【文献】
PROCEEDINGS OF THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR MAGNETIC RESONANCE IN MEDICINE,14TH SCIENTIFIC MEETING AND EXHIBITION,2006,p.1888
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記造影剤が、毛細血管内皮を通過することはできるが、細胞内へ入ることはできないキャリア部分をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像診断装置。
前記ターゲティングシステムが、特定種類の細胞壁に結合するモノクローナル抗体及びフィブリン特異的常磁性ナノ粒子の少なくとも1つを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願は、心臓学研究、例えば血管造影、虚血、及び心筋検査、又は不安定プラークの診断において使用されることができる。また、血管新生の定量化のために腫瘍学にも応用される。血管新生は、様々な生理学的状態において起こる新たな血管成長の過程である。腫瘍は内皮細胞成長を刺激する能力を持ち、従って血管新生は、腫瘍成長、周辺健常組織への浸潤、及び転移活性の重要な経路となる。固形腫瘍は体内の二次部位に転移するために血流へのアクセスを必要とするため、腫瘍血管は癌治療にとって重要なパラメータと標的である。
【0023】
血管内皮細胞増殖因子は、血管新生を刺激する上で重要な役割を果たす。約2mm
3のサイズを超える腫瘍成長は新生血管網の集合を必要とする。血管新生成長と、腫瘍、例えば乳癌、前立腺癌、及び結腸直腸癌腫瘍などの予後との間には明らかな相関がある。腫瘍は、血管内皮細胞増殖因子経路を標的とする血管新生阻害剤に陽性反応する。本願は、血管新生の根底にある分子経路の理解、及び治療のための候補薬物の特定に役立つ。
【0024】
治療はしばしば、腫瘍周辺の既存血管網の破壊と、新血管形成の防止を含む。つまり、血管阻害剤及び血管新生阻害剤はともに腫瘍治療において価値がある。血管新生の阻害は癌治療を支持することができる最も有望な方法の1つである。本明細書に記載のマルチモダリティ検出は、早期診断、治療モニタリング、及びこうした治療の治療経過観察を可能にする。
【0025】
図1を参照すると、本質的に位置合わせされたPET及びMR画像を生成する、複合又はハイブリッド磁気共鳴(MR)及びPETデータ収集システム10の一実施形態が描かれている。マルチモダリティシステムは時間的かつ空間的に位置合わせされた画像にとって理想的であることが理解されるべきである。すなわち、離れて位置する、又は空間的に移動された異なるスキャナからとられる画像もまた考慮され、同様に実行可能である。図示されたスキャナ10は統合システムであるが、並列(side‐by‐side)システム、挿入システム、同軸システムなどといった他のスキャナ位置付けも同様に妥当である。示された磁気共鳴スキャナは、イメージング領域14内に静磁場B
0を生成する、複数の導体コイル巻線を含む環状磁石12(
図1には交差線を持つ箱で図示されている)を含む。磁石12は本来超電導性又は抵抗性であり得る。すなわち、前者の場合、磁石12は通常は低温デュワー又は他の冷却システム(図示せず)の中に配置される。図示された磁石12はイメージング領域14を通る比較的水平なB
0場を持つソレノイド磁石である。B
0場の極性は右から左に示されているが、反対の極性も適切である。他の実施形態では、磁石12は垂直又は他の方向の静磁場を作り出すように方向付けられるC又は他の形状を持ってもよい。
【0026】
磁気共鳴スキャナはまた、傾斜磁場装置も含み、これは
図1の実施形態例において、選択された傾斜磁場コイル巻線16の選択的励起に応じて静磁場B
