(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
合成樹脂製のセンサホルダ内に収容したセンサウエイトが慣性によって前記センサホルダ内を移動すると、前記センサホルダに回動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバーが前記センサウエイトによって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバーの爪がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車の歯の間に食い込み、前記歯車のウェビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラクタ用ビークルセンサと、
前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持されると共に、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサが取り付けられた合成樹脂製のケースと、
を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造であって、
・前記ケースは、
前記センサレバーの前記爪が前記歯車の歯の間に食い込むまで、前記センサレバーが前記センサウエイトによって回動させられると、前記センサレバーに当接して前記センサレバーの回動を規制する撓み変形可能な片持ち梁状の弾性片と、
前記片持ち梁状の弾性片によって回動規制された前記センサレバーとの間に隙間が生じるように位置するレバーストッパと、を有し、
・前記片持ち梁状の弾性片は、前記センサレバーが当接した後、更に前記センサレバーを回動させる方向の力が前記歯車を介して作用すると、前記センサレバーが前記隙間の分だけ回動して前記レバーストッパに当接できるように撓み変形させられ、
・前記センサレバーの回動中心から前記センサレバーと前記片持ち梁状の弾性片の当接位置までの距離をL1とし、前記センサレバーの回動中心から前記センサレバーと前記レバーストッパの当接位置までの距離をL2とすると、L1<L2となる、
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造。
前記ケースは、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサを取り付けるためのセンサ収容室と、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサを前記歯車の回転軸に沿って前記センサ収容室内に入れ込むための開口部と、を有し、
前記片持ち梁状の弾性片は、前記ケースの前記センサ収容室を形成する壁であって、且つ、前記開口部に対向するように前記センサ収容室の奥に位置する縦壁に形成又は固定された、
ことを特徴とする請求項1に記載のシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造。
合成樹脂製のセンサホルダ内に収容したセンサウエイトが慣性によって前記センサホルダ内を移動すると、前記センサホルダに回動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバーが前記センサウエイトによって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバーの爪がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車の歯の間に食い込み、前記歯車のウェビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラクタ用ビークルセンサと、
前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持されると共に、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサが取り付けられた合成樹脂製のケースと、
を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造であって、
・前記ケースは、
前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサを取り付けるためのセンサ収容室と、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサを前記歯車の回転軸に沿って前記センサ収容室内に入れ込むための開口部とを有し、前記開口部を閉じる蓋が取り付けられるようになっており、
