(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記書き込み磁極コア部が当該書込み磁極コア部の長さに沿った軸を有しており、そして前記磁性シェル部が前記軸を中心として対称であることを特徴とする請求項1に記載の磁気書き込みヘッド。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の説明は、本発明を実施するにあたって現在考えられる最良の実施形態である。この説明は、本発明の一般的原理の例示を目的としてなされるものであって、本明細書において示される発明概念に制限を加えることを意図したものではない。
【0017】
図1に、本発明を実施したディスク・ドライブ100を示す。
図1に示すように、少なくとも1つの回転可能な磁気ディスク112が、スピンドル114上で支持され、ディスク・ドライブ・モータ118によって回転する。各ディスク上の磁気記録は、磁気ディスク112上の同心データ・トラック(図示せず)の環状パターンの形態をとる。
【0018】
少なくとも1つのスライダ113は磁気ディスク112に近接して配置され、各スライダ113は1つ又は複数の磁気ヘッド組立体121を支持する。磁気ディスクが回転すると、スライダ113は、磁気ヘッド組立体121が所望のデータの書き込まれた磁気ディスクの異なるトラックにアクセスできるように、ディスク面122上を半径方向内側または外側へ移動する。各スライダ113は、サスペンション115を介してアクチュエータ・アーム119に取り付けられる。サスペンション115は僅かなスプリング力を有し、このスプリング力によってスライダ113をディスク面122に向けて付勢する。各アクチュエータ・アーム119はアクチュエータ手段127に取り付けられる。
図1に示すアクチュエータ手段127はボイス・コイル・モータ(VCM)であってもよい。VCMは固定磁界中で動作可能なコイルを備えており、コイル運動の方向及びスピードは制御装置129によって生成されるモータ電流信号によって制御される。
【0019】
ディスク記憶システムの稼働中は、磁気ディスク112の回転によって、スライダ113とディスク面122との間に空気軸受が生成され、この空気軸受がスライダに対して上向力又は揚力を与える。つまり、この空気軸受はサスペンション115の僅かなスプリング力との釣り合いを取り、正常動作中は、スライダ113をディスク面から離し、小さく、ほぼ一定の間隔をあけた僅かに上方で支持する。
【0020】
ディスク記憶システムの種々の構成要素は、作動中、アクセス制御信号や内部クロック信号などの、制御装置129によって生成される制御信号によって制御される。通常、制御装置129には論理制御回路、記憶手段及びマイクロプロセッサが備えられる。制御装置129は、ライン123上のドライブ・モータ制御信号や、ライン128上のヘッド位置及びシーク制御信号などの、種々のシステム動作を制御する制御信号を生成する。ライン128上の制御信号によって、スライダ113を、ディスク112上の所望のデータ・トラックへ最適に移動・配置する所望の電流プロファイルが提供される。書き込み及び読み取り信号は、記録チャネル125を経由して、書き込み/読み取りヘッド121へと、または書き込み/読み取りヘッド121から通信される。
【0021】
図2に、スライダ113における磁気ヘッド121の位置付けをより詳細に示す。
図2はスライダ113のABSの図であり、この
図2に示されるように、誘導型書き込みヘッドと読み取りセンサとを備える磁気ヘッド121は、スライダ209の後縁部に配置される。スライダのABS面は、パッド又はスライダのABS面に対しての凹部202を有する。なお標準的磁気ディスク記憶システムについての上記記述、また
図1の説明図は例示のみをその目的としたものである。ディスク記憶システムが多数のディスク及びアクチュエータを備え、各アクチュエータが多数のスライダを支持するといった構造も可能であることは明らかである。
【0022】
ここで
図3に、垂直磁気記録システムにおいて用いられる磁気ヘッド121を示す。ヘッド121には書き込み素子302及び読み取り素子304が含まれる。読み取り素子304には磁気抵抗読み取りセンサ305が含まれる。センサ305は、例えば、膜面内通電型巨大磁気抵抗センサ(CIP GMR)、膜面垂直通電型巨大磁気抵抗センサ(CPP GMR)又はトンネル接合センサ(TMR)であってもよい。センサ305は、第1及び第2磁気シールド306、308の間に配置され、誘電体材料307内に埋設される。例えばCoFe、NiFe又はセンダストを材料として製造可能な磁気シールド306、308は、アップ・トラック・データ信号又はダウン・トラック・データ信号からの磁界を吸収し、読み取りセンサ305が、シールド306及び308間に挟まれた所望のデータ・トラックのみを検出できるようにする。シールド308及び書き込みヘッド302間に非磁性のギャップ層309を配置することも可能である。センサ305がCIP GMRセンサである場合、このセンサは、
図3において示すように、シールド306、308から絶縁される。しかし、センサ305がCPP GMRセンサ又はTMRセンサである場合、シールド306、308がセンサ305にセンス電流を供給する導電性リードとして機能するように、センサ305の上部及び下部がこれらのシールドに接触していてもよい。
【0023】
続けて
図3を参照すると、書き込み素子302には、磁気形成層312と磁気的に接続され、非磁性材料311内に埋設される書き込み磁極310が含まれる。書き込み磁極310は、空気軸受面において小断面を有しており、磁性材料によって構成される。また書き込みヘッド302には、CoFe、NiFe又はそれらの合金などの磁性材料によって構成され、またABS面と平行で、書込み磁極310の断面よりかなり大きい断面を有する戻り磁極314が含まれる。戻り磁極314は、
図3に示すように、後方ギャップ部316によって磁気形成層312及び書き込み磁極310と磁気的に接続される。戻り磁極314及び後方ギャップ316は、例えばNiFe、CoFe又はそれらの合金又はその他の磁性材料によって構成される。
【0024】
