特許第5775600号(P5775600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775600
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ミル材料粉砕方法およびローラミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   B02C15/04
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-543537(P2013-543537)
(86)(22)【出願日】2010年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-503350(P2014-503350A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2010007706
(87)【国際公開番号】WO2012079605
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2013年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591031407
【氏名又は名称】ロエシェ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーツ アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】カイスナー ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ランゲル ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】トライブス ミハエル
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−151450(JP,A)
【文献】 実開昭60−079548(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラミル内でミル材料を粉砕する方法において、
粉砕されるべきミル材料(5)は、回転式粉砕パン(2)に供給されて、定置された複数の粉砕ローラ(4)を用いて粉砕され、粉砕ローラ(4)は、供給されたミル材料(5)によって形成された粉砕床(6)に力を加えるように粉砕区画(7)内で回転し、
粉砕された材料(5)に各粉砕ローラ(4)の後方でノズル状の装置からの空気を衝突させ、微細材料が吹き飛ばされ、かつ粉砕パン(2)とミルハウジング(19)の間のブレードリング(8)から上昇している搬送空気流(9)に供給されて分級工程へと送られ、
微細材料ノズル(10)がノズル状の装置として使用される、
方法であって、
粉砕されるべく供給されたミル材料(5)から分離された微細材料集中区画(12)は、保持リム(3)が設けられた粉砕パン(2)上で各粉砕ローラ(4)の粉砕区画(7)の直後の保持リム領域(13)に堆積され、
所定の衝撃力を有する空気噴流(11)が微細材料ノズル(10)から微細材料集中区画(12)に向けて上方から送出され、微細材料(15)は上昇している搬送空気流(9)内へと上方に吹き飛ばされ、
微細材料ノズル(10)は、空気噴流(11)のための出口領域(20)を15°から110°の範囲にある傾斜角度αで微細材料集中区画(12)および保持リム領域(13)に向けて方向付けされ、また微細材料ノズル(10)は、その出口領域(20)において、半径(R)に対する噴出角度(β)が10°から110°の範囲の値を有するように、微細材料集中区画(12)および保持リム領域(13)に向けて方向付けされる、
方法。
【請求項2】
微細材料ノズル(10)からの空気噴流(11)によって上方に吹き飛ばされて搬送空気流(9)に供給された微細材料(15)は、過剰粉砕処理されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微細材料ノズル(10)の空気噴流(11)は、質量流量及び速度に関して調整される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
