(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記修正針には、前記修正針の上方から前記修正針の前記先端部と前記異物との接触状態を観察可能となるよう、前記第1の平坦面から見て前記第2の平坦面とは反対側に第3の平坦面がさらに形成されている、請求項1に記載の欠陥修正装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図25〜
図27を参照して、特許文献1〜5において提案されている方法では、異物300を除去するための修正針として、円錐形状を有し、かつ先端部に平坦面あるいは球面部が形成された修正針110が用いられる。修正針110の先端部に形成された平坦面および球面部の半径は、数μm〜数十μmとされる。修正針110による異物300の除去においては、修正針110の接触によりガラス基板200a上に形成された着色層200bおよび保護層200c、またはガラス基板200aに外力が負荷され、カラーフィルタ基板200が損傷を受けるという問題点がある。
【0006】
また、異物300が小さい場合は、修正針110の操作により容易に異物300を除去することができる。具体的には、異物300が数μmの大きさであれば、たとえば修正針110の先端部の平坦面の半径を2μm、修正針110とカラーフィルタ基板200とのなす角度を10度として修正針110を操作することにより、容易に異物300を除去することができる。しかし、異物300が大きい場合、たとえば数十μm〜数百μmの大きさである場合は、修正針110を繰り返し操作して異物300を除去する必要があり、これにより、カラーフィルタ基板200が受ける損傷がさらに大きくなる。
【0007】
これに対して、
図28〜
図30を参照して、先端部の平坦面の半径が数十μmから数百μmの修正針110によれば、修正針110を繰り返し操作する回数を少なくすることができる。しかし、修正針110とカラーフィルタ基板200とは点接触する。そのため、修正針110の接触によりカラーフィルタ基板200に負荷される圧力を低減することはできず、カラーフィルタ基板200が受ける損傷を効果的に抑制することはできない。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、修正針の接触による基板の損傷を抑制することができる、欠陥修正装置および欠陥修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った欠陥修正装置は、修正針を用いて基板上の異物を除去することにより基板上の微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正装置である。
この欠陥修正装置の修正針は、先端部と先端部に接続されている本体部とを含む。この欠陥修正装置の修正針の先端部には、直線状の稜線部が形成されている。
該稜線部は、修正針に形成された第1の平坦面と、第1の平坦面に交差し、基板と対峙する第2の平坦面との交線により構成されている。先端部は、本体部と接続されている部分から稜線部に行くにつれて、第1の平坦面および第2の平坦面の幅と、第1の平坦面と第2の平坦面との間の厚みが徐々に小さくなるように形成されている。修正針は、第1の平坦面と基板との成す角度が90度未満であって、稜線部が基板と線接触するように設けられている。
【0010】
本発明に従った欠陥修正装置においては、修正針の先端部には直線状の稜線部が形成されている。そのため、修正針は、当該稜線部において基板に対して線接触することができる。したがって、本発明に従った欠陥修正装置によれば、修正針と基板とが点接触する場合に比べて修正針の接触による基板への負荷が低減され、修正針の接触による基板の損傷を抑制することができる。
また、交差する任意の2つの平坦面を修正針に設けることにより、容易に稜線部を形成することができる。また、上記の欠陥修正装置において、第1の平坦面と第2の平坦面とが交差して形成される角は鋭角であってもよい。
【0012】
上記の欠陥修正装置において、修正針には、修正針の上方から修正針の先端部と異物との接触状態を観察可能となるよう、第1の平坦面から見て第2の平坦面とは反対側に第3の平坦面がさらに形成されていてもよい。これにより、修正針の先端部と異物との接触状態を観察しつつ、修正針により異物を除去することができる。
【0013】
上記の欠陥修正装置は、複数の修正針を備えていてもよい。これにより、当該欠陥修正装置は、先端部の形状が異なる複数の修正針を備えることができる。その結果、修正作業を効率化することができる。
【0014】
