特許第5775475号(P5775475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5775475-高分子ゲル、及び高分子ゲルシート 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775475
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】高分子ゲル、及び高分子ゲルシート
(51)【国際特許分類】
   C08L 55/00 20060101AFI20150820BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20150820BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20150820BHJP
   C09J 171/00 20060101ALI20150820BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20150820BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C08L55/00
   C09J7/00
   C09J175/04
   C09J171/00
   C09J133/04
   C08L71/02
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-46957(P2012-46957)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-181127(P2013-181127A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 真由美
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−106121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L、C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの重合体と、
ポリオール化合物とを含み、
周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的損失弾性率G”の値が、1.0×103〜1.0×104Paの範囲内であり、且つ、損失正接tanδが0.05未満であり、
当該高分子ゲルにおける前記ポリオール化合物の含有率が、5〜70重量%であり、
前記ポリオール化合物が、ポリエーテルポリオールであることを特徴とする高分子ゲル。
【請求項2】
請求項1に記載の高分子ゲルであって、
前記ポリオール化合物が、ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンであることを特徴とする高分子ゲル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高分子ゲルであって、
周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的貯蔵弾性率G'の値が、5.0×104〜5.0×105Paの範囲内であることを特徴とする高分子ゲル。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の高分子ゲルであって、
前記ウレタン(メタ)アクリレートが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであることを特徴とする高分子ゲル。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の高分子ゲルであって、
金属製又はガラス製の部材を、金属製又はガラス製の他の部材に仮止めするための仮止め材として用いられることを特徴とする高分子ゲル。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の高分子ゲルであって、
光学装置において、複数のパネル同士を貼り合わせるための粘着材として用いられることを特徴とする高分子ゲル。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の高分子ゲルを用いてなることを特徴とする高分子ゲルシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス又は金属板などの被着体に対して十分な粘着性(貼付性)を有し、且つ、その被着体から容易に剥離して再使用することができる高分子ゲル、及び高分子ゲルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着剤や粘着性ゲル等の粘着性物質は、各種材料間の貼付け及び固定を行う用途に用いられている。粘着性物質に求められる性能は、その用途により様々である。粘着性物質の用途によっては、粘着が必要な期間だけ粘着性(貼付性)を示すが、粘着が必要な期間の後は容易に剥がせることが粘着性物質に要求されていることがある。
【0003】
例えば、半導体等の電子部品やガラスチップ等を製造又は加工する工程では、粘着性物質からなる粘着シート等の粘着材(粘着性物質を成形したもの)を用いて、各種材料等の仮止めなどが行われている。このような用途に用いられる粘着性物質には、使用目的を果たす時(製造又は加工時)に被着体に十分に貼り付く一方、使用目的を終えた後に被着体から容易に剥離できる物性が要求される。
【0004】
また、粘着剤や粘着性ゲル等の粘着性物質は、上記電子部品やガラスチップ等の微小な製品の搬送時に、前記製品を搬送用の部材(例えば、搬送用容器、搬送用トレイ等)に固定するための仮止め材として用いられる場合がある。このような仮止め材として用いられる粘着性物質には、使用目的を果たす時(搬送時)に衝撃が加えられても剥がれ落ちたり、移動したりすることのない十分な貼付性を有する一方、使用目的を終えた後に被着体から容易に剥離できる物性が要求される。
【0005】
