特許第5775750号(P5775750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775750
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】鋼管コンクリート複合杭
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/30 20060101AFI20150820BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   E02D5/30 Z
   E02D27/12 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-131219(P2011-131219)
(22)【出願日】2011年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-2047(P2013-2047A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2013年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】308025923
【氏名又は名称】前田製品販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066094
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 武志
(74)【代理人】
【識別番号】100123146
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 崇
(72)【発明者】
【氏名】山中 宣昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓
【審査官】 鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−043471(JP,A)
【文献】 特開2010−196251(JP,A)
【文献】 特開平05−306527(JP,A)
【文献】 特開平05−079226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22−13/10
E02D 27/00−27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板に、外筒管と内筒管からなる二重管構造の雇い杭部をその下部端板を面接せしめて配設するとゝもに、前記鋼管コンクリート複合杭部の内部から前記頭部端板および前記下部端板を貫通し、前記雇い杭部の外筒管と内筒管との間の鞘部空間を延伸するフーチング結合用補強鉄筋の、前記雇い杭部の上部端板から突出する先端ボルト部をナット締めにより前記上部端板に定着せしめるとゝもに、前記雇い杭部の回転力を前記鋼管コンクリート複合杭部に伝達するため、前記鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板に設けたピン孔又はピンと、前記雇い杭部の下部端板に設けた前記ピン孔又はピンと嵌合によって係合するピン又はピン孔とからなる係合部材を介して、前記雇い杭部の下部端板と前記鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板とを連結する構成としたことを特徴とする鋼管コンクリート複合杭。
【請求項2】
前記雇い杭部の鞘部空間内を延伸する前記フーチング結合用補強鉄筋を連結部材を介して継ぎ足すことで、前記フーチング結合用補強鉄筋の径に応じて定められる所定長さの補強鉄筋とする構成としたことを特徴とする請求項記載の鋼管コンクリート複合杭。
【請求項3】
