特許第5775259号(P5775259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775259アルミノキサン組成物、これらの作製、および触媒における使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775259
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】アルミノキサン組成物、これらの作製、および触媒における使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20150820BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20150820BHJP
   C07F 5/06 20060101ALN20150820BHJP
   C07F 7/08 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   C08F4/6592
   C08F10/00
   !C07F5/06 D
   !C07F7/08 X
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2009-510042(P2009-510042)
(86)(22)【出願日】2007年5月2日
(65)【公表番号】特表2009-535495(P2009-535495A)
(43)【公表日】2009年10月1日
(86)【国際出願番号】US2007067983
(87)【国際公開番号】WO2007131010
(87)【国際公開日】20071115
【審査請求日】2010年4月30日
(31)【優先権主張番号】60/798,074
(32)【優先日】2006年5月4日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594066006
【氏名又は名称】アルベマール・コーポレーシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ルビン
(72)【発明者】
【氏名】サンゴコヤ,サミユエル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ストリクラー,ジエイミー・アール
(72)【発明者】
【氏名】デイーフエンバク,ステイーブン・ピー
【審査官】 阪野 誠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−521165(JP,A)
【文献】 米国特許第06710005(US,B1)
【文献】 特表2005−538203(JP,A)
【文献】 特開平07−033821(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/066191(WO,A1)
【文献】 特開平09−194518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60− 4/70
C07F 1/00− 5/06
C07F 7/00− 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分
a)アルミノキサン;
b)ハロゲン源;および
c)ルイス塩基
を含んでなり、アルミノキサンがハロゲン源と合体される前にルイス塩基と合体される、組成物であって、該ハロゲン源が、
(i)式 RnCX4-n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素
であり、Rは独立に水素原子または1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)のハロ炭化水素であるか、
ii)式 ArGn(ここで、Arは25個までの炭素原子を含有する芳香族炭化水素環系であり、Gは−CX3、−CX2RまたはCXR2、ただしXは独立にフッ素原子、塩素原子または臭素原子であってRは独立に水素原子またはC1-4アルキル基である、であり、nは1から5である)のハロ炭化水素であるか、
(iii)1から30個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、ただし少なくとも1つの該ヒドロカルビル基は少なくとも1つの易動性ハロゲン原子を含有している、を有するシロキサンであるか、
(iv)式 R'nSiX4-n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素であり、R’は独立に1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)のシランであるか、
(v)式 R'nSnX4-n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素であり、R’は独立に1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)のスズ化合物であるか、或いは、
(vi)式 R''mAlX3-m(ここで、m=1または2であり、Xは独立にフッ素、塩素
または臭素であり、R”は独立に1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)のヒドロカルビルアルミニウムハライドである、
オレフィン重合触媒の活性化剤組成物。
【請求項2】
アルミノキサンがメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、およびイソブチルアルミノキサンの1つ以上を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ハロゲン源がフッ素源を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ルイス塩基が単座供与体と多座供与体の1つ以上を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ルイス塩基がオクタメチルトリシロキサンを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ルイス塩基がNMeR22(ここで、各R2は独立に水素原子または24個までの炭素原
子を有するヒドロカルビル基である)を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも
a)Al原子に対して30モル%までのハロゲン原子を含むアルミノキサン;および
b)ルイス塩基
から誘導されるオレフィン重合触媒の活性化剤組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物、遷移金属成分、およびオレフィンモノマーを合体することを含んでなるオレフィンモノマーを重合する方法。
【請求項9】
ハロゲン源がアルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン、アルファ・アルファ−ジフルオロトルエンまたはアルファ−フルオロトルエンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ハロゲン源がアルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン、アルファ・アルファ−ジフルオロトルエンまたはアルファ−フルオロトルエンである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ルイス塩基がオクタメチルトリシロキサンを含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
遷移金属成分が式 MLan-a[式中、Mはランタニドもしくはアクチニド系列からの
金属原子または周期律表の3から10族の遷移金属からの金属原子を表し、Lはチーグラー・ナッタタイプ触媒前駆体またはメタロセンタイプ触媒前駆体または非メタロセンのシングルサイトの触媒前駆体のいずれかに好適な配位子を有する基を表し、Xはハロゲン、1から20個の炭素原子を有するアルコキシ、アリールオキシ、アミドもしくはヒドロカルビル基を表し、aは式 o<a≦nを満足する数字を表し、nは金属原子の原子価を表
す。]を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
MがTi、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mo、FeまたはNiであり、Lがメタロセンタイプ触媒前駆体または非メタロセンのシングルサイトの触媒前駆体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Alに対して30モル%までのハロゲン原子を含むアルミノキサンがフッ素化メチルアルミノキサン(F−MAO)、フッ素化エチルアルミノキサン(F−EAO)またはフッ素化イソブチルアルミノキサン(F−IBAO)である、請求項7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒系の形成において有用であるアルミノキサン組成物と、これらのアルミノキサン組成物および触媒系の作製方法と、ならびにオレフィンモノマー、ジエンなどの重合におけるこのような触媒系の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミノキサン組成物は、オレフィンモノマーの重合用の触媒系の作製に種々のタイプのメタロセンと遷移金属化合物と組み合わせて広く使用される。しかしながら、標準のアルミノキサン溶液には劣った溶解性、不安定性、およびゲル形成などの制約が伴う。例えば、慣用のメチルアルミノキサン(MAO)などのアルミノキサンの溶液は、不可逆的なゲル形成による分解を抑制するために低い温度に保たれなければならない。
【0003】
少量のハロゲンを慣用のアルミノキサンに添加することによって、沈澱、すなわちゲル形成に対する高い安定性が室温および高温において付与されることが示された。例えば、特許文献1を参照のこと。ゲル形成は、アルミノキサンの取り扱いを困難とさせるので望ましくない。例えば、液体アルミノキサンは容器から反応器に配管により容易に移液可能であるが、ゲルを容器から反応器に移液することは難しく、時間がかかる可能性がある。
【特許文献1】US2005 0143254(2004年12月31日出願の10/751144の公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハロゲンを付加したアルミノキサンは、一般に、標準のアルミノキサンよりも沈澱に対して安定であるが、なお室温(約20℃)および高温において若干の沈澱を受け易い。
【0005】
それゆえ、低い温度で大きな溶解度を有し、高温において不可逆的な沈澱に対して抵抗性を有するアルミノキサン組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、オレフィン重合の触媒において遷移金属成分と共に活性化剤として有用なアルミノキサン組成物を提供する。本発明によるアルミノキサン組成物は、アルミノキサン、ハロゲン源、およびルイス塩基を含んでなる。本発明の更なる詳細は、「発明を実施するための最良の形態」において提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