微細材料ノズル(10)の前記傾斜角度(α)と前記噴出角度(β)の一方または両方は、その出口領域(20)において、調可能である、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
微細材料ノズル(10)から噴出する空気噴流(11)または気体噴流の速度は、10m/sから使用する気体の音速までの範囲の値に調整される、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
空気噴流の代わりに気体または蒸気の噴流が、微細材料ノズル(10)から微細材料集中区画(12)と、粉砕ローラ(4)の保持リム領域(13)とに向けて送出され、微細材料(15)が上方に吹き飛ばされる、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
空気、気体または蒸気の噴流は、微細材料(15)を吹き飛ばすために、−50℃から800℃の範囲の温度で用いられる、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
ミルハウジング(19)と、
略水平な粉砕トラック(16)を有する回転式粉砕パン(2)と、
液圧加圧可能な定置された複数の粉砕ローラ(4)であって、粉砕されるべく供給されたミル材料(5)によって粉砕トラック(16)上に形成された粉砕床(6)上で回転して、粉砕ローラ(4)と粉砕トラック(16)の間の粉砕区画(7)内でミル材料(5)を粉砕する粉砕ローラ(4)と、
粉砕パン(2)とミルハウジング(19)の間で、上昇する搬送空気流(9)を供給して、分級機へと微細材料(15)を空気圧移送するためのブレードリング(8)と、
粉砕床(6)に空気を吹き付けるノズル状の装置と、
を含み、ノズル状の装置は、各粉砕ローラ(4)の後方に配置され、複数の微細材料ノズル(10)がノズル状の装置として設けられ、請求項1からのいずれか一つに記載の方法を実行するローラミルであって、
粉砕パン(2)に保持リム(3)が設けられ、微細材料ノズル(10)は、各粉砕ローラ(4)の直後の保持リム領域(13)上に位置する微細材料集中区画(12)に向けて方向付けされて、各空気噴流(11)は、上昇している搬送空気流(9)内へと上方に向かって、堆積された微細材料(15)を上方から吹き飛ばし、
粉砕パン(2)の外周上の保持リム(3)の高さが、粉砕ローラ(4)の後方の微細材料集中区画(12)からの微細材料(15)の吹き飛ばし状態に応じて変更可能であり、
微細材料ノズル(10)は、各粉砕ローラ(4)の後方に配置され、傾斜角度(α)及び噴出角度(β)の少なくともいずれかが粉砕作業前に調整されて、傾斜角度(α)は、出口領域(20)の長手軸と粉砕トラック(16)との間に挟まれた角度であり、噴出角度(β)は、出口領域(20)の長手軸と粉砕パン(2)の半径(R)との間に挟まれた、ノズル開口(22)から導かれる角度であり、
傾斜角度(α)は15°から110°の範囲であり、噴出角度(β)は10°から110°の範囲である、
ローラミル。
【請求項9】
微細材料ノズル(10)は、空気噴流(11)のための少なくとも一つのノズル開口(22)を備える出口領域(20)と、供給領域(21)とを含み、
供給領域(21)は、少なくとも一部が粉砕トラック(16)上に位置するようにミルハウジング(19)から径方向に延びて、微細材料領域(14)および微細材料集中区画(12)を含む粉砕床(6)の上方に距離を置いて配置され、
出口領域(20)は、ノズル開口(22)が、保持リム(3)または保持リム領域(13)の方向において下方かつ外側に、微細材料集中区画(12)上に向けて方向付けされる、請求項に記載のローラミル(図1)。
【請求項10】
ミルハウジング(19)の外側にノズルリングラインが設けられ、空気または気体や蒸気などの他の媒体は、ノズルリングラインから供給領域(21)を介して微細材料ノズル(10)に供給できる、請求項またはに記載のローラミル。
【請求項11】
微細材料ノズル(10)は、空気噴流(11)用の少なくとも一つのノズル開口(22)を有する出口領域(20)を含み、
出口領域(20)は、分配装置(27)から延びる分岐ライン(28)上の先端側にそれぞれ形成され、
分配装置(27)は、粉砕パン(2)上方の中央部に配置され、微細材料ノズル(10)に分配されるべき全空気流(3)の供給ライン(26)に接続される、請求項に記載のローラミル(図5)。