前記鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板に固定したスリーブ圧着ネジ継手の下端に、前記鋼管コンクリート複合杭部に埋設したフーチング結合用補強鉄筋の上端部をネジ結合によって固定するとゝもに、前記雇い杭部の下部端板から内部に突出する前記スリーブ圧着ネジ継手の上端に、前記雇い杭部の鞘部空間を延伸するフーチング結合用補強鉄筋の下端部をネジ結合により固定し連結する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載の鋼管コンクリート複合杭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフーチング結合用の補強鉄筋を内部空間内に配設した雇い杭部を、鋼管コンクリート複合杭部の頭部側に備えた鋼管コンクリート複合杭に関し、特に施工後の周辺地盤の掘削が容易であり、ハツリ出しが不要であるとともに製造が容易な鋼管コンクリート複合杭に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管を外殻とし、該鋼管内にコンクリートを打設して遠心力成形により一体化した鋼管コンクリート複合杭は建築及び土木の分野で広く用いられている。この鋼管コンクリート複合杭を基礎杭として使用した場合、杭とフーチングとを結合する関係上、杭の頭部近傍の鋼管をカットオフした後にコンクリート部分をハツリ取り、杭体内にあって前記鋼管の内側面に予め溶着したフーチング結合用の補強鉄筋を露出せしめるか、或いは鋼管の外周にフーチング結合用補強鉄筋を溶接することで、杭とフーチングとを前記フーチング結合用補強鉄筋を介して結合している。
【0003】
しかし、杭とフーチングとの結合作業時において、従来の鋼管コンクリート複合杭にあっては、カットオフ部位の鋼管を切断するための鋼管切断作業、ならびにカットオフした鋼管の外周にフーチング結合用の補強鉄筋を溶着するための作業にそれぞれ多大な時間と労力を必要とするといった問題がある。
【0004】
発明者らは、こうした問題点を鑑み、一端側にコンクリート製の杭頭接合部を、他端側に鋼管コンクリート複合部をそれぞれ形成するとゝもに、前記杭頭接合部から鋼管コンクリート複合部にまたがって配設した複数本のフーチング結合用補強鉄筋を介して、前記コンクリート製の杭頭接合部と鋼管コンクリート複合部とを一体に形成した構成の杭を提案している(例えば、特許文献1)。
【0005】
また発明者らは、基礎杭の施工後にフーチングとの接合作業が容易な既成コンクリート杭の杭頭部構造として、頭部端板にスリーブ圧着ネジ継手を装着し、一端を前記スリーブ圧着ネジ継手に固定した補強鉄筋がコンクリート部に埋設された構造であって、施工後に前記スリーブ圧着ネジ継手のスリーブネジ部にフーチング結合用の補強鉄筋を接続する側のスリーブ圧着ネジ継手を介して連結することを提案している(例えば、特許文献2)。また、フーチング結合用補強鉄筋を収納する杭施工治具の提案もみられる(例えば、特許文献3)。
【0006】
これらの提案によれば、施工後にハツリ出し作業が不要となる他、異なる径や長さの補強鉄筋を容易に連結できるなどの効果が期待できるが、施工時にフーチング結合用の補強鉄筋が露出しているため、通常地盤表面下方に埋設される杭を露出させるために掘削する作業によって、補強鉄筋が損傷する可能がある。
【0007】
このため、一端部に鋼管で被覆されない除去予定コンクリート部を連続的に形成した鋼
管コンクリート複合杭を形成し、製造後に容易に除去予定コンクリート部を取り外すことができるようにした提案もあるが、除去予定コンクリート部を繰り返して使用することは耐久性の観点から疑問がある(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−161996号公報
【特許文献2】特開2010−144391号公報
【特許文献3】特開2010−043471号公報
【特許文献4】特開2010−196251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、杭とフーチングとの結合作業時において、カットオフ部位の鋼管を切断するための鋼管切断作業、ならびにカットオフした鋼管の外周にフーチング結合用の補強鉄筋を溶着するための補強鉄筋溶接作業をなくし、更に、施工時にフーチング結合用の補強鉄筋が露出せず、かつ繰り返し使用できる雇い杭部を備えた鋼管コンクリート複合杭を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板に、外筒管と内筒管からなる二重管構造の雇い杭部をその下部端板を面接せしめて配設するとゝもに、前記鋼管コンクリート複合杭部の内部から前記頭部端板および前記下部端板を貫通し、前記雇い杭部の外筒管と内筒管との間の鞘部空間を延伸するフーチング結合用補強鉄筋の、前記雇い杭部の上部端板から突出する先端ボルト部をナット締めにより前記上部端板に定着せしめるとゝもに、前記雇い杭部の回転力を前記鋼管コンクリート複合杭部に伝達するため、前記鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板に設けたピン孔又はピンと、前記雇い杭部の下部端板に設けた前記ピン孔又はピンと嵌合によって係合するピン又はピン孔とからなる係合部材を介して、前記雇い杭部の下部端板と前記鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板とを連結する構成としたことを特徴とする鋼管コンクリート複合杭としている。
【0011】
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記雇い杭部の鞘部空間内を延伸する前記フーチング結合用補強鉄筋を連結部材を介して継ぎ足すことで、前記フーチング結合用補強鉄筋の径に応じて定められる所定長さの補強鉄筋とする構成とした鋼管コンクリート複合杭としている。
【0012】
さらに、本願の請求項3に記載の発明は、前記鋼管コンクリート複合杭部の頭部端板に固定したスリーブ圧着ネジ継手の下端に、前記鋼管コンクリート複合杭部に埋設したフーチング結合用補強鉄筋の上端部をネジ結合によって固定するとゝもに、前記雇い杭部の下部端板から内部に突出する前記スリーブ圧着ネジ継手の上端に、前記雇い杭部の鞘部空間を延伸するフーチング結合用補強鉄筋の下端部をネジ結合により固定し連結する構成とした鋼管コンクリート複合杭としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載した構成の発明とすることで、外筒管と内筒管からなる二重管構造の雇い杭部とフーチング結合用補強鉄筋を介して一体となった鋼管コンクリート複合杭部を所定の杭頭位置となるように沈設する際、前記フーチング結合用補強鉄筋は前記二重管構造の雇い杭部内にあって外筒管と内筒管との間の鞘部空間に位置するので、前記内筒管の内部空間を上下動し左右方向に回転するオーガスクリューが当たって傷付けられることはないし、更には、オーガスクリューによって杭部内を上動し排出される土砂によって変形されることもない。また周囲地盤を重機によって掘削する場合でも、フーチング結合用補強鉄筋は外筒管によって被覆されているので、傷付けるられることもない。
【0014】
また、掘削が終了したらフーチング結合用補強鉄筋の上端部におけるボルト定着を解除し、雇い杭部を杭施工治具によって上方へ引き上げて鋼管コンクリート複合杭部から分離すことで、雇い杭部内のフーチング結合用補強鉄筋を露出させることができ、コンクリートのハツリ作業が不要となる。そして、上記の雇い杭部はこれを同径のフーチング結合用補強鉄筋用に再利用できる。
【0015】
さらに、前記雇い杭部に上方から杭施工治具を被せて回転することで、該杭施工治具の側壁に形成した横L字形の嵌合溝部の下端開口部を前記雇い杭部の側面に設けた突起部と合致させ、更に回転することで前記突起部を前記嵌合溝部の深部で係合させ、その後に前記杭施工治具により前記雇い杭部を吊り上げるが、前記施工治具を回転させる際に前記雇い杭部に掛かる同方向の回転力は前記係合部材の部分で解消され、フーチング結合用補強鉄筋に悪影響を与えることはない。
【0016】
また、請求項2に記載した構成の発明とすることで、連結部材を介して所望長さの補強鉄筋を繋ぎ足すことにより、補強鉄筋の径により定められている所定長のフーチング結合用補強鉄筋を容易に且つ自在に形成することができる。更に、請求項3に記載した構成の発明とすることで、所定長のフーチング結合用補強鉄筋を端板部に設置したスリーブ圧着ネジ継手を介して接続できるため、接続が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る鋼管コンクリート複合杭の第1実施例の断面図である。
図2図1の平面図である。
図3図2のIII ーIII 線断面拡大部分図である。
図4】同上鋼管コンクリート複合杭の第2実施例の断面図である。
図5】同上鋼管コンクリート複合杭の第3実施例の断面図である。
図6】同上鋼管コンクリート複合杭の施工状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願発明を図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1乃至図3において、1は本考案に係る鋼管コンクリート複合杭で、この鋼管コンクリート複合杭1は鋼管コンクリート複合杭部Aと、該鋼管コンクリート複合杭部Aの上部に連結した雇い杭部Bとから主に構成されている。
