【文献】
Journal of Medicinal Chemistry,2005年,Vol.48, No.4,p.905-908
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リガンド開口型イオンチャネル蛋白質が、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、およびイオンチャネル型GABA受容体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記化合物が、9S、16S、19S、22S、28S、34S、38R、85S、86S、88S、89S、90S、91S、96R、97R、115S、117S、118S、119S、120S、121S、127S、131S、132S、134S、148S、149S、154S、156S、157S、158S、163S、164S、165S、170R、208S、212、241、242、245、253、254、255、278S、279S、281S、292R、294S、295S、および296Sからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
前記膜貫通ドメインが、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、およびイオンチャネル型GABA受容体からなる群から選択されるリガンド開口型イオンチャネル蛋白質の膜貫通ドメインである、請求項14に記載のキメラ受容体。
前記膜貫通ドメインが、5HT3受容体由来の膜貫通ドメイン、グリシン受容体の膜貫通ドメイン、またはGABA C受容体の膜貫通ドメインである、請求項15に記載のキメラ受容体。
前記リガンド結合ドメインにおける前記少なくとも1つの変異が、配列番号1、配列番号6、または配列番号10におけるW77Fである、請求項16に記載のキメラ受容体。
前記キメラ受容体が、28S、34S、96R、97R、131S、132S、278S、279S、および281Sからなる群から選択される化合物を選択的に結合する、請求項17に記載のキメラ受容体。
前記キメラ受容体が、9S、16S、22S、38R、115S、117S、134S、148S、149S、154S、156S、157S、158S、163S、164S、165S、170R、292R、295S、および296Sからなる群から選択される化合物を選択的に結合する、請求項19に記載のキメラ受容体。
前記キメラ受容体が、19S、85S、86S、88S、89S、90S、91S、118S、119S、120S、121S、127S、208S、212、241、242、245、253、254、255、および294Sからなる群から選択される化合物を選択的に結合する、請求項21に記載のキメラ受容体。
前記化合物が、9S、16S、22S、38R、115S、117S、134S、148S、149S、154S、156S、157S、158S、163S、164S、165S、170R、292R、295S、および/または296Sである、請求項26に記載のキット。
前記化合物が、19S、85S、86S、88S、89S、90S、91S、118S、119S、120S、121S、127S、208S、212、241、242、245、253、254、255、および/または294Sである、請求項28に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
ニューロンにおける電気的活動の操作は、生理および挙動を制御するための強力なアプローチを提供する。インビボでニューロンの活動を調節する有効な方法は:1)摂動の速やかな発現(数秒乃至数分);2)基本条件下で、標的細胞型に対して非摂動的であるイオンチャネル;3)定義された細胞型を標的とするイオンチャネルに選択的なリガンド;4)内在性イオンチャネルを阻害する必要がない、簡単的かつ単一のトランスジーン遺伝学的戦略、および5)多数の集団を独立にかつ直交的に撹乱する能力を提供しなければならない。無脊椎動物(Slimko et al (2002) J. Neurosci., Vol.22: 7373-7379)または脊椎動物LGIC(Arenkiel et al (2008) Nature Methods, Vol.5:299-302)およびG蛋白質結合受容体(Armbruster et al (2007) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 104: 5163-5168)から導かれた幾つかのアプローチは、これらの要件を満たさない(Luo et al (2008) Neuron, Vol. 57: 634-660)。これらの以前に開発されたシステムの制限を克服する際の大きな課題は、現在使用されているイオンチャネル系または受容体系の多くで、構造と機能との関係に関する知識が不足していることである。
【0017】
従来のニューロン活性化方法の制限を克服するために、トランスジーン戦略および遺伝子治療戦略を使用して、独特の薬理作用を有する新規なイオンチャネルを特定の細胞集団に向けることができる。トランスジーン戦略および遺伝子治療戦略は、細胞型選択的(cell type-selective)プロモーター活性を使用して、新規なイオンチャネルの遺伝子発現の目標を細胞型に設定する。本発明は、一部には、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)のリガンド結合ドメイン(LBD)における変異が、化合物リガンドが変異受容体に独特に結合するように合わせることができるように薬理学的特異性を与えることができるという発見に基づいている。独特の薬理作用を有するこれらの受容体を、それらの目的に合わせた化合物リガンドと組み合わせて使用して、特定のニューロン集団の活動を調節することができる。
【0018】
ニコチン性アセチルコリン受容体は恐らく、30年にわたる構造-機能解析後に最もよく理解されている、リガンド開口型イオンチャネル(LGIC)のCys−ループファミリー構成員である。明らかになってきた説明では、チャネル活性化に寄与するα7 nAChR LBDの結合ポケットにおける残基は、多数のチロシン残基およびトリプトファン残基から成る芳香族ケージを含むと記述されてきた(Galzi et al (1991) FEBS Letters. Vol. 294: 198-202)。この解析は、より完全な構造上の理論的根拠をリガンド結合に与える、相同のアセチルコリン結合蛋白質(AChBP)のX線結晶構造により確認された(Celie et al (2004) Neuron. Vol. 41: 907-914)。さらに、α7 nAChR LBDを、カチオン性セロトニン受容体3a(α7−5HT3)または塩素イオン選択的グリシン受容体(α7−GlyRl)の膜貫通ドメインに接合して、キメラ受容体を生成することができる(Eisele et al. (1993) Nature, Vol. 366: 479-483;Grutter et al (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol 102: 18207-18212)。この薬理学的要素(たとえば、LBD)の、多数のイオン伝導性要素(チャネルまたは膜貫通ドメイン)への転用可能性は、チャネルが好ましい特性を具備するように機能を最適化するための有用な基礎である。ニューロンの活動を調節する道具として、天然のリガンド結合ドメインおよびそれらの対応するリガンドと共にイオンチャネルを使用する際の大きな課題は、これらの天然のリガンド結合ドメインが既に脳内に存在しており、したがって小分子リガンドが、多数の望ましくない細胞集団における電気的活動を撹乱するであろう。
【0019】
これらの問題点を克服するために、本発明は、「バンプ−ホール」戦略(
図1A)を使用してnAChRのリガンド認識特性を改変するアプローチについて説明する。これらのα7 nAChRの改変リガンド結合ドメイン(LBD)は、チャネルドメイン(たとえば膜貫通ドメイン)と結合されて所望のリガンド選択性およびコンダクタンス特性を備えたキメラ受容体を生成することができるモジュラー・ユニットである。したがって、本発明は、リガンド開口型イオンチャネル蛋白質由来の膜貫通ドメインと融合したα7ニコチン性アセチルコリン受容体由来のリガンド結合ドメインを含むキメラ受容体を提供し、ここで、リガンド結合ドメインは、化合物への選択的結合を与える少なくとも1つの変異を含む。「キメラ受容体」は、第1の蛋白質由来の少なくとも1つのドメインおよび第2の蛋白質由来の少なくとも1つのドメインを含む受容体を指す。第1の蛋白質および第2の蛋白質は、同一種(すなわち、共にヒト蛋白質)に由来してもよく、または異種(すなわち、1つははヒト蛋白質で1つはマウス蛋白質)に由来してもよい。
【0020】
本願明細書で使用されるとき、用語「リガンド結合ドメイン」は、化合物が結合すると領域の構造変化が起こるような化合物と相互に作用する蛋白質受容体の細胞外領域を指す。リガンド結合ドメインの構造変化は一般に、その受容体の活性化をもたらす。リガンド開口型イオンチャネルの場合、リガンドがリガンド結合ドメインに結合することにより、イオンチャネルが開く。本願明細書で使用されるとき、用語「膜貫通ドメイン」は、「チャネルドメイン」または「イオン孔ドメイン」(DPD)と互換的に使用され、また細胞の脂質膜に広がり、イオンが、細胞外環境と細胞質との間を通過できるチャネルまたは孔をその膜に形成する蛋白質受容体の領域を指す。α7 nAChRのリガンド結合ドメインを、リガンド開口型イオンチャネル由来のチャネルまたは膜貫通ドメインに機能的に融合させる。「機能的に融合した」は、リガンドがリガンド結合ドメインに結合することにより、イオンチャネルを開く構造変化を来たす(すなわち、チャネルコンダクタンスが増加する)ように、2つの蛋白質ドメインが連結されることを意味する。
【0021】
一実施態様では、膜貫通ドメインは、イオンチャネル型受容体のCys−ループファミリーのリガンド開口型イオンチャネルに由来する。このファミリー由来のリガンド開口型イオンチャネルの例としては、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体(たとえば5HT3)、イオンチャネル型グリシン受容体、およびイオンチャネル型GABA受容体(たとえばGABA
AおよびGABA
c受容体)が含まれるが、その限りではない。幾つかの実施態様では、リガンド開口型イオンチャネルは、たとえば5HT3受容体およびニコチン性アセチルコリン受容体等の、カチオン選択的である。他の実施態様では、リガンド開口型イオンチャネルは、たとえばGABA受容体およびグリシン受容体等の、アニオン選択的である。好ましい実施態様において、キメラ受容体の膜貫通ドメインは、5HT3受容体、nAChR受容体、グリシン受容体、またはGABA C受容体の膜貫通ドメインである。
【0022】
本発明の別の実施態様では、α7 nAChRのリガンド結合ドメインに化合物への選択的結合を与える少なくとも1つの変異(たとえば、選択性誘導性突然変異)がある。変異は、配列番号1、配列番号6、または配列番号10に記載のアミノ酸配列における77位、79位、139位、または141位のアミノ酸残基の点変異を含むことができる。点変異の非限定的な例としては、Q79A、Q79G、L141A、L141F、L141P、W77F、W77Y、およびW77Mなどがあり、ここで、アミノ酸の同一性は、一文字アミノ酸コードで表される。やはり選択性を与える他の好適なアミノ酸点変異は、
図3に示されており、またQ79C、Q79D、Q79E、Q79H、Q79L、Q79P、Q79R、Q79S、Q79T、Q79W、Q139A、Q139C、Q139D、Q139F、Q139G、Q139H、Q139I、Q139K、Q139L、Q139M、Q139N、Q139R、Q139S、Q139V、Q139W、Q139Y、L141G、L141H、L141I、L141M、L141N、L141Q、L141S、L141V、およびL141Wを含む。好ましい実施態様において、リガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6、または配列番号10におけるW77Fである。別の好ましい実施態様において、リガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6、または配列番号10におけるQ79AまたはQ79Gである。さらに別の好ましい実施態様において、リガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6、または配列番号10におけるL141FまたはL141Pである。幾つかの実施態様では、キメラ受容体は配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号12、または配列番号13のアミノ酸配列を有する。キメラ受容体のリガンド結合ドメインは、アミノ酸配列中に2つ以上の変異を具有していてもよい。一例として、α7 nAChRのリガンド結合ドメインは、アミノ酸配列の79位および141位、またはアミノ酸配列の79位および139位に点変異を含んでもよい。上に開示した具体的な変異のいずれかならびに追加的変異を一緒におこして、二重変異体、三重変異体、または多重変異キメラ受容体を生じさせることが可能である。
【0023】
本発明の受容体はまた、天然のリガンド、アセチルコリンに対する応答性を顕著に低減する変異も、α7 nAChRのリガンド結合ドメインに含むことができる。アセチルコリンは脳内で産生されるため、AChに対するキメラチャネルの感度を制限する変異は、合成リガンドの非存在下でチャネルが活性化される可能性を低減する。アセチルコリンへの結合を低減する好適な点変異としては、Y115F、Q79R、Q139G、Q139V、Q139W、Q139Y、L141A、L141Q、L141Sなどがあり、Y115F、Q139G、L141A、およびL141Sが一部の実施態様で好ましい。これらの変異は、Q79GおよびL141F等の、本願明細書に記載の選択性誘導変異のいずれかと組み合わせることができる。
【0024】
幾つかの実施態様では、本発明の受容体はまた、膜貫通ドメインにも、具体的にはCys−ループイオンチャネルのM2領域およびM2領域に隣接する領域にも、変異を有し、これがコンダクタンス特性および減感特性に影響を及ぼす。
【0025】
他の実施態様では、本願明細書に記載の選択性誘導変異に加えて、本発明の受容体は、細胞質ドメインに、具体的にはM3〜M4ループに、変異を有し、これがイオンコンダクタンス特性に影響を及ぼす。たとえば、5HT3膜貫通ドメイン、M3〜M4ループの一部欠失、他のCys−ループ受容体由来の配列との置換、または三重変異等の特異的変異を含むキメラ受容体では、R425Q R429D R433Aが、イオンチャネルのコンダクタンスを調節する。一実施態様では、キメラ受容体は、少なくとも1つの選択性誘導変異に加えて、三重変異R425Q R429D R433A を配列番号1に含み、これが、α7−5HT3キメラ受容体におけるコンダクタンスを上昇する(高コンダクタンスまたはHCと呼ばれる)。