少なくともa)アルミノキサン源;b)ハロゲン源;およびc)ルイス塩基から誘導される組成物が本発明により提供される。アルミノキサン源はメチルアルミノキサンを含んでなることができる。ハロゲン源はフッ素源を含んでなることができる。ルイス塩基は、混合物またはこれらの組み合わせ物を含む多座供与体と単座供与体の1つ以上を含んでなることができ;多座供与体は、例えばシロキサンを含んでなることができ;単座供与体は、例えばNR(ここで、各Rは独立に水素原子または約24個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基である)を含んでなることができる。更に、本発明は、少なくともa)Al原子に対して約0.5モル%から約30モル%のハロゲン原子を含むアルミノキサン源;およびb)ルイス塩基から誘導される組成物を提供する。アルミノキサン源は、Al原子に対して約0.5モル%から約15モル%のハロゲン原子を含んでなることができる。アルミノキサン源は、Al原子に対して約0.5モル%から約15モル%の、もしくは約4.7モル%のハロゲン原子を含んでなることができる。ジメチルアルミニウムフルオリドである場合には、ハロゲン源は、Al原子に対して約30モル%のハロゲン原子を含んでなることができ;アルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン(TFT)である場合には、ハロゲン源は、Al原子に対して約8モル%までのハロゲン原子を含んでなることができる。本発明による組成物は、アルミニウム原子に対して約0.5モル%から約15モル%のルイス塩基からの供与体原子を含んでなることができる。少なくともa)アルミノキサン源;およびb)ハロゲン源でもあるルイス塩基から誘導される組成物も提供される。本発明の組成物においては、ルイス塩基は、(i)NMeR(各Rは独立に水素原子または約24個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基である)または(ii)OMTS、または(i)と(ii)の組み合わせ物を含んでなることができる。
【0008】
少なくともa)アルミノキサン源;b)ハロゲン源;およびc)ルイス塩基を合体することを含んでなる組成物を作製する方法も本発明により提供される。ハロゲン源はフッ素源を含んでなることができる。少なくともa)アルミニウム原子に対して約30モル%までのフッ素原子を含むアルミノキサン源;およびb)ルイス塩基を合体することを含んでなる組成物を作製する方法も本発明により提供される。
【0009】
本発明の組成物、遷移金属成分、およびモノマーを合体することを含んでなるモノマーを重合する方法も本発明により提供される。
【0010】
(A)アルミノキサン源
アルミノキサン源(A)は、限定ではないが、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、イソブチルアルミノキサン(IBAO)、他のアルミノキサン、およびこれらの組み合わせ物を含む、いかなるアルミノキサンも含んでなることができる。MAOはAlMeと水から誘導され得;EAOはAlEtと水から誘導され得;IBAOはAlBuと水から誘導され得る。
【0011】
(B)ハロゲン源
ハロゲン源(B)は、任意のハロゲン源、例えばフッ素源、塩素源または臭素源を含んでなることができる。ハロゲン源(B)はルイス塩基を含んでなることができる。本明細書中で使用される時、ハロゲン源は、ハライドイオンと一般に呼ばれる負の状態のハロゲン原子、例えば、F、Cl、Brを参照することができる。用語「ハロゲン源」は、普通、このようなハライドイオンを記述するのに当業界で使用される。
【0012】
ハロゲン源(B)は、フッ素源、例えばアルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエンを含んでなることができる。
【0013】
本発明のアルミノキサン組成物の形成で使用可能な一つのタイプのハロゲン化剤は、式RCX4−n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素であり、Rは独立に水素原子または1から約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)のハロ炭化水素である。Rは直鎖、分岐のシクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基であることができる。Rの1つのみがヒドロカルビル基である場合には、このヒドロカルビル基はアリール基であることができる。すべてのRが水素原子であるハロ炭化水素においては、このようなハロ炭化水素は、アルミノキサンとゆっくりと反応する傾向があり、しばしば反応は完結に至らず、収率は低いことがあり得る。
【0014】
好適なタイプのハロ炭化水素は三級ハロ炭化水素であり;もう一つの好適なタイプのハロ炭化水素は、少なくとも1つのRがアリール基であるものである。二級および一級ハロ炭化水素は、イオン性アルミノキサン錯体の想定されているカチオン性種、または部分ハロゲン化アルミノキサンの形成における中間体に低安定性をもたらすように思われる。
【0015】
もう一つの好適なタイプのハロ炭化水素は、少なくとも1つのRがアリール基、例えばフェニル基であるものである。少なくとも1つのRがアリール基である場合、このハロ炭化水素は、一方のRがアリール基であり、他方のRが水素原子であるか、もしくは他の置換基のすべてがハロゲン原子である、一級ハロ炭化水素であることができる。ハロ炭化水素のこの群は、式
ArG
により表示可能である。式中、Arは約25個までの炭素原子、または約12個までの炭素原子、または6個の炭素原子(すなわち、Xを除去し、ならびに環上に存在し得るいかなる置換基も除去して)を環系中に通常含有する芳香族炭化水素環系であり;
Gは−CX、−CXRまたは−CXR(ここで、Xは独立にフッ素原子、塩素原子または臭素原子であり、Rは独立に水素原子またはC1−4アルキル基であり;ならびにnは1から5、または1から3、または1または2である)である。Gはトリハロメチル基であることができる。
【0016】
水素および易動性ハロゲン原子を含有する基以外の置換基が芳香族環上に存在する場合には、これらの他のこのような置換基は、電子供与性置換基であることができる。フッ素などの電子吸引性置換基を環上に有する芳香族基を含有するハロゲン化剤は、置換基として水素原子のみを有する芳香族基を含むハロゲン化剤よりも遅い反応速度を有することが観察された。翻って、電子供与性置換基を有する芳香族基を含有するハロゲン化剤は、芳香族環上に水素原子のみが存在するハロゲン化剤よりも速い反応速度を有することが観察された。通常の電子供与性置換基はヒドロカルビルオキシ基とヒドロカルビル基を含む。
【0017】
アリール基を有する好適なハロ炭化水素は、アルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン、アルファ・アルファ−ジフルオロトルエン、アルファ−フルオロトルエン、オクタフルオロトルエン、1,2−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、4−メチル−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、3−メチル−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)−4−メチルベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)−2−メチルベンゼン、1−エチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−イソプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(フルオロメチル)−4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(フルオロメチル)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(1−フルオロエチル)ベンゼン、1,2−ジフルオロエチルベンゼン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2’−ビス(フルオロメチル)ビフェニル、3−(ジフルオロメチル)ビフェニル、1−(トリフルオロメチル)ナフタレン、2−(トリフルオロメチル)ナフタレン、1−(ジフルオロメチル)ナフタレン、2−(ジフルオロメチル)ナフタレン、1−(フルオロメチル)ナフタレン、1,8−ビス(フルオロメチル)ナフタレン、1−(フルオロメチル)−2−(メチル)ナフタレン、1−イソブチル−2−トリフルオロメチル−ナフタレン、1−メチル−4−トリフルオロメチル−ナフタレン、1−n−ブチル−5−トリフルオロメチル−ナフタレン、1−(トリフルオロメチル)アントラセン、2−(ジフルオロメチル)アントラセン、9−(フルオロメチル)アントラセン、9,10−ビス(トリフルオロメチル)アントラセン、9−(トリフルオロメチル)フェナントレン、トリフェニルフルオロメタン、ジフルオロジフェニルメタン、α,α,α−トリクロロトルエン、α,α−ジクロロトルエン、α−クロロトルエン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−4−メチルベンゼン、1,4−ビス(トリクロロメチル)−2−メチルベンゼン、4−メチル−1−(トリクロロメチル)ベンゼン、3−メチル−1−(トリクロロメチル)ベンゼン、オクタクロロトルエン、1,2−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)ベンゼン、1−エチル−3,5−ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、1−イソプロピル−4−(トリクロロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−4−クロロ−2−(トリクロロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、1−(1−クロロエチル)ベンゼン、1,2−ジクロロエチルベンゼン、3,3’−ビス(トリクロロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(トリクロロメチル)ビフェニル、2,2’−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3−(ジクロロメチル)ビフェニル、1−(トリクロロメチル)ナフタレン、2−(トリクロロメチル)ナフタレン、1−(ジクロロメチル)ナフタレン、2−(ジクロロメチル)ナフタレン、1−(クロロメチル)ナフタレン、1,8−ビス(クロロメチル)ナフタレン、1−(クロロメチル)−2−(メチル)ナフタレン、1−イソブチル−2−トリクロロメチル−ナフタレン、1−メチル−4−トリクロロメチル−ナフタレン、1−n−ブチル−5−トリクロロメチル−ナフタレン、1−(トリクロロメチル)アントラセン、2−(ジクロロメチル)アントラセン、9−(クロロメチル)アントラセン、9,10−ビス(トリクロロメチル)アントラセン、9−(トリクロロメチル)フェナントレン、トリフェニルクロロメタン、ジクロロジフェニルメタン、α,α,α−トリブロモトルエン、α,α−ジブロモトルエン、α−ブロモトルエン、1,2−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(トリブロモメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリブロモメチル)ベンゼン、4−メチル−1−(トリブロモメチル)ベンゼン、3−メチル−1−(トリブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(トリブロモメチル)−4−メチルベンゼン、1,4−ビス(トリブロモメチル)−2−メチルベンゼン、1−エチル−3,5−ビス(トリブロモメチル)ベンゼン、1−イソプロピル−4−(トリブロモメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)−2−(トリブロモメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)−2,4−ビス(トリブロモメチル)ベンゼン、1−(1−ブロモエチル)ベンゼン、1,2−ジブロモエチルベンゼン、3,3’−ビス(トリブロモメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(トリブロモメチル)ビフェニル、2,2’−ビス(トリブロモメチル)ビフェニル、3−(ジブロモメチル)ビフェニル、1−(トリブロモメチル)ナフタレン、2−(トリブロモメチル)ナフタレン、1−(ジブロモメチル)ナフタレン、2−(ジブロモメチル)ナフタレン、1−(ブロモメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1−(ブロモメチル)−2−(メチル)−ナフタレン、1−イソブチル−2−トリブロモメチル−ナフタレン、1−メチル−4−トリブロモメチル−ナフタレン、1−n−ブチル−5−トリブロモメチル−ナフタレン、1−(トリブロモメチル)アントラセン、2−(ジブロモメチル)アントラセン、9−(ブロモメチル)アントラセン、9,10−ビス(トリブロモメチル)アントラセン、9−(トリブロモメチル)フェナントレン、トリフェニルブロモメタン、ジブロモジフェニルメタンなどを含む。2つ以上の前出のハロ炭化水素の混合物も使用され得る。