0に傾斜磁場を協調的に重ね合わせる傾斜磁場コイル巻線16を含む。随意に、傾斜磁場コイル、磁石、又はその両方は、パッシブ強磁性シム、アクティブシムコイルなどといった、磁場を形成、安定化、及び動的に調節するための、示されていない他の特徴を含んでもよい。磁気共鳴スキャナは無線周波数励起及び受信システムをさらに含む。無線周波数システムは、図示された全身無線周波数コイル18など、少なくとも1つの構成要素を含み、これはイメージング領域14の中に配置される被験者において磁気共鳴を励起するために適切な無線周波数において励起されることができる。コイル18はまた、RF励起後にイメージング領域14から生じる磁気共鳴を受信又は検出するために無線周波数受信機としても動作することができる。いくつかの実施形態では、異なるコイルが励起及び受信動作のために使用される。例えば、内蔵コイル18が磁気共鳴を励起するために使用され得、異なる局所コイル又は専用受信コイル(図示せず)が、磁気共鳴を検出するためにイメージング領域14における被験者の上方に、被験者に接して、又は被験者の近くに位置付けられ得る。無線周波数システムは一実施形態において
1Hの共鳴周波数に同調され、別の実施形態においては
19Fの共鳴周波数に同調される。無線周波数システムは同時又は連続の
1H及び
19Fイメージングのためにデュアル同調されることができる。同じ磁気共鳴スキャナが、内蔵コイル、局所コイル、又はその両方の異なる組み合わせを用いて異なる方法で構成可能であることが考えられる。
【0027】
傾斜磁場装置と無線周波数システムは共働して、イメージングシーケンス、例えば勾配エコーシーケンス、高速スピンエコーなどの高速イメージングシーケンスの1つなどを用いて、磁気共鳴を誘導する。より高速のイメージングシステムはMR時間分解能を最大化する。受信された磁気共鳴サンプルは磁気共鳴サンプリングストレージ20に保存される。磁気共鳴再構成プロセッサ22は適切な再構成アルゴリズムを適用して、再構成画像又は一連の時間的に増加される画像を形成するために磁気共鳴サンプルを再構成し、これは磁気共鳴画像メモリ又はバッファ24に保存される。再構成プロセッサ22は、磁気共鳴データを生成する上で使用された選択された空間エンコーディングに適合する再構成アルゴリズムを適用する。例えば、フーリエ変換再構成アルゴリズムが、デカルトエンコードされた磁気共鳴データを再構成するのに適し得る。随意に、MR再構成の一部は、データ保存及び再構成の完了前にインラインでなされてもよい。
【0028】
引き続き
図1を参照すると、図示された複合又はハイブリッドMR及びPETデータ収集システム10は、PETデータ収集を実行するための放射線検出器をさらに含む。
図1の例示的な実施例において、放射線検出器の環状アレイ30が、ハイブリッドシステムの穴を取り囲む。図示されたアレイ30は、シンチレータ層と、電子増倍管ベースの光子検出器の層とを含むが、イメージング領域14の周囲に配置される平面検出器アレイなどの他の検出器構成が考えられる。固体放射線検出器及び固体光学検出器もまた考えられる。放射線検出器アレイ30は、陽電子/電子消滅イベントによって放出される511keVガンマ線を検出するように構成される。PETデータ収集において、2つの実質的に同時の511keVガンマ線検出イベントは、2つの実質的に同時の511keVガンマ線検出イベントをつなぐ"line of response"(LOR)に沿ったどこかに位置する、同じ陽電子/電子消滅イベントから生じたものと推定される。このline of reponseはときに投影(projection)又はrayとも呼ばれ、収集されたPETデータは投影データと呼ばれる。
【0029】
従来のPETにおいては、実質的に同時の511keVガンマ線検出イベントは、選択された短い時間窓において、例えば互いに4ナノ秒以内において起こる2つの511keVガンマ線検出イベントと定義される。視野(FOV)の中心で起こらない陽電子消滅は、FOVの端において約4ナノ秒である、ガンマ線の移動時間における差に比例して、対向する検出器素子における到着時間にわずかな差を持つ。Time of flight PETすなわちTOF‐PETと呼ばれる関連技術は、このわずかな時間差を利用して、ナノ秒以下の精度でLORに沿った陽電子/電子消滅イベントの位置をさらに特定する。
【0030】
