(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775696
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
F15B11/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-17409(P2011-17409)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-159102(P2012-159102A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】四方 出
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】野島 新也
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/109482(WO,A1)
【文献】
実開平01−091102(JP,U)
【文献】
特開2002−206700(JP,A)
【文献】
特開平10−047516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
F15B 11/00
F15B 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体制御機器が1つのライン支持部材に取り付けられることで形成されたラインを複数有しており、各ライン支持部材が互いに平行となるようにベース部材に着脱可能に取り付けられている流体制御装置において、
ベース部材は、それぞれ所要間隔でねじ孔が設けられた第1横枠部材および第2横枠部材とこれらに直交する第1縦枠部材および第2縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各ライン支持部材は、機器載置部と、その両端に設けられた貫通孔付き取付部とを有し、一端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の一端部が折り曲げられることで折曲げ状に形成されており、第1横枠部材のねじ孔が第1横枠部材の外面から内面に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、折曲げ状に形成された取付部が第1横枠部材の外面に重ねられて、おねじ部材が取付部の外方から第1横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第1横枠部材に固定されていることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
各ライン支持部材の他端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の他端部が折り曲げられることで折曲げ状に形成されており、第2横枠部材のねじ孔が第2横枠部材の外面から内面に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、折曲げ状に形成された取付部が第2横枠部材の外面に重ねられて、おねじ部材が取付部の外方から第2横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第2横枠部材に固定されていることを特徴とする請求項1の流体制御装置。
【請求項3】
流体制御装置が垂直状態で設置されているとともに、各ライン支持部材の他端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の他端部と面一の平板状に形成されており、第2横枠部材のねじ孔が第2横枠部材の前側から後側に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、平板状に形成された取付部が第2横枠部材の前側の面に重ねられて、おねじ部材が取付部の前側から第2横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第2横枠部材に固定されていることを特徴とする請求項1の流体制御装置。
【請求項4】
流体制御装置が水平状態で設置されているとともに、各ライン支持部材の他端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の他端部と面一の平板状に形成されており、第2横枠部材のねじ孔が第2横枠部材の上側から下側に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、平板状に形成された取付部が第2横枠部材の上側の面に重ねられて、おねじ部材が取付部の上側から第2横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第2横枠部材に固定されていることを特徴とする請求項1の流体制御装置。
