(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却水通路において前記サーモスタットより下流に位置する第2接続部と、前記冷却水通路において前記シリンダユニットより上流に位置する第3接続部とを接続する第2バイパス通路をさらに備える、
請求項1から3のいずれかに記載の船外機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る船外機1を示す左側面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る船外機1を示す背面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る船外機1は、エンジンカバー2、上部ケーシング3a、下部ケーシング3b、エキゾーストガイド部4、エンジンユニット5と、を有する。なお、理解の容易のために
図1及び
図2においては、エンジンカバー2を断面で示している。エンジンカバー2、上部ケーシング3a、エンジンユニット5はエキゾーストガイド部4に固定されている。下部ケーシング3bは、上部ケーシング3aの下方に配置されている。
【0012】
エンジンユニット5は、エンジンカバー2内に配置される。エンジンユニット5は、エンジン6を含む。
図1に示すように、上部ケーシング3a及び下部ケーシング3b内には、ドライブシャフト11が配置される。ドライブシャフト11は、上部ケーシング3a及び下部ケーシング3b内において上下方向に沿って配置される。ドライブシャフト11は、エンジン6のクランク軸26に固定される。下部ケーシング3bの下部には、プロペラ12が配置される。プロペラ12は、エンジン6の下方に配置されている。プロペラ12はプロペラボス13を含む。プロペラボス13の内部には、プロペラシャフト14が配置される。プロペラシャフト14は、前後方向に沿って配置されている。プロペラシャフト14は、ベベルギヤ15を介してドライブシャフト11の下部に連結される。
【0013】
船外機1では、エンジン6により発生される駆動力がドライブシャフト11およびプロペラシャフト14を介してプロペラ12に伝達される。それにより、プロペラ12が正回転または逆回転する。その結果、船外機1が取り付けられた船体を前進または後進させる推進力が発生する。
【0014】
図1に示すように、船外機1は排気通路16を有している。排気通路16は、エンジン6からエキゾーストガイド部4内、上部ケーシング3a内、及び、下部ケーシング3b内を通ってプロペラ12のプロペラボス13まで延びるように設けられる。エンジン6から排出された排気は、排気通路16からプロペラボス13の内部を通って、水中に排出される。
【0015】
図3は、エンジンユニット5の左側面図である。
図3に示すように、エンジン6は、シリンダユニット20とクランクケース23とを有する。シリンダユニット20は、シリンダブロック21とシリンダヘッド22とを有する。シリンダブロック21は、エキゾーストガイド部4の上に配置され、エキゾーストガイド部4に固定される。
図4は、
図1における船外機1のIV−IV断面図である。
図4に示すように、シリンダブロック21は、4つのシリンダ21a−21dを有する。4つのシリンダ21a−21dは上下方向に並んで配置されている。
【0016】
図3に示すように、シリンダヘッド22は、シリンダブロック21の後方に配置される。
図5は、
図1における船外機1のV−V断面図である。
図5に示すように、シリンダヘッド22内には、吸気ポート24a−24dおよび排気ポート25a−25dが形成されている。吸気ポート24a−24dおよび排気ポート25a−25dはそれぞれ、シリンダ21a−21dに接続される。吸気ポート24a−24dは、上下方向に並んで配置されている。吸気ポート24a−24dは図示しない燃料供給装置に接続されている。排気ポート25a−25dは、上下方向に並んで配置されている。排気ポート25a−25dは、側方へ延びており、後述する排気マニホールド31に接続されている。
【0017】
図3に示すように、クランクケース23は、シリンダブロック21の前方に配置される。クランクケース23内には、クランク軸26(
図1参照)が配置されている。クランク軸26は上下方向に延びている。クランク軸26の下端部には、上述したドライブシャフト11の上端部が連結される。シリンダ21a−21d内に配置されたピストン(図示せず)の動きが、クランク軸26を介してドライブシャフト11に伝達される。
【0018】
図3に示すように、エンジンユニット5は、排気マニホールド31を含む。排気マニホールド31は、シリンダヘッド22の側方に配置されている。排気マニホールド31は、シリンダヘッド22と一体的に形成されている。排気マニホールド31は、上下方向に沿って延びるように配置されている。
