特許第5775251号(P5775251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775251
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】断熱性発泡紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20150820BHJP
   B32B 5/22 20060101ALI20150820BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20150820BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20150820BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20150820BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B65D81/38 J
   B32B5/22
   B32B27/10
   B32B27/32 C
   B32B27/36
   B65D65/40 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-144844(P2009-144844)
(22)【出願日】2009年6月18日
(65)【公開番号】特開2011-1087(P2011-1087A)
(43)【公開日】2011年1月6日
【審査請求日】2012年6月8日
【審判番号】不服2014-9609(P2014-9609/J1)
【審判請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205823
【氏名又は名称】大昭和紙工産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 知正
【合議体】
【審判長】 栗林 敏彦
【審判官】 渡邊 豊英
【審判官】 千葉 成就
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−200980(JP,A)
【文献】 特開2003−221024(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3079761(JP,U)
【文献】 特開2003−342427(JP,A)
【文献】 特表2000−500722(JP,A)
【文献】 特開平10−203523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38,B65D 65/40,B32B 5/22,B32B 27/10,B32B 27/32,B32B 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレンをラミネートし、内面側にはポリエチレンテレフタレートフィルムを介して前記低融点よりも高い融点のポリエチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、前記紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して前記外面側の低融点のポリエチレンを発泡させた断熱性発泡紙容器であり、
密度0.919g/cmアンカーコート不要ラミグレード低密度ポリエチレン80〜40重量%、密度0.944g/cmアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを形成し、
前記内面側における高い融点のポリエチレンを前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンとするとともに前記紙基材と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間には前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを介在させて接着機能を生じさせ、前記熱処理前の積層構成を[(外面側)低融点のポリエチレン/紙基材/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン(内面側)]とした断熱性発泡紙容器であって、
前記容器の底板部における前記熱処理前の積層構成は、[(上面側)紙基材/前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/低融点のポリエチレン(下面側)]としたことを特徴とする断熱性発泡紙容器。
【請求項2】
容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレンをラミネートし、内面側にはポリエチレンテレフタレートフィルムを介して前記低融点よりも高い融点のポリシチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、前記紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して前記外面側の低融点のポリエチレンを発泡させた断熱性発泡容器であり、
密度0.919g/cmアンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン80〜40重量%、密度0.944g/cmアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを形成し、
前記内面側における高い融点のポリエチレンを前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンとするとともに前記紙基材と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間には前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを介在させて接着機能を生じさせ、前記熱処理前の積層構成を[(外面側)低融点のポリエチレン/紙基材/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/高融点のポリエチレン(内面側)]とした断熱性発泡紙容器であって、
前記容器の底板部における前記熱処理前の積層構成は、[(上面側)紙基材/前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/低融点のポリエチレン(下面側)]としたことを特徴とする断熱性発泡紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性発泡紙容器に関するものであり、特に、ガスバリア性が高く、密封食品容器等として極めて好適な断熱性発泡紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、次のような構造の断熱性発泡紙容器は周知である。この従来技術は、容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレン(PE)をラミネートし、内面側には、これよりも融点の高い高融点ポリエチレン(PE)をラミネートして「(外面側)低融点PE/紙基材/高融点PE(内面側)」の積層構造とし、容器として成型した後、低融点以上、高融点以下の温度で加熱し、紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して外面側に低融点のポリエチレンを発泡させ、断熱性を備えた発泡紙容器としている。
【0003】
しかし、その後、この紙基材とポリエチレン(PE)の3層構造のカップを用いた未開封のカップめんを防虫剤のそばに一定時間おいたとき、昇華した防虫剤成分がカップを通してめんに移るという「移り香」の問題が発生し、この3層構造のカップは、ガスバリア性の点で不十分であることが判明した。
【0004】
このため、ガスバリア性を高めることが必要となり、コスト、生産性の点も考慮したとき、最も一般的な手段として、高い耐熱温度と優れた機械的性質を持つポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを、前記積層構造中、例えば紙基材と高融点PEとの間に組込む方法が考えらる。即ち、「(外面側)低融点PE/紙基材/接着層/PETフィルム/高融点PE(内面側)」とするものである。