【請求項12】
分配装置(27)は、分配器レセプタクルとして形成されて、特大材料コーン(29)内に配置される、請求項11に記載のローラミル。
【請求項13】
分岐ライン(28)のうち、少なくとも微細材料ノズル(10)の出口領域(20)は、調整可能に設計され、保持リム(3)または保持リム領域(13)に向かう方向において下方かつ外側に、微細材料集中区画(12)に向けて方向付けされる、請求項11または12に記載のローラミル。
【請求項14】
分岐ライン(28)のうち、少なくとも微細材料ノズル(10)の出口領域(20)は、流れを促進する回転に関し対称な構造を有する、請求項11から13のいずれか一つに記載のローラミル。
【請求項15】
微細材料集中区画(12)を吹き飛ばす微細材料ノズル(10)は、その各ノズル開口(22)が粉砕区画(7)から距離Lを置いて位置するように配置され、距離Lは、200から1200mmの範囲の値を有する、請求項から14のいずれか一つに記載のローラミル。
【請求項16】
微細材料ノズル(10)は、円形の噴流ノズル、平坦なノズル、または任意の形状及び断面のノズルとして設計され、一つ以上の噴出部を有する、請求項から15に記載のローラミル。
【請求項17】
微細材料ノズル(10)は、−50℃から800℃の範囲の温度の圧縮空気、気体、または蒸気に対応する設計である、請求項から16のいずれか一つに記載のローラミル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係るミル材料粉砕方法、及び請求項11に係るローラミルに関する。
【0002】
特に、本発明は、例えば、セメントクリンカ及び高炉水砕スラグという比較的硬質で乾燥した材料のみならず、セメント原料及び鉱石を微細に粉砕することを提供すると共に、比較的大きいローラミルも提供する。
【背景技術】
【0003】
セメントクリンカ及び高炉水砕スラグを粉砕するLOESCHEタイプの既知の縦型ローラミルは、ローラパンミルとも呼ばれており、300t/hより高い生産速度に達し得る。この縦型ローラミルは、力を加える2つ又は3つの粉砕ローラと、その粉砕ローラに対応付けられた、粉砕床の脱気用の平滑化ローラとを備える。粉砕ローラ及び平滑化ローラが、回転式粉砕パンの粉砕トラック又はその上に形成された粉砕床の上で回転するため、粉砕パンは、4mから7m近くにもなる直径を持ち得る。各粉砕ローラの前に、サービスローラとも呼ばれる平滑化ローラ又は事前圧縮ローラを配置することは、空気掃引式縦型ローラミル内の振動を防止すると共に、保証処理量を確保することに役立つ(EP0406644B1、DE4202784C2)。
【0004】
ミルの振動は、材料によって生じるもので、例えば、粉砕設備のフィルタ、ファン、又は駆動装置が小さ過ぎるというような他の外部的な性能の制約が存在しない場合に、処理量及び粉末度についての制約となり得ることが知られている。特に、非常に細かく且つ乾燥した製品の場合、ミルが、構成要素の強度及び液圧式ミル駆動部の設計上、かなり大きな処理量を実現できるものであっても、そのミルの振動により、不十分な強さの粉砕力しか、粉砕床に与えることができない。
【0005】
ミルの振動の原因は、明らかに、粉末度、湿度、かさ密度、粒径分布、粒子形状、内部摩擦係数、及び硬度等の粉砕床の特性の組み合せと、保持リムの高さ、ローラ径、及びローラ幅等の粉砕部品の形状、並びにミル設定、特に、質量流量、内部循環、接触加圧(粉砕力)、及び粉砕速度(粉砕パン回転速度)とが組み合わさったものである。
【0006】
影響のある変数の因果関係的結び付きにより、主としてミルのパフォーマンス限界において生じるミルの振動を予測して対応策を講じることは本質的に困難であるため、振動を低減したミル設定を行う可能性が制限されている。
【0007】
具体的には、乾燥した粉砕材料を粉砕する際に、粉砕床を最適な状態にして、ミルの振動を抑制するために、水噴射を行うことが知られている。この方式により、水は、ノズルが設けられ、且つ粉砕ローラの手前に配置された水平な槍部から粉砕床上に散布される(DE19806895A1)。水は、粉砕ローラの下への取り入れ中に、粉砕床の内部摩擦に有益に作用するため、ミルの振動が効果的に防止されて、ミルの処理量を増やすことが可能になる。ただし、水の使用により、完成した製品の残留湿度を低く抑えるために、ミル内で水を蒸発させることが必要になる。振動の抑制に関する水噴射の利点は、乾燥のために炉の熱容量が大幅に増えることによって打ち消されてしまう。セメントミルの場合、水噴射の使用は、製品特性、特に、強度の低下ももたらす。また、水は、地球上の多くの領域において、十分な量で入手することができない。あるいは、水の利用が法律で禁じられていることもある。