【請求項5】
平板状に形成された取付部の貫通孔は、端面に開口するようになされていることを特徴とする請求項3の流体制御装置。
【請求項6】
平板状に形成された取付部の貫通孔は、端面に開口するようになされていることを特徴とする請求項4の流体制御装置。
【請求項7】
第1横枠部材が左右のいずれか一方に、第2横枠部材が同他方に、各ライン支持部材が上下に平行となる並列状に配置されており、第2横枠部材におねじ部材が仮止めされた状態で、ライン支持部材の取付部に設けられた端面に開口した貫通孔が該おねじ部材に嵌め合わせ可能とされていることを特徴とする請求項5の流体制御装置。
【請求項8】
上下に隣り合うライン支持部材同士が連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項7の流体制御装置。
【請求項9】
少なくとも1つのライン支持部材は、該ライン支持部材の下方において少なくとも一方の横枠部材に取り付けられたダミー部材に隣り合わされており、該ライン支持部材とダミー部材とが連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項7の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体製造装置等に使用される流体制御装置に関し、特に、複数の流体制御機器が集積化されて形成される流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置で使用される流体制御装置においては、複数の流体制御機器が直列状に配されてパイプや継手を介さずに接続されることによって形成された複数のラインをベース部材上に並列状に設置するという集積化が進んでいる。集積化流体制御装置は、筐体内に垂直状態で設置されることが多く、特許文献1には、このような流体制御装置として、複数の流体制御機器が1つの可動レール(ライン支持部材)に取り付けられることで形成されたラインを複数有しており、複数のラインの各可動レールがこれらと直交する方向を向いた固定レール(ベース部材)に摺動可能に取り付けられているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−204090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の流体制御装置によると、複数の流体制御機器を可動レールに予め組み付けておくことで、筐体内の作業としては、可動レールを固定レールに取り付けるだけでよく、ラインの増設(変更を含む)が容易に行えるという利点を有している。
【0005】
しかしながら、可動レールの位置決めと締結方法に際し、位置決めと締結を同時に行うため、可動レール(ライン支持部材)を位置決めするのに時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、可動レールの端部が固定レールに重ねられることから、流体制御機器を支持する部分の高さが可動レール(ライン支持部材)の高さ+固定レール(ベース部材)の高さとなり、これに流体制御機器を加えた流体制御装置の高さが高いものとなり、これを収納するためのスペース(筐体)が大きくなるという問題もあった。
【0007】
この発明の目的は、ライン支持部材の位置決めを容易にすることで、組立て時間の短縮化を可能とするとともに、流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による流体制御装置は、複数の流体制御機器が1つのライン支持部材に取り付けられることで形成されたラインを複数有しており、各ライン支持部材が互いに平行となるようにベース部材に着脱可能に取り付けられている流体制御装置において、ベース部材は、それぞれ所要間隔でねじ孔が設けられた第1横枠部材および第2横枠部材とこれらに直交する第1縦枠部材および第2縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各ライン支持部材は、機器載置部と、その両端に設けられた貫通孔付き取付部とを有し、一端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の一端部が折り曲げられることで折曲げ状に形成されており、第1横枠部材のねじ孔が第1横枠部材の外面から内面に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、折曲げ状に形成された取付部が第1横枠部材の外面に重ねられて、おねじ部材が取付部の外方から第1横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第1横枠部材に固定されていることを特徴とするものである。
【0009】
