(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定の立上角度まで立ち上げる立上手段と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記立上手段は、前記起立部を前記立上角度を維持したまま前記押圧手段に案内する案内平行端縁を備え、
前記押圧手段は、前記接着シートを前記基材シートの他方の面側から押圧可能に構成されていることを特徴とするシート貼付装置。
前記保持手段は、前記接着部における前記基材シートの他方の面を保持する第1保持部と、前記起立部における前記基材シートの他方の面を保持する第2保持部とを有して構成されることを特徴とする請求項3に記載のシート貼付装置。
接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、
前記原反を繰り出し、この繰出方向に延びて前記剥離シートと前記接着シートの起立部との間に挿入される立上先端部と、この立上先端部から繰出方向下流側に連設されて前記起立部を前記剥離シートから離間する立上方向に案内する立上案内部とを有する立上手段を用いて、前記原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定の立上角度まで立ち上げ、
前記起立部を前記立上角度を維持したまま押圧手段に案内しつつ、前記接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートを前記押圧手段で前記基材シートの他方の面側から被着体の被着面に押圧して貼付することを特徴とするシート貼付方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の貼付装置では、接着シートの非接着部と接着部とを二つ折りにした状態で被着体に貼付するため、非接着部の糊殺し処理(不接着処理)が不十分であったり、糊部の接着剤が糊殺し処理部から染み出ていたりすると、非接着部が押圧ローラに接着してしまうことから、被着体に貼付できなかったり位置ずれしたりなどの貼付不良や、非接着部を接着部から切断してしまうシート破損などの問題がある。
【0005】
本発明の目的は、起立部を立ち上げた接着シートを被着体に対して確実に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定
の立上角度まで立ち上げる立上手段と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記立上手段は、前記起立部を前記立上角度を維持したまま前記押圧手段に案内する案内平行端縁を備え、前記押圧手段は、前記接着シートを前記基材シートの他方の面側から押圧可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記接着シートは、前記起立部に連設された立上維持部を有して形成され、前記接着シートを前記被着体に貼付する際に前記立上維持部を前記被着面とは別の他の面に案内する案内手段を備えることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記押圧手段は、前記接着シートを保持する保持手段を備えることが好ましい。
さらに、前記保持手段は、前記接着部における前記基材シートの他方の面を保持する第1保持部と、前記起立部における前記基材シートの他方の面を保持する第2保持部とを有して構成されることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、前記原反を繰り出し、この繰出方向に延びて前記剥離シートと前記接着シートの起立部との間に挿入される立上先端部と、この立上先端部から繰出方向下流側に連設されて前記起立部を前記剥離シートから離間する立上方向に案内する立上案内部とを有する立上手段を用いて、前記原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定
の立上角度まで立ち上げ、前記起立部
を前記立上角度を維持したまま押圧手段に案内しつつ、前記接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートを
前記押圧手段で前記基材シートの他方の面側から被着体の被着面に押圧して貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、立上手段によって起立部を立ち上げた接着シートを基材シートの他方の面側から押圧して被着体に貼付することで、起立部における基材シートの一方の面側に接着剤層が積層されていて不接着処理が施されていなくても、あるいは接着部の接着剤層が糊殺し処理部から染み出していたとしても、これらの接着剤が押圧手段に接着してしまうことがない。従って、貼付不良やシート破損を防止しつつ、接着部を被着面に押圧して接着シートを被着体に貼付することができる。
【0010】
この際、接着シートの立上維持部を案内手段によって被着面とは別の他の面に案内するようにすれば、立上維持部が他の面に接触することによって起立部の立ち上げ状態を維持させることができる。
