特許第5775858号(P5775858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775858
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】コークス炉のドアクリーナ
(51)【国際特許分類】
   C10B 43/08 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   C10B43/08
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-245660(P2012-245660)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-94991(P2014-94991A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄住金テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】荒木 慎平
(72)【発明者】
【氏名】上田 三千洋
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−192663(JP,A)
【文献】 特開2006−036838(JP,A)
【文献】 実開平05−010439(JP,U)
【文献】 特開2001−115164(JP,A)
【文献】 特開昭53−022502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の押出側又は排出側を該コークス炉の長手方向に沿って走行するコークス炉作業車両に設けられ、前記コークス炉の複数の炭化室の端部にそれぞれ設けた炉口に取付ける炉蓋の外側金物の内面の外周部に沿って環状に形成されたガス道、及び該ガス道の内側部から突出して前記外側金物に設けられた耐火物部材の側部にそれぞれ付着した付着物を除去するコークス炉のドアクリーナであって、
前記コークス炉作業車両に設けられ、前記炉口から外されて該コークス炉作業車両上の予め設定された載置場所に立設された前記炉蓋の内面に沿って上下方向に移動する移動台車と、
前記移動台車の左右両側に設けられ、それぞれの軸心方向が前記載置場所に立設された前記炉蓋の内面に直交する第1、第2の取付け軸と、
前記第1、第2の取付け軸に回動可能に取付けられた第1、第2のアーム部材と、
前記第1、第2のアーム部材を連結し、該第1、第2のアーム部材を同期して互いに対称に回動させる駆動手段と、
前記第1、第2のアーム部材の先側にそれぞれ設けられ、前記ガス道及び前記耐火物部材の側部に付着した前記付着物に高圧水を噴射して該付着物を除去する噴出ノズル手段と
前記載置場所に立設された前記炉蓋の前記耐火物部材の2等縦分割面上にあって、該耐火物部材に隙間を有して対向配置された柱部材とを有し、前記移動台車は、該柱部材にガイドされて上下方向に移動し、しかも、前記炉蓋の内面の上部側に設定した上部クリーニング位置より上方の待機位置まで上昇可能であることを特徴とするコークス炉のドアクリーナ。
【請求項2】
請求項記載のコークス炉のドアクリーナにおいて、前記移動台車の高さ位置の検出は、基準値からの距離を測定する検出器によることを特徴とするコークス炉のドアクリーナ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコークス炉のドアクリーナにおいて、前記駆動手段は、前記第1、第2のアーム部材に取付けられて、該第1、第2のアーム部材を開閉する流体圧シリンダと、前記第1、第2のアーム部材の一方に取付けられて、該第1、第2のアーム部材を左右対称に動かすバランスウエイトとを有することを特徴とするコークス炉のドアクリーナ。
【請求項4】
請求項記載のコークス炉のドアクリーナにおいて、前記流体圧シリンダの制御部は、流体圧力の変化速度を任意に調整可能であることを特徴とするコークス炉のドアクリーナ。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス炉のドアクリーナにおいて、前記噴出ノズル手段は、油圧モータによって回転する複数のノズルを有していることを特徴とするコークス炉のドアクリーナ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス炉のドアクリーナにおいて、前記第1、第2のアーム部材の先側には、更に、前記耐火物部材の左右の側部の先側にそれぞれ当接する第1、第2のローラを回転自在に保持する第1、第2のロッド部材がそれぞれ取付けられていることを特徴とするコークス炉のドアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉作業車両(コークス炉の押出機又はガイド車)に設けられて、コークス炉の各炭化室に取付ける炉蓋の内面(ガス道及び耐火物部材の側部)に付着したタール等の付着物を除去(洗浄)するコークス炉のドアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉の各炭化室では操業時にタール成分を含んだガスが発生し、発生したガスの一部は、炭化室の押出側及び排出側の各炉口に取付けられた炉蓋との隙間から外部に漏れ出す。