシートとバックシートの間に吸収体を挟み込み、吸収体の周縁部を封着することによって製造することができる。吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。吸収性本体は、例えばホットメルト接着剤等を用いて、外装部材に対して固定することができる。
【0063】
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。なお、2ピースタイプのおむつは、着用者の排泄液を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになるので、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。外装部材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。
【0064】
なお、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
【0065】
以下、1ピースタイプのテープ型おむつ(本実施形態のテープ型おむつ)について説明する。
【0066】
本実施形態のテープ型おむつに用いるトップシートは、単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、吸収体の上面側に配置されるトップシートと、おむつのサイドフラップの部分に配置されるトップシートとを異なるシートによって構成する形態もよく利用される。
図9に示すテープ型おむつ100は、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ5部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるトップシート18(サイドシート18b)を配置した例である。
【0067】
また、バックシートは、おむつの外形と一致するように構成されたものを用いてもよいし、バックシートの外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。なお、
図9に示すテープ型おむつ100においては、おむつの外形と一致する形状のバックシート20を配置した例を示している。また、バックシートは少なくとも吸収体を覆う範囲で配置されていればよいが、吸収体よりやや大きい範囲でバックシートを配置し、着用者の側部にあたるサイドフラップ部分にカバーシートとサイドシートにより構成すると、より通気性に優れた使い捨ておむつとすることができる。上記サイドフラップ部分を別体の不織布などで構成してもよい。
【0068】
[2−1]立体ギャザー:
本実施形態のテープ型おむつは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えている。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
【0069】
立体ギャザーの構成は、従来の吸収性物品に使用されている構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(
図9に示す立体ギャザー伸縮材36(36a,36b))を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0070】
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、センターシートやサイドシート等のトップシートを折り返すことにより形成してもよい。
【0071】
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、
図9に示すテープ型おむつ100は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26(26a,26b)が形成されている例を示している。なお、立体ギャザーは、少なくとも一対形成する必要があるが、二対以上形成してもよい。
【0072】
立体ギャザーは、おむつの内側に向って傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向って傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、
図9に示すテープ型おむつ100は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例である。
【0073】
[2−2]ファスニングテープ:
ファスニングテープは、テープ型おむつを着用者に対して装着させるためのテープである。おむつの背部と腹部とを相互に固定することで、テープ型おむつをパンツ型とし、着用者に装着可能なものであれば特にその形状や構造について制限はない。
【0074】
図9に示すテープ型おむつ100は、後身頃6の両側縁部に二対のファスニングテープ7が配置されたものである。これらのファスニングテープ7は、前身頃2の外表面に配置されたフロントパッチ11に対して貼着可能に構成されている。ファスニングテープ7をフロントパッチ11に貼着することによって、おむつの後身頃6と前身頃2とが相互に固定され、おむつを着用者に装着することができる。
【0075】
なお、
図9に示すテープ型おむつ100は、ファスニングテープ7を二対備えたものであるが、ファスニングテープ7を一対だけ備えたものや三対以上備えたものであっても同様の効果を得ることができる。
【0076】
ファスニングテープとしては、粘着テープ、メカニカルファスナー等のいずれを使用してもよい。メカニカルファスナーは、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置されたもの、または短繊維で構成された不織布等の溝部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を剥離可能な状態に、かつ、強固に固着させることができるものである。
【0077】
[2−3]各種伸縮材:
本実施形態のテープ型おむつは、脚周り伸縮材及びウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