また、押圧手段の保持手段によって接着シートを保持するようにすれば、剥離シートから剥離した接着シートを一旦保持してから被着体に押圧して貼付することで、立ち上げた起立部に負荷を与えずに立ち上げ状態を維持したままで押圧することができる。すなわち、従来の押圧ローラに代えて例えば平面状の押圧面を有した押圧手段が利用できるので、接着シートの接着部を面外に曲げることなく押圧することができ、起立部への負荷を軽減して立ち上げ状態を維持させることができる。
さらに、第1保持部で接着部を保持して第2保持部で起立部を保持するようにすれば、起立部の立ち上げ状態を維持したままで接着部を押圧することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1、
図2において、本実施形態のシート貼付装置1は、接着部S1と起立部S2とを有する基材シートBSの当該接着部S1における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた接着シートSを被着体Wに貼付する貼付装置であって、接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rから接着シートSを剥離し、剥離した接着シートSの起立部S2を立ち上げた状態で被着体Wに貼付するように構成されている。このシート貼付装置1は、原反Rを繰出方向Aに向かって繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rにおける接着シートSの起立部S2を剥離シートRLから立ち上げる立上手段3と、剥離シートRLを折り曲げて当該剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離手段4と、剥離シートRLから剥離した接着シートSの接着部S1を被着体Wの被着面ASに押圧して貼付する押圧手段5と、立上手段3の姿勢を変位可能な変位手段6とを備えて構成され、被着体Wを
図1中左方向に移動させるベルトコンベアCV等の搬送手段7の上方に図示しないフレームを介して据え付けられている。
【0014】
ここで、接着シートSは、
図2に示すように、繰出方向Aの上流側から下流側に向かって(以下「下流側に向かって」という)左側の略半分の領域に接着剤層ADが積層され、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。また、接着シートSには、基材シートBSの略中央部であって、繰出方向Aに沿う方向に設けられた折曲線S3と、折曲線S3の両端側にそれぞれ設けられた略L字状の切り込みS5とが形成されている。折曲線S3としては、基材シートBSを型押しして形成した凹みや、ミシン目等によって折り曲げやすくしたものが例示できる。このような接着シートSにおいて、下流側に向かって右側の略半分の外縁と、折曲線S3と、折曲線S3の繰出方向Aへの延長線とで囲まれる領域が起立部S2とされ、折曲線S3の繰出方向Aへの各延長線と、各切り込みS5とで囲まれる領域が起立部S2の立ち上げ状態を維持させるための立上維持部S4とされ、それ以外の領域が接着部S1とされる。
【0015】
繰出手段2は、その全体がベースフレーム20に支持され、このベースフレーム20には、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ21と、原反Rを案内する複数のガイドローラ22,23と、駆動機器である回動モータ24によって駆動される駆動ローラ25と、駆動ローラ25との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ26と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ27とが設けられている。
【0016】
立上手段3は、変位手段6に支持された曲面板状の立上板31を備えて構成され、この立上板31は、繰出方向Aに沿って延び、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入される立上先端部32と、この立上先端部32から繰出方向A下流側に連設して起立部S2を剥離シートRLから離間する立上方向に案内する立上案内部33と、この立上案内部33から繰出方向A下流側に連続するとともに、剥離シートRLと略平行に設けられて起立部S2を案内する立上後端部34と、を有して形成されている。
【0017】
剥離手段4は、ベースフレーム20によって
図1中左下方に傾斜した姿勢で支持された剥離板41を備えて構成され、この剥離板41は、原反Rを剥離シートRLの側から案内する案内面42と、原反Rの繰出方向A下流側の剥離端縁43とを有し、剥離シートRLを剥離端縁43で駆動ローラ25に向かって折り曲げることで、立上手段3を通過して折り曲げられた接着シートSを剥離シートRLから剥離するようになっている。また、剥離板41には、当該剥離板41の一部を切り欠いた凹部44が形成され、この凹部44に立上先端部32を受け入れ可能に構成されている。また、剥離手段4は、下流側に向かって原反Rの左側を案内面42とで挟み込み、剥離シートRLに向かって接着部S1を押さえる押え板45が設けられている。この押え板45は、剥離板41の側面に固定されるとともに、立上先端部32よりも繰出方向A上流側の位置から剥離端縁43近傍の位置まで延びて設けられている。