ハイブリッドシステム10の放射線検出器アレイ30は、PET又はTOF‐PETデータを収集するために使用される。ガンマ線検出イベントは、検出イベントの時間‐デジタル変換(TDC)及びアナログ‐デジタル変換(ADC)を実行するPETデジタル化ユニット32、並びに、クラスタリング、エネルギー推定、タイムスタンピング、及びポジショニングを実行するシングル処理ユニット34によって処理される。シングル処理ユニット34は随意に、予測される511keVガンマ線エネルギーに対する選択エネルギーウインドウの外側の検出をフィルタ除去する。いくつかの実施形態において、放射線検出器はピクセル化される。他の実施形態において、投影を規定するガンマ線検出イベントのさらなる空間的位置決めの精緻化をもたらすために、Anger logicなどのブロック読み出しアルゴリズムによって、クラスタリングが適用される。同時計数プロセッサ36は、実質的に同時に起こった、従って共通の陽電子/電子消滅イベントに対応すると思われる、従って投影又はline of responseを規定する、ガンマ線検出イベントを特定するために、時間ウインドウイングを採用する。
【0031】
TOF処理の場合、特定された実質的に同時の、すなわち同時計数イベント間の時間差が、line of responseに沿った陽電子/電子消滅イベントを空間的に推定するために使用される。
【0032】
得られるPET又はTOF‐PETデータはPETデータストレージ38に保存される。PETデータは同時計測の前又は後に保存されることができることが理解されるべきである。PET再構成プロセッサ40は、PET画像ストレージ又はバッファ42に保存される一連の時間的に増加する再構成画像を生成するために、適切な再構成アルゴリズムを用いて、LOR又は局所的投影データを処理する。一実施形態において、PETデータはリストモードで保存される、すなわち、各LORがタイムスタンプとともに保存される。これは、各再構成画像が、選択された調節可能な時間ウインドウに入るように、時間ウインドウがデータにおいて調節されることを可能にする。
【0033】
MR及びPET収集は随意に同時に実行される。これはMRスキャンの優れた空間分解能が、PETスキャンの優れた時間分解能によって増強されることを可能にし、いずれかのモダリティが単独で作ることができる表現よりも完全な4D表現を作り出す。代替的に又は付加的に、MR及びPET収集は連続的に行われることができ(例えば最初にMR、続いてPET、又はその逆)、又は交互に行われることができる。画像レジストレーション及び強調プロセッサ50は、再構成されたMR及びPET画像を空間的にレジストレーションし、かつ、随意に時間的にレジストレーションする。重ね合わされた(co‐registered)画像は重ね合わせ画像メモリ又はバッファ52に保存される。加えて、個々のPET又はMR画像は他のモダリティで強調されることができ、各メモリ24、42に保存されることができる。このようにレジストレーション又は強調された画像は、表示装置54上に適切に表示され、適切な2次元又は3次元レンダリングソフトウェアを用いてレンダリングされ、あるいは他の方法で処理される。
【0034】
医用画像の根底にある分子生化学過程を正確に知ることの1つの利点は、特定の組織型、例えば癌を、非侵襲的なin vivo設定において特徴付けることができることである。ダイナミック造影(DCE)MRIは、造影剤の血管注入に伴うMR信号強度の時間的変化を測定することによって、癌腫瘍の解剖学的及び微小血管生物学の両方の視覚表現を提供する。造影剤の動態における空間的不均一性は、組織灌流、微小血管透過性、及び成長する腫瘍に応えるための新たな血管の形成(血管新生)における変動を反映すると考えられる。血管新生微小血管は成長する癌細胞を支持する。こうした微小血管は、小さな分子に対する高い透過性をもたらす、より大きな内皮細胞形成によって、部分的に特定可能である。ガドリニウム(Gd
3+)は現在使用されている小分子MR造影剤である。Gd
3+は血管内から間質細胞外空間へ通過することができるが、細胞膜は通過しない。Gd
3+が細胞外空間へ通過する速度は、腫瘍灌流と毛細血管透過性によって決まる。Gd
3+は細胞外空間にたまることができるので、悪性腫瘍成長に伴う新生血管発達を特定する上で有用である。
【0035】