・前記蓋は、前記開口部を閉じた場合に前記センサ収容室側に位置する内壁面に、片持ち梁状で弾性変形可能な弾性片が形成又は固定され、
・前記弾性片は、前記開口部を前記蓋で閉じた場合に、前記センサ収容室内に突出し、前記センサレバーの前記爪が前記歯車の歯の間に食い込むまで、前記センサレバーが前記センサウエイトによって回動させられると、前記センサレバーに当接して前記センサレバーの回動を規制するようになっており、
・前記ケースの前記センサ収容室を形成する壁であって、且つ、前記センサ収容室の上部に位置する上部壁は、前記弾性片によって回動規制された前記センサレバーとの間に隙間が生じるように位置するレバーストッパを有し、
・前記センサレバーが前記弾性片に当接した後、更に前記センサレバーを回動させる方向の力が前記歯車を介して前記センサレバーに作用すると、前記弾性片が前記センサレバーによって弾性変形させられ、前記センサレバーが前記隙間の分だけ回動して前記レバーストッパに当接するようになっており、
・前記センサレバーの回動中心から前記センサレバーと前記弾性片の当接位置までの距離をL1とし、前記センサレバーの回動中心から前記センサレバーと前記レバーストッパの当接位置までの距離をL2とすると、L1<L2となる、
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1(以
下、ビークルセンサと略称する)の取付部構造を説明するための図である。
【0027】
この
図1に示すように、ビークルセンサ1は、ウェビング巻き取りドラムの回転軸2を
回動可能に支持するケース3のセンサ収容室4内に取り付けられている。そして、ビーク
ルセンサ1は、車両衝突時等の車両の急激な速度変動を検知すると、ウェビング巻き取り
ドラムの回転軸2と同軸上に取り付けられた歯車5の歯6,6の間にセンサレバー7の爪
8を食い込ませて、歯車5がウェビング引き出し方向に回転するのを阻止し、ウェビング
巻き取りドラムの図示しないロック機構(ウェビングのロック機構)の始動を可能にする
。なお、センサレバー7の爪8と歯車5は、ラチェット機構を構成する。
【0028】
(ビークルセンサの全体構成)
図2乃至
図3は、ビークルセンサ1を示す図である。このうち、
図2は、車両の平常時
(停止時や急激な速度変化がない走行時)におけるビークルセンサ1の正面図であって、
図2(a)がビークルセンサ1の組立状態図であり、
図2(b)がビークルセンサ1の分
解図である。また、
図3は、
図2に示したビークルセンサ1の縦断面図であって、
図3(
a)がビークルセンサ1の組立状態における縦断面図であり、
図3(b)がビークルセン
サ1の分解時における縦断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、ビークルセンサ1は、合成樹脂製のセンサホルダ10と、こ
のセンサホルダ10内に収容される金属で球形状に形成されたセンサウエイト11と、セ
ンサホルダ10に一端が揺動可能に取り付けられてセンサウエイト11上に乗せられる合
成樹脂製のセンサレバー7と、で構成されている。
【0030】
(ビークルセンサのセンサホルダ)
センサホルダ10は、
図2乃至
図5に示すように、上方(Z軸に沿った方向)に向けて
開口する有底のセンサウエイト収容凹部12と、センサレバー7の一端側の両側面13,
14から突出する支持軸15,16を回動可能に支持する一対の支持脚部17,18と、
を有している(
図7乃至
図8参照)。
【0031】
センサウエイト収容凹部12は、X−Y方向と平行な平坦面であって且つ平面視した形
状が円形である底面20が形成され、この底面20の中央にセンサウエイト11を着座さ
せるためのテーパ状の座繰り面21が形成されると共に、座繰り面21の底面側開口縁よ
りも小径で且つ座繰り面21と同心の貫通穴22がセンサウエイト収容凹部12の内部空
間を外部空間に連通するように形成されている。そして、センサウエイト収容凹部12に
形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23が、センサウエイト11をセンサウエイト
収容凹部12の中央に保持するようになっている。また、このセンサウエイト収容凹部1
2に形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23は、センサウエイト11に作用する慣
性力が所定以上になるまで、センサウエイト11をセンサウエイト収容凹部12の中央に
保持するセンサウエイト11の安息位置となっている。したがって、センサウエイト11
