(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取り出し工程は、保持された前記タイヤ付き剛性中子をタイヤ回転軸の回りで回転させ、予め定めた同じ位置から中子セグメントを取り出す工程を含む請求項2記載のタイヤの製造方法。
前記中子セグメント取り出し・組立工程は、前記組立位置にセットされた前記コアをタイヤの回転軸の回りで回転させ、予め定めた同じ位置で中子セグメントを前記コアに装着する組立工程を含む請求項2又は3記載のタイヤの製造方法。
前記組立位置で組み立てられた剛性中子を前記生タイヤを成形する工程に戻す搬送工程を含むことによりタイヤを連続して製造することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のタイヤの製造方法。
前記タイヤ保持部は、前記セグメント取り出し部で取り出される中子セグメントのタイヤ半径方向外側に配置された前記トレッド押圧具のロッドの伸張量を、他のトレッド押圧具のロッドの伸張量よりも大とすることにより、前記取り出される中子セグメントをタイヤ半径方向内側に押し出す請求項10記載の剛性中子の取り出し装置。
前記セグメント取り出し部は、床面に固定された固定フレーム部と、該フレーム部に対して移動可能な可動部と、該可動部に設けられかつ前記中子セグメントのタイヤ半径方向の内周面に結合可能なチャック部とを有し、
前記可動部は、前記タイヤ保持部で保持された前記タイヤ付き剛性中子のタイヤ軸方向及びタイヤ半径方向に移動可能である請求項7乃至12のいずれかに記載の剛性中子の取り出し装置。
前記セグメント組み付け部は、床面に固定された固定フレーム部と、該フレーム部に対して移動可能な可動部と、該可動部に設けられかつ前記中子セグメントをそのタイヤ軸方向両側から挟むクランプ部とを有し、
前記可動部は、前記セグメント取り出し部で保持された前記セグメントのタイヤ軸方向及びタイヤ半径方向に移動可能である請求項7乃至14のいずれかに記載の剛性中子の取り出し装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、剛性中子aは重量物であり、かつ各中子セグメントcはボルトeによりコアdに固定されている。このため、加硫後のタイヤの内腔から各中子セグメントcを取り出し、各中子セグメントcをコアdに組み付けて、新たに剛性中子aを組み立てる作業は、作業員の多大な負担となっていた。
【0007】
そこで本発明は、加硫後のタイヤから剛性中子を取り出し、新たに剛性中子を組み立てることができ、作業者の負担を大幅に軽減し得る剛性中子の取り出し装置及びタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち、請求項1記載の発明は、タイヤを製造する方法であって、複数の中子セグメントをタイヤ周方向に連ねることによりタイヤ回転軸を含む中央孔を有した円環状をなす中子本体と、タイヤ軸方向の移動により前記中央孔に装着又は前記中央孔から抜き取り可能な円筒状のコアとを含み、しかも前記コアは、前記装着によりに前記各中子セグメントをタイヤ半径方向及びタイヤ周方向に固定する一方、前記抜き取りにより、前記中子セグメントをタイヤ半径方向内側に移動可能とした組立式の剛性中子の外側に生タイヤを成形する工程と、前記生タイヤを前記剛性中子と共に加硫成形してタイヤ付き剛性中子を得る工程と、前記タイヤ付き剛性中子から前記コアを抜き取って、該コアを組立位置にセットする工程と、前記コアが抜き取られた前記タイヤ付き剛性中子から、一つの中子セグメントをタイヤ半径方向内側に移動させることにより前記タイヤから取り出して、前記組立位置にセットされた前記コアに装着する中子セグメント取り出し・組立工程とを含み、前記中子セグメント取り出し・組立工程を、前記タイヤの中の全ての中子セグメントに対して行うことにより、前記タイヤから前記剛性中子を取り出しながら、前記組立位置に、新たな剛性中子を組み立てることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記中子セグメント取り出し・組立工程は、前記タイヤ付き剛性中子の前記タイヤのトレッド部をタイヤ半径方向外側から押圧して保持する工程と、取り出される中子セグメントのタイヤ半径方向外側に位置する前記トレッド部をタイヤ半径方向外側からタイヤ半径方向内側に向けて押すことにより、前記中子セグメントを取り出す取り出し工程とを含む請求項1記載のタイヤの製造方法である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記取り出し工程は、保持された前記タイヤ付き剛性中子をタイヤ回転軸の回りで回転させ、予め定めた同じ位置から中子セグメントを取り出す工程を含む請求項2記載のタイヤの製造方法である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記中子セグメント取り出し・組立工程は、前記組立位置にセットされた前記コアをタイヤの回転軸の回りで回転させ、予め定めた同じ位置で中子セグメントを前記コアに装着する組立工程を含む請求項2又は3記載のタイヤの製造方法である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記コアのタイヤ半径方向の外周面には、同一断面形状でタイヤ軸方向にのびる蟻溝又は蟻ほぞの一方からなる第1係合部が形成されており、前記各中子セグメントのタイヤ半径方向の内周面には、前記コアの第1係合部に係合する蟻溝又は蟻ほぞの他方からなる第2係合部が設けられており、前記保持されたタイヤ付き剛性中子及び前記組立位置にセットされたコアは、いずれもタイヤ回転軸が垂直な横置き状態である請求項2乃至4のいずれかに記載のタイヤの製造方法である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記組立位置で組み立てられた剛性中子を前記生タイヤを成形する工程に戻す搬送工程を含むことによりタイヤを連続して製造することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のタイヤの製造方法である。