PETでは、PETの比較的低い空間分解能のために、所与の関心体積(V)における不均一性を分解することは困難である。ダイナミックPET(dPET)において、被験者は通常は注入され、それに関連するタイムスタンプとともにデータ点が取られる。いくらかの時間遅延の後、より多くのデータ点がタイムスタンプとともにとられる。従って、トレーサが関心領域へ進むにつれてデータの4Dセットが収集される。dPETにおいて測定されるボクセル内の総放射能(Q
OBS(t))は、dPETに固有の取得可能な可観測量である。Q
OBS(t)は細胞外、血管外空間(V
EES)における可観測量であり、次式によって計算されることができる。
βは血管構造の血液体積分率であり、C
P(t)は血漿入力関数であり、C
T(t)はボクセル内の特異的に結合される造影剤の濃度であり、C
EES(t)は特異的に結合されない領域中の造影剤である。血管項βV
EESC
P(t)はパラメトリックマップ推定に重要な役割を果たし、無視される場合は系統的誤差につながり得る。総放射能Q
OBSはプロセッサ56によって計算される。
【0036】
加えて、信頼できる薬物動態解析にとって必要な、自由な非結合造影剤の濃度をあらわす血漿入力関数は、これが血漿中の遊離造影剤の量のみをあらわさないかもしれないので、必ずしも左心室から直接測定される放射能によって与えられるとは限らない。しかしながら、MRI造影剤は血漿に結合されず、血液/組織関門を通過することができない。その結果、これは純粋に細胞外血液プールマーカとして扱われ得る。
【0037】
血管透過性、血流、及び血液漏出体積など、病変組織の生理学的パラメータをよりよく定量化するためには、造影剤動態の信頼できる定量化が望ましい。DCE‐MR及び19F‐MRはともに、ボクセル内の血管構成についてさらなる形態学的情報をもたらす。この追加情報から、dPET及びMRモダリティの複合検出は、追加の可観測量、すなわち、総測定放射能(dPETによって測定される)の血液体積分率58を追加することができる。
【0038】
この血管構成についての追加情報は、癌の病期分類及び治療において非常に有用となり得る。一般的に、腫瘍部位周辺の血管網が巨大になるほど、腫瘍は進行する。より進行した腫瘍はしばしば壊死性コアを発達させ、これは腫瘍の残りの部分と同じ細胞構成であるが、これらのコアにおける細胞はいかなる代謝活性又は複製もほとんど停止している。通常の治療は癌細胞複製の過剰多産特性に依存するため、こうしたコアは治療の影響をほとんど受けない。こうしたコア周辺で発達した、周辺癌組織に栄養供給している新生血管網の構成を知ることによって、治療可能な組織(急速に複製している癌細胞及び新生血管系自体など)が特定されることができ、治療計画の一部として標的にされることができる。
【0039】
dPET及びMRの複合の別の利点は、例えば部分的体積補正を可能にする、著しく改良される信号対ノイズ比である。両方のモダリティと、共通の細胞外トレーサを用いる複合シーケンスは、MRIモダリティの高空間分解能と、dPETの高時間分解能をうまく組み合わせる。
【0040】
一実施形態において、複合トレーサは標的分子を使用し、これはDCE‐MR又はMR造影剤(Gd
3+又は19Fなど)のペイロードとPETトレーサ(18Fなど)を持つ。
【0041】
本願は次にデュアルPET/MR造影剤のいくつかの実施形態を参照する。造影剤の一実施形態は、dPET及びDCE‐MRI又は19F‐MRI信号の両方を促進する。
図2に示される通り、造影剤は分子80を含む。分子80は放射性PETトレーサであるキャリア82を含む。この実施形態において、キャリアは
18Fである。分子80はターゲティングシステム84も含む。ターゲティングシステム84は分子80が関心領域に集まることを可能にするものである。ターゲティングシステム84の考えられる候補は、モノクローナル抗体、アダプタマー、ペプチド模倣薬、多糖類などである。分子は、Gd
3+などのDCE‐MRI造影剤を含むペイロード86も含む。薬剤などの他のペイロードもまた考慮される。
