特許第5775474号(P5775474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775474
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】プラグロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20150820BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20150820BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20150820BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20150820BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20150820BHJP
【FI】
   B60L11/18 C
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301B
   E05B49/00 K
   E05B65/00 T
   B60R25/01
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-39098(P2012-39098)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-176223(P2013-176223A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】井上 智博
(72)【発明者】
【氏名】西本 圭吾
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−244590(JP,A)
【文献】 特開2005−194799(JP,A)
【文献】 特開2011−044112(JP,A)
【文献】 特開2009−081917(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0313580(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
E05B 49/00
65/00
B60R 25/01
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる解除スイッチの操作時に正規の電子キーとの間での無線通信が成立した場合には、車両に設けられるインレットからの給電プラグの抜き出しが規制されたロック状態から前記給電プラグの抜き出しが許可されたアンロック状態とするプラグロック装置において、
前記解除スイッチの操作時に前記正規の電子キーとの間での無線通信が不成立の場合であって、車両のイグニッションがオン状態のとき、前記正規の電子キーとの間での無線通信を伴わずに、車両に設けられる特定のスイッチの操作があった旨認識すると、前記給電プラグを前記ロック状態から前記アンロック状態とするプラグロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグロック装置において、
前記特定のスイッチは前記解除スイッチであって、
前記解除スイッチに対する特定の操作を認識したとき、前記給電プラグを前記ロック状態から前記アンロック状態とするプラグロック装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラグロック装置において、
前記インレットの周辺に存在する前記電子キーとの間での無線通信が可能に構成され、
前記特定のスイッチは車内に設けられるプラグロック装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラグロック装置において、
前記解除スイッチの操作時に正規の電子キーとの間での無線通信が不成立の場合であって、車両のイグニッションがオフ状態のとき、前記電子キーのユーザが所持する携帯機器との間で無線通信を行い、前記携帯機器に対して前記給電プラグのアンロックを許可する操作がされた旨の許可信号を受信すると、前記給電プラグを前記ロック状態から前記アンロック状態とするプラグロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する配慮から、車載されるバッテリの電力に基づき走行する電気自動車が注目されている。電気自動車には、例えば家庭の商用電源に繋がる給電プラグを接続可能としたインレットが設けられる。そして、そのインレットに給電プラグを接続し、商用電源から車両に送電することで車両のバッテリに充電を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電気自動車のバッテリ充電には、ガソリン車のガソリン補給に比べて比較的長い時間を要する。このことから給電プラグをインレットに接続した状態で車両を長時間放置するケースが多くなる。このため、例えば、給電中の車両から不正に給電プラグを抜き出して別の車両のインレットに装着して盗電されたり、給電プラグ自体が盗まれたりすることも想定される。
【0004】