各ライン支持部材の他端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の他端部が折り曲げられることで折曲げ状に形成されており、第2横枠部材のねじ孔が第2横枠部材の外面から内面に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、折曲げ状に形成された取付部が第2横枠部材の外面に重ねられて、おねじ部材が取付部の外方から第2横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第2横枠部材に固定されていることがあり(第1実施形態)、また、各ライン支持部材の他端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の他端部と面一の平板状に形成されており、第2横枠部材のねじ孔が第2横枠部材の正面側から背面側に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、平板状に形成された取付部が第2横枠部材の正面側の面に重ねられて、おねじ部材が取付部の正面側から第2横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第2横枠部材に固定されていることがある(第2実施形態)。
【0010】
流体制御機器としては、開閉弁(流体通路の遮断・開放を行う弁)、減圧弁、圧力表示機、流量調整機(マスフローコントローラ)などが使用される。
【0011】
1つのラインは、例えば、下段層となる複数のブロック状継手部材がおねじ部材によってライン支持部材に取り付けられ、隣り合う継手部材にまたがるように上段層となる複数の流体制御機器が上方からのおねじ部材によって継手部材に取り付けられる。このようにすると、上方からのおねじ部材を外すことにより、上段層の流体制御機器を単独で上方に取り出すことができる。1つのラインの構成は、下段層と上段層とからなるものに限られるものではなく、種々の構成を採用することができる。
【0012】
流体制御装置は、方形の枠状に形成されたベース部材が垂直(Y方向)となるように設置されることがあり、また、方形の枠状に形成されたベース部材が水平(X方向,Z方向)となるように設置されることもある。垂直状態で設置される場合、第1横枠部材が上に、第2横枠部材が下に、各ライン支持部材が左右に平行となる並列状に配置されることがあり、また、第1横枠部材が左右のいずれか一方に、第2横枠部材が同他方に、各ライン支持部材が上下に平行となる並列状に配置されることがある。
【0013】
各ライン支持部材は、例えば、本体部分がU字構造に折り曲げられた板金製とされ、横枠部材は、例えば、ステンレス鋼などの金属製フラットバーとされる。また、縦枠部材は、通常、ライン支持部材と類似の形状とされる。
【0014】
この流体制御装置を組み立てるには、まず、上側に配置された第1横枠部材の外面に折曲げ状に形成された一端側の取付部を重ねることで、ライン支持部材を第1横枠部材に支持させるとともに、他端側の取付部を第2横枠部材に重ね、この状態で、おねじ部材を一端側の取付部の外方から第1横枠部材のねじ孔にねじ込んで、ライン支持部材を第1横枠部材に固定し、さらに、おねじ部材を他端側の取付部の外方から第2横枠部材のねじ孔にねじ込んで、ライン支持部材を第2横枠部材に固定すればよい。
【0015】
このようにすると、ライン支持部材の自重が第1横枠部材によって支持されるので、作業者への重量の負担が軽減され、作業の手間や作業時間が軽減される。
【0016】
折曲げ状に形成された取付部に設けられる貫通孔は、通常、円形の孔とされ、その大きさは、おねじ部材を脱落しないように予め嵌め合わせておくことができる大きさとされてもよく、これより大きくてもよい。折曲げ状に形成された取付部に設けられる貫通孔は、閉じた孔ではなく、端面に開口するようになされていてもよい。
【0017】
平板状に形成された取付部の貫通孔は、折曲げ状に形成された取付部に設けられる貫通孔と同様に、閉じた円形の孔であっても、端面に開口する孔であってもよいが、端面に開口するようになされていることが好ましい。このようにすると、第2横枠部材におねじ部材を仮止めした状態で、ライン支持部材の取付部に設けられた端面に開口した貫通孔を該おねじ部材に嵌め合わせ可能であり、おねじ部材の締付け作業の手間が軽減される。
【0018】
平板状に形成された取付部の貫通孔が端面に開口するようになされていることで、流体制御装置が垂直状態で設置されるとともに、第1横枠部材が左右のいずれか一方に、第2横枠部材が同他方に、各ライン支持部材が上下に平行となる並列状に配置されており、第2横枠部材におねじ部材が仮止めされた状態で、ライン支持部材の取付部に設けられた端面に開口した貫通孔が該おねじ部材に嵌め合わせられている構成とすることが容易になる。
【0019】