【0026】
本発明はまた、本発明の変異キメラ受容体をコードする核酸も含む。幾つかの実施態様では、核酸は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号12、または配列番号13のアミノ酸配列を有する変異キメラ受容体をコードする。一実施態様において、核酸は、α7−nAChRのリガンド結合ドメインおよびGABA C由来のイオン孔ドメイン(配列番号10)を含むキメラ受容体をコードする。キメラ受容体をコードする核酸は、操作可能にプロモーターに連結して、遺伝子構築物またはベクターに組み込むことが可能である。プロモーターは、誘導性プロモーターおよび/または組織特異的プロモーターであってもよい。ニューロン特異的プロモーター、たとえばシナプシン、CAMKIIおよびニューロン特異的エノラーゼを使用して、グリア細胞および上皮細胞等の散在細胞クラスよりも選択的に、ニューロンを標的とすることができる。TRPV1プロモーターを使用して、疼痛伝達性C線維を生じさせる侵害受容性感覚ニューロンを標的とすることができる。加えて、POMCプロモーター、NPYプロモーター、AGRPプロモーター、MCHプロモーター、およびオレキシンプロモーターを使用して、肥満または食欲不振に関与するニューロンを標的とすることができる。他の好適なプロモーターは、標的とされる特定の細胞集団に応じて、当該技術分野の技術の1つで確認することができる。キメラ受容体をコードする核酸は、細胞のゲノムに組み入れてもよく、またはベクター内に含めてもよい。用語「ベクター」は、生物間、細胞間、または細胞成分間で、核酸を伝播および/または転移することができる手段を指す。ベクターは、自己複製するかまたは宿主細胞の染色体に組み入れることができる、プラスミド類、ウイルス類、バクテリオファージ類、プロウイルス類、ファージミド類、トランスポゾン類、人工染色体等々を含む。ベクターはまた、自己複製しない、ネイキッドRNAポリヌクレオチド、ネイキッドDNAポリヌクレオチド、同一ストランド内のDNAおよびRNAの両者からなるポリヌクレオチド、ポリリシン結合DNAまたはRNA、ペプチド結合DNAまたはRNA、リポソーム結合DNA、等々であってもよい。幾つかの実施態様では、キメラ受容体をコードする核酸が、プラスミドまたはウイルスベクター内に含まれる。
【0027】
クローンニング、突然変異等々の、本発明に適用できる分子生物学的技法を記述している一般的テキストとしては、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego,Calif. (Berger); Sambrook et al, Molecular Cloning--A Laboratory Manual(3rd Ed. ),Vol 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor,N. Y., 2000(“Sambrook”)およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel et al. ,eds. ,Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc. and John Wiley & Sons, Inc.,(“Ausubel”)などがある。これらのテキストは、たとえば、本発明の新規なキメラ受容体の産生に関連した、突然変異誘発、ベクター類の使用、プロモーター類および多くの他の関連テーマについて記述している。蛋白質操作方法および組換えDNAテクノロジーは、当業者に周知であり、また本願明細書に記載のガイダンスが与えられれば、本発明のキメラ受容体の産生に使用することができる。
【0028】
本発明はまた、神経細胞の興奮性を調節する方法も含む。「興奮性」は、活動電位を生成して伝播するニューロンの能力を指す。興奮性増大は、活動電位生成の閾値を低下させ(すなわち、活動電位誘発に、より少ない電流を要する)、興奮性の低減は、活動電位生成の閾値を上昇させる(すなわち、活動電位誘発に、より多い電流を必要とする)。一実施態様において、本方法は、キメラ受容体をコードする遺伝子構築物を、神経細胞で発現させる工程(ここで、そのキメラ受容体は、リガンド開口型イオンチャネル蛋白質由来の膜貫通ドメインと融合したα7 ニコチン性アセチルコリン受容体由来のリガンド結合ドメインを含み、上記リガンド結合ドメインは、化合物への選択的結合を与える少なくとも1つの変異を含む)と、神経細胞を化合物に暴露する工程とを含む。神経細胞はインビトロであってもインビボであってもよい。
【0029】
本願明細書に記載の新規なキメラ受容体のいずれも、ニューロンの興奮性を調節する方法で使用することができる。一実施態様において、キメラ受容体は、カチオン選択的であるリガンド開口型イオンチャネル蛋白質由来の膜貫通ドメインを含む。好ましい実施態様において、膜貫通ドメインは、5HT3受容体(α7−5HT3)由来の膜貫通ドメインである。これらの「カチオン」型のキメラ受容体を、それらの化合物リガンドで活性化することにより、このようなキメラ受容体を発現する神経細胞の興奮性を増大することができる。
【0030】
別の実施態様では、キメラ受容体は、アニオン選択的であるリガンド開口型イオンチャネル蛋白質由来の膜貫通ドメインを含む。好ましい実施態様において、膜貫通ドメインは、グリシン受容体(α7−GlyRl)由来の膜貫通ドメインである。別の好ましい実施態様において、膜貫通ドメインは、GABA C受容体(α7−GABA C)由来の膜貫通ドメインである。これらの「アニオン」型のキメラ受容体を、それらの化合物リガンドで活性化することにより、このようなキメラ受容体を発現する神経細胞の興奮性を減少させることができる。
【0031】
キメラ受容体は、本願明細書に記載の化合物への選択的結合を与える少なくとも1つの変異を有するα7ニコチン性アセチルコリン受容体由来のリガンド結合ドメインを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも1つの変異は、配列番号1におけるQ79A、Q79G、L141A、L141F、L141P、W77F、W77Y、およびW77Mからなる群から選択される。他の実施態様では、少なくとも1つの変異は、配列番号6におけるQ79A、Q79G、L141A、L141F、L141P、W77F、W77Y、およびW77Mからなる群から選択される。ある実施態様では、少なくとも1つの変異は、配列番号10におけるQ79A、Q79G、L141A、L141F、L141P、W77F、W77Y、およびW77Mからなる群から選択される。好ましくは、化合物は、野生型α7ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化しない。
【0032】
本願明細書に記載の化合物は:(a)本願明細書に記載のようなニューロンの興奮性を調節する方法で;(b)本願明細書に記載のような本発明のキットで;また(c)本願明細書に記載のような神経系の疾患または障害を治療する方法で;新規なキメラ受容体と併せて使用することができる。一実施態様において、化合物は、化合物番号3R、6R、9S、12R、12S、14S、16S、19R、19S、21S、22S、28S、34S、35S、37S、38R、39S、40S、41R、41S、42R、42S、85S、86S、88S、89S、90S、91S、96R、97R、115S、117S、118S、119S、120S、121S、127S、131S、132S、134S、148S、149S、154S、156S、157S、158S、163S、164S、165S、170R、208S、212、241、242、245、253、254、255、278S、279S、281S、292R、294S、295S、および296Sからなる群から選択される。
【0033】
幾つかの実施態様において、特定のキメラ受容体を1つまたは複数の特定の化合物と共に使用することができる。こうした組合せの一部の非限定的な例としては:(1)W77F α7−5HT3(配列番号2)、W77F α7−GlyRl(配列番号7)、またはW77F α7−GABA C(配列番号11)キメラ受容体と、28S、34S、96R、97R、131S、132S、278S、279S、または281S合成化合物;(2)Q79A α7−5HT3、Q79G α7−5HT3(配列番号3)、Q79A α7−GlyRl、Q79G α7−GlyRl(配列番号8)、Q79A α7−GABA C、またはQ79G α7−GABA C(配列番号12)キメラ受容体と9S、16S、22S、38R、115S、117S、134S、148S、149S、154S、156S、157S、158S、163S、164S、165S、170R、292R、295S、または296S合成化合物;および3)L141F α7−5HT3(配列番号4)、L141P α7−5HT3、L141F α7−GlyRl(配列番号9)、またはL141P α7−GlyRl、L141F α7−GABA C(配列番号13)、またはL141P α7−GABA Cキメラ受容体と、化合物番号19S、85S、86S、88S、89S、90S、91S、118S、119S、120S、121S、127S、208S、212、241、242、245、253、254、255、または294Sの任意の1つが含まれる。
【0034】
特定の変異キメラ受容体を活性化する上での合成リガンドの有効性は、蛍光膜電位アッセイ、放射性結合アッセイ、ならびにピーク電流および持続電流の電圧固定測定法を含むがその限りではない幾つかのアッセイの1つで測定することができる(たとえば、実施例2および4を参照されたい)。たとえば、イオン流束の変化は、特定の合成化合物に暴露した時に、本発明の新規なキメラ受容体を発現する細胞または膜の電位の変化を測定することにより査定することが可能である。電流および膜電位の変化は、当該技術分野で周知の電圧固定技法およびパッチクランプ技法で測定することができる。その他の既知のアッセイとしては、放射標識イオン流束アッセイおよび電位感受性色素を使用する蛍光アッセイなどがある(たとえば、Vestergarrd-Bogind et al. J. Membrane Biol,88: 67-75 (
1988); Gonzales & Tsien, Chem. Biol, 4: 269-277(1997);Daniel et al, J. Pharmacol. Meth., 25: 185-193 (1991);Holevinsky et al, J. Membrane Biology, 137: 59-70 (1994)を参照されたい)。このように、本発明は、上述のアッセイ(たとえば、蛍光膜電位アッセイまたはピーク/持続電流アッセイ)のいずれかで測定したとき、野生型α7 nAChRに対してEC50>70μM、75μM、80μM、85μM、90μM、95μM、または>100μM、を示し、変異α7受容体に対してEC50<15μM、12μM、10μM、8μM、6μM、5μM、4μM、3μM、2μM、または<1μMを示す合成リガンドを包含する。本願明細書で使用される「EC50」または「最大半量の有効濃度」は、合成リガンドが最大半量の応答をもたらす濃度である。野生型受容体での、アセチルコリン等の完全作用物質への作用物質応答に比べて、HEK細胞膜電位アッセイで、変異受容体に>40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または>75%最大応答をもたらす合成リガンド(実施例2を参照されたい)も本発明に含まれる。
【0035】
対象の細胞(たとえば、神経細胞)で、本発明の新規なキメラ受容体をコードする遺伝子構築物を導入するための、当技術分野で周知の方法は多数ある。たとえば、ベクターまたは遺伝子構築物を、物理的、化学的または生物学的手段によって、宿主細胞に転移することができる。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン、リポフェクション、粒子衝撃、微量注入、エレクトロポレーション、細胞超音波処理、受容体介在トランスフェクション等々が含まれる。
【0036】
対象のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法としては、DNAベクターおよびRNAベクターの使用などがある。ウイルスベクター類、特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物細胞、たとえば、ヒト細胞に挿入するための、最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス類、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス類およびアデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス等々から誘導することができる。たとえば、米国特許第5,350,674号および米国特許第5,585,362号を参照されたい。
【0037】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ等のコロイド分散系、および水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質をベースとする系が含まれる。インビトロおよびインビボで送達媒体として使用するのに好ましいコロイド系はリポソーム(すなわち、人工膜小胞)である。このような系の調製および使用は、当該技術分野で周知である。代表的な処方は、米国特許第5,981,505号;米国特許第6,217,900号;米国特許第6,383,512号;米国特許第5,783,565号;米国特許第7,202,227号;米国特許第6,379,965号;米国特許第6,127,170号;米国特許第5,837,533号;および国際公開第03/093449号にも開示されており、それらの全内容を参照により本願明細書に援用する。
【0038】
本発明はまた、化合物も提供する。これらの化合物は、本願明細書に記載のα7 nAChRの変異リガンド結合ドメインの少なくとも1つに特異的に結合する。一実施態様では、化合物は式I:
【化4】
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、Aは:
【化5】
の1つであって、
式中、
R
1、R
4およびR
5は、各々、水素、ハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキル、C
1〜C
6ハロアルキル、C
1〜C
6チオハロアルキル、C
1〜C
6ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールおよびヘテロアリールの群から独立して選択され、ここで前記アリールおよびヘテロアリールは任意選択により、ハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキル、C
1〜C
6ハロアルキル、C
1〜C
6チオハロアルキル、C
1〜C
6ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアルキルスルホニルで置換されており;
R
2およびR
3は、各々、水素、ハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキル、C
1〜C
6ハロアルキル、C
1〜C
6チオハロアルキル、C
1〜C
6ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールおよびヘテロアリールの群から独立して選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、任意選択によりハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキル、C
1〜C
6ハロアルキル、C
1〜C
6チオハロアルキル、C
1〜C
6ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアルキルスルホニルで置換されているか、
または
R
2およびR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒に、任意選択によりハロ、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキル、C
1〜C
6ハロアルキル、C
1〜C
6チオハロアルキル、C
1〜C
6ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニルで置換された5員または6員の炭素環または複素環を形成するが、但し:(a)R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5の少なくとも1つは、水素ではなく;また(b)R
1およびR
5のいずれもC
1〜C
6アルコキシでない場合、そのときはR
3が存在しかつ水素ではない。
【0039】
式Iの化合物のある実施態様において、Aは
【化6】
であって、
式中R
3は、任意選択によりハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシまたはC
1〜C
6ハロアルキルで置換されたフェニルである。このような一実施態様において、R
1、R
2、R
4およびR
5は、各々、水素である。
【0040】
式Iの化合物のある他の実施態様において、Aは
【化7】
であって、
式中R
3は、C
3〜C
6アルキル、C
5〜C
6アルコキシ、C
1〜C
2ハロアルコキシ、C
1〜C
2チオハロアルキル、C
1〜C
2パーハロアルキル、ジアルキルアミノまたはアルキルスルホニルである。このような一実施態様において、Aは
【化8】
であって、
式中、R
1、R
2、R
4およびR
5は、各々、水素である。このような別の実施態様において、Aは
【化9】
であって
式中、R
3は、C
1〜C
2パーハロアルキルまたはC
3〜C
6アルキルである。このような一実施態様において、R
4およびR
5は、各々、水素であり;R
1は、存在する場合、水素であり;R
2は、存在する場合、水素である。
【0041】
式Iの一実施態様において、R
1およびR
5の少なくとも1つはメトキシ、エトキシまたはフェノキシである。このような一実施態様において、Aは
【化10】
であって、
式中、R
1はメトキシ、エトキシまたはフェノキシであり;R
2、R
3およびR
4は、各々、独立して水素、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、メチルまたはエチルであり;R
5は水素である。
【0042】
別の実施態様において、化合物は式II:
【化11】
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Aは任意選択によりハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキル、C
1〜C
6ハロアルキル、フラニルまたはチオフェニルで置換されたアリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記フラニルおよびチオフェニルは、任意選択によりハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜 C
6チオアルキルまたはC
1〜C
6ハロアルキルで置換されており;
R
AおよびR
Bは、各々、水素またはC
1〜C
6アルキルであるか;
またはR
AおよびR
Bはまとめると=Oであり;かつ
nは0または1である。
【0043】
別の実施態様において、化合物は式III:
【化12】
(式中
‐‐‐は、各々、単結合または二重結合であり;
R
AおよびR
Bは、各々、水素であるかまたはR
AおよびR
Bはまとめると=Oであり;
Eは、−N、−NH、CR
C、またはCR
CR
Dであり;
R
CおよびR
Dは、各々、水素であるかまたはR
CおよびR
Dはまとめると=Oである)
の構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩であって、
ここで、前記化合物は隣接した二重結合を含まない。
【0044】
このような一実施態様において、式IIIの化合物は、
【化13】
の群から選択される構成員である。
【0045】
このような一実施態様において、式IIIの化合物は、構造:
【化14】
を有する化合物であるか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0046】
式I、IIおよびIIIの化合物はキラル炭素原子を含み、またRエナンチオマーとSエナンチオマーとの混合物(たとえば、ラセミ混合物)の状態であってもよく、実質的に純粋なRエナンチオマーまたはSエナンチオマーであってもよい。式I、IIおよびIIIの化合物のある実施態様では、Sエナンチオマーが好ましい。たとえば、ある実施態様では、対応する野生型キメラ受容体に対するよりも本発明の特定の変異したキメラ受容体に対して、SエナンチオマーはRエナンチオマーよりも大きい選択性を示す。
【0047】
上述の通り、本発明は、治療を必要としている対象における、神経系と関連した疾患または障害を治療するための方法を提供する。一実施態様において、本方法は遺伝子構築物を、対象におけるニューロン集団に送達する工程(ここで、遺伝子構築物は変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードし、変異は、上述の式I、IIまたはIIIの化合物への選択的結合を与える)と、その化合物を対象に投与する工程とを含む。本発明はまた、神経細胞の興奮性を調節する方法も提供する。一実施態様では、本方法は、キメラ受容体をコードしている遺伝子構築物を神経細胞で発現する工程(ここで、キメラ受容体は、リガンド開口型イオンチャネル蛋白質由来の膜貫通ドメインと融合したα7ニコチン性アセチルコリン受容体由来のリガンド結合ドメインを含み、前記リガンド結合ドメインは、上述の式I、IIまたはIIIの化合物への選択的結合を与える少なくとも1つの変異を含む)と、神経細胞をその化合物に暴露する工程とを含む。加えて、本発明は、本願明細書に開示の本発明のキメラ受容体および上述の式I、IIまたはIIIの化合物を含むキットを提供する。
【0048】
このような一実施態様において、化合物は式Iで表され、式中、Aは
【化15】
であって、
式中、R
3はフェニルである。任意選択によりハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシまたはC
1〜C
6ハロアルキルで置換されており、R
1、R
2、R
4およびR
5は、各々、水素であり、また変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体のリガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6または配列番号10におけるW77Fである。たとえば、このような一実施態様において、変異したキメラ受容体は、配列番号2、配列番号7または配列番号11の配列を有する。
【0049】
このような別の実施態様において、化合物は式Iで表され、式中、Aは
【化16】
であって、
式中、R
3はC
3〜C
6アルキル、C
5〜C
6アルコキシ、C
1〜C
2ハロアルコキシ、C
1〜C
2チオハロアルキル、C
1〜C
2パーハロアルキル、ジアルキルアミノまたはアルキルスルホニルであり、R
1、R
2、R
4およびR
5は、各々、水素であり、また変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体のリガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6または配列番号10におけるQ79GまたはQ79Aである。たとえば、このような一実施態様において、変異したキメラ受容体は、配列番号3、配列番号8または配列番号12の配列を有する。
【0050】
このようなさらに別の実施態様において、化合物は式Iで表され、式中、Aは
【化17】
であって、
式中、R
3はC
1〜C
2パーハロアルキルまたはC
3〜C
6アルキルであり、R
4およびR
5は、各々、水素であり、R
1は、存在する場合、水素であり、R
2は、存在する場合、水素であり、また変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体のリガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6または配列番号10におけるQ79GまたはQ79Aである。たとえば、このような一実施態様において、変異したキメラ受容体は、配列番号3、配列番号8または配列番号12の配列を有する。
【0051】
このような別の実施態様において、化合物は式Iで表され、式中、Aは
【化18】
の1つであって、
式中、R
1およびR
5の少なくとも1つはメトキシ、エトキシまたはフェノキシであり、変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体のリガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6または配列番号10におけるL141FまたはL141Pである。たとえば、このような一実施態様において、変異したキメラ受容体は、配列番号4、配列番号9または配列番号13の配列を有する。
【0052】
このような一実施態様において、Aは
【化19】
であって、式中
R
1はメトキシ、エトキシまたはフェノキシであり、R
2、R
3およびR
4は、各々、独立して、水素、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、メチルまたはエチルであり、R5は水素である。
【0053】
このような別の実施態様において、化合物は式IIで表され、式中、Aは、ハロ、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6チオアルキルまたはC
1〜C
6ハロアルキルで置換された、フェニル、ピリジル、ピラジニルまたはキノキサリニルであり、また変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体のリガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6または配列番号10におけるL141FまたはL141Pである。たとえば、このような一実施態様において、変異したキメラ受容体は、配列番号4、配列番号9または配列番号13の配列を有する。
【0054】
さらに別の実施態様において、化合物は式IIIで表され、変異α7ニコチン性アセチルコリン受容体のリガンド結合ドメインにおける少なくとも1つの変異は、配列番号1、配列番号6または配列番号10におけるL141FまたはL141Pである。たとえば、このような一実施態様において、変異キメラ受容体は、配列番号4、配列番号9または配列番号13の配列を有する。このような一実施態様において、化合物は、本願明細書に記載の化合物番号212である。
【0055】
「アルキル」は、直鎖、二級、三級または環状の炭素原子を含む炭化水素である。たとえば、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(すなわちC
1〜C
20アルキル)、1〜10個の炭素原子(すなわちC
1〜C
10アルキル)、または1〜6個の炭素原子を有することができる(すなわちC
1〜C
6アルキル)。好適なアルキル基の例としては、メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH3)
3、およびオクチル(−(CH
2)
7CH
3)が含まれるが、その限りではない。
【0056】
「アルコキシ」は、式−O−アルキルを有する基を意味し、上で定義されたアルキル基が酸素原子を介して親分子に結合されている。アルコキシ基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわちC
1〜C
20アルコキシ)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C
1〜C
12アルコキシ)、または1〜6個の炭素原子(すなわちC
1〜C
6アルコキシ)を有することができる。好適なアルコキシ基の例としては、メトキシ(−O−CH
3または−OMe)、エトキシ(−OCH
2CH
3または−OEt)、t−ブトキシ(−O−C(CH
3)
3または−OtBu)等々が含まれるが、その限りではない。
【0057】
「アリール」は、親芳香族環系の炭素原子1個から水素原子1個を除去することによって誘導される一価芳香族炭化水素基を意味する。たとえば、アリール基は6〜20個の炭素原子、6〜14個の炭素原子、または6〜12個の炭素原子を有することができる。一般に、アリール基としては、ベンゼン(たとえば、フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等々から誘導される基が含まれるが、その限りではない。「アリールオキシ」は、式−O−アリールを有する基を意味し、上で定義されたアリール基が酸素原子を介して親分子に結合されている。
【0058】
「ヘテロアルキル」は、1つまたは複数の炭素原子が、O、N、またはS等のヘテロ原子に置き換えられているアルキル基を指す。たとえば、親分子に結合されているアルキル基の炭素原子がヘテロ原子(たとえば、O、N、またはS)に置き換えられている場合、結果として生じるヘテロアルキル基は、各々、アルコキシ基(たとえば、−OCH
