特許第5775604号(P5775604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775604無線センサ・ネットワークの情報スウォーミングのための方法、システム、およびコンピュータ・プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775604
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】無線センサ・ネットワークの情報スウォーミングのための方法、システム、およびコンピュータ・プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/04 20090101AFI20150820BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20150820BHJP
【FI】
   H04W4/04 190
   H04W84/18
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-548711(P2013-548711)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公表番号】特表2014-507851(P2014-507851A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】CA2012050017
(87)【国際公開番号】WO2012094759
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2014年8月12日
(31)【優先権主張番号】13/005,392
(32)【優先日】2011年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ、ローレンス、アルチュール
(72)【発明者】
【氏名】ブレンナー、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アイザード、ウィリアム、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ポンスフォード、マシュー、ジェイムズ
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−300572(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0002640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04Q 9/00−9/16
G08B 23/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線センサ・ネットワーク(WSN)内での情報スウォーミングのための方法であって、
前記WSNの発信ノードでセンサによって感知され、発信ノードから傍受ノードを除く前記WSNの集約ポイントへリレー経路に沿って伝送されたリレー・データを、前記WSNの前記傍受ノード内に受信すること、
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定すること、および
前記リレー・データが関連する旨の決定に応答して、前記傍受ノードのセンサによって傍受ノードで獲得された追加のデータを、前記WSNを介して前記集約ポイントに転送すること、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することは、前記リレー・データの値がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することは、前記傍受ノードによって傍受されるリレー・データの値の傾向がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することは、前記傍受ノードと前記発信ノードとの間の定量化可能な関係がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することは、前記傍受ノードで獲得される前記データの値がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することは、前記傍受ノードで獲得される前記データと前記傍受されたリレー・データとの間の定量化可能な関係がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
情報スウォーミングのために構成される無線センサ・ネットワーク(WSN)データ処理システム・ノードであって、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを備え、前記WSN内の複数のノードおよび前記WSN内の前記ノードによって収集されたデータを受信する集約ポイントに通信可能に結合された、ホスト・コンピューティング・デバイスと、
センサに結合され、前記コンピューティング・デバイス内で実行するデータ獲得モジュールであって、前記センサによって感知されるデータを獲得する、データ獲得モジュールと、
さらに前記コンピューティング・デバイス内で実行するデータ傍受モジュールであって、前記WSN内の前記ノードのうちの発信ノードから前記WSN内の前記集約ポイントへ、前記WSNデータ処理システム・ノードを除くリレー経路に沿って伝送されるリレー・データを傍受する、データ傍受モジュールと、
前記データ獲得モジュールおよび前記データ傍受モジュールの両方に結合され、前記コンピューティング・デバイス内で実行する、スウォーミング・モジュールであって、少なくとも1つの関連性規則に関して前記データ傍受モジュールによって傍受されたリレー・データの関連性を決定すること、および、前記リレー・データが関連する旨の決定に応答して、前記データ獲得モジュールによって獲得された追加のデータを、前記WSNを介して前記集約ポイントに転送することを、実行するように構成されたプログラム・コード含む、スウォーミング・モジュールと、
を備える、システム・ノード。
