特許第5775587号(P5775587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775587ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料、及び、その調合法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775587
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料、及び、その調合法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20150820BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 51/42 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C08G61/12
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250G
   H01L29/28 310J
   H01L29/78 618B
   H01L31/04 D
   H05B33/14 B
   H01L29/28 250H
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-527437(P2013-527437)
(86)(22)【出願日】2010年9月10日
(65)【公表番号】特表2013-544897(P2013-544897A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】CN2010076802
(87)【国際公開番号】WO2012031403
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2013年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512331256
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンス アンド テクノロジー シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ミンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】グアン,ロン
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−100669(JP,A)
【文献】 特開平06−166746(JP,A)
【文献】 特表2011−514913(JP,A)
【文献】 特表2011−515505(JP,A)
【文献】 特表2013−534938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00−61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学構造式(式22)を有する、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料:
【化22】
ここで、nは、1〜100の整数である。R,R,およびRは、それぞれ水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼンである。RとRは、それぞれC〜C20アルキル基である。RとRは、それぞれ、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基である。
【請求項2】
以下のステップを含む、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法:
無酸素の環境で、触媒と有機溶媒の存在下で、化学構造式(式23)が以下で示されるペリレンテトラカルボン酸ジイミドジブロミドと、
【化23】
以下の化学構造式(式24)を有する2−5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロール誘導体、
【化24】
と、を製造するステップ、
シュティレカップリング反応を行い、以下の化学構造式(25)を有するペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料を含む反応混合溶液を得るステップ。
【化25】
ここで、nは、1〜100の整数である。R,R,およびRは、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼンであり、RとRは、C〜C20アルキル基であり、RとRは、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基である。
【請求項3】
前記触媒が総材料の0.01%〜20%のモル比で加えられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。
【請求項4】
前記触媒が有機的パラジウム、又は、有機的パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物である、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。
【請求項5】
前記有機パラジウムは、Pd(dba),Pd(PPh,Pd(PPhCl,の少なくとも一つであり、
有機ホスフィン配位子は、P(o−Tol)である、
ことを特徴とする請求項4に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。
【請求項6】
有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子の混合物において、有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子のモル比が1:1から20である、
ことを特徴とする請求項4に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。
【請求項7】
前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼンまたはトルエンの少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項2に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。
【請求項8】
前記シュティレカップリング反応において、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドジブロミドと、2−5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロール誘導体のモル比は、1:1から2:1であり、前記シュティレカップリング反応は24時間から72時間の反応時間の間、50℃から130℃の温度で起こる、
ことを特徴とする請求項2に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。
【請求項9】
前記シュティレカップリング反応の後、反応混合物溶液について、さらに、
沈殿処理のためにメタノールに反応混合溶液を滴状に加え、吸気フィルタリング、メタノール洗浄、乾燥させることで、不純物を含む有機半導体材料コロイドを得るステップ、
