特許第5775273号(P5775273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許5775273-ボトル 図000002
  • 特許5775273-ボトル 図000003
  • 特許5775273-ボトル 図000004
  • 特許5775273-ボトル 図000005
  • 特許5775273-ボトル 図000006
  • 特許5775273-ボトル 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775273
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   B65D1/02 221
   B65D1/02 250
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-184012(P2010-184012)
(22)【出願日】2010年8月19日
(65)【公開番号】特開2012-46187(P2012-46187A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2010-172832(P2010-172832)
(32)【優先日】2010年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】押野 忠吉
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆之
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/018835(WO,A1)
【文献】 特開2007−290736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のボトルであって、
その胴部には、該胴部を、口部側の上側胴部と底部側の下側胴部とに区画し、かつボトル軸方向に収縮変形可能にする周溝が全周にわたって延設され、
該周溝を画成する両側面のうちのいずれか一方の側面にのみ、当該周溝の底面側から径方向の外側に向けて延びる小溝が、周方向に間隔をあけて多数全周にわたって形成されていることを特徴とするボトル。
【請求項2】
請求項1記載のボトルであって、
前記上側胴部および下側胴部は、前記周溝を画成する側面に角部を介して各別に連なり、
前記小溝は、前記一方の側面から該一方の側面に連なる前記角部に至っていることを特徴とするボトル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボトルであって、
前記周溝を画成する両側面のうち、前記一方の側面は他方の側面よりも、ボトル軸に直交する水平面に対する傾斜角度が小さくなっていることを特徴とするボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂材料で形成されたボトルとして、従来から、例えば下記特許文献1に示されるような周溝を胴部に延設することによって、ボトル内が減圧したとき、あるいはボトル軸方向の圧縮荷重が加えられたときに、周溝を他の部分と比べて優先的にボトル軸方向に収縮変形させることで、胴部の不正変形や座屈を抑制した構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−507405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のボトルでは、例えば内圧が低下したり、あるいはボトル軸方向の圧縮荷重が加えられて、胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、胴部において、周溝より口部側に位置する上側胴部、および周溝より底部側に位置する下側胴部それぞれの軸線が、互いに位置ずれしたり傾いたりするおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、胴部において、周溝より口部側に位置する上側胴部、および周溝より底部側に位置する下側胴部それぞれの軸線が、互いに位置ずれしたり傾いたりするのを抑えることができるボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のボトルは、有底筒状のボトルであって、その胴部には、該胴部を、口部側の上側胴部と底部側の下側胴部とに区画し、かつボトル軸方向に収縮変形可能にする周溝が全周にわたって延設され、該周溝を画成する両側面のうちのいずれか一方の側面にのみ、当該周溝の底面側から径方向の外側に向けて延びる小溝が、周方向に間隔をあけて多数全周にわたって形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、前記一方の側面に多数の小溝が形成されているので、例えばボトル内が減圧し、あるいはボトル軸方向に圧縮荷重が加えられ、胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、各小溝の溝幅が拡縮することで該一方の側面を全周にわたって均等に伸縮させ易くすることが可能になる。