この構成にすると、各横枠部材が左右に平行となる並列状に配置された流体制御装置を設置する場合であっても、各ライン支持部材取付け時に自重によってライン支持部材が落下することを防止でき、流体制御装置の設置場所および設置方法の汎用性を高めることができる。
【0020】
各横枠部材が左右に平行となる並列状に配置された流体制御装置を設置するに際しては、上下に隣り合うライン支持部材同士が連結部材によって連結されていることがあり、また、少なくとも1つのライン支持部材は、該ライン支持部材の下方において両横枠部材に取り付けられたダミー部材に支持されていることがある。
【0021】
連結部材は、例えば、金属製板材とされて、ボルト(おねじ部材)によって対応するライン支持部材に取り付けられる。
【0022】
ダミー部材としては、例えば、流体制御機器が設けられていないライン支持部材を使用することができ、また、各ライン支持部材のいずれか一方の端部に対応する短い部材とすることもできる。
【0023】
連結部材またはダミー部材を使用することで、流体制御機器が取り付けられて重くなったライン支持部材が傾くことが防止され、各横枠部材が左右に平行となる並列状に配置する際の不具合(自重によって傾く可能性)が解消される。
【0024】
なお、この明細書において、壁面に固定された方形状の枠に流体制御機器が取り付けられたライン支持部材を流体制御機器を手前にして取り付けた状態を正面図というものとし、正面および背面は、この状態(
図1)を基準にしていうものとする。
【発明の効果】
【0025】
この発明の流体制御装置によると、ベース部材は、それぞれ所要間隔でねじ孔が設けられた第1横枠部材および第2横枠部材とこれらに直交する第1縦枠部材および第2縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各ライン支持部材は、機器載置部と、その両端に設けられた貫通孔付き取付部とを有し、一端側の取付部は、平板状とされた機器載置部の一端部が折り曲げられることで折曲げ状に形成されており、第1横枠部材のねじ孔が第1横枠部材の外面から内面に向かう方向に設けられており、各ライン支持部材は、折曲げ状に形成された取付部が第1横枠部材の外面に重ねられて、おねじ部材が取付部の外方から第1横枠部材のねじ孔にねじ込まれることで、第1横枠部材に固定されているので、各ライン支持部材の位置決めは、取付部の貫通孔と第1横枠部材のねじ孔とを合わせるだけでよいことから、簡単かつ容易に行うことができ、組立て時間の短縮化が可能となる。また、各ライン支持部材の折曲げ状に形成された取付部が第1横枠部材の外面に重ねられることで、流体制御装置における流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、この発明による流体制御装置の第1実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図2は、この発明による流体制御装置の第1実施形態の1つのライン部分を抜き出した図で、(a)は一部切欠き拡大正面図であり、(b)はライン支持部材のみを示す一部切欠き拡大正面図である。
【
図3】
図3は、この発明による流体制御装置の第1実施形態の1つのライン部分を抜き出した一部切欠き拡大側面図である。
【
図4】
図4は、この発明による流体制御装置の第1実施形態で使用されている第1横枠部材を示す図で、(a)は一部切欠き正面図、(b)は同側面図、(c)は同平面図である。
【
図5】
図5は、この発明による流体制御装置の第1実施形態で使用されているライン支持部材を示す一部切欠き拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、この発明による流体制御装置の第2実施形態を示す正面図である。
【
図7】
図7は、この発明による流体制御装置の第2実施形態の1つのライン部分を抜き出した図で、(a)は一部切欠き拡大正面図であり、(b)はライン支持部材のみを示す一部切欠き拡大正面図である。
【
図8】
図8は、この発明による流体制御装置の第2実施形態の1つのライン部分を抜き出した一部切欠き拡大側面図である。
【
図9】
図9は、この発明による流体制御装置の第2実施形態で使用されている第2横枠部材を示す図で、(a)は一部切欠き正面図、(b)は同側面図、(c)は同平面図である。
【
図10】
図10は、この発明による流体制御装置の第3実施形態を示す正面図である。
【
図11】
図11は、この発明による流体制御装置の第4実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0028】
以下の説明において、上下・左右は
図1の上下・左右をいうものとし、前後(正面および背面)については、
図1の紙面表側を前(正面)、
