(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775491
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】携帯用トイレ
(51)【国際特許分類】
A47K 11/06 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
A47K11/06
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-143943(P2012-143943)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-4287(P2014-4287A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2013年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】512168777
【氏名又は名称】三立金型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】石田 保
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3149666(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3001081(JP,U)
【文献】
特開2006−122357(JP,A)
【文献】
実開平05−029495(JP,U)
【文献】
実開平07−036895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00 − 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略二等辺三角形状の尿受面と、
前記尿受面の等辺部からそれぞれ直交して立ち上がっていて使用者の左右の大腿部の内側付け根付近に接する左側面及び右側面と、
前記尿受面の頂点部から傾斜をもって立ち上がっている底部と、
前記尿受面の頂点部付近に形成された尿の排出口と、を備え、
前記排出口に貯尿袋がその開口部が前記左側面及び右側面の端部側となる態様で通されてから当該開口部を前記左側面及び右側面の端部を覆うように折り返した状態で使用可能であり、
前記尿受面には、前記排出口に隣接させて前記貯尿袋を係止する係止部を連結するための連結部を有する携帯トイレ。
【請求項2】
前記底部の内側は、尿が使用者に向けて逆流することを防ぐ傾斜部を有する、請求項1記載の排尿用の携帯トイレ。
【請求項3】
前記左側面及び右側面の各外側面は、左右の大腿部の内側付け根付近の形状に対応する曲面形状である、請求項1記載の排尿用の携帯トイレ。
【請求項4】
前記尿受面の底辺部から直交して立ち上がっていて使用者の下腹部付近に位置する端縁は、使用者の下腹部の形状に対応する曲面形状である、請求項1記載の排尿用の携帯トイレ。
【請求項5】
前記尿受面には、前記排出口に隣接させて携帯トイレ本体を把持するための把持部が連結される、請求項1記載の排尿用の携帯トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用トイレに関し、特に、自動車内、避難所内などで好適に用いることができる携帯用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
渋滞時における自動車内や災害時に使用する、排尿用の携帯用トイレとしては、様々なものが提案されている。特許文献1及び2には、下方へ向けて径が縮小する逆円錐型の紙コップ形状の尿受け部を有する、携帯用トイレが開示されている。特許文献3には、上方の開口部が傾斜し、下方の開口部には尿を溜める排尿バックを装着する、円筒形または楕円筒形の携帯用トイレが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−176998号公報
【特許文献2】特開2006−116373号公報
【特許文献3】実登第3149666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に開示されている携帯用トイレは、尿受け部の形状について、検尿の際に使用される汎用的な紙コップ等の形状をそのまま採用したに過ぎず、陰部に当てる際のフィット性の向上といった考慮はなされていない。
【0005】
また、特許文献3に開示されている携帯用トイレは、陰部と接する開口部についてフィット性の向上を意図した工夫は見られるが、他方、使用者の両足と接する側面部における形状の考慮は見られない。
【0006】
加えて、特許文献3開示の携帯用トイレと排尿バックとの装着手段は、排尿バックに設けられた紐であるが、紐で縛ることのみによる装着では、蓄積される尿の重量で排尿バックが脱落することが想定される。そのほか、非常時に使用される物品であるにもかかわらず、排尿バックには紐付きの専用品しか使用できないのは不便である。
【0007】
そこで、本発明は、使用者における使用時のフィット性を向上させると共に、貯尿用の袋に専用品のみならず、買い物袋として多用されているビニール製の手提げ袋等の汎用品も使用可能とする、携帯用トイレを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の携帯用トイレは、
略二等辺三角形状の尿受面と、
前記尿受面の等辺部からそれぞれ直交して立ち上がっていて使用者の左右の大腿部の内側付け根付近に接する左側面及び右側面と、
前記尿受面の頂点部から傾斜をもって立ち上がっている底部と、
前記尿受面の頂点部付近に形成された尿の排出口と、を備え、
前記排出口に貯尿袋がその開口部が前記左側面及び右側面の端部側となる態様で通されてから当該開口部を前記左側面及び右側面の端部を覆うように折り返した状態で使用可能としている。
【0009】
底部の内側は、尿が使用者に向けて逆流することを防ぐ傾斜部を有するとよい。また、左側面及び右側面の各外側面は、左右の大腿部の内側付け根付近の形状に対応する曲面形状とするとよい。
