(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地球温暖化防止の観点から、温室効果ガスを含む排気ガスを規制する動きが社会的潮流となってきた。この動きに対する対応は自動車産業において顕著であり、ハイブリッドカー、電気自動車など、いわゆるエコカーの開発が進められている。特に、近年、バッテリーを電源とした電気自動車の実用化に対する技術開発が活発化している。
【0005】
しかし、このような技術開発は、作業機の分野においてはさほど活発ではない。特に、ローンモアの分野においては実施可能レベルの技術開発がなされていないのが現状である。したがって、電動によるローンモアを開発することは重要な意義を持っている。
【0006】
一方、1つの芝地に対して芝刈り作業は頻繁に行うものではなく、ローンモアが主作業としての芝刈り作業以外に、例えば、液体除草剤、液体肥料、水などの散布作業を行えると、ローンモアの稼働率(使用率)を上げることができる。しかし、このように芝刈り作業と散布作業とを兼ね備えた電動ローンモアが実施可能なほどに開発されてはいないのが現状である。そこでこの発明は、主作業に加えて、液体物質を散布可能な電動作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため請求項1に記載の発明は、左右一対の駆動輪と、
該それぞれの駆動輪を駆動する左右一対の走行モータと、
主作業をするための作業部と、
該作業部を駆動するための作業モータとを備え、
前記主作業を行う際には運転者が乗車する電動作業車両であって、
散布可能な液体物質を貯蔵可能なタンクと、
該タンクに貯蔵された前記液体物質を地面に向けて散布する散布手段と
、
運転者が運転時に足を置くためのステップとを備え、
前記タンクを着脱可能とし、
前記液体物質を散布する際には
、前記タンクを前記ステップ上に載置して、運転者が乗車せずにGPS衛星を用いて自律走行することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の電動作業車両において、前記タンクを前記ステップ上に載置したとき、前記タンクが脱落しないように押えるための押え具を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動作業車両において、前記作業部を草刈りに使用する電動作業車両であって、
該作業部が、
前記作業モータに取り付けられたモアブレードと、
該モアブレードを覆うように備えるモアデッキとで構成された電動作業車両であって、
前記散布手段が前記モアブレードであり、
前記タンクより前記モアデッキ内に液体物質を送り、該液体物質を回転する前記モアブレードに当てて霧状にして散布することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
請求項1ないし3のいずれかに記載の電動作業車両において、前記タンクと前記散布手段との間に制御弁を備え、
該制御弁を開閉することで前記散布手段から散布する前記液体物質の散布量を増減可能な電動作業車両であって、
前記制御弁が、前記走行モータの回転数に応じて開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、左右一対の駆動輪と、該それぞれの駆動輪を駆動する左右一対の走行モータと、主作業をするための作業部と、該作業部を駆動するための作業モータとを備え、前記主作業を行う際には運転者が乗車する電動作業車両であって、散布可能な液体物質を貯蔵可能なタンクと、該タンクに貯蔵された前記液体物質を地面に向けて散布する散布手段と
、運転者が運転時に足を置くためのステップとを備え、前記タンクを着脱可能とし、前記液体物質を散布する際には
、前記タンクを前記ステップ上に載置して、運転者が乗車せずにGPS衛星を用いて自律走行する。
【0013】
したがって、主作業に加えて、液体物質を散布可能な電動作業車両を提供することができる。また、液体物質を散布する際には、GPS衛星を用いて無人操縦を行えるので、運転者を乗車させる必要がなく、労働力の省力化が可能となる。加えて、電動作業車両が主作業に加えて液体散布を行うことができ、電動作業車両の稼働率を上げることができる。よって、要員の省力化と作業車両の稼働率向上を同時に達成することができる。また、例えば、電動作業車両を電動ローンモアに適用した場合、芝刈り作業(主作業)を行わないときに、例えば、液体除草剤、液体肥料、水などの散布作業(副作業)を行うことができ、電動ローンモアの使用率(稼働率)を上げるとともに、無人で自律走行することによって運転者の省力化が可能となる。
【0014】
また、無人運転をする前記液体物質散布時に、使用しないステップにタンクを載置することができ、電動作業車両のスペースを有効に活用することができる。これによって、電動作業車両の小型化に寄与することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記タンクを前記ステップ上に載置したとき、前記タンクが脱落しないように押えるための押え具を備えるので、安全に液体物質を散布することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記作業部を草刈りに使用する電動作業車両であって、該作業部が、前記作業モータに取り付けられたモアブレードと、該モアブレードを覆うように備えるモアデッキとで構成された電動作業車両であって、前記散布手段が前記モアブレードであり、前記タンクより前記モアデッキ内に液体物質を送り、該液体物質を回転する前記モアブレードに当てて霧状にして散布する。