【0005】
そして、積層構造中にPETフィルムを組込んだ上で、さらにガスバリア性を確実にするとともに容器強度を確保するためには、該PETフィルムとこれに接する紙基材及び高融点PE等との接着を強固に行うことが必要である。この接着性を向上させるための手法としては、PETフィルム上に予め接着剤としてのアンカーコート剤を塗布した後、その塗布剤の上に高融点PE等を溶融押出しする方法が一般的に行われている。アンカーコート剤としては、有機イソシアネート系等の接着剤が用いられており、この接着剤がトルエン等の有機溶剤で希釈して用いられる。しかしながら、このアンカーコート剤を用いる方法は、高価なアンカーコート剤を使用することによるコスト高につくという問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶剤の蒸発、飛散による作業環境の低下等の問題がある。
【0006】
このため、従来、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる基材上にポリエチレン系樹脂を押出しラミネートする方法において、オゾン処理工程、圧着工程及び熟成工程の全てを実施することでアンカーコート剤を使用することなく、強固に接着された積層フイルムを得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−232421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の「(外面側)低融点PE(容器として成型した後は発泡PE)/紙基材/高融点PE(内面側)」の3層構造の断熱性発泡紙容器は、ガスバリア性の点で不十分である。

これに対し、高い耐熱温度と優れた機械的性質を持つPETフィルムを、前記積層構造中、例えば紙基材と高融点PEとの間に組込み、さらに該PETフィルムとこれに接する紙基材及び高融点PE等との接着を、アンカーコート剤を使用することなく強固に行うことが求められている。
【0009】
そこで、ガスバリア性を高めるために組込むポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを、有機溶剤系接着剤等を用いずに紙基材等に確実に接着させて作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなくガスバリア性を顕著に高め、さらにポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを組込んでも容器強度を確保するとともに容器内面は十分に耐熱性を有するようにして密封食品容器として極めて好適な断熱性発泡紙容器を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレンをラミネートし、内面側にはポリエチレンテレフタレートフィルムを介して前記低融点よりも高い融点のポリエチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、前記紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して前記外面側の低融点のポリエチレンを発泡させた断熱性発泡紙容器であり、密度0.919g/cmアンカーコート不要ラミグレード低密度ポリエチレン80〜40重量%、密度0.944g/cmアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを形成し、前記内面側における高い融点のポリエチレンを前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンとするとともに前記紙基材と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間には前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを介在させて接着機能を生じさせ、前記熱処理前の積層構成を[(外面側)低融点のポリエチレン/紙基材/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン(内面側)]とした断熱性発泡紙容器であって、前記容器の底板部における前記熱処理前の積層構成は、[(上面側)紙基材/前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/低融点のポリエチレン(下面側)]とした断熱性発泡紙容器を提供する。
【0011】
この構成によれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、高い耐熱温度と優れた機械的性質を有し、高いガスバリア機能を持っている。このようなPETフィルムに対し、高融点のアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン(HDPE)は接着性が悪い。これに対し、アンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン(LDPE、密度=0.918g/cm3、mp.=107℃)80〜40重量%、アンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン(HDPE、密度=0.944g/cm3、mp.=133℃)20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンは、PETフィルムに対し良好な接着性を有するとともに容器外面側にラミネートした低融点LDPEの加熱発泡温度に対し十分な耐熱性を維持している。このため、容器最内面側には高融点のHDPEに代えて密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンをラミネートすることで、PETフィルムに確実に接着し且つ、該密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンにより容器内面に十分な耐熱性を付与することが可能となる。また、紙基材とPETフィルムとの間には押出機等により溶融密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンを押出して介在させ、圧着処理等を加えることで、密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンを接着剤として機能させ、紙基材とPETフィルムとを確実に接着させることが可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明は、 容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレンをラミネートし、内面側にはポリエチレンテレフタレートフィルムを介して前記低融点よりも高い融点のポリシチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、前記紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して前記外面側の低融点のポリエチレンを発泡させた断熱性発泡容器であり、密度0.919g/cmアンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン80〜40重量%、密度0.944g/cmアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを形成し、前記内面側における高い融点のポリエチレンを前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンとするとともに前記紙基材と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間には前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンを介在させて接着機能を生じさせ、前記熱処理前の積層構成を[(外面側)低融点のポリエチレン/紙基材/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/高融点のポリエチレン(内面側)]とした断熱性発泡紙容器であって、前記容器の底板部における前記熱処理前の積層構成は、[(上面側)紙基材/前記密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/低融点のポリエチレン(下面側)]とした断熱性発泡紙容器を提供する。

