(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排出オーガの旋回位置を検出するオーガ旋回位置検出手段を具備し、前記制御手段は、前記排出オーガが前記オーガレスト近傍まで旋回したことを検出した場合、前記穀粒排出部を収納位置に切り換える、請求項1に記載のコンバイン。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係るコンバイン1について、
図1及び
図2を用いて説明する。なお、本実施形態に係るコンバイン1は6条刈のコンバインであるものとして、図示および説明するが、本発明はコンバインの刈取条数をこれに限るものではない。また、以下において、
図1における矢印Aの指す方向を機体前方向として、機体の前後方向を規定する。また、かかる前後方向と水平方向に直交する方向を機体の左右方向と規定する。
【0018】
コンバイン1は、
図1及び
図2に示すように、機体フレーム10に対して、走行部2と、刈取部3と、脱穀部4と、選別部5と、穀粒貯溜部6と、排藁処理部7と、エンジン部8と、運転部9等とから構成される。
【0019】
走行部2は、機体フレーム10の下部に設けられる。走行部2には、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11等が設けられる。走行部2は、クローラ式走行装置11が駆動することにより機体を走行させるように構成される。
【0020】
刈取部3は、機体フレーム10の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部3は、分草装置12と、引起装置13と、切断装置14と、搬送装置15等とから構成される。刈取部3は、分草装置12により圃場の穀稈を分草し、引起装置13により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置14により引き起こし後の穀稈の株元を切断し、搬送装置15により切断後の穀稈を脱穀部4側へ搬送するように構成される。
【0021】
脱穀部4は、機体フレーム10の左側前部であって、刈取部3の後方に設けられる。脱穀部4は、フィードチェン16と、図示せぬ扱胴等とから構成される。脱穀部4は、刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、フィードチェン16により排藁処理部7側へ搬送し、搬送中の穀稈を前記扱胴等により脱穀し、その脱穀処理物を選別部5へ落下させるように構成される。
【0022】
選別部5は、機体フレーム10の左側部であって、脱穀部4の下方に設けられる。選別部5は、脱穀部4から落下した脱穀処理物を揺動選別及び風選別により、穀粒と、穂付粒や未脱粒と、排藁と、塵埃等とに選別する。そして、選別部5は、選別した穀粒を穀粒貯溜部6へ搬送し、穂付粒及び未脱粒等の二番物は脱穀部4へ戻すように搬送し、排藁及び塵埃等は機体の外部へ排出するように構成される。
【0023】
穀粒貯溜部6は、機体フレーム10の右側後部であって、脱穀部4及び選別部5の右側方に設けられる。穀粒貯溜部6は、グレンタンク17と、穀粒排出装置30等とから構成される。穀粒貯溜部6は、選別部5から搬送される穀粒をグレンタンク17に貯溜するとともに、グレンタンク17に貯溜される穀粒を穀粒排出装置30により機体の外部へ排出するように構成される。
【0024】
排藁処理部7は、機体フレーム10の後部であって、脱穀部4の後方に設けられる。排藁処理部7は、図示せぬ排藁搬送装置や排藁切断装置等とから構成される。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送される脱穀済みの穀稈を、前記排藁搬送装置で受け継いで排藁として外部へ排出し、又は前記排藁切断装置に搬送して切断した後に機体の外部へ排出するように構成される。
【0025】
エンジン部8は、機体フレーム10の右側部であって、穀粒貯溜部6の前方に設けられる。エンジン部8は、エンジン8a等を有して、エンジン8aの動力を駆動源とする各部の装置に適宜の伝達機構を介して当該エンジン8aの動力を伝達し、各部の装置を駆動させるように構成される。
【0026】
運転部9は、機体フレーム10の右側前部であって、刈取部3の搬送装置15の右側方に設けられる。運転部9は、キャビン18と、座席19と、ハンドル20と、操作ペダルや操作レバー等の操作具類と、操作パネル等とから構成される。運転部9は、キャビン18により座席19やハンドル20等が覆われるように構成される。
【0027】
このようにして、コンバイン1は、運転部9での操作具類の操作によって、エンジン部8のエンジン8aの動力を各部の装置に伝達して、走行部2にて機体を走行させながら、刈取部3で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部4で刈取部3からの穀稈を脱穀し、選別部5で脱穀部4からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部6で選別部5からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部7で脱穀部4からの排藁を機体の外部へ排出することができるように構成される。
【0028】
次に、穀粒貯溜部6のグレンタンク17、及び穀粒排出装置30の構成について、
図1から
図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0029】
グレンタンク17は、選別部5による選別後の穀粒を貯溜するものである。グレンタンク17は、
図1及び
図2に示すように、機体フレーム10上に設けられる。グレンタンク17は、脱穀部4及び選別部5の右側方であって、運転部9の後方に配置される。グレンタンク17は、その後部が穀粒排出装置30の一部(排出オーガ32の縦排出オーガ筒34)に回動可能に支持されて、グレンタンク17の前部が脱穀部4及び選別部5に対して近接又は離間する左右方向へ移動するように構成される。
【0030】
穀粒排出装置30は、グレンタンク17に貯溜される穀粒を機体の外部へ排出するものである。穀粒排出装置30は、
図1及び