そして、ガスが炉蓋との隙間を通過する際、ガスは冷却され、ガス中のタール成分はタールとなって炉蓋の内面に付着する。そして、炉蓋へのタールの付着が進行し、付着したタールに更に炭素粉等の粉塵が付着して厚みが増大すると、炉蓋による炉口の密閉性が低下することになって、炭化室からのガス漏れが更に顕著になると共に、操業中に炭化室内への空気の進入が起こり、コークス炉の操業に支障をきたすという問題が生じる。そこで、炭化室から赤熱コークスを排出させるために炉蓋を取外した際、炉蓋の内面(即ち、炉蓋の外側金物の内面の外周部に沿って環状に形成されたガス道及びガス道の内側部から突出して外側金物に設けられた耐火煉瓦部分)の付着物に、例えば、高圧水を噴射して付着物を除去するドアクリーナをコークス炉作業車両に設けている。
【0003】
ここで、炉蓋に付着した付着物の除去は、炉口を開放し赤熱コークスの押出しを開始してから赤熱コークスの排出が完了するまでの限られた時間内で行わなければならないという制約がある。このため、ドアクリーナは、例えば、炉蓋の内面の上部側の付着物を除去する上面クリーナと、炉蓋の内面の側部の付着物を除去する側面クリーナ(例えば、特許文献1参照)と、炉蓋の内面の下部側の付着物を除去する下面クリーナ(例えば、特許文献2参照)の3つの装置から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−165445号公報
【特許文献2】特開昭59−108086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、炉蓋のドアクリーナは、上面クリーナ、側面クリーナ及び下面クリーナの3つの装置から構成されているので、各クリーナのメンテナンスに多くの時間を要するという問題がある。また、各クリーナはそれぞれ移動手段と付着物の除去手段を備えるため、ドアクリーナ全体としての部品点数が多くなるため、予備として保管する部品の購入費用、保管場所の確保、在庫状況の把握等の管理負担が増大するという問題も生じる。そして、下面クリーナが設置されるコークス炉作業車両の下部側では、コークス炉操業時に散水する水の飛散落下、コークス炉操業に伴って発生する粉塵の堆積等により悪環境になるため、下面クリーナに使用されている各機器の腐食劣化が激しく、機器の機能不良が発生し易いという問題がある。更に、上、下面クリーナは、コークス炉作業車両上の異なる高さ位置にそれぞれ配置された水平ガイドに沿って移動するので、炉蓋の内面における付着物の付着範囲に応じて上、下面クリーナの上下方向の稼働範囲を変更するには、水平ガイドの機械的な位置調整が必要になる。このため、炉蓋の内面における付着物の付着範囲に応じて、上、下面クリーナの上下方向の稼働範囲を変更することができないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、設備コスト、運転コスト、保守管理コスト及び故障率を低減して、1台で炉蓋の内面の上部、側部及び下部の付着物の除去が可能なコークス炉のドアクリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係るコークス炉のドアクリーナは、コークス炉の押出側又は排出側を該コークス炉の長手方向に沿って走行するコークス炉作業車両に設けられ、前記コークス炉の複数の炭化室の端部にそれぞれ設けた炉口に取付ける炉蓋の外側金物の内面の外周部に沿って環状に形成されたガス道、及び該ガス道の内側部から突出して前記外側金物に設けられた耐火物部材の側部にそれぞれ付着した付着物を除去するコークス炉のドアクリーナであって、
前記コークス炉作業車両に設けられ、前記炉口から外されて該コークス炉作業車両上の予め設定された載置場所に立設された前記炉蓋の内面に沿って上下方向に移動する移動台車と、
前記移動台車の左右両側に設けられ、それぞれの軸心方向が前記載置場所に立設された前記炉蓋の内面に直交する第1、第2の取付け軸と、
前記第1、第2の取付け軸に回動可能に取付けられた第1、第2のアーム部材と、
前記第1、第2のアーム部材を連結し、該第1、第2のアーム部材を同期して互いに対称に回動させる駆動手段と、
前記第1、第2のアーム部材の先側にそれぞれ設けられ、前記ガス道及び前記耐火物部材の側部に付着した前記付着物に高圧水を噴射して該付着物を除去する噴出ノズル手段と
前記載置場所に立設された前記炉蓋の前記耐火物部材の2等縦分割面上にあって、該耐火物部材に隙間を有して対向配置された柱部材とを有し、前記移動台車は、該柱部材にガイドされて上下方向に移動し、しかも、前記炉蓋の内面の上部側に設定した上部クリーニング位置より上方の待機位置まで上昇可能である。
ここで、第1、第2のアーム部材を同期して互いに対称に回動させるとは、第1、第2のアーム部材の先部同士を同時に互いに接近するように、又は先部同士を同時に互いに離れるように回動させることをいう。
【0008】
また、2等縦分割面とは、立設された炉蓋の耐火物部材を正面視して、耐火物部材の左右方向の中心位置を通過して耐火物部材を左右に2等分する平面をいう。
【0009】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、前記移動台車の高さ位置の検出は、基準値からの距離を測定する検出器によることが好ましい。