上記の欠陥修正装置は、基板との距離を変更可能に修正針を保持する保持部材をさらに備えていてもよい。これにより、当該修正針と基板とが接触した際、当該修正針に負荷される外力が緩和される向きに修正針が移動する。その結果、修正針の接触による基板の損傷が抑制される。
【0015】
上記の欠陥修正装置において、保持部材は、修正針に負荷されるべき外力により変形可能な弾性部材を含んでいてもよい。これにより、修正針と基板とが接触した際、修正針に負荷される外力、すなわち基板からの抗力により弾性部材が変形し、基板が修正針から受ける力が緩和される。その結果、修正針の接触による基板の損傷が抑制される。
【0016】
上記の欠陥修正装置において、保持部材は、修正針に連結されたベース部材と、ベース部材を支持する支持部材とをさらに含んでいてもよい。また、ベース部材は、支持部材との間に磁力を発生させるための第1磁性部材を含んでいてもよい。また、支持部材は、ベース部材との間に磁力を発生させるための第2磁性部材を含んでいてもよい。これにより、支持部材は、ベース部材を磁力により支持することができる。そして、修正針と基板とが接触した際、当該修正針に負荷される外力によりベース部材と支持部材との間に微小な隙間が形成されることにより、あるいはベース部材が支持部材に対してスライドすることにより、基板が修正針から受ける力が緩和される。その結果、修正針の接触による基板の損傷が抑制される。
【0017】
上記の欠陥修正装置において、保持部材は、修正針を回動可能に保持することにより、基板の表面と修正針の長手方向との成す角度を任意に変更可能としていてもよい。これにより、修正針を基板に接触させる角度を、異物の除去に適するように選択することができる。
【0018】
上記の欠陥修正装置は、修正針と基板との接触を検出する検出部材をさらに備えてもよい。これにより、修正針と基板との接触を確認することができる。
【0019】
上記の欠陥修正装置は、修正針により除去された異物を回収する回収部材をさらに備えていてもよい。これにより、修正針により除去された異物を基板上に残すことなく、異物の除去を完了することができる。
【0020】
本発明に従った欠陥修正方法は、修正針を用いて基板上の異物を除去することにより基板上の微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正方法である。
修正針は、先端部と先端部に接続されている本体部とを含み、修正針の先端部には直線状の稜線部が形成されており、稜線部は、修正針に形成された第1の平坦面と、第1の平坦面に交差し、基板と対峙する第2の平坦面との交線により構成されている。先端部は、本体部と接続されている部分から稜線部に行くにつれて、第1の平坦面および第2の平坦面の幅と、第1の平坦面と第2の平坦面との間の厚みが徐々に小さくなるように形成されている。当該欠陥修正方法においては、
第1の平坦面と基板との成す角度が90度未満となるように、修正針の稜線部を基板に
線接触させて異物を除去する。
【0021】
本発明に従った欠陥修正方法においては、修正針の先端部に形成された直線状の稜線部を基板に接触させつつ異物を除去する。そのため、修正針を基板に対して線接触させつつ異物を除去することができる。したがって、本発明に従った欠陥修正方法によれば、修正針の接触による基板への負荷が低減され、修正針の接触による基板の損傷を抑制することができる。
【0022】
上記の欠陥修正方法は、修正針を基板に接触させて異物を除去する前に、基板において異物が含まれる局所範囲を加熱する工程を備えていてもよい。これにより、基板と異物との固着が弱められるため、容易に異物を除去することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明の欠陥修正装置および欠陥修正方法によれば、修正針の接触による基板の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態1に係る欠陥修正装置の構成を示す概略斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の構成を示す概略図である。
【
図3】実施の形態1に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の変形例を示す概略図である。
【
図4】実施の形態1に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の変形例を示す概略図である。
【
図5】実施の形態1に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の変形例を示す概略図である。
【
図6】実施の形態1に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の変形例を示す概略図である。