また、近年、粘着剤や粘着性ゲル等の粘着性物質は、工業用部材の性能を高める目的でも用いられつつある。例えば、タッチパネルと液晶パネルとの間に存在する空間部分に、粘着性物質又は粘着材を挿入することにより、タッチパネルと液晶パネルとの間の接着固定、液晶パネルの保護、及び反射低減による視認性の向上が可能となる。この用途では、製造時に歩留まり向上のために粘着性物質又は粘着材を被着体から剥離してリワークする(例えば、タッチパネルと液晶パネルとの接着位置ずれが生じている場合に、タッチパネルを液晶パネルから剥離して再接着する)必要が生じたり、使用中に粘着性物質又は粘着材を被着体から剥離して修理・補修等を行う(例えば、タッチパネルを液晶パネルから剥離して、タッチパネル又は液晶パネルの修理・補修を行う)必要が生じたり、粘着性物質又は粘着材が長期粘着の使用目的を終えた後の各種部品のリサイクルを行ったりする際には、粘着性物質又は粘着材が被着体から剥離される。そのため、被着体から容易に剥離できる、粘着剤等の粘着性物質、及び粘着シート等の粘着材が求められている。
【0006】
しかし、従来の粘着剤や粘着性ゲル等の粘着性物質又は粘着材は、粘着力が強固なため、被着体に十分に貼り付くが、再剥離時、被着体を損傷することなく被着体から剥がすことが困難なものであった。そこで、再剥離を可能にするために、粘着剤や粘着性ゲル等の粘着性物質の粘着力を下げると、被着体への貼付が不十分で、作業時や搬送時に被着体が剥がれてしまい、固定材として使用できなかった。
【0007】
例えば、特許文献1には、仮止め用途部材として、ラジカル発生剤と、熱可塑性樹脂と、ラジカル重合性の2官能以上を有する重量平均分子量が3000以上、30000以下のウレタン(メタ)アクリレートとを含む接着剤組成物が開示されている。この接着剤組成物は、十分な接着性(貼付性)を有するが、被着体から剥がして再使用することができるものではなかった。また、特許文献2には、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層を有する粘着材(熱剥離型両面粘着シート)が開示されている。この粘着材は、加熱により熱膨張性微小球が加熱発泡し、被着体への接触面積が低下することにより剥離性が得られるというものであり、高い粘着性(貼付性)と剥離性とを両立したものであるが、一度加熱すると、発泡により粘着材が破壊されてしまうため、再使用することができない。
【0008】
このように従来の粘着性物質及び粘着材は、被着体への貼付性と、被着体から剥がして再使用することができるリワーク性とを十分に備えたものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−168786号公報
【特許文献2】特開2008−266456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラス又は金属板などの被着体に対して十分な粘着性(貼付性)を有し、且つ、その被着体から容易に剥離して再使用することができる、十分な貼付性とリワーク性とを有する高分子ゲル、及び高分子ゲルシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の高分子ゲルは、上記課題を解決するために、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの重合体と、ポリオール化合物とを含み、周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的損失弾性率G”の値が、1.0×103〜1.0×104Paの範囲内であり、且つ、損失正接tanδが0.05未満であり、当該高分子ゲルにおける前記ポリオール化合物の含有率が、5〜70重量%であり、前記ポリオール化合物が、ポリエーテルポリオールであることを特徴とする。なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0012】
この本発明の高分子ゲルは、周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的損失弾性率G”の値が、1.0×103〜1.0×104Paの範囲内であり、且つ、損失正接tanδが0.05未満である動的粘弾性を有しているため、ガラス又は金属板などの被着体に対して十分な粘着性(貼付性)を有し、且つ、その被着体から容易に剥離して再使用することが可能である。即ち、本発明の高分子ゲルは、被着体、特に、金属又はガラスからなる被着体に対して十分な貼付性を有する一方で、その被着体から容易に剥がして再使用することができる優れたリワーク性を有している。
【0013】
また、本発明の高分子ゲルシートは、上記課題を解決するために、上記本発明の高分子ゲルを用いてなることを特徴とする。
【0014】
本発明の高分子ゲルシートは、上記本発明の高分子ゲルを用いてなるものであるから、本発明の高分子ゲルと同様に、被着体に対して十分な粘着性(貼付性)を有し、且つ、その被着体から容易に剥離して再使用することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の高分子ゲル及び高分子ゲルシートは、ガラス又は金属板などの被着体に対して十分な粘着性(貼付性)を有し、且つ、その被着体から容易に剥離して再使用することができる、十分な貼付性とリワーク性とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の高分子ゲルの剥離性を評価するための方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を詳述する。
【0018】
〔高分子ゲル〕
本発明の高分子ゲルは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)の重合体と、ポリオール化合物(B)とを含み、周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的損失弾性率G”の値が、1.0×103〜1.0×104Paの範囲内で、且つ、損失正接tanδが0.05未満である動的粘弾性を有しており、当該高分子ゲルにおける前記ポリオール化合物の含有率が、5〜70重量%であり、前記ポリオール化合物が、ポリエーテルポリオールである。
【0019】
ここで高分子ゲルとは、高分子マトリックスと呼ばれる高分子骨格が、液状成分を内包する形態をとるものであり、本発明の高分子ゲルは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)が反応してなる高分子マトリックス(重合体)に、液状成分としてポリオールが内包された形態となっていると考えられる。