有機半導体材料を含むトルエン溶液を得るために、トルエンに溶解させるステップ、
前記有機半導体材料を含む前記トルエン溶液をナトリウムジエチルジチオカルバメートに加え、80℃−100℃で加熱、攪拌をし、有機半導体材料を分離するためにアルミナクロマトグラフィーカラムに混合物溶液を通して、クロロベンゼンを含んで溶出させた後、クロロベンゼン系有機溶媒の減圧除去がなされ、最終的に、アセトンソックスレーで有機半導体材料を抽出し、結果、固形の有機半導体材料を得るステップ、
を含む精製処理ステップが施される、
ことを特徴とする請求項2に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法。

【請求項10】
ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学メモリ、有機非線状デバイス、又は、有機レーザーデバイスに用いられる、
請求項1に記載のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体材料に関し、より詳しくは、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料に関する。
【0002】
また、本発明は、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の調合法とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光電池の分野において、低コストで高能率な太陽電池を製造することや、安価な材料を使用することは、研究のホットスポットであり、また、課題とされていた。グラウンド(ground)のために用いられる現在のシリコン太陽電池は、製造工程が複雑であり、高コストであるため、その応用が制限されるものであった。製造費を減らし、応用の範囲を広げるために、人々は長い間新しい太陽電池材料を研究してきた。ポリマー太陽電池は、低価格の原料、計量、柔軟性、シンプルな生産プロセス、コーティングによるコーティング、印刷、および他の手段による大面積での工程が可能である、といった利点があり、多くの注目を集めてきた。エネルギー変換効率を市販のシリコン太陽電池に近いレベルまで向上させることができれば、非常に巨大な市場の見通しがあるといえる。結合ポリマーとC60の間での光誘起電子移動現象について、N. S.Sariciftci他が、1992年にサイエンス(N.S Sariciftci、L.Smilowitz、A.J.Heeger他、1992,258,1474)で報告して以来、ポリマー太陽電池に関して多くの研究がなされ、急速な開発がなされた。現在、ポリマー太陽電池の研究は、主にそのドナーと受容体のブレンドシステムにフォーカスされている。PTB7とPC71BMのブレンドシステムのエネルギー変換効率は、7.4%に達したが(Y. Liang et al.、Adv. Mater.;DOI:10.1002/adma.200903528)、それでも、多くの無機太陽電池のものよりも低いものである。性能向上を制限する主な限界因子として、以下のものがある。有機物半導体デバイスは、比較的低いキャリヤ移動性能を有し、太陽放射線スペクトルにマッチしないスペクトル反応を有し、高光子束を有する赤色光領域が有効に使用されず、キャリヤが低い電極収集率有する、などである。ポリマー太陽電池を実際に応用するために、新素材の開発と、エネルギー変換効率の大幅な向上が、いまだ優先されるべき研究領域である。
【0004】
ペリレンテトラカルボン酸ジイミドとその誘導体は、大きな共ベンゼン環平面構造と、2つのイミン環構造を有し、可視光領域で強い吸収性を有し、高い光、熱、環境に対する安定性、高電子親和性(低LUMOレベル)を有し、さらに、大きな共役π結合間のπーπのスタッキングによる積層方向に沿った高い電子移動性能を有する。したがって、有機太陽電池などのさまざまな分野において、広く応用される見通しがある。しかしながら、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドとその誘導体は、大きな平面の共役システムを有するとともに、分子共平面性、分子間の大きなπ結合による強い相互作用、高い格子エネルギーを有するため、溶解性が悪く、被膜形成性が悪く、その結果、製造されたデバイスにフェーズ分離の問題を引き起こす傾向を生させ、その結果、励起子拡散効率に影響し、エネルギー損失に繋がることになる。さらに、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドとその誘導体は、可視領域に吸収スペクトルが主に集中し、吸収域が十分に広くなく、日光の発光スペクトルにマッチする角度が十分高くなく、これにより、日光を効果的に利用することができず、有機太陽電池の光電変換効率を減少させることにもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題を解決するために、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料を提供するとともに、その調合法、及び、有機半導体材料としての使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料は、以下の化学構造式(化1)を有する:
【化1】
ここで、nは、1〜100の整数である;R,R,およびRは、それぞれ水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼンである;RとRは、それぞれC〜C20アルキル基である;RとRは、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基である。
【0007】
上記のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料は、以下の方法で準備される。
【0008】
無酸素の環境で、以下の化学構造式(式2)で示されるペリレンテトラカルボン酸ジイミドジブロミド
【化2】
と、
以下の化学構造式(式3)を有する2−5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロール誘導体
【化3】
と、
を、1:1〜2:1のモル比で、50℃から130℃の温度で、触媒と有機溶媒溶液中において、24時間から72時間、シュティレカップリング反応を行い、以下の化学構造式(式4)を有するペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料を含む反応混合溶液を得る。
【化4】
【0009】
有機溶媒溶液は、テトラヒドロフラン(THF、以下同様)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、以下同様)、ベンゼン、又は、トルエンの内の少なくとも一つであり、触媒は、有機パラジウム触媒、或いは、有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子の混合物であって、有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子のモル比が1:1から20であり、有機パラジウムがPd(dba),Pd(PPhまたはPd(PPhClであり、有機ホスフィン配位子がP(o−Tol)であり、総材料の0.01%から20%のモル比において上記触媒を加える。
反応式は以下の通りである:
【化5】
