特許第5775616号(P5775616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775616
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20150820BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/18
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-43812(P2014-43812)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-174549(P2014-174549A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】102108256
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504337659
【氏名又は名称】玉晶光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】張國文
(72)【発明者】
【氏名】李柏徹
(72)【発明者】
【氏名】許聖偉
(72)【発明者】
【氏名】唐子健
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/021271(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/024198(WO,A1)
【文献】 特開2011−095513(JP,A)
【文献】 特開2010−237407(JP,A)
【文献】 特開2011−085733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 13/00
G02B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズであって、
開口絞りと、各々が物体側に向いた物体側の面と像側に向いた像側の面とを有する、第1のレンズ素子と、第2のレンズ素子と、第3のレンズ素子と、第4のレンズ素子と、第5のレンズ素子と、を当該順序で光軸に沿って物体側から像側へ亘って備え、当該撮像レンズに対し全体として屈折力を有せしめるレンズ素子が前記第1乃至第5のレンズ素子のみからなり、
前記第1のレンズ素子は、正の屈折力を有するとともに、光軸近傍に凸部をなす前記像側の面を有し、
前記第2のレンズ素子は、負の屈折力を有するとともに、当該第2のレンズ素子の周縁部近傍に凸部をなす前記物体側の面と、光軸近傍に凹部をなす前記像側の面と、を有し、
前記第3のレンズ素子は、当該第3のレンズ素子の周縁部近傍に凹部をなす前記物体側の面と、当該第3のレンズ素子の周縁部近傍に凸部をなす前記像側の面と、を有し、
前記第4のレンズ素子は、光軸近傍に凹部をなす前記物体側の面と、光軸近傍に凸部をなす前記像側の面と、を有し、
前記第5のレンズ素子は、光軸近傍に凸部をなす前記物体側の面と、光軸近傍に凹部をなし且つ当該第5のレンズ素子の周縁部近傍に凸部をなす前記像側の面と、を有し、
前記第1のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離と、前記第2のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離と、前記第3のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離と、前記第4のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離と、前記第5のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離との和を示すALTと、
前記第4と第5のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅を示すG45とは、
ALT/G45≦8.00を満たす
ことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
前記第3と第4のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅を示すG34と、
記G45とは、
G34/G45≦1.50を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第2のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離を示すT2と、
前記第4のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離を示すT4とは、
1.70≦T4/T2≦3.00を満たすことを特徴とする請求項2に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記T4と前記G34とは、T4/G34≦2.10をさらに満たすことを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第1のレンズ素子の前記物体側の面と、当該撮像レンズにより像側に形成される像面と、の間の光軸に沿った距離を示すTTLと、