【請求項8】
前記関連性規則は、前記リレー・データの値がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、請求項6に記載のシステム・ノード。
【請求項9】
前記関連性は、前記WSNデータ処理システム・ノードによって傍受されるリレー・データの値の傾向がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、請求項6に記載のシステム・ノード。
【請求項10】
前記関連性規則は、前記WSNデータ処理システム・ノードと前記発信ノードとの間の定量化可能な関係がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、請求項6に記載のシステム・ノード。
【請求項11】
前記関連性規則は、前記WSNデータ処理システム・ノードで獲得される前記データの値がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、請求項6に記載のシステム・ノード。
【請求項12】
無線センサ・ネットワーク(WSN)内での情報スウォーミングのためのコンピュータ・プログラムであって、
それによって具体化されたコンピュータ読み取り可能プログラム・コードを有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含み、前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードは、
前記WSNの発信ノードでセンサによって感知され、発信ノードから傍受ノードを除く前記WSNの集約ポイントへリレー経路に沿って伝送されたリレー・データを、前記WSNの前記傍受ノード内に受信するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードと、
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードと、
前記リレー・データが関連する旨の決定に応答して、前記傍受ノードのセンサによって傍受ノードで獲得された追加のデータを、前記WSNを介して前記集約ポイントに転送するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードと、
を含む、コンピュータ・プログラム。
【請求項13】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードは、前記リレー・データの値がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードを含む、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードは、前記傍受ノードによって伝送中に傍受されるリレー・データの値の傾向がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードを含む、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードは、前記傍受ノードと前記発信ノードとの間の定量化可能な関係がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードを含む、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項16】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードは、前記傍受ノードで獲得される前記データの値がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードを含む、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項17】
少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードは、前記傍受ノードで獲得される前記データと前記傍受されたリレー・データとの間の定量化可能な関係がしきい値を超える場合、前記リレー・データを関連するものと指定する、少なくとも1つの関連性規則に関して前記リレー・データの関連性を決定するための、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードを含む、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔感知の分野に関し、より具体的には無線センサ・ネットワークにおける情報処理に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔感知とは、物体と無線すなわち物理的に接触しないかまたは密接に接触する、記録式またはリアルタイムのいずれかの感知デバイスの使用による、物体または現象の情報の獲得を指す。実際に、遠隔感知は、所与の物体または領域に関する情報を集めるための様々なデバイスの使用による、データの遠隔(stand-off)収集を提供する。遠隔感知には、受動遠隔感知および能動遠隔感知という、2つの主要なタイプが存在する。受動遠隔感知では、受動センサが目標物または周辺領域によって放射または反射される自然放射を検出する。これに比べて能動遠隔感知は、物体および領域をスキャンするためにエネルギーを放射する能動センサを利用し、そこで次にセンサは目標から反射または後方散乱された放射を検出および測定する。
【0003】
無線センサ・ネットワーク(WSN)は、遠隔感知システムの物理的な実施形態である。WSNは主に、温度、音、振動、圧力、動き、または汚染物質などの、物理的または環境的な条件を協働的に監視する、空間的に分配された自律センサの選択を含む。WSN内の各ノードは、1つまたは複数のセンサに加え、典型的には無線トランシーバまたは他の無線通信デバイス、マイクロコントローラ、および電源、通常はバッテリを装備している。注目すべきことに、WSNは通常、無線アドホック・ネットワークを構成し、すなわち各センサが、ノードが転送器として機能し、データ・パケットを基地局にリレーする、マルチホップ・ルーティング・アルゴリズムをサポートしている。
