特許第5775833号(P5775833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775833報酬管理システム、報酬管理サーバ、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775833
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】報酬管理システム、報酬管理サーバ、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20150820BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20150820BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q30/02 140
   G06F13/00 540P
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-34669(P2012-34669)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-171418(P2013-171418A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】村田 龍俊
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−007833(JP,A)
【文献】 特表2009−505211(JP,A)
【文献】 特開2007−293704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザをノードで表し、直接関係のあるユーザ同士の関係をエッジで表して、ユーザ間の繋がりを無向グラフで表現するコネクションサービスにおける報酬を管理する報酬管理システムであって、
コネクションサービスの前記直接関係のあるユーザ同士の対称性のある関連性を示すユーザ関連性情報を記憶するユーザ関連性情報記憶手段と、
被紹介者と紹介者との繋がりの問合せを受け付けると、前記ユーザ関連性情報を検索し、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりである前記無向グラフにおける最短経路を特定する繋がり特定手段と、
前記被紹介者と前記紹介者との繋がりに基づいて複数の報酬受取者を決定する報酬受取者決定手段と、
前記被紹介者、前記紹介者及び前記報酬受取者のリストを示す報酬管理情報を記憶する報酬管理情報記憶手段と、
を具備し、
前記報酬受取者決定手段は、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりの階層数に対して予め報酬受取者数が定められており、前記紹介者から数えて各階層の前記コネクションサービスのユーザを順位付けして、前記報酬受取者数までの前記コネクションサービスのユーザを前記報酬受取者と決定する
報酬管理システム。
【請求項2】
前記報酬受取者決定手段は、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりの階層数が予め定められる前記報酬受取者数よりも少ない場合であっても、前記報酬受取者が受け取る合計の報酬率を定率とする
請求項1に記載の報酬管理システム。
【請求項3】
ユーザをノードで表し、直接関係のあるユーザ同士の関係をエッジで表して、ユーザ間の繋がりを無向グラフ構造で表現するコネクションサービスにおける報酬を管理する報酬管理サーバであって、
コネクションサービスの前記直接関係のあるユーザ同士の対称性のある関連性を示すユーザ関連性情報を記憶するユーザ関連性情報記憶手段と、
被紹介者と紹介者との繋がりの問合せを受け付けると、前記ユーザ関連性情報を検索し、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりである前記無向グラフにおける最短経路を特定する繋がり特定手段と、
前記被紹介者と前記紹介者との繋がりに基づいて複数の報酬受取者を決定する報酬受取者決定手段と、
前記被紹介者、前記紹介者及び前記報酬受取者のリストを示す報酬管理情報を記憶する報酬管理情報記憶手段と、
を具備し、
前記報酬受取者決定手段は、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりの階層数に対して予め報酬受取者数が定められており、前記紹介者から数えて各階層の前記コネクションサービスのユーザを順位付けして、前記報酬受取者数までの前記コネクションサービスのユーザを前記報酬受取者と決定する
報酬管理サーバ。
【請求項4】