【0008】
ミルの振動と、粉砕対象として供給された材料の過剰粉砕は、互いに直接的な相関関係にあることが知られている。ローラパンミルの場合、概して中央部に供給される材料は、個々の粉砕ローラに引き込まれて、粉砕ローラと粉砕パンの粉砕トラックの間の粉砕区画内で粉砕されるように、粉砕パンの端縁に作用する遠心力に逆らって堆積されなければならない。LOESCHEタイプのローラパンミルの場合、粉砕されるべきミル材料の堆積又は保持は、平坦な水平粉砕トラック上で、所定の高さ及び形状を持ち、様々に調整可能な保持リムを利用することによって達成される。回転式粉砕パンの外周に保持リムが存在しないと、粉砕材料は、妨げられることなく粉砕パンから離脱してしまい、粉砕ローラと粉砕パン又は粉砕トラックの間に、十分な厚さの粉砕床を形成することができない。ただし、粉砕されるべき材料の堆積は、ミルの処理量にとって必要であると同時に、粉砕された物質が粉砕パンを離脱することを防ぐ。したがって、完全に粉砕された材料が再び粉砕ローラの下に到達して、過剰な粉砕が行われる。このため、ローラミルの特定のエネルギ要件が大きくなる。水平で平坦な粉砕パン又は粉砕トラックに必要とされる保持リムは、その高さ及び形状が原因で、粉砕床の高さをかさ上げすると共に、粉砕パン上の粉砕材料の滞留時間を長くすることから、過剰粉砕処理が行われる。粉砕床が高くなると、その高い弾性率によりスプリング作用が生じる。このスプリング作用は、粉砕効率にマイナスの影響を与えると共に、粉砕パン上の全体的により微細な粉砕物質が原因で、大型ミルの振動し易さを更に増長する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0406644号明細書
【特許文献2】ドイツ特許発明第4202784号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第19806895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、粉砕されるべき粉砕材料の過剰粉砕及びミルの振動を大幅に抑制でき、同時に特定のエネルギ要件を低減できる、ローラミル内でミル材料を粉砕する方法、及びローラミル又はローラパンミルを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本方法によれば、前記目的は請求項1の特徴によって達成され、本装置によれば、前記目的は、請求項11の特徴によって達成される。有用且つ有利な実施形態は、従属請求項及び図面の説明に記載される。
【0012】
本発明の中心概念は、各粉砕ローラの通過後に、微細材料に粉砕されたミル材料を可能な限り完全に除去することによって、過剰粉砕を防止することであると認識できる。微細材料は、各粉砕ローラの後方で、粉砕床、及び粉砕パン又は粉砕トラックから除去されて、上昇する搬送空気流に送られるため、粉砕床は、その粒径分布について目標とする分布とされる。粉砕床が粗くなり、過剰粉砕を排除、又は大幅に抑制できるため、その結果として、ローラミルの処理量の大幅な向上を実現できる。
【0013】
ローラミル内でミル材料を粉砕する本発明の方法において、粉砕対象のミル材料は、保持リムが設けられた回転式粉砕パンに供給され、その供給されたミル材料によって形成された粉砕床に力を加える方式で回転する定置の粉砕ローラを利用して、粉砕ローラと粉砕パン又は粉砕トラックの間の粉砕区画内で粉砕される。本発明によれば、各粉砕ローラの通過後に、所定の衝撃力を有する空気噴流が、上方から微細材料集中区画に向かって微細材料ノズルから送出される。微細材料集中区画は、各粉砕ローラの粉砕区画の直後に形成され、粉砕されるべく供給されるミル材料から極めて分離されている。このミル材料は、粉砕パンの回転によって、螺旋状のトラックを描いて粉砕ローラへと送られるが、その結果、粉砕ローラの側面によって向きが変えられる。この粉砕ローラの「影」になる部分において、微細材料領域が、微細材料集中区画と共に最初に形成し得る。