図3においてその断面が示される導電性書き込みコイル317は、書き込み素子302における磁極層402と戻り磁極314との間を通過する。このコイル317は、例えばアルミナによって構成され、あるいは1つ又は複数の材料から成る1層又は複数層で構成される絶縁層330内に埋設される。
【0025】
電流がコイル317を通過すると、その結果として生じる磁界によって、磁束が、磁極層402、戻り磁極314、後方ギャップ316、磁気形成層312及び書き込み磁極310、場合によっては隣接する媒体333内の磁性材料を流れる。この磁束によって、書き込み磁界が、隣接する磁気媒体333に向けて放射される。書き込み磁極310から放射されたこの磁界は、磁気媒体333上の、比較的保磁力の高い、薄い頂部磁性層を磁化する。この磁界は、磁気媒体の軟磁性下地層を通じて、戻り磁極314へと流れ、ここで、書き込み磁極310の真下に位置していない、媒体333上の他の位置のデータを消去してしまわないように十分に拡散される。
【0026】
書き込み素子302のABSを示す
図4において、書き込み磁極310が、好ましくは台形状の形状を有する構図が示される。この形状は、歪み(傾き)に関係する隣接トラック干渉の低減のために有効である。図示されていないが、トレーリング・シールドが、書き込み磁極310の側部を包み込むように構成することも可能であり、この場合、トレーリング・シールドの側部と書き込み磁極310の側部とは非磁性サイド・ギャップ材料によって分離される。
【0027】
図3、4及び5において、書き込み磁極310が段状フレア構造を有する構図が示される。より具体的には、書き込み磁極310は、好ましくは、アルミナなどの薄い非磁性層によって分離され、NiFe又はCoFeなどの磁性積層によって構成される磁気コア402を含む。こうした積層書き込み磁極に用いることができる他の材料には、シリカ、Ta、Ti、NiP、Pd、Si、Cr、Mo、Rh、Ru及びAlがある。また書き込み磁極310は、電気メッキを施した、NiFe、CoFe又はそれらの合金などの磁性材料によって構成され、磁気コア402を包み込む磁性シェル部404をも含む。
図4において、磁性シェル404が、コア402を中心に横方向に左右対称である構図が示される。横方向に左右対称とは、シェル404が、トラックの幅方向に、つまり
図4の左右方向に対称であるということを意味する。
【0028】
スライダの積層端部を示す
図5において、シェル404が、ABSから凹む段状構造406を形成する構図が示される。
図5において、コア402のシェル404によって囲まれる部分は点線によって示され、そしてこの図に示すように、コア402は、第1の距離FP1をおいてABSから凹むフレア・ポイント408を有する。しかし、シェルの最前端部(ABS対向端部410)によって形成される段状構造406は、ABSから距離FP2をおいて凹む第2フレア・ポイントを規定する。FP2はFP1よりも小さい。
【0029】
書き込みヘッドがより小さくなれば、ABSからフレア・ポイントまでの距離も同様により短くなる。しかし、フォトリソグラフィなどの利用可能な製造プロセスは解像度及び変差に制約があり、フレア・ポイントまでの距離を決めるサイズ及び配置については制限が加えられる。例えば、現在利用可能なフォトリソグラフィ・プロセスではその変差が大きすぎ、書き込み磁極のサイズが非常に小さい場合、標準的書き込み磁極のフレア・ポイントの位置が、フレア・ポイントが大きすぎる書き込み磁極とフレア・ポイントを全く有していない書き込み磁極との間で変化してしまう。フレア・ポイントが大きすぎる場合、磁束が圧迫され、書き込み磁界が著しく低減してしまう。またフレア・ポイントが小さすぎる(あるいは全く存在しない)場合、書き込み信号の幅も極端に広くなり、複数の隣接トラックへの書き込みを行ってしまう。当然、このどちらの状況も許容することはできない。磁性シェル404によって提供される第2フレア・ポイント406は、以下に述べるように、現在利用されているフォトリソグラフィ・ツール及び技術を利用して、フレア・ポイントFP2の位置を精密に制御することを可能にする。
【0030】
また電気メッキ浴及びプロセスの詳細も関連がある。電気メッキを施す材料は好ましくは強磁性であるが、2層以上の層によって構成され、1つの層が強磁性で、他の層は非強磁性であってもよい。非磁性層の例として、NiP合金又はPd合金がある。こうした合金のメッキ処理においては、浴組成物、メッキ面積、電流密度及びその他の要素との間のバランスをとる。その他の要素としては、アノード及びカソード材料、電圧又は電流変化、添加剤、界面活性剤、緩衝剤及び錯化剤を含めた浴組成物、メッキ・セル設計、浴温、メッキ液流量、ウエハ・マスク設計及び磁界がある。
【0031】
薄い磁性層に電気メッキを施すためには、メッキ工程を制御することが重要となる。即ち、メッキ処理の速度は100nm/分未満であるのが好ましい。薄いメッキ層は共形でなければならず、表面の粗度を高めたり、その形を歪めたりするようなことがあってはならない。薄層にメッキをするための、表面の準備として、表面を予め湿らせる方法又は浴中に界面活性剤を用いる方法がある。また、添加剤を加えてメッキ処理の速度を落とし、厚み制御の効率をより高めるといった方法もある。薄膜へのメッキ処理における他のもう1つの重要な要素として、ウエハに電位を印加する前の、ウエハが浴中に滞留する時間の合計である滞留時間がある。浴は、実際、メッキを施す材料(即ちアノード)そのものを食刻又は浸食するものであるから、この滞留時間は最小限化しなければならない。
【0032】
メッキ浴中の滞留時間を最小限化する方法の1つとして、メッキ浴中に配置する前に、カソード又はアノードに電圧を印加する方法がある。即ち、一旦ウエハがメッキ浴中に入ると、回路が完成し、即座に電気メッキ処理が開始される。この方法において、ウエハは、接地していない送電線と同様に、メッキ浴の外で電圧を加えられて『熱』を帯びるため、以下この方法を『ホット・スタート』プロセスと呼ぶ。
【0033】
またメッキ処理の方法は、材料の性質及びその最終的な厚みにも影響を及ぼす。パルス・メッキ法の1つにおいては、一連の電圧又は電流パルスを非連続法でメッキ材料に印加する。これによると、最終的に、全体的な平均メッキ速度がパルス印加中のメッキ速度と比べて遅くなる。パルス周波数又は電圧を低減することによって、メッキ処理の速度を落とすことができる。また単にウエハ上に逆の電位を印加したり、食刻(又はメッキを剥す)したりすることによって速度を落とし、最終的なメッキ膜に変更を加えることもできる。
