特許第5775611号(P5775611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775611
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20150820BHJP
   F04F 5/20 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   F04D25/08 304A
   F04F5/20 D
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-4628(P2014-4628)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2014-134203(P2014-134203A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2014年1月15日
(31)【優先権主張番号】1300629.1
(32)【優先日】2013年1月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス アンジェイ コヴァルチック
(72)【発明者】
【氏名】ニール アンドリュー スチュアート
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−132460(JP,A)
【文献】 特開2012−215162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
F04F 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内で空気流を発生させる送風機組立体であって、前記送風機組立体は、複数の吸気セクションを有するケーシングを備え、前記吸気セクションの各々は、空気入口、インペラ、及び前記インペラを駆動して前記吸気セクションを通って空気流を引き込むモータを有し、前記送風機組立体は、前記吸気セクションからの空気を受け入れる内部通路と、少なくとも1つの空気出口とを更に備え、前記ケーシングはボアを定め、前記ボアの周りに前記吸気セクション及び前記内部通路が延び、前記少なくとも1つの空気出口から噴出される空気によって前記ボアを通って前記送風機組立体の外部から空気が引き込まれることを特徴とする送風機組立体。
【請求項2】
前記吸気セクションの各々は、長さ方向にアーチ形状である、請求項1に記載の送風機組立体。
【請求項3】
前記吸気セクション及び前記内部通路の曲率中心は、同じである、請求項1又は2に記載の送風機組立体。
【請求項4】
前記吸気セクションは、前記内部通路と同じ長さ方向の曲率を有する、請求項1から3のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項5】
前記複数の吸気セクションは、第1の吸気セクション及び第2の吸気セクションを備え、前記第1の吸気セクションは前記第2の吸気セクションの反対側に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項6】
前記第1の吸気セクションの前記空気入口は、前記第2の吸気セクションの前記空気入口と同一平面上にある、請求項1から5のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項7】
前記内部通路の少なくとも一部は、前記吸気セクションの各々の下方に配置される、請求項1から6のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項8】
前記内部通路は連続している、請求項1から7のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項9】
前記内部通路は環状である、請求項1から8のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項10】
前記内部通路は、前記ボアの周りで変化する断面を有する、請求項1から9のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項11】
前記内部通路は、第1のセクション及び第2のセクションを備え、各セクションは、それぞれの吸気セクションから空気を受け入れる第1の入口ポート、第2の入口ポート、及び出口ポートを有し、前記第1のセクションの前記第2の入口ポートは、前記第2のセクションの前記出口ポートから空気を受け入れるように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項12】
