特許第5775304号(P5775304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775304ガンの治療のためのイミダゾ[1,2−a]キノキサリンおよび誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775304
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ガンの治療のためのイミダゾ[1,2−a]キノキサリンおよび誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20150820BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20150820BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150820BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C07D487/04 144
   C07D487/04CSP
   A61K31/4985
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】28
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2010-527466(P2010-527466)
(86)(22)【出願日】2008年10月3日
(65)【公表番号】特表2010-540597(P2010-540597A)
(43)【公表日】2010年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2008063290
(87)【国際公開番号】WO2009043934
(87)【国際公開日】20090409
【審査請求日】2011年10月3日
(31)【優先権主張番号】07/06928
(32)【優先日】2007年10月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504462319
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ドゥ モンぺリエ アン
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE MONTPELLIER 1
(73)【特許権者】
【識別番号】510092959
【氏名又は名称】アメリカン、ユニバーシティー、オブ、ベイルート
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN UNIVERSITY OF BEIRUT
(73)【特許権者】
【識別番号】510092971
【氏名又は名称】サントル、レジオナル、ド、リュト、コントル、ル、カンセル、ド、モンペリエ
【氏名又は名称原語表記】CENTRE REGIONAL DE LUTTE CONTRE LE CANCER DE MONTPELLIER
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】カリヌ、ドルーズ‐マスケファ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ、モアベス
(72)【発明者】
【氏名】ピエール‐アントワーヌ、ボンヌ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、パンゲ
(72)【発明者】
【氏名】アリ、バザーバチ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワーズ、ブレソーユ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/117225(WO,A1)
【文献】 国際公開第93/004066(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/087250(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/109813(WO,A1)
【文献】 CATARZI DANIELA,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,1994年,V37 N18,P2846-2850
【文献】 COLOTTA V,EUROPEAN JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,1995年,V30 N2,P133-139
【文献】 DELEUZE-MASQUEFA, CARINE,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY,2004年,V12 N5,P1129-1139
【文献】 MORJARIA S,INTERNATIONAL JOURNAL OF IMMUNOPATHOLOGY AND PHARMACOLOGY,BIOMEDICAL RESEARCH PRESS,2006年,V19 N3,P525-538
【文献】 ZURBONSEN K,EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY,1997年,V320,P215-221
【文献】 ZURBONSEN K,BIOCHEMICAL PHARMACOLOGY,1997年,V54,P365-371
【文献】 CORONA PAOLA,EUROPEAN JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,フランス,EDITIONS SCIENTIFIQUE ELSEVIER,2006年 9月11日,V41 N9,P1102-1107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物またはその生理学的に許容可能な塩を含んでなる、ガンの治療のための薬剤:
【化1】
(式中、
およびRは、独立に、水素原子、ハロゲン、または、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、および−(CHn” −(CH=CH)−(CHn’’’ −CH、COOR、NR、およびORから選択される基を表し、
は、H、Cl、Br、F、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、−CF、CN、COOH、COOCH、COOCHCH、COONH、CHO、NOおよびCOから選択され、
R’は、クロロ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノメチルアミン、およびアミノエチルアミンから選択される基であり、
pは1から4であり、
qは1から5であり、
n”は0から4であり、
n’’’は0から4であり、
Xは、(CH、(CHO(CHm’、(CHNH(CHm’を表し、
mは0から4であり、
m’は0から4であり、
およびRは、独立に、水素原子または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル、直鎖もしくは分岐C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル基から選択される基を表す)。
【請求項2】
前記化合物が式(II)の化合物である、請求項1に記載のガンの治療のための薬剤:
【化2】
(式中、R、R、R、R’、X、p、およびqは、請求項1に定義のとおりである)。
【請求項3】
前記化合物が式(III)の化合物である、請求項1に記載のガンの治療のための薬剤:
【化3】
(式中、R、R、R、R’、X、p、およびqは、請求項1に定義のとおりである)。
【請求項4】
前記化合物が式(IV)の化合物である、請求項1に記載のガンの治療のための薬剤:
【化4】
(式中、R、R’、X、およびqは、請求項1に定義のとおりである)。
【請求項5】
Xが、O、NH、CH、(CH、およびm’が0〜4であるO(CHm’、NH(CHm’から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の、ガンを治療するための薬剤。
【請求項6】
Xが(CHである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の、ガンを治療するための薬剤。
【請求項7】
式(V)の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:
【化5】
(式中、R、R、R、R’、p、およびqは請求項1に定義のとおりである)。
【請求項8】
式(VI)の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:
【化6】
(式中、R、R、R、R’、p、およびqは請求項1に定義のとおりである)。
【請求項9】
式(VII)の、請求項8に記載の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:
【化7】
(式中、R、R’、およびqは請求項1に定義のとおりである)。
【請求項10】
式(VIII)の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:
【化8】
(式中、R、R、R、R’、p、およびqは請求項1に定義のとおりである)。
【請求項11】
式(IX)の、請求項10に記載の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:
【化9】
(式中、R、R’、およびqは請求項1に定義のとおりである)。
【請求項12】
が、H、Cl、Br、F、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、−CF、CN、COOH、COOCH、COOCHCH、COONH、CHO、NOおよびCOから選択されるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項13】
が、H、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、Br、CF、Cl、およびCOOHから選択されるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項14】
q=1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項15】
R’が、クロロ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノメチルアミン、またはアミノエチルアミン基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項16】
R’が、−NH−CH、−NH、または−NH−(CH−NHである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項17】
が、H、Cl、Br、F、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、−CF、CN、COOH、COOCH、COOCHCH、COONH、CHO、NOおよびCOから選択されるものである、請求項7〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
が、H、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、Br、CF、Cl、およびCOOHから選択されるものである、請求項7〜11および17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
q=1である、請求項7〜11、17および18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R’が、クロロ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノメチルアミン、またはアミノエチルアミン基である、請求項7〜11および17〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R’が、−NH−CH、−NH、または−NH−(CH−NHである、請求項7〜11および17〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物またはその生理学的に許容可能な塩が、以下の化合物およびそれらの生理学的に許容可能な塩から選択される、請求項3に記載の薬剤:N−メチル−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,N−ジメチル−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−メトキシ−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン。
【請求項23】
前記化合物またはその生理学的に許容可能な塩が、以下の化合物およびそれらの生理学的に許容可能な塩から選択される、請求項4に記載の薬剤:N−メチル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,N−ジメチル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−メトキシ−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン、N−フェニル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,1−ビス(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、t−ブチル−4−[1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート。