コンピュータを請求項記載の報酬管理サーバとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SNS(Social Network Service)などのユーザ間の繋がりを考慮したアフィリエイトなどの報酬を管理する報酬管理システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インターネットにおいて、アフィリエイトプログラム(以下、単に「アフィリエイト」と表記する。)と呼ばれる広告が利用されている。成功報酬型のアフィリエイトは、消費者(ウェブサイトの閲覧者)が、あるウェブサイトに設置される広告を閲覧し、広告主の商品等を購入すると、生じる利益に応じて広告掲載者(ウェブサイトの管理者)に成功報酬を与えるというものである。一般的なアフィリエイトでは、広告掲載者を特定する識別子がURL中に埋め込まれている。消費者が広告(バナー広告やブログパーツ等)をクリックすると、識別子が広告代理店(アフィリエイトサービスプロバイダ)に送信され、記録される。そして、消費者が商品等を購入すると、広告掲載者に成功報酬が支払われる。
【0003】
近年、アフィリエイトはSNSでも実現できる。SNSではユーザ同士に一定の信頼関係があるので、口コミ効果が高い。例えば、特許文献1には、SNSに参加するユーザ同士の関係性を表すソーシャルグラフを生成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−170471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、SNSに対して従来のアフィリエイトの仕組みを単純に導入すると、SNS特有の口コミ効果を正確に評価することができない。SNS特有の口コミ効果とは、直接の友達が推薦する商品だけでなく、友達の友達が推薦する商品も購入する可能性が多いことである。
【0006】
図7は、ソーシャルグラフ100を示す図である。ソーシャルグラフ100は、あるSNSの参加者の関係性を表す図である。A〜Fは、SNSの参加者である。Cは、あるEC(Electronic Commerce)サイトで販売される商品の広告を掲載している広告掲載者である。Aは、Cが掲載する広告を閲覧し、ECサイトで商品を購入する購入者である。この場合、従来のアフィリエイトの仕組みでは、広告掲載者Cのみに報酬が支払われる。しかし、購入者Aが広告掲載者Cの広告を閲覧するきっかけは、共通の友達Bである。つまり、広告掲載者Cと同様、共通の友達Bも購入者Aの消費行動に影響を与えている。このことを正しく評価すると、共通の友達Bにも一定の報酬を支払うことが妥当である。
【0007】
また、SNS特有の口コミ効果と同様の効果を有するものとして、企業の会員カード(例えば、航空会社のマイレージカード)などの発行において、家族や友達などを紹介する制度(=会員紹介制度)がある。会員紹介制度においても、紹介者の他に入会行動に影響を与えている者(例えば、紹介者の紹介者)が存在する場合には、その者にも一定の報酬を支払うことが妥当である。
【0008】
以下、このような会員紹介制度やSNSを含めて、ユーザ間の繋がりを前提とし、一部のユーザに報酬を支払うサービスを「コネクションサービス」と表記する。また、会員紹介制度における会員やSNSユーザを含めて、コネクションサービスにおける顧客を「コネクションサービスユーザ」と表記する。また、広告の掲載者や会員の紹介者を総称して、「紹介者」と表記する。また、商品の購入者や、紹介されて新たに会員になる者を総称して、「被紹介者」と表記する。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、コネクションサービスの口コミ効果を正確に評価し、コネクションサービスにおける報酬を適切に管理することができる報酬管理システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための第1の発明は、ユーザをノードで表し、直接関係のあるユーザ同士の関係をエッジで表して、ユーザ間の繋がりを無向グラフで表現するコネクションサービスにおける報酬を管理する報酬管理システムであって、コネクションサービスの前記直接関係のあるユーザ同士の対称性のある関連性を示すユーザ関連性情報を記憶するユーザ関連性情報記憶手段と、被紹介者と紹介者との繋がりの問合せを受け付けると、前記ユーザ関連性情報を検索し、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりである前記無向グラフにおける最短経路を特定する繋がり特定手段と、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりに基づいて複数の報酬受取者を決定する報酬受取者決定手段と、前記被紹介者、前記紹介者及び前記報酬受取者のリストを示す報酬管理情報を記憶する報酬管理情報記憶手段と、を具備し、前記報酬受取者決定手段は、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりの階層数に対して予め報酬受取者数が定められており、前記紹介者から数えて各階層の前記コネクションサービスのユーザを順位付けして、前記報酬受取者数までの前記コネクションサービスのユーザを前記報酬受取者と決定する報酬管理システムである。第1の発明によって、コネクションサービス特有の口コミ効果を正確に評価し、コネクションサービスの報酬を適切に管理することができる。また、被紹介者と紹介者との繋がりを正確に評価することができ、ひいては、コネクションサービスの報酬を適切に管理することができる。