【0019】
上記鋼管コンクリート複合杭部Aは、外殻を鋼管2とし、この鋼管2の内側にコンクリートを打設して遠心成形によって形成されたコンクリート層3から構成さており、前記鋼管2と一体化したこのコンクリート層3には、前記複合杭部Aの頭部端板4から下方の深部へ向け所望の長さだけ埋設されたフーチング結合用補強鉄筋5ー1が配設されている。6は前記フーチング結合用補強鉄筋5の遠心成形時に有効な位置決め金具である。
【0020】
また、上記の雇い杭部Bは、外筒管7と内筒管8からなる二重管構造のもので、前記鋼管コンクリート複合杭部Aの頭部端板4の上に前記雇い杭部Bをその下部端板9を乗せて設置したものである。10は前記雇い杭部Bの外筒管7と内筒管8との間の鞘部空間で、前記鋼管コンクリート複合杭部Aに埋設されている前記フーチング結合用補強鉄筋5ー1の上方部は、前記複合杭部Aの頭部端板4および雇い杭部Bの前記下部端板9をそれぞれ貫通して、雇い杭部Bの前記鞘部空間10内を上方へ延伸している。
【0021】
11は前記雇い杭部Bの上部端板で、鞘部空間10内を上方へ延伸する前記補強鉄筋5ー2の上端が、前記上部端板11に形成した補強鉄筋を取り付けるための取り付け孔12から突出しており、前記上部端板11の上面から突出した前記補強鉄筋5ー2の上端のボルト部5Aにナット13を螺合させ、これを締め付けることで前記フーチング結合用補強鉄筋5ー2の上端部5Aを前記雇い杭部Bの上部端板11に定着せしめている。この定着により、上記鋼管コンクリート複合杭部Aとその上部に重ねて設置した前記雇い杭部Bとは、前記フーチング結合用補強鉄筋5(5ー1,5ー2)を介して一体構造となった鋼管コンクリート複合杭1となる。
【0022】
14は前記鋼管コンクリート複合杭部Aにあってその頭部端板4に形成した係合用のピン孔で、図3に示すような貫通孔或いは図示しない凹孔で構成されており、鋼管コンクリート複合杭部Aにあってその頭部端板4の上面側に開口するこれらの貫通孔14或いは凹孔はプレス加工或いは切削加工により形成されている。
【0023】
15は前記雇い杭部Bにあって、その下部端板9に取り付けた係合用のピンで、図3に示すように、ピン15の基部15Aを前記下部端板9に形成した取り付け孔9A内に押し込んで取り付けられており、前記下部端板9の下面から下方へ突出した前記ピン15の先端部15Bは前記複合杭部Aの頭部端板4に形成した前記係合用のピン孔14と緩く嵌合することで、複合杭部Aと雇い杭部Bの周方向への一体移動が可能な構成としている。
【0024】
上記のように、前記雇い杭部Bの下部端板9と前記鋼管コンクリート複合杭部Aの頭部端板4とを、係合用のピン孔14とピン15からなる係合部材16を介して連結することで、杭の施工時において前記雇い杭部Bに付与される回転力の全ては前記係合部材16の部分で前記鋼管コンクリート複合杭部Aに伝達される。したがって、前記雇い杭部Bと前記鋼管コンクリート複合杭部Aとに跨がって配設されている前記フーチング結合用補強鉄筋5(5ー1,5ー2)には雇い杭部Bの回転力は何ら作用せず、影響を与えない構成としている。
【0025】
17は連結部材で、図4に示すように、前記複合杭部Aの頭部端板4および前記雇い杭部Bの下部端板9をそれぞれ貫通し、雇い杭部Bの前記鞘部空間10内を上方へ延伸しているフーチング結合用補強鉄筋25Aの上端に補足用鉄筋25Bを前記連結部材17を介して連結したものである。このように、所望長さの補足用鉄筋25Bを繋ぎ足すことで、補強鉄筋の径により定められている所定長のフーチング結合用補強鉄筋5ー2を容易に且つ自在に形成することができる。
【0026】
18は前記鋼管コンクリート複合杭部Aにあってその頭部端板4に固定したスリーブ圧着ネジ継手で、図5に示すように、該スリーブ圧着ネジ継手18の下端に、前記鋼管コンクリート複合杭部Aに埋設したフーチング結合用補強鉄筋5ー1の上端部をネジ結合によって固定するとゝもに、下部端板9を貫通して前記雇い杭部Bの内部に突出する前記スリーブ圧着ネジ継手18の上端に、前記雇い杭部Bの鞘部空間10を延伸するフーチング結合用補強鉄筋5ー2の下端部をネジ結合により固定し連結したものである。このように、所定長のフーチング結合用補強鉄筋5ー2を両端板4,9部のスリーブ圧着ネジ継手18を介して接続できるため、接続が容易となる。
