特許第5775450号(P5775450)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775450グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニスト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775450
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   C07K14/605ZNA
【請求項の数】1
【全頁数】149
(21)【出願番号】特願2011-514734(P2011-514734)
(86)(22)【出願日】2009年6月16日
(65)【公表番号】特表2011-524419(P2011-524419A)
(43)【公表日】2011年9月1日
(86)【国際出願番号】US2009047438
(87)【国際公開番号】WO2009155258
(87)【国際公開日】20091223
【審査請求日】2012年6月15日
(31)【優先権主張番号】61/078,168
(32)【優先日】2008年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/177,476
(32)【優先日】2009年5月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/073,269
(32)【優先日】2008年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/090,412
(32)【優先日】2008年8月20日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507277642
【氏名又は名称】インディアナ ユニバーシティー リサーチ アンド テクノロジー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INDIANA UNIVERSITY RESEARCH AND TECHNOLOGY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ディマルキ,リチャード,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】スマイリー,デイヴィッド,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ディマルキ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】シャベンヌ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ウォード,ブライアン,シー.
【審査官】 長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−508639(JP,A)
【文献】 特表2005−514337(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0124550(US,A1)
【文献】 The Journal of Biological Chemistry,1982年,vol.257, no.18,p.10624-10630
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個までのアミノ酸修飾を有する配列番号1のアミノ酸配列を含み、C4〜C30脂肪酸でアシル化またはアルキル化されている位置10のアミノ酸と、位置16のアミノイソ酪酸(AIB)とを含み、天然グルカゴンと比べて増強されたGLP−1受容体に対する活性を有する、グルカゴンペプチド、またはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プレプログルカゴンは、158アミノ酸前駆体ポリペプチドであり、異なる組織においてプロセシングされて、グルコースホメオスタシス、インスリン分泌、胃排出および腸管成長、並びに食物摂取の調節を含む多種多様な生理学的機能に関わる、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)およびオキシントモジュリン(OXM)を含む多数の異なるプログルカゴン誘導ペプチドを形成する。グルカゴンは、プレプログルカゴンのアミノ酸33から61に対応する29アミノ酸ペプチドであり、一方、GLP−1は、プレプログルカゴンのアミノ酸72から108に対応する37アミノ酸ペプチドとして産生される。GLP−1(7−36)アミド、またはGLP−1(7−37)酸は、GLP−1の生物学的に活性のある形態であって、これらは、GLP−1受容体に対し実質的に等価な活性を示す。
【0002】
低血糖症は、血中グルコースレベルが体の活動にとって十分なエネルギーを提供するには低すぎるほど低下したときに生じる。成人または10歳を超える小児において、低血糖症は、糖尿病治療の副作用以外ではまれであるが、他の薬物療法または疾患、ホルモン若しくは酵素欠乏または腫瘍によってもたらされる可能性がある。血中グルコースが下降し始めると、膵臓により産生されるホルモンであるグルカゴンは、肝臓にグリコーゲンを分解し、グルコースを放出するようにシグナルを送り、血中グルコースレベルを正常なレベルに上昇させる。したがって、グルコース調節におけるグルカゴンの最も認識されている役割は、インスリンの作用に対抗し、血中グルコースレベルを維持することである。しかし、糖尿病患者では、低血糖に対するグルカゴン反応は損なわれている場合があり、グルコースレベルを正常な範囲に戻すことが難しくなっている。
【0003】
低血糖症は、速やかな医学的配慮を必要とする生命を脅かす事象である。グルカゴンの投与は、急性低血糖症を治療する確立された薬物療法であり、投与の数分内にグルコースの正常レベルを回復することができる。グルカゴンが低血糖症の急性医学治療に使用される場合、結晶形態のグルカゴンは希釈酸緩衝液により溶解化され、溶液が筋肉内に注射される。この治療は効果的であるが、その方法論は煩わしく、意識が完全でなくなった人にとっては危険である。したがって、母体となる分子の生物学的機能を維持するが、生理学的な条件下で十分に溶解性で安定であり、注射用の液剤として予備処方することができるような、グルカゴンの類縁体の必要性が存在する。
【0004】
加えて、糖尿病患者は、微小血管合併症を遅延または予防するために、ほぼ正常な血中グルコースレベルを維持することを勧められている。この目標の達成には、通常、集中的なインスリン治療を必要とする。この目的を達成しようという努力において、医者は糖尿病患者における低血糖症の頻度および重篤度の顕著な増加に遭遇する。したがって、現行のインスリン療法よりも低血糖症を誘発する可能性が低い改善された医薬び方法論が、糖尿病の治療のために必要である。
【0005】
GLP−1は、グルカゴンと比較すると異なる生物学的活性を有する。その作用には、インスリン合成および分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害および食物摂取の阻害が含まれる。GLP−1は、糖尿病患者において高血糖症(グルコースレベルの上昇)を低減することが示されている。GLP−1と50%のアミノ酸同一性を共有する、トカゲ毒液からのペプチドであるエキセンディン−4(Exendin-4)は、GLP−1受容体を活性化し、同様に糖尿病患者において高血糖症を低減することが示されている。
【0006】
GLP−1およびエキセンディン−4が食物摂取を低減し、減量を促進する証拠もあり、これは、糖尿病患者のみならず、肥満に罹患している患者にとっても利益になる効果である。肥満の患者は、糖尿病、高血圧症、高脂血症、心血管疾患および筋骨格系疾患の高い危険性を有する。
【0007】
したがって、糖尿病および肥満を治療する代替的で好ましく改善された方法の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載されるように、グルカゴン受容体に対する増加した活性も示し、更なる実施態様では増強された生物物理学的安定性および/または水溶性を示す、高い効力のグルカゴンアゴニスト類縁体が提供される。加えて、本発明の別の態様によると、GLP−1受容体に比べてグルカゴン受容体への天然グルカゴンの選択性を失っており、したがってこれらの2つの受容体に対するコアゴニスト(co-agonist)となる、グルカゴンアゴニスト類縁体が提供される。グルカゴン類縁体内の選択されたアミノ酸修飾は、GLP−1受容体対グルカゴン受容体における類縁体の相対的活性を制御することができる。したがって、本発明の更に別の態様は、GLP−1受容体に比べてグルカゴン受容体に対してより高い活性を有するグルカゴンコアゴニスト類縁体、両方の受容体に対しておよそ同等の活性を有するグルカゴンコアゴニスト類縁体およびグルカゴン受容体に比べてGLP−1受容体に対してより高い活性を有するグルカゴンコアゴニスト類縁体が提供される。後者の分類のコアゴニストを操作して、グルカゴン受容体に対してほとんどまたは全く活性を示さないようにすることができ、それでも、天然GLP−1と同じまたはそれより良好な効力でGLP−1受容体を活性化する能力を保持することができる。これらの類縁体のいずれかは、増強された生物物理学的安定性および/または水溶性を付与する修飾を含むこともできる。
【0009】
グルカゴンおよびGLP−1受容体に対するコアゴニズム(co-agonism)を示すグルカゴン類縁体は、幾つかの用途において有利である。まず第一に、低血糖症を治療するためのグルカゴンの使用は、低い血中グルコースレベルを過剰補償し、過度の血中グルコースレベルをもたらしうる。グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストを投与した場合、付加的なGLP−1刺激が、グルカゴンアゴニストの作用を緩衝し、低血糖症の治療によりもたらされる過度な血中グルコースレベルを阻止することが予想される。
【0010】
加えて、本明細書に記載されているように、本発明のグルカゴンコアゴニスト類縁体は、単独で、または、他の抗糖尿病若しくは抗肥満治療と組み合わせて投与されると、高血糖症の制御、または減量の誘導若しくは体重増加の予防に使用することができる。減量を誘導する別の化合物は、オキシントモジュリンであり、これは小腸において見出された天然型の消化ホルモンである(Diabetes 2005; 54: 2390-2395を参照)。オキシントモジュリンは、グルカゴン(すなわち、配列番号1)の29アミノ酸配列、それに続く、配列番号27(KRNRNNIA)の8アミノ酸カルボキシ末端延長部を含む、37アミノ酸ペプチドである。本発明は、本明細書に記載されるグルカゴン類縁体が、場合によりこの8アミノ酸カルボキシ末端延長部(配列番号27)と結合しうることを考慮するが、一方、本発明は、幾つかの実施態様において、配列番号27の8個の連続カルボキシアミノ酸を欠いている類縁体および類縁体の使用も特に考慮する。
【0011】
化合物をアミノ酸修飾により特別に適合させて、ペプチドのGLP−1活性を調節することができ、したがって、本発明のグルカゴン類縁体を、特定の状態または疾患を治療するように適合させることができる。さらに具体的には、それぞれの類縁体が対応するグルカゴンおよびGLP−1受容体に対する特徴的な相対レベルの活性を示す、グルカゴン類縁体が提供される。例えば、天然GLP−1の活性に比べて、少なくとも約1%(少なくとも約1,5%、2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%を含む)から約200%のいずれか、またはそれ以上のGLP−1受容体に対する活性を有し、且つ、天然グルカゴンの活性に比べて、少なくとも約1%(約1,5%、2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%を含む)から約500%のいずれか、またはそれ以上のグルカゴン受容体に対する活性を有するようなグルカゴンペプチドを産生するように、修飾を各ペプチドに対して実施することができる。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約100%、1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%以下を示す。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約100%、1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%以下を示す。天然グルカゴンのアミノ酸配列は、配列番号1であり、GLP−1(7−36)アミドのアミノ酸配列は、配列番号52であり、GLP−1(7−37)酸のアミノ酸配列は、配列番号50である。例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも10%およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも50%の活性を示してもよいし、またはグルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも40%およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも40%の活性を示してもよいし、またはグルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも60%およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも60%の活性を示してもよい。
【0012】
グルカゴンペプチドの、GLP−1受容体と比べたグルカゴン受容体に対する選択性は、グルカゴン/GLP−1活性の相対比(天然グルカゴンと比べたグルカゴン受容体に対するペプチドの活性を、天然GLP−1と比べたGLP−1受容体に対するペプチドの活性で割ったもの)として記載することができる。例えば、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の60%を示し、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の60%を示すグルカゴンペプチドは、グルカゴン/GLP−1活性の1:1比を有する。グルカゴン/GLP−1活性の例示的な比には、約1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1若しくは10:1、または約1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2若しくは1:1.5が含まれる。例としては、グルカゴン/GLP−1活性比の10:1は、GLP−1受容体と比べて10倍のグルカゴン受容体に対する選択性を示す。同様に、GLP−1/グルカゴン活性比の10:1は、グルカゴン受容体と比べて10倍のGLP−1受容体への選択性を示す。
【0013】
一実施態様によれば、効力が増強されており、更に溶解性や安定性も向上していてもよい、グルカゴン類縁体が提供される。別の実施態様によると、天然グルカゴン(配列番号1)の位置16にアミノ酸修飾を含む、グルカゴン受容体に対する増強された効力を有するグルカゴンペプチドが提供される。非限定例によると、そのような増強された効力は、位置16の天然型のセリンを、グルタミン酸によりまたは4原子の長さの側鎖を有する別の負荷電アミノ酸により置換することによって、あるいは、グルタミン、ホモグルタミン酸若しくはホモシステイン酸のいずれかにより、または少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、S、P)を含有し約4(若しくは3〜5)原子の長さを有する側鎖を含有する荷電アミノにより置換することによって、もたらすことができる。一つの実施態様において、効力が増強されたグルカゴンアゴニストは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7のペプチド、または配列番号5のグルカゴンアゴニスト類縁体を含む。一つの実施態様によると、野生型グルカゴンに比べてグルカゴン受容体に対する効力が増強されたグルカゴン類縁体タンパク質が提供されるが、このグルカゴンペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9または配列番号10の配列を含み、GLP−1受容体と比べてグルカゴン受容体に対して選択性を保持する。
【0014】
グルカゴン受容体活性は、位置3のアミノ酸の修飾により、例えば位置3の天然型のグルタミンの置換により、低減、維持または増強することができる。一つの実施態様において、位置3のアミノ酸の、酸性、塩基性または疎水性アミノ酸(グルタミン酸、オルニチン、ノルロイシン)による置換は、グルカゴン受容体活性を実質的に低減または破壊することが示されている。例えばグルタミン酸、オルニチンまたはノルロイシンで置換されている類縁体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下の活性、例えば、約1〜10%または約0.1〜10%または約0.1%超であるが約10%未満の活性を有し、一方、GLP−1受容体に対しては、GLP−1の活性の少なくとも20%の活性を示す。例えば、本明細書に記載されている例示的な類縁体は、天然グルカゴンの活性の約0.5%、約1%または約7%を有し、一方、GLP−1受容体に対するは、GLP−1の活性の少なくとも20%を示す。
【0015】
別の実施態様において、グルカゴンペプチドの位置3の天然型のグルタミンを、グルカゴン受容体に対する活性を実質的に失うことなく、幾つかの場合ではグルカゴン受容体活性の増強を伴って、グルタミン類縁体により置換することができる。例えば、位置3にグルタミン類縁体を含むグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン(配列番号1)の活性の約5%、約10%、約20%、約50%、若しくは約85%またはそれ以上の活性を示すことができる。幾つかの実施態様において、位置3にグルタミン類縁体を含むグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する、位置3の修飾アミノ酸(例えば、配列番号601または配列番号602)以外は、グルタミン類縁体を含むペプチドと同じアミノ酸配列を有するような対応するグルカゴンペプチドの活性の、約20%、約50%、約75%、約100%、約200%、若しくは約500%またはそれ以上の活性示すことができる。幾つかの実施態様において、位置3にグルタミン類縁体を含むグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する増強された活性を示すが、増強された活性は、天然グルカゴンのまたは位置3の修飾アミノ酸以外は、グルタミン類縁体を含むペプチドと同じアミノ酸配列を有するような対応するグルカゴンペプチドの活性の、1000%、10,000%、100,000%、または1,000,000%以下の活性である。
【0016】
幾つかの実施態様において、グルタミン類縁体は、下記の構造I、II、またはIII:
【化1】
〔式中、Rは、C0−3アルキルまたはC0−3ヘテロアルキルであり;Rは、NHRまたはC1−3アルキルであり;Rは、C1−3アルキルであり;Rは、HまたはC1−3アルキルであり;Xは、NH、O、またはSであり;そしてYは、NHR、SR、またはORである〕で示される側鎖を含む、天然型のまたは非天然型のアミノ酸である。幾つかの実施態様において、Xは、NHであるか、またはYは、NHRである。幾つかの実施態様において、Rは、C0−2アルキルまたはCヘテロアルキルである。幾つかの実施態様において、Rは、NHRまたはCアルキルである。幾つかの実施態様において、Rは、HまたはCアルキルである。例示的な実施態様において、構造Iの側鎖を含み、以下のいずれかが成り立つアミノ酸が提供される:RはCH−Sであり、XはNHであり、そしてRはCHである(アセトアミドメチル−システイン、C(Acm));RはCHであり、XはNHであり、そしてRはCHである(アセチルジアミノブタン酸、Dab(Ac));RはCアルキルであり、XはNHであり、RはNHRであり、そしてRはHである(カルバモイルジアミノプロパン酸、Dap(尿素));または、RはCH−CHであり、XはNHであり、そしてRはCHである(アセチルオルニチン、Om(Ac))。例示的な実施態様において、構造IIの側鎖を含むアミノ酸が提供され、ここで、RはCHであり、Yは、NHRであり、そしてRは、CHである(メチルグルタミン、Q(Me))。例示的な実施態様において、構造IIIの側鎖を含むアミノ酸が提供され、ここで、RはCHであり、そしてRは、Hである(メチオニン−スルホキシド、M(O))。特定の実施態様において、位置3のアミノ酸はDab(Ac)により置換されている。例えば、グルカゴンアゴニストは、配列番号595、配列番号601、配列番号603、配列番号604、配列番号605、および配列番号606のアミノ酸配列を含むことができる。
【0017】
別の実施態様において、天然グルカゴンペプチドと比べて増強または保持されたグルカゴン受容体に対する効力を有するが、著しく増強されたGLP−1受容体に対する活性も有するグルカゴンの類縁体が提供される。グルカゴンは、通常、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約1%を有するが、一方、GLP−1は、通常、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約0.01%未満を有する。GLP−1受容体に対する増強された活性は、C末端アミノ酸のカルボン酸を、アミドまたはエステルのような電荷中性基に代えることによってもたらされる。一つの実施態様において、これらのグルカゴン類縁体は、配列番号20の配列を含み、ここでカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸に見出されるカルボン酸基の代わりにアミド基を有する。これらのグルカゴン類縁体は、グルカゴンとGLP−1の両方の受容体に対して強力な活性を有し、したがって、両方の受容体に対するコアゴニストとして作用する。一つの実施態様によると、ペプチドが配列番号20の配列を含み、位置28のアミノ酸がAsnまたはLysであり、位置29のアミノ酸がThr−アミドである、グルカゴンおよびGLP−1受容体コアゴニストが提供される。
【0018】
GLP−1受容体に対する増強された活性はまた、3個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸、すなわち位置「i」のアミノ酸と位置「i+4」のアミノ酸(ここで、iは12〜25の任意の整数である)、2個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸、すなわち位置「j」のアミノ酸と位置「j+3」のアミノ酸(ここで、jは12〜27の任意の整数である)、または、6個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸、すなわち位置「k」のアミノ酸と位置「k+7」のアミノ酸(ここで、kは12〜22の任意の整数である)、の側鎖同士の間に分子内架橋を形成することによって、グルカゴンのC末端部分(アミノ酸12〜29周辺)のアルファ−へリックス構造を安定化することによっても提供される。例示的な実施態様において、架橋またはリンカーは、約8(または約7〜9)原子長であり、位置12と16、または位置16と20、または位置20と24、または位置24と28のアミノ酸の側鎖同士の間に形成される。これらのアミノ酸の側鎖は、非共有結合、例えば水素結合や、塩架橋の形成のようなイオン相互作用を介して、または共有結合により、互いに結合することができる。
【0019】
一つの実施態様によると、配列番号20の配列を含むグルカゴンアゴニストであって、位置12、20または28に配置されているリシン残基と、位置16または24に配置されているグルタミン酸残基の側鎖同士の間にラクタム環が形成されているグルカゴンアゴニストが提供され、ここで側鎖がラクタム環の形成に参加しているグルカゴンペプチドの2個のアミノ酸は、3個の介在アミノ酸により互いに隔てられている。一つの実施態様によると、グルカゴン類縁体を担持するラクタムは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17および配列番号18から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む。一つの実施態様において、ペプチドを担持するラクタムのカルボキシ末端アミノ酸は、末端カルボン酸の代わりにアミド基またはエステル基を含む。一つの実施態様において、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17および配列番号18のグルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17または配列番号18のカルボキシ末端に共有結合している付加アミノ酸を更に含む。更なる実施態様において、配列番号66、配列番号67、配列番号68および配列番号69から成る群から選ばれる配列を含み、配列番号66、配列番号67、配列番号68および配列番号69のカルボキシ末端に共有結合している付加アミノ酸を更に含むグルカゴンペプチドが提供される。一つの実施態様において、位置28のアミノ酸は、アスパラギンまたはリシンであり、位置29のアミノ酸はトレオニンである。
【0020】
幾つかの特定の実施態様において、グルカゴンアゴニストペプチドのC末端部分におけるアルファ−へリックス構造の安定化は、ラクタム架橋以外の共有分子内架橋の形成によって達成される。例えば、適切な共有結合方法(すなわち、共有分子内架橋を形成する方法)には、オレフィンメタセシス、ランチオニンに基づいた環化、ジスルフィド架橋または改質硫黄含有架橋形成、α,ω−ジアミノアルカン鎖の使用、金属原子架橋の形成、および、アルファ−へリックスの安定化のために使用されるその他のペプチド環化の方法、のいずれかの一つ以上が含まれる。
【0021】
GLP−1受容体に対する増強された活性はまた、所望の活性を保持する位置への1個以上のα,α−二置換アミノ酸の導入を介して、グルカゴンペプチドのC末端部分(アミノ酸12〜29周辺)のアルファ−へリックス構造を安定化することによっても達成される。幾つかの態様において、アルファ−へリックスの安定化は、塩架橋または共有結合のような分子内架橋を意図的に導入することなく、この方法により達成される。そのようなペプチドは、本明細書において、分子内架橋を欠いているペプチドとして考慮することができる。特定の態様において、アルファ−へリックスの安定化は、共有分子内架橋、例えばラクタム架橋、ジスルフィド架橋を導入することなく、1個以上のα,α−二置換アミノ酸を導入することにより達成される。そのようなペプチドは、本明細書において、共有分子内架橋を欠いているペプチドであると考慮することができる。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドの位置16、17、18、19、20、21、24または29のうちの1、2、3、4つまたはそれ以上は、α,α−二置換アミノ酸で置換されている。例えば、アミノイソ酪酸(AIB)によるグルカゴンペプチドの位置16の置換は、塩架橋またはラクタムの不在下で、GLP−1活性を増強する。幾つかの実施態様において、位置16、20、21または24のうちの1、2、3つまたはそれ以上は、AIBで置換されている。
【0022】
分子内架橋(例えば、共有分子内架橋)を欠いているグルカゴン類縁体ペプチドのGLP−1およびグルカゴン受容体に対する増強された活性は、ペプチドの位置10のアミノ酸の側鎖へのアシルまたはアルキル基の付加により提供される。幾つかの態様において、アシルまたはアルキル基は、天然型のアミノ酸にはないものである。特定の態様において、アシルまたはアルキル基は、あらゆる天然型のアミノ酸に対して非天然である。幾つかの実施態様において、アシル基は脂肪アシル基、例えばC4〜C30脂肪アシル基である。例えば、本明細書において提供されるものは、位置16のAIBを含む共有分子内架橋を欠き、位置10のLys残基に共有結合しているC14、C16またはC18脂肪アシル基を欠いているグルカゴン類縁体ペプチドである。また提供されるものは、位置2および16のAIBを含む分子内架橋(例えば、共有分子内架橋)を欠き、位置10のLys残基に共有結合しているC14、C16またはC18脂肪アシル基を欠いているグルカゴン類縁体ペプチドである。そのような、分子内架橋(例えば、共有分子内架橋)を欠いているアシル化グルカゴン類縁体ペプチドを、本明細書に更に記載されているように、ペグ化することができる。
【0023】
分子内架橋(例えば、共有分子内架橋)を欠いているアシル化グルカゴン類縁体ペプチドのGLP−1活性およびグルカゴン活性における更なる増強は、アシルまたはアルキル基と位置10のアミノ酸の側鎖との間にスペーサーを組み込むことによって達成することができる。幾つかの実施態様によると、スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能スペーサーまたは疎水性二官能スペーサー)は、3〜10原子(例えば、6〜10原子)長である。ある特定の実施態様によると、スペーサーおよびアシルまたはアルキル基の全長は、14〜28個の原子、例えば、17〜28個、19〜26個の原子、19〜21個の原子である。分子内架橋(例えば、共有分子内架橋)を欠いているアシル化またはアルキル化ペプチドのGLP−1活性およびグルカゴン活性を増強する目的に適したスペーサーは、本明細書において更に記載される。
【0024】
例えば、本明細書において提供されるものは、アシル基またはアルキル基を含む、10個以下のアミノ酸修飾により配列番号1と異なる非天然グルカゴンペプチドであり、ここで、アシルまたはアルキル基はスペーサーに結合しており、スペーサーはグルカゴンペプチドの位置10のアミノ酸の側鎖に結合しており、前記グルカゴンペプチドが親水性部分、例えばPEGを欠いている場合、前記グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、約100%、約150%、約200%、約400%、約500%またはそれ以上)を示す。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドが親水性部分、例えばPEGを欠いている場合、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも0.5%(例えば、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%)を示す。幾つかの実施態様において、上記に記載されたグルカゴンペプチドは、上記に示されている活性のいずれかを示すことができ、且つ、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%以下を示すことができる。幾つかの実施態様において、上記に記載されたグルカゴンペプチドは、上記に示されている活性のいずれかを示すことができ、且つ、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%以下を示すことができる。
【0025】
GLP−1受容体に対する増強された活性は、また、位置20のアミノ酸修飾によってももたらされる。一つの実施態様において、位置20のグルタミンは、帯電しているか、または水素結合の能力を有し、且つ少なくとも5(また約4〜6)原子長である側鎖を有するような、別の親水性アミノ酸、例えばリシン、シトルリン、アルギニンまたはオルチニン、で置換されている。
【0026】
グルカゴン受容体活性を増加または減少し、且つGLP−1受容体活性を増加するような、上記に記載された修飾のいずれも、個別に適用することも、組み合わせて適用するこもができる。GLP−1受容体活性を増加する修飾の組み合わせは、単独で実施されるそのような修飾のいずれのものよりも高いGLP−1活性をもたらすことができる。例えば、本発明は、位置16、位置20およびC末端カルボン酸基に修飾を含むグルカゴン類縁体であって、更に位置16と20のアミノ酸の間に共有結合を有してもよい類縁体;位置16およびC末端カルボン酸基に修飾を含むグルカゴン類縁体;位置16および20に修飾を含むグルカゴン類縁体であって、更に位置16と20のアミノ酸の間に共有結合を有してもよい類縁体;ならびに位置20およびC末端カルボン酸基に修飾を含むグルカゴン類縁体であって、更に、位置12のアミノ酸はArgではないこと、または位置9のアミノ酸はGluではないこと、を条件としてもよい、グルカゴン類縁体を提供する。
【0027】
本明細書に記載される、位置1または2における他の修飾は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)切断に対する、該ペプチドの耐性を増強することができる。例えば、位置2のアミノ酸は、D−セリン、アラニン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、またはアミノイソブチル酸によって置換されてもよい。それとは別に、またはそれに加えてさらに、位置1のアミノ酸は、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、ホモ−ヒスチジン、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、またはアルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸(DMIA)によって置換されてもよい。
【0028】
位置2における複数の修飾(例えば、位置2におけるAIB)、および、いくつかの場合、位置1における複数の修飾は、グルカゴン活性を、時には著明に抑えることが観察された。驚くべきことに、グルカゴン活性におけるこの低下は、位置「i」と「i+4」位のアミノ酸、例えば、位置12と位置16、位置16と位置20、または位置20と位置24のアミノ酸同士の共有結合によって、回復することが可能である。幾つかの実施態様において、この共有結合は、位置16のグルタミン酸と位置20のリシンとの間のラクタム架橋である。幾つかの実施態様において、この共有結合は、ラクタム架橋以外の分子内架橋である。例えば、適切な共有結合方法には、オレフィンメタセシス、ランチオニンに基づいた環化、ジスルフィド架橋または改質硫黄含有架橋形成、α,ω−ジアミノアルカン鎖の使用、金属原子架橋の形成、およびペプチド環化の他の方法のいずれか、の一つ以上が含まれる。
【0029】
大型の芳香族アミノ酸(例えば、Tyr)による位置1のHisの非保存的置換を含有する、GLP−活性を有するグルカゴンペプチドは、アルファ−へリックスが、分子内架橋を介して、例えば、位置「i」と「i+4」、例えば12と16、16と20または20と24のアミノ酸の間の共有結合を介して安定化される場合、GLP−1活性を保持することができる。幾つかの実施態様において、この共有結合は、位置16のグルタミン酸と位置20のリシンとの間のラクタム架橋である。幾つかの実施態様において、この共有結合は、ラクタム架橋以外の分子内架橋である。例えば、適切な共有結合方法には、オレフィンメタセシス、ランチオニンに基づいた環化、ジスルフィド架橋または改質硫黄含有架橋形成、α,ω−ジアミノアルカン鎖の使用、金属原子架橋の形成、およびペプチド環化の他の方法、のいずれかの一つ以上が含まれる。
【0030】
なお更なる例示的な実施態様において、前述の化合物のいずれかについて、安定性を向上させるために、配列番号1の位置15のアミノ酸を修飾して、特に酸性またはアルカリ性の緩衝液におけるペプチドの経時的な分解を低減する更なる修飾を加えることができる。
【0031】
別の実施態様において、本明細書に開示されているグルカゴンペプチドの溶解性は、ペプチドへの親水性部分の共有結合により増強される。一実施態様では、親水性成分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖であり、更に、位置16、17、21、24、29、C末端延長部内、またはC末端アミノ酸、の内の一つ以上において該ペプチドに連結されてもよい。ある実施態様では、その位置の天然アミノ酸は、親水性成分と架橋結合を形成するのに好適な側鎖を持つアミノ酸によって置換され、それによって、そのペプチドに対する親水性成分の連結がやり易くされる。別の実施態様では、親水基を含むように修飾されたアミノ酸が、ペプチドのC末端に加えられる。一実施態様では、ペプチドコアゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19から成る群から選ばれる配列を含み、前記グルカゴンペプチドの位置16、17、21、または24の内の一つにおけるアミノ酸残基の側鎖はさらに、約500から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する、ポリエチレングリコール鎖を含む。一実施態様では、このポリエチレングリコール鎖は、約500から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。別の実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000から約20,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。さらに別の実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約20,000から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。
【0032】
別の実施態様において、前記グルカゴン類縁体のいずれかの溶解性を、ペプチドのC末端部分に、好ましくは配列番号1のC末端から位置27までに、荷電アミノ酸を導入する、アミノ酸置換および/または付加によって改善することができる。更に場合により、1、2または3個の荷電アミノ酸を、C末端部分の範囲内、好ましくはC末端から位置27まで、に導入してもよい。一つの実施態様によると、位置28および/または29の天然アミノ酸は荷電アミノ酸で置換されている、ならびに/あるいは更なる実施態様において、1〜3個の荷電アミノ酸もペプチドのC末端に付加されている。例示的な実施態様において、1、2個または全ての荷電アミノ酸は、負に帯電している。更なる修飾、例えば保存的置換をグルカゴンペプチドに行うことができ、依然としてグルカゴン活性を保持することが可能である。一つの実施態様において、配列番号20のペプチドの類縁体であって、位置17〜26の1〜2個のアミノ酸置換により配列番号20と異なり、一つの実施態様において、位置20のアミノ酸置換により配列番号20のペプチドと異なる、類縁体が提供される。
【0033】
幾つかの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンペプチドは、1個以上のアミノ酸残基によるC末端部の切断によって修飾される。そのような修飾グルカゴンペプチドは、本明細書に示されているように、グルカゴン受容体およびGLP−1受容体に対して同様の活性および効力を保持する。この点において、グルカゴンペプチドは、場合により、本明細書に記載されている付加的修飾を有して、天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のアミノ酸1−27または1−28を含むことができる。
【0034】
一つの実施態様によると、本明細書に開示されているグルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのカルボキシ末端部への第2ペプチド、例えば配列番号26、配列番号27または配列番号28、の付加により修飾される。一つの実施態様において、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号66、配列番号67、配列番号68および配列番号69から成る群から選ばれるペプチド配列を有するグルカゴンペプチドは、ペプチド結合を介して第2ペプチドに共有結合しており、ここで第2ペプチドは、配列番号26、配列番号27および配列番号28から成る群から選ばれる配列を含む。更なる実施態様において、C末端延長部を含むグルカゴンペプチドにおいて、天然グルカゴンペプチドの位置29のトレオニンはグリシンで置換されている。位置29のトレオニンにグリシン置換を有し、配列番号26のカルボキシ末端延長部を含むグルカゴン類縁体は、配列番号26のカルボキシ末端延長部を含むように修飾された天然グルカゴンよりも、4倍大きいGLP−1受容体に対する効力がある。GLP−1受容体に対する効力を、位置18の天然アルギニンのアラニン置換により更に増強することができる。
【0035】
本明細書に開示されているグルカゴンペプチドのいずれかを、アシル基またはアルキル基、例えばC4〜C30アシルまたはアルキル基、を含むように修飾することができる。幾つかの態様において、アシル基またはアルキル基は、天然型のアミノ酸に対して非天然である。アシル化またはアルキル化は、循環中のグルカゴンペプチドの半減期を増加することができる。アシル化またはアルキル化は、有利には、グルカゴンおよび/またはGLP−1受容体に対する作用の開始を遅延する、および/または作用の持続時間を延長する、ならびに/あるいはDPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性を改善することができる。本明細書において示されているように、グルカゴンペプチドのグルカゴン受容体およびGLP−1受容体に対する活性は、アシル化の後、実質的に増強されないとしても少なくとも維持される。更に、アシル化グルカゴンペプチドの効力は、非アシル化型のグルカゴンコペプチドと比べ、たとえ実質的に増強されないとしても、少なくともそれに匹敵した。グルカゴンペプチドを、親水性部分が結合しているのと同じアミノ酸の位置または異なるアミノ酸の位置で、アシル化またはアルキル化することができる。幾つかの実施態様において、本発明は、位置10のアミノ酸に共有結合しているアシル基またはアルキル基を含むように修飾されている、グルカゴンペプチドを提供する。グルカゴンペプチドは、位置10のアミノ酸とアシル基またはアルキル基との間にスペーサーを更に含むことができる。幾つかの実施態様において、アシル基は、脂肪酸若しくは胆汁酸またはこれらの塩であり、例えばC40〜C30脂肪酸、C8〜C24脂肪酸、コール酸、C4〜C30アルキル、C8〜C24アルキル、または胆汁酸のステロイド部分を含むアルキルである。スペーサーは、アシルまたはアルキル基を結合するのに適した反応性基を有する、任意の部分である。例示的な実施態様において、スペーサーは、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能基、例えばアミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレート、または疎水性二官能スペーサーを含む。幾つかの実施態様において、スペーサーは、Trp、Glu、Asp、Cys、および、NH(CHCHO)n(CH)mCOOHを含むスペーサーからなる群より選択され、ここでmは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である。そのようなアシル化またはアルキル化グルカゴンペプチドは、親水性部分を含んでもよく、これは場合によりポリエチレングリコールであってもよい。前述のグルカゴンペプチドのいずれも、2つのアシル基若しくは2つのアルキル基、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
従って、本明細書に開示されるように、溶解性および/または安定性の向上を示す、高活力グルカゴン類縁体またはグルカゴンコアゴニスト類縁体が提供される。例示の高活力グルカゴン類縁体は、グルカゴン受容体に対し、天然グルカゴンの活性の少なくとも約200%を示し、更に、pH6と8の間、pH6と9の間、またはpH7と8の間(例えば、pH7)において、少なくとも1mg/mLの濃度で溶解性であってもよく、また、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持(例えば、元のペプチドの5%以下しか分解または分断されない)してもよい。別の例として、例示的なグルカゴンコアゴニスト類縁体は、グルカゴンとDLP−1の両方の受容体に対して(約1:3〜3:1または約1:2〜2:1の比で)約40%を超える、または約60%を超える活性を示し、場合により、6〜8または6〜9または7〜9のpH(例えばpH7)で少なくとも1mg/mLの濃度で溶解性であり、更に、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。別の例示的なグルカゴンコアゴニスト類縁体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約175%以上およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約20%以下を示し、更に、6〜8または6〜9または7〜9のpH(例えばpH7)で少なくとも1mg/mLの濃度で溶解性であってもよく、、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。更に別の例示的なグルカゴンコアゴニスト類縁体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも約20%を示し、更に、6〜8または6〜9または7〜9のpH(例えばpH7)で少なくとも1mg/mLの濃度で溶解性であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。更に別の例示的なグルカゴンコアゴニスト類縁体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下であるが0.1%、0.5%または1%超およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%若しくは100%またはそれ以上を示し、更に、6〜8または6〜9または7〜9のpH(例えばpH7)で少なくとも1mg/mLの濃度で溶解性であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約100%、1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%以下を示す。幾つかの実施態様において、そのようなグルカゴン類縁体は、天然グルカゴンの対応する位置に少なくとも22、23、24、25、26、27または28個の天然型のアミノ酸を保持する(例えば、天然型のグルカゴンに対して1〜7、1〜5または1〜3個の修飾を有する)。
【0037】
以下のペプチドのいずれも本発明の化合物から排除されるが、所望のGLP−1またはコアゴニスト活性を示す本明細書に記載される一つ以上の更なる修飾を含むような以下のペプチド、並びに、そのような化合物を使用する医薬組成物、キット、および治療方法はいずれも、本発明に含まれうる:〔Arg12〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;〔Arg12、Lys20〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;〔Arg12、Lys24〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;〔Arg12、Lys29〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;〔Glu9〕置換を有する配列番号1のペプチド;〔Glu9、Glu16、Lys29〕置換およびC末端アミドを有する、His1を欠いている配列番号1のペプチド;〔Glu9、Glu16、Lys29〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;ラクタム架橋を介して結合している〔Lys13、Glu17〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;ラクタム架橋を介して結合している〔Lys17,Glu21〕置換およびC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;ラクタム架橋を介して結合している〔Glu20,Lys24〕置換を有する、His1を欠いている配列番号1のペプチド。
【0038】
一つの実施態様によると、好ましくは滅菌され、好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の純度レベルを有する、本明細書に開示されている任意の新規グルカゴンペプチドと、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。そのような組成物は、少なくともAの濃度でグルカゴンペプチドを含有することができ、ここでAは、0.001mg/ml、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、またはそれ以上である。他の実施態様において、そのような組成物は、B以下の濃度でグルカゴンペプチドを含有することができ、ここでBは、30mg/ml、25mg/ml、24mg/ml、23mg/ml、22mg/ml、21mg/ml、20mg/ml、19mg/ml、18mg/ml、17mg/ml、16mg/ml、15mg/ml、14mg/ml、13mg/ml、12mg/ml、11mg/ml、10mg/ml、9mg/ml、8mg/ml、7mg/ml、6mg/ml、5mg/ml、4mg/ml、3mg/ml、2mg/ml、1mg/ml、または0.1mg/mlである。幾つかの実施態様において、組成物は、A〜Bmg/mlの濃度範囲、例えば0.001〜30.0mg/mlの濃度範囲でグルカゴンペプチドを含有することができる。一つの実施態様において、医薬組成物は、滅菌されていて、更に多様な容器に保存されていてもよい、水性液剤を含む。そのような液剤を一つの実施態様に従って使用して、注射用の予備処方液剤を調製することができる。別の実施態様において、医薬組成物は凍結乾燥粉末剤を含む。医薬組成物を、患者に組成物を投与する使い捨て装置を含むキットの一部として更に包装することができる。装置は、シリンジおよび針または充填済シリンジを含むことができる。容器またはキ
ットにラベルを付けて周囲温度または冷蔵温度で保存することができる。
【0039】
一つの実施態様によると、本発明のグルカゴンペプチドの予備処方水性組成物を使用して、グルコースレベルを急速に増加する、または低血糖症を治療する方法が提供される。この方法は、本開示の新規修飾グルカゴンペプチドを含む水性液剤の有効量を投与する工程を含む。一実施態様では、グルカゴンペプチドは、位置21または24においてPEG化され、このPEG鎖は、約500から約5,000ダルトンの分子量を持つ。一実施態様では、このグルカゴン修飾体溶液は、該組成物を、低血糖症に罹っている患者に投与するのに使用されるデバイスの中にあらかじめ包装される。
【0040】
一実施態様によれば、インスリン依存性患者において血中グルコースレベルを調節する改良された方法が提供される。本方法は、糖尿病のコントロールのために治療的に有効な量のインスリンを投与する工程、および、低血糖症の予防のために治療的に有効な量の、本開示の新規グルカゴンペプチド修飾体を投与する工程を含み、これらの投与工程は、互いに12時間以内に実行される。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドおよびインスリンは、単一組成物として同時投与され、ここでグルカゴンペプチドは、約5,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するPEG鎖でペグ化されている。
【0041】
別の実施態様において、腸管の一過性麻痺を誘導する方法が提供される。この方法は、本明細書に開示されている一つ以上のグルカゴンペプチドを患者に投与する工程を含む。
【0042】
代謝症候群X、インスリン抵抗症候群またはReaven症候群としても知られている、メタボリックシンドロームは、5千万人を超えるアメリカ人が罹患している疾患である。メタボリックシンドロームは、典型的には、以下の危険因子の少なくとも3つ以上の集団により特徴付けられる:(1)腹部肥満(腹部およびその周りの過剰脂肪組織)、(2)アテローム性異脂肪血症(動脈の壁にプラークの蓄積を増強する、高トリグリセリド、低HDLコレステロールおよび高LDLコレステロールを含む血中脂肪障害)、(3)血圧の上昇、(4)インスリン抵抗性またはグルコース不耐性、(5)血栓形成促進状態(例えば、高濃度の血中フィブリノゲンまたはプラスミノゲン活性化剤阻害剤−1)、ならびに(6)炎症促進性状態(例えば、血中C反応性タンパク質の上昇)。他の危険因子には、加齢、ホルモンの不均衡および遺伝的素因が含まれうる。
【0043】
メタボリックシンドロームは、冠動脈性心疾患の危険性、ならびに、卒中や、アテローム性動脈硬化症(ASCVD)と呼ばれる末梢血管疾患のような、血管プラークの蓄積に関連する他の障害の危険性の増加に関連する。メタボリックシンドロームの患者は、インスリン抵抗性状態の初期段階から完全なII型糖尿病まで進行し、ASCVDの危険性を更に増加する。特定の理論に束縛されることを意図せずに、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームおよび血管疾患の間の関係は、インスリン刺激血管拡張障害、増強された酸化ストレスに起因するNO利用能のインスリン抵抗性関連の低減、およびアジポネクチンのような脂肪細胞誘導ホルモンの異常を含む、一つ以上の同時発病機構を伴いうる(Lteif and Mather,Can.J.Cardiol.20(suppl.B):66B-76B(2004))。
【0044】
2001年の全米コレステロール教育プログラムの成人治療パネル(ATPIII)によると、同じ個人において以下のいずれか3つの特徴がメタボリックシンドロームの基準を満たす:(a)腹部肥満(男性では102cmを超える、女性では88cmを超える胴回り);(b)血清トリグリセリド(150mg/dl以上);(c)HDLコレステロール(男性では40mg/dl以下、女性では50mg/dl以下);(d)血圧(130/85以上);ならびに(e)空腹時血糖(110mg/dl以上)。世界保険機構(WHO)によると、以下の少なくともいずれか2つの基準を有する高インスリンレベル(空腹時血糖の上昇または食後血糖のみの上昇)を有する個人は、メタボリックシンドロームの基準を満たす:(a)腹部肥満(胴回りと臀部の比が0.9超、肥満指数が少なくとも30kg/mまたは胴回りの寸法が37インチ超);(b)コレステロールパネルが少なくとも150mg/dlのトリグリセリドレベルまたは35mg/dlより低いHDLコレステロールを示す;(c)血圧が140/90以上または高血圧の治療中。(Mathur,Ruchi,"Metabolic Syndrome," ed. Shiel,Jr., William C., MedicineNet.com, May 11, 2009)。
【0045】
本明細書における目的のために、ある個人が、2001年の全米コレステロール教育プログラムの成人治療パネル(ATPIII)またはWHOにより設定された基準のいずれかまたは両方の基準を満たす場合、その個人は、メタボリックシンドロームに罹患していると考慮される。
【0046】
特定の理論に束縛されることなく、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、メタボリックシンドロームの治療に有効である。したがって、本発明は、被験者において、メタボリックシンドロームを予防若しくは治療する、またはその危険因子のうちの1、2、3つ若しくはそれ以上を低減する方法であって、メタボリックシンドロームまたはその危険因子を予防または治療するのに有効な量の本明細書に記載されるグルカゴンペプチドを、被験者に投与することを含む方法を提供する。
