【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シェルに、コア剤として硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包する硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルであって、前記シェルは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するブロック共重合体エラストマーを含有する硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルである。
以下、本発明を詳述する。
【0008】
本発明者は、コア剤として硬化剤及び/又は硬化促進剤をシェルで被覆した硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルについて、硬化性樹脂組成物に配合された場合の熱安定性及び速硬化を両立することを検討した。その結果、本発明者は、従来の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは柔軟性に劣るため、製造時、得られたカプセルの凝集体を解砕する工程等において破壊されやすく、このような破壊されたカプセルが熱安定性に悪影響を及ぼしていることを見出した。このような問題に対し、本発明者は、シェルに、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するブロック共重合体エラストマーを用いることにより、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの柔軟性を改善できることを見出した。本発明者は、このような硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは柔軟性に加えて耐熱性及び耐溶剤性にも優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた熱安定性及び速硬化性を発揮できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは、コア剤として硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包し、該コア剤をシェルで被覆する。
上記シェルは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するブロック共重合体エラストマーを含有する。シェルにこのような材料を用いることにより、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの柔軟性、耐熱性及び耐溶剤性を向上させることができる。これにより、本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた熱安定性及び速硬化性を発揮することができる。
【0010】
上記ブロック共重合体エラストマーは、50℃以下にガラス転移温度を有することが好ましい。50℃以下にガラス転移温度をもたない場合には、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの柔軟性が低下して解砕工程等において破壊されやすくなり、硬化性樹脂組成物に配合された場合に熱安定性が低下することがある。上記ブロック共重合体エラストマーは、40℃以下にガラス転移温度を有することがより好ましい。
【0011】
上記ブロック共重合体エラストマーは、120℃以上250℃以下に融点を有することが好ましい。ブロック共重合体エラストマーが上記範囲に融点を有することにより、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの耐熱性を向上させることができる。これにより、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルが配合された硬化性樹脂組成物は、熱安定性が向上し、電子部品等のボンディング工程に用いられる場合にも、ボンディングまでの高温プロセスにおいて硬化を開始することなく硬化剤及び/又は硬化促進剤を保持することができる。
120℃未満の温度に融点があると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルが配合された硬化性樹脂組成物は、熱安定性が低下し、ディスペンス時に硬化が開始されてしまうことがある。250℃を超える温度に融点があると、ボンディング時にもシェルが溶融又は分解せず、硬化が開始しなかったり硬化反応に長時間を要したりすることがある。上記ブロック共重合体エラストマーは、130℃以上200℃以下に融点を有することがより好ましい。
【0012】
50℃以下にガラス転移温度を有し、120℃以上250℃以下に融点を有するブロック共重合体エラストマーとして、具体的には例えば、ハードセグメントが重合脂肪酸由来のポリアミドであるブロック共重合体エラストマー、ハードセグメントがポリスチレンであるブロック共重合体エラストマーが挙げられる。なかでも、ハードセグメントが重合脂肪酸由来のポリアミドであり、ソフトセグメントがポリエーテルエステル及び/又はポリエステルであるブロック共重合体エラストマー、ハードセグメントがポリスチレンであり、ソフトセグメントが水添ポリジエンであるブロック共重合体エラストマーが好ましい。
【0013】
上記ハードセグメントが重合脂肪酸由来のポリアミドであり、ソフトセグメントがポリエーテルエステル及び/又はポリエステルであるブロック共重合体エラストマーとして、公知のブロック共重合体エラストマーを使用することができ、例えば、T&K TOKA社製のTPAEシリーズTPAE−32、TPAE−617、TPAE−617C、TPAE−826、TPAE−826−5A、TPAE−826−4S等が挙げられる。
【0014】
上記ハードセグメントがポリスチレンであり、ソフトセグメントが水添ポリジエンであるブロック共重合体エラストマーとして、公知のブロック共重合体エラストマーを使用することができ、例えば、クラレ社製のセプトンシリーズ1001、1020、2002、2004、2005、2006、2063、2104、4033、4044、4055、4077、4099(スチレン−水添ポリジエン系熱可塑性エラストマー)等が挙げられる。
【0015】