【請求項24】
以下の化合物およびそれらの生理学的に許容可能な塩から選択される、請求項8に記載の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:N−(2−アミノエチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)−フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−クロロフェニル)−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−クロロ−2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2−ヒドロキシフェニル)−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン。
【請求項25】
以下の化合物およびそれらの生理学的に許容可能な塩から選択される、請求項11に記載の化合物またはその生理学的に許容可能な塩:N−メチル−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−クロロ−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン。
【請求項26】
請求項9〜1117〜21、24および25のいずれか一項に記載の化合物を含んでなる、薬剤。
【請求項27】
ガンの治療のための、請求項26に記載の薬剤。
【請求項28】
リンパ腫およびメラノーマの治療のための、請求項1〜6、12〜1622、23、26および27のいずれか一項に記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンの治療のためのイミダゾ[1,2−a]キノキサリン化合物ならびにこれらの化合物を含む医薬組成物およびその療法用途に関する。本発明は、ガンの治療、特にメラノーマおよびT細胞リンパ腫の治療のための薬剤を製造するための、イミダゾ[1,2−a]キノキサリンから誘導される化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺ガン、結腸ガン、乳ガン、メラノーマ、およびリンパ腫などのガンの治療において従来の抗ガン剤の大多数が比較的無効であると仮定すると、研究は新しい治療戦略に向けられる。実際に、この種類の疾患でしばしば遭遇する耐性および転移の問題をうまく回避することは、重要な研究課題である。
【0003】
メラノーマ
皮膚ガンは、フランスで毎年数千人の死亡の原因であり、最も忌むべきガンの1つである。その頻度は、年齢、オゾンの減少、および日光への曝露の多さとともに非常に強く増加する。延びつつある平均余命およびその頻度の増加を考慮すると、皮膚ガンは、近いうちに最も重要な公衆衛生問題の1つになるであろう。メラノーマは、単純なほくろやあざに似ているが、最も重篤な皮膚ガンである。メラノーマは、良性(母斑)のこともあるが、悪性(悪性メラノーマまたはメラニン芽腫)のこともある。悪性メラノーマは皮膚ガンのわずか10%であるが、治療しないと死をもたらす。それは、存在するガンで最も攻撃的であるが、初期の治療により患者を治癒できる。治療を受けないと悪性メラノーマは急速に皮膚を侵し、体の他の部分、特に肝臓、肺、骨、および脳に向かって進行し、数ヶ月で患者は死亡する。
【0004】
HTLV−Iに関連する成人T細胞白血病
HTLV−I(ヒトTリンパ球向性ウイルス1型)は、1980年に発見されたものであり、ヒトに発見された最初の腫瘍形成性レトロウイルスである。成人T細胞白血病、すなわちATLは、通常CD4+であるTリンパ球を有する悪性のリンパ球増殖である。このようなTリンパ球は、その表面に、Tリンパ球マーカーCD2、CD3、CD4、CD5、CD45ROを発現するが、マーカーCD7は発現せず、CD8はまれにしか発現しない。ATL細胞は、まれにはオリゴクローナルであるが、モノクローナルに組み込まれたプロウイルスHTLV−Iの存在により特徴づけられる。
【0005】
臨床症状は多様であり、症状の様式により非常に様々な進展をするため、相互に後発しうる4つの臨床形態に分類できる。
急性型ATL(>5%)。この病理は、成人に起こることがあるが、集中的な多剤化学療法の後でも、耐性または早期の再発を有する希望のない予後を持つ。−生存期間中央値は約6ヶ月である。
−慢性型ATLは、その進展がゆっくりであり、重症の臨床症状は少ない。白血病細胞数が多いリンパ球増多症を呈する(>5)。
−重症度の低い形態:亜急性ATL、くすぶり型とも呼ばれ、循環血中の白血病細胞があまり存在しない、長期間にわたる進行性の進展により特徴づけられる(1〜5%)。
−リンパ腫型は、循環血中の低レベルの白血病細胞により特徴づけられる(<1%)。急性型と同様に、予後は非常に悪い。
【0006】
末梢性T細胞リンパ腫
末梢性T細胞リンパ腫は、全非ホジキンリンパ腫のおよそ15%を占める。これらのTリンパ腫は比較的重症の予後を有し、完全緩解率はBリンパ腫より明らかに低く、再発率は著しく高い。さらに、これらのTリンパ腫は、抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブの使用によるBリンパ腫の治療の進歩によって利益を得なかった。
【0007】
免疫療法に大きな希望が抱かれたが、免疫療法は他の療法とは反対に体全体を治療することが可能であり、体中に広がった腫瘍細胞を除去できる。種々の免疫療法アプローチの中で、特にメラノーマなどの特定の皮膚ガンに有効な、最初の抗ガン免疫調節剤であるイミキモド(Aldara(登録商標))の発見は、この新しい経路への一歩であった。イミキモドは、イミダゾキノリン類の窒化三環系分子である(国際公開第2006/070408号、米国特許第4、689,338号)。それは、主に、単純ヘルペス2型、センダイウイルスおよびパピローマウイルスなどの特定のウイルスに対する抗ウイルス活性により知られている。この分子に関する最新の文献は、基底細胞ガン、日光角化症、およびメラノーマなどの皮膚のガンに対する著しい免疫調節抗腫瘍活性も示す。より最近の研究では、皮膚転移および血管腫瘍に対する効果も示した。したがって、イミキモドは、先天性および後天性免疫応答調節剤と呼ばれる新種の抗ガン剤の第1号であり、その作用機序は、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、アルキル化剤、有機白金などの公知のどの抗ガン剤とも異なる。
【0008】
Deleuze−Masquefaら(Biorganic & Medicinal Chemistry 12: 1129−1139, 2004)は、イミダゾ[1,2−a]キノキサリン誘導体をPDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害剤として報告した。イミキモドとは対照的に、これらの分子はTNF−αの産生および作用をインビトロで阻害し、そのためイミキモドとは異なる作用様式をもつようである。これらの誘導体は、その抗炎症性のため興味深い(Mojaria et al. International Journal of Immunopathology and Pharmacology, Vol. 19, no. 2, 77−90, 2006)。抗ガン活性およびメラノーマまたはリンパ腫に対するさらに強力な活性のいずれについても、これら文献に開示も示唆もされていない。
【0009】
Bonnard et al. (RICT 2005, Paris)は、イミダゾ[1,2−a]キノキサリン誘導体の合成およびその抗腫瘍活性の評価を報告した。しかし、試験された化合物の構造は記載されていない。
【0010】
米国公開特許第2003/0022898号では、4−(2’−アミノエチル)−アミノ−1,8−ジメチルイミダゾ(1,2−a)キノキサリン化合物を含む抗炎症活性も有する誘導体が記載されている。この化合物は、米国公開特許第2006/0025419号において抗メラノーマ活性を有するとも記載されている。
【0011】
Colottaら(Eur. J. Med. Chem., 30, 133−139, 1995)は、イミダゾ[1,2−a]キノキサリンを含む種々の化合物を報告した。トリアゾロキノキサリンは、アデノシン受容体と結合すると報告されている。イミダゾ[1,2−a]キノキサリンの詳細な用途は報告されていない。
【0012】
Catarziら(J. Med. Chem., 37, 2846−2850, 1994)は、トリアゾロキノキサリンおよびベンゾジアゼピン受容体に結合するイミダゾキノキサリンを報告した。ベンゾジアゼピン受容体に結合する分子は一般に抗不安効果があると認識されている。この文献には、ガンへの適用は記載されていない。
【0013】
国際公開第93/04066号には、GABAa受容体に特異的に結合するイミダゾキノキサリノール化合物が記載されている。鎮痛剤、不安緩解剤、抗痙攣剤などとしての治療用途のみが考察されている。他の治療分野、特にガンの治療の用途は、この文献に開示も示唆もされていない。
【0014】
Zurbonsenら (European Journal of Pharmacology, 320, 215−221, 1997 and Biochemical Pharmacology, 54, 365−371, 1997)は、ホスホジエステラーゼに対する阻害活性を持ち、白血病細胞株のアポトーシスを誘起できるイミダゾ[1,2−a]ピラジン誘導体を報告している。しかし、ホスホジエステラーゼ阻害剤がどれも抗ガン活性を示すわけでないことに留意されたい。さらに、本発明の化合物は、メラノーマだけでなくリンパ腫に対してもインビトロおよびインビボの試験で示される高活性により特徴的である。
【0015】
国際公開第2007/109813号には、免疫調節活性を有するイミダゾキノキサリンに関する。アジュバントおよびワクチンの分野の用途のみが記載されている。この文献は、ガンを含む多くの治療分野への適用の可能性を予見しているが、抗ガン活性を確かにするインビトロまたはインビボデータはない。
【0016】
国際公開第2007/087250号には、5−LO(リポシキゲナーゼ)阻害剤が記載されている。ガンの分野の用途は記載されていない。
【0017】
現状技術の課題を解消するため、本発明は、ガンの治療、より詳細にはT細胞によるメラノーマおよびリンパ腫の治療のためのイミダゾ[1,2−a]キノキサリン誘導体化合物を提供する。これらの化合物は、ガンの治療用の薬剤を調製するために使用できる。
【0018】
有利なことに、本発明の化合物は、有効性が向上し、毒性は低い。本発明の化合物は、例えば、イミキモドと比較して有効性が向上している。
さらに、本発明の化合物は、インビトロおよびインビボ試験で、メラノーマだけでなくリンパ腫にも活性を示した。
有利には、本発明の化合物は、イミキモドなどガンの治療に使用される他の分子とは対照的に、炎症誘発活性を持たない。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、一般式(I)の化合物およびその生理学的に許容可能な塩に関する:
【化1】
(式中、
、R、R、およびR’は、独立に、水素原子、ハロゲン、またはヒドロキシ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、チオアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル、アリール、アラールキル基または飽和もしくは不飽和の複素環、所望により1つ以上の置換基により置換されている基から選択される基およびシアノ、ニトロソ、ニトロ、−CF、−(CHNR、−(CHCOR、−(CHCO−NR、−(CHSO−NR、−(CHCO、−NH−(CHNR基を表し、
nは0から4であり、
pは1から4であり、
qは1から5であり、
Xは、(CH、(CHO(CHm’、(CHNH(CHm’を表し、
mは0から4であり、
m’は0から4であり、
およびRは、独立に、水素原子または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル、直鎖もしくは分岐C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アシル、アリール、アラールキル基または複素環、所望により1つ以上の置換基により置換されている基から選択される基を表す)。
【0020】
優先的には、R、R、R、およびR’は、独立に、水素原子、ハロゲン、またはヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cチオアルキル、C−Cアルコキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、C−Cアシル、C−Cアリール、C−Cアラールキル基、所望により1つ以上の置換基により置換されている基から選択される基およびシアノ、ニトロソ、ニトロ、−CF、−(CHNR、−(CHCOR、−(CHCO−NR、−(CHSO−NR、−(CHCO、−NH−(CHNR基を表し、
nは0から4であり、
pは1から4であり、
qは1から5である。
【0021】
およびRは、独立に、水素原子、直鎖または分岐C−Cアルキル、直鎖または分岐C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル基から選択される基を表す。