図2に示すように、排出コンベア31と、排出オーガ32とを備える。
【0031】
排出コンベア31は、
図2に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を前後方向としてグレンタンク17内の底部に配置される。排出コンベア31は、エンジン8aに伝動機構を介して接続される。そして、排出コンベア31は、エンジン8aの動力により回転して、グレンタンク17内の底部で穀粒を後部へ搬送するように構成される。エンジン8aから排出コンベア31までの動力伝達経路上には、ベルトテンションクラッチ等のオーガクラッチ33(
図5参照)が配設される。オーガクラッチ33は、断接操作(「入」または「切」とする操作)されることにより、エンジン8aの動力(穀粒排出用の動力)が排出コンベア31へ伝達又は遮断されるように構成される。
【0032】
排出オーガ32は、
図3及び
図4に示すように、縦排出オーガと、横排出オーガと、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、穀粒排出筒体40と、筒体回動用アクチュエータ41とを備える。排出オーガ32は、使用時には、横排出オーガの横排出オーガ筒36がグレンタンク17や脱穀部4等の上方を移動可能に構成される。排出オーガ32(横排出オーガ筒36)は、
図1及び
図2に示すように、非作業時(不使用時)には脱穀部4の前上部付近に設けられたオーガレスト21に載置される。
【0033】
なお、オーガレスト21には、横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出するオーガレストセットセンサ57が配置される。そして、オーガレストセットセンサ57は後述する制御手段60と接続される。なお、オーガレストセットセンサ57は、オーガ載置検出手段の一例であり、本実施形態におけるものに限定するものではない。例えば、後述する旋回角度検知センサ46および昇降角度検知センサ54を用いてオーガレスト21に横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出する構成とすることも可能である。
【0034】
縦排出オーガは、機体上下方向に延在して、グレンタンク17からの穀粒を揚送するものである。縦排出オーガは、縦排出オーガ筒34と、縦排出コンベア38とを備える。
【0035】
縦排出オーガ筒34は、
図1及び
図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設される。縦排出オーガ筒34の下端部は、排出コンベア31の後端と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34の上端部は、横排出オーガ筒36の基端部と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34は、機体フレーム10に対してその軸心を中心として回動可能に構成される。
【0036】
縦排出コンベア38は、
図3に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を上下方向(垂直方向)として縦排出オーガ筒34内に立設される。縦排出コンベア38は、排出コンベア31によりグレンタンク17内の底部で後部へ搬送された穀粒を、縦排出オーガ筒34内で上方へ搬送するものである。縦排出コンベア38の下端部は、排出コンベア31の後端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。縦排出コンベア38には、エンジン8aの動力が、排出コンベア31を介して伝達される。
【0037】
横排出オーガは、その基端部で縦排出オーガの上部に昇降かつ旋回可能に支持されて、縦排出オーガからの穀粒を搬送し、その先端部から外部に排出するものである。横排出オーガは、横排出オーガ筒36と、横排出コンベア39とを備える。
【0038】
横排出オーガ筒36は、
図1から
図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。横排出オーガ筒36は、縦排出オーガ筒34の上端部から水平方向へ延設される。横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持される。
図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設される。投出口体47は、四角筒からなり側面視で略L形に形成されている。投出口体47は、開口された一側が横排出オーガ筒36の先端部と連通するように接続され、且つ開口された他側が下方を臨むように配置される。横排出オーガ筒36の先端部から排出された穀粒は、投出口体47の前記開口された他側を通じて外部へ排出される。投出口体47には、穀粒排出筒体40が取り付けられる。
【0039】
横排出コンベア39は、
図3及び
図4に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を水平方向として横排出オーガ筒36内に横設される。横排出コンベア39は、縦排出コンベア38により縦排出オーガ筒34内の上端部に搬送された穀粒を、横排出オーガ筒36内で先端部へ搬送するものである。横排出コンベア39の基端部は、縦排出コンベア38の上端部とベベルギヤ等を介して連動するように連結される。横排出コンベア39には、エンジン8aの動力が、縦排出コンベア38を介して伝達される。
【0040】
旋回用アクチュエータ35は、
図3に示すように、縦排出オーガ筒34を左右方向(水平方向)へ回動させる部材である。旋回用アクチュエータ35は、回転軸44を備える。回転軸44には、駆動ギヤ45が固設される。駆動ギヤ45には、縦排出オーガ筒34の上下中途部に外嵌するように固定された従動ギヤ43が噛合される。また、回転軸44には、旋回角度検知センサ46が取り付けられる。旋回角度検知センサ46は、回転式ポテンショメータ等が用いられて、縦排出オーガ筒34(排出オーガ32)の旋回角度を検出することができる。なお、旋回用アクチュエータ35は、オーガ用アクチュエータの一例であり、本実施形態においては電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。また、旋回角度検知センサ46は、オーガ旋回位置検出手段の一例であり、本実施形態におけるものに限定するものではない。こうして、旋回用アクチュエータ35が駆動されると、回転軸44が軸心回り(左右方向)へ回動され、駆動ギヤ45及び従動ギヤ43を介して、縦排出オーガ筒34が軸心回りへ回動するように構成される。