前記内部通路の各セクションに関して、前記第1の入口ポートは前記第2の入口ポートに隣接して配置される、請求項11に記載の送風機組立体。
【請求項13】
前記内部通路の各セクションに関して、前記第1の入口ポートは前記第2の入口ポートと同一平面上にある、請求項12に記載の送風機組立体。
【請求項14】
前記内部通路の各セクションに関して、前記第2の入口ポートは、出口ポートの反対位置に配置される、請求項11から13のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項15】
前記内部通路の各セクションは、長さ方向に沿って半円形状である、請求項11から14のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項16】
前記内部通路は略矩形断面を有する、請求項1から15のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項17】
前記ケーシングは、前記ボアを定める第1の環状側壁、前記第1の環状側壁の周りに延びる第2の側壁、前記各側壁の間に延びる上壁、及び前記上壁の反対側に配置される下壁を備える、請求項1から16のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項18】
前記上壁と前記下壁との間の離隔距離は、前記ボアの周りで変化する、請求項17に記載の送風機組立体。
【請求項19】
前記少なくとも1つの空気出口は、前記下壁と前記第1の環状側壁との間に配置される、請求項17又は18に記載の送風機組立体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの空気出口は、円形スロットを備える、請求項1から19のいずれかに記載の送風機組立体。
【請求項21】
前記インペラの各々は、軸流インペラ及び斜流インペラのうちの一方である、請求項1から20のいずれかに記載の送風機組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に空気流を発生させる送風機組立体に関する。好ましい実施形態において、本発明は、天井送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の天井送風機が知られている。一般的な天井送風機は、第1の回転軸の周りに取り付けられたブレードセット及びブレードセットを回転させるために第1の回転軸の周りに取り付けられた駆動部を備える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様において、本発明は、室内に空気流を発生させる送風機組立体を提供し、送風機組立体は、複数の吸気セクション及びそれぞれの吸気セクションから空気を受け入れる複数の排気セクションを有するケーシングを備え、各吸気セクションは、空気入口、インペラ、及びインペラを駆動して吸気セクションを通ってそれぞれの排気セクションに空気流を引き込むモータを備え、各排気セクションは、それぞれの吸気セクションからの空気を受け入れる内部通路及び空気出口を有し、ケーシングはボアを定め、ボアの周りに排気セクションが延び、排気セクションから噴出される空気によってボアを通って送風機組立体の外部から空気が引き込まれる。
【0004】
以下では一次空気流と呼ぶケーシングから噴出される空気はケーシングを取り囲む空気を同伴するので、送風機組立体は、空気増幅器として作用して一次空気流及び同伴空気の両方をユーザに供給する。同伴空気は以下では二次空気流と呼ぶ。二次空気流は、室内空間、ケーシングを取り囲む領域、又は外部環境から引き込まれる。一次空気流は同伴二次空気流と合体して、ケーシングから放出される合体又は総体空気流を生成する。
【0005】
一次空気流は、ケーシングの吸気セクション内に配置されるモータ駆動式インペラによって発生する。各インペラの回転により、それぞれの空気ストリームは、ケーシングのそれぞれの空気入口を通ってケーシング内に引き込まれる。1つの実施例において、ケーシングは2つの吸気セクションを備え、各吸気セクションは、空気入口、インペラ、及びインペラを回転させて空気ストリームを空気入口を通ってケーシング内に引き込むモータを備える。
【0006】