【0047】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、単純な脂肪肝(脂肪変性)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、硬変(肝臓の不可逆性進行瘢痕化)までの範囲の広範囲の肝疾患を意味する。NAFLDの全ての病期は、共通して、肝臓の細胞(肝細胞)における脂肪の蓄積(脂肪浸潤)を有する。単純な脂肪肝は、炎症または瘢痕化を有さない肝臓の細胞に特定の種類の脂肪、トリグリセリドが異常蓄積することである。NASHでは、脂肪蓄積は、肝臓の多様な程度の炎症(肝炎)および瘢痕化(線維症)に関連する。炎症性細胞は肝臓細胞を破壊することができる(肝細胞壊死)。用語「脂肪性肝炎」および「脂肪壊死」において、脂肪(steato)は、脂肪浸潤を意味し、肝炎は、肝臓における炎症を意味し、壊死は、破壊された肝臓細胞を意味する。NASHは、最終的に、肝臓の瘢痕化(線維症)、次に不可逆性で進行型の瘢痕化(硬変)をもたらす可能性がある。NASHにより引き起こされる硬変は、NAFLDの範囲において最終的で最も重篤な病期である。(Mendler, Michel, "Fatty Liver: Nonalcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD) and Nonalcoholic Steatohepatitis (NASH)," ed. Schoenfield, Leslie J., Medicine Net.com, August 29,2005)。
【0048】
アルコール性肝疾患またはアルコール誘導肝疾患は、アルコールの過剰消費に関連するまたはより引き起こされる、3つの病理的に異なる肝臓疾患:脂肪肝(脂肪変性)、慢性または急性肝炎および硬変、を包含する。アルコール性肝炎は、実験室試験における異常が疾患の唯一の指標である中程度の肝炎から、横断(ビリルビンの保持により引き起こされる黄色皮膚)、肝性脳症(肝不全により引き起こされる神経性機能不全)、腹水症(腹部における流体の蓄積)、出血性食道静脈瘤(食道の静脈瘤)、血液凝固異常および昏睡のような合併症を伴う重篤な肝機能不全までの範囲でありうる。組織学的には、アルコール性肝炎は、肝細胞の気球状変性、好中球による、時にはマロリ小体による炎症(細胞中間体フィラメントタンパク質の異常蓄積)による特徴的な外観を有する。硬変は、線維症と組み合わされた、肝臓に広範囲に分布した小結節により解剖学的に特徴付けられる。(Worman, Howard J., "Alcoholic Liver Disease", Columbia University Medical Center website)。
【0049】
特定の理論に束縛されることなく、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、例えば、脂肪変性、脂肪性肝炎、肝炎、肝臓炎症、NASH、硬変またはこれらの合併症を含む、アルコール性肝疾患、NAFLD、またはこれらの任意の病期の治療に有用である。したがって、本発明は、被験者においてアルコール性肝疾患、NAFLDまたはこれらの任意の病期を予防または治療する方法であって、アルコール性肝疾患、NAFLDまたはこれらの任意の病期を予防または治療するのに有効な量の本明細書に記載されるグルカゴンペプチドを被験者に投与することを含む方法を提供する。そのような治療方法には、以下のうちの1、2、3つまたはそれ以上の低減が含まれる:肝臓の脂肪含有量、硬変の発症または進行、肝細胞癌の発症、炎症の兆候、例えば異常な肝酵素レベル(例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼASTおよび/またはアラニンアミノトランスフェラーゼALTまたはLDH)、血清フェリチンの上昇、血清ビリルブビンの上昇ならびに/あるいは線維症の兆候、例えばTGF−ベータレベルの上昇。好ましい実施態様において、グルカゴンペプチドを使用して、単純な脂肪肝(脂肪変性)を超えて進行し、炎症または肝炎の兆候を示す患者を治療する。そのような方法は、例えば、ASTおよび/またはALTレベルの低減をもたらす場合がある。
【0050】
更に別の実施態様において、本発明のグルカゴンペプチドを含む水性液剤の有効量を投与することを含む、高血糖症を治療する方法、または体重増加を低減する若しくは減量を誘導する方法が提供される。一つの実施態様において、いずれかの方法は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19から成る群から選ばれるグルカゴンアゴニストを含む組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様において、本方法は、グルカゴンアゴニストを含む組成物の有効量を投与することを含み、ここで、グルカゴンアゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号66、配列番号67、配列番号68および配列番号69から成る群から選ばれるグルカゴンペプチドを含み、グルカゴンペプチドのアミノ酸29は、ペプチド結合を介して第2ペプチドに共有結合しており、前記第2ペプチドは、配列番号26、配列番号27または配列番号28の配列を含む。更なる実施態様において、従来の用量または低減された用量のインスリンと本発明のグルカゴンペプチドを同時投与することを伴う糖尿病の治療方法が提供される。インスリンの同時投与を伴うことなく、本発明のグルカゴンペプチドにより糖尿病を治療する方法も提供される。
【0051】
更に別の態様において、本発明は、グルカゴン受容体およびGLP−1受容体の両方とも活性化するグルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子(その薬学的に許容される塩を含む)の投与を伴う、高血糖症を治療する新規方法および食欲を減少するまたは減量を促進する新規方法を提供する。グルカゴンとDLP−1の両方の受容体のアゴニズム、すなわち活性化は、高血糖症の治療においてGLP−1アゴニズム単独と比較して予想外の改善をもたらす。したがって、グルカゴンアゴニズムの付加は、予想外の付加的若しくは相乗的効果または他の予想外の臨床的利益(複数または単数)をもたらす。従来用量のインスリンか低減用量のインスリンを伴う投与、またはインスリンなしの投与が、そのような方法に考慮される。グルカゴン受容体のアゴニズムも、減量の促進または体重増加の予防においてGLP−1単独と比較して予想外の利益を有する。
【0052】
例示的なグルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子には、本発明のグルカゴンペプチド、GLP−1とグルカゴンの両方の受容体を活性化するGLP−1類縁体、グルカゴンとGLP−1の融合体またはグルカゴン類縁体とGLP−1類縁体の融合体、あるいはこれらの化学的に修飾された誘導体が含まれる。あるいは、グルカゴン受容体を活性化する化合物を、GLP−1受容体を活性化する化合物(例えば、GLP−1類縁体、エキセンディン−4類縁体またはこれらの誘導体)と同時投与することができる。本発明は、グルカゴンアゴニスト類縁体とGLP−1アゴニスト類縁体の同時投与も考慮する。
【0053】
そのような、高血糖症を治療する、および/または食欲を減少する若しくは減量を促進する方法は、位置12(例えば、Arg12)の修飾を有するグルカゴン類縁体であって、更に位置16および/または20の修飾と組み合わせてもよい類縁体の投与を含む。本発明の方法は、グルカゴン類縁体であって、アミノ酸12と29の領域内の、3個の介在アミノ酸により隔てられている2つのアミノ酸、例えば、位置12と16、位置13と17(例えばLys13とGlu17若しくはGlu13とLys17)、位置16と20、位置17と21(例えば、Lys17とGlu21若しくはGlu17とLys21)、位置20と24、または位置24と28(更に位置9のアミノ酸はGluではないことを条件としてもよい)、の2つのアミノ酸の側鎖同士の間に分子内架橋を含み、更にC末端アミドまたはエステルを含んでもよい、グルカゴン類縁体を投与することも含む。
【0054】
一つの実施態様によると、そのようなグルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子から排除されるものは、そのような方法に有用であることが知られている従来技術の任意のグルカゴン類縁体またはGLP−1類縁体である。別の実施態様において、糖尿病の治療においてGLP−1アゴニストとグルカゴンアンタゴニストの両方として作用する米国特許第6,864,069号に記載されるペプチドも、グルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子としては排除される。別の実施態様において、排除されるのは、Unson et al., J.Biol. Chem., 264: 789-794 (1989)、Ahn et al., J.Med.Chem., 44: 3109-3116 (2001)およびSapse et al., Mol. Med., 8(5): 251-262 (2002)に記載されているアゴニストのような、糖尿病を治療するグルカゴンアンタゴニストの使用である。更なる実施態様において、オキシントモジュリン(配列番号27)の8個のC末端アミノ酸を含有するオキシントモジュリンまたはグルカゴン類縁体も、グルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子としては排除される。
【0055】
高血糖症を治療するそのような方法は、インスリン依存性またはインスリン非依存性のいずれかの糖尿病、I型真性糖尿病、II型真性糖尿病または妊娠糖尿病を含む、多様な種類の高血糖症に有用であること、ならびに腎障害、網膜症および血管疾患を含む、糖尿病の合併症を低減することに有用であること、が予想される。そのような食欲を減退するまたは減量を促進する方法は、体重の低減、体重増加の防止または薬剤誘導肥満を含む多様な原因の肥満の治療、ならびに血管疾患(冠動脈疾患、卒中、末梢血管疾患、虚血再灌流など)、高血圧、II型糖尿病の発症、高脂血症および筋骨格系疾患を含む、肥満に関連する合併症の低減に有用であることが予想される。
【0056】
本明細書に記載されている全ての治療方法、医薬組成物、キットおよび他の同様の実施態様は、グルカゴン類縁体という用語の使用にはその薬学的に許容される塩またはエステルが全て含まれることを考慮する。
【0057】
(関連出願の相互参照)
本出願は、以下に対する優先権を請求する:米国仮出願第61/073,269号(2008年6月17日出願)、米国仮出願第61/078,168号(2008年7月3日出願)、米国仮出願第61/090,412号(2008年8月20日出願)、および米国仮出願第61/177,476号(2009年5月12日出願)。それぞれの出願の開示は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、37℃でそれぞれ24、48、72、96、144および166時間インキュベートしたグルカゴンCys21−マレイミドPEGκの安定性を表す棒グラフである。
図2図2は、37℃でそれぞれ24、72または144時間インキュベートしたグルカゴンCys21マレイミドPEGκのpH5でのHPLC分析から生成したデータを表す。
図3図3は、グルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表す。さらに具体的には、図3Aは、グルカゴン類縁体のE16,K20●、E15、E16▲、E16,K20▼、E15,E16(左向き黒三角)、E16(右向き黒三角)、およびGluc−NH■によるグルカゴン受容体の誘導を比較する。
図4図4A図4Bは、グルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表す。さらに具体的には、図4Aは、天然グルカゴン■に対して、グルカゴン類縁体のGluc−NH●、E16 Gluc−NH▲、E3,E16 Gluc−NH▼、Orn3,E16 Gluc−NH(左向き黒三角)およびNle3,E16 Gluc−NH(右向き黒三角)によるグルカゴン受容体の誘導を比較し、一方、図4Bは、天然GLP−1■に対して、グルカゴン類縁体のGluc−NH●、E16 Gluc−NH▲、E3,E16 Gluc−NH▼、Orn3,E16 Gluc−NH(左向き黒三角)およびNle3,E16 Gluc−NH(右向き黒三角)によるGLP−1受容体の誘導を比較する。
図5図5A図5Bは、グルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表す。さらに具体的には、図5Aは、グルカゴン−NH(■)に対して、グルカゴン類縁体(E16,K20 Gluc−NH●(5nM、保存液)、E15,E16 Gluc−NH▲(5nM、保存液)、E16,K20 Gluc−NH▼(10nM、保存液)、E15,E16 Gluc−NH(左向き黒三角)(10nM、保存液)およびE16 Gluc−NH(右向き黒三角))によるグルカゴン受容体の誘導を比較し、一方、図5Bは、グルカゴン−NH(□)に対して、グルカゴン類縁体の(E16,K20 Gluc−NH●、E15,E16 Gluc−NH▲およびE16 Gluc−NH(右向き黒三角))によるGLP−1受容体活性の誘導を比較する。
図6図6A図6Bは、グルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表す。さらに具体的には、図6Aは、グルカゴン(■)に対して、グルカゴン類縁体(Gluc−NH●、K12E16−NHラクタム▲、E16K20−NHラクタム▼、K20E24−NHラクタム(左向き黒三角)およびE24K28−NHラクタム(右向き黒三角))によるグルカゴン受容体の誘導を比較し、一方、図6Bは、GLP−1(■)に対して、グルカゴン類縁体(Gluc−NH●、K12E16−NHラクタム▲、E16K20−NHラクタム▼、K20E24−NHラクタム(左向き黒三角)およびE24K28−NHラクタム(右向き黒三角))によるGLP−1受容体の誘導を比較する。
図7図7A図7Bは、グルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表す。さらに具体的には、図7Aは、グルカゴン(■)に対して、グルカゴン類縁体(Gluc−NH●、E16 Gluc−NH▲、K12,E16 Gluc−NHラクタム▼、E16,K20 Gluc−NH(左向き黒三角)およびE16,K20 Gluc−NHラクタム(右向き黒三角))によるグルカゴン受容体の誘導を比較し、一方、図7Bは、GLP−1(■)に対して、グルカゴン類縁体(Gluc−NH●、E16 Gluc−NH▲、K12,E16 Gluc−NHラクタム▼、E16、K20 Gluc−NH(左向き黒三角)およびE16,K20 Gluc−NHラクタム(右向き黒三角))によるGLP−1受容体の誘導を比較する。
図8図8A〜8Fは、グルカゴン受容体(図8A、8Cおよび8E)またはGLP−1受容体(図8B、8Cおよび8F)に対するグルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表し、ここで、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。
図9図9Aおよび9Bは、GLP(17−26)グルカゴン類縁体による受容体媒介cAMP誘導を示すデータを表し、ここで天然グルカゴン(配列番号1)の位置17〜26のアミノ酸は、天然GLP−1(配列番号50)の位置17〜26のアミノ酸で置換されている。さらに具体的には、図9Aは、表示GLP(17−26)グルカゴン類縁体によるグルカゴン受容体の誘導を比較し、図9Bは、表示GLP(17−26)グルカゴン類縁体によるGLP−1受容体の誘導を比較する。
図10図10A〜Eは、それぞれの化合物の表示量を皮下に注射したマウスに減量を誘導する、本発明のグルカゴンペプチドの能力を示すインビボデータを提供するグラフである。図10A〜10Eに提示したグルカゴンペプチドの配列識別子は以下である。図10Aでは、キメラ2 Aib2 C24 40K PEG(配列番号486)、Aib2 C24 キメラ2 40Kラクタム(配列番号504)およびAib2 E16 K20 Gluc−NH Lac 4OK(配列番号528)であり;図10Bでは、Aib2 C24 Chi2 ラクタム40K(配列番号504)、DMIAl C24 Chi2 ラクタム40K(配列番号505)、キメラ2 DMIA1 C24 40K(配列番号519)およびキメラ2 Aib2 C24 40K(配列番号486)(ここで文字列の末端の数字は、使用投与量である70または350nmol/kgを示す)であり;図10Cでは、AIB2 ラクタム有 C24 40K(配列番号504)、AIB2 E16 K20 ラクタム有 C24 40K(配列番号528)、DMIA1 E16 K20 ラクタム有 C24 40K(配列番号510)、DMIA1 E16 K20 ラクタム有 CEX 40K(配列番号513)およびDMIA1 E16 K20 ラクタム無 CEX 40K(配列番号529)であり;図10Dでは、AIB2 ラクタム有 C24 40K(配列番号504)、AIB2 E16 K20 ラクタム有 C24 40K(配列番号528)、DMIA1 E16 K20 ラクタム有 C24 40K(配列番号510)およびDMIA1 E16 K20 ラクタム有 Cex C24 40K(配列番号513)(ここで文字列の末端の数字は、使用投与量である14または70nmol/kg/週を示す)であり;図10Eでは、 AIB2 ラクタム無 C24 40K(配列番号486)、Chi2 AIB2 C24 CEX 40K(配列番号533)、AIB2 E16 A18 K20 C24 40K(配列番号492)、AIB2 ラクタム無 CEX G29 C40 40K(配列番号488)、AIB2 ラクタム無 CEX C40 C41−2(配列番号532)、AIB2 ラクタム無 CEX C24 C40−2(配列番号531)およびAIB2 ラクタム無 C24 60K(配列番号498)であり、ここで表示40Kまたは60Kは、グルカゴンペプチドに結合するポリエチレン鎖の分子量を表す。
図11図11は、アシル化グルカゴンペプチドが、該化合物の表示量を皮下注射したマウスにおいて、減量を誘導する能力を示すインビボデータを提供するグラフである。
図12図12は、アシル化グルカゴンペプチドが、該化合物の表示量を皮下注射したマウスにおいて、食物摂取を低減する能力を示すインビボデータを提供するグラフである。
図13図13は、アシル化グルカゴンペプチドが、該化合物の表示量を皮下注射したマウスにおいて、血中グルコースレベルを低減する能力を示すインビボデータを提供するグラフである。
図14図14Aおよび14Bは、グルカゴン類縁体によるグルカゴンおよびGLP−1受容体媒介cAMP誘導をそれぞれ示すデータを表す。
図15図15は、2nmol/kgのビヒクルのみ(三角)、キメラ−2 AIB,K10−C8 Cys24−40kD PEG(中空四角)またはキメラ−2 AIB,K10−C16 Cys24−40kD PEG(逆三角)により処置され、該ペプチドの投与の15分後にグルコース投与を受けたDIOマウスにおける、時間(分)の関数としての血中グルコース(mg/dL)のグラフを表す。
図16図16は、20nmol/kgのビヒクルのみ(三角)、キメラ−2 AIB,K10−C8 Cys24−40kD PEG(中空四角)またはキメラ−2 AIB,K10−C16 Cys24−40kD PEG(逆三角)により処置され、該ペプチドの投与の15分後にグルコース投与を受けたDIOマウスにおける、時間(分)の関数としての血中グルコース(mg/dL)のグラフを表す。
図17図17は、70nmol/kgのビヒクルのみ(逆三角)、キメラ−2 AIB,K10−C8 Cys24−40kD PEG(中空三角)、キメラ−2 AIB,K10−C16 Cys24−40kD PEG(菱形)またはキメラ−2 AIB,Cys24−40kD PEG(中空四角)により処置され、該ペプチドの投与の15分後にグルコース投与を受けたDIOマウスにおける、時間(分)の関数としての血中グルコース(mg/dL)のグラフを表す。
図18図18は、70nmol/kgのビヒクルのみ(逆三角)、キメラ−2 AIB,K10−C8 Cys24−40kD PEG(中空三角)、キメラ−2 AIB,K10−C16 Cys24−40kD PEG(菱形)またはキメラ−2 AIB,Cys24−40kD PEG(中空四角)により処置され、該ペプチドの投与の24時間後にグルコース投与を受けたDIOマウスにおける、時間(分)の関数としての血中グルコース(mg/dL)のグラフを表す。
図19図19は、15または70nmol/kgのビヒクルのみ(菱形と実線);キメラ−2 AIB,Cys24−40kD PEG(15nmol/kg、中空菱形と点線;70nmol/kg、中空三角と実線);キメラ−2 AIB,Kl0−C8 Cys24−40kD PEG(15nmol/kg、中実三角と点線;70nmol/kg、中実三角と実線);キメラ−2 AIB,Kl0−C16 Cys24−40kD PEG(15nmol/kg、逆三角と点線;70nmol/kg、逆三角と実線)により処置されたDIOマウスにおける、時間(日)の関数のとしての体重の変化(%)のグラフを表す。
図20図20は、10、20、40若しくは80nmol/kgのペプチドA K10−C14または20nmol/kgのキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDまたはビヒクル対照を週に一度ずつ注射して14日後のマウスにおける、体重の総変化(%)のグラフを表す。
図21図21は、グルコース注射の24時間前に10、20、40若しくは80nmol/kgのペプチドA K10−C14または20nmol/kgのキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDまたはビヒクル対照を注射したマウスの、グルコース注射に対する反応した血中グルコースレベル(mg/dL)のグラフを表す。
図22図22は、ビヒクル対照、Liraglutide、(C16)グルカゴンアミド、γE−γE−C16グルカゴンアミド、AA−C16グルカゴンアミドまたはβAβA−C16グルカゴンアミドを表示された用量で注射されたマウスの、体重の総変化(%)のグラフを表す。
図23図23は、ビヒクル対照、Liraglutide、(C16)グルカゴンアミド、γE−γE−C16グルカゴンアミド、AA−C16グルカゴンアミドまたはβAβA−C16グルカゴンアミドを表示された用量で注射されたマウスの、研究の7日目に測定した脂肪量(g)のグラフを表す。
図24図24は、ビヒクル対照、Liraglutide、(C16)グルカゴンアミド、γE−γE−C16グルカゴンアミド、AA−C16グルカゴンアミドまたはβAβA−C16グルカゴンアミドを表示された用量で注射されたマウスの、血中グルコースの変化(mg/dL;7日目のレベルから0日目のレベルを引く)のグラフを表す。
図25図25は、10%TFE添加また未添加の10mMのリン酸(pH5.9)中のペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEDについて、平均残基楕円率を波長(nm)の関数として示したグラフを表す。
図26図26は、グルカゴン受容体(左)またはGLP−1受容体(右)のいずれかに結合しているグルカゴン、GLP−1、ペプチドX、ペプチドX−PEG、ペプチドYまたはペプチドY−PEGに反応して産生されるcAMPの%を、ペプチド濃度(nM)の関数として示したグラフを表す。
図27図27は、ビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGにより1週間処置した食餌誘発肥満マウスにおける、A)体重、B)脂肪量、C)食物摂取およびD)空腹時血糖レベル、に対するインビボ効果を示すグラフの一群を表す。さらに具体的には、図27Aは、時間(日)の関数としての体重(BW)の変化%のグラフを表し、図27Bは、7日目に測定した脂肪量の変化%(初期脂肪量測定値と比較した)を表し、図27Cは、7日目に測定した、研究の全体にわたる総食物摂取量(g)のグラフを表し、図27Dは、7日目に測定した血中グルコースの変化(mg/dL)(初期血中グルコースレベルと比較した)のグラフを表す。
図28図28は、多様な用量(nmol/kg/週)でペプチドX−PEG(図28Aおよび28B)またはペプチドY−PEG(図28Cおよび28D)のいずれかにより処置されたマウスにおける、体重(図28Aおよび28C)ならびに空腹時血糖レベル(図28Bおよび28D)に対するインビボ効果を示すグラフの一群を表す。
図29図29は、ビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGにより1か月処置された食餌誘発肥満マウスにおける、A)体重(BW)、B)体脂肪量、C)総食物摂取量、D)エネルギー消費量、E)呼吸商、F)自発運動活性、G)空腹時血糖、H)グルコース耐性、およびI)総血漿インスリンレベル、に対するインビボ効果を示すグラフの一群を表す。
図30図30は、ビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGにより1か月処置された食餌誘発肥満マウスにおける、A)食物摂取量、B)総エネルギー消費量、C)総呼吸商、D)自発運動活性、E)総自発運動活性、F)ipGTT曲線下面積、G)血漿Cペプチドのレベル、H)PEPCK/HPRT発現比率レベル、およびI)G6P/HPRT発現比率レベル、の熱量測定に対する3週間目のインビボ効果を示すグラフの一群を表す。
図31図31は、ビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGにより1か月処置した食餌誘発肥満マウスにおける、血漿のA)コレステロール、B)コレステロールFPLC、C)トリグリセリド、D)レプチン、E)レジスチン、およびF)アジポネクチン、に対するインビボ効果を示すグラフの一群を表す。
図32図32は、ビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGにより処置したマウスにおける、A)BAT UCP−1発現レベル、およびB)ホルモン感受性リパーゼ(pHSL)のリン酸化が反映された白色脂肪組織、に対するインビボ効果を示すグラフの一群を表す。
図33図33は、DIOラットにおけるA)体重、およびB)脂肪量、に対するビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGのインビボ効果を示すグラフの一群を表す。図33Cは、ペプチドY−PEG、ペプチドX−PEGまたはビヒクルにより2週間処置したマウスから単離した表皮脂肪組織におけるリアルタイムRT−PCRにより定量的に評価した、TFIIBと比較してのCD68の相対的発現に関するグラフを表す。データは、TFIIB mRNA発現に対して規準化した相対的CD68 mRNA発現として表し、平均±SEMとして表す。
図34図34A〜34Fは、ビヒクル対照、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGにより処置されたGLP−1−Rノックアウトマウスにおける、体重(BW;34Aおよび34B)、脂肪量(34C)、食物摂取量(34D)ならびに血中グルコースレベル(34Eおよび34F)に対するインビボ効果を示すグラフの一群を表す。
図35図35A〜35Cは、ビヒクル対照、ペプチドVまたはペプチドUにより処置されたDIOマウスにおける、体重(35A)、血中グルコース(35B)および脂肪量(35C)に対するインビボ効果を示す一連のグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
<定義>
本発明を説明し、その特許を主張するに当たり、下記の語法が、下記に記載される定義に従って使用される。
【0060】
本明細書で用いる「薬学的に受容可能な担体」という用語は、標準的な製剤担体、例えば、リン酸バッファー生理的食塩水、水、乳液、例えば、油/水または水/脂乳液、および種々のタイプの湿潤剤の内のいずれかを含む。本用語はさらに、ヒトを含む動物における使用に関して、米国連邦政府の規制当局によって承認されるか、または、米国薬局方に掲載されている、任意の薬剤を包含する。
【0061】
本明細書で用いる「薬学的に受容可能な塩」という用語は、母体化合物の生物活性を保持するが、生物学的にもまたは他の点でも有害でない、化合物の塩を指す。本明細書に開示される化合物の多くは、アミノ基および/またはカルボキシル基、または、それと同様の基があるために、酸性および/または塩基性塩を形成することが可能である。
【0062】
薬学的に受容可能な塩基添加塩は、無機および有機塩から調製することが可能である。無機塩から得られる塩としては、例示としてのみ述べると、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から得られる塩としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、一級、二級、および三級アミンの塩が挙げられる。
【0063】
薬学的に受容可能な酸添加塩は、無機および有機酸から調製されてもよい。無機酸から得られる塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から得られる塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、シナモン酸、マンデル酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0064】
本明細書で用いる「治療する」という用語は、特定の障害または病態の予防、または、特定の障害または病態に関連する症状の緩和、および/または、前記症状の防止または根絶を含む。例えば、本明細書で用いる「糖尿病を治療する」という用語は、一般に、血中のグルコースレベルを正常レベルに向けて変えることを指し、所定の状況に応じて血中のグルコースレベルを上昇または下降させることを含んでもよい。
【0065】
本明細書で用いる、グルカゴンペプチドの「有効」な量、または「治療的有効量」とは、該ペプチドの、無害であるが、所望の作用を実現するのに十分な量を指す。例えば、所望の作用の一つとしては、例えば、血中グルコースレベルの増加によって測定される、低血糖症の予防または治療が考えられる。本開示のコアゴニスト類縁体の、別の所望の作用としては、例えば、血中グルコースレベルの正常により近づく変化によって測定される、高血糖症の治療、または、例えば、体重の低下によって測定される減量の誘導/体重増加の阻止、または、体重増加の阻止若しくは軽減、または、体脂肪分布の正常化が挙げられよう。「有効な」量は、被検体によってまちまちで、個体の年齢および一般的状態、投与方式などに応じて変動する。従って、正確な「有効量」を特定することは常に可能とは限らない。しかしながら、任意の個別の症例における適切な「有効」量は、当業者であれば、慣用的な実験手法によって定めることが可能である。
【0066】
「非経口的」という用語は、消化管を介さず、何らかの別のルート、例えば、皮下、筋肉内、脊髄内、または静脈内によることを意味する。
【0067】
本明細書で用いる「精製された」および同様の用語は、ある分子または化合物について、それが生まれた環境または天然の環境において通常それに付随するような汚染物を実質的含まない形になるように、該分子または化合物を単離することを指す。本明細書で用いる「精製」という用語は、絶対的純度を必要とせず、むしろ、相対的な定義であることが意図される。「精製ポリペプチド」という用語は、本明細書では、他の化合物、例えば、ただしこれらに限定されないが、核酸分子、脂質、および炭水化物、から分離されたポリペプチドを記載するのに用いられる。
【0068】
「単離された」という用語は、参照される物質が、その元々の環境(例えば、それが天然産であれば、天然環境)から取り出されていることを必要とする。例えば、生きている動物の体内に存在する天然産ポリヌクレオチドは、単離されていないが、同じポリヌクレオチドが天然系において共存する物質のいくつかまたは全てから分離されていれば、単離されている。
【0069】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」は、3個以上のアミノ酸、典型的には50個未満のアミノ酸の配列を包含し、ここでアミノ酸は、天然型または非天然型のアミノ酸である。非天然型のアミノ酸とは、インビボで天然に生じないが、それでも、本明細書に記載されるペプチド構造に組み込むことができるアミノ酸を意味する。
【0070】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸のポリマーを、ポリマーの長さに関わりなく意味するために、相互交換的に使用される用語である。典型的には、ポリペプチドおよびタンパク質は、「ペプチド」よりも長いポリマー長さを有する。
【0071】
本明細書で用いる「グルカゴンペプチド」は、配列番号1のアミノ酸配列か、または、配列番号1のアミノ酸配列の類縁体であって、アミノ酸置換、付加、欠失、または翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化、分子内共有結合、例えば、ラクタム架橋形成、PEG化など)を含み、例えば実施例14に記載するアッセイを用いてcAMP生産により測定した場合、グルカゴンまたはGLP−1受容体活性を刺激するような類縁体を含む、任意のペプチドを含む。
【0072】
「グルカゴンアゴニスト」という用語は、例えば実施例14に記載するアッセイを用いてcAMP生産により測定した場合、グルカゴン受容体活性を刺激するようなグルカゴンペプチドを含む、複合体を指す。
【0073】
「グルカゴンアゴニスト類縁体」とは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、および配列番号15から成る群から選ばれる配列か、または、該配列の類縁体であって、位置2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、24、27、28、または29の一つ以上において、一つ以上の保存的アミノ酸置換を含むように修飾される類縁体を含む、グルカゴンペプチドである。
【0074】
本明細書で用いるアミノ酸「修飾」とは、アミノ酸の置換、付加、または欠失を指し、ヒトのタンパク質中に一般的に見出される20種のアミノ酸、および、非典型的または非天然産アミノ酸の内の任意のアミノ酸による、置換または付加を含む。本明細書を通じて、数字による、ある特定アミノ酸位置への参照(例えば、位置28)は、全て、天然グルカゴン(配列番号1)中のその位置におけるアミノ酸、または、天然グルカゴンの任意の類縁体中の、対応するアミノ酸位置におけるアミノ酸を指す。例えば、本明細書における「位置28」への参照は、配列番号1の最初のアミノ酸が欠失したグルカゴン類縁体では、対応する位置27を意味する。同様に、本明細書における「位置28」への参照は、配列番号1のN末端の前に1個のアミノ酸を付加されたグルカゴン類縁体では、対応する位置29を意味する。非典型的アミノ酸の市販の供給源としては、Sigma-Aldrich(Milwaukee, WI)、ChemPep Inc. Miami, FL)、およびGenzyme Pharmaceuticals(Cambridge, MA)が挙げられる。非典型的アミノ酸は、供給業者から購入してもよいし、新たに合成してもよいし、または、他のアミノ酸を化学的に修飾しても、または他のアミノ酸から誘導してもよい。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「グルカゴンコアゴニスト」は、天然グルカゴンと比べて少なくとも約10%から約500%またはそれ以上までのグルカゴン受容体に対する活性を示し、また、天然GLP−1と比べて少なくとも約10%から約200%またはそれ以上までのGLP−1受容体に対する活性を示すような、グルカゴンペプチドである。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「グルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子」は、天然グルカゴンと比べて少なくとも約10%のグルカゴン受容体に対する活性を示し、また、天然GLP−1と比べて少なくとも約10%のGLP−1受容体に対する活性を示すような分子である。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「天然グルカゴン」は、配列番号1の配列から構成されるペプチドを意味し、用語「天然GLP−1」は、GLP−1(7−36)アミド(配列番号52の配列から構成される)、GLP−1(7−37)酸(配列番号50の配列から構成される)またはこの2つの化合物の混合物を示す一般的用語である。本明細書で使用されるとき、更なる名称が不在なときの「グルカゴン」または「GLP−1」への一般的な参照は、それぞれ天然グルカゴンまたは天然GLP−1を意味することが意図される。
【0078】
本明細書で使用されるとき、アミノ酸「置換」は、1個のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に代えることを意味する。
【0079】
本明細書で使用されるとき、用語「保存的アミノ酸置換」は、本明細書において、以下の5つの群のうちの1つの群内での交換として定義される:
I.小型で脂肪族の非極性又は僅かに極性の残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性の負荷電残基及びそれらのアミド:
Asp、Asn、Glu、Gln、システイン酸及びホモシステイン酸;
III.極性の正荷電残基:
His、Arg、Lys、オルニチン(Orn);
IV.大型で脂肪族の非極性残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン;
V.大型の芳香族残基:
Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
【0080】
本明細書で使用されるとき、「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」という総称は、一般式:H(OCHCHOH(nは9以上)により表される、分岐鎖又は直鎖の、エチレンオキシドと水の縮合ポリマーの混合物を意味する。更なる特定がない限り、この用語は、500〜40,000ダルトンの範囲から選択される平均総分子量を有するエチレングリコールのポリマーを含むことが意図される。「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、およその平均分子量を示す数字の接尾辞と組み合わせて使用される。例えば、PEG−5,000は、平均約5,000の総分子量を有するポリエチレングリコールを意味する。
【0081】
本明細書で使用するとき、用語「ペグ化」及び同様の用語は、ポリエチレングリコールポリマーを結合することにより、天然の状態から修飾された化合物を意味する。「ペグ化グルカゴンペプチド」は、共有結合しているPEG鎖を有するグルカゴンペプチドである。
【0082】
本明細書で使用されるとき、ペプチドに対する一般的な参照は、修飾されたアミノ末端及びカルボキシ末端を有するペプチドも包含することが意図される。例えば、末端カルボン酸の代わりにアミド基を含むアミノ酸鎖は、標準的なアミノ酸を示すアミノ酸配列に包含されることが意図される。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「リンカー」は、2つの別々の実体を互いに結合する結合、分子、又は分子群である。リンカーは、2つの実体の間に最適な間隔をもたらしてもよいし、更に2つの実体が互いに分離することを可能にする不安定な結合を提供してもよい。不安定な結合には、光切断基、酸不安定部分、塩基不安定部分、及び酵素切断基が含まれる。
【0084】
本明細書で使用されるとき「二量体」は、リンカーを介して互いに共有結合している2つのサブユニットを含む複合体である。二量体という用語は、意味を限定する言葉無しに使用される場合、ホモ二量体とヘテロ二量体の両方を包含する。ホモ二量体は、2つの同一のサブユニットを含み、一方、ヘテロ二量体は、互いに実質的に類似してはいるものの異なった2つのサブユニットを含む。
【0085】
本明細書で使用されるとき、用語「荷電アミノ酸」は、生理学的pHの水溶液中で負に帯電(すなわち、脱プロトン化)している、又は正に帯電(すなわち、プロトン化)してている側鎖を含むアミノ酸を意味する。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、及びホモグルタミン酸が含まれ、一方、正荷電アミノ酸には、アルギニン、リシン、及びヒスチジンが含まれる。荷電アミノ酸には、ヒトタンパク質において一般的に見出される20個のアミノ酸に加え、異形又は非天然型のアミノ酸のうちの荷電アミノ酸も含まれる。
【0086】
本明細書で使用されるとき、用語「酸性アミノ酸」は、例えばカルボン酸又はスルホン酸基のような第2の酸性部分を含むアミノ酸を意味する。
【0087】
用語「アルキル」は、示された数の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。例示的アルキルには、メチル、エチル及び直鎖プロピル基が含まれる。
【0088】
用語「ヘテロアルキル」は、構造の主鎖に示された数の炭素原子、及び少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。本明細書の目的に適したヘテロ原子には、N、S及びOが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
〔実施態様〕
本発明は、グルカゴン受容体若しくはGLP−1受容体、または両方の受容体に対する活性が増加または減少したグルカゴンペプチドを提供する。本発明は、また、GLP−1受容体に比べたグルカゴン受容体に対する選択性が変更されているグルカゴンペプチドを提供する。
【0090】
グルカゴン受容体に対する増加された活性は、本明細書に記載されているように、天然グルカゴン(配列番号1)の位置16のアミノ酸修飾によりもたらされる。
【0091】
グルカゴン受容体に対する維持または増加された活性は、また、グルタミン類縁体(例えば、(Dab(Ac))による天然グルカゴンの位置3のアミノ酸修飾によりもたらされる。
【0092】
グルカゴン受容体に対する低減された活性は、例えば、本明細書に記載されている、酸性、塩基性または疎水性アミノ酸による位置3のアミノ酸の置換によりもたらされる。
【0093】
GLP−1受容体に対する増加された活性は、C末端アミノ酸のカルボン酸を、アミドまたはエステルのような電荷中性基に代えることによってもたらされる。
【0094】
GLP−1受容体に対する増加された活性は、グルカゴンのC末端部分(例えば、残基12〜29周辺)のアルファ−へリックスを安定化する修飾によりもたらされる。幾つかの実施態様において、そのような修飾は、本明細書に記載されているように、3個の介在アミノ酸により隔てられている、例えば位置12と16または16と20または20と24の2個のアミノ酸の側鎖同士の間に分子内架橋の形成を可能にする。他の実施態様において、そのような修飾には、1個以上のα,α−二重置換アミノ酸、例えばAIBを位置16、20、21または24の一つ以上に導入する、挿入または置換修飾が含まれる。
【0095】
分子内架橋、例えば共有結合性分子内架橋を欠いているペプチドの、GLP−1およびグルカゴン受容体に対する増加された活性は、ペプチドの位置10のアミノ酸の側鎖にアシルまたはアルキル基を共有結合することによりもたらされ、ここでアシルまたはアルキル基は、位置10のアミノ酸に対して非天然である。分子内架橋、例えば、共有分子内架橋を欠いているそのようなペプチドの、GLP−1およびグルカゴン受容体に対する更に増強された活性は、アシルまたはアルキル基と位置10のアミノ酸の側鎖との間にスペーサーを組み込むことによって達成することができる。適切なスペーサーは、本明細書に記載されており、3〜10原子長のスペーサーが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
GLP−1受容体に対する増加された活性は、本明細書に記載されているように、位置20のアミノ酸修飾によりもたらされる。
【0097】
GLP−1受容体に対する増加された活性は、配列番号26のC末端延長部を含むグルカゴン類縁体にもたらされる。配列番号26を含むそのような類縁体におけるGLP−1活性を、本明細書に記載されているように、位置18、28若しくは29のアミノ酸または位置18および29のアミノ酸を修飾することにより、更に増加することができる。
【0098】
位置1および2のアミノ酸修飾により低減されたグルカゴン活性の回復は、本明細書に記載されているように、3個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸、例えば位置12と16または16と20または20と24の2個のアミノ酸の側鎖同士の間の共有結合によりもたらされる。
【0099】
GLP−1効力の更なる中程度の増加は、位置10のアミノ酸を修飾してTrpにすることによってもたらされる。
【0100】
グルカゴン受容体活性を増加または減少し、且つGLP−1受容体活性を増加するような、上記に記載された修飾のいずれかを、個別に適用することも組み合わせて適用することもできる。上記に記載された修飾のいずれかを、溶解性および/または安定性ならびに/または作用持続時間の増加のような他の所望の特性を付与するような、他の修飾と組み合わせることもできる。あるいは、上記に記載された修飾のいずれかを、溶解性または安定性または活性に実質的に影響を与えない他の修飾と組み合わせることができる。例示的な修飾には以下が含まれるが、これらに限定されない:
(A)例えば、天然グルカゴンのC末端部分、好ましくはC末端から位置27までへの1、2、3個またはそれ以上の荷電アミノ酸の導入により、溶解性を改善すること。そのような荷電アミノ酸は、例えば位置28または29の天然アミノ酸を荷電アミノ酸で置換する、あるいは位置27、28または29の後に荷電アミノ酸を付加することによって導入することができる。例示的な実施態様において、1、2、3個または全ての荷電アミノ酸は、負に帯電している。他の実施態様において、1、2、3個または全ての荷電アミノ酸は、正に帯電している。そのような修飾は溶解性を増加し、例えば、25℃で24時間後に測定したとき、約5.5〜8の所定のpH、例えばpH7で天然グルカゴンに対して少なくとも2倍、5倍、10倍、15倍、25倍、30倍またはそれ以上の溶解性をもたらす。
(B)例えばペプチドの位置16、17、20、21、24若しくは29またはC末端アミノ酸への、本明細書に記載されているポリエチレングルコール鎖のような親水性部分の付加により、溶解性および作用持続時間または循環半減期を増加すること。
(C)位置15のアスパラギン酸の修飾により、例えばグルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸またはホモシステイン酸による欠失または置換により、_を増加すること。そのような修飾は、5.5〜8の範囲内のpHにおいて分解または切断を低減することができ、例えば25℃で24時間後に元のペプチドの少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%を保持することができる。
(D)位置27のメチオニンの修飾により、例えばロイシンまたはノルロイシンでの置換により、安定性を増加すること。そのような修飾は酸化分解を低減することができる。安定性は、位置20または24のGlnの修飾により、例えば、Ala、Ser、ThrまたはAIBでの置換により増強することもできる。そのような修飾は、Glnの脱アミド化を介して生じる分解を低減することができる。安定性は、位置21のAspの修飾により、例えばGluでの置換により増強することができる。そのような修飾は、Aspの脱水により環状スクシンイミド中間体を形成し、続く異性化によりイソアスパラギン酸塩を形成することによって生じる分解を低減することができる。
(E)本明細書に記載されている位置1または2のアミノ酸の修飾により、ジペプチジルペプチターゼIV(DPP−IV)による切断に対して耐性を増加すること。
(F)活性に影響を与えない保存的若しくは非保存的な置換、付加または欠失、例えば、位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28若しくは29の一つ以上での保存的置換;位置27、28若しくは29の一つ以上での欠失;または、アミノ酸29の欠失、これは更に、C末端カルボン酸基のC末端アミド若しくはエステルによる置換と組み合わせてもよい。
(G)本明細書に記載されているC末端延長部を付加すること。
(H)本明細書に記載されているグルカゴンペプチドの例えばアシル化またはアルキル化により、循環半減期を増加するおよび/または作用持続時間を延長するおよび/または作用開始を遅延すること。
(I)本明細書に記載されているホモ二量体化またはヘテロ二量体化。
【0101】
例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、天然グルカゴン配列と比べて、合計1個、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、6個まで、7個まで、8個まで、9個まで、または10個までのアミノ酸修飾を含むことができる。
【0102】
他の修飾には、大型で芳香族のアミノ酸(例えば、Tyr、Phe、Trpまたはアミノ−Phe)による位置1のHisの置換;
Alaによる位置2のSer;
ValまたはPheによる位置10のTyrの置換;
Argによる位置12のLysの置換;
Gluによる位置15のAspの置換;
ThrまたはAIBによる位置16のSerの置換
が含まれる。
【0103】
一つの実施態様において、本明細書の開示は、グルカゴン受容体に対するプチドの効力を増強するために、野生型ペプチドのHis−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr(配列番号1)と比べて修飾されているグルカゴンアゴニストを対象とする。驚くべきことに、出願者たちは、天然グルカゴン(配列番号1)の位置16に通常存在するセリンを、選択された酸性アミノ酸で置換することで、検証済インビトロモデルアッセイ(実施例14を参照)におけるcAMP合成を刺激する能力に関して、グルカゴンの効力を増強できることを発見した。さらに具体的には、この置換は、この類縁体のグルカゴン受容体に対する効力を、少なくとも2倍、4倍、5倍および10倍を超えるまで増強する。この置換は、また、天然グルカゴンと比べて、類縁体のGLP−1受容体に対する活性を少なくとも5倍、10倍または15倍増強するが、選択性は、GLP−1受容体よりもグルカゴン受容体に対して維持されている。
【0104】
一つの実施態様によると、天然グルカゴンの位置16のセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、トレオニンまたはグリシンから成る群から選ばれるアミノ酸で置換されている。一つの実施態様によると、天然グルカゴンの位置16のセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るから選ばれるアミノ酸で置換されており、一つの実施態様では、セリン残基はグルタミン酸で置換されている。一つの実施態様において、増強されたグルカゴン受容体への選択性を有するグルカゴンペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10のペプチドまたはそのグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、ここでカルボキシ末端アミノ酸は、天然カルボン酸基を保持する。一つの実施態様によると、NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−COOH(配列番号10)を含むグルカゴンアゴニストが提供され、ここでペプチドは、実施例14のインビトロcAMPアッセイにより測定すると、天然グルカゴンと比べておよそ5倍増強されたグルカゴン受容体に対する効力を示す。
【0105】
<親水性部分>
PEG基のような親水性部分を、タンパク質と活性化ポリマー分子との反応に使用される任意の適切な条件下でグルカゴンペプチドに結合することができる。アシル化、還元的アルキル化、マイケル付加、チオールアルキル化、又はその他の、PEG部分の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基)と標的化合物の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基)との化学選択的結合/連結方法を含む、当該技術において既知のあらゆる方法を使用することができる。水溶性ポリマーを1つ以上のタンパク質に結合するのに使用できる活性化基には、スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシラン、5−ピリジル、及びアルファ−ハロゲン化アシル基(例えば、アルファ−ヨード酢酸、アルファ−ブロモ酢酸、アルファ−クロロ酢酸)が含まれるが、これらに限定されない。還元的アルキル化によりペプチドに結合する場合、選択されるポリマーは、重合の程度が制御されるように、単一の反応性アルデヒドを有するべきである。例えば、Kinstler et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 54: 477-485 (2002); Roberts et al., Adv. Drug Delivery Rev. 54: 459-476 (2002)及びZalipsky et al., Adv. Drug Delivery Rev. 16: 157-182 (1995)を参照すること。
【0106】
本発明の特定の態様において、チオールを有するグルカゴンペプチドのアミノ酸残基は、PEGのような親水性部分で修飾されている。幾つかの実施態様において、チオールはマイケル付加反応においてマレイミド活性化PEGで修飾され、下記に示されるチオエーテル結合を含むペグ化ペプチドをもたらす:
【化2】
【0107】
幾つかの実施態様において、チオールは核酸置換反応においてハロアセチル活性化PEGで修飾され、下記に示されるチオエーテル結合を含むペグ化ペプチドをもたらす:
【化3】
【0108】
適切な親水性部分としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えば、POG)、ポリオキシエチレン化ソルビトール、ポリオキシエチレン化グルコース、ポリオキシエチレン化グリセロール(POG)、ポリオキシアルキレン、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、モノ−(C1〜C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(β−アミノ酸)(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、コロン酸又は他の多糖ポリマー、フィコール又はデキストラン、並びにこれらの混合物、が挙げられる。
【0109】