【0013】
この構成によれば、容器最内面を高融点のHDPEとしたことで、容器成型時のシール性及び蓋材等とのシール性が密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン適用前と比べて殆ど変わらないことになる。したがって、これらの作業容易性が得られる。その他の作用は、上記請求項1記載の発明の作用とほぼ同様である。
【0015】
れ等請求項1,2に記載の発明の構成によれば、密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンにより、容器底板部における紙基材とPETフィルムとを確実に接着させることが可能になるとともに底板部に十分な耐熱性を付与することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明は、容器最内面を密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンとしたことでアンカーコート剤等の有機溶剤系接着剤等を用いずに該密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンをPETフィルムに確実に接着させることができ、また、該PETフィルムを密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンにより、同様に紙基材に確実に接着させることができる。したがって、作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなくガスバリア性を顕著に高めることができるとともにPETフィルムを組入れても容器強度を確保することができる。さらに、密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンにより容器内面に十分な耐熱性を付与することができて密封食品容器として極めて好適な断熱性発泡紙容器を提供することができるという利点がある。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果と同様の効果に加えてさらに、容器成型時のシール性及び蓋材等とのシール性が密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン適用前と比べて殆ど変わらないことになって、これらの作業を容易に行うことができるという利点がある。
【0018】
請求項1,2に記載の発明は、上記請求項12に記載の発明の効果に加えてさらに、密度0.929〜0.939g/cmとしたポリエチレンにより容器底板部における紙基材とPETフィルムとを確実に接着させることができて、
容器底板部側においてもガスバリア性を顕著に高めることができるとともに底板部に十分な耐熱性を付与することができるという利点がある。


【図面の簡単な説明】
【0019】
図は本発明の実施例に係る断熱性発泡紙容器を示すものである。
図1】実施例1に係る断熱性発泡紙容器の一部分解斜視図。
図2】実施例1における熱処理前の積層体を形成する押出ラミネート成形装置の一例を示す構成図。
図3】実施例2に係る断熱性発泡紙容器の一部分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ガスバリア性を高めるために組込むポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを、有機溶剤系接着剤等を用いずに紙基材等に確実に接着させて作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなくガスバリア性を顕著に高め、さらにポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを組込んでも容器強度を確保するとともに容器内面は十分に耐熱性を有するようにして密封食品容器として極めて好適な断熱性発泡紙容器を提供するという目的を達成するために、容器における胴部を構成する紙基材の外面側に低融点のポリエチレンをラミネートし、内面側にはポリエチレンテレフタレートフィルムを介して前記低融点よりも高い融点のポリエチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、前記紙基材に含まれている水分の蒸気圧を利用して前記外面側の低融点のポリエチレンを発泡させた断熱性発泡紙容器であって、アンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン80〜40重量%、アンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンを形成し、前記内面側における高い融点のポリエチレンを前記密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンとするとともに前記紙基材と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間には密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレンを介在させて接着機能を生じさせ、前記熱処理前の積層構成を[(外面側)低融点のポリエチレン/紙基材/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルム/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン(内面側)]として実現した。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の好適な実施例1を、図1及び図2を参照して説明する。まず、本実施例に係る断熱性発泡紙容器の構成を説明する。図1において、本実施例に係る断熱性発泡紙容器1の基本的な構成は、胴部1Aを構成する紙基材2の外面側2aに低融点のポリエチレン3をラミネートし、紙基材2の内面側2bには、高いガスバリア機能を持つポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム4を介して前記低融点よりも高い融点のポリエチレンをラミネートし、容器成型後に前記低融点以上で前記高い融点以下の温度で熱処理し、紙基材2に含まれている水分の蒸気圧を利用して外面側2aの低融点ポリエチレン3を発泡させ、容器外面を断熱性を有する発泡ポリエチレン層としたものである。
【0022】
ここで、紙基材2の内面側2bにおいて、該紙基材2と融点の高いポリエチレンとの間にPETフィルム4を組込んだ上で、さらにガスバリア性を確実にするとともに容器強度を確保するためには、有機溶剤が含まれるアンカーコート剤等の接着剤の使用を避けた上で、該PETフィルム4とこれに接する紙基材2及び融点の高いポリエチレンとの接着を確実に行うことが必要である。しかし、融点の高いポリエチレンとしての高融点のアンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン(HDPE)は、コロナ処理等を施したとしても、PETフィルム4に対し接着性が悪い。
【0023】
これに対し、アンカーコート不要ラミグレードの低密度ポリエチレン(LDPE、密度=0.918g/cm3、mp.=107℃)80〜40重量%、アンカーコート不要ラミグレードの高密度ポリエチレン(HDPE、密度=0.944g/cm3、mp.=1

33℃)20〜60重量%の割合で混合し密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5は、PETフィルム4に対し良好な接着性を有するとともに紙基材2の外面側2aにラミネートした低融点のポリエチレン3の加熱発泡温度に対し十分な耐熱性を有している。密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5は、上記よりも低密度であると、耐熱性が劣化し、発泡熱処理時にPETフィルム4に皺が入る。