【0018】
アリール基を持たない好適なハロ炭化水素は、tert−ブチルフルオリド(2−メチル−2−フルオロプロパン)、3−メチル−3−フルオロペンタン、3−メチル−3−フルオロヘキサン、1−メチル−1−フルオロシクロヘキサン、1,3−ジフルオロ−1,3,5−メチルシクロオクタン、2−メチル−2−フルオロヘプタン、1,2−ジフルオロ−1−メチルシクロオクタン、2−メチル−2−クロロプロパン、tert−ブチルクロリド、3−メチル−3−クロロペンタン、3−クロロヘキサン、3−メチル−3−クロロヘキサン、1−メチル−1−クロロシクロヘキサン、1,3−ジクロロ−1,3,5−メチルシクロオクタン、2−メチル−2−クロロヘプタン、1,2−ジクロロ−1−メチルオクタン、2−メチル−2−ブロモプロパン、tert−ブチルブロミド、3−メチル−3−ブロモペンタン、2−ブロモヘキサン、3−ブロモヘキサン、3−メチル−3−ブロモヘキサン、1−メチル−1−ブロモシクロヘキサン、1,3−ジブロモ−1,3,5−メチルシクロオクタン、2−メチル−2−ブロモヘプタン、1,2−ジブロモ−1−メ
チルシクロオクタンなどを含む。前出のハロ炭化水素の2つ以上の混合物も使用され得る。
【0019】
使用され得る少なくともハロゲンの2つの異なる元素を有する好適なハロ炭化水素は、限定ではないが、1−クロロ−3−フルオロ−1,3,5−メチルシクロオクタン、2−ブロモ−1−フルオロ−1−メチルシクロオクタン、2−クロロ−1−フルオロ−1−メチルシクロオクタン、1−(トリクロロメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(ジクロロメチル)−3−(ジブロモメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)−2−(フルオロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(ジクロロメチル)−3−(フルオロメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(トリブロモメチル)−3−(トリクロロメチル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−エチル−3−(トリクロロメチル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−4−クロロ−2−(トリブロモメチル)ベンゼン、1−(フルオロメチル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、1−(1−ブロモエチル)−3−(1−フルオロエチル)ベンゼン、1−(1,2−ジクロロエチル)−4−(1−フルオロエチル)ベンゼン、1−トリクロロメチル−4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、3−(トリクロロメチル)−3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル、4−(ジクロロメチル−4’(ジフルオロ)−ビフェニル、2−(クロロメチル)−2’−(フルオロメチル)ビフェニル、l−(トリクロロメチル)−2−(トリフルオロメチル)ナフタレン、1−(ジフルオロメチル)−2−(ジクロロメチル)ナフタレン、1−(ブロモメチル)−8−(フルオロメチル)ナフタレン、9−(トリフルオロメチル)−l0−(トリクロロメチル)アントラセンなどを含む。前出のハロ炭化水素の2つ以上の混合物も使用され得る。
【0020】
好適なハロ炭化水素は、tert−ブチルフルオリド、tert−ブチルクロリド、tert−ブチルブロミド、アルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン、4−メチル−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、3−メチル−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフェニルフルオロメタン、アルファ・アルファ・アルファ−トリクロロトルエン、4−メチル−1−(トリクロロメチル)ベンゼン、3−メチル−1−(トリクロロメチル)ベンゼン、トリフェニルクロロメタン、アルファ・アルファ・アルファ−トリブロモトルエン、4−メチル−1−(トリブロモメチル)ベンゼン、3−メチル−1−(トリブロモメチル)ベンゼン、およびトリフェニルブロモメタンである。更に好適なハロ炭化水素は、アルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン、4−メチル−(トリフルオロメチル)ベンゼン、アルファ・アルファ・アルファ−トリクロロトルエン、トリフェニルクロロメタン、アルファ・アルファ・アルファ−トリブロモトルエン、およびトリフェニルブロモメタンである。更なる好適なハロ炭化水素は、アルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン、4−メチル−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフェニルクロロメタン、およびアルファ・アルファ・アルファ−トリブロモトルエンである。
【0021】
本発明のアルミノキサン組成物の形成に使用可能なもう一つのタイプのハロゲン化剤は、分子中に少なくとも1つの易動性ハロゲン原子を有し、各ハロゲン原子が独立にフッ素、塩素または臭素である少なくとも1つのシロキサンである。このハロゲン化剤は、ルイス塩基、例えば少なくとも1つの易動性ハロゲン原子をルイス塩基中に有する少なくとも1つのシロキサンを含んでなることができる。これらのシロキサンは、約1から30個の炭素原子を含有し、約1から24個の炭素原子を含有する線状ならびに/もしくは分岐したアルキル基、約3から24個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、および約6から30個の炭素原子を含有するアルキルアリールもしくはアリール基を含むヒドロカルビル基を有する。このシロキサンの少なくとも1つのヒドロカルビル基は少なくとも1つの易動性ハロゲン原子を含有する。このシロキサンは、ジシロキサンと、線状もしくは環状のポリシロキサンから選択される。このシロキサンはSi−O−Si結合を含有し、Si−OH結合を実質的に含まない。このシロキサンは混合ヒドロカルビル基を含有することができる。このポリシロキサンは、交互するケイ素および酸素原子の線状もしくは分岐もしくは環状の骨格を有する。非環状である場合には、このポリシロキサンは、経験式Sin−1(ここで、nは少なくとも3(もしくは3から6の範囲の、もしくは3から4の範囲の)であり、酸素原子は2つのケイ素原子の間に常に独立に配設され、−Si−O−Si−部分として連結されている)により表示可能である。環状ポリシロキサンは、経験式Si(ここで、nが上記に定義されている通りであり、非環状ポリシロキサンの場合には、酸素原子が2つのケイ素原子の間に常に独立に配設され、−Si−O−Si−部分として連結されている)により表示可能である。環状もしくは非環状であれ、4個以上のケイ素原子を含有するポリシロキサンの骨格は、骨格の1つ以上のケイ素原子上で分岐可能である。このような場合には、分岐を担持するケイ素原子は、3個または4個の別々の酸素原子に結合し、このような酸素原子は各々更なる別々のケイ素原子に結合する。
【0022】
ハロシロキサンの非限定的な例は、(トリフルオロメチル)ペンタエチルジシロキサン、トリス(フルオロメチル)トリメチルジシロキサン、(2,2−ジフルオロエチル)ペンタエチルジシロキサン、ビス(1,2−ジフルオロエチル)トリエチルジシロキサン、ビス(トリフルオロメチル)テトラメチルシロキサン、(トリフルオロメチル)トリメチルジシクロヘキシルジシロキサン、テトラメチルビス(2,2−ジフルオロシクロヘキシル)ジシロキサン、テトラメチルブチル(4,4,4−トリフルオロブチル)ジシロキサン、ビス(p−トリフルオロメチルフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ジフェニルトリメチル(ジフルオロメチル)ジシロキサン、テトラフェニルビス(フルオロメチル)ジシロキサン、ビス(ジフルオロメチル)テトラメチルシクロトリシロキサン、テトラ(フルオロメチル)テトラメチルシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ヘキサメチルシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、(トリフルオロメチル)ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、ビス(m−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフェニルシクロテトラシロキサン、トリ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロポリシロキサン)]、テトラ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロポリシロキサン、ポリ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン]、ポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン]、(トリクロロメチル)ペンタメチルジシロキサン、トリス(クロロメチル)トリメチルジシロキサン、2,2−(ジクロロエチル)ペンタエチルジシロキサン、ビス(1,2−ジクロロエチル)トリエチルジシロキサン、ビス(トリクロロメチル)テトラメチルジシロキサン、(トリクロロメチル)トリメチルジシクロヘキシルジシロキサン、テトラメチルビス(2,2−ジクロロシクロヘキシル)ジシロキサン、テトラメチルブチル(4、4、4−トリクロロブチル