前記第1及び第2のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅と、前記第2及び第3のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅と、前記第3及び第4のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅と、前記第4及び第5のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅との和を示すGaaとは、
TTL/Gaa≦4.60を満たすことを特徴とする請求項2に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
記ALTと、
前記第4のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離を示すT4と、
前記G34と、
前記G45とは、
ALT/T4≦4.50かつ1.00≦G34/G45≦1.50を満たすことを特徴とする請求項5に記載の撮像レンズ。
【請求項7】
記G45と、
前記第2のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離を示すT2とは、
G45/T2≧0.90を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
前記第3のレンズ素子は正の屈折力を有することを特徴とする請求項7に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
記ALTと、
前記第1及び第2のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅と、前記第2及び第3のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅と、前記第3及び第4のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅と、前記第4及び第5のレンズ素子間の光軸に沿った間隙幅との和を示すGaaと、
前記第4のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離を示すT4と、
前記第5のレンズ素子の前記物体側の面と前記像側の面との間の光軸に沿った距離を示すT5とは、
ALT/Gaa≦2.05かつT4/T5≧1.10を満たすことを特徴とする請求項8に記載の撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型電子機器(例えば、携帯電話機およびデジタルカメラ)の普及に伴って、携帯型電子機器の大きさを縮小することに多くの力が注がれている。また、電荷結合素子(CCD:Charged Coupled Device)および相補型金属酸化膜半導体(CMOS:Complementary Metal‐Oxide Semiconductor)による光学センサの大きさが縮小されると、それに応じて、光学センサと共に用いる撮像レンズの寸法が、光学性能を著しく損なうことなく、縮小されなければならない。
【0003】
このような背景において、特許文献1、特許文献2、特許文献3はそれぞれ、5つのレンズ素子を有する従来の撮像レンズを開示しており、その第1のレンズ素子は、負の屈折力を有する。
【0004】
特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8はそれぞれ、5つのレンズ素子を有する従来の撮像レンズを開示しており、その第5のレンズ素子は、比較的大きい厚さを有し、従って、小型化された電子機器で用いるのに適していない。
【0005】
特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14は、5つのレンズ素子を有する従来の撮像レンズを開示しており、その間隙幅の和は、不適切に大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0176049号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0316969号
【特許文献3】米国特許第7480105号
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0212660号
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0254029号
【特許文献6】米国特許出願公開第2012/0250167号
【特許文献7】特開2008−281760号公報
【特許文献8】特開2012−208326号公報
【特許文献9】米国特許出願公開第2012/0069455号
【特許文献10】米国特許出願公開第2012/0087019号
【特許文献11】米国特許出願公開第2012/0087020号
【特許文献12】特開2010−224521号公報
【特許文献13】特開2010−152042号公報