【0004】
WSN内の各ノードが、収集されたデータに関して基地局または他の集約ポイントにデータを伝送する他のノードに対して、伝送リレーとして動作することが可能な限りは、伝送リレーとして動作するそれらのノードは、獲得ノードから集約ポイントへルーティングされるデータのコンテンツにアクセスすることができる。さらに、データのリレー経路外にあるがリレー経路内のノード近くで伝送される異なるノードは、データがリレー経路をトラバースする際に、データを検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら現時点では、起点から集約ポイントへのリレー経路内のノード近くで傍受される(overheard)データには、追加の処理は実行されない。しかしながら、遠隔感知アプリケーションに応じて、集約ポイントへのリレー経路外のノードによって傍受されるデータは、リレーされるデータに追加のコンテキストを提供することができる。この点で、多くの場合、ノードによって傍受されるデータはリレーされるデータの有意性を強化するのに有用な可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、WSNにおけるデータの収集に関して当分野の欠点に対処し、WSN内での情報のスウォーミング(swarming)のための新規かつ非自明の方法、システム、およびコンピュータ・プログラム製品を提供する。本発明の実施形態では、WSNの情報スウォーミングのための方法は、WSN内の集約ポイントへの途上で、傍受ノードを除くリレー経路内のWSNの発信ノードでセンサによって感知されたリレー・データを、WSNの傍受ノード内に受信することを含むことができる。この方法は、少なくとも1つの関連性規則に関してリレー・データの関連性を決定することを含むことができる。最後に方法は、リレー・データが関連する旨の決定に応答して、傍受ノードのセンサによって傍受ノードで獲得された追加のデータを、WSNを介して集約ポイントに転送することを含むことができる。
【0007】
本発明の他の実施形態では、WSNデータ処理システム・ノードを情報スウォーミングのために構成することができる。システム・ノードは、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含み、WSN内の異なるノードおよびWSN内のノードによって収集されたデータを受信する集約ポイントに通信可能に結合された、ホスト・コンピューティング・デバイスを含むことができる。システムは、センサに結合され、コンピューティング・デバイス内で実行し、センサによって感知されるデータを獲得する、データ獲得モジュールを含むこともできる。さらにシステムは、同様にコンピューティング・デバイス内で実行し、集約ポイントへのリレーのためにWSNデータ処理システム・ノードを除くリレー経路内のノードからリレー・データを傍受する、データ傍受モジュールを含むこともできる。最後にシステムは、データ獲得モジュールおよびデータ傍受モジュールの両方に結合され、コンピューティング・デバイス内で実行する、スウォーミング・モジュールを含むことができる。
【0008】
スウォーミング・モジュールは、少なくとも1つの関連性規則に関してリレー経路内の傍受モジュールによって傍受されたリレー・データの関連性を決定すること、および、リレー・データが関連する旨の決定に応答して、データ獲得モジュールによって獲得された追加のデータを、WSNを介して集約ポイントに転送することを、実行するように構成されたプログラム・コード含むことができる。たとえば関連性規則は、ごくわずかな例を挙げると、リレー・データの値がしきい値を超える場合、WSNデータ処理システム・ノードによって傍受されるリレー・データの値の傾向がしきい値を超える場合、WSNデータ処理システム・ノードと発信ノードとの間の定量化可能な関係がしきい値を超える場合、または、WSNデータ処理システム・ノードで獲得されるデータの値がしきい値を超える場合、リレー・データを関連するものとして指定することができる。
【0009】
本発明の追加の態様は、一部は以下の説明で示され、一部は説明から明らかとなり、あるいは本発明の実施によって習得可能である。本発明の態様は、添付の特許請求の範囲で具体的に指摘された要素および組み合わせによって、実現および達成されることになる。前述の概要および以下の詳細な説明はどちらも例示であり、本発明を単に例示するためのものであって、請求されるように制限するものではないことを理解されよう。
【0010】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明の原理を説明する働きをする。本明細書に示された実施形態は現時点で好ましいが、本発明は示された精密な配置構成および手段に限定されるものでないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】WSNにおける情報スウォーミングのためのプロセスを示す絵画図である。
図2】情報スウォーミングのために構成されたWSNデータ処理システムを示す概略図である。
図3】WSNにおける情報スウォーミングのためのプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、WSNにおける情報スウォーミングを提供する。本発明の実施形態によれば、WSN内の集約ポイントへの途上にあるデータのリレー経路外のノードは、集約ポイントへのリレー経路内のデータを感知することができる。データは検査し、1つまたは複数のスウォーミング規則と比較することができる。その後、1つまたは複数のスウォーミング規則に求められる場合、ノードによって収集される追加のデータを集約ポイントに転送することができる。このように、集約ポイントへのリレー途上で傍受された感知データは、検査されたデータに関する追加のデータを用いて強化することができる。WSN内のいくつかのノードにわたって組み合わされた場合、集約ポイントで集約されるデータを削減する感知データの関連性のより明確かつ正確な観念が明らかとなろう。
【0013】
