(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮光手段の前記第2方向に沿った寸法が、前記光出射部の前記第2方向に沿った寸法よりも小さく、かつ前記光出射部の前記第1方向に沿った寸法以上の長さにわたり前記第1方向において一定である請求項1ないし3のいずれかに記載の撮像装置。
前記遮光手段が、前記試料容器と前記光出射部との間で前記光出射部から前記試料容器に向かう光の一部を遮蔽する遮光位置と、該光を遮蔽しない退避位置との間で移動可能となっており、
前記遮光手段が前記遮光位置にある状態で前記撮像対象物を撮像した画像に対し、前記遮光手段が前記退避位置にあり、かつ前記光出射部と前記撮像手段との間に前記試料容器がない状態で撮像された画像に基づいて、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段をさらに備える請求項1ないし4のいずれかに記載の撮像装置。
撮像対象物としての生物試料を平坦な担持面に担持する試料容器の前記担持面に臨んで光出射部を配置し、前記光出射部と前記担持面との間に、前記光出射部から出射されて前記担持面に向かう光の一部を遮蔽する遮光手段を配置し、前記担持面を挟んで前記光出射部とは反対側に、前記担持面のうち前記担持面に平行な第1方向に沿った帯状領域の画像を撮像する撮像手段の受光部を配置する第1工程と、
前記試料容器に対して相対的に、前記光出射部、前記受光部および前記遮光手段を一体的に前記第1方向と交差する第2方向に移動させて、前記撮像対象物の二次元画像を撮像する第2工程と
を備え、
前記遮光手段として、前記光出射部と前記担持面との間で前記第1方向に延びる帯状部材を用い、前記帯状領域に交わり前記第1方向に垂直な仮想平面において、前記帯状領域から前記遮光手段を見込む第1の見込み角よりも前記帯状領域から前記光出射部を見込む第2の見込み角が大きく、かつ、前記第1の見込み角が前記第2の見込み角の内側に含まれ、
前記仮想平面において前記帯状領域から前記受光部を見込む第3の見込み角が、前記第1の見込み角よりも大きく前記第2の見込み角以下である撮像方法。
前記第2工程に先立って、前記光出射部のサイズ、前記遮光手段のサイズ、前記遮光手段と前記試料容器との距離、前記光出射部と前記試料容器との距離のうち少なくとも1つを制御して前記試料容器に入射させる光量を調整する第5工程を備える請求項6または7に記載の撮像方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる撮像装置の第1実施形態の主要構成を示す図である。また、
図2は
図1の撮像装置の分解斜視図である。以下の説明のために、
図1に示すようにXYZ直交座標系を設定する。ここで、XY平面は水平面を表し、Z軸は鉛直軸を表す。
【0014】
この撮像装置1は、撮像対象物たる生物試料を担持する浅皿型の細胞培養ディッシュ(以下、単に「ディッシュ」と称する)Dを略水平姿勢に保持する保持ユニット20を挟んで、その上方に試料を照明する照明ユニット10、下方に撮像ユニット30をそれぞれ配置した構造を有するとともに、これら各部の動作を制御する制御ユニット40を備えている。
図1では、装置の内部構造を明示するために、各ユニットを固定するための支持機構や筐体等の図示を省略している。
【0015】
図1および
図2に示すように、照明ユニット10は、下向きに光を出射する光源11と、光源11の下方に配置されて光出射面11aから出射される光を拡散させる拡散板12と、拡散板12の下方に配置された遮光部材13とを備えている。光源11は、X方向に延びる概略長方形の板状形状を有しており、その下面に白色光を出射する発光素子として例えば複数の白色LEDが設けられている。すなわち、光源11の下面が光出射面11aとなっており、該光出射面11aから下向きに照明光としての白色光が出射される。光源11の点灯・消灯および出射光量は、制御ユニット40に設けられた光源制御ユニット411により制御される。
【0016】
拡散板12は、光源11の光出射面11aよりも大きな平面サイズを有するX方向に延びる概略長方形の板状部材であり、例えば乳白色の樹脂板またはガラス板により形成される。光源11から出射された光は、拡散板12によってその光量分布がより均一化される。遮光部材13は、Y方向には短く、X方向に長く延びる平板からなる帯状部材であり、光源11から拡散板12を介して下方へ出射される照明光の光路の一部を遮るように配置される。これにより、光源11から出射された光の一部が遮蔽される。表面での光の反射を抑えるために、遮光部材13は黒色材料により形成されるか、表面が黒色に着色されていることが望ましい。
【0017】
なお、照明ユニット10のうち遮光部材13は、Y方向に移動可能に支持されており、制御ユニット40に設けられた遮光部材駆動機構413の作動により、
図1に示す拡散板12の直下位置で照明光の一部を遮蔽する遮光位置と、拡散板12の下方からY方向に退避して照明光を遮蔽しない退避位置(
図4参照)との間を移動する。
【0018】
