(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地盤に薬液を注入する注入口を周壁に有する外管と、この外管に管軸方向に移動可能に挿入されて前記薬液を吐出する吐出口を周壁に有する内管と、前記外管の外周面に固定される磁気部材と、前記内管の外周面に固定される磁気センサと、前記内管の上端部に接続される紐状部材の移動長さを検知する索長器と、前記磁気センサによる検知信号および前記索長器による検知長さが入力される演算装置と、この演算装置に接続されるモニタとを備え、前記内管を通じて供給した前記薬液を前記吐出口から吐出して前記注入口から地盤に注入するに際して、予め把握している前記注入口と磁気部材との間隔、前記吐出口と磁気センサとの間隔、前記検知信号および検知長さに基づいて、前記演算装置により注入口と吐出口との位置関係を算出し、この位置関係を前記モニタに表示するとともに、前記薬液を注入した注入口について、注入済みであることを前記演算装置に入力することによって、注入済みであることを前記モニタに表示することを特徴とする地盤改良薬液の注入支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の地盤改良薬液の注入支援システムを実施形態に基づいて説明する。尚、
図1、2、5、6、8、10〜12では、内部構造を明確にするため、外管3を縦断面で示している。
【0014】
図1〜
図4に例示するように、本発明の地盤改良薬液の注入支援システムは、地盤を削孔して形成された挿入孔Sに挿入される外管3と、この外管3に挿入されて外管軸方向に移動可能な内管5Aとを有している。内管5Aは瞬結性固化液Cを供給する。さらに、この内管5Aとは別に、外管3に挿入されて外管軸方向に移動可能な内管5Bを有している。この内管5Bは、地盤改良薬液Gを供給する。この実施形態では、先端を封止した円筒体が外管3、内管5A、5Bとして用いられる。外管3は、樹脂製の管体であり例えば塩化ビニル製である。内管5A、5Bは、多くの部分がゴム等の可撓性材料で構成されている。
【0015】
外管3の周壁には、管内側と管外側とを連通する注入口3aが外管軸方向に離間して複数箇所に形成されている。注入口3aの大きさは、例えば、直径3mm〜10mm程度である。また、外管3の外周面には、外管軸方向に離間して2つの膨張可能な外管パッカー16が設けられている。この2つの外管パッカー16は、互いの間の外管3の周壁に少なくとも1つの注入口3aが存在するように配置されている。外管パッカー16としては、水分を吸収して膨張する膨潤材または、内部に流入出する気体や液体の流体圧力により膨縮可能なシール材を例示できる。
【0016】
外管パッカー16の間に配置された注入口3aは、カバー部材である逆止弁17で覆われている。逆止弁17は、例えば、注入口3aを覆うようにゴム等の弾性体からなるベルト状体を外管3の外周面に巻き付けて、外管3に外嵌されるリング状の金属固定具14によって外管3に取り付けられている。この逆止弁17は、2つのベルト状体を注入口3a上の位置で突き合わせている。
【0017】
外管パッカー16の間に配置された注入口3a以外の注入口3aは、カバー部材である多孔被覆材15で覆われている。多孔被覆材15は注入口3aよりも面積の小さな貫通孔を多数有し、樹脂や金属等により形成されている。多孔被覆材15の形態としては、樹脂メッシュ、金属メッシュ等の網状体や多孔板を例示できる。多孔被覆材15の厚さは、例えば、0.2mm〜1.0mm程度に設定され、微小な貫通孔を多数有する仕様が好ましい。或いは、樹脂繊維を編組することにより形成した筒状の編み上げ体を多孔被覆材15として用いることもできる。例えば、線径0.1mm〜0.5mm程度のナイロン樹脂繊維を複数並列して帯状体を形成し、複数の帯状体を所定の編組角度で編み上げて筒状に形成する。
【0018】
この多孔被覆材15は、外管3に外嵌されるリング状の金属製の金属固定具14によって外管3に取り付けられている。多孔被覆材15に代えて、逆止弁17を取り付けることもできる。
【0019】
内管5Aは、その外周面に内管軸方向に離間した2つの膨縮可能なパッカー6aを有し、2つの膨縮可能なパッカー6aの間の周壁には、瞬結性固化液CのC1液を供給する吐出口5a、C2液を供給する吐出口5bが配置されている。内管5Aの内部は、