図1の紙面裏側を後(背面)というものとする。なお、この上下は、流体制御装置の典型的な設置状態を示すものであるが、この発明の流体制御装置は、この設置状態に限られるものではなく、水平(X,Z方向)および垂直(Y方向)のいずれでの使用も可能であり、その際の上下・左右も特に限定されない。
【0029】
図1から
図5までに、この発明による流体制御装置の第1実施形態を示す。
【0030】
この流体制御装置(1)は、
図1から
図3までに示すように、下段層となる複数のブロック状継手部材(4)がライン支持部材(3)に取り付けられ、隣り合う継手部材(4)にまたがるように上段層となる複数の流体制御機器(5)が継手部材(4)に取り付けられていることで形成されたラインを複数有しており、各ライン支持部材(3)が互いに平行となるようにベース部材(2)に着脱可能に取り付けられている。なお、各流体制御機器(5)は、それぞれ異なる機能を有しているものであるが、公知のものであるので、符号(5)で総称し、個別の説明は省略する。
【0031】
ベース部材(2)は、例えば筐体の垂直な壁面などに固定されており、ラインの変更や増設は、継手部材(4)および流体制御機器(5)が組み込まれたライン支持部材(3)を着脱することで行われる。
【0032】
ベース部材(2)は、上側に配置された第1横枠部材(11)および下側に配置された第2横枠部材(12)と、これらに直交する左側の第1縦枠部材(13)および右側の第2縦枠部材(14)とによって、方形の枠状に形成されている。
【0033】
図2および
図3に示すように、各流体制御機器(5)は、上方からのおねじ部材(6)によって対応する継手部材(4)に固定されている。また、各継手部材(4)は、上方からのおねじ部材(図には表れず)によってライン支持部材(3)に固定されている。
【0034】
各横枠部材(11)(12)は、ステンレス鋼製フラットバーとされており、第1横枠部材(11)には、
図4に示すように、これを上下に貫通する複数のねじ孔(15)が、第1横枠部材(11)の上面(外面)から下面(内面)に向かう方向に所要間隔で設けられている。第2横枠部材(12)は、第1横枠部材(11)と同じ形状とされており、第2横枠部材(12)には、図示省略するが、これを上下に貫通する複数のねじ孔が、第2横枠部材(12)の下面(外面)から上面(内面)に向かう方向に所要間隔で設けられている。
【0035】
第1横枠部材(11)および第2横枠部材(12)の複数のねじ孔(15)は、ライン支持部材(3)の配置のピッチよりも小さい間隔で設けられており、複数のねじ孔(15)を1つ置き、2つ置きなどで使用してライン支持部材(3)を固定することができるようになっている。
【0036】
ライン支持部材(3)は、板金を折り曲げることで一体品として形成されたもので、
図2、
図3および
図5に示すように、平板状の機器載置部(21)と、その両端にあって平板状とされた機器載置部(21)の上下端部がそれぞれ折り曲げられることで折曲げ状に形成された上下取付部(22)(23)と、機器載置部(21)の両縁に連なっている補強部(24)とからなる。
【0037】
機器載置部(21)には、継手部材(4)を取り付けるためのねじ孔(21a)が所要間隔で設けられている。
【0038】
ライン支持部材(3)の各取付部(22)(23)は、機器載置部(21)の端部と面一の平板状に形成された平板部(22a)(23a)と、これに直角に連なる直角部(22b)(23b)とによって、略L字状になっており、直角部(22b)(23b)にこれを上下方向に貫通する貫通孔(25)(26)が設けられている。補強部(24)は、各取付部(22)(23)の平板部(22a)(23a)にかからないように設けられており、補強部(24)の各端面と各取付部(22)(23)の直角部(22b)(23b)とによって、各横枠部材(11)(12)を挟むようになっている。
【0039】
図1においては、ライン支持部材(3)として、2種類の幅のもの(幅広と幅狭)が使用されており(幅以外は同じ形状であるので符号(3)で総称する)、ベース部材(2)の右側部分には、追加のラインを設置するためのスペースが確保されている。
【0040】
各ライン支持部材(3)は、
図1、
図2および
図3に示すように、上取付部(22)の直角部(22b)が第1横枠部材(11)の上面(外面)に重ねられて、おねじ部材(10)が上取付部(22)の直角部(22b)の上方(外方)から第1横枠部材(11)のねじ孔にねじ込まれることで、その上端部が第1横枠部材(11)に固定されており、また、下取付部(23)の直角部(23b)が第2横枠部材(12)の下面(外面)に重ねられて、おねじ部材(10)が下取付部(23)の直角部(23b)の下方(外方)から第2横枠部材(12)のねじ孔にねじ込まれることで、その下端部が第2横枠部材(12)に固定されている。
【0041】