図5に示すように、排気マニホールド31には複数の開口36a−36dが形成されており、各開口36a−36dを介して排気マニホールド31と各排気ポート25a−25dとが接続されている。排気マニホールド31は、複数の排気ポート25a−25dから噴出された排気を集合させる。排気マニホールド31は、第1開口33を含む。第1開口33は、複数のシリンダ21a−21dのうち最も上方に位置するシリンダ21aと最も下方に位置するシリンダ21dとの間に位置している。
【0019】
図3に示すように、エンジンユニット5は、触媒ユニット32を含む。
図4及び
図6に示すように、触媒ユニット32は、触媒部材44と、触媒収容管45とを含む。触媒部材44は、触媒収容管45内の排気通路16に配置されている。触媒ユニット32は、エンジン6の側方に配置されている。従って、触媒部材44は、エンジン6の側方に配置されている。具体的には、触媒部材44は、4つのシリンダ21a−21dのうち最も下方に位置しているシリンダ21dの下端部よりも上方に位置している。触媒収容管45は、排気マニホールド31と水平方向に並んで配置されている。触媒収容管45は、上下方向に延びるように配置されている。触媒収容管45の一端は、排気マニホールド31の第1開口33に接続されている。触媒収容管45の他端は、後述するシリンダブロック21の第2開口54に接続されている。触媒部材44は、排気を浄化する触媒を担持している。触媒としては、例えば三元触媒が用いられる。触媒部材44は、ハニカム構造を有する円筒状の部材からなる。触媒部材44において、排気は、上方から下方へ向かって流れる。排気通路16を通る排気は、触媒収容管45内の触媒部材44を通過することにより、浄化される。
【0020】
排気マニホールド31と触媒ユニット32とは、上述した排気通路16の一部を構成している。排気通路16は、さらに、第1下部通路51と第2下部通路52と第3下部通路53とを有する。第1下部通路51は、シリンダブロック21内に形成されている。第1下部通路51は第2開口54を有する。第2開口54は、シリンダブロック21の側面の下部に形成されている。第1下部通路51は、第2開口54を介して触媒ユニット32に接続される。第2下部通路52は、エキゾーストガイド部4内に形成されている。
図4及び
図6に示すように、第2下部通路52は、第1下部通路51と接続されている。
図1に示すように、第3下部通路53は、上部ケーシング3a内及び下部ケーシング3b内に形成されている。第3下部通路53は、第2下部通路52と接続されている。また、第3下部通路53は、プロペラボス13に接続されている。
【0021】
本実施形態に係る船外機1では、排気通路16によってシリンダユニット20から排出される排気がシリンダからエンジンの下方へ導かれる。具体的には、エンジン6の排気ポート25a−25dからの排気は、排気マニホールド31において集合する。排気は、排気マニホールド31から触媒ユニット32へ流れる。排気は、触媒ユニット32において触媒部材44を通過することにより、浄化される。排気は、触媒ユニット32から、第1下部通路51と第2下部通路52と第3下部通路53とプロペラボス13の内部を通り、外部へ排出される。
【0022】
なお、
図3及び
図4に示すように、触媒ユニット32は、排気中の酸素濃度を検出する第1酸素センサ55と第2酸素センサ56とを備えている。第1酸素センサ55は、排気通路16中において触媒部材44よりも上流に配置されている。具体的には、第1酸素センサ55は、触媒収容管45内において、触媒部材44の上方に配置されている。第2酸素センサ56は、触媒収容管45内において、触媒部材44の下方に配置されている。第2酸素センサ56は、排気通路16中において触媒部材44の下流に配置されている。第1酸素センサ55及び第2酸素センサ56からの検出信号は、図示しないECUに与えられる。ECUは、第1酸素センサ55及び第2酸素センサ56の検出値に基づいてエンジン6の制御を行う。
【0023】
図7は、本実施形態に係る船外機1の冷却系統を示す模式図である。
図7に示すように、船外機1の冷却系統は、冷却水取込口41と、ウォーターポンプ42と、冷却水通路43と、冷却水排出口46と、を有する。冷却水取込口41は、下部ケーシング3bに形成されている。外部の水が、冷却水取込口41を介して冷却水通路43に取り込まれる。ウォーターポンプ42は、冷却水取込口41から冷却水を取り込んで冷却水通路43へ供給する。ウォーターポンプ42は、下部ケーシング3b内に配置されている。冷却水通路43は、排気通路16とシリンダユニット20とを冷却するための冷却水を導く。冷却水通路43は、触媒ユニット32と、排気マニホールド31と、シリンダヘッド22と、シリンダブロック21とを通るように設けられている。冷却水通路43において、触媒ユニット32は、排気マニホールド31の上流に位置する。排気マニホールド31は、シリンダヘッド22の上流に位置する。シリンダヘッド22は、シリンダブロック21の上流に位置する。従って、触媒部材44は、シリンダヘッド22よりも上流に位置している。冷却水排出口46は、下部ケーシング3bに形成されている。冷却水通路43の冷却水は、冷却水排出口46を介して外部に排出される。