【0010】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、前記駆動手段は、前記第1、第2のアーム部材に取付けられて、該第1、第2のアーム部材を開閉する流体圧シリンダと、前記第1、第2のアーム部材の一方に取付けられて、該第1、第2のアーム部材を左右対称に動かすバランスウエイトとを有する構成とすることができる。
【0011】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、前記流体圧シリンダの制御部は、流体圧力の変化速度を任意に調整可能であることが好ましい。
【0012】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、前記噴出ノズル手段は、油圧モータによって回転する複数のノズルを有することが好ましい。
【0013】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、前記第1、第2のアーム部材の先側には、更に、前記耐火物部材の左右の側部の先側にそれぞれ当接する第1、第2のローラを回転自在に保持する第1、第2のロッド部材がそれぞれ取付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいては、炉口から取外した炉蓋がコークス炉作業車両上の載置場所に立設配置された場合、駆動手段を操作して第1、第2のアーム部材を回動させ、第1、第2のアーム部材の先部同士が離れるようにすることにより、第1、第2のアーム部材に取付けた噴出ノズル手段が炉蓋の内面の耐火物部材に接触するのを防止でき、移動台車を炉蓋の内面に沿って上下方向に移動させることができる。これにより、噴出ノズル手段の高さ位置を任意に調整することができ、炉蓋の内面の特定の高さ位置に噴出ノズル手段から噴射した高圧水を衝突させることができる。また、第1、第2のアーム部材を回動させると、第1、第2のアーム部材にそれぞれ設けられた噴出ノズル手段の間隔を、炉蓋の内面に平行な面内で増減させることができる。これにより、炉蓋の内面に向けて噴出ノズル手段から高圧水を噴射しながら、第1、第2のアーム部材を回動することにより、炉蓋の内面における高圧水の衝突位置を変化させることができる。
【0015】
従って、移動台車を炉蓋の内面の上部側(外側金物の内面であって耐火物部材の上端より上側の領域)又は下部側(外側金物の内面であって耐火物部材の下端より下側の領域)で停止させ、噴出ノズル手段から高圧水を噴射しながら第1、第2のアーム部材を回動することにより、炉蓋の内面の上部側又は下部側における高圧水の衝突位置を左右方向に沿って大きく移動することができ、炉蓋の内面の上部側又は下部側の付着物に高圧水を衝突させ、その衝撃力により付着物を除去することができる。また、噴出ノズル手段から噴射された高圧水が、炉蓋の内面の側部(左右の外周部に沿ったガス道及び耐火物部材の左右の側部)に衝突するように第1、第2のアーム部材の回動角度位置をそれぞれ設定し、噴出ノズル手段から高圧水を噴射しながら移動台車を上下方向に移動させることにより、炉蓋の内面の上部側と下部側を接続する炉蓋の内面の側部に、上下方向に沿って高圧水を当てることができ、炉蓋の内面の側部の付着物を高圧水の衝撃力により除去することができる。
【0016】
その結果、炉蓋の内面に付着した付着物の除去を、1台のドアクリーナを用いて行うことができ、炉蓋の内面に付着した付着物の除去に上面クリーナ、側面クリーナ及び下面クリーナの3台のクリーナを使用していた従来と比較して、ドアクリーナのメンテナンスに要する時間を大幅に短縮することができる。
また、従来は、上面クリーナ、側面クリーナ及び下面クリーナ毎に予備の部品を調達し保管管理していたが、予備の部品の調達及び保管管理が1台分となるため、部品の購入費用、保管場所の確保や在庫状況の把握等の保管管理の負担を大幅に低減することができる。
更に、移動台車が上下方向に移動可能なため、コークス炉操業時に散水する水の飛散落下や粉塵堆積の激しい場所を避けてドアクリーナを待機することができ、ドアクリーナで使用している各機器の腐食劣化が防止され、ドアクリーナの故障率を低減できる。そして、炉蓋の内面における付着物の付着範囲に応じて、ドアクリーナを最適な場所に容易に移動させることができるので、炉蓋の内面の付着物を確実に除去することができる。
【0017】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、載置場所に立設された炉蓋の耐火物部材の2等縦分割面上にあって、該耐火物部材に隙間を有して対向配置された柱部材を有し、移動台車は、柱部材にガイドされて上下方向に移動するので、炉蓋の内面の左右方向の中心線の両側に第1、第2のアーム部材をそれぞれ配置することができ、第1、第2のアーム部材にそれぞれ設けた噴出ノズル手段から炉蓋の内面に左右両側からそれぞれ高圧水を噴射することができる。