【0017】
これにより、モアブレードを散布手段として兼用することができ、部品点数を低減した電動作業車両を提供することができる。また、モアブレードによって、液体物質を効率的に散布することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、前記タンクと前記散布手段との間に制御弁を備え、該制御弁を開閉することで前記散布手段から散布する前記液体物質の散布量を増減可能な電動作業車両であって、前記制御弁が、前記走行モータの回転数に応じて開閉するので、電動作業車両の走行速度が速い時は液体物質の散布量を多くし、電動作業車両の走行速度が遅い時は液体物質の散布量を少なくすることができる。このため、電動作業車両の走行速度にかかわらず、一定量で液体物質を散布することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは電動作業車両の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ、前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ、電動作業車両の「上下」方向を意味するものとする。
図1には、この発明の電動作業車両の一例としての、電動ローンモア10の平面図を、
図2には、その平面図を示す。
【0021】
電動ローンモア(電動作業車両)10では、主作業として芝刈り作業を行う。電動ローンモア10は、シャーシ(車体フレーム)11と、該シャーシ11の前側下方に一対の前タイヤ12、後側下方に一対の後タイヤ(駆動輪)13などを備える。また、前タイヤ12と後タイヤ13との間には、モアデッキ14を備える。モアデッキ(作業部)14の後部の側面は刈った芝を後方に排出するために開放されている。モアデッキ14の内側には、不図示のモアブレード(作業部)を、左右に2つ並べて備える。このモアブレードの回転中心には、それぞれモアモータ(作業モータ)15,15を取り付ける(モアモータ15によってモアブレードを回転させて芝を刈る)。なお、右側のモアブレードの回転中心は、左側のそれと比べて、直進方向やや後方となる。
【0022】
シャーシ11の上には、本体カバー(カウル)20を被せる。本体カバー20は、シャーシ11全体を覆うものである。後タイヤ13のやや前方で本体カバー20上には、運転席21を設ける。運転席21の左右側方には、電動ローンモア10の走行操作をするための走行操作レバー22,22をそれぞれ備える。
【0023】
なお、電動ローンモア10は、草刈りに加えて、走行も電動モータによってまかなうものであり、一対の後タイヤ13,13の内側にそれぞれ走行モータ16を備え、この走行モータ16によって後タイヤ13,13をそれぞれ単独で駆動させる(なお、後タイヤ13,13のホイール内にそれぞれインホイールモータを備えてもよい)。
【0024】
前述の2つのモアモータ15および2つの走行モータ16の電力は、バッテリー25から供給される。バッテリー25は、機体の後部に備える(後述)。
【0025】
運転席21の下方には、不図示の制御部を備える。この制御部は、電動ローンモア10の走行モータ16の制御も行う。制御部は、走行操作レバー22の傾動量に応じて走行モータ16の回転方向および回転速度を制御する。制御部は、走行モータ16の制御に加えて、モアモータ15の回転制御、さらにバッテリー25の微小な電圧の変動を補正する役割も担っている。なお、モアモータ15の回転は、走行モータ16の回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
【0026】
前タイヤ12,12はそれぞれ、シャフトを介して前タイヤブラケット17に回転自在に取り付けられている(すなわち、前タイヤ12は前タイヤブラケット17に対して従動回転する)。前タイヤブラケット17は門型形状に形成され、天面部の中央には貫通孔を設ける。貫通孔にはボルトを上向きに貫通させ、円筒状の前タイヤポスト18内にて固定する。これによって、前タイヤブラケット17は、前タイヤポスト18に対して回転自在となる。
【0027】
左右の前タイヤポスト18の側面は、それぞれフロントフレーム19の端部に固定する。フロントフレーム19は両側端が円弧状に形成されている。
【0028】
走行操作レバー22は傾動可能に設けられ、運転者がこれを前に倒すと走行モータ16が前進方向に回転する。一方、走行操作レバー22が後に倒されると走行モータ16は後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー22の傾動度合いによって走行モータ16の回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー22を大きく前(後)に倒すと、走行モータ16が前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー22を小さく前(後)に倒すと、走行モータ16が前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転者は、走行操作レバー22,22を前後に適宜操作することで、直後進、左右折、旋回などを行うことができる。
