特許第5775823号(P5775823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧 ▶ ユニヴァーシティ オブ ワシントンの特許一覧

<>
  • 特許5775823-画像ベースの臨床試験評価 図000002
  • 特許5775823-画像ベースの臨床試験評価 図000003
  • 特許5775823-画像ベースの臨床試験評価 図000004
  • 特許5775823-画像ベースの臨床試験評価 図000005
  • 特許5775823-画像ベースの臨床試験評価 図000006
  • 特許5775823-画像ベースの臨床試験評価 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775823
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】画像ベースの臨床試験評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20150820BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20150820BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20150820BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20150820BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   A61B5/00 G
   A61B5/00 D
   A61B6/03 360Q
   A61B5/05 380
   G01T1/161 C
   G06T1/00 290B
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-544933(P2011-544933)
(86)(22)【出願日】2009年12月9日
(65)【公表番号】特表2012-515010(P2012-515010A)
(43)【公表日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】IB2009055614
(87)【国際公開番号】WO2010082096
(87)【国際公開日】20100722
【審査請求日】2012年11月28日
(31)【優先権主張番号】61/144,231
(32)【優先日】2009年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(73)【特許権者】
【識別番号】502457803
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ティエール フランク オー
(72)【発明者】
【氏名】蓑島 聡
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0141757(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0031210(US,A1)
【文献】 特表2008−511368(JP,A)
【文献】 KELVIN K LEUNG ET AL,Automatic Quantification of Changes in Bone in Serial MR Images of Joints,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2006年12月,vol. 25, no. 12,pages 1617-1626
【文献】 LORENZO-VALDES M; SANCHEZ-ORTIZ G I; MOHIADDIN R; RUECKERT D,Atlas-based segmentation and tracking of 3D cardiac MR images using non-rigid registration,LECTURE NOTES IN COMPUTER SCIENCE (PROC. MEDICAL IMAGE COMPUTING AND COMPUTER-ASSISTED INTERVENTION - MICCAI 2002),2002年,vol. 2488,pages 642-650
【文献】 ALEX P ZIJDENBOS ET AL,Automatic Pipeline Analysis of 3-D MRI Data for Clinical Trials: Application to Multiple Sclerosis,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2002年,vol. 21, no. 10,pages 1280-1291
【文献】 REY D ET AL,A spatio-temporal model-based statistical approach to detect evolving multiple sclerosis lesions,MATHEMATICAL METHODS IN BIOMEDICAL IMAGE ANALYSIS,2001年,pages 105-112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/055
