(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止層を用意する工程において、ハウジングを設置せずに、前記封止材によって前記発光ダイオードを封止することを特徴とする、請求項2に記載の発光ダイオード装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の発光ダイオード装置の製造方法は、封止材によって発光ダイオードを封止することにより、封止層を用意し、また、蛍光体およびシリコーン樹脂を含有する蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とすることにより、蛍光体層を用意し、その後、蛍光体層を封止層の表面に貼り合わせる。
【0024】
封止材としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂など、公知の透明樹脂などが挙げられる。好ましくは、耐久性の観点から、シリコーン樹脂が挙げられる。なお、シリコーン樹脂としては、例えば、蛍光体含有樹脂組成物に含有されるシリコーン樹脂組成物(後述)も挙げられる。封止材は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0025】
発光ダイオードとしては、例えば、主として、青色光を発光する青色発光ダイオード(青色LED)などが挙げられる。
【0026】
蛍光体は、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体などが挙げられる。そのような蛍光体としては、例えば、複合金属酸化物や金属硫化物などに、例えば、セリウム(Ce)やユウロピウム(Eu)などの金属原子がドープされた蛍光体が挙げられる。
【0027】
具体的には、蛍光体としては、例えば、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、(Y,Gd)
3Al
5O
12:Ce、Tb
3Al
3O
12:Ce、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce、Lu
2CaMg
2(Si,Ge)
3O
12:Ceなどのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu、Ca
3SiO
4Cl
2:Eu、Sr
3SiO
5:Eu、Li
2SrSiO
4:Eu、Ca
3Si
2O
7:Euなどのシリケート蛍光体、例えば、CaAl
12O
19:Mn、SrAl
2O
4:Euなどのアルミネート蛍光体、例えば、ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa
2S
4:Eu、SrGa
2S
4:Euなどの硫化物蛍光体、例えば、CaSi
2O
2N
2:Eu、SrSi
2O
2N
2:Eu、BaSi
2O
2N
2:Eu、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体、例えば、CaAlSiN
3:Eu、CaSi
5N
8:Euなどの窒化物蛍光体、例えば、K
2SiF
6:Mn、K
2TiF
6:Mnなどのフッ化物系蛍光体などが挙げられる。好ましくは、ガーネット型蛍光体、さらに好ましくは、Y
3Al
5O
12:Ceが挙げられる。
【0028】
また、蛍光体は、粒子状であり、その形状は、特に限定されず、例えば、略球形状、略平板形状、略針形状などが挙げられる。
【0029】
また、蛍光体の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは、0.2〜20μmである。蛍光体粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
【0030】
蛍光体は、単独使用または併用することができる。
【0031】
シリコーン樹脂(蛍光体含有樹脂組成物に含有されるシリコーン樹脂)としては、例えば、熱硬化型シリコーンレジンが挙げられ、そのような熱硬化型シリコーンレジンとしては、例えば、シリコーン樹脂組成物、ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物、アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
【0032】
シリコーン樹脂組成物は、縮合反応および付加反応(具体的には、ヒドロシリル化反応)することができる組成物、より具体的には、加熱によって、縮合反応して、Bステージ状態(半硬化状態)となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応して、硬化(完全硬化)状態となることができる組成物である。
【0033】
シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有アルコキシシラン、エポキシ基含有アルコキシシランおよびオルガノハイドロジェンシロキサンを含有している。なお、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有アルコキシシランおよびエポキシ基含有アルコキシシランは、縮合原料(縮合反応に供される原料)であり、アルケニル基含有アルコキシシランおよびオルガノハイドロジェンシロキサンは、付加原料(付加反応に供される原料)である。
【0034】
シラノール両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するシラン化合物であって、具体的には、下記式(1)で示される。
【0036】
(式(1)中、R1およびR2は1価の炭化水素基であり、nは1以上の整数を示す。R1およびR2は、互いに同一または相異なっている。)
上記式(1)において、R1およびR2は、好ましくは、互いに同一である。
【0037】
R1およびR2で示される1価の炭化水素基は、飽和または不飽和であり、直鎖状、分枝鎖状または環状の炭化水素基などが挙げられる。炭化水素基の炭素数は、調製の容易性または熱安定性の観点から、例えば、1〜20、好ましくは、1〜10である。
【0038】