【0018】
押圧手段5は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な押圧ローラ51と、剥離板41に支持されて押圧ローラ51を回転可能に支持するフレーム52とを備えて構成され、押圧ローラ51は、剥離板41先端から
図1中左下方に突出した接着シートSを起立部S2が立ち上がった状態のままで接着部S1を被着体Wに向かって押圧するように構成されている。押圧ローラ51には、下流側に向かって右側の周端縁に沿った案内手段としてのブラシ部53が設けられている。このブラシ部53は、押圧ローラ51で接着部S1を被着体Wに押圧する際に、立上維持部S4を被着面ASの外側に案内する、すなわち被着面ASと交差する被着体Wの交差面W1側に立上維持部S4を押し出し、これにより立上維持部S4が交差面W1に沿って位置するようになっている。
【0019】
変位手段6は、
図3に示すように、立上板31の上方に取り付けられたシャフトサポータ61と、シャフト62と、シャフト62をシャフトサポータ61の反対側で支持する駆動機器としての多関節ロボット63とを備える。多関節ロボット63は、繰出方向A、繰出方向Aおよび剥離シートRLの表面に直交する方向B、繰出方向Aに直交する剥離シートRLの面方向C、繰出方向Aを軸芯とする回転方向D、前記方向Bを軸芯とする回転方向Eおよび、前記方向Cを軸芯とする回転方向Fに立上板31を変位可能に設けられている。多関節ロボット63としては公知の6軸ロボット等が例示できる。これにより、接着シートS、剥離シートRL、接着部S1、起立部S2、立上維持部S4、接着剤層AD、基材シートBS等の形状やA、BおよびC方向に沿う寸法等に応じて立上板31の姿勢や位置を変位させることができる。
【0020】
以上のような本実施形態のシート貼付装置1において、立上手段3は、以下の構成を備えている。
立上板31は、剥離板41の上方に対向するとともに繰出方向Aに沿った断面が上向き凸の曲部を有した一枚の板材から形成されている。すなわち、立上板31は、繰出方向A上流側の立上先端部32から立上案内部33にかけて剥離板41から上方に離れる方向に傾斜し、立上案内部33から立上後端部34にかけて剥離板41に接近する方向に傾斜してから、立上後端部34が剥離板41と略平行に延びて形成されている。また、立上先端部32は、案内面42よりも下方の凹部44内にて、案内面42に沿って繰り出される原反Rに対し、剥離シートRLを別の平面に沿って繰り出すように変位させる先端縁35を有し、この先端縁35には、剥離シートRLの幅方向外側(下流側に向かって右端縁側)を内側よりも大きく屈曲させる傾斜が形成されている。このような立上先端部32は、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入された先端縁35によって剥離シートRLを屈曲させることで、原反Rの繰り出しに伴って剥離シートRLから起立部S2を立ち上がらせることができるように構成されている。
【0021】
立上板31の立上先端部32から立上案内部33にかけては、剥離シートRLから立ち上がらせた起立部S2を立ち上がらせる案内傾斜端縁36が形成されている。この案内傾斜端縁36は、平面視で下流側に向かって接着シートSの起立部S2側から接着部S1側に所定の角度で傾斜して形成されており、原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を徐々に立ち上がらせ、剥離シートRLの表面から略90°の立上角度まで立ち上げ可能に構成されている。また、立上後端部34には、剥離板41の案内面42と略平行かつ所定間隔を介して設けられるとともに、立ち上げた起立部S2の立上角度を維持したままで押圧手段5へ案内する案内平行端縁37が形成されている。
【0022】
以上のシート貼付装置1で被着体Wに接着シートSを貼付する手順としては、繰出手段2によって原反Rを繰り出させることによって、剥離シートRLおよび接着シートSが剥離板41の案内面42で案内されて繰出方向A下流側に送られる。この際、接着シートSが凹部44に達した時点で、立上板31の先端縁35によって剥離シートRLが下方に屈曲されることで、剥離シートRLと起立部S2とに隙間が形成され、この隙間に立上先端部32を挿入して起立部S2を立ち上がらせる。このとき、先端縁35が剥離シートRLの変位に伴う折り曲がり部RL1に線接触して案内するので、剥離シートRLが傷付いたり破れたりすることを防止する。なお、先端縁35を滑らかな円弧形状としたり、回転可能なローラやベアリング等で構成したり、樹脂等の摩擦抵抗の少ない部材で構成したりして、剥離シートRLとの摩擦を低減する低摩擦手段を設けてもよい。また、起立部S2を立ち上がらせる際に、接着シートSには剥離シートRLから離れる方向に剥離力が作用するが、この剥離力に対しては、押え板45が接着部S1を押さえ付けていることから、接着部S1の仮着が維持され、剥離シートRLから接着シートSがずれないようになっている。
【0023】