【特許文献14】特開2010−026434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、上述の従来の撮像レンズは、それらの系の長さが比較的長いことから、ある種の小型化された電子機器での使用には適していない。例えば、特許文献7で開示されている従来の撮像レンズは、16mmを超える系の長さを有し、これは、携帯電話機およびデジタルカメラなどの小型化には不都合となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の目的は、良好な光学性能を維持しつつ、系の長さが比較的短い撮像レンズを提供することである。
【0009】
よって、本発明の撮像レンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に配置される、開口絞りと、第1のレンズ素子と、第2のレンズ素子と、第3のレンズ素子と、第4のレンズ素子と、第5のレンズ素子とを備える。第1、第2、第3、第4、第5のレンズ素子の各々は、物体側に向いた物体側の面と、像側に向いた像側の面とを有する。
【0010】
第1のレンズ素子は正の屈折力を有し、第1のレンズ素子の像側の面は、光軸近傍に凸部を有する。
【0011】
第2のレンズ素子は負の屈折力を有し、第2のレンズ素子の物体側の面は、該第2のレンズ素子の周縁部近傍に凸部を有する。第2のレンズ素子の像側の面は、光軸近傍に凹部を有する。
【0012】
第3のレンズ素子の物体側の面は、該第3のレンズ素子の周縁部近傍に凹部を有する。第3のレンズ素子の像側の面は、該第3のレンズ素子の周縁部近傍に凸部を有する。
【0013】
第4のレンズ素子の物体側の面は、光軸近傍に凹部を有する。第4のレンズ素子の像側の面は、光軸近傍に凸部を有する。
【0014】
第5のレンズ素子の物体側の面は、光軸近傍に凸部を有する。第5のレンズ素子の像側の面は、光軸近傍に凹部を有するとともに、該第5のレンズ素子の周縁部近傍に凸部を有する。
【0015】
本発明の撮像レンズは、第1、第2、第3、第4、第5のレンズ素子の他には、屈折力を有するレンズ素子を備えていない。
【0016】
本発明の別の目的は、5つのレンズ素子を有する撮像レンズを備えた電子機器を提供することである。
【0017】
よって、本発明の電子機器は、ハウジングと撮像モジュールとを備える。撮像モジュールは、ハウジング内に配置されており、本発明の撮像レンズと、撮像レンズが配置される鏡筒と、鏡筒が配置されるホルダユニットと、撮像レンズに対して像側に配置される撮像センサと、を有している。
【0018】
本発明の他の特徴ならびに効果は、添付の図面を参照した以下の好ましい実施形態の詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るレンズ素子の面の様々な部分を示す模式図である。
図2】本発明に係る撮像レンズの第1の好ましい実施形態を示す模式図である。
図3】第1の好ましい実施形態の撮像レンズに対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表である。
図4】“x”、“y”、および“z”軸を持つデカルト座標系でレンズ素子を示す図である。
図5】第1の好ましい実施形態の撮像レンズに対応する光学的関係のいくつかのパラメータの値を示している。
図6】(a)から(d)は、第1の好ましい実施形態の撮像レンズの様々な光学特性を示している。
図7】本発明に係る撮像レンズの第2の好ましい実施形態を示す模式図である。
図8】第2の好ましい実施形態の撮像レンズに対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表である。
図9】第2の好ましい実施形態の撮像レンズに対応する光学的関係のいくつかのパラメータの値を示している。
図10】(a)から(d)は、第2の好ましい実施形態の撮像レンズの様々な光学特性を示している。
図11】本発明に係る撮像レンズの第3の好ましい実施形態を示す模式図である。
図12】第3の好ましい実施形態の撮像レンズに対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表である。
図13】第3の好ましい実施形態の撮像レンズに対応する光学的関係のいくつかのパラメータの値を示している。
図14】(a)から(d)は、第3の好ましい実施形態の撮像レンズの様々な光学特性を示している。
図15】本発明に係る撮像レンズの第4の好ましい実施形態を示す模式図である。
図16】第4の好ましい実施形態の撮像レンズに対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表である。
図17】第4の好ましい実施形態の撮像レンズに対応する光学的関係のいくつかのパラメータの値を示している。
図18】(a)から(d)は、第4の好ましい実施形態の撮像レンズの様々な光学特性を示している。
図19】本発明に係る撮像レンズの第5の好ましい実施形態を示す模式図である。
図20】第5の好ましい実施形態の撮像レンズに対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表である。
図21】第5の好ましい実施形態の撮像レンズに対応する光学的関係のいくつかのパラメータの値を示している。
図22】(a)から(d)は、第5の好ましい実施形態の撮像レンズの様々な光学特性を示している。