ここで
図6−14を参照し、上述したような磁気書き込みヘッド302の製造方法について述べる。特に
図6を参照すると、基板又は下地層602が示される。基板602は、例えば、
図3を参照して述べたような充填層330及び磁気形成層312であってもよい。またヘッド内の他の構造又は装置が、この下地層602の内部又はその下にあってもよい。充填層330はアルミナによって構成される。磁極材料604は基板602上に堆積する。磁性材料604は、複数の材料で構成可能であるが、好ましくは、アルミナ、二酸化ケイ素又はその他の任意の材料などの薄い非磁性層によって分離される、CoFe、NiFe又はそれらの合金などの磁性積層である。マスク構造606は磁性層604上に形成される。マスク構造には、1つ又は複数のハード・マスク層、1つ又は複数の画像転送層、及びフォトレジスト又は熱画像レジストなどのマスク材料などの種々の層が含まれる。
図7を参照すると、マスク構造606が、空気軸受面(ABS)の平面をこえて延在する書き込み磁極構造を規定するように構成される構図が示される。
【0034】
ここで
図8を参照すると、イオン・ミリングその他の材料除去プロセスを実施することによって、磁性材料604のマスク構造606によって保護されていない部分を除去し、書き込み磁極構造604を形成する。傾斜矢印802によって表される材料除去プロセスにおいては、例えば、1つの角度又は法線に対してのいくつかの角度の組み合わせでイオン・ビームを放射し、
図8に示すように、台形状の書き込み磁極を形成する。
図9を参照すると、残存するマスク材料606が、反応性イオン・ミリング、反応性イオン・エッチングなどの、種々の材料除去プロセスのうちの1つ又は複数のプロセスによって除去される。この結果、
図9及び10に示すような、基板602上に書き込み磁極構造604が形成された構造となる。なお、初期磁極を形成する特定の方法は、本明細書において述べられる構造又は方法の中核を成すものではない。上に述べた方法以外に、磁極604を電気メッキによって形成したり、また非磁性積層なしで形成したりすることも可能である。
【0035】
ここで
図11を参照すると、リフトオフ・プロセスを利用して、書き込み磁極の部分上にメッキ・シードが形成される。例えば、二層フォトレジスト・マスク1102を形成して、書き込み磁極構造604の大部分を被覆し、一方で書き込み磁極の一部分は被覆されないままとなる。次にNiFe又はTa及び/又はIr、Rhなどの導電性、磁性シード層1104を、スパッタ法などの方法によって堆積させる。続いてマスク1102を、化学リフトオフ・プロセスによってリフトオフする。二層マスクの張出構造は、リフトオフ化学溶液をマスク1102の端部下に到達させることによって、マスクのリフトオフを円滑化する。結果として生じる、書き込み磁極604の一部分(好ましくは、書き込み磁極604の後端部近傍)を被覆するシード層1104が、
図12において示される。書き込み磁極604のシード層1104下に被覆される部分は、
図12のクロスハッチ部分内の点線によって示される。また、好ましくは、シード層1104は装置間にも堆積される。
【0036】
図13を参照すると、フォトレジスト・マスク1302などのマスク構造が、書き込み磁極604の前側部分上に形成されている。この図に示すように、マスク1302は、空気軸受面(ABS)から所望の距離をおいて位置する後端部1304を有する。示されるように、この後端部1304の位置が、第2フレア構造406(
図5を参照して述べられた)のABSからの凹みの程度を決定する。言い換えると、後端部1304の位置が、完成した書き込みヘッドのフレア・ポイント(FP2)を確定する。
【0037】
マスク1302を形成した後、電気メッキ・プロセスを実施して、NiFe、CoFe又はそれらの合金などの導電性、磁性材料を堆積させる。これによって、磁性材料が、磁極のマスク1302によって被覆されていない部分上にメッキされる。
図14は、書き込み磁極604の部分断面であり、磁性材料1402が書き込み磁極604上に均一にメッキされている構図を示す。つまり、電気メッキを施すことによって、磁性材料1402は、書き込み磁極604のマスク1302(
図13)によって被覆されていない部分上に、横方向に左右対称に堆積される。横方向に左右対称とは、磁性材料1402の堆積が、トラックの幅方向(即ち
図14の左右方向に)に対称であるということを意味する。
【0038】
上述のプロセスによって、
図3−5を参照して上に述べた書き込み磁極310のような書き込み磁極構造が形成される。当業者には理解されるように、フォトリソグラフィ法における変差など、プロセス特有の制約が存在し、標準的な書き込み磁極構造を有する非常に小さな書き込みヘッドにおいて、標準的なプロセスを用いてフレア・ポイントの距離を減少させる場合、その減少量には制限がある。上述のプロセスによって、現在利用可能な製造プロセス及び現在利用可能なフォトリソグラフィ・ツールを利用して、距離を大幅に減少させ、且つ有効なフレア・ポイント(即ち、
図5におけるフレア・ポイント406)を有する書き込み磁極を構成することが可能となる。従って本発明は、現在及び未来の書き込みヘッドの製造において、書き込みヘッドのサイズの縮小を可能にする。
<犠牲充填層>
上述の書き込みヘッド製造法には、書き込み磁極上に段状構造を電気メッキすることによって第2フレア・ポイント(FP2)を有する書き込み磁極を形成する方法が含まれていた。
図15及び
図16を参照すると、上述の構造と類似し、且つラップアラウンド・トレーリング・シールドをも有する段状第2ノッチ構造を有する書き込みヘッドが示される。特に
図15を参照すると、本発明の一実施形態に基づいた磁気読み取り/書き込みヘッド1502は、書き込み磁極310の側部を包み込むように構成され、またCoFe、NiFe又はそれらの合金などの磁性材料によって構成されるトレーリング・シールド1506を有する書き込みヘッド1504を有する。トレーリング・シールド1506は、アルミナ(A1