従って、一次空気流は、2つの空気ストリームから形成されて空気入口を通ってケーシング内に引き込まれる。本出願人は、2つのモータ及び2つのインペラを同時に作動させて所望の流量の一次空気流をケーシング内に引き込む送風機組立体の使用時に発生する騒音は、単一のモータ及び単一のインペラを使用して同じ一次空気流をケーシングに引き込む場合に発生する騒音よりも低減できることを見出した。ケーシングを通る空気通路によりケーシング内に発生する騒音は、空気ストリームの速度が高くなると増大する傾向にある。本出願人は、ケーシングを通る所望の空気流量を得るために、1つの空気ストリームではなく2つの別個の空気ストリームで所望の空気流を生成すると、各空気ストリームの速度を相対的に低くでき、ケーシング内の騒音を低減できることを見出した。他の利点は、空気ストリームをケーシング内に引き込むために使用するモータ及びインペラの物理的サイズを小さくできる点にあり、これにより各吸気セクション、結果的にケーシング全体を比較的コンパクトな形状及びサイズにすることができる。
【0007】
好ましくは、各吸気セクションはアーチ形状である。また、各吸気セクションはケーシングによって定められるボアの周りに延びることができる。1つの実施例において、各吸気セクションは、ボアの周りを90から180°の範囲の角度で延びる。好ましくは、吸気セクションは、同じ角度方向でもって排気セクション内に空気を送るように構成される。好ましくは、各吸気セクションは、ケーシングのボアの接線方向でもって排気セクション内に空気を送るように構成される。
【0008】
好ましくは、各排気セクションはアーチ形状である。1つの実施例において、ケーシングは2つの排気セクションを備え、各排気セクションは半円形状である。排気セクションは、ケーシングが環状形状となるように相互に連結される。吸気セクション及び排気セクションは同心とすることができる。吸気セクションは、部分的に排気セクションの周りを延びて、ケーシングの環状形状を維持するようになっており、吸気セクションの長さに応じて、ケーシングは、該ケーシングのボアの周りを延びるコイル形状とすることができる。もしくは、吸気セクションは排気セクションと同じ曲率とすることができる。例えば、吸気セクションは、排気セクションの上側に配置してケーシングの外径を最小にすることができる。
【0009】
1つの実施例において、複数の吸気セクションは第1の吸気セクション及び第2の吸気セクションを備え、複数の排気セクションは、第1の吸気セクションからの空気を受け入れる第1の排気セクション及び第2の吸気セクションからの空気を受け入れる第2の排気セクションを備える。これらのセクションは、少なくとも第1の排気セクションの一部が第2の吸気セクションの真下に配置され、少なくとも第2の排気セクションの一部が第1の吸気セクションの真下に配置されるように構成することができる。吸気セクションと排気セクションとの間で比較的滑らかな空気流を実現するために、各吸気セクションは、関連の排気セクションに空気を送るための、好ましくは湾曲した、好ましくは略蛇行した出口導管を有する。好ましくは、出口導管は、吸気セクションのインペラ及びモータを収容する略均一断面のアーチ形入口導管の下流に配置される。入口導管及び出口導管が採用する形状は、空気入口と、インペラの回転により発生する空気ストリームを受け入れる排気セクションとの間の空気経路の方向の急激な変化を解消することができるので、排気セクションに流入する際の空気ストリームのエネルギ損失を低減することができる。吸気セクションのサイズを最小にするために、インペラは、好ましくは軸流インペラであるが、インペラは斜流インペラとすることもできる。好ましくは、吸気セクションは、インペラの下流に配置され、空気流を排気セクションに向かって案内するディフューザを備える。
【0010】
第1の吸気セクションの空気入口は、第2の吸気セクションの空気入口と実質的に同一平面にある。好ましくは、各空気入口は、ケーシングの空気出口と実質的に直交する。好ましくは、各空気入口は、それぞれの吸気セクションの入口導管の端部に配置される。好ましくは、この空気入口は、空気ストリームがケーシングのボアの実質的に接線方向でもって送風機組立体に流入することを可能にする接線方向の空気入口である。これにより空気ストリームは、空気入口の直下流で空気ストリームの方向に急激な変化を伴うことなくケーシングに流入することができる。
【0011】
好ましくは、各排気セクションの内部通路は、ボアの周りで変化する断面を有する。空気ストリームが排気セクションを通って流れる際に、空気がケーシングから噴出するので、排気セクション内に残留する空気ストリームの流量はボアの周りで減少する。排気セクション内の空気ストリームの速度を実質的に一定に維持するために、好ましくは、排気セクションの断面積は、吸気セクションから延びる方向に減少する。1つの実施例において、各排気セクションの内部通路は、それぞれの吸気セクションからの空気ストリームを受け入れるための第1の端部、及び第1の端部の反対位置(対称位置)に配置される第2の端部を有し、内部通路の断面積は、第1の端部から第2の端部に向かって減少する。排気セクション内で実質的に一定の空気ストリーム速度を維持することで、空気ストリームが排気セクションから噴出する速度はボアの周りで実質的に一定とすることができ、その結果、送風機組立体から発生する合体空気流の速度は、ボア軸の周りで実質的に同じとすることができる。
