特許第5775276号(P5775276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホーユー株式会社の特許一覧

特許5775276ポンプフォーマー及びポンプフォーマー容器
<>
  • 特許5775276-ポンプフォーマー及びポンプフォーマー容器 図000003
  • 特許5775276-ポンプフォーマー及びポンプフォーマー容器 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775276
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ポンプフォーマー及びポンプフォーマー容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20150820BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20150820BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20150820BHJP
   B05B 11/00 20060101ALN20150820BHJP
   A61K 8/19 20060101ALN20150820BHJP
   A61K 8/22 20060101ALN20150820BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   B65D47/34 D
   B65D83/00 G
   B05B1/02 101
   !B05B11/00 101B
   !A61K8/19
   !A61K8/22
   !A61Q5/00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-192489(P2010-192489)
(22)【出願日】2010年8月30日
(65)【公開番号】特開2012-45525(P2012-45525A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年7月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川原 翔
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】藤城 奈美子
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−032346(JP,U)
【文献】 特開2008−056301(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/136433(WO,A1)
【文献】 特開2005−206158(JP,A)
【文献】 実開平03−100186(JP,U)
【文献】 特開昭56−065655(JP,A)
【文献】 特開2003−261430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/76
B05B 1/02
B05B 11/00−11/06
A61K 8/19
A61K 8/22
A61Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数剤混合式の毛髪化粧料である酸化染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤を収容するための収容容器の上部に装着可能に構成され、前記収容容器に装着された状態で行われる吐出操作に伴い、前記収容容器に収容された毛髪化粧料をポンプで吸引するとともに空気を混入させて泡状にし、横向きに延びるノズルの先端面に形成された吐出口から吐出するポンプフォーマーであって、
泡状にした毛髪化粧料を前記吐出口へ導く内部流路として、前記ポンプの上方へ延びる中継流路と、前記ノズルの内部において前記中継流路と前記吐出口とを連通するノズル流路とが形成されており、
前記ノズル流路の断面積が、前記中継流路の断面積よりも大きく形成され、
前記ノズルは、先端部が下方へ曲がった形状であり、
前記毛髪化粧料は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のうち少なくとも一方と、カチオン性界面活性剤とを含有し、かつ、アンモニア、アンモニウム塩又は過酸化水素を含有するものであること
を特徴とするポンプフォーマー。
【請求項2】
前記ノズル流路の断面積が、前記中継流路の断面積の1.2〜3.0倍に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載のポンプフォーマー。
【請求項3】
前記毛髪化粧料は、液体状態での粘度が1〜200mPa・sの範囲内のものであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポンプフォーマー。
【請求項4】
前記ノズル流路は、当該流路における下側部分の流路長が上側部分の流路長よりも短く形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のポンプフォーマー。
【請求項5】