したがって、前述のように胴部がボトル軸方向に収縮変形して、上側胴部および下側胴部のうち、前記一方の側面に連なる一方側の胴部が、他方側の胴部に向けて変位したときに、該一方側の胴部がボトル軸に対して傾くのを抑制することが可能になり、外観不良の発生を防ぐことができる。
また、多数の小溝が形成されていることから、前記一方の側面に折れ皺のような塑性変形が生ずるのを抑制することもできる。
【0008】
ここで、前記上側胴部および下側胴部は、前記周溝を画成する側面に角部を介して各別に連なり、前記小溝は、前記一方の側面から該一方の側面に連なる前記角部に至っていてもよい。
【0009】
この場合、小溝が、前記一方の側面から該一方の側面に連なる角部に至っているので、前述のように胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、前記一方の側面のみならず、前記角部をも全周にわたって均等に伸縮させ易くすることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功されることとなる。
【0010】
また、前記周溝を画成する両側面のうち、前記一方の側面は他方の側面よりも、ボトル軸に直交する水平面に対する傾斜角度が小さくなってもよい。
【0011】
この場合、周溝を画成する両側面のうち、前記一方の側面が他方の側面よりも、ボトル軸に直交する水平面に対する傾斜角度が小さくなっているので、ボトル内が減圧することで胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、上側胴部および下側胴部のうち、前記一方の側面に連なる一方側の胴部が、他方側の胴部に向けて変位し易くなり、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0012】
なお、前記上側胴部および下側胴部は、前記周溝を画成する側面に角部を介して各別に連なり、これらの上側胴部および下側胴部のうち、前記一方の側面に連なる一方側の胴部における前記角部との連結部分の外径は、他方側の胴部における前記角部との連結部分の外径よりも大きくなってもよい。
【0013】
この場合、前記一方側の胴部における角部との連結部分の外径が、他方側の胴部における角部との連結部分の外径より大きくなっているので、例えばボトル内が減圧し、あるいはボトル軸方向に圧縮荷重が加えられ、周溝が潰れるほど胴部がボトル軸方向に収縮変形するときに、前記一方側の胴部が、他方側の胴部に覆い被さるように支持されることにより、該一方側の胴部がボトル軸に対して傾くのを確実に抑制することができる。
【0014】
また、前記一方側の胴部における前記角部との連結部分は、周方向の全周にわたって延設されるとともに径方向の外側に向けて膨出する環状膨出体であってもよい。
【0015】
この場合、前記一方側の胴部における角部との連結部分が、前記環状膨出体であるので、該連結部分の強度が高められることとなり、例えばボトル内が減圧し、あるいはボトル軸方向に圧縮荷重が加えられたときに、当該連結部分が変形するのを抑えることにより、胴部を、周溝の溝幅が狭くなるように変形させ易くすることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功されることとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、胴部において、周溝より口部側に位置する上側胴部、および周溝より底部側に位置する下側胴部それぞれの軸線が、互いに位置ずれしたり傾いたりするのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る一実施形態として示したボトルの側面図である。
図2図1に示すボトルの要部縦断面図である。
図3】本発明に係る他の実施形態として示したボトルの側面図である。
図4図3に示すボトルの要部縦断面図である。
図5】本発明に係るさらに他の実施形態として示したボトルの側面図である。
図6図5に示すボトルの要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。本実施形態に係るボトル1は、図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11〜14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この共通軸方向の一方側から他方側に向けてこの順に連設されている。なお、ボトル1は、例えばブロー成形等によりポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料で一体に形成されている。
【0019】