一つの実施態様によると、配列番号9または配列番号10のペプチドの位置17、21および24への親水性部分の導入は、生理学的pHを有する溶液中での高効力グルカゴン類縁体の溶解性および安定性を改善すると予測される。そのような基の導入も、例えば延長された循環半減期として測定されるように、作用の持続時間を増加する。適切な親水性部分には、PEGのホモ−若しくはコポリマーおよびPEGのモノメチル置換ポリマー(mPEG)またはポリオキシエチレングリセロール(POG)を含む、当該技術において既知の任意の水溶性ポリマーが含まれる。一つの実施態様によると、親水性基は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む。さらに具体的には、一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号6または配列番号7の配列を含み、ここで、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの位置21および24に存在するアミノ酸の側鎖に共有結合し、ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、カルボン酸基を有する。
【0110】
<結合体>
本開示は、本発明のグルカゴンペプチドが結合体部分に結合しているような他の結合体も包含し、この結合は、場合により共有結合を介してでもよく、場合によりリンカーを介してでもよい。結合は、共有化学結合、静電気、水素、イオン、ファンデルワールスのような物理的な力、又は疎水性若しくは親水性相互作用により達成することができる。ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞付着分子パートナー、又は互いに親和性を有する任意の結合パートナー若しくはそのフラグメントを含む、多様な非共有結合系を使用することができる。
【0111】
ペプチドを、ペプチドの標的アミノ酸残基と、これらの標的アミノ酸の選択された側鎖又はN若しくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤との反応により、直接共有結合を介して結合体部分に結合することができる。ペプチド又は結合体部分の反応性基には、例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド又はヒドラジノ基が含まれる。誘導体化剤には、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介して結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介して結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸又は当該技術に既知の他の作用物質が含まれる。あるいは、結合体部分を、多糖又はポリペプチド担体のような中間体担体を介してペプチドに間接的に結合することができる。多糖担体の例にはアミノデキストランが挙げられる。適切なポリペプチド担体の例には、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、それらのコポリマー、及び、これらのアミノ酸と、得られる装填担体に望ましい溶解性の特性を付与する他のもの、例えばセリン、との混合ポリマーが挙げられる。
【0112】
システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドのようなα−ハロアセテート(及び対応するアミン)と反応して、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイニルン残基は、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾエート、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールと反応させることによっても、誘導体化される。
【0113】
ヒスチジル残基は、ジエチルピロカーボネートとpH5.5〜7.0で反応させることによって誘導体化されるが、それはこの作用物質がヒスチジル側鎖に比較的特異性があるからである。パラ−ブロモフェナシルブロミドも有用であり、反応は、好ましくは0.1Mのカコジル酸ナトリウムによりpH6.0で実施される。
【0114】
リシニル及びアミノ末端残基は、無水コハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応する。これらの作用物質による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転する効果を有する。アルファ−アミノ含有残基を誘導体化するのに適した他の試薬には、メチルピコリンイミデート、ピリドキサールホスフェート、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンのようなイミドエステル及びグリオキシレートとのトランスアミダーゼ触媒反応、が含まれる。
【0115】
アルギニル残基は、1つ又は幾つかの従来の試薬、なかでもフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリンによる反応で修飾される。アルギニン残基の誘導体化の反応は、グアニジン官能基のpKaが高いので、アルカリ条件下で実施される必要がある。更に、これらの試薬は、リシンの基、またアルギニン−イプシロン−アミノ基と反応することができる。
【0116】
チロシル残基の特定の修飾は、スペクトル標識をチロシル残基に導入するのに特に興味深く、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンによる反応によって行うことができる。最も一般的には、N−アセチルイミダゾール及びテトラニトロメタンを使用して、O−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体がそれぞれ形成される。
【0117】
カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)は、R及びR′が異なるアルキル基であるカルボジイミド(R−N=C=N−R′)、例えば1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミド、との反応により選択的に修飾される。更に、アスパルチル又はグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
【0118】
他の修飾には、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアルファ−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、アスパラギン又はグルタミンの脱アミド化、N末端アミンのアセチル化、及び/又はC末端カルボン酸基のアミド化若しくはエステル化、が含まれる。
【0119】
別の種類の共有的修飾には、ペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的結合が含まれる。糖を、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのような遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン若しくはヒドロキシプロリンのような遊離ヒドロキシル基、(e)チロシン若しくはトリプトファンのような芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基、に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330及びAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
【0120】
本明細書に記載されているグルカゴンペプチドのいずれかに結合することができる例示的な結合体部分には、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパク質を含む)、標的作用物質、免疫グロブリン若しくはその一部(例えば、可変部領域、CDR若しくはFc領域)、放射性同位体、蛍光体若しくは酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療若しくは診断剤、が含まれるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、本発明のグルカゴンペプチド及び血漿タンパク質を含む結合体が提供され、ここで血漿タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノゲン、及びグロブリンからなる群より選択される。一つの実施態様において、結合体の血漿タンパク質部分は、アルブミン又はトランスフェリンである。
【0121】
幾つかの実施態様において、リンカーは、1〜約60個、又は1〜30個以上の原子長さ、2〜5個の原子、2〜10個の原子、5〜10個の原子又は10〜20個の原子長さの原子鎖を含む。幾つかの実施態様において、原子鎖は全て炭素原子である。幾つかの実施態様において、リンカーの主鎖の原子鎖は、C、O、N、及びSからなる群より選択される。原子鎖及びリンカーは、より溶解度の高い結合体をもたらすために、予想される溶解性(親水性)に従って選択することができる。幾つかの実施態様において、リンカーは、酵素若しくは他の触媒による切断、又は標的組織若しくは臓器若しくは細胞において見出される加水分解的条件による切断の対象となる官能基を提供する。幾つかの実施態様において、リンカーの長さは、立体障害の潜在性を低減するのに十分な長さである。リンカーが共有結合又はペプチジル結合であり、結合体がポリペプチドである場合、結合体は全体が融合タンパク質であることができる。そのようなペプチジルリンカーは任意の長さであることができる。例示的なリンカーは、約1〜50個のアミノ酸長さ、5〜50個、3〜5個、5〜10個、5〜15個又は10〜30個のアミノ酸長さである。そのような融合タンパク質は、代替的には当業者に既知の組み換え遺伝子操作法により産生することもできる。
【0122】
上記に記述したように、幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変部領域、CDR又はFc領域)に結合、例えば融合している。既知の種類の免疫グロブリン(Ig)には、IgG、IgA、IgE、IgD又はIgMが含まれる。Fc領域はIg重鎖のC末端領域であり、これは、再循環(延長された半減期をもたらす)、抗体依存性細胞仲介細胞障害性(ADCC)及び補体依存性細胞障害性(CDC)のような活性を実施するFc受容体への結合に関与している。
【0123】
例えば、幾つかの定義によると、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226からC末端まで伸びている。「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230まで伸びている(他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、システイン結合に関わるシステインを整列することによりIgG1配列と整列させることができる)。IgGのFc領域には2つの定常部ドメイン、CH2及びCH3、が含まれる。ヒトIgGのFc領域のCH2ドメインは、通常、アミノ酸231からアミノ酸341まで伸びている。ヒトIgGのFc領域のCH3ドメインは、通常、アミノ酸342から酸447まで伸びている。免疫グロブリン又は免疫グロブリンのフラグメント若しくは領域のアミノ酸番号付けに関する参照は、全て、Kabat et al. 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Public Health, Bethesda, Md.に基づいている。関連する実施態様において、Fc領域は、1つ以上の、CH1以外の免疫グロブリン重鎖の天然の又は修飾された定常部領域、例えばIgG及びIgAのCH2及びCH3領域又はIgEのCH3及びCH4領域、を含むことができる。
【0124】
適切な結合体部分としては、FcRn結合部位を含む免疫グロブリン配列の一部が挙げられる。サルベージ受容体であるFcRnは、免疫グロブリンを再循環して、血液循環に戻すことに関与する。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶構造解析に基づいて記載されている(Burmeister et al. 1994, Nature 372:379)。FcRnへのFcの主な接触領域は、CH2及びCH3ドメインの接合部に近接している。Fc−FcRn接触点は、全て単一Ig重鎖の範囲内である。主な接触部位には、CH2ドメインのアミノ酸残基248、250〜257、272、285、288、290〜291、308〜311、及び314、並びにCH3ドメインのアミノ酸残基385〜387、428、及び433〜436が含まれる。
【0125】
幾つかの結合体部分は、FcγR結合部位を含んでもよいし含まなくてもよい。FcγRは、ADCC及びCDCに関与する。FcγRと直接接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234〜239(低ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C′/Eループ)及びアミノ酸327〜332(F/G)ループである(Sondermann et al., Nature 406: 267-273, 2000)。IgEの低ヒンジ領域は、FcRI結合にも関わっている(Henry, et al., Biochemistry 36, 15568-15578, 1997)。IgA受容体結合に関わる残基は、Lewisらにより記載されている(J Immunol. 175:6694-701, 2005)。IgE受容体結合に関わるアミノ酸残基は、Sayers らにより記載されている(J Biol Chem. 279(34):35320-5, 2004)。
【0126】
アミノ酸修飾を免疫グロブリンのFc領域において行うことができる。そのようなFc領域変異体は、Fc領域のCH3ドメイン(残基342〜447)に少なくとも1つのアミノ酸修飾、及び/又はFc領域のCH2ドメイン(残基231〜341)に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに親和性の増加を付与すると考えられる突然変異には、T256A、T307A、E380A及びN434Aが含まれる(Shields et al. 2001, J. Biol. Chem. 276:6591)。他の突然変異は、FcRnの親和性を有意に低減することなく、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB及び/又はFcγRIIIAへのFc領域の結合を低減することができる。例えば、Ala又は他のアミノ酸によるFc領域の位置297のAsnの置換は、高度に保存されたN−グリコシル化部位を除去し、Fc領域の延長された半減期を伴って免疫原性の低減、また、FcγRへの結合の低減をもたらすことができる(Routledge et al. 1995, Transplantation 60:847; Friend et al. 1999, Transplantation 68:1632; Shields et al. 1995, J. Biol. Chem. 276:6591)。FcγRへの結合を低減する、IgG1の位置233〜236でのアミノ酸の修飾が行われた(Ward and Ghetie 1995, Therapeutic Immunology 2:77 and Armour et al. 1999, Eur. J. Immunol. 29:2613)。幾つかの例示的なアミノ酸置換は、米国特許第7,355,008号及び同第7,381,408号に記載されており、それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0127】
本開示はさらに、第2のペプチドまたはポリペプチドが、グルカゴンペプチドの末端、例えばカルボキシ末端に融合されている、グルカゴン融合ペプチドまたはタンパクを包含する。さらに具体的には、この融合グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結した、配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、または配列番号28(KRNR)のアミノ酸をさらに含む、配列番号55、配列番号9、または配列番号10のグルカゴンアゴニストを含んでもよい。一実施態様では、配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、または配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列は、ペプチド結合を介して、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合される。出願者たちは、エキセンディン−4のC末端延長ペプチド(例えば、配列番号26または配列番号29)を含むグルカゴン融合ペプチドにおいて、グリシンによる位置29の天然トレオニン残基の置換が、GLP−1受容体活性を顕著に増加することを発見した。アミノ酸置換を、本明細書に開示されている他の修飾と一緒に使用して、GLP−1受容体へのグルカゴン類縁体の親和性を増強することができる。例えば、T29G置換を、S16EおよびN20Kアミノ酸置換と、場合によりアミノ酸16と20の間のラクタム架橋と、場合により本明細書に記載されているPEG鎖の付加と、組み合わせることができる。一つの実施態様において、配列番号64の配列を含む、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供される。一つの実施態様において、グルカゴン融合ペプチドのグルカゴンペプチド部分は、配列番号55、配列番号2、配列番号3、配列番号4および配列番号5から成る群より選択され、ここでPEG鎖は、位置17、21、位置24若しくはC末端アミノ酸または位置21および24の両方に存在する場合、500〜40,000ダルトンの範囲から選択される。さらに具体的には、一つの実施態様において、グルカゴンペプチドセグメントは、配列番号7、配列番号8および配列番号63から成る群より選択され、ここでPEG鎖は、500〜5,000範囲から選択される。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号55および配列番号65の配列を含む融合ペプチドであり、ここで配列番号65のペプチドは、配列番号55のカルボキシ末端に結合している。
【0128】
<電荷中性C末端>
一つの実施態様によると、配列番号10のグルカゴンペプチドの更なる化学修飾は、グルカゴン受容体およびGLP−1受容体に対する相対的活性が実質的に同等となる点まで、GLP−1受容体効力を増加させる。したがって、一つの実施態様において、本発明のグルカゴンペプチドの末端アミノ酸が、天然アミノ酸に存在するカルボン酸の代わりにアミドを有する、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供される。グルカゴンおよびGLP−1受容体のそれぞれに対するグルカゴン類縁体の相対的活性は、グルカゴンペプチドを更に修飾して、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約40%〜約500%またはそれ以上の活性、およびGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約20〜約200%またはそれ以上、例えばGLP−1受容体に対するグルカゴンの通常の活性に対して50倍、100倍またはそれ以上の活性を示す類縁体を産生することによって、調整することができる。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約100%、1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%までの活性を示す。幾つかの実施態様において、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約100%、1000%、10,000%、100,000%または1,000,000%までの活性を示す。
【0129】
<アルファ−へリックスの安定化/分子内架橋>
更なる実施態様において、分子内架橋が2つのアミノ酸側鎖の間に形成されて、ペプチドのカルボキシ末端部分の三次元構造を安定化している、グルカゴン類縁体が提供される。2つのアミノ酸側鎖は、非共有結合、例えば水素結合や、塩架橋の形成のようなイオン相互作用を介して、又は共有結合により、互いに結合することができる。2つのアミノ酸側鎖が1つ以上の共有結合を介して互いに結合している場合、本明細書において、ペプチドは共有分子内架橋を含んでいると考慮することができる。2つのアミノ酸側鎖が非共有結合、例えば水素結合やイオン相互作用を介して互いに結合している場合、本明細書において、ペプチドは非共有分子内架橋を含んでいると考慮することができる。
【0130】
幾つかの実施態様において、分子内架橋は、3個のアミノ酸で離れている2個のアミノ酸、例えばiとi+4の位置のアミノ酸の間に形成され、ここでiは、12〜25の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24及び25)である。より詳細には、アミノ酸対の12と16、16と20、20と24、又は、24と28(i=12、16、20、又は24であるようなアミノ酸対)の側鎖は、互いに結合しており、したがってグルカゴンアルファ−へリックスを安定化する。代替的には、iは17であることができる。
【0131】
幾つかの特定の実施態様において、iとi+4の位置のアミノ酸が分子内架橋で結合している場合、リンカーの大きさは、約8個の原子又は約7〜9個の原子である。
【0132】
他の実施態様において、分子内架橋は、2個のアミノ酸で離れている2個のアミノ酸、例えばjとj+3の位置のアミノ酸の間に形成され、ここでjは、12〜26の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、及び26)である。幾つかの特定の実施態様において、jは17である。
【0133】
幾つかの特定の実施態様において、位置jと位置j+3のアミノ酸が分子内架橋で結合している場合、リンカーの大きさは、約6個の原子又は約5〜7個の原子である。
【0134】
さらに他の実施態様において、分子内架橋は、6個のアミノ酸で離れている2個のアミノ酸、例えばkとk+7の位置のアミノ酸の間に形成され、ここでkは、12〜22の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、及び22)である。幾つかの特定の実施態様において、kは、12、13又は17である。例示的な実施態様において、kは17である。
【0135】
共有結合して6原子結合架橋を形成することができるアミノ酸対形成の例には、OrnとAsp、Gluと式I(式中、nは2である)のアミノ酸、及び、ホモグルタミン酸と式I(式中、nは1である)のアミノ酸、が挙げられ、ここで、式Iは下記である:
【化4】
【0136】
共有結合して7原子結合架橋を形成することができるアミノ酸対形成の例には、Orn−Glu(ラクタム環)、Lys−Asp(ラクタム)、又は、ホモSer−ホモGlu(ラクトン)、が挙げられる。8原子リンカーを形成することができるアミノ酸対形成の例には、Lys−Glu(ラクタム)、ホモLys−Asp(ラクタム)、Orn−ホモGlu(ラクタム)、4−アミノPhe−Asp(ラクタム)、又はTyr−Asp(ラクトン)、が挙げられる。9原子リンカーを形成することができるアミノ酸対形成の例には、ホモLys−Glu(ラクタム)、Lys−ホモGlu(ラクタム)、4−アミノPhe−Glu(ラクタム)、又はTyr−Glu(ラクトン)、が挙げられる。これらのアミノ酸の側鎖のいずれも、アルファ−へリックスの三次元構造が妨げられない限り、追加的な化学基で更に置換することができる。当業者であれば、同様の大きさ及び所望の効果の構造の安定化を作り出すような、代替的な対形成又は化学的に修飾された誘導体を含む代替的なアミノ酸類縁体を着想することができる。例えば、ホモシステイン−ホモシステインジスルフィド架橋は、長さが6個の原子であり、更に修飾して所望の効果をもたらすことができる。共有結合がなくても、上記に記載されたアミノ酸対形成又は当業者が想像できる同様の対形成も、非共有結合を介して、例えば塩架橋の形成又は水素結合相互作用を介して、アルファ−へリックスに追加的な安定性をもたらすことができる。
【0137】
更なる例示的な実施態様は、以下の対形成を含み、更にラクタム架橋を含んでもよい:位置12のGluと位置16のLys;位置12の天然Lysと位置16のGlu;位置16のGluと位置20のLys;位置16のLysと位置20のGlu;位置20のGluと位置24のLys;位置20のLysと位置24のGlu;位置24のGluと位置28のLys;位置24のLysと位置28のGlu。
【0138】
一つの実施態様によると、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニスト活性を示すグルカゴン類縁体が提供され、ここで類縁体は、配列番号11、47、48および49から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む。一つの実施態様において、側鎖は互いに共有結合しており、一つの実施態様において、2個のアミノ酸は互いに結合してラクタム環を形成する。ラクタム環の大きさは、アミノ酸の側鎖の長さに応じて変わることができ、一つの実施態様において、ラクタムは、リシンアミノ酸の側鎖をグルタミン酸の側鎖に結合することによって形成される。
【0139】
ラクタム環におけるアミド結合の順番を逆転することができる(例えば、ラクタム環を、Lys12とGlu16の側鎖同士、あるいはGlu12とLys16の側鎖同士の間に形成することができる)。一つの実施態様によると、少なくとも一つのラクタム環が、アミノ酸対12と16、16と20、20と24および24と28から成る群から選ばれるアミノ酸対の側鎖同士の間に形成される、配列番号45のグルカゴン類縁体が提供される。一つの実施態様において、コアゴニストが配列番号20のグルカゴンペプチド類縁体を含み、ペプチドが位置12と16のアミノ酸の間または位置16と20のアミノ酸の間に形成された分子内ラクタム架橋を含む、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供される。一つの実施態様において、配列番号20の配列を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、分子内ラクタム架橋は、位置12と16のアミノ酸の間、位置16と20のアミノ酸の間または位置20と24のアミノ酸の間に形成され、位置29のアミノ酸はグリシンであり、配列番号29の配列は、配列番号20のC末端アミノ酸と結合している。更なる実施態様において、位置28のアミノ酸はアスパラギン酸である。
【0140】
ラクタム架橋以外の分子内架橋を使用して、グルカゴン類縁体ペプチドのアルファ−へリックスを安定化することができる。一つの実施態様において、分子内架橋は疎水性架橋である。この場合、分子内架橋は、グルカゴン類縁体ペプチドのアルファ−へリックスの疎水性面の部分である2個のアミノ酸の側鎖の間にあってもよい。例えば、疎水性架橋により結合しているアミノ酸のうちの1個は、位置10、14、及び18のアミノ酸であることができる。
【0141】
一つの特定の態様において、全炭化水素架橋系を使用してグルカゴンペプチドのアルファ−へリックスの1又は2巻きを架橋するために、オレフィンメタセシスが用いられる。この場合、グルカゴンペプチドは、多様な長さのオレフィン性側鎖を有し、R又はS立体化学のいずれかに配置されているα−メチル化アミノ酸を、iの位置とi+4又はi+7の位置とに含むことができる。例えば、オレフィン性側鎖は(CH)nを含むことができ、ここでnは、1〜6の任意の整数である。一つの実施態様において、架橋長さが8個の原子では、nは3である。そのような分子内架橋を形成する適切な方法は、当該技術において記載されている。例えば、Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc. 122: 5891-5892 (2000)及びWalensky et al., Science 305: 1466-1470 (2004)を参照すること。あるいは、グルカゴンペプチドは、ヘリックスの隣接する2巻きに配置されている2つのO−アリルSer残基を含むことができ、これらはルテニウム触媒閉環メタセシスを介して互いに架橋されている。そのような架橋の手順は、例えばBlackwell et al., Angew, Chem., Int. Ed. 37: 3281-3284 (1998)に記載されている。
【0142】
別の特定の態様において、システインのペプチド模倣体として広く採用されている、非天然チオ−ジアラニンアミノ酸であるランチオニンを、アルファ−へリックスの1巻きを架橋するために使用する。ランチオニンに基づく環化の適切な方法は、当該技術において知られている。例えば、Matteucci et al., Tetrahedron Letters 45: 1399-1401 (2004); Mayer et al., J. Peptide Res. 51: 432-436 (1998); Polinsky et al., J. Med. Chem. 35: 4185-4194 (1992); Osapay et al., J. Med. Chem. 40: 2241-2251 (1997); Fukase et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 65: 2227-2240 (1992); Harpp et al., J. Org. Chem. 36: 73-80 (1971); Goodman and Shao, Pure Appl. Chem. 68: 1303-1308 (1996);及びOsapay and Goodman, J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1599-1600 (1993)を参照すること。
【0143】
幾つかの実施態様において、位置iとi+7の2つのGlu残基の間のα,ω−ジアミノアルカン鎖(例えば1,4−ジアミノプロパンや1,5−ジアミノペンタン)を使用して、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスを安定化する。そのような鎖は、ジアミノアルカン鎖の長さに応じて、9原子又はそれ以上の長さの架橋の形成をもたらす。そのような鎖で架橋されたペプチドを産生する適切な方法は、当該技術において記載されている。例えば、Phelan et al., J. Am. Chem. Soc. 119: 455-460 (1997)を参照すること。
【0144】
本発明の更に別の実施態様において、ジスルフィド架橋を使用して、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスの1又は2巻きを架橋する。あるいは、一方又は両方の硫黄原子がメチレン基に代えられて等配電子マクロ環化をもたらしている修飾ジスルフィド結合を使用して、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスを安定化する。ジスルフィド架橋又は硫黄に基づく環化により修飾する適切な方法は、例えば、Jackson et al., J. Am. Chem. Soc. 113: 9391-9392 (1991)及びRudinger and Jost, Experientia 20: 570-571 (1964)に記載されている。
【0145】
更に別の実施態様において、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスは、iとi+4に位置する2つのHis残基又はHisとCysの対による、金属原子の結合を介して安定化される。金属原子は、例えば、Ru(III)、Cu(II)、Zn(II)、又はCd(II)であることができる。そのような金属結合に基づいたアルファ−へリックス安定化の方法は、当該技術において知られている。例えば、Andrews and Tabor, Tetrahedron 55: 11711-11743 (1999); Ghadiri et al., J. Am. Chem. Soc. 112: 1630-1632 (1990);及びGhadiri et al., J. Am. Chem. Soc. 119: 9063-9064 (1997)を参照すること。
【0146】
グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスは、代替的には他のペプチド環化の方法により安定化することもでき、その方法は、Davies, J. Peptide. Sci. 9: 471-501 (2003)により検討されている。アルファ−へリックスは、アミド架橋、チオエーテル架橋、チオエステル架橋、尿素架橋、カルバメート架橋、スルホンアミド架橋などの形成を介して、安定化することができる。例えば、チオエステル架橋を、C末端とCys残基の側鎖との間に形成することができる。あるいは、チオエステルを、チオールを有するアミノ酸(Cys)及びカルボン酸を有するアミノ酸(例えば、Asp、Glu)の側鎖を介して形成することができる。別の方法において、ジカルボン酸、例えばスベリン酸(オクタン二酸)などのような架橋剤は、遊離アミン、ヒドロキシル、チオール基、及びこれらの組み合わせのような、アミノ酸側鎖の2つの官能基の間に結合を導入することができる。
【0147】
一つの実施態様によると、グルカゴンペプチドのアルファ−へリックスは、iとi+4の位置への疎水性アミノ酸の組み込みを介して安定化される。例えば、iはTyrであることができ、そしてi+4はVal又はLeuであることができる;iはPheであることができ、そしてi+4はCys又はMetであることができる;iはCysであることができ、そしてi+4はMetであることができる;或いはiはPheであることができ、そしてi+4はIleであることができる。本明細書の目的のために、上記のアミノ酸対形成を逆転することができ、これにより位置iの示されたアミノ酸を代替的にi+4の位置に配置することができ、一方、位置i+4のアミノ酸をiに配置することができることが理解されるべきである。
【0148】
本発明の更に別の実施態様によると、増強されたGLP−1活性を有するグルカゴンペプチドは、(a)アミノ酸位置12〜29内にα,α−二置換アミノ酸による1個以上の置換、を有し、更に(b)C末端アミド、を含んでもよい。幾つかの態様において、そのようなグルカゴンペプチドは、特に、グルカゴンのC末端部分(位置12〜29周辺)のアルファ−へリックスを安定化する分子内架橋、例えば共有分子内架橋を欠いていることが理解されるべきである。幾つかの実施態様において、グルカゴンの位置16、17、18、19、20、21、24または29のうちの1、2、3、4つまたはそれ以上は、α,α−二置換アミノ酸、例えばアミノイソ酪酸(AIB)により、メチル、エチル、プロピルおよびn−ブチルから選択される同一若しくは異なる基で二置換されたアミノ酸により、またはシクロオクタン若しくはシクロヘプタン(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)により、置換されている。例えば、分子内架橋、例えば非共有分子内架橋(例えば、塩架橋)または共有分子内架橋(例えば、ラクタム)の不在下でAIBによる位置位置16の置換は、GLP−1活性を増強する。幾つかの実施態様において、位置16、20、21または24のうちの1、2、3つまたはそれ以上は、AIBで置換されている。そのようなグルカゴンペプチドは、以下のものを含むが但しこれらに限定されない、本明細書に記載されている他の修飾の1個以上を更に含むことができる:アシル化、アルキル化、ペグ化、C末端部の1〜2個のアミノ酸の欠失、C末端部での荷電アミノ酸による付加および/または置換、C末端カルボキシレートのアミドへの交換、C末端延長部の付加、ならびに、以下のような、保存的および/または非保存的アミノ酸置換:LeuまたはNleによる位置27のMetの置換、Glu(または同様のアミノ酸)による位置15のAspの置換、DPP−IVプロテアーゼ耐性を達成するアミノ酸による位置1および/または2での置換、Alaによる位置2のSerの置換、ValまたはPheによる位置10のTyrの置換、Argによる位置12のLysの置換、ThrまたはAIBによる位置16のSerの置換、Asp、GluまたはAIBによる位置20および/または24のGlnの置換、GluまたはThrによる位置16のSerの置換、Alaによる位置18のArgの置換、Lysによる位置20のGlnの置換、Gluによる位置21のAspの置換、およびAsnまたはCysによる位置24のGlnの置換。幾つかの実施態様において、前記のグルカゴンペプチドは、位置29にGln若しくはGlyを含むか、またはC末端延長部の付加、例えば位置28のアミノ酸へのGGPSSGAPPPS(配列番号26)C末端の付加を含む。特定の態様において、グルカゴンペプチドは、C末端カルボキシレートの代わりに一つ以上のアミド基、アシル基、例えばC16脂肪酸、および親水性部分、例えばポリエチレングルコール(PEG)を含む。
【0149】
また、別の特定の態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号1に対して10個以下の修飾を含み、位置16、20、21および/または24にAIBによる1個以上のアミノ置換を含む、配列番号1〜25、30〜64および66〜555のいずれかのアミノ酸配列を含み、ここでペプチドは、ペプチドの2個のアミノ酸の側鎖同士の間の分子内架橋、例えば共有分子内架橋を欠いている。したがって、より特定の態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号556〜561のいずれかのアミノ酸配列を含む。
【0150】
幾つかの実施態様によると、分子内架橋を欠いているグルカゴンペプチドは、アミノ酸位置12〜29の範囲において、α,α−二置換アミノ酸による1つ以上の置換と、グルカゴンペプチドのアミノ酸、例えばグルカゴンペプチドの位置10のアミノ酸、の側鎖に共有結合しているアシル又はアルキル基とを含む。特定の実施態様において、アシル又はアルキル基は、天然型のアミノ酸に対して非天然型である。特定の態様において、アシル又はアルキル基は、位置10のアミノ酸に対して非天然型である。分子内架橋を欠いているそのようなアシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドは、対応する非アシル化ペプチドの活性と比較して、GLP−1及びグルカゴン受容体に対して増強された活性を示す。GLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性の更なる増強は、分子内架橋を欠いているアシル化グルカゴンペプチドにおいて、スペーサーをアシル又はアルキル基とペプチドの位置10のアミノ酸の側鎖との間に組み込むことによって達成することができる。アシル化及びアルキル化は、スペーサーの組み込みを伴う場合も伴わない場合も、本明細書において更に記載されている。
【0151】
<位置1での修飾>
一つの実施態様によると、増強されたGLP−1活性を有するグルカゴンペプチドは、(a)大型の芳香族アミノ酸による位置1のHisのアミノ酸置換および(b)分子のC末端部分(例えば、位置12〜29周辺)のアルファ−へリックスを安定化する分子内架橋を含む。特定の実施態様において、位置1のアミノ酸は、Tyr、Phe、Trp、アミノ−Phe、ニトロ−Phe、クロロ−Phe、スルホ−Phe、4−ピリジル−Ala、メチル−Tyrまたは3−アミノTyrである。特定の態様において、分子内架橋は、3個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸の側鎖同士の間、すなわち、アミノ酸iとi+4の側鎖同士の間にある。幾つかの実施態様において、分子内架橋はラクタム架橋である。本発明のより特定の実施態様において、グルカゴンペプチドは、ペプチドの位置1に大型の芳香族アミノ酸、および位置16と20のアミノ酸の間にラクタム架橋を含む。そのようなグルカゴンペプチドは、1個以上(例えば、2、3、4、5個またはそれ以上)の本明細書に記載されている他の修飾を更に含むことができる。例えば、グルカゴンペプチドは、C末端カルボキシレートの代わりにアミドを含むことができる。したがって、一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号555のアミノ酸配列を含む。
【0152】
<アシル化>
一つの実施態様によると、グルカゴンペプチドは、アシル基、例えば天然型のアミノ酸に対して非天然であるアシル基を含む。アシル基は、ペプチドが、(i)循環半減期の延長、(ii)作用開始の遅延、(iii)作用の持続時間の延長、(iv)DPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性の改善、ならびに(v)GLP−1およびグルカゴン受容体に対する効力の増加、のうちの一つ以上を有する原因となる。本明細書に示されているように、アシル化グルカゴンペプチドは、対応する非アシル化グルカゴンペプチドと比較して、グルカゴンおよびGLP−1受容体に対する減少した活性を示さない。むしろ、幾つかの場合では、アシル化は、実際にはGLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性を増加する。したがって、アシル化されたグルカゴンコアゴニスト類縁体の効力は、非アシル化型の類縁体と比べて、たとえ増強されていないとしても、少なくともそれに匹敵する。
【0153】
一つの実施態様によると、グルカゴンペプチドは、体循環中での半減期を延長する、並びに/又は作用の開始を遅延する及び/若しくは持続時間を延長する、並びに/又はDPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性を改善する目的で、エステル、チオエーテル又はアミド結合を介してグルカゴンペプチドに結合しているアシル基を含むように、修飾される。
【0154】
アシル化は、グルカゴン及び/又はGLP−1活性が増強されないまでも少なくとも保持される限り、位置1〜29のいずれか、C末端延長部内の位置、又はC末端アミノ酸を含む、グルカゴンペプチド内の任意の位置で、実施することができる。非限定例には、位置5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29が挙げられる。特定の実施態様において、アシル化は、グルカゴンペプチドの位置10で生じ、グルカゴンペプチドは、分子内架橋、例えば共有分子内架橋(例えば、ラクタム架橋)を欠いている。分子内架橋を欠いているそのようなアシル化ペプチドは、共有分子内架橋を欠いている対応する非アシル化ペプチドと比較して及び位置10以外の位置でアシル化されている分子内架橋を欠いている対応するペプチドと比較して増強された、GLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性を示す。本明細書において示されているように、位置10のアシル化は、グルカゴン受容体に対してほとんど活性を有さないグルカゴン類縁体を、グルカゴンとGLP−1の両方の受容体に対して活性を有するグルカゴンに変換することさえできる。したがって、アシル化が生じる位置は、グルカゴン類縁体の全体的な活性プロフィールを変えることができる。
【0155】
グルカゴンペプチドを、親水性部分が結合している同じアミノ酸の位置又は異なるアミノ酸の位置でアシル化することができる。非限定例には、位置10でのアシル化、及びグルカゴンペプチドのC末端部分における1つ以上の位置、例えば位置24、28若しくは29、C末端延長部内、又はC末端(例えば、C末端Cysの付加を介する)でのペグ化が挙げられる。
【0156】
アシル基を、グルカゴンペプチドのアミノ基に直接的に共有結合させることもできるし、グルカゴンペプチドのアミノ基にスペーサーを介して間接的に共有結合させることもでき、この場合スペーサーは、グルカゴンペプチドのアミノ基とアシル基との間に位置している。
【0157】
本発明の特定の態様において、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸の側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールの直接的なアシル化により、アシル基を含むように修飾される。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して直接アシル化される。幾つかの実施態様において、アシル化は位置10、20、24、又は29においてである。この点において、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよいし、位置10、20、24、及び29のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含む任意のアミノ酸となる、本明細書に記載されている1個以上のアミノ酸修飾を含むような、配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよい。本発明の幾つかの特定の実施態様において、グルカゴンペプチドの直接アシル化は、位置10のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを介して生じる。
【0158】
幾つかの実施態様において、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式I:
【化5】
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式Iのアミノ酸は、nが4であるアミノ酸(Lys)又はnが3であるアミノ酸(Orn)である。
【0159】
他の実施態様において、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式II:
【化6】
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Ser)である。
【0160】
さらに他の実施態様において、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式III:
【化7】
で示されるアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Cys)である。
【0161】
さらに他の実施態様において、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含むアミノ酸は、式I、式II、又は式IIIのアミノ酸のアルファ炭素に結合している水素が第2側鎖に代えられていること以外は、式I、式II、又は式IIIと同じ構造を含む、二置換アミノ酸である。
【0162】
本発明の一つの実施態様において、アシル化グルカゴンペプチドは、ペプチドとアシル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、アシル基と共有結合しているスペーサーと共有結合する。
【0163】
スペーサーが結合しているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能とする部分を含むような任意のアミノ酸(例えば、一置換型のα−置換アミノ酸、又はα,α−二置換アミノ酸)であることができる。例えば、側鎖NH、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp又はGlu)が適している。この点に関して、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよいし、位置10、20、24、及び29のアミノ酸の少なくとも1個が側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはカルボキシレートを含む任意のアミノ酸となるように修飾された、本明細書に記載されている1個以上のアミノ酸修飾を含む、修飾された配列番号1のアミノ酸配列を含んでもい。
【0164】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸であるか、又は、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸を含む、ジペプチド若しくはトリペプチドである。
【0165】
アシル化がスペーサーのアミン基を介して生じる場合、アシル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンを介して生じることができる。アルファアミンがアシル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、任意のアミノ酸であることができる。例えば、スペーサーのアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyr、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、であることができる。あるいは、スペーサーのアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp及びGlu、であることができる。
【0166】
スペーサーのアミノ酸の側鎖アミンがアシル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーのアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方ともアシル化されることが可能であり、それによりグルカゴンペプチドがジアシル化される。本発明の実施態様はそのようなジアシル化分子を含む。
【0167】
アシル化がスペーサーのヒドロキシル基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はSerである。
【0168】
アシル化がスペーサーのチオール基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はCysである。
【0169】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、親水性二官能スペーサーである。特定の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、2つ以上の反応性基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。特定の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。特定の実施態様において、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この点において、スペーサーは、例えばNH(CHCHO)(CHCOOHを含むことができ(式中、mは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である)、例えば、Peptides International, Inc. (Louisville, KY)により販売されている、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸であってもよい。
【0170】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、疎水性二官能スペーサーである。疎水性二官能スペーサーは当該技術において知られている。例えば、Bioconjugate Techniques, G. T. Hermanson (Academic Press, San Diego, CA, 1996)(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照すること。特定の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、2つ以上の反応性基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。特定の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。カルボキシレートとヒドロキシル基又はチオール基を含む適切な疎水性二官能スペーサーは、当該技術において知られており、例えば8−ヒドロキシオクタン酸及び8−メルカプトオクタン酸が含まれる。
【0171】
幾つかの実施態様において、二官能スペーサーは、カルボキシレート基の間に1〜7個の炭素を持つ非分岐鎖メチレンを含むジカルボンサンではない。幾つかの実施態様において、二官能スペーサーは、カルボキシレート基の間に1〜7個の炭素を持つ非分岐鎖メチレンを含むジカルボンサンである。
【0172】
スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性又は疎水性二官能スペーサー)は、特定の実施態様において、3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子(例えば、6、7、8、9又は10個の原子))の長さを有する。より特定の実施態様において、スペーサーは、約3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)の長さであり、アシル基はC12〜C18脂肪アシル基、例えばC14脂肪アシル基、C16脂肪アシル基、であり、これによりスペーサーとアシル基の全長は、14〜28個の原子、例えば約14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28個の原子の長さとなる。幾つかの実施態様において、スペーサーとアシル基の長さは、17〜28個(例えば、19〜26個、19〜21個)の原子の長さである。
【0173】
特定の前述の実施態様によると、二官能スペーサーは、長さが3〜10個の原子のアミノ酸主鎖(例えば、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸)を含む、合成又は天然型のアミノ酸(本明細書に記載されているいずれもが含まれるが、これらに限定されない)であることができる。あるいは、スペーサーは、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)のペプチド主鎖を有する、ジペプチド又はトリペプチドスペーサーであることができる。ジペプチド又はトリペプチドスペーサーのそれぞれのアミノ酸は、ジペプチド又はトリペプチドの他のアミノ酸と同一でもよいし異なっていてもよく、以下からなる群より独立して選択することができる:天然型のアミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr)のD若しくはL異性体のいずれか、又は、以下からなる群より選択される非天然型のアミノ酸のD若しくはL異性体のいずれかを含む、天然型の及び/又は非天然型のアミノ酸:β−アラニン(β−Ala)、N−α−メチル−アラニン(Me−Ala)、アミノ酪酸(Abu)、γ−アミノ酪酸(γ−Abu)、アミノヘキサン酸(ε−Ahx)、アミノイソ酪酸(Aib)、アミノメチルピロールカルボン酸、アミノピペリジンカルボン酸、アミノセリン(Ams)、アミノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸、アルギニンN−メトキシ−N−メチルアミド、β−アスパラギン酸(β−Asp)、アゼチジンカルボン酸、3−(2−ベンゾチアゾリル)アラニン、α−tert−ブチルグリシン、2−アミノ−5−ウレイド−n−吉草酸(シトルリン、Cit)、β−シクロヘキシルアラニン(Cha)、アセトアミドメチル−システイン、ジアミノブタン酸(Dab)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、ジメチルチアゾリジン(DMTA)、γ−グルタミン酸(γ−Glu)、ホモセリン(Hse)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、イソロイシンN−メトキシ−N−メチルアミド、メチル−イソロイシン(MeIle)、イソニペコ酸(Isn)、メチル−ロイシン(MeLeu)、メチル−リシン、ジメチル−ロイシン、トリメチル−リシン、メタノプロリン、メチオニン−スルホキシド(Met(O))、メチオニン−スルホン(Met(O))、ノルロイシン(Nle)、メチル−ノルロイシン(Me−Nle)、ノルバリン、(Nva)、オルニチン(Orn)、パラ−アミノ安息香酸(PABA)、ペニシラミン(Pen)、メチルフェニルアラニン(MePhe)、4−クロロフェニルアラニン(Phe(4−Cl))、4−フルオロフェニルアラニン(Phe(4−F))、4−ニトロフェニルアラニン(Phe(4−NO))、4−シアノフェニルアラニン((Phe(4−CN))、フェニルグリシン(Phg)、ピペリジニルアラニン、ピペリジニルグリシン、3,4−デヒドロプロリン、ピロリジニルアラニン、サルコシン(Sar)、セレノシステイン(Sec)、O−ベンジル−ホスホセリン、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸(Sta)、4−アミノ−5−シクロヘキシル−3−ヒドロキシペンタン酸(ACHPA)、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸(AHPPA)、1,2,3,4,−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸(Tic)、テトラヒドロピラングリシン、チエニルアラニン(Thi)、O−ベンジル−ホスホチロシン、O−ホスホチロシン、メトキシチロシン、エトキシチロシン、O−(ビス−ジメチルアミノ−ホスホノ)−チロシン、チロシンスルフェートテトラブチルアミン、メチル−バリン(MeVal)、及びアルキル化3−メルカプトプロピオン酸。