【0022】
好ましくは、R、R、およびRは、独立に、水素原子、ハロゲン、またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル(tertiobutyl)、ならびにn”およびn’’’が独立に0から4である−(CHn” −(CH=CH)−(CHn’’’ −CH、RおよびRが先に定義されているCOOR、NR、およびORから選択される基である。
【0023】
R’は、独立に、水素原子、ハロゲン、またはヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ基、飽和もしくは不飽和複素環、または、およびNH−(CHNRから選択される基を表す。
【0024】
優先的には、Rは水素である。
優先的には、Rは水素である。
優先的には、Rは、H、Cl、Br、F、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、CF、CN、COOH、COOCH、COOCHCH、COONH、CHO、NOおよびCOから選択される。より優先的には、Rは、H、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、Br、CF、Cl、およびCOOHから選択される。
【0025】
好ましくは、Xは、O、NH、CH、(CH、m’が先に定義されているO(CHm’、およびNH(CHm’から選択される。優先的には、Xは(CHである。
【0026】
好ましくは、R’は、クロロ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノメチルアミン、またはアミノエチルアミン基である。優先的には、R’は、−NH−CH、−NH、またはNH−(CH−NHである。
【0027】
好ましくは、qは1または2である。優先的には、qは1である。
優先的には、qは1であり、Rは、フェニル基の3位または4位にある。
【0028】
置換基は、優先的には、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロソ、ニトロ、−CF、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、チオアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、アリール、アラールキル基、または飽和もしくは不飽和の複素環から選択される。
【0029】
第1の実施形態において、本発明は、一般式(II)の化合物に関する:
【化2】
(式中、R、R、R、R’、X、p、およびqは先に定義のとおりである)。
【0030】
第2の実施形態において、本発明は、一般式(III)の化合物に関する:
【化3】
(式中、R、R、R、R’、X、p、およびqは先に定義のとおりである)。
【0031】
優先的には、本発明は、以下の化合物から選択される化合物に関する:N−メチル−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,N−ジメチル−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−メトキシ−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、およびそれらの生理学的に許容可能な塩。
【0032】
好ましくは、本発明は、一般式(IV)の化合物に関する:
【化4】
(式中、R、R’、X、およびqは先に定義のとおりである)。
【0033】
好ましくは、本発明の化合物は以下の化合物から選択される:N−メチル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,N−ジメチル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−メトキシ−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4(5H)−オン、1−(2−フェニルエチル)−4−ピロリジン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(2−フェニルエチル)−4−ピペリジン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、N−フェニル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,1−ビス(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、t−ブチル−4−[1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート、[1−(2−フェニルエチル)−4−ピペラジン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、およびそれらの生理学的に許容可能な塩。
【0034】
本発明の有利な実施形態において、上記化合物は一般式(V)の化合物である:
【化5】
(式中、R、R、R、R’、p、およびqは先に定義のとおりである)。
【0035】
本発明の他の実施形態において、上記化合物は一般式(VI)の化合物である:
【化6】
(式中、R、R、R、R’、p、およびqは先に定義のとおりである)。
【0036】
好ましくは、上記化合物は一般式(VII)の化合物である:
【化7】
(式中、R、R’、およびqは先に定義のとおりである)。
【0037】
好ましくは、前記化合物は以下の化合物から選択される:N−(2−アミノエチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−フランイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)−フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−クロロフェニル)−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−2−フランイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、2−フランイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−クロロ−2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2−ヒドロキシフェニル)−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−2−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、およびそれらの生理学的に許容可能な塩。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記化合物は一般式(VIII)の化合物である:
【化8】
(式中、R、R、R、R’、p、およびqは先に定義のとおりである)。
【0039】
好ましくは、前記化合物は一般式(IX)の化合物である:
【化9】
(式中、R、R’、およびqは先に定義のとおりである)。
【0040】
好ましくは、上記化合物は以下の化合物から選択される:N−メチル−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−フランイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−フランイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2,3−ジヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−エトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−ブロモフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル))イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−カルボキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−シアノフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(3−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、1−フランイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−クロロ−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−クロロ−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2,4−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、4−メトキシ−1−(2,3−ジメトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン、およびそれらの生理学的に許容可能な塩。
【0041】
本発明の他の目的は、リンパ腫の治療用の薬剤を製造するための、一般式(X)の化合物およびその塩の使用である:
【化10】
(式中、R、R’、R、およびRは、独立に、水素原子、ハロゲン、またはヒドロキシ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、チオアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル、アリール、アラールキルまたは飽和もしくは不飽和の複素環、所望により1つ以上の置換基により置換されている基から選択される基、およびシアノ、ニトロソ、ニトロ、−CF、−(CHNR、−(CHCO−NR、−(CHSO−NR、ou−(CHCO、−NH−(CHNR基を表し、
Nは独立に0から4であり、
pは1から4であり、
およびRは、独立に、水素原子または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル、直鎖もしくは分岐アルケニル、C−Cシクロアルキル、アシル、アリール、アラールキル基または複素環、所望により1つ以上の置換基により置換されている基から選択される基を表す)。
【0042】
好ましくは、R、R、およびRは、水素原子、ハロゲン、またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ならびにN”およびn’’’が独立に0から4である−(CHn”−(CH=CH)−(CHn’’’−CH、RおよびRが先に定義されているCOOR、NR、およびORから選択される基である。R’は、独立に、水素原子、ハロゲン、またはヒドロキシ、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ基、飽和もしくは不飽和複素環、およびNH−(CHNRから選択される基を表す。
【0043】
優先的には、Rは水素原子である。
好ましくは、R’は、クロロ、メトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノメチルアミン、またはアミノエチルアミン基である。優先的には、R’は、−NH−CH、−NH、またはNH−(CH−NHである。
【0044】
好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ならびにn”およびn’’’が独立に0から4である−(CHn”−(CH=CH)−(CHn’’’−CHから選択される。
【0045】
本発明の特定の実施形態において、使用される化合物は一般式(XI)の化合物である:
【化11】
(式中、R、R’、R、およびR、およびpは先に定義のとおりである)。
【0046】
好ましくは、本発明は、以下の化合物から選択される化合物の使用に関する:1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−メチル−1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,N−ジメチル−1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−クロロ−1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、および1−イソブチル−4−メトキシイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、ならびにそれらの生理学的に許容可能な塩。
【0047】
他の実施形態において、前記使用は一般式(XII)の化合物に関する:
【化12】
(式中、R、R’、R、R、およびpは先に定義のとおりである)。
【0048】
優先的には、本発明は、以下の化合物から選択される化合物の使用に関する:N−メチル−2−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N,N−ジメチル−2−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、N−(2−アミノエチル)−2−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン、4−クロロ−2−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、および2−イソブチル−4−メトキシイミダゾ[1,2−a]キノキサリン、ならびにそれらの生理学的に許容可能な塩。
