特許第5775462号(P5775462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775462眼疾患に適用するためのクルクミノイドおよびその代謝物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775462
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】眼疾患に適用するためのクルクミノイドおよびその代謝物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20150820BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20150820BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20150820BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   A61K31/12
   A61P27/02
   A61K9/08
   A61K9/10
   A61K47/34
   A61K47/10
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K47/18
   A61K47/04
   A61K47/22
   A61K47/26
   A61K47/12
   A61P27/06
   A61P27/12
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-543880(P2011-543880)
(86)(22)【出願日】2009年11月17日
(65)【公表番号】特表2012-508793(P2012-508793A)
(43)【公表日】2012年4月12日
(86)【国際出願番号】IN2009000650
(87)【国際公開番号】WO2010070664
(87)【国際公開日】20100624
【審査請求日】2012年9月4日
(31)【優先権主張番号】2827/CHE/2008
(32)【優先日】2008年11月17日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510282192
【氏名又は名称】ライラ ファーマシューティカルズ ピーブイティ.エルティディ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャニールパラムプ,ラムチャンド,ナナパン
(72)【発明者】
【氏名】ナイル,アニータ,クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】カプーア,アヌジ
(72)【発明者】
【氏名】パルタサラティ,カビタ
(72)【発明者】
【氏名】ビューパチラジュ,キラン
(72)【発明者】
【氏名】ゴカラジュ,ラマ,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴカラジュ,ガンガ,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラコチ,トリムーツル
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02415902(GB,A)
【文献】 国際公開第2007/043058(WO,A1)
【文献】 Pharma Medica,2008年 9月,Vol.26, No.9,p.35-41
【文献】 環境と健康,2002年,Vol.15, No.5,p.197-210
【文献】 Nutrition Research,2000年,Vol.20, No.4,p.515-526
【文献】 Biochemical and Biophysical Research Communications,2007年,Vol.361, No.2,p.528-532
【文献】 Food Chemistry,2008年 5月15日,Vol.108, Iss.2,p.419-424
【文献】 Lin, Hung-Yin et al.,Control of the release of curcumin from micelles by ultrasound,IEEE Annual Northeast Bioengineering Conference, 31st,2005年,271-272 Publisher,p.1-2
【文献】 Langmuir,2008年 3月 4日,Vol.24, No.5,p.1707-1713
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00−72
A61K 47/00−48
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.02%w/vから2.5%w/vの量の単独または併用のいずれかでの天然または合成のクルクミノイドと;
b)1%w/vの量の1以上の非イオン性界面活性剤と;
c)1%w/vの量の1以上の共溶媒を薬学的眼科的賦形剤と、を共に含み、