具体的には、1価の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルなどの飽和脂肪族炭化水素基、例えば、フェニル、ナフチルなどの芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0039】
1価の炭化水素基として、好ましくは、飽和脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは、透明性および耐光性の観点から、メチルが挙げられる。
【0040】
上記式(1)中、nは、好ましくは、安定性および/または取り扱い性の観点から、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜1000の整数である。
【0041】
シラノール両末端ポリシロキサンとして、具体的には、シラノール両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。好ましくは、シラノール両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0042】
シラノール両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0043】
シラノール両末端ポリシロキサンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0044】
なお、シラノール両末端ポリシロキサンは、通常、nが相異なる(つまり、分子量が異なる)化合物の混合物である。
【0045】
従って、上記式(1)におけるnは、平均値として算出される。
【0046】
シラノール両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば、100〜1000,000、好ましくは200〜100,000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
【0047】
シラノール両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料の総量に対して、例えば、1〜99.99質量%、好ましくは、50〜99.9質量%、さらに好ましくは、80〜99.5質量%である。
【0048】
アルケニル基含有アルコキシシランは、アルケニル基およびアルコキシ基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記式(2)で示されるアルケニル基含有トリアルコキシシランである。
【0049】
R
3−Si(OR
4)
3 (2)
(式(2)中、R3は、直鎖または環状のアルケニル基、R4は、1価の炭化水素基である。R3およびR4は、互いに異なっている。)
R3で示されるアルケニル基の炭素数は、調製の容易性または熱安定性の観点から、例えば、1〜20、好ましくは、1〜10である。
【0050】
具体的には、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの直鎖状アルケニル基や、ノルボルネニル基、シクロヘキセニル基などの環状アルケニル基などが挙げられる。
【0051】
好ましくは、直鎖状アルケニル基、さらに好ましくは、付加反応の反応性の観点から、ビニル基が挙げられる。
【0052】
R4で示される1価の炭化水素基としては、上記式(1)のR1およびR2で示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチルが挙げられる。
【0053】
具体的には、アルケニル基含有アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ペンテニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ヘプテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、ノルボルネニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0054】
好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0055】
アルケニル基含有アルコキシシランは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0056】
アルケニル基含有アルコキシシランは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0057】
アルケニル基含有アルコキシシランの配合割合は、縮合原料の総量に対して、例えば、0.01〜90質量%、好ましくは、0.01〜50質量%、さらに好ましくは、0.01〜10質量%である。
【0058】
エポキシ基含有アルコキシシランは、エポキシ基およびアルコキシ基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記式(3)で示されるエポキシ基含有トリアルコキシシランである。
【0059】
R
5−Si(OR
6)
3 (3)
(式(3)中、R5は、グリシジルエーテル基、R6は、1価の炭化水素基である。)
R5で示されるグリシジルエーテル基は、下記式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
【0061】
(式(4)中、R7は、2価の炭化水素基である。)
上記式(4)中、R7で示される2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどの、炭素数1〜6のアルキレン基、例えば、シクロヘキシレンなどの炭素数3〜8のシクロアルキレン基、例えば、フェニレンなどの炭素数6〜10のアリーレン基が挙げられる。
【0062】
2価の炭化水素基としては、好ましくは、アルキレン基、さらに好ましくは、プロピレンが挙げられる。
【0063】
具体的には、R5で示されるグリシジルエーテル基としては、グリシドキシメチル、グリシドキシエチル、グリシドキシプロピル、グリシドキシシクロヘキシル、グリシドキシフェニルなどが挙げられる。
【0064】
上記式(3)中、R6で示される1価の炭化水素基としては、上記式(1)のR1およびR2で示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチルが挙げられる。
