【実施例1】
【0025】
図1〜4において本発明に係る濾過取水装置1は、例えば河川2aとしての水路2の一方の水路側縁3側で、その川底5a(水路底5)に、該河川2aの延長方向に延長する取水部6が設けられている。該取水部6は、フィルタ孔7が設けられてなる取水板部9が、その上面14が川底面4a(水路の底面4)と面一状態に設けられ、
図2に示すように、該取水板部9の下側に、該フィルタ孔7を通して濾過された水を取水する取水空所10が設けられている。そして、
図5(A)、
図6(A)に示すように、該取水板部9の上面14上を河川水8が流れている状態で、該取水空所10で河川水8が取水される如くなされている。前記取水板部9の一方の取水板部側縁11は前記一方の水路側縁3に合致状態にある。又、
図1〜2に示すように、前記取水板部9の他方の取水板部側縁12と、前記水路2の他方の水路側縁13との間に、該他方の取水板部側縁12の全長に亘って、集水突出部15が前記水路の底面4で上方に突出する如く設けられており、該集水突出部15の突出部上面16は、該他方の取水板部側縁12から前記他方の水路側縁13に向かって上方に傾斜する傾斜面17として形成されている。以下これをより具体的に説明する。
【0026】
前記河川2aは、本実施例においては
図2に示すように、川底面4a(水路の底面4)の幅L1が3m程度に設定されると共に河川の深さ(水路の深さ)L2は2m程度に設定されている。
【0027】
前記取水部6は、
図1〜4に示すように、河川2aの前記一方の水路側縁3側で、その川底5aを、該河川2aの延長方向で見て一定幅で所要長さに掘削して形成した掘削空間部20に設けられており、その上面14は、川底面4a(水路の底面4)と面一状態に設けられている。ここに面一状態とは、基本的には面一であることを意味しているが、該上面14は、施工誤差によって、川底面4aより稍上に位置していたり或いは稍下に位置していることがある。
【0028】
本実施例においては、該取水部6の幅L3(
図3)は100cm程度で、その長さL4(
図3)は600cm程度である。又、その深さL5(
図4)は、上流側の400cm程度の長さ部分L6(
図4、
図7)では20cm程度に設定され、下流側の200cm程度の長さ部分L7(
図4、
図7)では30cm程度に設定されている。該取水部6における必要な取水量は、該取水部6の延長方向の長さを所要に設定することによって容易に確保できる。
【0029】
該取水部6は、本実施例においては
図4〜7に示すように、ステンレス板等の金属板を溶接等することによって形成され且つ両端が端面板21,21で覆われてなる角筒状容体22(
図7)を用い、該角筒状容体22を前記掘削空間部20に埋設して構成されている。そして、その上面部分は、フィルタ孔7が設けられてなる前記取水板部9とされている。
【0030】
該角筒状容体22は、本実施例においては、
図4、
図7に示すように、幅が100cmで長さが200cm、深さが20cmの第1の容体22aの2本が、フィルタ孔7が設けられてなる上面33,33を面一にして直列に接合され且つその接合部24aが溶接されると共に、下流側の第1の容体22a1の端部に、幅が100cmで長さが200cm、深さが30cmの第2の容体22bが、その上面33,33を面一にして接合され且つその接合部24bが溶接されて、全体が一連状態に構成されている。そして、該第2の容体22bと前記下流側の第1の容体22a1との接合部分に生ずる段差面部は覆い板38(
図7)で覆われている。又、かかる構成を有する角筒状容体22の下流端側の、前記一方の水路側縁3側の側面板(前記第2の容体22bの側面板)26aには、
図6、
図7に示すように、ジョイント管37を介して、例えば、内径が20cmの太径の2本の送水管35a,35aと、内径が5cmの細径の1本の送水管35bが、間隔を置いて連結されている。
【0031】
前記角筒状容体22を構成する前記第1の容体22aと前記第2の容体22bは、
図5(B)、
図6(B)、
図8〜9に示すように、前記河川2aの上流側から下流側に向けて延長する細長な長方形板状を呈する底面板23の長手両側縁25,25で、左右の側面板26,26が立設状態に屈曲形成されると共に、該左右の側面板26,26の上端を向き合う方向に水平に屈曲して左右の支持片27,27が形成されてなる容体枠44(
図8)を有し、該左右の支持片27,27に前記取水板部9の左右の側縁部分29,29が固定される。かかる構成を有する容体枠44,44の端部相互が溶接により一体化されて長尺の容体枠が形成される。そして該取水板部9は、例えば1mm直径の前記フィルタ孔7が多数貫設されてなる1mm厚さのパンチングメタル板30を用いて形成されており、
