(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送部材は、回転軸と、前記回転軸回りに形成されたスクリュー羽根とを有し、前記下流側搬送能力抑制壁および前記上流側搬送能力抑制壁が対向する領域において、部分的に前記スクリュー羽根が欠落され、
前記下流側搬送能力抑制壁および前記上流側搬送能力抑制壁は、前記スクリュー羽根の外周縁よりも前記回転軸側に進入するように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0023】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される画像形成部30と、定着部40と、トナーコンテナ50と、給紙部90と、を含む。
【0024】
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。前カバー11が開放されることで、トナーコンテナ50が前面側に露出する。これにより、ユーザーは、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。
【0025】
また、本体ハウジング10の側面には、左カバー12L(
図1)と、左カバー12Lとは反対側の右カバー12R(
図1には表れていない)とが、それぞれ鉛直方向に延伸するように配設されている。左カバー12Lの前側部分には、本体ハウジング10内に空気を取り込むための吸気口12Laが配設されている。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。前カバー11と、後カバー12と、左カバー12Lと、右カバー12Rと、排紙部13とによって画定される内部空間S(
図2)に、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
【0026】
画像形成部30は、給紙部90から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(
図2には表れていない)、現像装置20、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。画像形成部30は、左カバー12Lと右カバー12Rとの間に、配設される。
【0027】
感光体ドラム31は、回転軸と、回転軸回りに回転する円筒面と、を備える。円筒面には、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面に担持される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
【0028】
帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。
【0029】
クリーニング装置35は、不図示のクリーニングブレードを有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。
【0030】
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置20は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置20は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー21と、現像ハウジング210(
図3)の内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー24及び第2搬送スクリュー23とを含む。なお、本実施形態に係る現像装置20については、後記で詳述する。
【0031】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の円筒面に当接し、転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
【0032】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
【0033】
トナーコンテナ50(補給現像剤収容部)は、現像装置20に補給する補給トナーを貯留する。トナーコンテナ50は、補給トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留された補給トナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置20内に供給される。また、トナーコンテナ50の上方を覆うコンテナ天板50Hは、排紙部13の下方に位置する(
図2参照)。
【0034】
給紙部90は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット91を含む(
図2)。この給紙カセット91は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット91のうち、本体ハウジング10内に収容されている部分の上面は、給紙カセット天板91Uによって覆われている。給紙カセット91には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット91の後端側の上部にはシート繰出部91Aが設けられている。このシート繰出部91Aには、給紙カセット91内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すための給紙ローラー91Bが配置されている。