【0012】
また、第1の発明における前記報酬受取者決定手段は、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりの階層数が予め定められる前記報酬受取者数よりも少ない場合であっても、前記報酬受取者が受け取る合計の報酬率を定率とする。これによって、報酬率が一定となり、経理処理が容易となる。
【0013】
第2の発明は、ユーザをノードで表し、直接関係のあるユーザ同士の関係をエッジで表して、ユーザ間の繋がりを無向グラフ構造で表現するコネクションサービスにおける報酬を管理する報酬管理サーバであって、コネクションサービスの前記直接関係のあるユーザ同士の対称性のある関連性を示すユーザ関連性情報を記憶するユーザ関連性情報記憶手段と、被紹介者と紹介者との繋がりの問合せを受け付けると、前記ユーザ関連性情報を検索し、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりである前記無向グラフにおける最短経路を特定する繋がり特定手段と、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりに基づいて複数の報酬受取者を決定する報酬受取者決定手段と、前記被紹介者、前記紹介者及び前記報酬受取者のリストを示す報酬管理情報を記憶する報酬管理情報記憶手段と、を具備し、前記報酬受取者決定手段は、前記被紹介者と前記紹介者との繋がりの階層数に対して予め報酬受取者数が定められており、前記紹介者から数えて各階層の前記コネクションサービスのユーザを順位付けして、前記報酬受取者数までの前記コネクションサービスのユーザを前記報酬受取者と決定する報酬管理サーバである。第2の発明によって、コネクションサービス特有の口コミ効果を正確に評価し、コネクションサービスにおけるアフィリエイトの報酬を適切に管理することができる。
【0014】
第3の発明は、コンピュータを第2の発明の報酬管理サーバとして機能させるためのプログラムである。第3の発明のプログラムを汎用のコンピュータにインストールすることによって、第2の発明の報酬管理サーバを得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、コネクションサービス特有の口コミ効果を正確に評価し、コネクションサービスの報酬を適切に管理することができる報酬管理システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】報酬管理システム1の概要を示す図
図2】報酬管理サーバ2、SNSサーバ3、ECサーバ4、端末5のハードウエア構成図
図3】ソーシャルグラフ20を示す図
図4】ユーザ関連性情報30を示す図
図5】報酬管理処理の流れを示すフローチャート
図6】報酬管理情報40を示す図
図7】ソーシャルグラフの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、コネクションサービスの一例として、SNS(Social Network Service)におけるアフィリエイトを例に説明する。SNS(Social Network Service)は、人的ネットワークをインターネット上で構築するサービスである。EC(Electronic Commerce)サイトは、インターネット上での電子的な情報通信によって商品やサービスを売買するウェブサイトである。広告掲載者は、ECサイトで販売される商品の広告を掲載し、アフィリエイトの報酬を受け取る者である。購入者は、広告掲載者の広告を閲覧し、ECサイトで商品を購入する者である。報酬は、商品の購入金額に比例して得られる広告の対価である。
【0018】
図1は、報酬管理システム1の概要を示す図である。図1に示すように、報酬管理システム1は、報酬管理サーバ2、SNSサーバ3、ECサーバ4及び端末5等が、ネットワーク6を介して接続されている。
【0019】
報酬管理サーバ2は、SNSにおけるアフィリエイトの報酬を管理するサーバである。SNSサーバ3は、SNSを管理するサーバである。ECサーバ4は、ECサイトを管理するサーバである。端末5は、SNSユーザが利用するコンピュータである。
【0020】
報酬管理サーバ2、SNSサーバ3及びECサーバ4は、典型的には、サーバ用OS(Operating
System)やDBMS(DataBase Management System)等がインストールされている1又は複数のコンピュータによって構成される。端末5は、デスクトップ型PC(Personal Computer)、ノート型PC、スマートフォン、タブレット型端末、携帯電話端末、ゲーム端末等、様々なコンピュータが考えられる。
【0021】
ECサーバ4は、従来のアフィリエイトの仕組みを備えている。広告掲載者が商品の広告を掲載するウェブページには、広告掲載者を特定する識別子が埋め込まれている。購入者が広告(バナー広告やブログパーツ等)を選択すると、端末5が広告に関する商品のページをECサーバ4に要求する。ECサーバ4に送信される情報には、広告掲載者を特定する識別子が含まれている。ECサーバ4は、購入者が商品を購入すると、購入者、広告掲載者及び商品の購入金額等を報酬管理サーバ2に送信する。