2O
3)及び/又はTa/Rh、Ta/Ir、又はAuなどの非磁性ギャップ材料1508によって書き込み磁極310から分離される。トレーリング・シールドは、ABSから磁性シェル部1510の端部に隣接したその後端部までの間で測られるスロート・ハイト(TH)を有する。
【0039】
書き込みヘッド1504は、上述の構造に類似し、ABSから後退した位置で
図16Bに示すように主磁極部402の上部及び側部を包み込む磁性シェル段状構造404を含む書き込み磁極310を含む。また
図16Bに示すように、非磁性スペーサ層1510は、段状磁性構造404の上部及び側部を包み込む。非磁性スペーサは、電気メッキ可能な、NiPなどの非磁性材料によって構成され、そして
図16Bに示すように、磁性段状構造404及び非磁性スペーサ1510のいずれも、主書き込み磁極部402の両側部において、横方向に左右対称である。
【0040】
ここで
図16Aを参照すると、トレーリング・シールドが書き込み磁極310の側部を包み込み、書き込み磁極310の両側部が、トレーリング・ギャップ1508と同じ材料(アルミナ、及び/又はTa/Rh、Ta/Ir又はAuなど)又はその他の材料である、非磁性サイド・ギャップ層1512によってトレーリング・シールド1506から分離される構図が示される。書き込み磁極310のトレーリング・エッジ1514は、トレーリング・ギャップ距離(TG)をおいて、トレーリング・シールド1506から分離され、書き込み磁極310の側部は、サイド・ギャップ(SG)によってトレーリング・シールドのラップアラウンド部分から分離される。SG及びTGは相互に異なり、サイド・ギャップ(SG)は、好ましくは(必ずしもそうである必要はないが)トレーリング・ギャップ(TG)よりも大きい。
【0041】
図15を参照すると、トレーリング・シールド1506が、戻り磁極314、又は戻り磁極314と同じ磁性状態を有する付加磁極に磁気的に接続される構図が示される。あるいは、トレーリング・シールド1506は、書き込みヘッド1504の他の磁気構造に磁気的に接続されない浮動シールドであってもよい。
【0042】
ここで
図17−30を参照すると、上述の書き込みヘッド1504のような書き込みヘッドを構成するための、想定し得る方法が示される。特に
図17を参照すると、基板1702が示される。基板1702は、
図15を参照して上に述べた、下地となる、アルミナなどの非磁性の電気絶縁材料330、また磁気形成層312の全体又は一部を含む。オプションとして、TaOxなどの、非磁性の下地層材料1703を基板1702上に堆積させることもできる。下地層1703は、以下により詳細に述べるように、製造の過程において、書き込み磁極のアンダーカットを低減させるのに有用である。磁性書き込み磁極材料1704は、基板1702上に、及び下地層1703が存在する場合は、その上に堆積される。書き込み磁極層1704は、NiFe、CoFe又はそれらの合金などの複数の磁性材料によって構成されるが、好ましくは、CoFeなどの磁性材料の層を含み、アルミナなどの薄い非磁性層によって分離される積層構造である。
【0043】
1つ又は複数のマスキング層1706が、書き込み磁極材料層1704上に堆積される。マスク1706は種々の構造及び材料の組み合わせを含んでいてもよいが、マスク1706は、好ましくは、書き込み磁極材料1704上に形成されるハード・マスク構造1707、及びフォトレジスト又は熱画像レジスト1714のようなレジストを含む。ハード・マスク構造1707は、第1層1705、第2層1708及び第3層1709を有する三層第1ハード・マスク構造である。第1層は、好ましくは、DLC(ダイヤモンド状炭素)、Ta、Rh、Ir、Ru、Cr又はそれらの組み合わせなどの化学機械研磨(CMP)による除去に対して耐性を有する材料である。第2層1708は、好ましくは、アルミナ(Al
2O
3)などのイオン・ミリングに対して耐性を有し、約20nmの厚みを有する材料である。また第1ハード・マスク構造1707の第3層1709も、好ましくはイオン・ミリングに対して耐性を有し、そして好ましくはAlTiO又はAlを含む合金によって構成され、約50nmの厚みを有する。
【0044】
磁極を形成するために用いられる方法としては、マスク1707が、非磁気トレーリング・ギャップ(TG)1709の一部を成し、イオン・ミリングの過程で終点検出層として利用され、非磁性サイド・ギャップ(SG)を部分的に規定し、そして転写マスク1710を除去する方法がある。この場合、1708用に選択されるミル耐性材料は、終点検出用のドープ材料を僅かに含んだ、1709のバルク材料を含む。例えば、層1708がAl
2O
3で構成され、そしてギャップ1709において、好ましくは、Al
2O
3がTiでドープされ、ここで終点のため検出される材料はTiである。しかし、層1709を、終点検出信号を利用して明確に検出可能な他の材料でドープ(10重量%未満)することも可能である。
【0045】
またマスク構造1706は、第1ハード・マスク構造1707上に形成される画像転送層1710を含む。画像転送層は、DURAMIDE(登録商標)などの可溶性ポリイミド材料である。第2ハード・マスク1712は、画像転送層1710上に形成され、また約125nmの厚みを有する、SiO
2で構成される。反射防止被覆層1713は、第2ハード・マスク1712上に形成される。反射防止被覆層1713は、画像転送層1710と同じ材料(例えば、DURAMIDEなどの可溶性ポリイミド溶液)によって構成され、約120nmの厚みを有する。レジスト・マスク層1714は、約250nmの厚みを有しており、反射防止被覆層1713上に堆積される。
【0046】
ここで
図18を参照すると、レジスト層1714は、フォトリソグラフィ的にパターン形成されており、書き込み磁極を規定するように構成された形状を有している。続いて
図19を参照すると、1つ又は複数の材料除去プロセス1902が実施され、フォトレジスト層の画像が、下地マスク層上に転写される。材料除去プロセスは、好ましくは、マスク層1708、1709、1710、1712及び1713の除去部分を除去する反応性イオン・エッチング(RIE)及び反応性イオン・ミリング(RIM)の組み合わせを含み、一方で第1ハード・マスク1707の第1副層1705を実質的に無傷のまま維持し、磁性書き込み磁極層1704が材料除去プロセス1902によって損傷を受けることを防ぐ。