前記クルクミノイドの粒子サイズが8〜11nm(ナノメートル)であり、
前記天然クルクミノイドがクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、およびデメトキシクルクミンから選択され、前記合成クルクミノイドが合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドから選択される、水性眼科組成物。
【請求項2】
前記組成物が点眼ゲルその他の点眼剤の形をとる、請求項1に記載の水性眼科組成物。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、及びポリエチレングリコールエステル系イオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の水性眼科用組成物。
【請求項4】
前記共溶媒多価アルコールから選択される、請求項1に記載の水性眼科組成物。
【請求項5】
前記適切な眼科的賦形剤がポリマー、キレート化剤、安定剤、等張化剤、緩衝剤、保存
剤、増粘剤、および錯化剤から選択される、請求項1に記載の水性眼科組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが水溶性ポリマーから選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項7】
前記キレート化剤がEDTAの二ナトリウム塩から選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項8】
前記安定剤が、亜硫酸水素ナトリウム、グリセリン、クエン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、塩化ベンザルコニウム、エデト酸およびその薬学的に許容される塩、エデト酸ナトリウムと併用するトコフェロールから選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項9】
前記等張化剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、D−マンニトール、グルコース、グリセリン、およびキシリトールから選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項10】
前記増粘剤が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、およびキトサンから選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項11】
前記保存剤が、亜硫酸水素ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、メチルパラベンおよびフェニルエチルアルコールから選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項12】
前記緩衝剤が、炭酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選択される、請求項に記載の水性眼科組成物。
【請求項13】
更に、コロイド状薬物担体としてのシクロデキストリンを含む、請求項1に記載の水性眼科組成物。
【請求項14】
眼疾患の予防及び治療に適用される、請求項1に記載の水性眼科組成物。
【請求項15】
前記眼疾患は、ベーチェット病、網膜疾患、糖尿病性網膜症、白内障、結膜疾患、角膜疾患、黄斑変性症、及び緑内障から選択される、請求項14に記載の水性眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼疾患または障害の治療に有用な、単独または併用のいずれかでのクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイド、他の眼科的賦形剤と共に浸透促進剤としての適切な界面活性剤および共溶媒を含む水性眼科的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
眼は、多数の疾患、および正常に機能するその能力に影響する他の有害な状態を経験し得る、身体の複雑かつ敏感な器官であり、多くのそのような眼状態が、眼の内部に、最も具体的には、眼の背側または後部に見出すことができる。
【0003】
眼状態とは、眼または眼の部分もしくは領域の1つに関連した疾患または状態のことである。概して、これは、それらの解剖学的構造に基づいて区別することができ、関連する疾患は、前眼部状態および後眼部状態と同じ程度で区別される。前眼部状態には、乱視、眼瞼痙攣、白内障、結膜疾患、結膜炎、角膜疾患、角膜潰瘍、ドライアイ症候群、眼瞼疾患、涙器疾患、涙道閉塞症、近眼、老眼、瞳孔障害、屈折障害、および斜視に関連する前眼(すなわち、眼の前面)領域または前眼部位が挙げられる。後眼部状態には、黄斑変性症、ベーチェット病、網膜障害、(増殖性糖尿病性網膜症を含む)糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞性疾患、網膜中心静脈閉塞症、ブドウ膜炎網膜疾患、網膜剥離、後眼部位または後眼位置に影響する眼外傷を含む後眼領域または後眼部位が挙げられる。