)ジシロキサン、ビス(p−トリクロロメチルフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ジフェニルトリメチル(ジクロロメチル)ジシロキサン、テトラフェニルビス(クロロメチル)ジシロキサン、ビス(ジクロロメチル)テトラメチルシクロトリシロキサン、テトラ(クロロメチル)テトラメチルトリシロキサン、3,3,3−トリクロロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、ビス(3,3,3−トリクロロプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、3,3,3−トリクロロプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、(トリクロロメチル)ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、ビス(m−トリクロロメチルフェニル)ヘキサフェニルシクロテトラシロキサン、トリ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シクロポリシロキサン]、テトラ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シクロポリシロキサン、ポリ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シロキサン]、ポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シロキサン]、(トリブロモメチル)ペンタメチルジシロキサン、(2,2−ジブロモエチル)ペンタエチルジシロキサン、テトラメチルビス(2,2−ジブロモシクロヘキシル)ジシロキサン、ビス(p−トリブロモメチルフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(ジブロモメチル)テトラメチルシクロトリシロキサン、ビス(3,3,3−トリブロモプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、3,3,3−トリブロモプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3,3−トリブロモプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、トリ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シクロポリシロキサン、テトラ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シクロポリシロキサン]、ポリ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シロキサン]、およびポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シロキサン]などを含む。前出のシロキサンの2つ以上の混合物も使用され得る。
【0023】
ハロゲンの2つ以上の異なる元素を有する好適なシロキサンは、限定ではないが、(フルオロメチル)(クロロメチル)(ブロモメチル)トリメチルジシロキサン、(2,2−ジクロロエチル)(2,2−ジフルオロエチル)テトラエチルジシロキサン、(1,2−ジクロロエチル)(1,2−ジフルオロエチル)トリエチルジシロキサン、(トリクロロメチル)(トリブロモメチル)テトラメチルジシロキサン、テトラメチル(2,2−ジクロロシクロヘキシル)(2,2−ジフルオロシクロヘキシル)ジシロキサン、(p−トリブロモメチルフェニル)(p−トリフルオロメチルフェニル)テトラフェニルジシロキサン、テトラフェニル(クロロメチル)(フルオロメチル)ジシロキサン、(ジクロロメチル)(ジフルオロメチル)テトラメチルシクロトリシロキサン、ビス(クロロメチル)ビス(フルオロメチル)テトラメチルトリシロキサン、(3,3,3−トリクロロプロピル)(3、3.3−トリフルオロプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、(m−トリクロロメチルフェニル)(m−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフェニルシクロテトラシロキサンなどを含む。前出のシロキサンの2つ以上の混合物も使用され得る。
【0024】
好適なシロキサンはトリシロキサンおよびトリシクロシロキサンである。少なくとも1つの3,3,3−トリハロプロピル基の付いたシロキサンも好適である。更なる好適なシロキサンは、3,3,3−トリフルオロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、トリ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロポリシロキサン]、テトラ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロポリシロキサン]、ポリ[メチル((3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン]、ポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン]、3,3,3−トリクロロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3,3−トリクロロプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、トリ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シクロポリシロキサン]、テトラ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シクロポリシロキサン]、ポリ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シロキサン]、ポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シロキサン],3,3,3−トリブロモプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3,3−トリブロモプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、トリ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シクロポリシロキサン]、テトラ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シクロポリシロキサン]、ポリ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シロキサン、およびポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シロキサン]を含む。3,3,3−トリフルオロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、ポリ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン]、3,3,3−トリクロロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3,3−トリクロロプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、ポリ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シロキサン]、3、3,3−トリブロモプロピルヘプタメチルトリシロキサン、3,3、3−トリブロモプロピルヘプタメチルシクロトリシロキサン、およびポリ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シロキサン]も好適である。更なる好適なシロキサンは、ポリ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン]、ポリ[メチル(3,3,3−トリクロロプロピル)シロキサン]、およびポリ[メチル(3,3,3−トリブロモプロピル)シロキサン]である。
【0025】
本発明のアルミノキサン組成物の形成で使用され得る更にもう一つのタイプのハロゲン化剤は、式R’SiX4−n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素であり、R’は独立に1から約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)の少なくとも1つのシランである。各R’は直鎖、分岐のシクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基であることができる。R’はアリール基であることができ;R’は、アリール基である場合には、6から約20個の炭素原子を有することができ;アリール基はフェニル基であることができる。各R’は直鎖もしくは分岐のヒドロカルビル基であることができ、R’は、直鎖もしくは分岐したヒドロカルビル基である場合には、1から約12個の炭素原子を有することができ;R’は1から約6個の炭素原子を有することができ;好適な直鎖もしくは分岐したヒドロカルビル基はメチル基であることができる。
【0026】
ハロゲン化剤として使用可能なシランは、限定ではないが、トリメチルフルオロシラン、ジメチルジフルオロシラン、ジエチルジフルオロシラン、ジイソプロピルジフルオロシラン、tert−ブチルトリフルオロシラン、ジシクロブチルジフルオロシラン、トリペンチルフルオロシラン、ジシクロヘキシルジフルオロシラン、トリヘプチルフルオロシラン、ジシクロオクチルジフルオロシラン、トリフェニルフルオロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルジメチルフルオロシラン、ジフェニルメチルフルオロシラン、フェニルメチルジフルオロシラン、フェニルジイソプロピルフルオロシラン、トリトリルフルオロシラン、ジトリルジフルオロシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリエチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジ−n−プロピルジクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、ジペンチルジクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ジシクロヘプチルジクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、オクチルメチルクロロシラン、ジメチルオクタデシルクロロシラン、クロロジメチル−tert−ヘキシルシラン、ベンジルトリクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルジイソプロピルクロロシラン、tert−ブチルジフェニルクロロシラン、トリトリルクロロシラン、ジトリルジクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジメチルジブロモシラン、メチルトリブロモシラン、トリエチルブロモシラン、ジイソプロピルジブロモシラン、n−プロピルトリブロモシラン、tert−ブチルトリブロモシラン、ジシクロペンチルジブロモシラン、トリヘキシルブロモシラン、シクロヘプチルトリブロモシラン、ジオクチルジブロモシラン、トリフェニルブロモシラン、ジフェニルジブロモシラン、フェニルトリブロモシラン、フェニルジメチルブロモシラン、トリルトリブロモシラン、フェニルイソプロピルジブロモシラン、ナフチルトリブロモシラン、フェニルクロロジフルオロシラン、フェニルジクロロフルオロシラン、フェニルジブロモクロロシラン、ジフェニルブロモフルオロシラン、フェニルメチルクロロフルオロシラン、ジフェニルクロロフルオロシラン、フェニルイソプロピルクロロフルオロシラン、ジトリルクロロフルオロシラン、トリルブロモジクロロシラン、およびジトリルブロモフルオロシランを含む。好適なシランは、トリフェニルフルオロシラン、トリフェニルクロロシラン、およびトリフェニルブロモシランである。例えば、トリメチルフルオロシランを含む、式(CHSiX4−n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素である)のシランも好適である。