【0024】
冷却水通路43において、触媒部材44及びシリンダユニット20よりも下流にはサーモスタット47が配置されている。サーモスタット47は、シリンダブロック21の下流に位置している。サーモスタット47は、中心軸線が上下方向に延びるように配置されている。サーモスタット47は、冷却水の温度が所定温度以上となったときに、冷却水通路43を開く。また、サーモスタット47は、冷却水の温度が所定温度より低いときには、冷却水通路43を閉じる。
【0025】
また、船外機1の冷却系統は、第1バイパス通路61と第2バイパス通路62とを有する。第1バイパス通路61は、冷却水通路43において、第1接続部P1と第2接続部P2とを接続する。第1接続部P1は、触媒部材44より下流に位置する。第2接続部P2は、サーモスタット47より下流に位置する。第2接続部P2は、サーモスタット47の直ぐ下流に位置している。第1バイパス通路61の断面積は、冷却水通路43の断面積よりも小さい。例えば、第1バイパス通路61の断面積は、冷却水通路43の断面積の1/40以上、1/10以下である。
図8は、エンジンユニット5の上面図である。
図9は、
図8におけるIX−IX断面図である。
図3、
図8、
図9に示すように、第1バイパス通路61は、ホース状の部材によって構成されており、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。
図3に示すように、第1バイパス通路61は、触媒ユニット32の上部に接続されている。すなわち、第1接続部P1は、触媒ユニット32の上部に配置されている。第1バイパス通路61は、触媒ユニット32から上方に延びており、シリンダユニット20の上部に接続されている。第2接続部P2は、シリンダユニット20の上方に位置している。
図6に示すように、第1接続部P1は、触媒部材44よりも上方に位置している。
図9に示すように、第1バイパス通路61は、触媒ユニット32内の冷却水通路43に連通している。シリンダユニット20の上部には、サーモスタットカバー48が取り付けられている。サーモスタットカバー48は、サーモスタット47を覆っている。サーモスタットカバー48は、冷却水通路43の一部を構成している。すなわち、サーモスタットカバー48の内部空間は、シリンダブロック21内の冷却水通路43に連通している。第1バイパス通路61は、サーモスタットカバー48に接続されている。従って、第2接続部P2は、サーモスタットカバー48に設けられている。第2接続部P2は、サーモスタットカバー48内において、サーモスタット47の下流に位置している。
【0026】
図10は、エンジンユニット5の右側面図である。なお、
図10では、シリンダヘッド22の吸気ポート24a−24dから燃料供給装置が取り外された状態が図示されている。
図8、
図9、
図10に示すように、サーモスタットカバー48には、冷却水通路部材49が接続されている。冷却水通路部材49は、ホース状の部材によって構成されており、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。冷却水通路部材49は、サーモスタットカバー48から下流に向かって延びる冷却水通路43の一部を構成している。冷却水通路部材49の断面積は、第1バイパス通路61の断面積よりも大きい。冷却水通路部材49は、サーモスタットカバー48からエンジン6の上面に沿ってエンジン6の右側面へ向かって延びている。また、冷却水通路部材49は、エンジン6の右側面に沿って下方へ向かって延びている。冷却水通路部材49は、エキゾーストガイド部4、上部ケーシング3a、および下部ケーシング3b内に配置された冷却水通路43に接続されている(図示せず)。
【0027】
図7に示すように、第2バイパス通路62は、冷却水通路43において、第3接続部P3と第4接続部P4とを接続する。第3接続部P3は、触媒部材44より下流に位置する。第3接続部P3は、シリンダユニット20内に位置する。具体的には、第3接続部P3は、冷却水通路43において、シリンダヘッド22とシリンダブロック21との間に位置する。第4接続部P4は、サーモスタット47より下流に位置する。第4接続部P4は、第2接続部P2の下流に位置している。第2バイパス通路62には、水圧制御弁57が配置されている。水圧制御弁57は、冷却水通路43の水圧が所定の水圧よりも大きくなったときに開く。水圧制御弁57は、冷却水通路43の水圧が所定の水圧以下であるときには閉じられている。
