【文献】
A. Nordell, et al.,"Liver Function Test using SVD-based Deconvolutional Analysis in Gd-EOB-DTPA-Enhanced MRI",Proc. Intl. Soc. Mag. Reson. Med. 14,2006年 5月,#2204
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒトの少なくとも一つの器官の機能を経時的に決定するのに適したコンピュータをベースにしたシステム(1900)であって、前記器官が、肝臓又は腎臓などの分泌性又は排出性機能をもち、
前記システムが、
画像モダリティーによって得られた4次元(4D)画像データのセットを処理し、4次元(4D)画像データの前記セットに基づいて、前記少なくとも一つの器官の単位体積毎に前記少なくとも一つの器官の前記機能に関連付けられたパラメータの値を決定するために構成された処理ユニットを備え、
前記器官の機能不全の診断が、前記パラメータの前記決定された値の健康な母集団の前記パラメータの前記決定された値との比較によって促進され、
前記単位体積が前記4D画像データの体積要素であり、
前記少なくとも一つの器官は肝臓を含み、前記システムは肝臓の機能を測定するのに適しており、当該肝臓の機能が肝臓の少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは複数の部分又は亜区域における前記肝臓の肝臓摘出断片(HEF)パラメータを含み、
前記処理ユニットは、複数の前記体積要素を有する前記画像データに係る関心領域のおのおのの体積要素に対する前記HEFのパラメータ及び入力相対血液流(irBF)の値を算出し、ここで、前記体積要素はすべて肝細胞の実質部と血管との異なる比を持ち、前記入力相対血液流(irBF)は肝臓抽出曲線の基準化された初期ピーク値であり、
前記処理ユニットは、前記HEF及び前記入力相対血液流(irBF)の値に線形回帰を適用して関心領域に局所的なHEFと局所的な入力相対血液流(irBF)を算出するように構成されてなるシステム。
前記処理ユニットが、前記少なくとも一つの器官への動脈血流に対する前記器官の前記部分又は前記亜区域にて前記処理ユニットによって決定された前記少なくとも一つの器官の血液流に基づいて前記少なくとも一つの機能を決定するように構成されてなる請求項2記載のシステム。
前記処理ユニットは前記少なくとも一つの器官の前記機能を決定するように構成され、肝臓又は腎臓若しくは肝臓及び腎臓などの前記少なくとも一つの器官からの静脈の血流に対する前記少なくとも一つの前記部分又は亜区域における血流を決定するために構成されてなる請求項2記載のシステム。
前記少なくとも一つの器官が肝臓を含み、前記システムが前記肝臓の機能を決定するために適合され、前記肝臓の機能が、前記肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された前記肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)を含んでなる請求項2乃至4のいずれかに記載のシステム。
前記処理ユニットが、前記TSVD算出に基づいて前記HEF及び/又は前記肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)のためのパラメータマップを決定するように構成されてなる請求項6記載のシステム。
前記画像モダリティーが磁気共鳴イメージング(MRI)モダリティーであり、前記4D画像データセットがT1強調された動的に造影が促進された(DCE)MRIによって得られたMRI画像データセットであり、前記4D画像データセットが、前記少なくとも一つの器官に対して特異的な造影剤によって少なくとも部分的に造影促進されてなる請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム。
前記少なくとも一つの器官に対して特異的な前記造影剤が肝細胞に対して特異的な造影剤であり、前記4D画像データセットがT1強調された動的な肝臓に特異的に造影促進された(DHCE)磁気共鳴イメージング(MRI)により得られたMRI画像である請求項9記載のシステム。
前記4D画像データセットが、動的な肝臓腎臓に特異的に造影が促進された(DHRCE)磁気共鳴イメージング(MRI)によって得られたMRI画像データセットである請求項11記載のシステム。
前記肝細胞に特異的な造影剤が、ガドリニウム エトキシベンジル ジエチレントリアミン五酢酸(Gd−EOB−DTPA)である請求項10乃至12のいずれかに記載のシステム。
前記処理ユニットが特異値分解(TSVD)算出に基づいて、前記肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)を決定するように構成されてなる請求項5記載のシステム。
前記処理ユニットが、たたみ込みから元の関数を得る分析(DA)を実行するように構成され、前記分析が前記4D画像データに基づく特異値分解(SVD)を用いる逆行列を含む請求項1〜14のいずれかに記載のシステム。
ヒトの肝臓及び/又は腎臓などの少なくとも一つの分泌性又は排出性の器官の機能を経時的に決定するためにコンピュータ装置によって処理するためのコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムが、画像モダリティーによって得られた前記ヒトの4次元(4D)画像データのセットの処理に基づいて前記少なくとも一つの器官の単位体積毎に前記少なくとも一つの器官の前記機能に関連するパラメータの値を決定するための第一コードセグメントを含む複数のコードセグメントを備えており、健康な母集団の以前に決定された値との前記パラメータの決定された値の比較によって前記器官の機能不全の診断を促進し、
前記少なくとも一つの器官は肝臓を含み、
前記コンピュータプログラムは、肝臓の機能を測定する前記コードセグメントを含み、当該肝臓の機能は、肝臓の単位体積における肝臓の肝臓摘出断片(HEF)のパラメータを含み、前記単位体積が前記4Dデータの体積要素であり、
前記コンピュータプログラムは、複数の前記体積要素を有する前記画像データに係る関心領域のおのおのの体積要素に対する前記HEFのパラメータ及び入力相対血液流(irBF)の値を算出し、ここで、前記体積要素はすべて肝細胞の実質部と血管との異なる比を持ち、前記入力相対血液流(irBF)は肝臓抽出曲線の基準化された初期ピーク値であり、
前記コンピュータプログラムは、前記HEF及び前記入力相対血液流(irBF)の値に線形回帰を適用して関心領域に局所的なHEFと局所的な入力相対血液流(irBF)を算出してなる
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
前記単位体積が前記少なくとも一つの器官の少なくとも一つの部分又は少なくとも一つの亜区域、若しくは複数の部分又は複数の亜区域であり、前記4D画像データを処理する工程が前記少なくとも一つの器官の部分又は亜区域レベルにおいて実行される請求項17記載のコンピュータの作動方法。
前記少なくとも一つの器官の前記機能を決定する前記工程が、前記少なくとも一つの器官への動脈血流に対する前記器官の前記部分又は亜区域で前記少なくとも一つの器官における血液流を決定する工程に基づいている請求項18記載のコンピュータの作動方法。
前記少なくとも一つの器官の機能を決定する工程が、肝臓又は腎臓若しくは肝臓及び腎臓などの前記少なくとも一つの器官からの動脈の血流に対する前記少なくとも一つの器官の前記部分又は亜区域における血液流を決定する工程を含む請求項19記載のコンピュータの作動方法。
前記少なくとも一つの器官が肝臓を含み、前記方法が、前記肝臓の機能を決定する工程と、前記肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流を決定する工程によって、肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された前記肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)を決定する工程を含んでなる請求項18に記載のコンピュータの作動方法。
前記少なくとも一つの一つの器官が肝臓を含み、前記方法が、前記肝臓の少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは複数の部分又は亜区域における肝臓摘出断片(HEF)を決定する工程によって前記肝臓の機能を決定する工程を含んでなる請求項17記載のコンピュータの作動方法。
前記TSVD算出に基づいて前記HEF及び/又は前記肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)のためのパラメータマップを決定する工程を含んでなる請求項23記載のコンピュータの作動方法。
前記画像モダリティーが磁気共鳴イメージング(MRI)モダリティーであり、前記4D画像データセットがT1強調された動的に造影が促進された(DCE)MRIによって得られたMRI画像データセットであり、前記4D画像データセットが、前記少なくとも一つの器官に対して特異的な造影剤によって少なくとも部分的に造影促進されてなる請求項17に記載のコンピュータの作動方法。