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、剛性中子と、その外側に形成された加硫済のタイヤとからなるタイヤ付き剛性中子から剛性中子を取り出すための装置であって、前記剛性中子は、複数の中子セグメントをタイヤ周方向に連ねることによりタイヤ回転軸を含む中央孔を有した円環状の中子本体と、タイヤ軸方向の移動により前記中央孔に装着又は前記中央孔から抜き取り可能な円筒状のコアとを含み、しかも前記コアは、前記装着によりに前記中子セグメントのタイヤ半径方向及びタイヤ周方向に固定する一方、前記抜き取りにより、前記中子セグメントをタイヤ半径方向内側に移動可能とする組立式のものであり、前記装置は、前記タイヤ付き剛性中子から前記コアを抜き取って保持するコア保持部と、前記コアが抜き取られたタイヤ付き剛性中子の前記タイヤのトレッド部をタイヤ半径方向外側から押圧して保持するタイヤ保持部と、前記タイヤ保持部で保持されているタイヤ付き剛性中子の前記中央孔に進入でき、かつ、該中央孔から一つの中子セグメントと結合し、しかも該中子セグメントをタイヤから半径方向内側に引くことにより前記タイヤから取り出すセグメント取り出し部と、前記セグメント取り出し部から前記中子セグメントを受け取り、かつ、前記コア保持部で保持されている前記コアに、該中子セグメントを装着するセグメント組み付け部とを有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、前記コアのタイヤ半径方向の外周面には、同一断面形状でタイヤ軸方向にのびる蟻溝又は蟻ほぞの一方からなる第1係合部が形成されており、前記各中子セグメントの前記内周面には、前記コアの第1係合部に係合する蟻溝又は蟻ほぞの他方からなる第2係合部が設けられており、前記コア保持部で保持されたコアは、タイヤ回転軸が垂直な横置き状態である請求項7記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、前記タイヤ保持部は、前記コアが抜き取られたタイヤ付き剛性中子を昇降可能に保持する請求項7又は8に記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、前記タイヤ保持部は、タイヤ回転軸が垂直となる横置き状態の前記タイヤ付き剛性中子の前記トレッド部を押圧するためのトレッド押圧具を含み、前記トレッド押圧具は、前記タイヤ付き剛性中子のタイヤ周方向に複数個配置され、前記各トレッド押圧具は、タイヤ半径方向に伸縮自在なロッドを有するアクチュエータと、該アクチュエータの前記ロッドに固着されかつ前記タイヤ付き剛性中子の前記トレッド部と接触するパッドとを具えている請求項7乃至9のいずれかに記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、前記タイヤ保持部は、前記セグメント取り出し部で取り出される中子セグメントのタイヤ半径方向外側に配置された前記トレッド押圧具のロッドの伸張量を、他のトレッド押圧具のロッドの伸張量よりも大とすることにより、前記取り出される中子セグメントをタイヤ半径方向内側に押し出す請求項10記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0019】
また、請求項12記載の発明は、前記タイヤ保持部は、前記タイヤ付き剛性中子の外径よりも大きい内径を有しかつタイヤ回転軸の回りに回転可能な環状フレーム部を有し、前記トレッド押圧具は、前記環状フレーム部に配されており、前記タイヤ付き剛性中子を前記環状フレーム部とともに回転させ、予め定めた同じ位置から前記中子セグメントを取り出す請求項10又は11に記載の
剛性中子の取り出し装置である。
【0020】
また、請求項13記載の発明は、前記セグメント取り出し部は、床面に固定された固定フレーム部と、該フレーム部に対して移動可能な可動部と、該可動部に設けられかつ前記中子セグメントのタイヤ半径方向の内周面に結合可能なチャック部とを有し、前記可動部は、前記タイヤ保持部で保持された前記タイヤ付き剛性中子のタイヤ軸方向及びタイヤ半径方向に移動可能である請求項7乃至12のいずれかに記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0021】
また、請求項14記載の発明は、前記中子セグメントの前記内周面には、タイヤ半径方向外側に凹む孔が設けられ、前記チャック部は、前記孔に挿入可能であり、かつ、前記孔と固着及び解除可能な結合手段を具えている請求項13に記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0022】
また、請求項15記載の発明は、前記セグメント組み付け部は、床面に固定された固定フレーム部と、該フレーム部に対して移動可能な可動部と、該可動部に設けられかつ前記中子セグメントをそのタイヤ軸方向両側から挟むクランプ部とを有し、前記可動部は、前記セグメント取り出し部で保持された前記セグメントのタイヤ軸方向及びタイヤ半径方向に移動可能である請求項7乃至14のいずれかに記載の剛性中子の取り出し装置である。
【0023】
また、請求項16記載の発明は、前記中子セグメントのタイヤ軸方向の外側を向く両側の側面には、前記クランプ部が挿入可能な差込孔が設けられている請求項15に記載の剛性中子の取り出し装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明のタイヤの製造方法によれば、組立式のタイヤ付き剛性中子から、コアを抜き取り、組立位置にセットする工程と、コアが抜き取られたタイヤ付き剛性中子から、一つの中子セグメントをタイヤ半径方向内側に移動させることによりタイヤから取り出して、コアに装着する中子セグメント取り出し・組立工程とを含み、中子セグメント取り出し・組立工程が、タイヤの中の全ての中子セグメントに対して行われる。従って、タイヤから剛性中子を取り出しながら、組立位置に新たな剛性中子を組み立てることができる。このため、作業者の負担が大幅に軽減する。
【0025】