【0035】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路92F及び反転搬送路92Bが備えられている。主搬送路92Fは、給紙部90のシート繰出部91Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路92Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路92Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0036】
主搬送路92Fは、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部を、下方から上方に向かって、通過するように延設される。また、主搬送路92Fの、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対93が配置されている。シートは、レジストローラー対93にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路92F及び反転搬送路92Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対94が配置されている。
【0037】
反転搬送路92Bは、反転ユニット95の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット95の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対93の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット95は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路92Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路92Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置20が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット95も開放される。
【0038】
<現像装置の説明>
次に、本実施形態に係る現像装置20(第1実施形態)について、詳述する。
図3は、現像装置20の内部構造を示す断面図である。また、
図4は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(現像ローラー21の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210(ハウジング)を備える。現像ハウジング210は、一対の第1壁部210Aおよび第2壁部210Bを備える。該現像ハウジング210は、第1壁部210Aおよび第2壁部210Bの間に内部空間220を有する。また、現像ハウジング210は、内部空間220の上方を画定する天板211(
図5)を備える。
【0039】
内部空間220には、現像ローラー21と、第1攪拌スクリュー23(搬送部材)および第2攪拌スクリュー24と、トナー補給口25とが配設されている。本実施形態では、一成分現像方式として、この内部空間220には、磁性材料を含むトナーが現像剤として充填される。トナーは、内部空間220内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム31に供給される。
【0040】
現像ローラー21は、一対の第1壁部210Aおよび第2壁部210Bの間において、現像ハウジング210に回転可能に支持され、表面に現像剤を担持する。現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有する。現像ローラー21は、回転駆動される円筒形状のスリーブ21Sと、スリーブ21Sの内部に、軸方向に沿って固定配置される円柱形状のマグネット21Mとを備える。スリーブ21Sは、不図示の駆動手段によって、
図3の矢印D31方向に回転駆動され、周面に磁性トナーを担持する。マグネット21Mは、スリーブ21Sの内部に、スリーブ21Sの周方向に複数の磁極を有する固定磁石である。マグネット21Mは、周方向に配置される4つの磁極S1極、N1極、S2極、N2極を備える。
【0041】
図3において、現像ローラー21を囲む曲線MCは、各磁極によってもたらされる現像ローラー21の半径方向の磁力を、スリーブ21S上の周方向の分布として示したものである。S1極は、マグネット21Mのうち、前方かつ上方の位置に配置される。S1極は、規制極として、トナー層を規制するために使用される。N1極は、マグネット21Mのうち、後方かつ上方の位置に配置される。N1極は、現像極として、感光体ドラム31にトナーを供給する機能を備える。N2極は、マグネット21Mのうち、前方かつ下方の位置に配置される。N2極は、キャッチ極として、現像ローラー21にトナーを汲み上げる機能を備える。S2極は、マグネット21Mのうち、N1極よりもスリーブ21Sの回転方向下流側であって、N2極よりもスリーブ21Sの回転方向上流側の位置に配置される。S2極は、主に、マグネット21Mのうち、後方かつ下方の位置に配置される。S2極は、N1極において、感光体ドラム31側に移動されなかったトナーを、現像ハウジング210に回収する搬送極としての機能を備える。スリーブ21S上に担持されたトナーは、現像ハウジング210に配設された開口部(不図示)まで搬送され、対向する感光体ドラム14に供給される。