A61B 6/03
G01T 1/161
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験下にある治療を評価するためのコンピュータの作動方法において、
治療が行われる対象である被験者の同じ生体構造領域に対して試験時間期間の間の異なる時間で取得される画像データから生成される画像を取得するステップと、
前記画像を互いに共同位置合わせするステップと、
前記生体構造領域を表す基準画像に対して前記共同位置合わせされた画像をマッピングするステップと、
前記マッピングされた共同位置合わせ画像に基づき、前記試験時間期間の間に発生した少なくとも1つの構造的又は機能的な生理的変化を示す前記生体構造領域の試験画像を生成するステップと、
前記試験画像を表示するステップとを有する、作動方法。
【請求項2】
試験下の前記治療の有効性を評価するため、代替的な治療又はプラセボを受ける1人又は複数の他の被験者に関する前記試験画像に対して統計解析を実行するステップを更に含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
ベースライン画像として前記画像の1つを選択するステップを更に有し、前記画像を共同位置合わせするステップが、前記選択されたベースライン画像と前記画像とを共同位置合わせするステップを含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
前記共同位置合わせされた画像に基づき平均画像を生成するステップと、
前記平均画像に基づき変換を生成するステップとを更に有し、
前記共同位置合わせされた画像をマッピングするステップが、前記生成された変換を用いて前記共同位置合わせされた画像を変換するステップを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の作動方法。
【請求項5】
前記基準画像として前記共同位置合わせされた画像の1つを選択するステップと、
前記基準画像に基づき変換を生成するステップとを更に有し、
前記共同位置合わせされた画像をマッピングするステップが、前記生成された変換を用いて前記共同位置合わせされた画像を変換するステップを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の作動方法。
【請求項6】
関心領域を表す生体構造モデルに基づき前記変換を生成するステップを更に有する、請求項4又は5に記載の作動方法。
【請求項7】
前記生体構造モデルが、3次元ボリュームである、請求項6に記載の作動方法。
【請求項8】
前記変換が、前記モデルにフィットするよう、前記共同位置合わせされた画像を曲げる、請求項6又は7に記載の作動方法。
【請求項9】
前記マッピングされた共同位置合わせ画像上でコンピュータベースの統計解析を実行するステップを更に有し、前記試験画像を表示するステップが、前記統計解析に基づき、所定の閾値変化より大きい構造的又は機能的な変化に対応するピクセルを強調する画像を表示するステップを含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の作動方法。
【請求項10】
前記試験画像が、前記生体構造領域の表面上への表面投影である、請求項1乃至9のいずれかに記載の作動方法。
【請求項11】
前記統計解析を実行するステップが、前記構造的又は機能的な変化を表す値を決定するステップと、前記所定の閾値と前記値とを比較するステップとを含み、前記表示された画像は、前記所定の閾値より大きい対応する値を持つピクセルをのみ示す、請求項9に記載の作動方法。
【請求項12】
前記統計解析を実行するステップが、前記構造的又は機能的な変化を表す値を決定するステップと、前記所定の閾値と前記値とを比較するステップとを含み、前記表示された画像は、前記所定の閾値より大きい対応する値を持つピクセルを視覚的に強調する、請求項9に記載の作動方法。
【請求項13】
前記統計解析を実行するステップが、プラセボを受ける第2の被験者に関して得られるデータを用いて生成される画像と前記試験画像とを比較するステップを含む、請求項9乃至12のいずれかに記載の作動方法。
【請求項14】
前記統計解析を実行するステップが、第2の治療を受ける第2の被験者に関して得られるデータを用いて生成される画像と前記試験画像とを比較するステップを含む、請求項9乃至13のいずれかに記載の作動方法。
【請求項15】
前記試験画像に基づき前記行われた治療の有効性を決定するステップを更に有する、請求項1乃至14のいずれかに記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に、医療撮像データを用いて臨床試験を評価することに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルスケア分野における臨床試験は、新しい薬又はデバイスの臨床有効性を決定するために使用される情報を提供する。典型的な治験は、複数の被験者に関連する。何人かが治験薬を摂取し、他の何人かがプラセボを摂取する。被験者は、生理的変化に関して時間にわたり監視される。この変化は、薬に基づかれるものと想定される。薬から生じる変化及び被験者の2つのグループ間の変化の程度が解析され、仮説を検証し、新しい薬の効能を決定するのに用いられる。