また、本発明の剛性中子の取り出し装置によれば、組立式のタイヤ付き剛性中子から、コアを抜き取って保持するコア保持部と、コアが抜き取られたタイヤ付き剛性中子を保持するタイヤ保持部と、タイヤ保持部で保持されているタイヤから中子セグメントを取り出すセグメント取り出し部と、セグメント取り出し部から中子セグメントを受け取り、コアに中子セグメントを装着するセグメント組み付け部とを有する。従って、タイヤから剛性中子を取り出しながら、組立位置に新たな剛性中子を組み立てることができる。このため、作業者の負担が大幅に軽減する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本実施形態の剛性中子2の取り出し装置1の一部が拡大された平面図が示され、
図2には、
図1の取り出し装置1の概略側面図が示され、
図3には、取り出し装置1の概略正面図が示されている。
【0028】
図1乃至
図3に示されるように、装置1は、タイヤ付き剛性中子GのタイヤTから剛性中子2を取り出す取り出し装置である。タイヤ付き剛性中子Gは、剛性中子2と、剛性中子2の外側に形成された加硫済のタイヤTとを含む。
【0029】
図4(A)の断面図及び
図4(B)の斜視図に示されるように、剛性中子2は、複数の中子セグメント3をタイヤ周方向に連ねて形成される中子本体4と、円筒状のコア5とを含んでいる。このような剛性中子2は、タイヤTの内腔面T1を加硫成形する外表面2aを有する。
【0030】
中子本体4は、タイヤ回転軸Cを含む中央孔2bを有する円環状である。また、コア5は、タイヤ軸方向の移動により、中央孔2bに装着又は中央孔2bから抜き取り可能である。
【0031】
本実施形態の剛性中子2は、10個の中子セグメント3とコア5とからなり、組立式である。中子セグメント3は、コア5に装着されることにより、タイヤ半径方向及びタイヤ周方向に固定される。一方、タイヤTの内腔内にある剛性中子2において、コア5が抜き取られると、中子セグメント3は、タイヤTの半径方向内側へ順に移動可能である。
【0032】
図4(B)に示されるように、コア5は、外周面に形成された第1係合部5aを含んでいる。該第1係合部5aは、例えば、タイヤ軸方向に同一断面形状でのびる蟻溝又は蟻ほぞの一方からなる。また、各中子セグメント3は、内周面に設けられた第2係合部3aを含んでいる。該第2係合部3aは、例えば、コア5の第1係合部5aに係合する蟻溝又は蟻ほぞの他方からなる。
【0033】
また、中子セグメント3は、その内周面に、タイヤ半径方向外側に凹む孔3bが形成されている。該孔3bは、第2係合部3aのタイヤ半径方向外側に凹んだ内周面又はタイヤ半径方向内側に突出した内周面に形成される。本実施形態の第2係合部3aは蟻ほぞであり、孔3bは、蟻ほぞの半径方向内側面に形成されている。なお、孔3bは、蟻ほぞの半径方向内側面であって、タイヤ軸方向のいずれか一方に偏った位置に形成されるのが好ましい。
【0034】
図4(A)に示されるように、各中子セグメント3は、そのタイヤ軸方向の外側を向く両側面に、例えば、予め設定された径を有する少なくとも2個の差込孔3cが夫々形成されている。該差込孔3cは、各中子セグメント3の周方向に沿って、各中子セグメント3の半径方向内端部3dに並べて形成される。ここで、前記半径方向の内端部3dとは、中子セグメント3のタイヤ軸方向の外側を向く両側面のうち、タイヤTで覆われない側面である。なお、差込孔3cは、中子セグメント3を貫通しない深さで形成される。
【0035】
図4(B)に示されるように、本実施形態の中子セグメント3は、セグメント3Aと、該セグメント3Aよりも外周面の周方向の長さが短いセグメント3Bとが用いられる。これらセグメント3A及び3Bは、タイヤ周方向に交互に配され、中子本体4を形成するのが好ましい。セグメント3A及び3Bは、内周面の周方向の長さが等しい。このため、タイヤ付き剛性中子Gから各中子セグメント3を取り出す場合、まず外周面の周方向の長さが短い1つのセグメント3Bが、タイヤ半径方向内側に取り出される。この後、他の中子セグメント3をタイヤ半径方向内側に取り出すことができる。
【0036】
図4(A)又は
図4(B)に示されるように、剛性中子2には、コア5のタイヤ軸方向の両側に、一対の側板6、6が配される。各側板6は、各中子セグメント3に係合する係合部6aを有する。該側板6により、各中子セグメント3は、タイヤ軸方向への移動が阻止される。
【0037】
図4(A)に示されるように、一対の側板6は、一方の側板6がコア5に、例えば、ボルトにより固着される。また、他方の側板6は、例えば、コア5の内周面を周方向にのびる凹溝5bに出没可能な係合手段7を有し、コア5に着脱自在に設けられている。
【0038】
また、各側板6は、例えば、タイヤ軸方向の外側面に、接続部(詳細は後述する)17が着脱可能に接続される被接続部8が形成されている。該被接続部8は、各側板6のタイヤ軸方向の外側面に形成された円筒状の開口部8aと、該開口部8aの内周面を周方向にのびる凹溝8bとから形成される。
【0039】
このような剛性中子2(より具体的には中子本体4)は、その外表面に、例えば、インナーライナ、カーカスプライ、ベルトプライ、サイドウォールゴム、トレッドゴム等のタイヤを構成するゴム部材が貼り付けられて、生タイヤが形成される。該生タイヤを、剛性中子2とともに加硫機(図示省略)に投入してタイヤが加硫成形され、タイヤ付き剛性中子Gを得ることができる。
【0040】
図1又は
図2に示されるように、装置1は、タイヤ付き剛性中子Gからコア5を抜き取って保持するコア保持部10と、コア5が抜き取られたタイヤ付き剛性中子Gを保持するタイヤ保持部11と、タイヤ保持部11で保持されているタイヤ付き剛性中子GのタイヤTから中子セグメント3を取り出すセグメント取り出し部12と、コア保持部10で保持されているコア5に中子セグメント3を装着するセグメント組み付け部13とを有する。
【0041】
図1に示されるように、本実施形態の装置1は、さらに、剛性中子2を移載する移載機14と、剛性中子2の外表面にゴム部材を貼り付けて生タイヤを成形する成形機15とを有する。ここで、水平方向に沿ったコア保持部10の移動方向を前後方向Xとし、該前後方向Xと直交する水平方向を左右方向Yとする。また、前後方向X及び左右方向Yに直交する垂直な方向を垂直方向Zとする。