図23】第1、第2、第3、第4、第5の好ましい実施形態の撮像レンズに対応する他の光学的関係のパラメータの値を示す表である。
図24】本発明の撮像レンズの第1の適用例を示す部分断面模式図である。
図25】本発明の撮像レンズの第2の適用例を示す部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明についてより詳細に説明するに当たり、留意されるべきことは、類似の要素は、本開示全体を通して同一の参照符号で示しているということである。
【0021】
以下の説明において、「レンズ素子が、正(または負)の屈折力を有する」とは、レンズ素子が、その光軸近傍において正(または負)の屈折力を有することを意味する。
「物体側の面(または像側の面)が、特定の領域に凸部(または凹部)を有する」とは、その特定の領域に隣接する径方向外側の領域と比較して、その特定の領域が、光軸と平行な方向に、より多く膨らんでいる(または、窪んでいる)ことを意味する。一例として図1を参照すると、レンズ素子は、その光軸(I)に関して径方向に対称である。レンズ素子の物体側の面は、領域Aに凸部を有し、領域Bに凹部を有し、領域Cに凸部を有する。なぜなら、領域Aは、その径方向外側の領域(すなわち、領域B)と比較して、光軸(I)に平行な方向に、より膨らんでおり、領域Bは領域Cと比較して、より窪んでおり、領域Cは領域Eと比較して、より膨らんでいるからである。
「周縁部近傍に」とは、専ら撮像光を通過させるためのレンズ素子の曲面における周縁に沿った領域を指し、それは図1における領域Cである。撮像光は、主光線Lcと周辺光線Lmとを含む。
「光軸近傍に」とは、専ら撮像光を通過させるための曲面における光軸周辺の領域を指し、それは図1における領域Aである。また、レンズ素子は、さらに、光学撮像レンズ装置内への取り付け用の拡張部Eを有する。理想的には、撮像光は拡張部Eを通過しない。拡張部Eの構造および形状は、本明細書に記載のものに限定されない。以下の実施形態では、わかりやすくするため、拡張部Eは図示していない。
【0022】
図2を参照する。本発明に係る撮像レンズ10の第1の好ましい実施形態は、光軸(I)に沿って物体側から像側へ順に配置される、開口絞り2と、第1、第2、第3、第4、第5のレンズ素子3〜7と、光学フィルタ8と、を備える。光学フィルタ8は、赤外光を選択的に吸収するための赤外線カットフィルタであり、これによって、像面9に形成される像の欠陥を軽減する。
【0023】
第1、第2、第3、第4、第5のレンズ素子3〜7、および光学フィルタ8のそれぞれは、物体側に向いた物体側の面31、41、51、61、71、81と、像側に向いた像側の面32、42、52、62、72、82と、を有する。
撮像レンズ10に入射する光は、順に、開口絞り2、第1のレンズ素子3の物体側の面31と像側の面32、第2のレンズ素子4の物体側の面41と像側の面42、第3のレンズ素子5の物体側の面51と像側の面52、第4のレンズ素子6の物体側の面61と像側の面62、第5のレンズ素子7の物体側の面71と像側の面72、光学フィルタ8の物体側の面81と像側の面82を通って進み、像面9に像を形成する。物体側の面31、41、51、61、71および像側の面32、42、52、62、72のそれぞれは、非球面であり、光軸(I)と一致する中心点を有する。
【0024】
レンズ素子3〜7は、本実施形態ではプラスチック材料で構成されており、他の実施形態では、それらのうち少なくとも1つを他の材料で構成することができる。
【0025】
図2に示す第1の好ましい実施形態では、第1のレンズ素子3は、正の屈折力を有する。物体側の面31は凸面である。像側の面32は、凸面であり、光軸(I)近傍に凸部321を有する。
【0026】
第2のレンズ素子4は、負の屈折力を有する。物体側の面41は、該第2のレンズ素子4の周縁部近傍に凸部411を有する凸面である。像側の面42は、光軸(I)近傍に凹部421を有する凹面である。
【0027】
第3のレンズ素子5は、正の屈折力を有する。物体側の面51は、該第3のレンズ素子5の周縁部近傍に凹部511を有する凹面である。像側の面52は、該第3のレンズ素子5の周縁部近傍に凸部521を有する凸面である。
【0028】
第4のレンズ素子6は、正の屈折力を有する。物体側の面61は、光軸(I)近傍に凹部611を有する凹面である。像側の面62は、光軸(I)近傍に凸部621を有する凸面である。
【0029】
第5のレンズ素子7は、負の屈折力を有する。物体側の面71は、光軸(I)近傍に第1の凸部711を有するとともに、該第5のレンズ素子7の周縁部近傍に第2の凸部713を有し、さらに第1と第2の凸部711、713の間に凹部712を有する。像側の面72は、光軸(I)近傍に凹部721を有するとともに、該第5のレンズ素子7の周縁部近傍に凸部722を有する。
【0030】
第1の好ましい実施形態の面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表を、図3に示している。第1の好ましい実施形態では、撮像レンズ10は、有効焦点距離(EFL:Effective Focal Length)が4.11mm、半視野(HFOV:Half Field‐Of‐View)が34.85°、Fナンバーが2.40、系の長さ(すなわち、物体側の面31から像面9までの光軸(I)における長さ)が4.81mmである。
【0031】