前記少なくとも一つの器官に対して特異的な前記造影剤が肝細胞に対して特異的な造影剤であり、前記4D画像データセットがT1強調された動的な肝臓に特異的に造影促進された(DHCE)磁気共鳴イメージング(MRI)によって得られたMRI画像データセットである請求項26記載のコンピュータの作動方法。
前記4D画像データセットが、動的な肝臓腎臓に特異的に造影が促進された(DHRCE)磁気共鳴イメージング(MRI)によって得られたMRI画像データセットである請求項28記載のコンピュータの作動方法。
特異値分解(TSVD)算出に基づいて肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)を決定する工程を含んでなる請求項21に記載のコンピュータの作動方法。
前記処理工程が、たたみ込みから元の関数を得る分析(DA)を実行する分析工程を含み、前記分析工程が、前記4Dに基づく特異値分解(SVD)を用いる逆行列を含む請求項17に記載のコンピュータの作動方法。
前記少なくとも一つのHEF又は肝臓への入力血液流に対する、前記処理ユニットによって決定された前記肝臓の前記少なくとも一つの部分又は亜区域若しくは前記複数の部分又は亜区域における血液流に基づく前記肝臓の入力相対血液流(irBF)若しくはHEF及びirBF、パラメータマップが少なくとも一つの対応する解剖学的な画像上に重ねられてなる請求項33に記載のグラフィカルユーザ・インタフェース。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面に示された実施形態の詳細な説明において用いられた用語は、本発明の限定になることを意図されていない。図面における、類似の符号は類似の要素を言う。
【0033】
本発明の特定の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得るものであり、本明細書において述べた実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ当該実施形態は、この開示が理解され、そして完全なものになり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えられるように、提供される。より詳細には、以下の記載に与えられたいくつかの実施形態が肝機能評価、とりわけ肝機能についてのMRIをベースにした画像分析に適用可能な方法及びシステムであることに焦点をあてている。しかし、本発明はこの適用に限られず、例えば後述するものを含む、多くの他の医療分野、治療及び/又は分泌性又は排出性の器官に適用され得るものであることが認識されるであろう。実施形態において、T1強調がなされた、動的な肝臓に特異的な造影が促進された(DHCE)MRIは3D画像データを提供する。その後の時間に得られた複数の3Dデータのセットは、4D画像データセットを提供する。当該4D画像データセットは、肝臓の部分レベル又は部分の部分レベル上で肝機能の評価のために処理される。当該部分は、4D画像データの体積要素まで小さくなり得る。該肝機能パラメータの値は、4Dデータセットを処理することから決定される。
【0034】
肝臓における血流は肝臓の入力血流(入力された相対血流、irBF)に対する部分又は
亜区域レベルで決定される。
【0035】
肝臓における血流は、肝臓における静脈流に対する部分又は
亜区域レベルで決定される。
【0036】
肝臓における血流は、肝臓全体で決定される。その代わりに、又は追加で、部分又は
亜区域レベルで決定され得る。血流は、肝臓の動脈に対して決定され得る。
【0037】
肝臓の肝臓摘出断片(HEF)は、いくつかの実施形態においては、体積要素レベルにまで下げられた部分又は
亜区域レベルで決定される。以前、HEFは器官全体のレベルでのみ判断されていた。HEFが、体積要素まで下げられた部分又は
亜区域レベルで提供されるので、新規かつより有効な診断と処置の機会が生じる。
【0038】
肝機能は、その単位体積毎に決定され得る。肝臓又はその部分の体積は、例えば、MRIモダリティーといった画像モダリティーによって提供された3D画像データから決定され得る。この方法では、局所的なHEFが肝臓の比体積と相関関係があり得る。すなわち、HEF/体積が決定される。
【0039】
これは、例えば、なされるべき外科的処置の仮想的な計画を可能にする。肝臓の障害のある部分の切除前に器官の一部の外科的な除去のコンピュータをベースにした仮想的な計画は、術後に残存する肝機能の算出を可能にする。これが、臨床医の視点と患者の安全上の観点からの主要な利点である。
【0040】
肝臓摘出断片(HEF)及び/又は肝臓の入力相対血流(irBF)は、いくつかの実施形態において、器官の部分又は
亜区域レベルで、切り捨てられた特異値分解(TSVD)の算出に基づいて決定される。これは、例えば、臨床的に受け入れられる算出時間を可能にするのでコンピュータ的に有利である。
【0041】
TSVDは、いくつかの実施形態において、パラメータ・マップを決定するために使用されるので有利である。当該パラメータ・マップは、器官機能の効率的で迅速な診断を提供する
【0042】
いくつかの実施形態において、HEFとirBFがパラメータ・マップの形態で視覚化される。
【0043】
いくつかの実施形態において、解剖学上の画像の上に重ねられたパラメータ・マップの形態で視覚化される。
【0044】
計算結果、外科的治療の仮想的な計画又は他の処置は、例えば、医療ワークステーションの表示装置に与えられる。実施形態の算出結果に基づく治療や処置の計画は、ユーザ入力によって操作される協働的な方法で、医療ワークステーション、例えば
図12を参照して後述するシステムの表示装置上で視覚的になされ得る。
【0045】
一実施形態において、磁気共鳴イメージング(MRI)とガドリニウム エトキシベンジル ジエチレントリアミン五酢酸(Gd−EOB−DTPA)(ドイツ連邦共和国、ベルリンのシェリング・アクチェン・ゲゼルシャフト社のPrimovist(登録商標))とを肝臓に特異的な造影剤として用いる動的な肝機能検査が使用されている。Gd−EOB−DTPAは、肝臓と腎臓の経路を通る等しい排出の特有の特性を有している。
【0046】
Gd−EOB−DTPA用の造影剤の取り込み及び排出の二重経路(50%肝細胞取り込み、胆汁排出)(50%糸球体濾過による腎臓排出)が、本モデルを、肝臓及び腎臓両方の機能の同時監視及び/又は決定のために使われることを可能にしており、これは当該造影剤とあいまって、この方法の特有の特性である。
【0047】
よって、動的な肝臓−腎臓に特異的に造影が促進された(DHRCE)磁気共鳴イメージング(MRI)が提供され、実施形態によるか、実施形態に合う3D又は4Dを得るために提供され、そして使用される。
【0048】
臨床での使用のために入手可能で、かつ当該方法のいくつかの態様に適合し得る他のガドリニウムをベースにした造影剤は、バイエル シェリング ファルマ社のガドペンテト酸ジメグルミン(商品名)のMagnevist(登録商標)、ジーイー ヘルスケア社のガドジアミド(商品名)のOmniscan(登録商標)、ゴシア/ゲルベート社のGd−DOTA(商品名)であるDotarem(登録商標)、イニチオス メディカル エービー/ブラッコ社のガドテリドール(商品名)のProhance(登録商標)、バイエル シェリング ファルマ社のガドブトロール(商品名)のGadovist(登録商標)を含んでいる。
【0049】
臨床での使用のために入手可能で、かつ当該方法の他の態様に適合し得る他の器官に特異的な造影剤は、ゴシア/ゲルベート社のフェルモキシド(商品名)(SPIO)(80〜150nm)のEndorem(登録商標)、バイエル シェリング ファルマ社のフェルカルボトラン(商品名)(SPIO)(60nm)のResovist(登録商標)、ジーイー ヘルスケア社のマンガホジピール トリソジウム(商品名)のTeslascan(登録商標)、イニチオス メディカル エービー/ブラッコ社のガドベン酸メグルミン(商品名)のMultiHance(登録商標)、バイエル シェリング ファルマ社のガドフォスフェゼートトリナトリウム(商品名)のVasovist(登録商標)を含んでいる。しかし、後者の造影剤は肝臓に特異的な造影促進には適さず、腎臓などの他の分泌性又は排出性の器官に適しているかもしれない。
【0050】
当該方法及びシステムの実施形態は造影剤としてのGd−EOB−DTPAの使用に限られない。他の将来又は現在入手できる肝臓又は器官に特異的な造影剤も適合し得る。
【0051】
造影剤が静脈内に投与される場合に、肝臓中の濃度が、血液の経時的な再循環と分散による影響を受ける。それゆえ、応答関数は、インパルス応答と入力関数のたたみ込みとして記載され得る。
図2Aは、興味のある器官が、インパルス応答を与える短いインパルス関数によって示されるときの理想的な場合を示している。説明したとおり、実際には、興味のある器官は入力関数によって示され、経時的に変化するため、
図2Bに示されるとおりに、応答関数に影響を及ぼす。
【0052】