【0042】
図5に示されるように、移載機14は、一方の側板6の被接続部8に接続しうる接続部17を具えている。移載機14は、一対のレール14aに沿って左右方向Yに移動可能である。移載機14は、適宜の傾動手段を有し、接続部17を前後方向Xに沿った水平軸回りに傾動可能である。このため、接続部17に接続された剛性中子2を、タイヤ回転軸Cが水平方向に沿った縦置きの状態と、タイヤ回転軸Cが垂直方向Zに沿った横置きの状態とに傾動可能である。
【0043】
図4(A)に示したように、接続部17は、例えば、被接続部8の開口部8aに挿入可能な軸部17aと、該軸部17aの外周面から出没可能に設けられた球体17bと、球体17bを軸部17aの外周面から出没させる適宜のシリンダ装置(図示省略)等を含んでいる。接続部17はさらに、他方の側板6の係合手段7を作動させる作動手段17cを含んでいる。
【0044】
図5に示されるように、移載機14は、例えば、タイヤ付き剛性中子Gを横置きの状態でコア保持部10に移載する。また、移載機14は、タイヤ付き剛性中子Gをコア保持部10に移載する際に、接続部17の作動手段17cを作動し、タイヤ付き剛性中子Gから他方の側板6を取り外す。
図5に示されるように、移載機14は、取り外した他方の側板6を保持する。
【0045】
図1に仮想線で示されるように、移載機14は、例えば、タイヤ付き剛性中子GのタイヤTから取り出された剛性中子2をコア保持部10から受け取って成形機15に移載する。このとき、剛性中子2は、縦置きの状態で移載される。
図5に示されるように、移載機14は、コア保持部10から剛性中子2を受け取る際、作動手段17cを作動させ、接続部17により他方の側板6を中子本体4に組み付け、剛性中子2として保持する。
【0046】
図7に示されるように、コア保持部10は、接続部18と、該接続部18を昇降する第1昇降手段19と、接続部18を回転する回転手段24とを含んでいる。また、
図5に示されるように、コア保持部10は、剛性中子2の中子本体4を保持する中子本体保持部20と、中子本体保持部20を昇降する第2昇降手段21とを含んでいる。接続部18は、一方の側板6の被接続部8に下方から接続しうる。回転手段24は、接続部18を垂直方向Zの軸線回りに回転させる。
【0047】
図7に示されるように、第1昇降手段19は、接続部18の底部を支持するテーブル19aと、該テーブル19aを昇降する左右一対の第1シリンダ装置19bと、第1シリンダ
装置19bを支持する支持部を昇降する第2シリンダ装置19cとを含んでいる。
【0048】
また、
図5に示されるように、第2昇降手段21は、中子本体保持部20の底部に固着された支持体21aと、該支持体21aを前後一対の支柱に沿って昇降するジャッキ部21bとを含んでいる。
【0049】
コア保持部10の接続部18は、移載機14の接続部17と同様の構成を有する。このため、ここではその説明が省略される。
図5又は
図6に示されるように、中子本体
保持部20は、円筒状の支持体20aと、該支持体20aと第2昇降手段21の支持体21aとを連結する連結部20bとからなる。このような中子本体保持部20は、支持体20aにより、横置きされた中子本体4の側面を下方から保持する。接続部18は、第1昇降手段19に昇降され、中子本体保持部20は、第2昇降手段21に昇降される。即ち、接続部18と中子本体
保持部20とは、各々独立して昇降させることができる。
【0050】
図7に示されるように、コア保持部10は、スライド手段22により前後方向Xに移動される。スライド手段22は、前後方向Xにのびるレール22aと、コア保持部10の底部に固着されかつレール22aに摺動可能なスライド軸受22bと、該レール22aに沿ってコア保持部10を走行させる駆動部23とを含んでいる。
【0051】
駆動部23は、例えば、レール22aに沿って前後方向Xにのびるねじ軸23aと、コア保持部10の底部に固着された軸受ナット23bと、ねじ軸23aを回転駆動するモータ(図示省略)等を含んでいる。駆動部23は、コア保持部10を、レール22aの予め設定された位置に停止させる。
【0052】
図1に示されるように、駆動部23は、コア保持部10を、例えば、移載位置P1と、ばらし位置P2と、組立位置P3とに停止させる。移載位置P1は、例えば、コア保持部10が移載機
14との間でタイヤ付き剛性中子Gの移載を行う位置である。ばらし位置P2は、コア保持部10がタイヤ保持部11にタイヤ付き剛性中子Gを受け渡す位置である。組立位置P3は、コア保持部10がセグメント組み付け部13から中子セグメント3を受け取って中子本体4が組み立てられる位置である。
【0053】
図5に示されるように、コア保持部10は、例えば、移載位置P1において、まず、一方の側板6の被接続部8に接続部18を接続し、移載機14からタイヤ付き剛性中子Gを受け取ることができる。
【0054】
図6に示されるように、コア保持部10は、レール22a上を前後方向Xに移動され、タイヤ付き剛性中子Gをばらし位置P2に搬送する。
図7に示されるように、コア保持部10は、ばらし位置P2において、第1昇降手段19及び第2昇降手段21により、タイヤ付き剛性中子Gを上昇させ、タイヤ保持部11にタイヤ付き剛性中子Gを保持させる。この後、コア保持部10は、第1昇降手段19により接続部18を下降し、タイヤ付き剛性中子Gから一方の側板6とともにコア5を抜き取る。
【0055】
コア保持部10は、中子本体
保持部20が下降した後、レール22a上を前後方向Xに移動し、コア5を組立位置P3に搬送する。
図8に示されるように、コア保持部10は、組立位置P3において、第1昇降手段19によりコア5を上昇させる。また、コア保持部10は、コア5を回転させる。これにより、コア保持部10は、セグメント組み付け部13から中子セグメント3を順次受け取る。コア保持部10は、剛性中子2が組み立てられた後、移載位置P1に移動し、
図5に示されるように、移載機14に剛性中子2を受け渡す。
【0056】
図6又は
図7に示されるように、タイヤ保持部11は、例えば、コア保持部10が保持するタイヤ付き剛性中子GのタイヤTのトレッド部tを、タイヤ半径方向外側から押圧してタイヤ付き剛性中子Gを保持する。