【0003】
医療撮像は、薬に対する被験者における構造的及び/又は機能的な変化を監視するために用いられることができる。例えば、同じ被験者の同じ生体構造の画像を時間にわたり取得することを含む、長手方向の撮像が、被験者における薬の影響を時間にわたり調査することを可能にする。定量的な撮像手順が現在、臨床試験における代用評価項目として機能する。定量的脳撮像に関する標準的な手順は、統計的脳マッピングである。統計的脳マッピングにおいて、被験者の脳画像が、脳画像の制御集団と統計学的に比較される。
【0004】
1つの技術を用いると、ある被験者には新しい薬が投与され、別の被験者にはプラセボが投与され、これらの被験者が時間にわたりスキャンされる。結果として生じる画像は、標準的な座標へと空間的に正規化され、統計解析が、正規化された画像上で実行される。結果は、脳表面の3次元モデル又はこのモデル上に投影される表面へとマッピングされることができる。統計解析は、t統計量又はzスコアを提供することができる。これはボクセル当たりのスカラー値である。所与の閾値を超える統計値を持つボクセルを示す最終画像がレンダリングされる。斯かる画像から、薬の効能が決定されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この文献は、臨床試験のコストが、新しい薬の総開発コストの60%までになることを記す。試験の相対的に高いコスト要素は、試験に登録される被験者の数である;被験者の数が多くなると、より高価な試験をもたらす。変動性が少ないことは、プラセボに対する薬の効果の大きさを信頼高く検出する、より高い統計指数又はこの試験のより大きな能力を生じさせる。残念なことに、特定の試験に登録される被験者の数は一般に、試験評価技術の変動性(又は、ノイズ)に依存し、試験に関して必要とされる被験者の数、及び従って試験のコストは、変動性が増加するにつれ増加する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の側面は、上述した事項その他に対処する。
【0007】
1つの側面によれば、試験における治療を評価する方法が、被験者の同じ生体構造領域に対して試験時間期間の間の異なる時間で取得される画像データから生成される画像を取得するステップを含む。この治療は、上記試験のため上記被験者に対して行われる。この方法は更に、上記画像を共同位置合わせするステップと、上記スキャンされる生体構造領域を表す基準画像に対して上記共同位置合わせされた画像をマッピングするステップとを含む。この方法は更に、上記マッピングされた共同位置合わせ画像に基づき、上記試験時間期間の間に発生した少なくとも1つの構造的又は機能的な生理的変化を示す上記生体構造領域の試験画像を生成するステップと、上記試験画像を表示するステップとを含む。
【0008】
別の側面では、試験における治療の有効性を決定するコンピュータ実現による方法が、コンピュータを用いた単一のアフィン位置合わせを介して、被験者の同じ関心領域に対応する画像をベースライン画像に共同位置合わせするステップを含む。この画像は、上記被験者に試験治療を行った後、異なる時間で取得される。この方法は更に、上記試験下の生体構造領域を表す生体構造モデルに上記共同位置合わせされた画像をフィットさせるため、上記共同位置合わせされた画像に対してコンピュータ実現による変換を適用するステップを含む。この方法は更に、上記マッピングされた共同位置合わせ画像に基づき、上記関心領域における生理的変化を表す値を生成するステップを含む。この方法は更に、上記値に基づき上記治療の有効性を決定するステップを含む。
【0009】
別の側面によれば、システムが、所与の統計指数及び画像解析アルゴリズムに基づき、推定された試験分布サイズを示す第1の信号を生成する試験分布推定器を含む。このアルゴリズムが、試験治療が行われる被験者の同じ関心領域の共同位置合わせされた画像を同じ変換に基づきあるモデルへと変換するステップを含む。このシステムは更に、推定された試験分布サイズの関数として、推定された臨床試験コストを示す第2の信号を生成する試験コスト推定器と、コンピュータネットワークを介して上記第2の信号をクライアントに提供するサービス部とを含む。
【0010】
別の側面では、システムが、共にネットワークにわたりクライアントにより提供される、試験予算及び統計指数に基づき、試験画像解析アルゴリズムを示す信号を生成するサービス部を含み、上記アルゴリズムが、試験治療が行われる被験者の同じ関心領域の共同位置合わせされた画像を同じ変換に基づきあるモデルへと変換するステップを含み、上記サービス部は、上記ネットワークにわたり上記クライアントに上記信号を提供する。
【0011】
本発明の更なる側面は、以下の詳細な説明を読み及び理解することにより当業者に理解されるだろう。
【0012】
本発明は、様々な要素及び要素の配列の形式並びに様々なステップ及びステップの配列の形式を取ることができる。図面は、好ましい実施形態を説明するためだけにあり、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な臨床試験フローダイアグラムを示す図である。