【0004】
眼に関連した他の主な疾患は、視神経を損傷し、視覚を損なう(時には、失明まで進行する)眼疾患である緑内障、黄斑の細胞の変性によって引き起こされ、霧視を生じ、失明および網膜症(失明を生じ得る網膜の疾患)を引き起こし得る黄斑変性症である。これらの疾患を予防または治癒するために、最も有利な眼の薬物送達によって薬物を投与することができる。しかしながら、眼薬物送達系に用いられる薬物の数は、若干限られており、その一部には、眼における、皮膚の上層である角質層と角膜の両方によって提供される薬物透過に対する手強いバリアに起因するものがある。これらのバリアを透過することができる薬物のみが、例えば、滞留時間の延長および標的特異的薬物送達を有する微粒子またはナノテクノロジーによって達成することができる物理化学的性質の非常に狭くかつ特異的な組み合わせを有するものである。これらの系は、難溶性薬物の溶解性問題を克服するために開発された。
【0005】
眼の後部への薬物送達は、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、黄斑浮腫、術後炎症、ブドウ膜炎網膜炎、増殖性硝子体網膜症、および緑内障などのいくつかの障害を治療するのに重要である。解剖学的膜バリア(すなわち、角膜、結膜、および強膜)および涙ドレナージにより、局所的薬物投与後の眼の後部における治療的薬物濃度を得ることはかなり困難であり得る。これらのバリアは非侵襲性方法で変化させることはできず、眼科的製剤は、眼の生物学的利用率を増加させるように何とかして改善しなければならない。今まで、眼の後部に特異的かつ効果的である非侵襲性の、安全で患者に優しい薬物送達系がない。たいていの場合、局所投与または全身投与は、これらの製剤からの限られた生物学的利用率にもかかわらず、後部疾患を治療するために用いられている。
【0006】
現在、非ステロイド性の植物に基づいた抗炎症剤の需要が急激に急増し、様々な治療に適用する際にそれらの潜在的な効用を使用することが急激に増えてきている。
【0007】
天然では、クルクミノイドは、a)クルクミン、b)ビスデメトキシクルクミン、c)デメトキシクルクミンの3つの型があり、それらは全て、ポリフェノールであり、ターメリックの黄色の原因である。その3つから取り出される主要なクルクミノイドである活性クルクミンは、並外れて強力な抗酸化剤および抗炎症剤であり、酸化または酸化ストレスに関連した細胞損傷の主な因子であるフリーラジカル損傷および炎症の両方を防ぐことができる。クルクミンおよびその類似体/誘導体に関する対象となる現在のレベルは、下記の文献から知られている。
【0008】
クルクマ・ロンガ(curcuma longa)の抽出物からビス−o−デメチルクルクミンおよびテトラヒドロテトラヒドロキシ−クルクミンの濃縮画分を生じさせるための方法が、国際公開第2007/043058号に開示されており、その内容は全体として本明細書に組み入れられている。この刊行物によれば、ビス−o−デメチルクルクミンが、他のクルクミノイドおよび天然のクルクミン混合物と比較して、最も強力な抗癌活性、抗酸化活性、および抗炎症活性を示す。
【0009】
クルクミンおよびクルクミノイドXXXIの研究に関する文献;Thorsteinn LoftsonらによるInternational Journal of pharmaceutics vol 338、issues 1−2、pages 27−34、Symmetric and asymmetric curcuminoids,stability,activity and complexation with cyclodextrin。
【0010】
さらに、Beena Mistraらによるクルクミンのβシクロデキストリン包接複合体に関する文献が、BARC news letter、India;issue no 185、October 2007に記載されている。
【0011】
しかしながら、眼科的製剤における、単独または併用のいずれかでのクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドの使用は先行技術において知られていない。親油性薬物である、単独または併用のいずれかでのクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドは、低水溶性であり、したがって、それの治療的有効性を制限している。
【0012】
天然および合成の両方の全てのクルクミノイドは、ケト基との共役二重結合を有する親油性構造を有し、したがって、それらが負帯電膜と相互作用する誘電率を有することになって、それらが生体膜を通って透過することを不可能にさせている。したがって、これらのクルクミノイドが膜を通過するためには、これらの分子を親油性分子で被包することが必要である。さらに、これらのカプセル化分子が膜を横切って輸送され得るように、分子の格子を単一体にする必要がある。
【0013】