【0014】
微細材料集中区画、及びこれより面積の大きい微細材料領域は、保持リムの近くにおいて、粉砕ローラから排出された直後の、各粉砕ローラの粉砕区画のすぐ隣に形成される。微細材料は、微細材料ノズルの少なくとも一つの空気噴流に助けられて、微細材料集中区画から上方に吹き飛ばされて、上昇している搬送空気流に到達する。この搬送空気流は、粉砕パンとミルハウジングの間に設けられたブレードリングから供給されて、微細材料を空気圧搬送してミルの分級工程に供給する。
【0015】
重要な特徴は、各粉砕ローラの粉砕区画の直後の保持リム領域に形成された微細材料集中区画に向けられた空気噴流又は微細材料ノズルの向きであり、これは、新たに供給されたミル材料と混合して次の粉砕ローラによる過剰粉砕が行われる前に、微細材料が外側かつ上方に向かって吹き飛ばされるようにする向きである。微細材料は、基本的に、各粉砕ローラの粉砕区画のすぐ後方、且つ保持リムに縁取られた、上面から見ると比較的小さい三角形部分から吹き飛ばされる。
【0016】
ノズル状の装置を利用して、各粉砕ローラの後方で粉砕材料を空気と衝突させることは、特許文献3(DE33 11 433 A1)により知られている。ただし、この構成において、粉砕されたミル材料は、中空スクレーパのノズル開口からの空気によって弾き飛ばされる。この中空スクレーパは、当該スクレーパによって細分された粉砕ミル材料と微細材料粒子とを粗い材料から分離し、分離された材料及び材料粒子を、ブレードリングからの搬送空気流によってその空気流と共に移送できるように、粉砕トラックから僅かな距離だけ上方に位置し、且つその粉砕トラックを横断する方向に設けられる。この既知の方法は、各粉砕ローラの後方の粉砕トラックの全幅において粉砕ミル材料を分類するためのものであるため、粗い破砕物は、再び粉砕テーブルに完全に戻されて、もう一度粉砕される。また、粉砕された材料の層に対する空気の強力な噴射は、粉砕材料層がスクレーパによって持ち上げられた後で下方から行われる。下方からの空気の噴射と、粉砕テーブルの全幅での粉砕材料の一次分類とによって、十分に小さくなった微細材料を粉砕テーブルから除去することで、粉砕処理のエネルギ必要量が少なくなり、搬送空気の圧力低下が抑制される。
【0017】
この既知の空気噴射とは対照的に、微細材料ノズルは、本発明の方法において、粉砕されるべく新たに供給された材料から十分に分離された微細材料集中区画に上方から対峙する姿勢で配設される。
【0018】
実験用ローラミルでの試験により、本発明に係る微細材料ノズルを用いることで、規定の作業必要量を大幅に抑制できることが確認されている。比較試験において、0.1MPa(1バール)のノズル予圧で規定の作業必要量が約20%低下することが確認された。この試験は、原則的に、所定の方式、特に上方から仕向けられた微細材料ノズル及び空気噴流を利用することで、微細材料を吹き飛ばすことができ、その結果、過剰粉砕及びミルの振動の防止、又は大幅な削減を実現できることを示した。
【0019】
各粉砕ローラの直後の微細材料集中区画から微細材料を局部的に吹き飛ばして除去することによって、ミルの製造及び処理技術に何らかの他の介在物を必要とすることなく、ミルの振動の低減と同時に粉砕パンの特定の作業要件の約20%の低減を保証できる。
【0020】
本発明の微細材料ノズルを利用することで、粉砕パン外周の保持リムの高さと、特定のエネルギ要件との間の相反関係を処理条件において切り離せるという利点がある。これにより、処理量を増やすために、粉砕パンのエネルギ要件に不利益をもたらすことなく、より高い保持リムを利用できるようになる。
【0021】
更に、微細材料を除去することで粗くなったミル材料は、振動を増大させずに、より高い作動圧で粉砕できるため、粉砕の進行が速まるという利点がある。これにより、内部循環が低下して圧力差が縮小するため、この方式で、ローラミルの処理量も大きくできる。
【0022】
微細材料ノズルからの空気噴流は、その質量流量及び速度が個々の要件に応じて設定されると有利である。調整可能であるため、粉砕床は、所望するように局部的に変形でき、粉砕プロセス全体が有利な影響を受け得る。
【0023】