【0041】
昇降用アクチュエータ37は、
図3に示すように、横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させる部材である。昇降用アクチュエータ37の両端部には、横排出オーガ筒36に突設されるブラケット48と、縦排出オーガ筒34に突設されるブラケット49とが、それぞれ回動自在に接続される。また、昇降用アクチュエータ37には、昇降角度検知センサ54が取り付けられる。昇降角度検知センサ54は、伸縮式ポテンショメータ等が用いられて、昇降用アクチュエータ37のストロークを検出して横排出オーガ筒36(排出オーガ32)の昇降角度を検出することができる。なお、昇降用アクチュエータ37は、オーガ用アクチュエータの一例であり、本実施形態においては油圧シリンダが用いられているが、これに限定するものではない。こうして、昇降用アクチュエータ37が駆動されると(伸縮されると)、ブラケット48及びブラケット49を介して、横排出オーガ筒36が基端部を中心として上下方向へ回動するように構成される。
【0042】
穀粒排出筒体40は、
図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部に設けられた中空筒状の部材である。穀粒排出筒体40は、基端側の開口部を通じて横排出オーガ筒36の投出口体47が挿入されて、当該投出口体47の後下部に回動可能に支持される。穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)は穀粒排出筒体40の内側壁により被覆されるので、投出口体47から外部へ穀粒を排出することはできない。他方、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨むように配置されている場合、投出口体47の穀粒排出口(前記開口された他側)と穀粒排出筒体40の内側壁との間に間隙が設けられて投出口体47から排出された穀粒は、穀粒排出筒体40の先端側の開口部を通じて穀粒排出筒体40(排出オーガ32)の外部へ排出されることとなる。また、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が臨む方向を水平方向より下方向の範囲で前後方向へ調整することにより、穀粒排出筒体40(排出オーガ32)から排出される穀粒の排出方向が調整可能となる。なお、穀粒排出筒体40は、穀粒排出部の一例であり、本実施形態における形状等に限定するものではない。
【0043】
筒体回動用アクチュエータ41は、
図4に示すように、穀粒排出筒体40を回動させる部材である。筒体回動用アクチュエータ41は、横排出オーガ筒36の先端側に取り付けられる。筒体回動用アクチュエータ41は、出力軸50を備える。出力軸50には、出力軸ギヤ51が固設されるとともに、回動角度検知センサ56が配置される。出力軸ギヤ51は、扇形の開閉ギヤ52の一端側に歯合される。開閉ギヤ52は、中央部で回動可能に軸支されて、他端側にロッド53の一端側が回動可能に連結される。ロッド53の他端側は、前下方向へ向けて延設されて、平板状の開閉リンク55の一端側に回動可能に連結される。開閉リンク55の他端側は、穀粒排出筒体40に固定されている。回動角度検知センサ56は、穀粒排出筒体40の回動角度を検出する。なお、本実施形態において、筒体回動用アクチュエータ41は、穀粒排出部用アクチュエータの一例であり、電動モータが用いられているが、これに限定するものではない。こうして、筒体回動用アクチュエータ41が駆動されると、出力軸50が軸心回りへ回動され、出力軸ギヤ51を介して、開閉ギヤ52が回動する。そして、開閉ギヤ52が
図4における反時計回りに回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨む方向へ回動するように構成される。他方、開閉ギヤ52が時計回りに回動すると、ロッド53及び開閉リンク55を介して、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨む方向へ回動するように構成される。
【0044】
以上のような構成により、排出オーガ32は、旋回用アクチュエータ35により縦排出オーガ筒34を軸心周りに回動させることによって旋回し、昇降用アクチュエータ37により横排出オーガ筒36を上下方向へ回動させることによって昇降するように構成される。また、排出オーガ32は、筒体回動用アクチュエータ41により穀粒排出筒体40を回動させて、グレンタンク17内の穀粒を機体の外部の任意の場所へ排出可能に構成される。また、オーガクラッチ33が「入」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31を介して縦排出コンベア38及び横排出コンベア39へ伝達されるので、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動して、グレンタンク17内の穀粒が穀粒排出筒体40を通じて排出可能に構成される。他方、オーガクラッチ33が「切」の場合、排出オーガ32は、エンジン8aの動力が排出コンベア31へ伝達されず、縦排出コンベア38及び横排出コンベア39が駆動しないので穀粒が排出されないように構成される。
【0045】
また、排出オーガ32は、本機側操作装置70により有線通信を用いて、又は遠隔操作装置80により無線通信を用いて操作されるように構成される。詳細については後述するが、排出オーガ32は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80によって操作され、各アクチュエータ35・37・41がその操作に基づいてコンバイン1の任意箇所に設置された制御手段60により駆動制御されることによって、昇降又は旋回或いは穀粒排出筒体40が回動するようになっている。