【0047】
続いて
図20を参照すると、イオン・ミリング・プロセス2002が実施され、イオン・ビームを法線に対して1つの角度で照射して、磁性書き込み磁極材料1704の、マスク構造1706によって保護されていない部分を除去する。図に示すように、マスク構造1706の内の幾分かはイオン・ミリング2002によって消滅するが、大部分は残存する。角度を付けたイオン・ミリング2002の実施によって、
図20に示すような、また先に述べたような所望の台形状の形状を有する書き込み磁極1704が形成される。
【0048】
ここで
図21を参照すると、非磁性サイド・ギャップ材料2202が堆積される。サイド・ギャップ材料は、アルミナ(Al
2O
3)であって、好ましくは、原子層堆積法(ALD)又はその他の等厚性成膜プロセスなどの等厚性成膜プロセスによって堆積される。
【0049】
またサイド・ギャップ材料2202は非磁性金属であってもよい。金属がサイド・ギャップ材料2202として用いられる場合、その金属は腐食の問題を生じさせずにABS内に残存可能な材料でなければならない。続いて、
図22を参照すると、充填材料2204が堆積される。この充填材料2204は、好ましくは、書き込み磁極材料に損傷を与えることなく、容易に除去することが可能な材料である。例えば、1つの好ましい実施の形態において、充填材料2204は、以下に述べるようなプロセスによって後で除去することが可能な、SiO
2などの材料である。もう1つの好ましい実施の形態においては、充填材料2204は、Cu又はその他の非磁性材料などの材料である。
【0050】
ここで
図23を参照すると、化学機械研磨(CMP)プロセスを実施することによって、構造を平坦化し、磁極1704からマスク層1706の大半が除去される。最下層1705は、CMPがこの層1705に到達したときにCMPを停止させるCMP停止層として利用される。残存するマスク材料(CMP停止層)1705(
図22)は無傷のまま維持され、TGの一部となるか、あるいは層1705を形成する材料に適した材料除去プロセスによって除去される。例えば、層1705がダイヤモンド状炭素(DLC)である場合、この層1705は、酸素含有反応性イオン・エッチ(RIE)プラズマを利用することによって除去される。続いて
図24を参照すると、充填材料2204が除去される。充填層2204が二酸化ケイ素(SiO
2)などの材料である場合、充填層2204は、フッ素含有反応性イオン・エッチング(RIE)プラズマ又は反応性イオン・ミリング(RIM)ビームによって除去される。あるいは、充填及びCMPプロセスを省略し、反応性イオン・ミリング(RIM)プロセスを利用してマスク構造1710を除去することも可能である。その場合、下端マスク層1705(Ti又はRhなど)又は1709を、二次イオン質量分析法(SIMS)を利用して、エッチング停止インジケータとして用い、層1705が到達された時点で、そのことを検知する。終点材料から成る層1705又は層1709を選択することによって、TGの厚みを制御することが可能となる。また層1705及び層1709内に、2つ以上の終点層を挿入することも可能である。これによって、ヘッドの製造において、異なるギャップ・ターゲットを有する異なる製品のための、トレーリング・ギャップ(TG)変更の融通性が得られる。またこのことは、関連するサイド・ギャップ(SG)にも影響を及ぼす。さらに、2つの層内の終点材料は、異なる材料(例えば、1つの層にはTiそしてもう1つの終点層にはTa)によって構成することも可能である。
【0051】
上述のプロセスによって、非磁性側壁2204、及び書き込み磁極1704上に形成された非磁気トレーリング・ギャップ層1705を有する書き込み磁極が形成される。
【0052】
充填材料2204がCuである場合、CMPの後にこの充填材料を除去するために異なるプロセスが実施される。Cu充填層2204を除去するために利用される方法の1つは、CoFe磁極材料1704を容易には食刻しない塩基性錯化剤含有エッチング浴への浸漬である。またCu充填層2204は、電解エッチングによっても除去することができる。
【0053】
ここで
図5、25及び26を参照すると、フォトレジスト・マスク2502が形成される。
図26に示すように、マスク2502は、ABS面及び書き込み磁極1704のフレア・ポイント408間の、ABS面の後方に位置する後端部2602を有する。
図26に示すように、磁極1704及び側壁2202のフォトレジスト・マスク2602の下に隠れた部分は点線によって示す。
【0054】
続いて、
図27を参照すると、材料除去プロセスを実施し、側壁材料2202の一部が除去される。側壁材料2202がアルミナの場合、この側壁材料は、磁極材料(例えば、CoFe)を損傷又は除去することなく、このアルミナ側壁材料2202を除去できるように設定されたエッチング・プロセスによって除去される。使用可能なエッチング液には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化カリウムなどの金属イオン非含有現像液、又はカリフォルニア州フレモントCyantek製のCR−7(登録商標)などのクロム・エッチング液などがある。どのエッチング液を使用するかの選択は、サイド・ギャップ材料2202によって決まる。いずれのエッチング法を利用するのであっても、以下により詳細に述べるように、磁性材料を磁極1704上に効果的にメッキするために、全ての側壁材料がきれいに除去されなければならない。サイド・ギャップ2202材料がZn合金である場合、この材料は、電解エッチングによって、マスク2502の裏側の領域から除去される。サイド・ギャップ2202が酸化ケイ素(SiOx)で構成される場合、このギャップは、緩衝HF酸(BOE)を用いたエッチングによって除去される。これによって
図27に示すような構造が形成される。
【0055】
ここで、マスク2502の後端部2602を越えた領域(
図27に示す)における書き込み磁極の断面を示す