【0057】
本実施形態のタイヤ保持部11は、スライド手段27により前後方向Xに移動可能に設けられている。
図7に示されるように、該スライド手段27は、前後方向Xにのびるレール27aと、タイヤ保持部11の底部に固着されかつレール27aに摺動可能なスライド軸受27bと、タイヤ保持部11をレール27aに沿って移動させる適宜の駆動部(図示省略)とを含んでいる。
【0058】
図9に示されるように、タイヤ保持部11は、スライド軸受27bが固着されたフレームから立設された複数のシリンダ装置28と、該シリンダ装置28の上端部を前後左右に連結する枠状のフレーム29と、該フレーム29上に配された環状フレーム部30と、該環状フレーム部30に設けられた複数のトレッド押圧具31とを含んでいる。
【0059】
図7又は
図9に示されるように、タイヤ保持部11は、各々のレール27a上に2つのシリンダ装置28を含んでいる。
図6に示されるように、フレーム29は、これらシリンダ装置28の外端部を連結するように矩形状に形成されている。該フレーム29の上面には、環状フレーム部30を支持するレール29aが配されている。
【0060】
環状フレーム部30は、環状プレート30Pと、その下面に固着された環状スライド軸受30aとを含んでいる。該環状プレート30Pは、タイヤ付き剛性中子Gの外径よりも大きな内径を有している。また、環状スライド軸受30aは、円弧状のレール29aに沿って摺動可能である。また、本実施形態の環状フレーム部30は、環状プレート30Pを回転する駆動部30bと、環状プレート30Pの回転を固定するロック部30cとを含んでいる。このため、環状フレーム部30は、環状プレート30Pを垂直方向Zの軸心回りに回転可能である。なお、駆動部30bは、例えば、環状プレート30Pの外周面に接する回転ローラを含み、該回転ローラの回転に伴って、環状プレート30Pが回転される。
【0061】
トレッド押圧具31は、例えば、環状プレート30Pの上部に、予め設定された間隔で放射状に複数個配置されている。トレッド押圧具31は、横置き状態のタイヤ付き剛性中子Gのトレッド部tを外側から押圧して保持する。本実施形態では、環状フレーム部30の環状プレート30Pに等角度間隔で10個のトレッド押圧具31が配置された場合が示される。
【0062】
各トレッド押圧具31は、タイヤ半径方向に伸縮自在なロッド32を有するアクチュエータ33と、該アクチュエータ33のロッド32に固着されかつタイヤ付き剛性中子Gのトレッド部tと接触するパッド34とを具えている。該アクチュエータ33は、各トレッド押圧具31に連接されたモータ33a(
図6に示す)により駆動される。
【0063】
図9に示されるように、各トレッド押圧具31は、ロッド32の伸長量を変化させ得る。本実施形態のロッド32の伸長量は、タイヤ付き剛性中子Gのトレッド部tを押圧する押圧時の伸長量と、押圧時の伸長量よりも大きく、トレッド部tを介して中子セグメント3をタイヤ半径方向内側に押し出す押出時の伸長量とに調節可能である。
【0064】
タイヤ保持部11は、環状フレーム部30の環状プレート30Pを回転させることにより、タイヤ付き剛性中子Gを回転させる。これにより、セグメント取り出し部12は、各中子セグメント3を予め定めた同じ位置から取り出すことができる。
【0065】
図7又は
図9に示されるように、セグメント取り出し部12は、床面に固定された固定フレーム部37と、該フレーム部37に対して前後方向Xに移動可能な可動部38と、各中子セグメント3のタイヤ半径方向の内周面に設けられた孔3bに結合可能なチャック部39とを有している。該チャック部39は、可動部38の下端側に設けられている。
【0066】
図11に示されるように、チャック部39は、例えば、各中子セグメント3のない周面に設けられた孔3bと固着及び解除可能な結合手段39aを具えている。より具体的には、結合手段39aは、孔3bに挿入可能な軸部39bと、該軸部39bの外周面に配された球体39cと、該球体39cを孔3bの内周面に周方向に沿って形成された溝部に出没する出没手段(図示省略)とを含んでいる。
【0067】
図3又は
図7に示されるように、フレーム部37は、例えば、コア保持部10及びタイヤ保持部11を左右方向Yに跨いで床面から立設する前後一対の門状のフレーム37aを含んでいる。また、
図1に示されるように、フレーム
部37は、フレーム37a間を前後方向Xに連結する左右一対の上部フレーム37bを含んでいる。
【0068】
図9又は
図10に示されるように、可動部38は、スライド手段40により前後方向Xに移動可能に設けられる。本実施形態の可動部38は、スライド手段40により、ばらし位置P2と組立位置P3との間を前後方向Xに移動可能である。
【0069】
図7、
図9又は
図10に示されるように、スライド手段40は、フレーム部37に固着された左右一対のレール部材40aと、該レール部材40aに係合するスライド軸受40bとを含んでいる。可動部38は、該スライド手段40を介して、フレーム部37に支持される。スライド手段40はさらに、レール部材40aに沿って可動部38を前後方向Xに移動する適宜のねじ軸(図示省略)と、該ねじ軸に回り止めされた軸受ナット(図示省略)と、ねじ軸を回転するモータ(図示省略)とを含んでいる。
【0070】
図9又は
図10に示されるように、本実施形態の可動部38は、上端部がスライド手段40に固着された昇降手段41と、該昇降手段41に昇降自在に支持された支持部42とを含んでいる。
【0071】
昇降手段41は、例えば、垂直方向Zにのびるねじ軸41aと、支持部42に連結されるとともにねじ軸41aに回り止めされた軸受ナット41bとを含む。支持部42は、例えば、垂直方向Zにのびる板状の部材である。該支持部42は、前後方向Xに対向する一方の面に、軸受ナット41bが連結され、他方の面の下端部に、チャック部39が設けられている。
【0072】