図8および
図10に示すように、水圧制御弁57は、エンジン6の右側面の上部に取り付けられている。第2バイパス通路62は、ホース状の部材によって構成されており、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。第2バイパス通路62は、水圧制御弁57から前後方向に沿って延びている。第2バイパス通路62は、冷却水通路部材49よりも前方の位置で後方へ向かって折り返されて、冷却水通路部材49に接続されている。上述した第4接続部P4は、冷却水通路部材49に設けられており、エンジン6の右側方に位置している。
【0028】
図7に示すように、船外機1の冷却系統は、第1分岐通路63と第2分岐通路64とを有する。第1分岐通路63は、冷却水通路43において、第5接続部P5に接続されている。第5接続部P5は、第4接続部P4の下流に位置する。また、第1分岐通路63は、オイルクーラー58に接続されている。オイルクーラー58は、エンジン6で用いられる潤滑油を冷却する。第1分岐通路63は、オイルクーラー58に冷却水を供給する。
図10に示すように、オイルクーラー58は、エンジン6の右側方に配置されている。第1分岐通路63は、ホース状の部材によって構成されており、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。第1分岐通路63の断面積は、冷却水通路43の断面積よりも小さい。例えば、第1分岐通路63の断面積は、冷却水通路43の断面積の1/40以上、1/10以下である。上述した第5接続部P5は、冷却水通路部材49に設けられており、エンジン6の右側方に位置している。また、オイルクーラー58には、第1排水通路65が接続されている。第1排水通路65は、エンジンカバー2又は下部ケーシング3bに設けられた排水口(図示せず)に接続されている。第1排水通路65の断面積は、第1分岐通路63と同様に、冷却水通路43の断面積よりも小さい。
【0029】
第2分岐通路64は、冷却水通路43において、第6接続部P6に接続されている。第6接続部P6は、触媒部材44より上流に位置する。第2分岐通路64は、燃料クーラー59に接続されている。燃料クーラー59は、エンジン6で用いられる燃料を冷却する。第2分岐通路64は、燃料クーラー59に冷却水を供給する。
図10に示すように、燃料クーラー59は、エンジン6の右側方に配置されている。第2分岐通路64は、ホース状の部材によって構成されており、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。第2分岐通路64の断面積は、冷却水通路43の断面積よりも小さい。例えば、第2分岐通路64の断面積は、冷却水通路43の断面積の1/40以上、1/10以下である。上述した第6接続部P6は、触媒ユニット32の下部に設けられており、エンジン6の左側方に位置している。
図3及び
図10に示すように、第2分岐通路64は、エンジン6の左側方からエンジン6の後方を通りエンジン6の右側方まで延びている。また、燃料クーラー59には、第2排水通路66が接続されている。第2排水通路66は、第7接続部P7において第1排水通路65に接続されている。第2排水通路66の断面積は、第2分岐通路64と同様に、冷却水通路43の断面積よりも小さい。
【0030】
本実施形態に係る船外機1では、触媒部材44とシリンダユニット20とを冷却するための冷却水通路43が1系統であるので、触媒部材44とシリンダユニット20とを別の冷却水通路43で冷却する場合と比べて、ウォーターポンプ42の大型化を防止することができる。また、サーモスタットやセンサなどの部品点数が増加することを抑えることができる。サーモスタットの増加が抑えられるため、整備性の低下を抑えることができる。さらに、サーモスタットの配置や冷却水通路のレイアウトの自由度の低下を抑えることができる。また、第1バイパス通路61が触媒部材44の下流とサーモスタット47の下流とを接続しているので、サーモスタット47が閉じている状態であっても、触媒部材44に冷却水を滞留させることなく流すことができる。これにより、安定的に触媒部材44を冷却することができる。
【0031】
第1バイパス通路61の断面積が、冷却水通路43の断面積よりも小さいので、第1バイパス通路61を追加したことによる冷却水の流量の増大が少ない。このため、ウォーターポンプ42に必要とされる能力の増大を抑えることができる。
【0032】