【0029】
そして、運転席21の右側のフェンダー20FRには、操作系のボタンなどを備え、例えば、モアデッキ14内の2つのモアブレードの回転をON、OFFする草刈スイッチや、モアデッキ14の高さ調節ボタン、また、後述する自律走行開始ボタンなどを設ける。草刈スイッチはリミット型のスイッチで、運転者が指で押下するとONとなり、再度押下するとOFFとなる。運転席21の左側のフェンダー20FLには、カップフォルダや小物を置くためのトレイなどを備える。なお、符号24は、モアデッキ14を昇降するためのデッキ昇降ペダルである。デッキ昇降ペダル24を右足で操作しながら、上述の高さ調節ボタンを押すことで、モアデッキ14の高さを調節することができる。
【0030】
運転席21の前方には、運転者が乗車時や乗降時に足を載せるためのステップSTを備える。ステップSTは、シャーシ11の形状に追随するように形成された本体カバー20の平坦面状の部分である。そして、ステップSTの両側には、一段高くなった左右側部LS,RSを連続して備える。この左右側部LS,RSは、後述するシャーシ11の左右段部11L,11Rに追随するように形成される。なお、左側部LSには2つのタングTG,TGを、右側部RSには2つのバックルBK,BKを備える。また、右側部RSの外側には、モアデッキ14の地面からの高さを調節するためのモアデッキ調節ペダル24を備える。
【0031】
前タイヤ12の前方には、散水パイプ(散布手段)WPを電動ローンモア10の車幅方向に備える。また、ステップSTの前部には、後述する開閉蓋を備える。
【0032】
運転席21の直下の本体カバー20には、無線通信手段SEが露出する。無線通信手段SEの詳細については後述する。
【0033】
図3に示すように、ステップSTの前部SLは、前方に向けて上方に傾斜しており、この傾斜した前部SLに開閉蓋DRが配置される。開閉蓋DRは、強化プラスチック板で略矩形に形成される。開閉蓋DRの縁には、指掛け部DR1を上方に湾曲するように形成する。また、開閉蓋DRの下端には、一対のヒンジDR2,DR2を備える。ヒンジDR2は前部SLとステップSTとの境界部分に設けられている。したがって、このヒンジDR2を介して開閉蓋DRはステップSTに対して回動自在に取り付けられる。指掛け部DR1に指を掛けて開閉蓋DRを開くと、フロントフレーム19とシャーシ11の前端との間の隙間がのぞくようになっている。開閉蓋DRは、後述するホースHSを通すためのものである。
【0034】
図4にはこの例の主要部の斜視図を示す(なお、
図4では、散水パイプWPは省略してある)。シャーシ11は、略矩形の金属板の両側を折り曲げて形成される。シャーシ11の左右段部11L,11Rはともに、断面視で略門型に折り曲げられて形成される。左右段部11L,11Rには、それぞれ、矩形状に開口11Hを2つずつ形成する。
【0035】
シャーシ11上には運転席21を載置するための運転席支持フレーム40を取り付ける。この運転席支持フレーム40内には、前述の制御部など、電装品類を収納する。シャーシ11の後端付近には、走行モータ16,16を取り付け、走行モータ16にはミッションケースを介してそれぞれ後タイヤ13を取り付ける。
【0036】
シャーシ11の左右前端にはボルトBT1によってブラケット(フロント連結部)31,31を固設する。ブラケット31の先端はフロントフレーム19と溶接などで連結される。
【0037】
図5(a)〜(c)に示すように、散水パイプWPは左右一対のブラケットBR,BRに取り付けられて支持される。ブラケットBRは、矩形の金属板を略直角に2度折り曲げて形成される。その両端にはボルトBTを通すための貫通孔を形成する。ブラケットBRはその一端をフロントフレーム19の下面にボルトによって取り付ける。一方、ブラケットBRの先端部には散水パイプWPを載置して、それを上から覆うように固定部材PLを配置し、ボルトBTにて固定部材PLとブラケットBRとを固定する。また、散水パイプWPは円筒状に形成され、その両側端が閉塞されている。
【0038】
図6(a)に示すように、取付部HCには突出部HC1を設け、突出部HC1にホースHSの先端を嵌めつけられるようになっている。ホースHSの後端は、後述するように制御弁を介して散水タンクに接続される。また、
図6(b)に示すように、散水パイプWPの下部には、複数の散水孔HRが所定の間隔で形成されている。符号WPEは山水パイプWPの側端の閉塞面を示す。このように構成されているので、散水タンク内の水Wは、ホースHSから突出部HC1を通って散水パイプWPに流入し、散水孔HRより地面に向けて散水される。
【0039】
図7,8には、タングTGとバックルBKの詳細を示す(