【0018】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、移動台車の高さ位置の検出を、基準値からの距離を測定する検出器にて行う場合、移動台車の現在の高さ位置が検出値から直接把握できるので、炉蓋の内面の上部側の付着物除去作業と炉蓋の内面の側部の付着物除去作業との間の切り替え、炉蓋の内面の下部側の付着物除去作業と炉蓋の内面の側部の付着物除去作業との間の切り替えを容易に行うことができる。
【0019】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、駆動手段が、第1、第2のアーム部材に取付けられて、第1、第2のアーム部材を開閉する流体圧シリンダと、第1、第2のアーム部材の一方に取付けられて、第1、第2のアーム部材を左右対称に動かすバランスウエイトとを有する場合、簡単な構成で、第1、第2のアーム部材を同期して互いに対称に回動させることができ、設備費用の低減とメンテナンスが容易となる。
【0020】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、流体圧シリンダの制御部が、流体圧力の変化速度を任意に調整可能である場合、第1、第2のアーム部材の回動速度を調節することができ、第1、第2のアーム部材間の角度調整時間、高圧水の衝突位置の移動速度をそれぞれ調節することができる。これにより、炉蓋の内面の上部側の付着物除去作業と炉蓋の内面の側部の付着物除去作業との間の切り替え時間、炉蓋の内面の下部側の付着物除去作業と炉蓋の内面の側部の付着物除去作業との間の切り替え時間の短縮化、付着物を除去する際のクリーニング速度の最適化をそれぞれ図ることができる。
【0021】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、噴出ノズル手段が、油圧モータによって回転する複数のノズルを有している場合、高圧水をノズルの回転中心を頂点とする円錐状領域内に噴出することができ、広範囲の付着物に効率的に高圧水を当てることができる。
【0022】
本発明に係るコークス炉のドアクリーナにおいて、第1、第2のアーム部材の先側に、更に、耐火物部材の左右の側部の先側にそれぞれ当接する第1、第2のローラを回転自在に保持する第1、第2のロッド部材がそれぞれ取付けられている場合、耐火物部材に沿って移動台車を上下方向に安定して移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態に係るコークス炉のドアクリーナの側面図である。
図2】同コークス炉のドアクリーナの平面図である。
図3】第1、第2のアーム部材の回動の説明図である。
図4】第1、第2のアーム部材の回動の説明図である。
図5】炉蓋の内面の下部側の付着物を除去する際の説明図である。
図6】炉蓋の内面の側部の付着物を除去する際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るコークス炉のドアクリーナ10(単にドアクリーナ10という場合がある)は、コークス炉(図示せず)の、例えば、押出側(赤熱コークスの押出側)をコークス炉の長手方向(炉長方向)に沿って走行する図示しない押出機(コークス炉作業車両の一例)に設けられ、コークス炉の複数の炭化室(図示せず)の押出側の端部にそれぞれ設けた炉口に取付ける炉蓋11の外側金物14の内面の外周部に沿って環状に形成されたガス道12、及びガス道12の内側部から突出して外側金物14に設けられた耐火物部材13の側部にそれぞれ付着した付着物(図示せず)を除去(クリーニング)する装置である。
【0025】
そして、ドアクリーナ10は、押出機に設けられ、炉口から外されて押出機上の予め設定された載置場所に立設された炉蓋11の内面に沿って上下方向に移動する移動台車15と、移動台車15の左右両側に設けられ、それぞれの軸心方向が載置場所に立設された炉蓋11の内面に直交する第1、第2の取付け軸16、17と、第1、第2の取付け軸16、17に回動可能にそれぞれ取付けられた第1、第2のアーム部材18、19と、第1、第2のアーム部材18、19を連結し、第1、第2のアーム部材18、19を同期して互いに対称に回動させる駆動手段20と、第1のアーム部材18の先側にそれぞれ設けられ、ガス道12の一側及び耐火物部材13の側部の一側に付着した付着物に高圧水を噴射して付着物を除去する複数、例えば2台の噴出ノズル手段21、21aと、第2のアーム部材19の先側にそれぞれ設けられ、ガス道12の他側及び耐火物部材13の側部の他側に付着した付着物に高圧水を噴射して付着物を除去する複数、例えば2台の噴出ノズル手段22、22aとを有している。以下、詳細に説明する。
【0026】
ドアクリーナ10は、図2に示すように、押出機の載置場所に立設された炉蓋11の耐火物部材13の2等縦分割面上にあって、即ち、立設された炉蓋11の耐火物部材13を正面視して、耐火物部材13の左右方向の中心位置を通過して耐火物部材13を左右に2等分する平面上にあって、耐火物部材13に隙間を有して対向配置された柱部材23を有している。ここで、柱部材23は、断面視してH形状となって、対向するフランジ部24、25は炉蓋11の耐火物部材13の内表面26に対して平行に配置されている。そして、フランジ部24とフランジ部25を連結するウェブ27で囲まれた左右の空間部には、移動台車15の左右両側に上下方向に並べて設けられた車輪28、29が嵌入している。これによって、移動台車15は、柱部材23にガイドされて上下方向に移動することができる。