【0078】
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置すると、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、溝部が形成される。このため、尿や体液がその溝部に溜まり、尿や体液をこぼすことなく、容易におむつの交換を行うことができる。
【0079】
例えば、
図9に示すテープ型おむつ100は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置してレグギャザーを形成した例である。この脚周り伸縮材40は、糸ゴムによって構成されている。なお、脚周り伸縮材は、必ずしも直線的に配置する必要はなく、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
【0080】
脚周り伸縮材は、例えば、
図9に示すテープ型おむつ100のように、立体ギャザー26の起立線46より外側の部分に、脚周り伸縮材40が形成されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
【0081】
なお、
図9に示すテープ型おむつ100は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例を示したが、本発明の吸収性物品は、左右の脚周り伸縮材40が非対称となるように配置してもよい。そして、
図9に示すテープ型おむつ100では、脚周り伸縮材40を片側につき二本配置した例を示しているが、片側につき一本だけ配置してもよいし、片側につき三本以上配置してもよい。また、複数の脚周り伸縮材を用いる場合、その太さや伸張率等も目的に応じて適宜設定することができる。
【0082】
次に、ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる。また、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりを防止することができる。
【0083】
図9に示すテープ型おむつ100は、その後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。この帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成することができる。なお、図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
【0084】
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定することができる。
【0085】
上記伸縮材としては、従来の吸収性物品に使用されている伸縮材を用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴム、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0086】
また、上記伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
【0087】
更に、上記伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定することができる。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着方法や、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着による方法などを挙げることができる。
【0088】
[3]第一の吸収性物品の製造方法:
本発明の第一の吸収性物品の製造方法は、上述した本発明の吸収性物品を得る吸収性物品の製造方法であり、吸収体の形状の反転形状を有する窪みが形成された成形型の窪み内に、吸収性材料を堆積させることによって、少なくとも一方の面に開口を形成する
複数の溝部を有する吸収体を得る第一の工程と、長尺バックシート上に、得られた吸収体及び長尺トップシートを含む構成部材を配置して、吸収体、この吸収体の一方の面側に配置された長尺トップシート、及び、他方の面側に配置された長尺バックシートを有する積層体を得、得られた積層体を所定の位置で切断して吸収性物品を得る第二の工程と、を備える方法である。このような工程を備えることによって、フィット性が良好であり、着用感が向上される吸収性物品を製造することができる。
【0089】
[3−1]第一の工程:
第一の吸収性物品の製造方法は、まず、吸収体の形状の反転形状を有する窪みが形成された成形型の窪み内に、吸収性材料を堆積させることによって、少なくとも一方の面に開口を形成する
複数の溝部を有する吸収体を得る第一の工程を行う。本工程を備えることによって、上述した溝部を有する吸収体を容易に得ることができる。
【0090】
本工程においては、例えば、
図11に示すような吸収体製造装置200を用いることができる。この吸収体製造装置200は、その外周面に複数(4つ)の窪み部55(窪み)が形成されたフォーミングドラム50(成形型)と、このフォーミングドラム50の外周面よりも外方に配置される、パルプ積層機51と、SAPの投入ノズル52と、を備えている。そして、フォーミングドラム50は、
図12に示すように、その外周面に、所望の吸収体の形状の反転形状を有する窪み部55が形成されている。即ち、この窪み部55は、所望の吸収体の外周形状に一致する形状の内周面31と吸収体の一方の面(トップシートが配置される側の面)の形状と相補的な形状の底面32とを有している。そして、この底面32は、複数の貫通孔35(
図13参照)が形成され、吸収性材料を吸引可能な吸引領域と、テーパー状の斜面36aを有する凸部45aの斜面36aによって構成されている。凸部45aは、吸収性材料を吸引しない非吸引領域である。そして、凸部45aは、皿ネジ65によって底面32に固定されている。なお、上記凸部45aを用いた場合、
図1及び
図2に示すような形状の吸収体22aを製造することができる。
図13は、
図11のE−E’線に沿って切断した断面を示す一部断面図である。