【0046】
次に、制御手段60の構成について、
図5を用いて説明する。
【0047】
制御手段60は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等により構成される。また、制御手段60は、受信部61と接続される。受信部61は、遠隔操作装置80の送信部81から無線で送信された各種信号を受信する。前記記憶部は、各アクチュエータ35・37・41等の駆動制御に関する制御プログラム等を格納する。前記演算処理部は、受信部61から入力された各種信号や前記制御プログラムに基づいて演算処理を行い、各アクチュエータ35・37・41へ制御信号を出力するなどする。
【0048】
制御手段60は、本機側操作装置70が有する操作手段としての各種ボタンと、旋回角度検知センサ46と、昇降角度検知センサ54と、回動角度検知センサ56と接続されるとともに、遠隔操作装置80が有する操作手段としての各種ボタンと無線で接続される。また、制御手段60は、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、オーガクラッチ33と、筒体回動用アクチュエータ41と接続される。
【0049】
制御手段60は、本機側操作装置70又は遠隔操作装置80の各種ボタンが押し操作されると、その操作に対応する操作信号を受信し、受信した操作信号に基づいて、前記制御プログラムと各角度検出センサ46・54・56からの検出信号とを利用しながら、旋回用アクチュエータ35と昇降用アクチュエータ37と筒体回動用アクチュエータ41を駆動制御して、排出オーガ32を昇降又は旋回させるとともに、穀粒排出筒体40を回動させる。
【0050】
次に、本機側操作装置70の構成について説明する。
【0051】
本機側操作装置70は、排出オーガ32を、有線通信を用いて操作するための装置である。本機側操作装置70は、運転部9に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持される。本機側操作装置70は、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンを備える。なお、本機側操作装置70と同等の機能を有する操作装置を、排出オーガ32の穀粒排出口近傍に設けることも可能である。
【0052】
次に、遠隔操作装置80の構成について、
図5から
図7までを用いて説明する。
【0053】
遠隔操作装置80は、無線通信を用いて遠隔指示を送信し、排出オーガ32を操作するための部材である。遠隔操作装置80は、運転部9や排出オーガ32の穀粒排出口近傍位置に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持され、作業者が携帯することができるように構成される。遠隔操作装置80は、擬似電源ボタン80aと、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンと、制御部82と、送信部81と、LED83とを備える。
【0054】
制御部82は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等を備える。制御部82は前記各種ボタンと接続され、各種ボタンが押し操作された場合、当該押し操作に対応する操作信号を、送信部81を介して制御手段60(さらに詳しくは、制御手段60に接続された受信部61)へと無線で送信する。
【0055】
LED83は、遠隔操作装置80の左上部に配置される。LED83は制御部82に接続される。制御部82は、所定の場合にLED83を点灯させることができる。
【0056】
前記各種ボタンは、擬似電源ボタン(「電源」表示ボタン)80aと、オーガクラッチボタン(「クラッチ」表示ボタン)80dと、オーガ上昇ボタン(「上」表示ボタン)80eと、オーガ下降ボタン(「下」表示ボタン)80fと、オーガ左旋回ボタン(「左」表示ボタン)80gと、オーガ右旋回ボタン(「右」表示ボタン)80hと、筒体前回動ボタン(「前」表示ボタン)80iと、筒体後回動ボタン(「後」表示ボタン)80jとからなる。
【0057】
擬似電源ボタン80aは、遠隔操作装置80による排出オーガ32の操作を可能とするためのものである。
【0058】
ここで、擬似電源ボタン80aの機能について説明する。
【0059】
遠隔操作装置80は、単純な構成とするために常時電力が供給されている。すなわち、常時前記各種ボタンを操作することが可能であるため、作業者が遠隔操作装置80をポケットなどに入れた際に不意に前記各種ボタンを押して排出オーガ32が動いてしまう可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態に係る遠隔操作装置80においては、擬似電源ボタン80aを設けて、上述の如く不意に排出オーガ32が動いてしまうことを防止している。
【0061】
具体的には、通常、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することを禁止している。すなわち、前記各種ボタンが押し操作されても、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することはない。
【0062】
図7に示すように、擬似電源ボタン80aのみが所定時間tp1の間連続して押し操作された場合、制御部82は送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信可能な状態とする。すなわち、この状態においては、前記各種ボタンが押し操作されると、制御部82は当該操作信号を送信部81を介して制御手段60に送信する。
【0063】
この場合、制御部82は、操作信号を送信可能な状態となったことを作業者に知らせるため、LED83を所定時間tp3だけ点灯させた後、当該LED83を点滅させる。LED83の点灯および点滅を確認することで、作業者は操作信号が送信可能な状態となったこと、すなわち、遠隔操作装置80によって排出オーガ32の操作ができる状態であることを認識することができる。このように、LED83を連続して点灯させるのではなく点滅させることで、遠隔操作装置80の消費電力を低減させることができる。