【0027】
また、移動台車15、柱部材23にガイドされて図示しない昇降機構を介して上下方向に移動する。そして、昇降機構には、押出機の載置場所に立設された炉蓋11の基準位置、例えば、炉蓋11の外側金物14の内面下端を基準として基準値からの距離を測定して、移動台車15の高さ位置を求めて記憶かつ表示するアブソコーダ検出機能を備えた検出器(図示せず)が設けられている。これによって、コークス炉の炭化室から炉蓋11を外して押出機の載置場所に立設した際、炉蓋11の基準位置に対する移動台車15の現在の高さ位置が直ちに分かるので、検出器の表示部に表示される現在位置を参照しながら移動台車15を目的とする高さ位置に迅速に移動させて停止させることができる。
【0028】
図2図4に示すように、駆動手段20は、第1、第2のアーム部材18、19に取付けられて、第1、第2のアーム部材18、19を開閉する油圧シリンダ35(流体圧シリンダの一例)と、第1、第2のアーム部材18、19の一方、例えば、第2のアーム部材19に取付けられて、第1、第2のアーム部材18、19を左右対称に動かすバランスウエイト52とを有している。ここで、油圧シリンダ35は、筒体部30と、筒体部30から突出するピストン32と、駆動制御部(油圧シリンダ35の制御部、図示せず)とを有し、筒体部30は第1のアーム部材18の長手方向の中間部にピン31を介して連結され、ピストン32の先部は、取付けロッド33を介して第2のアーム部材19の長手方向の中間部にピン34を用いて連結されている。
【0029】
第1のアーム部材18側の重量と第2のアーム部材19側の重量はバランスしているため、図3に示すように、ピストン32を筒体部30内に引き込むと、第1、第2のアーム部材18、19は、第1、第2の取付け軸16、17をそれぞれ支点として、第1、第2のアーム部材18、19の先部同士が同期して互いに接近するように回動する。また、図4に示すように、駆動制御部を操作してピストン32を筒体部30から突出させると、第1、第2のアーム部材18、19は、第1、第2の取付け軸16、17をそれぞれ支点として、第1、第2のアーム部材18、19の先部同士が同期して互いに離れるように回動する。
ここで、駆動制御部は、筒体部30に供給する油量を調整する流量制御弁を備え、筒体部30内の油圧(流体圧力の一例)の変化速度を任意に調整可能である。これによって、ピストン32の進退速度を調整することができ、同期して回動する第1、第2のアーム部材18、19の回動速度を変えることができる。
【0030】
第1のアーム部材18の先側の噴出ノズル手段21、21aとは異なる位置、例えば、第1のアーム部材18に設けられた噴出ノズル手段21、21aより第2のアーム部材19側の領域には、第1の取付け軸16と軸心方向を平行とした第1のロッド部材36が設けられ、第1のロッド部材36の先部には回転軸心の位置を第1のロッド部材36の軸心位置に一致させて第1のローラ37が回転自在に取付けられている。また、第2のアーム部材19の先側の噴出ノズル手段22、22aとは異なる位置、例えば、第2のアーム部材19に設けられた噴出ノズル手段22、22aより第1のアーム部材18側の領域には、第2の取付け軸17と軸心方向を平行とした第2のロッド部材38が、第1のロッド部材36と高さ位置を合わせて設けられ、第2のロッド部材38の先部には回転軸心の位置を第2のロッド部材38の軸心位置に一致させて第2のローラ39が回転自在に取付けられている。
【0031】
これによって、第1、第2のアーム部材18、19を、第1、第2のアーム部材18、19の先部同士が接近するように回動させることにより、第1、第2のアーム部材18、19に取付けた第1、第2のロッド部材36、38にそれぞれ設けた第1、第2のローラ37、39を耐火物部材13の左右の側部の先側に当接させることができる。その結果、移動台車15を炉蓋11の内面に沿って上下方向に移動させる際、耐火物部材13に沿って移動台車15を上下方向に安定して移動させることができる。
【0032】
ここで、噴出ノズル手段21(噴出ノズル手段21a、22、22aも同様)は、油圧モータ40と、油圧モータ40の回転軸の先部に、軸心方向を合わせて取付けられたノズルヘッド41と、ノズルヘッド41の回転軸心を中心とした円の周上の対向する位置に接線方向に向けて傾斜配置され、油圧モータ40によって回転する第1、第2のノズル42、43とを有している。このような構成とすることにより、高圧水をノズルヘッド41の回転中心を頂点とする円錐状領域内に噴出することができ、広範囲の付着物に効率的に高圧水を当てることができる。
【0033】
図3図4に示すように、第1のアーム部材18の先側には、第1のアーム部材18の延伸方向に連結部材44が取付けられ、連結部材44の先側に第1の取付けベース部材45が、第2のアーム部材19とは反対側の領域に突出して(例えば、連結部材44と直交させて)設けられ、第1の取付けベース部材45上の連結部材44側に噴出ノズル手段21を固定する第1の固定板46が、第1の取付けベース部材45上の第1の固定板46の外側に噴出ノズル手段21aを固定する第2の固定板47がそれぞれ設けられている。また、第2のアーム部材19の先側には、第2のアーム部材19の延伸方向に連結部材48が取付けられ、連結部材48の先側に第2の取付けベース部材49が、第1のアーム部材18とは反対側の領域に突出して(例えば、連結部材48と直交させて)設けられ、第2の取付けベース部材49上の連結部材48側に噴出ノズル手段22を固定する第1の固定板50が、第2の取付けベース部材49上の第1の固定板50の外側に噴出ノズル手段22aを固定する第2の固定板51がそれぞれ設けられている。