【0042】
現像ハウジング210の内部空間220は、天板211によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の左端及び右端と、前記第2壁部210Bおよび第1壁部210Aとの間には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。これにより、内部空間220には、第1搬送路221、第1連通路223、第2搬送路222及び第2連通路224に至る循環経路(現像剤搬送路)が形成される。トナーは、該循環経路内を
図4において時計回りに搬送される。
【0043】
トナー補給口25(現像剤受入口)は、前記天板211に穿孔された開口部であり、第1搬送路221の左端付近(第1方向下流側)の上方に配置されている(
図4)。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナーコンテナ50から補給される補給トナーを内部空間220に受け入れる機能を備える。本実施形態では、トナー補給口25は、平面視で14mm×8mmの開口からなる。
【0044】
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23bとを含む。第1攪拌スクリュー23は、不図示の駆動手段によって第1回転軸23a回り(
図3の矢印D33、
図4の矢印R2)に回転駆動されることで、
図4の矢印D1方向(第1方向)にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するように現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第1搬送路221を搬送されるトナーとを混合し、混合されたトナーを第2搬送路222側に受け渡す機能を有する。なお、本実施形態では、第1螺旋羽根23bの外径は14mmであり、軸方向のピッチは20mmに設定される。第1攪拌スクリュー23の搬送性能に応じて、前記ピッチは変更可能であるが、トナーの搬送能力を維持する上では前記ピッチの下限は15mmとされることが好ましい。第1攪拌スクリュー23のトナー搬送方向(D1方向)下流側には、第1パドル23cが配設されている。第1パドル23cは、第1回転軸23a上に配設された板状部材である。第1パドル23cは、第1回転軸23aと共に回転され、
図4の矢印D3方向に向かって、第1搬送路221から第2搬送路222に、トナーを受け渡す。本実施形態では、第1パドル23cの軸方向の長さは、20mmに設定される。更に、第1攪拌スクリュー23は、第1軸部26Aおよび第2軸部26Bを備える。第1軸部26Aおよび第2軸部26Bは、部分的に第1螺旋羽根23bが欠落され、第1回転軸23aのみが配置される部分である。第1軸部26Aおよび第2軸部26Bに対向して、後記の下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bが配置される。
【0045】
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、不図示の駆動手段によって第2回転軸24a回り(
図3の矢印D32、
図4の矢印R1)に回転駆動されることで、
図4の矢印D2方向(第2方向)にトナーを搬送する。第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222内で、トナーを搬送するとともに、現像ローラー21にトナーを供給する。なお、本実施形態では、第2螺旋羽根24bの外径は14mmであり、軸方向のピッチは20mmに設定される。第2攪拌スクリュー24の搬送性能に応じて、前記ピッチは変更可能であるが、トナーの搬送能力を維持する上では前記ピッチの下限は15mmとされることが好ましい。
【0046】
第2攪拌スクリュー24は、現像ローラー21よりも、前方かつ下方の位置に、配置される。すなわち、第2攪拌スクリュー24は、マグネット21MのN2極に対向して配置される。第2攪拌スクリュー24の回転(
図3の矢印D32)に伴って、第2攪拌スクリュー24からスリーブ21Sにトナーが供給される。第2攪拌スクリュー24の回転軸24aは、スリーブ21Sの回転軸よりも下方に位置する。更に、第2攪拌スクリュー24の回転軸24aは、スリーブ21Sの周面の下端部よりも下方に位置する。本実施形態では、現像ローラー21へのトナーの供給経路は、第2攪拌スクリュー24から供給される経路のみによって形成される。したがって、第2攪拌スクリュー24は、現像ローラー21に対して、下方から上方にトナーを汲み上げることによって、スリーブ21Sにトナーを供給する。
【0047】
第2攪拌スクリュー24のトナー搬送方向(D2方向)下流側には、第2パドル24cが配設されている。第2パドル24cは、第2回転軸24a上に配設された板状部材である。第2パドル24cは、第2回転軸24aと共に回転され、
図4の矢印D4方向に向かって、第2搬送路222から第1搬送路221に、トナーを受け渡す。本実施形態では、第2パドル24cの軸方向の長さは、20mmに設定される。
【0048】
現像装置20は、更に、層規制部材60と、磁石プレート70と、を備える。
【0049】