「シクロデキストリン」は、親油性中心空洞および親水性外表面の両性の性質を示す、複数の(α,D1−4)結合型グルコピラノース単位からなる結晶性の、均一で、非吸湿性の環状オリゴ糖であり、親油性薬物の溶解性を増加させるために過去十年にわたって用いられている。水溶液において、シクロデキストリンは、薬物分子またはより頻繁には分子の一部の親油性部分を中心空洞へ取り込むことによって多くの薬物との包接複合体を形成することができる。この性質は、不十分な溶解速度および溶解性のせいで経口生物学的利用率が限られている薬物の生物学的利用率を、それらの吸収を改善することによって増加させる薬物送達を目的として薬物製剤製造者によって広く利用されている。この複合体化はさらに、薬物の活性再結晶化を低下させ、それらの水溶性を増加させるのに役立っている。
【0014】
シクロデキストリンの複合体化効力は、水性複合体化媒体中に少量の水溶性ポリマーを含ませることによって有意に増強させることができ、これは水溶性ポリマーが薬物/シクロデキストリン複合体の薬学的性質および生物学的性質の両方を向上させるからであることが示されている。しかしながら、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン複合体は、自己会合して、凝集体を形成すること、およびそれらの凝集体がそれら自体、可溶化剤として働き得ることがさらに示されている。
【0015】
さらに、シクロデキストリン複合体およびより毒性作用の低い、幅広い薬理活性を有する活性成分を含む微粒子またはナノテクノロジーのようなより新しいテクノロジーが、眼経路を介して投与するための第一選択であり得る。
【0016】
眼科的薬物は、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、コルチコステロイド、および非ステロイド抗炎症薬に分類される。これらのクラスの薬物は、様々な眼障害を治療するために用いられる。コルチコステロイド、NSAID、および上記のクラスの薬物のその他の群を長期間使用すると、結果として、緑内障、視神経損傷が起こり、視覚問題、白内障、または二次眼感染症が起こる。
【0017】
したがって、本発明は、眼疾患/障害を治療するための新規な薬草組成物を用いて眼科分野において可能性のある後継物質を提供することを目標とする。驚くべきことに、行われた予備実験では、非イオン性界面活性剤および共溶媒を使用すると、クルクミノイドを200mgまで可溶化し、それにより、水性媒体における効果的な可溶化を助けることを実証している。本方法は、クルクミノイドの水溶性を増強するために非イオン性界面活性剤および共溶媒を用いてクルクミノイドをコーティングすることを含む。
【0018】
それゆえに、本発明は、眼疾患または障害用のゲル/懸濁液の形をとる水性眼科的組成物として、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで、非イオン性界面活性剤および共溶媒と、任意でシクロデキストリンと共に含む、これまで利用されていなかった眼科的組成物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2007/043058号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】International Journal of pharmaceutics vol 338、issues 1−2、pages 27−34、Symmetric and asymmetric curcuminoids,stability,activity and complexation with cyclodextrin
【非特許文献2】BARC news letter、India;issue no 185、October 2007
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ナノ乳化LI01008がA549細胞単層を横切って輸送される濃度依存的増加を示す用量反応曲線の図である。
図2】ナノ乳化クルクミン98%のサイズを示すグラフである。
図3】非製剤化クルクミン98%のサイズを示すグラフである。
図4】ナノ乳化BDMCのサイズを示すグラフである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで、非イオン性界面活性剤、共溶媒と、適切な眼科的賦形剤と共に含む、水性眼科的(局所的)点眼剤または点眼ゲル製剤を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで、非イオン性界面活性剤、共溶媒、および任意でシクロデキストリンと、適切な眼科的賦形剤と共に含む、水性眼科的点眼剤または点眼ゲル製剤を提供する。
【0024】
さらに、いくつかの眼疾患または障害の治療または予防のための方法が本発明において開示されている。特に、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、および他の網膜症、ならびにドライアイ、ブドウ膜炎、老眼、緑内障、眼瞼炎、眼の酒さの寛解のための方法が開示されている。方法は、1つまたは複数の眼科的疾患状態の発症を予防し、遅延させ、またはそれらの症状を低減させる治療有効量の、単独または併用のいずれかでのクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドと共に、眼科的に許容される担体または希釈剤を含む組成物の投与を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、特定の好ましい実施形態および任意の実施形態に関連して、それらの様々な態様がより完全に理解および認識されるように、これから詳細に記載する。