ここで、nは、1〜100の整数である。R,R,およびRは、それぞれ水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼンである。RとRは、それぞれC〜C20アルキル基である。RとRは、それぞれ、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基である。
【0010】
本発明の他の目的は、上記の有機半導体材料について、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学メモリ、有機非線状デバイス、および有機レーザーデバイスなどの分野についての使用方法を提供することである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、少なくとも以下の利点を既存技術と比較して有する。
【0012】
本発明はジシエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロールユニットを含むペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料を開発した。その溶解牲は以下の2つの方法で改良された。1つは「bay」位置(ベイ領域)で置換基を導入する方法である。もう一つの方法は、ジチエノを有するペリレンテトラカルボン酸ジイミドモノマーとジシエノ[3,2−b:2,3−d]シロールモノマーを共重合することである。さらに、ジシエノ[3,2−b:2,3−d]シロールは、完全に平坦な結晶構造を有し、結晶構造単位における2個のチオフェン環が同一平面状に存在する。この構造は、効果的にポリマーの共役性を長持ちさせ、ポリマーの帯域幅を減少させることができる。そして、このような共平面構造は、2個の主鎖間でのキャリヤの移動を容易にし、その結果、キャリヤ移動性能が増加する。さらに、処理特性を改良するために、アルキル鎖をジシエノ[3,2−b:2,3−d]シロールに導入することで、溶解性を向上することができる。したがって、上記の特性により、ジシエノ[3,2−b:2,3−d]シロール構造単位を含む素材は、有機太陽電池の分野において、非常に幅広い研究がなされた。そこで、我々は、ジシエノ[3,2−b:2,3−d]シロールユニットを電子不足ペリレンテトラカルボン酸ジイミドユニットに導入し、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドによって共重合されるドナー受容体構造を形成し、ポリマーのバンドギャップを調整し、その吸収バンドエッジを赤外線と近赤外領域に向かって押し動かすこととする。改質されたペリレンテトラカルボン酸ジイミドは、良好な溶解牲、強い吸収性、近赤外領域まで広がる広い吸収域を有し、これにより、日光の利用率を向上させ、良好な安定性と電荷移送性能を有し、これにより、有機太陽電池分野などにおいて有効に利用される見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1は、活性層として本発明の有機半導体材料を有する有機太陽電池デバイスの構造概略図である。
【0014】
図2は、発光層として本発明の有機半導体材料を使用する有機エレクトロルミネセンスデバイスの構造概略図である。
【0015】
図3は、有機半導体層として本発明の有機半導体材料を有する有機電界効果トランジスターの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、以下の化学構造式(式6)を有するペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料を提供する。
【化6】
ここで、nは、1〜100の整数である。R,R,およびRは、同一、或いは、相違し、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼン、などを含むグループから選択される。RとRは、C〜C20アルキル基であり、RとRは、同一、或いは、相違し、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基を含むグループから選択される。
【0017】
上記のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料は、以下の方法で準備される。
【0018】
ステップS1: 無酸素の環境で、触媒と有機溶媒溶液の存在下、以下の化学構造式(式7)のペリレンテトラカルボン酸ジイミドジブロミド
【化7】
と、
以下の化学構造式(式8)を有する2−5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロール誘導体
【化8】
と、を、1:1〜2:1のモル比で、50℃から130℃の温度で、24時間から72時間、シュティレカップリング反応を行い、以下の化学構造式(式9)を有するペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料を含む反応混合溶液を得る。
【化9】
有機溶媒溶液はテトラヒドロフラン(THF、以下同様)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、以下同様)、ベンゼン、又は、トルエンの内の少なくとも一つであり、触媒は、有機パラジウム触媒、或いは、有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子の混合物であって、有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子のモル比が1:1から20であり、有機パラジウムがPd(dba),Pd(PPhまたはPd(PPhClであり、有機ホスフィン配位子がP(o−Tol)であり、総材料の0.01%から20%のモル比において上記触媒を加える。
反応式は以下の通りである。
【化10】
ここで、nは、1〜100の整数である。R,R,およびRは、同一、或いは、相違し、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼン、などを含むグループから選択される。RとRは、C〜C20アルキル基であり、RとRは、同一、或いは、相違し、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基を含むグループから選択される。
【0019】
ステップS2: 沈殿処理のためにメタノールにステップS1の反応混合溶液を滴状に加え、吸気フィルタリング、メタノール洗浄、乾燥させることで、不純物を含む有機半導体材料を得る。次に、有機半導体材料を含むトルエン溶液を得るために、トルエンに溶解させる。
【0020】
ステップS3: そして、有機半導体材料を含むトルエン溶液をナトリウムジエチルジチオカルバメートに加え、80℃−100℃で加熱、攪拌をし、有機半導体材料を分離するためにアルミナクロマトグラフィーカラムに混合物溶液を通して、クロロベンゼンを含んだ浸出の後に(リーチング)、クロロベンゼン系有機溶媒の減圧除去がなされ、最終的に、アセトンソックスレーで有機半導体材料を抽出し、結果、固形の有機半導体材料が得られる。
本発明では、以下の化学構造式(式11)で示されるペリレンテトラカルボン酸ジイミドジブロミド
【化11】

以下の化学構造式(式12)を有する2−5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロール誘導体、
【化12】

は、既存技術により準備されるため、ここでは説明はしない。
【0021】
本発明における無酸素環境は、窒素、及び/又は、不活性ガスを混合することによって提供される。