トレーサの再循環の影響を克服するために、たたみ込みから元の関数を得る分析(DA)が、入力関数として求心性の相対促進曲線と、応答関数として肝臓相対促進曲線とを用いて適用される。DAのために、逆行列と特異値分析(SVD)が実行される。
【0053】
測定された肝臓造影促進率は、入力関数ための条件を必須としている実際の肝細胞関数よりも、肝臓灌流に依存している。これは、高い肝臓摘出率をもつトレーサについてはとくに当てはまる。
【0054】
理想的には、再循環の影響を克服するために、トレーサの投与が、肝臓の求心性の血液供給、すなわち門脈又は肝臓動脈内に血管内への短時間に大量になされなければならない。周辺の静脈内投与は、臨床での実務として用いられているように、肝臓によって受け入れられた、心臓の出力フラクション(output fraction)に等しい第一通過の間に注入された低い割合のトレーサをもって肝臓になされる。その後、肝臓は、再循環と同時摘出及び排出のために、絶えずトレーサの濃度変化を受ける。門脈又は肝臓動脈へのトレーサの直接投与は、肝臓イメージングが行われるときの臨床の状況ではなされない。
【0055】
しかしながら、原理は、たたみ込みから元の関数を得る分析(DA)の使用によって模擬的に再現することができる。DAは、器官に与えられる造影剤の濃度変更のための器官の時間活動性曲線を補正する。当該方法は、フーリエ変換(FT)に基づいてたたみ込みから元の関数を得て、動物の研究において有効とされてきた。FTはシンチグラフィの実務において、もっとも広く用いられているたたみ込みから元の関数を得るモデルである。
【0056】
たたみ込みから元の関数を得る分析は、これまで、単位体積毎の器官の機能を決定するために使用されなかった。このことは、とりわけ、血液によって単に灌流されないが、付加的に分泌性又は排出性の器官を有している分泌性又は排出性の器官に当てはまる。
【0057】
特異値分解を用いる逆行列(SVD)は、DAのためのより有利な数学的モデルであるが、これまで、画像データから肝機能を決定するために用いられていない。ガドリニウム エトキシベンジル ジエチレントリアミン五酢酸((Gd−EOB−DTPA)、ベルリンのバイエル シェリング ファルマ アクチェン ゲゼルシャフトのPromovist(登録商標))などの肝臓に特異的な造影剤の使用が、T1強調画像に使用される場合に、肝臓の中心病変の検出と、特徴づけの改善が示されてきた。Gd−EOB−DTPAの薬理学的特性は、有機アニオン性輸送システムを介した肝細胞取り込みに係る99mTcの鉄欠乏症貧血と、その後のグルタチオン−S−トランスフェラーゼによる胆汁排出の薬理学的特性に類似している。薬物動態学的研究が、Gd−EOB−DTPAの投与量の約50%が肝臓によって摘出され、胆管路を経て分泌されることを示している。残りの50%が腎臓排出によって除去される。よって、Gd−EOB−DTPAの肝臓取り込みと、その後のT1リラクセーション(relaxatio)の短縮化は、肝臓の実質的な細胞の質量の完全性に依存する。動的Gd−EOB−DTPAのMRIは、以前、サマリー・パラメータ(summary parameter)又はDAのいずれかを用いて、種々の実験上の設定で肝機能及び機能不全の評価のために動物に用いられてきた。
【0058】
MRIで得られた高解像度の組み合わせにおけるGd−EOB−DTPAの薬物動態学的特性は、もし、領域上及び/又は部分レベルでの機能の相違を判別できれば、イメージングをベースにした肝機能の検査としてGd−EOB−DTPAに係るDHCE−MRIの有利な使用の途を開くものである。これは、以前人にはなされていない。
【0059】
図1は、腹部(100)の切断を示すMRIモダリティーによって得られた3次元(3D)データの視覚化した画像(1)を図示した概略図である。肝臓(110)は実質部(112)(肝臓の機能的な部分)と、胆管、門脈の枝及び肝動脈分枝(111)を含んで示されている。また、下大動脈(IVC)(130)(他の断面において、肝臓から下大動脈内に流れ出ている肝動脈も視覚化され得る)と、大動脈(120)とが図示されている。
【0060】
図2Aは、インパルス応答によって畳み込まれたインパルス機能を図示している概略図であり、
図2Bはインパルス応答によって畳み込まれた非理想入力関数を図示した概略図であり、上述のように、詳細に説明する。
【0061】
図3はたたみ込みから元の関数を得るようにされた肝臓摘出(HE)曲線と、肝臓保持(HR)曲線とを図示するグラフである。たたみ込みから元の関数を得るようにされた肝臓摘出(HE)曲線(すなわち、インパルス応答)と、420秒と1800秒との間のHE曲線の時点に対するモノエキスポネンシャル近似(monoexponential fit)である肝臓保持(HR)曲線とが
図3に示される。HE曲線のピーク値とHRCのY軸の切片との比が肝臓摘出断片と定義される。この場合、フーリエ解析(FA+tail)がDAのために使用され、
図3においてその例と考えられるHEFは約17%である。
図3は以下に詳細に説明する。
【0062】
図4は肝臓摘出曲線の獲得を図示する概略図である。
【0063】
門脈における入力機能のための経時的相対促進曲線と、一つの検査項目からの肝臓部分Vにおける実質性の応答機能が示される。符号(黒丸及びx)は、サンプルの点を示す。実質性の応答曲線は、肝臓の部分Vに置かれた三つのROIの平均の95%の信頼度の間隔で示される。両方の曲線は、7点スライディング・ウィンドウ関数で平滑化された。
【0064】
図5は実施形態を含む方法2を図示しているフローチャートである。患者は工程(200)において、磁気共鳴イメージャーで位置づけられる。前記患者は、肝臓についての解剖学的なデータと関連する構造体及び器官とを含む3Dデータを提供するT1強調されたシーケンスを用いて、工程(210)において肝臓上を走査される。
【0065】
ついで、工程(220)において、患者の血流中に肝臓に特異的な造影剤が注入される。工程(230)に図示されているとおり、約10〜90分間、前記磁気共鳴イメージャーによって、連続して何度も肝臓上を走査される。各走査の間、4次元(4D)データセットを与えつつ、新たな3Dデータセットが得られる。すなわち、当該3Dの容量の時間的変化のためのデータが与えられる。当該4Dデータセットは、また、動的4D画像容量とも言う。これは、
図6に図示されている。
【0066】
図示された工程(240)において、肝臓の血液入力と肝臓の実質部のために、データが前記動的4D画像容量から摘出される。この方法はコンピュータにより実行され得る。当該血液入力を肝臓実質部の応答に変換するインパルス応答が工程(250)において算出される。これは例えば、適切なコンピュータプログラムによって実行される。当該算出は、
図7に図示されているとおり、マトリクス形式による肝臓摘出曲線とも呼ばれるインパルス応答を与えつつなされる。
【0067】
工程(260)において、肝臓摘出断片及び入力相対血液流が、さらなる処理と解析のためにデータを与えつつ、前記算出されたインパルス応答から領域毎に摘出される。
【0068】
工程(270)において、工程(260)からのデータは、肝臓摘出断片と入力相対血液流画像マップ及び/又は部分レベルの管状の結果若しくは体積要素レベルまで下げた
亜区域レベルを提供するために使用される。
【0069】
例えば
図10A〜10Dには、異なる算出方法に基づくDHCE−MRIとその後の画像処理によって得られるデータに基づいて示されている。
図10A及び10Cは、それぞれ、前記TSVD DAによって算出されたHEFとirBF((110)の内側)のパラメータ・マップを示している。
図10B及び10Cは、それぞれFA DAによって算出されたHEFとirBFのパラメータ・マップを示している。前記パラメータ・マップカラー・コード表(300)に従ってカラーコード化される。背景における解剖学的状況(ここでは、腹部(100)の内側の画像(1))は、器官の部分、すなわち特異的な体積要素において図示された器官の機能(HEFとirBF)を区別するために、白黒で示されている。
【0070】
図8は、区分された肝機能評価の概略図である。
肝臓は、八つの部分(図示されたとおりのI〜VIIIの部分−部分t1〜部分t8−SI〜SII)に分割され得るもので、すべて、それ自体の静脈血液供給路と胆汁中排泄路をもつ別々の器官として機能している。それゆえ、HEFは肝臓全体にわたって、各体積要素(x,y,z)について算出され得る。肝臓の体積は、コンピュータをベースにした部分及び/又は対象の識別を用いて、すなわち画像強度又はハウンスフィールド(Hounsfield)グレー値に基づいて得られる。肝臓の体積は、肝臓の解剖学上の画期的事実に基づく半自動コンピュータ・ソフトウエアを用いて、さらに解剖学的な肝臓の部分に分割され得る。部分的又は
亜区域レベルでの肝臓全体についての仮想的な機能の測定が、その対応する体積をHEFに乗じることによって得られる。
【0072】
肝機能及び/又は肝臓の体積が、例えば外科的又は薬剤の処置によって変更される場合には、新たな機能的な測定はこの技術を用いて得られる。この変更は分数になる。
F
ratio=F
pre-surgery/F
post-surgery
比F
ratioは、処置前後の機能の比であり、薬剤と外科的な処置の両方に適用され得る。
【0073】
