(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、半導体/マイクロエレクトロニクス製造における重要なプロセスである。イオン注入プロセスは、ドーパント不純物を半導体ウエハに導入するために集積回路の製造で用いられる。イオン源を用いて、ドーパンドガスから種々のイオン種についてよく規定されたイオンビームを発生させる。ドーパントガスのイオン化はイオン種を発生させ、これは引き続いて、所与の加工品に注入することができる。
【0003】
同位体的
に富化されたドーパントガスは、半導体産業においては、広く用いられるドーパントガス前駆体として出現した。ここで用いられ、かつ明細書を通じて用いられる場合、用語「同位体的
に富化された」ドーパントガスおよび
「富化された」ドーパントガスは相互に交換可能に用いられ、ドーパントガスが天然に生じる同位体の分布とは異なる質量同位体の分布を含有し、それにより、質量同位体の1つが天然に生じるレベルで存在するよりも高
い富化レベルを有することを意味する。例えば、58%
72GeF
4とは、58%
の富化で質量同位体
72Geを含有する、同位体的
に富化された、また
は富化されたドーパントガスをいい、他方、天然に生じるGeF
4は27%天然
存在量レベル
で質量同位体
72Geを含有する。
【0004】
注入されるべき所望の原子種
が富化されたドーパントガスを所与の流量で用いることによって、同一の流量で利用される対応する非
富化ドーパントガスと比較して、イオンビームは、より高いビーム電流を生じる。例えば、所与の流量では、58
%富化にて質量同位体
72Ge
が富化された58%
72GeF
4は、27%
の天然
存在量レベル
で質量同位体
72Geを有する天然に生じるGeF
4で生じたビーム電流の2倍高いビーム電流を生じさせることができる。換言すれば、天然に生じるGeF
4と比較して、58%
72GeF
4を利用すると、2倍多くの
72Geイオンが流量の単位容積当たりイオンチャンバーで生じる。より高いビーム電流に加えて
、富化されたドーパントガスは、対応する非
富化ドーパントガスと比較してより少量のドーパントガスを利用する所望の原子種の必要な注入量を達成する能力を可能とする。
【0005】
そのようなプロセスの利点は
、富化されたドーパントガスが、タングステンイオンチャンバーの壁をエッチングし、かつそこでタングステンを蒸着させることができる熱源フィラメントまで移動することができるフッ化タングステン(WFx)種を形成することがよく知られた、フッ素含有ガスである場合に特に有利である。タングステン蒸着物は、グリッチングまたはアーク放電として知られたビーム電流における瞬間的な降下を引き起こしかねない。最終的に、グリッチングおよび/またはグリッチングの周波数がイオン装置が許容できる効率で操作できないような上方閾値に到達すると、イオン源性能が経時的に劣化し、かつ悪化し得る。そのようなシナリオにおいて、ユーザーは注入操作を停止し、かつ蒸着物を清浄化し、またはイオン源を置き換えるようなメンテナンスを行わなければならない。そのような休止時間の結果、イオン注入システムの生産性の喪失が生じる。結局、対応し
て富化されたフッ素含有ドーパントガスを用いることによって、所望の原子種の必要な注入量を達成すれば能力は、より少量のフッ素しかイオン源チャンバーに導入せず、それにより、タングステン蒸着物を低下させ、かつイオン源の寿命を潜在的に延長させる。
【0006】
さらに、その
非富化ドーパントガスと同一の流量で種々
の富化されたドーパントガスを使用すれば、増大したスループットおよび収率の利点が提供される。その
非富化ドーパント類似体と比較して
、富化されたドーパントガスの単位流量当たりの注入でより多くのドーパント原子種が利用可能である。その結果
、富化されたドーパントガスを利用した場合、生産性および収率についての潜在能力は増大する。
【0007】
加えて、必要なイオン注入量を生じさせるのに十分なレベルまでの所望の原子種の同位
体富化は、他の種での二次汚染の問題を排除することができる。今日、イオン源(ソース)ツールの多くは非専用であり、これは、いくつかの異なる原子種が同一のツールを用いて注入されることを意味する。例えば、天然に生じる、または
非富化四フッ化ゲルマニウム(GeF
4)が、
74Geイオン種を注入するのに用いられてきた。なぜならば、それは、GeF
4の他の安定な同位体(すなわち、
70Ge、
72Ge、
73Geおよび
76Ge)と比較して、天然に生じるGeF
4(すなわち、GeF
4)において37%で最も豊富であるからである。これらの源ツールの多くは、また、
75Asを処理し、かつ注入し、これは
74Geでの二次汚染問題を生じさせる。というのは、イオン磁気分離器は、
75Asおよび
74Ge種の間のただ1原子質量単位(a.m.u.)の差による2つの原子種の間の差を認識しないからである。換言すれば、イオン源チャンバーは、従前の生産運転から得られたイオンビームにおける残存
75Asを分解し、または濾過することができない。というのは、慣用的なビームの質量分解能は、
74Geおよび
75As原子種の差を認識できないからである。その結果、
74Geおよび
75Geの双方の種は加工品に誤って注入されかねず、それにより、マイクロエレクトロニクスデバイスを汚染させ、かつその意図された目的に潜在的に適合しなくさせる。汚染は、意図されたゲルマニウム量の6%またはそれ以上に到達できることが示されている。