【0020】
すなわち、上記1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)は、本発明の高分子ゲルの骨格を形成する役割を有する。
【0021】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、(メタ)アクリロイル基を有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を有する化合物である。このようなウレタン(メタ)アクリレート(A)は、例えば、ポリイソシアネート類と、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと、必要に応じてポリオール類とを錫又はアミン等の触媒を用いて反応させることにより得られる。
【0022】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を得るためのポリイソシアネート類としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ω,ω'−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族系ジイソシアネート類;4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類などが挙げられる。
【0023】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を得るためのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、1分子中にヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有アクリルアミド、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル等のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0024】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を得るためのポリオール類としては、ヒドロキシ基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレングリコール、またはプロピレングリコール付加物等の公知の各種グリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン等の多官能ポリオール;n−ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類;バーサティック酸ジグリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類などが挙げられる。
【0025】
本発明の高分子ゲルにおいて、ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、脂肪族系のイソシアネートを用いて得られる脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート(A)として前記脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを使用した場合、透明性に優れ、且つ、経時安定性に優れる(高温環境下で黄変し難い)高分子ゲルが得られる。
【0026】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、以下のような市販品を用いることができる。市販品は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。市販品としては、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製の「EBECRYL(登録商標)」シリーズのEB230、EB270、EB4858、EB5129、EB8210、EB8301、EB8402、EB8804、EB8807、EB9260、EB9270、EB8311、EB8701等の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートやEB210、EB220等の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート;日本合成化学工業株式会社製の「紫光(登録商標)」シリーズ、UV1700B、UV6300B、UV7650B、UV6630B、UV2000B、UV3000B、UV3300B等;根上工業株式会社製の「アートレジン」シリーズのUN1255、UN6060PTM、UN6060P、UN9000PEP、UN9200A、UN3320HA、UN3320HC、UN3320HS、UN901T等;サートマー社製の「CN」シリーズのCN929、CN962、CN963、CN964、CN965等の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートやCN971、CN972、CN975、CN978等の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート;東亜合成株式会社製の「アロニックス(登録商標)」シリーズのM−1100、M−1200等;新中村化学工業株式会社製のU−4HA、U−6HA、U−6LPA等が挙げられる。
【0027】
本発明の高分子ゲルに含まれるウレタン(メタ)アクリレート(A)の重合体は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位を有するものであれば、特に限定されず、ウレタン(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位以外の構造単位を有する重合体であってもよい。例えば、本発明の高分子ゲルに含まれるウレタン(メタ)アクリレート(A)の重合体は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)に、粘着力、強度、硬さの調整、及び後述するポリオール化合物(B)との相溶性向上等を目的として、ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の他のビニル系単量体を適宜混合して得られる単量体混合物の重合体であってもよい。