【0091】
なお、本吸収性物品の製造方法において、凸部の形状は、所望の溝部の形状に応じて適宜選択することができる。例えば、
図3及び
図4に示すような吸収体22bを製造する場合には、
図14に示す凸部45bのように、階段状の面36bを有するものを用いることがよい。
図14は、
図13に対応する断面を示す断面図である。
【0092】
また、吸収体製造装置200は、
図11に示すように、長尺バックシート29が
図11に示すY方向に送られ、この長尺バックシート29上に、吸収体22aを含む構成部材が配置される。なお、長尺バックシート29は、図示しないバックシートロールから供給される。
【0093】
本工程において用いる吸収性材料は、上述した吸収体を構成する吸収性材料と同様のものを用いることができる。
【0094】
本工程において窪み内に吸収性材料を堆積させるには、例えば、
図11に示すX方向に連続的に回転するフォーミングドラム50の外周面の窪み部55内に、パルプ積層機51からパルプ(吸収性材料)を供給し、投入ノズル52からSAPを供給することによって行うことができる。このとき、フォーミングドラム50内を、例えば吸引ポンプなどによって負圧にすることによって、
図13に示す吸引領域61に形成された貫通孔35を介して窪み部55内に吸収性材料を吸引しつつ、窪み部55内に吸収性材料を堆積させることができる。このようにして複数の吸収体10a(
図11参照)を得ることができる。
【0095】
なお、
図11及び
図12に示すフォーミングドラム50は、その周方向に沿って一定間隔で、複数の吸収体の平面形状に対応した窪み部55を形成した例であるが、これに限らず、フォーミングドラムの周方向に沿って連続した連続窪み部(窪み部55を間隔をあけずに連続的に形成して得られる形状の窪み部)を形成するとともに、上記連続窪み部内に、フォーミングドラムの周方向に沿って連続するリング状の凸部(例えば、テーパー状の斜面を有するリング状の凸部)を配置し、このフォーミングドラムによって吸収体を連続して形成し、その後、所定長さに切断して複数の吸収体を形成してもよい。なお、後述するフォーミングドラム150においても、上述したような連続窪み部を有し、連続するリング状の凸部を配置することによって吸収体を連続して形成し、その後、所定長さに切断して複数の吸収体を形成してもよい。
【0096】
[3−2]第二の工程:
次に、第一の吸収性物品の製造方法は、長尺バックシート上に、得られた吸収体及び長尺トップシートを含む構成部材を配置して、吸収体、この吸収体の一方の面側に配置された長尺トップシート、及び、他方の面側に配置された長尺バックシートを有する積層体を得、得られた積層体を所定の位置で切断して吸収性物品を得る第二の工程を行う。
【0097】
長尺バックシートは、長尺のバックシートであり、上述したバックシートを構成するためのものである。また、長尺トップシートは、長尺のトップシートであり、上述したトップシートを構成するためのものである。
【0098】
積層体を構成する構成部材としては、吸収体及び長尺トップシート以外に、例えば、セカンドシートの材料である長尺のセカンドシート(長尺セカンドシート)、液透過性シートなどを挙げることができる。セカンドシートは、吸収体の一方の面側(例えば、吸収体とトップシートとの間)に配置され、尿や体液等の液体を拡散させるためのシートである。このセカンドシートを備えることによって、着用者の姿勢等に起因して、トップシートと吸収体の間に空間が十分に形成されないような場合であっても、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
【0099】
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、これらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。液透過性シートとしては、上述した液透過性シートと同様のものを例示することができる。
【0100】
更に、吸収性物品として使い捨ておむつを製造する場合、吸収体、長尺トップシート、及び長尺セカンドシート以外に、上述した各種伸縮材などを構成部材として配置する。具体的には、
図9に示すテープ型おむつ100のような構造となるように、長尺バックシート上に、吸収体22e、脚周り伸縮材40、及びウエスト周り伸縮材42を載置し、その後、長尺トップシートを載置する。このようにして積層体(おむつ積層体)を得る。
【0101】
なお、上記積層体は、積層させた長尺トップシート及び長尺バックシートを相互に接合して形成されたものである。長尺トップシート及び長尺バックシートの接合方法は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、ホットメルト接着剤等を用いる方法を挙げることができる。
【0102】
積層体の切断方法は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、カッター、切断ロールなどを用いる方法を挙げることができる。
【0103】
吸収性物品としてテープ型おむつを製造する場合、上記おむつ積層体の、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除(Rカット)し、脚周り開口部を形成する。その後、ファスニングテープを付設し、所定の間隔で個々のおむつに切断することによって、テープ型おむつを得ることができる。
【0104】
なお、
図11は、積層体を構成する構成部材として、吸収体、トップシート、及び、バックシート以外に、液透過性シートを更に備える吸収性物品を得るための工程を模式的に示している。以下、具体的に説明する。
【0105】
まず、第一の工程で得られた吸収体10aを、下側液透過性シートロール56から供給される長尺下側液透過性シート43上に配置する。その後、吸収体10aの、長尺下側液透過性シート43を配置した側とは反対の面を被覆するように、長尺上側液透過性シート44を配置するとともに、第一の接着ロール48によって長尺下側液透過性シート43と長尺上側液透過性シート44を互いに接着させる。なお、長尺上側液透過性シート44には、予め、接着剤塗布部47によって接着剤を塗布しておく。