図2】第1の例示的な画像標準化技術を示す図である。
図3】第2の例示的な画像標準化技術を示す図である。
図4】被験者に関する共同位置合わせ画像の例を示す図である。
図5】共同位置合わせされた画像を変換する例を示す図である。
図6】臨床試験計画サービスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、例示的な臨床試験フロー図を示す。図示されるフロー図は、臨床試験データの変動性を減少させることにより、増加された臨床試験統計指数又は所与の統計指数に対する減少された臨床試験分布を提供する。
【0015】
ステップ102において、新しい医薬又はデバイスといった臨床試験に関する治療が特定される。臨床試験の計画に関する洞察を得るため、1つ又は複数の事前実験が行われることができる。これは、試験に対する適切な被験者の特性に関する情報(試験分布)、例えば代替的な治療及び/又はプラセボといった比較データ、臨床試験予算等を得ることを含むことができる。
【0016】
ステップ104において、治療仮説が決定される。この仮説は、結果を予測すること、所望の結果を決定すること等を含むことができる。
【0017】
ステップ106において、所望の統計指数が、この試験に関してセットされる。統計指数は、治療の影響を確実に検出する試験の能力の定量的尺度を提供する。
【0018】
ステップ108において、この試験のための画像解析アルゴリズムが統計指数に基づき特定される。例えば、このアルゴリズムは、図2に関連して後述されるように、試験の被験者に関する画像をアフィン的に共同位置合わせし、続いて平均画像に基づき、この共同位置合わせされた画像のそれぞれを定位的に正規化することを含む。別の例において、このアルゴリズムは、図3に関連して後述されるように、被験者に関する画像をアフィン的に共同位置合わせし、続いて基準に基づき、この共同位置合わせされた画像のそれぞれを定位的に正規化することを含む。
【0019】
図2及び図3の手法は、アフィン的に共同位置合わせされた画像を変換するために、単一の推定された非剛直(弾力的な)位置合わせ変換を利用し、及び、そろっていない(共同位置合わせされていない)画像が異なる非剛直(弾力的な)位置合わせを介して個別に変換される構成に対して、所与の試験分布サイズに関する臨床試験の統計指数を改良することができる。なぜなら、図2及び図3の手法は、ポストプロセスされた画像に対して比較的小さい分散を加え、及び従って、臨床試験に関する相対的により高い統計指数を提供するからである。代替的に、試験分布サイズは、所与の統計指数に対して減らされることができる。異なる弾力的な位置合わせを用いて、共同位置合わせされていない画像を個別に変換することは、それほど正確ではなく、処理された画像に対してより多くの変動(ノイズ)を加える。これは、統計指数を減少させる。
【0020】
ステップ110において、試験分布サイズは、統計指数及び解析アルゴリズムに基づき決定される。分布のサイズは一般に、変動性の増加と共に増加し、及び従って図2及び3のアルゴリズムを用いて減少されることができる。
【0021】
ステップ112において、試験の推定コストは、分布サイズの関数として決定される。
【0022】
ステップ114において、推定コストが、試験の目標分布コスト(Tcost)より少ないかどうかが決定される。代替的に、推定コストは、試験の他のコストに加えられ、合計されたコストが、試験予算と比較される。
【0023】
この例において、推定コストが目標コストより大きい場合、試験は行われず、ステップ116においてこのフローは終了する。推定コストが目標コストより少ない場合、試験は進行する。
【0024】
ステップ118において、試験及び代替/制御治療が、被験者に対して実行される。例えば、試験治療が、被験者の第1のグループに対して行われることができる。プラセボは、被験者の第2の異なるグループに投与されることができる。代替的又は追加的に、1つ又は複数の代替的な治療が、1つ又は複数の他のグループに対して行われることができる。
【0025】
ステップ120において、被験者が時間にわたり監視される。ある実施形態において、これは、時間、日、週、月又は年の単位の間の何らかの時間にわたり被験者を周期的にスキャンする又は撮像することを通して画像データを取得することを含む。例えば、1つの例において、試験治療、代替的な治療及び/又はプラセボの投与の前、その間、又はその直後に、被験者に関するベースライン画像が取得される。
【0026】
続いて、そこから生成されるポスト試験治療、代替的な治療及び/又はプラセボ投与画像データ又は画像が、試験期間にわたり得られる。この画像は、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、超音波(US)、他の医療及び/又は非医療画像とすることができる。
【0027】
ステップ122において、各被験者に関して結果として生じる画像は、後述されるように、ステップ108で特定される画像解析アルゴリズムに基づき標準化される。上述されるように、斯かるアルゴリズムの例は、図2及び図3に関連して説明される。画像は、標準化の前及び/又は後に、コンピュータのディスプレイ上に表示されて提示されることができる。