また、上記ブロック共重合体エラストマーは、アルコール系溶剤、エステル系溶剤及びケトン系溶剤のいずれか又はこれらの混合溶液に5重量%以上溶解することが好ましい。溶解度が5重量%未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの製造時、ブロック共重合体エラストマーをコア剤の表面に析出させることが困難となったり、ブロック共重合体エラストマーがコア剤である硬化剤及び/又は硬化促進剤を溶解してしまい、固体として析出することが困難となったりすることがある。溶解度のより好ましい下限は10重量%である。
【0016】
上記アルコール系溶剤として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。上記エステル系溶剤として、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等が挙げられる。上記ケトン系溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0017】
上記シェルは、更に、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンを含有することが好ましい。シェルにこのような熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンを含有させることにより、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの柔軟性を損なうことなく、耐熱性及び耐溶剤性を向上させることができる。
【0018】
上記熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンは、上記ブロック共重合体エラストマーと反応可能な官能基を有することが好ましい。このような官能基として、例えば、グリシジル基、エピスルフィド基等が挙げられる。なかでも、グリシジル基が好ましい。
上記熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンがグリシジル基を有する場合、上記ブロック共重合体エラストマーは、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等のグリシジル基と反応可能な官能基を有することが好ましい。特に、グリシジル基との反応性が良好であることから、アミノ基又はカルボキシル基を有することが好ましい。
【0019】
シェルに、このような熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンを含有させる方法として、例えば、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンと、ブロック共重合体エラストマーとを油性溶媒に溶解した混合溶液(1)を、水性媒体に分散させて乳化液(1)とし、次いで、加熱等により油性溶媒を除去して、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンとブロック共重合体エラストマーとを析出させる方法が好ましい。また、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンと、ブロック共重合体エラストマーとを油性溶媒に溶解した混合溶液(2)を、水性媒体に分散させて乳化液(2)とし、次いで、混合溶液(2)の液滴に硬化剤及び/又は硬化促進剤を含浸させた後、加熱等により油性溶媒を除去して、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンとブロック共重合体エラストマーとを析出させる方法も好ましい。
これらの方法によれば、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンとブロック共重合体エラストマーとを含有するシェルを得ることができる。
【0020】
グリリシジル基を有する熱可塑性樹脂として、例えば、グリシジル基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマー、グリシジル基含有セグメントとアクリロニトリルに由来するセグメントとを有する共重合体が挙げられる。
【0021】
上記グリシジル基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーにおける疎水性基として、例えば、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、メタクリル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
上記グリシジル基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーとして、具体的には例えば、ポリスチレン誘導体が挙げられる。上記ポリスチレン誘導体は、グリシジル基と上記疎水性基とを有していればよく、例えば、グリシジル基を有し、かつ、上記疎水性基としてポリスチレン骨格に由来するフェニル基を有するポリスチレン誘導体が好ましい。
【0022】
上記グリシジル基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。重量平均分子量が5000未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、硬化性樹脂組成物に配合された場合の熱安定性が低下することがある。重量平均分子量が10万を超えると、加熱してもシェルが溶融又は分解せず、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が低下し、硬化反応に長時間を要することがある。
【0023】
グリシジル基含有セグメントとアクリロニトリルに由来するセグメントとを有する共重合体を用いることにより、シェルのガスバリア性及び耐溶剤性を向上させることができる。上記グリシジル基含有セグメントを構成するモノマーとして、グリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0024】
上記グリシジル基含有セグメントとアクリロニトリルに由来するセグメントとを有する共重合体において、上記グリシジル基含有セグメント及び上記アクリロニトリルに由来するセグメント以外の他のモノマーに由来するセグメントは特に限定されない。