3等)、アミン(たとえば、−NHCH
3、−N(CH
3)
2等)、またはチオアルキル基(たとえば、−SCH
3)である。親分子に結合されていないアルキル基の非末端炭素原子がヘテロ原子(たとえば、O、N、またはS)に置き換えられている場合、結果として生じるヘテロアルキル基は、各々、アルキルエーテル(たとえば、−CH
2CH
2−O−CH
3等)、アルキルアミン(たとえば、−CH
2NHCH
3、−CH
2N(CH
3)
2等)、またはチオアルキルエーテル(たとえば、−CH
2−S−CH
3)である。アルキル基の末端炭素原子がヘテロ原子(たとえば、O、N、またはS)に置き換えられている場合、結果として生じるヘテロアルキル基は、各々、ヒドロキシアルキル基(たとえば、−CH
2CH
2−OH)、アミノアルキル基(たとえば、−CH
2NH
2)、またはアルキルチオール基(たとえば、−CH
2CH
2−SH)である。ヘテロアルキル基は、たとえば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有することができる。C
1〜C
6ヘテロアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するヘテロアルキル基を意味する。「ヘテロアルコキシ」は、式−O−ヘテロアルキルを有する基を意味し、上で定義されたヘテロアルキル基が酸素原子を介して親分子に結合している。
【0059】
本願明細書で使用される「複素環」または「ヘテロシクリル」としては、非限定的な例として、Paquette, Leo A.; Principles of Modern Heterocyclic Chemistry (W. A. Benjamin, New York,1968)の、特に1章、3章、4章、6章、7章、および9章;The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A Series of Monographs"(John Wiley & Sons,New York, 1950から現在まで)の特に13巻、14巻、16巻、19巻、および28巻;およびJ. Am. Chem. Soc. 26 (1960) 82: 5566に記載の複素環が含まれる。本発明の具体的な一実施態様において、「複素環」は、1つまたは複数(たとえば1、2、3、または4)の炭素原子がヘテロ原子(たとえばO、N、またはS)に置き換えられた、本願明細書で定義された「炭素環」を含む。用語「複素環」または「ヘテロシクリル」は、飽和環、部分的不飽和環、および芳香族環(すなわち、芳香族複素環)を含む。置換されたヘテロシクリルは、たとえば、カルボニル基を含む、本願明細書で開示される置換基のいずれかで置換された複素環を含む。カルボニル置換ヘテロシクリルの非限定的な例は:
【化20】
である。
【0060】
複素環の例としては、非限定的な例として、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、イオウ酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンズオキサゾリニル、イサチノイル、およびビス−テトラヒドロフラニル:
【化21】
が含まれる。
【0061】
非限定的な例として、炭素結合複素環は、ピリジンの2位、3位、4位、5位、または6位、ピリダジンの3位、4位、5位、または6位、ピリミジンの2位、4位、5位、または6位、ピラジンの2位、3位、5位、または6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2位、3位、4位、または5位、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2位、4位、または5位、イソオキサゾール、ピラゾール、またはイソチアゾールの3位、4位、または5位、アジリジンの2位または3位、アゼチジンの2位、3位、または4位、キノリンの2位、3位、4位、5位、6位、7位、または8位、あるいはイソキノリンの1位、3位、4位、5位、6位、7位、または8位で結合されている。さらにもっと典型的には、炭素結合複素環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが含まれる。
【0062】
非限定的な例として、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾール、イソインドール、またはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位で結合されている。さらにもっと典型的には、窒素結合複素環としては、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが含まれる。
【0063】
「ヘテロアリール」は、環中に少なくとも1つのヘテロ原子を有する一価芳香族ヘテロシクリルを指す。芳香族環中に含まれ得る好適なヘテロ原子の非限定的な例としては、酸素、イオウ、および窒素が含まれる。ヘテロアリール環の非限定的な例は、ピリジニル、ピロリル、オキサゾリル、インドリル、イソインドリル、プリニル、フラニル、チエニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、キノリル、イソキノリル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル等を含む、「ヘテロシクリル」の定義に挙げられているものの全てを含む。「ヘテロアリールオキシ」は、式−O−ヘテロアリールを有する基を意味し、上で定義されたヘテロアリール基は、酸素原子を介して親分子に結合されている。
【0064】
「アシル基」または「アルカノイル」は、炭素原子と酸素原子との間に二重結合(すなわちカルボニル基)が、またRとその炭素との間に単結合がある、基本的な式RC(=O)を有する官能基である。「O−アシル基」は、酸素原子を介して親分子に連結されている、上で定義されたアシル基である。
【0065】
「ハロゲン」またはハライドは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはアスタチン原子である。
【0066】
幾つかの実施態様において、化合物は式Iにおける構造を有し、式中R
2は水素であり、またR
4は水素である。他の実施態様において、化合物は式Iにおける構造を有し、式中R
1はメトキシ基、エトキシ基、またはフェノキシ基であり、R
2は水素であり、またR
4は水素である。また他の実施態様において、化合物化合物は式Iにおける構造を有し、式中R
1はメトキシ基、エトキシ基、またはフェノキシ基であり、R
2は水素であり、R
3は水素、メチル基、メトキシ基、または塩化物基であり、またR
4は水素である。一実施態様において、化合物は式Iにおける構造を有し、式中R
1はメトキシ基であり、R
2は水素であり、R
3は水素であり、またR
4はメトキシ基である。ある実施態様において、化合物は85S、86S、87S、88S、89S、90Sまたは91Sである。
【実施例】
【0083】
実施例1
α7ニコチン性アセチルコリン受容体リガンド結合ドメインの変異体の生成
非天然の薬理学をα7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のリガンド結合ドメイン(LBD)に操作利用するために、リガンド−イオンチャネル相互作用のモデルを開発した。この相同性モデルは、ニコチンに結合した巻貝アセチルコリン結合蛋白質(AChBP)のX線結晶構造に基づいた(Celie et al (2004) Neuron, Vol. 41: 907-914)。相同性モデルは、ラットα7 nAChR由来の配列を、PROMALS3D(http://prodata.swmed.edu/promals3d)を使用してニコチン(PDB 1UW6)に結合させたヨーロッパモノアライガイ(Lymnaea stagnalis)(モノアライガイ)AchBPの結晶構造とアラインすることによって生成した。全ての計算機モデル化は、Chameleonソフトウェアパッケージ内で実施した。AchBPと比較したα7 nAChR配列における挿入および欠失は、α7配列の端から端までスライドウインドを使用して、類似した終端を有する二次構造要素について蛋白質データバンク(Protein Data Bank(PDB))を検索することによりモデル化した。蛋白質側鎖は、既述の通り(Lovell et al(2000)“The Penultimate Rotamer Library”, Proteins: Structure Function and Genetics, Vol. 40: 389−408; Lovell et al. (2003) “Structure Validation by Cα Geometry:φ,ψ and Cβ Deviation”, Proteins: Structure, Function and Genetics, Vol. 50: 437-450)、骨格非依存性回転異性体ライブラリーと共に手作業で追加した相違点を使用して再構築した。
【0084】
選択的α7 nAChR作用物質であるPNU−282987は、プロトン化三級アミンがW171と相互に作用するニコチン類似の結合様式で、この相同性モデルに結合させた(
図1C参照)。アミノ酸の番号付けは、本願明細書で使用されるcDNA配列の翻訳に基づいており、またシグナルペプチドを含むことに留意されたい。PNU分子は、Chem3D(CambridgeSoft)を使用してモデル化し、半手作業で、α7 nAChR結合ポケットに結合させた。具体的には、第4級アミンをニコチン分子のそれの上に重ね、H−N軸の周りを自由に回転させることが可能となり、AchBP/α7 nAChRの骨格カルボニルとのこの「ファーマコフォア」水素結合を保存した。最小エネルギー立体構造を決定し、次いで、PNU分子との関連で、周囲の蛋白質側鎖を再度配置した。得られた複合体モデルは、主鎖「バックラブ(backrub)」の反復適用および側鎖最適化によって固定したMolProbity(http://molprobity.biochem.duke.edu/)を使用して、クラッシュについてスクリーニングした。PNU誘導体も、Chem3Dでモデル化した;変異体構造は、単一側鎖の選択的置換によって得た。画像は全て、PyMOL(http://pymol.sourceforge.net/)で作成した。
【0085】
既に報告されたα7−5HT3aキメラ受容体を有するベンズアミドキヌクリジンの構造活性関係(Bodnar, et al (2005) Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 48: 905-908)に基づいて、本出願人らは、ベンズアミドのバルキーな置換は、受容体活性に有害であるという結論を下した。したがって、小分子作用物質に関して選択性を有するα7 nAChR LBDを設計するために、これらのバルキーな基を収容できるであろうLBD変異を同定した。相同性モデルでベンズアミド官能基に隣接したアミノ酸に変異を作った(たとえばW77、Q79、Q139、L141;
図1C参照)。より嵩高いリガンドを収容できるためには、モデルは、LBDの立体的な嵩の低減を要したが、これらの残基の修飾は、より小さいアミノ酸だけに制限しなかった。代わりに、これらの位置のそれぞれを19の代替アミノ酸の1つに変異させ、総計76の単一変異チャネルを作成した。全76変異のリストに関しては、
図1GのX軸を参照されたい。より大きいリガンドの結合に有利に働き得る予期せぬ立体構造効果を生じ得る蛋白質構造における複雑な相互作用を説明するために、この変異によるアプローチを採用した。
【0086】
マウスセロトニン作動性イオンチャネル型受容体(5HT3)の膜貫通ドメインと融合したヒトα7 nAChR由来のリガンド結合ドメインを含有するキメラ受容体の部位特異的突然変異誘発は、上述の76の単一チャネル変異体のそれぞれを作り出すための標準技法を使用して実施した。ヒト/マウスα7−5HT3キメラ受容体の野生型アミノ酸配列を
図10に示す(配列番号1)。
【0087】
実施例2.α7 nAChR−5HT3キメラ受容体変異体の機能的特性化。
実施例1で記述した通り、ヒト/マウスα7−5HT3キメラ受容体を鋳型として使用して、α7 LBDにおける点変異を生じさせた。このキメラ受容体は異種細胞培養系でよく発現し、また天然のα7 nAChRに比べて緩徐な脱感作動態学を示す(Eisele et al (1993) Nature, Vol 366: 479-483)。市販のトランスフェクション試薬(FuGene HD, Roche Applied Science)を使用して、HEK293細胞(ATCC CRL−1573)に、76の単一α7−5HT3受容体変異体の1つをコードしている単一プラスミドをトランスフェクトした。76の異なるα7−5HT3受容体変異体のそれぞれを、イオンチャネル機能および細胞表面発現に関して事前選別した。
【0088】
イオンチャネル機能は、市販の蛍光ベース膜電位(MP)アッセイ(MDS Analytical Technologies)を使用して測定した。簡単に記載すると、MPアッセイは、キメラ受容体を発現している細胞に、細胞の膜電位が変化した時に特定の波長の蛍光を発する電位感受性色素を負荷することを含む。蛍光の増強は細胞内へのイオン流束と相関関係があり、したがってイオンチャネル活性の尺度となる。野生型α7−5HT3キメラ受容体かまたは単一変異受容体の1つのいずれかを発現しているHEK細胞を、単一濃度の3つの異なる従来のα7 nAChR用リガンド:アセチルコリン(Ach)、ニコチン、およびPNU−282987(
図1B)に暴露した。PNU−282987に対するα7−5HT3応答の全細胞電圧固定記録は、定常状態電流(I
ss)まで減感する(t
1/2=0.26±0.05秒)初期ピーク電流(I
peak)を示す(
図1D)。分という時間で、リガンドの使用と共に、最終的にこのチャネルを道具として使用するため、I
ssは、リガンド有効性を査定するのに最も重要な値である。イオンチャネル機能のハイスループット測定のために、プレートリーダー適合蛍光ベース膜電位(MP)アッセイを使用した(
図1E)。このアッセイによる用量反応曲線は、チャネルの持続的リガンド活性化に起因するI
ssを表した(
図1F)。全細胞電圧固定で測定されたI
peakに関するEC50は一般に、I
ssより3〜10倍高かった(
図1F、表2)。このように、MPアッセイは、α7−5HT3キメラ受容体のイオンチャネル活性化を測定するのに好適な方法である。76の変異キメラ受容体のそれぞれについて、MPアッセイで測定されたACh(100μM)、ニコチン(100μM)、およびPNU−282987(10μM)に対する応答を、ACh(100μM)に対する応答に標準化した。結果を
図1Gのカラーマップに示す。
【0089】