【0022】
SNSサーバ3は、SNSユーザ同士の関連性を示すユーザ関連性情報を記憶する。また、SNSサーバ3は、報酬管理サーバ2から、ECサーバ4における商品の購入者と購入者が閲覧した広告の広告掲載者との繋がりの問合せを受け付けると、ユーザ関連性情報を検索し、購入者と広告掲載者との繋がりを返答する。
【0023】
報酬管理サーバ2は、ECサーバ4から、購入者、広告掲載者及び購入金額を受け付けると、SNSサーバ3に購入者と広告掲載者との繋がりを問い合わせる。また、報酬管理サーバ2は、SNSサーバ3から、購入者と広告掲載者との繋がりを受け付けると、購入者と広告掲載者との繋がりに基づいて複数の報酬受取者を決定する。また、報酬管理サーバ2は、購入者、広告掲載者、購入金額及び報酬受取者のリストを示す報酬管理情報を記憶する。
【0024】
図2は、報酬管理サーバ2、SNSサーバ3、ECサーバ4、端末5のハードウエア構成図である。尚、図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0025】
報酬管理サーバ2、SNSサーバ3、ECサーバ4、端末5を実現するコンピュータは、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14、通信制御部15等が、バス16を介して接続される。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス16を介して接続された各装置を駆動制御し、コンピュータが行う後述する処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部12、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部11が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0027】
記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリであり、制御部11が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0028】
入力部13は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。ユーザは、入力部13を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。表示部14は、液晶パネル、有機EL等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。尚、入力部13及び表示部14は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。
【0029】
通信制御部15は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク9間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク9を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。ネットワーク9は、有線、無線を問わない。バス16は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0030】
図3は、ソーシャルグラフ20を示す図である。ソーシャルグラフ20は、SNSサーバ3が管理するSNSのユーザ同士の関係性を表す図である。ソーシャルグラフ20は、SNSユーザを「ノード」(節点)、SNSユーザ2人の繋がりを「エッジ」(枝)によって表現するグラフ構造を有している。A〜Fは、SNSユーザである。A及びB、A及びD、A及びE、B及びC、B及びE、並びにC及びFは、それぞれ、友達同士や家族同士等である。
【0031】
C、E及びFは、ECサーバ4が管理するECサイトで販売される商品の広告を掲載している広告掲載者である。Aは、C、E及びFが掲載する広告を閲覧し、ECサイトで商品を購入する購入者である。以下では、図3に示すユーザ同士の関係性を例にして、報酬管理システム1の詳細を説明する。
【0032】
図4は、ユーザ関連性情報30を示す図である。図4は、図3のソーシャルグラフ20におけるエッジ(SNSユーザ2人の繋がり)を示している。図4に示すように、ユーザ関連性情報30は、例えば、第1ユーザ31、第2ユーザ32、関係33等の項目を有する。第1ユーザ31及び第2ユーザ32は、SNSユーザである。関係33は、第1ユーザ31及び第2ユーザ32の人間関係を示している。
【0033】
例えば、「A」及び「B」は「仲の良い友達」である。図4の例では、人間関係の種類が「仲の良い友達」、「家族」、「友達」の3種類である。人間関係の種類は、図4の例に限定されるものではなく、「同級生」、「同僚」、「近所」、「サークル」等、様々な例が考えられる。