【0065】
具体的には、エポキシ基含有アルコキシシランとしては、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
【0066】
好ましくは、グリシドキシメチルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0067】
エポキシ基含有アルコキシシランは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0068】
エポキシ基含有アルコキシシランは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0069】
エポキシ基含有アルコキシシランの配合割合は、縮合原料の総量に対して、例えば、0.01〜90質量%、好ましくは、0.01〜50質量%、さらに好ましくは、0.01〜20質量%である。
【0070】
シラノール両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)の、アルケニル基含有アルコキシシランおよびエポキシ基含有アルコキシシランのアルコキシシリル基(SiOR
4基およびSiOR
6基)に対するモル比(SiOH/(SiOR
4+SiOR
6)は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1、さらに好ましくは、実質的に1/1である。
【0071】
モル比が上記範囲を超える場合には、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とする際に、適度な靭性を有するBステージ状物(半硬化物)を得られない場合があり、一方、モル比が上記範囲に満たない場合には、アルケニル基含有アルコキシシランおよびエポキシ基含有アルコキシシランの配合割合が過度に多く、そのため、得られる蛍光体層の耐熱性が不良となる場合がある。
【0072】
また、モル比が上記範囲内(好ましくは、実質的に1/1)であれば、シラノール両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)と、アルケニル基含有アルコキシシランのアルコキシシリル基(SiOR
4基)およびエポキシ基含有アルコキシシランのアルコキシシリル基(SiOR
6)とを過不足なく縮合反応させることができる。
【0073】
アルケニル基含有アルコキシシランのエポキシ基含有アルコキシシランに対するモル比は、例えば、10/90〜99/1、好ましくは、50/50〜97/3、さらに好ましくは、80/20〜95/5である。上記した範囲内であれば、硬化物の強度を確保しつつ、接着性を向上できる利点がある。
【0074】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、主鎖のケイ素原子に直接結合する水素原子を含有する化合物であり、例えば、下記式(5)に示され、主鎖の途中(両末端間)のケイ素原子に直接結合する水素原子を含有するヒドリド化合物、または、下記式(6)で示され、主鎖の両末端のケイ素原子に直接結合する水素原子を含有するヒドリド化合物(ヒドロシリル両末端ポリシロキサン)が挙げられる。
【0076】
(式(5)中、I、II、IIIおよびIVは、構成単位であり、IおよびIVが末端単位、IIおよびIIIが繰り返し単位を示し、R8は、互いに同一または相異なり、1価の炭化水素基である。aは、0または1以上の整数を示し、bは、2以上の整数を示す。)
【0078】
(式(6)中、R9は、互いに同一または相異なり、1価の炭化水素基である。cは、0または1以上の整数を示す。)
構成単位IにおけるR8、構成単位IIにおけるR8、構成単位IIIにおけるR8、および、構成単位IVにおけるR8は、好ましくは、互いに同一である。
【0079】
R8で示される1価の炭化水素基は、上記したR1およびR2で示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチル、エチルが挙げられ、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
【0080】
構成単位IおよびIVは、両末端の構成単位である。
【0081】
構成単位IIにおけるaは、構成単位IIの繰り返し単位数であり、好ましくは、反応性の観点から、1〜1000の整数、さらに好ましくは、1〜100の整数を示す。
【0082】
構成単位IIIにおけるbは、構成単位IIIの繰り返し単位数であり、好ましくは、反応性の観点から、2〜10000、さらに好ましくは、2〜1000の整数を示す。
【0083】
具体的には、上記式(5)で示されるヒドリド化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0084】
上記式(5)で示されるヒドリド化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0085】
なお、上記式(5)で示されるヒドリド化合物は、通常、aおよび/またはbが相異なる(つまり、分子量が異なる)化合物の混合物である。
【0086】
従って、構成単位IIにおけるaおよび構成単位IIIにおけるbは、それぞれ、平均値として算出される。
【0087】
上記式(5)で示されるヒドリド化合物の数平均分子量は、例えば、100〜1,000,000である。
【0088】
上記式(6)におけるR9は、好ましくは、互いに同一である。つまり、両末端のケイ素原子に結合するR9と、両末端間のケイ素原子に結合するR9とは、すべて同一である。
【0089】
R9で示される1価の炭化水素基は、上記したR1およびR2で示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチル、エチルが挙げられる。
【0090】
上記式(6)中、cは、反応性の観点から、好ましくは、1〜10,000の整数、さらに、好ましくは1〜1,000の整数を示す。
【0091】
具体的には、上記式(6)で示されるヒドリド化合物としては、例えば、ヒドロシリル両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0092】
上記式(6)で示されるヒドリド化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