さらに、原反Rを繰り出して接着シートSを繰出方向A下流側に送ることで、起立部S2が案内傾斜端縁36に沿って立ち上がり、剥離シートRLの表面から略90°の立上角度まで立ち上がった起立部S2は、案内平行端縁37に案内されて立上角度が維持される。ここで、案内傾斜端縁36は、起立部S2における所定の位置に接しながら起立部S2を略90°の立上角度まで立ち上げて案内する。このように起立部S2を立ち上げた接着シートSを剥離板41の先端位置まで送り、剥離端縁43で折り返した剥離シートRLから部分的に剥離した状態において、繰出手段2による原反Rの繰り出しを一旦停止して待機状態となる。
【0024】
次に、搬送手段7で搬送されてきた被着体Wが押圧ローラ51の下方所定位置に達すると、図示しないセンサによって検知され、繰出手段2が回動モータ24を駆動して原反Rを被着体Wの搬送速度と同じ速度で繰り出し、かつ回収ローラ27で剥離シートRLを回収する。これにより、剥離端縁43で部分的に剥離シートRLから剥離した状態で停止していた接着シートSは、当該剥離シートRLから剥離され、起立部S2の立上状態のまま接着部S1における基材シートBSの接着剤層ADの反対側の面(他方の面)から押圧ローラ51で押圧され、接着部S1の接着剤層ADが被着体Wの被着面ASに押圧されて貼付される。このとき、立上維持部S4は、被着面ASと交差する被着体Wの交差面W1に沿うようにブラシ部53で押し出される。このようにして接着シートSが被着体Wに貼付されると、原反Rの繰り出し動作が再度停止されて待機状態となり、接着シートSが貼付された被着体Wは次工程に搬送され、以降上記同様の動作を繰り返す。なお、被着体Wに貼付された接着シートSは、基材シートBSの弾性によって接着シートSが元の平板状に戻ろうとするものの、立上維持部S4が交差面W1に当接していることで、起立部S2が立ち上がった状態を維持するようになっている。
【0025】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、立上手段3によって起立部S2を立ち上げた接着シートSにおける接着部S1を基材シートBSの他方の面側(接着剤層ADの反対側)から押圧することで、接着剤が押圧ローラ51に接着しないようにでき、貼付不良やシート破損を防止しつつ、接着部S1を被着面ASに押圧して接着シートSを被着体Wに貼付することができる。また、ブラシ部53で立上維持部S4を押し出し、この立上維持部S4を被着体Wの交差面W1に当接させることで、起立部S2の立ち上げ状態を良好に維持させることができる。
【0026】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を
図3〜
図5に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1Aは、前記第1実施形態と剥離手段4および押圧手段5Aの構成が主に相違し、この押圧手段5Aは、接着シートSを保持する保持手段54と、この保持手段54を支持して被着体Wに向かって進退移動させる駆動機器としての直動モータ55と、この直動モータ55を接着シートSの繰出方向Aに沿って移動させる移動手段56とを有して構成されている。保持手段54は、直動モータ55の出力軸55Aに固定されるとともに、図示しない吸引ポンプ等に接続され、
図3中下方に位置する第1保持部としての下面54Aと、同図中紙面奥側に位置する第2保持部としての側面54B(
図4、
図5参照)とで接着シートSを基材シートBS側から吸着保持可能に構成される。なお、下面54Aと側面54Bとには、それぞれ図示しない複数の吸引孔が設けられている。移動手段56は、駆動機器としての単軸ロボット57を備え、この単軸ロボット57のスライダ57Aに直動モータ55が固定されている。
【0027】
また、
図4に示すように、剥離シートRLは、下流側に向かって右側に位置して起立部S2に対応した部分と、左側に位置して接着部S1に対応した部分とが、切り離し可能に構成されている。剥離手段4は、右側の剥離シートRLを立上板31の先端縁35よりも接着シートSの繰出方向上流側で折り返す、一方、左側の剥離シートRLを
図3中二点鎖線で示される保持手段54の左端部近傍で折り返し、接着部S1で仮着された接着シートSを剥離端縁43位置まで繰り出すようになっている。このように、剥離端縁43位置まで繰り出された接着シートSに対し、押圧手段5Aは、
図3中二点鎖線で示される位置で直動モータ55を駆動して保持手段54を下降させ、
図5(A)に示すように、保持手段54の下面54Aを接着部S1に当接させて吸着保持するとともに、側面54Bを起立部S2に当接させて吸着保持する。保持手段54で接着シートSを保持したら、繰出手段2による原反Rの繰り出しに同期して押圧手段5Aは、単軸ロボット57を駆動して直動モータ55および保持手段54を繰出方向A下流側に移動させ、剥離端縁43で剥離シートRLから剥離される接着シートSを吸着保持する。
【0028】