【0028】
上記他のビニル系単量体としては、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ以上有するものであればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のような、重合性のアルケニル基(広義のビニル基)を有するもの等が挙げられる。これらの他のビニル系単量体はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明の高分子ゲルは、ポリオール化合物(B)を含有する。このポリオール化合物(B)は、本発明の高分子ゲルに対して柔軟性を付与する役割を有する。
【0030】
前記ポリオール化合物(B)としては、例えば、ポリカーボネートジオール、ポリカプトラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリエーテルジオールや、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール化合物とコハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物との共重合体であるポリエステルジオール等の1分子中に水酸基を2個有するジオール類;トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の1分子中に水酸基を3個以上有するポリオール類;これらのポリオール類に対してエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド等の環状エーテル化合物を付加重合することにより得られるEO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、EO変性(ポリ)グリセリン、PO変性(ポリ)グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0031】
本発明の高分子ゲルにおける前記ポリオール化合物(B)は、重量平均分子量(Mw)が100〜5000の液状オリゴマー、又は常温(25℃)で液体であるものがより好ましい。前記ポリオール化合物(B)が固体状であると、高分子ゲルを製造する際に前記ポリオール化合物(B)が固形化して調液しにくくなったり、得られる高分子ゲルにおいて充分な粘着力と柔軟性が備えられなくなることがある。
【0032】
上記したポリオール化合物(B)の重量平均分子量は、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味するものとする。上記ポリオール化合物(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0033】
本発明の高分子ゲルにおけるポリオール化合物(B)は、上記ポリエーテルポリオールであるが、EO変性(ポリ)グリセリン、PO変性(ポリ)グリセリン等のポリエーテル付加(ポリ)グリセリンであることが更に好ましい。ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンは、(ポリ)グリセリンのヒドロキシル基がポリオールで変性されており、分岐構造を有しているため、立体障害性が高く結晶性に劣る。このため、ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンは、直鎖構造を有するポリオール化合物と比較して、高分子量であっても常温で液体であり、高分子ゲルの溶媒成分又は可塑剤としてより好適に使用可能である。また、ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンは、高分子ゲルを形成した際に、液状成分のブリードアウトを生じにくい。ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等が挙げられる。上記ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンの市販品としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製のSC−E450、SC−E750、SC−E1000、SC−P400、SC−P1000、SC−P1200、SC−P1600等を挙げることができる。なお、本明細書中において、(ポリ)グリセリンは、グリセリン又は(ポリ)グリセリンを意味する。
【0034】
本発明の高分子ゲル中における上記ポリオール化合物(B)の含有率は、5〜70重量%の範囲内であるが、20〜60重量%の範囲内であることがより好ましい。上記ポリオール化合物(B)の含有率が5重量%未満である場合、高分子ゲルの柔軟性が得られず、被着体への貼付性を十分に得ることができない場合がある。一方、上記ポリオール化合物(B)の含有率が70重量%より多い場合、高分子ゲルの表面からポリオールがブリードアウトしてしまうおそれや、粘着性が高くなりすぎて、リワーク性を得ることができないおそれがある。
【0035】
また、本発明の高分子ゲルは、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、pH調整剤、香料、着色剤、染料等が挙げられる。また、本発明の高分子ゲルは、当該高分子ゲルの製造において使用した後述の重合開始剤を含んでいてよい。
【0036】
本発明の高分子ゲルは、周波数1Hzの温度分散で測定した、25℃における動的損失弾性率G”が、1.0×103〜1.0×104Paの範囲内で、且つ、損失正接tanδが0.05未満である動的粘弾性を有する。上記動的損失弾性率G”及び損失正接tanδが上記範囲外である場合、十分な貼付性とリワーク性の両方を確保することができない。例えば、動的損失弾性率G"が1.0×103Pa未満の高分子ゲルは、貼付性を有するものの、被着体から容易に剥がすことができるものではなく(剥離性に乏しく)、リワーク性を有さない。一方、動的損失弾性率G”が1.0×104Paを超える高分子ゲルは、十分な貼付性を有さない。また、動的損失弾性率G"が1.0×103〜1.0×104Paの範囲内であるが、損失正接tanδが0.05以上である高分子ゲルは、貼付性を有するものの、十分な弾性を有しておらず、剥離性に乏しく、リワーク性を有さない。