【0010】
さらに、尿受面の底辺部から直交して立ち上がっていて使用者の下腹部付近に位置する端縁を、使用者の下腹部の形状に対応する曲面形状とするとよい。
【0011】
また、尿受面には、前記排出口に隣接させて前記貯尿袋を係止する係止部を連結するための連結部を設けたり、携帯トイレ本体を把持するための把持部を連結したりするとよい。
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る携帯用トイレにおけるカップ200の模式的な構成を示す平面図である。
図2は、
図1のA−A’での断面図である。
図3は、
図1に示すカップ200にビニール袋などを装着するための係止部300の模式的な構成を示す断面図である。
図4は、
図1に示すカップ200に
図3に示す係止部300を通じてビニール袋500を装着させた携帯用トイレ100を示す斜視図である。
【0014】
図4に示すように、携帯用トイレ100は、尿を受けるカップ200(
図1)に着脱自在な貯尿用のビニール袋500を装着した態様で使用するものである。
【0015】
図1,
図2に示すように、カップ200は、略二等辺三角柱形状の尿受面210と、携帯用トイレ100の使用時に使用者の下腹部付近に位置する上面220と、尿受面210の等辺部の一方から直交して立ち上がっていて携帯用トイレ100の使用時に左大腿部の内側付け根付近に接する左側面230と、尿受面210の等辺部の他方から直交して立ち上がっていて携帯用トイレ100の使用時に右大腿部の内側付け根付近に接する右側面240と、尿受面210の頂点部から所定の傾斜をもって立ち上がっている携帯用トイレ100の使用時に座面に対向する底部250とを含む。
【0016】
尿受面210との対向部分は開放されている。その端部は、携帯用トイレ100の使用時に使用者の陰部周辺に接する端縁260を構成している。尿受面210には、その頂点部付近に形成され、貯尿袋であるところのビニール袋500が通される排出口270と、排出口270に隣接する、ビニール袋500の手提げ部分が係止される係止部300をカップ200に取り付けるための連結部290とが形成されている。
【0017】
カップ200は、全体形状が、底部250の出っ張り部分を除けば、略二等辺三角柱状である。携帯用トイレ100の使用時に、カップ200の端縁260が携帯用トイレ100の使用者の陰部周辺を覆う態様で接することを実現するためである。
【0018】
使用者に接する部分となる端縁260は、使用者にフィットするような曲面形状とされていて、尿がカップ200外に漏れることを防止している。また、端縁260は、使用者に接する部分であることから、面取りされている。
【0019】
また、左側面230及び右側面240の各外側面は、使用者の両足大腿部の内側付け根付近に接することから、両足大腿部の内側付け根付近に対応する僅かな曲面形状としている。なお、左側面230及び右側面240は、尿受面210の等辺部から直交して立ち上がっていると説明したが、本明細書においは、厳密な意味での90°のみならず、90°±5°くらいまでのものも含むものとする。
【0020】
底部250の外面は、
図2に示すように、尿受面210に対して70°〜80°程度、傾斜させている。また、底部250の内面は、携帯用トイレ100の使用時、すなわち、底部250の外面を水平にした時に、尿受面210に向けて下る5°から20°の角度、好ましくは5°〜10°の角度の傾斜部280となる。傾斜部280を設けることにより、カップ200内では傾斜部280を通じて排出口270に向けて尿が流れることになるので、使用者側へ尿が逆流することが防止できる。
【0021】
排出口270は、尿受面210と底部250との境界付近に形成される。もっとも、尿受面210と底部250との境界を含む態様で排出口270を形成してもよい。排出口270を、このような位置に形成すると、カップ200の容器内からビニール袋500に向けて、スムーズに尿を排出させることができる。
【0022】
なお、カップ200をABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)などの合成樹脂製とした場合、傾斜部280は、底部250の上端を最も厚肉とし、排出口270へ向かって漸次薄肉となるような金型等を製造することで、形成すればよい。
【0023】
また、連結部290は、尿受面210に開けられた孔の内側にネジ山を切ることで形成している。連結部290には、係止部300が螺合によって連結可能であり、係止部300の着脱が自在とされている。但し、係止部300の螺合による連結方法は一例であって、連結方法はこれに限られない。
【0024】
なお、本実施形態では、連結部290は、係止部300との強固な連結を実現するために、カップ200内側に、ナットのように機能させる、ネジ山が切られたリング状の突起を設けている。
【0025】
図3を参照して、係止部300は、下端部が連結部290と螺合される支柱310と、支柱310の上端部に位置する第1鍔部320と、支柱310の中間部に位置する第2鍔部330と、第2鍔部330の下側に位置するリング340とを備える。
【0026】
支柱310は、中空の円柱形状であり、一方の端部が第1鍔部320と固着され、他方の端部には外側側面にネジ山が切られている。このため、係止部300は、カップ200の連結部290に対して螺合によって連結されられる。
【0027】
なお、係止部300をカップ200と着脱自在としたのは、仮に係止部300がカップ200に固定的に連結されていると、係止部300が、携帯用トイレ100に対する突起となって、携帯用トイレ100のサイズアップとなり持ち運びに不便だからである。係止部300は、携帯用トイレ100の未使用時には、カップ200内側から連結部290に螺合させてもよい。
【0028】
支柱310の中間部分には、第2鍔部330が位置し、第2鍔部330の底面にはリング340の上面が接続されている。リング340の下面は、携帯用トイレ100の使用時に係止部300がカップ200に螺合により連結される際、尿受面210外側に密着することになる。リング340は、ビニール袋500の手提げ部分が係止される。なお、リング340に代えて、たとえば、一対のピンを備えるようにしてもよい。