図9に示すように、その左右の側縁部分29,29が前記左右の支持片27,27に載置されると共に、該左右の側縁部分29,29が前記左右の支持片27,27に固定されることによって角筒体31(
図9)が構成される。かかる構成を有する角筒体31の上流側の開放端28aと下流側の開放端28bが夫々、前記端面板21,21で覆われ且つ固定されると共に、前記段差面部は前記覆い板38で覆われ固定される。これらの固定は、溶接やビス止め、リベット止め等の所要の固定手段を用いて行うことができる。本実施例においては、前記取水板部9は、前記第1の容体22a,22a、前記第2の容体22bに対応させて3分割されているが、該取水板部9は長尺の一枚板であってもよい。
図10は前記取水板部9の部分拡大図であり、前記フィルタ孔7は1mm径の円形孔で、該フィルタ孔7の上端周縁32は、上に突の円弧状周縁に形成されている。
【0032】
前記取水部6を構成する前記取水板部9の上面14は、前記のように、前記川底面4aと面一状態を呈している。即ち、該取水板部9の上面14は、該川底面4aの傾斜に合わせて傾斜されている。そして、該取水板部9の下側に、該取水板部9の有する前記フィルタ孔7を通して濾過された河川水を取水する前記取水空所10(
図4〜6)が設けられており、該上面33を河川水が流れている状態で、該取水空所10で河川水8が取水される如くなされている。
【0033】
又
図1〜2に示すように、前記水路2(河川2a)の他方の水路側縁13と、該取水板部9の前記他方の取水板部側縁12との間には、前記集水突出部15が、前記川底面4aで上方に突出する如く設けられている。該集水突出部15は本実施例においては、該他方の取水板部側縁12の全長に亘って、前記川底面5aに現場打ちコンクリートを打設して形成されている。そして本実施例においては、該集水突出部15の突出部上面16は、該他方の取水板部側縁12から前記他方の水路側縁13に向かって上方に傾斜する直線状の傾斜面17として形成されている。該傾斜面17の勾配は、前記河川2aの水位が一番低い時期(冬期等)を考慮して所要に設定する。この勾配の設定は、このように水位が一番低い場合であっても前記取水板部9の上面14に水を集中させることができ、該取水板部9上を流れる水の勢いによってゴミを流し去ることが可能となるように設定される。該取水板部9の上面14で、5cm程度は水深があるのが好ましい。本実施例においては、例えば3/100程度に設定される。従って本実施例においては、傾斜面上端39の前記川底面4aからの高さは60mm程度に設定される。本実施例においては、該集水突出部15の上流側の端部55と下流側の端部56は段差面57,59として形成されている。
【0034】
かかる構成の濾過取水装置1によるときは、例えば
図11に示すように、河川水8の水位が前記傾斜面上端39よりも高い場合は、前記取水板部9の上面14上を水が十分な水深で流れ、この状態で前記取水空所10で取水される。このような流れ状態にあっては、河川水に含まれているゴミがフィルタ孔7に引っ掛かる恐れがほとんどない。
【0035】
一方河川水8の水位変動によってその水位が下がった場合は、前記集水突出部15が堰板として機能して河川水8が堰上げされることになる。該集水突出部15の突出部上面16は前記のような直線状の傾斜面17として形成されているため、該堰上げの程度に応じて該直線状の傾斜面17に、堰上げされた河川水と接する水際線34が生じ、前記取水板部9の上面14を、該水際線34の高さに水面を有した状態で河川水が下流側に向けて流れる。
図12は、前記集水突出部15で堰上げされることによって、前記水際線34が前記傾斜面上端39に合致した状態を示している。この場合は、前記上面14における水面高さが前記傾斜面上端39に合致し、前記取水板部9の上面14での水深は例えば6cm程度である。
図13は、河川水の水位が更に下がって前記水際線34が該傾斜面上端39から多少下がった状態を示している。この場合における、前記取水板部9の上面14での水深は例えば5cm程度である。
図14は、河川水の水位が更に下がって前記水際線34がより下がった状態を示している。この場合における、前記取水板部9の上面14での水深は例えば4cm程度である。
【0036】
このように前記集水突出部15は、河川水を堰上げし且つ河川水の流れの幅を小さくして、前記取水板部9の上面14に河川水を集めるように作用するのである。
【0037】
かかることから、河川の水位が低くても、該取水板部9の上面14での水位を極力高く設定でき、該上面14における水の流れの勢いを所要に確保できるので、河川水8に含まれているゴミが前記フィルタ孔7に引っ掛かるのを極力防止しながら(即ち、フィルタ孔7が目詰まりするのを極力防止しながら)、取水を効果的に行い得ることとなる。