微細材料ノズル及び噴出する空気噴流の調節は、傾斜角度及び噴出角度を基準に行うことができるため、微細材料の吹き飛ばし、ひいては粉砕床の最適化を実現できる。傾斜角度及び噴出角度は、微細材料集中区画及び微細材料ノズルの出口領域によって規定される。これについては、図面の説明に関連して更に説明する。微細材料ノズルからの空気噴流は、質量流量及び速度に関して効果的に設定及び変更することができ、この速度は、10m/sから使用する気体の音速までの範囲内の値を取り得る。このため、特殊な形状のノズル(ラバールノズル)を利用することができる。
【0024】
ローラミル外部の圧縮空気ラインから微細材料ノズルに圧縮空気を送るのみでなく、これに代えて、微細材料ノズルから各粉砕ローラの微細材料集中区画に他の気体又は蒸気を送出して、外側且つ上方に微細材料を吹き飛ばすことも本発明の範囲に入る。
【0025】
微細材料ノズルの対応する構造において、空気、気体、又は蒸気の噴流は、−50℃から800℃の範囲の値の温度で供給されてよい。低温の気体は、例えば、室温において粘性を有する材料を人工的に脆化するために利用でき、高温の蒸気は、所望するように後の処理を行うために粉砕材料を局部的に調製することに適し得る。
【0026】
空気掃引ローラミル又はローラパンミルとして、それ自体は既知の方式で構成されて、実質的に水平な粉砕トラックを有する回転式粉砕パンと、粉砕パン端縁の保持リムとを含む本発明のローラミルには、本発明に係る微細材料ノズルが設けられる。微細材料ノズルは、各空気噴流が、各粉砕ローラの直後且つ隣接する保持リム領域上の微細材料集中区画に対して上方から送出され、そこに堆積された微細材料を上方に吹き飛ばし、且つ上昇している搬送空気流に供給するように配置される。
【0027】
粉砕ローラの直後且つ保持リム領域上の比較的小さい所定の領域に向けて方向付けされた進歩的な微細材料ノズルにより、微細材料は、ローラの側面で偏向された新しい粉砕材料が微細材料と混合し得る前、又は新しい粉砕材料が微細材料の上に重なり得る前に上方に吹き飛ばされる。
【0028】
各粉砕ローラの後段に設けられる微細材料ノズルは、粉砕ローラと粉砕パンの間のローラ間隙から出てくる微細材料が、個別に調整可能な空気噴流によって巻き上げて上方に吹き上げられるように、角度調整可能な設計であると有用である。全ての微細材料又は産出された微細材料の少なくとも大部分は、この後、ブレードリングから出てくる比較的高速の搬送空気から供給されて、上方に向かって分級機へと空気圧搬送することができる。
【0029】
微細材料ノズルは、粉砕中に生じる微細材料の大部分が保持リムによって収集又は堆積される場所である微細材料集中区画に向かうように個別に方向決めされると有利である。これにより、極めて効率的な方式で微細材料を除去できると同時に、ミルの振動を防止する目的に合うように粉砕床を最適化することができる。
【0030】
送出する空気噴流用の少なくとも一つのノズル開口を有する微細材料ノズルを、各粉砕ローラの細分化区画から所定の距離に配置すると有用であることが試験により確認された。この距離は、200〜1200mmの範囲の値を取ることができ、基本的に微細材料ノズルの形状によって異なる。
【0031】
微細材料ノズルが、送出する空気噴流用の少なくとも一つのノズル開口を有する出口領域と、ミルハウジングから粉砕トラックを通って径方向に延びて粉砕床、又は微細材料領域及び微細材料集中区画の少なくともいずれかの上方に所定の距離で位置する供給領域とを含む場合に、ノズル開口を有する出口領域は、保持リム領域の方向において下方及び外側に向かう姿勢で微細材料集中区画を目指すように方向付けできる。
【0032】
実験用ミルを用いた実験室での試験において、ミルハウジングの外部のノズルリングラインにおいて、約0.05MPa(約0.5バール)から約0.15MPa(約1.5バール)、特に、約0.1MPa(約1バール)の予圧(一次圧)に設定された空気を供給できることが判明した。大規模な設備では、体積流量が大きくなり、圧力は低くなる。
【0033】
微細材料ノズルは、原則的に任意の形状であってよく、例えば円形のジェットノズル又は平坦なノズルとして設計されてよい。また、これらのノズルは、一つ又は複数の噴流を有するように設計でき、同一又は異なる角度に調整された複数のノズルも利用できる。
【0034】
個々の微細材料ノズルへの代替の空気供給部は、微細材料ノズルに提供される空気流全てのために、例えば径方向にローラミルの中心部内へと延びるラインを含む。ローラミルの中心部に、特大材料コーン内に位置すると有用である分配装置を設けることができ、この装置から、均一な空気流、気体流、又は他の媒体流を、複数のライン、例えば分岐ラインを介して各微細材料ノズルへと分配することができる。