【0022】
本発明は、シロールユニットを含むペリレンテトラカルボン酸ジイミドコポリマー有機半導体材料を開発した。その溶解牲は以下の2つの方法で改良された。1つは「bay」位置(ベイ領域)で置換基を導入する方法である。もう一つの方法は、ジチエノを有するペリレンテトラカルボン酸ジイミドモノマーと他のモノマーを共重合することである。
【0023】
チオフェンの五員環構造は、ヒュッケル則(Huckel’s rule)と一致し、適度のバンドギャップ、広いスペクトル反応、良好な熱安定性及び環境安定性を有する。したがって、チオフェン有機半導体材料は有望材料であり、その、光起電分野での利用は広く研究されてきた。
【0024】
シロールは、シラシクロペンタジエンとして、シクロペンタジエン製品と見なすことができ、その炭素橋は、ブタジエンジの両端を接続し、シリコンによって代用される。ブタジエンジ共役系へのシリコン原子の導入の後に、Si−C単結合はブタジエンジの共役リングに垂直となり、Siの原子リングの外側の2つのσ結合のσ軌道は、ブタジエンジ部分のπ軌道と共役されて、σ−π共役を形成し、例えば、ピロール、フラン、およびチオフェンといった他の5員環の芳香族複素環よりもLUMOエネルギーレベルが低いシロールが形成される。芳香族化合物の特異構造と低LUMOエネルギーレベルは、シロールに、特別な光起電特性を与える。ジフェニールシロールユニットは、2個の6員環ベンゼン環と1個の5員環を有するシロールリングの両方を含むユニットであり、その良好な平面度と共役の角度により、アルキル基などの置換基を、溶解牲と溶液加工性の特性を改良するために、シロールの1,1,3,4位置に導入することが可能である。このようにして、我々は、ジフェニールシロールユニットをペリレンテトラカルボン酸ジイミドと共重合し、ポリマーのバンドギャップを調整し、吸収バンドエッジを赤外線と近赤外領域に向かって押すこととする。改質されたペリレンテトラカルボン酸ジイミドは、良好な溶解牲、強い吸収性、近赤外領域まで広がる広い吸収域を有し、これにより、日光の利用率を向上させ、良好な安定性と電荷移送性能を有し、これにより、有機太陽電池分野などにおいて有効に利用される見通しを有する。
【0025】
本発明の好ましい実施例を、図面を参照して、以下に詳細に説明する。
実施例1
ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−メチルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1,3,4−テトラメチル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=8)の準備:
【化13】
【0026】
窒素の保護環境下で、気泡窒素を、0.5mmolのN,N’−ジ(3,4,5−トリ−メチルベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1,3,4ーテトラメチル−2,5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するDMF溶液(18ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、0.015mmolのPd(dba)と0.030mmolのP(o−Tol)を加え、残留酸素を取り除くために、気泡窒素を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−メチルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1,3,4−テトラメチル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=8)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を80℃で48時間かけて加熱する。
【0027】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を90℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出する。メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=80500,Mw/Mn=2.76の、ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−メチルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1,3,4−テトラメチル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=8)の固形物を得る。
【0028】
実施例2
ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジメチルアルコキシ−4−ドデシルオキシベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジオクチル−3,4−ジフェニル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=25)の準備:
【化14】
【0029】
窒素の保護環境下で、気泡窒素を、0.5mmolのN,N’−ジ(3,5−ジメチルアルコキシ−4−ドデシルオキシベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1‐ジオクチルー3,4−ジフェニル−2,5−ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するジオキサン溶液(15ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、10mgのPd(PPhClを加え、残留酸素を取り除くために、気泡窒素を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジメチルアルコキシ−4−ドデシルオキシベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジオクチル−3,4−ジフェニル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=25)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を85℃で36時間かけて加熱する。
【0030】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を90℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出する。メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=42800,Mw/Mn=2.94の、ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジメチルアルコキシ−4−ドデシルオキシベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジオクチル−3,4−ジフェニル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=25)の固形物を得る。
【0031】
実施例3
ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−エイコシルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1,3,4−テトラエイコシル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=100)の準備:
【化15】
【0032】
窒素の保護環境下で、気泡窒素を、0.5mmolのN,N’−ジ(3,4,5−トリ−エイコシルベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1,3,4ーテトラエイコシル−2,5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するトルエン/TFT溶液(30ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、8mgのPd(PPhを加え、残留酸素を取り除くために、気泡窒素を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−エイコシルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1,3,4−テトラエイコシル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=100)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を80℃で72時間かけて加熱する。
【0033】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を80℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出し、メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=371800,Mw/Mn=3.12の、ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−エイコシルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1,3,4−テトラエイコシル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=100)の固形物を得る。
【0034】
実施例4
ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジ−ドデシルオキシ−4−エイコシルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジ−ジオクチル−3,4−ジ−ドデシルオキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=43)の準備:
【化16】
【0035】
アルゴンの保護環境下で、気泡アルゴンを、0.52mmolのN,N’−ジ(3,5−ジ−ドデシルオキシ−4−エイコシルベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.50mmolの1,1‐1‐ジ−オクチルー3,4−ジ−ドデシルオキシ2,5−ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するベンゼン溶液(20ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。5mgのPd(PPhClを加え、気泡アルゴンの供給を続け、0.5時間かけて残留酸素を除去し、その後、ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジ−ドデシルオキシ−4−エイコシルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジ−ジオクチル−3,4−ジ−ドデシルオキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=43)を含有する反応混合溶液を得るために、130℃で24時間かけて加熱する。
【0036】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を80℃まで加熱して、1晩撹拌し、有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出する。メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=116900,Mw/Mn=2.95の、ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジ−ドデシルオキシ−4−エイコシルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジ−ジオクチル−3,4−ジ−ドデシルオキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=43)の固形物を得る。
【0037】
実施例5
ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジ−20ベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジ−ジドデシル−3,4−ジ−ジメトキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=81)の準備:
【化17】
【0038】
窒素とアルゴンの保護環境下で、気泡窒素と気泡アルゴンを、0.51mmolのN,N’−ジ(3,5−ジ−20ベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1‐ジ−ドデシル‐3,4−ジメトキシ−2,5−ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するトルエン/DMF溶液(25ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、10mgのPd(PPhを加え、残留酸素を取り除くために、窒素とアルゴンの混合物を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジ−20ベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジ−ジドデシル−3,4−ジ−ジメトキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=81)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を70℃で40時間かけて加熱する。
【0039】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を80℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをする。3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出する。メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=189600,Mw/Mn=2.88の、ポリ(N,N−ジ−(3,5−ジ−20ベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジ−ジドデシル−3,4−ジ−ジメトキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=81)の固形物を得る。