【0027】
19は前記鋼管コンクリート複合杭1の施工治具で、前記雇い杭部B上に被嵌して使用するものであり、この施工治具19の上方には、前記雇い杭部Bを介して前記鋼管コンクリート複合杭1を昇降操作させる昇降操作体および回転操作させる回転操作体をそれぞれ備えている(図示せず)。
【0028】
20は嵌合溝で、前記施工治具19の下端縁から上方へ延びる縦溝部21Aと、該縦溝部21Aの上端から周方向に延びる横溝部21Bとから構成されており、前記雇い杭部Bの外周面に設けた突起部7Aと嵌合せしめることで施工治具19と一体構造となし、嵌合を外すことで、施工治具19を雇い杭部Bから分離できる構造としたものである。
【0029】
つぎに、本発明に係る鋼管コンクリート複合杭の作用について説明する。図1乃至図5に示すような構成の鋼管コンクリート複合杭1を施工するにあっては、その雇い杭部Bの頭部に前記施工治具19を上から被せ、嵌合溝20の縦溝部21Aを雇い杭部Bの外周面に設けた突起部7Aと位置合わせをする。つぎに、図示しない昇降操作体により施工治具19を下げることで相対的に縦溝部21A内に突起部7Aを挿入し、更に図示しない回転操作体により施工治具19を回転することで、相対的に前記横溝部21B内に突起部7Aを挿入する。
【0030】
ここで、施工治具19を前記と反対方向に回動し上昇することで、前記突起部7Aを嵌合溝20内から外すことができるが、前記鋼管コンクリート複合杭1にあってその鋼管コンクリート複合杭部Aは、前記雇い杭部Bを介して前記施工治具19の回転力を受けることになり、両杭部AおよびBに跨がって配設されているフーチング結合用補強鉄筋5(5ー1,5ー2)にも前記の回転力を受けることになる。しかし、前記施工治具19を回転させた際に、前記雇い杭部Bに作用する同方向の回転力は前記係合部材16の係合部分で解消され、前記フーチング結合用補強鉄筋5には雇い杭部Bに作用する回転力は何ら伝達されず、フーチング結合用補強鉄筋5に悪影響を与えることはない。
【0031】
つぎに、外筒管7と内筒管8からなる二重管構造の雇い杭部Bと、フーチング結合用補強鉄筋5を介して一体となった鋼管コンクリート複合杭部Aからなる鋼管コンクリート複合杭1を所定の杭頭位置となるように沈設する際、前記フーチング結合用補強鉄筋5(5ー2)は前記二重管構造の雇い杭部B内にあって、前記外筒管7と内筒管8との間の鞘部空間10に位置するので、回転操作体で前記内筒管8の内部空間8Aを上下動し左右方向に回転するオーガスクリュー(図示しない)と衝突することがなく、傷付けられることがない。
【0032】
更には、オーガスクリューによって鋼管コンクリート複合杭1内を上動し排出される土砂によって変形されることもない。また、鋼管コンクリート複合杭1の周囲地盤を重機によって掘削する場合でも、フーチング結合用補強鉄筋5は外筒管7によって被覆されているので傷付けるられることもない。
【0033】
上記のようにして、前記鋼管コンクリート複合杭1を所定位置まで沈設し、掘削が終了したらフーチング結合用補強鉄筋5(5ー2)にあってその上端部のボルト部5Aに螺合せしめたナット13による定着を解除する。次に、前記雇い杭部Bを前記杭施工治具19を介して昇降操作内によって上方へ引き上げ、雇い杭部Bを鋼管コンクリート複合杭部Aおよび雇い杭部B内のフーチング結合用補強鉄筋5からそれぞれ分離する。これにより、雇い杭部B内のフーチング結合用補強鉄筋5(5ー2)を露出させることができ、コンクリートのハツリ作業が不要となる。そして、この雇い杭部Bはこれを同径のフーチング結合用補強鉄筋用に再利用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 鋼管コンクリート複合杭
2 鋼管
3 コンクリート層
4 頭部端板
5 補強鉄筋
5A 同ボルト部
7 外筒管
7A 突起部
8 内筒管
9 下部端板
9A 取り付け孔
10 鞘部空間
11 上部端板
12 取り付け孔
13 ナット
14 ピン孔
14A 貫通孔
15 ピン
15A 基部
15B 先端部
16 係合部材
17 連結部材
18 スリーブ圧着ネジ継手
19 施工治具
20 嵌合溝
21A 縦溝部
21B 横溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6