【0008】
そのような二次汚染を軽減するためには、
75Asから2a.m.u.以上離れた同位体的
に富化された原子種を利用することができると認識されていた。したがって、
72Geにおける天然に生じるGeF
4の同位
体富化は、
72GeF
4の濃度を上昇させることができ、それにより、質量
数72のゲルマニウム同位体は、必要なGe量が
75As二次汚染なくして生じ得るように、27%の天然
存在量レベルから約52%またはそれよりも高くま
で富化される。
72GeF
4の富化されたレベルは、より少量の全ガスを導入するような必要量を達成する。加えて
、富化された
72GeF
4によるより少ない消費は、また、チャンバー成分をエッチングし、タングステンを源フィラメント上に蒸着させるのに利用できるより少量のフッ素イオンを移動させる。
【0009】
そのようなプロセスの利点は、半導体製造工場のようなユーザーが、そのイオン注入プロセスにおける慣用的な
非富化ドーパントガスを、対応す
る富化されたおよび高度
に富化されたドーパントガス類似体で置き換えることを促進した。一般に、マイクロエレクトロニクス産業においては、イオン源ツールが、必要な注入量でもって許容できるウエハを正確かつ信頼性良く製造する能力を示す確立された加工パラメータにて操作するのに従前は適格だったので、イオン注入加工パラメータは、好ましくは、対応す
る富化されたドーパントガスを利用する場合に不変なままである。
【0010】
しかしながら、前記したプロセスの利点に拘わらず、半導体製造工場は、イオン源ツールの従前には適格だった操作パラメータから有意に逸脱しないよう
に富化ドーパントガス類似体を用いる困難に遭遇している。特に、
非富化またはあま
り富化されていないドーパントガスで従前に使用されたのと同一
の富化ドーパントガスの流量でイオン源ツールを操作することは、ビーム電流を、適格なイオンビーム電流からの逸脱を表すレベルまで増大させる。その結果、許容できない製造休止時間に事実上達する時間のかかるプロセスである全イオン注入プロセスを再度適格なものとしなければならない。加えて、増大したイオンビーム電流は
、富化ドーパントガスのイオン化が、フッ化タングステン(WFx)の種々のイオン種を形成できる大量の遊離した利用可能なフッ素イオンを生じさせ
る富化されたフッ素含有ドーパントガスで特に問題である。前記したように、WFx種は、そこでそれらがタングステンを蒸着させることができ、かつグリッチングを潜在的に引き起こし、イオン源を短絡させ得る陰極または源フィラメントを含めたイオン源チャンバー中のより熱い表面まで移動する傾向がある。タングステンが蒸着されるに従い、原子状または分子状フッ素が放出され、さらなるタングステン壁をエッチングするいわゆる「ハロゲンサイクル」を継続するのに利用できる。その結果、末端ユーザーは、フッ素含
有富化ガスの使用は、いくつかの場合において、ハロゲンサイクルを加速することによって源寿命を短くし得ることを観察している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中で用いる場合、そうでないことが示されるのでなければ、全ての濃度は容量%(「vol%」)として表される。
【0018】
同位体的
に富化されたドーパントガスを用いる利点の1つは、同様なビーム電流を達成する
非富化ドーパントガスと比較したガスの総じての流量の低下であると認識されてきたが
、富化ドーパントガスの利用には限界が存在する
。富化ドーパントガスの流量を低下させて、適するイオンビーム電流レベルを維持する試みは可能でないであろう。なぜならば、ドーパントガスの流量の必要な低下は、プラズマを維持することができないようにイオン源を不安定化させるからである。従って、低下した流量
で富化ドーパントガス類似体を利用する場合、イオンビーム電流レベルは許容される適格な範囲内に留まることはできない。
【0019】
本発明は、所定の閾値を超えて同位体的
に富化されたドーパントガスの流量を降下させることがイオンツールを不安定化させ、それにより、チャンバー中の圧力は臨界的閾値を超えて低下することも認識している。低下した圧力は、電子とドーパントガスとの間に、プラズマを持続させ、かつイオン源をアーク放電モードで操作する衝突が不十分に生じることを意味する。換言すれば、電子、イオンおよび中性体の間の衝突についての平均自由行程が増加する。例えば、51%のその対応するあま
り富化されていないバージョンと比較して30%以上、58%
72GeF
4の流量を低下させることは、イオン源ツールを、イオン源ツール中の低下した圧力の結果として不安定化させることが判明している。たとえプラズマが持続されても、ユーザーは、低下したプラズマ効率のためビーム電流のかなりの降下を観察するであろう。一般に、流量についての下限は、いずれのタイプ
の富化ドーパントガスを用いる場合にも、約0.5sccm未満まで落とすべきではないことが観察されている。
【0020】
加えて、低下した圧力下で
の富化ドーパントガスの低下した流量は、アークチャンバーの壁がより熱くなるようにする。より少量のガスはプロセスのいずれの所与の時点においてもアークチャンバーを専有し、それにより、ガスの冷却効果を低下させ、その結果、ハロゲンサイクルの反応速度は、有意に増加し、活性なフッ素はより高い温度でタングステンチャンバーの壁をより迅速にエッチングし、腐食させることができる。