【0040】
実施例6
ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−トリフェニルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジメチル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=7)の準備:
【化18】
【0041】
窒素の保護環境下で、気泡窒素を、0.75mmolのN,N’−ジ(3,4,5−トリ−フェニルベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1−ジメチル−2,5ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するジオキサン/THF溶液(18ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、8mgのPd(PPhClを加え、残留酸素を取り除くために、気泡窒素を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−トリフェニルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジメチル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=7)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を50℃で72時間かけて加熱する。
【0042】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を90℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出し、メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=9120,Mw/Mn=2.72のポリ(N,N−ジ−(3,4,5−トリ−トリフェニルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジメチル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=7)の固形物を得る。
【0043】
実施例7
ポリ(N,N’−ジ−(3−フェニル−4−p−メトキシフェニルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジメチル−3,4−ジエイコシル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=15)の準備:
【化19】
窒素の保護環境下で、気泡窒素を、0.65mmolのN,N’−ジ−(3−フェニル−4−p−メトキシフェニルベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1−ジメチルー3,4−ジ−エイコシル−2,5−ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するジオキサン/THF溶液(20ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、9mgのPd(PPhClを加え、残留酸素を取り除くために、気泡窒素を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N’−ジ−(3−フェニル−4−p−メトキシフェニルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジメチル−3,4−ジエイコシル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=15)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を75℃で72時間かけて加熱する。
【0044】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を100℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出する。メタノールで沈降させ、フィルタリングする。夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=27600,Mw/Mn=2.93のポリ(N,N’−ジ−(3−フェニル−4−p−メトキシフェニルベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジメチル−3,4−ジエイコシル−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=15)の固形物を得る。
【0045】
実施例8
ポリ(N,N’−ジ−(3,5−ジエイコシル−4−p−ドデシルオキシ−ベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジヘキシル−3,4−ジオクチルオキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=67)の準備:
【化20】
【0046】
窒素の保護環境下で、気泡窒素を、0.5mmolのN,N’−ジ−(3,5−ジ−エイコシル‐4−p−ドデシルオキシ−ベンゼン)−1,7−ジブロモ−3,4,9,10−ペリレンジイミドと0.5mmolの1,1−ジヘキシル−3,4−ジオクチルオキシ−2,5‐ビス(5−トリブチルすず−チェニル)シロールを含有するトルエン/TFT溶液(30ml)に添加し、残留酸素を0.5時間かけて取り除く。次に、8mgのPd(PPhを加え、残留酸素を取り除くために、気泡窒素を0.5時間かけて添加する。ポリ(N,N’−ジ−(3,5−ジエイコシル−4−p−ドデシルオキシ−ベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジヘキシル−3,4−ジオクチルオキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=67)を含有する反応混合溶液を得るために、溶液を80℃で72時間かけて加熱する。
【0047】
混合溶液をメタノールに滴下して沈殿させ、吸気フィルタリング、メタノール洗浄をし、乾燥し、トルエンに溶解させ、ナトリウムジエチルジチオカルバメートの水溶液に加える。次いで、混合物溶液を80℃まで加熱して、1晩撹拌した。有機相をアルミナクロマトグラフィーカラムを通し、クロロベンゼンで抽出する。有機溶媒を取り除くために減圧し、メタノールで沈降させ、吸気フィルタリングをし、3日間、アセトンソックスレー抽出法によって固形物を抽出し、メタノールで沈降させ、フィルタリングする、夜通しで、真空ポンプを用いて真空引きを行い、分子量(GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)、THF、R.I):Mn=194700,Mw/Mn=3.11の、ポリ(N,N’−ジ−(3,5−ジエイコシル−4−p−ドデシルオキシ−ベンゼン)−3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,1−ジヘキシル−3,4−ジオクチルオキシ−2,5−ビス−チエニルシロール)(n=67)の固形物を得る。