【0049】
優先的には、本発明は、薬剤として使用するための本発明の化合物に関する。
より優先的には、本発明は、ガンを治療するための薬剤として使用するための本発明の化合物に関する。
より一層優先的には、本発明は、メラノーマまたはリンパ腫の治療のための本発明の化合物に関する。
【0050】
本発明は、先に定義された化合物および好適な医薬キャリアを含む医薬組成物にも関する。
【0051】
本発明の他の目的は、先に定義された化合物および他の活性薬剤を含む製品であって、療法において同時に、別々に、または延長して時間をかけて(extended use over time)使用するための合剤としての製品である。
【0052】
本発明は、ガンの治療用の薬剤を製造するための、先に定義された化合物の使用にも関する。より優先的には、メラノーマまたはリンパ腫の治療用の薬剤の製造のための本発明の化合物の使用に関する。
【0053】
有利な実施形態において、本発明の化合物は、少なくとも1種の他の活性薬剤と組み合わせて使用される。
【0054】
本発明は、有効量の本発明の化合物(または化合物の生理学的に許容可能な塩)の個体への投与を含む、ガンの治療的処置(therapeutic treatment)の方法にも関する。好ましくは、本発明は、メラノーマおよびリンパ腫の治療的処置の方法に関する。
【0055】
ハロゲンは、本発明によると詳細には、以下のハロゲン、F、Cl、Br、およびIを意味する。
【0056】
アルキルは、本発明によると詳細には、直鎖または分岐アルキル基を意味し、詳細には、C、C、C、C、C、またはCアルキル基を意味し、特に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、またはt−ブチル基を意味する。この定義は、シクロアルキル、アルコキシ、アシル、アラールキル、アルキルアミノ、チオアルキル基のアルキル部分にも当てはまる。
【0057】
アルケニルは、好ましくは本発明によれば、一価で不飽和の少なくとも1つの二重結合を含む、直鎖または分岐鎖の、2から6個の炭素原子を含む炭化水素であり、その代表的な要素は、例えば、ビニル基、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプレニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルである。
【0058】
シクロアルキルは、好ましくは、本発明によれば、C−Cシクロアルキルを、より詳細にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル基を意味する。
【0059】
アリールは、好ましくは本発明によると、6から10個の炭素原子を有し、連結または結合できる1つ以上の芳香環を意味し、特にフェニルである。この定義は、アラールキル基のアリール部分にも当てはまる。アラールキル基は、好ましくは、nが0から4である(CH−フェニルである。
【0060】
アミノまたはアミンは、第一級、第二級、または第三級アミンを意味する。
【0061】
複素環は、好都合には本発明によれば、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含むC−C環を意味し、詳細には、複素環は、チエニル、フリル、キノリニル、インドリル、ピラゾール、ピロール、ピリジン、ピリミジン、イミダゾールから選択される。
【0062】
「ガン」は、その組織学的性質がどうであれ、悪性新生物形成の全てを意味する。悪性腫瘍には、2つの主な種類、上皮由来の癌腫と結合組織由来の肉腫がある。悪性腫瘍は、浸潤または転移する異常細胞でできており、一般的に自律的に増殖する能力、不明瞭な境界、近くの組織および血管に浸潤する能力、ならびに転移の生成(production of metastases)により広がる傾向により特徴づけられる。よく知られたガンには、乳ガン、前立腺ガン、肺ガン、食道ガン、皮膚ガン、膀胱ガン、胃ガン、肝ガン、子宮ガン、結腸ガン、および直腸ガンがある。
【0063】
「メラノーマ」は、色素組織、より詳細には皮膚または目の色素組織を犠牲にして発生する悪性腫瘍を意味する。
【0064】
「リンパ腫」は、一般的には悪性の、リンパ組織の細胞の増殖による腫瘍で、特に脾臓または神経節のレベルで発生する腫瘍を意味する。
【0065】
薬剤的に許容可能な塩は、好ましくは本発明によると、有機酸および無機酸を含む、薬剤的に許容できる酸、すなわち非毒性の酸の塩である。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびパラトルエンスルホン酸がある。
【0066】
本発明は、先に定義された化合物および好適な医薬キャリアを含む医薬組成物に関する。
【0067】
これらの組成物は、ヒトを含む哺乳動物への投与用に処方できる。用量は、治療および問題となっている疾患により様々である。これらの組成物は、消化経路または非経口経路により投与できるように製造される。
【0068】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所、または直腸内投与のための本発明の医薬組成物において、活性成分は、投与の単位用量形態で、従来の医薬キャリアと混合されて、動物またはヒトに投与できる。好適な単位用量形態には、錠剤、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒、および経口溶液もしくは懸濁液などの経口経路による形態、舌下および経口投与のための形態、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、または眼内の投与形態、ならびに直腸内投与形態がある。
【0069】
固形組成物が錠剤形態で調製される場合、主な活性成分は、ゼラチン、スターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴム、または類似物などの医薬キャリアと混合される。錠剤は、サッカロースもしくは他の好適な物質により被覆することができるが、または、活性が延長もしくは遅延するように、または所定量の活性成分を連続的に放出するようにも処理できる。
【0070】
ゼラチンカプセル中の製剤は、活性成分を希釈剤と混合し、得られた混合物をソフトまたはハードゼラチンカプセルに入れることにより得られる。
【0071】
シロップまたはエリキシル形態の製剤は、活性成分を甘味料、防腐剤、ならびに味および好適な色を与える薬剤とともに含んでよい。
【0072】
水に分散可能な粉末もしくは顆粒は、味覚調整剤または甘味料と同様に、分散剤もしくは湿潤剤、または懸濁剤と混合された活性成分を含んでよい。
【0073】
本発明の化合物は、療法において単独でも、少なくとも1種の他の活性薬剤と組み合わせても利用できる。これらの他の活性薬剤は、詳細には、ガンの治療のための好適な活性成分から選択される。それらは、本発明の化合物の活性を高めるアジュバントでも、そのような疾患を治療するのに使用すると知られている他の活性成分でもよい。そのような活性薬剤は、当業者に周知であり、市販されているか、または毎年改訂されて出版されているLe Dictionnaire Vidalなどの参考文献に記載されており、特に活性薬剤は、「Cancerologie Hematologie」薬物療法学類に分類されている。
【0074】
本発明は、本発明の化合物および他の活性薬剤を含む製品であって、療法において、特にガンの治療において、同時に、別々に、または延長して時間をかけて使用するための合剤としての製品にも関する。
【0075】
本発明の化合物は、以下および実施例に記載される種々の製造手法により製造できる。
【0076】
合成1:
イミダゾ[1,2−a]キノキサリン誘導体は、α−アミノアルコールとキノキサリンを縮合し、次いで、分子内環化および種々の求核置換により得られた。α−シアノアルコール(2−ヒドロキシ−4−メチルペンタンニトリルまたは2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリル)は、シリーズaのイソバレルアルデヒドまたはシリーズbの3−フェニルプロピオンアルデヒドとシアン化ナトリウムとの反応から生じる。次いで、それらを、水素化アルミニウムリチウムにより還元すると、対応するα−アミノアルコールが生じる(1−アミノ−4−メチルペンタン−2−オール、1aまたは1−アミノ−4−フェニルブタン−2−オール、1b)。次いで、1aと1bを、ジオキサン中で、トリエチルアミンの存在下で、2,3−ジクロロキノキサリンと縮合させると、1−[(3−クロロキノキサリン−2−イル)アミノ]−4−メチルペンタン−2−オール、2aおよび1−[(3−クロロキノキサリン−2−イル)アミノ]−4−フェニルブタン−2−オール、2bを形成する。三酸化硫黄トリメチルアミン錯体による、これら2種の化合物の酸化は、それらを分子内環化させるため、かつそれぞれ誘導体4aおよび4bを得るために必要である。最後に、R基の性質により、2種の塩素化誘導体に求核置換を行い、5b、6a、6b、7a、7b、8bを得る(以下の図を参照)。
【0077】
合成2:
ダイマー9、ジイミダゾ[1,2−a]:[1’,5’−d]ピペラジン−5,10−ジオンは、塩化チオニルの存在下で、イミダゾ−2−カルボン酸の2分子縮合から生じる。次いで、オルトフルオロアニリンと結合して、中間体10を与える。三環化合物11の形成は、ジメチルアセトアミド中で、水酸化ナトリウムの存在下での、10の分子内環化により達成される。塩素化工程に次いでメチルアミンによる置換を行うと、化合物13が得られる。次いで、化合物13を、N−ブロモスクシンイミドにより臭素化すると、臭素化された化合物14が得られ、次いで、これを鈴木反応によりアルキル基で置換すると、化合物15aから15nが得られる(以下の図を参照)。
【0078】
【化13】
イミダゾ[1,2−a]キノキサリンシリーズの合成1
【化14】
1H−イミダゾ[1,2−a]キノキサリンシリーズの合成2
【0079】
試薬および条件:(a)SOCl、還流、18時間;(b)NaHMDS、THF、5時間;(c)NaH、DMA、還流、10時間;(d)POCl、還流、6時間;(e)EtOH、NHCH、20時間、室温;(f)NBS、CHCl、還流、2時間;(g)アリールボロン酸、(R−B(OH))、Pd(PPh、NaCO、DME、MW(140℃、20分)。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】M4Beヒトメラノーマ細胞株を異種移植された無胸腺スイスマウスの腫瘍成長に対するフォテムスチン(20mg/kgを週1回、3週間)およびEAPB0203(20mg/kgを週2回、3週間)の効果。↑フォテムスチンおよびEAPB0203の投与;↑EAPB0203の投与。黒三角、コントロール;黒四角、EAPB0203;黒丸、フォテムスチン。データは、1群あたり6匹のマウスに実施された、ただ1回の実験の結果である。結果を、平均値±SEMとして表す。3種の処理群の間に有意な差がある:*、p<0.05;**、0.002<p<0.009;***、p≦0.001。
図2】HTLV−I陽性およびHTLV−I陰性の悪性ヒト細胞株はEAPB0203に感受性があるが、活性化された、または不活性化された正常なTリンパ球は耐性がある。HTLV−I未感染ヒトT細胞株(CEM、Jurkatt、Molt−4、およびHuT−78)、HTLV−I陽性ヒトT細胞株(Hut−102およびC8166、およびMT2)、および休止している、またはPHAにより活性化された正常リンパ球の成長に対するEAPB0203の影響。活性化された正常PBMCに2%PHAを補った。EAPB0203を、モル/lで示される濃度で24〜96時間加えた。細胞の成長を、「CellTiter 96(登録商標)」非放射性細胞成長キットにより分析する。結果をコントロール(0.1%DMSO)に対するパーセンテージとして示すが、3回の独立した実験で得られる結果の平均を表す。
図3】EAPB0203は、HTLV−I陽性およびHTLV−I陰性のヒトT細胞株でG2/M期に細胞周期の停止を誘起する。(A)CEM、HuT−102、MT2、およびJurkatt細胞の細胞周期の分布に対するEAPB0203の影響。EAPB0203により処理された細胞をヨウ化プロピジウム(50mg/ml)で標識し、FACScanフローサイトメトリーにより細胞周期の分析を行った。(b)プレG1(pre−G1)パーセンテージは、アポトーシス細胞を表す。(c)周期の中の細胞、(S+G2/M)期の合計は、非アポトーシス細胞のパーセンテージとして表される。結果は2回の独立した実験を表す。
【実施例】
【0081】
1)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン化合物の合成
2−ヒドロキシ−4−メチルペンタンニトリル
10g(116mmol)のイソバレルアルデヒドを、0℃で攪拌しながら37%NaHSO水溶液(25ml、116mmol)に2〜3分かけて加える。ほとんど瞬時に白色の亜硫酸水素塩沈殿物が形成する。次いで、NaCN(5.7g、116mmol)をHO(30ml)に溶かした溶液を45分かけて滴下して加える。室温で18時間攪拌を続ける。この時間の間に、沈殿物は可溶化し、2つの混和しない層が形成した。混合物をEtO(30ml)に抽出する。エーテル相を集め、NaSOで乾燥し、蒸発させると、黄色の油が得られ、精製せずに使用した(12.21g、93%);H NMR(100MHz,CDCl)δ:0.88(d,J=6Hz,6H)、1.51−1.98(m,3H,H−3+H−4)、4.20(s,Br,OH)、4.45(t,J=7Hz,1H);13C NMR(25MHz,DMSO−d)δ:21.6、22.1、23.8、43.1、58.3、121.3。C11NOの分析計算値:C,63.68;H,9.80;N,12.38。実験値:C,63.56;H,9.75;N,12.42.