【0038】
もしも前記集水突出部15が設けられていないとすれば、河川水の水位が下がった場合は、河川水が河川幅の全体に分散してしまい、その結果、
図12、
図13、
図14に一点鎖線Lで示すように、前記上面14での水位が小さくなり、河川水8に含まれているゴミがフィルタ孔7に引っ掛かりやすくなってしまう。前記集水突出部15の直線状の傾斜面17は、前記のように、かかる問題点を解消するのである。
【実施例2】
【0039】
図15〜17は、本発明に係る濾過取水装置1の他の実施例を示すものであり、例えば河川2aとしての水路2の幅方向の中間部分で、前記と同様にして、川底面4a(水路の底面4)に、該河川2a(水路2)の上流側から下流側に向けて延長する取水部6が設けられている。該取水部6は、フィルタ孔7が設けられてなる取水板部9が、前記川底面4a(水路の底面4)と面一状態に設けられ、該取水板部9の下側に、該フィルタ孔7を通して濾過された水を取水する取水空所10が設けられてなり、
図18(A)(B)に示すように、該取水板部9上を水が流れている状態で、該取水空所10で取水される如くなされている。
【0040】
そして、前記取水板部9の一方の取水板部側縁11と、これと向き合う前記水路2の一方の水路側縁3との間に、及び、前記取水板部9の他方の取水板部側縁12と、これと向き合う前記水路2の他方の水路側縁13との間に、該一方の取水板部側縁11の全長に亘って、又、該他方の取水板部側縁12の全長に亘って、前記水路の底面4で上方に突出する如く、前記と同様構成の集水突出部15,15が設けられている。該集水突出部15,15の突出部上面16,16は、取水板部側縁11から水路側縁に向かって上に傾斜する直線状の傾斜面17,17に形成されている。
【0041】
かかる構成の濾過取水装置1によるときは、
図19に示すように、河川水8の水位が左右の前記傾斜面上端39,39よりも高い場合は、前記取水板部9の上面14を水が十分な水位で流れ、この状態で前記取水空所10で取水される。このような流れ状態にあっては、河川水に含まれているゴミが前記フィルタ孔7に引っ掛かる恐れがほとんどない。
【0042】
一方、河川水8の水位変動によってその水位が下がった場合は、前記と同様にして、前記集水突出部15,15は、河川水を堰上げし且つ河川水の流れの幅を小さくして、前記取水板部9の上面14に河川水を集めるように作用する。この作用は
図20〜
図22で説明されており、
図12〜
図14に基づいて説明したところと同様である。
図12〜14におけると同様部分には同一の付号を付している。かかることから、河川の水位が低くなっても、取水板部9の上面14上の水位を極力高く設定でき、該上面14における水の流れの勢いを所要に確保できる。従って、河川水に含まれているゴミが前記フィルタ孔7に引っ掛かるのを極力防止しながら(即ち、フィルタ孔7が目詰まりするのを防止しながら)、取水を効果的に行い得ることとなる。
【実施例3】
【0043】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0044】
(1)
図23、
図24〜25、
図26は、前記取水板部9の両側縁部分29,29を前記左右の支持片27,27にビス63で固定する際、該両側縁部分29,29の上面60,60上に押え板61,61を重ね合わせると共に、該押え板61の上面62側からビス63を螺合し締め付けることによって該押え板61と該側縁部分29と該支持片27とを一体化した状態を示している。このように押え板61を重ね合わせてビス固定することにより、該側縁部分29を該支持片27により安定状態で密着させることができ、該側縁部分29と該支持片27との当接部分の端部66を通してゴミが取水空所10内に流入するのを確実に防止できる。
【0045】
(2) 川底5aとしての水路底5に取水部6を設ける場合は、大水によって上流から流れてきた大きな石が取水板部9の上面14に載ってこれを損傷する恐れがある。これを防ぐために、例えば
図27に示すように、大水時には該取水板部9の上面14にステンレス板等の保護板67を着脱可能に被せるのがよい。該保護板67は例えば3mm厚さであり且つ前記取水板9と同幅寸法のステンレス板を以て形成されている。該保護板67を固定するに際しては、
図23における前記ビス63を取り外して前記押え板61を一旦取り外して後、