野生型および変異α7−5HT3キメラ受容体の細胞表面発現は、表面結合Alexa−594標識したα−ブンガロトキシン用の蛍光アッセイを使用して決定した。細胞表面α−ブンガロトキシン結合部位の相対量(たとえばキメラ受容体の細胞表面発現)は、非浸透化条件下でα7−5HT3を発現している細胞に比べて、α7−5HT3変異キメラ受容体を発現している細胞に結合したAlexa−594標識α−ブンガロトキシンの蛍光強度を標準化することにより測定した。3つのリガンドのどれかで>40%表面発現および>50%活性を示している変異キメラ受容体を、追加的用量反応アッセイに使用した(
図1G)。
【0090】
実施例3
変異α7 nAChR−5HT3キメラ受容体用の選択的リガンドの同定
焦点を合わせた、3−アミノキヌクリジンベンズアミドの71メンバーライブラリーを合成した(
図2)。ライブラリー内の化合物の一部に関する代表的な化学的合成手順を、本実施例の終わりに記載する。α7−5HT3が、3−アミノキヌクリジンベンズアミドのRエナンチオマーによって優先的に活性化されることは、以前に報告されている(Bodnar et al (2005) Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 48: 905-908)。さらに、ベンズアミドおよびバルキーな4’−ベンズアミド置換基の2’−置換は、α7−5HT3キメラ受容体の活性に最も悪影響を及ぼすと報告されている。したがって、本出願人らは、分子のライブラリーを、α7−5HT3「野生型」(wt)受容体に対する活性が最低であろう置換基へと偏りを持たせた。加えて、化合物の多くのSエナンチオマーも合成した。
【0091】
MPアッセイを使用して、43のα7−5HT3一アミノ酸変異および3−アミノキヌクリジンベンズアミドならびにACh、ニコチン、およびPNU−282987(
図3)に対して、1118の用量反応曲線を測定した。とりわけ、野生型α7−5HT3受容体に比べて、変異キメラ受容体に対して選択的な活性を示す幾つかの変異イオンチャネル−リガンド組合せがあった(
図4)。ほとんどの場合、個々の化合物のSエナンチオマーが、野生型α7−5HT3キメラ受容体を超えて、最大の選択性を与えた。1つの例外は、38Rとα7−5HT3Q79Gとの相互作用であった(EC50=1.6μM、α7−5HT3 wtに対して無活性)。本出願人らは、W77F(配列番号2)、Q79G(配列番号3)、およびL141F(配列番号4)変異α7−5HT3キメラ受容体を、さらなる調査研究用に選択した。用量反応曲線から、W77F、Q79GおよびL141F変異キメラ受容体と化合物28S、34S、9S、22S、38R、および19Sとの特異的相互作用が明らかになった(
図4)。これらの変異キメラ受容体の活性化に関するこれらの3化合物のEC50は、0.8〜3μMの範囲であった。重要なことは、これらの化合物(28S、34S、9S、22S、38R、および19S)が非修飾α7−5HT3受容体を活性化させなかったことである。これらの化合物に加えて、α7−5HT3変異受容体と約10μMのEC50を示すライブラリー由来の化合物との選択的相互作用が多数認められた。
【0092】
幾つかのリガンド−イオン組合せは、互いに対して選択性も示した(
図5)。28Sのフッ素化類縁体である化合物132S(EC50
MP=4.3±0.5μM)は、Q79G変異およびL141F変異を有する受容体よりもα7−5HT3 W77Fを選択的に活性化した。同様に、22Sおよび89Sは、各々、Q79GおよびL141F選択的であった。このような選択性は、同一生物における多数のニューロン集団の別々の操作を可能にする道具を開発するために重要な特徴である。
【0093】
19Sとα7−5HT3 L141F変異キメラ受容体との選択的相互作用を改善するために、8つの3−アミノキヌクリジン−2’−アルコキシベンズアミド類縁体を合成して試験した(表1)。ジメトキシ誘導体、88Sおよび89Sは、この変異受容体に対する有効性で5〜10倍の改善を示した(EC50
MP,88S:0.1±0.1μM;89S:0.4±0.1μM)が、α7−5HT3 wt受容体に対しては全く活性を示さなかった。
【0094】
【表1】
【0095】
リガンド−受容体アフィニティもまた、リガンド結合部位における追加的変異で改善することが可能であろう。α7−5HT3 Q139Mチャネルからの用量反応曲線の解析は、α7−5HT3 wtを活性化した多数のリガンドに対して、より高い有効性を示す。しかし、この変異によって与えられる選択性はほとんどない。本出願人らは、上述の選択性変異と組み合わせれば、同定された相互作用も改善できるであろうと判断した。これらの結合部位変異は共存できる場合もあり、それぞれ38R(EC50
MP=0.23±0.07μM)および22S(EC50
MP=0.06±0.04μM)を用いたとき、α7−5HT3 Q79G Q139Mは、α7−5HT3 Q79Gに比べて、有効性で8倍および20倍の改善を示した(表2、
図6)。
【0096】
実施例4.化合物リガンドによる変異α7 nAChRおよびキメラ受容体の有効性
数シリーズの小分子を調製して、野生型α7−5HT3への結合に対する分子の活性および選択性を比較した。化合物28S、34S、96R、97R、131S、132S、278S、279S、および281Sは、各々、wt α7−5HT3に対して約100μMというEC50値を有し、α7−5HT3 W77Fに対して約0.8〜約7.7μMというEC50値を有する。化合物165S、16S、115S、163S、117S、154S、149S、164S、22S、157S、170R、156S、295S、292R、296S、38R、134S、および148Sは、各々、wt α7−5HT3に対して約100μMというEC50値を有し、α7−5HT3 Q79Gに対して約0.8〜約7.8μMというEC50値を有する。化合物19S、85S、86S、88S、89S、90S、91S、118S、119S、120S、121S、127Sおよび294Sは、各々、wt α7−5HT3に対して約100μMというEC50値を有し、α7−5HT3 L141Fに対して、約0.1〜約3.4μMというEC50値を有する。化合物212、241、242、253、254、および255は、各々、wt α7−5HT3に対して約100μMというEC50値を有し、α7−5HT3 L141Fに対して約0.1〜約15μMというEC50値を有する。
【0097】
表2は、キメラチャネルに対する様々な合成リガンドの代表的なEC50値を示す。
【0098】
【表2】
【0099】
脳内で使用するための、これらの選択的LBDを開発するために、内在性リガンド、AChに対する応答性も低減した。AChの定常状態濃度が、このチャネルの活性化閾値より顕著に低い100nM以上に上昇しないため、EC50
Ipeakをシフトすることに注目した(Vinson and Justice (1997) Journal of Neuroscience Methods, Vol. 73: 61-67)。α7 nAChRに関しては、α7−5HT3 Y115FおよびY210Fに相当する残基の変異は、ACh応答性を選択的に排除するが、ニコチン効果には概ね影響しないままであることが以前に報告されている(Galzi et al (1991) FEBS Letters, Vol. 294: 198-202)。ニコチンとアミノキヌクリジンベンズアミドの薬理学的特性は類似しているにも関わらず、α7−5HT3に関しては、これらの変異はPNU−282987の効果を大幅に低減または除去した。しかし、
図1Gの精査により、ACh応答性を減らす多数の結合部位変異が明らかになった。本出願人らは、一部は選択性誘導変異と組み合わさって、内在性受容体に対して直交するリガンド選択性を有するリガンド結合ドメインを生じ得るものの、生理的レベルのAChに無反応であると判断した。実際、α7−5HT3 Q79G Q139Gは、22Sに対する応答性を保持した(EC50
Iss=2.7±1.0μM,EC50
Ipeak=11.6±3.6μM)が、AChについては(EC50
Ipeak=296±64μM)、追加的Q139G変異により、効果はα7−5HT3 Q79Gからほぼ8倍シフトする結果となった(ACh:EC50
Ipeak=38±2μM)。またα7−5HT3 Q79G L141Sについては、L141S変異の追加により、9Sの効果は僅かにシフトしたに過ぎなかったが、ACh応答性(EC50
Ipeak=356±16μM)は、ほぼ10倍シフトした(表2)。
【0100】
カチオンチャネルを活性化するニューロンを開発するために、α7−5HT3チャネルを、100倍のコンダクタンス上昇を提供すると報告された既述の3つの変異でさらに修飾した:R425Q R429D R433A。この高コンダクタンス(HC)変異を追加することにより、リガンド適用時に、予想したチャネルノイズの増加を示した(
図7A)。皮質2/3層ニューロンにおけるα7−5HT3 HC L141Fの発現後、化合物89S(3μM)はこれらのニューロンにおける発火頻度を持続的に高めた(
図7B)。
【0101】
ニューロンサイレンシングについて、グリシン受容体 IPDと融合したα7 Q79Gまたはα7 L141F(それぞれ配列番号8および9)を使用して、キメラチャネルを生成した。これらのチャネルは、大きいゆっくり活性化する電流を生み出した(
図8A)。上述のニューロンアクティベーターとの直交性を最大化するために、α7−GlyR L141F(配列番号9)をさらに開発した。このチャネルを発現している細胞におけるリガンド活性化電流は塩化物逆転電位で逆転を示し、予想通り、それが塩化物チャネルとして機能したことが分かる(
図8B)。注目すべき特性は極端に緩徐なチャネル活性化であり、このことは、α7−GlyRについて以前に特性化されていた(Grutter et al (2005) Proc.Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 102: 18207-18212)。この緩徐な活性化は、高速のシナプスACh活動による好ましくない活性化のためのローパス・フィルターの役割を果たすと予期される有用な特徴である。このチャネルの既に低いACh応答性を低減するYl15F変異でα7−GlyR L141Fを修飾することにより、ACh応答性をさらに減らすことができる(表2)。
【0102】
α7−GlyR L141F Yl15Fを発現している皮質2/3層ニューロンは、興奮性の劇的な低減を示す。これは、基電流とも呼ばれる、誘発に必要な電流量および活動電位によって測定した(
図8C)。本出願人らは、ニューロンを発現しているα7−GlyR L141F Y115Fの基電流と非トランスフェクト細胞の差を発見した。しかし、10μMの化合物89Sの存在下で、基電流は10倍増加し、これらのニューロンにおける興奮性の大幅な低減を示した。とりわけ、非トランスフェクト細胞は、化合物89Sの存在下で基電流の変化を何も示さなかった。重要なことは、ニューロンの興奮性に対する作用は急速に元へ戻すことができ、薬物を含まない緩衝液で89Sを洗い流したときにニューロンの興奮性が元に戻ったことである。
【0103】
本出願人らは、ウイルス遺伝子送達ベクターと共に細胞型特異的プロモーターを使用して、このサイレンシング能力も証明した。遺伝子発現を神経細胞型に制限するシナプシンプロモーターを使用して、アデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子送達ベクターにおけるα7−GlyR L141Fの発現を駆動した。このウイルスを形質導入したニューロンは化合物89Sによりサイレンシング感受性にされる(
図9A)が、非形質導入ニューロンは化合物89Sにより影響されなかった(
図9B)。これらの実験は、これらの変異キメライオンチャネルを有する特異的な細胞集団を標的として、電気的活動を確実に操作する能力を示す。
【0104】
実施例5.化学合成
標準手順および化学変換および関連方法は当業者に周知であり、このような方法および手順は、たとえば、Fiesers' Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons, New York, NY, 2002; Organic Reactions, vols. 1-83, John Wiley and Sons, New York, NY, 2006; March J. and Smith M., Advanced Organic Chemistry, 6th ed., John Wiley and Sons, New York, NY;および Larock R. C., Comprehensive Organic Transformations, Wiley-VCH Publishers, New York, 1999等の標準的な参考文献に既述されている。
【0105】
Varian PrepStar Model SD-1装置と共にAgilent prep-C18分取カラム30×150mm 10ミクロンを使用して、分取HPLCを実施した。検出および補正波長は240nmであり、流速は25ml/分であった。溶媒A:0.1%TFAを含む水、溶媒B:メタノール。10%Bに、10%Bで5分間保持、45分 60%Bに。
【0106】
実施例5A.(S)−2−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(19S)
【化22】
室温で、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(199mg、1.0mmol)およびo−メトキシ安息香酸(167mg、1.1mmol)を入れたフラスコにアセトニトリル1.5mlおよびトリエチルアミン(700μL、5.0mmol)を加え、続いてヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム(383mg、1.5mmol)を加えた。一晩撹拌した後、水約2mlを反応混合物に加えて透き通った溶液を分離し、その後、精製のため分取HPLC装置に注入した。所望の画分を合わせ、真空下で濃縮した。(S)−2−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(221mg、収率85%)が油として単離された。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.79(dd,J=7.7 1.6Hz,1H),7.51(td,J=8.0,1.6Hz,1H),7.15(d,J=8.5Hz,1H),7.06(t,J=7.4Hz,1H),4.45(m,4H),3.97(s,3H),3.82(ddd,J=11.7,9.9,2.0Hz 1H),3.37(m,4H),2.37(q,J=3.2Hz,1H),2.20(m,1H),2.09(m,2H),1.99(m,1H).LCMS(ESI):m/z 261.1(M+H[C
15H
20N
2O]=261.15).