ここで本実施形態では、ボトル1の全ての部位11〜14の横断面形状が円形状となっており、前記共通軸はこの横断面がなす円形の中央部を通る直線となっている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、また、ボトル軸O方向に沿って口部11側を上側といい、底部14側を下側という。さらに、ボトル軸Oに直交する方向を径方向といい、ボトル軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0020】
図示の例では、口部11の外周面に雄ねじ部11aが形成されており、この雄ねじ部11aに図示されないキャップが着脱可能に螺着される。
口部11と肩部12との接続部分に、全周にわたって延びるネックリング15が径方向の外側に向けて突設されている。
肩部12は、下方から上方に向かうに従い漸次縮径している。肩部12には、縦溝12aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0021】
胴部13には、該胴部13を、上側の上側胴部17と下側の下側胴部23とに区画し、かつボトル軸O方向に収縮変形可能にする周溝16が全周にわたって延設されている。
本実施形態では、周溝16は、胴部13におけるボトル軸O方向のほぼ中央部に形成されている。また、胴部13は、例えば内圧が低下したとき、あるいはボトル軸O方向に圧縮荷重が加えられたときに、周溝16の溝幅が狭まることでボトル軸O方向に収縮変形する。
【0022】
上側胴部17には、周溝16より深さが浅くかつ幅が広い環状溝17aが、ボトル軸O方向に間隔をあけて複数全周にわたって延設されている。なお、ボトル軸O方向で隣り合う環状溝17a同士の間の間隔は、互いに同等となっている。また、複数の環状溝17aは互いに同形同大となっている。
ここで、周溝16および環状溝17aそれぞれの底面は、凹曲面状に形成されており、周溝16の底面における曲率半径は、環状溝17aの底面の曲率半径より小さくなっている。
【0023】
下側胴部23には、径方向の内方に向けて窪む減圧吸収パネル24が周方向に間隔をあけて複数形成され、それぞれの減圧吸収パネル24は、ボトル軸O方向の下側から上側に向かうに従い漸次、周方向の一方側から他方側に向けて延在するようにボトル軸O方向に対して傾斜している。
それぞれの減圧吸収パネル24は、胴部13の側面視で、前述のようなボトル軸O方向に対して傾斜する方向に長いほぼ長方形状を呈していて、周方向の大きさが、上方から下方に向かうに従い漸次狭くなっている。さらに図示の例では、各減圧吸収パネル24は、周溝16に下側から連通している。
また、下側胴部23において、周方向で隣り合う減圧吸収パネル24同士の間に位置する突部分23aは、胴部13の側面視で、前述のようなボトル軸O方向に対して傾斜する方向に長いほぼ三角形状を呈していて、周方向の大きさが、上方から下方に向かうに従い漸次広くなっている。
【0024】
ここで本実施形態では、上側胴部17および下側胴部23は、図2に示されるように、周溝16を画成する側面25、26に角部27、28を介して各別に連なっている。
各角部27、28はそれぞれ、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成されている。図示の例では、周溝16を画成する両側面25、26のうち、上側に位置して下側を向く上側面25と上側胴部17とを接続する上角部27の曲率半径が、下側に位置して上側を向く下側面26と下側胴部23とを接続する下角部28の曲率半径と同等になっている。
なお例えば、上角部27の曲率半径を下角部28の曲率半径より小さくする等して、上角部27および下角部28それぞれの曲率半径を互いに異ならせてもよい。
【0025】
周溝16の両側面25、26はそれぞれ、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次、ボトル軸O方向に互いに離間している。図示の例では、周溝16の両側面25、26が双方ともに、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次、ボトル軸O方向に互いに離間する方向に向けて延在している。
周溝16の下側面26は、上側面25より、ボトル軸Oに直交する水平面に対する傾斜角度が大きくなっている。例えば、上側面25の前記水平面に対する傾斜角度は10°以下、または5°以下(水平を含む)とされ、下側面26の前記水平面に対する傾斜角度は30°以下、または20°以上25°以下となっている。
【0026】
そして本実施形態では、周溝16の上側面25に、当該周溝16の底面側から径方向の外側に向けて延びる小溝29が、周方向に間隔をあけて多数全周にわたって形成されている。
図示の例では、小溝29は、上側面25から該上側面25に連なる上角部27に至っている。さらに本実施形態では、小溝29は、上側面25から上角部27を介して、上側胴部17のうち、環状溝17aが形成されている部分よりも下方に位置する下端部17bに至っている。
【0027】
小溝29のうち、上側胴部17の下端部17bに位置する部分は、図1に示されるように、上方から下方に向かうに従い漸次周方向の大きさが小さくなっており、上角部27および上側面25に位置する部分は、全長にわたって周方向の大きさが同等になっている。また、小溝29において、上側胴部17の下端部17bに位置する部分における下端の周方向の大きさは、上角部27および上側面25に位置する部分の周方向の大きさと同等になっている。なお、小溝29の溝幅は周溝16より狭く、小溝29の深さは環状溝17aより浅くなっている。