【
図7】実施の形態1に係る修正針を用いた異物の除去方法を説明するための概略図である。
【
図8】実施の形態1に係る修正針を用いた異物の除去方法を説明するための概略図である。
【
図9】
図8中の矢印Aに示す向きから見た実施の形態1に係る修正針の構造を示す概略端面図である。
【
図10】実施の形態1に係る修正針の変形例の構造を示す概略図である。
【
図11】実施の形態1に係る修正針の変形例の構造を示す概略図である。
【
図12】
図11中の矢印Bに示す向きから見た実施の形態1に係る修正針の変形例の構造を示す概略図である。
【
図13】実施の形態1に係る異物回収装置の構造を示す概略図である。
【
図14】実施の形態1に係る異物回収装置の他の構造を示す概略図である。
【
図15】実施の形態1に係る異物回収装置の他の構造を示す概略図である。
【
図16】実施の形態1に係る異物回収装置のさらに他の構造を示す概略図である。
【
図17】実施の形態1に係る修正針の変位をレーザ変位計により確認する態様を示す概略図である。
【
図18】実施の形態1に係る欠陥修正装置に備えられた焼成装置により基板に含まれる異物を加熱処理する態様を示す概略図である。
【
図19】実施の形態1に係る異物除去装置に含まれる修正針を斜め観察光学系により観察する態様を示す概略図である。
【
図20】実施の形態2に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の構成を示す概略図である。
【
図21】
図20中の矢印Cに示す向きより見た実施の形態2に係る欠陥修正装置に備えられた異物除去装置の構成を示す概略図である。
【
図22】実施の形態2に係る異物除去装置による異物の回収方法を説明するための概略図である。
【
図23】従来技術におけるカラーフィルタ基板の構造と当該カラーフィルタ基板に含まれる異物を示す概略図である。
【
図24】従来技術におけるカラーフィルタ基板の構造と当該カラーフィルタ基板に含まれる異物を示す概略図である。
【
図25】従来技術における修正針を用いた異物の除去方法を説明するための概略図である。
【
図26】従来技術における修正針を用いた異物の除去方法を説明するための概略図である。
【
図27】
図26中の矢印Dの向きから見た従来技術における修正針の構造を示す概略端面図である。
【
図28】従来技術における他の修正針の構造を示す概略図である。
【
図29】従来技術における他の修正針の構造を示す概略図である。
【
図30】
図29中の矢印Eの向きから見た従来技術における他の修正針の構造を示す概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0026】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について説明する。はじめに、
図1を参照して、実施の形態1に係る欠陥修正装置1の構成について説明する。実施の形態1に係る欠陥修正装置1は、修正針を用いて基板上の異物を除去することにより基板上の微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正装置である。欠陥修正装置1は、チャック30Aと、XYステージ30Bと、観察光学系40と、画像処理部50と、モニタ51と、異物除去装置10と、塗布装置60と、Zステージ70と、レーザ部80と、制御用コンピュータ90Aと、ホストコンピュータ90Bとを備えている。
【0027】
チャック30Aは、除去すべき異物を含む基板2を保持する。XYステージ30Bは、基板2を保持するチャック30Aを
図1中XY平面内において移動可能に保持する。観察光学系40は、上方より基板2を観察可能な位置に配置されている。モニタ51は、観察光学系40により観察された基板2の画像を映し出す。画像処理部50は、基板2の欠陥を認識する。
【0028】
異物除去装置10は、異物除去装置10に含まれる修正針により、基板2に含まれる異物を除去する。また、欠陥修正装置1は、修正針と基板2との接触を検出する検出部材と、修正針により除去された異物を回収する回収部材としての異物回収装置と、基板2を加熱処理するための加熱装置とをさらに含んでいてもよい。検出部材、異物回収装置および加熱装置については後述する。
【0029】
レーザ部80は、修正針により異物が除去された後、レーザ光を照射することにより、基板2の異物が除去された部分を整形する。塗布装置60は、修正針により異物が除去された後、基板2に適当な補修剤を塗布して、薄膜またはパターンが剥離した部分を修正する。
【0030】
Zステージ70は、観察光学系40と、塗布装置60と、レーザ部80とを