図9に示されるように、セグメント取り出し部12は、ばらし位置P2において、昇降手段41によりチャック部39を下降させ、チャック部39を、剛性中子2の中央孔2bからタイヤ付き剛性中子Gの中子本体4の中子セグメント3の孔3bと対向する位置へと進入させる。次に、セグメント取り出し部12は、スライド手段40により可動部38を前後方向Xに沿って移動し、中子本体4に対してタイヤ半径外側に移動する。これにより、チャック部39は、中子セグメント3の孔3bへと挿入される。次に、チャック部39を作動させ、セグメント取り出し部12と中子セグメント3とを結合する。この後、セグメント取り出し部12は、スライド手段40により、可動部38の前後方向Xの移動により、タイヤ半径方向内側に移動する。これにより、
図9に仮想線で示されるように、チャック部39と結合された中子セグメント3がタイヤTから取り出しされる。
【0073】
取り出された中子セグメント3は、昇降手段41により上昇された後、スライド手段40により組立位置P3へと搬送される。
【0074】
図8又は
図10に示されるように、セグメント組み付け部13は、レール部材40aに沿って移動可能な可動部45と、該可動部45に設けられたクランプ部46とを有している。
【0075】
本実施形態のセグメント組み付け部13は、例えば、レール部材40aに係合するスライド軸受47aを含むスライド手段47を有している。スライド手段47は、レール部材40aに沿って可動部45を前後方向Xに移動する適宜のねじ軸(図示省略)と、該ねじ軸に回り止めされた軸受ナット(図示省略)と、ねじ軸を回転するモータ(図示省略)とを含んでいる。
【0076】
可動部45は、スライド手段47を介してレール部材40aに支持される。即ち、可動部45は、スライド手段47により、レール部材40aに沿って前後方向Xに移動可能に設けられる。
図10に示されるように、スライド手段40とスライド手段47とは、レール部材40aを共有している。このため、スライド手段47のねじ軸は、スライド手段40のねじ軸と前後方向Xに突き合わされている。また、スライド手段47の軸受ナットは、可動部45に連結されている。
【0077】
クランプ部46は、可動部45に連結された上下一対のクランプ具49と、該クランプ具49を作動させるクランプ手段48とを含んでいる。該クランプ手段48は、垂直方向Zにのびかつ上下の中間位置でねじの方向が異なるねじ軸48a1、48a2と、各クランプ具49に連結されかつ各々ねじ軸48a1、48a2の上下に分けて回り止めされた上下一対の軸受ナット48bとを含んでいる。
【0078】
図11に示されるように、各クランプ具49は、例えば、軸受ナット48bから前後方向Xにのびる水平部材49aと、該水平部材49aの先端に形成された少なくとも左右一対の突出部49bとを含んでいる。該突出部49bは、各々対向するように垂直方向Zに沿って内側にのび、各中子セグメント3の差込孔3cに挿入可能である。
【0079】
図10に示されるように、セグメント組み付け部13は、例えば、組立位置P3において、クランプ部46により、チャック部39に保持されている中子セグメント3をタイヤ半径方向外側から近づきかつタイヤ軸方向両側から挟持することができる。この後、セグメント取り出し部12は、チャック部39による中子セグメント3の結合を解除し、スライド手段40により可動部38を前後方向Xのばらし位置P2側に移動させる。これにより、セグメント取り出し部12からセグメント組み付け部13に中子セグメント3が受け渡される。
【0080】
図8に示されるように、中子セグメント3を挟持したセグメント組み付け部13は、組立位置P3に待機する。組立位置P3では、セグメント組み付け部13で挟持された中子セグメント3に対して、コア保持部10の第1昇降手段19によりコア5が上昇される。中子セグメント3とコア5とは同心となるように予め位置合わせされている。これにより、第1係合部5a及び第2係合部3aを互いに係合させて、コア5に中子セグメント3が組み付けられる。コア5に中子セグメント3が組み付けられた後、セグメント組み付け部13は、クランプ手段48による中子セグメント3の挟持を解除し、スライド手段47により、組立位置P3から移載位置P1側(
図8において、右側)に移動する。この後、コア保持部10は、第1昇降手段19によりコア5を下降させる。
【0081】
図1に示されるように、本実施形態の装置1によれば、タイヤ付き剛性中子Gから、コア5を抜き取って保持するコア保持部10と、コア5が抜き取られたタイヤ付き剛性中子Gを保持するタイヤ保持部11と、タイヤ保持部11で保持されているタイヤTから中子セグメント3を取り出すセグメント取り出し部12と、セグメント取り出し部12から中子セグメント3を受け取り、コア5に中子セグメント3を装着するセグメント組み付け部13とを有する。従って、タイヤ付き剛性中子GのタイヤTから剛性中子2を取り出しながら、組立位置P3に新たな剛性中子2を組み立てることができる。このため、作業者の負担が大幅に軽減する。
【0082】
以上のように構成された装置1を用いたタイヤの製造方法は次の通りである。
図12乃至
図15には、本実施形態のタイヤの製造方法を説明するフローチャートが示される。
図12に示されるように、本実施形態の製造方法では、まず、剛性中子2の外側に生タイヤを成形する工程S1が実施される。工程S1では、剛性中子2の外表面に、インナーライナや、カーカスプライ等のタイヤ構成部材が順次貼り付けられ、生タイヤが形成される。
【0083】
次に、前記生タイヤを剛性中子2と共に加硫成形してタイヤ付き剛性中子Gを得る工程S2が実施される。そして、生タイヤが加硫成形され、タイヤ付き剛性中子Gが形成される。
【0084】
次に、タイヤ付き剛性中子Gからコア5を抜き取って、該コア5を組立位置P3にセットする工程S3が実施される。ここでは、コア5は一方の側板
6と一体である。
【0085】
工程S3の詳細は、
図13に示される。工程S3では、まず、工程S2で得られたタイヤ付き剛性中子Gが、例えば、搬送台車(図示省略)により移載機14に搬送される。
【0086】
移載機14は、受け取ったタイヤ付き剛性中子Gを移載位置P1に移動し、この移載
位置P1でタイヤ付き剛性中子Gを横置きの状態でコア保持部10に移載する(S3−1)。このとき、
移載機14は、タイヤ付き剛性中子Gから他方の側板6を取り外す。
【0087】
タイヤ保持部11は、ばらし位置P2に移動する(S3−2)。このとき、タイヤ保持部11は、シリンダ装置28により、フレーム29を最も高い位置に上昇させている(