【0037】
また、本発明の高分子ゲルは、周波数1Hzの温度分散で測定した、25℃における動的貯蔵弾性率G'の値が、5.0×104〜5.0×105Paの範囲内であることが好ましい。本発明の高分子ゲルのうち、上記動的貯蔵弾性率G'が5.0×104〜5.0×105Paの範囲内にある高分子ゲルは、貼付性とリワーク性の両方に特に優れる。
【0038】
なお、上記動的粘弾性(動的貯蔵弾性率G'、動的損失弾性率G”、損失正接tanδ)の測定方法は、後述する実施例の項で説明する。
【0039】
〔高分子ゲルの製造方法〕
本発明の高分子ゲルの製造方法は、特に限定されず、公知の方法で高分子ゲルシートを製造することができる。例えば、上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と上記ポリオール化合物(B)と重合開始剤とを含む高分子ゲル用組成物を用いて、一般的なラジカル重合(例えば、レドックス反応によるラジカル重合、活性エネルギー線照射によるラジカル重合等)を行って、前記高分子ゲル用組成物中の上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させる製造方法によって、本発明の高分子ゲルを製造することができる。
【0040】
上記重合開始剤としては、特に限定されず、熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられる。
【0041】
上記熱重合開始剤としては、熱により開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2、2−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、硫酸第1鉄やピロ亜硫酸塩等の還元剤と過酸化水素やチオ硫酸ナトリウム等の過酸化物とからなるレドックス開始剤を熱重合開始剤と併用してもよい。
【0042】
上記光重合開始剤としては、紫外線又は可視光線で開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が挙げられ、より具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:Darocur(登録商標)1173、BASFジャパン株式会社(旧:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:IRUGACURE(登録商標)184、BASFジャパン株式会社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:IRUGACURE(登録商標)2959、BASFジャパン株式会社製)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:IRUGACURE(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:IRUGACURE(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記高分子ゲル用組成物における上記重合開始剤の含有率は、0.01重量%〜1.0重量%であることが好ましい。上記高分子ゲル用組成物における上記重合開始剤の含有率が0.01重量%以上であると、重合反応が十分に進み、この重合反応により得られる高分子ゲル中に残存する重合性単量体(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(A))の量を低減させることができる。また、上記高分子ゲル用組成物における上記重合開始剤の含有率が1.0重量%未満であると、上記重合反応により得られる高分子ゲル中に残存する重合開始剤による変色(黄変)や臭気を防止することができる。
【0044】
本発明の高分子ゲルは、液状の高分子ゲル用組成物(配合液)を重合してゲル化させたものであるため、用途に合わせて適宜成型できる。例えば、上記高分子ゲル用組成物(配合液)を任意の形状の型枠に流し込み、次いで、上記高分子ゲル用組成物中の上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させると、高分子ゲルの成型品を製造することができる。高分子ゲルをシート又はフィルム状に成型する場合には、活性エネルギー線の照射により、上記高分子ゲル用組成物中の上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させることが好ましい。なお、上記活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線、可視光線等の活性光;電子線、ガンマ線等の放射線を意味する。本発明の高分子ゲルを作製する際に用いる活性エネルギー線としては紫外線が好ましく、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の線源が挙げられる。紫外線による重合系には光重合開始剤を使用することが好ましい。
【0045】
紫外線照射により上記高分子ゲル用組成物中の上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させる場合には、紫外線の積算照射量は、1000mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲内であることが好ましく、2000mJ/cm2〜7000mJ/cm2の範囲内であることがより好ましい。
【0046】
〔高分子ゲルの用途〕
本発明の高分子ゲルは、被着体への貼付性とリワーク性とが求められる様々な用途で使用することができる。
【0047】
