(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、詳細に述べる。
【0011】
本発明に用いることのできる脂肪族、脂環族ジイソシアネートモノマーとは、その構造の中にベンゼン環を含まない化合物である。脂肪族ジイソシアネートモノマーとしては、炭素数4〜30のものが好ましく、具体的には、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと言う)、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、具体的には、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと言う)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを、挙げることができる。なかでも、耐候性、工業的入手の容易さの点から、HDIが好ましい。なお、上記化合物を2種以上併用することもできる。
【0012】
また、本発明に用いるポリイソシアネートの原料として、前記ジイソシアネートモノマー以外に2〜6価のアルコールを用いることができる。
【0013】
本発明のポリイソシアネートの原料として使用することのできる2〜6価のアルコール(ポリオール)としては、例えば、非重合ポリオールと重合ポリオールがある。非重合ポリオールとは重合を履歴しないポリオールであり、重合ポリオールはモノマーを重合して得られるポリオールである。
【0014】
非重合ポリオールとしてはジオール類、トリオール類、テトラオール類などがある。ジオール類としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、トリオール類としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、テトラオール類としては、例えばペンタエリトリトールなどが挙げられる。
【0015】
重合ポリオールとしてはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独又は混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、及び例えばε−カプロラクトンを多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0017】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒や、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属シアン化合物錯体などを使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物にランダムあるいはブロック付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等のポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0018】
前記のジイソシアネートモノマー及び場合により前記の2〜6価のアルコール(ポリオール)を使用して、本発明に用いるポリイソシアネートが誘導される。ポリイソシアネートはイソシアヌレート基を含むことが好ましい。イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを硬化した塗膜は、耐侯性が良好であり、高い塗膜硬度を達成することができる。
【0019】
このポリイソシアネートは、イソシアヌレート基以外の例えば、ビウレット基、尿素基、ウレトジオン基、ウレタン基、アロファネート基、オキサジアジントリオン基、イミノオキサジアジンジオン基等を同時に含むことができる。
【0020】
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの製造は、例えば触媒などによりイソシアヌレート化反応を行い、所定の転化率になった時に反応を停止し、ジイソシアネートモノマーを除去して得られる。
【0021】
この際に使用するイソシアヌレート化反応触媒としては、一般に塩基性を有するものが好ましく、具体的には(1)例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(2)例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩、(4)例えばナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)例えばトリブチルホスフィン等の燐系化合物等が挙げられる。これら触媒の使用量は原料である、ジイソシアネート、ポリオールの合計質量に対して、10ppm〜1%の範囲から選択される。これらは反応終了させるために、例えば触媒を中和するリン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質の添加、熱分解、化学分解等により不活性化される。
【0022】
ポリイソシアネートの収率は通常10〜70質量%である。高い収率で得られるポリイソシアネートでは、粘度が高くなる傾向にある。
【0023】
イソシアヌレート化反応の反応温度は通常50〜200℃、好ましくは50〜150℃である。50℃以上で、反応が進み易くなり、また、200℃以下であると製品の着色など好ましくない副反応を抑制することができる。
【0024】
反応終了後、ジイソシアネートモノマーは薄膜蒸発缶、抽出などにより除去され、実質的にジイソシアネートモノマーを含まなくなる。得られたポリイソシアネート中の残留未反応ジイソシアネート濃度は3質量%以下、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。ジイソシアネートモノマー濃度が3質量%以下であれば、これを使用して、得られるブロックポリイソシアネート組成物の硬化性が低下するのを防止できる。
【0025】
この様にして得られたポリイソシアネート、特定分子量のジオール及びブロック剤と反応させ、本発明のブロックポリイソシアネート組成物を得ることができる。ポリイソシアネートとジオール及びブロック剤の反応は同時に行うこともできるし、ポリイソシアネートとジオールの反応後、ブロック剤と更に反応させる方法、ポリイソシアネートとブロック剤の反応後、ジオールと更に反応させる方法のいずれも可能である。
【0026】
ポリイソシアネートとの反応に用いることのできるジオールの数平均分子量は通常300〜2000であり、好ましくは300〜1500、更に好ましくは350〜1500である。ジオールの数平均分子量が300以上では、これを使用して得られるブロックポリイソシアネート組成物から得られた塗膜の破断伸度が良好である。また、この数平均分子量が2000以下では、その塗膜の硬度の低下を防止できる。
【0027】
本発明に使用できるジオールとしては、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、アクリルジオール、ポリオレフィンジオールなどがある。
【0028】