は、車両の平常時に、センサウエイト収容凹部12の中央(安息位置)から離れることが
なく、センサウエイト収容凹部12内を移動することがない(
図3(a)参照)。
【0032】
また、センサウエイト収容凹部12は、底面20と平行となるように形成されたセンサ
ホルダ10の上面24からZ軸(底面20に直交する方向)に沿って延びる円筒状の側壁
面25が略テーパ形状のコーナー面26を介して底面20に接続されている。そして、セ
ンサウエイト収容凹部12の内部空間は、底面20,座繰り面21,コーナー面26及び
側壁面25によって形作られている。ここで、側壁面25は、平面視した形状が底面20
と同心円となるように形成され、センサウエイト収容凹部12の中央に保持されたセンサ
ウエイト11との間に等間隔の隙間が生じるように形成されており、センサウエイト収容
凹部12の中央に保持されたセンサウエイト11がその隙間分だけセンサウエイト収容凹
部12内を移動することができるようになっている。また、コーナー面26は、センサウ
エイト11に接触することがないように形成されている。
【0033】
一対の支持脚部17,18は、センサホルダ10の上面24からZ軸方向(上方)に向
かって突出するように形成されており、センサレバー7の支持軸15,16を揺動可能に
収容する軸穴27,28が形成されている(
図7参照)。この一対の支持脚部17,18
は、センサレバー7の支持軸15,16を軸穴27,28に嵌合する際に、互いに離間す
る方向へ撓み変形できるようになっており、センサレバー7の支持軸15,16を軸穴2
7,28に嵌合した後、元の姿勢に弾性復元するようになっている(
図7参照)。その結
果、センサレバー7の支持軸15,16は、一対の支持脚部17,18の軸穴27,28
から抜け出すことなく、一対の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動可能に支持さ
れる。なお、一対の支持脚部17,18は、一方の支持脚部18が他方の支持脚部17よ
りもZ軸方向の長さが長く且つ撓み変形し易く形成されている。また、一方の支持脚部1
8は、その上端側で且つ他方の支持脚部17に対向する側が傾斜面30になっており、セ
ンサレバー7の支持軸16が傾斜面30に沿って移動させられるだけで(他方の支持脚部
17との間に押し込まれるだけで)、容易に撓み変形させられ、センサレバー7の支持軸
15,16と軸穴27,28の係合が容易になるように工夫されている。また、一方の支
持脚部18の軸穴28と他方の支持脚部17の軸穴27は、その大きさ(穴径)がセンサ
レバー7の支持軸16,15の太さ(軸径)に応じて異なるように形成されており、セン
サレバー7がセンサホルダ10に正しい姿勢で組み付けられるように工夫されている。
【0034】
また、センサホルダ10は、その両側面31,32に位置決め突起33,34が形成さ
れている。この位置決め突起33,34は、ケース3のセンサ収容室4に形成されたガイ
ドレールとしての位置決め凹部35,36に係合されるようになっている(
図1参照)。
そして、ビークルセンサ1は、センサホルダ10の位置決め突起33,34がセンサ収容
室4の位置決め凹部35,36に係合された状態でセンサ収容室4内に装着されると、歯
車5に対して位置決めされた状態でセンサ収容室4内に保持されることになる(
図1参照
)。
【0035】
また、センサホルダ10は、センサレバー7の回動ストッパ37が上面24に当接する
まで最大限回動しても、センサウエイト11がセンサレバー7との隙間から抜け出すこと
がないように、センサウエイト収容凹部12の深さが決定されている(
図6参照)。
【0036】
(ビークルセンサのセンサレバー)
センサレバー7は、
図7乃至
図8に示すように、その一端側の両側面13,14に、セ
ンサホルダ10の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動可能に嵌合される支持軸1
5,16がそれぞれ形成されている(
図2、
図4参照)。また、センサレバー7の他端側
には、センサホルダ10内に収容されたセンサウエイト11に乗せられるセンサウエイト
押さえ38が形成されている。このセンサウエイト押さえ38の下面側には、略円錐台形
状のセンサウエイト収容面(凹面)40が形成されており、このセンサウエイト収容面4
0がセンサウエイト11の表面に接触するようになっている(
図3、
図6参照)。また、
センサレバー7は、その他端側の上面に爪8が突出形成されており、その爪8の先端側が
鋭角に形成され、爪8の先端側を歯車5の歯6,6の間に食い込ませることができるよう
になっている(
図1参照)。このセンサレバー7の爪8は、センサウエイト押さえ38と