例えば、本発明の高分子ゲルは、金属製又はガラス製の部材を、金属製又はガラス製の他の部材に一時的に固定(仮止め)するための仮止め材として用いることができる。具体例としては、半導体等の電子部品やガラスチップ等を製造又は加工する工程において、各種部材を一時的に固定する仮止め材として使用することができる。また、本発明の高分子ゲルは、微小な製品(例えば、上記電子部品やガラスチップ)を搬送する際に、上記製品を搬送用の部材(例えば、搬送用容器、搬送用トレイ等)に一時的に固定するための仮止め材としても使用できる。さらに、本発明の高分子ゲルは、タッチパネルと液晶パネルとで構成されるタッチパネル一体型液晶表示装置等のような複数のパネルで構成される光学装置において、複数のパネル同士(具体例としては、タッチパネルと液晶パネル)を貼り合せるための粘着材としても使用できる。
【0048】
〔高分子ゲルシート〕
本発明の高分子ゲルシートは、本発明の高分子ゲルを用いてなるものである。本発明の高分子ゲルシートは、本発明の高分子ゲルをシート状に成型することによって得ることができる。例えば、本発明の高分子ゲルシートは、厚さ0.01mm〜2.0mmのシート状に高分子ゲルを成型したものであることが好ましい。このような高分子ゲルシートにおいて、高分子ゲルの少なくとも片面には、高分子ゲルの表面を保護する保護フィルムが設けられていることが好ましい。
【0049】
高分子ゲルシートにおいて、高分子ゲルの片面に設けられた保護フィルムをセパレーターとして用いる場合は、保護フィルムの両面に離型処理が施されていることが好ましい。この場合、表裏の剥離強度に差をつけてもよい。また、前記保護フィルムを支持体として用いる場合は、保護フィルムの高分子ゲルと接する面と反対側の面に離型処理を施すことで、前記保護フィルムの高分子ゲルと接する面と反対側の面にセパレーターとしての機能を付与することができる。
【0050】
また、高分子ゲルシートにおいて、高分子ゲルの両面に保護フィルムを設けてもよい。高分子ゲルの両面の保護フィルムは、セパレーターとして工程の途中で剥離され別のフィルム等に貼りかえられる場合もあり、支持体や台紙として最終製品まで付属し、そのまま末端ユーザに利用される場合や末端ユーザにより使用直前に剥離される場合もある。
【0051】
支持体として用いられる場合の保護フィルムは、高分子ゲルを補強し、シート状の形態を保持させることができる樹脂フィルム、不織布、又は織布であれば特に限定されない。支持体として使用可能な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等が挙げられる。
【0052】
セパレーターとして用いられる場合の保護フィルムは、フィルム状に成型可能な樹脂又は紙であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン等からなる樹脂フィルム;紙;樹脂フィルムをラミネートした紙等が挙げられる。また、セパレーターとして用いられる場合の保護フィルムには、少なくとも高分子ゲルと接する面に離型処理が施されていることが好ましく、必要に応じて保護フィルムの両面に、離型処理が施されていてもよい。両面に離型処理する場合には、表裏の剥離強度に差をつけてもよい。なお、離型処理の方法としては特に限定されず、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル基含有カルバメート等の離型剤によるコーティング法等が挙げられ、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティング法が好ましい。
【0053】
なお、高分子ゲルの両面の保護フィルムがセパレーターとして用いられる場合、一方の保護フィルム(以下、ベースフィルムという)には、二軸延伸したPETフィルム、OPPフィルム、ポリオレフィンをラミネートした紙が用いられることが好ましい。また、高分子ゲルの両面の保護フィルムがセパレーターとして用いられる場合、ベースフィルムには、光学フィルタを使用してもよい。また、高分子ゲルの両面の保護フィルムがセパレーターとして用いられる場合、ベースフィルムと逆の面に配置される保護フィルム(以下、トップフィルムという)には、高分子ゲルシートの製品形態に応じて最適な材料が選択される。例えば、高分子ゲルシートを短冊状とする場合において、トップフィルムは、フィルム状に成型可能な樹脂又は紙であれば特に制限されないが、トップフィルム及びベースフィルムには、離型処理されていることが好ましい。
【0054】
〔高分子ゲルシートの製造方法〕
本発明の高分子ゲルシートの製造方法は、特に限定されるものではなく、以下のような方法で高分子ゲルシートを製造することができる。
【0055】
例えば、2枚の樹脂フィルムからなる保護フィルムの間に高分子ゲル用組成物(配合液)を流し込み、一定の厚みに保持した状態で、上記重合法により高分子ゲル用組成物中のウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させることで厚み0.5〜2.0mm程度の高分子ゲルシートを製造することができる。
【0056】
更に、1枚の保護フィルム上に、高分子ゲル用組成物(配合液)を薄層コーティングし、上記重合法により高分子ゲル用組成物中のウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させることで厚み0.01〜0.5mm程度の高分子ゲルシートを得ることができる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0058】
〔実施例1〕
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)30重量部と、ポリオール化合物(B)としてのポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)69.5重量部と、光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン株式会社、商品名:Darocur(登録商標)1173、(略称:DR1173))0.5重量部とを混合し、撹拌することで、微黄色透明の配合液(高分子ゲル用組成物)を得た。
【0059】
次に得られた配合液を、保護フィルムとしてのシリコーンコーティングされたPETフィルム上に滴下した。その上から同じく保護フィルムとしてのシリコーンコーティングされたPETフィルムを被せて、配合液を均一に押し広げ、厚さが0.3mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量7000mJ/cm2の紫外線を照射することにより、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0060】