そこで、インレットに挿し込まれた状態の給電プラグをロックすることで給電プラグの不正な抜き出しを規制するプラグロック装置が存在する(例えば、特許文献2参照)。このプラグロック装置においては、給電プラグのロックからアンロックへの切り換えが、車両ドアのアンロックとの連動によって行われる。
【0005】
また、近年の車両には、ユーザの携帯する電子キーとの間で無線通信を行い、この無線通信が成立する場合にのみ車両ドアの施解錠やエンジンの始動を許可する、いわゆるスマートシステムが搭載されている。車両は、LF帯の無線信号を間欠的に送信することにより、車両の周辺に送信エリアを形成する。電子キーは、通信エリアに入ってLF帯の無線信号を受信すると、UHF帯の無線信号を送信する。車両は、受信したUHF帯の無線信号の妥当性を確認すると、ドアの解錠などを許可する(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【特許文献2】特許第4379823号公報
【特許文献3】特開2005−194799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、セキュリティ性の観点から、このスマートシステムを利用したプラグロック装置が検討されている。このようなプラグロック装置では、例えば、インレットの近傍にLF帯の無線信号を送信するアンテナを設ける。そして、このアンテナからの無線信号をトリガとして車両と電子キーとの間で無線通信が成立したときに、プラグロック装置は、給電プラグの抜き出しを許可する。この構成によれば、電子キーを所持するユーザによる給電プラグの抜き出しのみが可能となり、不正な給電プラグの抜き出しが規制される。
【0008】
しかし、この構成においては、電子キーを所持するユーザが車内に乗り込んだ状態で、他のユーザ(同乗者)が給電プラグをインレットから抜き出すことができない。このため、給電プラグを抜き出すためには、車内のユーザが降車する若しくは当該ユーザが同乗者に電子キーを手渡す必要があり、不便であった。また、ユーザに所持される電子キーが車両から離れた位置(上記スマートシステムに係る通信不能な位置)に存在する場合には、正規の者(例えば電子キーのユーザの家族)であっても給電プラグを抜き出すことができず不便である。
【0009】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セキュリティ性を確保しつつ電子キーの所持者以外の者にも給電プラグの抜き出しを許可することで利便性を向上させたプラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、車両に設けられる解除スイッチの操作時に正規の電子キーとの間での無線通信が成立した場合には、車両に設けられるインレットからの給電プラグの抜き出しが規制されたロック状態から前記給電プラグの抜き出しが許可されたアンロック状態とするプラグロック装置において、前記解除スイッチの操作時に前記正規の電子キーとの間での無線通信が不成立の場合であって、車両のイグニッションがオン状態のとき、前記正規の電子キーとの間での無線通信を伴わずに、車両に設けられる特定のスイッチの操作があった旨認識すると、前記給電プラグを前記ロック状態から前記アンロック状態とすることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、解除スイッチの操作時に、電子キーが通信エリア外に存在すると電子キー及びプラグロック装置間の無線通信が不成立となる。この場合であっても、車両のイグニッションがオン状態であれば、当該電子キーとの間での無線通信を伴わずに、特定のスイッチの操作があったときには、インレットに挿し込まれている給電プラグがロック状態からアンロック状態とされる。この特定のスイッチの操作は、電子キーの所持者が行うこともあるし、電子キーを所持しない者が行うこともある。これにより、電子キーを所持しない者による給電プラグの抜き出しが可能となる。さらに、イグニッションがオン状態にあること、及び特定のスイッチが操作されたことがアンロック状態へ移行するための条件となっているため、給電プラグの不正な抜き出しが抑制される。よって、セキュリティ性を維持することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプラグロック装置において、前記特定のスイッチは前記解除スイッチであって、前記解除スイッチに対する特定の操作を認識したとき、前記給電プラグを前記ロック状態から前記アンロック状態とすることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、電子キー及びプラグロック装置間の通信が不成立で、かつ車両のイグニッションがオン状態の場合においても、解除スイッチに対して特定の操作がされたとき、給電プラグがアンロック状態となる。これにより、電子キーを所持しない者の自らの操作により、すなわち電子キーの所持者の操作に頼ることなく、給電プラグをアンロック状態とすることができるため利便性が向上する。
【0014】
