【0020】
本発明は、ガスバリア性を高めるために組込むポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを、有機溶剤系接着剤等を用いずに紙基材等に確実に接着させて作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなくガスバリア性を顕著に高め、さらにポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを組込んでも容器強度を確保するとともに容器内面は十分に耐熱性を有するようにして密封食品容器として極めて好適な断熱性発泡紙容器を提供するという目的を達成するために、容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレンをラミネートし、内面側にはポリエチレンテレフタレートフィルムを介して前記低融点よりも高い融点のポリエチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、前記紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して前記外面側の低融点のポリエチレンを発泡させた断熱性発泡紙容器であって、アンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン80〜40重量%、アンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレンを形成し、前記内面側における高い融点のポリエチレンを前記密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレンとするとともに前記紙基材と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間には密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレンを介在させて接着機能を生じさせ、前記熱処理前の積層構成を[(外面側)低融点のポリエチレン/紙基材/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン(内面側)]として実現した。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の好適な実施例1を、
図1及び
図2を参照して説明する。まず、本実施例に係る断熱性発泡紙容器の構成を説明する。
図1において、本実施例に係る断熱性発泡紙容器1の基本的な構成は、胴部1Aを構成する紙基材2の外面側2aに低融点のポリエチレン3をラミネートし、紙基材2の内面側2bには、高いガスバリア機能を持つポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム4を介して前記低融点よりも高い融点のポリエチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、紙基材2に含まれている水分の蒸気圧を利用して外面側2aの低融点ポリエチレン3を発泡させ、容器外面を断熱性を有する発泡ポリエチレン層としたものである。
【0022】
ここで、紙基材2の内面側2bにおいて、該紙基材2と融点の高いポリエチレンとの間にPETフィルム4を組込んだ上で、さらにガスバリア性を確実にするとともに容器強度を確保するためには、有機溶剤が含まれるアンカーコート剤等の接着剤の使用を避けた上で、該PETフィルム4とこれに接する紙基材2及び融点の高いポリエチレンとの接着を確実に行うことが必要である。しかし、融点の高いポリエチレンとしての高融点のアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン(HDPE)は、コロナ処理等を施したとしても、PETフィルム4に対し接着性が悪い。
【0023】
これに対し、アンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン(LDPE、密度=0.918g/cm
3、mp.=107℃)80〜40重量%、アンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン(HDPE、密度=0.944g/cm
3、mp.=1
33℃)20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5は、PETフィルム4に対し良好な接着性を有するとともに紙基材2の外面側2aにラミネートした低融点のポリエチレン3の加熱発泡温度に対し十分な耐熱性を有している。密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5は、上記よりも低密度であると、耐熱性が劣化し、発泡熱処理時にPETフィルム4に皺が入る。
【0024】
このため、本実施例では紙基材2の最内面側にラミネートする前記高い融点のポリエチレンとして密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5を適用し、また、紙基材2とPETフィルム4との間に該密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5を介在させて、該密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5を紙基材2とPETフィルム4とを接着する接着剤として機能させている。この密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5を適用した本実施例における熱処理前の胴部1A部分の積層構成は、[(外面側2a)低融点のポリエチレン3/紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5(内面側2b)]となっている。
【0025】
この熱処理前における胴部1A部分の積層体の形成方法の一例を、
図2を用いて説明する。第1のヘッド部6Aにおいて各供給ロールから供給された紙基材2とPETフィルム4との間に第1の押出機7aから密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5が押出され、圧着ロール8aと冷却ロール9aにより圧着された後、冷却されて紙基材2とPETフィルム4とが密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5で接着される。紙基材2とPETフィルム4との接着体は第2のヘッド部6Bに送られ、該第2のヘッド部6Bにおいて第2の押出機7bからPETフィルム4上に密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5が押出され、圧着ロール8bと冷却ロール9bにより圧着された後、冷却されてPETフィルム4上に容器最内面側となる密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5がラミネートされる。
【0026】
容器最内面側の密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5がラミネートされた積層体は、4個のガイドローラを備えた反転部10において表・裏が反転され、第3のヘッド部6Cに送られる。該第3のヘッド部6Cでは、紙基材2上に第3の押出機7cから低融点のポリエチレン3が押出され、圧着ロール8cと冷却ロール9cにより圧着された後、冷却されて紙基材2の外面側2aに低融点のポリエチレン3がラミネートされる。この第3のヘッド部6Cにおけるラミネート工程で、熱処理前の胴部1A部分における前記積層体の形成が完了し、巻取りロール11に巻取られる。
【0027】
一方、底板部1B部分の熱処理前の積層構成は、[(上面側)紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/PETフィルム4/低融点のポリエチレン3(下面側)]となっており、底板部1Bにおいても、紙基材2とPETフィルム4とが密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5で接着されている。
【0028】
上述したように、本実施例に係る断熱性発泡紙容器1においては、胴部1A部分の容器最内面を密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5としたことでアンカーコート剤等の有機溶剤系接着剤等を用いずに該密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5を、高い耐熱温度と優れた機械的性質を有し、高いガスバリア機能を持つPETフィルム4に確実に接着させることができる。PETフィルム4を密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5によりアンカーコート剤等の有機溶剤系接着剤等を用いずに紙基材2に確実に接着させることができる。
【0029】
容器底板部1B側においても密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレ
ン5により紙基材2とPETフィルム4とを確実に接着させることができて、ガスバリア性を顕著に高めることができる。
【0030】
したがって、作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなく容器全体のガスバリア性を顕著に高めることができるとともにPETフィルム4を組入れても容器強度を確保することができる。さらに、密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5により底板部を含む容器内面に十分な耐熱性を付与することができて密封食品容器として極めて好適な断熱性発泡紙容器1を提供するすることができる。
【実施例2】
【0031】
本発明の実施例に係る断熱性発泡紙容器を
図3を参照して説明する。本実施例に係る断熱性発泡紙容器1は、熱処理前の胴部1A部分の積層構成が、[(外面側2a)低融点のポリエチレン3/紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/高融点のポリエチレン12(内面側2b)]となっている。
【0032】
この熱処理前における胴部1A部分の積層体の形成方法としては、例えば、次のような2段階の押出ラミネート成形工程が採られる。即ち、第1段階において、その中間積層部分である[紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5]を形成し、第2段階において、この中間積層部分における紙基材2の外面側2aに低融点のポリエチレン3をラミネートし、また最内面側、即ち密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5の内面側2bに高融点のポリエチレン12をラミネートする。この結果、熱処理前の胴部1A部分の積層構成は、前記のように、[(外面側2a)低融点のポリエチレン3/紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5/高融点のポリエチレン12(内面側2b)]となる。
【0033】
本実施例に係る断熱性発泡紙容器1においては、容器最内面を高密度ポリエチレン(HDPE)12としたことで、容器成型時のシール性及び蓋材等とのシール性が密度0.929〜0.939g/cm
3としたポリエチレン5適用前と比べて殆ど変わらないことになる。したがって、これらの作業を容易に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。