〔実施例2〕
EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を40重量部とし、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)の配合量を59.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0061】
〔実施例3〕
EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を60重量部とし、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)の配合量を39.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0062】
〔実施例4〕
EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を75重量部とし、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)の配合量を24.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0063】
〔実施例5〕
EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を94.5重量部とし、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)の配合量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0064】
〔実施例6〕
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてEB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)30重量部に代えてEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000)60重量部を使用し、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)の配合量を39.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0065】
〔実施例7〕
EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を60重量部とし、ポリオール化合物(B)としてポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SCP−1600、Mw=1600)69.5重量部に代えてポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−E750、Mw=750)39.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0066】
〔比較例1〕
ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)を使用せず、EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を99.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0067】
〔比較例2〕
EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500)の配合量を25重量部とし、ポリオール化合物(B)としてポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)69.5重量部に代えてポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−E750、Mw=750)74.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得る試みを行ったが、紫外線を照射しても配合液が硬化せず(ゲル化せず)、高分子ゲルを得ることができなかった。
【0068】
〔比較例3〕
イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:IBXA)60重量部と、液状ポリマー(東亜合成株式会社製、商品名:ARUFON(登録商標)UP1010、Mw=1700、Tg=−31℃)39.3重量部と、1,9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトアクリレート1,9−NDA)0.2重量部と、光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン株式会社、商品名:Darocur(登録商標)1173、(略称:DR1173))0.5重量部とを混合し、撹拌することで、配合液を得た。
【0069】
次に得られた配合液を、シリコーンコーティングされたPETフィルム上に滴下した。その上から同じくシリコーンコーティングされたPETフィルムを被せて、配合液を均一に押し広げ、厚さが0.3mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量7000mJ/cm2の紫外線を照射することにより、厚み0.3mmのシート状の高分子ゲル(高分子ゲルシート)を得た。
【0070】
〔動的粘弾特性の測定方法〕
高分子ゲル(高分子ゲルシート)を直径8mmの円形状に打ち抜き、得られた円形状の高分子ゲルシートを、厚みが1mmとなるように、複数枚積層したものを試験片とする。
【0071】
動的粘弾性装置(Anton Paar社製、PHYSICA MCR301)を用い、
前記試験片に印加する振動の周波数を1Hzとし、昇温速度5℃/分、測定温度幅−70℃〜200℃の条件で、各温度における試験片の動的粘弾特性(動的貯蔵弾性率G’、動的損失弾性率G”、損失正接tanδ)の測定(即ち、温度分散測定)を実施した。