【0035】
分配装置を中心に配置することにより、回転方向に対称な形で微細材料ノズルへ流れを促進するライン配置を実現できる。
【0036】
特に有利であるのは、本発明の微細材料ノズルが設けられたローラミルは、所望の粉末度が原因で高い保持リムを使用しなければならない状況において、粉砕が困難なミル材料、又は非常に細かく粉砕されるミル材料に利用できることである。本発明のローラミルは、セメントクリンカ、高炉粉砕スラグの粉砕に好ましく利用されると共に、非常に硬いセメント原料及び鉱石にも好ましく利用される。
【0037】
既に記載した利点の他に、本発明の微細材料ノズルの向きにより、微細材料のみを巻き上げて吹き飛ばすことが実現する。粗粒又はより粗い部分は、微細材料ノズルによって捕捉されないが、これは、微細材料ノズルが所定の領域を向くように設定され、高い集中度で存在する微細材料を巻き上げるためである。
【0038】
本発明の微細材料ノズルの向きにより、微細材料の移送は、ブレードリングからの上昇空気流内へと外側に向かって行われるため、分級機への効果的な移送が保証される。
【0039】
更に、粉砕パン上のミル材料と直接接触することがないため、微細材料ノズルは、原則的に磨滅することがないという利点がある。
【0040】
本質的な利点は、加工技術において、保持リムの高さとエネルギ要件の相反関係が解除されることにあるため、処理量を最大化するために、振動及びエネルギ要件についての不利な結果をもたらすことなく、保持リムを大きくすることもできる。したがって、同じミル処理量をより小さいミルで実現でき、ひいては設備投資及び運用コストが低下する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明のローラミルと共に粉砕パンを示す上面図である。
図2図1の線II−IIから見た図である。
図3図1の切り取り部IIIの拡大図である。
図4図3の矢印IVに沿って見た図である。
図5】代替の空気供給部を有する本発明のローラミルの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明について、図面を参照しながら更に詳しく説明するが、図面は極めて模式化して描画されている。
【0043】
図1に、縦軸17を中心として矢印Aに従って回転する、本発明のローラミルの粉砕パン2を示す。粉砕パン2には、その外周に保持リム3が設けられ、この保持リム3の高さH及び形状は、図2及び図4に例示的に示すとおりである。
【0044】
本例において、液圧式に加圧される4つの粉砕ローラ4が、周辺部及び共に回転する保持リム3を備える粉砕パン2上で動作するが、図1には2つの粉砕ローラ4のみが示されている。原理的には、2つから8つの粉砕ローラを利用できる。粉砕パン2を回転させることで、粉砕対象として中央部に供給されたミル材料5は、渦巻きトラック上で粉砕ローラ4に供給され、粉砕ローラ4と粉砕パン2の各粉砕トラック16との間の間隙内に引き込まれ、粉砕区画7内で粉砕される(図4を参照)。
【0045】
供給されて粉砕されたミル材料5は、保持リム3によって、粉砕パン2上に堆積されて保持される。十分に細かくなった微細材料15は、粉砕区画7(図4)の直後の、図1に斜線で示した微細材料領域14に存在し、この微細材料領域14は、ベースライン23が粉砕区画7の境界で構成され、外側周縁24が微細材料領域14の限界を形成する鋭角三角形(図3を参照)の形状を有する。この三角形の内側周縁25は、各粉砕ローラ4の側面18の延長線によって形成される。微細材料領域14は、図3の拡大図にも斜線で示されている。図3には、微細材料領域14内の第2の小三角形領域も示されており、この小さい領域が微細材料集中区画12である。この微細材料集中区画12は二重斜線で示されている。
【0046】
出口領域20と、空気噴流11のためのノズル開口22とを有する微細材料ノズル10は、粉砕された微細材料が直接堆積される微細材料集中区画12に向かうようにそれぞれ方向付けされる(図2図4も参照)。
【0047】