提供された血液流の測定は、仮想的な計画のために用いられ得る。体積部分毎に異なる肝臓の部分に対する前記入力相対血液流が決定され得る。例えば、これは、重篤に血管新生化した腫瘍に対しては臨床的に適切である。考えられる4D容量の
亜区域容量又は全容量での血液流をチェックすることは興味深い。例えば、Glivec(登録商標)などの壊死製薬誘導剤による治療を計画するときの、仮想的な計画は血液流の考慮さえも含んでいる。仮想的な計画のあいだ、かかる薬剤などの効果は、血管新生化した腫瘍の領域に対して定義される。それゆえ、仮想的な計画は、薬剤の治療後の肝機能の全体の測定を提供し得る。
【0074】
提供された血液流の測定は、仮想的な計画のために用いられ得る。体積部分毎に異なる肝臓の部分に対する前記入力相対血液流が決定され得る。例えば、これは、重篤に血管新生化した腫瘍に対しては臨床的に適切である。考えられる4D容量の部分の部分容量又は全容量での血液流をチェックすることは興味深い。例えば、Glivec(登録商標)などの壊死製薬誘導剤による治療を計画するときの、仮想的な計画は血液流の考慮さえも含んでいる。仮想的な計画のあいだ、かかる薬剤などの効果は、血管新生化した腫瘍の領域に対して定義される。それゆえ、仮想的な計画は、薬剤の治療後の肝機能の全体の測定を提供し得る。
【0075】
他の例では、化学療法による治療が、薬剤治療の仮想的な計画のコンピュータによって実行する方法で仮想的に計画され得る。よって、治療を阻害したり、変更したりする測定が実際の治療の前になされるが、患者にとって、またコストに関しても有利である。
【0076】
動的なGd−EOB−DTPAの促進したMRIを用いて部分レベルでの肝機能のマーカーとしてHEFを算出する実行可能性の評価の一例を以下に述べる。フーリエをベースとした算出方法が、たたみ込みから元の関数を得る分析について、丸められた(truncated)SVD(TSVD)と比較される。
【0077】
さらに、動的Gd−EOB−DTPAの促進したMRIを用いた原発性胆汁性硬変(PBC)及び原発性硬化性胆管炎(PSC)に係る患者のHEF、irBF、薬物動態学的な伝達常数及び半定量的な動的パラメータを評価する例を以下に述べる。
【0078】
[たたみ込みから元の関数を得る分析]
本実施形態における、器官の応答関数は数学的には、インパルス応答と入力関数との間のたたみ込みとして記載され得る。
【0080】
ここに、y(t)は応答関数で、h(t)はインパルス関数で、そしてx(t)は入力関数である。真の肝機能は、当該インパルス関数によって特徴づけられる。
図2Aは、入力関数が理想的であれば、応答y(t)がインパルス関数x(t)に等しいことを示す。われわれの入力関数は注入されたトレーサを含んでおり、当該トレーサは再循環によって経時的に分散する。よって、われわれの入力関数は理想的ではなく、
図2Bに示されるとおりに、前記応答関数y(t)に大きく影響する。当該応答関数y(t)と入力関数x(t)とは測定され得るが、h(t)は分からない。しかしながら、前記入力及び応答関数を知ることにより、フーリエ解析(FA)又は逆行列のいずれかによって、インパルス関数が推定され得る。FAは、
【0082】
のとおりに記載される。
ここに、FTはフーリエ変換であり、FT
−1は逆フーリエ変換であり、直截的であるという利点があるが、x(t)及びy(t)の不連続な終端点から引き起こされる高周波数の人工産物(artefact)の影響を受ける。かかるデータの不連続な結果を回避するために、滑らかな追加の曲線がx(t)及びy(t)の終端点に追加することができ、当該曲線を零にしている。これは、一般的に、x(t)及びy(t)の最後の点の初期高さについて、0からπ/2まで余弦関数を追加することによってなされる。各体積要素について二つのフーリエ変換が実行されなければならないことを注意するべきである。これは計算上きわめて必要なことであり、当該患者の4Dデータセットなどの大きいデータセットを有する場合にはとくに必要である。歴史的には、イメージングモダリティーの解像度は、その新たな開発とともに増加し、それによって、体積要素の大きさが最小化され、体積要素の数は増加する。この傾向は、将来の増大する計算上の負担へと導くものであり、将来において、臨床的に受け入れられる計算回数を、充分に正確な結果により実行不能にする。
【0083】
しかしながら、式1におけるたたみ込みをマトリクス形式に公式化することにより、当該式は、一実施形態にしたがって、逆行列によって解かれる代わりに、
図4に図示されるとおり、以下に示されるSVDを用いて解かれ得る。
【0085】
[3.1]
Aは、正方形行列であるので、
A=U・W・V
T=U・[diag(w
i)]・V
T [3.2]
のとおりに、SVDに分割し、ここに、U及びVは直交し(すなわち、当該U及びVの逆が当該U及びVの転置に等しい)、
Wは、
【0087】
などの要素w
iについて対角状である。
h(t)は、逆行列によって解かれる。すなわち、
h=A
−1・yであるならば、
h=V・[diag(1/w
i)]・(U
T・y)となる。[3.4]
【0088】
まして、これは各体積要素に対して必要な上述の二つのフーリエ変換よりも計算上面倒である。大域行列(global matrix)は一度だけ計算すると、すべての体積要素に利用できる。
【0089】
当該w
iの一又は二以上が零又は零に近い場合は、逆行列は悪い状態になる。したがって、データ中のノイズは最小二乗法(すなわち、式3.4)で拡大され、役立たない数値となる。かかる問題の一つの解決策が正則化の原理、又はさらに詳しくは丸められたSVD(TSVD)である。
【0090】
TSVDにおいて、0と1との間の範囲を動く閾値cは、n(1−c)と定義され、ここに、nは特異値の全数であり、cは閾値である。この締め切りより小さい特異値について、1/w
iは算出されていないが、零に置き換えられる。
【0091】
たたみ込みから元の関数を得ることについての重要な注意点は算出効率と必要とされるデータの量(すなわち、4Dの時間分解された画像データセットの長さ)である。FAとTSVDをベースにして、たたみ込みから元の関数を得ることを比較すると、いずれも単一の体積要素又はROI算出に対して略等しく迅速である。しかし、多数の体積要素のたたみ込みから元の関数を得ること(すなわち、パラメータ・マップの算出)について、SVDは効率の点で優れている。なぜなら、
図7に見られる逆行列だけが一度計算をしなければならず、ついで係りのあるすべての体積要素に適用される。これとは逆に、FAを用いて係りのあるすべての体積要素について全DAが実行されなければならない。
【0092】
そのうえ、得られたデータ量は、4Dイメージング・プロトコルの長さによって厳格に制限される。二十人の健常者からの平均入力及び応答関数から構築された理想入力及び応答関数を用いてプロトコル長さにおけるシミュレーションが、たとえ当該プロトコル長さが短縮されても、SVDをベースにしてたたみ込みから元の関数を得ることが同じHEF値を算出することを示している。25分という短い走査プロトコルが、HEFを正しく算出するために用いられる。このシミュレーションの結果が、
図11に図示される。
図11に見られるように、プロトコルが短くなるにつれて、FA DAはHEFを過大に推定する。
【0093】
図9は平均誤差と、そのような異なる推定算出方法についての誤差バーを示すグラフである。
【0094】
[たたみ込みから元の関数を得るシミュレーション]
われわれは、追加されたテールをもつFA(FA+tail)とTSVDとを比較する数値シミュレーションを実行した。理想的な入力関数及びインパルス関数は二つのガンマ変量関数から構築される。曲線の形状はインビボで測定されたものとできるだけ類似するように構成された。当該二つの曲線は、ついで式1に示されるように、応答関数を見出すためにたたみ込まれる。通常の分布ノイズについて異なる量が、それぞれ応答及び入力関数に適用されて、異なるSNRレベルをシミュレートする。ついで、当該二つの異なる技術を用いてDAが適用される。FA+tail技術における追加されたテールは、シミュレーションデータの長さの3倍になるように設定された。TSVD技術において閾値を丸めることが0.07で固定された。シミュレーションは各SNRレベルについて1000回行い、FA+tailを用いた結果の標準偏差を分散比検定を用いてTSVDにより得られた結果と比較した。
【0095】
肝臓摘出断片(HEF)と相対血液流(RBF)
たたみ込みから元の関数を得ることによる肝臓応答曲線をHEF及びRBFに関して分析した。ブラウンらにより、肝臓抽出効率の測定としてTC−99−ジソフェニンのシンチグラフィ−を用いてHEFが記載されており、その後の再循環なしに、肝臓の求心的な血液供給に直接トレーサが注入される場合に摘出されたトレーサの割合として理解される。
図3はGd−EOB−DTPAを用いて肝臓の実質部から典型的なインパルス応答(肝臓摘出(HE)曲線)を示す。HE曲線は、血管相と肝臓保持相に分割されるが、肝臓摘出を記載している。われわれは、トレーサの注入時点の後420〜1800秒までのHE曲線データ・ポイントに対するモノエキスポネンシャル近似を用いてHEFを算出した。420秒における開始ポイントは、たたみ込みから元の関数を得ることによるHE曲線の視認による検査後に選択された。近似された曲線、すなわち肝臓保持曲線(HRC、モノ−エキスポネンシャル減衰近似曲線)は、ついで血管のピーク値の時間に外挿され、そしてHEFは外挿されたHRC曲線とHE曲線との間の比として定義される(また