【0021】
本発明は、前記プロセスの限界を認識し、かつ考慮して、イオン注入用
の富化ドーパントガスを用いるためのユニークな解決策を提供する。ここで、種々の実施形態において詳細に記載されるように、本発明は
、富化されたおよび高度
に富化されたドーパントガスをイオン注入する場合に、種々のアプローチを利用して、制御された量だけイオン源に入力される全電力レベルを降下させる。
【0022】
本発明の第一の実施形態において、イオン注入プロセスは、全入力電力をイオン源に対して低下させることによって操作することができる。低下した全入力電力レベルは、対応するあま
り富化されていない、または
非富化ドーパントガスで使用される全電力レベルと比較してより低い。ここで用い、かつ明細書を通じて用いる場合、フレーズ「低下した全電力レベル」は、同一流量において対応するあま
り富化されていない、または
非富化ドーパントガスを用いて生じさせたのと実質的に同様なビーム電流を生じさせる所与の流量において
富化ドーパントガスをイオン注入することに関連するイオン源に入力される全電力レベルを意味する
。富化ドーパントガスの流量は、あま
り富化されていない、または
非富化ドーパントガスの流量と実質的に同一のままとして、イオン注入プロセスを通じてプラズマを持続させるのに十分な少なくとも最小圧力が達成され、かつ維持されるのを確実とすることが意図される。このように、ガスの流量の維持はイオン源の不安定性を回避する。一般に、全電力レベルが対応するあま
り富化されていない、または
非富化ドーパントガスで使用される電力レベルに対して低下されるパーセンテージは5〜30%の範囲であってよい。低下した全電力レベルは
、富化ドーパントガスに利用可能とされた正味の全電力入力が、あま
り富化されていない、または
非富化ドーパントガスを利用する場合に生じたドーパントイオンの実質的に同一の量を維持するレベルまで低下されるように選択される。具体的な低下された全電力レベルの決定は、具体的なドーパントガスのイオン化効率、そ
の富化レベルおよび流量を含めた多数の変数の関数である。
【0023】
低下した全電力レベルで操作することによって
、富化ドーパントガスのイオン化効率は、
非富化ドーパントガスで従前適格であったのと実質的に同一のイオンビーム電流を維持する制御された量まで降下する。換言すれば、イオン源に入力される低下した全電力レベルは、直接的にまたは間接的
に富化ドーパントガスのイオン化効率を意図的に低下させるように設計される。イオン化効率は、電子の数、およ
び富化ドーパントガスと衝突し、かつそれと相互作用する陰極から放出された電子のエネルギーに依存する
。富化ガスは単位流量容量当たりより多くのドーパント原子種を含有するので、低下したイオン化効率における生じ
た富化ドーパントイオンの数は、あま
り富化されていない、または
非富化ガスを使用する場合のそれと同一または実質的に同様なままである。このように、
非富化またはあま
り富化されていないドーパントガスで従前に適格だったビーム電流が維持される。
【0024】
いくつかの適用において、平均したイオン化効率は、対応するあま
り富化されていない、または
非富化ドーパントガスと比較して3倍の大きさだけ低下させてもよい。正確なイオン化効率は、少なくとも部分的には、ドーパントガスのタイプおよびそのドーパントガス
の富化のレベルに依存するであろう。本発明は
、富化ドーパントガスがフッ素含有ガスである場合に特に有利である。というのは、少量の遊離フッ素がチャンバーに導入され、それにより、ハロゲンサイクルの有害効果を低下させるからである。例えば、質量
数72ゲルマニウム同位体が27%の天然
存在量レベルから70%
の富化レベルま
で富化された
72GeF
4のようなフッ素含有ドーパントガスを利用するイオン注入プロセスが、2.5倍だけ低下されるイオン化効率を有してもよいが、依然として、
非富化GeF
4で適格なビーム電流を保有する。
【0025】
入力全電力をイオン源に対して低下させるための多数の手段が考えられる。1つの実施形態において、源フィラメントそれ自体に入力される電力が低下される。本発明の原理に従うと、より低い電力レベルにおいて、より少量の電子が陰極から放出され、それにより
、富化ドーパントガスのより少ないイオン化がもたらされる。ユーザーは、好ましくは、イオン注入が行われる所定のフィラメント電力を選択することによってプロセスの間に生じた所与のイオンの量を制御することができる
。富化ドーパントガスの流量は、
非富化またはあま
り富化されていないドーパントガスの流量と実質的に同一のままであって、プラズマを維持するのに十分な最小圧力を確保する。フィラメント電力は低下されて
、富化ドーパントガスのイオン化効率を低下させて、それにより、
非富化またはより低
い富化ドーパントガスのそれと同様なより高
い富化ドーパントガスから生じたドーパントイオンの数を維持する。その結果、ビーム電流は不変のままである。典型的なフィラメント電力レベルは100〜1000W、好ましくは200〜500W、より好ましくは150〜350Wの範囲とすることができる。最適なフィラメント電力レベルは、少なくとも部分的には、イオン注入プロセスで利用される具体的なドーパントガスおよびドーパントガス
の富化の程度に応じて変化するであろう。例えば、1つの実施形態において、低下した電力操作下では、フィラメント電力は、そのあま
り富化されていないまたは