図1中Z軸方向へ移動可能に保持する。制御用コンピュータ90Aは、欠陥修正装置1の動作を制御する。ホストコンピュータ90Bは、欠陥修正装置1の全体を制御する。
【0031】
次に、異物除去装置10の構成について説明する。
図2を参照して、異物除去装置10は、異物を除去するための修正針11と、修正針11を保持する保持部材としての修正針ホルダ12、Zテーブル13、スライダ15およびXYZステージ16と、検出部材としてのZテーブル変位計13bとを含んでいる。修正針ホルダ12は、修正針11を固定する。修正針ホルダ12は、Zテーブル13に固定される。Zテーブル13は、スライダ15に形成されたスライダ軸部15aに沿って移動可能に保持される。Zテーブル13は、その自重により、スライダ軸部15aの下端部に形成されたストッパ15bに当接した状態となっている。スライダ15は、XYZステージ16に固定される。XYZステージ16は、
図1中Z軸方向に移動可能とされ、また
図1中XY平面内において移動可能とされていてもよい。
【0032】
修正針11は、保持部材としての修正針ホルダ12、Zテーブル13およびスライダ15により、基板2との距離を変更可能に保持されている。具体的には、Zテーブル13は、スライダ軸部15aに沿って、
図1中Z軸方向へ移動可能とされている。そのため、Zテーブル13は、修正針11と基板2とが接触した際、修正針11に負荷される外力により、基板2から退避する向きに移動することができる。これにより、修正針11により基板2に負荷される力は緩和され、修正針11の接触による基板2の損傷を抑制することができる。また、Zテーブル13のスライダ軸部15aに沿った移動は、Zテーブル変位計13bにより検出される。これにより、修正針11と基板2との接触や、基板2への修正針11の押し込み量を把握することができる。
【0033】
また、
図3を参照して、XYZステージ16は、XYZステージ16の
図1中Z軸方向の移動を検出するためのXYZステージ変位計16aを含んでいてもよい。これにより、XYZステージ変位計16aからの出力を監視することで、修正針11と基板2との接触や、基板2への修正針11の押し込み量を把握することができる。その結果、修正針11の接触による基板2の損傷を抑制することができる。
【0034】
図4を参照して、異物除去装置10において、修正針11に連結されたベース部材としての修正針ホルダ12は、支持部材としてのZテーブル13との間に磁力を発生させるための第1磁性部材12aを含んでもよい。また、Zテーブル13は、修正針ホルダ12との間に磁力を発生させるための第2磁性部材13aを含んでもよい。
【0035】
修正針ホルダ12は、第1磁性部材12aと第2磁性部材13aとの間に発生する磁力により、Zテーブル13に対して上方より着脱可能とされている。そのため、修正針11と基板2とが接触する際、修正針11に負荷される外力により、修正針ホルダ12とZテーブル13との間に微小な隙間が形成され、あるいは修正針ホルダ12がZテーブル13に対してわずかにスライドする。これにより、修正針11が基板2に負荷する力が緩和され、基板2の損傷を抑制することができる。
【0036】
図5を参照して、異物除去装置10は、保持部材として、修正針11に負荷されるべき外力により変形可能な弾性部材18を含んでいてもよい。具体的には、異物除去装置10において、スライダ15およびZテーブル13が省略され、修正針ホルダ12を固定する固定台17と、弾性部材18とが含まれてもよい。弾性部材18は、たとえば板ばねであってもよいし、ゴム製の部材であってもよい。
【0037】
弾性部材18は、修正針11と基板とが接触した際、修正針11に負荷される外力により撓み、修正針11が基板に負荷する力を緩和する。これにより、修正針11の接触による基板の損傷を抑制することができる。なお、
図5では、スライダ15およびZテーブル13を省略した異物除去装置10について説明したが、
図2および
図4に示した異物除去装置10のZテーブル13に、弾性部材18が含まれてもよい。
【0038】
図6を参照して、異物除去装置10に含まれる保持部材は、修正針11を回動可能に保持することにより、基板の表面と修正針11の長手方向との成す角度を任意に変更可能としてもよい。具体的には、異物除去装置10は、支持点19aにおいてZテーブル13に固定され、支持点19aを中心として修正針11を図中R方向に回動可能に保持する回転部材19を含んでいてもよい。これにより、修正針11を基板に接触させる角度を異物の除去に適するように選択することができる。
【0039】
次に、異物除去装置10に含まれる修正針11の構造について、
図7〜
図12に基づいて説明する。
図7〜