他の例示で、図1はWSNにおける情報スウォーミングのためのプロセスを絵画的に示している。図1に示されるように、データを感知および収集するため、ならびに、データを削減するように同様のデータを集約ポイント160に転送するために、異なるノード110A、110B、110C(図を簡略化するためにノードは3つのみ図示)をWSN内に配置構成することが可能である。ノード110A、110B、110Cのそれぞれは、ノード110A、110B、110Cのうちのその他から受信するデータの集約ポイント160へのリレーとして働くことが可能である。リレー経路130に沿って1つのノード110Aから別のノード110Bに伝送されるリレー・データ120の傍受時に、リレー経路130外にある傍受ノード110Cはリレー・データ120の性質を検査することが可能であり、リレー・データ120の関連性を決定するためにリレー・データ120の性質を関連性規則テーブル140内に配置することが可能である。リレー経路130に沿った集約ポイント160へのリレーに関して、リレー・データ120がリレー・データ120を傍受するノード110Cに関連しているとみなされる限りは、リレー・データ120の補助となる追加のデータ150を、リレー・データ120を傍受する前にノード110Cに記憶すること、およびリレー・データ120を傍受した後にノード110Cによって収集することも可能である。その後、追加のデータ150をノード110Cから集約ポイント160に転送することができる。データを傍受し傍受されたデータに関連性規則を適用するWSN内の複数の異なるノードが、補助データを提供する限りは、集約ポイント160に傍受データに関する補助データのスウォーミングを提供することができる。
【0014】
図1に関して説明されるプロセスは、WSN内に実装可能である。さらに他の例示で、図2は情報スウォーミングのために構成されたWSNデータ処理システムを概略的に示している。システムは、ノード240A、240Bからリレーされるデータを集約するためのデータ集約ポイントを提供するWSN230内のホスト・コンピュータ210に通信可能に結合された、異なるノード240A、240Bを含むことが可能である。各ノード240A、240Bは、内部でコンピュータ・プログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサおよびメモリをノード240A、240B内に提供するホスト・コンピューティング・デバイス250を含むことが可能である。ホスト・コンピューティング・デバイス250は、データ傍受モジュール270、データ獲得モジュール280、およびスウォーミング・モジュール290を含むいくつかのコンピュータ・プログラム・モジュールの実行をホストする、オペレーティング・システム260の実行をサポートすることができる。
【0015】
この点で、傍受ノード240A、240Bのうちの1つのデータ傍受モジュール270は、ホスト・コンピューティング・デバイス250内で実行する場合、ノード240A、240Bのうちの傍受している方を除き、ホスト・コンピュータ210内に提供されたデータ集約ポイントへリレー経路に沿ってルーティングするため、および、ホスト・コンピュータ210内で実行している対のデータ削減モジュール220による削減のために、ノード240A、240Bのうちのその他からリレー・データを傍受するように実行可能なプログラム・コードを含むことができる。データ獲得モジュール280は、センサ285から変換されたデータを受信すること、および、対のデータ削減モジュール220による削減のために、受信したデータをホスト・コンピュータ210内に提供されたデータ集約ポイントに転送することが実行可能な、プログラム・コードを含むことができる。注目すべきことに、センサ285から変換された受信データを転送する場合、ノード240A、240Bのうちのその他のデータ傍受モジュール270は、WSNを介してデータ集約ポイントへ傍受されるデータを補足することができる。
【0016】
注目すべきことに、スウォーミング・モジュール290は、ホスト・コンピューティング・デバイス250内で実行する場合、ノード240A、240Bのうちのその他からWSNを介して集約ポイントへとリレー経路内を移動する際に傍受されるリレー・データの関連性を決定するように実行可能な、プログラム・コードを含むことができる。より具体的に言えば、リレー・データは、データ傍受モジュール270内で傍受される場合、リレー・データの関連性の程度を決定するために、1つまたは複数の関連性規則295を対象とすることができる。たとえば関連性規則は、リレー・データの値、特定タイプのリレー・データに関する値における傾向、ノード240A、240Bのうちの発信側と関連性が決定されることになるノード240A、240Bのうちの傍受側との間の関係、または、リレー・データに関する他の感知データの値に基づいて、関連性の程度を決定することができる。
【0017】
たとえば、温度を記述するリレー・データの値に関する関連性規則は、しきい値を超える温度に関する関連性を決定することができる。他の例として、温度を記述するリレー・データの値における傾向に関する関連性規則は、ノード240A、240Bのうちの特定の1つから発信される一連の温度読み取り値がしきい値を超える場合、関連性を決定することができる。さらに他の例として、ノード240A、240Bのうちの発信側と関連性が決定されることになるノード240A、240Bのうちの傍受側との間の関係に関する関連性規則は、ノード240A、240B間の距離がしきい値以内である場合、関連性を決定することができる。さらに他の例として、リレー・データに関する他の感知データの値に関する関連性規則は、ノード240A、240Bのうちの傍受側で測定される風速がしきい値を超え、ノード240A、240Bのうちの発信側で測定される温度のリレー・データが特定の値である場合、関連性の決定を含むことができる。
【0018】
いずれの場合も、さらにスウォーミング・モジュール290のプログラム・コードは、データ獲得モジュール280によって獲得される追加のデータを、リレー・データを補足するためにWSNを介して集約ポイントに転送することによって、関連しているものと決定された傍受されたリレー・データの処理を実行することができる。たとえば、ノード240A、240Bのうちの発信側によって集約ポイントにリレーされる温度データが傍受された時にしきい値を超える場合、WSN内の温度読み取り値のより包括的な見解を提供するため、および、ノード240A、240Bのうちの発信側での温度読み取りしきい値に関するコンテキストを提供するために、ノード240A、240Bのうちの傍受側によって獲得される温度データを集約ポイントに転送することができる。