【0174】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、全体として負の電荷を含み、例えば1又は2個の負荷電アミノ酸を含む。幾つかの実施態様において、ジペプチドは、一般構造A−Bのジペプチドのいずれでもなく、ここで、Aは、Gly、Gln、Ala、Arg、Asp、Asn、Ile、Leu、Val、Phe及びProからなる群より選択され、Bは、Lys、His、Trpからなる群より選択される。幾つかの実施態様において、ジペプチドスペーサーは、Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、Pro−Pro、γ−アミノ酪酸−γ−アミノ酪酸、及びγ−Glu−γ−Gluからなる群より選択される。
【0175】
幾つかの例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル、又はチオールのアシル化により、アシル基を含むように修飾され、ここでスペーサーは、グルカゴンペプチドの位置10、20、24、若しくは29のアミノ酸又はC末端アミノ酸の側鎖に結合している。
【0176】
さらに特定の実施態様において、アシル基は、グルカゴンペプチドの位置10のアミノ酸に結合しており、スペーサーとアシル基の長さは、14〜28個の原子である。位置10のアミノ酸は、幾つかの態様において、式Iのアミノ酸、例えばLysであるか、又は式Iに関連する、二置換アミノ酸である。より特定の実施態様において、グルカゴンペプチドは、分子内架橋、例えば共有分子内架橋、を欠いている。グルカゴンペプチドは、例えば、ペプチドのアルファ−へリックスの安定化のために、1個以上のアルファ,アルファ−二置換アミノ酸、例えばAIB、を含むペプチドであることができる。従って、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号555〜561および610〜612の配列、並びに表20および28に記載のAIB含有ペプチドのいずれかを含むことができる。本明細書に示されているように、位置10のアミノ酸の側鎖に共有結合しているアシル化スペーサーを含むそのようなペプチドは、GLP−1とグルカゴンの両方の受容体に対して増強した効力を示す。
【0177】
アミン、ヒドロキシル、及びチオールを介したペプチドアシル化に適した方法は、当該技術において知られている。例えば、実施例19(アミンを介したアシル化の方法)、Miller, Biochem Biophys Res Commun 218: 377-382 (1996); Shimohigashi and Stammer, lnt J Pept Protein Res 19: 54-62 (1982);及びPreviero et al., Biochim Biophys Acta 263: 7-13 (1972)(ヒドロキシルを介したアシル化の方法);並びにSan and Silvius, J Pept Res 66: 169-180 (2005)(チオールを介したアシル化の方法); Bioconjugate Chem. "Chemical Modifications of Proteins: History and Applications" pages 1, 2-12 (1990); Hashimoto et al., Pharmacuetical Res. "Synthesis of Palmitoyl Derivatives of Insulin and their Biological Activity" Vol. 6, No: 2 pp.171-176 (1989)を参照すること。
【0178】
アシル化グルカゴンペプチドのアシル基は、任意の大きさ、例えば任意の長さの炭素鎖であることができ、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。本発明の幾つかの特定の実施態様において、アシル基は、C4〜C30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C4脂肪酸、C6脂肪酸、C8脂肪酸、C10脂肪酸、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸、又はC30脂肪酸のいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、アシル基は、C8〜C20脂肪酸、例えばC14脂肪酸又はC16脂肪酸、である。
【0179】
代替的な実施態様において、アシル基は胆汁酸である。胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸及びコレステロール酸が含まれるが、これらに限定されない任意の適切な胆汁酸であることができる。
【0180】
本発明の幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、長鎖アルカンをアシル化することによって、アシル基を含むよう修飾される。特定の実施態様において、長鎖アルカンは、グルカゴンペプチドのカルボキシル基又はその活性化形態と反応するような、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基(例えば、オクタデシルアミン、テトラデカノール及びヘキサデカンチオール)を含む。グルカゴンペプチドのカルボキシル基又はその活性化形態は、グルカゴンペプチドのアミノ酸(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)の側鎖の一部であってもよいし、ペプチド主鎖の一部であってもよい。
【0181】
特定の実施態様において、グルカゴンペプチドは、それに結合しているスペーサーで長鎖アルカンをアシル化することによって、アシル基を含むように修飾される。特定の実施態様において、長鎖アルカンは、スペーサーのカルボキシル基又はその活性化形態と反応するような、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む。カルボキシル基又はその活性化形態を含む適切なスペーサーは、本明細書に記載されており、例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能スペーサー、又は疎水性二官能スペーサーが含まれる。
【0182】
本明細書で使用されるとき、用語「カルボキシル基の活性化形態」は、一般式R(C=O)Xのカルボキシル基を意味し、ここで、Xは離脱基であり、そしてRはグルカゴンペプチド又はスペーサーである。例えば、カルボキシル基の活性化形態には、塩化アシル、アシル無水物、及びアシルエステルが含まれうるが、これらに限定されない。幾つかの実施態様において、活性化カルボキシル基は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)離脱基のエステルである。
【0183】
長鎖アルカンがグルカゴン又はスペーサーでアシル化されている本発明のこれらの態様に関して、長鎖アルカンは、任意の大きさであることができ、任意の長さの炭素鎖を含むことができる。長鎖アルカンは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。特定の態様において、長鎖アルカンは、C4〜C30アルカンである。例えば、長鎖アルカンは、C4アルカン、C6アルカン、C8アルカン、C10アルカン、C12アルカン、C14アルカン、C16アルカン、C18アルカン、C20アルカン、C22アルカン、C24アルカン、C26アルカン、C28アルカン、又はC30アルカンのいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、長鎖アルカンは、C8〜C20アルカン、例えばC14アルカン、C16アルカン、又はC18アルカン、を含む。
【0184】
また、幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドのアミン、ヒドロキシル、又はチオール基は、コレステロール酸によりアシル化されている。特定の実施態様において、グルカゴンペプチドはアルキル化デス−アミノCysスペーサー、例えばアルキル化3−メルカプトプロピオン酸スペーサー、を介してコレステロール酸に結合している。アルキル化デス−アミノCysスペーサーは、例えばドデカエチレングリコール部分を含むアルキル化デス−アミノCysスペーサーであることができる。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは下記の構造を含む:
【化8】
【0185】
本明細書に記載されているアシル化グルカゴンペプチドは、親水性部分を含むように更に修飾されることができる。幾つかの特定の実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載されたいずれかの方法のような任意の適切な手段によって達成することができる。この点において、アシル化グルカゴンペプチドは、本明細書に記載されている修飾のいずれかを含む配列番号1を含むことができ、ここで、位置10、20、24、及び29の少なくとも1個のアミノ酸はアシル基を含み、位置16、17、21、24、若しくは29の少なくとも1個のアミノ酸、C末端延長部内の位置、又はC末端のアミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheとなり、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合している。幾つかの実施態様において、アシル基は、位置10に結合しており(この結合は場合によりCys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheを含むスペーサーを介してであってもよい)、親水性部分は、位置24のCys残基に組み込まれている。
【0186】
あるいは、アシル化グルカゴンペプチドは、スペーサーを含むことができ、ここでスペーサーは、アシル化され、且つ、親水性部分を含むように修飾される。適切なスペーサーの非限定例としては、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、及びAc−Pheからなる群より選択される1個以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
【0187】
本発明の特定の態様において、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号534〜544及び546〜549のいずれかのアミノ酸配列を含む。
【0188】
<アルキル化>
幾つかの実施態様によると、グルカゴンペプチドは修飾されて、アルキル基、例えばアミノ酸において天然に生じてはいないアルキル基(例えば、天然型のアミノ酸に対して非天然型であるアルキル基)を含む。任意の特定の理論にとらわれることなく、グルカゴンペプチドのアルキル化は、グルカゴンペプチドのアシル化と比べて、もしも同一でないとしても少なくとも同様の効果、例えば、循環半減期の延長、作用開始の遅延、作用の持続時間の延長、DPP−IVのようなプロテアーゼに対する耐性の改善、並びにGLP−1及びグルカゴン受容体に対する効力の増加、を達成すると考えられる。
【0189】
アルキル化は、グルカゴン活性が保持される限り、位置1〜29のいずれか若しくはC末端延長部内の位置又はC末端アミノ酸を含む、グルカゴンペプチド内の任意の位置で実施することができる。非限定例としては、位置5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29が挙げられる。アルキル基を、グルカゴンペプチドのアミノ基に直接的に共有結合することもできるし、グルカゴンペプチドのアミノ基にスペーサーを介して間接的に共有結合することもでき、この場合スペーサーは、グルカゴンペプチドのアミノ基とアルキル基との間に位置している。グルカゴンペプチドを、親水性部分が結合している位置と同じアミノ酸の位置でも、異なるアミノ酸の位置でも、アルキル化することができる。非限定例としては、位置10でのアルキル化及びグルカゴンペプチドのC末端部分における1つ以上の位置、例えば位置24、28若しくは29、C末端延長部内、又はC末端(例えば、C末端Cysの付加を介する)でのペグ化が挙げられる。
【0190】
本発明の特定の態様において、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸の側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールの直接的なアルキル化により、アルキル基を含むように修飾される。幾つかの実施態様において、アルキル化は位置10、20、24又は29においてである。この点において、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよいし、位置10、20、24、及び29のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸となる、本明細書に記載されている1個以上のアミノ酸修飾を含むような、配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよい。本発明の幾つかの特定の実施態様において、グルカゴンペプチドの直接アルキル化は、位置10のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して生じる。
【0191】
幾つかの実施態様において、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式Iのアミノ酸は、nが4であるアミノ酸(Lys)か又はnが3であるアミノ酸(Orn)である。
【0192】
他の実施態様において、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Ser)である。
【0193】
さらに他の実施態様において、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施態様において、式IIIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Cys)である。
【0194】
さらに他の実施態様において、側鎖アミン、ヒドロキシル又はチオールを含むアミノ酸は、式I、式II、又は式IIIのアミノ酸のアルファ炭素に結合している水素が第2側鎖に代えられていること以外は、式I、式II、又は式IIIと同じ構造を含む、二置換アミノ酸である。
【0195】
本発明の一つの実施態様において、アルキル化グルカゴンペプチドは、ペプチドとアルキル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、アルキル基と共有結合しているスペーサーと共有結合する。幾つかの例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル又はチオールのアルキル化により修飾されてアルキル基を含み、ここでスペーサーは、グルカゴンペプチドの位置10、20、24又は29のアミノ酸の側鎖に結合している。スペーサーが結合しているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能とする部分を含むような任意のアミノ酸であることができる。例えば、側鎖NH、−OH又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)が適している。この点に関して、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよいし、位置10、20、24、及び29のアミノ酸の少なくとも1個が修飾されて側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはカルボキシレートを含む任意のアミノ酸となる、本明細書に記載されている1個以上のアミノ酸修飾を含むような、配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよい。
【0196】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸であるか、又は側鎖アミン、ヒドロキシル若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
【0197】
アルキル化がスペーサーのアミン基を介して生じる場合、アルキル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンを介して生じることができる。アルファアミンがアルキル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、任意のアミノ酸であることができる。例えば、スペーサーのアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyr、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸であることができる。あるいは、スペーサーのアミノ酸は、アルキル化が酸性残基のアルファアミンで生じる限り、酸性残基、例えばAsp及びGluであることができる。スペーサーのアミノ酸の側鎖アミンがアルキル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーのアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方ともアルキル化されることが可能であり、それによりグルカゴンペプチドがジアルキル化される。本発明の実施態様はそのようなジアルキル化分子を含む。
【0198】
アルキル化がスペーサーのヒドロキシル基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はSerである。
【0199】
アルキル化がスペーサーのチオール基を介して生じる場合、アミノ酸又はジペプチド若しくはトリペプチドのアミノ酸のうちの1個は、式IIIのアミノ酸であることができる。特定の例示的な実施態様において、アミノ酸はCysである。
【0200】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、親水性二官能スペーサーである。特定の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、2つ以上の反応性基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。特定の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、親水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。特定の実施態様において、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この点において、スペーサーは、例えばNH(CHCHO)(CHCOOHを含むことができ(式中、mは、1〜6の任意の整数であり、そしてnは、2〜12の任意の整数である)、例えば、Peptides International, Inc. (Louisville, KY)により販売されている、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸であってもよい。
【0201】
幾つかの実施態様において、スペーサーは、疎水性二官能スペーサーである。特定の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、2つ以上の反応性基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。特定の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様において、疎水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。カルボキシレートとヒドロキシル基又はチオール基を含む適切な疎水性二官能スペーサーは、当該技術において知られており、例えば8−ヒドロキシオクタン酸及び8−メルカプトオクタン酸が含まれる。
【0202】
スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性又は疎水性二官能スペーサー)は、特定の実施態様において、3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子(例えば、6、7、8、9、又は10個の原子))の長さを有する。より特定の実施態様において、スペーサーは、約3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)の長さであり、アルキルはC12〜C18アルキル基、例えばC14アルキル基、C16アルキル基であり、これによりスペーサーとアルキル基の全長は、14〜28個の原子、例えば約4、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28個の原子の長さとなる。幾つかの実施態様において、スペーサーとアルキルの長さは、17〜28個(例えば、19〜26個、19〜21個)の原子である。
【0203】
特定の前述の実施態様によると、二官能スペーサーは、長さが3〜10個の原子のアミノ酸主鎖(例えば、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸及び8−アミノオクタン酸)を含む合成又は非天然型のアミノ酸であることができる。あるいは、スペーサーは、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)のペプチド主鎖を有するジペプチド又はトリペプチドスペーサーであることができる。ジペプチド又はトリペプチドスペーサーは、例えば本明細書に教示されているアミノ酸のいずれかを含む天然型の及び/又は非天然型のアミノ酸から構成されうる。 幾つかの実施態様において、スペーサーは、全体として負の電荷を含み、例えば1又は2個の負荷電アミノ酸を含む。幾つかの実施態様において、ジペプチドスペーサーは、Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、Pro−Pro、γ−アミノ酪酸−γ−アミノ酪酸、及びγ−Glu−γ−Gluからなる群より選択される。
【0204】
アミン、ヒドロキシル、及びチオールを介したペプチドアルキル化に適した方法は、当該技術において知られている。例えば、ウィリアムソンエーテル合成を使用して、グルカゴンペプチドのヒドロキシル基とアルキル基との間にエーテル結合を形成することができる。また、ハロゲン化アルキルによるペプチドの求核置換反応は、エーテル、チオエーテル又はアミノ結合のいずれかをもたらすことができる。
【0205】
アルキル化グルカゴンペプチドのアルキル基は、任意の大きさ、例えば任意の長さの炭素鎖であることができ、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。本発明の幾つかの実施態様において、アルキル基は、C4〜C30アルキルである。例えば、アルキル基は、C4アルキル、C6アルキル、C8アルキル、C10アルキル、C12アルキル、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、C20アルキル、C22アルキル、C24アルキル、C26アルキル、C28アルキル、又はC30アルキルのいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、アルキル基は、C8〜C20アルキル、例えばC14アルキル又はC16アルキルである。
【0206】
幾つかの実施態様において、アルキル基は、胆汁酸のステロイド部分、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸を含む。
【0207】
本発明の幾つかの実施態様において、グルカゴンペプチドは、求核長鎖アルカンとグルカゴンペプチドとを反応させることにより、アルキル基を含むように修飾されており、ここでグルカゴンペプチドは、求核置換に適した離脱基を含む。特定の態様において、長鎖アルカンの求核基は、アミン、ヒドロキシル基、又はチオール基を含む(例えば、オクタデシルアミン、テトラデカノール、及びヘキサデカンチオールである)。グルカゴンペプチドの離脱基は、アミノ酸の側鎖の一部であってもよいし、ペプチド主鎖の一部であってもよい。適切な離脱基には、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、ハロゲン、及びスルホネートエステルが含まれる。
【0208】
特定の実施態様において、グルカゴンペプチドは、求核長鎖アルカンと、グルカゴンペプチドに結合しているスペーサーとを反応させることにより、アルキル基を含むように修飾されており、ここでスペーサーは離脱基を含む。特定の態様において、長鎖アルカンは、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む。特定の実施態様において、離脱基を含むスペーサーは、本明細書において考察された任意のスペーサー、例えば、適切な離脱基を更に含む、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能スペーサー又は疎水性二官能スペーサー、であることができる。
【0209】
長鎖アルカンがグルカゴン又はスペーサーでアルキル化されている本発明のこれらの態様に関して、長鎖アルカンは、任意の大きさであることができ、任意の長さの炭素鎖を含むことができる。長鎖アルカンは、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。特定の態様において、長鎖アルカンは、C4〜C30アルカンである。例えば、長鎖アルカンは、C4アルカン、C6アルカン、C8アルカン、C10アルカン、C12アルカン、C14アルカン、C16アルカン、C18アルカン、C20アルカン、C22アルカン、C24アルカン、C26アルカン、C28アルカン又はC30アルカンのいずれかであることができる。幾つかの実施態様において、長鎖アルカンは、C8〜C20アルカン、例えばC14アルカン、C16アルカン、又はC18アルカン、を含む。
【0210】
また、幾つかの実施態様において、アルキル化は、グルカゴンペプチドとコレステロール部分の間で生じることができる。例えば、コレステロール酸のヒドロキシル基が長鎖アルカンの離脱基を置換して、コレステロール−グルカゴンペプチド産物を形成することができる。
【0211】
本明細書に記載されているアルキル化グルカゴンペプチドは、親水性部分を含むように更に修飾されてもよい。幾つかの特定の実施態様において、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載されたいずれかの方法のような任意の適切な手段によって達成することができる。この点において、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1を含んでもよいし、本明細書に記載されている1個以上のアミノ酸修飾を含む配列番号1の修飾アミノ酸配列を含んでもよく、この場合、位置10、20、24、及び29の少なくとも1個のアミノ酸はアルキル基を含み、位置16、17、21、24、若しくは29、若しくはC末端延長部内の位置の少なくとも1個のアミノ酸、又はC末端アミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheとなり、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合している。幾つかの実施態様において、アルキル基は位置10に結合しており(この結合は、場合によりCys、Lys、Orn、ホモ−Cys又はAc−Pheを含むスペーサーを介してであってもよい)、親水性部分は、位置24のCys残基に組み込まれている。
【0212】
あるいは、アルキル化グルカゴンペプチドは、スペーサーを含むことができ、ここでスペーサーは、アルキル化され、且つ、親水性部分を含むように修飾もされる。適切なスペーサーの非限定例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys及びAc−Pheからなる群より選択される1個以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
【0213】
<C末端切断>
幾つかの実施態様において、本明細書に記載されているグルカゴンペプチドは、グルカゴンおよびGLP−1受容体に対する活性および/または効力に影響を与えることなく、グルカゴンペプチドのC末端部の1または2個のアミノ酸(すなわち、位置29および/また28)の切断または欠失により、更に修飾される。この点において、グルカゴンペプチドは、天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のアミノ酸1〜27または1〜28を含むことができ、更に、本明細書に記載されている1個以上の修飾を有してもよい。
【0214】
一つの実施態様において、切断グルカゴンアゴニストペプチドは、配列番号550または配列番号551を含む。別の実施態様において、切断グルカゴンアゴニストペプチドは、配列番号552または配列番号553を含む。
【0215】
<荷電C末端残基>
配列番号20のグルカゴンペプチドの溶解性を、例えば、配列番号20のグルカゴンペプチドのC末端部分、好ましくはC末端から位置27までへ、1、2、3個またはそれ以上の荷電アミノ酸を導入することにより、更に改善することができる。そのような荷電アミノ酸は、例えば位置28または29の天然アミノ酸を荷電アミノ酸で置換する、あるいは位置27、28または29の後に荷電アミノ酸を付加することによって導入することができる。例示的な実施態様において、1、2、3個または全ての荷電アミノ酸は、負に帯電している。あるいは、溶解性は、ポリエチレングリコールのような親水性部分をペプチドに共有結合することによっても増強することができる。
【0216】
<例示的な実施態様>
一つの実施態様において、配列番号55の配列を含むグルカゴン類縁体が提供され、前記類縁体は、位置1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、24、27、28および29から選択される1〜3個のアミノ酸によって配列番号55と異なっており、前記グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも20%の活性を示す。
【0217】
一つの実施態様によると、下記の配列:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号33)を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln,ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置20のXaaは、GlnまたはLysであり、位置24のXaaは、GlnまたはGluであり、位置28のXaaは、Asn、Lysまたは酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thr、Glyまたは酸性アミノ酸であり、そしてRはCOOHまたはCONHであるが、但し、位置16がセリンである場合、位置20はLysであるか、あるいは位置16がセリンであり、位置24がGluである場合、位置20または位置28のいずれかはLysであることを条件とする。一つの実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号33の配列を含み、ここで、位置28のアミノ酸はアスパラギン酸であり、位置29のアミノ酸はグルタミン酸である。別の実施態様において、位置28のアミノ酸は天然のアスパラギンであり、位置29のアミノ酸はグリシンであり、配列番号29または配列番号65のアミノ酸配列は、配列番号33のカルボキシ末端に共有結合している。
【0218】
一つの実施態様において、配列番号33の配列を含むコアゴニストが提供され、ここで追加の酸性アミノ酸が、ペプチドのカルボキシ末端に付加されている。更なる実施態様において、グルカゴン類縁体のカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸基の代わりにアミドを有する。一つの実施態様において、グルカゴン類縁体は、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44から成る群から選ばれる配列を含む。
【0219】
一つの実施態様によると、配列番号33のグルカゴンペプチド類縁体が提供され、ここで、前記類縁体は、位置1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21および27から選択される1〜3個のアミノ酸により配列番号33と異なるが、但し、位置16アミノ酸がセリンである場合、位置20はリシンであるか、またはラクタム架橋は、位置24のアミノ酸と、位置20若しくは位置28のアミノ酸との間に形成されることを条件とする。一つの実施態様によると、類縁体は、位置1、2、3、21および27から選択される1〜3個のアミノ酸により配列番号33と異なっている。一つの実施態様において、配列番号33のグルカゴンペプチドは、1若しくは2個のアミノ酸による配列、または一つの実施態様では、位置1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21および27から選択される単一のアミノ酸による配列で異なっているが、但し、位置16のアミノ酸がセリンである場合、位置20はリシンであるか、またはラクタム架橋は、位置24のアミノ酸と、位置20若しくは位置28のアミノ酸との間に形成されることを条件とする。
【0220】
別の実施態様によると、NH−His−Ser−Xaa−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号53)の配列を含む相対的に選択性のGLP−1受容体アゴニストが提供され、ここで、位置3のXaaは、Glu、OrnまたはNleから成るアミノ酸の群より選択され、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置20のXaaは、GlnまたはLysであり、位置24のXaaは、GlnまたはGluであり、位置28のXaaは、Asn、Lysまたは酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thr、Glyまたは酸性アミノ酸であり、そしてRは、COOH、CONH、配列番号26または配列番号29であるが、但し、位置16がセリンである場合、位置20はLysであるか、あるいは位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、位置20または位置28のいずれかはLysであることを条件とする。一つの実施態様において、位置3のアミノ酸はグルタミン酸である。一つの実施態様において、位置28および/または位置29で置換されている酸性アミノ酸は、アスパラギン酸またはグルタミン酸である。一つの実施態様において、コアゴニストペプチドを含むグルカゴンペプチドは、配列番号33の配列を含み、ペプチドのカルボキシ末端に付加されている付加酸性アミノ酸を更に含む。更なる実施態様において、グルカゴン類縁体のカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸基の代わりにアミドを有する。
【0221】
一つの実施態様によると、下記:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号34)から成る群から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln,ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置20のXaaは、GlnまたはLysであり、位置24のXaaは、GlnまたはGluであり、位置28のXaaは、Asn、AspまたはLysであり、Rは、COOHまたはCONHであり、位置29のXaaは、ThrまたはGlyであり、そしてRはCOOH、CONH、配列番号26または配列番号29であるが、但し、位置16がセリンである場合、位置20はLysであるか、あるいは位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、位置20または位置28のいずれかはLysであることを条件とする。一つの実施態様において、RはCONHであり、位置15のXaaはAspであり、位置16のXaaは、Glu、Gln、ホモグルタミン酸およびホモシステイン酸から成るアミノ酸の群より選択され、位置20および24のXaaは、それぞれGlnであり、位置28のXaaは、AsnまたはAspであり、そして位置29のXaaは、Thrである。一つの実施態様において、位置15および16のXaaは、それぞれGluであり、位置20および24のXaaは、それぞれGlnであり、位置28のXaaは、AsnまたはAspであり、位置29のXaaはThrであり、そしてRはCONHである。
【0222】
天然グルカゴンペプチドの特定の位置は、母体となるペプチドの活性の少なくとも一部分を保持しつつ、修飾できることが報告されている。したがって、出願者たちは、配列番号11のペプチドの位置2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、24、27、28又は29に配置された1個以上のアミノ酸を、天然グルカゴンペプチドに存在するものと異なるアミノ酸で置換することができ、依然としてグルカゴン受容体に対する活性を保持することができると予測する。一つの実施態様において、天然ペプチドの位置27に存在するメチオニン残基は、ペプチドの酸化分解を防止するために、ロイシン又はノルロイシンに変えられる。別の実施態様において、位置20のアミノ酸は、Lys、Arg、Orn、若しくはシトルリンで置換されている、及び/又は、位置21は、Glu、ホモグルタミン酸、若しくはホモシステイン酸で置換されている。
【0223】
一実施態様では、配列番号20のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、27、28、または29から選ばれる1乃至6個のアミノ酸は配列番号1の対応アミノ酸とは異なるグルカゴン類縁体が提供されるが、ただし、位置16のアミノ酸がセリンである場合、位置20はLysであること、あるいはまた、位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、且つ位置20または位置28のいずれかがLysであることを条件とする。別の実施態様によれば、配列番号20のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、28、または29から選ばれる1乃至3個のアミノ酸が配列番号1の対応アミノ酸とは異なる、グルカゴン類縁体が提供される。別の実施態様では、配列番号8、配列番号9、または配列番号11のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、または21から選ばれる1乃至2個のアミノ酸が配列番号1の対応アミノ酸とは異なるグルカゴン類縁体が提供され、さらに別の実施態様では、前記1乃至2個の異なるアミノ酸は、天然のグルカゴン配列(配列番号1)に存在するアミノ酸に対し、保存的アミノ酸置換を表す。一実施態様では、配列番号12、配列番号13、配列番号14、または配列番号15のグルカゴンペプチドであって、位置2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、または29の位置から選ばれる位置に、一つ、二つ、または三つのアミノ酸置換をさらに含む、グルカゴンペプチドが提供される。一実施態様では、位置2、5、7、10、11、13、14、16、17、18、19、20、21、27、または29における置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0224】
一つの実施態様によると、配列番号33の配列の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで変種の位置16、17、18、20、21、23、24、27、28および29のそれぞれから選択される1〜10個のアミノ酸は、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっている。一つの実施態様によると、配列番号33の配列の変種が提供され、ここで変種は、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、Ala24、Val27およびGly29から成る群から選ばれる1個以上のアミノ酸置換により配列番号33と異なっている。一つの実施態様によると、配列番号33の配列の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで変種の位置17〜26から選択される1〜2個のアミノ酸は、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっている。一つの実施態様によると、配列番号33の配列の変種が提供され、ここで変種は、Gln17、Alal8、Glu21、Ile23およびAla24から成る群から選ばれるアミノ酸置換により配列番号33と異なっている。一つの実施態様によると、配列番号33の配列の変種が提供され、ここで変種は、位置18のアミノ酸置換により配列番号33と異なっており、置換アミノ酸は、Ala、Ser、ThrおよびGlyから成る群から選ばれる。一つの実施態様によると、配列番号33の配列の変種が提供され、ここで変種は、位置18のAlaのアミノ酸置換により配列番号33と異なっている。そのような変種は、配列番号55に包含される。別の実施態様において、配列番号33の配列の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで変種の位置17〜22から選択される1〜2個のアミノ酸は、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっており、更なる実施態様において、配列番号33の変種が提供され、ここで変種は、位置20および20の1または2個のアミノ酸置換により配列番号33と異なっている。一つの実施態様によると、下記の配列:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号51)を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸またはホモシステイン酸であり、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸またはホモシステイン酸であり、位置20のXaaは、Gln、Lys、Arg、Ornまたはシトルリンであり、位置21のXaaは、Asp、Glu、ホモグルタミン酸またはホモシステイン酸であり、位置24のXaaは、GlnまたはGluであり、位置28のXaaは、Asn、Lysまたは酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thrまたは酸性アミノ酸であり、そしてRは、COOHまたはCONHである。一つの実施態様において、RはCONHである。一つの実施態様において、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号47、配列番号48または配列番号49の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで変種は、位置20でのアミノ酸置換により前記配列と異なっている。一つの実施態様において、位置20へのアミノ酸置換は、Lys、Arg、Ornまたはシトルリンから成る群から選ばれる。
【0225】
一つの実施態様において、配列番号34の類縁体ペプチドを含むグルカゴンアゴニストが提供され、ここで類縁体は、位置2にセリン以外のアミノ酸を有することにより配列番号34と異なっている。一つの実施態様において、セリン残基は、アミノイソ酪酸、D−アラニンで置換されており、一つの実施態様において、セリン残基は、アミノイソ酪酸で置換されている。そのような修飾は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断を抑制し、同時に親化合物の固有の効力(例えば、親化合物の効力の少なくとも75、80、85、95%またはそれ以上)を保持する。一つの実施態様において、類縁体の溶解性は、例えば、天然グルカゴンのC末端部分、好ましくはC末端から位置27まで、への1、2、3個またはそれ以上の荷電アミノ酸の導入により増加される。例示的な実施態様において、1、2、3個または全ての荷電アミノ酸は、負に帯電している。別の実施態様において、類縁体は、位置28若しくは29の天然アミノ酸の酸性アミノ酸による置換、または配列番号34のペプチドのカルボキシ末端に付加された酸性アミノ酸を更に含む。
【0226】
一つの実施態様において、本明細書に開示されているグルカゴン類縁体は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を低減するために、位置1または2において更に修飾されている。一つの実施態様において、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15のグルカゴン類縁体が提供され、ここで類縁体は、位置2での置換により母体分子と異なり、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して低減された感受性(すなわち、耐性)を示す。さらに具体的には、一つの実施態様において、類縁体ペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、アミノN−酪酸、グリシン、N−メチルセリンおよびアミノイソ酪酸から成る群から選ばれるアミノ酸で置換されている。一つの実施態様において、類縁体ペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、グリシン、N−メチルセリンおよびアミノイソ酪酸から成る群から選ばれるアミノ酸で置換されている。別の実施態様において、類縁体ペプチドの位置2は、D−セリン、グリシンおよびアミノイソ酪酸から成る群から選ばれるアミノ酸で置換されている。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号21または配列番号22の配列を含む。
【0227】
一つの実施態様において、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15のグルカゴン類縁体が提供され、ここで類縁体は、位置1での置換により母体分子と異なり、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対して低減された感受性(すなわち、耐性)を示す。さらに具体的には、類縁体ペプチドの位置1は、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジンおよびホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸で置換されている。別の実施態様において、配列番号34の類縁体ペプチドを含むグルカゴンアゴニストが提供され、ここで類縁体は、位置1にヒスチジン以外のアミノ酸を有することにより配列番号34と異なっている。一つの実施態様において、類縁体の溶解性は、例えば、天然グルカゴンのC末端部分、好ましくはC末端の位置から位置27まで、への1、2、3個またはそれ以上の荷電アミノ酸の導入により増加される。例示的な実施態様において、1、2、3個または全ての荷電アミノ酸は、負に帯電している。別の実施態様において、類縁体は、位置28若しくは29の天然アミノ酸の酸性アミノ酸による置換、または配列番号34のペプチドのカルボキシ末端に付加された酸性アミノ酸を更に含む。一つの実施態様において、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸またはグルタミン酸である。
【0228】
一つの実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号20の配列を含み、1個のアミノ酸の付加カルボキシ末端延長部または配列番号26、配列番号27および配列番号28から成る群から選ばれるペプチドを更に含む。単一のアミノ酸が配列番号20のカルボキシ末端に付加される実施態様において、アミノ酸は典型的には20個の一般的なアミノ酸のうちの1個から選択され、一つの実施態様において、付加的カルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。一つの実施態様において、付加アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸およびグリシンから成る群から選ばれる。
【0229】
代替的な実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、ペプチドは、グルタミン酸残基とリシン残基の側鎖同士の間に形成された少なくとも一つのラクタム環を含み、グルタミン酸残基とリシン残基は、3個のアミノ酸により隔てられている。一実施態様では、ラクタム含有グルカゴンペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。さらに具体的には、一つの実施態様では、下記から成る群から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含むグルカゴンおよびGLP−1コアゴニストが提供される:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号66)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号67)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号68)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Xaa−R(配列番号69)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−R(配列番号16)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Thr−R(配列番号17)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Thr−R(配列番号18)
上記配列において、位置28のXaa=AspまたはAsn、位置29のXaaは、ThrまたはGlyであり、Rは、COOH、CONH2、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、配列番号26、配列番号27、および配列番号28から成る群から選ばれ、ラクタム架橋は、配列66の場合は、位置12のLysおよび位置16のGluの間に形成され、配列67の場合は、位置16のGluおよび位置20のLysの間に形成され、配列68の場合は、位置20のLysおよび位置24のGluの間に形成され、配列69の場合は、位置24のGluおよび位置28のLysの間に形成され、配列16の場合は、位置12のLysおよび位置16のGluの間、および、位置20のLysおよび位置24のGluの間に形成され、配列17の場合は、位置12のLysおよび位置16のGluの間、および、位置24のGluおよび位置28のLysの間に形成され、配列18の場合は、位置16のGluおよび位置20のLysの間、および、位置24のGluおよび位置28のLysの間に形成される。一つの実施態様において、Rは、COOH、CONH、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシンから成る群より選択され、位置28のアミノ酸はAsnであり、位置29のアミノ酸はトレオニンである。一つの実施態様において、RはCONHであり、位置28のアミノ酸はAsnであり、位置29のアミノ酸はトレオニンである。別の実施態様において、Rは、配列番号26、配列番号29および配列番号65から成る群より選択され、位置29のアミノ酸はグリシンである。
【0230】
更なる実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17および配列番号18から成る群より選択され、ここでペプチドは、配列番号26、配列番号27および配列番号28から成る群から選ばれる1個アミノ酸またはペプチドの付加的カルボキシ末端延長部を更に含む。一つの実施態様において、末端延長部は、配列番号26、配列番号29または配列番号65の配列を含み、グルカゴンペプチドは、配列番号55の配列を含む。一つの実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号33の配列を含み、ここで、位置16のアミノ酸はグルタミン酸であり、位置20のアミノ酸はリシンであり、位置28のアミノ酸はアスパラギンであり、配列番号26または配列番号29のアミノ酸配列は、配列番号33のカルボキシ末端に結合している。
【0231】
単一のアミノ酸が配列番号20のカルボキシ末端に付加される実施態様において、アミノ酸は典型的には20個の一般的なアミノ酸のうちの1個から選択され、一つの実施態様において、アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。一つの実施態様において、付加アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸およびグリシンから成る群から選ばれる。グルカゴンアゴニスト類縁体がカルボキシ末端延長部を更に含む実施態様において、延長部のカルボキシ末端アミノ酸は、一つの実施態様において、カルボン酸ではなくアミド基またはエステル基で終わる。