上記のように構成された照明ユニット10の下方に、保持ユニット20が配置されている。保持ユニット20は底面が円形であるディッシュDの外形寸法に合わせた開口が設けられたステージ21を有している。より詳しくは、ステージ21は中央部にディッシュDの外径より少し大きな開口21aが設けられた平板状部材であり、ステージ21の底面付近で、開口21aの内壁面が内側に突出した突起部21bとなっている。ディッシュDがステージ21にセットされると、突起部21bによりディッシュDの底面外周部が保持される。したがって、この状態ではディッシュDの底面中央部は開放されている。ステージ21は制御ユニット40のステージ駆動機構421に連結されており、ステージ駆動機構421はステージ21をY方向に水平移動させることが可能となっている。
【0019】
ディッシュDはガラス、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの透明材料により形成されており、その代表的な寸法としては、例えば直径が数十ミリメートル、周縁部の高さが数ミリメートル、底面の厚さが1ミリメートル前後であるが、これらの数値に限定されない。この実施形態において用いられるディッシュDは、その内底面Daが平坦な培養面となっている。そして、該培養面に、所定種類、所定量の培地と共に播種され培養された細胞、菌、微生物等の生物試料が予め作成されており、これらの生物試料がこの撮像装置1の撮像対象物となる。例えばディッシュ内底面への接着培養により培養された細胞組織等を、撮像対象物とすることができる。
【0020】
ステージ21によりディッシュDが保持され、ステージ駆動機構421によりステージ21が照明ユニット10の下方に位置決めされると、照明ユニット10がディッシュDに臨んだ状態となる。そして、ステージ駆動機構121によりステージ21とともにディッシュDがY方向に移動されることで、照明ユニット10がディッシュDに対し相対的に移動する。
【0021】
保持ユニット20の下方には撮像ユニット30が配置されている。詳しくは後述するが、撮像ユニット30は、X方向に延びる筐体31と、その上面に設けられ上方から入射してくる光を受光する機能を有しX方向に細長く延びる受光窓32とを有しており、受光窓32に入射するX方向各位置ごとの光量に応じた電気信号を出力することでX方向の一次元画像を撮像する。ステージ21に保持されたディッシュDの底面から出射される光を受光窓32に入射させて、ディッシュDの底面側からみた撮像対象物(生物試料)のX方向一次元画像を撮像することができる。また、ステージ駆動機構21によりディッシュDがY方向に移動される間に一次元画像の撮像を繰り返し実行することで、撮像対象物の二次元画像を撮像することができる。すなわち、この装置では、X方向を主走査方向、Y方向を副走査方向として二次元画像が撮像される。
【0022】
ステージ駆動機構421の作動によりステージ21が水平移動する際、照明ユニット10および撮像ユニット30は静止している。したがって、これらに対して、ステージ21に保持されたディッシュDのみが移動する。相対的には、ステージ21およびディッシュDに対して、照明ユニット10(光源11、拡散板12、遮光部材13)および撮像ユニット30が一体的に、水平方向(Y方向)に走査移動することになる。
【0023】
撮像ユニット30から出力される、撮像対象物の像に対応する電気信号は、図示を省略するADコンバーターによりデジタル信号(画像データ)に変換されて制御ユニット40の画像処理部430に入力される。画像処理部430は、得られた画像データに対し種々の画像処理を施す。
【0024】
制御ユニット40には画像データを記憶する例えば画像メモリなどの記憶部44がさらに設けられており、撮像ユニット30により撮像された画像に対応する画像データや、画像処理部430により生成された各種の加工画像データやその中間データなどを記憶保存する。
【0025】
制御ユニット40には、上記の他に、装置の動作やその制御パラメータ設定に関しユーザや外部装置から与えられる操作入力を受け付ける入力受付部47と、装置の動作状況や撮像された画像を表示する表示部48とを備えている。
【0026】
図3はこの撮像装置の主要構成の配置を示す側面図である。より詳しくは、
図3(a)はこの撮像装置の主要部のX方向側面図であり、
図3(b)はこの撮像装置の主要部のY方向側面図である。これらの図を参照して、各部の寸法の大小関係について説明する。
図3(a)に示すように、Y方向において、光源11(厳密には光照射面11a)の長さY1よりも拡散板12の長さY2の方が大きい。また、遮光部材13の長さY3は、光源11の長さY1よりも小さい。この遮光部材13の長さY3については、X方向において少なくともディッシュDの内径X4以上の長さの範囲にわたって一定値であることが望ましい。
【0027】
また、
図3(a)に示すように、撮像ユニット30は、X方向に延びる受光面33aを有する一次元撮像デバイス33と、受光面33aに撮像対象物の像を結像させる結像光学系34とを筐体31の内部に備えている。一次元撮像デバイス33としては、いわゆるリニアイメージセンサとして知られているデバイスを用いることができ、例えばCCDラインセンサ、CMOSラインセンサ等を適用することができる。光学系34のフォーカスは、ステージ21に保持されるディッシュDの内底面Da、つまり撮像対象物たる生物試料が培養される培養面にピントが合うよう調整されている。また、受光窓32は、光学系34に入射する光の方向を規制する絞りとしての機能を有してもよい。