非富化アナログから変化していない流量において58〜75
%富化での
72GeF
4の高度に同位体的
に富化されたドーパントガスをイオン注入する場合には、175〜350Wの範囲に維持することができる。
【0026】
さらに、本発明の原理に従うと、所定のより低い電力でのフィラメントの操作は、好ましくは、陰極の温度および陰極から放出された電子の対応する数を低下させるように行われる。より低い操作フィラメントおよび陰極の温度は、イオンチャンバーのタングステンチャンバーの壁の温度を直接的に降下させる。タングステンチャンバー壁のより低い温度は、ハロゲンサイクルの反応速度を効果的に低下させる。具体的には、揮発性WFx種を形成するための活性フッ素の反応によって生じるタングステン壁のエッチングの速度は、より低い温度で低下する。プラズマ相で生じた揮発性WFx種の正味の量は、チャンバー壁の腐食の有意な低下によって低下される。そのような低下したフィラメントおよび陰極の温度では、Wを陰極の表面に再度蒸着させるWFxの還元速度が低下する。よって、ハロゲンサイクルのより遅い反応速度はフィラメント上のタングステン蒸着物を最小化し、それにより、
非富化またはあま
り富化されていないドーパントガスに従前は適格であったのと同一のビーム電流を依然として維持しつつ、イオン源の寿命を延長させる。チャンバーのフッ素攻撃および陰極上へのW再蒸着はイオン源の寿命を短くし得る。かくして、操作フィラメント温度を低下させ、かつ低下したイオン化効率を作り出すのに十分なより低い電力下での操作は、
非富化またはあま
り富化されていないドーパントガスに適格なのと同一のビーム電流を有利にも依然として提供しつつ、イオン源の寿命を改良し、かつ延長することができる。
【0027】
本発明は、源フィラメントの温度および陰極からの放出された電子の数の間の関係を利用して、生じるドーパントイオンの全数を制御する。具体的には、源フィラメントが、陰極または陰極カップに向かって加速される電子を生じさせて、温度をその熱イオン放出温度まで上昇させることを担う。陰極から生じた電子は、アークチャンバーに導入された同位体的
に富化されたドーパントガスと相互作用し、かつそれと衝突して、異なるイオンおよび中性体を生じさせる。例えば、その特定の安定な同位体の1つ
が富化されたGeF
4の場合には、生じたイオンおよび中性体はGe
+、F
+、GeF
2+、GeF
+、F
2+、Ge、F、GeF
2等を含むことができる。熱陰極からの放出電子密度(すなわち、陰極から生じ、放出され得る電子の数)は、以下に示されるリチャードソン−ダッシュマン方程式によってその温度に関連付けられる:
J
e=AT
2exp(−φ//kT)・・・・・(1)
[式中、J
e=アンペア/cm
2の単位を有する電子放出電流密度;
A=定数(120アンペア/cm
2/K
2);
T=Kの単位を有する陰極の温度;
φ=eVの単位を有する陰極仕事関数;および
k=ボルツマン定数(11,600eV/K)]。
前記方程式は、陰極から生じ、放出され得る電子の数(すなわち、放出電流密度)が、源フィラメントによって加熱される陰極の温度に直接的に関連することを示す。陰極の温度を降下させることによって、先に示したようにより少数の電子が生じ、これは、陰極からの生じた電子との相互作用および衝突から生じるより少数の
全富化ドーパントガスイオンに移動する。このように、本発明は、源フィラメントの電力レベルおよび温度の低下が、対応するあま
り富化されていないまたは
非富化ドーパントガスで生じたのと比較して同一のビーム電流を維持するようにより少数のドーパントガスイオンを生じさせることを認識している。
【0028】
低下した陰極温度は、イオン源チャンバー壁のより低い操作温度に移る。最も冷たい領域および最も熱い領域におけるイオン源チャンバー壁の操作温度についての典型的な範囲は、各々、500℃〜1100℃のどこかの範囲とすることができる。代替実施形態においては、該温度は400℃〜900℃の範囲とすることができる。一般に、ドーパントガスのより高
い富化レベルは、従前に適格であったビーム電流を維持し、それにより、イオン源の温度を低下させるのにより低いイオン化効率(すなわち
、富化ドーパントガスの所与の流量をイオン化するためのより小さなエネルギー)を必要とするであろう。最適な温度は、少なくとも部分的には、イオン注入プロセスで利用される特定のドーパントガス、ドーパントガス
の富化の程度およびハロゲンサイクルについての既知の反応速度に応じて変化するであろう。例えば、1つの実施形態においては、前記した所定の低下した電力設定下では、最も低温の領域から最も高温の領域までの低下した操作温度は、対応するドーパントガスのより低
い富化レベルの利用から変化しない所与の流量についての約75
%富化での
72GeF
4の高度に同位体的
に富化されたドーパントガスをイオン注入する場合、各々、400℃〜900℃の範囲に維持することができる。タングステンチャンバー壁のより低い温度は、ハロゲンサイクルの速度を低下させ、それにより、イオン源の寿命を延長する。
【0029】
イオン源に対する全電力を低下させるための他の手段が本発明によって考えられる。例えば、代替実施形態において、より低い陰極温度下での操作の同様な効果が、フィラメントおよび陰極の間のバイアス電圧を低下させることによって達成することができる
。富化ドーパントガスの流量は、プラズマを維持するのに十分な最小圧力を確保するために、