【0034】
図5は、報酬管理処理の流れを示すフローチャートである。以下では、端末5は、購入者(図3の例であれば「購入者A」)が利用するものとする。端末5が、購入者の指示に従い、広告掲載者のページを表示し(S1)、商品のページをECサーバ4に要求する(S2)。S2における要求には、商品のページの所在情報の他、広告掲載者の情報も含まれる。
【0035】
ECサーバ4は、端末5から要求を受け付けると、広告掲載者を記憶し(S3)、要求されている商品のページを端末5に送信する(S4)。
【0036】
端末5及びECサーバ4は、商品の購入処理を行う(S5及びS6)。ECサイトにおける商品の購入処理は公知の技術を用いれば良い。
【0037】
商品の購入処理が終了すると、ECサーバ4は、購入者、広告掲載者及び購入金額を報酬管理サーバ2に送信する(S7)。この時点では、購入者と広告掲載者の繋がりは不明である。
【0038】
報酬管理サーバ2は、ECサーバ4から、購入者、広告掲載者及び購入金額を受け付けると、購入者と広告掲載者の繋がりをSNSサーバ3に問い合わせる(S8)。尚、当然ながら、購入者や広告掲載者は、事前に報酬管理サーバ2への情報提供に同意しているものとする。ここで提供される情報は、氏名や年齢など個人を特定可能な情報ではなく、SNSユーザ同士の繋がりのみである。
【0039】
SNSサーバ3は、報酬管理サーバ2から、購入者と広告掲載者の繋がりの問合せを受け付けると、ユーザ関連性情報を検索し、購入者と広告掲載者の繋がりを特定する(S9)。
【0040】
図3の例を用いて説明する。繋がりの経路は最短経路を考えるものとする。例えば、購入者Aが広告掲載者Cの広告を閲覧し、商品を購入した場合、購入者Aと広告掲載者Cの繋がりは、「A->B->C」である。また、購入者Aが広告掲載者Eの広告を閲覧し、商品を購入した場合、購入者Aと広告掲載者Eの繋がりは、「A->E」である。また、購入者Aが広告掲載者Fの広告を閲覧し、商品を購入した場合、購入者Aと広告掲載者Fの繋がりは、「A->B->C->F」である。
【0041】
SNSサーバ3は、購入者と広告掲載者の繋がりを特定すると、購入者と広告掲載者の繋がりを報酬管理サーバ2に送信する(S10)。
【0042】
報酬管理サーバ2は、SNSサーバ3から、購入者と広告掲載者の繋がりを受け付けると、報酬受取者を決定し、報酬管理情報を記録する(S11)。
【0043】
図6は、報酬管理情報40を示す図である。図6は、図3のソーシャルグラフ20を前提とするアフィリエイトの報酬を示している。図6に示すように、報酬管理情報40は、例えば、購入者41、広告掲載者42、購入金額43、第1報酬受取者44及び第2報酬受取者45等の項目を有する。購入者41は、ECサイトの商品を購入した者である。購入金額43は、ECサイトの商品の金額である。第1報酬受取者44及び第2報酬受取者45は、購入者41が商品を購入したことの対価として報酬を受け取る者である。
【0044】
第1報酬受取者44は、広告掲載者であり、第2報酬受取者45よりも報酬が多いものとする。例えば、第1報酬受取者44の報酬率がa%、第2報酬受取者45の報酬率がb%とすると、a>bである。
【0045】
以下では、図3及び図6を参照しながら、報酬管理サーバ2による、報酬受取者を決定する処理について説明する。報酬管理サーバ2は、予め所定の報酬受取者数を記憶しておく。以下の例では、所定の報酬受取者数を「2」として説明する。所定の報酬受取者数は、報酬管理情報40に記憶される報酬受取者の数と同じである。
【0046】
<パターン1:購入者と広告掲載者との繋がりの階層数と所定の報酬受取者数が一致する場合>
報酬管理サーバ2は、購入者と広告掲載者との繋がりの階層数と所定の報酬受取者数が一致する場合、購入者と広告掲載者との繋がりに含まれる全てのSNSユーザを報酬受取者と決定する。
【0047】
図3の例において、購入者Aが広告掲載者Cの広告を閲覧し、商品を購入した場合、購入者Aと広告掲載者Cの繋がりは「A->B->C」である。つまり、購入者Aと広告掲載者Cとの繋がりの階層数は「2」である。これは、所定の報酬受取者数と一致する。従って、報酬管理サーバ2は、購入者Aと広告掲載者Cとの繋がりに含まれる「SNSユーザB」及び「SNSユーザC」の2人を報酬受取者と決定する。
【0048】
パターン1の場合、報酬管理サーバ2は、第1報酬受取者44を「SNSユーザC」、第2報酬受取者45を「SNSユーザB」とし、報酬管理情報40を記憶する。
【0049】
<パターン2:購入者と広告掲載者との繋がりの階層数が所定の報酬受取者数よりも少ない場合>
報酬管理サーバ2は、購入者と広告掲載者との繋がりの階層数が所定の報酬受取者数よりも少ない場合であっても、報酬受取者が受け取る合計の報酬率を定率とする。これによって、ECサイトが支払う報酬率も一定となり、経理処理が容易となる。
【0050】
図3の例において、購入者Aが広告掲載者Eの広告を閲覧し、商品を購入した場合、購入者Aと広告掲載者Fの繋がりは「A->E」である。つまり、購入者Aと広告掲載者Fとの繋がりの階層数は「1」である。これは、所定の報酬受取者数よりも少ない。従って、報酬管理サーバ2は、購入者Aと広告掲載者Cとの繋がりに含まれる「SNSユーザE」の1人を報酬受取者と決定するとともに、「SNSユーザE」が第1報酬受取者44の報酬率及び第2報酬受取者45の報酬率の両方を受け取るものと決定する。