支持軸15,16とを接続するアーム部41の幅寸法よりも小さい幅寸法となるように、
舌片状に形成されている(特に、
図7(a)〜(c)参照)。
【0037】
また、センサレバー7の一端側の下面には、回動ストッパ37が突出形成されている。
このセンサレバー7の回動ストッパ37は、
図6(a),(b)に示すように、ケース3
のセンサ収容室4内に収容される前の状態(例えば、ビークルセンサ1の運搬時やハンド
リング時)において、センサレバー7が自重に反して持ち上げられるように回動させられ
ると、センサホルダ10の上面24に当接して、センサレバー7の回動(
図6中における
反時計回り方向への回動)を阻止し、センサウエイト11がセンサホルダ10の上面24
とセンサレバー7との隙間から抜け出るのを防止するようになっている。
【0038】
(ケース)
図1及び
図9に示すように、合成樹脂で形成されたケース3は、その正面側の壁面50
をウェビング巻き取りドラムの回転軸2の軸心に沿って略矩形形状に彫り込むようにセン
サ収容室4が形成されると共に、ウェビング巻き取りドラムの回転軸2と同軸上に取り付
けられた歯車5を収容する歯車収容室43がセンサ収容室4に隣接するように形成されて
いる。また、ケース3は、ビークルセンサ1を回転軸2(歯車5の回転軸)の軸心に沿っ
てセンサ収容室4内に入れ込むために、センサ収容室4をケース3の正面側に開放する開
口部51が形成されている。そして、センサ収容室4の図中右側上部には、センサ収容室
4内と歯車収容室43内とを連通する窓44が形成されている。この窓44は、センサ収
容室4内に装着したビークルセンサ1のセンサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に
食い込む位置まで突出することを可能にしている。
【0039】
また、
図1,
図9及び
図10に示すように、ケース3のセンサ収容室4を形成する壁の
一つであって且つセンサ収容室4の上部に位置する上部壁52には、窓44の開口縁の一
方(
図1における左右一対の開口縁のうちの左側の開口縁)を形作る合成樹脂製のレバー
ストッパ42が一体に形成されている。
【0040】
また、
図1,
図9及び
図10に示すように、ケース3のセンサ収容室4の上部壁52に
は、センサ収容室4内に突出する片持ち梁状の弾性片(弾性変形部)53が一体に形成さ
れている。この弾性片53は、撓み変形(弾性変形)が可能であり、上部壁52から右斜
め下方に向かって突出し、且つ先端部が下凸形状となるように円弧状に丸められている。
そして、この弾性片53は、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内を移動す
るセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち上げられ(
図1及び
図9の反時計回
り方向へ回動させられ)、センサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に食い込む位置
まで回動すると、円弧状に丸められた先端側下面がセンサレバー7の上面に当接する。こ
の弾性片53がセンサレバー7に当接した際に、センサレバー7とレバーストッパ42と
の間に隙間(δ1)が生じ、センサレバー7の回動ストッパ37とセンサホルダ10の上
面24との間に隙間(δ2(但し、δ2≧δ1))が生じるように、弾性片53,レバー
ストッパ42,センサホルダ10及びセンサレバー7が形成されている。そして、弾性片
53は、センサレバー7が弾性片53に当接した後に更に回動(センサウエイト11の振
動運動等によって持ち上げられる方向へ回動)すると、弾性変形力をセンサレバー7に作
用させて、センサレバー7の回動を阻止する方向に規制する。その結果、センサホルダ1
0のセンサウエイト収容凹部12内に収容されたセンサウエイト11に車両振動等に起因
する慣性力が作用しても、そのセンサウエイト11には弾性片53の弾性力がセンサレバ
ー7を介して作用し、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内におけるセンサ
ウエイト11の振動が抑えられ、センサウエイト11とセンサホルダ10の衝突音の発生
が抑えられる。また、弾性片53は、センサウエイト11によって持ち上げられたセンサ
レバー7に衝突しても、センサレバー7及びセンサウエイト11の運動エネルギーを弾性
変形して吸収することができるため、センサレバー7との衝突音の発生を抑えることがで
きる。なお、
図10に示すように、弾性片53は、レバーストッパ42の幅方向(Y軸方