【0012】
好ましくは、各排気セクションは、ボアを部分的に定める第1のアーチ形側壁、第2の側壁、各側壁の間を延びる上壁、及び上壁の反対側に配置される下壁を備える。空気出口は、下壁と第1の側壁との間、又は下壁に配置することができる。
【0013】
排気セクションは略矩形断面を有することができる。排気セクションの断面積変化は、複数の方法のうちの1つで実現できる。例えば、上壁と下壁との間の距離は、ボアの周りで変えることができる。第1の側壁と第2の側壁との間の距離は、ボアの周りで比較的一定とすることができる。もしくは、第1の側壁と第2の側壁との間の距離は、少なくともボアの一部の周りで変えることができる。
【0014】
好ましくは、各空気出口はスロットの形態である。各スロットは半円形とすることができる。好ましくは、空気出口は、ボア軸から離れる方向に一次空気流を噴出するように構成され、好ましくは、外向きにテーパー付けされた円錐形状である。本出願人は、一次空気流がボア軸から離れる方向にケーシングから噴出すると、一次空気流による二次空気流の同伴レベルを高くすることができ、結果的に送風機組立体から発生する合体空気流の流量が増加することを見出した。本明細書での合体空気流の流量の絶対値又は相対値又は最大速度への言及は、ケーシングの空気出口の前方の1.5mの距離で記録した値に関して行われる。
【0015】
何らかの理論に縛られることは望まないが、本出願人は、一次空気流による二次空気流の同伴割合は、ケーシングから噴出される一次空気流の外面プロファイルの表面積の大きさに関連すると考えている。一次空気流が外向きにテーパー付けされるか又は張り出す場合、外面プロファイルの表面積は相対的に大きくなり、一次空気流とケーシングを取り囲む空気との混合が促進されて、合体空気流の流量が増大する。ケーシングが発生する合体空気流の流量が増大すると、合体空気流の最大速度が低下する。これにより、送風機組立体は室内又はオフィスの中を通る空気流を発生させる天井送風機として適切に使用できる。
【0016】
第1の側壁は、ボア軸から離れる方向にテーパー付けされた方向に下壁に向かって延びる、下壁に隣接するセクションを備えることが好ましい。ボア軸に対する側壁のセクションの傾斜角は0度から45度の間とすることができる。側壁のこのセクションは、実質的に裁頭円錐形であることが好ましい。空気出口は、側壁のこのセクションに対して略平行な方向に一次空気流を噴出するように構成できる。側壁のこのセクションは、下端壁と一緒になってケーシングの空気出口を形成できる。側壁のこのセクションは下壁の一部と一体にできる。
【0017】
好ましくは、空気出口はボア軸の周りを延びる。ケーシングはボア軸の周りで所定角度離間した複数の空気出口を備えることができる
【0018】
ケーシングの排気セクションは相互に切り離すことができる。もしくは、各排気セクションは流体連通することができ、空気は一方の排気セクションから他方の排気セクションに移動することができる。これにより、ボアの周りの一次空気流の速度をより一定に維持するのを助けることができる。例えば、ケーシングの各空気出口を接続して、ボア軸が空気出口の中心を通過する、単一の円形空気出口を形成することができる。代替的に又は追加的に、排気セクションの各内部通路は流体連通することができ、各排気セクションは、他の1つの排気セクションから空気を受け入れるか又はそこに空気を放出するように構成される。例えば、各排気セクションは、吸気セクションからの空気ストリームを受け入れるための第1の入口ポート、他の1つの排気セクションからの空気を受け入れるための第2の入口ポート、及び他の1つの排気セクションに空気を放出する出口ポートを備えることができる。ケーシングが第1の半円形排気セクション及び第2の半円形排気セクションを備える場合、第1の排気セクションの第2の入口ポートは第2の排気セクションからの空気を受け入れるように構成され、第1の排気セクションの出口ポートは、空気を第2の排気セクションに戻すように構成される。同様に、第2の排気セクションの第2の入口ポートは、第1の排気セクションの出口ポートからの空気を受け入れるように構成され、第2の排気セクションの出口ポートは、空気を第1の排気セクションに戻すように構成される。
【0019】