図27に示すように、該保護板67を前記取水板9の上面14に重ね合わせる。その後、取り外した前記押え板61を該保護板67の両側縁部分69,69の上面70,70に重ね合わせ、該押え板61の上面側からビス63を螺合し締め付けることによって該押え板61と該保護板67の側縁部分69と前記取水板9の側縁部分29とを一体化する。なお、取水可能時には該保護板を取り外す。
【0046】
(3) 本発明に係る濾過取水装置1は、水路幅が1m〜5mである水路に応用して好ましい。
図28は、水路幅が1m程度である小規模の水路に応用された場合を示すものであり、前記と同様構成の集水突出部15による、水を集める作用によって、前記取水板部9の上面14での水深が所要に確保された状態(例えば5cm程度に確保された状態)が示されている。
【0047】
(4)
図29、
図30においては、前記取水部6の周辺部分の川底面4a(水路の底面4)を、コンクリートを打設して平滑面71に形成してなり、該平滑面71と前記取水板部9の上面14とは面一状態に形成されている。本実施例においては、該平滑面71は、該取水板部9の上流端縁72から上流に向けて200cm程度延長されると共に、該取水板部9の下流端縁73から下流に向けて200cm程度延長されている。
【0048】
(5)
図1、
図15においては、前記集水突出部15の上流側の端部55と下流側の端部56が共に段差面57,59として形成されている。
図31は、前記集水突出部15の前記上流側の端部55と前記下流側の端部56に、上面75,76が川底面4a(水路の底面4)に向けて下方になだらかに傾斜する坂状傾斜面部77,79を連設した状態を示している。
図29、
図30において一点鎖線で囲んだ範囲が坂状傾斜面部77,79である。このように坂状傾斜面部77,79を設ける場合は、前記河川水が、集水突出部15の傾斜面17に静かに上昇できると共に該傾斜面17から川底面4a(水路の底面4)に向けて静かに流下できる。
【0049】
(6)
図32〜33は、前記取水部6の他の構成を示すものであり、該取水部6は、川底5aを掘削して形成した掘削空間部に、現場打ち施工によってコンクリート製の横断面U字状構造部80を形成した場合を示す。該U字状構造部80の上流側の端部とその下流側の端部は、端面板部81,81で覆われており、左右の側壁部82,82の上端面83,83の内側部分に嵌め入れ凹部85,85が形成されている。そして、該嵌め入れ凹部85,85に、例えばパンチング板からなる取水板部9の左右の側縁部分29,29が嵌め入れられ、該側縁部分29,29が該嵌め入れ凹部85,85の上面86,86にボルト固定されている。なお、該側縁部分29,29は、
図33(B)に示すように、前記と同様にして押え板61で押えられてもよい。これによって、該取水板部9の下側には、該取水板部9に設けられているフィルタ孔7を通して濾過された水を取水する取水空所10が設けられている。そして該取水空所10には、例えばその下流側の側壁部82aに、送水管35の端部89が連結される。
【0050】
前記U字状構造部80は、コンクリート製のU字状ブロックを、連結状態にして前記掘削空間部に敷設すると共に、その上流側の端部とその下流側の端部を、プレキャストコンクリート板からなり或いは現場打ち施工によって形成された端面板で覆うことによって形成することもできる。そして前記と同様にして、左右の側壁部の上端面の内側に欠切した嵌め入れ凹部に取水板部9の左右の側縁部分を嵌め入れ、該側縁部分を該嵌め入れ凹部の上面にビス固定することによって前記取水部6を構成できる。
【0051】
(7) 前記取水部6における取水量は、該取水部6の長さで確保するのがよい。
【0052】
(8)
図34は、河川2a(水路2)がカーブしている箇所で、該河川の幅方向の中間部分に取水部6を設けることによって濾過取水装置1を構成した場合を示している。この場合は、集水突出部15,15の上端縁54が湾曲する。
【0053】
(9) 本発明に係る濾過取水装置1において前記集水突出部15の前記突出部上面16は、取水板部側縁から水路側縁に向かって上方に傾斜する傾斜面17に形成されるものであるが、該集水突出部15が、水路水を堰上げし且つ水路水の流れの幅を小さくして前記取水板部9の上面14に水路水を集めるように作用できるものであれば、前記傾斜面17は、前記した直線状の傾斜面として構成されることの他、階段状を呈して全体として傾斜する傾斜面として構成されたり、凹面や突面からなる傾斜面や、これらの組み合わせからなる傾斜面として構成されてもよい。
【0054】
(10)取水部を構成する前記角筒状容体22は、
図35(A)(B)に示すように、ステンレス板等の金属板を折曲して構成した各種の構成部材90,90相互をボルト91、ナット92で固定して構成することもできる。