物体側の面31〜71および像側の面32〜72の各々は、次の光学的関係を満たす非球面である。
ここで、
「Z」は、非球面の深さ(すなわち、光軸(I)と交差する非球面上の点に接する接平面から非球面上の任意の点までの距離)を表す。
「c」は、非球面の頂点曲率を表す。
「K」は、非球面の円錐定数を表す。
「r」は、非球面の径方向の距離を表し、「x」の2乗と「y」の2乗の和の平方根をとった結果に等しい。
「rn」は、正規化半径(NRADIUS)を表す。
「u」は、「r」を「rn」で除算した結果である。
「am」は、m番目の次数の係数を表す。
「Qmcon」は、m番目の次数の「Qcon」多項式を表す。
「x」と「y」は、図4に示すように、互いに直交する軸をそれぞれ表す。
「z」は、「x」軸と「y」軸に直交し、光軸(I)と一致する軸である。
【0032】
図5は、第1の好ましい実施形態に対応する光学的関係(1)のいくつかのパラメータの値を示す表を示している。第1の好ましい実施形態の撮像レンズ10は、以下を満たしている。
ALT/T4=4.08;
ALT/Gaa=1.96;
ALT/G45=7.99;
G34/G45=1.21;
T4/T5=1.26;
TTL/ALT=2.12;
TTL/Gaa=4.17;
G45/T2=0.91;
T4/G34=1.62;
Gaa/T5=2.61;
T4/T2=1.78、
ここで、
「T2」は、第2のレンズ素子4の物体側の面41と像側の面42との間の光軸(I)における距離(すなわち、第2のレンズ素子4の光軸(I)における厚さ)を表す。
「T4」は、第4のレンズ素子6の物体側の面61と像側の面62との間の光軸(I)における距離(すなわち、第4のレンズ素子6の光軸(I)における厚さ)を表す。
「T5」は、第5のレンズ素子7の物体側の面71と像側の面72との間の光軸(I)における距離(すなわち、第5のレンズ素子7の光軸(I)における厚さ)を表す。
「Gaa」は、第1と第2のレンズ素子3、4間の光軸(I)における間隙幅と、第2と第3のレンズ素子4、5間の光軸(I)における間隙幅と、第3と第4のレンズ素子5、6間の光軸(I)における間隙幅と、第4と第5のレンズ素子6、7間の光軸(I)における間隙幅と、の和を表す。
「G34」は、第3と第4のレンズ素子5、6間の光軸(I)における間隙幅を表す。
「G45」は、第4と第5のレンズ素子6、7間の光軸(I)における間隙幅を表す。
「ALT」は、第1のレンズ素子3の物体側の面31と像側の面32との間の光軸(I)における距離と、第2のレンズ素子4の物体側の面41と像側の面42との間の光軸(I)における距離と、第3のレンズ素子5の物体側の面51と像側の面52との間の光軸(I)における距離と、第4のレンズ素子6の物体側の面61と像側の面62との間の光軸(I)における距離と、第5のレンズ素子7の物体側の面71と像側の面72との間の光軸(I)における距離と、の和を表す。
「TTL」は、第1のレンズ素子3の物体側の面31と像面9との間の光軸(I)における距離を表す。
【0033】
図6(a)〜6(d)は、第1の好ましい実施形態の縦球面収差、サジタル非点収差、タンジェンシャル非点収差、歪曲収差にそれぞれ対応するシミュレーション結果を示している。このシミュレーション結果の各々では、470nm、588nm、650nmの波長にそれぞれ対応する曲線を示している。
【0034】
図6(a)から分かるように、縦球面収差に対応する曲線の各々では、(縦軸で示す)各視野での焦点距離が±0.025mmの範囲内にあるので、第1の好ましい実施形態では、各波長で比較的低い球面収差を実現することが可能である。また、各視野での曲線間の焦点距離のずれが±0.01mmの範囲を超えないので、第1の好ましい実施形態では、色収差が比較的低い。
【0035】
図6(b)および6(c)から分かるように、これらの曲線の各々は、±0.025mmの焦点距離の範囲内にあるので、第1の好ましい実施形態では、光学収差が比較的低い。
【0036】
さらに、図6(d)に示すように、歪曲収差に対応する曲線の各々は、±2.5%の範囲内にあるので、第1の好ましい実施形態は、多くの光学系の撮像品質要求を満たすことが可能である。
【0037】
上記のことから、第1の好ましい実施形態の撮像レンズ10は、系の長さを4.81mmにまで縮小しても、依然として比較的良好な光学性能を実現することが可能である。
【0038】
図7を参照する。第1と第2の好ましい実施形態の違いは、第2の好ましい実施形態では、第3のレンズ素子5が負の屈折力を有することにある。
【0039】
第2の好ましい実施形態の面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表を、図8に示している。第2の好ましい実施形態では、撮像レンズ10は、EFLが4.11mm、HFOVが34.84°、Fナンバーが2.40、系の長さが4.91mmである。
【0040】
図9は、第2の好ましい実施形態に対応する光学的関係(1)のいくつかのパラメータの値を示す表を示している。第2の好ましい実施形態の撮像レンズ10は、以下を満たしている。
ALT/T4=3.82;
ALT/Gaa=2.28;
ALT/G45=7.99;
G34/G45=0.73;
T4/T5=1.43;
TTL/ALT=2.01;
TTL/Gaa=4.59;
G45/T2=1.39;
T4/G34=2.87;