図3に示されている)。
【0097】
肝臓における血液流の相対的な測定を与えるRBFは、HE曲線の初期ピーク値として記載される。RBF値はもっとも高いRBFにより部分に基準化した。すなわち、もっとも高いRBFに対するセグメントを100%に設定した。
【0098】
[画像解析]
入力関数は、門脈の門部に置かれた関心領域(ROI)によって定義される。患者の動きにより、入力関数ROIは、それぞれの動的な獲得で調節され、体積要素は門脈血液を表す。肝臓の応答関数曲線は、肝臓の各部分に3つのROIを置くことによって定義される。部分VについてのI〜VIIIは、IVa〜IVbに分割される)。当該ROIの体積要素の経時的な相対促進率は、当該ROIに対する実質性の応答とした。データポイントは、90分の時間間隔にわたる等距離のスペーシング(spacing)(60秒)を用いて内挿した。
図3は内挿されたデータポイントによる典型的な入力関数と実質性の応答関数とを示している。ROIが置かれたときに、主要な血管と視認できる胆管とをできるだけ排除するように注意を払った。部分は、ストレイスバーグによって提案されたSMと定義し、命名した。肝臓の解剖及び肝臓の切除についての用語は、ジェイ アム コール サーグ著、グリップス ウィズ ヘパティック ベイベル、413〜434頁、184(4)、1997年によったもので、その全部を参考のために本明細書に取り入れた。しかしながら、他の部分化についても他の実施形態において用いられ得る。
【0099】
HEFとRBFは、MATLAB(登録商標)で書かれた特定の構内ソフトウエアを用いて、TSVDとFA+tailの両方について各ROIを算出した。それゆえ、各ROIは、HEFとRBFのそれぞれについての二つの値を生ぜしめる。TSVDに対しては、静的に丸める閾値c=0.07で設定した。x(t)とy(t)の最後の点について初期高さをもつ0〜π/2余弦関数をFAによって実行したDAに対して加え、当該テールの長さを、90分の全サンプリングの長さの3倍に設定した。HEFとRBFのパラメータマップは、部分的なROIに対して用いられるものと同じ入力関数を用いて算出したが、肝臓の体積要素のおのおのは、応答関数を表す。
【0100】
RBFは、常に各症例のもっとも大きいRBF値に対して基準化し、割合として表した。ノイズの効果を最小にするために、主として患者の動きにより、入力及び応答関数曲線の両方において7点のスライド式窓を適用して、データのローパス・フィルタを使用した。
【0101】
入力関数及び応答関数における相対的な造影剤濃度は、対数の比として算出した。
【0103】
ここに、c(t,ρ)は、体積要素ρにおいて時間tでの相対的なトレーサの濃度である。S
0(ρ)は、プリコントラスト(pre‐contrast)画像からの体積要素ρにおける平均画像強度、すなわち、基線信号強度S(t,ρ)は時間tでの体積要素ρにおいて測定された画像強度である。
【0104】
[薬物動態コンパートメントモデル]
コンパートメントモデルにおいて、異なるコンパートメント間の経時的に通過する基質の分布がモデル化される。当該モデルは運動の第一法則に基づいている。すなわち、濃度の時間微分は基質自体の濃度の負に比例する。このモデルが一つだけのコンパートメントから構成されている場合、当該システムを記載している方程式は一階微分方程式である。
【0106】
上述の方法及び/又は部分的又は
亜区域的肝臓機能、肝臓潅流及び胆汁排出機能の評価のためのシステムが診断、疾患の進行の監視、治療の有効性又は治療の逆効果の評価のために役立つ、いくつかの疾患、医学的領域、処置及び/又は器官診断は、
肝臓学、すなわち、
急性肝炎、
慢性肝炎、
原発性硬化性胆管炎、
原発性胆汁性硬変、
嚢胞性繊維症、
硬変/繊維症の類別及び疾患の進行監視、
胆内胆汁うっ帯中の胆汁の流れにおける利胆薬の有効性の評価、
肝臓における医学的又は免疫学的治療の他の形態の衝撃の評価、
NAFLD及びNASHによる肥満、
肝機能の障害による代謝症候群、
肝硬変をもつ患者の肝細胞癌の監視のための肝機能の監視
と、
外科学、すなわち、
胆内胆石症、
大腸腫瘍肝臓転移及び他の肝臓の一次的並びに二次的腫瘍のための
区域的肝臓手術に対する術前術後の肝機能の予測、
閉塞性黄疸における胆汁流量についてのステント効果又はEST(内視鏡的括約筋切開)の評価、
肝内及び肝外胆管系の悪性及び良性腫瘍における胆汁流量の評価
肝管腸管吻合のすべての形態の開通性及び有効性の評価、
肝臓移植患者の移植状況の監視
と、
腫瘍学、すなわち、
化学療法に誘起された実質性の損傷(NASH、NAFLD、SOS)
を含む。
[実施例1]
[被験者]
T1強調されたGd−EOB−DTPA促進されたDHCE−MRIが、年齢が22〜45歳の10人の男性10人の女性の20人の健常者に行われた。ルーチンの血清肝機能検査が研究中のインスリンで行われた。被験者は、肝胆道疾患、以前に肝胆道の手術やアルコール中毒の病歴がなかった。
[手順]
データは、フィリップス社(オランダ、ベスト)のIntera1.5Tscanner(商品名)をフィリップス社の4チャネルSENSE BODY COIL(商品名)とともに使用して収集した。T1強調3D傾斜磁場エコー・パルス・シーケンス(繰り返し 時間/エコー 時間/フリップ 角度4.1ms/2.0ms/10deg、視野=415mm、マトリクス解像度265x192、断面数40、断面厚さ10mm及び感度R=2)を用いた。一度息を止めた状態で41の異なる点における容量が撮像された(得られた容量について12秒の走査時間)。基線算出のために3つの容量が造影前に得られ、ついで、38の容量が段階的にサンプリング間隔を増加しつつ撮像された。サンプリング密度は、被験者の肉体的容量、データ獲得限度及び検査物質の動的特性に関連づけて選択された。0.1ml/kgの容量、0.25mmol/mlのGd−EOB−DTPAが右前肘静脈に、第4容量の開始時に合わせて注入された。造影剤は、パワーインジェクター(ピッツバーグのメドラッド社のSpetris MR injector(商品名))を用いて、注入速度2ml/秒で注入し、引き続き同じ注入速度で20mlの生理的食塩水(NaCl 0.9%)を大量注入した。
[結果]
すべての被験者は通常の血清肝機能検査を受けたが、腎不全の兆候はなかった。シミュレーションの結果を、TSVD及びFA+tail技術の比較として
図9に示す。高いSNR値において、TSVDはFA+tailより良好に機能している。しかし、データがより多くのノイズを含んでいる場合、かなり改善された標準偏差で、より安定している。HEFとRBFについてのDAのための統計学上の二つの方法についての要約を表1に示す。
【0109】
このシステムにおいて、v(t)=(v
1(t),v
2(t))は肝臓の実質部における信号を表すベクトルで、y(t)は応答関数であり、u(t)は各体積要素への流入である。f・S
blood(t)は、血液プールからの信号S
bloodの断片fを表しており、肝臓実質部からの信号に付加される。パラメータf及び(k
12,k
21,k
3)(以下、k
ijと記す)は当該モデルの未知数である。
図16に示されるとおり、k
21は血液から肝臓コンパートメントへの流速常数を示し、k
12は肝臓コンパートメントから血液プールへの逆流を示し、肝細胞から毛細胆管への胆汁の肝内の流れはk
32によって記載され、肝内から肝外胆汁コンパートメントへの流れはk
3パラメータによって記載される。モデルは、k
32がk
3に等しいと仮定し、かつ毛細胆管からの逆流がないものと仮定して、数学的に単純化される。
入力関数が純粋な丸い塊又はディラック・パルスである特別な場合には、応答関数y(t)は入力関数x(t)と等しくなる。純粋な丸い塊の仮定容量は理想であるが、応答関数y(t)は、HEFの算出について述べたとおり、インパルス応答h(t)と入力関数x(t)との間のたたみ込みとして算出され得る。コンパートメントモデルでは、インパルス応答関数は、k
ijパラメータを含む2つの外挿関数の和として解析的に記載され得る。
【0111】
モデルパラメータの推定に到達するために、反復法が用いられた。k
ij及びfに初期値を割り当てたのち、インパルス応答関数h(t)を式10を介して推定し、そして、式7における血液プール信号の推定として門脈からの入力関数x(t)を用いて、
【0113】
によって、出力関数y
out(t)を算出した。一方、応答関数y(t)は肝臓実質部のROIで測定され、パラメータk
ijとfは、二乗の差、
diff=(y(t)−y
cut(t))
2を繰り返し最小にして決定した、
図17参照。大域的な最小値を見出す可能性を増大するために、10個のランダムにされた初期値のセットが用いられ、当該方法が10個のうち6回以上同じ値に収束する場合に限り、k
ij及びfについての値が受け入れられた。よって、当該アルゴリズムは、五つのパラメータk
12、k
21、k
3、f及びdiffをもたらす。3つの変換常数k
ijは
図16において定義され、要素fは血液プールから発生するROIにおける信号の断片を定義し(すなわち、ROIにおける灌流を記載)、そしてdiffはROIにおいて測定された信号と比較された収束した応答曲線に対する適合度検定を記載している。