好ましくは、各排気セクションの第2の入口ポート及び出口ポートは同じ断面積を有する。好ましくは、第1の入口ポートは第2の入口ポートよりも大きな断面積を有する。好ましくは、第1の入口ポートは第2の入口ポートに隣接して配置される。好ましくは、第1の入口ポートは第2の入口ポートと同一平面上にあるので、吸気セクションからの空気が排気セクションに流入する方向は、他の排気セクションからの空気が排気セクションに流入する方向と実質的に同じである。これにより排気セクション内の乱流を最小にすることができる。好ましくは、第2の入口ポートは出口ポートの反対位置(対称位置)に配置される。
【0020】
ケーシングの各排気セクションの間の連通は、ケーシングに吸気セクションの各々からの空気を受け入れるための単一の連続した内部通路、及び少なくとも1つの空気出口を提供すると考えることができる。従って、第2の態様において、本発明は、室内に空気流を発生させる送風機組立体を提供し、送風機組立体は、複数の吸気セクションを有するケーシングを備え、各吸気セクションは、空気入口、インペラ、及びインペラを駆動して吸気セクションを通って空気流を引き込むモータを備え、送風機組立体は、更に吸気セクションからの空気を受け入れる内部通路及び少なくとも1つの空気出口を備え、ケーシングはボアを定め、ボアの周りに吸気セクション及び内部通路が延び、少なくとも1つの空気出口から噴出される空気によってボアを通って送風機組立体の外部から空気が引き込まれる。
【0021】
好ましくは、送風機組立体は、ケーシングを部屋の天井に支持するための支持組立体を含む。好ましくは、支持組立体は、部屋の天井に取り付け可能な取付板を備える。
【0022】
前述の第1の態様に関連する特徴は、本発明の第2の態様に同様に適用可能であり、またその逆も可能である。
本発明の好ましい特徴は、添付図面を参照して以下に例示的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】送風機組立体の上方からの正面斜視図である。
図2】送風機組立体の上面図である。
図3】送風機組立体の左側面図である。
図4】送風機組立体の正面図である。
図5図3のラインC−Cに沿った断面図である。
図6図4のラインD−Dに沿った断面図である。
図7a図3のラインE−Eに沿った断面図である。
図7b図7aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から4は、室内で空気流を発生させる送風機組立体10の実施例の外観図を示す。本実施例において、送風機組立体10は、部屋の天井に結合可能な天井送風機の一部を構成する。支持組立体(図示せず)は、送風機組立体10を部屋の天井に支持するために設けられる。支持組立体は、送風機組立体10を天井に支持するためのフレーム、アーム、チェーン等の公知の任意の支持構造を備えることができる。
【0025】
送風機組立体10は環状ケーシングを備える。ケーシングは、一次空気流を送風機組立体10に引き込むための第1の吸気セクション12及び第2の吸気セクション14を有する。また、ケーシングは、第1の吸気セクション12からの空気を受け入れるための第1の排気セクション16と、第2の吸気セクション14からの空気を受け入れるための第2の排気セクション18と、を有する。排気セクション16、18は半円形状であり、中心ボア軸Xの周りを延びてケーシングのボア20を形成するように相互に接続されている。ボア20は略円形断面を有する。吸気セクション12、14は、同じ角度方向で排気セクション16、18に空気を送るように構成され、図2に示すように、各吸気口12、14は、それぞれの排気セクション16、18に空気を送るように構成され、空気は各排気セクション16、18に流入して、実質的に排気セクション16、18を通って反時計回りに流れるようになっている。
【0026】
また、図5から7を参照すると、各排気セクション16、18は、ボア20の周りに部分的に延びて、それぞれの吸気セクション12、14からの空気を受け入れる半円形の内部通路22、24と、ケーシングから空気を噴出するための少なくとも1つの空気出口26、28とを有する。本実施例において、各排気セクション16、18は、半円形スロットの形態の単一の空気出口26、28を備える。ケーシングの内部通路22、24は相互に切り離すことができるが、本実施例では、以下に詳細に説明するように、内部通路22、24は、空気が一方の排気セクションから他方に移行できるように相互に接続される。この場合、ケーシングは、該ケーシングのボア20の周りを延びて空気出口26、28に空気を送り、一緒になって空気流がケーシングから噴出される略円形スロットを形成する、2つの半セクション22、24から構成される連続的な内部通路を備えると見なすことができる。
【0027】