【0024】
このため、本実施例では紙基材2の最内面側にラミネートする前記高い融点のポリエチレンとして密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5を適用し、また、紙基材2とPETフィルム4との間に該密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5を介在させて、該密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5を紙基材2とPETフィルム4とを接着する接着剤として機能させている。この密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5を適用した本実施例における熱処理前の胴部1A部分の積層構成は、[(外面側2a)低融点のポリエチレン3/紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5(内面側2b)]となっている。
【0025】
この熱処理前における胴部1A部分の積層体の形成方法の一例を、図2を用いて説明する。第1のヘッド部6Aにおいて各供給ロールから供給された紙基材2とPETフィルム4との間に第1の押出機7aから密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5が押出され、圧着ロール8aと冷却ロール9aにより圧着された後、冷却されて紙基材2とPETフィルム4とが密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5で接着される。紙基材2とPETフィルム4との接着体は第2のヘッド部6Bに送られ、該第2のヘッド部6Bにおいて第2の押出機7bからPETフィルム4上に密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5が押出され、圧着ロール8bと冷却ロール9bにより圧着された後、冷却されてPETフィルム4上に容器最内面側となる密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5がラミネートされる。
【0026】
容器最内面側の密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5がラミネートされた積層体は、4個のガイドローラを備えた反転部10において表・裏が反転され、第3のヘッド部6Cに送られる。該第3のヘッド部6Cでは、紙基材2上に第3の押出機7cから低融点のポリエチレン3が押出され、圧着ロール8cと冷却ロール9cにより圧着された後、冷却されて紙基材2の外面側2aに低融点のポリエチレン3がラミネートされる。この第3のヘッド部6Cにおけるラミネート工程で、熱処理前の胴部1A部分における前記積層体の形成が完了し、巻取りロール11に巻取られる。
【0027】
一方、底板部1B部分の熱処理前の積層構成は、[(上面側)紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/PETフィルム4/低融点のポリエチレン3(下面側)]となっており、底板部1Bにおいても、紙基材2とPETフィルム4とが密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5で接着されている。
【0028】
上述したように、本実施例に係る断熱性発泡紙容器1においては、胴部1A部分の容器最内面を密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5としたことでアンカーコート剤等の有機溶剤系接着剤等を用いずに該密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5を、高い耐熱温度と優れた機械的性質を有し、高いガスバリア機能を持つPETフィルム4に確実に接着させることができる。PETフィルム4を密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5によりアンカーコート剤等の有機溶剤系接着剤等を用いずに紙基材2に確実に接着させることができる。
【0029】
容器底板部1B側においても密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレ

ン5により紙基材2とPETフィルム4とを確実に接着させることができて、ガスバリア性を顕著に高めることができる。
【0030】
したがって、作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなく容器全体のガスバリア性を顕著に高めることができるとともにPETフィルム4を組入れても容器強度を確保することができる。さらに、密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5により底板部を含む容器内面に十分な耐熱性を付与することができて密封食品容器として極めて好適な断熱性発泡紙容器1を提供するすることができる。
【実施例2】
【0031】
本発明の実施例に係る断熱性発泡紙容器を図3を参照して説明する。本実施例に係る断熱性発泡紙容器1は、熱処理前の胴部1A部分の積層構成が、[(外面側2a)低融点のポリエチレン3/紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/高融点のポリエチレン12(内面側2b)]となっている。
【0032】
この熱処理前における胴部1A部分の積層体の形成方法としては、例えば、次のような2段階の押出ラミネート成形工程が採られる。即ち、第1段階において、その中間積層部分である[紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5]を形成し、第2段階において、この中間積層部分における紙基材2の外面側2aに低融点のポリエチレン3をラミネートし、また最内面側、即ち密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5の内面側2bに高融点のポリエチレン12をラミネートする。この結果、熱処理前の胴部1A部分の積層構成は、前記のように、[(外面側2a)低融点のポリエチレン3/紙基材2/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/PETフィルム4/密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5/高融点のポリエチレン12(内面側2b)]となる。
【0033】
本実施例に係る断熱性発泡紙容器1においては、容器最内面を高密度ポリエチレン(HDPE)12としたことで、容器成型時のシール性及び蓋材等とのシール性が密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン5適用前と比べて殆ど変わらないことになる。したがって、これらの作業を容易に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
高いガスバリア機能を持つPETフィルムを、有機溶剤系接着剤等を用いずに紙基材等に確実に接着させて作業環境を低下させることなく、また格別にコスト高を招くことなくガスバリア性を顕著に高め、さらにPETフィルムを組込んでも容器強度を確保することが不可欠な電子レンジ調理機能等の付いた紙製食品容器に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 断熱性発泡紙容器
1A 胴部
1B 底板部
2 紙基材
2a 外面側
2b 内面側

3 低融点のポリエチレン
4 ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
5 密度0.929〜0.939g/cm3としたポリエチレン
6A〜6C 第1〜第3のヘッド部
7a〜7c 第1〜第3の押出機
8a〜8c 圧着ロール
9a〜9c 冷却ロール
10 反転部
11 巻取りロール
12 高融点のポリエチレン
図1
図2
図3