【0114】
[半定量的解析]
実質性に係る時間対強度曲線から直接得られた半定量的解析は、最大相対信号強度(C
max)、時間対最大強度(T
max)、T
maxから5%と10%落ちた相対信号強度の時間(それぞれ、T
5及びT
10)及び0〜5400秒のAUCであった。いくつかの応答曲線において、T10か、T5及びT10の両方のいずれかが、最後に測定された時点を超え、数値が設定されなかった。T
max、T
5及びT
10が数秒間に測定された。Gd−EOB−DTPAによる信号強度半減時間(T
E)は、この研究で用いられた全走査時間90分よりも長いので、T
Eは、
g(t)=c
1・e
-ln(2)・t/TE−c
2・e
-ln(2)・t/TU
によって与えられるバイ・エクシポネンシャル(bi−exponential)適合を用いて推定され、ここに、g(t)は適合された曲線で、適合パラメータc
2及びT
Uは造影剤の取り込みを記載しており、c
1及びT
Eは肝臓造影剤排出を記載している。T
EとT
Uは数分間に算出された。全応答曲線が含まれる場合、バイ・エクシポネンシャル適合は、常に収束するとは限らず、それゆえにt=240秒が当該適合のための初期値として経験的に選択されたのである。
【0115】
[統計的解析]
三つの部分的ROIの平均HEF及びRBFは、特定の部分について生じたHEF及びRBFと考えた。記述的な統計量(平均、標準偏差(SD)、変動係数(CV)、メジアン、最大、最小及び範囲)をDAの二つの方法により、HEFとRBFそれぞれについて算出した。当該研究により、180例のHEF及びRBFの対をなした観察を行った(それぞれ9つの部分を20の症例であって、それぞれの症例はいずれもTSVDとFA+tailの両方によって解析される)。DAの二つの方法に対するHEF及びRBFのメジアンが、非パラメータのウィルコクソン整合されたペア検査を用いて比較し、当該2つの方法のSDが分散比テスト(Fテストとしても知られている)を用いて比較された。0.05未満の二つの側面を有するP値は重要であると考えた。対をなしていないデータを比較するために、マン・ホイットニーU検定を用いた。
【0116】
図12は一実施形態のシステム(1900)の概略図である。当該システム(1900)は、肝臓及び/又は腎臓などの分泌性機能又は排出性機能を有する少なくとも一つの器官の機能の評価のコンピュータをベースにした決定に適している。当該システムは、前記ヒトの4次元(4D)画像データセットを処理するためのユニットを含み、該ユニットは前記少なくとも一つの機能の評価のためのデータを含み、前記4D画像データが、前記ヒトの4次元(4D)画像データを処理する画像モダリティーによって得られ、当該画像モダリティーが前記肝機能の評価のためのデータを含み、前記4D画像データが画像モダリティーによって得られる。一実施形態において、前記4D画像データを処理するための前記ユニットが、前記4D画像データに基づき特異値分解(SVD)を用いる逆行列を含む、たたみ込みから元の関数を得る分析(DA)を実行するように構成されている。
【0117】
一実施形態において、システム(1900)は、ヒトの少なくとも一つの器官の機能が提供されることを経時的に決定するのに適したコンピュータをベースにしたシステムである。当該器官は、肝臓及び/又は腎臓などの分泌性機能又は排出性機能を有する器官である。当該システムは、画像モダリティーによって得られた4次元(4D)画像データのセットを処理するように構成され、かつ前記4次元画像データのセットに基づいて前記少なくとも一つの器官の単位体積毎に前記少なくとも一つの機能に関連づけられたパラメータの値を決定するように構成された処理ユニットを備えている。
【0118】
前記器官の機能不全の診断は、健常者のパラメータについて以前決定された値と、当該パラメータの値との比較によって容易にされる。
【0119】
医療ワークステーション(1910)は、中央処理ユニット(CPU)(1920)、メモリー、インタフェースなどの通常のコンピュータ要素を備えている。そのうえ、当該医療ワークステーションには、MRI走査から得られたデータなどのデータ入力源から受け取られたデータを処理するための適切なソフトウエアが設けられている。ソフトウエアは、例えば、前記医療ワークステーション(1910)によってアクセスすることができるコンピュータ読み取り可能な媒体(1930)上に格納され得る。当該コンピュータ読み取り可能な媒体(1930)は、適切なコード部(190)を備えたコンピュータプログラム(1940)の形態のソフトウエアを備え得る。前記医療ワークステーション(1910)は、例えば引き出された視覚化情報の表示のためのモニター、例えば、自動プランニングの手動、さもなければソフトウエアによって提供された微調整のためのキーボード、マウスなどの適切なヒューマン・インタフェース装置を備えている。医療ワークステーションは前記システム(1900)の一部であってもよい。
【0120】
コンピュータプログラム(1940)は、ヒトの肝臓及び/又は腎臓などの分泌性又は排出性の少なくとも一つの器官の機能を経時的に決定するために、医療ワークステーション(1910)のCPU(1920)などの算出デバイスによって処理するために、コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納可能である。前記コンピュータプログラムは、(1930)に複数のコード部を含んでおり、画像モダリティーによって得られたヒトの4次元(4D)画像データのセットの処理に基づいて少なくとも一つの器官の単位体積毎に少なくとも一つの器官の機能に関連するパラメータの値を決定するための第一コード部(190)を備えている。
【0121】
器官の機能不全の診断は、それゆえ、健常者のパラメータの以前に決定された値と当該パラメータの決定された値との比較に基づいて器官の部分で可能になる。パラメータは、例えば、肝臓摘出部又は入力相対血液流である。
【0122】
健常者からの値とそれとの比較の例が、
図18〜25、25A及び26Bにそれぞれ示されている。
【0123】
上述の算出又は仮想的な計画の結果は、前記医療ワークステーション(1910)のグラフィック・ユーザ・インタフェースにおいてユーザに提供されうる。
【0124】
図13は一実施形態のコンピュータプログラムの概略図である。コンピュータプログラムは、肝臓及び/又は腎臓などの分泌性又は排出性の機能を有する少なくとも一つの器官の機能的な評価を算出デバイスによって処理するために構成され、コンピュータによって処理するために提供される。コンピュータプログラムはコンピュータ読み取り可能な媒体上で具現化され得るものであり、前記少なくとも一つの前記機能の評価のためのデータを備えた前記ヒトの4次元(4D)画像データセットを処理するコード部(190)を備えており、前記4D画像データは画像モダリティーによって得られ、たたみ込みから元の関数を得る分析(DA)を実行する工程を含んでおり、前記DAは前記4D画像データに基づいて特異値分解(SVD)を用いる逆行列を含んでいる。
【0125】
図27に、n個の体積要素を持ち、すべて肝細胞の実質部と血管との異なる比を持つ、ROI(400)が示されている。HEFとirBFは各体積要素について算出され、プロットされる。線形回帰によって、直線(410)が、得られたデータポイントにフィットされる。このようにして、局所的なHEFと局所的なirBFが、部分的な体積効果に対する補償をもって、算出され、提供される。
【0126】
上述の方法及び/又は部分的又は部分の部分的肝臓機能、肝臓潅流及び胆汁排出機能の評価のためのシステムが診断、疾患の進行の監視、治療の有効性又は治療の逆効果の評価のために役立つ、いくつかの疾患、医学的領域、処置及び/又は器官診断は、
肝臓学、すなわち、
急性肝炎、
慢性肝炎、
原発性硬化性胆管炎、
原発性胆汁性硬変、
嚢胞性繊維症、
硬変/繊維症の類別及び疾患の進行監視、
胆内胆汁うっ帯中の胆汁の流れにおける利胆薬の有効性の評価、
肝臓における医学的又は免疫学的治療の他の形態の衝撃の評価、
NAFLD及びNASHによる肥満、
肝機能の障害による代謝症候群、
肝硬変をもつ患者の肝細胞癌の監視のための肝機能の監視
と、
外科学、すなわち、
胆内胆石症、
大腸腫瘍肝臓転移及び他の肝臓の一次的並びに二次的腫瘍のための部分的肝臓手術に対する術前術後の肝機能の予測、
閉塞性黄疸における胆汁流量についてのステント効果又はEST(内視鏡的括約筋切開)の評価、
肝内及び肝外胆管系の悪性及び良性腫瘍における胆汁流量の評価
肝管腸管吻合のすべての形態の開通性及び有効性の評価、
肝臓移植患者の移植状況の監視
と、
腫瘍学、すなわち、
化学療法に誘起された実質性の損傷(NASH、NAFLD、SOS)
を含む。
[実施例1]
[被験者]
T1強調されたGd−EOB−DTPA促進されたDHCE−MRIが、年齢が22〜45歳の10人の男性10人の女性の20人の健常者に行われた。ルーチンの血清肝機能検査が研究中のインスリンで行われた。被験者は、肝胆道疾患、以前に肝胆道の手術やアルコール中毒の病歴がなかった。
[手順]