【0051】
パターン2の場合、報酬管理サーバ2は、第1報酬受取者44を「SNSユーザE」、第2報酬受取者45を「SNSユーザE」とし、報酬管理情報40を記憶する。
【0052】
<パターン3:購入者と広告掲載者との繋がりの階層数が所定の報酬受取者数よりも多い場合>
報酬管理サーバ2は、購入者と広告掲載者との繋がりの階層数が所定の報酬受取者数よりも多い場合、広告掲載者から数えて各階層のSNSユーザを順位付けして、所定の報酬受取者数までのSNSユーザを報酬受取者と決定する。
【0053】
図3の例において、購入者Aが広告掲載者Fの広告を閲覧し、商品を購入した場合、購入者Aと広告掲載者Fの繋がりは「A->B->C->F」である。つまり、購入者Aと広告掲載者Fとの繋がりの階層数は「3」である。これは、所定の報酬受取者数よりも多い。従って、報酬管理サーバ2は、購入者Aと広告掲載者Fとの繋がりに含まれる「SNSユーザB」、「SNSユーザC」及び「SNSユーザF」の3人に対して、広告掲載者FであるSNSユーザFを第1位、次に繋がるSNSユーザCを第2位、次に繋がるSNSユーザBを第3位と順位付けして、第2位までの「SNSユーザF」及び「SNSユーザC」の2人を報酬受取者と決定する。
【0054】
パターン3の場合、報酬管理サーバ2は、第1報酬受取者44を「SNSユーザF」、第2報酬受取者45を「SNSユーザC」とし、報酬管理情報40を記憶する。
【0055】
尚、所定の報酬受取者数は「2」に限らず、「3」以上であっても良い。但し、報酬受取者数は上限を設けることが望ましい。報酬受取者数に上限を設けないと、SNS特有の口コミ効果を正確に評価することができず、ひいてはSNSにおけるアフィリエイトの報酬を適切に管理することができないからである。例えば、購入者と広告掲載者との繋がりの階層数が膨大な場合、購入者がその繋がりを辿って広告掲載者のページに到達するとは限らない。つまり、報酬受取者数に上限を設けることによって、購入者と広告掲載者との繋がりを正確に評価することができると言える。尚、報酬受取者数の上限は、各SNSが有する機能に応じて適宜決定することが望ましい。
【0056】
以上の通り、本発明の実施形態における報酬管理システム1によれば、SNS特有の口コミ効果を正確に評価し、SNSにおけるアフィリエイトの報酬を適切に管理することができる。特に、広告掲載者だけではなく、購入者が広告掲載者の広告を閲覧するきっかけを与えた共通の友達に対しても、報酬を支払う仕組みになっているので、購入者の消費行動に影響を与えた者を正しく評価していると言える。
【0057】
上記の説明ではSNSにおけるアフィリエイトを例にしたが、本発明は、会員カードの会員紹介制度など、その他のコネクションサービス(=ユーザ間の繋がりを前提とし、一部のユーザに報酬を支払うサービス)に適用することも可能である。例えば、会員カードの会員紹介制度に適用する場合、図1に示す報酬管理サーバ2、SNSサーバ3及びECサーバ4は、全て同一の企業体によって管理されることが多い。従って、報酬管理サーバ2、SNSサーバ3及びECサーバ4の機能は、論理的には単一のサーバ(物理的には複数のコンピュータでも良い。)によって提供されても良い。
【0058】
会員紹介制度に適用する場合の報酬管理サーバは、SNSユーザの関連を管理することに代えて、紹介済の会員の繋がりを、図2に示すユーザ関連性情報30として管理する。また、報酬管理サーバは、商品などの販売サービスを提供することに代えて、会員の入会サービスを提供する。そして、報酬管理サーバは、報酬管理サーバ2に相当する機能を提供する。
【0059】
つまり、本発明は、コネクションサービスの報酬を管理する報酬管理システムである。報酬管理システムにおける報酬管理サーバは、コネクションサービスユーザ同士の関連性を示すユーザ関連性情報を記憶する。報酬管理サーバは、被紹介者と紹介者との繋がりの問合せを受け付けると、ユーザ関連性情報を検索し、被紹介者と紹介者との繋がりを特定する。報酬管理サーバは、被紹介者と紹介者との繋がりに基づいて複数の報酬受取者を決定する。報酬管理サーバは、被紹介者、紹介者及び報酬受取者のリストを示す報酬管理情報を記憶する。これによって、コネクションサービスの口コミ効果を正確に評価し、コネクションサービスにおける報酬を適切に管理することができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る報酬管理システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0061】
1………報酬管理システム
2………報酬管理サーバ
3………SNSサーバ
4………ECサーバ
5………端末
6………ネットワーク
20、100………ソーシャルグラフ
30………ユーザ関連性情報
40………報酬管理情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7