図9を参照して、実施の形態1に係る修正針11は、修正針11の長手方向に垂直な第1の平坦面11aと、第1の平坦面11aと交差し、基板2と対峙する第2の平坦面11bと、第1の平坦面11aから見て第2の平坦面11bとは反対側に形成された第3の平坦面とを含んでいる。第1の平坦面11aは、四角形状であってもよいが、他の多角形状であってもよい。
【0040】
修正針11の先端部には、直線状の稜線部11dが形成されている。より具体的には、稜線部11dは、修正針11の先端面である第1の平坦面11aと、第1の平坦面11aに交差し、基板2と対峙する第2の平坦面11bとの交線により構成されている。このように、稜線部11dは、交差する任意の2つの平坦面(ここでは、第1の平坦面11aと第2の平坦面11b)を修正針11に設けることにより容易に形成することができる。なお、2つの平坦面が交差する状態とは、2つの平坦面が1の線分を共有するように隣り合う状態をいうものとする。
【0041】
上記のように、修正針11の先端部には、直線状の稜線部11dが形成されている。そのため、修正針11は、稜線部11dによって、基板2に線接触することができる。したがって、修正針11が基板2に点接触する場合に比べて、修正針11と基板2との接触する領域が広くなる。これにより、修正針11の接触による基板2への負荷が低減され、基板2の損傷を抑制することができる。修正針11と基板2との接触する領域は、稜線部11dの長さにより決定される。稜線部11dの長さは、たとえば数μm〜数十μmとされてもよい。また、大きな異物の除去を目的とする場合には、数百μm〜数mmとされてもよい。
【0042】
また、修正針11において、第3の平坦面11cは、修正針11の上方から修正針11の先端部と異物3との接触状態を観察可能となるように形成されていてもよい。具体的には、修正針11は、先端部に向かうに従って細くなるテーパ形状(円錐台形状)を有していてもよい。これにより、基板2の上方から見た第1の平坦面11aの陰が小さくなる。そのため、修正針11の上方から修正針11の先端部と異物3との接触状態を観察しつつ、修正針11により異物3を除去することができる。
【0043】
また、修正針11において、第1の平坦面11aと第2の平坦面11bとが交差して形成される角は鋭角であってもよい。具体的には、
図10〜
図12を参照して、修正針11は、ノミのような形状を有していてもよい。すなわち、修正針11の先端部は、先端に向かうに従って細くなる四角柱状あるいは四角錐状の形状を有し、その先端に第1の平坦面11aが形成されていてもよい。ノミ形状を有する修正針11は、上記テーパ形状を有する修正針11に比べてより容易に作製することができる。また、修正針11にノミ形状を採用する場合には、上記
図7〜
図9のようなテーパ形状を採用する場合に比べて修正針11の厚みが増し、そのため修正針11の強度を向上させることができる。
【0044】
次に、異物回収装置について、
図13〜
図16を参照して説明する。異物回収装置としては、触針型異物回収装置22、ローラ型異物回収装置23、テープ型異物回収装置24などを採用することができる。
図13を参照して、触針型異物回収装置22は、基本的には異物除去装置10の構成と同様の構成を有しているが、修正針11および修正針ホルダ12に代えて、棒状粘着部材22aおよび棒状粘着部材ホルダ22bを含む点で異物除去装置10の構成とは異なっている。棒状粘着部材22aは、たとえばシリコンよりなっていてもよいが、これに限定されるものではない。
【0045】
触針型異物回収装置22によれば、修正針により基板から剥離されて基板上に残った異物を、棒状粘着部材22aの粘着性を利用して棒状粘着部材22aに付着させることにより回収することができる。なお、棒状粘着部材22aに付着させた当該異物は、棒状粘着部材22aよりもさらに強い粘着性を有する他の粘着部材(図示しない)に転写される。また、棒状粘着部材22aに付着した異物は、吸引またはエアブローにより、あるいはこれらを併用することより除去されてもよい。
【0046】
図14および
図15を参照して、ローラ型異物回収装置23は、支持部23aと、ローラ軸部23bと、ローラ軸部23bを軸として回転可能に保持されたローラ状粘着部材23cとを含んでいる。ローラ型異物回収装置23によれば、基板の表面においてローラ軸部23bを軸としてローラ状粘着部材23cを回転させ、ローラ状粘着部材23cに異物を付着させることにより、当該異物を回収することができる。ローラ状粘着部材23cに付着させた当該異物は、ローラ状粘着部材23cが1回転したときに、あるいは任意の時間が経過したときに上記の触針型異物回収装置22と同様にして除去される。
【0047】