図2の実施形態はDCE‐MRI造影剤とdPETトレーサの両方を含み、複合dPET/DCE‐MRIイメージング手順にとって適したものになっている。通常、複合PET/MRスキャンにおいて、造影剤とPETトレーサの投与量は、被験者の腎臓及び肝臓にとって過度な負担にならないよう、半分にされる必要がある。被験者は2つの物質を投与されているので、各々の半分のみが与えられ得る。トレーサを組み合わせることによって、被験者は、被験者の腎臓と肝臓に対する負荷を実際に倍増することなく、各々の十分量に相当する量を与えられることができる。これは信号対ノイズ比の全体の改良につながる。
【0042】
図3に示される別の実施形態においては、別の造影剤分子90が描かれる。この実施形態において、分子90は、放射性PETトレーサ92a(
18Fなど)と、
19Fである19F‐MRIトレーサ92bの両方を持つキャリア92を含む。分子90は
図2の分子80のターゲティングシステム84と同様のターゲティングシステム94も含む。
図3の分子90はdPET/19F‐MRIイメージング手順にとって適切であり得る。
【0043】
次に
図4を参照すると、分子100の別の実施形態が描かれる。分子90と同様に、分子100はPETトレーサ102a(
18F)と19F‐MRI造影剤102b(
19F)の両方を含む複合キャリア102を持つ。加えて、分子100は前述の実施形態と同様のターゲティングシステム104を含む。この実施形態はDCE造影剤のペイロード106も持つ。従って、
図4の実施形態はdPET/19F‐MRIイメージング手順、又はdPET/DCE‐MRIイメージング手順にとって適切である。
【0044】
次に
図5を参照すると、前述の造影剤が被験者に注入される(110)。造影剤の構成成分の特性は既知である。造影剤が細胞外にとどまること、及び、赤血球に入らず、血漿タンパク質に結合せず、血液組織関門を通過することができない、純粋な血液プールマーカとなることが、比較的確実に予想されることができる。注入後、造影剤は、腫瘍細胞によって引き起こされた病変などの関心領域に達するまで、血管系を通って再分布する(112)。病変付近で、造影剤は損傷した毛細血管壁を通って、間質領域、細胞外領域及び血管外領域の両方へ漏出する(114)。ある時間の後、造影剤はその標的に結合する(116)。
【0045】
同時に、画像データ収集が実行される。dPETでは、造影剤の経時的な経過が観察されることができるよう、データは経時的に連続的に収集されるか、又は連続的時間ステップで収集される。これは、トレーサが関心領域に定着することができ、トレーサが既に到達した後にデータ収集が始まる、スタティックPETとは対照的である。一実施形態において、PET及びMR収集は同時に実行される。これはPET収集から収集されるタイミングデータがMRデータに適用され得るようにするためである。そして各画像が再構成される(120)。次に、画像は互いを補完するために使用される。取得画像の一方又は両方は他方の画像からのデータによって強調される(122)。このステップはハイブリッドPET‐MR画像を作るステップも含み得る。最後に、強調又はハイブリッドデータが解析のためにユーザへ提示される(124)。一実施形態において、ユーザは、どの画像を見るか(例えばオリジナル又はハイブリッド)、PET及びMR画像の相対的重み付けを選択することができ、追加の強調が望まれるかどうか決定することができる。データはまた、k
1、k
2、k
3、及びk
4のフロー勾配を示すパラメトリックマップの形であってもよい。ユーザは、領域の体積分率マップ、又は造影剤の挙動を時間の関数として示す時間放射能曲線も見ることができる。
【0046】
この生理学的過程は、コンパートメント法に従って数学的に記述されることができる。ここで患者における造影剤の分布は、同じ時間にわたってdPET及びMRIモダリティによって同時にトレースされる。同じ量、すなわち造影剤の濃度を、異なる相補的なモダリティで同時に測定することは、異なるモダリティが異なるノイズパターンを生じるため、信号の全体の信号対ノイズ特性を改良する。
【0047】
図6を参照すると、造影剤は関心ボクセル132の中にある毛細血管130を通って血液とともに流れる。毛細血管130の内壁は実線であらわされ、一方外壁は点線であらわされる。造影剤は血管の内皮134を通って、血管外、細胞外空間(EES,((1−β)V))136へ入ることができる。毛細血管130からEES136へのフローはk