【0027】
本発明のアルミノキサン組成物の形成で使用可能な更にもう一つのタイプのハロゲン化剤は、式R’SnX4−n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素であり、R’は独立に1から約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である
)のスズ化合物である。R’は直鎖、分岐のシクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基であることができる。R’はアリール基または直鎖もしくは分岐したヒドロカルビル基であることができる。R’は、アリール基である場合には、6から約20個の炭素原子を有することができ;アリール基はフェニル基であることができる。R’は、直鎖もしくは分岐したヒドロカルビル基である場合には、1から約12個の炭素原子を有することができ;R’は1から約6個の炭素原子を有することができ;好適な直鎖もしくは分岐したヒドロカルビル基はメチル基である。
【0028】
ハロゲン化剤として使用可能なスズ化合物は、トリメチルフルオロスタナン、ジエチルフルオロスタナン、ジ−n−プロピルジフルオロスタナン、トリ−n−ブチルフルオロスタナン、ジペンチルジフルオロスタナン、シクロヘキシルトリフルオロスタナン、ジヘプチルジフルオロスタナン、トリオクチルフルオロスタナン、ジドデシルジフルオロスタナン、ジクロロジメチルスタナン、トリクロロメチルスタナン、トリエチルクロロスタナン、ジイソプロピルジクロロスタナン、ジシクロブチルジクロロスタナン、シクロペンチルトリクロロスタナン、トリヘキシルクロロスタナン、ジシクロヘプチルクロロスタナン、オクチルトリクロロスタナン、ジノニルジクロロスタナン、デシルトリクロロスタナン、ジメチルジブロモスタナン、ブロモトリエチルスタナン、トリブロモエチルスタナン、シクロプロピルトリブロモスタナン、ジ−n−ブチルジブロモスタナン、ペンチルトリブロモスタナン、ジヘキシルジブロモスタナン、トリヘプチルブロモスタナン、ジシクロオクチルジブロモスタナン、ジメチルクロロブロモスタナン、ジエチルフルオロブロモスタナン、イソプロピルフルオロジクロロスタナン、フルオロトリフェニルスタナン、ジフルオロジフェニルスタナン、トリフルオロフェニルスタナン、フルオロトリトリルスタナン、クロロトリフェニルスタナン、ジクロロジフェニルスタナン、トリクロロフェニルスタナン、ジクロロジトリルスタナン、ブロモトリフェニルスタナン、ジブロモジフェニルスタナン、トリブロモフェニルスタナン、トリルトリブロモスタナン、フェニルジクロロブロモスタナン、ジフェニルフルオロクロロスタナン、ジフェニルフルオロブロモスタナンなどを含む。好適なスズ化合物は、トリフェニルフルオロスタナン、トリフェニルクロロスタナン、ジクロロジメチルスタナン、およびトリフェニルブロモスタナンである。式(CHSnX4−n(ここで、n=1−3であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素である)のスズ化合物も好適である。
【0029】
本発明のアルミノキサン組成物の形成で使用可能ななおもう一つのタイプのハロゲン化剤は、式R”AlX3−m(ここで、m=1または2であり、Xは独立にフッ素、塩素または臭素であり、R”は独立に1から約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)のヒドロカルビルアルミニウムハライドである。R”は直鎖、分岐のシクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基であることができる。R”は直鎖であることができ;直鎖は1から約10個の炭素原子を有することができる。
【0030】
ハロゲン化剤として使用可能なヒドロカルビルアルミニウムハライドは、限定ではないが、メチルアルミニウムジフルオリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、エチルアルミニウムジフルオリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、イソプロピルアルミニウムジフルオリド、ジイソプロピルアルミニウムフルオリド、n−ブチルアルミニウムジフルオリド、イソブチルアルミニウムジフルオリド、ジイソブチルアルミニウムフルオリド、ジペンチルアルミニウムフルオリド、シクロヘキシルアルミニウムジフルオリド、ジヘプチルアルミニウムフルオリド、ジシクロオクチルアルミニウムフルオリド、ノニルアルミニウムジフルオリド、デシルアルミニウムジフルオリド、ジウンデシルアルミニウムフルオリド、フェニルアルミニウムジフルオリド、ジフェニルアルミニウムフルオリド、トリルアルミニウムジフルオリド、ジトリルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウムク
ロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、ペンチルアルミニウムジクロリド、ジシクロヘキシルアルミニウムクロリド、ヘプチルアルミニウムジクロリド、シクロオクチルアルミニウムクロリド、ジノニルアルミニウムクロリド、ジデシルアルミニウムクロリド、ウンデシルアルミニウムクロリド、フェニルアルミニウムジクロリド、ジフェニルアルミニウムクロリド、トリルアルミニウムジクロリド、ジトリルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、ジメチルアルミニウムブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、ジエチルアルミニウムブロミド、イソプロピルアルミニウムジブロミド、イソブチルアルミニウムジブロミド、ジイソブチルアルミニウムブロミド、ペンチルアルミニウムブロミド、シクロヘキシルアルミニウムブロミド、ヘプチルアルミニウムジブロミド、シクロオクチルアルミニウムブロミド、ジノニルアルミニウムブロミド、デシルアルミニウムジブロミド、ウンデシルアルミニウムブロミド、フェニルアルミニウムジブロミド、ジフェニルアルミニウムブロミド、トリルアルミニウムジブロミド、およびジトリルアルミニウムブロミドを含む。
【0031】
好適なヒドロカルビルアルミニウムハライドは、メチルアルミニウムジフルオリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、およびジメチルアルミニウムブロミドである。メチルアルミニウムジフルオリドとジメチルアルミニウムフルオリドも好適である。
【0032】
最後に、上記にほのめかされているように、2つ以上のハロゲン化剤の混合物が使用され得る。これは、同一のタイプ内の異なるハロゲン化剤の混合物、異なるタイプのハロゲン化剤の混合物、および同一のタイプ内の少なくとも2つの異なるハロゲン化剤と異なるタイプの少なくとも1つのハロゲン化剤との混合物を含む。ハロゲン化剤中のハロゲン元素が同一であるか異なる、混合物が使用され得る。所望の生成物アルミノキサン源とこれらの性質(例えば、ハロゲン化度、溶解性、および安定性)に依って、ハロゲン化剤の混合物を使用することが有利であり得る。
【0033】
(C)ルイス塩基
ルイス塩基(C)は、NR(ここで、各Rは独立に水素または約24個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基である)などの単座供与体またはオクタメチルトリシロキサン(OMTS、MeSiOSi(Me)OSiMe)などの多座供与体を含んでなることができる。(i)単座エーテル(例えば、RO、テトラヒドロフラン(THF)、RSiOSiR)および多座エーテル(例えば、OMTS、EtOCHCHOEt)などのO供与体を含むルイス塩基、(ii)単座アミン(例えば、NR、CN、CN、(RSi)N)、および多座アミン(例えば、EtNCHCHNEt)などのN供与体を含むルイス塩基、および(iii)PもしくはS単座および多座供与体を含むルイス塩基(例えば、NR、PR、およびSR)などを含む、広範なルイス塩基が本発明で使用可能である。
【0034】
ルイス塩基(C)は、シロキサン、エーテルなどの酸素供与体、または一級アミンNH、二級アミンNHRまたは三級アミンNR(ここで、各Rは約20個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基または水素から各起源において独立に選択される)などのアミン供与体、またはこれらの任意の混合物を含んでなることができ;ならびに1つ以上のRを有するアミンに対しては、各Rは同一であるか、もしくは他方のRと異なることができる。例えば、ルイス塩基(C)は、限定ではないが、NMePh、NMe(CHPh)、NEtPh、NEt(CHPh)を含む種々のアミンを含んでなることができるか、もしくはルイス塩基(C)は、NMe(C2n+1)(C2m+1)、NMe(C2n+1)、NEt(C2n+1)(C2m+1)またはNEt(C2n+1)(ここで、nおよびmは約3から約20の整数から独立に選択される)などの1つ以上の長鎖アミンを含んでなることができる。式N
Me(C2n+1)(C2m+1)の長鎖アミンの例は、限定ではないが、NMe(C1633、NMe(C1735、NMe(C1837、NMe(C1633)(C1735)、NMe(C1633)(C1837)、NMe(C1735)(C1837)などの化合物を含む。例えば、NMe(C1633は、通常、いくつかのアミンの混合物を含む商用の長鎖アミン組成物中の主要な種である。ルイス塩基(C)は、NMePh、NMe(CHPh)、NEtPh、NEt(CHPh)、NMe(C1633を含んでなることができる。ルイス塩基(C)はホスフィンも含んでなることができる。
【0035】
ルイス塩基(C)は、少なくとも1つの易動性ハロゲン原子を有する少なくとも1つのシロキサン、例えばポリ[メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン)を含んでなることができる。
【0036】
ルイス塩基(C)は、単座ルイス塩基RX(ここで、R=ヒドロカルビル基またはシリル基であり;X=ハロゲン、O、NまたはPであり、n=1、2または3である)を含んでなることができる。非限定的な例は、CF(フルオロベンゼン)、CCl(クロロベンゼン)、EtO(ジエチルエーテル)、BuOMe(t−ブチルメチルエーテル)、PrO(ジイソプロピルエーテル)、(SiMeO(ヘキサメチルジシロキサン)、CO(テトラヒドロフラン)、PhNMe(ジメチルアニリン)、EtN(トリエチルアミン)、PhCHNMe(ジメチルベンゾアミン)、CN(ピリジン)、および(CHNMe(N−メチルピペリジン)を含む。