前記ノズル流路は、当該流路の底面が平らに形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のポンプフォーマー。
【請求項6】
前記ノズルの先端面は、鉛直面に対して10〜40°の角度の範囲内で下方を向いており、
前記ノズル流路の断面積が60〜100mm2の範囲内に形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のポンプフォーマー。
【請求項7】
複数剤混合式の毛髪化粧料である酸化染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤を収容するための収容容器と、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のポンプフォーマーと、
を備えることを特徴とするポンプフォーマー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容容器に収容された内容液を泡状にして吐出するポンプフォーマー及びこうしたポンプフォーマーを備えるポンプフォーマー容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収容容器の上部に装着され、収容容器に収容された内容液をポンプで吸引するとともに泡状にして外部へ吐出するポンプフォーマーが知られている(特許文献1参照)。この種のポンプフォーマーでは、ヘッド部を下方へ押し込む吐出操作に伴い、収容容器に収容された内容液がポンプで吸引され、空気が混入されて泡状にされる。そして、泡状にされた内容液は、ポンプの上方へ延びるように形成された中継流路から、横向きに延びるノズルの内部に形成されたノズル流路へ導かれ、ノズルの先端面に形成された吐出口から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−307478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、酸化染毛剤や毛髪脱色・脱染剤といった複数剤混合式の毛髪化粧料をポンプフォーマーで吐出しようとした場合、複数剤をあらかじめ十分に混合した状態で収容容器に収容しておくことが好ましい。しかしながら、このような事前の混合作業により毛髪化粧料が収容容器内で泡立った状態になると、ポンプでの吸引を良好に行うことができなくなってしまう。このため、毛髪化粧料が泡立たないように混合作業を慎重に行う必要があり、収容容器内での混合状態が不十分となることが考えられる。
【0005】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、複数剤混合式の毛髪化粧料の混合性を向上させることのできるポンプフォーマー及びポンプフォーマー容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のポンプフォーマーは、複数剤混合式の毛髪化粧料(酸化染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤)を収容するための収容容器の上部に装着可能に構成され、収容容器に装着された状態で行われる吐出操作に伴い、収容容器に収容された毛髪化粧料をポンプで吸引するとともに空気を混入させて泡状にし、横向きに延びるノズルの先端面に形成された吐出口から吐出するものである。
【0007】
そして、このポンプフォーマーには、泡状にした毛髪化粧料を吐出口へ導く内部流路として、ポンプの上方へ延びる中継流路と、ノズルの内部において中継流路と吐出口とを連通するノズル流路とが形成されており、ノズル流路の断面積が、中継流路の断面積よりも大きく形成されている。
【0008】
このような構造のポンプフォーマーによれば、ノズル流路の断面積が中継流路の断面積よりも大きく形成されていることから、ノズル流路での毛髪化粧料の流速が抑えられる。このため、ノズル流路の壁面に泡状の毛髪化粧料が付着しやすくなり、付着した毛髪化粧料が後続の毛髪化粧料と接触することで混合が促進される。したがって、複数剤混合式の毛髪化粧料の混合性を向上させることができる。
【0009】
また、例えば、毛髪化粧料が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のうち少なくとも一方と、カチオン性界面活性剤とを含有するものである場合、泡状にした毛髪化粧料は、泡膜が強くなり破泡しにくいものとなる。このため、ノズル流路での毛髪化粧料の流速が速いと、小さな泡が飛び散りやすくなり、飛び散った泡は破泡しにくいため、浮遊した泡が周囲(壁や皮膚など)に付着して汚してしまうことが考えられる。この点、本発明のポンプフォーマーによれば、ノズル流路での毛髪化粧料の流速が抑えられるため、泡の飛び散りを生じにくくすることができる。また、吐出口に膜が張ると、その膜がシャボン玉のように気泡となって飛び散りやすくなるが、本発明のポンプフォーマーによれば、ノズル流路の断面積が大きく形成されることに伴い吐出口も大きく形成されるため、吐出口に膜が張りにくくすることができる。
【0010】
特に、ノズル流路の断面積が、中継流路の断面積の1.2〜3.0倍に形成されていれば、前述した効果が顕著となる。