【0028】
図3(a)の一点鎖線は光学系34の光軸方向を示している。なお、光学系34が回転対称でなくシリンドリカルレンズやロッドレンズアレイのようにX方向に延びるものである場合、光軸に代えて光軸面の概念が適用される。同図では線として示されるが、光学系34の光軸面はXZ平面に一致し、ディッシュ内底面Daに対し垂直である。そして、上方から順に、光源11の光出射面11a、拡散板12、遮光部材13、撮像ユニット30の受光部32は、各々の少なくとも一部が光学系34の光軸面と交差している。
【0029】
また、X方向においては、
図3(b)に示すように、光源11(厳密には光照射面11a)の長さX1よりも拡散板12の長さX2の方が大きい。また、遮光部材13の長さX3は、少なくとも光源11の長さX1よりも大きく、拡散板12の長さX2以上であることがより好ましい。また、拡散板12の長さX2および遮光部材13の長さX3はディッシュDの内径X4よりも大きく、より好ましくは光源11の長さX1もディッシュDの内径X4よりも大きくするとよい。
【0030】
撮像ユニット30の受光部32のX方向における長さX5も、ディッシュDの内径X4よりも大きい。これにより、ディッシュDに対し撮像ユニット30を1回走査移動させることでディッシュDの底面全体の二次元画像を取得することができる。なお、光学系34が縮小光学系である場合には、X方向においてディッシュDの内径X4以上の範囲を撮像することが可能である限り、一次元撮像デバイス33の長さがディッシュDの内径X4以上である必要は必ずしもない。また、ディッシュDの画像をX方向に分割したバンド画像として撮像する場合には、その撮像範囲に応じたサイズの撮像ユニットが用いられればよい。
【0031】
図4はこの撮像装置における撮像対象物への照明光の入射の態様を示す図である。より詳しくは、
図4(a)は光源11の代表的ないくつかの点から出射される光の光路の例を示し、
図4(b)は照明光の撮像対象物への好ましい入射角の範囲を説明する図である。
図4(a)に示すように、光源11の光出射面11aのうち、一点鎖線で示される光軸面に近い点P1から出射される光L11,L12は、遮光部材13により進路を遮られるか、あるいは光軸から離れる方向に向かって進行する。このため、ディッシュDの内底面Daに付着する細胞等のうち光軸面の近傍に位置し撮像ユニット30による一次元撮像の対象となる撮像対象物Cには、点P1からの光は入射しない。
【0032】
一方、光軸面からより離れた光照射面11a上の点については、例えば図に示す点P2のように、出射される光L2が撮像対象物Cに入射しこれを透過して撮像ユニット30の受光面32に到達するケースがある。また、光軸面からさらに離れた点P3から出射されて撮像対象物Cに入射し透過する光L3は直接的には撮像ユニット30に入射しないが、撮像対象物Cにおいて散乱された光L31が撮像ユニット30の受光窓32に入射するケースがある。
【0033】
このように、この実施形態の撮像態様では、照明光のうち光源11から撮像対象物Cを透過して撮像ユニット30の受光窓32に入射する光路を有する光の一部が遮光手段13により遮蔽され、撮像対象物Cに入射しない。特に、光軸面に近い位置から出射されて撮像対象物Cに対し垂直に近い方向から入射する光はその大部分が遮光手段13で遮蔽される。一方、光軸面から少し離れた位置から出射される光は、遮光手段13により遮られることなく撮像対象物Cに対し斜め方向から入射する。
【0034】
したがって、例えば特許文献1に示されたような通常の明視野撮像技術に比べると、光源11から撮像対象物Cを透過し撮像ユニット30の受光窓32に入射する透過光成分が低減されている。ただし、明視野照明光が完全に遮蔽されているのではなく、一部の光、より具体的には特に斜め方向からの明視野照明光の入射は許容されている。
【0035】
さらに、より外側の、透過光が撮像ユニット30に入射しない方向から撮像対象物Cに入射された光では、散乱光成分のみが撮像ユニット30の受光窓32に入射する。このような入射光は、暗視野撮像技術における暗視野照明光と同様に作用する。
【0036】
つまり、この実施形態では、光軸面に対し斜め方向から撮像対象物Cに照明光を入射させ、散乱光成分を撮像ユニット30に受光させることで、暗視野撮像技術と同様に、画像コントラストの高い撮像を可能にしている。その一方で、光源11から撮像対象物Cを透過した透過光が撮像ユニット30に入射することをある程度許容しているため、より明るい画像が得られ、暗視野撮像画像において明るさが不足するという問題点を解消することができる。
【0037】
遮光部材13を設けず透過光成分を全て撮像ユニット30に入射させた場合、画像は明るくなるが、より弱い散乱光成分による画像コントラストの向上は望めない。本実施形態では遮光部材13により撮像ユニット30への透過光成分の入射を一部制限しつつ、散乱光成分についてはこれを遮蔽することなく撮像ユニット30に入射させることで、画像の明るさと高い画像コントラストとの両立を図ることが可能である。透過光成分と散乱光成分との強度比を最適化することで、さらなる画質の向上を図ることができる。