図3に例示するように2分割されて、C1液が流通する固化液流路7aとC2液が流通する固化液流路7bの2つの流路が形成された構造になっている。
【0020】
内管5Aの内部には、パッカー膨張用パイプ8aが内管軸方向に延設され、それぞれのパッカー6aに接続している。パッカー6aは、ゴム等の膨縮可能な中空弾性体で形成され、パッカー膨張用パイプ8aを通じた流体の流入により膨張し、流体の流出によって収縮する。
【0021】
もう一方の内管5Bは、
図6、
図7に例示するように、その外周面に内管軸方向に離間した2つの膨縮可能なパッカー6bを有し、2つの膨縮可能なパッカー6bの間の周壁には、地盤改良薬液Gを供給する吐出口5cが配置されている。内管5Bの内部は、地盤改良薬液Gが流通する薬液流路7cになっている。
【0022】
内管5Bの内部には、パッカー膨張用パイプ8bが内管軸方向に延設され、それぞれのパッカー6bに接続している。パッカー6bは、ゴム等の膨縮可能な中空弾性体で形成され、パッカー膨張用パイプ8bを通じた流体の流入により膨張し、流体の流出によって収縮する。
【0023】
この注入支援システムは、さらに、外管3の外周面に固定される磁気部材10と、内管5A、5Bの外周面に固定される磁気センサ9と、演算装置12と、この演算装置12に接続される索長器11およびモニタ13を備えている。索長器11は、例えば、ワイヤ式リニアエンコーダである。内管5A、5Bの上端部にはワイヤ等の紐状部材11aが接続されていて、この紐状部材11aの移動長さ(繰り出しおよび繰り入れ長さ)が索長器11によって検知される。
【0024】
磁気センサ9は、有線または無線により演算装置12に接続されている。磁気センサ9は、例えば、樹脂製カバーで覆われて外力から保護される。磁気センサ9を外部の水分から保護するために磁気センサ9を防水仕様にする。
【0025】
磁気部材10としては、例えば、外管3の外周面に接する面を粘着面にした磁気テープを用いることができる。磁石等を用いることもできるが、磁気テープの場合は外管3の外周面の所望の位置に容易に固定することができ、取外しも簡単になる。磁気テープは外管3の外周面に一周以上巻き付けるとよい。これにより、外管3に挿入した内管5A、5Bが管軸方向を中心にして回転しても、磁気センサ9が磁気テープに対応する位置に来た場合は、磁気センサ9の周方向位置によらず、磁気テープを検知することができる。即ち、磁気センサ9により確実に磁気部材10を検知することが可能になる。
【0026】
尚、磁気部材10は一箇所だけに設けることもできるが、注入口3aが複数の箇所(範囲)に存在する場合は、それぞれの注入口3aの箇所(範囲)に対応させて複数箇所に設けることもできる。
【0027】
演算装置12は、例えばパーソナルコンピュータ等であり、磁気センサ9が磁気部材10を検知した際の検知信号および索長器11が検知した紐状部材11aに移動長さが入力される。また、注入口3aと磁気部材10との管軸方向間隔、吐出口5a、5b、5cと磁気センサ9との管軸方向間隔は既知であるので、予め把握しているこれら間隔は演算装置12に入力されている。
【0028】
注入口3aが複数箇所(範囲)に設けられている場合は、それぞれの箇所(範囲)において代表とする1つの注入口3と磁気部材10との管軸方向間隔を入力すればよい。吐出口5a、5b、5cが複数ある場合は、内管5A、5Bのそれぞれにおいて、代表とする1つの吐出口5a、5b、5cと磁気センサ9との管軸方向間隔を入力すればよい。
【0029】
本発明の地盤改良薬液の注入支援システムを用いて、地盤を改良して強化する場合には、まず、
図9に例示するように、削孔機1からケーシングロッド2を延ばして挿入孔Sを形成する。
図9では、構造物18の下方の地盤を改良するために、挿入孔Sを途中で屈曲させて形成しているが、
図2のように上下方向に挿入孔Sを形成する場合は、ケーシングロッド2を鉛直下向きに延ばす。次いで、このケーシングロッド2に外管3を挿入した後、ケーシングロッド2を地上に引き抜くことにより、外管3を挿入孔Sの中に設置する。
【0030】
次いで、
図2に例示するように、削孔した挿入孔Sに外管3を挿入する。そして、収縮状態の外管パッカー16を