また、解除スイッチを特定のスイッチとして利用することで新たなスイッチが不要となるため、構成をより簡易にすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のプラグロック装置において、前記インレットの周辺に存在する前記電子キーとの間での無線通信が可能に構成され、前記特定のスイッチは車内に設けられることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、電子キーの所持者が車内に存在する場合には、プラグロック装置は、その電子キーとの間での給電プラグのロック状態の切り替えに係る無線通信が成立しない。この場合であっても、例えば、車内に存在する電子キーの所持者による特定のスイッチの操作を通じて、給電プラグをアンロック状態とすることで電子キーを所持しない者による給電プラグの抜き出しを可能とすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラグロック装置において、前記解除スイッチの操作時に正規の電子キーとの間での無線通信が不成立の場合であって、車両のイグニッションがオフ状態のとき、前記電子キーのユーザが所持する携帯機器との間で無線通信を行い、前記携帯機器に対して前記給電プラグのアンロックを許可する操作がされた旨の許可信号を受信すると、前記給電プラグを前記ロック状態から前記アンロック状態とすることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、車両のイグニッションがオフ状態の場合であっても、電子キーのユーザが所持する携帯機器を通じて、給電プラグをアンロック状態とすることが可能となる。従って、電子キーのユーザは、必要な場合のみ車両から離れた位置から電子キーを所持しない者による給電プラグの抜き出しを許可することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プラグロック装置において、セキュリティ性を確保しつつ電子キーの所持者以外の者にも給電プラグの抜き出しを許可することで利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態における車両、電子キー及び携帯電話の構成を示すブロック図。
図2】本発明の一実施形態における充電ECUの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、ハイブリッド式の車両1は、電子キー80との無線通信を通じて車両ドアの施解錠状態の切り替え、並びに給電プラグのロック状態の切り替えを許可する。以下、電子キー80及び車両1の構成について説明する。
【0021】
(電子キー)
電子キー80は、キー制御部81と、LF受信部82と、UHF送信部83と、を備える。キー制御部81は、固有のキーIDコードが記憶された不揮発性のメモリ81aを有する。キー制御部81は、LF受信部82を通じて車両1から無線送信されるLF(Low Frequency)帯のリクエスト信号を受信すると、UHF送信部83を通じて、自身のメモリ81aに記憶されるキーIDコードを含むUHF(Ultra High Frequency)帯のキーIDコード信号を車両1に無線送信する。
【0022】
(車両)
車両1は、照合ECU(Electronic Control Unit)71と、充電ECU61と、ボデーECU51と、を備える。各ECU51,61,71は、車内LAN(Local Area Network)78を介して互いに通信可能とされている。
【0023】
また、車両1はエンジン3a及びモータ3bの動力を組み合わせて駆動輪2を駆動させるハイブリッドシステム3と、モータ3bに供給される電力が充電されるバッテリ4とを備える。車両1の側面には給電プラグ10の差込口であるインレット31が形成されている。インレット31はコンバータ6を介してバッテリ4に接続されている。また、給電プラグ10には充電ケーブル12を介して外部電源91からの電力が供給される。従って、給電プラグ10がインレット31に挿し込まれた状態においては、外部電源91からの交流電力が給電プラグ10及びインレット31を通じてコンバータ6に供給可能となる。コンバータ6は給電プラグ10からの交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ4に供給する。充電ECU61は、コンバータ6の制御を通じて、バッテリ4への充電を制御する。
【0024】
ボデーECU51には、ナビゲーション装置53と、イグニッションスイッチ54と、ドアロック装置55と、ドアスイッチ57と、スタートスイッチ58とが接続されている。
【0025】
ドアスイッチ57は、車両ドアの車外側の各ドアハンドルに設けられていて、押し操作がされると、その旨の操作信号をボデーECU51に出力する。スタートスイッチ58は、運転席の近傍に設けられていて、押し操作がされると、その旨の操作信号をボデーECU51に出力する。
【0026】
ナビゲーション装置53は、地図等を表示するナビディスプレイ53aと、そのナビディスプレイ53a上のタッチ操作を検出するタッチセンサ53bとを備える。イグニッションスイッチ54は、車両のイグニッションのオンオフ状態を示す信号をボデーECU51に出力する。
【0027】
照合ECU71は、登録された電子キー80のキーIDコード及び登録された後述する携帯電話の携帯IDコードが記憶されたメモリ71aを備える。照合ECU71には、車外LF送信部72a,72bと、車内LF送信部73と、UHF受信部74と、UHF送信部75とが接続されている。
【0028】