図16を参照して、テープ型異物回収装置24は、供給用リール24bと、巻き取り用リール24cと、供給用リール24bおよび巻き取り用リール24cに巻き付けられたテープ状粘着部材24aと、押圧部材24dとを含んでいる。テープ型異物回収装置24によれば、押圧部材24dによりテープ状粘着部材24aを回収すべき異物に接触させて、供給用リール24bより供給されたテープ状粘着部材24aに異物を付着させることにより、当該異物を回収することができる。異物を付着させたテープ状粘着部材24aは、巻き取り用リール24cにより巻き取られて回収される。
【0048】
次に、実施の形態1に係る欠陥修正装置1の動作について説明する。
図1を参照して、はじめに、除去すべき異物を含む基板2が欠陥修正装置1へ搬入される。次に、基板2が、チャック30A上に載置される。基板2は、たとえば真空吸着などにより、チャック30A上に固定される。
【0049】
次に、あらかじめ取得された異物の発生位置の情報に基づいて、XYステージ30Bを動作させて、観察光学系40により当該異物を観察可能な位置へ基板2を移動させる。また、Zステージ70を動作させて、観察光学系40の焦点を基板2に合わせる。
【0050】
図2を参照して、次に、XYZステージ16を動作させて、修正針11を異物の上方に位置させる。次に、XYZステージ16を動作させて、モニタに映し出された画像を確認しつつ、修正針11を基板に接近させる。
【0051】
図3を参照して、XYZステージ16の変位は、XYZステージ変位計16aにより確認されてもよい。また、
図17を参照して、修正針11の変位は、欠陥修正装置1に備えられたレーザ変位計20により修正針11に図中の破線20aで示すレーザ光を照射することにより確認されてもよい。
【0052】
次に、修正針11が基板2に接触し、あるいは近接した後に、XYZステージ16の動作を停止させる。その後、さらに修正針11を基板2へ接近、あるいは基板2より退避させて、修正針11の押し込み量を調整してもよい。修正針11による接触荷重は、基板2に形成された薄膜やパターンの強度を考慮して調整され、たとえば十数g程度とされる。
【0053】
また、修正針11が基板2に接触する場合には、スライダ15が有効に機能することにより、基板2の損傷を回避することができる。すなわち、上記のように、Zテーブル13がスライダ軸部15aに沿って基板2より退避する向きに移動することにより、基板2の損傷が抑制される。
【0054】
図7〜
図12を参照して、次に、修正針11を操作することにより異物3の除去を行なう。修正針11の操作は、修正針11の先端部に形成された直線状の稜線部11dを基板2に接触させつつ行なわれ、異物3が完全に除去されるまで繰り返し行なわれる。
【0055】
また、修正針11を基板2に接触させて異物3を除去する前に、基板2において異物3が含まれる局所範囲を加熱する工程が行われてもよい。具体的には、
図18を参照して、加熱装置21により図中の破線21aで示す光を異物3の付近に照射してもよい。加熱装置21としては、半導体レーザ、ハロゲンランプ、ヒートエアを吐出する装置などを用いることができる。半導体レーザは、観察光学系を介して照射することもできる。また、加熱する温度は、基板2に用いられる材質などにより調整され、たとえば数十℃〜数百℃とされる。これにより、修正針11の操作により異物3を完全に除去することができない場合においても、上記の加熱処理により基板2と異物3との固着が弱められるため、容易に異物3を除去することができる。
【0056】
また、
図1を参照して、異物と基板2との固着を弱めるために、塗布装置60を用いて溶剤を塗布してもよい。溶剤としては、たとえば薄膜やパターンを形成する液体材料に含まれる主溶剤や、異物を軟化させる溶剤などが用いられる。塗布装置60により異物の付近に溶剤を塗布し、一定時間放置した後に修正針を操作することにより、容易に異物を除去することができる。
【0057】
図19を参照して、次に、欠陥修正装置1に備えられた斜め観察光学系40Aにより、修正針11を観察して、修正針11の先端に付着した異物の有無、あるいは修正針11の状態(磨耗の具合や破損など)を確認する。
【0058】
図1を参照して、次に、観察光学系40により基板2を観察し、基板2上に修正針により除去した異物が残っているか否かを確認する。基板2上に残った異物が確認された場合は、異物回収装置により回収する。
【0059】
次に、レーザ部80によりレーザ光を照射して、異物を除去した部分の薄膜およびパターンを整形する。次に、塗布装置60により、薄膜またはパターンが剥離した部分に適当な補修剤を塗布する。
【0060】
図19を参照して、最後に、XYZステージ16を動作させて、修正針11を基板2より退避させる。基板2が他の除去すべき異物を含む場合は、当該異物を除去するために上記の工程が繰り返して実施される。基板2に含まれる全ての除去すべき異物の除去が完了した後、基板2が欠陥修正装置1より排出され、基板2の欠陥の修正が完了する。