上記式(6)で示されるヒドリド化合物はとしては、通常、cが相異なる(つまり、分子量が異なる)化合物の混合物である。
【0094】
従って、上記した(6)におけるcは、平均値として算出される。
【0095】
式(6)で表されるヒドリド化合物の数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば100〜1,000,000、さらに好ましくは、100〜100,000である。
【0096】
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃における粘度は、例えば、10〜100,000mPa・s、好ましくは、20〜50,000mPa・sである。粘度は、B型粘度計により測定される。
【0097】
オルガノハイドロジェンシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0098】
オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、上記式(5)で示されるヒドリド化合物または上記式(6)で示されるヒドリド化合物を単独使用することができ、あるいは、それらを併用することもできる。オルガノハイドロジェンシロキサンとして、好ましくは、上記式(5)で示されるヒドリド化合物が単独使用される。
【0099】
オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合は、アルケニル基含有アルコキシシランのアルケニル基(上記式(2)のR
3)とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのモル比にもよるが、例えば、アルケニル基含有アルコキシシラン100質量部に対して、例えば、10〜10,000質量部、好ましくは、100〜1,000質量部である。
【0100】
また、アルケニル基含有アルコキシシランのアルケニル基(上記式(2)のR
3)の、オルガノハイドロジェンシロキサンに対するヒドロシリル基(SiH基)モル比(R
3/SiH)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
【0101】
モル比が20/1を超える場合には、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、モル比が0.05/1に満たない場合には、オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、得られる蛍光体層の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
【0102】
また、モル比が1/1未満、0.05/1以上であれば、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とする際に、モル比が20/1〜1/1である蛍光体含有樹脂組成物に比べて、Bステージ状態へ迅速に移行させることができる。
【0103】
シリコーン樹脂組成物は、上記したシラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有アルコキシシラン、エポキシ基含有アルコキシシランおよびオルガノハイドロジェンシロキサンを、触媒とともに、配合して、攪拌混合することにより調製される。
【0104】
触媒としては、例えば、縮合触媒および付加触媒(ヒドロシリル化触媒)などが挙げられる。
【0105】
縮合触媒は、シラノール基とアルコキシシリル基との縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属系触媒などが挙げられる。
【0106】
これらのうち、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0107】
縮合触媒の配合割合は、シラノール両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モル、好ましくは、0.5〜5モルである。
【0108】
付加触媒は、付加反応、つまり、アルケニル基とSiHとのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質であれば、特に限定されず、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金一カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、ロジウム触媒などの金属触媒が挙げられる。
【0109】
これらのうち、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−カルボニル錯体が挙げられる。
【0110】
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量の質量部数として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10
−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10
−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10
−4〜0.05質量部である。
【0111】
なお、上記した触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
【0112】
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールなどが挙げられる。好ましくは、アルコールが挙げられる。
【0113】
シリコーン樹脂組成物を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に加える。あるいは、まず、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ加えることができる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。
【0114】
好ましくは、まず、縮合原料および縮合触媒を一度に加え、次いで、付加原料を加え、その後、付加触媒を加える。