【0072】
実施例1〜7、並びに比較例1及び3についての動的粘弾特性の測定により得られた25℃における動的貯蔵弾性率G’、動的損失弾性率G”、損失正接tanδの値を後記の表1に示す。
【0073】
〔貼付性の評価方法〕
貼付性の評価においては、高分子ゲルシートの一方の面のPETフィルムを剥がして、高分子ゲルシートをステンレス板(100mm×100mm、厚さ1.5mm)に貼り付けた後、高分子ゲルシートの他方の面のPETフィルムを剥がし、この剥がした面上に5mm角のガラスチップを載せたものを試験片とした。なお、この試験片においては、ガラスチップが載置されている面を表面といい、この表面と反対側の面を裏面というものとする。
【0074】
前記試験片を用いて、以下の2項目(落下性及び落下性(衝撃付与))の評価を実施した。
【0075】
(1)落下性
ガラスチップが載置されている表面が下を向くように、前記試験片を裏返した時に、前記ガラスチップが落下するか否かを観察し、落下しない場合を「○」、落下した場合を「×」と評価した。
【0076】
(2)落下性(衝撃付与)
ガラスチップが載置されている表面が下を向くように前記試験片を裏返し、前記試験片の裏面に向けて15cmの高さから500gの鋼球(クローム球(SUJ−2)、直径50mm)を落下させて、前記試験片の裏面に落球衝撃を与えた時に、前記ガラスチップが落下するか否かを観察し、落下しない場合を「○」、落下した場合を「×」と評価した。
【0077】
実施例1〜7、並びに比較例1及び3についての貼付性の評価結果を、後記の表1に示す。
【0078】
〔剥離性の評価方法〕
図1(a)に示すように、高分子ゲルシート1の一方の面のPETフィルムを剥がして、高分子ゲルシート1をステンレス板2(100mm×100mm、厚さ1.5mm)に貼り付けた後、高分子ゲルシート1の他方の面のPETフィルムを剥がし、この剥がした面上に5mm角のガラスチップ3を載せた。その後、ピンセット4(幸和ピンセット工業株式会社製の工業用ピンセット、グレード:K−3GG 125m/m)を用いて、前記ガラスチップ3を垂直方向に持ち上げた時に、前記ガラスチップ3が破損することなく、前記高分子ゲルシート1から前記ガラスチップ3が剥離された場合(図1(b)参照)を「○」、前記高分子ゲルシート1から前記ガラスチップ3が剥離されたものの、前記ガラスチップ3が破損した場合、或いは、前記高分子ゲルシート1から前記ガラスチップ3が剥離せずに、前記ステンレス板2が持ち上がった場合(図1(c)参照)を「×」と評価した。
【0079】
実施例1〜7、並びに比較例1及び3についての剥離性の評価結果を、後記の表1に示す。
【0080】
〔リワーク性の評価方法〕
前記貼付性の評価(落下性、落下性(衝撃)付与)および剥離性の評価を、同一の試験片を用いて5サイクル繰り返し(落下性→落下性(衝撃付与)→剥離性の試験で1サイクルとする)、全ての貼付性及び剥離性の評価において「○」となった場合を「○」、いずれかの評価で「×」となった場合を「×」と評価した。
【0081】
表1に、実施例1〜7及び比較例1〜3の高分子ゲルの製造に使用した配合液に含まれる各種成分の配合量(重量部)と、実施例1〜7、並びに比較例1及び3の高分子ゲルの評価結果(動的粘弾性の測定結果、貼付性の評価結果、剥離性の評価結果、及びリワーク性の評価結果)とを示す。なお、実施例1〜7及び比較例1の高分子ゲルにおいて、当該高分子ゲルにおけるポリオール化合物(B)の含有率は、当該高分子ゲルの製造に使用した配合液(高分子ゲル用組成物)におけるポリオール化合物(B)の含有率に一致するものとする。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示す結果より、実施例1〜7の高分子ゲル(高分子ゲルシート)は、被着体に対する十分な貼付性とリワーク性を両立するものであることが認められた。
【0084】
具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重合体とポリオール化合物(B)とを含み、ポリオール化合物(B)の含有率が5〜70重量部の範囲内にある実施例1〜7の高分子ゲルは、動的損失弾性率G”が1.0×103〜1.0×104Paの範囲内(より具体的には、2.3×103〜9.8×103Paの範囲内)で、且つ、損失正接tanδが0.05未満(より具体的には、0.02〜0.04の範囲内)である動的粘弾性を有しており、被着体(ステンレス板、及びガラスチップ)に十分に貼り付き、且つ、被着体から容易に剥がすことができ、再使用可能なものであることが認められた。また、本実施例1〜7の高分子ゲルの動的貯蔵弾性率G’は、5.0×104〜5.0×105Paの範囲内(より具体的には、6.4×104〜5.0×105Paの範囲内)にあることが認められた。
【0085】
一方、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重合体を含むものの、ポリオール化合物(B)を含まない比較例1の高分子ゲルは、実施例1〜7の高分子ゲルと比べて、動的損失弾性率G”が高く、硬いものであるため、被着体に貼り付き難く、貼付性に乏しいものであることが認められた。また、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重合体及びポリオール化合物(B)を含まず、他の成分を含む比較例3の高分子ゲルは、実施例1〜7と同等の動的貯蔵弾性率G’及び動的損失弾性率G”を有しており、被着体に対して十分な貼付性を有するが、損失正接tanδが高く、十分な弾性を有していないため、被着体から剥がし難く、リワーク性がないことが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の高分子ゲル及び高分子ゲルシートは、半導体等の電子部品やガラスチップなどを製造又は加工する工程において、各種部材を一時的に固定(仮止め)するための仮止め材:タッチパネルと液晶パネルとで構成されるタッチパネル一体型液晶表示装置等のような、複数のパネルで構成される光学装置において、複数のパネル同士を貼り合わせるための粘着材(この用途では、一般に、製造時または製造後の修正・補修時に貼り直しが行われる);微小な製品(例えば、微小な電子部品やガラスチップ等)を搬送する際に製品を固定するための仮止め材として利用することができる。
図1