上記の各ライン支持部材(3)の固定に際し、各ライン支持部材(3)の位置決めは、その取付部(22)(23)の貫通孔(25)(26)と各横枠部材(11)(12)のねじ孔(15)とを合わせるだけでよいことから、簡単かつ容易に行うことができ、組立て時間の短縮化が可能となる。また、各ライン支持部材(3)の折曲げ状に形成された取付部(22)(23)の直角部(22b)(23b)が各横枠部材(11)(12)の外面に重ねられるので、ベース部材(2)(横枠部材(11)(12))とライン支持部材(3)とを合わせた高さは、ベース部材(2)の高さ+ライン支持部材(3)の高さではなく、ベース部材(2)の高さ+ライン支持部材(3)の機器載置部(21)の高さとなり、従来構造の固定レール(ベース部材)の高さ+可動レール(ライン支持部材)の高さに比べて、高さを低くすることができる。
【0042】
図6から
図9までに、この発明による流体制御装置の第2実施形態を示す。この流体制御装置(1)は、第1実施形態のものに比べて、ライン支持部材(40)および第2横枠部材(51)の構成が相違している。以下の説明において、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
この実施形態のライン支持部材(40)は、板金を折り曲げることで一体品として形成されたもので、第1実施形態のものと共通な構成として、平板状の機器載置部(41)と、その両端にあって平板状とされた機器載置部(41)の上下端部がそれぞれ折り曲げられることで折曲げ状に形成された上下取付部(42)(43)と、機器載置部(41)の両縁に連なっている補強部(44)とからなる。機器載置部(41)には、継手部材(4)を取り付けるためのねじ孔(41a)が所要間隔で設けられている。
【0044】
ここで、ライン支持部材(40)の上取付部(42)は、第1実施形態のものと同様に、機器載置部(41)の端部と面一の平板状に形成された平板部(42a)と、これに直角に連なる直角部(42b)とによって、略L字状になっており、直角部(42b)にこれを上下方向に貫通する貫通孔(45)が設けられている。そして補強部(44)は、上取付部(42)の平板部(42a)にかからないように設けられており、補強部(44)の上端面と上取付部(42)の直角部(42b)とによって、第1横枠部材(11)を挟むようになっている。
【0045】
ライン支持部材(40)の下取付部(43)は、第1実施形態のものと相違しており、平板状とされた機器載置部(41)の下端部と面一の平板状に形成されている。すなわち、第1実施形態の下取付部(23)から直角部(23b)を削除した形状とされている。下取付部(43)には、これを前後に貫通する(正面側から背面側にのびる)とともに、下端に開口する貫通孔(46)が形成されている。
【0046】
これに対応して、第2横枠部材(51)には、第2横枠部材(51)の正面側から背面側に向かう方向にのびるねじ孔(52)が設けられている。
【0047】
そして、各ライン支持部材(40)は、上取付部(42)の直角部(42b)が第1横枠部材(11)の上面(外面)に重ねられて、おねじ部材(10)が上取付部(42)の直角部(42b)の上方(外方)から第1横枠部材(11)のねじ孔(15)にねじ込まれることで、その上端部が第1横枠部材(11)に固定されており、また、平板状に形成された下取付部(43)が第2横枠部材(51)の前面(正面側の面)に重ねられて、おねじ部材(53)が下取付部(43)の正面側から第2横枠部材(51)のねじ孔(52)にねじ込まれることで、第2横枠部材(51)に固定されている。
【0048】
この実施形態の流体制御装置(1)では、各ライン支持部材(40)の固定に際し、各ライン支持部材(40)の位置決めは、その取付部(42)(43)の貫通孔(45)(46)と各横枠部材(11)(51)のねじ孔(15)(52)とを合わせるだけでよいことから、簡単かつ容易に行うことができ、組立て時間の短縮化が可能となる。また、各ライン支持部材(40)の折曲げ状に形成された上取付部(42)の直角部(42b)が第1横枠部材(11)の外面に重ねられるので、ベース部材(2)(横枠部材(11)(51))とライン支持部材(40)とを合わせた高さは、ベース部材(2)の高さ+ライン支持部材(40)の高さではなく、ベース部材(2)の高さ+ライン支持部材(40)の機器載置部(41)の高さとなり、従来構造の固定レール(ベース部材)の高さ+可動レール(ライン支持部材)の高さに比べて、高さを低くすることができる。
【0049】
また、この実施形態の流体制御装置(1)によると、上取付部(42)と下取付部(43)とで形状が異なっているので、組付け時に上下を逆にするという取付け間違いが確実に防止される。
【0050】