図28を参照すると、磁性材料2802が、磁極1704の部分上に電気メッキされる。この磁性材料2802は、例えばCoFe、NiFe、又はそれらの合金であり、好ましくはCoFeである。この磁性材料は、書き込み磁極上に、
図4に示す段404と類似した段状構造を形成する。この構造は
図16Bにも類似しており、メッキ材料2802及び2804は、この
図16Bに示す404及び1510と同じである。この段状磁極構造が最適に機能するためには、磁極1704及び磁性材料2802間に、非磁性の材料が残存していてはならない。このことが、上述の、側壁材料2202を除去するために利用されるプロセスにおいて、この材料がより効果的に全て除去されなければならない理由の1つである。続いてオプションとして、非磁性ギャップ層2804が、メッキ磁性層2802上に堆積される。この非磁性層は、Cu又はNiPなどの非磁性金属であり、磁性層2802上に直接電気メッキされる。
【0056】
次にレジスト・マスク2502をリフトオフし、
図29の側断面図に示されるような構造を残存させる。続いて
図30では、非磁性トレーリング・ギャップ層3002を堆積させる。この層3002は、イオン・ビーム堆積法(IBD)などの等厚性堆積法によって堆積される、Ta及び/又はRh、Au及びIrなどの非磁性材料である。この非磁性トレーリング・ギャップ層3002は、
図16Aに示す所望のトレーリング・ギャップ厚TG及びサイド・ギャップ厚SGが得られる厚みに堆積される。続いて、磁性材料3004を電気メッキによって堆積させ、
図15を参照して上に述べたトレーリング・シールド1506などの、磁気トレーリング・シールドを生成する。ラッピング・プロセス(図示せず)を利用して、ABS面に到達するまで材料を除去(
図30に示す左側から)することによって、空気軸受面(ABS)を有し、またABSから測定する所望のスロート・ハイトを有するトレーリング・シールド1506を有する書き込みヘッドを形成する。上述のプロセスによって、
図15、16A及び16Bを参照して述べた、トレーリング・シールド1506を有し、所望の段状磁極構造310を有する、磁気書き込みヘッド1504が形成される。
<段状トレーリング・シールドを有する書き込みヘッド>
ここで
図31を参照すると、段状トレーリング・シールド3104を有する磁気書き込みヘッド3102が示される。この書き込みヘッドは、
図15、16A及び16Bを参照して上に述べたコア402と類似したコア部3108を有する、磁性書き込み磁極3106を含む。また磁極3106は、
図15及び16Bを参照して述べた磁性シェル404と類似した磁性シェル部3110を有する。また、トレーリング・シールド3104は、
図31Aに示すように、戻り磁極314としての機能をも果たす。
【0057】
さらに、書き込みヘッド3102は非磁性スペーサ層3112を含む。非磁性スペーサ層3112は、
図15及び16Bを参照して述べたスペーサ1510と類似しており、このスペーサは、
図32に示すように、段状磁性シェル構造3110の上部及び側部を包み込む。しかし
図31に示すように、非磁性スペーサ構造は、ABSから段状に後退する。即ち、磁性シェル3110は、ABSから第1の距離だけ後退する前端部3114を有しており、非磁性スペーサ3112は、ABSから第1の距離より大きな第2の距離分の間隔を置く前端部3116を有する。トレーリング・シールド3104は、例えばNiPによって構成されるスペーサ3112、及び例えばアルミナ及びTa及び/又はRh、Au及びIrによって構成される非磁性トレーリング・ギャップ材料3120によって、磁極3106から分離される。
【0058】
この非磁性スペーサ3112の追加的な後退によって、磁気シールド3104が、ABSから離れるほど徐々に先細りになる段状後端部3118を形成することが可能となる。これによって、磁性シェル構造3110の前端部3114によって位置決めされる第2フレア・ポイントと一致、又はこの第2フレア・ポイントを過ぎて後退する後端部3122を有する磁気シールド3104が形成される。単一の段状ノッチとして示されているが、段の数は、必要に応じて、平滑なテーパによりに近づけるように増やすことも可能である。
【0059】
ここで
図33A−42を参照すると、上述の書き込みヘッド3102のような磁気書き込みヘッドを構成する方法が示される。特に
図33Aを参照すると、磁性書き込み磁極コア部3302が基板3101上に形成され、非磁性側壁3304(好ましくはアルミナ)が磁気コア3302を取り囲む。フォトレジスト・マスク3306は書き込み磁極コア3302の前部上に形成され、このマスクは、ABS及びコア部のフレア・ポイント3310間の後端部3308を有する。続いて材料除去プロセスが実施され、側壁材料3304のマスク3306によって被覆されていない部分(即ち、マスク3306の後端部3308を越えた部分)が除去される。これは、
図17−24を参照して上に述べたような方法によって実施される。
【0060】
続いて
図34を参照すると、CoFeなどの磁性材料3402が、好ましくは電気メッキによって、磁性書き込み磁極コア3302上に堆積される。次にNiP、ZnNi、Cu、Cr又はAuなどの非磁性金属3304が、好ましくは電気メッキによって、磁性層3302上に堆積される。続いて、
図35Aの側断面に示す構造を残して、レジスト・マスクがリフトオフされる。同様に
図36において、電気メッキされるスタックを含む磁性及び非磁性層は、1つの層と他のもう1つの層との間に段差を有しており、ここで1つのメッキ層の第1端部3604が、第2メッキ層の端部3602と比べて突出している。
【0061】
プロセス・フローの一実施例が
図33Bに示される。このプロセス・フローにおいては、ステップ3315で形成した磁極が、マスキング・ステップ3320によって位置決めされるフレア・ポイントを有する。続いてステップ3602において、磁極3302上の材料のエッチングを行う。しかし、これは非磁性材料が磁極を被覆している場合にのみ必要となる。続いてステップ3340において、磁性層を、磁極3302上に直接電気メッキする。オプションとして、ステップ3350において、磁性層をメッキした後、マスク層を変形させることもできる。追加のステップ3360において、オプションの非磁性部分を、磁性メッキ磁極部分上にメッキすることもできる。マスクはステップ3370において除去され、プロセスは3380へと続く。