【0082】
2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリル
2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリルを、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタンニトリルについて記載されたプロトコルに従い、3−フェニルプロピオンアルデヒドから調製する;(11.14g、83.2mmol)3−フェニルプロピオンアルデヒド、NaHSO(17.7mlの37%溶液、83mmol)、HO(18ml)中の(4.08g、83.2mmol)のNaCN。黄色の油である生成物を、他の精製なしに使用する(12.4g、93%);H NMR(100MHz,CDCl)δ:2.02−2.25(m,2H)、2.76−2.91(m,2H)、3.98(s,1H)、4.39(t,J=8Hz,1H)、7.26(d,J=3Hz,5H);13C NMR(25MHz,CDCl)δ:30.49、36.37、59.92、120.04、126.28、128.28、128.49、139.60。C1011NOの分析計算値:C,74.51;H,6.88;N,8.69。実験値:C,74.38;H,6.97;N,8.42.
【0083】
1−アミノ−4−メチルペンタン−2−オール(1a)
EtO(50ml)に溶解した2−ヒドロキシ−4−メチルペンタンニトリル(12.13g、107mmol)の溶液を、軽く還流しながら45分かけて、EtO(160ml)に溶かしたLiAlH(8.12g、214mmol)の溶液に攪拌しながら滴下して加える。次いで、混合物を還流しながらさらに90分加熱する。0〜5℃に冷却後、HO(8ml)、15%NaOH水溶液(8ml)、およびHO(40ml)を滴下して加え、過剰のLiAlHを中和する。LiAlHの全てが中和されるまで、混合物を攪拌すると、白色の沈殿物が形成する。混合物を濾過し、沈殿物をEtOで洗浄する。有機相を(KOHの粒子により)乾燥し、減圧下で蒸発乾固すると、橙色の油が得られ、精製をせずに使用する(11.78g、94%);H NMR(100MHz,CDCl)δ:0.74(d,J=7Hz,6H)、1.04(m,2H,H−3)、1.56(m,J=7Hz,1H,H−4)、2.41(m,5H,H−1,1’OH,NH)、3.40(m,J=4Hz,1H,H−2);13C NMR(25MHz,DMSO−d)δ:21.90、23.20、24.30、43.80、47.80、69.90。C15NOの分析計算値:C,61.49;H,12.90;N,11.95。実験値:C,61.70;H,12.53;N,11.67。
【0084】
1−アミノ−4−フェニルブタン−2−オール(1b)
1bは、1aについて記載されたプロトコルに従い、2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリルから調製する:LiAlH(6.2g、163mmol)、EtO(120ml)、2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリル(12.4g、77mmol)、HO(6.2ml)、15%NaOH水溶液(6.2ml)およびHO(18ml)。橙色の油である生成物を、精製せずに使用する(11g、87%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:1.80(m,3H)、2.65(m,4H)、3.62(m,3H)、7.21(s,5H);13C NMR(25MHz、CDCl)δ:33.98、36.25、70.92、125.46、128.04、141.74。C1015NOの分析計算値:C,72.69;H,9.15;N,8.48。実験値:C,72.45;H,9.33;N,8.24。
【0085】
1−[(3−クロロキノキサリン−2−イル)アミノ]−4−メチルペンタン−2−オール(2a)
2,3−ジクロロキノキサリン(18.05g、90.7mmol)を、粗1a(11.7g、99.8mmol)およびEtN(19ml、13.8g、136mmol)をジオキサン(210ml)に溶かした溶液に加える。得られた溶液を、還流しながら(N下で)6時間加熱し、次いで室温に冷却する。EtN、HClを濾過により除き、濾液を減圧下で濃縮する。暗橙色の残渣を、溶離液:CH12/MeOH(100:0→99:1)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、黄色の固体が得られる(12.14g、48%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:0.72(d,3H)、0.78(d,3H)、1.60(m,3H)、3.68(m,4H)、5.82(t,1H)、7.58(m,4H);13C NMR(25MHz、CDCl)δ:22.17、23.35、24.60、44.32、48.62、69.67、125.30、125.62、127.91、130.36、136.52、137.92、140.59、148.62。C1418OClの分析計算値:C,60.10;H,6.49;N,15.02。実験値:C,59.87;H,6.62;N,15.25。
【0086】
1−[(3−クロロキノキサリン−2−イル)アミノ]−4−フェニルブタン−2−オール(2b)
2bは、2aについて記載されたプロトコルに従い、1bから得られる;2,3−ジクロロキノキサリン(9.95g、50mmol)、ジオキサン(250ml)中の1b(9.02g、55mmol)およびEtN(7.57g、75mmol)。粗生成物を、溶離液:CHCl/MeOH(98:2)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、黄色の固体が得られる(10g、61%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:1.76−1.97(m,2H)、2.70−2.90(m,2H)、3.53−4.05(m,4H)、5.96(t,J=5Hz,1H)、7.23−7.82(m,9H)。C1818OClの分析計算値:C,65.95;H,5.53;N,12.82。実験値:C,66.16;H,5.43;N,12.58。
【0087】
1−[(3−クロロキノキサリン−2−イル)アミノ]−4−メチルペンタン−2−オン(3a)
28.4mlのDMSO中に2a(6.96g、24.8mmol)、28.4mlのEtNおよび三酸化硫黄トリメチルアミン錯体(7.9g、56.8mmol)を入れた混合物を、終夜(N下で)室温で攪拌し、次いで、氷水(50ml)を加える。水相を、CHCl(3×30ml)に抽出する。回収した有機相を乾燥(CaCl)し、次いで減圧下で蒸発させる。残渣を、溶離液:C12/EtO(85:15)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、ベージュ色の固体を与える(4.18g、61%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:0.93(s,3H)、1.00(s,3H)、2.34(m,1H)、2.40(s,2H)、4.38(d,2H)、6.39(t,1H)、7.59(m,4H);13C NMR(25MHz、CDCl)δ:22.56、25.01、49.28、51.55、125.34、125.87、127.98、130.14、136.65、137.92、140.99、147.30、205.01。C1416OClの分析計算値:C,60.54;H,5.81;N,15.13。実験値:C,60.32;H,6.06;N,14.95。
【0088】
1−[(3−クロロキノキサリン−2−イル)アミノ]−4−フェニルブタン−2−オン(3b)
3bは、3aについて記載されたプロトコルに従い、2bから調製する;2b(4.7g、14.4mmol)、14.4mlのDMSO、14.4mlのEtN、およびMeN.SO(4g、28.8mmol)。生成物を、溶離液:C12/EtO(80:20)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、黄色の固体を与える(4.51g、96%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:2.82−3.01(m,4H)、4.38(d,J=5Hz,2H)、6.4(m,1H)、7.23−7.84(m,9H)。C1816OClの分析計算値:C,66.36;H,4.95;N,12.90。実験値:C,66.53;H,5.23;N,12.78。
【0089】
4−クロロ−1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン(4a)(EAPB0101)
4a(16.39g、23mmol)を、無水トリフルオロ酢酸(100ml)とトリフルオロ酢酸(1ml)との混合物中に可溶化させ、窒素下で室温で24時間攪拌する。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(300ml)に可溶化させる。有機相を、5%NaHCO溶液(75ml)で、次いで水で洗浄し、NaSOにより乾燥し、真空下で濃縮すると、橙色の油が得られる。生成物を、溶離液:C12/EtO(95:5)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、ベージュ色の固体を与える(5.04g、84%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:1.07(d,J=6−7Hz,6H)、2.16(m,1H)、3.11(d,J=6−7Hz,2H)、7.53−7.64(m,3H)、7.96−8.16(m,2H);13C NMR(25MHz、CDCl)d:22.41、26.88、36.66、115.39、126.50、128.41、128.94、130.04、132.02、134.37、135.61、136.60、143.66。C1414Clの分析計算値:C,64.74;H,5.43;N,16.18。実測値:C,64.66;H,5.55;N,15.86。
【0090】
4−クロロ−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン(4b)(EAPB0201)
4bは、4aについて記載されたプロトコルに従い、3bから調製する;3b(4g、12.2mmol)、無水トリフルオロ酢酸(100ml)、トリフルオロ酢酸(4ml)。生成物を、溶離液:CHCl/MeOH(98:2)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、黄色の固体を与える(2.5g、66%);H NMR(100MHz,CDCl)δ:3.20−3.31(m,2H)、3.53−3.68(m,2H)、7.32(s,5H)、7.54−7.63(m,3H)、7.99−8.31(m,2H);13C NMR(25MHz,CDCl)δ:30.05、33.80、115.34、126.54、126.66、128.19、128.46、128.70、129.94、129.20、133.00、139.72。C1814Clの分析計算値:C,70.24;H,4.58;N,13.65。実験値:C,70.04;H,4.96;N,13.82。
【0091】
1−イソブチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(5a)(EAPB0102)
4a(1g、3.85mmol)を、アンモニア水溶液(30%(重量/体積)で60ml、0.5mmol)の存在下で、120℃で4時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、次いで濾過する。沈殿物を、HO(10ml)で洗浄し、CHCl(25ml)に溶解し、有機相を乾燥し(NaSO)、次いで減圧下で濃縮する。粗生成物を、溶離液:CHCl/MeOH(90:10)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、黄色の固体を与える(0.75g、81%);H NMR(100MHz、DMSO−d)δ:2.07(m,J=6−7Hz,1H)、3.09(d,J=6−7Hz,2H)、7.08−8.05(m,7H)。C1416分析計算値:C,69.97;H,6.71;N,23.32。実験値:C,70.13;H,6.97;N,23.07。
【0092】
1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(5b)(EAPB0202)
5bは、5aについて記載されたプロトコルに従い、4bから調製する;4b(0.8g、2.6mmol);アンモニア水溶液(30%(重量/体積)で48ml、0.4mmol)。5aについて記載のとおりカラムクロマトグラフィにより精製したあと、黄色の固体が得られる(0.465g、62%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:3.10−3.24(m,2H)、3.48−3.63(m,2H)、5.74(s,2H)、7.20−7.48(m,8H)、7.69(d,J=7.2Hz,1H)、8.05(d,J=7.9Hz,1H);13C NMR(25MHz,CDCl)δ:29.75、34.00、115.01、123.09、125.94、126.33、126.78、128.08、128.46、130.51、130.89、137.50、140.04、148.44。C1816の分析計算値:C,74.98;H,5.59;N,19.43。実験値:C,74.86;H,5.75;N,19.37。