【0026】
本明細書に用いられる場合、用語「クルクミノイド」は、抗酸化活性または抗炎症活性を有する、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで含むクルクミン混合物を意味する。
【0027】
本明細書に用いられる場合、用語「界面活性剤」は、水の表面張力を低下させ、親油性化合物の可溶性を可能にすることにより働く表面活性物質を意味する。界面活性剤は、それらが疎水性尾部および親水性頭部を含むことを意味する両親媒性である。したがって、これらは、疎水性媒体および水の両方に可溶である。界面活性剤は、a)イオン性、b)非イオン性の2つの型がある。本発明は、薬学的な目的として非イオン性界面活性剤の使用を含む。本発明に用いられる界面活性剤は、ポリソルベート80および20、ポロキサマー、オクトキシノール、および本発明の目的に適した任意の他の薬学的に許容される非イオン性界面活性剤から選択することができる。
【0028】
したがって、一実施形態において、本発明は、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの1つまたは複数の天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで、非イオン性界面活性剤、共溶媒と、適切な眼科的賦形剤と共に含む、水性眼科的(局所的)点眼剤または点眼ゲル製剤を提供する。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの1つまたは複数の天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで、非イオン性界面活性剤、共溶媒、および任意でシクロデキストリンと、適切な眼科的賦形剤と共に含む、水性眼科的点眼剤または点眼ゲル製剤を提供する。
【0030】
このように、本発明は、有効量の天然/合成クルクミノイド、ならびに眼に局所投与された場合、親油性クルクミノイドの生物学的利用率を増加させるのに効果的な量の非イオン性界面活性剤および共溶媒を含む水性眼科的(局所的)点眼剤または点眼ゲル製剤を提供する。
【0031】
本発明はまた、有効量の天然/合成クルクミノイド、ならびに組成物中の天然活性物質の溶解性を結晶性/非晶質シクロデキストリン中のその溶解性と比較して効果的に増加させる量の非イオン性界面活性剤および共溶媒の眼科的(局所的)組成物を含む眼科的点眼剤ディスペンサーを提供する。本発明の組成物は、眼に投与した際に副作用が全くなく、活性物質の治癒効果を持続させるのに効果的である。
【0032】
本発明の新規な態様は、インドで一般的に用いられるスパイスおよび着色剤であり、幅広い供給源から入手可能であり、副作用なしに強力な抗酸化作用および抗炎症作用を有する薬物を含む。
【0033】
したがって、本発明は、製剤が自然から入手可能な1つまたは複数の他のクルクミノイドと共に、任意でシクロデキストリンを含み得る、眼科的組成物、特に点眼剤および点眼ゲルを提供する。
【0034】
好ましい実施形態において、用いることができる活性物質には、抗酸化活性または抗炎症活性を有する、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで含む天然クルクミン混合物の成分が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の眼科的組成物中の総クルクミノイドの濃度は、0.5%w/vから2.5%w/vまで様々であり得る。非イオン性界面活性剤および非イオン性共溶媒は、眼科的溶液中、それぞれ1%の量で存在する。
【0035】
別の好ましい実施形態において、シクロデキストリンは、ミクロン範囲およびミクロン未満の範囲の微粒子およびナノ粒子などのコロイド状薬物担体として製剤内に組み入れられ、それらは、それらのサイズおよび/または表面電荷によって、眼への薬物吸収の促進をもたらす粘膜付着性を有する。実際、これらの系は、薬物担体性質および眼の中への局所的薬物送達を増強するために、すなわち、標的特異的で、滞留時間がより長く、生物学的利用率がより高く、より良い安定性をもつように、組み入れられている。
【0036】
本発明によれば、薬物および非イオン性界面活性剤は、許容される担体と組み合わせて、生物学的利用率および安定性が増強した安定な眼科的調製物を製剤化することができる。これらの担体として、当業者に公知の薬学的に許容される賦形剤および添加剤、例えば、特に、担体、安定剤、浸透圧増強剤、緩衝物質、保存剤、増粘剤、錯化剤、および他の賦形剤が挙げられる。
【0037】
非イオン性界面活性剤は、以下に制限されないが、ポリソルベート80および20、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、またはそれらの化合物の混合物から選択される。
【0038】
共溶媒は、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールから選択される。