ここで、上側胴部17の下端部17bは、上側胴部17のうち、複数の環状溝17aが形成されている部分よりも外径が僅かに小さくなっている。また、上側胴部17の下端部17bの外径は、下側胴部23における前記突部分23aの外径と同等になっている。さらに、上角部27の下端から上側胴部17の下端部17bの上端にわたるボトル軸O方向の大きさは、環状溝17aの溝幅と同等になっている。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によるボトル1によれば、周溝16の上側面25に多数の小溝29が形成されているので、例えばボトル1内が減圧し、あるいはボトル軸O方向に圧縮荷重が加えられ、胴部13がボトル軸O方向に収縮変形する際に、各小溝29の溝幅が拡縮することで周溝16の上側面25を全周にわたって均等に伸縮させ易くすることが可能になる。
したがって、前述のように胴部13がボトル軸O方向に収縮変形して、周溝16の上側面25に連なる上側胴部17が、下側胴部23に向けて変位したときに、該上側胴部17がボトル軸Oに対して傾くのを抑制することが可能になり、外観不良の発生を防ぐことができる。
【0029】
また、多数の小溝29が形成されていることから、周溝16の上側面25に折れ皺のような塑性変形が生ずるのを抑制することもできる。
なお、小溝29の延びる方向は、前述のように胴部13がボトル軸O方向に収縮変形する際に、上側胴部17がボトル軸O方向に変位する態様に応じて、例えば、径方向に沿って平行であってもよいし、あるいは径方向および周方向の双方に交差する方向等であってもよく、適宜変更してもよい。さらに、小溝29は、周方向に等間隔をあけて多数配置してもよい。
【0030】
さらに本実施形態では、小溝29が、上側面25から該上側面25に連なる上角部27に至っているので、前述のように胴部13がボトル軸O方向に収縮変形して、上側胴部17が下側胴部23に向けて変位する際に、周溝16の上側面25のみならず、上角部27をも全周にわたって均等に伸縮させ易くすることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功されることとなる。
また、周溝16の上側面25が、下側面26よりも、ボトル軸Oに直交する水平面に対する傾斜角度が小さくなっているので、ボトル1内が減圧することで胴部13がボトル軸O方向に収縮変形する際に、上側胴部17が下側胴部23に向けて変位し易くなり、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0031】
さらに、下側胴部23に複数の減圧吸収パネル24が配設されているので、ボトル1の減圧吸収性能が高められ、ボトル1内の減圧時に、胴部13が不正変形するのを確実に抑えることができる。
また、減圧吸収パネル24が、周溝16に下側から連通しているので、ボトル1の減圧吸収性能をより一層高めることができる。
【0032】
次に、この発明の他の実施の形態について説明するが、前述した実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
このボトル2の上側胴部17には、図3に示されるように、周溝16より深さが浅い第1環状溝18、19、および第2環状溝20、21が、全周にわたって延設されている。
第1環状溝18、19は、第2環状溝20、21と比べて溝幅が広く、かつ深さが深くなっている。また、第2環状溝20、21は、上側胴部17の上部および下部に各別に形成され、上側胴部17においてこれらの第2環状溝20、21同士の間に位置する部分に第1環状溝18、19がボトル軸O方向に間隔をあけて形成されている。さらに、ボトル軸O方向で隣り合う第1環状溝18、19および第2環状溝20、21同士の間の間隔は、互いに同等となっている。
【0033】
ここで、周溝16、第1環状溝18、19および第2環状溝20、21それぞれの底面は、凹曲面状に形成されており、周溝16の底面における曲率半径は、第1環状溝18、19および第2環状溝20、21それぞれの底面の曲率半径より小さくなっている。また、第1環状溝18、19の底面における曲率半径は、第2環状溝20、21の底面における曲率半径より大きくなっている。
【0034】
さらに本実施形態では、小溝29が、図3および図4に示されるように、周溝16の上側面25にのみ形成されていて、上角部27に至っていない。
そして本実施形態では、上側胴部17における上角部27との連結部分、つまり上側胴部17の下端部17bの外径が、下側胴部23における下角部28との連結部分の外径よりも大きくなっている。
図示の例では、上側胴部17の下端部17bは、上側胴部17において最も外径が大きくなっている。さらに、上側胴部17の下端部17bは、胴部13全体のなかで最も外径が大きくなっている。なお、上側胴部17の下端部17bは、前記突部分23aの外径よりも大きくなっている。