図7に示す)。
【0088】
コア保持部10は、タイヤ付き剛性中子Gを保持したまま、駆動部23により、ばらし位置P2に移動する(S3−3)。このとき、コア保持部10は、例えば、第1昇降手段19により接続部18を下降し、第2昇降手段21により中子本体保持部20を下降し、これら接続部18及び中子本体保持部20によりタイヤ付き剛性中子Gを最も低い位置で保持する。よって、タイヤ保持部11とコア保持部10又はタイヤ付き剛性中子Gとが接触されることなく、コア保持部10及びタイヤ保持部11は、ばらし位置P2に同心の状態に移動できる。
【0089】
コア保持部10及びタイヤ保持部11がばらし位置P2に移動した後、コア保持部10は、第1昇降手段19により接続部18を上昇させるとともに、第2昇降手段21により中子本体保持部20を上昇させる。これにより、タイヤ付き剛性中子Gが上昇する(S3−4)。
【0090】
この後、コア5が抜き取られたタイヤ付き剛性中子Gから、一つの中子セグメント3をタイヤ半径方向内側に移動させることによりタイヤTから取り出して、組立位置P3にセットされたコア5に装着する中子セグメント取り出し・組立工程S4が開始される。
【0091】
工程S4の詳細は、
図14に示される。工程S4では、まず、コア保持部10により上昇されたタイヤ付き剛性中子GのタイヤTのトレッド部tが、トレッド押圧具31によりタイヤ半径方向外側から押圧される。これにより、タイヤ付き剛性中子Gがタイヤ保持部11で保持される(S4−1)。このとき、予め、駆動部30bにより環状フレーム部30の環状プレート30Pをが回転され、タイヤ付き剛性中子Gの各中子セグメント3の位置に応じた、各トレッド押圧具31の位置が調節されるのが好ましい。各トレッド押圧具31の位置が調節されることにより、各トレッド押圧具31は、タイヤ付き剛性中子GのタイヤTのトレッド部tを介して各中子セグメント3を押圧できる。
【0092】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ保持部11は、予め設定されたトレッド押圧具31を、環状フレーム部30の中心を通る前後方向Xに沿った線上に停止させる。また、コア保持部10は、予め設定された中子セグメント3の中心線が、前記前後方向Xに沿った線に一致するように、接続部18によりタイヤ付き剛性中子Gを回転させる。タイヤ保持部11は、トレッド押圧具31の位置を調節した後、ロック部30cにより環状フレーム部30の環状プレートの回転をロックしてもよい。
【0093】
図13に示されるように、工程S3−5では、タイヤ保持部11がタイヤ付き剛性中子Gを保持した後、コア保持部10は、第1昇降手段19により接続部18を下降させる。タイヤ付き剛性中子Gは、タイヤ保持部1
1及び中子本体
保持部20により上昇されているので、コア保持部10は、接続部18の下降にともない、タイヤ付き剛性中子Gから一方の側板6とともにコア5を抜き取ることができる。このとき、中子本体
保持部20は、剛性中子Gを下から支え、コア5の抜き取りが安定して行われる。
【0094】
コア5を抜き取ったコア保持部10は、第2昇降手段21により中子本体
保持部20を下降させる。そして、接続部18及び中子本体
保持部20を最も低い位置に下降した状態で組立位置P3に移動する(S3−6)。
【0095】
図14に示されるように、コア保持部10がばらし位置P2から移動した後、タイヤ付き剛性中子Gを保持したタイヤ保持部11は、シリンダ装置28によりフレーム29を下降させる。これにより、タイヤ付き剛性中子Gが下降する(S4−2)。
【0096】
タイヤ付き剛性中子Gが下降した後、セグメント取り出し部12は、スライド手段40により可動部38をばらし位置P2に移動させる(S4−3)。
【0097】
次に、セグメント取り出し部12は、昇降手段41により支持部42を下降させ、チャック部39の軸部39bと中子セグメント3の孔3bとの垂直方向Zの位置を一致させる(S4−4)。このとき、任意の中子セグメント3の中心線は、環状フレーム部30の中心を通る前後方向Xに沿った線上に一致する。このため、軸部39bと孔3bとは、垂直方向Zの位置を一致させることにより対向する。
【0098】
セグメント取り出し部12は、チャック部39の軸部39bと中子セグメント3の孔3bとが対向したことを確認すると、スライド手段40により可動部38を前後方向Xに沿って軸部39bを孔3bに挿入する側に移動させる(S4−5)。チャック部39は、軸部39bが孔3bに挿入された後、孔3bの溝部に球体39cを突出させる。これにより、チャック部39は、中子セグメント3と一体に固着される。
【0099】
次に、取り出される中子セグメント3のタイヤ半径方向外側に位置するトレッド部tをタイヤ半径方向外側からタイヤ半径方向内側に向けて押すことにより、中子セグメント3を取り出す取り出し工程S4−6が実施される。本実施形態では、タイヤ保持部11は、チャック部39が係合する中子セグメント3を押圧するトレッド押圧具31のロッド32をさらに伸長させる。これにより、中子セグメント3がタイヤ半径方向内側に押し出される。これに関連して、セグメント取り出し部12は、スライド手段40により可動部38を前後方向Xに沿ってタイヤ半径方向内側に移動させる。これにより、中子セグメント3がタイヤ付き剛性中子Gから取り出す方向に移動する。よって、タイヤ付き剛性中子GのタイヤTから中子セグメント3が取り出される。
【0100】
セグメント取り出し部12は、タイヤ半径方向内側に中子セグメント3が取り出されたことを確認すると、昇降手段41により中子セグメント3を上昇させる。次に、スライド手段40により可動部38を組立位置P3に移動させる。これにより、中子セグメント3が組立位置P3に移動する(S4−7)。
【0101】