向)に沿って(窓44の開口縁の一方に沿って)且つレバーストッパ42の幅方向長さと
同一の幅方向長さに形成された薄板状のものであるが、これに限られず、弾性変形力を考
慮し、レバーストッパ42の幅方向長さよりも短い幅方向長さになるように形成してもよ
い。
【0041】
図9及び
図11に示すように、弾性片53は、センサレバー7が当接した後、センサレ
バー7が隙間(δ1)だけ回動(
図9の反時計回り方向へ回動)して、センサレバー7の
爪8がレバーストッパ42に当接するまで弾性変形するようになっている。
【0042】
図11に示すように、レバーストッパ42は、弾性片53に当接して回動規制されたセ
ンサレバー7がウェビング引き出し方向へ回動する歯車5の歯6に押され、センサレバー
7が弾性片53を撓み変形させて回動すると、センサレバー7の爪8に当接し、センサレ
バー7の回動(
図11の反時計回り方向への回動)を阻止して、歯車5の歯6,6の間へ
の爪8の食い込みを規制すると共に、歯車5の歯6との間にセンサレバー7の爪8を挟持
(ロック)するようになっている。
【0043】
ここで、センサレバー7の回動中心47からセンサレバー7と弾性片53の当接位置P
1までの距離をL1とし、センサレバー7の回動中心47から爪8とレバーストッパ42
の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2となるように、ケース3とビーク
ルセンサ1が形成されている。これにより、センサレバー7と弾性片53の衝突時の衝撃
力は、センサレバー7と弾性片53との当接位置P1におけるセンサレバー7の揺動時の
速度がセンサレバー7とレバーストッパ42との当接位置P2におけるセンサレバー7の
揺動時の速度よりも小さくなるため、センサレバー7とレバーストッパ42の衝突時の衝
撃力よりも小さくすることができる。すなわち、本実施形態によれば、センサレバー7と
レバーストッパ42の当接部分に衝突緩衝用の工夫を施す場合に比較し、ビークルセンサ
1の作動音をより一層効果的に抑えることが可能になる。
【0044】
(ビークルセンサの作動)
図3(a)に示すように、ビークルセンサ1は、車両の平常時(停止時や急激な速度変
化がない走行時)に、センサウエイト11がセンサホルダ10内の安息位置(センサウエ
イト保持穴として機能する貫通穴22であって、特に、貫通穴22の座繰り面側開口縁2
3)に保持され、作動することがない。
【0045】
一方、
図1及び
図9に示すように、ビークルセンサ1は、車両の衝突等によって車両走
行速度が急激に変化し、センサウエイト11に作用する加速度が所定値以上になると、セ
ンサウエイト11が慣性によってセンサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内の安
息位置23から移動し、センサウエイト11がセンサレバー7を押し上げながら(回動さ
せながら)、センサウエイト収容凹部12内を移動する。
【0046】
このビークルセンサ1は、センサレバー7がケース3の弾性片53に衝突すると、その
センサレバー7の運動エネルギーを弾性片52が弾性変形して吸収することができ、セン
サレバー7とケース3との衝突音を抑えることができる(
図9参照)。
【0047】
また、このビークルセンサ1は、センサレバー7が弾性片53に当接する位置まで回動
すると、センサウエイト11によって持ち上げられたセンサレバー7の爪8がウェビング
巻き取りドラムに取り付けた歯車5の歯6,6の間に食い込む(
図1及び
図9参照)。そ
して、ビークルセンサ1は、ウェビング引き出し方向の力(センサレバー7の爪8を持ち
上げる方向の力)が歯車5を介してセンサレバー7に作用すると、センサレバー7が弾性
片53を撓み変形(弾性変形)させて、センサレバー7がレバーストッパ42に当接する
まで回動し、センサレバー7の爪8が歯車5の爪6とレバーストッパ42とによって挟持
(ロック)され、歯車5のウェビング引き出し方向への回転をセンサレバー7によって阻
止することができる(
図11参照)。その結果、ビークルセンサ1は、ウェビング巻き取
りドラムのロック機構(ウェビングのロック機構)を始動させることが可能になる。
【0048】
なお、
図1,
図6,
図9及び
図11に示すビークルセンサ1の作動状態において、センサウエイト11に慣性力が作用しなくなると、センサレバー7は、図外のばねによってウェビング巻き戻し方向に回動付勢される歯車5で押圧されて揺動角度を減じる方向へ回動すると共に、自重や弾性片
53の弾性力によって揺動角度を減じる方向へ回動する。その結果、センサウエイト11は、センサレバー7に押されてセンサホルダ10内の安息位置23に戻される(