【0115】
具体的には、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有アルコキシシランおよびエポキシ基含有アルコキシシラン(つまり、縮合原料)と、縮合触媒とを、上記した割合で一度に配合して、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌する。
【0116】
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に加熱することもできる。
【0117】
また、原料および縮合触媒の配合時に、それらの相溶性を向上させるための相溶化剤を適宜の割合で加えることもできる。
【0118】
相溶化剤としては、例えば、メタノールなどのアルコールなどの有機溶媒が挙げられる。なお、相溶化剤は、縮合触媒が有機溶媒の溶液または分散液として調製されている場合には、その有機溶媒を相溶化剤として供することもできる。
【0119】
その後、系を、必要により減圧にすることにより、揮発成分(有機溶媒)を除去する。
【0120】
次いで、得られる縮合原料および縮合触媒の混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンを配合して、例えば、1〜60分間攪拌する。
【0121】
配合および攪拌時には、混合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に加熱することもできる。
【0122】
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間攪拌する。
【0123】
これにより、シリコーン樹脂組成物を調製することができる。
【0124】
ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール両末端ポリシロキサンと、ホウ素化合物とを含有している。
【0125】
シラノール両末端ポリシロキサンは、上記式(1)で示されるシラノール両末端ポリシロキサンと同様のものが挙げられる。
【0126】
ホウ素化合物としては、具体的には、下記式(7)で示されるホウ酸化合物が挙げられる。
【0128】
(式(7)中、Y1、Y2およびY3は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基である。)
Y1、Y2およびY3で示されるアルキル基の炭素数は、例えば、1〜12、好ましくは、1〜6、さらに好ましくは、1〜3である。
【0129】
Y1、Y2およびY3で示されるアルキルとしては、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどが挙げられる。好ましくは、エチル、イソプロピルが挙げられ、さらに好ましくは、イソプロピルが挙げられる。
【0130】
具体的には、ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸などの酸、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピルなどのホウ酸トリエステルなどが挙げられる。
【0131】
ホウ素化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0132】
シラノール両末端ポリシロキサンおよびホウ素化合物の配合割合は、シラノール両末端ポリシロキサンのホウ素化合物に対する質量比(シラノール両末端ポリシロキサンの質量部数/ホウ素化合物の質量部数)で、耐熱性、透明性、耐光性の観点から、例えば、95/5〜30/70、好ましくは、95/5〜50/50、さらに好ましくは、95/5〜60/40、とりわけ好ましくは、95/5〜70/30である。
【0133】
シラノール両末端ポリシロキサンのケイ素原子の、ホウ酸化合物のホウ素原子に対するモル比(Si/B)は、例えば、2/1〜1000/1、好ましくは、4/1〜500/1、さらに好ましく、6/1〜200/1である。
【0134】
上記した範囲に満たないと、Bステージ状態としてされた蛍光体層が過度に硬くなり、一方、上記した範囲を超えると、Bステージ状態としてされた蛍光体層が過度に柔らかくなり、加工性が低下する場合がある。
【0135】
ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物は、シラノール両末端ポリシロキサンおよびホウ素化合物を上記した配合割合で配合して、それらを室温で攪拌混合することにより、調製する。
【0136】
なお、ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物は、特開2009−127021号公報および特開2009−127020号公報の記載などに準拠して調製することもできる。
【0137】
アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール両末端ポリシロキサンと、アルミニウム化合物とを含有している。
【0138】
シラノール両末端ポリシロキサンは、上記式(1)で示されるシラノール両末端ポリシロキサンと同様のものが挙げられる。
【0139】
アルミニウム化合物としては、具体的には、下記式(8)で示される。
【0141】
(式(8)中、Y4、Y5およびY6は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基である。)
Y4、Y5およびY6で示されるアルキル基の炭素数は、例えば、1〜12、好ましくは、1〜6、さらに好ましくは、1〜3である。
【0142】
Y4、Y5およびY6で示されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。好ましくは、エチル基、イソプロピル基が挙げられ、さらに好ましくは、イソプロピルが挙げられる。
【0143】
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドなどのアルミニウムトリアルコキシドなどが挙げられる。
【0144】
アルミニウム化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0145】
好ましくは、アルミニウムトリイソプロポキシドが挙げられる。