層規制部材60は、現像ローラー21よりも、前方かつ上方の位置に配置される。層規制部材60は、現像ローラー21の軸方向に沿って、現像ローラー21(スリーブ21S)の周面に対向して配置される。詳しくは、層規制部材60は、現像ローラー21のうち、マグネット21MのS1極に対向して配置される。層規制部材60は、磁性材料から構成される板状部材である。層規制部材60は、現像ローラー21の回転軸と直交する断面において、現像ローラー21に向かう方向を長辺とする矩形形状を備える。層規制部材60の先端部は、現像ローラー21のスリーブ21Sと、間隔を置いて配置される。この結果、前記先端部とスリーブ21Sとの間で、層規制ギャップGが形成される。層規制部材60は、第2攪拌スクリュー24からスリーブ21S上に汲み上げられたトナーの層厚を規制する。
【0050】
磁石プレート70は、層規制部材60の前側に、層規制部材60に沿って配置される。換言すれば、磁石プレート70は、層規制部材60よりも、現像ローラー21のスリーブ21Sの回転方向(
図3の矢印D31)上流側に配置される。本実施形態では、磁石プレート70は、板状形状を備えた永久磁石から構成される。磁石プレート70は、現像ローラー21の回転軸と直交する断面において、層規制部材60に沿って延設される略矩形形状を備える。磁石プレート70は、層規制部材60の下方部分に固定される。磁石プレート70は、マグネット21MのS1極と対向する位置に、S1極と同極のS極の磁力を備える。また、磁石プレート70は、マグネット21MのS1極に対して、前記S極よりも遠い位置に、N極を備える。
【0051】
このように、本実施形態では、層規制部材60よりも、現像ローラー21(スリーブ21S)の回転方向上流側に、磁石プレート70が配置される。換言すれば、現像ローラー21の回転方向上流側から下流側に向かって、磁石プレート70、層規制部材60が順に、現像ローラー21の周面に対向して配置される。
【0052】
第2攪拌スクリュー24は、スリーブ21Sの周面のうち、鉛直下方に面する第1の位置P1に向かって、トナーをスリーブ21Sに供給し、層規制部材60は、スリーブ21Sの周面のうち、鉛直上方に面し、かつ、第1の位置P1の上方に位置する第2の位置P2において、スリーブ21S上のトナーの厚さを規制する。この際、マグネット21MのS1極と磁石プレート70のS極が、同極の磁力を有することから、スリーブ21Sと磁石プレート70との間には、反発磁界が作用する。該反発磁界は、スリーブ21Sの回転方向上流側に向かう磁界と、回転方向下流側(層規制部材60側)に向かう磁界とに分類される。このため、スリーブ21S上を搬送され、磁石プレート70の下部に進入されたトナーは、スリーブ21Sの周面に移動する力を付与される。この結果、トナーが薄層化された状態で、トナーの層規制が実現される。更に、層規制部材60の層規制ギャップGに進入されなかったトナーは、反発磁界に促進され、スリーブ21Sの回転方向上流側に向かって流動する。
【0053】
<滞留部について>
前述のトナーコンテナ50は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置されている。トナーコンテナ50は、内部にトナーが搬送されるトナー搬送路50aと、回転部材54と、トナー排出口521と、を備える。トナーコンテナ50は、トナーコンテナ50の長手方向(トナー搬送路50aが形成されている方向)が、現像装置20の長手方向(第1攪拌スクリュー23の現像剤搬送方向。矢印D1方向、第1方向)に直交する方向に位置するように、現像装置20に組みつけられている。
【0054】
トナー排出口521は、現像装置20のトナー補給口25に対応して、トナーコンテナ50の底部に配設されている。回転部材54は、軸部と該軸部回りに回転される羽根部とを有し(
図2、
図4参照)、トナー搬送路50a内の補給トナーをトナー排出口521に向かって搬送する。トナー排出口521から落下したトナーは、トナー補給口25を介して、現像装置20に補給される。
【0055】
次に、本実施形態に係る現像装置20において、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて説明する。
図5は、現像装置20に配設されたトナー補給口25およびトナーコンテナ50に配設されたトナー排出口521付近の断面図である。なお、
図5では、説明のために、トナーコンテナ50の配置を水平方向において90度回転させて示している。実際には、トナーコンテナ50内の回転部材54は、紙面手前に向かって延設され、第1攪拌スクリュー23と、トナーコンテナ50内の回転部材54とは、互いに直交する位置関係となっている。また、
図6は、第1攪拌スクリュー23の一部を拡大した斜視図である。
【0056】
トナーコンテナ50のトナー排出口521から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。
【0057】
第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、部分的に現像剤の搬送性能が抑制される第1軸部26Aを備える。第1軸部26Aは、第1攪拌スクリュー23の第1螺旋羽根23bを欠落させることによって形成される(
図6参照)。本実施形態では、第1軸部26Aの軸方向の長さは、12mmに設定される。換言すれば、第1軸部26Aは、部分的に第1回転軸23aのみが配設されている部分に相当する。この場合、第1軸部26Aは、第1回転軸23aの軸方向の現像剤搬送性能を有さない。