【0106】
次に、長尺下側液透過性シート43の外側の面を被覆するように長尺バックシート29を配置するとともに、上側液透過性シート44の外側の面を被覆するように長尺トップシート30を配置し、長尺バックシート29と長尺トップシート30を第二の接着ロール49によって互いに接着させる。なお、長尺バックシート29は、予め、図示しない接着剤塗布部によって接着剤を塗布しておく。このようにして吸収性物品連続体を得る。次に、得られた吸収性物品連続体を所定の位置で切断することによって、複数の吸収性物品を得ることができる。
【0107】
[4]第二の吸収性物品の製造方法:
本発明の第二の吸収性物品の製造方法は、上述した本発明の吸収性物品を得る吸収性物品の製造方法であり、底面の一部が突出した窪みが形成された成形型の窪み内に吸収性材料を吸引して、窪み内に吸収性材料を堆積させることによって、少なくとも一方の面に開口を形成する
複数の溝部を有する吸収体を得るA工程と、長尺バックシート上に、得られた吸収体及び長尺トップシートを含む構成部材を配置して、吸収体、この吸収体の一方の面側に配置された長尺トップシート、及び、他方の面側に配置された長尺バックシートを有する積層体を得、得られた積層体を所定の位置で切断して吸収性物品を得るB工程と、を備え、A工程における成形型として、吸収性材料を吸引する吸引領域と、上記底面の一部が突出した部分であり、吸収性材料を吸引しない非吸引領域と、吸引領域及び非吸引領域の間に位置し、吸引領域よりも吸収性材料の吸引力が低い低吸引領域と、を有する窪みが形成されたものを用いる方法である。このような工程によると、フィット性が良好であり、着用感が向上される吸収性物品を製造することができる。
【0108】
[4−1]A工程:
第二の吸収性物品の製造方法は、まず、底面の一部が突出した窪みが形成された成形型の窪み内に吸収性材料を吸引して、窪み内に吸収性材料を堆積させることによって、少なくとも一方の面に開口を形成する
複数の溝部を有する吸収体を得るA工程を行う。そして、本工程における成形型としては、吸収性材料を吸引する吸引領域と、上記底面の一部が突出した部分であり、吸収性材料を吸引しない非吸引領域と、吸引領域及び非吸引領域の間に位置し、吸引領域よりも吸収性材料の吸引力が低い低吸引領域と、を有する窪みが形成されたものを用いる。本工程を備えることによって、上述した溝部を有する吸収体を容易に得ることができる。
【0109】
本工程においては、例えば、
図15に示すようなフォーミングドラム150(成形型)を備える吸収体製造装置を用いることができる。この吸収体製造装置としては、フォーミングドラム150を備えている以外は、
図11に示す吸収体製造装置200と同様の構成を有するものを用いることができる。
【0110】
フォーミングドラム150は、
図15に示すように、その外周面に、底面32を有する複数の窪み部155(窪み)が形成されている。そして、各窪み部155は、
図16に示すように、吸収性材料を吸引する吸引領域61bと、上記窪み部155の底面の一部が突出した部分であり、吸収性材料を吸引しない非吸引領域62と、吸引領域61b及び非吸引領域62の間に位置し、吸引領域61bよりも吸収性材料の吸引力が低い低吸引領域61aと、を有している。そして、吸引領域61b及び低吸引領域61aには、複数の貫通孔35が形成されている。また、
図16に示すように、低吸引領域61aに形成されている貫通孔35a(35)は、吸引領域61bに形成されている貫通孔35b(35)に比べて開口径が小さくなっている。そして、非吸引領域62は、
図15に示すような四角柱状の凸部45cによって形成されている。このようなフォーミングドラム150を用いると、吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅が前記一方の面から前記他方の面に向うに従って小さくなる斜面(内壁面)を有する溝部が形成された吸収体(例えば
図3及び
図4参照)を得ることができる。なお、
図16は、
図13に対応する断面を示す断面図である。
【0111】
本工程において用いる吸収性材料は、上述した吸収体を構成する吸収性材料と同様のものを用いることができる。
【0112】
本工程では、底面の一部が突出した窪みが形成された成形型の窪み内に吸収性材料を吸引しつつ、上記窪み内に吸収性材料を堆積させることによって所定の形状を有する吸収体を得る。具体的には、まず、フォーミングドラム150内を、例えば吸引ポンプなどによって負圧にして、成形型の窪み内に吸収性材料を吸引可能な状態にする。次に、フォーミングドラム150を
図15に示すX方向に連続的に回転させる。その後、フォーミングドラム150の外周面の窪み部155内に、パルプ積層機51からパルプ(吸収性材料)を供給し、更に投入ノズル52からSAPを供給する。このようにして窪み部155内に吸収性材料を堆積させる。このとき、低吸引領域61aの貫通孔35aは、吸引領域61bの貫通孔35bに比べて開口径が小さいため、低吸引領域61aの吸引力は、吸引領域61bの吸引力に比べて弱くなっている。そのため、低吸引領域61aに堆積する吸収性材料の厚さは、吸引領域61bに堆積する吸収性材料の厚さに比べて薄くなる。従って、上記所望の形状を有する吸収体を得ることができる。
【0113】
なお、低吸引領域61aの吸引力を、吸引領域61bの吸引力に比べて弱くする方法としては、上述したような方法(即ち、貫通孔の開口径を変える方法)以外に、低吸引領域61aにおける貫通孔の密度、即ち、底面に形成する貫通孔の単位面積当たりの数を、吸引領域61bにおける貫通孔の密度に比べて小さくする方法などを挙げることができる。
【0114】
[4−2]B工程:
次に、第二の吸収性物品の製造方法は、長尺バックシート上に、得られた吸収体及び長尺トップシートを含む構成部材を配置して、吸収体、この吸収体の一方の面側に配置された長尺トップシート、及び、他方の面側に配置された長尺バックシートを有する積層体を得、得られた積層体を所定の位置で切断して吸収性物品を得るB工程を行う。本工程は、上述した第二の工程と同様の構成部材を用い、第二の工程と同様の方法で行うことができる。