Gaa/T5=2.40;
T4/T2=2.91。
【0041】
図10(a)〜10(d)は、第2の好ましい実施形態の縦球面収差、サジタル非点収差、タンジェンシャル非点収差、歪曲収差にそれぞれ対応するシミュレーション結果を示している。図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)から分かるように、第2の好ましい実施形態では、系の長さを4.91mmにまで縮小したとしても、比較的良好な光学性能を実現することが可能である。
【0042】
図11を参照する。第1と第3の好ましい実施形態の違いは、面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値、および光学的関係1のいくつかのパラメータの値にある。
【0043】
第3の好ましい実施形態の面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表を、図12に示している。第3の好ましい実施形態では、撮像レンズ10は、EFLが4.12mm、HFOVが34.87°、Fナンバーが2.40、系の長さが4.83mmである。
【0044】
図13は、第3の好ましい実施形態に対応する光学的関係(1)のいくつかのパラメータの値を示す表を示している。第3の好ましい実施形態の撮像レンズ10は、以下を満たしている。
ALT/T4=4.06;
ALT/Gaa=1.77;
ALT/G45=5.50;
G34/G45=0.82;
T4/T5=1.45;
TTL/ALT=2.16;
TTL/Gaa=3.84;
G45/T2=1.84;
T4/G34=1.65;
Gaa/T5=3.32;
T4/T2=2.50。
【0045】
図14(a)〜14(d)は、第3の好ましい実施形態の縦球面収差、サジタル非点収差、タンジェンシャル非点収差、歪曲収差にそれぞれ対応するシミュレーション結果を示している。図14(a)、14(b)、14(c)、14(d)から分かるように、第3の好ましい実施形態では、系の長さを4.83mmにまで縮小したとしても、比較的良好な光学性能を実現することが可能である。
【0046】
図15を参照する。第1と第4の好ましい実施形態の違いは、面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値、および光学的関係1のいくつかのパラメータの値にある。
【0047】
第4の好ましい実施形態の面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表を、図16に示している。第4の好ましい実施形態では、撮像レンズ10は、EFLが4.12mm、HFOVが34.88°、Fナンバーが2.40、系の長さが4.77mmである。
【0048】
図17は、第4の好ましい実施形態に対応する光学的関係(1)のいくつかのパラメータの値を示す表を示している。第4の好ましい実施形態の撮像レンズ10は、以下を満たしている。
ALT/T4=4.32;
ALT/Gaa=1.51;
ALT/G45=6.00;
G34/G45=1.39;
T4/T5=1.13;
TTL/ALT=2.28;
TTL/Gaa=3.45;
G45/T2=1.59;
T4/G34=1.00;
Gaa/T5=3.22;
T4/T2=2.20。
【0049】
図18(a)〜18(d)は、第4の好ましい実施形態の縦球面収差、サジタル非点収差、タンジェンシャル非点収差、歪曲収差にそれぞれ対応するシミュレーション結果を示している。図18(a)、18(b)、18(c)、18(d)から分かるように、第4の好ましい実施形態では、系の長さを4.77mmにまで縮小したとしても、比較的良好な光学性能を実現することが可能である。
【0050】
図19を参照する。第1と第5の好ましい実施形態の違いは、第5の好ましい実施形態では、第5のレンズ素子7の物体側の面71が、光軸(I)近傍に凸部711を有するとともに、該第5のレンズ素子7の周縁部近傍に凹部714を有することにある。
【0051】
第5の好ましい実施形態の面31〜81、32〜82に対応するいくつかの光学パラメータの値を示す表を、図20に示している。第5の好ましい実施形態では、撮像レンズ10は、EFLが4.12mm、HFOVが34.87°、Fナンバーが2.40、系の長さが4.82mmである。
【0052】
図21は、第5の好ましい実施形態に対応する光学的関係(1)のいくつかのパラメータの値を示す表を示している。第5の好ましい実施形態の撮像レンズ10は、以下を満たしている。
ALT/T4=3.80;
ALT/Gaa=2.05;
ALT/G45=7.99;
G34/G45=1.05;
T4/T5=1.37;
TTL/ALT=2.12;
TTL/Gaa=4.35;
G45/T2=1.29;
T4/G34=2.00;
Gaa/T5=2.55;
T4/T2=2.75。
【0053】
図22(a)〜22(d)は、第5の好ましい実施形態の縦球面収差、サジタル非点収差、タンジェンシャル非点収差、歪曲収差にそれぞれ対応するシミュレーション結果を示している。図22(a)、22(b)、22(c)、22(d)から分かるように、第5の好ましい実施形態では、系の長さを4.82mmにまで縮小したとしても、比較的良好な光学性能を実現することが可能である。
【0054】