【0019】
スウォーミング・モジュール290の動作のさらに他の例示で、図3はWSNにおける情報スウォーミングのためのプロセスを示す流れ図である。最初のブロック310では、傍受ノードにおいて、WSN内の発信ノードからWSN内の集約ポイントへのリレー経路内でリレー・データを傍受することができる。ブロック320で、リレー・データに関連性規則を適用することができる。たとえば、関連性規則は特定の値を超えるかまたはこれを下回る、あるいはこれに等しいリレー・データの値を説明可能である、関連性規則は特定タイプのデータに関するリレー・データの値における傾向を説明可能である、関連性規則は特定タイプのデータに関するリレー・データの値における変化率を説明可能である、関連性規則は傍受ノードと発信ノードとの間の関係を説明可能である、あるいは、関連性規則は、傍受ノード内でデータが獲得された場合に指定された値を超える、これに一致する、またはこれを下回るデータの値を説明可能である。
【0020】
意思決定ブロック330で、傍受されるリレー・データおよび傍受ノードですでに獲得されたデータへの単一の関連性規則の適用または複数の関連性規則の適用に基づいて、リレー・データが関連するものと判断されるかどうかを決定することができる。関連していない場合、オプションとしてブロック340で、傍受ノードが発信ノードから集約ポイントへのリレー・データのリレー経路内にあるか否かをさらに決定することができる。関連している場合、ブロック350で、リレー・データを集約ポイントに転送することが可能であり、プロセスはブロック360で終了可能である。しかしながら、意思決定ブロック330でリレー・データが関連するものと決定された場合、ブロック370で、リレー・データおよび以前に獲得されたデータの補足として、傍受ノード内で追加のデータを獲得することができる。その後新しくまたは追加で獲得されたデータは、ブロック380で集約ポイントに転送可能であり、再度オプションとして、意思決定ブロック340で傍受ノードがリレー経路内にあるものと決定された場合、ブロック350でリレー・データを集約ポイントに転送することが可能であり、プロセスはブロック360で終了可能である。このようにして、WSN内の感知された読み取り値のより包括的な見解を、発信ノードで獲得された読み取り値に関するより良いコンテキストと共に提供することができる。
【0021】
当業者であれば理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品として具体化可能である。したがって本発明の態様は、完全にハードウェア実施形態、完全にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、あるいは、本明細書ではすべてを全体として「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができるソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形を取ることができる。さらに本発明の態様は、その上に具体化されたコンピュータ読み取り可能プログラム・コードを有する1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能媒体内で具体化されるコンピュータ・プログラム製品の形を取ることができる。
【0022】
1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能媒体の任意の組み合わせが利用可能である。コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能信号媒体またはコンピュータ読み取り可能記憶媒体とすることができる。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、たとえば電子、磁気、光、電磁、赤外線、または半導体のシステム、装置、またはデバイス、あるいは上記の任意の好適な組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能記憶媒体のより特定の例(非網羅的リスト)は、1本または複数本のワイヤを有する電気接続、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはFlashメモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、あるいは上記の任意の好適な組み合わせを含むものである。本明細書との関連において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行のシステム、装置、またはデバイスによって、あるいはそれらに関連して使用するためのプログラムを包含または記憶することが可能な、任意の有形媒体とすることができる。
【0023】
コンピュータ読み取り可能信号媒体は、たとえばベースバンド内に、または搬送波の一部として、内部に具体化されたコンピュータ読み取り可能プログラム・コードを備える、伝搬データ信号を含むことができる。こうした伝搬信号は、電磁、光、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の多様な形を取ることができる。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体でなく、命令実行のシステム、装置、またはデバイスによって、あるいはそれらに関連して使用するためのプログラムを通信、伝搬、または移送することが可能な、任意のコンピュータ読み取り可能媒体とすることができる。
【0024】