図3(a)参照)。
【0049】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によれば、
センサレバー7をレバーストッパ42に直接衝突させるようになっておらず、センサレバ
ー7をケース3の弾性片53に衝突させるようになっており、且つ、センサレバー7の回
動中心47からセンサレバー7と弾性片53の当接位置P1までの距離L1がセンサレバ
ー7の回動中心47からセンサレバー7とレバーストッパ42との当接位置P2までの距
離L2よりも短くなっているため、センサレバー7をレバーストッパ42に当接させる場
合に比較し、センサレバー7が弾性片53に衝突する際の速度を小さくすることができ、
ビークルセンサ1の作動時における騒音を抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によ
れば、弾性片53は、センサウエイト11によって持ち上げられたセンサレバー7に衝突
しても、センサレバー7及びセンサウエイト11の運動エネルギーを弾性変形して吸収す
ることができるため、センサレバー7との衝突時の衝撃を吸収し、センサレバー7との衝
突時における衝突音の発生を抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によ
れば、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内のセンサウエイト11に車両振
動等に起因する慣性力が作用し、センサウエイト11がセンサレバー7を揺動させてセン
サウエイト収容凹部12内で振動すると、弾性片53の弾性力がセンサレバー7を介して
センサウエイト11に作用し、センサウエイト収容凹部12内におけるセンサウエイト1
1の振動が抑えられ、センサウエイト11とセンサホルダ10の衝突音の発生が抑えられ
る。
【0052】
また、本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によ
れば、センサレバー7が弾性片53に当接した際に、センサレバー7とレバーストッパ4
2との間に隙間(δ1)が生じ、センサレバー7の回動ストッパ37とセンサホルダ10
の上面24との間に隙間(δ2(但し、δ2≧δ1))が生じるようになっており、セン
サレバー7の爪8がレバーストッパ42に当接する前に、センサレバー7の回動ストッパ
37がセンサホルダ10の上面24に当接することがないため、センサレバー7の回動支
点としての支持軸15,16に過度な負荷が作用せず、支持軸15,16の偏摩耗等に起
因するビークルセンサ1の作動不良を生じることがない。
【0053】
(変形例)
図12は、前記第1実施形態に係るケース3の弾性片(弾性変形部)53の変形例を示
すものである。この変形例の弾性片(弾性変形部)54は、ケース3のセンサ収容室4の
上部壁52(レバーストッパ42の下面)からセンサ収容室4内に図中左斜め下方向へ向
けて突出するように形成された点において、ケース3のセンサ収容室4の上部壁52から
センサ収容室4内に図中右斜め下方向へ向けて突出するように形成された第1実施形態の
弾性片53と異なるが、第1実施形態の弾性片53と同様に機能する。
【0054】
(その他の変形例)
なお、弾性片53,54は、ケース3とは別に形成し、上部壁52に接着剤等で固定し
てもよい。また、弾性片53,54は、薄板状のものに限られず、丸棒状や角棒状のもの
でもよい。また、弾性片53,54は、ケース3と同一の合成樹脂で形成する場合に限ら
れず、ケース3と異なる材料(例えば、ケース3の合成樹脂よりも柔らかい合成樹脂であ
る柔軟グレードのポリアセタールやポリエステルエラストマー)で形成するようにしても
よい。
【0055】
[第2実施形態]
図13乃至
図14は、本発明の第2実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造を説
明するための図である。このうち、
図13(a)は、ケース3のセンサ収容室4の蓋55
を開いた状態を示すビークルセンサ1の取付部構造の図である。また、
図13(b)は、
図13(a)のA2−A2線に沿って切断して示す断面図であり、センサレバー7,弾性
片56及びレバーストッパ42の関係を説明するための図である。また、
図13(c)〜
(f)は、弾性片56の断面形状の例を示す図である。また、
図14(a)は、ケース3
のセンサ収容室4の蓋55を閉じた状態を示すビークルセンサ1の取付部構造の図である
。また、
図14(b)は、
図14(a)のA3−A3線に沿って切断して示す断面図であ
る。なお、
図13乃至