一方、例えば、毛髪化粧料が、アンモニア、アンモニウム塩又は過酸化水素を含有するものである場合には、皮膚に付着することによる刺激が強くなる。この点、本発明のポンプフォーマーによれば、ノズル流路での毛髪化粧料の流速が抑えられることにより、吐出操作の際に吐出口から吐出される毛髪化粧料の勢いが抑えられるため、使用者の意に反した皮膚部分に毛髪化粧料が付着してしまうことを生じにくくすることができる。
【0011】
また、例えば、毛髪化粧料が、液体状態での粘度が1〜200mPa・sの範囲内のものである場合、毛髪化粧料が中継流路内やノズル流路内で液化してしまうと、液化した毛髪化粧料の粘度が低いため、次の吐出操作で吐出口から勢いよく吐出されてしまい、周囲を汚してしまうことが考えられる。この点、本発明のポンプフォーマーによれば、ノズル流路での毛髪化粧料の流速が抑えられるため、中継流路内やノズル流路内で液化した毛髪化粧料が吐出口から吐出される際の勢いを抑えることができ、周囲を汚してしまうことを生じにくくすることができる。
【0012】
また、例えば、ノズル流路は、当該流路における下側部分の流路長が上側部分の流路長よりも短く形成されていてもよい。このようなポンプフォーマーによれば、ノズル流路の上側部分と下側部分とで吐出口から吐出されるタイミングがずれることにより、異なる部分と近接しやすくなるため、混合性を一層向上させることができる。
【0013】
また、例えば、ノズル流路は、当該流路の底面が平らに形成されていてもよい。このようなポンプフォーマーによれば、ノズル流路内に残留した毛髪化粧料が吐出口から垂れ落ちにくくすることができる。すなわち、例えばノズル流路が円形流路の場合、ノズル流路内に残留した毛髪化粧料が底面中央部に集中するが、本発明のように流路の底面が平らに形成されていれば底面中央部に集中することなく分散されるため、毛髪化粧料の許容量を高くすることができる。なお、ここでいう「平ら」とは、上記効果が得られる範囲であればよく、厳密な意味での平面に限定されるものではない。すなわち、円形の流路は除外される一方、概略長方形の流路であって、その底面が曲率半径の大きい曲面であるような形状は含まれる。
【0014】
また、例えば、ノズルの先端面は、鉛直面に対して10〜40°の角度の範囲内で下方を向いており、ノズル流路の断面積が60〜100mm2の範囲内に形成されていてもよい。このようなポンプフォーマーによれば、ノズルの先端面が過剰に下方を向いていないため、毛髪化粧料が自重で垂れ落ちにくく、しかもノズル流路の断面積が大きく形成されているため、毛髪化粧料が安定して保持されやすい。したがって、吐出した毛髪化粧料の泡をノズルの先端から切り離したときなどに、毛髪化粧料が吐出口から垂れ落ちにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のポンプフォーマー容器の外観形状を表す側面図である。
図2】(a)はヘッド部単体の側面視での断面図であり、(b)はヘッド部単体を下方から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.全体構成]
図1は、実施形態のポンプフォーマー容器の外観形状を表す側面図である。
【0017】
このポンプフォーマー容器は、二剤混合式の毛髪化粧料(本実施形態では酸化染毛剤)を収容するための収容容器10と、収容容器10の上部に装着され、収容容器10から吸引した毛髪化粧料を泡状にして吐出するポンプフォーマー20とを備えている。なお、このポンプフォーマー容器を構成する収容容器10及びポンプフォーマー20は、例えば、毛髪化粧料(第1剤及び第2剤)とセットの商品として流通することが想定される。
【0018】
収容容器10は、樹脂材料からなる有底円筒状の容器であり、その上端部に形成された口部11の外周面には、ポンプフォーマー20を装着するための雄ねじ部(図面上はポンプフォーマー20に覆われて見えない。)が形成されている。
【0019】
ポンプフォーマー20は、収容容器10の口部11に装着されるキャップ部21と、収容容器10に収容された毛髪化粧料を吸引チューブ22から上方へ吸引するためのポンプ23と、キャップ部21に対して上下に往復動可能に設けられたヘッド部30とを備えている。
【0020】
キャップ部21は、収容容器10の口部11の外周面に形成された雄ねじ部と螺合する図示しない雌ねじ部が内周面に形成されており、ポンプフォーマー20は、このキャップ部21によって収容容器10の上部に装着可能に構成されている。
【0021】
ポンプ23は、キャップ部21によって収容容器10内における上部位置に支持されており、ヘッド部30の上面31を下方へ押し込む吐出操作に伴い、収容容器10に収容された毛髪化粧料を吸引チューブ22から上方へ吸引するとともに空気を混入させて泡状にする。なお、このような機能は周知の構造により実現することが可能である。
【0022】
[2.ヘッド部30の構造]
次に、ヘッド部30の構造について詳細に説明する。
ヘッド部30は、キャップ部21の上面から突出する円筒状のガイドステム24の上方において、このガイドステム24にガイドされて上下に往復動可能に設けられ、図示しないばねによって上方に付勢されている。このヘッド部30の上端部には、横向きに延びるノズル32が設けられており、このノズル32の先端面には、泡状にされた毛髪化粧料を吐出する吐出口33が形成されている。
【0023】
図2(a)はヘッド部30単体の側面視での断面図であり、図2(b)はヘッド部30単体を下方から見た底面図である。