図7において矢印は電動ローンモア10の前進方向を示す)。タングTGは、金属板で形成され、先端がやや狭くなるように加工される。そして、先端部分には、矩形の開口TOが形成される。タングTGの後端には、ベルトBTの先端を取り付ける。ベルトBTの後端は、ベルトリトラクタRTによって巻き取られている。ベルトBTは、一定の速度で引っ張るとベルトリトラクタRTより巻きだされ、手を離すと巻き戻される。一方、ベルトリトラクタRTにはストッパを備え、ベルトBTが急激に巻き出されようとすると、ストッパによってこれを阻止する。
【0040】
バックルBKは、タングTGを掛け止めるためのものである。タングTGの略中央には、引掛け爪と連動するボタンBUを備える。引掛け爪には、タングTGの開口TOを掛け止めることができ、ボタンBUを押すと掛け止めたタングTGを開放することができる。なお、タングTG、バックルBK、ベルトBTを合わせて押え具と称し、押え具によって、振動などによって散水タンクWT(後述)がステップSTから脱落しないように押える。
【0041】
図9,10には、バッテリー25の詳細を示す。バッテリー25は、カバー26によって上方より覆われている。カバー26は、ヒンジ26Cを介してカバー本体26Aと蓋部26Bが連結されてなる。カバー本体26Aは硬質の樹脂製で、バッテリー本体27を上方から覆うようにしてバッテリー本体27に取り付けられている。蓋部26Bはカバー本体26Aと同様の樹脂製であり、ヒンジ26Cを支点としてカバー本体26Aに対して回動自在である。なお。蓋部26Bの下端には凹部26BFが設けられている。一方、カバー本体26Aの、凹部26BFに接する箇所には、凹部26AFが設けられている。凹部26BFは、蓋部26Bを開閉する際に、作業者が手を掛けやすいように形成されており、また、凹部26AFは、蓋部26Bを開閉する際に、凹部26BFに手を掛ける際の逃げとなっている。
【0042】
蓋部26Bの下端には不図示の金属板が2箇所取り付けられており、カバー本体26Aには、蓋部26Bを閉じたときに、この金属板が当接する箇所に磁石が取り付けられている。したがって、蓋部26Bがカバー本体26Aに一定の力で固定されるようになっている。蓋部26Bを開けるとバッテリー本体27の上部が露出する。バッテリー本体27の上部には、バッテリー本体27を充電する際にプラグを差し込むための給電口28を備える。給電口28には、家庭の電源に接続した電気コードを差し込んでバッテリー25を充電するためのプラグと、このプラグよりも大口径の急速充電用のプラグの2種類を備える。バッテリー25とプラグとの間にはACアダプタおよび充電装置を適宜備える。
【0043】
バッテリー本体27の両側面27Sには、補強部40S,40Sが形成される。補強部40は、側面27Sを構成する金属板を打ち出すことで形成され、側面27Sを補強するものである。補強部40Sにはそれぞれ回動部29を配置する(回動部29は補強部40Sの内側にて適宜、バッテリー本体27と連結されている)。回動部29にはそれぞれ、把持部30の両端を溶接などで固定する。把持部30は金属パイプを折り曲げて略門型状に形成される。把持部30は、バッテリー本体27に対して回動部29を中心として回動する(回動部29の詳細は後述)。なお、回動部29の回動支点は、バッテリー本体27の重心付近とすることが望ましい。バッテリー本体27の下部の両側面27Sには、それぞれ取付板31を介して車輪フレーム32を取り付ける。取付板31は車輪フレーム32に溶接などで固定される。この取付板31はボルトによって、側面27Sに固定される。
【0044】
車輪フレーム32は四角筒状で、略コの字に折り曲げて形成される。車輪フレーム32の両端には、前輪ブラケット33,33を溶接などで固定する。前輪ブラケット33は金属板を略直角に2度折り曲げて門型状に形成される。両側には貫通孔を形成し、前輪34をボルトなどを介して回転自在に取り付ける。一方、車輪フレーム32の中央部分には、取付部35,35を溶接などで固定する。取付部35には円筒部36の側面を固設する。円筒部36には、後輪ブラケット37を旋回自在に取り付ける。後輪ブラケット37は門型形状に形成され、天面部の中央には貫通孔を設ける。貫通孔にはボルトを上向きに貫通させ、円筒部36内にて固定する。これによって、後輪ブラケット37は、円筒部36に対して回転自在に支持される。後輪ブラケット37は金属板を略直角に2度折り曲げて門型状に形成される。両側には貫通孔を形成し、後輪38をボルトなどを介して回転自在に取り付ける。このように、後輪38は、円筒部36の周りに回動することができる。
【0045】
バッテリー本体27の背面27Bの上部中央には取付ブラケット(バッテリー側固定部)39を固設する。取付ブラケット39は一対の金属板で構成され、それぞれの中央に貫通孔39Hを備える。背面27Bには、一対の補強部40B,40Bを上下方向に延びるように形成する。補強部40は、背面27Bを構成する金属板を打ち出すことで形成される。
【0046】
バッテリー本体27の両側面27Sに備える回動部29は、
図11、
図12(a)〜(c)に示すように、回動軸(回動支点)72、回動軸72に固設されたブラケット76、ブラケット76、ブラケット76に対して抜き差し可能な係止軸(バッテリー側連結部)74、ブラケット76の内側に固設された円筒部73(回動軸72は円筒部73に対して回動自在である)、ブラケット76の外側に固設された円筒状のガイド部75(ガイド部75はその内側に係止軸74を抜き差し自在に挿入可能である)などで構成される。したがって、係止軸74は回動軸72に対して偏心した位置にある。