【0048】
また、本発明は、化学構造式(式21)が以下で示される、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の使用方法を提供する
【化21】
(ここで、nは、1〜100の整数である。R,R,およびRは、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、フェニル基、又は、アルコキシベンゼンである。RとRは、C〜C20アルキル基であり、RとRは、水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシル基、又は、フェニル基である。)ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機電界効果トランジスタ、有機光学メモリ、有機非線状デバイス、および有機レーザーデバイスなどの分野で利用される。
【0049】
以下の例は、有機太陽電池、有機電界効果トランジスタ、または有機エレクトロルミネセンスデバイスの分野での、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料の使用方法の例である。
【0050】
実施例9
ポリマー太陽電池デバイスには、図1に示される構造を有する。この実施例では、ITOガラスは基盤として使用され、ガラスは基板のベース素材として使用され、ITOは導電層となる。
【0051】
このポリマー太陽電池デバイスは、以下の構造を有する。ガラス11,ITO層12,PEDOT:PSS層13,活性層14,Al層15である。活性層14は、本発明のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料で作られている。ITOは、10〜20Ω/sqのシート抵抗を持っているインジウムすず酸化物であり、PEDOTは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、PSSはポリ(スチレンスルホン酸)である。ITOは、好ましくは、10Ω/sqのシート抵抗を有し、約50〜300nmの厚さを有する。
【0052】
このポリマー太陽電池デバイスは、以下のプロセスで準備される。
【0053】
約50〜300nmの厚み有する陽極となる導電層を形成するために、10〜20Ω/sqのシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)12の一層を、ガラス基質11の1側の表面に蒸着させる。
【0054】
ITOガラスの超音波洗浄を実施し、酸素プラズマ処理を実施し、ITOの表面を、改質効果を有する一層の約20〜300nmの厚さのPEDOT:PSS層13でコーティングする。
【0055】
PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン):PSS(ポリ(スチレンスルホン酸))層13を、スピンコーティング技術によって約50〜300nmの厚みを有する活性層14の一層によってコーティングする。この活性層14は、本発明のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料で作られる。
【0056】
活性層15の上に金属アルミニウムを真空蒸着し、陰極となる金属アルミニウム層15を形成し、有機太陽電池デバイスが製造される。
【0057】
そして、ポリマー太陽電池デバイスをエポキシ樹脂で被包し、2時間120℃で気密条件でアニーリングを実施し、室温まで冷却する。アニーリングされたデバイス材料は、より一定で規則的な化学構造を有することになり、キャリヤーの伝送速度と効率が高められ、その結果、デバイスの光電変換効率が向上される。
【0058】
ITO、PEDOT:PSS層、活性層、Al層の好ましい厚みは、それぞれ、150nm、50nm、120nm、110nmである。
【0059】
実施例10
有機エレクトロルミネセンスデバイスの構造は、図2に示される。この実施例では、ITOガラスは基盤として使用され、ガラスは基板のベース素材として使用され、ITOは導電層となる。
【0060】
この有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、以下の構造を有する。ガラス21,ITO層22,発光層23,LiFバッファ層24,Al層25である。発光層23が、本発明のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料で作られている。
【0061】
以下のステップに従って、有機エレクトロルミネセンスデバイスが提供される。
【0062】
50〜300nmの厚み有する陽極となる導電層を形成するために、10〜20Ω/sqのシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)22の一層を、ガラス基質21の1側の表面に蒸着させる。ITOは、好ましくは、10Ω/sqのシート抵抗を有する。
【0063】
ITOの表面に、スピンコーティング技術により、約50〜300nmの厚みを有する本発明のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料で作られた発光層23を形成する。
【0064】
発光層23の上にLiFを真空蒸着することで、約0.3〜2nmの厚みを有するバッファ層24を形成する。
【0065】
そして、発光層23の上に金属アルミニウムを真空蒸着し、陰極となる金属アルミニウム層25を形成し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスが製造される。
【0066】
実施例11
有機電界効果トランジスタの構造は、図3に示される。ドープされたシリコンウエハー(Si)は、本実施例では基板として使用される。
【0067】
この有機電界効果トランジスタは、以下の構造を有する。シリコン31,450nmの厚さのSiO絶縁層32,SiO絶縁層32の改質のためのオクタデシルトリクロロシラン(OTS)層33,有機物半導体層34,金(gold)で作られたソース電極(S)35とドレイン電極(D)36。ここで、有機物半導体層34は、本発明のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料で作られている。ここで、ソース電極(S)とドレイン電極(D)の材料は、銅とすることもできる。
【0068】
この有機電界効果トランジスタは以下のステップで準備される。
【0069】
まず、洗浄されたドープシリコンウェハー31の位置側面を、SiO絶縁層32の一層でコーティングする。次に、10〜200nmの厚みの改質のための修正のためオクタデシルトリクロロシラン層33の一層で、SiO絶縁層32をコーティングする。次に、約30〜300nmの厚みを有する本発明のペリレンテトラカルボン酸ジイミド有機半導体材料で作られた有機物半導体層34で、スピンコーティングにより、オクタデシルトリクロロシラン層33をコーティングする。最後に、金で作られたソース電極(S)35とドレイン電極(D)36を、間隔を空けて有機物半導体層34に形成することで、有機電界効果トランジスターが製造される。
【0070】
構成的特徴、及び/または、方法による特定により本発明を言語によって開示したが、添付の請求の範囲で定義される発明は、必ずしも開示された特定の特徴或いは方法に限定されるものではないと理解すべきである。むしろ、上述された詳細な特徴や手法は、特許請求の範囲に記載されている発明を実施するためのサンプルの形式として開示されるものである。

図1
図2
図3