図5に例示するように、挿入孔Sの内周面と接触するように、或いは、若干すき間を有するように膨張させた状態にする。尚、挿入孔Sの内周面と外管3の外周面との間
のすき間に、予めセメントベントナイト等の充填材を充填しておくこともできる。
【0031】
次いで、地盤に瞬結性固化液Cを注入するため、膨張させている2つの外管パッカー16の間に配置された注入口3aの位置に、外管3に挿入している内管5Aの吐出口5a(5b)を合わせるように位置決めする。この位置決めの際には、パッカー6aを収縮状態にしておき、内管5Aの外管3の中で管軸方向に移動させる。
【0032】
例えば、内管5Aを外管3に挿入して徐々に下方移動させる。この移動の際に磁気センサ9は磁気部材10を検知する。注入口3aと検知した磁気部材10との管軸方向間隔および吐出口5a(5b)と磁気センサ9との管軸方向間隔は予め把握されているので、注入口3aと吐出口5a(5b)との管軸方向の位置関係が算出される。それ故、磁気センサ9が磁気部材10を検知した位置から、注入口3aと吐出口5a(5b)とを位置合わせさせるために必要な内管5Aの移動距離が判明する。
【0033】
算出された注入口3aと吐出口5a(5b)との位置関係はモニタ13に表示され、内管5Aの移動距離は、索長器11によって検知されてモニタ13に表示される。そこで、モニタ13の表示を参照しながら、内管5Aをその必要な距離移動させると両者の位置合わせが完了する。
【0034】
このようにして、従来方法に比して吐出口5a(5b)と注入口3aとの位置合わせを精度よく行なうことができる。また、吐出口5a(5b)と注入口3aとの位置合わせの際の注意負担や、必要な注入口3aを通じて忘れることなく薬液を注入するための注意負担が軽減されるため、作業効率を向上させるには有利になる。
【0035】
また、本発明では磁気センサ9を使用しているので誤検知が生じ難くなっている。例えば、金属センサを使用した場合は地盤中に金属材料が埋設されていると誤検知が生じることがある。磁気センサ9を使用した場合は地盤中に磁気材料が埋設されていると誤検知が生じることがある。ただし、地盤中に金属材料が埋設されている可能性と磁気材料が埋設されている可能性とは後者の方が遥かに低い。そのため、本発明ではセンサによる誤検知を防止するには有利になっている。
【0036】
また、モニタ13に注入口3aおよび吐出口5a(5b)との位置関係をリアルタイムで図示表示、或いは、数値表示することができるが、図示表示がより好ましい。図示表示することにより、モニタ13を一目すれば両者の位置関係が把握できるので、作業効率の向上化に有利になる。
【0037】
注入口3aと吐出口5a、5bとの位置決め後は、パッカー6aを膨張させて外管3の内周面に圧接させた状態にする。この状態でC1液を吐出口5aから供給し、C2液を吐出口5bから供給する。これにより、C1液とC2液とが混合されて急速に固化して瞬結性固化液Cとなる。瞬結性固化液Cとしては、水ガラス系グラウト、可塑性グラウト等を例示することができる。
【0038】
このようにして地盤に注入する直前にC1液とC2液とを混合させた瞬結性固化液Cを、膨張させている2つパッカー6aの間に位置する注入口3aを通じて地盤に注入する。内管5Aを通じて供給された瞬結性固化液Cは、注入口3aを通じて逆止弁17の突合せ面から漏れ出るように押出されて地盤に注入される。瞬結性固化液Cを注入する注入口3aは、2つの外管パッカー16によって挟まれているので、瞬結性固化液Cは、この2つの外管パッカー16の間に誘導されて地盤に浸透する。これにより、挿入孔Sの内周面と外管3の外周面とのすき間を、瞬結性固化液Cにより形成されたパッカーPによって、確実にシールすることができる。
【0039】
次いで、パッカー6aを収縮状態にして内管5Aを外管3から引き抜いて、
図6に例示するように別の内管5Bを外管3に挿入する。そして、多孔被覆材15により覆われている注入口3aの位置に、吐出口5cを合わせるように位置決めする。この位置決めの際には、パッカー6bを収縮状態にしておく。
【0040】