【0047】
円筒部(ロック機構)73には、同一径の貫通孔73Aおよび貫通孔73Bが直径方向に貫通するように形成されている。一方、回動軸72には、貫通孔73A,73Bと略同一径の貫通孔が直径方向に貫通するように形成されている。貫通孔73A,73Bおよび回動軸72の貫通孔には抜止ピン(ロック機構)PN2が挿入可能である(
図12(a),(b)では、抜止ピンPN2が貫通孔73Aに挿入されている状態で、後述する搬送位置と称す)。また、ガイド部75には貫通孔75Aが直径方向に貫通するように形成されている。また、係止軸74にも貫通孔75Aと略同一の貫通孔が直径方向に貫通するように形成されている。ガイド部75の貫通孔73Aと係止軸74の貫通孔には抜止ピンPN2を挿入可能である。抜止ピンPN2は頭部と差込部PN2Bで構成され、頭部に掛止部PN2Aを回動自在に取り付ける。回動軸72は回動支持部71に回動自在に支持される。回動支持部71はボルトによってバッテリー本体27に取り付けられる。係止軸74は後述するブラケット50のガイド部50Gに挿入可能である。なお、円筒部73と抜止ピンPN2とを合わせてロック機構と称す。
【0048】
図13〜15に示すように、シャーシ11,11の後端には、ブラケット(機体側連結部)50,50をボルトで固定する。ブラケット50の後端には貫通孔を形成し、円筒状のガイド部50Gを挿入して溶接などで固定する。シャーシ11,11の後部には当接部51を渡し掛けるようにしてボルトで固定する。当接部51は金属板を加工して形成し、その主要部は前進方向に向けて傾くように形成された平面で、この平面部分にバッテリー25をもたせ掛けて当接させる(なお、当接部51はこの形状に限定されるものではなく、バッテリー25の背面27Bを持たせかけることができる形状であればよく、複数の部材で構成されていてもよい)。当接部51の表面には不図示のゴム板(緩衝部)が貼り付けてあり、バッテリー25をもたせ掛けて当接させるときの衝撃を緩和するようになっている。当接部51の上には取付部52を備え、取付部52の両側には、一対のブラケット53,53を取り付ける。ブラケット53の上側には、コイルバネ(緩衝部)54をそれぞれ取り付ける。ブラケット53,53の間には、ブラケット55を介して取付ブラケット(機体側固定部)56を固設する。なお、緩衝部はコイルバネ54に限定されるものではなく、あらゆる弾性部材を適用しうる。
【0049】
取付ブラケット56は一対の金属板で構成され、それぞれの中央に貫通孔を形成し、そこに円筒状のガイド部56Gを挿入して溶接などで固定する。このガイド部56Gには係止ロッド57を挿入する。係止ロッド57は金属棒で形成され、その一端を平頭として抜け止めを施す。また、他端には、貫通孔を半径方向に形成する。この貫通孔には、固定ピンPN1を嵌めつける。固定ピンPN1の頭部には、引き抜く際に指などを引掛けるための円環を備える。なお、取付ブラケット56,56間の間隔は、バッテリー25に備える取付ブラケット(バッテリー側固定部)39,39間の間隔よりも広く形成され、取付ブラケット(バッテリー側固定部)39,39が取付ブラケット56,56間に配置されるように構成する。また、取付ブラケット39に形成された貫通孔39Hは、係止ロッド57が抜き差し自在となる程度の大きさに形成する。
【0050】
当接部51の下方には、横フレーム58をシャーシ11,11間に固定して配置し、横フレーム58には、一対のブラケット59,59を固設する。ブラケット59には、それぞれ、ローラ(当接促進部)60を回転自在に取り付ける。ローラ60はゴム製のタイヤ部とそれを内側から支持するホイール部とで構成される。ホイール部の中心には貫通孔が形成され、支持軸61が挿入される。ローラ60は支持軸61の周りに従動回転自在である。支持軸61の一端はブラケット59に固設され、他端は、受部62に固設される。受部62は、横フレーム58に固設される。ローラ60は、後述するように、バッテリー25を当接部51に持たせかける動作を容易にするためのものである。なお、当接促進部はローラ60に限定されるものではなく、同様の効果が得られるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0051】
このように構成された電動ローンモア10では、バッテリー25を取りはずして単独で移動させて、充電することができる。充電し終えたバッテリー25を電動ローンモア10の本機に取り付ける方法について次に説明する。
図16に示すように、バッテリー25の把持部30を掴みながらバッテリー25を押して、電動ローンモア10の本機に近づける。次に、
図17に示すように、把持部30を搬送位置から取付位置へと回動する(
図11、
図12(a)〜(c)も参照のこと)。詳しくは、円筒部73に挿入してある抜止ピンPN2の掛止部PN2Aを回動させて差込部PN2Bから離すと、抜止ピンPN2のロックが解除され、抜止ピンPN2を円筒部73の貫通孔73Aから抜く。
【0052】