【0107】
実施例5B.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(22S)
【化23】
室温で、アセトニトリル1.5mlおよびトリエチルアミン(700μL、5.0mmol)を、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(199mg、1.0mmol)およびα,α,α−トリフルオロ−p−トルイル酸(209mg、1.1mmol)を入れたフラスコに加え、続いてヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム(383mg、1.5mmol)を加えた。一晩撹拌した後、水約2mlを反応混合物に加えて透き通った溶液を分離し、それを次に精製のため分取HPLC装置に注入した。所望の画分を合わせ、真空下で濃縮し、次いで4mlのメタノール/水(3:2)から再結晶して、(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミドの白色結晶性固体(278mg、収率93%)を単離した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.05(d,J=8.2Hz,1H),7.82(d,J=8.2Hz,1H),4.47(m,1H),3.87(t,J=11.8Hz,1H),3.38(m,4H),2.39(m,1H),2.27(m,2H),2.13(t,J=8.2Hz,1H).LCMS(ESI):m/z 299.1(M+H[C
15H
17F
3N
2O]=299.13).
【0108】
実施例5C.(S)−4−ブチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(化合物9S)
【化24】
室温で、アセトニトリル1.5mlおよびトリエチルアミン(700μL、5.0mmol)を、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(199mg、1.0mmol)および4−ブチル安息香酸(196mg、1.1mmol)を入れたフラスコに加え、続いてヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム(383mg、1.5mmol)を加えた。一晩撹拌した後、水約2mlを反応混合物に加えて透き通った溶液を分離し、これを精製のため分取HPLC装置に注入した。所望の画分を合わせ、真空下で濃縮した。(S)−4−ブチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(272mg、収率95%)が油として単離された。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.24(d,J=8.2Hz,2H),8.41(d,J=8.4Hz,2H),4.42(m,1H),3.84(ddd,J=11.7,9.9,2.6Hz,1H),3.35(m,4H),2.69(t,J=7.7Hz,2H),2.36(q,J=3.1Hz,1H),2.24(m,1H),2.10(m,2H),1.94(m,1H),1.62(q,J=7.6Hz,2H),1.37(q,J=7.4Hz,2H),0.95(t、J=7.4Hz,3H).LCMS(ESI):m/z 287.1(M+H[C
18H
26N
2O=287.20).
【0109】
実施例5D.(S)−5−ブチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物16S)
【化25】
室温で、アセトニトリル1.5mlおよびトリエチルアミン(700μL、5.0mmol)を、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(199mg、1.0mmol)およびフザリン酸(197mg、1.1mmol)を入れたフラスコに加え、続いてヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム(383mg、1.5mmol)を加えた。一晩撹拌した後、水約2mlを反応混合物に加えて透き通った溶液を分離し、これを次に精製のため分取HPLC装置に注入した。所望の画分を合わせ、真空下で濃縮した。(S)−5−ブチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(273mg、収率95%)が、透き通った褐色の油として単離された。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.52(d,J=1.8Hz,1H),8.03(d,J=8.0Hz,1H),7.84(dd,J=8.0Hz,1H),4.50(m,1H),3.82(ddd,J=10.0,3.0,2.6Hz,1H),3.49(m,1H),3.37(m,3H),2.76(t,J=7.8Hz,2H),2.38(m,J=3.1Hz,1H),2.26(m,1H),2.12(td,J=8.0,3.1Hz 2H),1.96(m,1H),1.68(m,J=7.7Hz,2H),1,40(m,J=4.5Hz,2H),0.97(t,J=7.4Hz,3H).LCMS(ESI):m/z 288.1(M+H[C
17H
25N
3O]=288.20).
【0110】
実施例5E.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(チオフェン−2−イル)ベンズアミド(化合物34S)
【化26】
室温で、アセトニトリル0.5ml、水0.25ml、およびトリエチルアミン(108μL、0.78mmol)を、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(47.8mg、0.2mmol)を入れたフラスコ内で溶解した。この混合物に、4−(2−チエニル)安息香酸(49mg、2.4mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(33.8mg、0.25mmol)を加え、続いてN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(38.7μL、0.25mmol)、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。メタノール約2mlを反応混合物に加えて透き通った溶液を分離し、その後精製のため分取HPLC装置に注入した。所望の画分を合わせ、真空下で濃縮した。(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(チオフェン−2−イル)ベンズアミド(8.2mg、収率13%)を油として単離した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.90(dt,J=8.7,1.9Hz,2H),7.76(dt,J=8.6,1.9Hz,2H),7.53(dd,J=3.7,1.1Hz,1H),7.48(dd,J=4.0,1.1Hz,1H),7.14(dd,J=3.5,1.6Hz,1H),4.45(m,1H),3.86(ddd,J=10.0,3.0,2.5Hz,1H),3.37(m,4H),2.38(m,1H),2.26(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H).LCMS(ESI):m/z 313.1(M+H[C
18H
20N
2OS]=313.13).
【0111】
実施例5F.(S)−2,4−ジメトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(化合物88S)
【化27】
DMF 4.0ml、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(5.6ml、32.14mmol)、および2,4−ジメトキシ安息香酸(1.75g、9.64mmol)を、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(1.60g、8.03mmol)を入れたフラスコに加え、窒素雰囲気下で氷水浴を撹拌した。混合物に、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスファートメタンアミニウム(3.05g、8.03mmol)を加え、次いで氷水浴を60分間外すことによって混合物温度を周囲温度まで徐々に上げた。1N水酸化物ナトリウム水溶液を加えることにより反応混合物を完成し、酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン溶液で洗浄し、濾過して透き通った粗油に濃縮した。分取HPCLによる精製で、(S)−2,4−ジメトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミドの純粋な生成物(1.95g、収率84%)を得た。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.42(m,1H),7.11(s,2H),4.45(m,1H),3.95(s,3H),3.83(m,1H),3.80(s,3H),3.39−3.27(m,5H),2.37(m,1H),2.19(m,1H),2.11(m,2H),2.01(m,1H).C
16H
22N
2O3=290.16 LCMS(M+H):m/z 291
【0112】
実施例5G.(S)−4−メチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物176S)
【化28】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−メチル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.77(d,J=8Hz,2H),7.30(d,J=8Hz,2H),4.44(m,1H),3.82(m,1H),3.41−3.27(m,5H),2.40(s,3H),2.35(m,1H),2.24(m,1H),2.09(m,2H),1.92(m,1H).C
15H
20N
2O=244.16 LCMS(M+H):m/z 245
【0113】
実施例5H.(S)−4−エチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物162S)
【化29】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−エチル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.80(d,J=8Hz,2H),7.34(d,J=8Hz,2H),4.44(m,1H),3.84(m,1H),3.37−3.27(m,5H),2.72(dd,J=16Hz,2H),2.36(m,1H),2.24(m,1H),2.10(m,2H),1.94(m,1H),1.26(t,J=8Hz,3H).C
16H
22N
2O=258.17 LCMS(M+H):m/z 259.