データは、フィリップス社(オランダ、ベスト)のIntera1.5Tscanner(商品名)をフィリップス社の4チャネルSENSE BODY COIL(商品名)とともに使用して収集した。T1強調3D傾斜磁場エコー・パルス・シーケンス(繰り返し 時間/エコー 時間/フリップ 角度4.1ms/2.0ms/10deg、視野=415mm、マトリクス解像度265x192、断面数40、断面厚さ10mm及び感度R=2)を用いた。一度息を止めた状態で41の異なる点における容量が撮像された(得られた容量について12秒の走査時間)。基線算出のために3つの容量が造影前に得られ、ついで、38の容量が段階的にサンプリング間隔を増加しつつ撮像された。サンプリング密度は、被験者の肉体的容量、データ獲得限度及び検査物質の動的特性に関連づけて選択された。0.1ml/kgの容量、0.25mmol/mlのGd−EOB−DTPAが右前肘静脈に、第4容量の開始時に合わせて注入された。造影剤は、パワーインジェクター(ピッツバーグのメドラッド社のSpetris MR injector(商品名))を用いて、注入速度2ml/秒で注入し、引き続き同じ注入速度で20mlの生理的食塩水(NaCl 0.9%)を大量注入した。
[結果]
すべての被験者は通常の血清肝機能検査を受けたが、腎不全の兆候はなかった。シミュレーションの結果を、TSVD及びFA+tail技術の比較として
図9に示す。高いSNR値において、TSVDはFA+tailより良好に機能している。しかし、データがより多くのノイズを含んでいる場合、かなり改善された標準偏差で、より安定している。HEFとRBFについてのDAのための統計学上の二つの方法についての要約を表1に示す。
【0128】
HEFとRBFの20人の検査の被験者からの結果を
図14Aと14Bに図式化して示し、HEFとRBFの部分的なレベルでの分布を
図15Aと15Bに示す。平均のROIの大きさは31.9の体積要素(SD21.6)
【0129】
二つの方法(HEFについてはP=0.524、そしてRBFについてはP=0.331)によるHEF又はRBFについての全体としての結果において著しい差異はなかったが、SDにおける差は顕著ではなかった(HEFについては0.196、そしてRBFについては0.458)ものの、TSVDはSDが小さく、CVが小さかった。左右の肝動脈についてのHEFのメジアンには差があった(TSVDを用いて、左側については0.196右側については0.218、そしてFA+tailを用いて0.194対0.224であった)が、FA+tail技術を用いたときだけは、差は顕著であった(TSVDを用いたときP=0.14であったのに対し、FA+tailを用いたときP=0.011であった)。左右の肝大動脈のRBFにおいても左大動脈においてはRBFが著しく低く、TSVDを用いてRBFのメジアンは79.1%であり、FA+tailを用いて81.2%であった。右側についての対応する値は、それぞれ94.0%と88.4%であった。この差はDAの両方の方法とも著しかった(マン・ホイットニーUテストを用いた時p<0.001)。
【0130】
一人の検査被験者における水平の内部平面上の断面に対するHEFのパラメータマップ(
図10A、B)とRBF(
図10C、D)が
図10に示される。視覚の検査により、HEFは断面全体に亘り一様であるように思われる。パラメータHEFマップにおいて高い値(すなわち100%に近い)が血管の高いレベルを含む体積要素の結果で有り、肝機能を反映しているとは考えられない。100%を超える値は人工物と考えられ、除外された。全てのRDFの値は各被験者それぞれの最高の流れに対して釣り合っている。
【0131】
この実施例1において、部分的なレベルでHEFとRBFを評価するためのトレーサとしてGd−EOB−DTPAと共にDHCE−MRIを用いることが可能であることが分かった。インビボでのたたみ込みから元の関数を得る分析にはTSVDがFA+tailよりもより良く機能することも分かった。TSVDはアプリケーションのこの領域あまりコンピュータ的には要求がない。またコンピュータシミュレーションは、TSVDを持つDAが低いSNRレベルで著しく低いSDによるノイズを持つデータ対してり感度が良くないので、TSVDはDAに対する好ましい選択であることを示した。シンチグラフィの健康な被験者に対する研究で、HEFがほぼトータルの肝クリアランスと共にIDAアナログが用いられたとき約100%であった。この実施例1において20%をわずかに超える平均HEFが、Gd−EOB−DTPAがIDA組成物よりも肝臓に対して親和性が低く肝クリアランスが約50%であるという知られた事実を非常に良く反映することができた。Gd−EOB−DTPAが異なる肝臓の特異性を持っているのでHEFはGd−EOB−DTPAを用いる肝細胞の取り込みを描写する最適なパラメータにはなりえない。
【0132】
興味ある知見は、左右の肝葉の肝臓セグメント間のHEFとRBFに差異が観察されたことである、
図15Aと15B参照。
【0133】
被験者間の変動は、90分の撮像期間にわたる動きによる人工産物によって部分的に説明できるかもしれない。これは、ROIの部分的な体積効果とあいまって、全動的容量における肝臓実質部を必ずしも反映していない肝臓ROIによるノイズのあるデータへと導く。高解像度の肝機能検査における肝臓実質部の動きによる人工物は、データの質を増大するためには最小にされるべきである。一方、HEFにおける患者間の変動は、以前の技術では検知できなかった真の現象である。
【0134】
DAを利用したいずれの研究においても、入力関数は得られた結果に重要である。肝臓は、門脈からの静脈還流と肝動脈からの動脈血に係わる二重の血管供給をもっている。われわれは、入力関数として門脈におけるROIから経時的促進率を用いることを選択した。この理由は、肝臓への求心性の血液流の約75%が門脈から発出するからである。他の理由は動脈入力関数が大変短いピークを持ち、この実施例1の一時的な解像度について我々はしばしば動脈ピークを見過ごして私たちの被験者の間で動脈入力関数における最大ピーク値の違いに苦労する結果に至っていることを実験的に見出した。門脈ピークは時間によりいくぶん多く分散し、観察されたピーク値の相違はより小さいものであった。分あたりの3つの体積が、最初の三分間で得られた。
【0135】
T1強調された造影促進DHCE−MRIにおいて、信号強度はT1緩和時間に依存する。Gd−DTPAの高い濃度はT1緩和時間を減少させ、画像信号強度を増加させる。画像強度とGd−DTPA濃度間の関係が、この研究において用いられた傾斜のないエコーなどの定常状態のMRIパルスに対して非線形であった。しかし、T1緩和が40ms〜2600msの範囲内にあるとき、MRI信号は短くされたT1緩和によってほぼ指数関数的に増加することが示された。すべてのわれわれの測定はこの範囲にあったと推定され、式5aを相対造影剤濃度に対して良好に近似させている。
【0136】
[実施例2]
原発性胆汁性肝硬変(PBC)をもつ患者の検査。
[被験者]
T1強調Gd−EOB−DTPA促進DHCE−MRIが、男性10人女性10人の20人のボランティアとPBCと診断されている患者に行われた。常用血清肝の肝機能検査が健常者への研究に含めて行われ、患者に対しては、もっとも最近の来診時に記録され臨床チャートにドキュメント化されていた。健常者は肝胆道疾患、以前に肝胆道の手術やアルコール中毒の病歴がなかった。すべての被験者には検査前少なくとも4時間の絶食が要求された。各患者に対しては、関連する臨床データがドキュメント化され、肝機能検査と共に、CPS、Mayo risk score及びMELD scoreを算出するために用いられた。
[MR手順]
T1強調Gd−EOB−DTPA促進DHCE−MRIがフィリップス社(オランダ、ベスト)のIntera 1.5T scanner(商品名)を、フィリップス社の4チャネルのSENSE body coil(商品名)と共に用いて、実施例1の手順に従って実行された。たたみ込みから元の関数を得る分析が、特異値分解(TSVD)を用いて実行された。HEFとirBFが上述のとおりに算出された。ピーク値から2700秒までの肝臓摘出曲線の下の領域を評価することによって定量的に算出された。半定量的パラメータ(SQP)と薬物動態学的移送常数が上述のとおりに算出され、AUCもまた、0〜5400秒の実質部応答曲線の下の領域として半定量的に算出された。マン・ホイットニーUテストは有意な検査のために用いられ、有意レベルはα=0.5で設定された。各患者のすべての部分及び対照が観察と統計的分析に供され、すべての観察は、たとえそれらが一人の個人から出たものであっても独立した観察とされた。このため、この研究は対照からの前述の各パラメータに対して180の観察と、PBCの患者から108の観察を行った。
[結果]
12人の患者(20人の患者のうち計画された全員)(男性1人女性11人)が研究に含められた。血清肝機能検査(LFT)の結果及び関連する臨床情報からの患者の特徴を表2に示す。
【0138】
【表2-2】
PBCを持つ患者は一般的に対照よりも高齢であり、かつ性も異なっており予想のとおりであった。二つのグループの間でのPKまたはビリルビンについて顕著な差はなかったが、アルブミンレベルはPBCの患者の間で著しく低かった。AST、ALAT及びアルカリホスファターゼはすべて患者の間で著しく高かった。定量的パラメータの結果を表3に示し半定量的の結果を表4に示す。