図5に示すように、保持手段54の内部における繰出方向A上流側と下流側の2箇所には、案内手段としての引掛け装置58が設けられ、これらの引掛け装置58によって立上維持部S4を被着体Wの交差面W1に案内するように構成されている。引掛け装置58は、保持手段54の内部に図示しないブラケットを介して固定される駆動機器としての直動モータ581と、この直動モータ581の出力軸582に固定されるとともに、先端に鉤爪状の引掛け部584を有するフック583とを備えている。ここで、下面54Aと側面54Bとの交差する位置には、フック583が出入り可能な図示しない開口が設けられている。この開口は、下面54Aと側面54Bとに設けられた吸引孔とは別系統に設けられているので、下面54Aと側面54Bの吸引力が低下することはない。また、立上維持部S4には、所定位置で折れ曲がるように折り曲げ線S6が形成されていることが好ましい。このような保持手段54は、
図5(B)に示すように、下面54Aおよび側面54Bによって接着部S1および起立部S2を吸着保持した状態で、直動モータ581を駆動してフック583を斜め下方に突出させて引掛け部584を立上維持部S4の先端に引っ掛けてから、
図5(C)に示すように、フック583を後退させることによって、折り曲げ線S6の位置で立上維持部S4を接着部S1側に折り曲げる。
【0029】
次に、
図5(D)に示すように、引掛け装置58がフック583を保持手段54内部に後退させて、引掛け部584を立上維持部S4の先端から離隔させる。さらに、押圧手段5Aは、搬送手段7の搬送に単軸ロボット57を同期させて被着体Wの上方に保持手段54を位置させた状態において、直動モータ55を駆動して保持手段54を下降させ、その下面54Aで接着部S1を基材シートBS側から押圧して接着剤層ADを被着面ASに貼付する。このようにして接着シートSの接着部S1を被着体Wに貼付したら、保持手段54による接着シートSの吸着保持を解除し、直動モータ55によって保持手段54を上昇させて退避する。この際、折り曲げられた立上維持部S4の先端が被着体Wの交差面W1に当接することで、
図5(D)の二点鎖線で示すように起立部S2が外側に倒れることなく、所定の立上角度で起立部S2を立ち上げた状態が維持できるようになっている。
以上の本実施形態のシート貼付装置1Aによれば、保持手段54によって接着部S1および起立部S2を基材シートBSの他方の面側から保持して接着部S1を押圧することで、接着剤が保持手段54に接着しないようにでき、貼付不良やシート破損を防止しつつ、接着シートSを被着体Wに貼付することができる。さらに、接着部S1を曲げることなく平面を維持した状態のままで被着面ASに貼付することで、立ち上げた起立部S2への負荷が抑制でき、起立部S2の立ち上げ状態を良好に維持して接着シートSを貼付することができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、前記実施形態では、立上手段3として、1枚の板状部材で構成したものを例示したが、これに限られない。すなわち、例えば、立上先端部32、立上案内部33および立上後端部34をそれぞれ別部材で構成してもよいし、それぞれを適宜に組み合わせて構成してもよい。その場合には、各部材が板状部材でもよいし線状部材でもよいし、その他の適宜な形状を有した部材でもよい。
【0032】
また、接着部S1および起立部S2の配置は前記実施形態に限定されない。すなわち、接着部S1と起立部S2とが前記実施形態に対して左右逆に配置されてもよいし、幅方向の中央側に接着部S1が設けられて、その左右両側に起立部S2が設けられていてもよい。そして、左右両側に起立部S2が設けられた場合には、これに対応して立上手段3も左右に一対で設けられていればよい。また、接着シートとしては、折曲線S3および立上維持部S4は必須ではなく、いずれか1つまたは両方が省略されていてもよい。
さらに、接着シートSは、接着部S1における一方の面の全領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよい。
また、接着シートSは、起立部S2や立上維持部S4における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよいし、基材シートBSにおける一方の面の全領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよい。これらの場合、立上手段3における少なくとも接着剤層ADが接触する領域に、接着剤層ADが接着しないフッ素樹脂やシリコン樹脂等の不接着処理を施しておけばよい。
さらに、前記第1実施形態のシート貼付装置1では、立上先端部32によって変位させた剥離シートRLと共に、接着シートSも同じ方向に変位してしまうことを防止するために、剥離板41の凹部44の上方で接着シートSを吸着しながら、当該接着シートSを繰出方向Aに搬送可能なサクションベルト等の変位補助手段を設けてもよい。
【0033】
また、前記実施形態では、原反Rは、帯状の剥離シートRLに枚葉の接着シートSを適宜な間隔で仮着したものであったが、原反としては、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートが仮着されたものでもよく、この場合、原反を繰り出す途中で帯状の接着シートに所定の閉ループ形状の切り込みを設け、当該切り込みの内側を接着シートSとするような構成であってもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。