【0093】
1−イソブチル−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(6a)(EAPB0103)
メチルアミン水溶液(40%(重量/体積)で0.6ml、6.93mmol)を、4a(0.6g、2.31mmol)を無水エタノール(15ml)に溶かした溶液に、室温で攪拌しながら滴下して加える。40時間後、もう一回分のメチルアミン水溶液(40%(重量/体積)で0.6ml、6.93mmol)を加え、さらに3時間攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られる残渣を、CHCl(50ml)に溶解する。有機相を、5%NaHCO(30ml)およびHO(30ml)で連続して洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮する。生成物を、溶離液:C12/EtOAc(70:30)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、薄黄色の固体が得られる(0.49g、83%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:1.04(d,J=6.2Hz,6H)、1.90−2.35(m,1H)、3.03(d,J=7.0Hz,2H)、3.20(d,J=4.9Hz,3H)、6.10−6.40(m,1H)、7.10−7.55(m,3H)、7.60−8.00(m,2H);13C NMR(25MHz、CDCl)δ:22.43、26.93、27.37、36.65、115.15、122.49、125.93、 126.63、127.38、130.43、131.32、134.01、138.23、148.41。C1518の分析計算値:C,70.84;H,7.13;N,22.03。実験値:C,71.12;H,7.44;N,22.21。
【0094】
N−メチル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(6b)(EAPB0203)
6bは、6aについて記載されたプロトコルに従い、4bから調製する;メチルアミン水溶液(40%(重量/体積)で0.260ml、3mmol)、4b(0.307g、1mmol)。粗組成物を、溶離液:CHCl/MeOH(90:10)のカラムクロマトグラフィにより精製すると、黄色の固体が得られる(0.2g、66%);H NMR(100 MHz,CDCl)δ:3.07−3.22(m,5H)、3.42−3.58(m,2H)、6.56(d,J=5.6Hz,1H)、7.12−7.45(m,7H)、7.73(d,J=9.1Hz,1H)、7.98(d,J=7.9Hz,1H);13C NMR(25MHz,CDCl)δ:27.27、29.76、33.96、114.93、122.28、125.79、126.33、127.05、129.16、129.49、129.79、130.51、133.72、133.97、140.24、149.14。C1918の分析計算値:C,75.47;H,6.00;N,18.43。実験値:C,75.68;H,6.15;N,18.51。
【0095】
1−イソブチル−N,N−ジメチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(7a)(EAPB0104)
7aは、6aについて記載されたプロトコルに従い、4aから調製する;ジメチルアミン水溶液(40%(重量/体積)で1.3ml、11.55mmol)、無水エタノール(10ml)中の4a(1.03g、3.85mmol)。粗生成物を、溶離液:CHCl/MeOH(97:3)のシリカカラムのクロマトグラフィにより精製すると、白色固体を与える(0.8g、78%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:1.03(d,J=6−7Hz,6H)、2.16(m,J=6−7Hz,1H)、3.03(d,J=6−7Hz,2H)、3.58(s,6H)、7.15−7.41(m,3H)、7.62−7.72(m,1H)、7.86−7.95(m,9H);13C NMR(25MHz、CDCl)δ:22.42、26.75、36.89、40.00、114.86、122.05、125.80、126.50、126.80、126.98、129.51、131.08、134.74、137.74、149.15。C1620の分析計算値:C,71.61;H,7.51;N,20.88。実験値:C,71.77;H,7.23;N,20.64。
【0096】
N,N−ジメチル−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(7b)(EAPB0204)
7bは、7aについて記載されたプロトコルに従い、4bから調製する;4b(0.32g、1mmol)、ジメチルアミン水溶液(40%(重量/体積)で0.44ml、3.90mmol)。生成物を、7aについて記載されたとおりカラムクロマトグラフィにより精製すると、ベージュ色の固体が得られる(0.2g、65%);H NMR(100MHz、CDCl)δ:3.09−3.26(m,2H)、3.42−3.54(m,2H)、3.59(s,6H)、7.14−7.42(m,8H)、7.70(d,J=6.5Hz,1H)、8.00(d,J=6.9Hz,1H);13C NMR(25MHz、CDCl)δ:30.41、34.30、40.12、114.99、125.25、126.02、126.58、127.07、128.43、128.75、129.89、130.02、134.84、137.82、140.57、149.21。C2020の分析計算値:C,75.92;H,6.37;N,17.71。実験値:C,75.82;H,6.15;N,17.57。
【0097】
4−メトキシ−1−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,2−a]キノキサリン(8b)(EAPB0206)
ナトリウムメチラートのメタノール溶液を、ナトリウム(0.23g、10mmol)および乾燥メタノール(70ml)から調製した。4b(1g、mmol 4.9)を加え、得られた溶液を還流しながら2時間加熱し、室温で24時間攪拌した。反応混合物を真空下で蒸発乾固し、残渣をジクロロメタン(150ml)に溶かし、塩化ナトリウム(100ml)、水(100ml)で洗浄し、蒸発させると、粗生成物が得られ、溶離液:ジクロロメタン/メタノール(98/2)のカラムクロマトグラフィにより精製すると、化合物8b(1.3g、95%)が得られた;H NMR(200MHz、CDCl)δ:8.77(d,1H,H1)、8.27(dd,1H,H9)、7.81(dd,1H,H6)、7.74(d,1H,H2)、7.56(m,2H,H7+H8)、4.15(s,3H,OCH)。C1917Oの分析計算値:C,75.23;H,5.65;N,13.85。実験値:C,75.19;H,5.69;N,13.88。
【0098】
ジイミダゾ[1,2−a;1’,2’−d]ピラジン−5,10−ジオン(9)
塩化チオニル(40ml)中に懸濁させた2−イミダゾカルボン酸(2.5g、22.3mmol)。混合物を、攪拌しながら、18時間還流する。不透明な橙茶色の混合物が得られる。反応媒体を冷却し、次いでフリットで濾過する。このようにして得られる黄色固体を、トルエンで洗浄し、次いで真空下で乾燥する(3.52g、84.4%);H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.1(s,2H,ArH);7.45(s,2H,ArH)。Cの分析計算値:C,51.07;H,2.14;N,29.78。実験値:C,51.15;H,2.21;N,29.46。
【0099】
N−(2−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−カルボキサミド(10)
オルト−フルオロアニリン(1.91ml、19.77mmol)を、無水THF(13ml)の溶液に−10℃で混合し、次いでナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)(45.2ml、1MのTHF中で45.2mmol)の溶液を導入する。混合物を−10℃で1時間攪拌する。次いで、無水THF(20ml)中の9(1.77g、9.4mmol)の懸濁液を加え、得られた混合物を室温でおよそ3時間攪拌する。反応を停止するため、酢酸溶液を滴下して導入する。赤レンガ色の沈殿物が形成する。溶媒を真空下で蒸発させ、次いで、乾燥した残渣に、水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。赤茶色の沈殿物が現れるので、濾過により回収する。得られた固体を、水、次いでヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥する。茶色の固体が得られる(3.24g、80%);H NMR(300MHz、DMSO−d)δ:8.12(dd,1H,ArH)、7.92(dd,1H,ArH)、6.92(t,1H,ArH)、7.13(t,1H,ArH)、7.07(s,2H,CH−CH)。C10FNOの分析計算値:C,58.54;H,3.93;N,20.48。実験値:C,58.33;H,3.55;N,20.14。
【0100】
5H−イミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−オン(11)
10(2g、9.75mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(80ml)に可溶化し、水素化ナトリウム(NaH60重量%)(1.5g、62mmol)を加える。このように得られた混合物を15時間還流する。溶離液:MeOH/CHCl(10/90)のTLCで反応をモニターする。これでは完全でないので、2当量のNaHを加える。混合物を30時間還流する。反応が完全になると、混合物を真空下で濃縮し、次いで、乾燥した残渣に水および飽和塩化アンモニウム水溶液を加える。茶色の沈殿物が形成するので、濾過により回収し、水で洗浄し、真空下で乾燥する。ベージュ色の固体(1.42g、79%)が得られる。C10Oの分析計算値:C,64.86;H,3.81;N,22.69。実験値:C,64.44;H,4.03;N,22.98。
【0101】
4−クロロイミダゾ[1,2−a]キノキサリン(12)
化合物11(1.4g、6.4mmol)を、オキシ塩化リン(24ml)およびN,N−ジエチルアニリン(3.6ml)に可溶化する。得られた反応混合物をおよそ2時間還流する。生成物は、加熱後でもPOClに不溶である。溶離液:CHCl/MeOH(95/5)のTLCで反応をモニターする。TLCは最終生成物の存在を示すが、分解生成物の出現も示す。反応混合物は、暗茶色である。POClを真空下で蒸発させる。残渣を氷浴中で冷却し、少量の水を加え、POClを中和するための飽和炭酸水素ナトリウム溶液を滴下して加える。薄黄色の泡および茶色の沈殿物が現れる。固体を濾過により分離して、メタノールで再結晶する。ベージュ色の固体(0.97g、75%)が得られる;H NMR(300MHz、DMSO−d)δ:8.5(s,1H,N−CH−C)、8.06(d,1H,ArH)、7.56(s,1H,C−CH−N)、7.35(m,1H,ArH)、7.25(m,2H,ArH)。C10Clの分析計算値:C,58.98;H,2.97;N,20.64。実験値:C,59.12;H,2.76;N,20.45。
【0102】
N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(13)
化合物12(0.110g、0.54mmol)をEtOH(10ml)に可溶化し、メチルアミンを水に溶かした溶液(40重量%)(0.15ml、1.74mmol)を導入する。混合物を、オートクレーブ中で、室温で少なくとも15時間攪拌する。生成物は、最初不溶性であるが、その後すぐに可溶化する。反応の進行を、溶離液:CHCl/MeOH(95/5)のTLCで制御する。15時間の終わりに、1.5当量(0.06ml)のメチルアミンを加える。5時間攪拌すると、反応はもはや進行しない。溶媒を真空下で乾燥するまで蒸発させる。得られた黄色みを帯びた残渣を、ジクロロメタン(10ml)に可溶化する。この有機相を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)で、次いで水(10ml)で洗浄する。次いで、NaSOで乾燥し、真空中で蒸発させる。白色固体を回収する。痕跡量の出発生成物を除去するため、溶離液:CHCl/AcEt(70/30)のシリカゲルカラムで残渣を精製する。白色の固体(0.99g、93%)が得られる;H NMR(300MHz、DMSO−d)δ:7.92(s,1H,C−CH−N)、7.75(dd,J1=1.22Hz,J2=8.17Hz,1H,ArH)、7.65(dd,J1=1.26Hz,J2=8.06Hz,1H,ArH)、7.52(s,1H,N−CH−C)、7.4(t,1H,ArH)、7.25(t,1H,ArH)、6.15(s,1H,NH)、3.25(d,3H,−CH);13C NMR(200MHz、DMSO−d)δ:142.25、139.17、131.99、129.40、128.17、127.20、125.14、124.34、114.14、113.89、29.20。C1110の分析計算値:C,66.65;H,5.08;N,28.26。実験値:C,66.26;H,5.53;N,28.23。