【0114】
実施例5I.(S)−4−プロピル−N−(キヌクリジン−S−イル)ベンズアミド TFA(化合物165S)
【化30】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−プロピル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.80(d,J=8Hz,2H),7.31(d,J=8Hz,2H),4.44(m,1H),3.83(m,1H),3.41−3.28(m,5H),2.66(t,J=8Hz,2H),2.36(m,1H),2.24(m,1H),2.09(m,2H),1.93(m,1H),1.67(m,2H),0.95(t,J=6Hz,3H).C
17H
24N
2O=272.19 LCMS(M+H):m/z 273
【0115】
実施例5J.(S)−4−ペンチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物115S)
【化31】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−ペンチル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.80(d,J=8Hz,2H),7.31(d,J=12Hz,2H),4.45(m,1H),3.82(m,1H),3.43−3.27(m,5H),2.67(t,J=8Hz,2H),2.36(m,1H),2.24(m,1H),2.09(m,2H),1.92(m,1H),1.64(m,2H),1.34(m,2H),0.90(t,J=8Hz,3H).C
19H
28N
2O=300.22 LCMS(M+H):m/z 301
【0116】
実施例5K.(S)−4−ブトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物116S)
【化32】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−ブトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.84(d,J=8Hz,2H),6.98(d,J=8Hz,2H),4.43(m,1H),4.04(t,J=8Hz,2H),3.82(m,1H),3.43−3.27(m,5H),2.35(m,1H),2.24(m,1H),2.09(m,2H),1.92(m,1H),1.78(m,2H),1.52(m,2H),1.00(t,J=6Hz,3H).C
18H
26N
2O
2=302.20 LCMS(M+H):m/z 303
【0117】
実施例5L.(S)−4−(ペンチルオキシ)−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物117S)
【化33】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−ペンチルオキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.84(d,J=8Hz,2H),6.98(d,J=8Hz,2H),4.43(m,1H),4.04(t,J=6Hz,2H),3.82(m,1H),3.43−3.27(m,5H),2.35(m,1H),2.24(m,1H),2.09(m,2H),1.93(m,1H),1.80(m,2H),1.44(m,4H),0.95(t,J=6Hz,3H).C
19H
28N
2O
2=316.22 LCMS(M+H):m/z 317
【0118】
実施例5M.(S)−4−イソプロピル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物163S)
【化34】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−イソプロピル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.80(d,J=8Hz,2H),7.35(d,J=8Hz,2H),4.45(m,1H),3.83(m,1H),3.43−3.28(m,5H),2.98(m,1H),2.36(m,1H),2.24(m,1H),2.09(m,2H),1.93(m,1H),1.27(d,J=8Hz,6H).C
17H
24N
2O=272.19 LCMS(M+H):m/z 273
【0119】
実施例5N.(S)−4−(ジメチルアミノ)−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物164S)
【化35】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−ジメチルアミノ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.78(d,J=8Hz,2H),6.79(d,J=12Hz,2H),4.41(m,1H),3.82(m,1H),3.43−3.36(m,4H),3.25(m,1H),3.05(s,6H),2.35(m,1H),2.25(m,1H),2.09(m,2H),1.94(m,1H).C
16H
23N
3O=273.18 LCMS(M+H):m/z 274
【0120】
実施例5O.(S)−2−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド TFA(化合物157S)
【化36】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.85(t,J=8Hz,1H),7.61(t,J=8Hz,2H),4.49(m,1H),3.85(m,1H),3.37(m,4H),3.26(ddd,J=4,13,6Hz,1H),2.38(m,1H),2.21(m,1H),2.11(td,J=8,4Hz,1H),1.96(m,1H).C
15H
16F
4N
2O=316.12 LCMS(M+H):m/z 317
【0121】
実施例5P.(R)−2−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド TFA(化合物170R)
【化37】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.85(t,J=8Hz,1H),7.61(t,J=8Hz,2H),4.49(m,1H),3.85(m,1H),3.38(m,4H),3.25(ddd,1H),2.38(m,1H),2.21(m,1H),2.11(m,2H),1.96(m,1H).C
15H
16F
4N
2O=316.12 LCMS(M+H):m/z 317
【0122】
実施例5Q.(S)−3−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド TFA(化合物156S)
【化38】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.82(m,3H),4.47(m,1H),3.84(m,1H),3.48−3.31(m,5H),2.38(m,1H),2.25(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H).C
15H
16F
4N
2O=316.12 LCMS (M+H):m/z 317
【0123】
実施例5R.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物295S)
【化39】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに5−(トリフルオロメチル)ピコリン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):9.06(s,1H),8.30(dd,J=8Hz,1H),7.79(d,J=8Hz,1H),6.42(s,1H),4.19(m,1H),3.47(dd,J=16Hz,1H),2.92−2.85(m,4H),2.64(ddd,J=16Hz,1H),2.08(m,1H),1.74(m,3H),1.58(m,1H).C
14H
16F
3N
3O=299.12 LCMS (M+H):m/z 300
【0124】
実施例5S.(R)−N−(キヌクリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物292R)
【化40】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに5−(トリフルオロメチル)ピコリン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):8.98(s,1H),8.22(dd,J=8Hz,1H),7.71(d,J=8Hz,1H),6.36(s,1H),4.11(m,1H),3.39(dd,J=16Hz,1H),2.83−2.77(m,4H),2.56(ddd,J=16Hz,1H),2.00(m,1H),1.66(m,3H),1.50(m,1H).C
14H
16F
3N
3O=299.12 LCMS (M+H):m/z 300
【0125】
実施例5T.(R)−N−(キヌクリジン−3−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボキサミド(化合物293R)
【化41】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに6−(トリフルオロメチル)ニコチン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3)δ (ppm):8.84(s,1H),8.34(dd,J=8Hz,1H),8.23(s,1H),8.12(dd,J=8Hz,1H),4.18(m,1H),3.39(ddd,J=10,14Hz,1H),2.95−2.87(m,4H),2.67(ddd,J=16Hz,1H),2.06(m,1H),1.79−1.74(m,3H),1.50(m,1H).C
14H
16F
3N
3O=299.12 LCMS(M+H):m/z 300
【0126】
実施例5U.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボキサミド(化合物296S)
【化42】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに6−(トリフルオロメチル)ニコチン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):8.84(s,1H),8.34(dd,J=8Hz,1H),8.23(s,1H),8.12(dd,J=8Hz,1H),4.18(m,1H),3.39(ddd,J=10,14Hz,1H),2.96−2.87(m,4H),2.68(ddd,J=16Hz,1H),2.06(m,1H),1.82(m,1H),1.74(m,1H),1.55(m,1H).C
14H
16F
3N
3O=299.12 LCMS (M+H):m/z 300
【0127】
実施例5V.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド TFA(化合物154S)
【化43】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−トリフルオロメトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.99(d,J=8Hz,2H),7.35(d,J=12Hz,2H),4.47(m,1H),3.84(m,1H),3.47−3.30(m,5H),2.37(m,1H),2.25(m,1H),2.10(m,2H),1.94(m,1H).C
15H
17F
3N
2O
2=314.12 LCMS (M+H):m/z 315
【0128】
実施例5W.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメチルチオ)ベンズアミド TFA(化合物149S)
【化44】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−(トリフルオロメチルチオ)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.97(d,J=8Hz,2H),7.82(d,J=8Hz,2H),4.46(m,1H),3.84(m,1H),3.42−3.29(m,5H),2.38(m,1H),2.25(m,1H),2.10(m,2H),1.94(m,1H).C
15H
17F
3N
2OS=330.10 LCMS (M+H):m/z 331
【0129】
実施例5X.(S)−4−(ネオペンチルオキシ)−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物158S)
【化45】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−tert−ブトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.86(d,J=12Hz,2H),7.00(d,J=8Hz,2H),4.43(m,1H),3.82(m,1H),3.69(s,2H),3.42−3.29(m,5H),2.35(m,1H),2.24(m,1H),2.08(m,2H),1.92(m,1H),1.05(s,9H).C
19H
28N
2O
2=316.22 LCMS (M+H):m/z 317
【0130】
実施例5Y.(R)−4−(メチルスルホニル)−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物38R)
【化46】
表題の化合物は、化合物34Sの合成で使用した手順に従い、4−(2−チエニル)安息香酸の代わりに4−(2−チエニル)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.08(d,J=4Hz,4H),4.47(m,1H),3.86(m,1H),3.45−3.31(m,5H),3.18(s,3H),2.38(m,1H),2.26(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H).C
15H
20N
2O
3S=308.12 LCMS (M+H):m/z 309
【0131】
実施例5Z.(S)−4−(メチルスルホニル)−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物134S)
【化47】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4−(メチルスルホニル)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.08(d,J=4Hz,4H),4.47(m,1H),3.86(m,1H),3.42−330(m,5H),3.18(s,3H),2.39(m,1H),2.26(m,1H),2.11(m,2H),1.96(m,1H).C
15H
20N
2O
3S=308.12 LCMS(M+H):m/z 309
【0132】
実施例5AA.(S)−3−(メチルスルホニル)−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物148S)
【化48】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに3−(メチルスルホニル)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.44(t,1H),8.21(dt,J=8Hz,1H),8.15(dt,J=8Hz,1H),7.77(t,J=8Hz,1H),4.48(m,1H),3.86(m,1H),3.44−3.30(m,5H),3.18(s,3H),2.40(m,1H),2.27(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H).C
15H
20N
2OS=308.12 LCMS (M+H):m/z 309
【0133】
実施例5AB.(S)−2−プロポキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物208S)
【化49】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりにo−プロポキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.81(dd,J=8Hz,1H),7.50(m,1H),7.15(d,J=8Hz,1H),7.05(td,J=6Hz,1H),4.45(m,1H),4.13(m,2H),3.87(m,1H),3.39(m,4H),3.22(m,1H),2.35(m,1H),2.20(m,1H),2.11(m,2H),2.01(m,1H),1.91(m,2H),1.08(t,J=6Hz 3H).C
17H
24N
2O
2=288.18 LCMS (M+H):m/z 289
【0134】
実施例5AC.(S)−2−メトキシ−4−メチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物86S)
【化50】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2−メトキシ−4−メチル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.75(d,J=8Hz,1H),7.00(s,1H),6.90(d,J=8Hz,1H),4.44(m,1H),3.98(s,3H),3.38−3.39(m,5H),2.41(s,3H),2.37(m,1H),2.19(m,1H),2.10(m,2H),2.00(m,1H).C
16H
22N
2O
2=274.17 LCMS (M+H):m/z 275
【0135】
実施例5AD.(S)−2,5−ジメトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(化合物89S)
【化51】
表題の化合物は、化合物88Sの合成で使用した手順に従い、2,4−ジメトキシ安息香酸の代わりに2,5−ジメトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,アセトン−D4) δ(ppm):7.61(m,J=4Hz,1H),7.11(s,1H),7.07(m,J=4Hz,1H),4.07(m,1H),4.00(s,3H),3.80(s,3H),3.34(s,3H),2.89−2.82(m,4H),2.62(m,1H),1.98(m,1H),1.84(m,1H),1.84(m,2H),1.52(m,1H).C
16H
22N
2O
3=290.16 LCMS (M+H):m/z 291
【0136】
実施例5AE.(S)−4−クロロ−2−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド (化合物90S)
【化52】
表題の化合物は、化合物34Sの合成で使用した手順に従い、4−(2−チエニル)安息香酸の代わりに4−クロロ−2−メトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.75(d,J=8Hz,1H),7.21(s,1H),7.09(dd,J=8Hz,1H),4.44(m,1H),3.98(s,3H),3.80(m,3H),3.38−3.27(m,3H),2.37(m,1H),2.18(m,1H),2.10(m,2H),1.98(m,1H).C
16H
22N
2O
2=294.11 LCMS (M+H):m/z 295
【0137】
実施例5AF.(S)−2−フェノキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物91S)
【化53】
表題の化合物は、化合物34Sの合成で使用した手順に従い、4−(2−チエニル)安息香酸の代わりに2−フェノキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.74(dd,J=8Hz,1H),7.51(m,1H),7.38(m,1H),7.28(td,J=8Hz,1H),7.15(t,J=8Hz,1H),7.01(m,1H),4.33(m,1H),3.74(m,3H),3.29(m,3H),3.16(m,1H),2.97(m,1H),2.19(m,1H),2.02(m,3H),1.82(m,1H).C
20H
22N
2O
2=322.17 LCMS (M+H):m/z 323
【0138】
実施例5AG.(S)−5−クロロ−2−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物118S)
【化54】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに5−クロロ−2−メトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.74(d,J=4Hz,1H),7.49(dd,J=8Hz,1H),7.16(d,J=12Hz,1H),4.33(m,1H),3.97(s,3H),3.82(m,1H),3.38(m,4H),3.27(m,1H),2.37(m,1H),2.18(m,1H),2.10(m,3H),1.99(m,1H).C
15H
19ClN
2O
2=294.11 LCMS (M+H):m/z 295
【0139】