【0039】
本発明は、EDTAの二ナトリウム塩などのキレート化剤をさらに含む。
【0040】
本発明は、本発明に用いることができる適切な水溶性ポリマーを含んでもよく、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカルボフィル、ゼラチン、アルギン酸塩、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレンオキシド、およびキトサンまたはその誘導体が挙げられるが、それらに制限されない。
【0041】
安定剤は、エデト酸ナトリウムを含め、亜硫酸水素ナトリウム、グリセリン、クエン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、塩化ベンザルコニウム、エデト酸およびその薬学的に許容される塩、トコフェロールおよびその誘導体に制限されない。
【0042】
本発明に用いられる等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、D−マンニトール、グルコース、グリセリン、キシリトール、およびプロピレンのような任意の特定のものに制限されない。
【0043】
本発明に用いることができる増粘剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、およびキトサンのような任意の特定のものであるが、それらに限定されない。
【0044】
用いることができる保存剤には、亜硫酸水素ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、およびフェニルエチルアルコールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
用いることができる緩衝剤には、炭酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
塩化ナトリウムおよび塩化カリウムなどの電解質もまた、本製剤に含まれてもよい。
【0047】
本発明の眼科的水性薬学的調製物は、より良い薬物送達のために適切な容器中で荷電されてもよい。
【0048】
本発明の眼科的水性薬学的調製物の剤形は、点眼剤に制限されないが、点眼ゲルとして調製してもよい。例えば、本発明の眼科的水性薬学的懸濁液調製物は、全ての前部および後部に関連した状態または眼疾患の治療に広く用いることができる。
【0049】
さらに、本発明の眼科的水溶液調製物は、非ステロイド性薬物を含む。それゆえに、それが長期間投与された場合でもいかなる副作用もなく、角膜上皮細胞または結膜細胞を損傷する可能性が低くあり得る。
【0050】
クルクミン、ビス−o−デメチルクルクミンなどの強力なクルクミノイドは、浮腫、線維素沈着、毛細血管漏出および食細胞遊走、炎症応答の全ての重要な特徴を阻害することによって炎症を抑制する。これらのクルクミノイドは、プロスタグランジンの放出を防ぎ、プロスタグランジンの一部は、嚢胞様黄斑浮腫のメディエーターとして同定されている。加えて、ビス−o−デメチルクルクミンを含むクルクミノイドは、血管透過性の強力なプロモーターであるサイトカイン、つまり、血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を阻害することが示されている。
【0051】
従来の投与経路で今までのクルクミノイドを使用しても、ほとんどが、これに伴う毒性なしに後部へ十分な量の薬物を送達し、維持することができないので、黄斑浮腫を含む網膜障害の治療で成功するのは限られている。例えば、点眼剤の通常の局所投与後、約1%のみが前部に達し、それのわずかな量のみが後部へ移動する。薬物の硝子体内注射が用いられているが、薬物への曝露は、眼内での薬物の半減期が約3時間であるので、非常に短時間である。
【0052】
本発明の典型的な点眼製剤は、抗酸化活性または抗炎症活性を有する、クルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デメトキシクルクミンなどの固形天然クルクミノイド、ならびに合成的に誘導されたビス−o−デメチルクルクミンおよび/または他のデメチル化クルクミノイドを単独または併用のいずれかで、非イオン性界面活性剤と、任意で、シクロデキストリン複合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体などの水溶性ポリマー、キレート化剤、(マグネシウムイオンなどの)金属イオン、ならびに/または酢酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムなどの有機塩と共に含む水性薬物懸濁液を含み、そのような添加剤は、系を安定化し、かつ系に粘膜付着性の増強をもたらすために用いられる。
【0053】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載しているが、他の実施形態は、本明細書を考慮すれば当業者にとって明らかになるであろう。本発明は、本発明の調製方法および使用方法を詳細に記載する以下の実施例を参照することによってさらに明確にされる。材料および方法の両方への多くの変形例が、本発明の範囲から逸脱することなく、実施し得ることは当業者にとって明らかであろう。