また、上側胴部17の下端部17bは、周方向の全周にわたって延設されるとともに径方向の外側に向けて膨出する環状膨出体となっている。
【0035】
なお、上側胴部17の下端部17bは、上側胴部17において、その下部に形成された第2環状溝21よりも下方に位置している。また、下側胴部23における下角部28との連結部分のうち、少なくとも前記突部分23aの外径は、周溝16、第1環状溝18、19および第2環状溝20、21それぞれの底面における外径より大きくなっている。さらに、第1環状溝18、19および第2環状溝20、21の、上側胴部17において下端部17bより上方に位置する部分からの深さが、周溝16の、上側胴部17の下端部17bにおける径方向の外端からの深さよりも浅くなっている。なお、周溝16の、上側胴部17の下端部17bにおける径方向の外端からの深さは、下側胴部23の前記突部分23aからの深さの例えば1.2倍以上1.8倍以下、または約1.5倍となっている。
さらに、上角部27の曲率半径は下角部28の曲率半径より大きくなっている。なお、上角部27の曲率半径は、下角部28の曲率半径の例えば1.2倍以上1.8倍以下、または約1.5倍となっている。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によるボトル2によれば、上側胴部17の下端部17bの外径が、下側胴部23における下角部28との連結部分の外径よりも大きくなっているので、例えばボトル1内が減圧し、あるいはボトル軸O方向に圧縮荷重が加えられ、周溝16が潰れるほど胴部13がボトル軸O方向に収縮変形するときに、上側胴部17が下側胴部23に覆い被さるように支持されることにより、上側胴部17がボトル軸Oに対して傾くのを確実に抑制することができる。
【0037】
また、上側胴部17の下端部17bが前記環状膨出体となっているので、この上側胴部17の下端部17bの強度が高められることとなり、例えばボトル1内が減圧し、あるいはボトル軸O方向に圧縮荷重が加えられたときに、この上側胴部17の下端部17bが変形するのを抑えることにより、胴部13を、周溝16の溝幅が狭くなるように変形させ易くすることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功されることとなる。
【0038】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
例えば前記実施形態では、下側胴部23に減圧吸収パネル24を形成したが、減圧吸収パネル24を形成しなくてもよい。
また、減圧吸収パネル24は、前記実施形態に限らず例えば、ボトル軸O方向に沿って延びる長方形状に形成する等、適宜変更してもよい。
さらに、上側胴部17に、環状溝17a、第1環状溝18、19および第2環状溝20、21を形成しなくてもよい。
【0040】
また、図5および図6に示されるボトル3のように、周溝16の上側面25に小溝29を形成しなくてもよい。
さらに、小溝29は、周溝16の下側面26に形成してもよい。
また、周溝16、環状溝17a、第1環状溝18、19および第2環状溝20、21それぞれの底面は、ボトル軸O方向に直線状に延在してもよい。
さらに、小溝29の形態は前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
例えば、図1および図2に示すボトル1において、小溝29のうち、上側胴部17の下端部17bに位置する部分は、上方から下方に向かうに従い漸次周方向の大きさを大きくし、上角部27および上側面25に位置する部分は、全長にわたって周方向の大きさを同等にしてもよい。この構成において、小溝29のうち、上側胴部17の下端部17bに位置する部分における下端の周方向の大きさは、上角部27および上側面25に位置する部分の周方向の大きさと同等にしてもよい。
さらにまた、小溝29のうち、上角部27および上側面25に位置する部分の周方向の大きさを、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次大きくしてもよいし、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次大きくしてもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
胴部がボトル軸方向に収縮変形する際に、胴部において、周溝より口部側に位置する上側胴部、および周溝より底部側に位置する下側胴部それぞれの軸線が、互いに位置ずれしたり傾いたりするのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0043】
1、2、3 ボトル
11 口部
13 胴部
14 底部
16 周溝
17 上側胴部
23 下側胴部
25 上側面(一方の側面)
26 下側面(他方の側面)
27 上角部(角部)
28 下角部(角部)
29 小溝
O ボトル軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6