【0062】
図33A、33B、35A及び36を参照すると、メッキを施す前に材料除去プロセス3602が実施され、非磁性層3304の一部が除去される。材料除去プロセス3602は、磁性層3404又は3302に影響を及ぼすことなく非磁性金属3304を除去するために、慎重に選択されるプロセスである。このプロセス3602はウェット・エッチングであってもよい。例えば、非磁性層3404がZnNiで構成される場合、この非磁性層は電解エッチングによって除去される。非磁性層3404がCuで構成される場合、この非磁性層は、過硫酸アンモニウム及び水酸化アンモニウムを含んだ塩基性溶液を用いたエッチングによって除去される。非磁性層3404がCrである場合、この非磁性層は、Cyantek Corp製のCR−7(登録商標)などのCrエッチング液を用いてエッチングされる。非磁性層3404がAuである場合、この非磁性層は、ヨウ化カリウムを用いてエッチングされる。
図35Bに示すように、非磁性層3304の一部を除去することによって、磁性層3402及び非磁性層3404をメッキすることが可能となり、前端部3509が画定される。少なくとも、第1電気メッキ層の前端部3509は、新しいフレア・ポイント3535を規定する。
【0063】
続いて
図37を参照すると、Ta及び/又はRh、Au、及びIrなどの非磁性トレーリング・ギャップ層3702が堆積され、NiFe、CoFe、又はそれらの合金などの磁性材料3704が、電気メッキによって堆積され、段状後端部を有するトレーリング・シールドが形成される。このようにして、磁性シェル層3402の前端部3604によって規定されるフレア・ポイントと一致又はその後方に位置する後端部3706を有するトレーリング・シールドが構成される。
【0064】
ここで
図38を参照すると、段状シールド構造を形成するために実施可能な方法が示される。下地層1703及び基板3101上に書き込み磁極コア部3302を形成した後、フォトレジスト・マスク3802が形成される。次に磁性材料3804の層が堆積され、磁気コア3302上に磁性シェルが形成される。続いて
図39を参照すると、SAFIER(登録商標)コーティングなどの可溶性材料3902が、この構造上に堆積(即ち、スパン・オン)される。次にここまで形成された構造を加熱する。この加熱によって、可溶性コーティング3902が収縮して、フォトレジスト・マスク3802を引き寄せ、
図40に示すように、マスク3802が磁性シェル3804上に重なる構造が形成される。続いて
図41Aを参照すると、収縮性コーティング3902が除去され、非磁性金属4102が磁性シェル3804上にメッキされる。次に
図42を参照すると、堆積可能なTa及び/又はRh、Au、及びIrなどの非磁性ギャップ層4202、及びNiFe、CoFe、又はそれらの合金などの磁性材料が、電気メッキによって、ギャップ層4202上に堆積される。図に示すように、これによって、段状後端部4206を有する磁気シールド4204が形成される。もう一つの方法として、
図41Bに示すように、多段構造を形成することも可能である。この場合、2つ以上の材料から成る多段構造が、シード4101を有する基板上に電気メッキされる。同様に、
図41Cに示すような、電気メッキされた構造を形成することも可能である。これは、1つ又は複数の段を有する1つ又は複数の材料によって構成され、ここで、各段が50nm未満の距離ずつ後退することで、
図41Dに示すように、この構造は段階的に幅が狭くなっている。ヘッドの設計によるが、フレア・ポイントからABS3737までの距離は、トレーリング・シールドの後端部からABS3747までの距離未満か、等しいか、あるいはそれよりも長い距離である。
<自己整合電子ラッピング・ガイド(ELG)>
図37に示すように、上述の実施形態のような、磁気書き込みヘッドの形成においては、フレア・ポイント(フレア・ポイント及びABS3737間の距離)及びトレーリング・シールド・スロート・ハイト(ABS3747から計測したトレーリング・シールドの厚み)を慎重に制御することが必要とされる。書き込み磁極フレア・ポイント及びトレーリング・シールド・スロート・ハイトの両方は、ラッピング加工によって規定されるABSの位置から計測される。このラッピング加工は、ウエハがスライダの列にカットされた後に行われる。スライダの列の側部又は個々のスライダはラッピングされ、所望のABS面位置に到達するまで材料が除去される。この時点で、スライダの列は、個々のスライダにカットされる。しかし、このラッピング加工の制御は困難である。
【0065】
電子ラッピング・ガイド(ELG)は、どのポイントでラッピングを終了させるのかを確定するために利用される。ラッピング・ガイドは、目的とするABS面からの所定の位置、又はこのABS面の位置に正確に位置する端部を有する、導電性材料である。ラッピングが進行するにつれ、ラッピング・ガイドに電圧を印加することによって、ラッピング・ガイドの電気抵抗値が計測される。この抵抗値が所定のレベルに達すると、オペレータは、ABS面が到達され、ラッピングを終了させる時点であると判断する。
【0066】
当然のことながら、ラッピング・ガイドの端部の位置決めは、目的のABSに関連して、またフレア・ポイント及びシールド・スロート・ハイトに関連して慎重に制御されなければならない。しかし、多重マスク・フォトリソグラフィ・ステップの調整などの、製造公差の問題が、この端部位置の制御を一層困難にしている。以下に述べる方法によって、ABS、フレア・ポイント及びシールド・スロート・ハイトに関連して、ラッピング・ガイドの重要な端部を正確且つ確実に位置決めする正確な自己整合プロセスを提供する。
【0067】
ここで
図43及び35Bを参照すると、
図26を参照して述べた製造段階と類似した製造段階における書き込み磁極構造3302が示される。この構造は、書き込み磁極コア部3302及び、この書き込み磁極コア部3302を取り囲む非磁性側壁3404を含む。導電性ELG4304は、書き込み磁極3302の側方のカーフ領域内に形成される。このELG材料は、二重フォトレジスト・マスク(図示せず)を形成し、導電性材料を堆積し、続いてマスクをリフトオフするといったような、リフトオフ・プロセスによって形成される。またサブトラクティブ法を利用することも可能である。形成されるマスク構造4302は、