例えば、内管5Bを徐々に下方移動させる。この移動の際に磁気センサ9は磁気部材10を検知する。注入口3aと検知した磁気部材10との管軸方向間隔および吐出口5cと磁気センサ9との管軸方向間隔は予め把握しているので、注入口3aと吐出口5cとの管軸方向の位置関係が算出される。それ故、磁気センサ9が磁気部材10を検知した位置から、注入口3aと吐出口5cとを位置合わせさせるために必要な内管5Bの移動距離が判明する。
【0041】
算出された注入口3aと吐出口5cとの位置関係はモニタ13に表示され、内管5Bの移動距離は、索長器11によって検知されてモニタ13に表示される。そこで、モニタ13の表示を参照しながら、内管5Bをその必要な距離移動させると両者の位置合わせが完了する。
【0042】
このようにして、従来方法に比して吐出口5cと注入口3aとの位置合わせを精度よく行なうことができる。また、吐出口5cと注入口3aとの位置合わせの際の注意負担や、必要な注入口3aを通じて忘れることなく薬液を注入するための注意負担が軽減されるため、作業効率を向上させるには有利になる。
【0043】
注入口3aと吐出口5cとの位置決め後は、
図8に例示するようにパッカー6bを膨張させて外管3の内周面に圧接させた状態にする。この状態で地盤改良薬液Gを吐出口5cから供給する。地盤改良薬液Gとしては、水ガラス系グラウト、セメント系グラウト等を例示できる。
【0044】
供給された地盤改良薬液Gは、地盤に注入される際に、注入口3aを覆う多孔被覆材15を通過する。そのため、注入圧力が大きくても多孔被覆材15によって適度に減圧され、地盤改良薬液Gが注入口3aから外管軸直交方向(水平方向)に単に直進するのではなく、広い範囲に行き渡るようになる。
【0045】
さらに別の高さ位置で地盤改良薬液Gを地盤に注入する場合には、上記した外管パッカー16および多孔被覆材15を、外管3の別の高さ位置にも設ける。そして、外管3に挿入した内管5A、5Bを上記と同じ手順で管軸方向に移動させて、吐出口5cと目的とする注入口3aとの位置合わせを行なう。
【0046】
即ち、外管3に内管5Aを挿入して必要な高さ位置において瞬結性固化液Cの注入作業をすべて完了させてから内管5Aを外管3から抜き取る。次いで、外管3に内管5Bを挿入して必要な高さ位置において、順次、地盤改良薬液Gを地盤に注入する。
【0047】
上述したように本発明では、目的とする注入口3aと吐出口5a、5b、5cとの位置合わせに、磁気センサ9による検知信号および索長器11による検知長さを利用するので、この位置合わせ作業時の注意負担や、必要な注入口3aを通じて忘れることなく瞬結性固化液Cや地盤改良薬液Gを注入するための注意負担が軽減されるので、作業効率を向上させるには有利になる。
【0048】
目的の注入口3aを通じて、薬液(瞬結性固化液Cや地盤改良薬液G)を注入した際には、演算装置12に、その注入口3aを通じて既に薬液を注入済みであることを演算装置12に入力して記憶させるとよい。そして、その注入口3aを通じて注入済みであることをモニタ13に表示する構成にする。これにより、必要な注入口3aを通じて薬液を注入することを忘れるという不具合を防止できる。
【0049】
上記実施形態では、瞬結性固化液Cと地盤改良薬液Gとをそれぞれ異なる内管5A、5Bを用いて供給するようにしたが、同じ1つの内管によって、瞬結性固化液Cと地盤改良薬液Gとを供給することもできる。また、それぞれの内管5A、5Bに磁気センサ9を設けたが、地盤改良薬液Gを供給する内管5Bのみに磁気センサ9を設けて、地盤改良薬液Gを注入する場合にだけ本発明を適用することもできる。
【0050】
本発明においては、外管パッカー16を、その内部に瞬結性固化液Cを充填することにより膨張させることもできる。この場合は、
図10に例示するように、2つの膨張可能な外管パッカー16を設けた位置の外管3の周壁に、管内側と管外側とを連通する注入口3b、3cを設ける。換言すれば、注入口3b、3cを形成した位置に2つの膨張可能な外管パッカー16を配置する。そして、これら注入口3b、3cを通じて瞬結性固化液Cを2つの外管パッカー16の内部に充填して膨張させる構成にする。
【0051】
具体的には、地盤に瞬結性固化液Cを注入する注入口3aを挟んで管軸方向前後に配置されたそれぞれの注入口3b、3cに逆止弁17b、17cを設ける。逆止弁17b、17cは、例えば、注入口3b、3cを覆うようにゴム等の弾性体からなるベルト状体を外管3の表面に巻き付けて形成する。膨張可能な外管パッカー16は、逆止弁17b、17cを覆うように外管3の表面に取付ける。