【0103】
1−ブロモ−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(14)
クロロホルムに溶かした13(1.5g、7.5mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(1.5g、7.5mmol)の溶液を、2時間還流して加熱する。得られた反応混合物を冷却し、5%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発させる。溶離液:CHCl/MeOH(85/15)のシリカゲルカラムで、残渣を精製する。白色固体(1.18g、57%)が得られる;H NMR(300MHz、DMSO−d)δ:9.10(s,1H,C−CH−N)、7.75(dd,1H,ArH)、7.65(dd,1H,ArH)、7.4(t,1H,ArH)、7.25(t,1H,ArH)、6.15(s,1H,NH)、3.25(d,3H,−CH)。C11Brの分析計算値:C,47.68;H,3.27;N,20.22。実験値:C,47.33;H,3.53;N,20.53。
【0104】
鈴木反応の一般的な手順
DME(15ml)に溶かした14(300mg、1.08mmol)およびテトラキス(63mg、0.05mmol)の混合物に、対応するアリールボロン酸、次いで水(5ml)中の炭酸ナトリウム(234mg)を加える。Biotage合成器中で、140℃で20分間、密封したチューブ中で反応物にマイクロ波を照射する。反応物を水に注ぎ、ジクロロメタン(2×40ml)で抽出する。有機相を水(40ml)で洗浄し、乾燥し、真空下で濃縮して乾燥する。粗生成物を、カラムクロマトグラフィ(溶離液としてジクロロメタンを使用するシリカゲル)により精製する。
【0105】
N−メチル−1−フェニルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15a)(EAPB0403)
フェニルボロン酸(260mg、2.13mmol)。白色固体(90%);H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.15(s,1H)、7.99(dd,1H)、7.52(m,8H)、5.7(s,1H)、3.01(d,3H)。C1714の分析計算値:C,74.43;H,5.14;N,20.42。実験値:C,74.15;H,5.46;N,20.09。
【0106】
1−(3−メトキシフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15b)(EAPB0503)
3−メトキシフェニルボロン酸(329mg、2.16mmol)。白色固体(90%);H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:9.04(s,1H)、8(dd,1H)、7.82(m,2H)、7.4(m,3H)、6.99(d,1H)、6.86(s,1H)、5.7(s,1H)、3.83(s,3H)、2.88(d,3H)。C1816Oの分析計算値:C,71.04;H,5.30;N,18.41。実験値:C,71.40;H,5.66;N,18.09。
【0107】
1−(4−メトキシフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15c)(EAPB0703)
4−メトキシフェニルボロン酸(329mg、2.16mmol)。白色固体(95%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.14(s,1H)、8.00(d,1H)、7.67(m,3H)、7.5(m,2H)、7.05(m,2H)、5.77(s,1H)、3.82(s,3H)、2.99(s,3H)。C1816Oの分析計算値:C,71.04;H,5.30;N,18.41。実験値:C,71.18;H,5.58;N,18.13。
【0108】
1−(2−メトキシフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15d)(EAPB0803)
2−メトキシフェニルボロン酸(329mg、2.16mmol)。ベージュ色の固体(94%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.1(d,1H)、7.60(m,3H)、7.48(t,1H)、7.30(m,4H)、5.74(s,1H)、3.85(s,3H)、3.00(s,3H)。C1816Oの分析計算値:C,71.04;H,5.30;N,18.41。実験値:C,70.98;H,5.12;N,18.22。
【0109】
1−(3−エトキシフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15e)(EAPB0903)
3−エトキシフェニルボロン酸(360mg、2.17mmol)。白色固体(52%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.34(s,1H)、8.02(d,1H)、7.83(d,1H)、7.67(t,1H)、7.5(m,2H)、6.96(d,1H)、6.85(s,1H)、5.74(s,1H)、3.89(m,2H)、2.89(s,3H)、1.38(t,3H)。C1917Oの分析計算値:C,71.92;H,5.36;N,17.67。実験値:C,72.13;H,5.56;N,17.59。
【0110】
1−(3−ヒドロキシフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15f)(EAPB0603)
3−ヒドロキシフェニルボロン酸(329mg、2.16mmol)。白色固体(85%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.33(s,1H)、7.99(d,1H)、7.79(d,1H)、7.70(m,2H)、7.67(t,1H)、7.50(m,3H)、6.857(m,2H)、3.02(s,3H)。C1715Oの分析計算値:C,70.09;H,5.19;N,19.23。実測値:C,70.49;H,5.28;N,19.09。
【0111】
1−(3−ブロモフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15g)(EAPB01003)
3−ブロモフェニルボロン酸(435mg、2.16mmol)。黄色固体(78%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.18(s,1H)、7.90(m,2H)、7.67(t,1H)、7.50(m,2H)、7.45(m,3H)、5.74(s,1H)、2.98(s,3H)。C1713BrNの分析計算値:C,57.81;H,3.71;N,15.86。実験値:C,58.05;H,3.55;N,15.99。
【0112】
1−(3−(トリフルオロメチル)−フェニル))−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15h)(EAPB01103)
3−(トリフルオロメチル)−フェニルボロン酸(411mg、2.16mmol)。白色固体(98%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.14(s,1H)、8.10(s,1H)、8.02(m,2H)、7.85(d,1H)、7.60(m,2H)、7.48(t,1H)、5.74(s,1H)、2.96(s,3H)。C1812の分析計算値:C,63.34;H,3.52;N,16.42。実験値:C,63.03;H,3.86;N,16.74。
【0113】
1−(3−クロロフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15i)(EAPB01203)
3−クロロフェニルボロン酸(339mg、2.16mmol)。黄色固体(63%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.48(s,1H)、8.02(d,1H)、7.67(t,1H)、7.58(m,2H)、7.49(m,3H)、7.10(s,1H)、5.74(s,1H)、2.81(s,3H)。C1713ClNの分析計算値:C,66.13;H,4.24;N,11.48。実験値:C,66.35;H,4.01;N,11.25。
【0114】
1−(3−カルボキシフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15j)(EAPB01303)
3−カルボキシフェニルボロン酸(357mg、2.16mmol)。橙色の固体(87%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.41(d,1H)、8.26(s,1H)、8.01(m,2H)、7.80(m,4H)、7.58(m,2H)、7.47(t,1H)、2.95(s,3H)。C1814の分析計算値:C,67.92;H,4.43;N,17.60。実験値:C,67.72;H,4.35;N,17.63。
【0115】
1−(3−フルオロフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15k)(EAPB01403)
3−フルオロフェニルボロン酸(303mg、2.16mmol)。黄色固体(66%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.22(s,1H)、7.98(d,1H)、7.59(m,3H)、7.48(m,2H)、7.22(s,1H)、7.03(d,1H)、5.74(s,1H)、2.96(s,1H)。C1713FNの分析計算値:C,69.85;H,4.48;N,19.17。実験値:C,69.79;H,4.48;N,18.97。
【0116】
1−(3−シアノフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(151)(EAPB01503)
3−シアノフェニルボロン酸(351mg、2.16mmol)。ベージュ色の固体(84%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.41(s,1H)、8.13(d,1H)、8.00(d,1H)、7.77(d,1H)、7.64(m,3H)、7.51(m,2H)、5.77(s,1H)、2.76(s,3H)。C1813の分析計算値:C,72.23;H,4.38;N,23.40。実験値:C,72.01;H,4.71;N,23.25。
【0117】
1−(3−ニトロフェニル)−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15m)(EAPB01603)
3−ニトロフェニルボロン酸(399mg、2.16mmol)。ベージュ色の固体(95%)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.21(s,1H)、8.01(d,1H)、7.70(m,2H)、7.58(d,1H)、7.40(m,2H)、7.17(m,2H)、5.17(s,1H)、3.01(s,3H)。C1713Oの分析計算値:C,63.94;H,4.10;N,31.93。実験値:C,64.13;H,3.89;N,21.66。
【0118】
1−フラン−N−メチルイミダゾ[1,2−a]キノキサリン−4−アミン(15n)(EAPB01703)
フランボロン酸(243mg、2.16mmol)。白色固体(96)。H NMR(300MHz、CDCl−d)δ:8.24(s,1H)、7.90(m,3H)、7.83(s,1H)、7.62(t,1H)、7.50(m,2H)、7.12(m,2H)、6.98(s,1H)、5.74(s,1H)、4.85(d,1H)、2.85(s,3H)。C1516Oの分析計算値:C,68.17;H,4.58;N,21.20。実験値:C,68.20;H,4.56;N,21.17。
【0119】
2)メラノーマに対する試験
インビトロ細胞傷害活性試験
ヒト由来のガン細胞株、A375メラノーマに対して、増殖抑制活性を最初に測定した。その後、細胞傷害活性試験を、最も活性の高い分子で、他のメラノーマガン細胞株、および結腸ガン、乳ガン、卵巣ガン、Bリンパ腫の細胞株に実施した。
【0120】
イミキモドおよびフォテムスチン(Muphoran(登録商標))をこの試験においてコントロールとして使用する。
【0121】
いくつかのヒト癌腫細胞株を使用した:
ヒトメラノーマ由来A375、M4Be、RPMI7591細胞株、
結腸癌腫由来LS174T細胞株、
卵巣癌腫由来A2780細胞株、
Bリンパ腫由来Raji細胞株、
乳癌腫由来MCF7細胞株。
【0122】
IC50(コントロールウェルに見られる最大細胞増殖の50%を阻害する被験生成物の濃度)を、被験生成物の濃度の関数としての細胞増殖のパーセンテージの曲線から、図を用いて決定する。
【0123】
a)インビトロ細胞傷害活性試験の結果
インビトロでA375メラノーマ細胞株で試験された各生成物のIC50および標準偏差を表1に示す。
【0124】
被験化合物は以下の構造を有する:
【化15】
【0125】
【表1】
表1:化合物の構造およびそのインビトロでの細胞傷害活性
【0126】
IC50値を比較すると、被験化合物の中で非常に活性の高い2種の分子、すなわちEAPB0203(IC50=1.57μM)およびEAPB0202(IC50=2.35μM)が分かる。実際に、EAPB0203は、発明者らの「リード」化合物に対応し、活性が、フォテムスチンより110倍、イミキモドより50倍高い。EAPB0202は、EAPB0203に非常に近い活性を示し、(EAPB0204の約2倍活性が高い)、そのIC50は、フォテムスチンの70倍、イミキモドの30倍である。他の化合物は、20から100μMの間のIC50を有する。フォテムスチンおよびイミキモドのIC50を表2に示す。