各排気セクション16、18は、ケーシングの種々の壁で形成される略矩形断面を有する。詳細には、ケーシングは、ケーシングのボア20の周りを延びる環状内側側壁30及び内側側壁30の周りを延びる環状外側側壁32を有する。本実施例において、内側側壁30と外側側壁32との間の半径方向距離は、ボア軸Xの周りで実質的に一定である。環状下壁34は、側壁30、32の間に延びる。各壁30、32、34は、内部通路22、24及び空気出口26、28の一部を定める。空気出口26、28は、内側側壁30と下壁34との間に配置される。空気出口26、28は、ボア軸Xに直交する平面内に配置され、好ましくは、0.5から5mmの範囲の比較的一定の幅を有する。空気出口26、28は、下壁34と内側側壁30の下部36との間に配置される。内側側壁30の下部36の内側面は、空気出口26、28を通る空気をボア軸Xに対して傾斜すると共に該ボア軸から離れるように延びる方向に案内するように形作られる。本実施例において、空気は空気出口26、28を通ってボア軸Xに対して約15°だけ傾いた方向に噴出される。内側側壁30の下部36及び下壁34は、複数のウェブ38(図5にはウェブの1つが示されている)によって相互に連結され、ウェブ38は、空気出口26、28を横切って延びて空気出口26、28の幅を制御するように機能する。これらのウェブ38は、ボア軸Xの周りで例えば20°又は30°といった角度間隔で離間する。
【0028】
また、内部通路22、24の各々は、それぞれの排気セクション16、18のそれぞれの上壁40、42によって部分的に形成される。上壁40、42の各々は、側壁30、32の間に延びる。上壁40、42の各々は、ケーシングのボア20の周りを下壁34と同じ曲率で延びる。上壁40、42の各々は、上壁40、42の各々と下壁34との間の離隔距離がボア軸Xの周りで連続的に変化するように形作られる。このことは、ボア軸Xの周りの内部通路22、24の断面積が変わるという効果を有する。本実施例において、上壁40、42の各々は、下壁34に対して所定の角度で配置され、上壁40、42と下壁34との間の離隔距離が内部通路22、24の一端から内部通路22、24の他端に向かって漸減するようになっている。上壁40、42と下壁34との間の傾斜角は、好ましくは0から10°の範囲にある。本実施例において、上壁40、42の各々は下壁34に対して角度約3°だけ傾いている。上壁40、42と下壁34との間の距離が変化することに加えて、内側側壁30と外側側壁32との間の半径方向距離は、ボア軸Xの少なくとも一部の周りで変えることができ、内部通路22、24の断面積の所望の変化をもたらすようになっている。
【0029】
結果的に、各排気セクション16、18の内部通路22、24は、ボア軸Xの周りで連続的に変化する断面積を有する渦巻きの一部の形態となる。本実施例において、上壁40、42は下壁34と接触しないように構成されるので、各排気セクション16、18は、比較的大きな渦巻状吸気セクション及び比較的小さな渦巻状排気セクションを有し、排気セクション16、18の内部通路22、24の断面積はこれらの渦巻きセクションの間で連続的に減少するようになっている。図7a及び図7bを参照すると、各排気セクション16、18は、それぞれの吸気セクション12、14からの空気を受け入れる第1の入口ポート44と、第2の入口ポート46と、出口ポート48を有する。第1及び第2の入口ポート44、46は内部通路22、24の一端に配置され、出口ポート48は内部通路22、24の他端に配置される。第1の入口ポート44は、第2の入口ポート46に隣接して配置され、本実施例において、入口ポート44、46は実質的に同一平面上にある。空気入口ポート44、46の各々は、ケーシングのボア20の実質的に接線方向にある方向でもって内部通路22、24に空気を送るように構成され、好ましくは、空気入口ポート44、46はボア軸Xを包含して通過する半径方向平面に配置される。これにより、入口ポート44、46のすぐ下流での乱流の発生を最小にすることができる。
【0030】
本実施例において、ケーシングが排気セクション16、18を備える場合、第1の排気セクション16の第2の入口ポート46は、第2の排気セクション18の出口ポート48からの空気を受け入れるように構成され、第2の排気セクション18の第2の入口ポート46は、第1の排気セクション16の出口ポート48からの空気を受け入れるように構成される。排気セクション16、18は半円形なので、出口ポート48は、入口ポート44、46の反対位置(対称位置)に配置される。
【0031】