【0034】
ここで、第1のアーム部材18を回動させて、第1のローラ37を耐火物部材13の側部の一側に当接させた際、噴出ノズル手段21のノズルヘッド41の回転軸の方向が炉蓋11の内面のガス道12の一側を指すように、第1の固定板46の第1の取付けベース部材45上の取付け位置が決められている。また、第2のアーム部材19を回動させて、第2のローラ39を耐火物部材13の側部の他側に当接させた際、噴出ノズル手段22のノズルヘッド41の回転軸の方向が炉蓋11の内面のガス道12の他側を指すように、第1の固定板50の第2の取付けベース部材49上の取付け位置が決められている。
【0035】
更に、移動台車15を炉蓋11の内面の上部側(外側金物14の内面であって耐火物部材13の上端より上側の領域)の予め設定した位置(上部クリーニング位置という)で停車させて、第1、第2のアーム部材18、19を回動させた際、第1、第2のアーム部材18、19にそれぞれ設けられた噴出ノズル手段21、22のノズルヘッド41の回転軸が炉蓋11の内面の上部側と交差する交差点がガス道12の上部(左右方向に沿って配置される領域)に略沿って移動するように、かつ、移動台車15を炉蓋11の内面の下部側(外側金物14の内面であって耐火物部材13の下端より下側の領域)の予め設定した位置(下部クリーニング位置という)で停車させて、第1、第2のアーム部材18、19を回動させた際、第1、第2のアーム部材18、19の噴出ノズル手段21、22のノズルヘッド41の回転軸が炉蓋11の内面の下部側と交差する交差点がガス道12の下部(左右方向に沿って配置される領域)に略沿って移動するように、噴出ノズル手段21、22の油圧モータ40を第1の固定板46、50にそれぞれ取付ける際の取付け方向がそれぞれ決められている。
【0036】
同様に、第1のアーム部材18を回動させて、第1のローラ37を耐火物部材13の側部の一側に当接させた際、噴出ノズル手段21aのノズルヘッド41の回転軸の方向が炉蓋11の内面の耐火物部材13の一側の側部を指すように、第2の固定板47の第1の取付けベース部材45上の取付け位置が決められている。また、第2のアーム部材19を回動させて、第2のローラ39を耐火物部材13の側部の他側に当接させた際、噴出ノズル手段22aのノズルヘッド41の回転軸の方向が炉蓋11の内面の耐火物部材13の他側の側部を指すように、第2の固定板51の第2の取付けベース部材49上の取付け位置が決められている。
【0037】
更に、移動台車15を炉蓋11の内面の上部側に設定した上部クリーニング位置で停車させて、第1、第2のアーム部材18、19を回動させた際、第1、第2のアーム部材18、19の噴出ノズル手段21a、22aのノズルヘッド41の回転軸が炉蓋11の内面の上部側と交差する交差点が耐火物部材13の上端部より上側の領域を左右方向に略沿って移動するように、かつ、移動台車15を炉蓋11の内面の下部側に設定した下部クリーニング位置で停車させて、第1、第2のアーム部材18、19を回動させた際、第1、第2のアーム部材18、19の噴出ノズル手段21a、22aのノズルヘッド41の回転軸が炉蓋11の内面の下部側と交差する交差点が耐火物部材13の下端より下側の領域を左右方向に略沿って移動するように、噴出ノズル手段21a、22aの油圧モータ40を第2の固定板47、51にそれぞれ取付ける際の取付け方向がそれぞれ決められている。
【0038】
これによって、図5に示すように、移動台車15を下部クリーニング位置で停車させて、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、第1、第2のアーム部材18、19を回動させることにより、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水と炉蓋11の内面との衝突位置を、ガス道12の下部に略沿ってそれぞれ移動させると共に、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水と炉蓋11の内面との衝突位置を耐火物部材13の下端部より下側の領域においてそれぞれ左右方向に沿って移動させることができ、炉蓋11の内面の下部側に付着した付着物を高圧水の衝撃力により除去することができる。
【0039】
また、第1、第2のアーム部材18、19を回動させて、第1、第2のローラ37、39を耐火物部材13の側部の両側にそれぞれ当接させ、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、移動台車15を上下方向に移動させることにより、図6に示すように、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水と炉蓋11の内面との衝突位置を、炉蓋11の内面のガス道12の左右両側の領域(上下方向領域)に沿って移動させると共に、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水と炉蓋11の内面との衝突位置を、耐火物部材13の左右の側部に沿って移動させることができ、炉蓋11の内面の左右の側部に付着した付着物を高圧水の衝撃力により除去することができる。