【0061】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る欠陥修正装置について説明する。実施の形態2に係る欠陥修正装置は、基本的には実施の形態1に係る欠陥修正装置1と同様の構成を備えている。しかし、実施の形態2に係る欠陥修正装置は、異物除去装置10が複数の修正針を含むという点で、実施の形態1に係る欠陥修正装置1とは異なっている。
【0062】
図20〜
図22を参照して、異物除去装置10は、複数の修正針11、修正針ホルダ12、Zテーブル13、スライダ15および直動アクチュエータ25と、XYZステージ16とを含んでいる。各修正針ホルダ12は、それぞれ一つの修正針11を固定する。各々の修正針ホルダ12は、対応するZテーブル13に固定される。各々のZテーブル13は、対応するスライダ15に形成されたスライダ軸部15aに沿って移動可能に保持される。各々のスライダ15は、対応する直動アクチュエータ25により、それぞれ
図1中Z軸方向へ移動可能に保持される。直動アクチュエータ
25としては、たとえばエアシリンダが用いられる。また、各々のスライダ15は、一のXYZステージ16に固定される。XYZステージ16は、
図1中Z軸方向に移動可能とされ、
図1中XY平面内において移動可能とされていてもよい。
【0063】
複数の修正針11としては、先端部の形状が互いに異なるものが用いられてもよい。これにより、種々の形状あるいは大きさを有する異物の除去に際して、各々の異物の除去に適した先端部の形状を有する修正針11を適宜選択することができる。その結果、修正作業を効率化することができる。また、複数の修正針11のうちの一つの修正針11に代えて、棒状粘着部材22aが用いられてもよい。
【0064】
次に、実施の形態2に係る欠陥修正装置の動作について説明する。まず、実施の形態1の場合と同様に、基板2が搬入され、異物が観察可能な状態とされる。
図20および
図21を参照して、次に、観察光学系により観察された異物3の形状あるいは大きさなどを考慮して、複数の修正針11より、異物3の除去に適した一つの修正針11を選択する。次に、XYZステージ16を動作させて、選択された一つの修正針11を異物3の上方に位置させる。次に、XYZステージ16を動作させて、一つの修正針11を基板2に接近させる。次に、一つの修正針11が基板2に近接した後に、XYZステージ16の動作を停止させる。
【0065】
次に、一つの修正針11を保持する直動アクチュエータ25を動作させて、一つの修正針11を基板2にさらに接近させる。次に、一つの修正針11が基板2に接触し、あるいはさらに近接した後に、直動アクチュエータ25の動作を停止させる。次に、一つの修正針11を操作することにより異物3の除去を行なう。なお、実施の形態1と同様に、加熱装置21による加熱処理など、異物3と基板2との固着を弱めるための処理をあらかじめ施してもよい。
【0066】
次に、
図19を参照して、実施の形態1と同様に、斜め観察光学系40Aにより、一つの修正針11を観察する。次に、
図1を参照して、観察光学系40により基板2を観察し、基板2上に一つの修正針11により除去された異物3が残っているか否かを確認する。
【0067】
図22を参照して、基板2上に残った異物3が確認された場合は、以下に示すように異物3を回収する。まず、一つの修正針11を保持する直動アクチュエータ25を動作させて、一つの修正針11を基板2より退避させる。次に、XYZステージ16を動作させて、棒状粘着部材22aを異物3の上方に位置させる。次に、棒状粘着部材22aを保持する直動アクチュエータ25を動作させて、棒状粘着部材22aを異物3に接近させる。異物3を棒状粘着部材22aに付着させた後、棒状粘着部材22aを基板2より退避させる。以上のようにして、異物3の回収が完了する。なお、基板2上に残った異物3が確認されない場合は、上記の工程は省略される。
【0068】
その後、実施の形態1の場合と同様に、レーザ光照射による薄膜およびパターンの整形、補修剤の塗布が実施される。
図20および
図21を参照して、次に、直動アクチュエータ25およびXYZステージ16を動作させて、一つの修正針11を基板2より退避させる。基板2が異物3とは他に除去すべき異物を含む場合は、当該異物を除去するために上記の工程が繰り返して実施される。基板2に含まれる全ての除去すべき異物の除去が完了した後、基板2が欠陥修正装置より排出され、基板2の欠陥の修正が完了する。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。