これによって、把持部30が回動軸72の周りに回動可能となり、把持部30を前側に回動させる。そして、回動軸72の貫通孔と円筒部73の貫通孔73Bとを合わせて、抜止ピンPN2の差込部PN2Bを差し込む。さらに、掛止部PN2Aを差込部PN2B近傍まで回動させて、抜止ピンPN2を円筒部73に対して抜けないようにする。このようにして、把持部30が、
図17に示すような取付位置となる(
図17において、一点鎖線は把持部30が搬送位置にある状態を示す)。
【0053】
そして、バッテリー25をさらに本機に向けて接近させる。次に、係止軸74に挿入してある抜止ピンPN2の掛止部PN2Aを回動させて差込部PN2Bから離し、抜止ピンPN2をガイド部75および係止軸74から抜く。さらに、係止軸74をブラケット76およびガイド部75から抜き出す。この状態で、本機側のブラケット50がバッテリー側のブラケット76の間に位置するようにバッテリー25を近づける。さらに、ガイド部75とガイド部50Gとを合わせ、係止軸74を両者に挿入する。そして、再び、ガイド部75および係止軸74に抜止ピンPN2を差し込んで、係止軸74の抜け止めをする。このようにして、バッテリー25が電動ローンモア10のシャーシ(機体)11に連結される。
【0054】
次に、把持部30を図中で反時計まわりに回動させる。すると、バッテリー25の前輪34が浮き上がるとともに、バッテリー本体27の背面27Bがローラ60に当接する。このとき、ローラ60のタイヤ部はゴム製であるので、当接によるバッテリー本体27への衝撃を和らげることができる。この状態では、バッテリー25の重心は、把持部30の回動中心よりも後方に位置する。
【0055】
把持部30をさらに反時計まわりに回動させると、バッテリー本体27の背面27Bがローラ60に当接しながら動く。ローラ60は回転自在であるので、バッテリー本体27が動くのを容易にする。バッテリー25はローラ60に当接しながら係止軸(バッテリー25と機体の連結部)74を支点として回動する。この際、2つのローラ60,60が当接する位置に補強部40B,40Bを形成するので、ローラ60によって背面27Bが変形することを防止することができる。
【0056】
さらに、把持部30を反時計まわりに回動して、バッテリー本体27の背面27Bが当接部51に当接させることで、バッテリー25の電動ローンモア10の機体への持たせかけ動作を完了する。このとき、当接部51の表面に配置されたゴム板(緩衝部)とコイルバネ(緩衝部)54がバッテリー25の背面27Bを受け止めるので、背面27Bが当接部51に当接する際の衝撃を緩和することができる(緩衝部は備えなくてもよい。また、緩衝部として、ゴム板またはコイルバネ54のいずれか一方を配置するだけであってもよい)。
【0057】
なお、バッテリー25を機体に取り付ける作業を開始する前(または作業の途中で)に、機体後部に取り付けられた取付ブラケット(機体側固定部)56,56に挿入されている係止ロッド57を予め抜いておく。詳しくは、係止ロッド57の先端に直径方向に挿入された固定ピンPN1を抜いて、掛け止めを解除したのち、係止ロッド57を取付ブラケット56から抜く。そして、バッテリー本体27の背面27Bが当接部51に当接する際、取付ブラケット(バッテリー側固定部)39を取付ブラケット56の間に配置させ、貫通孔39Hとガイド部56Gとを合わせて、係止ロッド57を挿入する。挿入し終えたら、係止ロッド57の先端に固定ピンPN1を挿入して掛け止めをする。これによって、バッテリー25が機体に固定される。
【0058】
この状態では、バッテリー25の重心は把持部30の回動中心を乗り越えて前方に位置するため、バッテリー25は安定する。なお、バッテリー25側、機体側のそれぞれにカップラーを有するコードが備えられており、両者のカップラーを連結することでバッテリー25の電力を機体側に供給可能となる。
【0059】
図18(a),(b)には、散水タンク(タンク)WTを示す。散水タンクWTは電動ローンモア10に着脱するため、人手で搬送できるような軽量な材質、例えば樹脂などがよい。散水タンクWTの上面には給水口を設け、水道ホースなどで水(液体物質)を給水・貯蔵できるようになっている。その給水口にはキャップCPをネジつけて閉塞可能にする。散水タンクWTの前部WTFの左側には、窪みEPを形成する。この窪みEPは、散水タンクWTを電動ローンモア10に載置した時に、モアデッキ調節ペダル24を逃げるためのものである。
【0060】
また、散水タンクWTの前部WTFの下面には、傾斜部WT1を形成する。この傾斜部WT1の斜度は、ステップSTの前部SLのそれと略同じであることが望ましい。また、散水タンクWTの前部WTFの下端付近には、取付部HCを設ける。この取付部HCは、散水パイプWPに設けられたものと同一であり、突出部HC1を備え、突出部HC1にホースHSの端部を嵌めつけられるようになっている。なお、散水タンクWTの幅LはステップSTの幅よりもやや小さくなるようにする。これによって、散水タンクWTの側面下部は、両側部RS,LSによって車幅方向の移動が規制される。
【0061】
次に、散水タンクWTの取り付け方法について、