非富化ドーパントガスの流量と実質的に同一なままである。バイアス電圧は100V〜600Vの範囲とすることができる。もう1つの実施形態において、バイアス電圧は100V〜575Vの範囲、または別法として、100V〜550Vの間の範囲まで低下させることができる。
【0030】
本発明のなおもう1つの実施形態において、イオンチャンバーにおけるアーク電圧は、所定量降下させて、イオン源に入力される全電力を低下させることができる。本明細書中で用いられる「アーク電圧」は、陰極およびチャンバー壁の間の電位の差と定義される。アーク電圧を所定量だけ低下させることによって、陰極から生じた電子に付与されるエネルギーが低下する。アーク電圧の所定量だけの適切な低下は、好ましくは、プラズマのイオン化効率を降下させる。この実施形態において、プラズマのより低いイオン化効率の結果、より少数の生じたイオンおよび生じたイオンの各々についての低下したエネルギーがもたらされる。高度
に富化されたドーパントガスから生じたドーパントイオンの量は、対応する
非富化またはあま
り富化されていないドーパントガスから生じた対応するドーパントイオンの数に実質的に等しく維持されるが、(イオンおよび中性体を含めた)生じた活性フッ素の正味の量はより少ない。フッ素はハロゲンサイクルの出現のための前駆体であるので、プラズマ相におけるより低いフッ素濃度の結果、ハロゲンサイクルの出現はより低くなり、それにより、イオン源の寿命を改良し、延長する。本発明のアーク電圧は50V〜150Vの範囲とすることができる。もう1つの実施形態において、アーク電圧は50V〜140Vの範囲とすることができる。なおもう1つの実施形態において、アーク電圧は50V〜120Vまたは70V〜110Vの範囲とすることができる。適当なアーク電圧は、少なくとも部分的には、ドーパントガスのタイプおよびそ
の富化レベルに基づいて決定されるであろう。一般に、より低い操作アーク電圧は、ドーパントガスのより高
い富化レベルで可能である。
【0031】
本発明の原理によると、所与の流量では
、富化ドーパントガスに供給された正味の全電力はアーク電圧、アークバイアスおよびフィラメント源への入力電力から決定される。本発明による所与の流量についての3つの操作パラメータの各々の注意深い選択は、種々
の富化ドーパントガスを利用して延長されたイオン源の寿命が達成されるのを可能とする。例えば、3つのパラメータのうちの1つは低下させて、総じての全電力を降下させることができる。別法として、3つのパラメータの各々はわずかに低下させて、総じての全電力を降下させることができる。双方の例において、全電力レベルは、対応するあま
り富化されていないまたは
非富化ドーパントガスで利用された全電力レベルと比較して低下させることができる。正味の全電力の低下は
、富化ドーパントガスのイオン化効率を低下させて、対応するあま
り富化されていないまたは
非富化ドーパントガスを用いて生じたであろうビーム電流を維持し、それにより、双方の場合における
非富化およ
び富化ドーパントガスの流量は不変なままである。
【0032】
種々のドーパントガスを用いて、本発明を実施することができる。例示的なドーパントガスとしてはBF
3、GeH
4、B
2H
6およびBCl
3が挙げられる。多数の安定な同位体を含有する他のドーパントガスを用いてもよい。好ましい実施形態において、ドーパントガスは、Geイオンを注入するための、GeF
4のようなフッ素含有ガスである。Geドーパント種のいずれ
の富化レベルも考えられる。可能
な富化レベルの例としては、限定されるものではないが、50%を超える、55%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える、または90%を超える
72GeF
4が挙げられる
。富化GeF
4および他の同位体的
に富化されたドーパントガスは、ウレンコ(Urenco)(登録商標)のように、種々の製造供給業者から商業的に入手可能である。用いられるGeF
4または他のドーパントガス
の富化レベルは、そのうちのいくつかが、ドーパントガスの流量、必要な注入量のレベル、イオン源の安定性を維持するのに必要な最小流量ならびに陰極の操作全電力レベルおよび温度を含んでもよいパラメータの組合せに基づく。GeF
4の所与
の富化レベルでは、従前に適格であったレベルから逸脱しないビーム電流を維持するために、全電力およびイオン源温度は、好ましくは、対応するあま
り富化されていないまたは
非富化ドーパントレベルで操作した場合に利用されるレベルと比較して、所定の量だけ低下させるべきである。
【0033】
富化GeF
4および他のフッ素含有ガスに関しては、より低い温度におけるフィラメントまたは陰極の操作はタングステンチャンバーの壁の温度を降下させ、それにより、活性なフッ素イオンを介するチャンバー壁の攻撃を低下させる。その結果、より少ないWFx種がプラズマ相に生じる。加えて、低下した陰極温度では、陰極上にWを再蒸着させるためのWFx還元の反応速度もまた低下する。より少量の全WFxは元素Wとして陰極源フィラメント上に再蒸着され、それにより、イオン源の寿命を延長させる。
【0034】
1つの実施形態において、
72GeF
4は55%および70%の間
の富化レベルにおいて選択される。55%〜70%
の富化レベルにおける
72GeF
4、および対応する