上記他のモノマーとして、例えば、ビニル基を有する化合物等のラジカル重合性モノマーが挙げられる。上記ビニル基を有する化合物は特に限定されず、例えば、メチルメタクリレート(MMA)等のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、ブタジエン等が挙げられる。なかでも、スチレン、メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
【0025】
上記グリシジル基含有セグメントとアクリロニトリルに由来するセグメントとを有する共重合体の重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。重量平均分子量が5000未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、硬化性樹脂組成物に配合された場合の熱安定性が低下することがある。重量平均分子量が10万を超えると、加熱してもシェルが溶融又は分解せず、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が低下し、硬化反応に長時間を要することがある。重量平均分子量のより好ましい下限は8000、より好ましい上限は5万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は3万である。
【0026】
グリシジル基を有するシロキサンは、エポキシ当量の好ましい下限が250、好ましい上限が850である。エポキシ当量が250未満であると、グリシジル基を有するシロキサンがコア剤である硬化剤及び/又は硬化促進剤と反応してしまうことで、充分な硬化性が得られないことがある。エポキシ当量が850を超えると、グリシジル基を有するシロキサンがブロック共重合体エラストマーと良好に反応することができず、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの耐熱性又は耐溶剤性が低下し、硬化性樹脂組成物に配合された場合の熱安定性が低下することがある。
【0027】
上記グリシジル基を有するシロキサンとして、例えば、X−41−1053、X−41−1059A、X−41−1056(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0028】
上記熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンの配合量は、上記ブロック共重合体エラストマー100重量部に対する好ましい下限が100重量部、好ましい上限が300重量部である。配合量が100重量部未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの耐熱性及び耐溶剤性を向上させる効果が充分に得られないことがある。配合量が300重量部を超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの柔軟性が低下することがある。
【0029】
上記硬化剤及び/又は硬化促進剤は、融点が100℃未満であることが好ましく、例えば、三級アミン化合物、イミダゾール化合物等のアミン化合物、又は、リン系触媒等が挙げられる。なかでも、硬化性に優れることから、イミダゾール化合物が好ましい。
上記イミダゾール化合物は特に限定されず、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、及び、これらの付加体等が挙げられる。
【0030】
また、上記イミダゾール化合物として、疎水性イミダゾール化合物を用いることが好ましい。なお、疎水性イミダゾール化合物とは、水に最大限溶解させたときの濃度が5重量%未満であるイミダゾール化合物を意味する。
上記疎水性イミダゾール化合物は、炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物が好ましい。上記炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物として、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール等が挙げられる。なかでも、2−ウンデシルイミダゾールが好ましい。
【0031】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルのシェル厚みは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が0.8μmである。シェル厚みが0.05μm未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、硬化性樹脂組成物に配合された場合の熱安定性が低下することがある。シェル厚みが0.8μm超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が低下し、硬化反応に長時間を要することがある。シェル厚みのより好ましい下限は0.08μm、より好ましい上限は0.5μmである。
なお、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルのシェル厚みとは、カプセルの断面を走査型電子顕微鏡により観察し、観察された像より直接ノギスで測定した値を意味する。
【0032】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの内包体積比率は、好ましい下限が30体積%、好ましい上限が60体積%である。内包体積比率が30体積%未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が低下し、硬化反応に長時間を要したり硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルを多量に配合する必要が生じたりすることがある。内包体積比率が60体積%を超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルのシェルが薄くなりすぎて強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、熱安定性が低下することがある。内包体積比率のより好ましい下限は40体積%、より好ましい上限は50体積%である。