【0038】
撮像対象物が担持されるディッシュ内底面Daのうち、撮像ユニット30に設けられた一次元撮像デバイス33による撮像範囲内に入る領域を考える。この領域は、
図4(b)に示すように、一次元撮像デバイス33の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)においては一次元撮像デバイス33の分解能に相当する微小な長さを有する一方、X方向には長く延びる帯状領域Bとして表すことができる。この帯状領域Bは、ディッシュ内底面Daのうち、ディッシュDに対して撮像ユニット30の位置を固定したときに一次元撮像デバイス33の受光面33aに結像する領域である。図には明示されないが、帯状領域BはX方向に沿ってディッシュ内底面Daの一方端から他方端まで延びている。
【0039】
帯状領域Bの長手方向(X方向)に直交するYZ平面内において帯状領域Bから遮光部材13を見込んだときの見込み角を符号α、帯状領域Bから光出射面11aを見込んだときの見込み角を符号βにより表す。なお、ここでは光軸面を基準とした対象物の一端部までの角度を見込み角として定義しているが、
図4(b)に現れる複数種の見込み角に対して同一の定義を使用する限りにおいて、対象物の両端部の間での角度を見込み角と定義しても構わない。特に光出射面11aまたは遮光部材13が光軸面に対して非対称な形状または配置となっている場合には、帯状領域Bからこれらの各部材の両端を見込んだ角度を見込み角とすることが好ましい。ここではこれらが光軸面に対し対称に配置されるとの前提の下、上記定義を用いることとする。
【0040】
ここで、α=0とするといわゆる明視野照明条件となり、α≧βとすると光源11からの照明光が帯状領域Bに全く入射しないことになる。この実施形態の照明の原理によれば、0<α<βである。そして、帯状領域Bから遮光部材13を見込んだ見込み角αが、帯状領域Bから光照射面11aを見込んだ見込み角βの内側に含まれることがより望ましい。こうすることで、帯状領域Bに対し斜め方向の光を、Y方向における両側から入射させることができる。これにより、帯状領域B内の撮像対象物の光学的特徴、特にその表面状態をより的確に画像に反映させることができる。
【0041】
一方、帯状領域Bから撮像ユニット30の受光窓32を見込んだときの見込み角を符号θにより表す。ここでθ≦αとすると、帯状領域Bからの透過光が全く撮像ユニット30に受光されない、いわゆる暗視野照明条件となる。この実施形態では、θ>αである。こうすることにより、斜め方向から入射して帯状領域Bを透過し撮像ユニット30に受光される透過光成分が生じてくる。これが画像の明るさに寄与する。
【0042】
また、より画像を明るくするためには、β≧θであることが好ましい。こうすることで、斜め方向からの光をより多く撮像ユニット30に入射させて、画像の明るさを最大化することができる。光出射部11aの見込み角βを受光窓32の見込み角θよりさらに大きくした場合、撮像ユニット30に入射する透過光量は増えないため画像の明るさにはあまり寄与しないが、散乱光成分の光量を増加させることができるので、画像コントラストをより向上させることができる。
【0043】
光源11、遮光部材13および撮像ユニット30を撮像対象物に対し一体的にY方向に走査移動させることで帯状領域BをY方向に順次移動させながら、各位置で撮像ユニット30による撮像を行うことで、ディッシュ内底面Daの全体を走査してその二次元画像を得ることができる。上記条件を満たす照明下でこれを行うことで、画像の明るさと高い画像コントラストとを両立させて、特に良好な画像品質で二次元画像の撮像を行うことができる。
【0044】
なお、撮像が例えばエリアイメージセンサによる場合、同時に撮像される二次元領域の全体で上記条件を満足させるような照明は、事実上不可能である。またリニアイメージセンサによる場合でも、照明光源および撮像対象物に対しリニアイメージセンサのみを走査移動させる構成においても同様である。本実施形態では、リニアイメージセンサたる撮像デバイス33を用い、その長手方向と平行に帯状の遮光部材13を配置することにより、その長手方向に直交する平面内のみで照明条件を考慮すればよくなる。そして、光源11、遮光部材13および撮像デバイス33を一体的に撮像対象物に対し走査移動させる構成とすることで、これらの位置関係を変化させることなく、つまり上記照明条件を維持したまま、撮像対象物の全体を撮像することができる。
【0045】
また、先に説明したように、遮光部材13は、遮光部材駆動機構413の作動により水平方向に移動可能となっている。すなわち、
図4(b)に実線で示すように光源11から帯状領域Bに向かう光の進路上で該光の一部を遮蔽する遮光位置Paと、
図4(b)に破線で示すように光源11から撮像ユニット30の受光部32に向かう光の進路から側方に外れ該光を遮らない退避位置Pbとの間で、遮光部材13は移動可能となっている。
【0046】
ディッシュDの撮像は、遮光部材13が遮光位置Paに位置決めされた状態で実行される。一方、次に説明するように、この実施形態では、撮像された画像に対して、光源11の出射光量ムラや一次元撮像デバイス33の感度ムラに起因する画像品質の低下を防止するためのシェーディング補正処理が実行され、このためのシェーディング特性を取得するバックグラウンド撮像の際に、遮光部材13は退避位置Pbに位置決めされる。