コンピュータ読み取り可能媒体上に具体化されるプログラム・コードは、無線、有線、光ファイバ・ケーブル、無線周波数など、または上記の任意の好適な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して伝送可能である。本発明の態様に関する動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成可能である。プログラム・コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロン型ソフトウェア・パッケージとして、一部はユーザのコンピュータ上および一部はリモート・コンピュータ上で、あるいは、完全にリモート・コンピュータまたはサーバ上で、実行可能である。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続可能であるか、あるいは(たとえばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータへの接続が可能である。
【0025】
本発明の態様について、本発明の実施形態に従った方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品の流れ図あるいはブロック図またはその両方を参照しながら、上記で説明してきた。この点で、図面内の流れ図およびブロック図は、本発明の様々な実施形態に従ったシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。たとえば流れ図またはブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの一部分を表すことができる。いくつかの代替の実装では、ブロック内に示された機能は図面内に示された順序以外で実行可能であることにも留意されたい。たとえば連続して示される2つのブロックは、実際にはほぼ同時に実行可能であるか、関与する機能に応じて、ブロックは時に逆の順序で実行可能である。ブロック図あるいは流れ図またはその両方の各ブロック、およびブロック図あるいは流れ図またはその両方におけるブロックの組み合わせは、指定された機能または作業を実行する特定用途向けハードウェアベース・システムまたは特定用途向けハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせによって実行可能であることにも留意されたい。
【0026】
流れ図あるいはブロック図またはその両方の各ブロック、および流れ図あるいはブロック図またはその両方におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラム命令によって実装可能であることも理解されよう。これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、流れ図あるいはブロック図またはその両方のブロック内に指定された機能/動作を実装するための手段を作成するように、汎用コンピュータ、特定用途向けコンピュータ、または機械を製造するための他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供可能である。
【0027】
これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスに特定の様式で機能するように指示することが可能な、コンピュータ読み取り可能媒体内に記憶することも可能であるため、結果としてコンピュータ読み取り可能媒体内に記憶された命令は、流れ図あるいはブロック図またはその両方のブロック内に指定された機能/動作を実装する命令を含む製品を作成する。コンピュータ・プログラム命令は、一連の動作ステップを、コンピュータ、他のプログラマブル装置、またはコンピュータ実装プロセスを生成するための他のデバイス上で実行させるために、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス上にロードすることも可能であるため、結果としてコンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令は、流れ図あるいはブロック図またはその両方のブロック内に指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供する。
【0028】
最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に示していない限り、複数形も同様に含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「含む」あるいは「含んでいる」またはその両方の用語は、示された機能、整数、ステップ、動作、要素、あるいは構成要素、またはそれらすべての存在を指定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、あるいはそれらのグループまたはそれらすべての存在または追加を除外するものでないことも理解されよう。
【0029】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステップさらには機能要素の対応する構造、材料、動作、および等価物は、具体的に請求されるような他の請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことが意図される。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明の開示された形を網羅するかまたはこれらに限定することは意図されていない。当業者であれば、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、多くの修正および変形が明らかとなろう。実施形態は、本発明の原理および実際の応用例を最も良く説明するため、ならびに、企図された特定の用途に好適な様々の修正を伴う様々な実施形態に関して他の当業者が本発明を理解できるようにするために、選択および説明された。
【0030】
以上、本明細書の本発明について詳細にまたその実施形態を参照しながら説明してきたが、以下のように添付の特許請求の範囲内で定義された本発明の範囲を逸脱することなく、修正および変形が可能であることが明らかとなろう。
図1
図2
図3