図2(a)に示すように、ヘッド部30は、ガイドステム24(図1参照)を外周から覆うように下方に突出した円筒状のカバー部34と、ガイドステム24の内側に摺動可能に挿入され、吐出操作による外力をポンプ23に伝達する円筒状の軸部35とを備えている。そして、ヘッド部30には、泡状にされた毛髪化粧料を吐出口33へ導く内部流路として、軸部35の内部においてポンプ23の上方へ延びる中継流路36と、ノズル32の内部において中継流路36と吐出口33とを連通するノズル流路37とが形成されている。なお、軸部35の内部には、泡を均一化するための複数枚(本実施形態では2枚)のメッシュが挿入されている。
【0024】
本実施形態のポンプフォーマー容器は、ノズル流路37の断面積が、中継流路36の断面積よりも大きく形成されている点に特徴がある。すなわち、ノズル流路37の断面積が大きく形成されていることにより、ノズル流路37での毛髪化粧料の流速が抑えられ、これにより後述する効果が得られる。ここで、ノズル流路37での毛髪化粧料の流速を抑えつつ、最低限の吐出の勢いを確保するためには、ノズル流路37の断面積を60〜100mm2の範囲内にすることが好ましく、本実施形態では69mm2に設計されている。特に、後述する効果が顕著に得られるようにするには、ノズル流路37の断面積が、中継流路36の断面積の1.2〜3.0倍に形成されていることが好ましい。本実施形態では、中継流路36の断面積が46mm2に設計されており、ノズル流路37の断面積がその1.5倍となっている。
【0025】
また、図2(b)に示すように、中継流路36の断面が円形であるのに対し、ノズル流路37の断面は概略長方形であり、ノズル流路37の底面は平らに形成されている。なお、ここでいう平らとは、厳密な意味での平面ではなく、同一断面積の円形流路に比べてはるかに曲率半径の大きい(本実施形態では曲率半径が20mmの)曲面である。
【0026】
また、ノズル32は、吐出口33から吐出された泡状の毛髪化粧料を手や塗布具(ブラシやコーム等)の上に載せやすくするために先端部が下方へ曲がった形状となっており、先端面が下方を向いている。このため、ノズル流路37における下側部分37bの流路長が上側部分37aの流路長よりも短くなっている。ここで、ノズル流路37内の毛髪化粧料を自重で垂れ落ちにくくするためには、ノズル32の先端面の鉛直面に対する角度θを小さく(例えば10〜40°の範囲内に)することが好ましく、本実施形態では22°に設計されている。
【0027】
[3.毛髪化粧料]
次に、毛髪化粧料について説明する。
本実施形態のポンプフォーマー容器で吐出する毛髪化粧料(酸化染毛剤)は、表1に示す組成の第1剤と第2剤とを質量比1:1の割合で混合することにより生成される。なお、表1において第1剤及び第2剤それぞれの成分の含有量を示す数値は、第1剤及び第2剤それぞれでの質量%単位の含有量である。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示すように、第1剤は、カチオン性界面活性剤(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム及び塩化ステアリルトリメチルアンモニウム)と、非イオン性界面活性剤(POE(21)ラウリルエーテル及びアルキルグルコシド)とを含有する。一方、第2剤は、アニオン性界面活性剤(POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)と、非イオン性界面活性剤(POE(21)ラウリルエーテル)とを含有する。
【0030】
また、第1剤は強アンモニア水を含有し、第2剤は過酸化水素水を含有しており、皮膚に付着することによる刺激が強いものである。
一方、毛髪化粧料は、液体状態での粘度が1〜200mPa・sの範囲内のものであることが好ましく、本実施形態では25mPa・sのものが用いられている。なお、毛髪化粧料の粘度は、例えばB型粘度計を用い、25℃及び1分間の測定条件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばBL型粘度計VISCOMETER(東機産業株式会社製)を挙げることができる。使用するロータ及び回転速度は、測定機器の測定可能な粘度範囲に従い適宜選択される。例えば、粘度範囲が50mPa・s以下の場合、BLアダプタを用い、12rpm/minの条件で求めることができる。また、粘度範囲が50〜100mPa・sの場合、1号ロータを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。また、粘度範囲が100〜500mPa・sの場合、2号ロータを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。
【0031】
[4.使用方法]
次に、本実施形態のポンプフォーマー容器の使用方法について説明する。
ポンプフォーマー容器を用いて毛髪化粧料を吐出する際には、まず、別々の容器に収容されている毛髪化粧料の第1剤と第2剤とを収容容器10に収容し、毛髪化粧料が泡立たないように慎重に混合する。
【0032】
続いて、収容容器10の口部11にポンプフォーマー20を装着する(図1に示す状態)。
そして、使用者がヘッド部30の上面31を下方へ押し込む吐出操作を行うと、収容容器10に収容された毛髪化粧料がポンプ23によって吸引チューブ22から上方へ吸引されるとともに、空気が混入されて泡状になる。泡状になった毛髪化粧料は、中継流路36を上昇してノズル流路37へ流れ、吐出口33から外部に吐出される。