【実施例1】
【0054】
【表1】
【実施例2】
【0055】
【表2】
【実施例3】
【0056】
【表3】
【実施例4】
【0057】
【表4】
【実施例5】
【0058】
典型的な0.06%の眼科的製剤(curculife)
【表5】
【0059】
調製方法:
ホウ酸塩緩衝液の調製:
1)3.81gの四ホウ酸ナトリウムを計って、ビーカーへ入れ、100mlの水に溶解した。
2)6.8gのホウ酸を計って、ビーカーへ入れ、100mlの水に溶解した。
3)四ホウ酸ナトリウム溶液のpHをチェックし、9の範囲にあることを見出した。これをホウ酸の添加によって7.2のpHに調整した。
4)このように調製した緩衝液を用いて、製剤のpHを調整した。
【0060】
クルクミンの可溶化:
1)60mgのクルクミンを計って、10mlのビーカーへ入れた。
2)これに、1g(765ul)のTween80および1gのPEGを加え、ガラス棒を用いてよく撹拌した。
3)この後、試験管を30分間、またはクルクミンが完全に可溶化するまで、超音波処理した。
4)深紅色溶液ができた。
【0061】
眼科的製剤の調製:
1)100mlの水を磁気攪拌機上のビーカーに入れた。
2)HPMCを加え、全てのHPMCが溶解するまで撹拌した。
3)クルクミン+Tween80溶液を、15分間、撹拌しながら、これに1滴ずつ加えた。
4)これに、BAC、EDTA、およびNaClを加え、全ての内容物が完全に溶解するまで撹拌し、黄色の透明な溶液が得られた。
5)溶液のpHをチェックし、5.3〜5.4の範囲であることを見出した。したがって、ホウ酸塩緩衝液で6.5のpHまでそれを調整した。
【実施例6】
【0062】
【表6】
【0063】
調製方法:
溶液Aの調製:
1.20mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースを正確に計り、2Lの水(バッチサイズの10%)を含む容器にそれを加え、それを約90℃まで加熱し、一晩、放置する。
2.次の日、前記溶液を完全に分散するまで撹拌し、精製水で容積を6L(バッチサイズの30%)にし、それをよく撹拌して、均一な分散液を得る。
3.前記溶液を2μプレフィルターを通して濾過し、充填容器へ入れる。その後、この溶液をオートクレーブする。
【0064】
溶液Bの調製:
1.14Lの精製水を新たに製造容器に収集する。4.67gのホウ砂を正確に計り、製造容器に加える。完全に溶解するまで撹拌する。
2.4mlの塩化ベンザルコニウム溶液を正確に計り、製造容器に加え、完全に溶解するまで撹拌する。
3.20gのエデト酸二ナトリウムを正確に計り、完全に溶解するまで撹拌しながら、製造容器に加える。
4.159gの塩化ナトリウムを正確に計り、完全に溶解するまで撹拌しながら、製造容器に加える。
【0065】
溶液Cの調製/クルクミノイドのナノ乳化:
1.12gのクルクミン98%を正確に計り、それをガラスビーカーに加える。
2.212gのポリソルベート−80を正確に計り、適切なサイズのガラスビーカーに加える。
3.224gのポリエチレングリコール400を正確に計り、それをビーカーに加える。
4.混合物を30分間、完全に溶解するまで超音波処理する。
【0066】
バルク溶液の調製:
1.「溶液C」に「溶液B」を加え、よく撹拌する。
2.その溶液を0.2μのフィルターに通して濾過し、「溶液A」を含むオートクレーブされた充填容器へ入れる。
3.5.8〜6.4であるべきであるpHをチェックする。
【実施例7】
【0067】
ナノ乳化クルクミン98%およびBDMCについての粒子サイズ分布データ:
ナノ乳化製剤に関して行われた粒子サイズ分布研究により、クルクミン分子が本製剤中にナノサイズの粒子として存在することがさらに確認された。最初、製剤化されていない形で374nmであるクルクミン分子が独特な過程を通して8〜11nmのサイズの粒子へ乳化されていることがこの研究により証明され、それは、本発明者らの製剤によるクルクミンのこの輸送および効力の増強を示している。
【0068】
研究は、Malvern粒子サイズ分析機器を用いて行われた。角度に対する散乱強度のマップは、粒子サイズを計算するために用いられる一次情報源である。粒子の散乱は、最も広い可能なダイナミックレンジにわたる正確なサイジングを可能にするミー(Mie)散乱モデルによって正確に予測される。レーザー回折測定中、粒子は、集光レーザービームの中を通過する。これらの粒子は、それらのサイズに反比例する角度で光を散乱する。その後、散乱光の角度強度が、一連の感光検出器によって測定される。この研究の利点は、試料調製を必要としないことである。
【0069】
クルクミン98%およびナノ乳化BDMCおよびクルクミン98%の粒子サイズ分布に関して行われた研究により、ナノ乳化BDMCおよびクルクミン98%の粒子サイズが8〜11nmであることが明らかに示され、それは、373nmであった非製剤化クルクミン98%の粒子サイズと比較してナノ乳化化合物の理想的サイズである。これはその後のナノ乳化の過程が、大きなサイズの粒子をナノサイズのコーティング化クルクミノイド粒子へ効果的に変換していることの明らかな表れである。製剤を調製するために用いられる高分子量の賦形剤が原因となる追加のピークを観察することができる。得られた結果により、研究に用いられた本ナノ乳化過程が単純かつ効果的であることが示されている。