車外LF送信部72aは、車外側のドアハンドルに埋設されるとともに、車両の周囲にLF帯の無線信号を送信する。車外LF送信部72bは、インレット31の周辺における車両ボデーに埋設されるとともに、インレット31の周辺にLF帯の無線信号を送信する。車内LF送信部73は、車内に設けられるとともに、車内にLF帯の無線信号を送信する。UHF受信部74は、車内外からのUHF帯の無線信号を受信する。UHF送信部75は、車外にUHF帯の無線信号を送信する。
【0029】
照合ECU71は、車外LF送信部72aを通じて車両1の周辺にLF帯のリクエスト信号を間欠的に送信する。上記のように電子キー80は、このリクエスト信号を受信すると、キーIDコード信号を送信する。照合ECU71は、UHF受信部74を介してキーIDコード信号を受信すると、自身のメモリ71aに登録されたキーIDコードとキーIDコード信号に含まれるキーIDコードとのID照合(車両ドアの施解錠に係る車外照合)を行う。ボデーECU51は、照合ECU71を通じて車両ドアの施解錠に係る車外照合が成立した旨認識した状態において、ドアスイッチ57が操作された旨認識するとドアロック装置55を通じて車両ドアの施解錠状態を切り替える。
【0030】
照合ECU71は、上記車外照合が成立して車両ドアが解錠された後、ドアが開けられて運転者が乗車すると、車内LF送信部73を通じてリクエスト信号を車内に送信する。照合ECU71は、UHF受信部74を介して電子キー80からのキーIDコード信号を受信すると、自身のメモリ71aに登録されたキーIDコードとキーIDコード信号に含まれるキーIDコードとのID照合(始動に係る車内照合)を行う。照合ECU71は、始動に係る車内照合が成立した状態において、スタートスイッチ58が操作された旨認識すると、イグニッションをオン状態とすること、並びにハイブリッドシステム3を始動することを許可する。
【0031】
インレット31には、インレット31に挿入された給電プラグ10をアンロック状態及びロック状態間で切り替えるロック構造32が設けられている。ユーザによって給電プラグ10がインレット31に挿入されると、自動的に給電プラグ10のインレット31からの抜き出しが規制されたロック状態となる。この状態において、外部電源91からの電力が車両1のバッテリ4に供給可能となる。
【0032】
また、車両1におけるインレット31の近傍には、車外から操作可能な解除スイッチ76が設けられている。解除スイッチ76は押し操作されると、その旨の操作信号を充電ECU61に出力する。
【0033】
照合ECU71は、車外LF送信部72bを通じて間欠的にLF帯のリクエスト信号をインレット31の周辺に送信する。このとき、電子キー80を所持するユーザがインレット31の周辺に存在すれば、電子キー80は受信したリクエスト信号に対してキーIDコード信号を送信する。以下、照合ECU71は、上記車両ドアの施解錠に係る車外照合と同様に、プラグアンロックに係る車外照合を行う。
【0034】
充電ECU61は、照合ECU71を通じてプラグアンロックに係る車外照合が成立した旨認識している状態において、充電ECU61を通じて解除スイッチ76が操作された旨認識すると、ロック構造32を通じて給電プラグ10をロック状態からアンロック状態に切り替える。アンロック状態においては、給電プラグ10をインレット31から抜き出すことが可能となる。
【0035】
上記構成によれば、電子キー80を所持するユーザによって解除スイッチ76の操作を通じた給電プラグ10の抜き出しが可能となる。
本実施形態においては、電子キー80を所持するユーザがインレット31の周辺に存在しない(例えば、電子キー80を所持するユーザが車内にいる、若しくは同ユーザが車両から離れた位置にいる)場合においても、所定の条件を満たせば、給電プラグ10がアンロック状態とされる。電子キー80を所持するユーザが車両1から離れた位置にいる場合には、ユーザが所持する携帯電話40と車両1との無線通信を通じてアンロック状態とされる。この状況としては、例えば、車両1が自宅駐車場に駐車され、ユーザが自宅にいる場合が考えられる。
【0036】
携帯電話40は、携帯制御部41と、UHF送受信部42と、携帯ディスプレイ43と、タッチセンサ44とを備える。本例では携帯電話40はスマートフォンである。携帯制御部41は固有の携帯IDコードが記憶されたメモリ41aを備えている。
【0037】
車両1の照合ECU71は、UHF送信部75を通じて、自身のメモリ71aに記憶される携帯IDコードを含むUHF帯の許可要求信号を携帯電話40に無線送信する。
携帯制御部41は、UHF送受信部42を通じて車両1からの許可要求信号を受信し、その許可要求信号に含まれる携帯IDコードと、メモリ41aに記憶される携帯IDコードとの照合が成立した旨判断すると、正規の車両1からの呼び出しであるとして携帯ディスプレイ43に選択画面を表示する。この選択画面は、アンロックの許可及び不許可を選択するアイコンを有する。携帯制御部41は、タッチセンサ44を通じて選択画面におけるアンロックの許可に係るアイコンがタッチ操作された旨判断したとき、UHF送受信部42を通じてUHF帯の許可信号を無線送信する。
【0038】
車両1の照合ECU71は、UHF受信部74を通じて受信した許可信号を認識する。充電ECU61は、照合ECU71を通じて許可信号の受信を認識すると、ロック構造32を通じて給電プラグ10をアンロック状態に切り替える。