比較のために、上記の光学的関係のいくつかと、好ましい実施形態の各々に対応するその値を示す表を、図23に示している。
【0055】
撮像レンズ10が光学的関係2〜12を満たしている場合は、光学性能を著しく損なうことなく、系の長さを効果的に縮小することができる。










【0056】
第3のレンズ素子5の像側の面52に凸部521があることによって、第3と第4のレンズ素子5、6の周縁部間の干渉を効果的に抑えることで、光学的関係(2)を満たすように、第3と第4のレンズ素子5、6間の間隙幅(すなわち、「G34」)を大幅に縮小することができる。撮像レンズ10は、光学的関係(2)を満たすだけではなく、さらにG34/G45≧1.00(または、それほど厳しくない構成では、G34/G45≧0.50)を満たしていることが好ましい。
【0057】
系の長さを抑えるためには、長さの縮小において、レンズ素子3〜7の厚さの和を減少させることが好ましい。撮像レンズ10が光学的関係(3)を満たしていると、系の長さを効果的に縮小することができる。撮像レンズ10は、光学的関係(3)を満たすだけではなく、さらにALT/G45≧5.00を満たしていることが好ましい。
【0058】
第2のレンズ素子4は、一般に、光学有効半径が比較的小さく、負の屈折力を有するレンズ素子であり、従って、その厚さをより多く縮小することが可能となる。
一方、第4のレンズ素子6は、一般に、光学有効半径が比較的大きいレンズ素子であり、このため、第4のレンズ素子6の厚さは、比較的大きくなることがある。従って、撮像レンズ10が光学的関係(4)を満たしていると、第4と第2のレンズ素子6、4の厚さは、最適な範囲内となり得る。
【0059】
系の長さを縮小する際には、製造の難しさを考慮する必要がある。撮像レンズ10が光学的関係(5)を満たしていると、第4のレンズ素子6の厚さ、および第3と第4のレンズ素子5、6間の間隙幅(すなわち、「G34」)が、最適な範囲内となることで、製造の難しさが効果的に軽減される。撮像レンズ10は、光学的関係(5)を満たすだけではなく、さらにT4/G34≧0.80を満たしていることが好ましい。
【0060】
第2のレンズ素子4は、一般に、光学有効半径が比較的小さく、負の屈折力を有するレンズ素子であり、従って、その厚さをより多く縮小することが可能となる。従って、撮像レンズ10は光学的関係(6)を満たすことができ、さらにG45/T2≦2.00を満たしていることがより好ましい。
【0061】
系の長さの縮小において、撮像レンズ10が光学的関係(7)を満たしていると、レンズ素子3〜7の光軸(I)における厚さの和(すなわち、「ALT」)、およびレンズ素子3〜7間の光軸(I)における間隙幅の和(すなわち、「Gaa」)が、最適な範囲内となることで、撮像レンズ10の製造が容易となる。撮像レンズ10は、光学的関係(7)を満たすだけではなく、さらにALT/Gaa≧1.30を満たしていることが好ましい。
【0062】
実際には、第4と第5のレンズ素子6、7はそれぞれ、一般に、光学有効半径が比較的大きいレンズ素子である。従って、第4と第5のレンズ素子6、7はそれぞれ、製造が容易となるように、ある程度の厚さを有する必要がある。撮像レンズ10が光学的関係(8)を満たしていると、第4と第5のレンズ素子6、7の厚さが最適化され得る。撮像レンズ10は、光学的関係(8)を満たすだけではなく、さらにT4/T5≦1.70を満たしていることが好ましい。
【0063】
長さの縮小において、光学的関係(9)を満たすように、第1のレンズ素子3の物体側の面31と像面9との間の距離(すなわち、「TTL」)、およびレンズ素子3〜7間の間隙幅の和(すなわち、「Gaa」)が減少され得ると、さらに、第5のレンズ素子7の像側の面72と像面9との間の光軸(I)における距離である撮像レンズ10の後側焦点距離(BFL:Back Focal Length)、およびレンズ素子3〜7の光軸(I)における厚さの和(すなわち、「ALT」)も減少され得ることで、第1のレンズ素子3と像面9との間の距離(すなわち、「TTL」)をより多く縮小することが可能となる。撮像レンズ10は、光学的関係(9)を満たすだけではなく、さらにTTL/Gaa≧3.00を満たしていることが好ましい。
【0064】
撮像レンズ10が光学的関係(10)を満たしていると、レンズ素子3〜7間の光軸(I)における間隙幅の和(すなわち、「Gaa」)、および第5のレンズ素子7の光軸(I)における厚さ(すなわち、「T5」)が最適化され得ることで、製造の難しさが軽減される。撮像レンズ10は、光学的関係(10)を満たすだけではなく、さらにGaa/T5≦3.50を満たしていることが好ましい。
【0065】
撮像レンズ10が光学的関係(11)を満たしていると、第1のレンズ素子3と像面9との間の距離(すなわち、「TTL」)、およびレンズ素子3〜7の厚さの和(すなわち、「ALT」)が最適化され得ることで、製造の難しさが軽減される。撮像レンズ10は、光学的関係(11)を満たすだけではなく、さらにTTL/ALT≦2.50を満たしていることが好ましい。
【0066】
撮像レンズ10が光学的関係(12)を満たしていると、レンズ素子3〜7の光軸(I)における厚さの和(すなわち、「ALT」)、および第4のレンズ素子6の光軸(I)における厚さ(すなわち、「T4」)が最適化され得る。撮像レンズ10は、光学的関係(12)を満たすだけではなく、さらにALT/T4≧3.50を満たしていることが好ましい。