【0028】
ステップ124において、試験の結果が解析される。例えば、これは、コンピュータベースの統計解析を実行することを含む。統計解析は、標準化された画像を介して各被験者に関して時間にわたり関心領域に関する生理的(構造的及び/又は機能的)変化を決定することを含むことができる。これは、時間にわたり各患者に関する画像間の変化を表す値を測定及び記録することを含む。この値は、変化の程度を表すカラー又はグレースケール値といった情報を含むことができる。
【0029】
この値は、1つ又は複数の画像を介して視覚的又は図式的に提示されることができ、及び/又は数字を介して数値的に提示されることができる。特定された変化は、ユーザその他により選択される特定の関心領域に対応することができ、単一のボクセル、複数のボクセル又は全体の画像を含むことができる。表示される画像は、閾値より大きい変化に対応するピクセルだけを示すことができる、閾値より大きな変化に対応するピクセルをハイライト又は他の態様で強調することができる、等とすることができる。
【0030】
ステップ126において、この治療は解析された結果に基づき評価される。例えば、この新しい薬物又はデバイスが、既に使用される標準的な薬物又はデバイスより患者の状態にとってより有効であるかを決定するため、この結果は、特定の種類の患者に関するこの新しい薬物又はデバイスの安全性及び効果、一般に使用される薬物の異なる用量の安全性及び効果、新しい指示に関して既に市場投入される薬物又はデバイスの安全性及び効果等を評価するのに使用されることができる。例えば、差が仮説に基づく差より大きい場合、仮説は採用され、差が仮説に基づく差より小さい場合、仮説は棄却される。
【0031】
図2は、図1のステップ122に関連して使用されることができる例示的な画像標準化技術を示す。この技術は、共同位置合わせされた画像の平均に基づき単一の推定された弾性変換を生成すること、及び共同位置合わせされた画像のそれぞれに対してこの推定された弾性変換を適用することを含む。
【0032】
ステップ202において、各被験者に関する画像は、アフィン位置合わせを用いて互いに共同位置合わせされる。1つの非限定的な例において、これは、基準又はベースライン画像として画像の1つを特定することを含み、他の画像は、この基準画像に対して共同位置合わせされる。基準画像は、時間における最初の画像、時間における最後の画像又はその間における任意の画像とすることができる。基準画像は、ユーザにより手動で選択されることができ、及び/又はコンピュータプロセッサにより実行されるコンピュータ実行可能な命令を介して、自動的に選択されることができる。
【0033】
一般に、共同位置合わせの前は、被験者に関する画像は、互いに対してそろっていない状況にある。位置合わせの間、そこの生体構造が揃えられるよう、画像は、基準画像に対して回転され、及び/又は並進され、及び/又は幾何学的にスケール化される。図4は、一連の3つのそろっていない画像が、共同位置合わせされる例を示す。示される2次元画像は、3次元画像の表現である。この例において、画像402は基準又はベースライン画像として選択され、画像404及び406は共同位置合わせされた画像402、406及び408を生み出すために個別の位置合わせ変換R1及びR2に基づき画像402と位置合わせされる。
【0034】
図2に戻り、ステップ204において、平均画像が生成される。平均画像は、共同位置合わせされた画像の平均であり、共同位置合わせされた画像を合計し、合計された画像の総数により合計を割ることにより生成されることができる。ステップ206において、定位的な正規化弾性変換が、平均画像及び関心生体構造のモデルに基づき生成される。例えば、この変換は、平均画像及び関心生体構造モデルの間のマッピングを表す。適切な変換は、既知の生体構造位置に各画像ピクセルをマッピングする。
【0035】
ステップ208において、弾力的な変換は、共同位置合わせされた画像の各々に適用される。この変換は、モデルにフィットするよう、共同位置合わせされた画像の各々を弾性的に変換する又はゆがめる。
【0036】
図5は、標準化された画像506を生成するため共同位置合わせされた画像502が変換504を用いて変換される例を示す。この例において、変換504は、テンプレート画像508に基づかれる。
【0037】
結果として生じる定位的に正規化された共同位置合わせ画像は、ステップ124に関連して上述されたように解析されることができる。
【0038】
図3は、図1のステップ122に関連して使用されることができる例示的な画像標準化技術を示す。この技術は、基準又はベースラインの共同位置合わせ画像に基づき単一の推定された弾性変換を生成すること、及び共同位置合わせされた画像に対してこの推定された弾性変換を適用することを含む。
【0039】
ステップ202に類似するステップ302において、被験者に関する画像が、剛性位置合わせを用いて互いに共同位置合わせされる。
【0040】
ステップ304において、画像の1つが、定位正規化変換を生成するために用いられる。この画像は、共同位置合わせに関する基準画像又は異なる画像とすることができる。上述されるように、この変換は、画像及び生体構造モデルの間のマッピングを表す。変換を生成するために時間における最初の画像が用いられる場合、ステップ302及び304は、順番が交換されることができる点に留意されたい。即ち、同じ被験者の各追加的な画像に関して、最初にステップ304、次にステップ302とすることができる。