前記のポリエステルジオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独又は混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの群から選ばれた2価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られるポリエステルジオール、及び例えばε−カプロラクトンを2価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類などが挙げられる。
【0029】
ポリエーテルジオールとしては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属シアン化合物錯体などを使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物を、2価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物にランダムあるいはブロック付加して得られるポリエーテルジオール類、更にエチレンジアミン類等のポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルジオール類などが挙げられる。
【0030】
ポリオレフィンジオールとしては、例えば、水酸基を2個有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。
好ましいジオールはポリエステルジオール、ポリエーテルジオールである。
【0031】
本発明に用いることができる、ブロック剤としては、活性水素を分子内に1個有する化合物であり、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、活性メチレン、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系、ピラゾール系化合物等が挙げられる。より具体的なブロック化剤の例を下記に示す。
(1)メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどのアルコール類
(2)アルキルフェノール系;炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ及びジアルキルフェノール類であって、例えばn−プロピルフェノール、i−プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類
(3)フェノール系;フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等
(4)活性メチレン系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等
(5)メルカプタン系;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等
(6)酸アミド系;アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等
(7)酸イミド系;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等
(8)イミダゾール系;イミダゾール、2−メチルイミダゾール等
(9)尿素系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等
(10)オキシム系;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等
(11)アミン系;ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等
(12)イミン系;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等
(13)ピラゾール系;ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。なお、これらを2種以上併用することができる。好ましいブロック剤としてはアミン系好ましくは脂肪族アミン系またはピラゾール系化合物である。
【0032】
ポリイソシアネート、ジオール、及びブロック剤の反応は溶剤の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。その溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。
【0033】
最終的にこれら溶剤を除去する場合は、この溶剤の沸点は水の沸点より低いことが好ましい。必要に応じて、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩及び3級アミン系化合物、ナトリウムなどのアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
【0034】
反応は、一般に−20〜150℃で行うことが出来るが、好ましくは30〜100℃である。150℃以下の温度では副反応を起こす可能性が低く、他方、−20℃以上であれば反応速度が小さくなりすぎることがない。
【0035】
この様にして得られた本発明のブロックポリイソシアネート組成物のジイソシアネートモノマー3量体成分濃度は通常5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。この濃度が5質量%以上の場合は、得られる塗膜の硬度、耐侯性に優れ、50質量%以下であれば、得られた塗膜の伸度が良好である。ここで言う、ジイソシアネートモノマー3量体成分とは、ジイソシアネートモノマー3分子から得られる、1分子当たりのイソシアネート基数が3のポリイソシアネートと、ブロック剤3分子から誘導されるブロックポリイソシアネートである。
【0036】
本発明のブロックポリイソシアネート組成物のジオール成分濃度とは、ブロックポリイソシアネート組成物中に反応して存在するジオールの濃度である。この濃度は通常3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%である。3質量%以上で、得られる塗膜の伸度の低下を防止し、40質量%以下であると、得られる塗膜の硬度が低下を防止できる。
【0037】
本発明のブロックポリイソシアネート組成物中のジオール1分子とジイソシアネートモノマー3量体2分子及びブロック剤4分子から誘導されるブロックポリイソシアネート濃度は、通常3〜30質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。この濃度が3質量%以上であれば、得られた塗膜の伸度が良好で、30質量%以下であれば、優れた塗膜硬度が得られる。前記のジイソシアネートモノマー3量体が有するイソシアネート基数は3である。ジイソシアネートモノマー3量体はイソシアヌレート基を含むことが好ましい。
【0038】
ジオールはジイソシアネートモノマーのイソシアヌレート化反応で得られるポリイソシアネートの副原料として用いることができるが、この場合、前記のジイソシアネートモノマー3量体とジオールが反応した化合物は実質的に生成しない。この場合、大量のジイソシアネートモノマーが存在するので、ジオールはジイソシアネートモノマーと反応する。本発明に用いるポリイソシアネートはジイソシアネートモノマーの大部分が除去されている。この場合、ジオールはジイソシアネートモノマー3量体と効率的に反応できる。これを用いて得られるブロックポリイソシアネートが特定濃度の場合、得られた塗膜の伸度が増加するだけでなく、硬化性も向上したことは驚くべきことであった。