図19,20を用いて説明する。なおこの例では、散水作業は自律走行にて無人で行うので、散水タンクWTをステップSTに取り付けることが可能となる。電動ローンモア10を自律走行させることで運転者が不要となり、散水作業の要員省力化を可能とする。自律走行をするためには、予め、散水作業をするエリアの位置情報を取得する必要があり、このために、散水タンクWTをステップSTに取りつける前に、散水作業エリアの外縁を有人にて走行する。散水作業をするエリアの位置情報を取得するにあたり、走行前に、まず、右のフェンダーFRに配置されている位置情報取得ボタンを押下する。そして、散水作業エリアの外縁を有人走行して、元の位置に戻ったら、再び、位置情報取得ボタンを押下する。これによって、制御部(後述の処理部110)に散水作業エリアの位置情報が記憶される。
【0062】
次に、運転者が降車して、散水タンクWTの取り付けを行う。まず、ステップSTの前部SLにある開閉蓋DRを開いて開口を露出する。次に、空の散水タンクWTを倉庫などから搬出して、ステップST上に載置する。散水タンクWTは樹脂など軽量の材質で形成されているので、運転者一人で持ち運びが容易である。散水タンクWTは、傾斜部WT1がステップSTの前部SL上に重なるように載置する。このとき、開閉蓋DRによって露出した開口に散水タンクWTの取付部HCが位置する。次に、ホースHSの後端を取付部HCの突出部HC1に嵌めつける。ホースHSをシャーシ11の先端11Tとフロントフレーム19との間に通しながら、前方へと導く。
【0063】
さらに、ホースHSの先端を散水パイプWPの取付部HCの突出部HC1に嵌めつける。なお、ホースHSの中間部には、不図示の制御弁が設けられており(後述の制御弁126)、この制御弁は、運転席21下の運転席支持フレーム40内にある制御部とカップラーなどを介して電気的に連結する。
【0064】
次に、水を散水タンクWTに供給する。具体的には、散水タンクWTの天面にあるキャップCPをネジって給水口を開放し、ホースなどを使って、給水する。給水後は、キャップCPをネジつける。
【0065】
散水作業は、
図21に示すように、GPS衛星を用いた自律走行システムにて無人で行う。自律走行システムは、移動局ユニット103を有する電動ローンモア10に加えて、GPS衛星125、散水作業を行うエリア(例えば、ゴルフ場など)に設置される基準局ユニット104にて構成される。
【0066】
移動局ユニット103は、GPSアンテナ108、GPS受信部109、CPUやRAMやROM等を備える制御手段としての処理部110、操作部111、表示部112、無線部113などを備える。GPSアンテナ108で受信されたGPS衛星125からの電波信号は、ケーブルでGPS受信部109を経て処理部110に送信される。操作部111は後述する自律走行の設定や、GPSの初期設定などを行うためのインターフェースであり、処理部110にケーブル接続されている。表示部112は処理部110にケーブル接続されており、処理部110におけるデータ処理の状況や、操作部111により入力された各種設定を表示する。無線部113は移動局ユニット103と、基準局ユニット104とが無線交信するためのものである。
【0067】
なお、操作部111はキーボードやスイッチ、レバー、押しボタン、ダイアルなどオペレータが入力操作可能であればよく、その形式は限定されない。さらに、操作部111と表示部112をタッチパネルとし、一体化してもよい。操作部111、表示部112は、右側のフェンダー20FRに備える。また、GPSアンテナ108、無線部113は、
図1の無線通信手段SEを構成する。
【0068】
基準局ユニット104も移動局ユニット103と略同じ構成であり、GPSアンテナ114、GPS受信部115、処理部116、操作部117、表示部118、無線部119などで構成される。
【0069】
基準局ユニット104のGPSアンテナ114は地面に略鉛直に立てて設置される。基準局ユニット104を構成するGPSアンテナ114以外の部材はケースに収納される。
【0070】
次に、電動ローンモア10で散水作業を行う際の自律走行システムについて説明する。自律走行システムは、自律走行プログラムや、電動ローンモア10の各種の情報を検出する本体センサ122、走行モータ16,散水のための制御弁などで構成される。
【0071】
ある時刻に発信されたGPS衛星125からの電波信号は、移動局ユニット103のGPSアンテナ108により受信され、GPS受信部109を経て処理部110に送信される。
【0072】
GPS衛星125から同時刻に発信された電波信号は、基準局ユニット104のGPSアンテナ114にも受信され、GPS受信部115を経て処理部116に送信される。さらに、無線部119から無線部113を経て処理部110に無線送信される。
【0073】
処理部110では、基準局ユニット104において受信された電波信号と、移動局ユニット103において受信された電波信号とを比較対照し、同時刻に発信された電波信号がGPSアンテナ108およびGPSアンテナ114で受信されたときの位相差や、複数の衛星からの電波信号情報に基づき、移動局ユニット103と基準局ユニット104との相対位置を計算し、移動局ユニット103の位置計算を行う。上記の計算は処理部110に格納された自律走行プログラムにより行われる。
【0074】