【0041】
ステップ306において、各共同位置合わせされた画像が、同じ定位正規化変換を介して変換される。例えば一旦全ての画像が取得されるか、又は順次的に画像が得られるにつれ、共同位置合わせされた画像は並列に変換されることができる。
【0042】
結果として生じる定位的に正規化された共同位置合わせ画像は、ステップ124に関連して上述されるように解析されることができる。
【0043】
図2の手法は一般に、図3の手法に対して、より高い統計指数を提供する。しかしながら、弾性変換が生成された後、被験者に関する追加的な画像が取得される場合、この変換は後に取得される画像を考慮するよう再計算される。
【0044】
本書において述べられるように、図2及び図3の手法は、測定における変動性を減らすことを介して統計指数を改良することにより、試験分布サイズ及び従って試験コストを減らすことを容易にすることができる。以下は、非限定的な例を提供する。両側有意水準(「p値」)が0.05であると仮定すると、統計指数要件は0.8であり、等しいサイズの2つのグループ間の仮定された効果の大きさは10%である。また、中間結果尺度が0.01である(=>delta=0.001)と仮定すると、図2及び図3の手法を用いた標準偏差は0.014であり、画像が共同位置合わせされず、各画像がそれ自身の変換を用いて個別に変換されるような手法を用いた標準偏差は0.015である。図2及び図3の手法に関して近似された分布サイズは、3078であるが、他の手法に関して近似された分布サイズは、3533である。従って、図2及び図3の手法を用いることは、他の手法と比べて試験分布サイズを減らす。
【0045】
当業者であれば、本書において説明される様々な技術がコンピュータプロセッサにアクセス可能なコンピュータ可読ストレージ媒体に格納されるコンピュータ可読命令を用いて実現されることができる点を理解されるであろう。実行されるとき、この命令は、プロセッサが上述された技術を実行することをもたらす。この媒体は、プロセッサに対してローカルである必要がない点に留意されたい。この命令は、例えばインターネットといった通信ネットワークを介してダウンロードされることができるか、又は他の態様でアクセスされることができる。適切なネットワーク又は他の媒体を介して転送されるスキャンデータを用いて、関連するコンピュータは、撮像システムから離れた位置に配置されることもできる。
【0046】
図6は、例示的な臨床試験計画サービスを示す。示されるように、臨床試験クライアント602は、サービス部604に臨床試験情報を提供する。これは、臨床試験情報に基づき臨床試験のコストを推定する。図示される例において、クライアント602及びサービス部604は、例えばインターネット、イントラネット等といったコンピュータネットワーク610を通り、有線又は無線を介して電子的に通信する。サービス604は、申し込みベース又は他の態様ベースとすることができる。
【0047】
臨床試験クライアント602は、経理又は会計クライアント、又は臨床試験が実行されるかどうかを決定する又は影響を与えることができる他のクライアントとすることができる。例えば、臨床試験クライアント602は、例えば所望の臨床試験統計指数、データを分析するために使用されるアルゴリズム、及び/又はアルゴリズムに伴う既知の変動といった情報を提供する。このアルゴリズムは、例えば上記の図1図3に関連して説明される統計指数強化アルゴリズムとすることができる。
【0048】
この情報は、臨床試験分布決定部606に提供される。これは、所望の統計指数、データを分析するために使用されるアルゴリズム及び/又は既知の変動に基づき、試験に関する分布を推定する。コスト推定器608は、試験分布の関数として試験のコストを推定する。推定コストを示す信号が、サービス部604により臨床試験クライアント602に提供される。推定コストは、例えば解析アルゴリズムが原因でより大きな統計指数を持つ臨床試験に関する推定コスト、及び解析アルゴリズムが原因で所望の統計指数での減らされた分布を持つ臨床試験に関する推定コストといった変形例を含むことができる。
【0049】
別の実施形態では、臨床試験クライアント602は、例えば所望の臨床試験統計指数及び試験分布に関して割り当てられる予算といった情報を提供し、サービス部604は、この情報に基づき適切なアルゴリズム及び/又は推定された分布サイズを決定する。サービス部604は、適切なアルゴリズム及び/又は推定された分布サイズを示す1つ又は複数の信号をクライアント602に提供する。この実施形態では、コスト推定器608は省略されることができる。
【0050】
本発明が、様々な実施形態を参照して説明された。本書の記載を読めば、第三者は、修正及び変形を思いつくことができる。それらの修正及び変形が添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、本発明は、すべての斯かる修正及び変形を含むものとして構築されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6