特に、図2及び図4に、微細材料ノズル10が、出口領域20及びノズル開口22を上方から微細材料集中区画12に向けて配置されるため、微細材料15は、新たな粉砕材料がその上に位置するよりも前に吹き飛ばされて、ブレードリング8によって供給された搬送空気流9(図2)に送られ、更に、分級機(図示せず)へと上方に空圧式移送され得ることを示す。
【0048】
微細材料集中区画12内及び微細材料領域14内の微細材料15は、新しい粉砕材料とは事実上分離されている。これは、この新しい粉砕材料が、特に図1に示されるように、対応する粉砕ローラ4の側面18から方向を変えられて、新しい粉砕材料だけが後続の粉砕ローラ4によって引き込まれるためである。
【0049】
粉砕パン2上又は各粉砕床6上で回転する粉砕ローラ4の回転方向は、矢印Bによって示されている。矢印Aは、粉砕パン2の回転方向を表す。
【0050】
図1に、微細材料ノズル10の構造を示す。この微細材料ノズル10は、略径方向内側に向かう管状の供給ライン領域21において、粉砕床6から特定の距離でミルハウジング19を貫通し、又はミルハウジング19から案内され、斜め下向きの出口領域20において、粉砕床6の方向の下方を向く姿勢である(図2及び図4も参照)。空気又は気体の供給は、ミルの中心部から微細材料ノズルへと外側に向かって行われてもよい。
【0051】
微細材料ノズル10のノズル開口22は、本実施形態において円形に形成される。出口領域20は、図2によれば、粉砕パン2に対してαの傾斜角度で形成される。傾斜角度αは、15°と110°の間であってよい。図2において、傾斜角度αは、約45°であるため、空気噴流11は、粉砕トラック16と保持リム領域13の間のコーナ領域に向けて送出される。
【0052】
図4に、微細材料15の外側且つ上方への吹き飛ばしと、粉砕ローラ4の粉砕区画7の終端から対応する微細材料ノズル10のノズル開口22までの各距離間隔Lとを示す。微細材料15は、微細材料集中区画12から上方に吹き飛ばされて、搬送空気流9(図2)に到達する。この搬送空気流9は、粉砕パン2とミルハウジング19の間のブレードリング8から出て、ミルハウジング19上の強化隆起部32によって内側に方向変更される。これにより、上方に吹き飛ばされた微細材料15に対する、上方且つ分級機31(図5を参照)の方向への空気圧移送が促進される。
【0053】
図3に、粉砕ローラ4の拡大図を用いて、出口領域20にノズル開口22を有する、角度調整可能な各微細材料ノズル10が向けられた微細材料集中区画12の寸法関係を、微細材料領域9と関連付けて示す。
【0054】
図4に、粉砕パン2の外周の保持リム3の高さHと、粉砕パン2上の粉砕床6の形成状態、並びに粉砕ローラ4と粉砕パン2の間の取り込み領域及び粉砕区画7を示す。
【0055】
図1に、各粉砕ローラ4の後ろの2つの微細材料ノズル10と共に、略径方向の供給領域21から下方に傾けられた出口領域20の噴出角度βを示す。噴出角度βは、出口領域20の長手軸と粉砕パン2の半径Rに挟まれた、ノズル開口22から導かれる角度である。噴出角度βは10°から110°の範囲であってよい。
【0056】
図5に、空気掃引式ローラミルとして形成され、代替の空気供給部を有する本発明のローラミルを示す。分級機31はローラミル内に一体化されており、微細材料−空気混合物33が微細材料出口から排出される一方で、粗粒(図示せず)は、特大材料コーン29から粉砕パン2に戻り、再び粉砕処理にかけられる。
【0057】
微細材料ノズル10に供給される全ての空気流30は、例えば、ミルの中心に向かう方向で径方向に向けられてよい供給ライン26を介して分配装置27へと送られ、更に、分配装置27から均一に延びると有利である分岐ライン28を介して個々の微細材料ノズル10へと送られる。
【0058】
図5に、分配装置27、例えば、分配器レセプタクルが特大材料コーン29の中央部に配置され、分岐ライン28が、下方に向かう姿勢で、微細材料ノズル10の出口領域20及びノズル開口22と共に端面に配設された様子を示す。微細材料ノズル10のための全空気流30が中心部に供給されることで、回転方向に対称な形式の流動し易いライン配置が容易になる。分岐ライン28は、下側部分において特大材料コーン29の壁面を突き抜けてその壁面に固定されてよい。
【0059】
図5の空気供給部の部品は、原寸に比例したものではなく、判り易くするために、空気掃引式ローラミルの通常の構成要素よりも大きく図示されていることを指摘しておく。
図1
図2
図3
図4
図5