【0040】
更に、移動台車15を上部クリーニング位置で停車させて、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、第1、第2のアーム部材18、19を回動させることにより、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水と炉蓋11の内面との衝突位置を、ガス道12の上部に略沿ってそれぞれ移動させると共に、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水と炉蓋11の内面との衝突位置を耐火物部材13の上端部より上側の領域においてそれぞれ左右方向に沿って移動させることができ、炉蓋11の内面の上部側に付着した付着物を高圧水の衝撃力により除去することができる。
【0041】
ここで、移動台車15を下部クリーニング位置(上部クリーニング位置でも同様)で停車させて、炉蓋11の内面の下部側に一様に高圧水を噴き付けようとする場合、第1のアーム部材18には噴出ノズル手段21(噴出ノズル手段21aでも同様)が、第2のアーム部材19には噴出ノズル手段22(噴出ノズル手段22aでも同様)がそれぞれ設けられているため、炉蓋11の内面の左右方向の中心線より一側の領域には噴出ノズル手段21から、炉蓋11の内面の左右方向の中心線より他側の領域には噴出ノズル手段22からそれぞれ高圧水を噴き付ければよい。このため、炉蓋11の内面の下部側を左右方向の一側から他側まで一様に高圧水を噴き付けようとするときに、第1、第2のアーム部材18、19のそれぞれの必要回動角度は、一つのアーム部材に一つの噴出ノズル手段を設けた場合のアーム部材の必要回動角度より小さくなる。
【0042】
このため、第1、第2のアーム部材18、19の回動に伴って噴出ノズル手段21、22が上下方向に移動する範囲は、一つのアーム部材の回動に伴って一つの噴出ノズル手段が上下方向に移動する範囲より小さくなる。従って、第1、第2のアーム部材18、19の回動角度範囲内の任意の回動角度において、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水の衝突位置がガス道12の高さ位置に一致するように、一つのアーム部材の回動角度範囲内の任意の回動角度において、噴出ノズル手段から噴射した高圧水の衝突位置がガス道12の高さ位置に一致するようにそれぞれ設定した場合、第1、第2のアーム部材18、19を回動した時の衝突位置の軌跡とガス道12のずれは、一つのアーム部材を回動した時の衝突位置の軌跡とガス道12のずれに比較して小さくなる。その結果、第1、第2のアーム部材18、19に噴出ノズル手段21、22をそれぞれ設けることにより、高圧水をガス道12に沿って効率的に噴き付けることができ、ガス道12に付着した付着物を効率的に除去することが可能になる。
【0043】
続いて、本発明の一実施の形態に係るドアクリーナ10の使用方法について説明する。
炭化室の押出側の端部に設けられた炉口から取外した炉蓋11を押出機上の載置場所に立設配置し、駆動手段20を操作して第1、第2のアーム部材18、19の先側にそれぞれ設けた噴出ノズル手段21、21a、22、22aを炉蓋11の内面側で炉蓋11の左右方向外側に移動させ、噴出ノズル手段21、21a、22、22aと炉蓋11の内面との間の干渉を防止する。これにより、炉蓋11の内面の前側で移動台車15を炉蓋11の内面の、例えば下部クリーニング位置に向けて移動させ、下部クリーニング位置に到達した時点で停止させることができる。
【0044】
次いで、駆動手段20を操作して第1、第2のアーム部材18、19の先側にそれぞれ設けた噴出ノズル手段21、21a、22、22aが互いに再接近するように第1、第2のアーム部材18、19を回動する。そして、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、噴出ノズル手段21、21a、22、22aが互いに離れるように第1、第2のアーム部材18、19を回動する。これにより、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水の衝突位置はガス道12の下部(左右方向に沿って配置される領域)に略沿って移動し、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水の衝突位置は耐火物部材13の下端部より下側の領域を左右方向に沿って移動する。その結果、炉蓋11の内面の下部側に付着した付着物が高圧水の衝撃力により除去される。
【0045】