なお、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの内包体積比率は、平均粒子径を用いて算出したカプセルの体積、自動密度計(例えば、島津製作所社製のAccupyc1330)を用いて測定したカプセルの密度、ガスクロマトグラフィーを用いて測定したコア剤の含有比率から、下記式(1)により算出される値を意味する。
内包体積比率(体積%)=カプセルの体積(cm
3)×カプセルの密度(g/cm
3)×コア剤の含有比率(重量比)×100 (1)
【0033】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの平均粒子径は、好ましい下限が0.5μm、好ましい上限が10μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、所望の範囲の内包率を維持しようとすると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、硬化性樹脂組成物に配合された場合の熱安定性が低下することがある。平均粒子径が10μmを超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルを硬化性樹脂組成物に配合した場合に、加熱により硬化剤及び/又は硬化促進剤が放出された後、大きなボイドが生じて硬化物の信頼性が低下することがある。平均粒子径のより好ましい上限は3.0μmである。
なお、硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルの平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個のカプセルが観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個のカプセルの最長径をノギスで測定した平均値を意味する。
【0034】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルを製造する方法は、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、ブロック共重合体エラストマーとを油性溶媒に溶解した混合溶液(1)を、水性媒体に分散させて乳化液(1)とし、次いで、加熱等により油性溶媒を除去してブロック共重合体エラストマーを析出させる方法が好ましい。また、ブロック共重合体エラストマーを油性溶媒に溶解した混合溶液(2)を、水性媒体に分散させて乳化液(2)とし、次いで、混合溶液(2)の液滴に硬化剤及び/又は硬化促進剤を含浸させた後、加熱等により油性溶媒を除去してブロック共重合体エラストマーを析出させる方法も好ましい。
なお、上述したように、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンと、ブロック共重合体エラストマーとを併用することにより、熱可塑性樹脂及び/又はシロキサンとブロック共重合体エラストマーとを含有するシェルを得ることができる。
【0035】
上記油性溶媒は特に限定されず、例えば、ベンゼン、イソプレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エタノール、アリルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記水性媒体は特に限定されず、例えば、水に、乳化剤、分散安定剤等を添加した水性媒体が用いられる。上記乳化剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体等が挙げられる。
【0037】
上記乳化液(1)又は(2)を調製する際には、混合溶液(1)又は(2)に水性媒体を添加してもよく、水性媒体に混合溶液(1)又は(2)を添加してもよい。乳化方法として、例えば、ホモジナイザーを用いて攪拌する方法、超音波照射により乳化する方法、マイクロチャネル又はSPG膜を通過させて乳化する方法、スプレーで噴霧する方法、転相乳化法等が挙げられる。
【0038】
油性溶媒を除去してブロック共重合体エラストマーを析出させる方法として、30〜70℃に加熱する方法が好ましく、加熱に加えて、0.095〜0.080MPaの圧力となるよう設定して減圧を行う方法がより好ましい。
【0039】
また、本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは、上述したようなシェルに、コア剤として上述したような硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包していればよく、シェルと硬化剤及び/又は硬化促進剤との間に別の層を有していてもよい。
このような場合、本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルを製造する方法として、例えば、まず、硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包する粒子(プレカプセル)を作製した後、このプレカプセルと、ブロック共重合体エラストマーを油性溶媒に溶解した混合溶液(3)とを、水性媒体に分散させ、次いで、加熱等により油性溶媒を除去してブロック共重合体エラストマーを析出させる方法を用いることができる。
【0040】
プレカプセルと混合溶液(3)とを水性媒体に分散させる方法は特に限定されないが、プレカプセルを水性媒体に分散させた後、得られた水性媒体を混合溶液(3)に添加する方法、プレカプセルを混合溶液(3)に添加した後、これに水性媒体を添加する方法が好ましい。
【0041】
得られた硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは、純水を用いて繰り返して洗浄された後、真空乾燥等により乾燥されてもよい。
【0042】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルは、柔軟性、耐熱性及び耐溶剤性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた熱安定性及び速硬化性を発揮することができることから、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂用の潜在性硬化剤又は硬化促進剤として好適に用いられる。
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤内包カプセルと、熱硬化性化合物とを含有する熱硬化性樹脂組成物もまた、本発明の1つである。