図26に示すマスク2502に類似しているが、マスク構造4302が目的のABS面に関連して整合された後端部4306を有しているという点で異なる。実際は、端部4306は図に示すようにABS面に位置し、あるいはABS面に対する他の任意の所定の位置に位置する。マスク4302及び端部4306は、
図43に示すように、ELG材料4304の少なくとも一部分上に延在する。
【0068】
ここで
図44を参照すると、
図27を参照して上に述べた材料除去プロセスなどの材料除去プロセスが実施され、非磁性側壁3404のマスク4302によって被覆されていない部分が除去される。これによって、側壁3304の、マスク4302の後端部2602を越えて延在する部分が除去される。これと同じ又は別の材料除去プロセス(反応性イオン・エッチングなど)を利用し、ELG4304の、マスク4302の後端部4306を越えて延在する部分を除去することもできる。先の説明において述べたように、マスク4302の端部2602の位置は、第2フレア・ポイント(例えば、
図5におけるFP2)の位置及びトレーリング・シールド・スロート・ハイト(例えば、
図15及び30におけるTH)を画定する。このようにして、先に述べた方法及び実施形態に関連して上に述べたプロセスを継続することによって、ELGラッピング・ガイドの後端部4404が、書き込みヘッド・フレア・ポイント及びシールド・スロート・ハイト及びABSに合わせて、自己整合される。また端部4404を自己整合させることによって、マスク層4302のフォト端部2602を利用して、ELG及びフレア・ポイント(FP2)及びその関連するシールド・スロート・ハイトTHを規定することができ、複数のマスクを複数のフォトリソグラフィ・ステップにおいて整合する必要がなくなる。ラッピングの過程において、電圧がELG4304に印加され、ELGの抵抗値が計測される。ラッピングが矢印3408で示す方向に進行するにつれて、ELGは消費される。ELGの消費される部分が大きくなればなるほど、ELGの抵抗値も大きくなり、そして所定の抵抗値に到達すると、ラッピングは停止する。
図44に示すように、後端部をABSに直接配置することによって、ラッピング・ガイド4304の抵抗値は、ラッピング材料が無くなるまで、無限(即ち、ラッピング・ガイド4304が完全に除去された時点)に増大する。
【0069】
図43Aに、パターニングが可能な代替装置であるセンサ4304を示す。これは、書き込みヘッドがセンサ構造と同一平面上に存在する並列ヘッド内に存在する。書き込みヘッドのELG材料4304のパターニングと同様に、センサ4343の後端部は、マスク4302の端部4306によって画定される。センサ4343は堆積され、また場合によっては規定マスク4302の堆積の前に、部分的にパターニングされる。
図44Aに象徴されるように、センサ4343は、装置の外部と電気的に接続される。この結果、フレア・ポイントFP及びそれに関連したスロート・ハイト(TH)に対して自己整合された、センサの後端部4444を有するヘッドが形成される。
【0070】
フレア・ポイントFP及びその関連するスロート・ハイトTHを、マスク4302の種々の形状を利用することによって、マスク4302の後端部2602が、同一平面のセンサ4343及び書き込みヘッドのELG材料4304に沿うようにまとめて規定することも可能である。
【0071】
図45においては、ラッピングを構成するもう1つの方法が、Auなどの導電性ラッピング・ガイド材料4304を堆積させるステップを含む。続いて、上述のフレア・ポイントFP2及びそれに関連するシールド・スロート・ハイトTHを画定するように配置される後端部2602を有する第1部分4404aを含んだマスク構造が形成される。またこのマスクは、ABS面と同一線上又は他の位置に存在する、ラッピング・ガイドの後端部を画定するように配置された前端部4406を有する部分4404bを含む。続いて、
図46においては、CoFeなどのエッチング可能な材料4602が、マスク4404bに隣接した、ラッピング・ガイド材料4304上にメッキされる。
図46においては、エッチング可能な材料4602が、ラッピング・ガイド領域上のみに示されているが、これは例示のみをその目的として示されるものである。このエッチング可能な材料4602は、実際は、後のエッチングによって除去されるように、全体にわたって堆積される。次にマスク部分4404bが、ラッピング材料4304上の、メッキされていない部分4510を残して除去される。続いてメッキされていない部分4510をエッチングすることによって、書き込みヘッドELGの後端部が形成される。ELG材料4304上に電気メッキされたメッキ材料3404及びELG材料3404自体が、
図47に示すように、後端部4702を有するELGを共同で形成する。マスク構造4404a及び4404bは同じフォトリソグラフィ・ステップにおいて画定されるので、端部4702は、ABS面、フレア・ポイントFP2及び端部2602の配置によって画定されるシールド・スロート・ハイトTHと正確に整合される。同様に、ELG4304は、このELG4304の抵抗値の変化を測定することによって、ABS面を監視することができるように、電気的に接続される。これによって、ABS面をELG4304の後端部4702と関連付ける抵抗値の測定が可能となる。
【0072】
さらに、
図48に示すように、同様の添加プロセスによって、メッキ材料3404をセンサ4848上に添加し、ここでセンサの後端部4702が、フレア・ポイントFP及びその関連するスロート・ハイトTHを規定した同じマスク4302の一部によって形成されてもよい。
【0073】
種々の実施の形態について上に述べてきたが、これらは例示のためにのみ示されたものであり、制限を意図して示されたものではない。本発明の範囲に含まれるその他の実施の形態も当業者には明らかなことであろう。従って、本発明の範囲は、上述の例示としての実施の形態のいずれによっても制限されることはなく、添付の請求項及びそれらの相当物のみに基づいて定義されるのでなければならない。