非富化ドーパントガスで利用されたのと同一の流量(例えば、1〜3sccmの範囲の流量)範囲の維持を仮定すれば、電力レベルを低下させることができるパーセンテージは、対応するあま
り富化されていないまたは
非富化ドーパントガスについて利用される入力全電力レベルと比較して5〜20%である。一般に、より高
い富化レベルは
、富化ドーパントガスのイオン化効率を減少させるのに電力レベルのより大きな低下を必要とするであろう。別法として、55〜60%の
72Ge
の富化を有する
72GeF
4を利用することができ、そこでは、入力全電力レベルは、流量が1〜3sccmの範囲にある場合、対応するあま
り富化されていないまたは
非富化
72GeF
4ドーパントガスで利用される入力全電力レベルと比較して5〜15%だけ低下する。さらにもう1つの実施形態において、約58
%富化された1〜3sccmの
72GeF
4をイオンチャンバー内に流動させる場合、入力全電力レベルは、約200〜400W、好ましくは200〜375W、より好ましくは200〜350Wの範囲とすることができる源フィラメントに対する入力電力の低下でもって操作することによって低下させることができる。
【0035】
もう1つの実施形態において、
72GeF
4は58%以上の
72Ge
の富化において選択され、200〜500Wの低下したフィラメント電力レベルは、チャンバーの壁が400℃〜900℃の範囲の低下した温度を有し、かつ流量が1sccm〜3sccmの範囲にあるように選択される。
【0036】
もう1つの実施形態において、
72GeF
4の高度
に富化されたレベルは本発明の原理に従って選択することができる。例えば、70%を超え、かつ80%未満
の富化レベルを用いてもよい。70%および80%間
の富化レベルの
72GeF
4をイオン注入し、かつ対応する
非富化またはあま
り富化されていないGeF
4ドーパントガスで利用されるのと同一のイオン源チャンバーへの流量範囲(例えば、1〜3sccm)に維持すると、電力レベルを低下させることができるパーセンテージは20%〜30%であってよい。源フィラメントに供給される現実の電力は約175〜350W、好ましくは175〜325W、より好ましくは175〜300Wの範囲であってよい。
【0037】
低下した電力レベルは、好ましくは
、富化
72GeF
4の適切なイオン化を付与して
72Geの必要な注入量を達成するのに十分であるが、ハロゲンサイクルの効果が最小化されるようにチャンバー壁および源フィラメントの温度を降下させるのに十分低いエネルギーを維持するように選択される。その結果
、富化
72GeF
4を用いる場合、ハロゲンサイクルによるイオン源チャンバー中の望まない蒸着物を低下させることができる。慣用的なプロセスとは異なり、本発明は
、富化ドーパントガスの流量を低下させる必要性なくしてより高
い富化ドーパントガスを用いる場合に、イオン源の寿命が延長されるのを可能とする。
【0038】
低下したガス消費が主たる設計の目的であれば、低下した流量の同位体的
に富化されたドーパントガスを、安定化ガスと組み合わせてチャンバーに導入してよいことは理解されるべきである。安定化ガスの説明に役立つ実例としては、限定されるものではないが、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、種々の他の不活性ガスおよびそのいずれかの組合せが挙げられる。安定化ガスは、ガスの合計最小流量を、少なくとも、イオン源中の最小圧力を維持して、プラズマを持続するのに必要な最小閾値まで増大させる。チャンバーに導入され
た富化ドーパントガスのより低い流量に応答して、イオン源に入力された全電力レベルは、同一
に富化されたドーパントガス(例えば、58%
72GeF
4)についての流量が低下しない先の実施形態に記載されたものよりもわずかに高く設定してもよい。このように、比較的わずかにより高い電力は、制御器によりドーパントガス(例えば、58%
72GeF
4)のイオン化効率を増大させて、低下した流量によって、チャンバーに導入された
72Geドーパント種の低下した数を埋め合わせる。それ自体、製造される
72Geイオンの合計数は一定なままであり、適格なビーム電流が達成され、かつイオン注入プロセスの間に維持されることを可能とする。そのような技術は、同等な注入量を実施するのに、より少ないガスの消費を可能とする。1つの例において、質量
72Geの58%
の富化レベルの0.7sccm
72GeF
4は、安定化ガスなくして1sccmの58%
72GeF
4で用いられる低下した電力レベルと比較してわずかに増大した(例えば、1〜10%)電力レベルにおいて0.3sccmの安定化ガス(例えば、アルゴン)と共に流動させることができる。別法として、0.3sccmの不活性化ガスで0.7sccmの58%
72GeF
4をイオン化する場合の電力レベルは、例えば、
72Geイオンが双方の場合において同一の量で生じるように、約1sccmにてチャンバーに導入される50%の対応するあま
り富化されていない
72GeF
4で使用される実質的に同一の電力レベルであるレベルまで増加させてもよい。限定されるものではないが、ドーパントガスの選択、ドーパントガス
の富化レベル
、富化ドーパントガスの流量、安定化ガスの選択、安定化ガスの流量、イオン源チャンバーの温度、およびイオン源に入力された全電力レベルを含めた種々の鍵となる設計変数の具体的な組合せがイオン源の寿命に影響するであろう。
【0039】
本発明の原理に従い、安定化ガスを含まな