【0039】
以下、電子キー80を所持するユーザがインレット31の周辺に存在しない場合における充電ECU61の動作について図2のフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、解除スイッチ76の操作を通じて開始される。
【0040】
充電ECU61は、電子キー80を所持するユーザがインレット31の周辺に存在しないため、照合ECU71を通じてプラグアンロックに係る車外照合が成立しない旨判断すると(S101)、ボデーECU51を通じてイグニッションがオン状態であるか否かを判断する(S102)。充電ECU61は、イグニッションがオン状態である旨判断すると(S102でYES)、ボデーECU51を通じてナビゲーション装置53のナビディスプレイ53aに選択画面を表示する。この選択画面は、アンロックの許可及び不許可を選択するアイコンを有する。ボデーECU51は、ナビゲーション装置53のタッチセンサ53bを通じて、給電プラグ10のアンロックの許可及び不許可の何れかのアイコンがタッチ操作されかを認識可能である。このタッチ操作は、例えば車内に存在する電子キー80を所持するユーザにより行われる。
【0041】
充電ECU61は、ボデーECU51を通じて選択画面のアンロックの許可に係るアイコンがタッチ操作された旨判断したとき(S104でYES)、ロック構造32を通じて給電プラグ10をアンロック状態に切り替える(S105)。以上により、電子キー80を所持しない者が給電プラグ10をインレット31から抜き出すことが可能となる。
【0042】
充電ECU61は、ボデーECU51を通じて選択画面のアンロックの不許可に係るアイコンがタッチ操作された旨判断したとき(S104でNO)、給電プラグ10をロック状態に維持する(S106)。これにより、例えば、車内にいるユーザが望まない場合に、不正に給電プラグ10が抜き出されることが防止される。
【0043】
また、充電ECU61は、ステップS102においてイグニッションがオフ状態である旨判断すると(S102でNO)、照合ECU71を通じて許可要求信号を送信する(S107)。そして、充電ECU61は、照合ECU71を通じて携帯電話40からの許可信号の受信の有無を判断する(S108)。充電ECU61は、許可信号を受信した旨判断すると(S108でYES)、ロック構造32を通じて給電プラグ10をアンロック状態に切り替える(S105)。従って、電子キー80を所持しない者が給電プラグ10をインレット31から抜き出すことが可能となる。また、充電ECU61は、許可信号を受信しない旨判断すると(S108でNO)、給電プラグ10をロック状態に維持する(S106)。これにより、例えば、自宅内にいるユーザが望まない場合に、給電プラグ10が抜き出されることが防止される。
【0044】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)解除スイッチ76の操作時に、電子キー80が車内に存在するとプラグアンロックに係る車外照合が不成立となる。この場合であっても、車両1のイグニッションがオン状態であれば、ナビディスプレイ53aに表示されるアンロックの許可に係るアイコンがタッチ操作されたときには、給電プラグ10がロック状態からアンロック状態とされる。これにより、電子キー80を所持しない者による給電プラグ10の抜き出しが可能となって利便性が向上する。さらに、イグニッションがオン状態にあること、及びアンロックの許可に係るタッチ操作がされたことがアンロック状態へ移行するための条件となっているため、給電プラグ10の不正な抜き出しが抑制される。よって、セキュリティ性を維持することができる。
【0045】
(2)車内にて給電プラグ10をアンロック状態とすることが可能なので、電子キー80の所持者が降車する必要がなく、利便性が高い。さらに、既存の車両1に搭載されるナビディスプレイ53aに表示されるアイコンのタッチ操作であるため、新たに専用のスイッチを設ける必要がなく、簡易な構成とすることができる。
【0046】
(3)車両1のイグニッションがオフ状態の場合であっても、携帯電話40を通じて、給電プラグ10をアンロック状態とすることが可能となる。従って、ユーザは、必要な場合のみ車両から離れた位置から電子キー80を所持しない者による給電プラグ10の抜き出しを許可することができる。
【0047】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、間欠的にリクエスト信号が送信される構成であったが、解除スイッチ76の操作時にリクエスト信号が送信される構成であってもよい。この場合、解除スイッチ76が操作されたときに送信されたリクエスト信号を通じてプラグアンロックに係る車外照合が成立すると、給電プラグ10がアンロック状態に切り替えられる。これと同様に、ドアスイッチ57の操作時にリクエスト信号が送信される構成であってもよい。また、充電ECU61は、車両ドアの施解錠に係る車外照合の結果を利用して給電プラグ10をロック状態からアンロック状態に切り替え可能としてもよい。この場合、車外LF送信部72aからのリクエスト信号の送信エリアをインレット31の周辺にまで形成してもよい。本構成においては、インレット31の周辺に設けられる車外LF送信部72bを省略可能である。
【0048】