【0037】
ルイス塩基(C)は二座ルイス塩基X
【0038】
【化1】
【0039】
(式中、X=ハロゲン、n=0であり;X=OまたはSである場合には、n=1であり;X=NまたはPである場合には、n=2であり;ならびにbrdg=有機架橋L基フラグメント、例えば、−CHCH−または−SiMeである)
を含んでなることができる。非限定的な例は、1,2−F(1,2−ジフルオロベンゼン)、1,2−Cl(1,2−ジクロロベンゼン)、EtOCHCHOEt(エチレングリコールジエチルエーテル)、(MeSiO)SiMe(OMTS、オクタメチルトリシロキサン)、MeN(CHCH)NMe(TMEDA、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)、およびEtN(CHCH)NEt(N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン)を含む。
【0040】
ルイス塩基(C)はNMeR(ここで、RはC16−18長鎖アルキルである)を含んでなることができる。
【0041】
(D)遷移金属成分
遷移金属成分(D)は、オレフィン重合の潜在能力を有するいかなる遷移金属成分も含
んでなることができる。例えば、限定ではないが、遷移金属成分(D)は、1つ以上のメタロセン遷移金属成分を含んでなることができる。例えば、本発明を限定するのではないが、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アミド、もしくはヒドロカルビル遷移金属成分はすべて好適である。
【0042】
遷移金属成分(D)は触媒前駆体MLn−aを含んでなることができる。
【0043】
Mは、遷移金属がランタニドもしくはアクチニド系列の金属化合物を含む周期律表の3から10族である、いかなる遷移金属触媒化合物も表す。この明細書中で参照される周期律表は、Chemical & Engineering Newsの1985年2月4日号の27頁に出ているものである。好適な触媒化合物はd−およびf−ブロック金属化合物とも記述可能である。例えば、Moeller et al.,Chemistry,Second Edition,Academic Press,copyright 1984の225ページに出てくる周期律表を参照のこと。Mの金属構成成分は、Fe、Co、Ni、Pd、およびVを含んでなり、4−6族の金属(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびW)を含んでなり得る。
【0044】
このように、本発明で使用される遷移金属触媒化合物は、任意のチーグラー・ナッタ触媒化合物、任意のメタロセン、任意のシングルサイトの非メタロセン、拘束された構造の任意の化合物、任意の最新の遷移金属錯体、および例えばメタロセンの混合物およびチーグラー・ナッタオレフィン重合触媒化合物などの少なくとも2つの異なるタイプのこのような遷移金属化合物もしくは錯体の混合物を含む、好適に活性化された場合には有効な触媒化合物であると文献で報告されている、もしくは当業界で一般的に知られている、任意の他の遷移金属化合物もしくは錯体の1つ以上であることができる。
【0045】
Lは、チーグラー・ナッタタイプ触媒前駆体またはメタロセンタイプ触媒前駆体または非メタロセンのシングルサイトの触媒前駆体のいずれかに好適な配位子を有する基を表す。少なくとも1つのLは、シクロペンタジエニル骨格を有する基であるか、もしくは非シクロペンタジエニルであり得;ならびに複数のLは同一であるかもしくは異なり、相互に架橋され得;Xはハロゲン、1から約20個の炭素原子を有するアルコキシ、アリールオキシ、アミドもしくはヒドロカルビル基を表し;「a」は式0<a≦nを満足する数字を表し;ならびにnは遷移金属原子Mの原子価を表す)。
【0046】
遷移金属成分(D)のLにおいては、シクロペンタジエニル骨格を有する基は、例えば、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基またはシクロペンタジエニル骨格を有する多環基を含んでなることができる。置換シクロペンタジエニル基の例は、1から約20個の炭素原子を有する炭化水素基、1から約20個の炭素原子を有するハロゲン化炭化水素基、1から約20個の炭素原子を有するシリル基などを含む。本発明によるシリル基はSiMe3などを含むことができる。シクロペンタジエニル骨格を有する多環基の例は、インデニル基、フルオレニル基などを含む。少なくとも1つのヘテロ原子を有する基のヘテロ原子の例は、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子などを含む。
【0047】
本発明で使用可能な非メタロセンのd−ブロックもしくはf−ブロック金属化合物の例は、限定ではないが、チーグラー・ナッタタイプ触媒などのオレフィン重合に好適な遷移金属化合物を含む。通常、チーグラー・ナッタ触媒の遷移金属は、少なくとも2つのヒドロカルビル配位子を含んでなる。チーグラー・ナッタ触媒系の例は、米国特許出願番号2004/0102312で開示され、この明細書中ではつぎのように述べられている。代表的な在来のチーグラー・ナッタ遷移金属化合物は、限定ではないが、テトラベンジルジルコニウム、テトラキス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、オキソトリス(トリメチルシリルメチル)バナジウム、テトラベンジルハフニウム、テトラベンジルチタニウム、ビス(ヘキサメチルジシラジド)ジメチルチタニウム、トリス(トリメチルシリルメチル)ニオブジクロリド、トリス(トリメチルシリルメチル)タンタルジクロリド、およびこれらの組み合わせ物を含む。本発明で使用可能な他のチーグラー・ナッタタイプ系は、限定ではないが、ジアルキルアルミニウムアルコキシドもしくはトリアルキルアルミニウム化合物などのアルキル化剤の存在における遷移金属ハライド、オキシハライドまたはアルコキシハライドを含む。このチーグラー・ナッタタイプ系の例は、限定ではないが、チタニウムテトラクロリド(TiCl)、バナジウムテトラクロリド(VCl)、およびバナジウムオキシトリクロリド(VOCl)などのチタニウムおよびバナジウムのハライド、オキシハライドまたはアルコキシハライドと、アルコキシド部分が1から20個の炭素原子の、もしくは1から6個の炭素原子分岐もしくは非分岐のアルキル基を有する、チタニウムおよびバナジウムアルコキシドを含む。
【0048】
更にもう一つの局面においては、本発明で使用可能な有用なd−ブロックもしくはf−ブロック金属化合物は、限定ではないが、米国特許出願番号2004/0102312で開示され、上記で定義されているものなどの15族を含有する化合物を含む。15族を含有する化合物の例は、限定ではないが、いかなる程度であれオレフィン重合に対して活性である、4族のイミノ−フェノール錯体、4族のビス(アミド)錯体、および4族のピリジル−アミド錯体を含む。一つの局面においては、15族を含有する触媒成分は、式
β(α)γMX
により記述可能である。式中、
βおよびγは、各々少なくとも1つの14族から16族の原子を含む基であり;ならびにβ(存在する場合には)およびγは、少なくとも2つの原子が15族を含有する原子である、1から4族から16族原子によりMに結合する基であり;
特に、βおよびγは、14族および15族を含有する基(および基αにより結合されない非原子価の同等物)から選択される基であって、一つの局面においてはアルキル、アリール、アルキルアリール、およびヘテロ環炭化水素、および化学結合されたこれらの組み合わせ物であり;ならびに14族および15族を含有する基から選択され、更なる一つの局面においてはCからC10アルキル、CからC12アリール、CからC18アルキルアリール、およびCからC12ヘテロ環炭化水素、および化学結合されたこれらの組み合わせ物であり;ならびに更にもう一つの局面においてはCからC10アルキルアミン、CからC10アルコキシ、CからC20アルキルアリールアミン、CからC18アルキルアリールオキシ、およびCからC12窒素含有ヘテロ環状炭化水素、およびCからC12アルキル置換窒素含有ヘテロ環炭化水素、および化学結合されたこれらの組み合わせ物から選択され;ならびになお更なる局面においてはアニリニル、ピリジル、キノリル、ピロリル、ピリミジル、プリニル、イミダジル、インドリル、アニリニル、ピリジル、キノリル、ピロリル、ピリミジル、プリニル、イミダジル、インドリルから選択され、CからCアルキル置換基;アニリニル、ピリジル、キノリル、ピロリル、ピリミジル、プリニル、イミダジル、インドリル、アミン置換アニリニル、ピリジル、キノリル、ピロリル、ピリミジル、プリニル、イミダジル、およびインドリルから選択されるCからCアルキルアミン置換基;アニリニル、ピリジル、キノリル、ピロリル、ピリミジル、プリニル、イミダジル、およびインドリルから選択されるヒドロキシ置換基;メチル置換フェニルアミン、および化学結合されたこれらの組み合わせ物である。
αは、存在する場合には、βおよびγの各々に、もしくは2つのγ部分に化学結合を形成し、Mに結合する「γαγ」もしくは「γαβ」配位子を形成する連結(もしくは「架橋」)部分であることができ;αは、一つの局面においては14族から16族の原子によりMに結合可能な14族から16族の原子も含むことができ;特に、αは、もう一つの局面においてはアルキレン、アリーレン、アルケニレン、ヘテロ環アリーレン、アルキルアリーレン、ヘテロ原子含有アルキレン、ヘテロ原子含有アルケニレン、およびヘテロ環ヒドロカルボニレンから選択され;ならびになお更なる局面においてはCからC10アルキレン、CからC10アルケニレン、Cから12アリーレン、CからC10二価エー
テル、CからC12のO−もしくはN−含有アリーレン、CからC10アルキレンアミン、CからC12アリーレンアミン、およびこれらの置換誘導体から選択される二価の架橋基であることができ;
aは通常0または1であり;
bは通常0から2の整数であり;
gは1から2の整数であり、一つの局面においては、aは1であり、bは0であり、gは2であり;
Mは一つの局面においては3族から12族の原子から選択され;ならびに更なる局面においては3族から10族の原子から選択され;ならびに更にもう一つの局面においては3族から6族の原子から選択され;ならびになお更なる局面においてはNi、Cr、Ti、Zr、およびHfから選択され;ならびになお一つの他の局面においてはZrとHfから選択され;
各Xは、構造(V)中のAおよびBについて上記に定義した通りであり;ならびに
nは、一つの局面においては0から4の整数であり;もう一つの局面においては1から3の整数であり;更にもう一つの局面においては2から3の整数である。
【0049】
本明細書中で使用される時には、「化学結合されたこれらの組み合わせ物」は、隣接基(βおよびγ基)がこれらの間に化学結合を形成することができ;一つの局面においては、βおよびγ基がこれらの間に1つ以上の基αにより化学結合されているということを意味する。
【0050】
本明細書中で使用される時には、用語「アルキレンアミン」、「アリーレンアミン」は、2個の水素が欠如して、2つの隣接したγ基または隣接したβおよび基と化学結合の形成能のあるアルキルアミンとアリールアミン(それぞれ)を記述する。このように、アルキレンアミンの例は、限定ではないが、CHCHN(CH)CHCH−、および−CHCHN(H)CHCH−を含む。ヘテロ環ヒドロカルビレンまたはアリーレンアミンの例は、限定ではないが、−CN−(二価ピリジン)を含む。「アルキレン−アリールアミン」は、例えば−CHCH(CN)CHCH−などの基を含む。
【0051】
一般式β(α)γMXを有する化合物の例は、限定ではないが、次の化合物を含む。