しかも、この実施形態の流体制御装置(1)によると、おねじ部材(10)(11)の締付け方向が上取付部(42)側で上下方向、下取付部(43)側で前後方向となっていることから、上下取付部(22)(23)をいずれも上下方向からのおねじ部材(10)で取り付ける第1実施形態のものでは、上下のおねじ部材(10)が同じ軸線上にあって、締め付ける方向が逆になっていることから、一方のおねじ部材(10)を締め付けた後に、他方のおねじ部材(10)を締め付けた際、先に締め付けたおねじ部材(10)の締付け力(軸力)が低下する可能性があるのに対し、上下のおねじ部材(10)(53)の軸線が異なる方向にあることで、このような軸力が低下する可能性をなくすことができる。
【0051】
この実施形態の流体制御装置(1)では、さらに、第1横枠部材(11)と第2横枠部材(51)とでは、おねじ部材(10)(53)の固定位置の中心がずれるようになされており、これにより、Z方向の傾き(ライン支持部材(40)の回転)防止に役立っている。
【0052】
上記において、下取付部(43)に設けられている貫通孔(46)は、下端に開口していない円形の孔であってもよい。下端に開口している貫通孔(46)とされていることで、下記のような順序で流体制御装置(1)を取り付けることが可能となる。
【0053】
まず、第1横枠部材(11)および第2横枠部材(51)におねじ部材(10)(53)を仮止めした状態で、ライン支持部材(40)の下取付部(43)の貫通孔(46)を第2横枠部材(51)のおねじ部材(53)に嵌め合わせ、次いで、上取付部(42)を第1横枠部材(11)の外面に重ねて、事前に嵌め込まれたおねじ部材(10)でライン支持部材(40)を位置決めして仮固定し、第1横枠部材(11)および第2横枠部材(51)の順でおねじ部材(10)(53)をさらに締め付けて固定する。
【0054】
こうして、下取付部(43)が第2横枠部材(51)に嵌め合わすことができない第2実施形態において、貫通孔(46)をおねじ部材(53)に嵌め合わせることで、その位置決めがより容易なものとされる。
【0055】
ここで、
図6の上下を上下としてライン支持部材(40)を取り付けるに際しては、上取付部(42)の直角部(42b)を第1横枠部材(11)の外面に重ねることで、ライン支持部材(40)のずれ(落下)が防止されるので、下取付部(43)に直角部が設けられていないことで組立時間が増加することはない。しかしながら、
図6の上下を左右として(各横枠部材(11)(51)が左右に配置された状態で)、ライン支持部材(40)を取り付ける場合、上取付部(42)を第1横枠部材(11)に固定する際に、下取付部(43)が下方にずれる(落下する)ことで、固定作業が困難なものとなる。上記のように、下取付部(43)の貫通孔(46)をおねじ部材(53)に嵌め合わせるようにすると、各横枠部材(11)(51)が左右に配置された状態であっても、ライン支持部材(40)の取付けを簡単かつ容易に行うことができ、流体制御装置(1)の設置場所および設置方法の汎用性を高めることができる。
【0056】
各横枠部材(11)(51)が左右に配置された状態で、ライン支持部材(40)を取り付ける場合、おねじ部材(10)(53)が左右に1本ずつしか使用されていないので、複数の継手部材(4)および複数の流体制御機器(5)を含んだ自重によってライン支持部材(40)が傾く可能性がある。この傾きを防止するには、例えば、
図11に示すように、隣り合うライン支持部材(40)同士を連結部材(61)で連結すればよい。ここで、連結部材(61)は、例えば、ステンレス鋼製板材とされ、ボルト(62)によって各ライン支持部材(40)に取り付けられる。ライン支持部材(40)の機器載置部(41)には、流体制御機器配置面(41a)の延長部としての連結部材配置面(41b)が設けられ、連結部材配置面(41b)を使用して連結部材(61)が取り付けられる。
【0057】
隣り合うライン支持部材(40)がない場合には、
図12に示すように、ダミー部材(63)を使用して、ダミー部材(63)を第2横枠部材(51)に固定し、このダミー部材(63)とライン支持部材(40)とを連結部材(64)で連結すればよい。
図12では、ダミー部材(63)は、第2横枠部材(51)に固定するようになっているが、第1横枠部材(11)に固定するようにしてもよい。また、ダミー部材として、継手部材(4)および流体制御機器(5)が組み込まれていないライン支持部材(40)(
図7(b))を使用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
(1) 流体制御装置
(2) ベース部材
(3) ライン支持部材
(5) 流体制御機器
(10) おねじ部材
(11) 第1横枠部材
(12) 第2横枠部材
(13) 第1縦枠部材
(14) 第2縦枠部材
(15) ねじ孔
(21) 機器載置部
(22) 上取付部
(23) 下取付部
(25)(26) 貫通孔
(40) ライン支持部材
(41) 機器載置部
(42) 上取付部
(43) 下取付部
(45) 貫通孔
(46) 貫通孔
(51) 第2横枠部材
(52) ねじ孔
(53) おねじ部材
(61) 連結部材
(63) ダミー部材
(64) 連結部材