【0146】
シラノール両末端ポリシロキサンおよびアルミニウム化合物の配合割合は、シラノール両末端ポリシロキサンのアルミニウム化合物に対する質量比(シラノール両末端ポリシロキサン/アルミニウム化合物)で、例えば、99/1〜30/70、好ましくは、90/10〜50/50である。
【0147】
また、シラノール両末端ポリシロキサンのケイ素原子の、アルミニウム化合物のアルミニウム原子に対するモル比(Si/Al)は、例えば、2/1〜1000/1、好ましくは、4/1〜500/1、さらに好ましく、6/1〜200/1である。
【0148】
上記した範囲に満たないと、Bステージ状態としてされた蛍光体層が過度に硬くなり、一方、上記した範囲を超えると、Bステージ状態としてされた蛍光体層が過度に柔らかくなり、加工性が低下する場合がある。
【0149】
アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物は、シラノール両末端ポリシロキサンおよびアルミニウム化合物を上記した配合割合で配合して、それらを室温で攪拌混合することにより、調製する。
【0150】
なお、アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物は、特開2009−127021号公報および特開2009−235376号公報の記載などに準拠して調製することもできる。
【0151】
そして、蛍光体含有樹脂組成物を調製するには、上記した蛍光体およびシリコーン樹脂を配合して、攪拌混合する。攪拌時間は、例えば、0.5〜2時間である。
【0152】
蛍光体の配合割合は、蛍光体含有樹脂組成物に対して、例えば、1〜50質量%、例えば、10〜40質量%である。
【0153】
また、蛍光体含有樹脂組成物には、透過防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
【0154】
次に、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の一実施形態について、
図1を参照して説明する。
【0155】
この方法において、
図1(a)に示すように、封止材によって発光ダイオード1を封止することによって、封止層7を用意する。
【0156】
発光ダイオード1は、ハウジング2が設置される基板3の上に実装されている。
【0157】
基板3は、平板状に形成されており、例えば、ポリイミド樹脂などの公知の絶縁樹脂から形成されている。
【0158】
基板3の上面には、
図1において図示しないが、発光ダイオード1の端子と、発光ダイオード1に電気を供給するための電源の端子(図示せず)とを電気的に接続するための配線が形成されている。
【0159】
ハウジング2は、平面視略枠形状をなし、上方に向かって次第に幅狭となる略台形筒状に形成されている。また、ハウジング2は、発光ダイオード1を囲むように配置される。これにより、ハウジング2は、発光ダイオード1が収容される領域を仕切っている。ハウジング2は、光反射性物質を含有するセラミックス材料の焼結体などから形成され、発光ダイオード1から発光される光を反射するリフレクタとされている。
【0160】
発光ダイオード1は、基板3の上面に設置され、具体的には、ハウジング2によって囲まれる領域内に設置され、図示しない配線とワイヤ6を介して電気的に接続(ワイヤボンディング)されている。
【0161】
そして、発光ダイオード1は、上記した公知の透明樹脂などからなる封止材を、ハウジング2内に充填し、その後、必要により、封止材を硬化させることにより、封止される。
【0162】
これにより、封止材からなる封止層7が形成される。
【0163】
封止層7は、硬化後において、その上面が、ハウジング2の上面と厚み方向において面一となるように形成されている。
【0164】
また、この方法では、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とすることにより、蛍光体層8を用意する。
【0165】
具体的には、蛍光体含有樹脂組成物を、離型基材10の表面に塗布して前駆体層を形成し、前駆体層を、所定温度に加熱する。
【0166】
離型基材10は、略平板矩形シート形状に形成され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)などの樹脂材料、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料などからなる。なお、離型基材10の表面(上面)には、蛍光体層8からの離型性を高めるため、必要により、離型処理が施されている。
【0167】
蛍光体含有樹脂組成物は、封止層7に対応するパターン、具体的には、封止層7の上面およびハウジング2の上面(上面の内周端部)の両方に対応するパターンで、塗布する。
【0168】
塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコートなど、公知の方法が挙げられる。
【0169】
加熱温度は、例えば、40〜300℃であり、加熱時間が、1分間〜48時間である。
【0170】
詳しくは、シリコーン樹脂が、シリコーン樹脂組成物からなる場合には、加熱条件は、縮合反応が進行するが、付加反応(ヒドロシリル化反応)が進行しない条件であり、具体的には、加熱温度が、例えば、40〜150℃、好ましくは、50〜140℃で、加熱時間が、例えば、1〜60分間、好ましくは、3〜30分間である。
【0171】
また、シリコーン樹脂がホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物またはアルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物である場合には、加熱条件は、ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物またはアルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物が一部反応するが、完全には反応しない条件であって、具体的には、加熱温度が、例えば、50〜300℃、好ましくは、100〜200℃で、加熱時間が、例えば、5〜60分間、好ましくは、10〜40分間である。
【0172】