【0047】
図5はこの撮像装置における撮像動作を示すフローチャートである。この撮像動作は、入力受付部47を介して与えられるユーザまたは外部装置からの要求に応じて、制御ユニット40が予め定められた制御プログラムに基づき上記した装置各部を制御して所定の動作を行わせることにより実行される。
【0048】
最初に、シェーディング補正を行う際に使用されるシェーディング特性を取得する。まず、遮光部材13およびステージ20を、光源11から撮像ユニット30に向かう光を遮ることのない位置に退避させ、この状態で撮像ユニット30による撮像を行う(ステップS101)。このとき撮像される一次元画像は、光源11と撮像デバイス33の特性のみが反映されたバックグラウンド画像であり、光源11の出射光量ムラまたは撮像デバイス33の感度ムラがあればこれらが重畳された状態で濃淡として現れる。バックグラウンド画像の位置ごとの画像濃度をシェーディング特性として取得し、記憶部44に記憶させておく(ステップS102)。撮像デバイス33が一次元画像を撮像するものであり、かつ光源11と撮像ユニット30との相対位置が不変であるため、バックグラウンド画像およびシェーディング特性は、X方向の1ライン分のみ取得されればよい。
【0049】
続いて、遮光部材13を遮光位置Paに位置決めし(ステップS103)、ステージ21に撮像対象物を担持するディッシュDをセットする(ステップS104)。なお、ディッシュDについては、内部の生物試料に悪影響を与えなければ、バックグラウンド撮像を行う前にステージ21にセットしておいてもよい。
【0050】
そして、ステージ駆動機構421を作動させてステージ21とともにディッシュDをY方向に移動させながら、撮像ユニット30による撮像を順次行い、ディッシュ内底面Da、特にそこに担持される生物試料を撮像する(ステップS105)。画像処理部430は、撮像された一次元画像の原画像データに対して、先に取得したシェーディング特性に基づくシェーディング補正を行う。具体的には、撮像された原画像の各画素に対して、シェーディング特性をキャンセルするために必要な画素値の調整を施す。そして、Y方向に位置を異ならせて撮像したX方向一次元画像を合成して、撮像対象物の二次元画像を作成する(ステップS106)。作成された画像データについては記憶部44に記憶保存される。以上のようにして撮像動作が完了する。
【0051】
なお、バックグラウンド画像に基づくシェーディング特性については、ディッシュDの撮像後に取得されてもシェーディング補正は可能である。しかしながら、一次元撮像デバイス33の走査移動により二次元画像を取得する本実施形態のプロセスにおいては、走査移動に伴い刻々と出力される一次元画像データに対してその都度補正を行うことができるという点から、ディッシュDの撮像に先立ってシェーディング特性を取得しておくことが好ましい。
【0052】
<第2実施形態>
次に、この発明にかかる撮像装置の第2実施形態について説明する。上記した第1実施形態の撮像装置1では、遮光位置Paと退避位置Pbとの間で遮光部材13を移動させるために、遮光部材駆動機構413を設けている。これに対し、次に説明する第2実施形態の撮像装置は、遮光部材を移動させるための駆動機構を別途設けることなく、遮光部材の位置決めを可能としたものである。
【0053】
図6はこの発明にかかる撮像装置の第2実施形態の主要構成を示す図である。なお、
図6では第1実施形態の撮像装置1と異なる部分を主に示しており、以下に断りのない限り、第1実施形態に備えられた各構成は本実施形態にも同様に備えられ、その動作も同じであるものとする。また、第1実施形態と同一の機能を有する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
図6(a)および
図6(c)は第2実施形態の撮像装置2の主要部を示すX方向側面図であり、
図6(b)はこの実施形態の照明ユニット210の構成を示すY方向側面図である。
図6(a)および
図6(b)に示すように、第2実施形態の撮像装置2の照明ユニット210では、光源11および拡散板12のX方向両端部が1対の支持フレーム214により支持されている。そして、該支持フレーム214に、1対の回転支軸216を介して1対の揺動アーム215が回転自在に取り付けられている。1対の揺動アーム215の間には、X方向に延びる遮光部材13が架け渡されている。1対の揺動アーム215および遮光部材13からなる組立体をY方向から見たとき、
図6(b)に示すように、該組立体は概略H字形状をなしており、これらが一体的に、撮像ユニット30の光軸面からY方向に離れた揺動軸A周りに揺動自在となっている。
【0055】
また、この実施形態の保持ユニット220は、第1実施形態のステージ21と同様の構成を有するステージ221と、該ステージ221の上面にZ方向に立設された複数の柱部材222と、柱部材222により支持されY方向に延びるガイドレール223とを備えている。
【0056】
照明ユニット210と撮像ユニット30との間の位置からステージ221が側方に退避した