【0033】
ここで、ノズル流路37の断面積が中継流路36の断面積よりも大きく形成されていることから、ノズル流路37での毛髪化粧料の流速が抑えられる。このため、ノズル流路37の壁面に泡状の毛髪化粧料が付着しやすくなり、付着した毛髪化粧料が後続の毛髪化粧料と接触することで混合が促進される。
【0034】
[5.効果]
以上説明したように、本実施形態のポンプフォーマー容器によれば、ノズル流路37での毛髪化粧料の流速が抑えられるため、ノズル流路37の壁面に付着した泡状の毛髪化粧料と後続の毛髪化粧料との接触により混合を促進することができる。しかも、ノズル流路37における下側部分37bの流路長が上側部分37aの流路長よりも短く形成されており、ノズル流路37の上側部分37aと下側部分37bとで吐出口33から吐出されるタイミングがずれることにより、異なる部分と近接しやすくなる。したがって、二剤混合式の毛髪化粧料の混合性を向上させることができる。
【0035】
また、ノズル流路37での毛髪化粧料の流速が抑えられるため、中継流路36内やノズル流路37内で毛髪化粧料が液化した場合にも、液化した毛髪化粧料が次の吐出操作で吐出口33から吐出される際の勢いを抑えることができる。このため、毛髪化粧料の飛び散りによって周囲(壁や皮膚など)を汚してしまうことを生じにくくすることができる。
【0036】
さらに、ノズル32の先端面が過剰に下方を向いていないため、毛髪化粧料が自重で垂れ落ちにくく、しかもノズル流路37の断面積が大きく形成されているため、毛髪化粧料が安定して保持されやすい。加えて、ノズル流路37の底面が平らに形成されているため、毛髪化粧料が底面中央部に集中することなく分散される。したがって、吐出した毛髪化粧料の泡をノズル32の先端から切り離したときなどに、ノズル流路37内に残留した毛髪化粧料を吐出口33から垂れ落ちにくくすることができる。
【0037】
一方、本実施形態のポンプフォーマー容器で吐出する毛髪化粧料は、アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤というイオン性の異なる界面活性剤をそれぞれ第1剤と第2剤とに配合したものである。このため、泡状にした毛髪化粧料を、泡膜が強くなり破泡しにくいものとすることができる。特に、毛髪化粧料が、混合状態において10〜30質量%の非イオン性界面活性剤を含有するため、カチオン−アニオンコンプレックスが毛髪化粧料中に相溶されやすく、泡膜の強度も向上することから、起泡性、泡のキメ、泡の硬さ等の点でも良質の泡が得られやすくすることができる。
【0038】
また、ノズル流路37での毛髪化粧料の流速が抑えられるため、小さな泡の飛び散りを生じにくくすることができる。しかも、ノズル流路37の断面積が大きく形成されることに伴い吐出口33も大きく形成されるため、吐出口33に膜が張りにくくすることができ、吐出口33に張った膜がシャボン玉のように気泡となって飛び散ることを生じにくくすることができる。したがって、浮遊した泡が周囲に付着して汚してしまうことを生じにくくすることができる。特に、この毛髪化粧料は、アンモニア及び過酸化水素を含有しており、皮膚に付着することによる刺激が強いものであるため、使用者の意に反した皮膚部分に毛髪化粧料が付着してしまうことを生じにくくすることは効果的である。
【0039】
[6.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、アンモニウム塩を含有しない毛髪化粧料を例示したが、これに限定されるものではなく、アンモニウム塩を含有する毛髪化粧料であってもよい。
また、上記実施形態では、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含有する毛髪化粧料を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、アニオン性界面活性剤に代えて(又はアニオン性界面活性剤とともに)、両性界面活性剤(例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)を含有してもよい。周知のように、両性界面活性剤はアルカリ性側のpH領域ではアニオンとして存在し、酸性側のpH領域ではカチオンとして存在する。酸化染毛剤や毛髪脱色・脱染剤は、混合状態でアルカリ性となるため、両性界面活性剤は実質的にアニオン性界面活性剤としての挙動を示すことになる。
【0041】
また、上記実施形態では、二剤混合式の毛髪化粧料を例示したが、これに限定されるものではなく、三剤以上を混合する毛髪化粧料でもよい。
また、上記実施形態では、毛髪化粧料として酸化染毛剤を例示したが、これに限定されるものではなく、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤でもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…収容容器、11…口部、20…ポンプフォーマー、21…キャップ部、22…吸引チューブ、23…ポンプ、24…ガイドステム、30…ヘッド部、31…上面、32…ノズル、33…吐出口、34…カバー部、35…軸部、36…中継流路、37…ノズル流路
図1
図2