実施例5AH.(S)−5−フルオロ−2−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物119S)
【化55】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに5−フルオロ−2−メトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.54(m,1H),7.27(m,1H),7.17(m,1H),4.45(m,1H),3.97(s,3H),3.83(m,1H),3.39(m,4H),3.27(m,1H),2.38(m,1H),2.19(m,1H),2.10(m,2H),1.99(m,1H).C
15H
19FN
2O
2=278.14 LCMS (M+H):m/z 279
【0140】
実施例5AI(S)−2−メトキシ−5−メチル−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物120S)
【化56】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2−メトキシ−5−メチル安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.62(m,1H),7.32(m,1H),7.04(d,J=4Hz,1H),4.44(m,1H),3.94(s,3H),3.82(m,1H),3.38−3.27(m,5H),2.36(m,1H),2.31(s,3H),2.19(m,1H),2.10(m,2H),1.99(m,1H).C
16H
22N
2O
2=274.17 LCMS (M+H):m/z 275
【0141】
実施例5AJ.(S)−2,4,5−トリメトキシ−N−キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物121S)
【化57】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2,4,5−トリメトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.50(s,1H),6.76(s,1H),4.44(m,1H),4.02(s,3H),3.93(s,3H),3.82(s,3H,m,1H),3.40−3.28(m,5H),2.36(m,1H),2.17(m,1H),2.10(m,2H),2.01(m,1H).C
17H
24N
2O
4=320.17 LCMS (M+H):m/z 321
【0142】
実施例5AK.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−2−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド TFA(化合物122S)
【化58】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2−(トリフルオロメトキシ)安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.64(m,2H),7.48(td,J=8Hz 1H),7.42(m,1H),4.48(m,1H),3.85(m,1H),3.37(m,4H),3.17(m,1H),2.33(m,1H),2.20(m,1H),2.10(m,2H),1.95(m,1H).C
17H
24F
3N
2O
2=314.12 LCMS (M+H):m/z 315
【0143】
実施例5AL.(S)−3−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ナフタレン−2−カルボキサミド TFA(化合物127S)
【化59】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに3−メトキシ−2−ナフトエ酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):8.26(s,1H),7.85(d,2H),7.53(m,1H),7.40(m,1H),4.49(m,1H),4.04(s,3H),3.84(m,1H),3.39−3.29(m,5H),2.40(m,1H),2.23(m,1H),2.10(m,2H),1.99(m,1H).C
19H
22N
2O
2=310.17 LCMS (M+H):m/z 311
【0144】
実施例5AM.(S)−2,4,6,−トリメトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物211S)
【化60】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2,4,6−トリメトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):6.24(s,1H),4.13(m,1H),3.83(s,3H),3.80(s,6H),3.38(m,1H),2.94(m,4H),2.76(m,1H),2.12(m,1H),2.00(m,1H),1.82(m,2H),1.59(m,1H).C
17H
24N
2O
4=320.17 LCMS (M+H):m/z 321
【0145】
実施例5AN.(S)−2−メトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ピリジン−3−カルボキサミド(化合物294S)
【化61】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに2−メトキシニコチン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):8.51(dd,J=8Hz 1H),8.28(dd,J=6Hz 1H),7.07(dd,J=8Hz 1H),4.16(s,3H,m,1H),3.44(dd,J=12Hz,1H),2.92(t,J=8Hz 2H),2.85(m,2H),2.61(ddd,J=16,12Hz,1H),2.03(m,1H),1.75(m,3H),1.59(m,1H).C
14H
19N
3O
2=261.15 LCMS (M+H):m/z 262
【0146】
実施例5AO.(S)−2−エトキシ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド TFA(化合物85S)
【化62】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりにo−エトキシ安息香酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.85(dd,J=8Hz,1H),7.50(m,1H),7.12(d,J=8Hz,1H),7.85(t,1H),4.45(m,1H),4.23(m,2H),3.87(m,1H),3.41(m,4H),3.25(m,1H),2.37(m,1H),2.22(m,1H),2.11(m,2H),2.02(m,1H),1.51(m,J=6Hz,3H).C
16H
22N
2O
2=274.17 LCMS (M+H):m/z 275
【0147】
実施例5AP.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)ビフェニル−カルボキサミド TFA(化合物28S)
【化63】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりにビフェニル−4−カルボン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.86(d,J=8Hz,2H),7.63(d,J=12Hz,2H),7.57(d,J=8Hz,2H),7.37(t,J=8Hz,2H),7.29(t,J=8Hz,1H),4.38(m,1H),3.75(m,1H),3.36(m,1H),3.26(m,4H),2.28(m,1H),2.17(m,1H),2.00(m,2H),1.84(m,1H).C
20H
22N
2O=306.17 LCMS (M+H):m/z 307
【0148】
実施例5AQ.(R)−4’−プロピル−N−(キヌクリジン−3−イル)ビフェニル−4−カルボキサミド TFA(化合物96R)
【化64】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4’−プロピルビフェニル−4−カルボン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.80(d,J=8Hz,2H),7.73(d,J=8Hz,2H),7.59(d,J=8Hz,2H),7.29(d,J=8Hz,2H),4.47(m,1H),3.86(m,1H),3.45−3.30(m,5H),2.64(t,J=8Hz,2H),2.39(m,1H),2.27(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H),1.69(m,2H),0.97(d,J=8Hz,3H).C
23H
28N
2O=348.22 LCMS (M+H):m/z 349
【0149】
実施例5AR.(S)−4’−プロピル−N−(キヌクリジン−3−イル)ビフェニル−4−カルボキサミド TFA(化合物131S)
【化65】
表題の化合物は、化合物96の合成で使用した手順に従って合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.93(d,J=8Hz,2H),7.73(d,J=8Hz,2H),7.59(d,J=8Hz,2H),7.29(d,J=8Hz,2H),4.47(m,1H),3.86(m,1H),3.45−3.30(m,5H),2.64(t,J=8Hz,2H),2.39(m,1H),2.27(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H),1.69(m,2H),0.97(d,J=8Hz,3H).C
23H
28N
2O=348.22 LCMS(M+H):m/z 349
【0150】
実施例5AS.(R)−4’−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ビフェニル−4−カルボキサミド TFA(化合物97R)
【化66】
表題の化合物は、化合物19Sの合成で使用した手順に従い、o−メトキシ安息香酸の代わりに4’−フルオロビフェニル−4−カルボン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.95(d,J=8Hz,2H),7.70(m,4H),7.21(d,J=8Hz,2H),4.47(m,1H),3.86(m,1H),3.45−3.31(m,5H),2.39(m,1H),2.27(m,1H),2.11(m,2H),1.95(m,1H).C
20H
21FN
2O=324.16 LCMS (M+H):m/z 325
【0151】
実施例5AT.(S)−4’−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ビフェニル−4−カルボキサミド TFA(化合物132S)
【化67】
表題の化合物は、化合物97の合成で使用した手順に従って合成した。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.95(d,J=8Hz,2H),7.71(m,4H),7.21(d,J=6Hz,2H),4.47(m,1H),3.86(m,1H),3.45−3.30(m,5H),2.39(m,1H),2.28(m,1H),2.12(m,2H),1.96(m,1H).C
20H
21FN
2O=324.16 LCMS (M+H):m/z 325
【0152】
実施例5AU.(S)−4−ヨード−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(化合物273S)
【化68】
N’−ジイソプロピルエチルアミン(1.05ml、6.03mmol)を、(S)−(−)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(400mg、2.01mmol)と4−ヨードベンゾイルクロリド(616mg、2.31mmol)のDMF溶液混合物を入れたフラスコに加えた。透き通った黄色溶液を3時間撹拌した。1N水酸化ナトリウム水溶液を加えることによって反応混合物を完成し、酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、透き通った粗油に濃縮した。粗油を分取HPCLで精製して、(S’)−4−ヨード−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミドの純粋な生成物を得た(460mg、収率64%)。
1H NMR(400 MHz,メタノール−D4) δ(ppm):7.85(d,J=8Hz,2H),7.60(d,J=8Hz,2H),4.12(m,1H),3.31(m,1H),2.99(m,1H),2.84(m,4H),2.02(m,1H),1.90(m,1H),1.78(m,2H),1.54(m,1H).C
14H
17IN
2O=356.04 LCMS (M+H):m/z 357
【0153】
実施例5AV.(S)−N−(キヌクリジン− 3−イル)−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−カルボキサミド(化合物274S)
【化69】
4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(20.9mg、0.11mmol)を、(S)−4−ヨード−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンズアミド(35.6mg、0.1mmol)、アセトニトリル2ml中の炭酸セシウム(81.5mg、0.25mmol)および水2mlを入れたフラスコに加えた。混合物を、20分間超音波処理することにより脱気し、続いて触媒量の酢酸パラジウム(II)を入れ、窒素下に置いて3時間撹拌した。反応混合物を、セライトのパッドで濾過し、セトンで洗浄し、溶液を真空下で濃縮して油を生じた。分取HPLC装置を使用して純粋な(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−カルボキサミド(24.5mg、収率65%)を得た。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):7.80(d,J=8Hz,2H),7.63(m,4H),7.58(d,J=8Hz,2H),6.33(d,1H),4.11(m,1H),3.38(m,1H),2.80(m,4H),2.56(ddd,J=6,14,6Hz,1H),2.00(m,1H),1.65(m,3H),1.47(m,1H).C
21H
21F
3N
2O=374.16 LCMS (M+H):m/z 375
【0154】
実施例5AW.(S)−3’−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ビフェニル−4−カルボキサミド(化合物278S)
【化70】
表題の化合物は、化合物274の合成で使用した手順に従い、4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸の代わりに3−(フルオロメチル)フェニルボロン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):7.77(d,J=8Hz,2H),7.55(d,J=8Hz,2H),7.32(m,2H),7.21(m,1H),7.00(m,1H),6.33(d,1H),4.09(m,1H),3.37(m,1H),2.83(m,4H),2.54(m,1H),1.99(m,1H),1.65(m,3H),1.47(m,1H).C
2H
21FN
2O=324.16 LCMS (M+H):m/z 325
【0155】
実施例5AX.(S)−2’−フルオロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ビオフェニル−4−カルボキサミド(化合物279S)
【化71】
表題の化合物は、化合物274の合成で使用した手順に従い、4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸の代わりに3−(フルオロメチル)フェニルボロン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):7.77(d,J=8Hz,2H),7.53(dd,J=8Hz,2H),7.32(td,J=8Hz,1H),7.28(m,1H),7.12(m,2H),6.34(d,1H),4.08(m,1H),3.37(m,1H),2.793(m,4H),2.53(m,1H),1.98(m,1H),1.64(m,3H),1.44(m,1H).C
2H
21FN
2O=324.16 LCMS(M+H):m/z 325
【0156】
実施例5AY.(S)−N−(キヌクリジン−3−イル)−3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−カルボキサミド(化合物281S)
【化72】
表題の化合物は、化合物274の合成で使用した手順に従い、4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸の代わりに3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸を使用して合成した。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):7.87(d,J=8Hz,2H),7.80(s,1H),7.74(d,J=8Hz,1H),7.62(m,3H),7.56(t,J=8Hz,1H),6.56(d,1H),4.16(m,1H),3.42(m,1H),2.85(m,4H),2.56(m,1H),2.06(m,1H),1.79(m,3H),1.53(m,1H).C
21H
21F
3N
2O=374.16 LCMS (M+H):m/z 375
【0157】
実施例5AZ.化合物212
【化73】
触媒量の酢酸パラジウム(II)(10.9mg、0.05mmol)を、2−メチレン−3−キヌクリジノン塩酸塩(174.4mg、1.00mmol)、酢酸2ml中のフェニルヒドラジン(109mg、1.01mmol)を入れたマイクロ波反応バイアルに加えた。バイアルをキャップで密封し、次いで150℃に15分間加熱した。1.0M K
2CO
3を加え、酢酸エチル2×50mlで抽出し、合わせた有機層をライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ0%〜10%メタノールおよびCH
2Cl
2中2%TEAで精製して、白色固体の化合物212を回収した(12.1mg、収率5%)
1H NMR(400 MHz,CDCl
3) δ(ppm):7.19(s,1H),7.07(t,J=8Hz,2H),6.85(td,J=7Hz,1H),6,7(d,J=8Hz,1H),3.60(d,J=12Hz,1H),3.29(dd,J=14Hz,1H),3.00(m,4H),2.82(m,1H),2.50(m,1H).C
14H
17N
3=277.14 LCMS (M+H):m/z 278
【0158】
化合物212と関連した化合物は、模式
図1で確認された経路に従って調製することができる。
【化74】
【0159】
実施例5BA.化合物301
【化75】
(2−ブロモフェニル)メタンアミン、2−メチレン−3−キヌクリジノン塩酸塩、およびDMF中の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの溶液を、20分間超音波処理することによって脱気し、次いで窒素下で触媒量の酢酸パラジウム(II)を入れ、還流状態で撹拌して化合物301を得る。
【0160】
実施例5BB.化合物302
【化76】
化合物301をTHF溶液中の水素化ホウ素ナトリウムで還元して、化合物302を生成する。
【0161】
実施例5BC.化合物303
【化77】
化合物302を、DCMに溶解したKMnO
4およびMnO
2の溶液で酸化し、室温で撹拌して化合物303を生成する。
【0162】
実施例5BD.化合物305
【化78】
化合物302を、酢酸中のシアノ水素化ホウ素、ホルムアルデヒドで処理して化合物305を生成する。
【0163】
記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬は変わる可能性があるため、開示した発明はこれらに限定されないことを理解されたい。本願明細書で使用されている専門用語は、特定の実施態様を説明するためにすぎず、添付の特許請求請求の範囲によってのみ限定されるであろう本発明の範囲を限定する意図はないことも理解されたい。
【0164】
特に規定されない限り、本願明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示の発明が属する当業者により普通に理解されているものと同じ意味を有する。本願明細書に記載のものと類似のまたは同等の方法および材料を、本発明の実行または試験で使用することができるが、代表的な方法、機器、および材料は記載の通りである。本願明細書に引用の全ての特許、特許出願、および他の出版物ならびに列挙した材料は、参照により全内容が明確に組み込まれる。
【0165】
当業者は、通常の実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施態様の多くの等価物を理解するか、または確認できるであろう。このような等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。