【実施例8】
【0070】
ナノ乳化ビス−o−デメチルクルクミン(BDMC)に関して行われたインビボの生物学的利用率研究:
上記製剤の生物学的利用率を、ヒト肺癌線維芽細胞株のA549細胞株について行った。これらは、迅速な増殖能力をもつ接着細胞である。細胞を、それらが約90%集密度に達するまでDMEM培地中で培養し、その後、それらを12ウェルプレートへ分割した。培養プレートが約90〜100%集密になったとき、それらを実験に用いた。通常、ウェルあたり10細胞の播種密度は3日以内に約90%集密培養物を生じさせることができる。
【0071】
ナノ乳化ビス−o−デメチルクルクミンの濃度の、A549上皮細胞株を通っての前記化合物の輸送効率への用量依存的様式での効果を研究した。
【表7】
【0072】
様々な濃度の本発明の製剤を用いる用量反応を、ビス−o−デメチルクルクミンのA549細胞への輸送における薬物動態パラメータの1つの効果を研究するために行った。試みられた研究を表すグラフ(図1)によって示された用量反応曲線は、ナノ乳化ビス−o−デメチルクルクミンのA549細胞単層を横切っての輸送の濃度依存的増加が確かにあることを示し、したがって、濃度が、確かに、ナノ乳化ビス−o−デメチルクルクミンの輸送における重要なパラメータであると推論することができる。
【0073】
インビボでウサギの眼組織を通って硝子体液へ上記製剤を輸送することについて、さらに研究した。硝子体液を収集し、HPLCを用いて分析した。化合物は、検出可能な量で輸送され、異なる時間間隔で見積もられた。
【実施例9】
【0074】
クルクミン98%眼科的製剤のインビボ抗白内障効力:
製剤の抗白内障効果に関するインビボ効力実験により、その化合物が、眼バリアを通って透過し、網膜に達し、ラットにおける白内障形成を防ぎ得ることが示されている。
【0075】
白内障の予防または遅延のための安全かつ効果的な治療を開発するためにクルクミン98%眼科的製剤の抗白内障効果を決定する研究を行った。動物をグループI(対照)、グループII(亜セレン酸ナトリウム)、およびグループIII(治療)へグループ化した。
【0076】
生後10日目に、クルクミン98%眼科的製剤をグループIII動物のみの眼に局所的に滴下注入した。2時間後、亜セレン酸ナトリウム(5ml/kg体重の25μM/kg体重)をグループIIおよびIIIの両方の動物に皮下注射し、その後、5μlのLP002−09をグループIII動物のみの眼へ局所的に滴下注入した。クルクミン98%眼科的製剤を、1週間、毎日、4時間の間隔で3回、滴下注入し、一方、グループIおよびIIの動物を投与期間の間中、そのままにしておいた。クルクミン98%眼科的製剤の滴下注入中、ラットの子の眼瞼を優しくかつ注意深く開き、約1分間、維持して、クルクミン98%眼科的製剤のオーバーフローを防いだ。
【0077】
全ての動物を、いかなる臨床徴候および死亡についても観察期間にわたって個々に観察した。検査の日、すなわち、子が最初に眼を開いたとき、0.8%のトロピカミドで瞳孔を拡張することによって混濁の存在または非存在により白内障の発生を観察した。
【0078】
白内障を、Muranovら(2004)によって記載された手順に従い0〜4のスケールでスコア化した。グレード0は正常な透明レンズであり、グレード1は嚢下混濁であり、グレード2は核白内障であり、グレード3は強い核白内障であり、グレード4はレンズ全体に及ぶ濃い混濁であり、結果は下記の表8に提示されている。
【表8】
【0079】
結果:
実験期間を通じて、いずれの動物も毒性および死亡の臨床徴候を示さなかった。グループI(対照)動物の眼は全て、透明であることが見出された。亜セレン酸ナトリウムを注射されたグループII動物においては、70%の眼に濃い混濁型白内障、20%の眼に強い核白内障、および10%の眼に核白内障を発症したが、グループIII(治療)動物において、55%の眼(11個の眼)に白内障は観察されず、10%(2個の眼)に強い核白内障、10%(2個の眼)に核白内障、および25%の眼(5個の眼)に嚢下混濁が観察された。
【0080】
したがって、これらの実験条件下において、クルクミン98%眼科的製剤のウィスターラットの子の眼への滴下注入が亜セレン酸塩誘導白内障の作用を効果的に低下させると結論づけられる。それゆえに、クルクミンが本発明の製剤を通してより良く輸送され、それによって、効力の向上を生じる生物学的利用率の増強をもたらすと実験より結論づけられる。
【0081】
本発明が前述の例証的な例の詳細に限定されないこと、本発明がその本質的な属性から逸脱することなく他の特定の形をとって具体化し得ることは、当業者にとって明らかであろうし、それゆえに、本実施形態および本実施例が、あらゆる点で例証的なものであって、制限的ではないものとしてみなされ、前述の説明よりむしろ添付された特許請求の範囲が参照されることが望ましく、したがって、特許請求の範囲の意味内および同等範囲内に入る全ての変化がそれに包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4