1.WO99/02472で開示されているものなどの化合物を含む、
【0052】
【化2】
【0053】
(式中、Arの例は2−MeC、2,4,6−Me、2−i−PrCなどを含み;Mの例はFeまたはNiを含み;ならびにXの例はCl、BrまたはCからC12ヒドロカルビルを含む)。
2.米国特許第5,880,241号で開示されているものなどの化合物を含む、
【0054】
【化3】
【0055】
(式中、RおよびR(前出での使用)の例は、2,6−i−Pr、2,6−Me、および2,4,6−Meを含み;RおよびR(前出での使用)の例はメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびベンジルを含み;Mの例はPdおよびNiを含み;Xの例はCl、Br、およびMeなどのCからC12ヒドロカルビルを含む)。
【0056】
3.Nomura et al,Macromolecules,2005,印刷中(Abstract published by the American Chemical Society,Macromolecules,ASAP Article 10.1021/ma050629s,S0024−9297(05)00629−7;Web Release Date June 15,2005)で開示されているものなどの化合物を含む、
【0057】
【化4】
【0058】
(式中、Arの例は2,6−Me、および2,6−i−Prを含み;Arの例は2,6−Me、2,4,6−Me、2,6−i−Pr、および2,6−Phを含み;Mの例はVを含み;Xの例はCl、Br、およびCからC12ヒドロカルビルを含む)。
4.Waymouth et al.,Macromolecules,2005,38,2552−2558で開示されているものなどの化合物を含む、
【0059】
【化5】
【0060】
(式中、Mの例はZrまたはHfを含み;Xの例はCHなどのCからC12ヒドロカルビルを含み;R(前出での使用)の例はMe、Phまたはt−Buを含み、Dの例はNMe、OMeなどを含む)。
5.上記の化合物の任意の組み合わせ物。
【0061】
これらの化合物の各々において、Xがハライドまたはアルコキシドである場合には、これらの金属化合物は、通常、トリアルキルアルミニウムもしくはアルコキシアルミニウム
ジアルキル試剤などのアルキル化剤と共に使用されて、これらの化合物を対応するジアルキル種に変換する。
【0062】
置換シクロペンタジエニル基の例は、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−プロピルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、イソブチルシクロペンタジエニル基、sec−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルクロペンタジエニル基などを含む。
【0063】
シクロペンタジエニル基を有する多環基の例は、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などを含む。
【0064】
少なくとも1つのヘテロ原子を有する基の例は、メチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ベンジルアミノ基、メトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ピロリル基、チオメトキシ基などを含む。
【0065】
シクロペンタジエニル骨格を有する1つ以上の基、またはシクロペンタジエニル骨格と、少なくとも1個のヘテロ原子を有する1つ以上の基を有する1つ以上の基は、(i)エチレン、プロピレンなどのアルキレン基;(ii)イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基;または(iii)シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルシリルシリレン基などの置換シリレン基により架橋され得る。
【0066】
ジルコニウムを含む遷移金属成分(D)MLn−aの例は、Mがジルコニウムである場合、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル))ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムクロリド、シクロペンタジエニルジメチルアミノジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジクロリド、ジメチル(tert−ブチルアミノ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tertブチル−5−メチル−2−フェノキシ)ジルコニウムジクロリドなどを含む。
【0067】
更なる例示の遷移金属成分(D)MLn−aは、上記のジルコニウム成分中でジルコニウムをチタニウムまたはハフニウムで置き換えた成分を含む。
【0068】
本発明で有用なアルキル化触媒前駆体は、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジメチル;エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、およびエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチルである。アルキル化触媒前駆体は、アルキル化剤と触媒前駆体のハロゲン化種とを反応させることにより系内で生成可能である。例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルは、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)により処理され、次に活性化剤組成物(E)と合体可能である。
【0069】
本発明で使用可能な更なる非連結型および代表的なメタロセン化合物は、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメチル、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリベンジル、ジメチルシリルテトラメチル−シクロペンタジエニルtert−ブチルアミドチタニウムジメチル、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジメチル、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−ドデシルアミドハフニウムジヒドリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−ドデシルアミドハフニウムジメチルなどのモノ−シクロペンタジエニル化合物;ビス(1,3−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ペンタメチルシクロペンタジエニル−シクロペンタジエニル、ジルコニウムジメチル、(テトラメチル−シクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルなどの非架橋ビスシクロペンタジエニル化合物;ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチルおよびシラシクロブチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルなどの架橋ビス−シクロペンタジエニル化合物;ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジベンジル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチルベンズインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチルベンズインデニル)ジルコニウムジベンジルなどの架橋ビスインデニル化合物;およびフルオレニル配位子含有化合物、例えば、ジフェニルメチル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、および米国特許第5,017,714号および第5,324,500号、およびEP−A−0 591 756で挙げられ、述べられているものなどの更なるモノ−およびビス−シクロペンタジエニル化合物を含む。
【0070】
(E)活性化剤組成物
活性化剤組成物(E)は、アルミノキサン源(A)、ハロゲン源(B)、およびルイス塩基(C)を含んでなる。活性化剤組成物(E)は、任意の順序で合体される、アルミノキサン源(A)、ハロゲン源(B)、およびルイス塩基(C)から誘導可能である。活性化剤組成物(E)は、アルミノキサン源(A)をルイス塩基(C)と合体し、続いてハロゲン源(B)と合体することにより入手可能である。この出願においては、合体の順序を明示しない限り、具体的な合体の順序は意図されないか、もしくは暗示されない。
【0071】
活性化剤組成物(E)は、アルミノキサン源(A)をNR(ここで、各Rは独立に水素原子または約24個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基である)を含むルイス塩基(C)と合体して、第1の生成物を形成し、第1の生成物の少なくとも一部をアルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエンを含むハロゲン源(B)と合体する方法から誘導可能である。
【0072】
(F)オレフィン重合用触媒
活性化剤組成物(E)と遷移金属成分(D)は、各々独立に、しかし実質的には同時にモノマーに添加されて、重合を触媒することができる。活性化剤組成物(E)と遷移金属成分(D)は合体されて、生成物を形成することができ、生成物の少なくとも一部はモノマーに添加されて、重合を触媒することができる。Al原子基準での遷移金属原子(M)の遷移金属成分(D)に対する活性化剤組成物(E)の比は、1から10,000または10から1000または30から500であることができる。
【0073】
(G)重合
本発明においては、2から20個の炭素原子を有する任意のオレフィンまたはジオレフィンは、重合用モノマーとして使用可能である。これらの具体的な例は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ヘキサデセン−1、エイコセン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキサン、スチレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどを含むが、これらに限定されない。本発明においては、共重合は2つ以上のモノマーを同時に用いて実施可能である。コポリマーを構成するモノマーの具体的な例は、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン−1、エチレン/ヘキセン−1、エチレン/プロピレン/ブテン−1、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのエチレン/α−オレフィン、プロピレン/ブテン−1などを含むが、これらに限定されない。
【0074】