第1バイパス通路61がサーモスタットカバー48に接続されているので、第1バイパス通路61を介して、冷却水が安定的にサーモスタット47の直ぐ下流を流れる。このため、サーモスタット47が凍結した場合に、サーモスタット47を早期に解凍することができる。例えば、船外機は、極寒地の海上などの過酷な状況において使用されることがある。このような状況では、船舶の停泊中にサーモスタットの周りに付着した冷却水が凍結しやすい。この場合、エンジンを始動させることができたとしても、サーモスタットが凍結したままで動作しないということがある。本実施形態に係る船外機1では、そのような場合でも、サーモスタット47を早期に解凍することができる。
【0033】
第2バイパス通路62が、シリンダヘッド22の下流に接続されている。このため、水圧制御弁57が開かれている状態であっても、シリンダヘッド22に安定的に冷却水を流すことができる。これにより、シリンダヘッド22を安定的に冷却することができる。また、第2バイパス通路62が、シリンダブロック21の上流に接続されているので、シリンダブロック21の暖機を容易にすることができる。これにより、シリンダブロック21が常時冷却される場合と比べて、オイルの燃料による希釈を抑えることができる。特に、上記のように、シリンダブロック21よりも先にシリンダヘッド22に冷却水が流れるように冷却水通路が構成されている場合には、第3接続部P3はシリンダヘッド22よりも下流、且つ、シリンダブロック21よりも上流に位置することが好ましい。
【0034】
冷却水通路43において、シリンダユニット20は、触媒部材44の下流に位置している。このため、シリンダユニット20の暖気を容易にすることができる。
【0035】
第1バイパス通路61が接続される第1接続部P1が、触媒部材44の上方に位置している。このため、第1接続部P1が冷却水中の空気抜き口を兼ねることができる。このため、触媒部材44の全体を効率よく冷却することができる。また、第1バイパス通路61が接続される第2接続部P2がシリンダユニット20の上方に位置している。このため、第1バイパス通路61の経路長を短くすることができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態に係る船外機について説明する。なお、以下の説明する第2実施形態の船外機の構成のうち、第1実施形態の船外機1の構成と同じものには同一の符号を付している。
図11は、第2の実施形態に係る船外機の冷却系統を示すブロック図である。
図12は、エンジンユニット5の左側面図である。
図13は、エンジンカバー2の一部及びエンジンユニット5の背面図である。
【0037】
図11に示すように、第2の実施形態に係る船外機の冷却系統は、第1バイパス通路71と第2バイパス通路72を含む。第1バイパス通路71は、冷却水通路43において触媒部材44から下流に流れる冷却水の一部を船外機の外部に排出するように構成される。具体的には、第1バイパス通路71は、冷却水通路43の第1接続部P11と、
図13に示すパイロットウォーター孔81とを接続している。
図11に示すように、第1接続部P11は、冷却水通路43において触媒部材44より下流且つサーモスタット47より上流に位置する。第1接続部P11の配置は、第1実施形態の第1接続部P1と同様である。すなわち、第1接続部P11は、触媒ユニット32の上部に配置されている。
図13に示すように、パイロットウォーター孔81は、エンジンカバー2に設けられている。より具体的には、エンジンカバー2は上部カバー2a(
図4及び
図6参照)と下部カバー2bとを含み、パイロットウォーター孔81は、下部カバー2bに設けられている。
図12及び
図13に示すように、第1バイパス通路71は、ホース状の部材によって構成されており、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。第1バイパス通路71は、触媒ユニット32から上方に延びており、シリンダユニット20の後方を通って、エンジン6の反対側の側面へ延びている。第1バイパス通路71の他の構成については、第1実施形態の第1バイパス通路61と同様である。
【0038】
図11に示すように、第2バイパス通路72は、冷却水通路43において、第2接続部P12と第3接続部P13とを接続する。第2接続部P12の配置は、第1実施形態の第2接続部P2と同様である。すなわち、第2接続部P12は、サーモスタットカバー48内において、サーモスタット47の直ぐ下流に位置している。第3接続部P13は、冷却水通路43においてシリンダユニット20より上流に位置する。第3接続部P13は、冷却水通路43において触媒部材44よりも上流に位置する。具体的には、第3接続部P13は、エキゾーストガイド部4内に配置されている。第2バイパス通路72の断面積は、冷却水通路43の断面積よりも小さい。例えば、第2バイパス通路72の断面積は、冷却水通路43の断面積の1/40以上、1/10以下である。第2バイパス通路72は、燃料クーラー59とオイルクーラー58とを通るように構成されている。具体的には、第2バイパス通路72は、第1通路73と第2通路74と第3通路75と第4通路76とを含む。第1通路73は、第3接続部P13と燃料クーラー59とを接続している。第2通路74は、燃料クーラー59とオイルクーラー58とを接続している。第3通路75は、オイルクーラー58と第2接続部P12とを接続している。第4通路76は、第1通路73から分岐して、オイルクーラー58に接続されている。第4通路76は、エキゾーストガイド部4及びシリンダユニット20の内部に配置されている。