このように構成することにより、散水作業エリアにおける電動ローンモア10の位置を高精度に、かつ、リアルタイムで測定することができる。
【0075】
動作センサ122は、電動ローンモア10の走行速度、3次元的な姿勢、走行モータの回転数など、自律走行させる上で必要な情報を検知するためのセンサ類の総称である。より具体的には、左右の走行モータ16,16の回転数センサ、方位センサ、傾斜センサなどである(例えば、3次元的な姿勢を検知し、電動ローンモア10が走行上不安定な姿勢となったときは、走行速度を遅くしたりすることもできる)。これら動作センサ122からの検知信号は、処理部110に送信される。
【0076】
動作センサ122からの検知信号、およびGPSユニット102による電動ローンモア10の位置情報に基づき、処理部110内に格納された自律走行プログラムによって、電動ローンモア10の走行モータ16の回転を制御する。これによって、走行の制御をする。これに加えて、自律走行プログラムでは、散水タンクWTから散水パイプWPへの送水量を制御する。具体的には、散水タンクWTと散水パイプWPとを繋ぐホースHSの途中に設けられた制御弁126の開閉を自律走行プログラムで制御する。すなわち、電動ローンモア10の走行速度が遅くなると、送水量を減らすように制御弁126を閉じる方向に操作する。一方、電動ローンモア10の走行速度が速くなると、送水量を増やすように制御弁126を開く方向に操作する。
【0077】
次に、電動ローンモア10の自律走行の手順を説明する。まず、フェンダー20FRに配置されている操作系ボタンのなかの、自律走行開始ボタンを押下して回路をONにする。
【0078】
電動ローンモア10は処理部110内に格納されている自律走行プログラムおよび散水作業エリアの位置情報を基に電動ローンモア10は自律走行および散水作業を開始する。なお、自律走行プログラムがUターンやカーブなどのために走行速度を遅くするときは、制御弁126も連動して操作し、散水量を減少させる。また、走行速度を速くするときは、制御弁126も連動して操作し、散水量を増加させる。このようにして、電動ローンモア10の走行速度に係らず、散水量を常に一定にしている。
【0079】
作業終了地点に到達すると、電動ローンモア10は自動的に自律走行を終了し、停車する。自律走行が終了したら、フェンダー20FRに配置されている操作系ボタンのなかの、自律走行開始ボタンを再び押下して回路をOFFとする。
【0080】
なお、電動ローンモア10の自律走行経路は複数通り作成することが可能であるが、作業速度の観点から見れば、走行経路が最も短い経路を選択することが望ましい。ただし、実際には散水作業エリア内に障害物(看板・鉄塔脚など)が存在したり、散水作業エリアの特定箇所が軟弱地盤であったり、あるいは電動ローンモア10が散水作業エリアに進入できる地点が特定の場所に制約されるなど、種々の状況が考えられる。
【0081】
図22には、この発明の別の例を示す(図中、矢印は、電動ローンモア10の前進方向を示す)。この例では、散水タンクWTの水を散水パイプWPから散水するのに代えて、モアデッキ14´内に散水する。この場合、モアデッキ14´の天面14´Uで、かつ、それぞれのモアブレードの回転軌跡TA内に貫通孔を1つずつ形成する。そして、その貫通孔に取付部HCを取り付ける。散水タンクWTに取り付けるホースHSは制御弁126を経た後、分流部材を用いて2つのホースに水流を分割する。そして、それぞれのホースの先端をモアデッキ14´の取付部HCに嵌めつける。なお、散水パイプWPが不要となるため、これを支持するためのブラケットBRも不要である。その他の構成は、前の例と同様である。この例では、モアブレードが散布手段となる。
【0082】
散水作業中は、モアブレードを低速で回転させて水を霧状とする。散水作業中のモアブレードの回転数は、芝刈り作業中のモアブレードの回転数よりもはるかに小さい。このため、モアモータ15,15の回転を制御部にて芝刈りモードと散水モードとに制御する必要がある。
【0083】
なお、上述の例では、散水タンクWTをステップSTに載置し、押え具としての、ベルトBT、タングTG、バックルBKを用いて散水タンクWTをステップST上から脱落しないように止めていたが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図23(a),(b)に示すように、ベルトBT、タングTG、バックルBKに代えて、ステップSTの左右側部LS,RSの外側に張り出すように突起FKをそれぞれ複数設ける。
【0084】
そして、左側部LSにある突起FKにゴムロープRRの一つの端部NTを引掛けた後、ゴムロープRRを延ばすように引っ張りながら散水タンクWTの上面を越えて、ゴムロープRRのもう一つの端部NTを反対側にある右側部RSの突起FKに掛け止める。散水タンクWTの大きさや形状などに応じて複数のゴムロープRRを異なる突起FKに掛けて散水タンクWTを固定する。このようにすることで、押え具をゴムロープRRと突起FKのみで構成することができ、電動ローンモア10の構成を簡略化することができる。
【0085】
この発明は上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内であらゆる形態を取ることができる。