【0064】
また、前記各種ボタンのいずれもが所定時間tp2の間連続して押し操作されなかった場合、制御部82は再び送信部81を介して制御手段60に操作信号を送信することを禁止する。これによって、不意に排出オーガ32が動いてしまうことを防止することができる。
【0065】
上述の如く、擬似電源ボタン80aは、実際に遠隔操作装置80の電源のONまたはOFFを切り換えるのではなく、排出オーガ32の操作の可または不可を切り換えるものである。これによって、遠隔操作装置80に別途電源をONまたはOFFに切り換えるための回路を設ける必要がないため、当該遠隔操作装置80の回路を単純に構成しつつ、不意に排出オーガ32が動いてしまうことを防止することができる。
【0066】
なお、擬似電源ボタン80aとともにその他の前記各種ボタンが押し操作されている場合は、不意に前記各種ボタンが押し操作されている可能性がある。この場合、制御部82は所定時間tp1のカウントを行わず、擬似電源ボタン80aのみが押し操作された場合にのみ所定時間tp1のカウントを行う。これによって、不意に排出オーガ32が動いてしまうことを防止することができる。
【0067】
オーガクラッチボタン80dは、オーガクラッチ33を断接(入り切り)させるためのものである。オーガクラッチボタン80dが一度押し操作されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にする。オーガクラッチボタン80dが再度押し操作されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「切」にする。その結果、排出オーガ32は、オーガクラッチ33が「入」にされているときだけ、穀粒を外部に排出する。
【0068】
ただし、横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されている場合、穀粒排出筒体40の回動位置が収納位置にある場合、および穀粒排出筒体40の開口部が下方向を臨むように配置されているが、当該穀粒排出筒体40の回動位置が排出位置にない場合には、オーガクラッチボタン80dが押し操作されても、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にしない。これにより、誤操作による穀粒の排出を防止することができる。
【0069】
ここで、「収納位置」とは、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向を臨むように配置されている場合の、当該穀粒排出筒体40の回動位置をいうものとする。また、「排出位置」とは、穀粒排出筒体40の先端側の開口部が水平方向より下方向を臨むように配置されている場合であって、鉛直下方向に対して所定の回動角度以内にある場合の、当該穀粒排出筒体40の回動位置をいうものとする。
【0070】
オーガ上昇ボタン80eおよびオーガ下降ボタン80fは、それぞれ排出オーガ32を上昇、下降させるためのものである。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン80e又はオーガ下降ボタン80fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止する。
【0071】
オーガ左旋回ボタン80gおよびオーガ右旋回ボタン80hは、それぞれ排出オーガ32を左旋回、右旋回させるためのものである。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されている間、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hの押し操作が解除されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン80g又はオーガ右旋回ボタン80hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する。
【0072】
筒体前回動ボタン80iおよび筒体後回動ボタン80jは、それぞれ穀粒排出筒体40を前方向(横排出オーガ筒36の先端方向)へ回動、後方向(横排出オーガ筒36の基端方向)へ回動させるためのものである。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されている間、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を受信した操作信号に基づいて駆動させる。筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jの押し操作が解除されると、制御手段60は筒体回動用アクチュエータ41を停止させる。その結果、穀粒排出筒体40が、筒体前回動ボタン80i又は筒体後回動ボタン80jが押し操作されているときは、その押し操作に対応して前方向又は後方向へ回動し、押し操作されていないときは、回動せずに停止する。
【0073】
次に、遠隔操作装置80における各種ボタンおよびLED83の配置等について、
図7を用いて説明する。遠隔操作装置80は、これを用いる作業者が片手で把持可能な大きさに構成されている。遠隔操作装置80において、各種ボタンは同一表面に並べられる。遠隔操作装置80を用いる作業者から見て、オーガ上昇ボタン80eとオーガ下降ボタン80fとは、それぞれ菱形の上下の頂点に位置するように配置される。オーガ左旋回ボタン80gとオーガ右旋回ボタン80hとは、それぞれオーガ上昇ボタン80e及びオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に配置され、前記菱形の左右の頂点に位置するように配置される。また、筒体前回動ボタン80iと筒体後回動ボタン80jとは、それぞれオーガ下降ボタン80fの近傍でその左又は右側方に位置するとともに、筒体前回動ボタン80iがオーガ右旋回ボタン80hの下方に位置し、筒体後回動ボタン80jがオーガ左旋回ボタン80gの下方に位置するように配置される。そして、オーガクラッチボタン80dは、筒体後回動ボタン80jの近傍でその下方に位置するように配置される。擬似電源ボタン80aは、筒体前回動ボタン80iの近傍でその下方に位置するように配置される。また、LED83は、オーガ上昇ボタン80eの左方かつオーガ左旋回ボタン80gの上方に配置される。