【0127】
次いで、発明者らの「リード」化合物EAPB0203を、他のヒトメラノーマ細胞株(M4BeおよびRPMI7591)、LS174T(結腸ガン)、MCF7(乳ガン)、およびRaji(Bリンパ腫)で試験し、イミキモドおよびガンの各種類に対する適当な基準分子と比べることによりその考えられる活性を観察した。
【0128】
IC50値を表2に示す。
【表2】
表2:A35、M4Be、およびRMPI7590(メラノーマ)、LS174T(結腸ガン)、MCF7(乳ガン)、Raji(Bリンパ腫)に対するイミキモド、フォテムスチン、メトトレキサート、イリノテカン、ドキソルビシン、およびEAPB0203のIC50
【0129】
EAPB0203が、試験された種々のガン細胞株に対しμM程度の活性を有し、メラノーマに対しては、基準分子フォテムスチンに比べ著しい活性を示すことが結論づけられる。
【0130】
イミダゾ[1,2−a]キノキサリンシリーズに第2の合成戦略を適用すると、他の分子を合成でき、それらをインビトロでA375に対して評価した。IC50値を、EAPB0203と比較して表3に示す。
【0131】
【表3】
表3:化合物の構造およびそのインビトロでの細胞傷害活性
【0132】
EAPB0203を、Rの位置で種々のアリール基により、R’の位置でメチルアミンにより置換すると(表3)、化合物のライブラリーが得られた。IC50値を比較すると、これらの有望そうな化合物のいくつか(15b、15c、15th、15f、15g)は、EAPB0203より高い活性を示すことが分かる。さらに、試験された化合物はどれも、基準として使用されたフォテムスチンおよびイミキモドよりも高い活性を示す。
【0133】
最近、先行化合物に関してイミダゾール環の1位ではなく2位に置換基Rを有する新規化合物が、メラノーマ(A375)に対して向上した抗ガン活性を明らかに示している。実際に、例えば、2位に3−メトキシフェニルが置換しているEAPB0503に対応する化合物は、EAPB0503の10倍の活性(IC50=0.018μM)を示し、EAPB0203の100倍の活性を示す。
【0134】
インビボでのEAPB0203の増殖抑制活性の試験(メラノーマ)
この試験では、無胸腺マウスに異種移植された、1種のヒトメラノーマ腫瘍モデル(M4Be細胞株)の体積に対するEAPB0203の活性に関してデータを表す。この試験は、予備ステップとして、適切な動物モデルを確立する前に、無胸腺マウスでのヒトメラノーマ細胞株のグラフトのいくつかの試験を必要とした。インビボ試験は、先に記載されたインビトロ実験の後で実施した。
【0135】
a)マウスでのEAB0203の50%致死量(LD50)の測定
EAPB0203のLD50を、3種の用量、30mg/kg、300mg/kg、および450mg/kgで測定した。48時間後、最高用量でのEAPB0203は、明らかな毒性を全く示さなかった。したがって、それは、マウスにおいて急性毒性(LD50>450mg/kg)を示さない。
【0136】
b)インビボでのEAPB0203の活性
EAPB0203は、ヒトメラノーマ細胞、特にM4Beにおいてインビトロで著しい細胞傷害活性を誘起する。ヒトメラノーマの腫瘍成長に対する、インビボのEAPB0203の活性および特異性を、種々の用量のフォテムスチンおよびEAPB0203の投与により治療されているM4Beメラノーマ保持マウスにおいて腫瘍の発生をモニターして評価する。
【0137】
この試験では、18匹のスイスヌードマウス(6匹のマウスが3群)を使用した。プロトコルの始めに、懸濁状態のM4Beガン細胞を、7週齢で体重が20〜22gのメスの無胸腺スイスヌードマウスのそれぞれの右脇腹に皮下注射した。次いで、マウスを滅菌雰囲気に保ち、無菌の食餌および水を与えた。マウスの体重および3次元での腫瘍の成長を、週に2回記録した。
【0138】
第1群の6匹のマウス(基準)には、腫瘍が見え触診できるようになる接種の7日後から始め、20mg/kgの用量で週に1度3週間、腹膜内経路によりフォテムスチンを与える。第2群の6匹のマウスには、同じ用量20mg/kgで腹膜内経路により、週に2度(週あたり40mg/kg)でEAPB0203を与える。第3群(コントロール)の6匹のマウスには、投与キャリアのみを与える。腫瘍の体積を以下の式:長さ×幅×高さ×0.52により計算し、平均±SEMmmとして表す。
【0139】
フォテムスチンおよびEAPB0203では、投与の周期は、3週間の治療、次いで2種間治療なし、次いで第2の3週間の治療である。
【0140】
EAPB0203(週に2度20mg/kg)は、体重の減少および明らかな副作用がなく忍容性が高かった。EAPB0203により治療したマウスは、コントロールマウスおよびフォテムスチンマウスに比べ、腫瘍の成長が著しく遅くなった(図1)。コントロール群では、最後のマウスを55日目に屠殺したが、腫瘍体積は2cmに達していた。フォテムスチン群では、最後のマウスを76日目に安楽死させたが、EAPB0203群では、1匹のマウスで、未だ2cm未満の腫瘍体積であった。
【0141】
c)薬物動態学試験
高速液体クロマトグラフィおよび質量分析による検出(LC/ESI−MS)による化合物EAPB0203、EAPB0503、およびEAPB0603のアッセイの方法を開発し、ヒトおよびラット血漿で確認した。試料の前処理は、酸性媒体中の血漿タンパク質の沈殿に次ぐ固液抽出からなる。用いるクロマトグラフィカラムは、C8 Zorbax eclipse XDBであり、移動相(グラディエント)は、アセトニトリルとギ酸塩緩衝液の混合物(pH3)(流速0.8ml/分)である。展開された方法の正確度は14%以下であり、精度は92から113%である。抽出係数は72%より高い。定量限界は、全検体で5μg/lである。マトリックス中の化合物の安定性試験も行った。これらの方法を利用して、ラットにおける化合物EAPB0203、EAPB0503、およびEAPB0603の薬物動態学パラメータを決定した。化合物EAPB0203およびEAPB0503の50%致死量は、それぞれ14.8および7.6mg/kgである。ラットにおいて、EAPB0603は、EAPB0503の活性代謝物である。用量5mg/kgでのEAPB0503の静脈内投与後、薬物動態学的パラメータは以下のとおりである:i)EAPB0503:全身クリアランス、2.2 l/h/kg;平衡時分布容積、5.6 l/kg;血漿濃度曲線下面積、2.31mgxh/lおよび消失半減期、1.76時間:ii)EAPB0603:血漿濃度曲線下面積、0.439mgxh/lおよび消失半減期、4.7時間;EAPB0203:全身クリアランス、2.9 l/h/kg;平衡時分布容積、10.6 l/kg;血漿濃度曲線下面積、0.87mgxh/lおよび消失半減期、2.6時間。
【0142】
D)ラットにおける化合物EAPB0503およびEAPB0203の半慢性毒性
動物をランダムに4群に分けた:
第1群:5匹の動物に、静脈内経路により5mg/kgの用量で、1日1回5日間、EAPB0203を与える、
第2群:5匹の動物に、静脈内経路により3mg/kgの用量で、1日1回5日間、EAPB0503を与える、
第3群:3匹の動物に、1日1回5日間、キャリア(100μlのDMSO)を与える、
第4群:3匹の動物に治療せず、コントロールとして扱う。
【0143】
試験した化合物は水性媒体に不溶性であるため、100μlのDMSOに可溶化し、その後尾静脈に投与する。
【0144】
臨床継続管理:毒性の兆候および挙動の変化に注意するため、各ラットの臨床検査を1日2回行う。体重ならびに水および食餌の消費を毎日測定する。
【0145】
血液学的試験:
試験した化合物の考えられる血液学的毒性を評価するため、治療開始前、次いでその4日後、7日後に、心臓穿刺によりEDTAを含むチューブに0.5mlの血液を採取した。以下の血液学的試験を実施した:
赤血球数、
血小板数、
白血球数、
ヘモグロビンレベル、
ヘマトクリット。
【0146】
7日後、セボフルランで動物を安楽死させ、主要臓器(肝臓、腎臓、脾臓、肺、心臓、および脳)の肉眼での検査を実施する。次いで臓器を取り出し、解剖病理学的検査を行った。治療は、どの動物にも忍容性が高かった。体重増加ならびに水および食餌の消費は、治療された動物とコントロールの動物で同等であった。血液学的毒性は全く観察されなかった。臓器の肉眼での検査でも異常がなかった。解剖病理学的検査は実施中である。
【0147】
3)T細胞リンパ腫に対する試験
レトロウイルスHTLV−Iにより形質転換された成人T細胞白血病(ATL)(HuT−102、MT2...)および悪性HTLV−I陰性T細胞(CEM、Jurkatt...)に対するEAPB0203のインビトロ活性を評価した。最初に、これらの細胞株の細胞成長に対するEAPB0203の作用を2種の技術、非放射性「CellTiter96(登録商標)」細胞成長キットおよびトリパンブルー排除法により評価した。1から10μMのEAPB0203の濃度は、結果として、ATL細胞およびHTLV−Iに関連しない悪性T細胞の成長に対し、連続的な用量依存性の阻害を有した。EAPB0203は、ATLの患者2人から誘導された新しい白血病細胞の細胞増殖にも阻害を誘起した。その一方で、PHAにより活性化された、または活性化されていない、2人の健常な被験者由来の正常なリンパ球は、完全にEAPB0203に耐性を示した(図2)。
【0148】
試験した細胞株でのEAPB0203により起こる細胞増殖の阻害の機序を、フローサイトメトリーにより決定した。この試験は、細胞周期の種々の期にある細胞の分布を評価した。処理した細胞では、G2期の細胞の累進蓄積が見られたが、G1期の細胞は減少した。細胞周期の分析は、種々の処理した細胞株におけるプレG0/G1アポトーシス集団の存在も強調する。このプレG0/G1ピークは、DNAの中身が、細胞死の間に分裂したDNA断片の損失により減少する細胞に相当する(図3)。
【0149】
イミキモドが、固有のミトコンドリア経路によりアポトーシスによる細胞死を誘起するという仮定に基づき、作用機序の決定を研究した。二重標識、すなわちFITC結合アネキシンVによる細胞膜標識およびヨウ化プロピジウム(PI)による核標識、それに次ぐ蛍光顕微鏡法による分析により、アポトーシスの研究を実施した。ホスファチジルセリン(PS)の外面化を示すアポトーシス細胞は、アネキシンV+により標識されたが、PI−のままである一方で、死んだ細胞はPI+である。蛍光顕微鏡法による分析により、処理の後のアポトーシス細胞のパーセンテージを測定できた。ヘキスト33342でのクロマチンの標識により、類似の実験も実施した。これにより、アポトーシスの指標であるクロマチンの縮合のパーセンテージの評価ができる。
【0150】
ミトコンドリアは、アポトーシス機構に中心的な役割を果たしている。アポトーシスプロセスの間の第1の検出可能な細胞の障害は、ミトコンドリアの膜内外電位差の低下である。
【0151】
この低下は、ローダミン123色素に次いで懸濁状態の細胞のフローサイトメトリーを利用して示される。
【0152】
処理された細胞株中のシトクロムCの細胞内局在化は、EAPB0203による処理後の細胞質内のシトクロムCの存在を表し、アポトーシスの間のミトコンドリアによるシトクロムCの塩析を示している。
【0153】
アポトーシスがカスパーゼの活性化によるものか否かを知るために、観察されるアポトーシスを研究する。種々の処理の後でタンパク質細胞抽出物を得て、特定のタンパク質の発現の評価をウエスタンブロットにより研究した。実際に、CEMおよびHuT−102細胞において、EAPB0203により誘起されるアポトーシスは、PARPの分裂が示すとおりカスパーゼの活性化に、そして活性化形態のプロカスパーゼ−3、プロカスパーゼ−8、およびプロカスパーゼ−9の活性化に関連していた。さらに、カスパーゼ阻害剤zVADにより同時処理すると、EAPB0203により誘起されるアポトーシスの部分的な保護が可能であったが、これは、細胞死へのカスパーゼの関与およびEAPB0203により誘起される成長抑制を直接示すものである。
【0154】
ミトコンドリア経路の活性化は、Bcl−2ファミリーのメンバーにより制御される。EAPB0203は、IAP−1タンパク質(カスパーゼ阻害剤)およびbcl−xL(抗アポトーシスタンパク質)の発現の著しい低減を誘起した。HTLV−Iに感染したか、または感染していない細胞株において、細胞周期の調整剤に対するEAPB0203の効果を研究する。タンパク質p21およびp53の発現の大幅な増加が、EAPB0203により処理されたHuT−102およびMT2細胞(HTLV−I陽性)に観察される。
【0155】
これらの結果は、p53が、G2期の細胞周期の停止に重要な役割を果たすことを示唆する。実際に、p53は、p21の転写を正に調節する。p53によるp21の活性化は、BおよびCdc2サイクリンの発現低下を起こし、その後G2/Mでの細胞周期の停止が起こる。
【0156】
EAPB0203による処理の後のアポトーシスの関与が示される。実際に、研究した細胞の固有ミトコンドリア経路の活性化が示される。処理後に得られる、ミトコンドリアの膜内外電位差の低下は、ミトコンドリア細孔の開放およびシトクロムCなどのアポトーシス誘導性分子の放出を可能にするアポトーシス促進性プロセスを支持している。
【0157】
形質転換された悪性T細胞およびHTLV−I陰性細胞の細胞増殖およびアポトーシスに対するEAPB0203の効果の研究は、悪性細胞に対する選択的な効果を示し、ATLおよび他のHTLV−I陰性リンパ腫の患者における、皮膚リンパ腫の全身的または局所的な療法としてのEAPB0203の治療的な役割を支持する。
図1
図2
図3