【0039】
第1通路73の一部は、エキゾーストガイド部4及びシリンダユニット20の内部に配置されている。
図14は、第2の実施形態に係る船外機のエンジンユニット5の右側面図である。第1通路73は、パイプ部77を含む。パイプ部77は、シリンダユニット20に設けられた出口73aと燃料クーラー59とを接続している。第1通路73のパイプ部77と、第2通路74と、第3通路75とは、エンジン6と排気マニホールド31と触媒ユニット32との外部に配置されている。第2通路74は、パイプ状の部材によって構成されている。第3通路75は、パイプ状の部材によって構成されている。サーモスタットカバー48とオイルクーラー58とは、エンジン6の同じ側の側方に配置されている。第3通路75は、オイルクーラー58の上部から上方に延び、サーモスタットカバー48に接続されている。
【0040】
図15は、エンジン6の一部の背面視における断面図である。
図15に示すように、サーモスタット47は、シリンダブロック21内に配置されている。サーモスタット47は、中心軸線が水平方向に延びるように配置されている。サーモスタットカバー48は、サーモスタット47の側方に配置されている。サーモスタットカバー48は、シリンダブロック21に取り付けられている。サーモスタットカバー48には、冷却水通路部材78が接続されている。冷却水通路部材78は、サーモスタットカバー48の下部に接続されている。
図14に示すように、冷却水通路部材78は、サーモスタットカバー48からエンジン6の右側面に沿って下方へ向かって延びている。冷却水通路部材78の他の構成については、第1実施形態の冷却水通路部材49と同様である。
【0041】
図11に示すように、第2の実施形態に係る船外機の冷却系統は、第3バイパス通路79を含む。第3バイパス通路79は、第4接続部P14に接続されている。第4接続部P14は、冷却水通路43において触媒部材44よりも上流に位置している。具体的には、第4接続部P14は、エキゾーストガイド部4内に配置されている。第3バイパス通路79には、水圧制御弁82が配置されている。
図13に示すように、水圧制御弁82は、エキゾーストガイド部4に取り付けられている。水圧制御弁82の他の構成は、第1実施形態の水圧制御弁57と同様である。
【0042】
第2の実施形態に係る船外機においても、第1の実施形態に係る船外機1と同様の効果を奏することができる。また、第1バイパス通路71を通る冷却水は、パイロットウォーター孔81から排出される。従って、第1バイパス通路71を通る冷却水をパイロット水として利用することができる。
【0043】
オイルクーラー58及び燃料クーラー59を通った冷却水が第2バイパス通路72を介してサーモスタットカバー48に供給される。このため、サーモスタット47が凍結した場合に、サーモスタット47を早期に解凍することができる。
【0044】
第2バイパス通路72の第1通路73の一部と第4通路76とが、エキゾーストガイド部4及びシリンダユニット20の内部に配置されている。このため、ホースやパイプなどの構成部品数を削減することができる。また、エンジンユニット5の組立時の工数を削減することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
シリンダの数は4つに限定されない。シリンダの数は3つ以下でもよい。或いは、シリンダの数は5つ以上でもよい。
【0047】
第1実施形態の第1〜第7接続部P1−P7の位置は、上述した位置に限られない。例えば、第1実施形態において、第1接続部P1が触媒ユニット32よりも下流に位置してもよい。第2接続部P2は、第4接続部P4よりも下流に位置してもよい。上記の実施形態では、第3接続部P3は、シリンダヘッド22とシリンダブロック21との間に位置しているが、
図16に示すように、シリンダユニット20より下流に位置してもよい。或いは、
図17に示すように、第3接続部P3は、触媒部材44とシリンダユニット20との間に位置してもよい。
【0048】
第2実施形態の第1〜第4接続部P11−P14の位置は、上述した位置に限られない。例えば、第2実施形態において、第1接続部P11が触媒ユニット32よりも下流に位置してもよい。第3接続部P13は、エキゾーストガイド部4の外部に配置されてもよい。パイロットウォーター孔81の位置は、下部カバー2bに限られず、船外機の他の位置に設けられてもよい。