ここで、移動台車15を下部クリーニング位置に移動させる際の第1、第2のアーム部材18、19の回動と、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射する際の第1、第2のアーム部材18、19の回動は、例えば、最大回動速度で行う。これにより、迅速に付着物の除去作業に着手できる。また、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら第1、第2のアーム部材18、19を回動する場合は、付着物の付着状況、付着強度に応じて、回動速度を調整する。これにより、付着物に対して衝撃力を有効に加えることができ、付着物を効率的に除去することができる。
【0046】
炉蓋11の内面の下部側に付着した付着物の除去が完了すると、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、第1、第2のアーム部材18、19を回動させて、第1、第2のローラ37、39を耐火物部材13の側部の両側にそれぞれ当接させる。第1、第2のローラ37、39が耐火物部材13の側部の両側にそれぞれ当接した場合、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水は、炉蓋11の内面のガス道12の左右両側の領域に衝突し、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水は、炉蓋11の内面の耐火物部材13の左右の側部にそれぞれ衝突する。次いで、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、移動台車15を上部クリーニング位置に向けて移動する。
【0047】
これによって、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水の衝突位置はガス道12の左右両側の領域沿って移動し、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水の衝突位置は耐火物部材13の左右の側部に沿って移動する。その結果、炉蓋11の内面の側部に付着した付着物が高圧水の衝撃力により除去される。なお、移動台車15を移動する場合は、付着物の付着状況、付着強度に応じて、移動速度を調整する。これにより、付着物に対して衝撃力を有効に加えることができ、付着物を効率的に除去することができる。
【0048】
炉蓋11の内面の側部に付着した付着物の除去が完了すると、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら、駆動手段20を操作して第1、第2のアーム部材18、19の先側にそれぞれ設けた噴出ノズル手段21、21a、22、22aが互いに再接近するように第1、第2のアーム部材18、19を回動する。これにより、噴出ノズル手段21、22から噴射した高圧水の衝突位置はガス道12の上部(左右方向に沿って配置される領域)を、左右方向外側から中央部に向けて移動し、噴出ノズル手段21a、22aから噴射した高圧水の衝突位置は耐火物部材13の上端部より上側の領域を左右方向の外側から中央部に向けて移動する。その結果、炉蓋11の内面の上部側に付着した付着物が高圧水の衝撃力により除去される。ここで、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから高圧水を噴射しながら第1、第2のアーム部材18、19を回動する場合は、付着物の付着状況、付着強度に応じて、回動速度を調整する。これにより、付着物に対して衝撃力を有効に加えることができ、付着物を効率的に除去することができる。
【0049】
炉蓋11の内面の上部側に付着した付着物の除去が完了すると、噴出ノズル手段21、21a、22、22aから噴射する高圧水を停止し、移動台車15を、更に上方の待機位置まで上昇させる。これにより、コークス炉操業時に散水する水の飛散落下を避けると共に、コークス炉操業に伴って発生する粉塵が堆積するのを防止できる。その結果、ドアクリーナ10に使用されている各機器の腐食劣化を抑制して、機器の機能不良に伴うドアクリーナ10の故障を防止することができる。
【0050】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
例えば、コークス炉のドアクリーナを押出機に設けたが、コークス炉の排出側を走行するガイド車に設けることもできる。更に、コークス炉のドアクリーナをガイド車及び押出機それぞれに設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10:コークス炉のドアクリーナ、11:炉蓋、12:ガス道、13:耐火物部材、14:外側金物、15:移動台車、16:第1の取付け軸、17:第2の取付け軸、18:第1のアーム部材、19:第2のアーム部材、20:駆動手段、21、21a、22、22a:噴出ノズル手段、23:柱部材、24、25:フランジ部、26:内表面、27:ウェブ、28、29:車輪、30:筒体部、31:ピン、32:ピストン、33:取付けロッド、34:ピン、35:油圧シリンダ、36:第1のロッド部材、37:第1のローラ、38:第2のロッド部材、39:第2のローラ、40:油圧モータ、41:ノズルヘッド、42:第1のノズル、43:第2のノズル、44:連結部材、45:第1の取付けベース部材、46:第1の固定板、47:第2の固定板、48:連結部材、49:第2の取付けベース部材、50:第1の固定板、51:第2の固定板、52:バランスウエイト
図1
図2
図3
図4
図5
図6