【0052】
また、地盤に瞬結性固化液Cを注入する注入口3aにも逆止弁17aを設ける。逆止弁17aは、例えば、注入口3aを覆うようにゴム等の弾性体からなるベルト状体を外管3の表面に巻き付けて形成する。この逆止弁17aは、2つのベルト状体を注入口3a上の位置で突き合わせている。
【0053】
そして、外管パッカー16を膨張させる際には、
図11に例示するように、外管パッカー16が設けられた範囲に、外管3に挿入している内管5Aの2つの膨張可能なパッカー6aの間の範囲が重複するようにして、吐出口5a、5bを合わせるように位置決めする。外管パッカー16が設けられた範囲と内管5Aの2つのパッカー6aの間の範囲との位置合わせは、先の実施形態で説明した目的とする注入口3aと吐出口5a、5b、5cとの位置合わせと同じであり、磁気センサ10の検知信号および索長器11の検知長さを用いる。
【0054】
位置決め後は、それぞれのパッカー6aを膨張させて外管3の内周面に圧接させた状態にして、C1液を吐出口5aから供給し、C2液を吐出口5bから供給する。これによりC1液とC2液とが混合された瞬結性固化液Cが、注入口3b、3cを通じて逆止弁17b、17cを押上げて、逆止弁17b、17cと外管3の表面とのすき間を通過して外管パッカー16の内部に進入する。この進入した瞬結性固化液Cが外管パッカー16の内部に充填することにより、外管パッカー16が膨張して挿入孔Sの内周面に圧接した状態になる。
【0055】
これとともに、
図12に例示するように、内管5Aを通じて供給された瞬結性固化液Cは、注入口3aを通じて逆止弁17aの突合せ面から漏れ出るように押出されて地盤に注入される。瞬結性固化液Cを注入する注入口3aは、2つの膨張させている外管パッカー16によって挟まれているので、瞬結性固化液Cは、挿入孔Sの内周面と外管3の外周面とのすき間に流出することがない。そのため、瞬結性固化液Cは、地盤に確実に浸透するとともに急速に固化して、この注入口3aの周辺に強固なパッカーPを形成する。これにより、挿入孔Sの内周面と外管3の外周面とのすき間を、瞬結性固化液Cにより形成されたパッカーPによって、確実にシールすることができる。
【0056】
ここで、注入口3aから瞬結性固化液Cが地盤に供給される前に、確実に外管パッカー16に瞬結性固化液Cを充填して膨張させるために、注入口3aを通じてよりも、それぞれの注入口3b、3cを通じて瞬結性固化液Cを外部に供給し易い構造にする。そこで、例えば、地盤に瞬結性固化液Cを供給する注入口3aの面積(複数の注入口3aの場合は、それらを合算した総面積)を、外管パッカー16に瞬結性固化液Cを供給するそれぞれの注入口3b、3cの面積(複数の注入口3b、3cの場合は、それぞれ、それらを合算した総面積)よりも小さくする。または、逆止弁17aを、逆止弁17b、17cに比して弾性変形しにくくする。或いは、それぞれの注入口3b、3cの面積を注入口3aの面積よりも大きくするとともに、逆止弁17aをそれぞれの逆止弁17b、17cよりも弾性変形にくくして、注入口3aよりも注入口3b、3cを通じて瞬結性固化液Cを外部に供給し易い構造にする。
【0057】
また、注入口3b、3cのうち、瞬結性固化液Cの供給源から遠い位置にある外管3の先端側の注入口3cの方が瞬結性固化液Cを外部に供給しにくくなる。外管3が上下に延びている場合は、瞬結性固化液Cの供給源から遠い位置にある下方側の注入口3cの方が、上方側にある注入口3bに比して瞬結性固化液Cを外部に供給しにくくなる。
【0058】
そこで、例えば、注入口3cの面積(複数の注入口3cの場合は、それらを合算した総面積)を注入口3bの面積(複数の注入口3bの場合は、それらを合算した総面積)よりも大きくする。または、逆止弁17cに比して逆止弁17bの弾性変形しにくくする。或いは、注入口3cの面積を注入口3bの面積よりも大きくするとともに、逆止弁17bを逆止弁17cよりも弾性変形し難くする。
【0059】
このように瞬結性固化液Cによって外管パッカー16を膨張させる構造にすると、外管パッカー16を膨張させる流体を流通させるためのパイプを特別に設ける必要がなくなる。