【0232】
別の実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−CONH(配列番号19)の配列を含み、ここで位置30のXaaは、任意のアミノ酸を表す。一つの実施態様において、Xaaは、20個の一般的なアミノ酸のうちの1個から選択され、一つの実施態様において、アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸またはグリシンである。このペプチドの溶解性は、配列番号19の位置17、21、24または30のアミノ酸の側鎖にPEG鎖を共有結合することによって、更に改善することができる。更なる実施態様において、ペプチドは、配列番号26、配列番号27および配列番号28から成る群から選ばれるペプチドの付加的なカルボキシ末端延長部を含む。一つの実施態様によると、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号30、配列番号31および配列番号32の配列を含む。
【0233】
配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号64のグルカゴン配列への付加的な部位特異的内部修飾を行って、多様な程度のGLP−1アゴニズムを有する一連のグルカゴンアゴニストを生じることができる。したがって、それぞれの受容体において実質的に同一のインビトロ効力を有するペプチドが調製され、特徴決定される。同様に、2つの受容体それぞれにおいて選択的に10倍増強された効力を有するペプチドが同定され、特徴決定されている。上記に示したように、グルタミン酸による位置16のセリン残基の置換は、グルカゴンとGLP−1の両方の受容体に対する天然グルカゴンの効力を増強するが、グルカゴン受容体に対しておよそ10倍の選択性を維持する。加えて、グルタミン酸で位置3の天然グルタミンを置換することによって(配列番号22)、GLP−1受容体に対しておよそ10倍の選択性を示すグルカゴン類縁体を生成する。
【0234】
グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストペプチドの位置16、17、21および24に親水性基を導入することにより、またはグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストペプチドのカルボキシ末端へ単一修飾アミノ酸(すなわち、親水性基を含むように修飾されたアミノ酸)を付加することにより、天然グルカゴンに対する高い生物学的活性を保持しながら、生理学的pHの水溶液における溶解性を更に増強することができる。一つの実施態様によると、親水性基は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む。さらに具体的には、一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17また配列番号18の配列を含み、ここで、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの位置16、17、21、24のアミノ酸またはC末端アミノ酸の側鎖に共有結合しているが、但し、ペプチドが配列番号10、配列番号11、配列番号12または配列番号13を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、位置17、21または24のアミノ酸残基に共有結合しており、ペプチドが配列番号14または配列番号15を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、位置16、17または21のアミノ酸残基に共有結合しており、ペプチドが配列番号16、配列番号17または配列番号18を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、位置17または21のアミノ酸残基に共有結合していることを条件とする。
【0235】
一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12または配列番号13の配列を含み、ここで、PEG鎖が、グルカゴンペプチドの位置17、21、24のアミノ酸またはC末端アミノ酸の側鎖に共有結合しており、ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸基の代わりにアミド基を有する。一つの実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19から成る群から選ばれる配列を含み、ここで、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの配列番号12、配列番号13および配列番号19の位置17、21若しくは24、または配列番号14および配列番号15の位置16、17若しくは21、または配列番号16、配列番号17および配列番号18の位置17若しくは21のアミノ酸の側鎖に共有結合している。別の実施態様において、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号11または配列番号19の配列を含み、ここでPEG鎖は、グルカゴンペプチドの位置17、21若しくは24のアミノ酸、またはC末端アミノ酸の側鎖に共有結合している。
【0236】
一つの実施態様によると、先行段落において但し書きで限定されているように、グルカゴンコアゴニストペプチドは修飾されて、位置16、17、21、24若しくは29またはC末端アミノ酸に1個以上のアミノ酸置換を含有し、ここで天然アミノ酸は、例えばPEGを含む親水性部分との架橋に適している側鎖を有するアミノ酸で置換されている。天然ペプチドを、天然型のアミノ酸または合成(非天然型の)アミノ酸で置換することができる。合成または非天然型アミノ酸は、インビボで天然に生じないが、それでも、本明細書に記載されるペプチド構造に組み込むことができるアミノ酸を意味する。あるいは、例えばPEGを含む親水性部分との架橋に適している側鎖を有するアミノ酸を、本明細書に開示されているグルカゴン類縁体のいずれかのカルボキシ末端に付加することができる。一つの実施態様によると、16、17、21、24または29から成る群から選ばれる位置で、天然アミノ酸を、リシン、システイン、オルチニン、ホモシステインおよびアセチルフェニルアラニンから成る群から選ばれるアミノ酸に代えるアミノ酸置換を、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストにおいて行い、ここで置換アミノ酸は、アミノ酸の側鎖に共有結合しているPEG鎖を更に含む。一つの実施態様において、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19から成る群から選ばれるグルカゴンペプチドは、更に修飾されて、グルカゴンペプチドの位置17または21のアミノ酸の側鎖に共有結合しているPEG鎖を含む。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号26、配列番号27または配列番号29の配列を更に含む。
【0237】
別の実施態様において、グルカゴンペプチドは配列番号55または配列番号56の配列を含み、配列番号55または配列番号56のC末端アミノ酸に結合している配列番号26、配列番号29または配列番号65のC末端延長部を更に含み、場合により、ペプチドの位置17、18、21、24若しくは29のアミノ酸の側鎖またはC末端アミノ酸に共有結合しているPEG鎖を更に含んでもよい。別の実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号55または配列番号56を含み、ここで、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの位置21または24のアミノ酸の側鎖に共有結合しており、ペプチドは、配列番号26または配列番号29のC末端延長部を更に含む。
【0238】
別の実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号55または配列番号33または配列番号34の配列を含み、ここで、付加アミノ酸は、配列番号33または配列番号34のカルボキシ末端に付加され、PEG鎖は、付加アミノ酸の側鎖に共有結合している。更なる実施態様において、ペグ化グルカゴンペプチドは、配列番号33または配列番号34のC末端アミノ酸に結合している配列番号26または配列番号29のC末端延長部を更に含む。別の実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号19の配列を含み、ここで、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの位置30のアミノ酸の側鎖に共有結合しており、ペプチドは、配列番号19のC末端アミノ酸に結合している配列番号26または配列番号29のC末端延長部を更に含む。
【0239】
ポリエチレングルコール鎖は、直鎖の形態であってもよいし、分岐鎖であってもよい。一つの実施態様によると、ポリエチレングリコール鎖は、約500〜約10,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。代替的な実施態様において、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000〜約20,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。一つの実施態様によると、ペグ化グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドに共有結合している2つ以上のポリエチレン鎖を含み、ここでグルカゴン鎖の総分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアゴニストは、配列番号5から構成されるペプチドまたは配列番号5のグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、ここで、PEG鎖は位置21および位置24のアミノ酸残基に共有結合しており、2つのPEG鎖の合わせた分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。
【0240】
特定の例示的な実施態様において、グルカゴンペプチドは、10個までのアミノ酸修飾を有する配列番号1のアミノ酸配列を含み、アシル化またはアルキル化されている位置10のアミノ酸を含む。幾つかの実施態様において、位置10のアミノ酸は、C4〜C30脂肪酸でアシル化またはアルキル化されている。特定の態様において、位置10のアミノ酸は、天然型のアミノ酸に対して非天然であるアシル基またはアルキル基を含む。
【0241】
特定の実施態様において、アシル化またはアルキル化されている位置10のアミノ酸を含むグルカゴンペプチドは、安定化されたアルファ−へリックスを含む。したがって、特定の態様において、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載されているアシルまたはアルキル基、および分子内架橋、例えば位置iのアミノ酸と位置i+4のアミノ酸の側鎖同士の間の共有分子内架橋(例えば、ラクタム架橋)を含み、ここでiは、12、16、20または24である。代替的にまたは追加的に、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載されているアシルまたはアルキル基を含み、グルカゴンペプチドの位置16、20、21および/または24のうちの1、2、3つまたはそれ以上の位置は、α,α−二置換アミノ酸、例えばAIBにより置換されている。幾つかの場合において、非天然グルカゴンペプチドは、位置16のGluおよび位置20のLysを含み、ここで、場合によりラクタム架橋がGluとLysを結合してもよく、場合によりグルカゴンペプチドは、位置17のGln、位置18のAla、位置21のGlu、位置23のIleおよび位置24のAlaから成る群から選ばれる一つ以上の修飾を更に含んでもよい。
【0242】
また、グルカゴンペプチドが、アシル化またはアルキル化されている位置10のアミノ酸を含む実施態様のいずれかにおいて、グルカゴンペプチドは、C末端アルファカルボキシレートの代わりにC末端アミドを更に含むことができる。
【0243】
幾つかの実施態様において、本明細書に記載されているアシルまたはアルキル基を含むグルカゴンペプチドは、位置1、位置2または位置1および2のアミノ酸置換を更に含み、ここでアミノ酸置換(単数または複数)は、DPP−IVプロテアーゼ耐性を達成する。例えば、位置1のHisを、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジンおよびホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸で置換することができる。代替的にまたは追加的に、位置2のSerを、D−セリン、アラニン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニンおよびアミノイソ酪酸から成る群から選ばれるアミノ酸で置換することができる。
【0244】
本明細書に記載されているようにアシル化またはアルキル化されている位置10のアミノ酸を含むグルカゴンペプチドは、配列番号1に実質的に関連する任意のアミノ酸配列を含むことができる。例えば、グルカゴンペプチドは、10個までのアミノ酸修飾(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の修飾)を有する配列番号1を含む。特定の実施態様において、アシル化またはアルキル化グルカゴンペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と25%を超える相同性(例えば、配列番号1と例えば30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはほぼ100%の相同性)がある。特定の特別な実施態様において、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載されているようにアシル化またはアルキル化されている位置10のアミノ酸を有する配列番号55を含むものである。グルカゴンペプチドは、配列番号55、1または2個のアミノ酸修飾を有する55、2〜4、9〜18、20、23〜25、33、40〜44、53、56、61、62、64、66〜514および534のいずれかであることができる。
【0245】
これらの実施態様のアシルまたはアルキル基は、本明細書に記載されている任意のアシルまたはアルキル基であることができる。例えば、アシル基は、C4〜C30(例えば、C8〜C24)脂肪アシル基であることができ、アルキル基は、C4〜C30(例えば、C8〜C24)アルキル基であることができる。
【0246】
アシルまたはアルキル基が結合しているアミノ酸は、本明細書に記載されている任意のアミノ酸、例えば、式I(例えば、Lys)、式IIおよび式IIIのいずれかのアミノ酸であることができる。
【0247】
幾つかの実施態様において、アシル基またはアルキル基は、位置10のアミノ酸に直接結合している。幾つかの実施態様において、アシルまたはアルキル基は、例えば3〜10原子長のスペーサー、例えばアミノ酸またはジペプチドのようなスペーサーを介して、位置10のアミノ酸に結合している。アシルまたはアルキル基を結合する目的に適したスペーサーは、本明細書に記載されている。
【0248】
<使用>
実施例に詳細に記載されているように、本発明のグルカゴンアゴニストは、増強された生物物理学的安定性および水溶性を有し、同時に天然ペプチドと比べて増強された生体活性を示す。したがって、本発明のグルカゴンアゴニストは、天然グルカゴンペプチドについて既に記載されてきたあらゆる使用に適していると考えられる。したがって、本発明のグルカゴンアゴニストは、天然グルカゴンペプチドについて既に記載されてきたあらゆる使用に適していると考えられる。したがって、本明細書に記載されている修飾グルカゴンペプチドを、低血糖症を治療すること、血中グルコースレベルを増加すること、放射線用途において腸管に一過性麻痺を誘導すること、体重を低減及び維持すること、インスリンの補助療法として、又は、グルカゴンの低血中レベルによりもたらされる他の代謝疾患を治療すること、に使用できる。本明細書に記載されているグルカゴンペプチドは、体重を低減若しくは維持すること、高血糖症を治療すること、血中グルコースレベルを低減すること、又は、血中グルコースレベルを正常化すること、に使用できることも予測される。
【0249】
本発明のグルカゴンペプチドを、単独で、又は他の抗糖尿病又は抗肥満剤と組み合わせて投与することができる。当該技術において既知であるか又は調査中の抗糖尿病剤としては、以下のものが挙げられる:インスリン;トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロルプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブリド(Diabeta, Micronase, Glynase)、グリメピリド(Amaryl)又はグリクラジド(Diamicron)のようなスルホニル尿素;レパグリニド(Prandin)又はナテグリニド(Starlix)のようなメグリチニド;メトホルミン(Glucophage)又はフェンホルミンのようなビグアナイド;ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)若しくはトログリタゾン(Rezulin)又は他のPPARγインヒビターのようなチアゾリジンジオン;ミグリトール(Glyset)、アルカボース(Precose/Glucobay)のような炭水化物の消化を阻害するアルファグルコシダーゼインヒビター;エクセナチド(Byetta)又はプラムリンチド;ビルダグリプチン又はシタグリプチンのようなジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)インヒビター;SGLT(ナトリウム依存性グルコーストランスポーター1)インヒビター;グルコキナーゼアクチベーター(GKA);グルカゴン受容体アンタゴニスト(GRA);又はFBPase(フルクトース1,6−ビスホスファターゼ)インヒビター。
【0250】
当該技術において既知であるか又は調査中の抗肥満剤としては、以下のものが挙げられる:フェネチルアミン型刺激薬、フェンテルミン、(場合により、フェンフルラミン又はデクスフェンフルラミンを伴う)、ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(Prelu-2(登録商標)、Bontril(登録商標))、ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、シブトラミン(Meridia(登録商標)、Reductil(登録商標))を含む食欲抑制薬;リモナバン(Acomplia(登録商標))、他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;塩酸フルオキセチン(Prozac);Qnexa(トピラメート及びフェンテルミン)、Excalia(ブプロピオン及びゾニサミド)又はContrave(ブプロピオン及びナルトレキソン);或いは、ゼニカル(Orlistat)若しくはCetilistat (ATL-962としても知られている)又はGT 389-255と類似しているリパーゼインヒビター類。
【0251】
本開示の一つの態様は、低血糖症の治療に使用される本開示のグルカゴンアゴニストの予備処方水性液剤を対象とする。本明細書に記載されているアゴニスト組成物の向上した安定性及び/又は溶解性は、迅速な投与及び低血糖症の治療のためのグルカゴンの予備処方水性液剤の調製を可能にする。したがって、一つの実施態様において、本明細書に記載されているペグ化グルカゴンアゴニストを含む液剤が、低血糖症に罹患している患者に投与するために提供され、ここでペグ化グルカゴンアゴニストに結合しているPGE鎖の総分子量は、約500〜約5,000ダルトンである。一つの実施態様において、ペグ化グルカゴンアゴニストは、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25、並びに、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25のグルカゴンアゴニスト類縁体、又は、配列番号20の配列を含むグルカゴンのペグ化ラクタム類縁体、からなる群より選択されるペプチドを含み、ここで前記グルカゴンペプチドのアミノ酸残基の側鎖は、ポリエチレングリコール鎖に共有結合している。
【0252】
本発明による治療方法(低血糖症の治療を含むが、これに限定されない)は、静脈内、腹腔内、皮下若しくは筋肉内のような非経口、鞘内、経皮、直腸内、経口、鼻腔内又は吸入を含む、任意の標準的投与経路を使用して、本開示のグルカゴンアゴニストを患者に投与する工程を含むことができる。一つの実施態様において、組成物は皮下又は筋肉内投与される。一つの実施態様において、組成物は非経口投与され、グルカゴン組成物はシリンジの中に包装される。別の実施態様において、組成物は、吸入器又は他のエアゾール化薬剤送達装置に予め包装されている。
【0253】
驚くべきことに、母体ペプチドの生物活性と特異性を保持するような、ペグ化されたグルカゴンペプチドを調製できることを、出願者らは見出していた。しかし、PEG鎖の長さを伸ばすか、ペプチドに複数のPEG鎖を結合して、結合したPEGの総分子量を5,000ダルトンより大きくすると、修飾グルカゴンの作用の時間が遅れ始める。一実施態様によれば、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25のグルカゴンペプチド、若しくはそのグルカゴンアゴニスト類縁体、又は、配列番号20の配列を含むグルカゴンのペグ化ラクタム類縁体、が提供され、ここで、ペプチドは1つ以上のポリエチレングリコール鎖を含み、結合したPEGの総分子量は5,000ダルトンより大きく、一実施態様においては10,000ダルトンより大きいが40,000ダルトン未満である。そのような修飾グルカゴンペプチドは、生物活性を失うことなく、活性の時間が遅延又は延長している。従って、そのような組成物を予防的に投与して、投与したグルカゴンペプチドの効果を延長することができる。
【0254】
10,000ダルトンより大きい分子量を有するPEG鎖を共有結合させて修飾したグルカゴンペプチドは、インシュリンと共に投与して、インシュリンの作用を緩衝し、糖尿病患者における血中グルコースレベルを安定に維持する助けとすることができる。本開示の修飾グルカゴンペプチドは、インシュリンと共に、単一の組成物として、あるいは別々の溶液として、同時に投与することができ、あるいは、インシュリンと修飾グルカゴンペプチドとは互いに異なる時期に投与することもできる。一実施態様においては、インシュリンを含む組成物と修飾グルカゴンペプチドを含む組成物は互いに12時間以内の間隔で投与される。投与したインシュリンに対する修飾グルカゴンペプチドの正確な比率は、患者のグルカゴンレベルを決定することに部分的に依存し、日常的な実験手法を通じて決定することができる。
【0255】
一実施態様によれば、インシュリンと、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらのグルカゴンアゴニスト類縁体から成るグループから選ばれる修飾グルカゴンペプチドとを含む組成物が提供されるが、ここで、修飾グルカゴンペプチドはさらに位置17、21、若しくは24、又は位置21と24のアミノ酸側鎖に共有結合したポリエチレングリコール鎖を含む。一実施態様において、組成物はインシュリンとグルカゴン類縁体とを含む水溶液である。グルカゴンペプチドが配列番号24または配列番号25の配列を含むような実施態様においては、ポリエチレングリコール鎖は、グルカゴンペプチドの位置21または24に共有結合している。一実施態様においては、ポリエチレングリコール鎖は約10,000〜約40,000の分子量を有する。
【0256】
一つの実施態様によると、本明細書に開示されている修飾グルカゴンペプチドは、腸管の一過性麻痺の誘導に使用される。この方法は、放射線学の目的において有用性を有し、ペグ化グルカゴンペプチド、C末端延長部を含むグルカゴンペプチド、又はそのようなペプチドの二量体を含む医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群より選択される配列を含む。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、更に、位置21又は24に共有結合している、約1,000〜40,000ダルトンのPEG鎖を含む。一つの実施態様において、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群より選択される。一つの実施態様において、PEG鎖は、約500〜約5,000ダルトンの分子量を有する。
【0257】
更なる実施態様において、腸管の一過性麻痺を誘導するのに使用される組成物は、第1の修飾グルカゴンペプチドと第2の修飾グルカゴンペプチドとを含む。第1修飾ペプチドは、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25からなる群より選択される配列を含み、更に、約500〜約5,000ダルトンのPEG鎖に結合していてもよく、第2ペプチドは、約10,000〜約40,000ダルトンのPEG鎖と共有結合した、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25からなる群より選択される配列を含む。この実施態様において、それぞれのペプチドのPEG鎖は、それぞれのペプチドの位置21、24若しくは29のいずれかに、互いに独立して、共有結合している。
【0258】
小腸において見出された天然型の消化ホルモンであるオキシントモジュリンは、ラット又はヒトに投与されたときに減量を引き起こすことが報告されている(Diabetes 2005; 54:2390-2395を参照すること)。オキシントモジュリンは、グルカゴン(すなわち、配列番号1)の29アミノ酸配列と、その後に続く配列番号27(KRNRNNIA)の8アミノ酸カルボキシ末端延長部とを有する、37アミノ酸ペプチドである。したがって、出願者たちは、オキシントモジュリンのグルカゴンペプチド部分を本明細書に開示されている修飾グルカゴンペプチドで置換することによって、オキシントモジュリンの生体活性(すなわち、食欲抑制及び減量/体重維持の誘導)を保持しつつ、化合物の溶解性及び安定性を改善し、薬物動態を改善することができると考える。加えて、出願者たちは、本発明のグルカゴンペプチドを含み、オキシントモジュリンの4個の末端アミノ酸が除去されている、切断型オキシントモジュリン分子もまた、食欲の抑制及び減量/体重維持の誘導に有効であると考える。
【0259】
したがって、本発明は、配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のカルボキシ末端延長部を有する本発明の修飾グルカゴンペプチドも包含する。これらの化合物は、減量の誘発誘導、または体重増加の阻止のために、個体に対し投与することが可能である。一つの実施態様によると、アミノ酸29に結合している配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のアミノ酸配列を更に含む、配列番号33又は配列番号20のグルカゴンアゴニスト類縁体が、減量を誘導する又は体重増加を予防するために、個人に投与される。さらに具体的には、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、および配列番号15から成る群から選ばれる配列を含み、アミノ酸29に、配列番号27(KRNRNNIA)または配列番号28のアミノ酸配列が更に結合している。
【0260】
エキセンディン−4は、39アミノ酸から構成されるペプチドである。これは、GLP−1という名の受容体に対する強力な刺激因子である。このペプチドも、食欲を抑え、減量を誘導することが報告されている。本出願人らは、エキセンディン−4の末端配列は、グルカゴンのカルボキシ末端に付加されると、グルカゴンの生体活性を損なうことなくグルカゴンの可溶性および安定性を強化することを見出した。一実施態様では、エキセンディン−4の末端の10アミノ酸(すなわち、配列番号26の配列(GPSSGAPPPS))が、本開示のグルカゴンペプチドのカルボキシ末端に結合される。これらの融合タンパクは、食欲の抑制および減量/体重維持の誘導をもたらす薬理学的活性を有することが期待される。一実施態様によれば、配列番号33または配列番号20のグルカゴンアゴニスト類縁体であって、アミノ酸29に配列番号26(GPSSGAPPPS)または配列番号29のアミノ酸配列が更に結合したグルカゴンペプチドが、個体に対し、減量の誘導、または体重増加の阻止のために投与される。さらに具体的には、該グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号55、および配列番号56から成る群から選ばれる配列を含み、さらに、アミノ酸29に連結した、配列番号26(GPSSGAPPPS)または配列番号29のアミノ酸配列を含む。一実施態様では、投与されるグルカゴンペプチド類縁体は、配列番号64の配列を含む。
【0261】
<多量体>
本開示はまた、本明細書に記載の修飾グルカゴンペプチドの多量体も包含する。2つ以上の修飾グルカゴンペプチドを、標準的な架橋剤と当業者に周知の手順を用いて互いに結合できる。例えば、2つの修飾グルカゴンペプチドの間で、特にシステイン、リジン、オルニチン、ホモシステインまたはアセチルフェニルアラニン残基で置換されたグルカゴンペプチド(例えば配列番号3や配列番号4)の場合、二官能性チオールクロスリンカーや二官能性アミンクロスリンカーを用いることにより、二量体を形成することができる。二量体はホモ二量体であってもよく、あるいはまたヘテロ二量体であってもよい。特定の実施態様において、2つ(またはそれ以上)のグルカゴンペプチドを連結するリンカーは、PEG、例えば5kDaのPEG、20kDaのPEGである。幾つかの実施態様において、リンカーはジスルフィド結合である。例えば、二量体のそれぞれのモノマーは、Cys残基(例えば、末端または内部に位置したCys)を含むことができ、それぞれのCys残基の硫黄原子はジスルフィド結合の形成に参加する。本発明の幾つかの態様において、モノマーは、末端アミノ酸(例えば、N末端若しくはC末端)を介して、または内部アミノ酸を介して、または少なくとも一方のモノマーの末端アミノ酸および少なくとももう一方のモノマーの内部アミノ酸を介して連結している。特定の態様において、モノマーはN末端アミノ酸を介して連結してはいない。幾つかの態様において、多量体のモノマーは、各モノマーのC末端アミノ酸が共に結合している「尾−尾」配向で共に結合している。
【0262】
一実施態様では、二量体は、グルカゴン融合ペプチドのホモ二量体であり、そのグルカゴンペプチド部分は、配列番号11または配列番号20と、アミノ酸29に連結する、配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、または配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列とを含む。別の実施態様では、二量体は、配列番号11のグルカゴンアゴニスト類縁体のホモ二量体を含み、該グルカゴンペプチドはさらに、位置21または24に共有結合するポリエチレングリコール鎖を含む。
【0263】
一実施態様によれば、リンカーを介して第2グルカゴンペプチドに結合する、第1グルカゴンペプチドを含む二量体が提供され、ここで、第1グルカゴンペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、および配列番号11から成る群から選ばれるペプチドを含み、第2グルカゴンペプチドは、配列番号20を含む。別の実施態様によれば、リンカーを介して第2グルカゴンペプチドに結合する、第1グルカゴンペプチドを含む二量体、および、その薬学的に受容可能な塩が提供され、ここで、前記第1グルカゴンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11から成る群から選ばれる配列を含み、第2グルカゴンペプチドは、配列番号11を含む。別の実施態様によれば、リンカーを介して第2グルカゴンペプチドに結合する第1グルカゴンペプチドを含む二量体、および、その薬学的に受容可能な塩が提供され、ここで、前記第1グルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から選ばれ、第2グルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、および配列番号18から成る群から独立に選ばれる。一実施態様では、第1グルカゴンペプチドは、配列番号20から成る群から選ばれ、第2グルカゴンペプチドは、配列番号8、配列番号9、および配列番号11から成る群から独立に選ばれる。一実施態様では、二量体は、それぞれが配列番号11のアミノ酸配列を含む二つのペプチドの間に形成される。
【0264】
<キット>
本発明の修飾グルカゴンペプチドを、一つの実施態様に従って、キットの一部として提供することができる。一つの実施態様において、グルカゴンアゴニストを、それを必要とする患者に投与するキットが提供され、ここでキットは、1)配列番号20、配列番号9、配列番号10または配列番号11の配列を含むグルカゴンペプチド;2)配列番号11、配列番号20または配列番号55のグルカゴンアゴニスト類縁体と、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合している配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)または配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列とを含むグルカゴン融合ペプチド;ならびに3)配列番号11または配列番号51のペグ化グルカゴンペプチド、から成る群から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含み、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合している配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)または配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列を更に含み、ここで位置17、21または24に共有結合しているPEG鎖は、約500〜約40,000ダルトンの分子量を有する。一つの実施態様において、キットは、グルカゴン/GLP−1コアゴニストを含み、ここでペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17および配列番号18から成る群から選ばれる配列を含む。
【0265】
一つの実施態様において、キットは、患者にグルカゴン組成物を投与する装置、例えば、シリンジニードル、ペン型装置、ジェット式注射器または他の無針注射器を備える。キットは、代替的また追加的に、場合によりグルカゴンペプチドを凍結乾燥形態または水性液剤形態で含有してもよい一つ以上の容器、例えば、バイアル、チューブ、ボトル、単室または複室充填済シリンジ、カートリッジ、注入ポンプ(体外型または埋め込み型)、ジェット式注射器、充填済ペン型装置などを含むことができる。好ましくは、キットは使用説明書も含む。一つの実施態様によると、キットの装置は、エアゾール・ディスペンサーであり、ここで組成物はエアゾール・ディスペンサー内に予め包装されている。別の実施態様において、キットは、シリンジおよび針を含み、一つの実施態様において、滅菌グルカゴン組成物は、シリンジの中に予め包装されている。
【0266】
<医薬製剤>
一つの実施態様によると、医薬組成物が提供され、組成物は本開示のグルカゴンペプチドまたはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む。医薬組成物は、例えば以下の様な、任意の薬学的に許容される成分を含むことができる:酸化剤、添加剤、吸着剤、エアゾール噴射剤、排気剤、アルキル化剤、凝結防止剤、抗凝固剤、抗菌性保存剤、酸化防止剤、消毒剤、基剤、結合剤、緩衝剤、キレート剤、被覆剤、着色剤、乾燥剤、洗剤、希釈剤、殺菌剤、崩壊剤、分散剤、溶解促進剤、色素、緩和剤、乳化剤、乳化安定剤、充填剤、皮膜形成剤、風味強化剤、風味剤、流動性向上剤、ゲル化剤、造粒剤、保湿剤、潤滑剤、粘膜付着剤、軟膏基剤、軟膏、油性ビヒクル、有機基剤、芳香基剤、顔料、可塑剤、研磨剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定剤、坐薬基剤、表面活性剤、界面活性剤、懸濁剤、甘味剤、治療剤、増粘剤、等張化剤、毒性剤、粘度増加剤、吸水剤、水混和性共溶媒、硬水軟化剤、又は、湿潤剤。
【0267】
幾つかの実施態様において、医薬組成物は、以下の構成成分のうちの任意の1つ又は組み合わせを含む:アカシア、アセスルファムカリウム、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、寒天、アルブミン、アルコール、無水アルコール、変性アルコール、希アルコール、アロイリチン酸、アルギニン酸、脂肪族ポリエステル、アルミナ、水酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アミロペクチン、α−アミロース、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパルテーム、注射用静菌性水、ベントナイト、ベントナイトマグマ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、アルギン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シクラミン酸カルシウム、無水第二リン酸カルシウム、脱水第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、カノーラ油、カルボマー、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、β−カロテン、カラギーナン、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、カチオン性乳化ロウ、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、微晶質セルロース、粉末セルロース、ケイ化微晶質セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、コレステロール、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、クロロジフルオロエタン(HCFC)、クロロジフルオロメタン、クロロフルオロカーボン(CFC)、クロロフェノキシエタノール、クロロキシレノール、コーンシロップ固形物、無水クエン酸、クエン酸一水和物、カカオ脂、着色剤、トウモロコシ油、綿実油、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、クロスカメロースナトリウム、クロスポビドン、シクラミン酸、シクロデキストリン、デキストラン、デキストリン、デキストロース、デキストロース無水物、ジアゾリジニル尿素、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ジエタノールアミン、フタル酸ジエチル、ジフルオロエタン(HFC)、ジメチル−β−シクロデキストリン、Captisol(登録商標)のようなシクロデキストリン型化合物、ジメチルエーテル、フタル酸ジメチル、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ドキュセートカルシウム、ドキュセートカリウム、ドキュセートナトリウム、没食子酸ドデシル、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸、エグルミン、エチルアルコール、エチルセルロース、没食子酸エチル、ラウリン酸エチル、エチルマルトール、オレイン酸エチル、エチルパラビン、エチルパラベンカリウム、エチルパラベンナトリウム、エチルバニリン、フルクトース、フルクトース液、粉砕フルクトース、発熱物質無含有フルクトース、粉末フルクトース、フマル酸、ゼラチン、グリコール、液状グルコース、飽和植物性脂肪酸のグリセリド混合物、グリセリン、ベヘン酸グリセリル、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、自己乳化グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、グリシン、グリコール、グリコフロール、グアーガム、ヘプタフルオロプロパン(HFC)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、高級フルクトースシロップ、ヒト血清アルブミン、炭化水素(HC)、希塩酸、II型硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、2−ヒドロキエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、イミド尿素、インジゴカルミン、イオン交換体、酸化鉄、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、等張食塩水、カオリン、乳酸、ラクチトール、ラクトース、ラノリン、ラノリンアルコール、脱水ラノリン、レクチン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、規定炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム無水物、炭酸マグネシウム水酸化物、水酸化マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム無水物、リンゴ酸、モルト、マルチトール、マルチトール溶液、マルトデキストリン、マルトール、マルトース、マンニトール、中鎖トリグリセリド、メグルミン、メントール、メチルセルロース、メタクリル酸メチル、オレイン酸メチル、メチルパラベン、メチルパラベンカリウム、メチルパラベンナトリウム、微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、鉱油、軽鉱油、鉱油及びラノリンアルコール、油、オリーブ油、モノエタノールアミン、モンモリロナイト、没食子酸オクチル、オレイン酸、パルミチン酸、パラフィン、ヤシ油、ペトロラクタム、ペトロラクタム及びラノリンアルコール、製剤釉薬、フェール、液状フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ポラクリリン、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレート、ポリエチレン−ポリプロピレンブロックポリマー、ポリメタクリレート、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリエチレンヒマシ油誘導体、ポリエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレンステアレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸カリウム、安息香酸カリウム、重炭酸カリウム、重亜硫酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カリウム無水物、リン酸水素カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、プロピオン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ポビドン、プロパノール、プロピオン酸、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、プロピルパラベンカリウム、プロピルパラベンナトリウム、硫酸プロタミン、ナタネ油、リンゲル液、サッカリン、サッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ベニバナ油、サポナイト、血清タンパク質、ゴマ油、コロイドシリカ、コロイド二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水物、塩化ナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、硫酸ドデシルナトリウム、硫酸ラウリルナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、無水第三リン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪エステル)、ソルビトール、70%ソルビトール溶液、ダイズ油、クジラロウ、デンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、滅菌トウモロコシデンプン、ステアリン酸、精製ステアリン酸、ステアリルアルコール、スクロース、糖、圧縮性糖、粉糖、糖球体、転化糖、Sugartab、スーパーイエローFCF、合成パラフィン、タルク、酒石酸、タルトラジン、テトラフルオロエタン(HFC)、カカオ脂、チメロサール、二酸化チタン、アルファトコフェロール、酢酸トコフェリル、アルファトコフェリル酸スクシネート、ベータ−トコフェロール、デルタ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、トラガカント、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリエタノールアミン、クエン酸トリエチル、トリメチル−β−シクロデキストリン、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド、トリス緩衝液、エデト酸三ナトリウム、バニリン、I型硬化植物油、水、軟水、硬水、二酸化炭素無含有水、発熱物質無含有水、注射用水、吸入用滅菌水、注射用滅菌水、潅注用滅菌水、ロウ、アニオン性乳化ロウ、カルナウバロウ、カチオン性乳化ロウ、セチルエステルロウ、微晶質ロウ、非イオン性乳化ロウ、坐剤用ロウ、白ロウ、黄ロウ、白色ペトロラクタム、羊毛脂、キサンタンガム、キシリトール、ゼイン、プロピオン酸亜鉛、亜鉛塩、ステアリン酸亜鉛、又は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Third Edition, A. H. Kibbe (Pharmaceutical Press, London, UK, 2000)(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)における任意の賦形剤。Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)は、薬学的に許容される組成物の配合に使用される多様な構成成分及びそれらを調製する既知の技術を開示する。従来の作用物質のいずれについても、医薬組成物と不適合である場合を除いて、医薬組成物におけるその使用が考慮される。補助活性成分を組成物に組み込むこともできる。
【0268】
本明細書に開示されている医薬製剤は、下記に記載されているように、短期作用、迅速放出、長期作用、又は持続的放出であるように設計することができる。医薬製剤を即時放出、制御放出、又は徐放性放出用として配合することもできる。本組成物は、更に、保存性及び/又は送達効果の延長をもたらすために、例えばミセル若しくはリポソーム、又は他の封入形態を含んでもよいし、或いは延長放出形態で投与してもよい。開示されている医薬製剤を、任意のレジメンに従って、例えば毎日(1日あたり1回、1日あたり2回、1日あたり3回、1日あたり4回、1日あたり5回、1日あたり6回)、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、毎週、隔週、3週間毎に1回、毎月、又は隔月に、投与することができる。
【0269】
幾つかの実施態様において、前述の構成成分は、任意の濃度、例えば少なくともAの濃度、で医薬組成物に含まれてもよく、ここでAは、0.0001%w/v、0.001%w/v、0.01%w/v、0.1%w/v、1%w/v、2%w/v、5%w/v、10%w/v、20%w/v、30%w/v、40%w/v、50%w/v、60%w/v、70%w/v、80%w/v、又は90%w/vである。幾つかの実施態様において、前述の構成成分は、任意の濃度、例えば最大でBの濃度、で医薬組成物に含まれてもよく、ここでBは、90%w/v、80%w/v、70%w/v、60%w/v、50%w/v、40%w/v、30%w/v、20%w/v、10%w/v、5%w/v、2%w/v、1%w/v、0.1%w/v、0.01%w/v、0.001%w/v、又は0.0001%である。他の実施態様において、前述の構成成分は、例えば約Aから約Bのような、任意の濃度範囲で医薬組成物に含まれることができる。幾つかの実施態様において、Aは0.0001%であり、Bは90%である。
【0270】
医薬組成物は、生理学的に適合するpHを達成するように配合することができる。幾つかの実施態様において、医薬組成物のpHは、製剤又は投与経路に応じて、少なくとも5、少なくとも5.5、少なくとも6、少なくとも6.5、少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8、少なくとも8.5、少なくとも9、少なくとも9.5、少なくとも10、又は少なくとも10.5からpH11以下であることができる。特定の実施態様において、医薬組成物は、生理学的に適合するpHを達成するために、1つ以上の緩衝剤を含むことができる。緩衝剤には、所望のpHで緩衝することができる任意の化合物、例えば、リン酸緩衝液(例えばPBS)、トリエタノール、トリス、ビシン、TAPS、トリシン、HEPES、TES、MOPS、PIPES、カコジル酸、MES、及びその他、が含まれていてもよい。特定の実施態様において、緩衝液の強度は、少なくとも0.5mM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも90mM、少なくとも100mM、少なくとも120mM、少なくとも150mM、又は少なくとも200mMである。幾つかの実施態様において、緩衝液の強度は、300mM以下(例えば、最大で200mM、最大で100mM、最大で90mM、最大で80mM、最大70mM、最大で60mM、最大で50mM、最大で40mM、最大で30mM、最大で20mM、最大で10mM、最大で5mM、最大で1mM)である。
【0271】
<位置3の修飾>
本明細書に記載されているグルカゴン類縁体、グルカゴンアゴニスト類縁体、グルカゴンコアゴニストおよびグルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子を含むグルカゴンペプチドのいずれかを、位置3に修飾を含有する、例えばGluで置換されたGlnを含有するように修飾して、グルカゴン受容体に対する選択性と比較して、GLP−1受容体に対して高い選択性、例えば10倍の選択性を有するペプチドを産生することができる。
【0272】
明細書に記載されているグルカゴン類縁体、グルカゴンアゴニスト類縁体、グルカゴンコアゴニストおよびグルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子を含むグルカゴンペプチドのいずれかを、グルカゴン受容体に対する活性を実質的に失うことなく、幾つかの場合にでは、グルカゴン受容体活性の増強を伴って、位置3に修飾を含有する、例えばグルタミン類縁体(例えば、Dab(Ac))で置換されたGlnを含有するように修飾することができる。
【0273】
<調製方法>
本発明の化合物は、標準的な合成法、組み換えDNA技術、または、他の、任意のペプチドおよび融合タンパク調製法によって調製してよい。ある種の非天然アミノ酸は、標準的組み換えDNA技術では発現させることはできないものの、その調製のための技術は当該技術分野において公知である。非ペプチド部分を包含するような本発明の化合物は、適用可能な場合は、標準的ペプチド化学反応に加えて、標準的有機化学反応を用いて合成してもよい。
【0274】
〔実施例〕
一般的合成プロトコール:
グルカゴン類縁体を、改良Applied Biosystem 430 Aペプチド合成機により、0.2mmolのBoc Thr(OBzl)Pam樹脂から出発し、HBTU活性化「Fast Boc」単一カップリングを使用して合成した。Bocアミノ酸及びHBTUは、Midwest Biotech(Fishers, IN)から得た。使用した側鎖保護基は、Arg(Tos)、Asn(Xan)、Asp(OcHex)、Cys(pMeBzl)、His(Bom)、Lys(2Cl−Z)、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Tyr(2Br−Z)及びTrp(CHO)であった。N末端Hisの側鎖保護基はBocであった。
【0275】
合成の完了したそれぞれのペプチジル樹脂を、ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンの溶液で処理して、トリプトファンからホルミル基を除去した。液体フッ化水素切断を、p−クレゾール及びジメチルスルフィドの存在下で実施した。切断は、HF装置(Penninsula Labs)を使用して氷浴で1時間実施した。HFを蒸発させた後、残渣をジエチルエーテルに懸濁し、固体物質を濾過した。ペプチドをそれぞれ30〜70mlの酢酸水溶液に抽出し、希釈したアリコートをHPLC〔Beckman System Gold、0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル、10分間かけて10%から80%Bの勾配〕により分析した。
【0276】
精製を2.2×25cmのKromasil C18カラムのFPLCにより実施し、その間、214nmのUVでモニタリングし、5分毎の画分を収集した。均質画分をまとめ、凍結乾燥して、生成物純度>95%を得た。正確な分子量及び純度は、MALDI質量スペクトル分析を使用して確認した。
【0277】
一般的ペグ化プロトコール:(Cys−マレイミド)
典型的には、グルカゴンCys類縁体をリン酸緩衝食塩水(5〜10mg/ml)に溶解し、0.01Mエチレンジアミン四酢酸を加える(総容量の10〜15%)。過剰(2倍)マレイミドメトキシPEG試薬(Nektar)を加え、反応を室温で撹拌し、その間、HPLCで反応進行をモニタリングする。8〜24時間後、反応混合物を酸性化し、精製のために、0.1%TFA/アセトニトリル勾配を使用する分取逆相カラムに装填する。適切な画分をまとめ、凍結乾燥して、所望のペグ化類縁体を得た。
【0278】
<実施例1>
グルカゴンCys17(1−29)及び同様のモノCys類縁体の合成
60mlの反応容器中の0.2mmolのBoc Thr(OBzl) Pam樹脂(SynChem Inc)及び以下の配列を改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機に入れ、FastBoc HBTU活性化単一カップリングを使用して合成を行った。
HSQGTFTSDYSKYLDSCRAQDFVQWLMNT(配列番号35)