図14に示す本実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造にお
いて、
図1及び
図9に示したビークルセンサ1の取付部構造に対応する部分には同一符号
を付し、前記第1実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造の説明と重複する説明を
省略する。
【0056】
これらの図に示すように、本実施形態に係るケース3は、センサ収容室4の開口部51
の下端側に、センサ収容室4の開口部51を開閉する蓋55がヒンジ部57を介して一体
に形成されている。また、ケース3は、センサ収容室4を形成する壁の一つであって、開
口部51に対向するようにセンサ収容室4の奥に位置する縦壁58に、センサ収容室4内
に突出する片持ち梁状の弾性片(弾性変形部)56が一体に形成されている。この弾性片
56は、細長い薄板形状に形成されており、センサレバー7に当接する下面側がセンサレ
バー7に向かって突出する円弧形状に形成されている(
図13(c)参照)。そして、こ
の弾性片56は、第1実施形態の弾性片53と同一の位置でセンサレバー7に当接し、第
1実施形態の弾性片53と同様に機能する。その結果、本実施形態に係るビークルセンサ
1の取付部構造は、第1実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造と同様の効果を得
ることができる。
【0057】
なお、弾性片56は、ケース3とは別に形成し、縦壁58に接着剤等で固定してもよい
。また、弾性片56は、薄板状のものに限られず、丸棒状や角棒状のものでもよい。また
、蓋55は、ケース3の上部壁52の正面側に形成された穴60の下縁に引っ掛けられる
弾性変形可能なフック61が一体に形成されている(
図14(b)参照)。また、蓋55
と弾性片56は、ケース3と同一の合成樹脂で形成する場合に限られず、ケース3と異な
る材料(例えば、ケース3の合成樹脂よりも柔らかい合成樹脂である柔軟グレードのポリ
アセタールやポリエステルエラストマー)で形成するようにしてもよい。また、蓋55は
、
図13(a)において、ケース3の開口部51の左側に一体に形成するようにしてもよ
い。また、弾性片56は、下面側が下に凸の円弧形状となる断面形状にするか(
図10(
c))、または下面側が下に凸の三角形状となる断面形状にすると(
図13(d)参照)
、センサレバー7との接触位置が安定する。また、弾性片56は、センサレバー7との接
触位置が安定する限り、下面側が下に凸の台形形状となる断面形状や(
図10(e),(
f)参照)、その他の断面形状を採用してもよい。
【0058】
[第3実施形態]
図15乃至
図16は、本発明の第3実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造(前
記第2実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造の変形例)を説明するための図であ
る。このうち、
図15(a)は、ケース3のセンサ収容室4の蓋55を開いた状態を示す
ビークルセンサ1の取付部構造の図である。また、
図15(b)は、
図15(a)のA4
−A4線に沿って切断して示す断面図である。また、
図16(a)は、ケース3のセンサ
収容室4の蓋55を閉じた状態を示すビークルセンサ1の取付部構造の図である。また、
図16(b)は、
図16(a)のA5−A5線に沿って切断して示す断面図である。なお
、
図15乃至
図16に示す本実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造において、図
1,
図13乃至
図14に示したビークルセンサ1の取付部構造に対応する部分には同一符
号を付し、前記第1及び第2実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造の説明と重複
する説明を省略する。
【0059】
これらの図に示すように、蓋55は、センサ収容室4の開口部51を閉じた際に、セン
サ収容室4側に位置することになる内壁面62に片持ち梁状の弾性片(弾性変形部)63
が一体に形成されている。この弾性片63は、第2実施形態の弾性片56と同様の形状で
あり、センサ収容室4の開口部51を蓋55で閉じた場合にセンサ収容室4内に突出して
、第2実施形態の弾性片56と同一の位置でセンサレバー7に当接し、第2実施形態の弾
性片56と同様に機能する。その結果、本実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造