【0029】
また、支柱310に対して、第1鍔部320と第2鍔部330とを設けると、たとえば、使用者の人差し指と中指との付け根で、第1鍔部320と第2鍔部330との間の支柱210を掴むようにすれば、支柱310を通じて携帯用トイレ100を把持することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、カップ200、係止部300とも合成樹脂により形成されているが、使い捨てや折り畳みの利便等を考慮し、これを可能とするため合成樹脂に代えて、表面にポリエチレンなどの防水層を備える厚紙により形成することも可能であり、材質は合成樹脂製に限定されるものではない。上記厚紙を用いると、未使用時にたとえば
図1のA−A’部分などで折り畳んでおけるので、携帯性、収納性が向上する。
【0031】
また、本実施形態では、カップ200は、一体成型、係止部300は各部を接着させて形成しているが、カップ200を各部の接着、係止部300を一体成型により形成してもよい。
【0032】
さらに、本発明の実施形態における携帯用トイレ100の好適な寸法例について説明する。なお、以下説明する寸法は、あくまで一例であって、これらに限定されるものではない点に留意されたい。
【0033】
まず、カップ200の全長、すなわち、上面220から底部250まで長さは約110mm〜約140mm(たとえば約130mm)である。上面220の幅は、約80mm〜約100mm(たとえば約90mm)としている。カップ200の高さは上面220側を約35mm〜約45mm(たとえば約40mm)とし、底部250側を垂直に測って約75mm〜約90mm(たとえば約80mm)としている。
【0034】
図1に示す上面220自体の曲面は、約120mmR〜約170mmR(たとえば約150mmR)としている。
図1に示す左側面230自体及び右側面240自体の曲面は、約350mmR〜約500mmR(たとえば約400mmR)の曲面形状としている。
図2に示す左側面230及び右側面240部分の端縁260は120mmR〜170mmR(たとえば約150mmR)としている。
【0035】
また、係止部300は、支柱310の長さが約30mm〜約50mm(たとえば約40mm)、支柱310外側側面に形成されるネジ山の部分の長さが約5mm〜約8mm(たとえば約6mm)、第1鍔部320の径が約15mm〜約30mm(たとえば約20mm)、第2鍔部330の径が約30mm〜約40mm(たとえば約38mm)、リング340の径が約10mm〜約40mm(たとえば約20mm)、リング340の高さが約5mm〜約10mm(たとえば約6mm)である。
【0036】
次に、以下、本実施形態の携帯用トイレの使用方法を説明する。
【0037】
まず、携帯用トイレ100は、カップ200の尿受面210に形成された連結部290に、係止部300のネジ山が切られた支柱310先端部分を螺合し、これらを連結する。つぎに、例えば買い物袋として多用されている汎用品のビニール製手提げ袋等のビニール袋500を用意し、ビニール袋500の手提げ部分をカップ200の尿受面210外側から、排出口270に挿し込んでカップ200内へと通す。
【0038】
そして、カップ200内に入ったビニール袋500の開口部を広げて、上面220、左側面230、右側面240及び底部250の外側面を覆い、手提げ部分をリング部340に係止する。ビニール袋500が大きい場合には、残余の手提げ部分は、第1鍔部320と第2鍔部330との間の支柱310に巻きつけるなどすればよい。
【0039】
換言すると、携帯トイレ100の使用時には、ビニール袋500は、その開口部が左側面230及び右側面240の端部側となる態様で、排出口270に通されてから、当該開口部を左側面230及び右側面240の端縁を覆うように折り返した状態とされる。
【0040】
本実施形態の携帯用トイレ100の使用は、先にも述べたとおり、カップ200の端縁260を使用者の陰部周辺に当て、さらに左足大腿部の内側付け根部分に左側面230を、右足大腿部の内側付け根部分に右側面240を押し当てて、カップ200を両大腿部で挟むようにして使用する。
【0041】
携帯用トイレ100の使用後には、前記と逆の手順で、ビニール袋500を尿がこぼれないように携帯用トイレ100から取り外して、ビニール袋500ごと処分すればよい。なお、携帯用トイレ100の使用に先立って、ビニール袋500の中に凝固剤などを入れておくことも一法である。
【0042】
また、ビニール袋500として買い物袋を用いるのではなく、開口部周辺にジッパーが付いたビニール袋500を用いて、携帯用トイレ100の使用後から尿を処分するまでの間、ビニール袋500から尿がこぼれないようにすることも一法である。
【0043】
なお、カップ200及び係止部300を厚紙等により形成した場合には、使い捨て可能とするべく、ビニール袋500のみならず、携帯用トイレ100自体を処分することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明に係る携帯用トイレにおけるカップ部分の模式的な構成を示す平面図である。
【
図2】本発明に係る携帯用トイレにおけるカップ部分の模式的な構成を示す左側面から見た断面図である。
【
図3】本発明に係る携帯用トイレにおける係止部の模式的な構成を示す断面図である。
【
図4】
図1に示すカップ200に
図3に示す係止部300を通じてビニール袋500を装着させた携帯用トイレ100を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
100 携帯用トイレ
200 カップ
210 尿受面
220 上面
230 左側面
240 右側面
250 底部
260 端縁
270 排出口
280 傾斜部
290 連結部
300 係止部
310 支柱
320 第1鍔部
330 第2鍔部
340 リング
500 ビニール袋