図6(a)に示す状態では、揺動アーム215は重力の作用により下方(−Z方向)に垂れ下がった状態となっている。したがって、揺動アーム215に取り付けられた遮光部材13は回転支軸216の下方に位置し、撮像ユニット30の光軸面から離れた位置(退避位置)にある。このとき、光源11から撮像ユニット30に向かう光は遮光部材13により遮られることがなく、したがってこの状態でバックグラウンド撮像を行うことができる。
【0057】
一方、ステージ221がY方向に移動してディッシュDが照明ユニット210と撮像ユニット30との間に進入してくると、ガイドレール223の端面が揺動アーム216に当接することで揺動アーム216の先端がガイドレール223に乗り上げ、揺動アーム216は軸A周りに回動する。最終的には
図6(c)に示すように、揺動アーム216がほぼ水平状態まで押し上げられて、これにより遮光部材13が撮像ユニット30の光軸面上に位置することになる(遮光位置)。この状態で、第1実施形態と同様にして、光源11から撮像ユニット30に向かう光の一部を遮りながら、ディッシュD内の撮像対象物を撮像することができる。
【0058】
このように、第2実施形態の撮像装置2では、遮光部材13を能動的に移動させる機構を設けなくても、ステージ221の移動を利用して、遮光部材13を退避位置と遮光位置との間で移動させることができる。
【0059】
<第3実施形態>
次に、この発明にかかる撮像装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態の装置構成は上記した第1または第2実施形態のものと同一であってよく、
図5の撮像動作を実行するのに先立って照明条件の最適化、すなわち照明ユニットの光量調整を行う点が、この実施形態の特徴である。
【0060】
図7は第3実施形態における照明ユニット調整の原理を説明する図である。より詳しくは、
図7(a)は照明光量に影響を与える因子を説明する図であり、
図7(b)は同一試料を種々の照明条件で撮像したときの階調値の分布状況を例示する図である。前述したように、本発明にかかる撮像装置の実施形態においては、撮像対象物を担持するディッシュDの内底面Daのうち撮像ユニット30により撮像される帯状領域Bから遮光部材13を見込んだときの見込み角α、および、帯状領域Bから光源11の下面(光出射面)11aを見込んだときの見込み角βの値により、撮像ユニット30に入射する透過光成分と散乱光成分との比率が変化する。そして、その比率が適切であるとき、画像の明るさと高い画像コントラストとが両立した、画像品質の優れた画像を得ることができる。
【0061】
図7(a)に示す関係から明らかなように、これらの見込み角α、βを決定づける因子としては、Y方向における光源11(光出射面11a)の長さY1、同方向における遮光部材13の長さY3、光源11(光出射面11a)と撮像対象物(ディッシュ内底面Da)とのZ方向距離、遮光部材13とディッシュ内底面DaとのZ方向距離などが考えられる。これらの少なくとも1つを制御因子として見込み角α、βを変化させ、透過光成分と散乱光成分との比率を調整することができる。例えば次のようにすることができる。
【0062】
まずディッシュDで細胞等を培養した標準的な生物試料、またはそれを模したダミー試料を用意し、上記した制御因子の組み合わせを異ならせることで照明条件を変化させながら、各照明条件下で試料の二次元画像を撮像する。そして、得られた二次元画像の画素ごとの階調値を求め、当該画像における階調値の分布範囲を求める。このとき、ノイズ等に起因して極端な階調値を取る画素の影響を排除するため、各画素の階調値を統計的に処理することがより好ましい。例えば階調値の分布における標準偏差σを算出し、3σの範囲を分布範囲とすることができる。
【0063】
種々の照明条件で撮像を行うと、各条件での撮像画像における階調値の分布範囲が求められる。
図7(b)に示すように、照明条件の差異に起因する撮像ユニット30に入射する透過光成分と散乱光成分との比率の違いにより、同一試料であっても階調値の分布範囲が異なってくる。これらのうち、できるだけ分布範囲が広く、かつその分布範囲が低階調値側、つまり明るい側に寄った照明条件を、最適条件とすればよい。より単純には、最も分布範囲の広い条件を最適条件とし、もし同程度の分布範囲を有する条件が複数あった場合には、それらのうち分布範囲が最も低階調値側に位置する照明条件を選出すればよい。
【0064】
このような照明条件の最適化処理については、撮像装置の完成品において上記した制御因子を調整可能な構成としておき、必要に応じてユーザが実行することができるようにしてもよい。例えば培地やその中で培養される細胞等の種類により画像の明るさやコントラストが異なることに対応するため、ユーザが必要と判断したときに照明条件の最適化処理を実行することができればユーザにとって便宜である。
【0065】
また、装置の出荷時にオペレータが調整した上で出荷し、出荷後は照明条件を固定としてもよい。また、複数の照明条件をプリセットしておき、目的に応じてそれらが選択可能な構成であってもよい。さらに、例えば装置の設計段階で各部の寸法や配置を決定する目的においても、上記した最適化の原理を適用することが可能である。これらの最適化処理は、少なくとも実際の試料での撮像が行われるよりも前に実行されることが望ましい。