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)及びTyr(Br−Z)。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理して、Trpホルミル保護を除去し、次にHF反応容器に移し、真空下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメチルスルフィドを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、排気し、およそ10mlの液体フッ化水素を圧入した。反応を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを減圧留去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、10分間かけて10%Bから80%Bの勾配〕を少量の切断抽出物試料により実施した。残りの抽出物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、Pharmacia FPLCシステムを使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間かけて30%Bから100%B。
【0279】
最高純度の生成物を含有する画分(48−52)をまとめ、冷凍及び凍結乾燥して、30.1mgを得た。生成物のHPLC分析は、>90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、所望の質量の3429.7を示した。グルカゴンCys21、グルカゴンCys24及びグルカゴンCys29を同様に調製した。
【0280】
<実施例2>
グルカゴン−Cex及び他のC末端延長部類縁体の合成
285mg(0.2mmol)のメトキシベンズヒドリルアミン樹脂(Midwest Biotech)を60mlの反応容器に入れ、以下の配列を改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機に入れ、FastBoc HBTU活性化単一カップリングを使用して合成を行った。
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTGPSSGAPPPS(配列番号36)
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)及びTyr(Br−Z)。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理して、Trpホルミル保護を除去し、次にHF反応容器に移し、真空下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメチルスルフィドを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、排気し、およそ10mlの液体フッ化水素を圧入した。反応物を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを減圧留去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、10分間かけて10%Bから80%Bの勾配〕を切断抽出物のアリコートにより実施した。残りの抽出物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、Pharmacia FPLCシステムを溶出に使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間かけて30%Bから100%B。画分58〜65をまとめ、冷凍及び凍結乾燥して、198.1mgを得た。
【0281】
生成物のHPLC分析は、95%を超える純度を示した。MADI質量スペクトル分析は、C末端アミドとして、所望の理論質量の4316.7を有する生成物の存在を示した。オキシントモジュリン及びオキシントモジュリン−KRNRを、適切な装填PAM樹脂から出発して、C末端カルボン酸として同様に調製した。
【0282】
<実施例3>
グルカゴンCys17Mal−PEG−5K
15.1mgのグルカゴンCys17(1−29)及び27.3mgの平均分子量5000のメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド(mPEG−Mal−5000、Nektar Therapeutics)を、3.5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えた。反応物を室温で撹拌し、反応の進行をHPLC分析〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕によりモニターした。
【0283】
5時間後、反応混合物を2.2×25cmのKromasil C18分取逆送カラムに装填した。アセトニトリル勾配をPharmacia FPLCにより実施し、その間、214nmのUV波長でモニタリングし、5分毎の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル、勾配=450分間かけて30%Bから100%B。生成物に対応する画分をまとめ、冷凍及び凍結乾燥して、25.9mgを得た。
【0284】
この生成物をHPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕により分析し、およそ90%の純度を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル分析は、8700〜9500の(PEG誘導体に典型的な)広い質量範囲を示した。これは、出発グルカゴンペプチドの質量(3429)へのおよそ5,000amuの追加を示す。
【0285】
<実施例4>
グルカゴンCys21Mal−PEG−5K
21.6mgのグルカゴンCys21(1−29)及び24mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えた。反応物を室温で撹拌した。2時間後、更なる12.7mgのmPEG−Mal−5000を加えた。8時間後、反応混合物を2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を4ml/分のPharmacia FPLCにより実施し、その間、5分毎の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。勾配=450分間かけて20%から80%B。
【0286】
生成物の出現に対応する画分をまとめ、冷凍及び凍結乾燥して、34mgを得た。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕によるこの生成物の分析は、出発グルカゴンペプチドと異なる均質な生成物を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル分析は、8700〜9700の(PEG類縁体に典型的な)広い質量範囲を示した。これは、出発グルカゴンペプチドの質量(3470)へのおよそ5,000amuの追加を示す。
【0287】
<実施例5>
グルカゴンCys24Mal−PEG−5K
20.1mgのグルカゴンC24(1−29)及び39.5mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。反応物を室温で7時間撹拌し、次に更なる40mgのmPEG−Mal−5000を加えた。およそ15時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を、Pharmacia FPLCを使用して実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、勾配=450分間かけて30%Bから100%B。生成物に対応する画分をまとめ、冷凍及び凍結乾燥して、45.8mgを得た。MALDI質量スペクトル分析は、最大値が9175.2のPEGに典型的な幅広いシグナルを示し、これはグルカゴンC24(3457.8)よりもおよそ5,000amu多い。
【0288】
<実施例6>
グルカゴンCys24Mal−PEG−20K
25.7mgのグルカゴンC24(1−29)及び40.7mgのmPEG−Mal−20K(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに撹拌しながら室温で溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。6時間後、出発物質と生成物の比率は、HPLCにより決定すると、およそ60:40であった。更なる25.1mgのmPEG−Mal−20Kを加え、反応物を更に16時間撹拌した。生成物比率が有意に改善されなかったので、反応混合物を、2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填し、450分かけて30%Bから100%Bへの勾配を使用するPharmacia FPLCにより精製した。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、流量=4ml/分、5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。均質な生成物を含有する画分をまとめ、冷凍及び凍結乾燥して、25.7mgを得た。分析HPLCにより決定された純度は約90%であった。MALDI質量スペクトル分析は、23,000〜27,000の幅広のピークを示し、これは出発グルカゴンC24(3457.8)よりもおよそ20,000amu多い。
【0289】
<実施例7>
グルカゴンCys29Mal−PEG−5K
20.0mgのグルカゴンCys29(1−29)及び24.7mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics)を、3.5mlのPBSに撹拌しながら室温で溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを加えた。4時間後、更なる15.6mgのmPEG−Mal−5000を加えて、反応の完了を促進した。8時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取逆相カラムに装填し、アセトニトリル勾配を、Pharmacia FPLCシステムにより実施した。5分毎の画分を収集し、その間、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分75−97を合わせ、冷凍及び凍結乾燥して、HPLCにより回収された出発物質(画分58−63)と異なる、40.0mgの生成物を得た。分析HPLC〔0.46×5cmのZorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間かけて10%Bから80%B〕によるこの生成物の分析は、95%を超える純度を示した。MALDI質量スペクトル分析は、8,000〜10,000(最大9025.3)の範囲の質量を有するPEG成分の存在を示し、これは出発物質(3484.8)よりも5,540amu多い。
【0290】
<実施例8>
グルカゴンCys24(2−ブチロラクトン)
24.7mgのグルカゴンCys24(1−29)に、4mlの0.05M重炭酸アンモニウム/50%アセトニトリル及び5.5ulの2−ブロモ−4−ヒドロキシ酪酸−γ−ラクトンの溶液(アセトニトリル900ul中100ul)を加えた。室温で3時間撹拌した後、更なる105ulのラクトン溶液を反応混合物に加え、更に15時間撹拌した。反応混合物を、10%酢酸水溶液で10mlに希釈し、2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填した。アセトニトリル勾配(450分かけて20%Bから80%B)をPharmacia FPLCにより実施し、その間、5分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。流量=4ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分74−77を合わせ、冷凍及び凍結乾燥して、7.5mgを得た。HPLC分析は、95%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、3540.7の質量又は出発物質よりも84質量単位多い質量を示した。この結果は、単一ブチロラクトン部分の付加と一致している。
【0291】
<実施例9>
グルカゴンCys24(S−カルボキシメチル)
18.1mgのグルカゴンCys24(1−29)を、9.4mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH=9.2)に溶解し、0.6mlのブロモ酢酸溶液(アセトニトリル中1.3mg/ml)を加えた。反応を室温で撹拌し、反応の進行を分析HPLCにより追跡した。1時間後、更なる0.1mlのブロモ酢酸溶液を加えた。反応を更に60分間撹拌し、酢酸水溶液で酸性化し、精製のために2.2×25cmのKromasil C18分取逆相カラムに装填した。アセトニトリル勾配をPharmacia FPLC(流量=4ml/分)により実施し、その間、5分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分26−29を合わせ、冷凍及び凍結乾燥して、数mgの生成物を得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、所望の生成物の質量3515を確認した。
【化9】
【0292】
<実施例10>
グルカゴンCys24マレイミド,PEG−3.4K−二量体
16mgのグルカゴンCys24及び1.02mgのMal−PEG−Mal−3400、平均分子量3400のポリ(エチレングリコール)−ビス−マレイミド(Nektar Therpeutics)を、3.5 のリン酸緩衝食塩水及び0.5mlの0.01M EDTAに溶解し、反応を室温で撹拌した。16時間後、更なる16mgのグルカゴンCys24を加え、撹拌を続けた。およそ40時間後、反応混合物をPharmcia PepRPC 16/10カラムに装填し、アセトニトリル勾配をPharmacia FPLCにより実施し、その間、2分毎の画分を収集し、214nm(2.0A)のUVでモニタリングした。流量=2ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分69−74を合わせ、冷凍及び凍結乾燥して、10.4mgを得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル分析は、9500〜11,000の範囲の成分を示し、これは所望の二量体と一致する。
【化10】
【0293】
<実施例11>
グルカゴンラムタムの合成
285mg(0.2mmol)のメトキシベンズヒドリルアミン樹脂(Midwest Biotech)を60mLの反応容器に入れ、以下の配列を、Boc DEPBT活性化単一結合を使用する改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機により構築した。
HSQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVQWLMNT−NH2(12−16ラクタム;配列番号12)
【0294】
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHx)、Asn(Xan)、Glu(OFm)、His(BOM)、Lys(Fmoc)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)、Tyr(Br−Z)。ラクタムが16−20、20−24または24−28から構成された場合、Lyx(Cl−Z)を位置12で使用した。合成の完了したペプチジル樹脂を20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドにより回転させながら1時間処理して、Trpホルミル基を、ならびにLys12およびGlu16からFmocおよびOFm保護を除去した。陽性ニンヒドリン試験により除去を確認してから、樹脂をジメチルホルムアミド、続いてジクロロメタン、次に再びジメチルホルムアミドで洗浄した。樹脂を、ジメチルホルムアミドおよびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)中のベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)の520mg(1mmol)で処理した。反応は8〜10時間進行し、環化は、陰性ニンヒドリン試験により確認した。樹脂を、ジメチルホルムアミド、続いてジクロロメタンで洗浄し、その後トリフルオロ酢酸で10分間処理した。Boc基の除去は、陽性ニンヒドリン反応より確認した。樹脂を、ジメチルホルムアミドおよびジクロロメタンで洗浄し、フッ化水素酸(HF)反応容器に移す前に乾燥した。500μLのp−クレゾールを、磁気式撹拌バーと共に加えた。容器をHF装置(Pennisula Labs)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、排気し、およそ10mLの液体フッ化水素を容器の中に圧入した。反応を氷浴で1時間撹拌し、次にHFを真空下で除去した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを150mLの20%アセトニトリル/1%酢酸に溶解した。
【0295】
粗溶解ペプチドの分析HPLCによる分析を次の条件〔0.46×30mmのXterra C8、1.50mL/分、220nm、A緩衝液は0.1%TFA/10%ACN、B緩衝液は0.1%TFA/100%ACN、15分間かけて5〜95%Bの勾配〕で実施した。抽出物を水で2倍に希釈し、2.2×25cm Vydac C4分取逆相カラムに装填し、WatersHPLC系(A緩衝液は0.1%TFA/10%ACN、B緩衝液は0.1%TFA/10%ACNおよび流量15.00ml/分で120分間かけて0〜100%Bの勾配)によりアセトニトリル勾配を使用して溶出した。精製ペプチドのHPLC分析は、95%を超える純度を示し、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル分析は、12−16ラクタムで3506Daの質量を確認した。16−20、20−24および24−28のラクタムを同様に調製した。
【0296】
<実施例12>
グルカゴン溶解性アッセイ:
グルカゴン(又は類縁体)の溶液(1mg/ml又は3mg/ml)を0.01NのHClで調製する。100ulの原液を、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度(276nm)を決定する。残りの原液のpHを、200〜250ulの0.1M NaHOP(pH9.2)を使用して、pH7に調整する。溶液を4℃で一晩放置し、次に遠心分離する。次に100ulの上澄みを、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度を決定する(2回繰り返す)。
【0297】
初期吸光度の読み取りを容量の増加で補正し、以下の計算を使用して、溶解百分率を確立する。
最終吸光度/初期吸光度×100=%溶解
結果を表1に示し、表中、グルカゴン−Cexは、野生型グルカゴン(配列番号1)に配列番号26のカルボキシ末端を付加したものを表し、グルカゴン−Cex R12は、配列番号39を表す。
【0298】
【表1】
【0299】
<実施例13>
グルカゴン受容体結合アッセイ
グルカゴン受容体へのペプチドの親和性を、シンチレーション近接アッセイ技術を利用する競争結合アッセイにより測定した。シンチレーション近接アッセイ緩衝液(0.05Mのトリス−HCl、pH7.5、0.15MのNaCl、0.1%w/vのウシ血清アルブミン)により作製したペプチドの一連の3倍希釈を、96ウエル白色/透明底プレート(Corning Inc., Acton, MA)において、0.05nMの(3−〔125I〕−ヨードチロシル)Tyr10グルカゴン(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)、1ウエルあたり1〜6マイクログラムの、ヒトグルカゴン受容体を過剰発現している細胞から調製した原形質膜画分及び1mg/ウエルのポリエチレンイミン処理ムギ胚芽凝集素A型シンチレーション近接アッセイビーズ(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)と混合した。ロータリー振とう器により800rpmで5分間振とうしてから、プレートを室温で12時間インキュベートし、次にMicroBeta1450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で読み取った。非特異的結合(NSB)放射能を試験試料の最高濃度よりも4倍高い濃度の「非放射性」天然リガンドを有するウエルで測定し、総結合放射能を、競合物質を有さないウエルで検出した。特異的結合の率を以下のように計算した:%特異的結合率=((結合−NSB)/(総結合−NSB))×100。IC50値は、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して決定した。
【0300】
<実施例14>
機能アッセイ−cAMP合成
cAMPを誘導するグルカゴン類縁体の能力を、ホタルルシフェラーゼに基づいたレポーターアッセイにより測定した。グルカゴン受容体又はGLP−1受容体のいずれかと、cAMP応答配列に結合したルシフェラーゼ遺伝子とを同時形質移入されたHEK293細胞から、0.25%ウシ増殖血清(HyClone, Logan, UT)が補充されたDMEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)における16時間の培養により血清を取り除き、次にグルカゴン、GLP−1又は新規グルカゴン類縁体のいずれかによる一連の希釈と共に、96ウエルポリ−D−リシン被覆「バイオコート」プレート(BD Biosciences, San Jose, CA)において37℃、5%COで5時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、100マイクロリットルのLucLiteルミネセンス基質試薬(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)を各ウエルに加えた。プレートを短時間振とうし、暗黒で10分間インキュベートし、発光をMicroBeta-1450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で測定した。有効50%濃度を、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して計算した。結果を、図3〜9及び表2〜10に示す。
【0301】
【表2】
【0302】
【表3】
【0303】
【表4】
【0304】
【表5】
【0305】
【表6】
【0306】
【表7】
【0307】
【表8】
E16GlucNHは、G16−COOH及びT16GlucNHと比べて、平行して試験した場合には4倍のグルカゴン受容体に対する効力を有していた。
【0308】
【表9】
【0309】
【表10】
【0310】
<実施例15>
グルカゴンCys−マレイミドPEG類縁体の安定性アッセイ
各グルカゴン類縁体を水又はPBSに溶解し、初期HPLC分析を実施した。pHを調整した後(4、5、6、7)、試料を37℃で特定の時間インキュベートし、HPLCにより再び分析して、ペプチドの完全性を決定した。特定の目的のペプチドの濃度を決定し、無傷のまま残っている率を初期分析と比較して計算した。グルカゴンCys21−マレイミドPEG5Kの結果を図1及び2に示す。
【0311】
<実施例16>
以下のグルカゴンペプチドを、全体として前述の実施例1〜11に記載されている通りに構築した:
以下の配列の全てにおいて、「a」はC末端アミドを意味する。
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号70)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号71)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号72)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号73)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号74)
HSQGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号75)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号76)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号77)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号78)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号79)
HSQGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号80)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMNTa(配列番号81)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号82)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号83)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LVKGa(配列番号84)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号85)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号86)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号87)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号88)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号89)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号90)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号91)
X1SQGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号92)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号93)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号94)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号95)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号96)
X1SQGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号97)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号98)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号99)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号100)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号101)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号102)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号103)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)His。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号104)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号105)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号106)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号107)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号108)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号109)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号110)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号111)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号112)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号113)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号114)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号115)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号116)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号117)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号118)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号119)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号120)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号121)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号122)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号123)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号124)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号125)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号126)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号127)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号128)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号129)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号130)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号131)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号132)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号133)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号134)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号135)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号136)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号137)
上記配列において、X2=(D−Ala)。
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号138)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号139)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号140)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号141)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号142)
HSEGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号143)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号144)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号145)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号146)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号147)
HSEGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号148)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号149)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号150)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号151)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号152)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号153)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号154)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号155)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LlVINTa(配列番号156)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号157)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号158)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号159)
X1SEGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号160)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号161)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号162)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号163)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号164)
X1SEGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号165)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号166)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号167)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号168)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号169)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号170)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号171)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)His。
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号172)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号173)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号174)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号175)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号176)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号177)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号 178)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号179)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号180)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号181)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号182)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号183)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号184)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号185)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号186)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号187)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号188)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸。
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(配列番号189)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(配列番号190)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号191)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号192)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号193)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号194)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(配列番号195)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号196)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号197)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号198)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号199)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(配列番号200)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号201)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号202)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(配列番号203)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号204)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号205)
上記配列において、X2=(D−Ala)。
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号206)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号207)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号208)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号209)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号210)
HSQGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号211)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号212)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号213)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号214)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号215)
HSQGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号216)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号217)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号218)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号219)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号220)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号221)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号222)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号223)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号224)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号225)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号226)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号227)
X1SQGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号228)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号229)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号230)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号231)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号232)
X1SQGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号233)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号234)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号235)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFTC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号236)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号237)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号238)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号239)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)Hisであり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号240)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号241)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号242)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号243)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号244)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号245)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号246)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号247)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号248)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号249)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号250)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号251)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号252)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号253)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号254)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号255)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号256)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号257)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号258)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号259)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号260)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号261)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号262)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号263)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号264)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号265)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号266)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号267)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号268)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号269)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号270)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号271)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号272)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号273)
上記配列において、X2=(D−Ala)であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号274)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号275)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号276)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号277)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号278)
HSEGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号279)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号280)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号281)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号282)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号283)
HSEGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号284)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号285)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号286)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号287)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号288)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号289)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号290)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号291)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号292)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号293)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号294)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号295)
X1SEGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号296)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号297)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号298)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号299)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号300)