い富化ドーパントガスについての流量は、少なくとも下限に、またはそれを超えて維持して、イオン源の安定性を維持すべきであるが、それを超えては、イオン源チャンバー中の圧力が、再結合反応が起こり得るように不合理に高くなる上限を超えるべきではない。具体的には、ドーパントイオンは再結合して、中性相化合物を形成する傾向がある。正味の効果は生じたイオンの総じての低下した数であり得るが、これは、比例して、注入で利用可能な低下したビーム電流に移って、必要な量を達成する。加えて
、富化ドーパントガスが
72GeF
4のようなフッ素含有ガスであれば、上限を超える流量での操作は過剰なフッ素をイオンチャンバーに導入し、それにより、ハロゲンサイクルの効果を悪化させ、かつ該源の寿命を短縮させる。一般に、流量についての上限は5sccmを超えるべきではない。5sccmでの、またはそれ未満での操作は、フッ素含有ガスを使用すれば、ハロゲンサイクルの効果の加速を抑制することができる。従って、最適なイオン注入プロセスは、好ましくは、1sccm以上のドーパントガスの流
動富化レベルを使用して、イオン源の不安定性を克服し、および5sccm以下のドーパントガスの流
動富化レベルを使用して、再結合反応およびビーム電流の低下を回避する。好ましい実施形態において、流量は、前記した低下した電力レベルで操作する場合、75%以上に
72Ge
が富化された
72GeF
4については1〜3sccmの間の範囲である。上方および下方流量の間
の富化ガスの適当な流量の選択は、種々の前記した鍵となるプロセスパラメータを含めた、具体的なイオン注入プロセスそれ自体に依存するであろう。
【0040】
いずれの亜大気圧貯蔵および真空作動送達デバイスを利用して
、富化ドーパントガスを貯蔵し、送達することもできることが理解されるべきである。好ましい実施形態において、プラクスエア(Praxair)(登録商標)によって商業的に入手可能であって、その全てがここに引用してその全体が援用される米国特許第5,937,895号;同第6,045,115号;同第6,007,609号;同第7,708,028号;および同第7,905,247号に開示されたアップタイム(Uptime)(登録商標)送達デバイスを本発明で使用して、制御された流量
の富化ドーパントガスをイオン源に安全に送達することができる。圧力条件が亜大気圧条件を達成すると、該送達デバイスは、拘束され
た富化ドーパントガスが流体放出ラインを通ってシリンダーからイオン装置に流動することを可能とする。
【0041】
図1および2を参照し、本発明の原理に従った例示的なイオン注入装置100が示される。具体的には、1つの例において、
72Geイオンを半導体基板に注入するための電子ビームを生じさせるのに
図1のイオン源装置100を用いることができる。
72Geイオンは、55%以上に
72Ge
が富化された
72GeF
4のイオン化から生じる
。富化
72GeF
4は、好ましくは、流れ102として入口ライン113を通って亜大気圧貯蔵および送達容器201(
図2)からチャンバー103に導入される。流れ102は、約1〜5sccm、またはより好ましくは1〜3sccmの範囲の流量で導入することができる。イオン源100に入力された全電力レベルは、あま
り富化されていないまたは
非富化GeF
4ドーパントガスで利用される全電力レベルと比較して低下される。一般的に言えば、
72GeF
4のより高
い富化レベルの利用は、イオン源100に入力される全電力レベルがさらに減少して、チャンバー113への単位流動当たりの生じた
72Geイオンの数の低下を可能とすることを必要とするであろう。
【0042】
図1に描かれたイオン源100は
、富化
72GeF
4をその対応するイオンにイオン化するためのイオン源として働く間接的に加熱された陰極(IHC)115の源フィラメント114を含めた種々の構成要素を有する。例えば、フリーマン(Freeman)源、ベルナス(Bernas)源およびRFプラズマ源を含めた、当該分野で知られた他の適当なタイプのイオン源を使用することができるのは理解されるべきである。
【0043】
電力供給源(図示せず)は、陰極115に近接して位置したタングステン系フィラメント114を抵抗により加熱する。フィラメント114は陰極115に対して負にバイアスをかけてもよい。電力供給源を通って電流がフィラメント114に印加されて、フィラメント114を抵抗により加熱する。インシュレーター118が設けられて、陰極115をアークチャンバー壁114から電気的に隔離する。低下した電力レベルは、好ましくは、陰極115の温度を降下させるが
、富化
72GeF
4の適切なイオン化を維持して、
72Geの必要な注入量を達成するように選択される。イオンチャンバー112の壁および源フィラメント114の温度も低下され、それにより、ハロゲンサイクルの有害効果を緩和する。
【0044】
低下した電力および温度は、より少数の電子を陰極115から発生させ、これは陰極115からの発生した電子との相互作用および衝突から生じるより少数の総じての
72Geイオンに移動する。陰極115は、また、より低いエネルギーのものであるより少数の電子を生じさせる。同様に、同一のビーム電流が、対応するあま
り富化されていないGeF
4(例えば
、富化GeF
4からの50〜52%
で富化された
72Ge)または
非富化GeF
4(すなわち、
非富化GeF
4から27%
の天然
存在量レベルで天然に生じる