【0067】
好ましい実施形態の各々の撮像レンズ10は、従来技術に比して、いくつかの利点がある。
【0068】
まず第1に、第1のレンズ素子3の正の屈折力と、第1のレンズ素子3の像側の面32の凸部321とによって、第1のレンズ素子3は比較的良好な集光能力を有し、このため、撮像光が撮像レンズ10から像面9の周縁部に到達する主光線の角度を効果的に抑えることが可能であり、これによって、得られる像の品質が向上する。開口絞り2との協働によって、撮像レンズ10の系の長さをさらに縮小することができる。
また、第3のレンズ素子5が正の屈折力を有する構成によって、第1のレンズ素子3の正の屈折力を分担することができ、これにより、製造誤差に対する撮像レンズ10の感度が低減される。
【0069】
第2に、第2のレンズ素子4の負の屈折力と、物体側の面41の凸部411と、像側の面42の凹部421と、物体側の面51の凹部511と、像側の面52の凸部521と、物体側の面61の凹部611と、像側の面62の凸部621とによって、撮像レンズ10は、収差が比較的低い。
【0070】
第3に、第5のレンズ素子7の像側の面72の凹部721および凸部722の構成は、撮像レンズ10の像面湾曲および高次収差を補正し、像面9の周縁部における撮像光の主光線の角度を抑えるのに適しているため、撮像レンズ10と作用的に関連付けられる撮像センサの感度が向上する。第5のレンズ素子7の物体側の面71の凸部711との協働によって、撮像レンズ10の系の長さをさらに縮小することができる。
【0071】
第4に、光学的関係(2)〜(12)を満たすように撮像レンズ10を構成することによって、撮像レンズ10の収差(例えば、球面収差)を効果的に抑えることが可能である。レンズ素子3〜7の配置およびそれらの面31〜71、32〜72の設計との協働によって、光学性能を著しく損なうことなく、撮像レンズ10の系の長さを縮小することができる。
【0072】
第5に、好ましい実施形態の各々の撮像レンズ10の系の長さは5mm未満であるので、撮像レンズ10は、小型化された電子機器で用いるのに適している。
【0073】
本発明の撮像レンズ10の第1の適用例を図24に示す。この例では、撮像レンズ10は、電子機器1(携帯電話機など)のハウジング11内に配置されて、該電子機器1の撮像モジュール12の一部をなしている。
【0074】
撮像モジュール12は、撮像レンズ10が配置される鏡筒21と、鏡筒21が配置される台座ユニット120と、撮像レンズ10に対して像側に、より具体的には像面9に配置される撮像センサ130と、を有している。撮像センサ130は、像を取り込むために撮像レンズ10と作用的に関連付けられる。
【0075】
台座ユニット120は、軸線(II)に沿って鏡筒21と共に同軸状に配置される鏡筒保持モジュール121と、鏡筒保持モジュール121と撮像センサ130との間に配置されるセンサ保持モジュール122と、を含んでいる。鏡筒21は、実質的に鏡筒保持モジュール121内に配置される。
【0076】
本発明の撮像レンズ10の第2の適用例を図25に示している。第1と第2の適用例の違いは、第2の適用例では、台座ユニット120が,ボイスコイルモータ(VCM:Voice‐Coil Motor)の形で実現されることであり、鏡筒保持モジュール121は、第1および第2のホルダ部123、124と、コイル125と、磁性部品126と、を含んでいる。
第1のホルダ部123は、鏡筒21の外面に当接して、軸線(III)に沿って鏡筒21と共に配置される。第2のホルダ部124は、第1のホルダ部123を実質的に取り囲んで、軸線(III)に沿って配置される。コイル125は、第1のホルダ部123と第2のホルダ部124との間に配置される。磁性部品126は、コイル125と第2のホルダ部124との間に配置される。
【0077】
鏡筒保持モジュール121の第1のホルダ部123は、鏡筒21およびその中の撮像レンズ10と共に、軸線(III)に沿って動くことができる。センサ保持モジュール122は、第2のホルダ部124に当接している。光学フィルタ8は、センサ保持モジュール122に配置される。第2の適用例における電子機器1の他の構成要素の構成および配置は、第1の適用例のものと同じであり、従って、簡潔にするため、以下では説明しない。
【0078】
要約すると、本発明の撮像レンズ10は、光学性能を損なうことなく5mm未満にまで縮小される撮像レンズ10の系の長さによって、上記適用例で例示したものなど、比較的小さな寸法の様々な電子機器で用いるのに適している。電子機器の大きさが縮小されることによって、電子機器の製造に要する材料の量ひいてはコストも削減される。
【0079】
本発明について、最も現実的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して説明したが、当然のことながら、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、最も広い解釈の趣旨および範囲に含まれる種々の構成を包括し、そのような変形および均等な構成のすべてを網羅するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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