1であらわされる。反対に、EES136から毛細血管130へのフローはk
2であらわされる。EES136の体積V
EES内で、造影剤は自由であることができる(138)、すなわち、いかなる物体にも特異的に結合せず、C
EES(t)であらわされる。EES136内の造影剤は標的組織の表面にも結合されることができ(140)、C
T(t)であらわされる。EES136内での非結合状態138から結合状態140への造影剤の変化はk
3であらわされ、EES124内での結合状態140から非結合状態138への造影剤の変化はk
4であらわされる。言い換えれば、k
1は造影剤灌流を示し、一方k
3は領域への取り込みを示す。運動速度を知ることによって、パラメトリックマップにおける分解能が改良されることができ、すなわち、空間内の造影剤動態についてより多くの情報がわかる。これはPET/MRシステムの空間分解能の全体の改良をもたらす。
【0048】
そして
図6のコンパートメントトポロジーの数学的記述は、次の線形微分方程式によって記述されることができる。
これは上記のQ
OBS(t)の計算に示されるように解かれることができる。これらの式を解くために同時データを用いることによって、ステップが排除される。
【0049】
これらの計算は、造影剤の状態における動的変化を定量化するために使用される。例えば、非結合造影剤がEESにおいて結合するのを止めるとき(すなわちdC
T(t)/dtがゼロに近づく)、これはEESにおいて標的組織が飽和したことを示すことができる。継続的治療においては、総放射能Q
OBS(t)が複数のスキャンにわたって観察されることができる。Q
OBS(t)の着実な減少は、治療成功、つまり、その標的新生血管系がうまく破壊されたか又は成長阻害されたことの指標となることができる。動態パラメータ推定は、モデル出力が、測定された時間依存可観測量に最も一致するまで、パラメータの最も妥当な推測を調節することを含む。通常、モデル出力はパラメータに線形従属しない。非線形最適化法は、標準Marquardt‐Levenbergアルゴリズムなど、モデルフィッティングのために典型的に使用される。速度定数を推定する際の誤差は、モデルフィッティング中にβを調節可能にすることによって最小化されることができる。この不確実性はPETイメージングとの同時MRイメージングによって提供される高空間感度を利用することによって排除されることができる。そして補足情報は血液量中の結合した造影剤の量を決定するために使用されることができる。従って、βを、MRスキャンから切り離して決定される既知のパラメータとみなすことは、考えられる数値解法のパラメータ空間をより小さなサブセットに制限する。
【0050】
薬物動態剤に関与する生理学的パラメータについての補足情報は、動態パラメータのより正確な定量化を可能にする。結合(140)及び非結合(138)の造影剤部分の加重和が観測可能であり、MR画像の高空間分解能により、Q
OBS(t)として定量化されることができる。高度に分解された3Dパラメータマップが得られることができ、これは動態パラメータと形態学の相関関係をもたらすことができ、これは診断、治療モニタリング、及び治療経過観察にとって臨床的に価値がある可能性がある。
【0051】
上記のマルチモダリティ検出はより形態学的な見識を可能にし、薬物動態モデリングにおけるパラメトリック推定を改良する。高時間分解能及び高空間分解能の両方を伴う複合情報を得る可能性は、動態パラメータのモデル特定可能性及び生理学的関連性を改良する、生理学的に関連する値に対応するサブセットに、パラメータ空間を制限することによって、取得可能な可観測量の数を拡大する。
【0052】
本発明のデュアルモダリティ造影剤の別の適用可能性は心臓学にあり、ターゲティングシステムは被験者の動脈内のプラーク蓄積を標的にして付着するように適合されることができる。
【0053】
本発明は好適な実施形態に関して記載されている。修正及び変更は前述の詳細な説明を読んで理解することで想到され得る。本発明はこうした修正及び変更を添付の請求項又はその均等物の範囲内にある限りにおいて全て含むものと解釈されることが意図される。