72Ge)のように生じ得るが、それにより、イオン源100の寿命は、チャンバー113で生じたより少ない遊離フッ化物イオンおよびタングステンチャンバーの壁に沿ってのその中のより低い温度の結果として延長される。
【0045】
依然
図1を参照し、陰極115からの放出された電子
は富化
72GeF
4を加速し、それをイオン化して、チャンバー112内でプラズマ環境を生じさせる。1〜3sccmの流量は、イオン注入プロセスの間にチャンバー112中のプラズマの安定性を維持するのに十分高い。リペラ電極116は負の電荷を形成して、電子
を富化
72GeF
4に向けて遠ざけ、それと衝突させ
、富化
72GeF
4のイオン化を持続する。このように、プラズマ環境が、イオン源100の安定性を維持するのに十分なままである圧力にてアークチャンバー112において維持される。
【0046】
リペラ電極116は、好ましくは
、富化
72GeF
4のイオン化をチャンバー112内に維持するように、陰極115に対して実質的に直径方向に対向して構成される。アークチャンバーの壁111は、それを通ってよく規定されたイオンビーム121がアークチャンバー112から外に取り出される取出開口117を含む。取出システムは、取出開口117の前方に位置した、取出電極120および抑制電極119を含む。取出および抑制電極120および119の双方は、よく規定されたイオンビーム121の取出のための取出開口117と整列した各開口を有する。
【0047】
図2は、ビーム・ライン・イオン注入システム200に組み込まれた
図1のイオン源装置100を示す。55%以上
の富化
72GeF
4がガスボックス201から導入される
。富化
72GeF
4はイオン源チャンバー100に導入され、そこで、エネルギーがチャンバーに導入されて、既に記載されたように
72GeF
4をイオン化する。質量流量制御器および弁を含む流動制御デバイス219を用いて、1〜3sccmの所望の流量
に富化ドーパントガスの流動を制御する。
【0048】
あま
り富化されていない
72GeF
4または
非富化GeF
4から生じたビームと同様に維持された所望の電流における所望の
72Geイオンビームの発生に際し、イオンビーム取出システム201を用いて、所望のエネルギーのイオンビーム121の形態にてイオン源チャンバー113からイオンを取り出す。取出は、取出電極を横切って高い電圧を印加することによって行うことができる。取り出されたビーム221は質量アナライザー/フィルター205を通って輸送されて、注入すべき
72Ge種を選択する。次いで、濾過されたイオンビーム207を加速/減速し206、および
72Geドーパント原子種の標的加工品209への注入のために末端ステーション210に位置した該加工品209の表面まで輸送することができる。ビームの
72Geイオンは、所望の電気および物理特性を持つ領域を形成する特異的な深さにて該加工品209の表面と衝突し、該表面を貫通する。
【0049】
代替実施形態において、55%以上
の富化72GeF
4を約1〜3sccmの範囲の流量で導入し、それにより、フィラメント114および陰極115の間のバイアスは低下する。バイアス電圧は100V〜600Vの間の範囲とすることができる。このように、チャンバー113中
の富化GeF
4ドーパントガス103に付与された正味のイオン化エネルギーが低下して、所望の数の
72Geイオンを生じさせて、適格なビーム電流を維持する。さらに、低下したバイアス電圧は陰極115のより低い温度を生じさせ、それにより、ハロゲンサイクルの有害な効果を低下させる。
【0050】
さらなる代替実施形態において、イオンチャンバー113におけるアーク電圧を所定の量だけ降下させることができる。具体的には、陰極115およびチャンバー壁111の間のポテンシャルの差が低下する。1つの実施形態において、本発明のアーク電圧は50V〜150Vの範囲とすることができる。アーク電圧を所定の量だけ低下させることによって、陰極115から発生した電子に付与されたエネルギーは低下する。アーク電圧の適当な低下は、好ましくは、プラズマのイオン化効率を降下させて、対応する
非富化またはあま
り富化されていない
72GeF
4から生じた対応する
72Geイオンの数と実質的に同等な
72Geイオンの量を維持する。このように、(イオンおよび中性体を含めた)生じた活性なフッ素の正味の量は少量であり、その結果、ハロゲンサイクルの出現は少なくなり、それにより、イオン源の寿命を改良し、延長する。
【0051】
別法として、アークバイアス、アーク電圧および陰極115に対する入力電力のいずれの組合せを低下させて、イオン源100に入力された総じての全電力を降下させることができるのは理解されるべきである。全電力レベルの低下は、ユーザーが
、富化されたおよび高度
に富化されたドーパントガスをイオン注入するプロセスの利点を実現するのを可能とする。
【0052】
本発明の一部の実施形態であると考えられるものを示し、かつ記載してきたが、もちろん、発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態または詳細の種々の改変および変更を容易になすことができると理解されるであろう。従って、本発明は示しかつ記載した本明細書中における正確な形態および詳細に限定されるものではなく、また本明細書中に開示され、かつ以下に特許請求される発明の全体未満のものに限定されないことが意図される。