X1SEGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号301)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号302)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号303)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFTC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号304)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号305)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号306)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFTC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号307)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)Hisであり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号308)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号309)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号310)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号311)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号312)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号313)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号314)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号315)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号316)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号317)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号318)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号319)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号320)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号321)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号322)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号323)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号324)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(配列番号325)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号326)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号327)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号328)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号329)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号330)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号331)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号332)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号333)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号334)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号335)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号336)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@12−16;配列番号337)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号338)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(配列番号339)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LVKGa(ラクタム@12−16;配列番号340)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFTC*W LVKGa(ラクタム@16−20;配列番号 341)
上記配列において、X2=(D−Ala)であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSQGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号342)
HSQGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号343)
HSQGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号344)
HSQGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号345)
X1SQGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号346)
X1SQGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号347)
X1SQGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号348)
X1SQGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号349)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)Hisであり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2QGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号350)
HX2QGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号351)
HX2QGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号352)
HX2QGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号353)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2QGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号354)
HX2QGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号355)
HX2QGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号356)
HX2QGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号357)
上記配列において、X2=(D−Ala)であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSEGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号358)
HSEGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号359)
HSEGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号360)
HSEGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号361)
X1SEGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号362)
X1SEGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号363)
X1SEGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号364)
X1SEGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号365)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)Hisであり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2EGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号366)
HX2EGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号367)
HX2EGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号368)
HX2EGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LVKGa(配列番号369)
上記配列において、X2=(D−Ala)であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2EGT FTSDY SKYLD C*RRAK DFVQW LMNTa(配列番号370)
HX2EGT FTSDY SKYLD C*RAAK DFVQW LMNTa(配列番号371)
HX2EGT FTSDY SKYLD C*QAAK EFIAW LMNTa(配列番号372)
HX2EGT FTSDY SKYLD C*QAAK EHAW LVKGa(配列番号373)
上記配列において、X2=(D−Ala)であり;C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号374)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号375)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号376)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号377)
HSQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号378)
HSQGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号379)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号380)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号381)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号382)
HSQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号383)
HSQGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号384)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号 385)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号386)
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号387)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号388)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号389)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号390)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号391)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号392)
X1SQGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号393)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号394)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号395)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号396)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号397)
X1SQGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号398)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号399)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号400)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号401)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)His。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号402)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号403)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号404)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号405)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号406)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号407)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号408)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号409)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号410)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号411)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号412)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号413)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号414)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号415)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号416)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号417)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号418)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号419)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号420)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号421)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号422)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号423)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号424)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号425)
HX2QGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号426)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号427)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号428)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号429)
上記配列において、X2=(D−Ala)。
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号430)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号431)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号432)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号433)
HSEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号434)
HSEGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号435)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号436)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号437)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号438)
HSEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号439)
HSEGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号440)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号441)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EHAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号442)
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号443)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号444)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号445)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号446)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号447)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号448)
X1SEGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号449)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号450)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号451)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号452)
X1SEGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号453)
X1SEGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号454)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号455)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号456)
X1SEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号 457)
上記配列において、X1=(Des−アミノ)His。
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号458)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号459)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号460)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号461)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号 462)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号 463)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号 464)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号465)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号 466)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号467)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号468)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号469)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号470)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号471)
上記配列において、X2=アミノイソブチル酸。
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(配列番号472)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(配列番号473)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号474)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号475)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号476)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRRAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号477)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(配列番号478)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号479)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAQ DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号480)
HX2EGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号481)
HX2EGT FTSDY SKYLD KRAAE DFVQW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号482)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(配列番号483)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@12−16;配列番号484)
HX2EGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMDTa(ラクタム@16−20;配列番号485)
上記配列において、X2=(D−Ala)。
【0312】
さらに、GLP−1/グルカゴン活性比が約5またはそれ以上を持つ、下記のグルカゴンペプチドも、全体として前述の実施例1〜11に記載の通りに構築した。一般に、これらのペプチドでは、位置2のAIBは、DPP IV耐性を与えるばかりでなく、グルカゴン活性も著明に下げる。
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFTC*W LMNTa(配列番号486)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNC*a(配列番号487)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNGG PSSGA PPPSC*a(配列番号 488)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNGG PSSGA PPPSC*a(ラクタム@16−20;配列番号489)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNGG PSSGA PPPSa(配列番号490)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNGG PSSGA PPPSa(ラクタム@16−20;配列番号491)
上記配列において、X2=AIBであり、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNTa(配列番号492)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNC*a(配列番号493)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNGG PSSGA PPPSC*a(配列番号494)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVQW LMNGG PSSGA PPPSC*a(ラクタム@16−20;配列番号 495)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNGG PSSGA PPPSa(配列番号496)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERAAK DFVC*W LMNGG PSSGA PPPSa(ラクタム@16−20;配列番号497)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号498)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNC*a(配列番号499)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNGG PSSGA PPPSC*a(配列番号500)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNGG PSSGA PPPSC*a(ラクタム@16−20;配列番号501)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNGG PSSGA PPPSa(配列番号502)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNGG PSSGA PPPSa(ラクタム@16−20;配列番号503)
上記配列において、X2=AIBであり、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
【0313】
さらに、GLP−1/グルカゴンコアゴニストである、下記のグルカゴンペプチドを、全体として前述の実施例1〜11に記載の通りに構築した。アミノ酸16および20の間のラクタム架橋形成は、位置2の置換によってもたらされるグルカゴン活性の低下を回復する。
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号504)
上記配列において、X2=AIBであり、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号505)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNC*a(ラクタム@16−20;配列番号506)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNGG PSSGA PPPSC*a(ラクタム@16−20;配列番号507)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNGG PSSGA PPPSC*a(ラクタム@16−20;配列番号508)
X1SQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNGG PSSGA PPPSa(ラクタム@16−20;配列番号509)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号510)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号511)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVQW LMNC*a(ラクタム@16−20;配列番号512)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNGG PSSGA PPPSa(ラクタム@16−20;配列番号513)
上記配列において、X1=DMIA(アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸)であり、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSQGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(必要に応じてラクタム@16−20;配列番号514)
上記配列において、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号517)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(ラクタム@16−20;配列番号528)
HX2QGT FTSDY SKYLD ERRAK EFICW LMNGG PSSGA PPPSC*a(配列番号531 )
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LMNGG PSSGA PPPSC*C*a(配列番号532)
HX2QGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIC*W LMNGG PSSGA PPPSa(配列番号533)
上記配列において、X2=AIBであり、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSQGT FTSDYSKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号518)
X1SQGT FTSDYSKYLD EQAAK EFIC*W LMNTa(配列番号519)
X1SQGT FTSDYSKYLD EQAAK EFIAW LMNC*a(配列番号520)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNGG PSSGA PPPSa(配列番号529)
X1SQGT FTSDY SKYLD ERRAK DFVC*W LMNTa(配列番号530)
上記配列において、X1=DMIA(アルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸)であり、C*はCysであるか、または親水ポリマーに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約20kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysであるか、またはそれとは別に、C*は、約40kDの平均重量を持つポリエチレングリコールに付着するCysである。
HSQGT FTSDYSKYLD SRRAQ DFVQW LMNTGPSSGAPPPSa(配列番号521)
HSQGT FTSDYSKYLD SRRAQ DFVQW LMNGGPSSGAPPPSa(配列番号522)
HSQGT FTSDYSKYLD SRRAQ DFVQW LMKGGPSSGAPPPSa(配列番号523)
HSQGT FTSDYSKYLD SRRAQ DFVQW LVKGGPSSGAPPPSa(配列番号524)
HSQGT FTSDYSKYLD SRRAQ DFVQW LMDGGPSSGAPPPSa(配列番号525)
HSQGT FTSDYSKYLD ERRAK DFVQW LMDGGPSSGAPPPSa(配列番号526)
HAEGT FTSDV SSYLE GQAAK EFIAW LVKGGa(配列番号527)
X1X2QGT FTSDY SKYLD ERX5AK DFVX3W LMNX4(配列番号61)
上記配列において、
X1=His、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、ホモ−ヒスチジン、またはアルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、または、イミダゾール酢酸、
X2=Ser、D−セリン、Ala、Val、グリシン、N−メチルセリン、またはアミノイソブチル酸(AIB)、N−メチルアラニン、D−アラニン、
X3=Ala、Gln、またはCys−PEG、
X4=Thr−CONH2、またはCys−PEG、またはGGPSSGAPPPS(配列番号515)、またはGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)、
ただし、X3がCys−PEGである場合、X4は、Cys−PEG、またはGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)ではなく、X2=Serである場合、X1はHisではなく、
X5=AlaまたはArg。
X1X2QGT FTSDY SKYLD EQ X5AK EH X3W LMNX4(配列番号62)
上記配列において、
X1=His、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、ホモ−ヒスチジン、またはアルファ,アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、またはイミダゾール酢酸、
X2=Ser、D−セリン、Ala、Val、グリシン、N−メチルセリン、またはアミノイソブチル酸(AIB)、N−メチルアラニン、D−アラニン、
X3=Ala、Gln、またはCys−PEG、
X4=Thr−CONH2、またはCys−PEG、またはGGPSSGAPPPS(配列番号515)、またはGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)、
ただし、X3がCys−PEGである場合、X4は、Cys−PEG、またはGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)ではなく、X2=Serである場合、X1はHisではなく、
X5=AlaまたはArg。
【0314】
上記配列はいずれも、さらに他に修飾を含んでもよく、例えば、活性を破壊しない、1、2、3、4、または5個の修飾、例えば、ただしこれらに限定されないが、効力を強化するために使用することが可能なW10、またはR20置換を含んでもよい。さらに、上記配列はいずれも、DPP IV耐性を付与する修飾無しで、すなわち、天然Hisが位置1にあり、天然Serが位置2にある状態で生産することも可能である。さらに、上記の化合物はいずれも、例えば、異種ポリペプチド、免疫グロブリンまたはその一部(例えば、Fc領域)、標的剤、診断標識、または診断または治療剤に、必要に応じて連結させた、結合体としてもよい。
【0315】
<実施例17>
グルカゴンペプチドのカルボキシ末端に結合している配列番号26のC末端延長部を含むように修飾された以下のグルカゴンペプチドを、全体として上記の実施例1〜11に記載された通りに構築し、実施例14に記載されたインビトロアッセイを使用して、GLP−1およびグルカゴン受容体に対する活性をアッセイした。
【0316】
表11は、グルカゴンおよびGLP−1受容体に対する多様なグルカゴン類縁体の活性を表す。データは、配列番号26のC末端延長部を含むグルカゴン類縁体では、位置16、20、28および29のアミノ酸置換がGLP−1受容体に対する類縁体の活性に影響を与える可能性を示す。
【0317】
【表11】
【0318】
<実施例18>
表12は、グルカゴンおよびGLP−1受容体に対する相対的活性を比較する、多様なグルカゴンペプチドについて蓄積されたインビトロのデータを表す。
【0319】
【表12】
【0320】
<実施例19>
アシル化および/またはペグ化ペプチドを以下のように調製した。ペプチドは、CS Bio 4886ペプチド合成機またはApplied Biosystems 430Aペプチド合成機のいずれかを使用して、固体支持樹脂上に合成した。Schnolzer et al., Int. J. Peptide Protein Res. 40: 180-193 (1992)に記載されている現場中和化学を使用した。アシル化ペプチドでは、アシル化される標的アミノ酸残基(例えば、位置10)をNε−FMOCリシン残基で置換した。DMF中の20%ピペリジンによる、合成の完了したN末端BOC保護ペプチドの30分間の処理によって、FMOC/ホルミル基を除去した。遊離ε−アミノLys残基へのカップリングは、FMOC保護スペーサーアミノ基(例えば、FMOC−(N−BOC)−トリプトファン−OH)またはアシル鎖(例えば、C17−COOH)のいずれかの10倍モル過剰との、およびDMF/DIEA中のPyBOPまたはDEPBTカップリング試薬とのカップリングにより達成した。その後のスペーサーアミノ酸のFMOC基の除去に続いて、アシル鎖とのカップリングを繰り返した。100%TFAによる最終処理は、あらゆる側鎖保護基およびN末端BOC基の除去をもたらした。ペプチド樹脂を、5%DIEA/DMFで中和し、乾燥し、次にHF/p−クレゾールの95:5を0℃で1時間使用して支持体から切断した。エーテル抽出の後、5%HOAc溶液を使用して粗ペプチドを溶媒和した。次に溶液の試料を、正確な分子量のペプチドを含有しているかについてESI−MSにより確認した。正確なペプチドを、100%CH3CN中の10%CH3CN/0.1%TFAから0.1%TFAの直線勾配を使用してRP−HPLCにより精製した。Vydac C18の22mm×250mmタンパク質カラムを精製に使用した。アシル化ペプチド類縁体は、一般に、緩衝液比の20:80で完全に溶出した。一部を一緒にプールし、分析RP−HPLCにより純度を調べた。純粋な画分を凍結乾燥して、白色の固体ペプチドを得た。収量は、合成に応じて10mg〜100mgの範囲であった。
【0321】
ペプチドがアシル化されるラクタム架橋および標的残基を含む場合、アシル化は、ペプチド主鎖へのアミノ酸の付加の直後に、上記に記載されたとおりに実施される。
【0322】
ペプチドのペグ化では、40kDaのメトキシポリ(エチレングルコール)マレイミド−プロピオンアミド(Chirotech Technology Ltd.)を、ペプチドとPEGの両方を溶解して透明な溶液にするのに必要な最小量の溶媒(一般に、2〜3mgのペプチドを使用する反応において2mL未満)を使用して、7Mの尿素、50mMのトリス−HCl緩衝液中のモル当量のペプチドと反応させた。室温での激しい撹拌を開始して4〜6時間行い、反応を分析RP−HPLCにより分析した。ペグ化生成物は、出発物質とは別に、より短い保持時間で出現した。精製は、初期ペプチド精製に使用した条件と同じ条件のVydac C4カラムにより実施した。溶出は、緩衝剤比が50:50のあたりで生じた。純粋なペグ化ペプチドの画分が見出され、凍結乾燥した。収率は、反応毎に異なるが、50%超であった。
【0323】
ペプチドは、グルカゴン受容体(GLUR)またはGLP−1受容体(GLP−1R)のいずれかと、cAMP応答配列に結合したルシフェラーゼ遺伝子とをHEK293細胞に同時形質移入することにより、生物学的活性についてアッセイした。形質移入細胞から、0.25%ウシ増殖血清が補充されたDMEMにおける16時間の培養により血清を取り除き、次に、選択された類縁体および基準としてグルカゴンまたはGLP−1のいずれかのそれぞれによる一連の希釈と共に5時間インキュベートした。ペプチドの吸光度読み取りは、Genesys 6 Spectrophotometer(Thermo Electron Corporation)により280nmでUV吸光度測定から得た。ベールの法則を使用して、それぞれの類縁体におけるトリプトファンおよびチロシン残基の数に基づいて溶液の濃度を計算した。インキュベーションの終了時に、100μLのLucLiteルミネセンス基質試薬を各ウエルに加え、プレートを封止および振とうし、cAMP検出のために Wallac Triluxルミネセンスカウンター内に挿入した。有効50%濃度(EC50)は、Originソフトウェア(OriginLab, Northampton, MA)を使用して計算した。
【0324】
アシル化グルカゴンに基づいたコアゴニストペプチドを調製した。これらのペプチドの選択についてのインビトロの結果を表13に示す。非アシル化ペプチドは、天然グルカゴンと同様に、1mg/mLの濃度でリン酸緩衝食塩溶液において不溶性であるが、アシル化は、中性pHにおいてペプチドの溶解性を増強したことが観察された。
【0325】
【表13】
【0326】
4つのアシル化ペプチドは、全て、GLP−1受容体に対して増加した効力を示した。トリプトファンスペーサーを含めることは、グルカゴン受容体に対してより良好な効力をもたらした。アシル鎖長さがC18であることは、いくらか好ましい。
【0327】
アシル化は、ペプチドの半減期を1時間以上延長することができるが、数十のkDa範囲の繰り返しを有するペグ化は、さらに延長することができる。両方の種類の修飾を含むペプチドを調製した。これらのペプチドは、延長された循環半減期、ならびにDPP−IVおよび他のプロテアーゼに対する耐性を示すと予測される。これらのペプチドの選択についてのインビトロの結果を表14に示す。
【0328】
【表14】
【0329】
3つのペプチドのうち2つは、GLP−1とグルカゴンの両方の受容体に対して、高い効力を保持し、EC50は1nM未満であった。K10−W−C18アシル化およびペグ化ペプチドは、両方の受容体に対して約10倍の効力損失を示した。この一連のペプチドは、位置10のアシル化が、グルカゴンペプチドのC末端部分、例えば位置24、28若しくは29、C末端延長内、またはC末端における(例えば、C末端Cysの付加を介する)ペグ化に匹敵することを示す。
【0330】
<実施例20>
多様なアシル化グルカゴンコアゴニストペプチドを、実施例19に実質的に記載された通りに作製し、インビボ活性について試験した。具体的には、ペプチドA(位置2にAIB、位置16にGlu、位置17にGln、位置18にAla、位置20にLys、位置21にGlu、位置23にIle、位置24にCys(Cysは40K PEGに結合している)およびC末端アミドを含むように修飾された配列番号1)を、位置10にLysを含むよう更に修飾した。Lys10を、C8脂肪酸鎖、C14脂肪酸鎖、C16脂肪酸鎖またはC18脂肪酸鎖でアシル化した。
【0331】
それぞれのアシル化ペプチドのGLP−1受容体に対する活性を実施例14に記載された通りにアッセイし、対照のGLP−1(7−37)酸(配列番号50)の活性と比較した。表15に示されているGLP−1受容体に対するそれぞれのアシル化ペプチドのEC50は、GLP−1ペプチドのEC50と同様である。
【0332】
【表15】
【0333】
次にペプチドを、多様なアシル化および非アシル化ペプチドまたはビヒクルのみを食餌誘導肥満(DIO)マウスに週に一度(70nml/kg/週)皮下注射することにより、インビボで試験した。初期体重44gを有する、一群当たり6匹のマウスを試験した。体重、身体組成、食物摂取および血中グルコースレベルを周期的に決定した。
【0334】
図11に示されているように、アシル化ペプチドは、非アシル化ペプチドと同等の程度に減量を引き起こすことができる。図11に示されているように、約7〜12%の減量が、アシル化ペプチドによる処置の最初の3日以内に達成される。図12に示されているように、アシル化ペプチドは食物摂取の減少を引き起こした。更に、図13に示されているように、アシル化ペプチドの適宜の血中グルコースレベルは、処置の1日後に低減した。
【0335】
<実施例21>
以下のアシル化グルカゴンコアゴニストペプチドを、実施例19に実質的に記載された通りに作製した。
(A)「キメラ−2 Aib2 Lys10−C18 Cys24(40K)」:以下の修飾:位置16のGlu、位置17のGln、位置18のAla、位置20のLys、位置21のGlu、位置23のIleおよび位置24のAla、ならびにC末端アミド(「キメラ2」)、を含み、位置2のAIB、C18脂肪酸でアシル化されているLys10および40K PEG基でペグ化されている位置24のCysにより更に修飾されている、天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1);
(B)「キメラ−2 Aib2 Lys10−C16 Cys24(40K)」:位置2のAIB、C16脂肪酸でアシル化されているLys10および40K PEG基でペグ化されているCys24により更に修飾されているキメラ2;
(C)「グルカゴンLys10−C18 E16 K20 Cys24(40K)」:以下の修飾:位置16のGlu、位置20のLysおよびC末端アミド、を含む天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)は(「E16 K20−グルカゴン−NH2」)、C18脂肪酸でアシル化されているLys10および40K PEG基でペグ化されているCys24により更に修飾された;
(D)「グルカゴンLys10−TrpC16 E16 K20 Cys24(40K)」:E16 K20−グルカゴン−NH2は、C16脂肪酸でアシル化されているTrpスペーサーに結合しているLys10により更に修飾された;
(E)「グルカゴンLys10−TrpC18 E16 K20 Cys24(40K)」:E16 K20−グルカゴン−NH2は、C18脂肪酸でアシル化されているTrpスペーサーに結合しているLys10により更に修飾された。
【0336】
アシル化グルカゴンコアゴニストペプチドを、グルカゴンおよびGLP−1受容体に対する活性について、実施例14に一般的に記載された通りに試験した。対照(GLP−1(7−37)OH(GLP−1のアミノ酸7−37)、グルカゴン(1−29)OH(配列番号1)およびキメラ2 Cys24(40K)(Cys24に40K PEGを有するキメラ2))と比較した、グルカゴン受容体およびGLP−1受容体それぞれに対するEC50を表16に示す
【0337】
【表16】
【0338】
<実施例22>
以下のアシル化グルカゴンコアゴニストペプチドを、実施例19に実質的に記載された通りに作製した。
(A)ペプチドA:以下の修飾:位置16のGlu、位置20のLysおよびC末端アミドを含む天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)(「E16 K20−グルカゴン−NH2」);
(B)ペプチドB:C16脂肪酸でアシル化されているLys10を更に含むE16 K20−グルカゴン−NH2:
(C)ペプチドC:C18脂肪酸でアシル化されているLys10を更に含むE16 K20−グルカゴン−NH2:
(D)ペプチドD:C16脂肪酸でアシル化されているGlu(スペーサー残基)に結合しているLys10を更に含むE16 K20−グルカゴン−NH2:
(E)ペプチドE:C18脂肪酸でアシル化されているTrp(スペーサー残基)に結合しているLys10を更に含むE16 K20−グルカゴン−NH2。
【0339】
ペプチドの活性を実施例14に一般的に従ってアッセイし、グルカゴン受容体およびGLP−1受容体それぞれに対するEC50を表17に示す。
【0340】
【表17】
【0341】
<実施例23>
以下の修飾:位置16のGlu、位置17のGln、位置18のAla、位置20のLys、位置21のGlu、位置23のIle、位置24のAla、位置27のVal、位置28のLysおよびC末端アミド、を有する配列番号1のアミノ酸(「キメラ1」)を含むグルカゴンコアゴニストペプチドを作製した。C末端切断型のキメラ1を、キメラ1の位置29のアミノ酸の欠失により(「Chi1(1−28)」)またはキメラ1の位置28および29の両方のアミノ酸の欠失により(「Chi1(1−27)」)作製した。
【0342】
以下の修飾:位置16のGlu、C末端アミド、を有する配列番号1のアミノ酸配列を含むグルカゴンペプチド(「E16 Glu−NH2」)も、位置29のアミノ酸の欠失により(「E16 Gluc NH2(1−28)」)または位置28および29の両方のアミノ酸の欠失により(「E16 Gluc NH2(1−27)」)C末端切断した。
【0343】
切断ペプチド、ならびに非切断ペプチドのグルカゴン受容体およびGLP−1受容体に対する活性を、実施例14に一般的に従って機能活性についてアッセイした。E16 Glu NH2ペプチドまたはキメラ1ペプチドの位置28および29のアミノ酸の欠失は、グルカゴン受容体に対するペプチドの活性に有意に影響を与えなかった。E16 Glu NH2ペプチドの位置28および29のアミノ酸の欠失は、GLP−1受容体に対するペプチドの効力を感知できるほど変化しなかった。キメラ1の位置28および29のアミノ酸の欠失は、GLP−1受容体に対する活性に影響を与えなかった。
【0344】
キメラ1ペプチドまたはE16 Gluc NH2ペプチドのいずれかにおける位置29のアミノ酸の欠失は、グルカゴン受容体またはGLP−1受容体のいずれかに対する活性に有意に影響を与えなかった。
【0345】
<実施例24>
食餌誘導肥満(DIO)マウスに、−15分の時点で、下記のうちの一つの0.2、2、20または70nmol/kgを腹腔内に注射した:
(A)ビヒクルのみ、
(B)以下の修飾:位置16のGlu、位置17のGln、位置18のAla、位置20のLys、位置21のGlu、位置23のIleおよび位置24のAla、ならびにC末端アミドを含み(「キメラ2」)、位置2のAIBおよび40K PEG基でペグ化されている位置24のCysを含むように更に修飾されている天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)(「キメラ−2−AIB Cys24−40kD」);
(C)位置2のAIB、位置10のLys(LysはC8脂肪酸でアシル化されている)および位置24のCys(Cysは40K PEGでペグ化されている)を含むように更に修飾されているキメラ2(「キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD」)、または
(D)位置2のAIB、位置10のLys(LysはC16脂肪酸でアシル化されている)および位置24のCys(Cysは40K PEGでペグ化されている)を含むように更に修飾されているキメラ2(「キメラ−2 AIB10−C16 Cys24−40kD」)。
【0346】
25%(v/v)グルコースを含む食塩水を、0分の時点で1.5g/kg体重の用量で注射した。血中グルコースレベルを−15、0、15、30、60および120分の時点で測定した。
【0347】
図15〜17は、2、20および70nmol/kgをそれぞれ表示された時点で注射したマウスの血中グルコースレベル(mg/dL)を示す。試験した全ての用量において、キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDは、マウスにおいて血中グルコースを低下する最大の能力を示した。図17に示されているように、このペプチドは、キメラ−2−AIB Cys24−40kDと同様の活性を有した。
【0348】
<実施例25>
DIOマウスに、−24時間の時点で、下記のうちの一つの70nmol/kgを腹腔内に注射した:
(A)ビヒクルのみ、
(B)実施例24に記載されたキメラ−2−AIB Cys24−40kD、
(C)実施例24に記載されたキメラ−2−AIB10−C8 Cys24−40kD、または
(D)実施例24に記載されたキメラ−2−AIB10−C16 Cys24−40kD。
【0349】
25%(v/v)グルコースを含む食塩水を、0分の時点で1.5g/kg体重の用量で注射した。血中グルコースレベルを0、15、30、60および120分の時点で測定した。
【0350】
図18は、表示された時点でのマウスの血中グルコースレベル(mg/dL)を示す。3つのペプチドは、全て、マウスにおいて血中グルコースを低下する有意な活性を示す。
【0351】
<実施例26>
DIOマウスに、ビヒクルのみ、または下記のうちの一つの15若しくは70nmol/kgを腹腔内に注射した:
(A)実施例24に記載されたキメラ−2−AIB Cys24−40kD、
(B)実施例24に記載されたキメラ−2−AIB10−C8 Cys24−40kD、または
(C)実施例24に記載されたキメラ−2−AIB10−C16 Cys24−40kD。
【0352】
体重を、注射の前および注射の1、3、5および7日後に測定した。
【0353】
図19は、各群のマウスの体重の変化%を示す。試験した両方の用量において、キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDおよびキメラ−2−AIB Cys24−40kDは、体重を低下する同等の能力を示す。より高用量で試験すると、キメラ−2 AIBl0−C16 Cys24−40kDは、体重を低下する有意な能力を示す。
【0354】
<実施例27>
位置1にチロシンおよびE16とK20の間にラクタム架橋(ならびにC末端カルボキシレートの代わりにアミド)を含む配列番号555のペプチドを、上記に実質的に記載された通りに合成し、実施例14により、GLP−1およびグルカゴン受容体に対するインビトロ活性について試験した。それぞれの受容体に対するペプチドのEC50を表18に示す。