上記した加熱により、前駆体層の蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とすることができ、これにより、蛍光体層8を用意することができる。
【0173】
なお、Bステージ状態では、前駆体層の蛍光体含有樹脂組成物が、溶剤に可溶なAステージと、完全硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、溶剤に膨潤するが完全に溶解せず、加熱によって軟化するが溶融しない状態である。
【0174】
蛍光体層8は、粘着性(タック)を有している。また、蛍光体層8の厚みは、例えば、10〜5000μm、好ましくは、40〜400μmである。
【0175】
次に、
図1(a)の矢印および
図1(b)に示すように、蛍光体層8を反転させて、封止層7の表面に貼り合わせる。
【0176】
具体的には、蛍光体層8を、封止層7の上面に、蛍光体層8の周端部が封止層7の外側部(ハウジング2の上面)にはみ出すように、貼り合わせる。具体的には、蛍光体層8を、封止層7の上面全面と、ハウジング2の上面の内周端部とに、貼着する。
【0177】
その後、
図1(c)に示すように、蛍光体層8を加熱により硬化させる。
【0178】
加熱条件は、蛍光体層8の蛍光体含有樹脂組成物が完全硬化する条件である。すなわち、シリコーン樹脂がシリコーン樹脂組成物である場合には、付加反応(ヒドロシリル化反応)が進行する条件であり、シリコーン樹脂がホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物またはアルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物である場合には、それらの反応が完全に進行する条件である。
【0179】
具体的には、加熱温度が、例えば、125℃を超過し、250℃以下で、加熱時間が、30分間〜24時間である。
【0180】
これにより、蛍光体層8を、硬化させて、封止層7の上面およびハウジング2の上面に接着させることができる。
【0181】
これにより、発光ダイオード装置11を得る。
【0182】
そして、上記した方法によれば、予め、封止材によって発光ダイオード1を封止しているので、蛍光体層8を封止層7の上面に貼り合わせても、発光ダイオード1の損傷を確実に防止することができる。
【0183】
そのため、発光ダイオード1、ひいては、発光ダイオード装置11の信頼性を向上させることができる。
【0184】
その結果、信頼性に優れた発光ダイオード装置11を種々の半導体装置に用いることができる。
【0185】
また、
図1(a)が参照されるように、発光ダイオード1を囲むようにハウジング2を設置する場合に、予め、封止層および蛍光体層を積層し、その積層体(図示せず)の封止層をハウジング2内に充填しようとすると、封止層の周端部は、ハウジング2と蛍光体層との間に配置されることから、それらの両方から押圧されて、ハウジング2の外側にはみ出す場合がある。その場合には、発光ダイオード装置11の機能に影響を及ぼすおそれがある。
【0186】
しかし、上記した方法では、蛍光体層8を、封止層7の上面およびハウジング2の上面の両方に貼り合わせるので、封止層7がハウジング2の外側にはみ出すことを防止することができる。
【0187】
さらに、
図1(b)で、蛍光体層8がBステージ状態とされているので、かかる蛍光体層8をハウジング2の表面に貼着でき、その後、前駆体層の蛍光体含有樹脂組成物を硬化させれば、蛍光体層8をハウジング2の表面に確実に接着させることができる。そのため、発光ダイオード装置11の信頼性をより一層向上させることができる。
【0188】
なお、別途、接着剤を、蛍光体層8とハウジング2との間に設けるが必要がないので、製造コストを低減させることもできる。
【0189】
図2は、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の他の実施形態(ハウジングを設置しない態様)を説明するための工程図を示す。
【0190】
なお、
図2において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0191】
上記した説明では、ハウジング2を発光ダイオード1を囲むように設置しているが、例えば、
図2に示すように、ハウジング2を設置することなく、基板3の上に、発光ダイオード1および封止層7を設けることもできる。
【0192】
つまり、
図2(a)に示すように、基板3の上に、封止材を、発光ダイオード1を被覆するように設けることにより、封止層7を形成する。封止層7は、断面略矩形状に形成されている。
【0193】
一方、蛍光体層8は、封止層7の上面に対応するパターンに形成される。
【0194】
次いで、
図2(b)に示すように、蛍光体層8を封止層7の上面に貼り合わせる。
【0195】
その後、
図2(c)に示すように、蛍光体層8を加熱により硬化させる。
【0196】
そして、上記の方法であれば、発光ダイオード1を簡便に得ることができる。
【実施例】
【0197】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例に限定されない。
【0198】
実施例1
(封止層の用意)
配線が形成された基板の上面において、ハウジングを設置し、次いで、青色発光ダイオードをハウジング内に実装し、その後、シリコーン樹脂からなる封止材をハウジング内に、青色発光ダイオードを被覆するように充填して、その後、封止材を硬化させて、青色発光ダイオードを封止した。これにより、封止層を用意した(
図1(a)参照)。
【0199】
(蛍光体層の用意)
40℃に加温したシラノール両末端ポリジメチルシロキサン(シラノール両末端ポリシロキサン、式(1)中、R1およびR2がすべてメチル、nの平均が155、数平均分子量11,500)2031g(0.177モル)に対して、ビニルトリメトキシシラン(アルケニル基含有アルコキシシラン)15.76g(0.106モル)、および、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基含有アルコキシシラン)2.80g(0.0118モル)とを配合して、攪拌混合した。
【0200】
なお、シラノール両末端ポリジメチルシロキサンのSiOH基の、ビニルトリメトキシシランおよび(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのSiOCH
3基に対するモル比(SiOH基のモル数/SiOCH
3基のモル数)は、1/1であった。
【0201】
攪拌混合後、水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液(縮合触媒、濃度10質量%)0.97mL(0.766g、触媒含量:0.88ミリモル、シラノール両末端ポリジメチルシロキサン100モルに対して0.50モルに相当)を加え、40℃で1時間攪拌した。得られた混合物(オイル)を40℃の減圧下(10mmHg)で、1時間攪拌しながら、揮発分(メタノールなど)を除去した。
【0202】
その後、系を常圧に戻した後、反応物に、オルガノハイドロジェンシロキサン(式(5)中、R8が全てメチル、aの平均が10、bの平均が10。25℃における粘度20mPa・s)44.67g(0.319モル、)を加え、40℃で1時間攪拌した。
【0203】
なお、ビニルトリメトキシシランのビニル基(CH
2=CH−)の、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対するモル比(CH
2=CH−/SiH)は、1/3であった。
【0204】
その後、系に、白金−カルボニル錯体のオリゴシロキサン溶液(付加触媒、白金濃度2質量%)0.13g(0.13mL、白金含量2質量%、白金として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して1.2×10
−4質量部に相当)を加えて、40℃で10分間攪拌した。
【0205】
これにより、シリコーン樹脂組成物を調製した。
【0206】
その後、調製したシリコーン樹脂組成物74gに、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG:Ce)26gを加えて、室温で1時間攪拌することにより、蛍光体含有樹脂組成物を調製した。
【0207】
調製した蛍光体含有樹脂組成物を、二軸延伸ポリエステルフィルムからなる離型基材の表面に塗布して、厚み100μmの前駆体層を形成した。
【0208】
次いで、前駆体層を135℃で4分間加熱して、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とすることにより、離型基材の上に積層される、厚み100μmの蛍光体層を形成した(
図1(a)参照)。
【0209】
(封止層および蛍光体層の貼り合わせ)
蛍光体層を、封止層の上面およびハウジングの上面の両方に貼り合わせた(
図1(b)参照)。
【0210】
次いで、離型基材を蛍光体層から引き剥がし、その後、150℃で、5時間加熱して、蛍光体含有樹脂組成物を硬化させることにより、蛍光体層を封止層の上面およびハウジングの上面の両方に接着した(
図1(c)参照)。
【0211】
これにより、青色発光ダイオード装置を作製した。
【0212】
実施例2
蛍光体層を用意する工程において、シリコーン樹脂組成物に代えて、ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物を調製し、これから蛍光体含有樹脂組成物を調製し、さらに、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とするための加熱条件を、150℃、30分間に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、青色発光ダイオード装置を作製した。
【0213】
すなわち、シラノール両末端ポリジメチルシロキサン(式(1)中、R1およびR2がすべてメチル、nの平均が5、数平均分子量300)10.0g(33.3ミリモル)に、ホウ酸トリイソプロピル4.22g(22.4ミリモル)を加え、室温で2時間攪拌することにより、ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物を調製した。
【0214】
なお、シラノール両末端ポリジメチルシロキサンのケイ素原子の、ホウ素化合物含有シリコーン樹脂組成物のホウ素原子に対するモル比(Si/B)は、6/1であった。
【0215】
実施例3
蛍光体層を用意する工程において、シリコーン樹脂組成物に代えて、アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物を調製し、これから蛍光体含有樹脂組成物を調製し、さらに、蛍光体含有樹脂組成物をBステージ状態とするための加熱条件を、200℃、30分間に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、青色発光ダイオード装置を作製した。
【0216】
すなわち、シラノール両末端ポリジメチルシロキサン(式(1)中、R1およびR2がすべてメチル、nの平均が155、数平均分子量11,50000)50.0g(4.35ミリモル)に、アルミニウムトリイソプロポキシド0.69g(3.38ミリモル)を加え、室温で2時間攪拌することにより、アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物を調製した。
【0217】
なお、シラノール両末端ポリジメチルシロキサンのケイ素原子の、アルミニウム化合物含有シリコーン樹脂組成物のアルミニウム原子に対するモル比(Si/Al)は、200/1であった。
【0218】
実施例4
封止層を用意する工程において、基板の上面にハウジングを設置しなかった以外は、実施例1と同様に処理して、青色発光ダイオード装置を作製した(
図2参照)。
【0219】
すなわち、封止層を用意する工程では、青色発光ダイオードおよび配線が形成された基板の上に、封止材で青色発光ダイオードを被覆し、その後、封止材を硬化させて、青色発光ダイオードを封止した(
図2(a)参照)。
【0220】
また、封止層および蛍光体層を貼り合わせる工程では、蛍光体層を、封止層の上面に貼り合わせた(
図2(b)参照)。次いで、離型基材を蛍光体層から引き剥がし、その後、蛍光体含有樹脂組成物を硬化させることにより、蛍光体層を封止層の上面に接着した(
図2(c)参照)。
【0221】
(評価)
実施例1〜4の青色発光ダイオード装置を目視で観察したところ、いずれの青色発光ダイオード装置においても、発光ダイオードまたはワイヤの損傷が確認されなかった。