【0143】
PBCの患者の間で、HEFは著しく低く、irBFは著しく高かった。しかし取り込み移送k
21は対照と比較して差はない。移送速度常数k
12及びk
3は対象よりも患者の間で高かった。なお係数fはROIにおける血液の断片を示す。グループの間でグッドネスオブフィット・パラメータdiffについて顕著な差はなかった。判定量的パラメータについて、最大強度(Cmax)、排出半減時間(T
E)またはエリアアンダーカーブ(AUC)のいずれも顕著な差はなかった。最大強度までの時間(Tmax)はPBCの患者の間で著しく長かったが、排出パラメータT
5とT
10は短かった。HEFとAUC(定量的に算出された)はチャイルドスコアー増加するにつれて長かった。この研究で、我々は予想されたように、PBCをもつ患者においてHEFが著しく低く、そして上述のとおり、疾病の重篤さが増すにつれて、差異が増大するようであることを見出した。肝硬変が動脈血液流の増加と胆汁の流れの現象へと導くことが知られている。恐らく増加した肝硬変の動脈のピークがこの研究で分かったirBFの差を説明することが出来る。PBCが微小な胆管の閉塞へと導くので最大促進までの時間が長くなると予測される。なぜなら肝細胞においてガドリニウムトレーサが長期に渡って蓄積するからである。我々が肝硬変の形態学的証拠と共に患者を見るしかない場合は健常者と比べて大きな違いを見出す。
図18〜21においてこれが部分的レベルで示されており、定量的パラメータが健常者と本研究で得られたMR画像で肝硬変の兆候をもつ5人の患者との間で比較した。対照よりもPBCの患者の間でk
3パラメータが低いと予測するであろうが、そうではないと思われる。用いられたパラメータの研究は取り込みの差について実質性の機能の低下を検知することが出来るように思われるが、胆汁排出の差を測定していない。
【0144】
[実施例3]
原発性硬化性胆肝炎(PSC)をもつ患者の検査。
[被験者]
T1強調されたGd−EOB−DTPA促進されたMRIが、10人の男性と10人の女性の20人の健常者について、PSCと診断された患者についておこなわれた。通常の血清肝機能検査が、健常者と臨床チャートドキュメント化されたものへのもっとも最近の来診から記録された患者に対しての研究に含めて行われた。健康なボランティアには胆管道疾患、以前に胆管道の手術やアルコール中毒の病歴が
なかった。全ての被験者は検査の前少なくとも4時間絶食するこが要求された。各患者に対しては、関連する臨床データがドキュメント化され、肝機能検査からの結果と共にCPS、Mayo risk score及びMELD scoreを算出するために用いられた。
[MR手順]
T1強調されたGd−EOP−DTPA促進されたMRIが、フィリップス社(オランダ、ベスト)のIntera1.5Tスキャナー(商品名)を、フィリップス社の4チャネルSENSE body coil(商品名)と共に実施例1において概略説明した通りの手順に従って実行した。たたみ込みから元の関数を得る分析が、特異値分解(TSVD)を用いて実行された。HEFとirBFが上述の通り算出された。AUCはピーク値から2007秒までの肝臓摘出曲線の下の領域を評価することによって定量的に算出した。半定量的パラメータ(SQP)と薬物動態学的移送常数が上述のとおりに算出され、AUCも、0〜5400秒までの実質性応答曲線の下の領域として算出した。マンホイットニーUテストは有意の検査のために用いられ、当該有意のレベルはα=0.5に設定された。各患者のすべての部分と対照は、観察と統計的分析に供され、すべての観察は、一人の個人から発生したものであったとしても、独立した観察とした。よって、当該研究は、対照からの前述のパラメータのそれぞれに対して180の観察をし、PSCの患者からの108の観察をした。
[結果]
12人(計画された20人の患者のうち)が、本研究に含められた。含められた患者と対照の個体統計学上及び臨床上のパラメータを表5にとりまとめられている。
【0147】
PSCをもつ患者は一般的に対照より高齢であり、性も異なっていた。二つのグループ間のPK又はビリルビンのレベルについて有意な差はなかったが、アルブミンのレベルは、PSCの患者間で顕著に低かった。AST、ALAT及びアルカリホスファーゼは、いずれも患者間で顕著に高かった。定量的及び半定量的パラメータの結果を、それぞれ表6と7に示す。
【0150】
HEFはPSCの患者間で顕著に低く、irBFはPSCの患者間で顕著に高く、そして定量的に算出されたAUCは患者間で顕著に小さかった。取り込み移送定数k
21はグループ間で異なっていなかった。移送速度定数k
12とk
3は、対照より患者間で高かったが、ROIにおける血液の断片を示す係数fは異なっていなかった。患者間で一般的により良い適合をもつグループ間で、グッドネッスオブフィット・パラメータdiffについて有意な差があった。半定量的パラメータについては、最大強度(Cmax)、排出半減時間(TE)又はエリアアンダーカーブ(AUC)のいずれについても顕著な有意な差はなかった。最大強度に達するまでの時間(Tmax)は、PSCの患者間で著しく長かったが、排出パラメータT
5とT
10は短かった。
【0151】
この研究における患者の母集団は、MELD及びMayo scoreの低い、比較的軽い病気を持っていた。一人の患者だけがChild Bであった。しかしながら、実質性の機能の相違を示すトレーサの肝臓取り込みにおける顕著な差は、T1強調されたDHCE−MRIをGd−EOB−DTPAと共に用いて検知され得る。HEFとAUCが健常者の結果に対してプロットされる場合は、疾病がより高いscoreを有するときには、AUCパラメータに対しては取り込みが少ないという傾向があるようだが、これはHEFに対する証拠としてのものではない。われわれが、部分レベルでの結果をプロットする場合、かつ異常な造影促進パターンをもつ部分をプロットする場合は、通常時の実質性と異常時の実質性との間のHEFとAUCに顕著な差異がある(
図22及び23)。移送速度定数k
21とk
3はより厳しい影響を受けた実質性においては高いようであるが、これについての説明はあいまいである(
図24及び25)。興味深い知見は小さいが、irBFの増加によって理解されたとおり、PSCの患者間での肝臓実質性の顕著な過灌流があった。理論的に、これは、肝臓実質性の進行中の炎症の過程の結果であり得るか、又は硬変若しくは繊維性の実質部の動脈血化(arterialisation)であり得る。Cmaxについては、グループの間での差はなく、かつこれはいくつかの説明をもつことができた。異常な外観をもつ実質部の一部から実質性応答を視覚的に検査するときに、健常者の実質性応答曲線と異なっていることは明らかである(
図26)。Tmaxは患者の間で顕著に高いが、T5とT10は低いものの排出は速いようである(表7)。恐らく、これに対する説明は、患者の2/3がまさに封入の時間にあった、ウルソデオキコール酸の胆汁分泌の効果であり得る。
【0152】
さらなる実施形態は、閉塞した胆管を開放するための胆管内のステントの移植である。ステント効果の評価は、移植前後の器官の機能又は胆汁の流れの比較について行われる。
【0153】
結論として、新規な方法及びシステムが、部分レベルの体積毎の肝細胞機能の評価のために開示されている。実施形態において、動的Gd−EOB−DTPA促進MRIなどと共にDHCE−MRIが健常者に用いられる。サマリー・パラメータを使う代わりに。DAにFA+tailとTSVDの両方を適用する数学的モデルが与えられた。TSVDは、フーリエをベースにしたDAよりノイズの多いデータに対して感度が悪いが、肝機能検査でDHCE MRIにより得られたデータのたたみ込みから元の関数を得るための好ましい方法である。
【0154】
当該方法及び/又はシステムも、上述したとおり、治療の仮想的な計画を可能にし、提供したり実行したりするために有用である。
【0155】
当該方法及び/又はシステムも、例えば胎盤、消化器系、脾臓などの分泌性又は排出性機能をもつ他の器官に適用することができる。
【0156】
当該方法及び/又はシステムは、いくつかの器官の機能の同時判断に適用することができる。これらの器官の間の機能の分布は算出することができ、さらに処置され得る。
【0157】
当業者によって認識されているとおり、本発明は、装置、システム、方法又はコンピュータプログラムプロダクトとして具現化され得る。ゆえに、本発明は、完全なるはーどウエアの実施形態、ソフトウエアの実施形態、又はソフトウエアとハードウエアの態様とを組み合わせた実施形態の形態をとることができる。そのうえ、本発明は、媒体に具現化したコンピュータで使用可能なプログラムコードを有するコンピュータで使用可能な格納媒体上のコンピュータプログラムプロダクトの形態をとることができる。いかなる適切なコンピュータ読み取り可能な媒体も、ハードディスク、光学的格納装置、インターネットを支持するもの若しくはインターネットなどの伝送媒体、又は磁気格納媒体を含めて利用可能である。
【0158】
本発明は特定の実施形態を参照して上述した。しかしながら、上述した以外の他の実施形態も、本発明の範囲内で等しく可能である。当該発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。