重合方法は限定されず、液相重合法および気相重合法の両方が使用可能である。液相重合に使用される溶媒の例は、ブタン、ペンタン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、およびメチレンクロリドなどの炭化水素ハライドを含む。溶媒として重合されるオレフィンの少なくとも一部を使用することも可能である。重合は、バッチ、セミバッチもしくは連続法で実施可能であり、反応条件の異なる2つ以上の段階で実施され得る重合温度は、約−50℃から約200℃、もしくは0℃から約100℃であることができる。重合圧力は、大気圧から約100kg/cm、もしくは大気圧から約50kg/cmであることができる。適切な重合時間は、所望のオレフィンポリマーと反応装置によって当業者に既知の手段で決定可能であり、通常、約1分から約20時間の範囲内にある。本発明においては、重合で得られるオレフィンポリマーの分子量の調整に水素などの連鎖移動剤が添加され得る。
【0075】
有機アルミニウム化合物は、水などの不純物を除去するのに重合時に添加可能である。この明細書中で有用な有機アルミニウム化合物は、少なくとも1つの現在既知の有機アルミニウム化合物、例えば有機アルミニウム化合物RAlY3−c(ここで、Rは1から約20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し;Yは水素原子および/またはハロゲン原子を表し;「c」は0から3の整数を表す)を含む、種々の有機アルミニウム化合物を含んでなることができる。Rの具体的な例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、n−ヘキシル基などを含む。Yのハロゲン原子の具体的な例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を含む。有機アルミニウム化合物RAlY3−cの具体的な例は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムクロリド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、n−プロピルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、n−ヘキシルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジクロリド、およびジメチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリドを含む。
【実施例】
【0076】
表1は次の実施例において参照される。
【0077】
【表1】
【0078】
表2は次の実施例において参照される。
【0079】
【表2】
【0080】
表2は、OMTS処理F−MAO(欄5および6を参照)が最高の活性を有すること;2L反応器中で2.15マイクロモルの標準装填量のZrに50等量という少ない量でもOMTS処理F−MAOを装填する(欄5および6)と、冷却系による反応温度の制御が困難であり、正確な活性結果が得られないことが認められたということを示す。比較的良好な結果を得るには、装填量を2.15から1.08マイクロモルまで削減しなければならなかった(欄4および5)。それでも、高OMTS含量のOMTS処理F−MAO(欄6)はなお制御しきれなかった。表2は、アミン処理F−MAO(欄7を参照)がAl:Zr=50:1のMAOよりもはるかに活性であるが、Al:Zr=400:10のMAOと同等(もしくはそれよりも若干活性)であったということも示す。
【0081】
しかしながら、最初に10モル%アミンにより、次に5モル%F基準でTFTにより処
理した後の変成MAO(欄8)は、Al:Zr=50のMAOになお同等であったが、Al:Zr=400で著しく低い活性を示した。
【0082】
次の実施例で使用されるMAOおよびF−MAO(部分フッ素化MAOまたはMAOのTFT(アルファ・アルファ・アルファ−トリフルオロトルエン)トルエン溶液による処理から誘導されるF−MAOは、すべてAlbemarle Corporationの商品であった。30%MAO(ICPによればAl=13重量%)と30%F−MAO(ICPによればAl=12重量%およびNMRによればAl原子に対してF=4モル%)を使用した。
【0083】
実施例1:Al原子に対して4モル%Fと2モル%OMTSを含有するOMTS変成F−MAOの作製−1
精製N雰囲気下のドライボックス中で、14.1gのF−MAO(65.8ミリモルAlおよび2.83ミリモルF)を磁気攪拌棒付きの20mLバイアル中に入れた。次に、OMTS0.31g(1.3ミリモル)を攪拌下でF−MAO溶液にゆっくりと添加した。二相液体が生成した。次に、この試料を78℃で合計3.5時間加熱した。二相液体は均質となった。標準の手順(実施例6で述べられる)を用いてエチレンの重合に対してこの試料を新鮮な状態で試験した。次に、これを6ケ月間室温(約20−25℃の範囲)でエージングし、ゲル含量について分析した。室温で18ケ月エージングした後、この試料をエチレン重合について再度試験し、ゲル含量について再分析した。ゲルデータと重合試験結果をそれぞれ表1の欄5と表2の欄5に掲げる。
【0084】
実施例2:Al原子に対して4モル%Fと1モル%OMTSを含有するOMTS変成F−MAOの作製−2
精製N雰囲気下のドライボックス中で、磁気攪拌棒付きの8オンス瓶中の約180gのF−MAO(Al=11.0%、Al原子に対してF=3.55モル%)を磁気攪拌プレート上に置いた。OMTS1.0g(4、2ミリモル)を攪拌下でF−MAO溶液にゆっくりと添加した。二相液体は生成しなかった。Al原子に対して0.9モル%のOMTS含量を評価するNMRによりこの試料を分析した。次に、これを6ケ月間室温(約20−25℃の範囲)でエージングし、ゲル含量について分析した。室温で18ケ月エージングした後、標準の重合手順(実施例6で述べられる)を用いて、この試料をエチレン重合について試験し、ゲル含量について再分析した。ゲル形成データと重合試験結果をそれぞれ表1の欄4と表2の欄4に掲げる。
【0085】
実施例3:Al原子に対して4モル%Fと8モル%OMTSを含有するOMTS変成F−MAOの作製−3
精製N雰囲気下のドライボックス中で28.1gのF−MAO(131ミリモルAlおよび5.6ミリモルF)を磁気攪拌棒付きの4オンス反応瓶中に入れた。次に、2.44gのOMTS(10.3ミリモル)を攪拌下でF−MAO溶液にゆっくりと添加した。二相液体が生成した。次に、この試料を6ケ月間室温(約20−25℃の範囲)でエージングし、ゲル含量について分析した。室温で18ケ月エージングした後、標準の重合手順(実施例6で述べられる)を用いて、この試料をエチレン重合について試験し、ゲル含量について再分析した。ゲル形成データと重合試験結果をそれぞれ表1の欄6と表2の欄6に掲げる。
【0086】
実施例4:Al原子に対して5モル%Fと6モル%アミンSを含有するOMTS変成F−MAOの作製−1
精製N雰囲気下のドライボックス中で、2.5gの若干ゲル化したF−MAO(Al=10.7%、Al原子に対してF=4.5モル%)を磁気攪拌棒付きの20mLバイアル中に入れた。次に、長鎖アミン(Akzo Nobel商品のArmeen、M2HT
、主構造NMeR(ここで、Rは16から18個の炭素を含有する長鎖アルキルである)のアミンの混合物、更なる精製無しでそのまま使用、定量的なNMR分析によればN=1.86ミリモル/g)0.3g(0.56ミリモル)を攪拌下にF−MAO溶液にゆっくりと添加した。この白濁した溶液は透明となった。標準の手順(実施例6で述べられる)を用いてエチレンの重合についてこの試料を試験した。次に、この試料を電気用テープによりシールし、ドライボックスから取り出し、45℃の油浴中に2ケ月間置いた。この試料はなお透明であり、通常のMAOゲル形成を示さなかった。次に、試料を加熱後廃棄した。ゲル形成データと重合試験結果をそれぞれ表1の欄7と表2の欄7に掲げる。
【0087】
実施例5:Al原子に対して5モル%Fと10モル%アミンSを含有するアミンおよびTFT変成F−MAOの作製−2
この実験は実施例4と異なる。初めに、MAOをアミンにより処理し、次にTFTにより処理した。精製N雰囲気下のドライボックス中で、31gのMAO(Al=13.5%、0.155モルAl)を磁気攪拌棒付きの4オンス反応瓶中に入れた。次に、長鎖アミン(Armeen M2HT)8.3g(15.4ミリモル)を攪拌下にMAO溶液にゆっくりと添加した。この溶液を30分間攪拌して、淡黄色溶液を得た。次に、10%TFTトルエン溶液3.78g(7.76ミリモルFを含有)をアミン処理MAO溶液にゆっくりと添加した。濃青色材料が生成した。次に、この濃青色溶液を75℃で15分間加熱した。青色は消滅し、淡黄色溶液を生じた。標準の手順(実施例6で述べられる)を用いてエチレンの重合についてこの試料を試験した。次に、この試料を6ケ月間室温(約20−25℃の範囲)でエージングし、ゲル含量について分析した。室温で18ケ月エージングした後、この試料をエチレン重合について再度試験し、ゲル含量について再分析した。ゲル形成データと重合試験結果をそれぞれ表1の欄8と表2の欄8に掲げる。
【0088】
実施例6:エチレン重合−標準重合手順
ドライボックス中でのエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル溶液の作製
7.0−13.0mgのジルコノセン化合物を20mLバイアルの中に秤取することにより、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル溶液をドライボックス中で作製した。乾燥トルエンを添加して、溶液を2.15マイクロモル/gの濃度とした。バイアルにキャップをかぶせ、振盪して、溶液を形成した。
【0089】
反応器の予備設定
反応器温度を所望の温度に設定した。各回50psiまで加圧し、次に0psiまで脱気して、エチレンによりNを反応器から3回掃気した。1mLの10%TIBA溶液と共に600mL溶媒ボンベから合計1200mLのイソヘキサンを反応器に添加した。反応器温度を攪拌機により低速度で平衡化した。
【0090】
活性触媒溶液の作製
5mLの乾燥した注射器の風袋を針無しでドライボックス中で秤りの上ではかった。所望の量の活性化剤溶液をAl:Zr=400:1または50:13基準で注射器の中に秤取した。1.00g(OMTS変成F−MAO活性化剤に0.5g)のジルコノセン溶液を活性化剤試料を入れた注射器の中に添加した。12インチの18ゲージの針を注射器に取り付け、クリンプトップバイアルでキャップし、予備接触溶液が出来上がった時間を記した。
【0091】
活性触媒溶液の反応器への添加
活性触媒溶液をドライボックスから取り出した。攪拌機を止め、圧力を脱気し、溶媒の温度を記した。インジェクターポートバルブを開き、クリンプトップバイアルを針の先端から取り外し、針軸全体をインジェクターポートの中に挿入した。活性触媒溶液を反応器の中に注入し、針を抜き出し、インジェクターポートを閉じ、攪拌機をスタートして約8
50rpmとし、次にエチレンバルブを急いで開いて、反応器をエチレンで加圧した。
【0092】
反応条件
運転時間は15または30分であり;温度、圧力、および攪拌機速度をそれぞれ70℃、50psi、および800−825rpmで制御した。
【0093】
反応停止
エチレンバルブを閉じ、攪拌機を停止することにより、重合反応を終了させた。
【0094】
ポリマー処理
メタノール中のスラリーを真空フラスコから濾過漏斗により濾過し、真空オーブン中で乾燥することにより、ポリマーを恒量まで乾燥した。
【0095】
本発明は、極めて高い活性を呈し、例えばある実施例はMAOよりも8倍の活性を有する点でMAOと比較して有利である。充分に活性な系を得るには過剰のMAO、例えば、400−1000:1のAl:Zr比が要求されるために、触媒系におけるMAOコストは高い。
【0096】
本発明を一つ以上の好ましい態様の形で述べたが、特許請求の範囲において説明される本発明の範囲から逸脱せずに他の改変が行われ得るということを理解すべきである。