【0355】
【表18】
【0356】
これらのデータに基づいて、配列番号555のペプチドは、例示的なグルカゴン/GLP−1コアゴニストペプチドであることが示された。
【0357】
<実施例28>
配列番号1のペプチド(グルカゴン(1−29))、C末端カルボキシレートの代わりにアミドを有する配列番号1のペプチド(グルカゴン(1−29a))ならびに位置2および16のそれぞれにAIBを有し、C末端カルボキシレートの代わりにアミドを有する配列番号1のペプチド(グルカゴン(1−29a)Aib Aib16)を、実質的に上記に記載された通りに合成した。次にこれらのペプチドを、GLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対するインビトロ活性について、実施例14に記載された方法により試験した。それぞれのペプチドのEC50を表19に示す。
【0358】
【表19】
【0359】
<実施例29>
以下のペプチドを実質的に上記に記載された通りに合成した:
(1)実施例28に記載されたグルカゴン(1−29)、
(2)位置24にCysおよびC16脂肪酸を含むTrpに共有結合している位置10のLysを有するグルカゴン(1−29a)Aib Aib16(実施例28に記載)(「グルカゴン(1−29a)Aib Lyslo−Trp−C16 Aib16 Cys24」)、
(3)Cysが40kD PEG基を有するグルカゴン(1−29a)Aib Lyslo−Trp−C16 Aib16 Cys24(「グルカゴン(1−29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Cys24−40kD」)、
(4)位置20にAibを含むグルカゴン(1−29a) Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Cys24(「グルカゴン(1−29a) Aib Lysl0−Trp−C16 Aib16 Aib20 Cys24」)および
(5)Cysが40kD PEG基を有するグルカゴン(1−29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Aib20 Cys24(「グルカゴン(1−29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Aib20 Cys24−40kD」)。
次にこれらのペプチドを、GLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対するインビトロ活性について、実施例14の方法により試験した。それぞれのペプチドのEC50を表20に示す。
【0360】
【表20】
【0361】
<実施例30>
アシル化およびペグ化されたグルカゴンペプチドのインビボ効果をDIOマウスにおいて試験した。具体的には、各群が平均初期体重の58gを有するDIOマウスの6群(一群当たり8匹のマウス)に、アシル化およびペグ化グルカゴンペプチドまたはビヒクル対照の10、20、40または80nmol/kgを、1週間に1回で2週間腹腔内注射した。研究に使用したアシル化およびペグ化グルカゴンペプチドは、キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD(実施例26に記載)およびペプチドA K10−C14 (実施例20に記載)であった。
【0362】
マウスの体重変化およびマウスによる食物摂取を、注射の0、1、3、5、7、8、10、12および14日後に測定した。マウスの血中グルコースレベルを、14日間にわたってモニターした。グルコース負荷試験を、アシル化またはペグ化ペプチド投与の1時間または24時間後に、食塩水中25%グルコースを注射し、グルコース注射の−60、0、15、30、60または120分後に血中グルコースレベルを測定することによって実施した。
【0363】
図20に示されているように、40または80nmol/kgのアシル化およびペグ化ペプチドA K10−C14を注射したマウスの総体重は、ビヒクル対照を注射したマウスと比較して低減した。
【0364】
図21に示されているように、グルコース注射に反応した、20、40若しくは80nmol/kgのペプチドA K10−C14または20nmol/kgのキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDを注射したマウスの血中グルコースレベルは、ビヒクル対照と比較して低下した。
【0365】
<実施例31>
共有分子内架橋を有する又は有さないアシル化グルカゴン類縁体を、固相合成により作成し、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体に対するインビトロ活性について試験した。各ペプチドについて、各受容体に対するEC50(nM)及び%活性を、対応する受容体の天然ペプチドと比較したものを表21に示す。
【0366】
【表21】
【0367】
共有分子内架橋を有さず、位置2のAIB、位置16のAIB、及び位置10のLys残基にスペーサーを介して結合している脂肪アシル基を含む、幾つかのグルカゴン類縁体を、本明細書に実質的に記載されているように作製した。これらのアシル化グルカゴン類縁体は、スペーサーの種類、ペグ化の存在若しくは不在、及び/又はアシル基の大きさによって異なった。アシル化グルカゴン類縁体を、実施例14に実質的に記載されているように、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体に対するインビトロ活性について試験した。それぞれのペプチドの構造、並びにグルカゴン及びGLP−1受容体に対するインビトロ活性の概要を、表22及び23に示す。
【0368】
【表22】
【表23】
【0369】
表22及び23に示されているように、スペーサーを介して結合している脂肪アシル基を含むペプチドは、ペプチド主鎖に直接結合している脂肪アシル基を含むペプチドと比較して、効力を有意に増加した。
【0370】
<実施例32>
それぞれ平均体重48.7gのDIOマウス(1群あたり8匹)に、ビヒクルのみ、30nmol/kg若しくは100nmol/kgのアシル化グルカゴン類縁体ペプチド、又は長期作用GLP−1類縁体であるリラグルチド(Novo Nordisk, Denmark)を7日間毎日皮下注射した。アシル化グルカゴン類縁体は以下であった:
野生型グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸配列のうち、位置10のTyrが修飾されてアシル化Lys残基となり、アシル化Lysが、C16脂肪アシルを含み、C末端カルボキシレートがアミド基に置換されたアミノ酸配列を含む「(C16)グルカゴンアミド」;
C16脂肪アシル基がガンマ−Glu−ガンマ−Gluジペプチドスペーサーを介して位置10のLysに結合している以外はC16グルカゴンアミドと同じ構造を含む「γE−γE−C16グルカゴンアミド」(アシル化Lysの構造については下記を参照すること);
【化11】
C16脂肪アシル基がAla−Alaジペプチドスペーサーを介して位置10のLysに結合している以外はC16グルカゴンアミドと同じ構造を含む「AA−C16グルカゴンアミド」;及び
C16脂肪アシル基がβ−Ala−β−Alaジペプチドスペーサーを介して位置10のLysに結合している以外はC16グルカゴンアミドと同じ構造を含む「βAβA−C16グルカゴンアミド」。
【0371】
マウスの体重を毎日モニターし、体重の総変化(%)を図22に示す。図22に示されているように、大部分のアシル化グルカゴンペプチドは、それぞれの用量で体重の減少を引き起こした。リラグルチドは体重においておよそ12%の減少を示したが、グルカゴン類縁体ペプチドのγE−γE−C16グルカゴンアミドは、対応する用量でマウスにおいて減量を引き起こす最大の能力を示した。低い用量のγE−γE−C16グルカゴンアミドでさえ、体重に実質的な減少を引き起こした。
【0372】
マウスの脂肪量を分析の7日目に測定した。図23に示されているように、100nmol/kgのγE−γE−C16グルカゴンアミドを投与されたマウスは、最低の脂肪量を示した。
【0373】
マウスの血中グルコースレベルも、アッセイの期間中にモニターした。図24に示されているように、高用量のグルカゴン類縁体ペプチドのγE−γE−C16グルカゴンアミドは、リラグルチドと同様に、マウスの血中グルコースレベルを減少するように作用した。
【0374】
<実施例33>
GLP−1活性を有するグルカゴン類縁体ペプチドのアシル化を以下のように評価した。位置2にAIBおよび位置24にCysを有する(40kDa PEG分子を含む)キメラ2の構造を含む非アシル化グルカゴン類縁体ペプチドを、位置10にアシル化Lys残基を含むように修飾した。非アシル化グルカゴン類縁体ペプチドは、配列番号580のアミノ酸配列を含んだ。位置10のLysを、C8、C14、C16またはC18脂肪アシル基でアシル化し、アシル化ペプチドは、配列番号534〜537の構造をそれぞれ含んだ。非アシル化ペプチドおよびアシル化型ペプチドのGLP−1受容体に対するインビトロ活性を、本明細書に実質的に記載されているように試験した。GLP−1受容体に対するそれぞれのペプチドのEC50を表24に示す。
【表24】
【0375】
<実施例34>
グルカゴン類縁体ペプチドを、本明細書に記載されているように固相ペプチド合成により作製し、ペプチドの位置10又は30のいずれかをアシル化した。ペプチド及びそれらの構造は以下である:
位置2のXがd−Serであり、位置30のLysがC14脂肪アシル基でアシル化され、C末端カルボキシレートがアミドに代わっている、アミノ酸配列HXQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVQWLMNTK−アミド(配列番号581)を含む「ペプチドdS2E16K20K30−C14グルカゴンアミド」;
位置2のXがd−Serであり、位置10のLysがC14脂肪アシル基でアシル化され、C末端カルボキシレートがアミドに代わっている、アミノ酸配列HXQGTFTSDKSKYLDERRAKDFVQWLMNT−アミド(配列番号582)を含む「ペプチドdS2K10(C14)E16K20−グルカゴンアミド」;
位置2のXがd−Serであり、位置30のLysがC16脂肪アシル基でアシル化され、C末端カルボキシレートがアミドに代わっている、アミノ酸配列HXQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVQWLMNTK−アミド(配列番号583)を含む「ペプチドdS2E16K20K30−C16グルカゴンアミド」;
位置2のXがd−Serであり、位置10のLysがC16脂肪アシル基でアシル化され、C末端カルボキシレートがアミドに代わっている、アミノ酸配列HXQGTFTSDKSKYLDERRAKDFVQWLMNT−アミド(配列番号584)を含む「ペプチドdS2K10(C16)E16K20−グルカゴンアミド」;
位置2のXがAIBであり、位置10のKがC18脂肪アシル基でアシル化され、位置24のCysが40kDaのPEG分子を含み、C末端カルボキシレートがアミドに代わっている、アミノ酸配列HXQGTFTSDKSKYLDEQAAKEFICWLMNT−アミド(配列番号585)を含む「ペプチドキメラ2−AIB2−K10−アシル化」;及び
位置2のXがAIBであり、位置30のKがC18脂肪アシル基でアシル化され、位置24のCysが40kDaのPEG分子を含み、C末端カルボキシレートがアミドに代わっている、アミノ酸配列HXQGTFTSDYSKYLDEQAAKEFICWLMNTK−アミド(配列番号586)を含む「ペプチドキメラ2−AIB2−K30−アシル化」。
【0376】
それぞれのペプチドのGLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対するインビトロ活性を、実施例14に実質的に記載されたように試験した。結果を表25に示す。
【0377】
【表25】
【0378】
<実施例35>
固相ペプチド合成を、XSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVCWLMNT−NH(ここでX=DMIAである)(配列番号587)の配列の構築に用いた。位置16のGluおよび位置20のLysの選択的脱保護の後、ペプチドを樹脂のラクタム架橋を介して環化した。次に、切断後の粗ペプチドを分取RP−HPLCにより精製し、MSにより特徴決定した(〔M+H〕の計算値:3479.9;実測値:3480.9)。ペプチド前駆体およびヨードアセチル官能化40kDa PEG(NOF(1:1)を、7Mの尿素/50mMのトリス緩衝液中、pH8.5、室温で45分間混合して、下記に示されている、PEGとペプチドのCysとの間に共有チオエーテル結合を形成することによって、ペグ化を実施した。
【0379】
【化12】
【0380】
ペグ化ペプチドを分取HPLCにより精製し、所望の画分を収集し、凍結乾燥して、オフホワイトの粉末を得た。生成物を、MALDI−TOF−MS(44000〜46000、幅広のピーク)により確認した。
【0381】
GLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対するインビトロ活性を実施例14に実質的に記載された通りに試験した。GLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対するEC50は、それぞれ0.327nMおよび0.042nMであった。
【0382】
<実施例36>
固相ペプチド合成を、HXEGTFTSDYSKYLDEQAAKEFICWLMNT−NH(ここでX=AIBである)(配列番号589)の前駆体の調製に用いた。次に粗ペプチドを分取RP−HPLCにより精製し、MSにより特徴決定した(〔M+H〕の計算値:3412.8;実測値:3413.9)。ペプチド前駆体およびヨードアセチル官能化40kDa PEG(NOF(1:1)を、7Mの尿素/50mMのトリス緩衝液中、pH8.5、室温で45分間混合して、下記に示されているように、PEGとペプチドのCysとの間に共有チオエーテル結合を形成することによって、ペグ化を実施した。
【化13】
【0383】
ペグ化されたペプチドを分取HPLCにより精製し、所望の画分を収集し、凍結乾燥して、オフホワイトの粉末を得た。生成物を、MALDI−TOF−MS(44000〜46000、幅広のピーク)により確認した。
【0384】
GLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対するインビトロ活性を実施例14に実質的に記載された通りに試験した。GLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対するEC50は、それぞれ0.027nMおよび33nMであった。
【0385】
<実施例37>
ペプチドJ:
HS−X−GTFTSDYSKYLDTRRAAEFVAWL(NIe)DE(配列番号591)
の主鎖を含むか、又は、
ペプチドK:
HS−X−GTFTSDYSKYLD(Aib)RRAADFVAWLMDE(配列番号592)
の主鎖を含み、更に位置3に追加の修飾を有するグルカゴン類縁体ペプチドを、実質的に本明細書に記載されている通りに作成した。ペプチドのグルカゴン受容体に対するインビトロ活性を、実施例14に実質的に記載された通りに試験した。各ペプチドのEC50(nM)を表26に示す。
【0386】
【表26】
【0387】
表26に示されているように、グルカゴン受容体に対する活性を実質的に損失することなく、複数のアミノ酸を位置3に配置することができ、いくつかの場合、例えばペプチドKの主鎖上にDab(Ac)やQ(Me)を有する場合は、実際には活性は修飾により増大した。
【0388】
<実施例38>
様々なグルカゴン類縁体主鎖上の位置3にDab(Ac)を含むグルカゴン類縁体ペプチドを、実質的に本明細書に記載されている通りに作成し、グルカゴン受容体に対するインビトロ活性を試験した。各ペプチドの構造と活性を表27に示す。
【0389】
【表27】
【0390】
<実施例39>
位置2と16にAIBおよび位置10にLysを有し(ここで位置10のLysはC16脂肪アシル基に共有結合している)、ならびにC末端カルボキシレートの代わりにアミドを有する配列番号1を含む、第1グルカゴン類縁体ペプチド(AIB2,AIB16,K10(C16)Glucアミド)を、本明細書に実質的に記載されているように作製した。LysがC末端に付加されている以外は第1グルカゴン類縁体ペプチドと同じ構造を有する第2グルカゴン類縁体ペプチド(AIB2,AIB16,K10(C16),K30 Glucアミド)。ペプチドのインビトロ活性を実施例14に実質的に記載されているように試験し、20%のヒト血漿を含む溶液中で追加的に試験した。ペプチドのそれぞれの受容体に対するEC50(nM)を表28に示す。
【0391】
【表28】
【0392】
<実施例40>
レプチンの発見は、エネルギーバランスと体脂肪を調節する内分泌系の存在を立証した。レプチンはまた、疾患の世界的な蔓延を管理するため、環境および薬理学的手法を確認する方法として、肥満研究に興味および投資を呼び込んだ。十分に効能があり安全な肥満の薬理学的治療は、依然として出現しておらず、外科手術が減量を維持する唯一の証明されている選択肢を構成している。効力飽満誘導を達成する2つの内分泌ホルモン受容体に対する受容体アゴニズムと、単一のペプチドの作用時間の持続における脂質分解効果とを組み合わせた効能が、本明細書において報告される。GLP1−Rに対する活性が天然GLP−1に匹敵するが、グルカゴン受容体アゴニズムのレベルが互いに異なるような、2つの特定のグルカゴン類縁体を、齧歯類肥満モデルにより薬理学的に研究した。異なるグルカゴンおよびGLP−1活性を有する一連の高効力類縁体から選ばれたこれらのペグ化ペプチドの1週間に1回の投与は、食餌誘導肥満マウス(平均体重約50g)において1か月以内に脂肪およびグルコース耐性レベルを正常化した。減量は、食物摂取の減少およびエネルギー消費量の増加によりもたらされた体脂肪の減少の結果であり、それはグルカゴン受容体アゴニズムのレベルを増加した。これらのコアゴニスト化合物は、脂肪肝を含むグルコースおよび脂質代謝も正常化した。効果は用量依存性であり、食餌誘導肥満ラットにおいて成功裏に再現された。これらの前臨床研究は、完全GLP−1アゴニズムが適切な程度のグルカゴン受容体活性化により増強される場合、体脂肪の低減を実質的および安全に促進できることを示す。本明細書に示される知見は、臨床試験の基本を確立し、メタボリックシンドロームに対する魅力的な新規治療選択肢を示唆している。
【0393】
<実施例41>
以下の材料および方法は、実施例42〜51に記載される実験に関わる。
【0394】
[Bocペプチド合成および切断]
ペプチド合成は、改良Applied Biosystems 430Aペプチド合成機により、0.2mmolの4−メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂(Midwest Biotech, Fishers,Indiana)を使用して実施した。固相ペプチド合成は、Boc化学の現場中和を利用した(Schnolzer,M.et al.,International Journal of Peptide Research and Therapeutics,13:31-44(2007))。合成の完了したペプチド樹脂をHF/p−クレゾール(10:0.5v/v)により0℃で1時間処理した。HFを真空下で除去し、脱保護ペプチドを沈殿させ、ジエチルエーテルで洗浄した。ペプチドを20%アセトニトリル/1%酢酸に溶解し、凍結乾燥した。大部分のペプチドは、Boc化学により調製した。以下の側鎖保護基をBoc−アミノ酸(Midwest Biotech)のために使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Glu(OcHex)、His(BOM)、Lys(2−Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)、Tyr(Br−Z)。ペプチドの分子量は、エレクトロスプレーイオン化またはMALDI−TOF質量スペクトル分析により確認し、他に記載されているように精製した。
【0395】
[ラクタム合成]
iからi+4のラクタム形成を有する環化ペプチドを樹脂上に合成した。Glu(OFm)−OHガンマエステル(Peptides International, Louisville, Kentucky)およびLys(Fmoc)−OH(Peptides International)を、ラクタム形成に関与する位置でGlu(OcHex)およびLys(2−Cl−Z)に置換した。合成の完了した保護ペプチジル樹脂を、DMF中の20%ピペリジンで45分間処理して、FmocおよびOFm保護基を除去した。樹脂において、ラクタム形成を、DMF/DIEA中のベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(Fluka)の5当量で処理した後に達成した。ラクタムの形成は、ニンヒドリン分析、および開環状のペプチドと比べて質量が18だけ低減することにより確認した。
【0396】
[ペプチド精製]
樹脂からの切断に続いて、粗ペプチド抽出物を分析用逆相HPLCにより分析した。分析用の分離は、Zorbax C8カラム(0.45×5cm)によりアセトニトリル勾配を用いる0.1%TFAで実施した。分析的な解析の後、粗抽出物を、Vydac C4またはC18カラム(2.2×25cm)により、アセトニトリル勾配を用いる0.1%TFAで半分取用クロマトグラフィーによって精製した。ペグ化ペプチドを、同じ条件を使用して精製した。分析用分離に提示された条件を利用した分析用逆相HPLCにより、分取画分の純度について分析した(>95%)。ペプチド質量および純度を、エレクトロスプレーイオン交換質量分析(ESI−MS)またはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析により確認した。ペグ化ペプチドは、MALDI−TOFにより、43400の広い質量範囲を示した。精製ペプチドを凍結乾燥し、4℃で保存した。
【0397】
[ペプチドのペグ化]
精製ペプチドを、7Mの尿素/50mMのトリス中、pH8.0でメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド−プロピオンアミド−40K(Chirotech Technology Ltd, Cambridge)と1:1のモル比で混合した。反応の進行を分析用逆相HPLCによりモニターし、遊離ペプチドは30分以内に消化された。反応を、0.1%TFAで停止させ、精製し、他に記載されているように特徴決定した。
【0398】
[グルカゴンおよびGLP−1受容体媒介cAMP合成]
ペプチド類縁体を、それぞれ、グルカゴン(Gcg)およびGLP−1受容体を介してcAMP産生を刺激する能力について試験した。HEK293細胞に、GcgRまたはGLP−1R cDNAと、cAMP応答配列(CRE)に結合したルシフェラーゼレポーター遺伝子とを同時形質移入した。細胞から、0.25%ウシ増殖血清(HyClone, Logan, UT)が補充されたDMEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)における培養により16時間かけて血清を取り除いた。グルカゴンおよびGLP−1類縁体の一連の希釈を、同時形質移入HEK293細胞を含有する96ウエルポリ−D−リシン被覆プレート(BD Biosciences, San Jose, CA)に加え、プレートを37℃、5%COで5時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、当量(100μL)のLucLiteルミネセンス基質試薬(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)を各ウエルに加え、プレートを800rpmで3分間振とうした。プレートを暗黒で10分間インキュベートし、発光をMicroBeta−1450液体シンチレーションカウンター(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)により定量化した。有効50%濃度(EC50)は、Originソフトウエア(OriginLab, N orthampton, MA)により計算した。
【0399】
[円偏光二色性測定]
ペプチドを、TFE濃度の増加を伴う10mMのリン酸緩衝液、pH5.9に溶解し、ペプチドの濃度を定量化した。それぞれのサンプルをCD測定のために10μMに希釈した。CDデータを、一定の窒素流および25℃に設定した1mmのパス長セルの温度制御を有するJASCO J−715円偏光二色性分光偏光計により収集した。スペクトルデータを、走査速度100mm/mmおよび1nm波長ステップの270〜190nmで5回の走査により蓄積した。JASCO Spectra Managerソフトウエアにより溶媒シグナルを差し引き、データを平滑化した(Savitzky and Golay, Anal. Chem. 36: 1627(1964))。得られたミリ度値を、degcmdmor−1の単位で平均残基楕円率に変換した。計算した平均残基楕円率値をDICHROWEB(Whitmore and Wallace, Biopolymers 89:392-400(2008); Whitmore and Wallace,Nucleic Acids Research 32: W668~W673 (2004))に入力して、平均ヘリシティ値を得た。
【0400】
[動物]
C57BI/6マウスを、Jackson Laboratoriesから得て、58%kcalの脂肪を有する高スクロース食餌である、Research Dietsからの糖尿病誘発性食餌を与えた。マウスを、食物および水を自由に入手することができる、12:12時間の明暗サイクルにより22℃で単独または集団収容した。全ての研究は、University of CincinnatiのInstitutional Animal Care and Use Committeeの指針により承認され、それに従って実施した。
【0401】
[身体組成測定]
全身の組成(脂肪および除脂肪質量)を、NMR技術(EchoMRI, Houston, TX)を使用して測定した。
【0402】
[エネルギーバランスの生理学的測定]
エネルギー摂取および消費、ならびにホームケージ(home-cage)活性を、組み合わせた間接的熱量測定系(TSE Systems, Bad Homburg, Germany)を使用して評価した。酸素消費およびCO産生を、45分毎に合計120時間測定して(順化の12時間を含む)呼吸商およびエネルギー消費を決定した。食物および水摂取、ならびに食事パターンを、秤を密閉ケージ環境に当てはめることにより、間接的熱量測定評価と同時に、120時間連続して決定した。食事は、食物摂取事象の最小持続時間が60秒および食物摂取事象間の休憩が300秒として定義した。ホームケージ自発的運動活性を、ケージの底部および最上部レベルを走査する光線を有する多次元赤外光線系を使用して決定し、活性は光線の遮断として表した。静止運動活性(もじもじする)は、ケージ底レベルの単一光線の連続的遮断として、歩行運動は、ケージ底レベルの任意の2本の異なる光線の遮断として、そして立ち上がりは、ケージ底および最上レベルの両方における光線の同時遮断として定義した。
【0403】
[血液パラメーター]
血液を、6時間の絶食後に、EDTA被覆Microvette管(Sarstedt, Nuremberg, Germany)を使用して尾静脈から収集し、直後に氷で冷やした。3,000gおよび4℃で15分間遠心分離した後、血漿を−80℃で保存した。血漿インスリンを、Linco(Sensitive Rat Insulin RlA; Linco Research, St.Charles, MO)のラジオイムノアッセイにより定量化した。血漿TGおよびコレステロールレベルを酵素アッセイキット(Thermo Electron, Waltham, MA)により測定した。5匹の動物/群からプールしたサンプル(0.25ml)を、2つのSuperose 6カラムをリポタンパク質分離のために直列に連結した高速液体クロマトグラフィー(FPLC)ゲル濾過に付した以外は、サンプルを個別に分析した。すべてのアッセイは、製造会社の説明書に従って実施した。
【0404】
[グルコース負荷試験]
グルコース耐性を決定するために、マウスを6時間の絶食に付し、グルコース負荷試験(GTT)のために、2gのグルコース/kg体重(0.9%食塩水中50%D−グルコース(Sigma))を腹腔内注射(i.p.)した。尾血液グルコースレベル(mg/dL)を、注射の前(0分)ならびに15、30、90および120分後に、携帯用グルコメーター(TheraSense Freestyle)を使用して測定した。
【0405】
[WAT HSlのウエスタンブロット]
脂肪組織を、1.5mlの微量遠心管に入れ、組織溶解機(Retsch, Inc Newtown, PA Cat.#85210)を30hzで3分間使用して、氷冷RIPA緩衝液(1×PBS、1% Nonidet P40、0.5%ナトリウムドキシコレート、50mMのNaFを有する0.1%SDS、0.5Mのフェニルメチルスルホニルフルオリド、0.1mMのNaバナデート、20μg/mlのアプロチニン、10μg/mlのロイペプチン)中で溶解した。サンプルを12,000rpmで15分間(4℃)回転し、その時点で中間層を新たな管に取り出し、氷上で15秒間超音波処理した。サンプルを14,000rpmで10分間(4℃)回転し、中間層を新たな管に収集した。サンプルを19,000rpmで10分間(4℃)再度回転し、中間層を新たな管に収集した。次にサンプルのアリコートをタンパク質アッセイのために取り出した。次にサンプルを4×SDS/DTT緩衝液中で2分間沸騰させた。細胞溶解産物からの50μgのタンパク質を、9%(w/v)アクリルアミド分離ゲルのSDS/PAGEに付し、Hybond ECLニトロセルロール膜に移した。膜をブロッキングし、Cell Signalingからの目的の一次抗体(HSL(4107))(Cell SignalingからのPhospho−HSL(ser660)(4126))でプローブした。洗浄した後、一次抗体検出を、HRP結合抗(ウサギIgG)または抗(マウスIgG)(HRP結合抗ウサギおよび抗マウス二次抗体はBio−Radから購入した(170−6515および170−6516))のいずれかを使用して実施し、増強化学発光(Amersham Biosciences)を使用して検出し、CL−Xposureフィルム(Pierce)に暴露した。
【0406】
[免疫組織化学]
白色卵巣上皮脂肪組織のパラフィン包埋切片(5μm)を、記載された通りに(Ogden, C. L. et al. JAMA 295: 1549-1555 (2006))、ヘマトキシリン/エオシンで染色した。個別のマウス組織ブロックのそれぞれにおいて、3つの異なる強拡大視野のそれぞれからの100個の細胞の脂肪細胞の大きさを、Image Pro Plus 5.1ソフトウエア(Media Cybernetics,Bethesda, MD, USA)を使用して、面積測定として定量化した。
【0407】
[オイルレッド染色]
肝臓組織における脂質蓄積を可視化するために、殺処分して採取した肝臓の4〜8mmの断面片を、オイルレッドO色素で染色した。20×および40×倍率の画像を〔複合レンズ〕顕微鏡を使用して得た。
【0408】
[定量的RT−PCR手順]
動物を給餌状態(朝の食餌を与えた1〜4時間後)で断頭により殺処分し、多様な組織を試料採取し、凍結固定し、続くリアルタイム定量的PCR(icycler,BioRad)によるPEPCK、G6PおよびHPRT(ハウスキーピング)のmRNA発現の測定のために、−80℃で保存した。
【0409】
総RNAを、標準的プロトコールを使用し、RNeasy Lipid Tissue Kit(Qiagen,Ca#74804)を使用して凍結組織サンプルから抽出した。RNA濃度および純度は、Nanodropを使用する分光測定法により決定した。RT−PCRのcDNAテンプレートは、2μgの総RNAを使用して得た。逆転写反応を、10×DNase I反応緩衝液、DNase I、Amp Grade、1U/μl、depc−H0、25mM EDTA、10mM dNTPミックス、オリゴ(dT)20(50μM)、5×First−Strand緩衝液、0.1M DTT、RNaseOUTおよびSuperScript III(Invitrogen)により実施した。
【0410】
合成したcDNAを、順方向および逆方向プライマーの最終濃度0.5μMを含有する蛍光色素SYBRグリーン(BioRad,Ca#1708882)を使用して、PCRにより更に増幅した。産物の純度は解離曲線により確認した。テンプレート無し対照を全てのアッセイに含めたが、これは一定の増幅を生じなかった。標準曲線を使用して、PEPCKまたはG6Pの相対濃度を得て、結果を、ハウスキーピング遺伝子として使用するHPRTの濃度に従って補正した。結果は、ビヒクル群の平均を100%に設定し、次に研究した動物の3群のそれぞれ個別の値を計算した、ビヒクルのパーセントとして表す。
【0411】
[プライマー配列]
PEPCK、G6PおよびHPRTのプライマー配列をNIHウエブサイトから取得し、プライマーをIDT DNAにより生成した。
【0412】
[逆転写および定量的リアルタイムRT−PCR]
CD68のmRNA発現を、記載された通りに(Nomiyama, T. et al. Journal of Clinical Investigation 117: 2877-2888 (2007)、リアルタイムRT−PCRにより定量化した。簡潔には、殺処分の直後に、100mgの卵巣上皮脂肪組織をTRIZOL中でホモジナイズし、総mRNAをcDNAに逆転写した。PCR反応を、iCycler(Bio−Rad)およびSYBR Green I系(Bio−Rad)を使用して実施した。それぞれのサンプルを、三重に分析し、TFIIBのmRNA発現の値に対して規準化した。使用したマウスのプライマー配列は以下である:
CD68、55’−CAAGGTCCAGGGAGGTTGTG−3’(フォワード)(配列番号638)、
5’−CCAAAGGTAAGCTGTCCATAAGGA−3’(リバース)(配列番号639);及び
TFIIB、5’−CTCTCCCAAGAGTCACATGTCC(配列番号640)、
5’−CAATAACTCGGTCCCCTACAAC−3’(リバース)(配列番号641)。
【0413】
[統計分析]
特に示されていない限り、全ての統計分析は、GraphPad Prism一元配置ANOVAおよびカラム統計を使用して実施した。記述されるP値は、一元配置分散分析法のためである。全ての結果は、平均±SEとして表す。(受容体活性化データは±SDである)。
【0414】
<実施例42>
アミノ酸修飾を有する配列番号1のアミノ酸配列を含む2つのグルカゴンペプチド、ペプチドXおよびYを、本明細書に記載された通りに作製した。両方のペプチドは、位置2にAIB、位置16にGlu、位置17にGln、位置18にAla、位置20にLys、位置21にGlu、位置23にIleおよび位置24にCysを含んだ。部位特異的40kDペグ化は、位置24のCysにおけるマレイミド官能化直鎖PEGによる反応を介して達成され、ペプチドX−PEGおよびY−PEGを生じた。ペプチドYおよびY−PEGは、単一側鎖ラクタム架橋をペプチドYまたはY−PEGの中央に導入して二次構造を安定化し、グルカゴンアゴニズムを増強する点において、ペプチドXおよびX−PEGとそれぞれ異なっていた。位置16のGluおよび位置20Lysの2つの側鎖を、側鎖アミドとしてペプチド構築の際に共有結合した。このペプチドのマクロ環化は、21原子ラクタムを表す。ペプチドX−PEGおよびY−PEGを溶解性について試験し、25mg/mlを超える濃度で生理学的緩衝液中で溶解性であることが見出され、ペプチドX−PEGおよびY−PEGは、1週間にわたって、血漿とのエキソビボインキュベーションに対して完全に耐性があることを証明した。
【0415】
<実施例43>
多様な濃度のトリフルオロエタノール(TFE)水溶液において可溶化されるときのペプチドの二次立体配座を、円偏光二色性により分析した(図25)。グルカゴンは試験されたうちでヘリシティーが最小のペプチドであり、0、10および20%のTFE溶液においてそれぞれ10、15および33%の計算上のヘリシティを有した(表29)。同じ実験条件下において、GLP−1は、増強されたヘリシティの14、29および55%を有し、これらの2つのペプチドが一次構造と共に二次構造も異なることを示した。ペグ化部分が分子の質量の90%超を占める事実にもかかわらず、ペプチドXおよびYはペグ化されたときにヘリシティに有意な変化がなかった(表29)。対照的に、TFEの不在下でリン酸緩衝液においてペプチドYの見かけ上のヘリシティは、ペプチドXのおよそ2倍、17%に対して36%であった。したがって、これらの2つのキメラペプチドのペグ化形態(ペプチドX−PEGおよびペプチドY−PEG)は、二次構造において明らかに異なっており(図25)、生物学的特性における差は、これらの二次構造の差と関わりがある可能性がある。
【0416】
【表29】
【0417】
<実施例44>
2つのペプチド(ペプチドXおよびY)ならびにこれらの40kDペグ化誘導体(ペプチドX−PEGおよびY−PEG)を、細胞に基づいたCREルシフェラーゼレポーターアッセイにおけるcAMP合成を刺激する能力について評価した(図26)。表30に示されているように、天然グルカゴンは、0.055±0.014nMの有効濃度(EC50)でグルカゴン受容体を最大半量的に活性化し、GLP−1受容体(GLP−1R)をさらに高い濃度の3.29±0.39nMのEC50で活性化した。対照的に、GLP−1は、その受容体を0.028±0.009nMのEC50で活性化し、グルカゴン受容体(GcgR)との相互作用を、1μMを超えるEC50で生じる点において、極めて特異的であることを証明した。天然リガンドがそれらの受容体に対して示した特異性におけるダイナミックレンジは、百万を超える。GLP−1Rに対するペプチドX−PEGの効力は、天然GLP−1の2倍であり、相対的な意味において、GcgRに対してさらに増強された。しかし、GcgR活性は、天然グルカゴンのおよそ10%だけであった。ラクタムの導入は、GLP−1Rに対して変わることなく完全グルカゴンアゴニズムを保持した。したがって、ペプチドY−PEGは、天然リガンドと比べて、2つのそれぞれの受容体に対して完全に効力のあるほぼバランスのとれたコアゴニストである。それぞれのペプチドのペグ化は、GcgRに対して10倍、GLP−1Rに対して5倍、効力を低減した。GcgRに対する活性の僅かに増強された損失は、グルカゴン受容体相互作用にとって、C末端配列のより大きな相対的重要性と関わりがあるのかもしれない。ペグ化ペプチド(ペプチドX−PEGおよびY−PEG)は、GLP−1よりもGLP−1Rに対して僅かに効力が低いが、依然としてナノモル以下のEC50を有した。ペプチドX−PEGは、このペプチドのラクタム型、すなわちるペプチドY−PEGよりもGLP−1Rに対して7倍選択性がある。したがって、これらの2つのDPP−4耐性ペプチドは、持続性インビボ時間作用実験に適しており、GLP−1Rアゴニズムはよく一致しているが、グルカゴンアゴニズムについては異なっている。
【0418】
【表30】
【0419】
<実施例45>
40kDペグ化ペプチドのペプチドX−PEGおよびY−PEGを、食餌誘導肥満(DIO)C57B6マウスに週一度の単回皮下(s.c.)注射として使用した。ペプチドのY−PEGの325nmol/kgの単回注射は、1週間にわたって、体重を50.9±1.4gから37.8±0.8gまで25.8%減少した(p<0.0001、n=8匹/群)。ペプチドX−PEGの比較投与は、有効であったが著しく効力が低く、体重の減少は9%(49.1±1.51gから44.68±1.38g)であった。食塩水注射対照マウスは、体重を変えなかった(前:50.61±1.32g、後;50.87±1.46g;図27A)。体重変化は、脂肪量の減少(ラクタムペプチドでは41.9%、開型では22.2%、対照では2.3%、p<0.001;図27B)の結果であり、平均毎日食物摂取量の有意な減少に匹敵した(ペプチドY−PEG:0.40±0.29g/日、ペプチドX−PEG:1.83±0.81g/日、食塩水:2.70±0.78g/日、p<0.0001、図27C)。血中グルコースは、対照と比較したとき、両方のペプチドでは有意に減少し、ペプチドY−PEGが僅かに多かった(ペプチドY−PEG:−90.1mg/dL、ペプチドX−PEG:−79.6mg/dL、対照:−23.9mg/dL、p=0.0433;図27D)。2つのペプチド(ペプチドX−PEGおよびペプチドY−PEG)の相対的な差は統計的に有意ではなかった。
【0420】
<実施例46>
別の実験において、ペプチドY−PEGおよびペプチドX−PEGの6つの異なる用量(0、7、14、35、70、140および350nmol/kg)の単回s.c.注射は、体重および血中グルコースの線形用量依存的減少を示した(図28A、28B、28Cおよび28D)。このことは、観察された効果が、体重の急速な過剰減少の間接的効果以外は、明白な毒性のない、薬理学的な関連性を示唆している。効果の大きさは、ペプチドY−PEGにおいてより顕著であり、グルカゴンアゴニズムの追加的な要素がペプチドの効力を改善することを示している。
【0421】
<実施例47>
別の実験において、ペプチドY−PEGまたはペプチドX−PEGの70nmol/kgの週に一度のs.c.注射は、DIOマウスの体重をそれぞれ28.1%および20.1%減少した(p<0.0001、n=7〜8匹/群;図29A)。体重変化は、脂肪量の減少と関連していた(ペプチドY−PEGでは−62.9%、ペプチドX−PEGでは−52.2%、対照では5.1%、p<0.0001;図29B)。食物摂取量に及ぼす、これらの低用量の長期効果(p=0.95;図29C)は、高用量による短期効果(図27C)ほど顕著ではなかった。エネルギー消費量は、ビヒクル(12.71±0.45kcal/〔kgh〕)と比較して、ペプチドY−PEG(14.60±0.69kcal/〔kgh〕)およびペプチドX−PEG(17.19±1.49kcal/〔kgh〕)により増加し、一方、呼吸商は減少する傾向があり(図29Dおよび29E;ペプチドY−PEGでは0.719±0.01、ペプチドX−PEGでは0.725±0.01、対照では0.755±0.01、p=0.1028)、熱産生の増加および栄養素分配の変化が全体的な負のエネルギーバランスを説明しうることを示した。エネルギー消費量の増加は、自発的運動活性が処置群と対照では異なっていないので(p=0.4281;図29F)、自発的身体活動誘導熱産生(NEAT)の変化と関連しなかった。急性給餌の自動オンラインモニタリングも、食物摂取の長期的モニタリングも、カロリー摂取の変化を示さなかった(自動 p=0.667、長期的 p=0.9484;図30A)。
【0422】
血中グルコースレベルは、最初の注射の3日後から始まり処置期間にわたって著しく減少した(平均減少:ペプチドY−PEG −32%、ペプチドX−PEG −24.5%、対照 −2.7%、p<0.0001;図29G)。3日目の腹腔内(i.p.)グルコース投与に反応して、血中グルコースピーク(図29H)およびプロフィール(AUC)(図30F)は、ビヒクル処置対照(34125±3142、p<0.0001)と比較して2つの処置群(ペプチドY−PEG 14183±1072、ペプチドX−PEG 13794±824.1)において著しく低くかった。ペプチドY−PEGまたはペプチドX−PEGによる処置の1か月後、血漿インスリンは、対照群(2675pg/ml)と比較して処置群(1194pg/ml、1034pg/ml、p=0.0244)において低く、改善されたインスリン感受性を示唆した(図29I)血漿Cペプチドレベルは、ビヒクル(1077pg/ml)と比べて、Y−PEGまたはペプチドX−PEG(738.8pg/ml、624.7pg/ml)による処置の1か月後に減少する傾向があった(p=0.108)(図30G)。
【0423】
前臨床現象が種を超えて一般化されるかを決定するために、両方の化合物を、食餌誘導肥満ラットに投与した(平均体重777.4±2.1g、用量 70nmol/kg/週、週に一度の注射、3週間の処置)。ペプチドY−PEGおよびペプチドX−PEGは、それぞれ、DIOラットの体重(ペプチドX−PEG:−11.15±0.88%;ペプチドY−PEG:−20.58±2.26%、ビヒクル:1.09±0.56%)(p<0.0001)および脂肪量(ペプチドX−PEG:−19.17±2.03%;ペプチドY−PEG:−33.76±4.76%;ビヒクル:0.65±1.20%;p<0.0001)を減少し、この抗肥満処置手法の種非依存的な適用可能性が確認された。
【0424】
<実施例48>
ペプチドX−PEGおよびペプチドY−PEGによる27日間にわたる長期的s.c.処置は、ビヒクル(254.0 25.33mg/dL、p=0.0441;図31A)と比較して、DIOマウスにおいて総コレステロールを減少した(それぞれ、106.9±6.3mg/dLおよび200.8±29.58mg/dL)。別の実験において、DIOマウスは、ペプチドX−PEG、ペプチドY−PEGまたはビヒクルの70nmol/kgのs.c.を0日目および7日目に摂取し、9日目に評価された。ペプチドY−PEGは、血漿トリグリセリド、LDLコレステロールおよび総コレステロールを減少したが(ビヒクルの177.7±11.8mg/dLと比較して総コレステロールは63.0 2.49mg/dL)(p<0.0001)、一方、LDLからHDLコレステロールへの変更を引き起こす潜在性があった(図31B)。ペプチドX−PEGは、LDLおよびHDLコレステロールを両方とも減少したが、トリグリセリドには有意な効果がなかった(図31C)。レプチンにおける有意な減少があった(ペプチドY−PEGでは3343±723.3pg/ml;ペプチドX−PEGでは7308±2927、ビヒクルでは18,642±6124;p=0.0426;図31D、31E、31F)。27日間の長期的処置も、肝脂肪含有量を正常化したが、一方、対照DIOマウスは、顕著な脂肪肝を維持した(データ示されず)。
【0425】
<実施例49>
ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGによる1か月の処置は、DIOマウスの白色脂肪組織(WAT)におけるホルモン感受性リパーゼ(HSL)のリン酸化の増加をもたらし(ペプチドX−PEG:1.135±0.315;ペプチドY−PEG:1.625±0.149;ビヒクル:0.597±0.204;p=0.0369;図32B)、WAT脂肪分解に対するグルカゴン特異的な直接効果を示唆した。ペプチドY−PEGおよびペプチドX−PEGの35nmol/kg/週の用量により2週間処置されたマウスにおいて、脂肪量の減少と同時に、対照マウスと比較して、卵巣上皮脂肪組織の脂肪細胞の大きさに有意な低減があった(データ示されず)。しかし、脂肪量の減少および脂肪細胞の小型化にもかかわらず、ペプチドY−PEGおよびペプチドX−PEGによる2週間の短期処置は、CD68のリアルタイムRT−PCRにより定量化された、脂肪組織マクロファージの有意な低減と関連しなかった。(図33C)。褐色脂肪組織(BAT)中の脱共役タンパク質1(UCP1)は、ペプチドX−PEGにより増加したが、ペプチドY−PEG処置では増加せず(ペプチドX−PEG 2.167±0.429、ペプチドY−PEG 1.287±0.1558、ビヒクル 1.0±0.118;p=0.0264;図32A)、これはBATの安静時熱産生に対するGLP−1の特異的作用と一致した。肝臓糖新生を反映する肝臓遺伝子発現は、ペプチドX−PEGまたはペプチドY−PEGのいずれによっても影響を受けなかった(図30Hおよび30I)。組織学は、膵臓島がペプチドX−PEG処置の後で小さくなる傾向を示した(データ示されず)。
【0426】
<実施例50>
ペプチドX−PEGおよびY−PEGのGLP−1RおよびGcgRアゴニスト構成要素の寄与を分析するために、それぞれ、高脂肪食餌に維持したGLP−1受容体ノックアウト(GLP−1R−/−)マウスに1か月投与した。ペプチドX−PEGは、食塩水と比較して、体重(p>0.05;図34Aおよび34B)および脂肪量(p>0.05;図34C)の低減を引き起こした。ペプチドY−PEGは、GLP−1R−/−マウスにおいて体重(p=0.0025)および脂肪量((p−0.0025)に有意な減少を引き起こした(図34A〜34C)。ペプチドX−PEGは、GLP−1R−/−マウスにおいて食物摂取に対して効果がなかったが、一方、ペプチドY−PEGは、食物摂取を有意に抑制した(p=0.017)(図34D).ペプチドY−PEGは、機能性GLP−1Rの不在下でのグルコース負荷試験において血中グルコースを増加する傾向を有し(ペプチドX−PEGは有さず)(p=0.03)(図34Eおよび34F)、コアゴニストのGLP−1の構成要素が、グルカゴン誘導高血糖に対して保護するために必要であることを示唆した。
【0427】
<実施例51>
グルカゴンアゴニズムに起因すると考えられるペプチドX−PEGおよびY−PEGの効果についての独立した評価として、同等のGLP−1R効力を有するがGcgR活性の著しく異なる、2つの追加的なペプチドアゴニストを試験した。2つのペプチド(ペプチドUおよびV)は、ペプチドX−PEGおよびY−PEGと関連する。ペプチドUおよびVは、以下の修飾:位置16にGlu、位置17にGln、位置18にAla、位置20にLys、位置21にGlu、位置23にIleおよび位置24にCys、を有する配列番号1のアミノ酸配列を含むが、位置24のCysに20kDペグ化を含み、位置2にAIBを含まなかった。ペプチドVは、追加的に、GluにGln3の置換を含み、これはグルカゴンアゴニズムを選択的に10倍を超えて低減した。ペプチドUもペプチドVもラクタム架橋を含まなかった。ペプチドVの50nmol/kgのs.c.によりDIOマウスを毎日、1週間処置すると、ペプチドUと比べて低減された、体重低下に対する効果を明らかにした(それぞれ、−9.09±0.80対−13.71±0.92g)(p<0.0001;図35A)。
【0428】
<実施例52>
γ−Gluスペーサーまたはγ−Glu−γ−Gluジペプチドスペーサーを介してLys残基に結合しているC16脂肪アシル基を含み、該Lys残基が位置10またはC末端(位置29)に位置しているグルカゴンペプチドを、本明細書に実質的に記載された通りに作製した。ペプチドを、本明細書に記載されているように、グルカゴンおよびGLP−1受容体に対するインビトロ活性について試験した。結果を表31に示す。
【0429】
【表31】
【0430】
<実施例53>
表53に示されているペプチドは、本明細書に実質的に記載された通りに作製した。
【0431】
【表32】
【0432】
表32のペプチドは、配列番号624、631および632のペプチドを除いて、全て、グルカゴンとGLP−1の両方の受容体に対して強力なインビトロ活性を示した。
【0433】
表33に概説されている変化以外は天然グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸を含む、Aセットのペプチドは、本明細書に実質的に記載された通りに作製する。
【0434】
【表33】
【0435】
位置27のMetがノルロイシンに代わっている以外はAセットのペプチドと同じ構造を有するペプチドは、本明細書に実質的に記載された通りに作製する。これらの修飾ペプチドはBセットのペプチドである。
【0436】
位置24のGlnが、40kDa PEGに共有結合しているCysに代わっている以外はAおよびBセットのペプチドと同じ構造を有するペプチドは、本明細書に実質的に記載された通りに作製する。これらペグ化ペプチドはCセットのペプチドを形成する。
【0437】
位置10のTyrが、C8、C12、C16またはC18脂肪アシル基に共有結合しているLysに代わっている以外はA、BまたはCセットのペプチドと同じ構造を有するペプチドは、本明細書に実質的に記載された通りに作製する。C8脂肪アシル基でアシル化されたペプチドは、Dセットのペプチドを形成する。C12脂肪アシル基でアシル化されたペプチドは、Eセットのペプチドを形成する。C14脂肪アシル基でアシル化されたペプチドは、Fセットのペプチドを形成する。C16脂肪アシル基でアシル化されたペプチドは、Gセットのペプチドを形成する。C18脂肪アシル基でアシル化されたペプチドは、Hセットのペプチドを形成する。
【0438】
脂肪アシル基が、スペーサーを介して位置10のLysに結合している以外は、DからHのセットのペプチドと同じ構造を有するペプチドは、本明細書に実質的に記載された通りに作製する。γ−Glu−γ−Gluスペーサーを含むペプチドは、Iセットのペプチドを形成する。γ−Gluスペーサーを含むペプチドは、Jセットのペプチドを形成する。Ala−Alaスペーサーを含むペプチドは、Kセットのペプチドを形成する。β−Ala−β−Alaスペーサーを含むペプチドは、Lセットのペプチドを形成する。
【0439】
本明細書に引用されている、出版物、特許出願、及び特許を含む、全ての参考文献は、まるでそれぞれの参考文献が個別にかつ明確に参照として組み込まれているように示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度で、参照として本明細書に組み込まれる。
【0440】
本発明を記載する文脈における(特に、後に続く請求項の文脈における)用語「a」及び「an」及び「the」、並びに類似の参照の使用は、本明細書において特に指定がない限り又は文脈において明らかに相反しない限り、単数及び複数の両方を網羅することが考慮されるべきである。用語「含む」、「有する」、「含まれる」、及び「含有する」は、特に示されない限り、非限定的用語である(すなわち、「含まれるが、これらに限定されない」を意味する)と考慮されるべきである。
【0441】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特に指定のない限り、単に、範囲内にあるそれぞれ別個の値及びそれぞれの終点を個別に参照するための省略的な方法として機能することが意図され、それぞれの別個の値及び終点は、まるで本明細書において個別に引用されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0442】
本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書において特に指定のない限り又は文脈において明らかに相反しない限り、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書において提供されている任意の又は全ての例又は例示的な言葉(例えば「のような」)は、単に本明細書をより良好に説明することだけが意図され、特に請求項に記載されていない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書におけるどの言葉も、請求項に記載されていない何らかの要素が本発明の実施に必須であることを示している、と考慮されるべきではない。
【0443】
本発明を実施するために、発明者たちが知っている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施態様が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施態様の変更は、前述の記載を読むことにより当業者に明らかとなりうる。発明者たちは、当業者がそのような変更を適切な場合に用いることを予想し、発明者たちは、発明が本明細書に特定的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法令が許す限り、添付の請求項に引用されている主題の全ての修正及び等価物を含む。更に、全ての可能な変更における上記記載の要素の任意の組み合わせは、本明細書において特に指定のない限り又は文脈において明らかに相反しない限り、本明細書に包含される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]