【0074】
前記各種ボタンが配置される遠隔操作装置80の表面(
図6におけるハッチング部分)は、蓄光性を有する塗料により塗装されている。このように構成することにより、例えば日没により周囲が暗くなった場合であっても、前記塗料が発光し、作業者は遠隔操作装置80に配置された前記各種ボタンの位置を把握し易くなる。これによって、排出オーガ32を確実に操作することができる。また、電力を消費しないため、バックライト等を用いる場合に比べて電力消費を抑えることができる。さらに、前記各種ボタンは蓄光性を有する塗料により塗装されていない。このように構成することにより、作業者による前記各種ボタンの操作によって前記塗料がはがれることを防止することができる。
【0075】
なお、本実施形態においては蓄光性を有する塗料により塗装するものとしたが、これに限らずバックライト等を用いて遠隔操作装置80の表面を発光させる構成とすることも可能である。
【0076】
次に、穀粒排出筒体40を排出位置に切り換えるための制御について、
図8のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0077】
ステップS101において、制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「入」操作されたか(オーガクラッチ33が「切」の状態でオーガクラッチボタン80dが押し操作されたか)否かを判定する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「入」操作されたと判定した場合、ステップS102に移行する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「入」操作されていないと判定した場合、再度ステップS101の処理を行う。
【0078】
ステップS102において、制御手段60は、当該オーガクラッチボタン80dの「入」操作が、排出オーガ32(より詳細には、横排出オーガ筒36)がオーガレスト21から離れた後、最初の「入」操作であるか否かを判定する。当該判定は、排出オーガ32(横排出オーガ筒36)がオーガレスト21から離れたことをオーガレストセットセンサ57(または、旋回角度検知センサ46および昇降角度検知センサ54)により検出した後、初めてオーガクラッチボタン80dが「入」操作されたか否かを判定することで行うことができる。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dの「入」操作が、排出オーガ32がオーガレスト21から離れた後、最初の「入」操作であると判定した場合、ステップS103に移行する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dの「入」操作が、排出オーガ32がオーガレスト21から離れた後、最初の「入」操作でない(例えば、オーガクラッチボタン80dの「入」操作が2回目以降の「入」操作である場合や、排出オーガ32がオーガレスト21から離れていない状態での「入」操作である場合等)と判定した場合、ステップS105に移行する。
【0079】
ステップS103において、制御手段60は、筒体回動用アクチュエータ41を駆動して穀粒排出筒体40の回動位置を排出位置に切り換える。本実施形態においては、制御手段60は、穀粒排出筒体40の開口部が鉛直下方を臨むように切り換えるものとする。なお、穀粒排出筒体40の回動位置は、回動角度検知センサ56により検出することができる。制御手段60は、ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0080】
ステップS104において、制御手段60は、オーガクラッチ33を「入」にする。これによって、グレンタンク17内の穀粒が、穀粒排出筒体40の下方へと排出される。制御手段60は、ステップS104の処理を行った後、当該制御を終了する。
【0081】
また、ステップS105において、制御手段60は、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にあるか否かを判定する。具体的には、前述の如く、排出オーガ32(横排出オーガ筒36)がオーガレスト21から離れており、穀粒排出筒体40の回動位置が排出位置にある場合には、当該排出オーガ32および穀粒排出筒体40は穀粒を排出することが可能な位置にあると判定する。なお、排出オーガ32がオーガレスト21から離れていることは、オーガレストセットセンサ57により検出することができ、穀粒排出筒体40が排出位置にあることは、回動角度検知センサ56により検出することができる。制御手段60は、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にあると判定した場合、ステップS104に移行する。制御手段60は、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にないと判定した場合、オーガクラッチ33を「入」にすることなく当該制御を終了する。
【0082】
以上の如く制御することで、オーガクラッチボタン80dが「入」操作された場合(ステップS101)、当該操作が、排出オーガ32がオーガレスト21から離れた後、最初の操作であるとき(ステップS102)は、作業者にはグレンタンク17内の穀粒を排出する意思があるものと推定し、自動的に穀粒排出筒体40の回動位置を排出位置に切り換えて(ステップS103)オーガクラッチ33を「入」にする(ステップS104)。これによって、作業者は穀粒排出筒体40を排出位置に切り換える操作を行う必要がなくなり、作業性を向上させることができる。
【0083】