【0066】
<変形例>
図8および
図9は遮光部材の変形例を示す図である。
図8(a)に示す第1の変形例における遮光部材53は、照明光に対して透明な平板状部材531の一方面に、遮光性材料によりX方向に延びる帯状に形成された遮光帯532が設けられたものである。遮光帯532は、平板状部材53への遮光性材料の塗布、貼付、蒸着等の種々の作成方法により形成することができる。このような構成によっても、光源11からディッシュ内底面Daの帯状領域Bに向かう光の一部を遮蔽することができ、第1実施形態の遮光部材13と同様に、撮像ユニットに入射する透過光成分と散乱光成分との比率を制御することができる。
【0067】
また、
図8(b)に示す第2の変形例では、それぞれX方向に延びる複数の帯状部材(この例では3本の帯状部材631,632,633)により遮光部材63が構成される。このような構成では、各帯状部材の幅やそれらの間のギャップを制御することで、帯状領域Bに入射する照明光の入射方向および光量をより細かく調整することが可能である。なお、各帯状部材の幅が同一である必要はない。また、上記した第1の変形例と組み合わせて、透明部材上に複数の遮光帯を形成した構成としてもよい。
【0068】
また、
図9に示す第3の変形例では、
図4に示す第1実施形態と対比すると明らかなように、遮光部材73が(+Y)方向に大きく延びており、光学系34の光軸よりも(+Y)側で光源11から出射された光は帯状領域Bには入射しない。本願発明者らの実験では、このような構成では、第1実施形態の構成に比べて画像の明るさは少し低下するものの、画像コントラストの点では良好な結果が得られている。なお、遮光部材73を(+Y)側へ延長するか(−Y)側へ延長するか、つまりディッシュDに対する撮像ユニット30の走査方向における上流側へ延長するか下流側へ延長するかで有意な差は見られず、いずれに延長されても同様の撮像結果が得られる。
【0069】
<その他>
以上のように、この実施形態の撮像装置は、撮像対象物としての生物試料を平坦な内底面Daに担持するディッシュDを保持するステージ21と、ステージ21に保持されるディッシュDの内底面Daに臨んで設けられた光出射面11aからディッシュ内底面Daに向けて光を出射する光源11と、ディッシュ内底面Daを挟んで光出射面11aとは反対側でディッシュ内底面Daと平行なX方向に沿って帯状に設けられた受光窓32を有し、該受光窓32に入射する光を受光して、ディッシュ内底面DaのうちX方向に沿った帯状領域Bの画像を撮像する撮像ユニット30と、光出射面11aとディッシュ内底面Daとの間でX方向と平行な方向に帯状に延設され、光出射面11aから出射されて帯状領域Bに向かう光の一部を遮蔽する遮光部材13と、ステージ21に保持されるディッシュDに対して相対的に、光出射面11a、受光窓32および遮光部材13を一体的に、ディッシュ内底面Daと平行でX方向と交差するY方向に移動させるステージ駆動機構421とを備えており、撮像対象物の二次元画像を撮像する。
【0070】
このような構成によれば、帯状領域に入射する照明光の入射方向および光量を制御して、撮像ユニット30に受光される透過光成分と散乱光成分との比率を調整することができる。このため、透過光成分により得られる画像の明るさと、散乱光成分により得られる高い画像コントラストを両立させて、画像品質の良好な画像を得ることができる。
【0071】
また、この実施形態では、帯状領域Bに交わりX方向に垂直なYZ平面において、帯状領域Bから遮光部材13を見込む見込み角αよりも、帯状領域Bから光出射面11aを見込む見込み角βの方が大きい。したがって、光出射面11aから出射される光の少なくとも一部については、遮光部材13により遮蔽されることなく帯状領域Bに確実に入射させることができる。これにより、撮像ユニット30に受光される光の強度を増大させて、画像の明るさおよび画像コントラストを向上させることができる。また、見込み角αが見込み角βの内側に含まれるようにすることで、撮像対象物に対し両方向から照明光を入射させることができ、特に撮像対象物の表面状態を画像に良好に反映させることができる。
【0072】
さらにこの実施形態では、帯状領域Bに交わりX方向に垂直なYZ平面において、帯状領域Bから受光窓32を見込む見込み角θが、見込み角αよりも大きい。このような構成によれば、光出射面11aから帯状領域Bに入射し該領域Bを透過した光が受光窓32に入射することになるため、画像の明るさを確実に増大させることができる。
【0073】
また、この実施形態では帯状領域Bを含むディッシュ内底面Daの垂線が遮光部材13と交わる。より具体的には、帯状領域Bを通る撮像ユニット30の光軸面が、遮光部材13を横切る位置関係となっている。したがって、帯状領域Bに対して垂直に近い方向から入射する光については遮光部材13により確実に遮蔽することで、画像コントラストの低下を防止することができる。一方、斜め方向からの帯状領域Bへの光入射をある程度許容することで、画像の明るさと画像コントラストを確保することができる。
【0074】