・上記実施形態における各ECU51,61,71の制御内容は適宜変更可能である。さらに、新たなECUを設けてもよい。例えば、充電ECU61とは別に新たにプラグロック及びアンロックを制御するプラグロックECUを設けて、そのプラグロックECUが給電プラグ10のロック状態を切り替えてもよい。
【0049】
・上記実施形態において携帯電話40は許可要求信号を受信すると、選択画面の表示とともに音声又は振動にてその旨をユーザに通知してもよい。
・上記実施形態においては、ナビディスプレイ53a上のタッチ操作を通じて給電プラグ10におけるアンロックの許可又は不許可が選択されていた。しかし、アンロックの許可又は不許可に係る操作は、既存のナビゲーション装置53用の操作スイッチ、又はステアリングスイッチを通じて行われてもよい。ステアリングスイッチの場合、インストルメンタルパネルに選択画面の表示がされてもよい。また、車内にアンロックの許可及び不許可の選択に係る専用のスイッチを新たに設けてもよい。この専用スイッチは車外に設けられていてもよい。
【0050】
さらに、プラグアンロックに係る車外照合不成立の場合であってもイグニッションオン状態であれば、充電ECU61は、解除スイッチ76の特定の操作を通じて給電プラグ10をアンロック状態に切り替えてもよい。この特定の操作は、例えば解除スイッチ76を複数回連続で押す操作、又は解除スイッチ76を長押しする操作、それら操作の組み合わせ等が考えられる。
【0051】
・上記実施形態においては、携帯電話40及び車両1間でUHF帯の許可要求信号及び許可信号が授受されていたが、携帯電話40及び車両1間で無線通信可能であれば、この構成に限らず、例えば、ネットワーク通信を通じて許可要求信号及び許可信号の授受を行ってもよい。これにより、携帯電話40を所持するユーザが車両1からさらに離れた位置に存在する場合であっても、給電プラグ10のアンロックが可能となる。
【0052】
・上記実施形態においては、車両1の照合ECU71において、携帯IDコードの照合を通じて携帯電話40の認証が行われていたが、携帯電話40において車両1の認証を行ってもよい。この場合、携帯電話40において許可要求信号に含まれる車両IDコードの照合が行われる。また、携帯電話40及び車両1間で相互に認証を行ってもよい。
【0053】
・上記実施形態においては、ユーザが車両から離れた位置に存在する場合であっても、携帯電話40及び車両1間の無線通信を通じて給電プラグ10をアンロック状態とすることが可能であった。この携帯電話40の機能を電子キー80に持たせてもよい。この場合、電子キー80は、新たに設けたUHF受信部を通じて許可要求信号を受信すると、その旨をユーザに通知する。この通知方法は、ディスプレイ表示、音声、光及び振動の何れであってもよい。電子キー80に対してアンロックの許可及び不許可の何れかの操作が行われる。この操作は、専用のスイッチを設けてもよいし、既存のロックスイッチ又はアンロックスイッチの長押し若しくは同時押し等であってもよい。電子キー80は、アンロックの許可の操作がされると、許可信号を車両1に送信する。
【0054】
・上記実施形態においては、携帯電話40はスマートフォンであったが、通常の携帯電話であってもよい。また、車両1と通信可能であれば電話機能がない携帯機器であってもよい。
【0055】
・上記実施形態においては、ハイブリッド式の車両1であったが電気自動車であってもよい。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
【0056】
(イ)プラグロック装置において、前記特定のスイッチは、車内ディスプレイ上に表示されるタッチスイッチであること
同構成によれば、新たにスイッチを設ける必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0057】
(ロ)プラグロック装置において、前記プラグロック装置及び前記携帯機器間の無線通信においては双方向がUHF帯の電波を利用して行われ、前記プラグロック装置及び前記電子キー間の無線通信においては、少なくとも何れか一方向がLF帯の電波を利用して行われること
【0058】
同構成によれば、プラグロック装置はUHF帯の電波を利用して車両から離れた位置にある携帯機器との間で通信が可能となる。よって、例えば、携帯機器が自宅にあって、車両が自宅の駐車場にある場合においても、自宅から携帯機器を通じて給電プラグをアンロック状態とすることができる。
【0059】
(ハ)プラグロック装置において、車載装置は、車内に存在する前記正規の電子キーとの間で無線通信が成立したとき、車両のイグニッションのオフ状態からオン状態への切り替えを許可すること
【0060】
イグニッションのオン状態は給電プラグをアンロック状態へ移行するための条件となる。従って、上記構成によりイグニッションをオン状態とするときのセキュリティ性を向上させることで、プラグロックに関するセキュリティ性も向上する。
【符号の説明】
【0061】
1…車両、4…バッテリ、10…給電プラグ、31…インレット、32…ロック構造、40…携帯電話(携帯機器)、41…携帯制御部、43…携帯ディスプレイ、44…タッチセンサ、51…ボデーECU、53…ナビゲーション装置、53a…ナビディスプレイ、53b…タッチセンサ、54…イグニッションスイッチ、61…充電ECU、71…照合ECU、76…解除スイッチ、80…電子キー。
図1
図2