セグメント取り出し部12は、組立位置P3において、中子セグメント3をセグメント組み付け部13に受け渡す(S4−8)。具体的には、セグメント組み付け部13は、組立位置P3において、クランプ部46のクランプ具49を上下に大きく離して待機する。セグメント取り出し部12は、可動部38を組立位置P3に移動させることにより、該クランプ具49の間に中子セグメント3を位置させる。即ち、中子セグメント3は、クランプ具49の間にタイヤ半径方向の外側から進入する。セグメント組み付け部13は、中子セグメント3が組立位置P3にあることを確認すると、一対のクランプ具49を互いに接近させる。これにより、各クランプ具49の突出部49bが中子セグメント3の差込孔3cに挿入され、中子セグメント3を挟持する。次に、セグメント取り出し部12は、チャック部39による中子セグメント3との係合を解除させる。次に、スライド手段40により、可動部38は、セグメント組み付け部13から離れる方向に移動する。これにより、チャック部39の軸部39bは、中子セグメント3の孔3bから抜き取られる。
【0102】
セグメント組み付け部13は、中子セグメント3の第2係合部3aが前後方向Xの外側に露出するように挟持する。コア保持部10は、セグメント組み付け部13に中子セグメント3が挟持され、セグメント取り出し部12がばらし位置P2側に移動したことを確認すると、
図8に示されるように、第1昇降手段19により接続部18を上昇させる。これにより、コア5が上昇する(S4−9)。コア5の上昇にともない、コア5の第1係合部5aと中子セグメント3の第2係合部3aとが嵌り合う。
【0103】
セグメント組み付け部13は、コア5と中子セグメント3の係合を確認すると、各クランプ具49を上下に隔離させ、スライド手段47により可動部45をコア保持部10から離れる方向に移動させる。これにより、クランプ具49が退避する(S4−10)。
【0104】
コア保持部10は、クランプ具49が組立位置P3から退避したことを確認すると、第1昇降手段19により接続部18を下降させる。これにより、コア5が下降する(S4−11)。
【0105】
中子セグメント取り出し・組立工程S4は、タイヤTの中の全ての中子セグメント3に対して実施される。このため、タイヤ付き剛性中子Gを保持するタイヤ保持部11又はコア5を保持するコア保持部10は、タイヤ付き剛性中子Gが含む中子セグメント3の数を確認し、タイヤ付き剛性中子Gから中子セグメント3が全て取り出されたか、又はコア5に中子セグメント3が組み付けられたかを判断する(S4−12)。このとき、タイヤ付き剛性中子Gが中子セグメント3を含んでいないことが確認されると、中子セグメント取り出し・組立工程S4を終了する。
【0106】
一方、タイヤ付き剛性中子Gが中子セグメント3を含むことが確認されると、タイヤ保持部11は、駆動部30
bにより環状フレーム部30の環状プレートを回転させる。これにより、タイヤ付き剛性中子Gが回転する(S4−13)。この工程S4−13により、次に取り出される中子セグメント3の中心線を、前記前後方向Xに沿った線に一致させる。従って、中子セグメント3は、予め定めた同じ位置、即ち、環状フレーム部30の中心を通る前後方向Xに沿った線上の位置から順次取り出される。
【0107】
また、コア保持部10は、回転手段24により接続部18を回転させる。これにより、コア5がタイヤ回転軸Cの回りで回転する(S4−14)。この工程S4−14により、中子セグメント3は、予め定めた同じ位置、即ち、コア5の中心を通る前後方向Xに沿った線上の位置で、コア5に装着される。
【0108】
本実施形態の中子本体4は、10個の中子セグメント3から形成されている。このため、コア保持部10及びタイヤ保持部1
1は、コア5又はタイヤ付き剛性中子
Gを、一度に36°回転させる。
【0109】
このように、タイヤ付き剛性中子Gから中子セグメント3を取り出しながら、組立位置P3に、新たな剛性中子2が組み立てられる。なお、全ての中子セグメント3が取り出され、タイヤ保持部11に残されたタイヤTは、例えば、スライド手段27によりタイヤ搬出口(図示省略)に搬送され、適宜の手段で搬出される。
【0110】
次に、組立位置P3で組み立てられた剛性中子2を、生タイヤを成形する工程S1に戻す搬送工程S5が実施される。
【0111】
工程S5の詳細は、
図15に示される。工程S5では、まず、中子セグメント取り出し・組立工程S4ににより、コア5に全ての中子セグメント3が装着された剛性中子2を保持するコア保持部10を、スライド手段22により移載位置P1に移動させる。これにより、剛性中子2が移載位置P1に移動する。そして、コア保持部10は、移載位置P1において、第1昇降手段19により接続部18を上昇させる。これにより、剛性中子2が上昇する(S5−1)。
【0112】
移載機14は、剛性中子2が上昇したことを確認すると、接続部17により剛性中子2を保持する(S5−2)。このとき、接続部17は、他方の側板6と接続されているため、移載機14が剛性中子2を保持するとともに剛性中子2に他方の側板6が装着される。
【0113】
コア保持部10は、移載機14が剛性中子2を保持したことを確認すると、第1昇降手段19により接続部18を下降させる(S5−3)。
【0114】
移載機14は、接続部18の下降を確認すると、左右方向Yの成形機15側に移動し、成形機15に剛性中子2を移載する(S5−4)。剛性中子2は、コア保持部10から移載機14に横置きの状態で受け渡されている。このため、移載機14は、傾動手段により接続部17を傾動させる。これにより、剛性中子2が縦置きの状態に傾動する。この後、移載機14は、成形機15に剛性中子2を移載する。本実施形態では、このように、タイヤTを連続して製造することができる。
【0115】
本実施形態のタイヤTの製造方法によれば、組立式のタイヤ付き剛性中子2から、コア5を抜き取り、組立位置P3にセットする工程S3と、コア5が抜き取られたタイヤ付き剛性中子Gから、一つの中子セグメント3をタイヤ半径方向内側に移動させることによりタイヤTから取り出して、コア5に装着する中子セグメント取り出し・組立工程S4とを含み、中子セグメント取り出し・組立工程S4が、タイヤTの中の全ての中子セグメント3に対して行われる。従って、タイヤTから剛性中子2を取り出しながら、組立位置P3に新たな剛性中子2を組み立てることができる。よって、作業者の負担が大幅に軽減する。
【0116】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。