また、オーガクラッチボタン80dが「入」操作された場合(ステップS101)、当該操作が、排出オーガ32がオーガレスト21から離れた後、最初の操作ではないとき(ステップS102)は、作業者にはグレンタンク17内の穀粒を排出する意思があるとは推定できないため、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にある場合にのみ(ステップS105)、オーガクラッチ33を「入」にする(ステップS104)。
【0084】
次に、穀粒排出筒体40を収納位置に切り換えるための制御について、
図9のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0085】
ステップS106において、制御手段60は、排出オーガ32がオーガレスト21の近傍まで旋回したか否かを判定する。当該判定は、旋回角度検知センサ46により排出オーガ32(縦排出オーガ筒34)の旋回角度を検出し、当該旋回角度がオーガレスト21が配置されている角度の近傍にあるか否かを判定することで行うことができる。なお、排出オーガ32がオーガレスト21の「近傍」まで旋回した場合とは、当該排出オーガ32の旋回位置が、オーガレスト21が配置されている位置と厳密に同一の位置にある場合だけでなく、当該オーガレスト21が配置されている位置から予め設定される所定の旋回角度範囲内にある場合も含む。当該所定の旋回角度範囲は任意に設定することができるが、特に作業者に排出オーガ32をオーガレスト21に載置する意思があると推定できる程度の狭い範囲に限ることが望ましい。制御手段60は、排出オーガ32がオーガレスト21の近傍まで旋回したと判定した場合、ステップS107に移行する。制御手段60は、排出オーガ32がオーガレスト21の近傍まで旋回していないと判定した場合、再度ステップS106の処理を行う。
【0086】
ステップS107において、制御手段60は、穀粒排出筒体40の回動位置を収納位置に切り換える。
【0087】
以上の如く制御することで、排出オーガ32がオーガレスト21の近傍まで旋回したとき(ステップS106)は、作業者はグレンタンク17内の穀粒の排出を終了し、排出オーガ32をオーガレスト21に載置する意思があるものと推定し、自動的に穀粒排出筒体40の回動位置を収納位置に切り換える(ステップS107)。これによって、作業者は穀粒排出筒体40を収納位置に切り換える操作を行う必要がなくなり、作業性を向上させることができる。
【0088】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、グレンタンク17内の穀粒を外部に排出する昇降かつ旋回可能な排出オーガ32と、排出オーガ32の先端部に回動可能に設けられ、収納位置または排出位置に切り換え可能な穀粒排出筒体40(穀粒排出部)と、排出オーガ32に伝達される穀粒排出用の動力の伝達を断接するオーガクラッチ33と、排出オーガ32を昇降または旋回させる旋回用アクチュエータ35および昇降用アクチュエータ37(オーガ用アクチュエータ)と、穀粒排出筒体40を回動させる筒体回動用アクチュエータ41(穀粒排出部用アクチュエータ)と、非作業時において排出オーガ32が載置されるオーガレスト21と、排出オーガ32がオーガレスト21に載置されていることを検出するオーガレストセットセンサ57(オーガ載置検出手段)と、無線通信を用いて排出オーガ32の動作についての遠隔指示を送信する遠隔操作装置80と、遠隔操作装置80からの遠隔指示に基づいてオーガクラッチ33、旋回用アクチュエータ35および昇降用アクチュエータ37、ならびに筒体回動用アクチュエータ41を駆動制御する制御手段60と、を具備するコンバイン1であって、制御手段60は、排出オーガ32がオーガレスト21から離れたことを検出した後、オーガクラッチ33を接続する旨の遠隔指示を最初に受信した場合、穀粒排出筒体40を排出位置に切り換えた後にオーガクラッチ33を接続させるものである。このように構成することにより、排出オーガ32がオーガレスト21から離れて最初にオーガクラッチ33が接続操作された場合、グレンタンク17内の穀粒を排出するものと判断して、自動的に穀粒排出筒体40を排出位置に切り換える。これによって、穀粒を排出する際の遠隔操作装置80による操作を簡素化し、作業性を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態に係るコンバイン1は、排出オーガ32の旋回位置を検出する旋回角度検知センサ46(オーガ旋回位置検出手段)を具備し、制御手段60は、排出オーガ32がオーガレスト21近傍まで回動したことを検出した場合、穀粒排出筒体40を収納位置に切り換えるものである。このように構成することにより、排出オーガ32がオーガレスト21近傍まで回動した場合、グレンタンク17内の穀粒の排出作業が終了したものと判断して、自動的に穀粒排出筒体40を収納位置に切り換える。これによって、穀粒の排出作業を終了する際の遠隔操作装置80による操作を簡素化し、作業性を向上させることができる。
【0090】
以下では、穀粒排出筒体40を排出位置に切り換えるための制御、および穀粒排出筒体40を収納位置に切り換えるための制御の別実施形態について、
図10のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0091】
なお、ステップS111からステップS114までの処理は、それぞれ前述のステップS101からステップS104までの処理(
図8参照)と概ね同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0092】
制御手段60は、ステップS114の処理を行った後、ステップS115に移行する。
【0093】
ステップS115において、制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「切」操作されたか(オーガクラッチ33が「入」の状態でオーガクラッチボタン80dが押し操作されたか)否かを判定する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「切」操作されたと判定した場合、ステップS116に移行する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「切」操作されていないと判定した場合、再度ステップS115の処理を行う。
【0094】