は、第1及び第2実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造と同様の効果を得ること
ができる。
【0060】
なお、弾性片63は、蓋55とは別に形成し、蓋55の内壁面62に接着剤等で固定し
てもよい。また、弾性片63は、薄板状のものに限られず、丸棒状や角棒状のものでもよ
い。また、蓋55と弾性片63は、ケース3と同一の合成樹脂で形成する場合に限られず
、ケース3と異なる材料(例えば、ケース3の合成樹脂よりも柔らかい合成樹脂である柔
軟グレードのポリアセタールやポリエステルエラストマー)で形成するようにしてもよい
。
【0061】
[第4実施形態]
図17乃至
図19は、本発明の第4実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造(前
記第3実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造の変形例)を説明するための図であ
る。このうち、
図17は、ケース3のセンサ収容室4の蓋64を取り外した状態を示すビ
ークルセンサ1の取付部構造の図である。また、
図18は、
図17に示したケース3のセ
ンサ収容室4の開口部51に取り付けられる蓋64の図である。
図19は、ケース3のセ
ンサ収容室4の開口部51に蓋64を取り付けた状態を示すビークルセンサ1の取付部構
造の図である。なお、
図17乃至
図19に示す本実施形態に係るビークルセンサ1の取付
部構造において、
図15乃至
図16に示したビークルセンサ1の取付部構造に対応する部
分には同一符号を付し、第3実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造の説明と重複
する説明を省略する。
【0062】
これらの図に示す本実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造は、蓋64がケース
3とは別に形成され、センサ収容室4の開口部51を蓋64で開閉できるように、蓋64
がケース3に着脱可能に取り付けられるようになっている。すなわち、本実施形態の蓋6
4は、前記第3実施形態の蓋55がケース3と一体に形成されたのに対し、ケース3とは
別に形成された後、ケース3に着脱可能に取り付けられるようになっている点において、
前記第3実施形態の蓋55と異なる。
【0063】
この本実施形態の蓋64は、ケース3に取り付けられた場合、センサ収容室4側に位置
する(センサ収容室4に臨む)ことになるのが内壁面65である。この蓋64の内壁面6
5には、その上端縁側の1箇所に第1係止片66が形成され、その下端縁側の左右のコー
ナー部近傍に第2係止片67と第3係止片68がそれぞれ形成されている。そして、この
蓋64の第1〜第3係止片66〜68をケース3の正面側の壁面50に形成された第1〜
第3の穴70〜72に押し込むことにより、蓋64がケース3に着脱可能に取り付けられ
ることになる。なお、第1〜第3係止片66〜68は、
図18(c)〜(d)に示すよう
に、丸棒をスリット73で2分割したような形状になっており、スリット73の幅を狭め
るように弾性変形させてケース3の第1〜第3の穴70〜72に押し込まれるようになっ
ている。その結果、蓋64は、第1〜第3の穴70〜72内で弾性復元する第1〜第3係
止片66〜68の弾性力で弾性的に保持される。
【0064】
また、本実施形態の蓋64は、ケース3に取り付けられた場合、センサ収容室4側に位
置する(センサ収容室4に臨む)こととなる内壁面65に片持ち梁状の弾性片(弾性変形
部)63が一体に形成されている。この弾性片63は、第2及び3実施形態の弾性片56
,63と同様の断面形状(例えば、
図13(c)〜(f)参照)の薄板であり、センサ収
容室4の開口部51を蓋64で閉じた場合にセンサ収容室4内に突出して、第3実施形態
の弾性片63と同一の位置でセンサレバー7に当接し、第3実施形態の弾性片63と同様
に機能する。その結果、本実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造は、第1乃至第
3実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、弾性片63は、蓋64とは別に形成し、蓋64の内壁面65に接着剤等で固定し
てもよい。また、弾性片63は、薄板状のものに限られず、丸棒状や角棒状のものでもよ
い。また、蓋65と弾性片63は、ケース3と同一の合成樹脂で形成する場合に限られず
、ケース3と異なる材料(例えば、ケース3の合成樹脂よりも柔らかい合成樹脂である柔
軟グレードのポリアセタールやポリエステルエラストマー)で形成するようにしてもよい
。