【0058】
更に、現像装置20は、下流側抑制壁28A(下流側搬送能力抑制部)を備える。下流側抑制壁28Aは、トナー補給口25よりも第1方向(矢印D1方向)の下流側において、現像ハウジング210の天板211から下方に向かって突設される壁部である。下流側抑制壁28Aは、第1攪拌スクリュー23の第1螺旋羽根23bの外径よりも第1回転軸23a側に進入するように配置される。前述のように、下流側抑制壁28Aが、第1軸部26Aに対向するように配置されることで、第1攪拌スクリュー23と下流側抑制壁28Aとが干渉することがない。
【0059】
第1搬送路221内において、下流側抑制壁28Aよりも上流側から搬送されるトナーは、下流側抑制壁28Aに衝突し滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、下流側抑制壁28Aの直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25の入口付近には、現像剤の下流側滞留部27(第1滞留部)が形成される。
【0060】
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、内部空間220内のトナー量が増えると、この下流側滞留部27で滞留するトナーがトナー補給口25を塞ぎ(封止し)、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後、内部空間220内のトナーが現像ローラー21から消費され、下流側滞留部27で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り、下流側滞留部27とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から内部空間220に流入する。このように、本実施形態では、下流側滞留部27に滞留するトナーの減少に伴って、補給トナー量の受入量が調整される体積補給型のトナー補給形式が採用される。
【0061】
<補給トナーの分散について>
次に、本実施形態と比較参照される現像装置20Zにおいて、トナー補給に伴う課題について説明する。
図9は、現像装置20Zの断面図である。
図9では、第1搬送路221Zを側方から見た図に相当する。現像装置20Zも、本実施形態に係る現像装置20と同様に、部分的に螺旋羽根が欠落された搬送能力抑制部26Cを備える。搬送能力抑制部26Cによって、トナー補給口25Zが対向する領域に下流側滞留部27Zが形成される。そして、下流側滞留部27Zのトナー量に応じて、不図示のトナーコンテナから、トナー補給口25Zにトナーが補給される(矢印D91)。
【0062】
上記のような体積補給型のトナー補給方式を備えた現像装置20Zにおいて、トナーコンテナ内の残トナーが少なくなった場合、トナーの補給量が低下するため、現像ハウジング210Z内のトナー量も減少される。この場合、不図示の濃度センサーによって前記残トナーが少ないことが検出されると、トナーコンテナの交換が促される。この際、現像ハウジング210Z内のトナー量が減少しているため、トナー補給口25Zの下流側の下流側滞留部27Zのトナー量も減少した状態となっている。そして、使用者によって現像装置20Zに装着された新しいトナーコンテナから、現像ハウジング210Z内に補給トナーが流入される。新しいトナーコンテナ内には多量のトナーが充填されているため、現像ハウジング210Z側に勢い良く補給トナーが流入されやすい。
【0063】
現像ハウジング210Z内に流入したトナーは、下流側滞留部27Zに進入する。そして、第1攪拌スクリュー23Zの回転駆動に伴って、第1搬送路221Zから連通される第2搬送路222Z(不図示)に搬送される。この際、新しいトナーコンテナから現像ハウジング210Zに補給された多量の補給トナーと、既に現像ハウジング210Z内を循環されていたトナーとの間では、表面性や帯電性が異なることが多い。両トナーは、現像ハウジング210Z内を循環されることで、次第にその特性が近似していくが、補給トナーの流入直後では、両トナーの表面状態の差に起因してトナーの帯電が二極化することがある。すなわち、上記トナーの一方は正極に帯電され、他方は負極に帯電される。この結果、感光体ドラム31上およびシート上の画像において、現像剤カブリが発生することがあった。特に、
図9に示される現像装置20Zでは、トナー補給口25Zから流入した補給トナーが、矢印D92に示されるように、トナー補給口25Zの上流側に流れ込むことがあった。この場合、トナー補給口25Zの上流側では、下流側の下流側滞留部27Zと異なり、第1攪拌スクリュー23Zの周辺に多くの空間が存在するため、多量の補給トナーが現像ハウジング210Z内に流入されやすい。
【0064】
加えて、現像ハウジング210Z内に急激に流入した新しい補給トナーは、第1攪拌スクリュー23Zの回転力を受けても、現像ハウジング210Zの底部側に沈みこみにくい。特に、トナー補給口25Zの下流側の搬送能力抑制部26Cではトナーの攪拌能力が低いため、よりトナーの分散が行われにくい。この場合、現像ハウジング210Z内に流入された補給トナーは、第1搬送路221Zのトナー層の表層(上層、喫水面部分)を流れながら、第1連通路223Z(不図示)を介して、第2搬送路222Z側に流入する。そして、十分分散されることなく第2搬送路222Zに流入したトナーが、そのまま現像ローラー21Z(不図示)に供給されると、画像上に縦スジ状の現像剤カブリが生じるという課題があった。