また、この実施形態では、遮光部材13のY方向に沿った長さY3が、光出射面11aのY方向に沿った長さY1よりも小さい。このため、遮光部材13が光出射面11aから出射される光を完全に遮蔽することがない。さらに、遮光部材13のY方向に沿った長さY3は、光出射面11aのX方向に沿った長さX1以上の長さにわたり、X方向において一定である。これにより、X方向においては一様な照明条件で帯状領域Bを照明することができ、画像品質の均質化を図ることができるとともに、1つのYZ平面上で照明条件を設定すれば、ディッシュ内底面Daの全体で同じ照明条件が保証されることになる。
【0075】
また、この実施形態は、遮光部材13が、ディッシュDと光出射面との間で光出射面11aからディッシュD(より詳しくはそのうちの帯状領域B)に向かう光の一部を遮蔽する遮光位置Paと、該光を遮蔽しない退避位置Pbとの間で移動可能となっており、遮光部材13が遮光位置Paにある状態で撮像対象物を撮像した原画像に対し、遮光部材13が退避位置Pbにあり、かつ光出射面11aと撮像ユニット30との間にディッシュDがない状態で撮像されたバックグラウンド画像に基づいて、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段としての画像処理部430を備えている。このようにシェーディング補正を行うことで、光源11の照射光量ムラや撮像デバイス33の感度ムラ等に起因する画像濃度の変動を補償し、画像品質の劣化を防止することができる。
【0076】
また、第3実施形態においては、撮像対象物に対する撮像を行うのに先立って、光出射面11aのサイズ、遮光部材13のサイズ、遮光部材13とディッシュDとの距離Z3、光出射面11aとディッシュDとの距離Z1のうち少なくとも1つを制御因子として、ディッシュDに入射させる光量を調整する照明条件の最適化処理を実行する。より具体的には、これらの制御因子を制御することで、帯状領域Bに入射する光の方向や光量を調整し、帯状領域Bから出射される透過光成分と散乱光成分とのバランスを調整する。このような構成によれば、例えば装置特性の経時変化や、撮像対象物の光学的特性の違いによらず、最適な照明条件下で撮像を行うことができ、画像品質を最良にすることができる。
【0077】
以上説明したように、上記実施形態においては、撮像対象物たる細胞C等の生物試料を担持するディッシュDが、本発明の「試料容器」に相当し、その内底面Daが本発明の「担持面」に相当している。そして、ステージ21が本発明の「保持手段」として機能しており、ステージ駆動機構421が本発明の「移動手段」として機能している。
【0078】
また、光源11が本発明の「照明手段」として機能しており、光出射面11aが本発明の「光出射部」に相当する。また、撮像ユニット30が本発明の「撮像手段」として機能しており、受光窓32が本発明の「受光部」として機能している。また、遮光部材13が本発明の「遮光手段」として機能し、画像処理部430が本発明の「シェーディング補正手段」として機能している。
【0079】
また、上記実施形態においては、X方向およびY方向がそれぞれ本発明の「第1方向」および「第2方向」に相当している。また、見込み角α、βおよびθがそれぞれ、本発明の「第1の見込み角」、「第2の見込み角」および「第3の見込み角」に相当している。
【0080】
また、上記実施形態の撮像動作において、ステップS103およびS104が一体として、本発明の「第1工程」に相当している。また、ステップS105およびS106がそれぞれ本発明の「第2工程」および「第4工程」に相当する。またステップS101およびS102が一体として、本発明の「第3工程」に相当している。そして、
図7に原理を示す照明条件の最適化処理が、本発明の「第5工程」に相当する。
【0081】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の撮像装置は、撮像対象物である生物試料を担持するディッシュDを略水平姿勢に保持し、その上方から照明光を入射させて下方に出射される光を受光して撮像を行うものであるが、これらの姿勢や位置関係はこれに限定されるものではない。例えば撮像対象物の下方から照明光を入射させ、上方に出射される光を受光する構成においても、上記のように照明条件を設定して撮像を行うことで、同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、照明ユニット10および撮像ユニット30を固定し、ディッシュDを保持するステージ21を移動させることで、撮像対象物に対する撮像ユニット30の走査移動を実現している。これとは逆に、ディッシュDを固定し、照明ユニット10と撮像ユニット30とを移動させるようにしても技術的には等価である。このようにした場合、撮像時にディッシュDが振動して試料に及ぼす影響を低減することができる。
【0083】
また、上記実施形態では、撮像デバイス33および光学系34を同一の筐体31中に近接設置しているが、例えばフラットベッド型ドキュメントスキャナに用いられている光学系のように、入射光の方向をプリズム、ミラー等で変化させながら最終的にイメージセンサに案内する構成であってもよい。この場合、光学系の一部が撮像対象物に対し走査移動されればよく、このように、イメージセンサ自体が撮像対象物に対し移動することは必須ではない。