【0039】
本発明のブロックポリイソシアネート組成物は、イソシアネート基と反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物と混合され、本発明の塗料組成物となる。ブロックポリイソシアネートはこの活性水素含有化合物の活性水素と反応して、架橋塗膜を形成する。前記の活性水素を2個以上有する化合物とは、例えばポリオール、ポリアミン、ポリチオールなどが挙げられ、通常、ポリオールが使用される。このポリオールの例としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フッ素ポリオール、エポキシポリオールなどが挙げられる。好ましいポリオールは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、フッ素ポリオールである。これらポリオールの水酸基価は通常30〜200mgKOH/g、酸価0〜30mgKOH/gの中から選択される。
【0040】
ブロックポリイソシアネート組成物におけるイソシアネート基/ポリオールの水酸基の当量比は0.3〜1.5であり、この比は塗膜の必要物性に応じて、適宜選択される。
【0041】
必要に応じて、完全アルキル型、メチロール基型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。
【0042】
また、用途、目的に応じて各種溶剤、添加剤を用いることができる。溶剤としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル類、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、などが挙げられ、目的及び用途に応じて適宜選択して使用することができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
また、必要に応じて、酸化防止剤例えばヒンダードフェノール等、紫外線吸収剤例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等、顔料例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等、金属粉顔料例えばアルミ等、レオロジーコントロール剤例えばヒドロキシエチルセルロース、尿素化合物、マイクロゲル等、硬化促進剤例えば、錫化合物、亜鉛化合物、アミン化合物等を添加してもよい。
【0044】
この様に調製された塗料組成物はディップ塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装、電着塗装などにより、鋼板、表面処理鋼板などの金属及びプラスチック、繊維などの有機・無機高分子、無機材料などの素材にプライマーまたは上中塗りとして、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装などに美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性などを付与することができ、有用である。また、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤などのウレタン原料としても有用である。
【実施例】
【0045】
本発明について、以下実施例を挙げて具体的に説明する。
・数平均分子量の測定:
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
・ジオール1分子、ジイソシアネートモノマー3量体2分子及びブロック剤4分子から誘導されるブロックポリイソシアネート濃度:
前記GPC測定で得られる相当分子量ピークの面積%をその濃度として表した。
・ジオール成分濃度:
ブロックポリイソシアネート組成物の製造に使用したジオール質量をブロックポリイソシアネート組成物の質量で除した値をジオール成分濃度とした。
・ゲル分率:
硬化塗膜を、アセトン中に20℃、24時間浸漬後、未溶解部質量の浸漬前質量に対する値をパーセントで示した。塗膜の硬化は120℃、30分で行った。
・塗膜破断伸度:
ORIENTEC(オリエンテック)社製の商品名TENSILON(テンシロン)RTE−1210を用いて、下記条件で破断伸度を測定した。塗膜の硬化は140℃、30分で行った。
【0046】
・引張スピード:20mm/min
・試料寸法 :縦20mm*横10mm*厚さ40〜60μm
・温度23℃/湿度50%
【0047】
製造例(ポリイソシアネートの製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部を仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に保持した。イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は2700mPa・s、イソシアネート含有量は21.7%、数平均分子量は660、平均イソシアネート官能基数は3.4であった。
【0048】
参考例1
製造例1と同様な反応器に製造例1で得られたポリイソシアネート100部、ジオール(旭硝子社の商品名、「エクセノール」分子量1000、ポリプロピレンジオール)13部、溶剤として酢酸ブチルを最終ブロックポリイソシアネート成分濃度が80質量%になるように仕込み、窒素雰囲気下、70℃、3時間保持した。その後、3,5-ジメチルピラゾール49部を添加し、赤外スペクトルでイソシアネート基の特性吸収がなくなったことを確認した。樹脂分の平均分子量1150、固形分80質量%、有効イソシアネート基濃度13.0質量%、ジオール成分濃度8.1質量%、ジオール成分とジイソシアネートモノマー3量体2分子を含むブロックポリイソシアネート成分濃度は26%であった。
【0049】
参考例2〜5、実施例6及び比較例1,2
表1に記載した以外は
参考例1と同様に行った。結果を表1に記載した。
【0050】
参考例7(塗料作成と塗膜性能)
アクリルポリオール(NUPLEX社の商品名Setalux1767、水酸基濃度4.5%(樹脂基準)、樹脂固形分75%)100部と
参考例1で得られたブロックポリイソシアネート組成物80.5部(イソシアネート基/水酸基=1.0(当量比))、ジブチル錫ジラウレート0.7部(対樹脂濃度0.5質量%)、酢酸ブチル98部を混合し、固形分50%の塗料を調製した。この塗料をPP板に樹脂膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装した。室温で10分セッテングした後、所定温度で塗膜を硬化し、物性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0051】
参考例8〜1
1、実施例12、比較例3,4
表2に記載した以外は
参考例7と同様に実施した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】