ステップS116において、制御手段60は、オーガクラッチボタン80dの「切」操作が所定時間継続して行われたか、すなわち「長押し」であるか否かを判定する。当該判定は、オーガクラッチボタン80dの「切」操作が行われた時点から時間のカウントを開始し、予め設定された時間が経過するまで当該操作が行われているか否かを判定することで行うことができる。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dの「切」操作が長押しであると判定した場合、ステップS117に移行する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dの「切」操作が長押しではないと判定した場合、ステップS122に移行する。
【0095】
ステップS117において、制御手段60は、オーガクラッチ33を「切」にする。これによって、グレンタンク17内の穀粒の排出が停止される。制御手段60は、ステップS117の処理を行った後、ステップS118に移行する。
【0096】
ステップS118において、制御手段60は、穀粒排出筒体40の回動位置を収納位置に切り換える。
【0097】
以上の如く制御することで、オーガクラッチボタン80dが「入」操作された場合(ステップS111)、当該操作が、排出オーガ32がオーガレスト21から離れた後、最初の操作であるとき(ステップS112)は、作業者にはグレンタンク17内の穀粒を排出する意思があるものと推定し、自動的に穀粒排出筒体40の回動位置を排出位置に切り換えて(ステップS113)オーガクラッチ33を「入」にする(ステップS114)。これによって、作業者は穀粒排出筒体40を排出位置に切り換える操作を行う必要がなくなり、作業性を向上させることができる。
【0098】
また、この後オーガクラッチボタン80dが「切」操作され(ステップS115)、当該「切」操作が長押しである場合(ステップS116)、作業者はグレンタンク17内の穀粒の排出を終了する意思があるものと推定し、オーガクラッチ33を「切」にした後(ステップS117)、自動的に穀粒排出筒体40の回動位置を収納位置に切り換える(ステップS118)。これによって、作業者は穀粒排出筒体40を収納位置に切り換える操作を行う必要がなくなり、作業性を向上させることができる。
【0099】
また、ステップS116において、オーガクラッチボタン80dの「切」操作が長押しではないと判定した場合、制御手段60は、オーガクラッチ33を「切」にする(ステップS122)。この場合は、制御手段60は、自動的に穀粒排出筒体40の回動位置を収納位置に切り換えることはない。よって作業者は、再度オーガクラッチ33を「入」にすることで、すぐに穀粒の排出を再開することができる。この操作は、穀粒を排出している途中で排出オーガ32の位置を微調整したい場合などに特に有効である。
【0100】
一方、上述の如く制御手段60は、ステップS112においてオーガクラッチボタン80dの「入」操作が、排出オーガ32がオーガレスト21から離れた後、最初の「入」操作でないと判定した場合、ステップS119に移行する。
【0101】
ステップS119において、制御手段60は、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にあるか否かを判定する。具体的には、前述の如く、排出オーガ32(横排出オーガ筒36)がオーガレスト21から離れており、穀粒排出筒体40の回動位置が排出位置にある場合には、当該排出オーガ32および穀粒排出筒体40は穀粒を排出することが可能な位置にあると判定する。なお、排出オーガ32がオーガレスト21から離れていることは、オーガレストセットセンサ57により検出することができ、穀粒排出筒体40が排出位置にあることは、回動角度検知センサ56により検出することができる。制御手段60は、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にあると判定した場合、ステップS120に移行する。制御手段60は、排出オーガ32および穀粒排出筒体40が穀粒を排出することが可能な位置にないと判定した場合、オーガクラッチ33を「入」にすることなく当該制御を終了する。
【0102】
ステップS120において、制御手段60は、オーガクラッチ33を「入」にする。これによって、グレンタンク17内の穀粒が、穀粒排出筒体40の下方へと排出される。制御手段60は、ステップS120の処理を行った後、ステップS121に移行する。
【0103】
ステップS121において、制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「切」操作されたか否かを判定する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「切」操作されたと判定した場合、ステップS122に移行する。制御手段60は、オーガクラッチボタン80dが「切」操作されていないと判定した場合、再度ステップS121の処理を行う。
【0104】
ステップS122において、制御手段60は、オーガクラッチ33を「切」にする。これによって、グレンタンク17内の穀粒の排出が停止される。
【0105】
なお、本実施形態においては、ステップS116においてオーガクラッチボタン80dの「切」操作が長押しであると判定した場合、自動的に穀粒排出筒体40の回動位置を収納位置に切り換えるものとしたが、この後さらに自動的に排出オーガ32をオーガレスト21に載置される位置まで戻すように制御することも可能である。
【0106】
以上の如く、本実施形態の制御手段60は、オーガクラッチ33を接続する旨の遠隔指示を最初に受信した後、当該オーガクラッチ33を切断する旨の遠隔指示を所定時間継続して受信した場合、オーガクラッチ33を切断した後に穀粒排出筒体40を収納位置に切り換えるものである。このように構成することにより、オーガクラッチ33が所定時間継続して切断操作(オーガクラッチボタン80dが長押し)された場合、グレンタンク17内の穀粒の排出作業が終了したものと判断して、自動的に穀粒排出筒体40を収納位置に切り換える。これによって、穀粒の排出作業を終了する際の遠隔操作装置80による操作を簡素化し、作業性を向上させることができる。