各吸気セクション12、14はアーチ形状であり、排気セクション16、18の曲率と実質的に同じ曲率を有する。好ましくは、各吸気セクション12、14は、90から180°の間の角度でボア軸Xの周りを延びる。本実施例において、各吸気セクション12、14は、約130°の角度でボア軸Xの周りを延びる。吸気セクション12、14は、第1の吸気セクション12が第2の排気セクション18の上側でボア軸Xの周りを延びて空気を第1の排気セクション16に送るように、及び第2の排気セクション14が第1の排気セクション16の上側でボア軸Xの周りを延びて空気を第2の排気セクション18に送るように構成される。吸気セクション12、14と排気セクション16、18との間で比較的滑らかな空気流を実現するために、各吸気セクション12、14は、それぞれの排気セクション16、18の第1の入口ポート44に空気を送るための湾曲した、つまり略蛇行した出口導管50を有する。出口導管50は、略均一断面のアーチ形入口導管52の一端に配置される。吸気セクション12、14の空気入口54は入口導管52の他端に配置される。空気入口54は、接線方向の空気入口であり、空気入口は、ケーシングのボア20の接線方向にある方向でもって風機組立体10への空気の流入を可能にする。これにより、空気流は、空気入口の直下流で空気流の方向に急激な変化を伴うことなくケーシングに流入することができるので、吸気セクション12、14内の乱流により発生する騒音を低減することができる。
【0032】
各入口導管52は、インペラ56及び該インペラ56を駆動して空気をケーシングの吸気セクション12、14に引き込むモータ58を収容する。吸気セクションのサイズを最小化するために、インペラ56は好ましくは軸流インペラであるが、インペラは斜流インペラとすることができる。また、吸気セクション12、14は、インペラ56の下流に配置され、複数のディフューザベーンを備えるディフューザ60を収容する。リモートコントロールからの制御信号を受信し、受信した制御信号に応答してモータ58を制御する主制御回路は、一方の入口導管52の内部に配置することができる。代替的に又は追加的に、入口導管52上にユーザインタフェースを配置することができる。このユーザインタフェースは、ユーザがモータ58を作動又は停止させるための及びモータ58の回転を制御するための、1つ又はそれ以上のボタン又はダイヤルを備えることができる。好ましくは、主制御回路は各モータ58を制御するように構成されるので、送風機組立体10に使用時に各インペラ56が同じ速度で回転するようになっている。その結果、第1の吸気セクション12に流入する空気流量と第2の吸気セクション14に流入する空気流量は実質的に等しくなる。モータ58に電力を供給する電力ケーブルの各々は、それぞれの入口導管52に設けられる開口を通って延びる。
【0033】
吸気セクション12、14は、1つ又はそれ以上の消音機構を備えることができる。本実施例において、各入口導管52は、入口導管52の内側面の周りに広がり空気入口54とインペラ56との間に配置される管状消音発泡体62と、入口導管52の内側面の周りに広がりインペラ56と出口導管52との間に配置される管状消音発泡体64とを含む。
【0034】
送風機組立体10を作動させるために、ユーザはユーザインタフェース又はリモートコントロールの適切なボタンを押す。ユーザインタフェースの制御回路は、この操作を主制御回路に伝達し、これに応答して主制御回路はモータ58を作動させてインペラ56を回転させる。インペラ56の回転により空気ストリームが吸気セクション12、14に引き込まれる。ユーザは、ユーザインタフェース又はリモートコントロールを利用してモータ58の速度、結果的にケーシングに引き込まれ空気の流量を制御することができる。各空気ストリームは各吸気セクション12、14を通過して、第1の入口ポート44を通ってそれぞれの排気セクション16、18に流入する。空気ストリームがケーシングを通過する際に、比較的少量の空気が第2の出口ポート46を通って排気セクション16、18の間で移送される。しかしながら、空気の大部分は空気出口26、28を通って噴出される。ボア軸Xを包含して通過する平面に示すように、空気は、空気出口26、28を通ってボア軸Xから離れるように延びる方向に噴出される。空気出口26、28からの空気の噴出は、外部環境、特に送風機組立体10の周りの領域からの空気の巻き込みによって発生する二次空気流を引き起こす。この二次空気流は、噴出空気と混じり合って、送風機組立体10から放出される合体又は総体の空気流又は気流を生じさせる。
【符号の説明】
【0035】
10 送風機組立体
12 吸気セクション
14 吸気セクション
16 排気セクション
18 排気セクション
20 ボア
22 内部通路
24 内部通路
26 空気出口
28 空気出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b