【0065】
<下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bについて>
上記のような課題を解決するために、本実施形態に係る現像装置20は、前述の下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28B(上流側搬送能力抑制部)を備える。
図7は、本実施形態に係る現像装置20の現像剤の分布を説明するための断面図である。
図4および
図7を参照して、上流側抑制壁28Bは、トナー補給口25よりも第1方向上流側において、天板211から第1攪拌スクリュー23に向かって突設される壁部である。上流側抑制壁28Bは、第1攪拌スクリュー23によるトナーの搬送能力を部分的に抑制することによって、トナー補給口25よりも第1方向上流側にトナーが滞留する上流側滞留部29(第2滞留部)を形成する。
【0066】
なお、
図4および
図7に示されるように、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bは、天板211から下方に所定の高さを持って突設される壁部である。更に、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bは、第1攪拌スクリュー23の上方において、第1攪拌スクリュー23から現像ローラー21に向かう方向(前後方向、第1回転軸23aと直交する方向)に所定の幅を持った壁部である。また、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bの後側の端部は、仕切り板22に連設されている。
【0067】
図7を参照して、現像ハウジング210のトナー補給口25よりも下流側に配置された下流側抑制壁28Aによって、トナー補給口25が対向する領域に下流側滞留部27が形成される。また、トナー補給口25よりも上流側に配置された上流側抑制壁28Bによって、トナー補給口25よりも上流側に上流側滞留部29が形成される。このため、現像ハウジング210内のトナー量に依存せず、トナー補給口25の上流側および下流側に安定したトナー分布を形成することが可能となる。
【0068】
図7において、下流側滞留部27のトナー量が減少した場合であっても、トナー補給口25の下流側は、下流側抑制壁28Aによって塞がれている。また、トナー補給口25の上流側は、上流側抑制壁28Bおよび上流側滞留部29によって塞がれている。このため、下流側滞留部27のトナーの減少分に応じて、安定した量の補給トナーが現像ハウジング210に流入される(
図7の矢印D71)。
【0069】
上記について換言すれば、下流側抑制壁28Aによって、下流側抑制壁28Aの上流側ではトナーが密の状態、下流側抑制壁28Aの下流側ではトナーが疎の状態となる。また、上流側抑制壁28Bによって、上流側抑制壁28Bの上流側ではトナーが密の状態、上流側抑制壁28Bの下流側ではトナーが疎の状態となる。このため、トナー補給口25が対向する領域において、上流側ではトナーが疎、下流側ではトナーが密の状態を維持することが可能となる。補給トナーはこの疎な空間に流れるが、そこには上流側抑制壁28Bが存在し、さらに現像ハウジング210内を循環してきたトナーが、この上流側抑制壁28Bの上流側において密の状態で滞留される。これにより、トナーコンテナ50側の圧力が高い場合でもトナーが上流側抑制壁28Bより上流側へ押し込まれていくことがなく、現像ハウジング210内のトナー補給口25の周辺のトナー分布が可及的に一定とされる。
【0070】
更に、本実施形態では、トナー補給口25の下流側の上方に下流側抑制壁28Aが配置される。このため、トナー補給口25から流入された補給トナーは、第1攪拌スクリュー23の回転力に伴って、下流側抑制壁28Aの下方に潜るように搬送される。したがって、前記補給トナーが周囲のトナーと好適に混合される。換言すれば、補給トナーが、トナー補給口25の下流側において、トナー層の上層(喫水面)を流れながら、分散が不十分な状態で第2搬送路222、現像ローラー21に供給されることが抑止される。
【0071】
次に、
図8を参照して、本発明の他の実施形態に係る現像装置20A(第2実施形態)について説明する。
図8は、本実施形態に係る現像装置20Aの現像剤の分布を説明するための断面図である。本実施形態に係る現像装置20Aでは、先の実施形態に係る現像装置20の下流側抑制壁28Aの代わりに、抑制パドル28C(パドル部材、下流側搬送能力抑制部)を備える点で相違する。このため、該相違点を中心に説明し、その他の共通する説明を省略する。
【0072】
抑制パドル28Cは、トナー補給口25Aよりも第1方向下流側において、第1攪拌スクリュー23Aに配置される。抑制パドル28Cは、第1攪拌スクリュー23Aの隣接する螺旋羽根同士の間に架け渡されるリブ部材である。抑制パドル28Cは、第1攪拌スクリュー23Aによるトナーの搬送能力を部分的に抑制することによって、トナー補給口25Aが対向する位置にトナーが滞留する下流側滞留部27Aを形成する。
【0073】
加えて、現像装置20Aにおいても、トナー補給口25Aよりも上流側に配置された上流側抑制壁28Bによって、トナー補給口25Aよりも上流側に上流側滞留部29Aが形成される。このため、現像ハウジング210A内のトナー量に依存せず、トナー補給口25Aの上流側および下流側に安定したトナーの滞留部を形成することが可能となる。この結果、下流側滞留部27Aのトナーの減少量に応じて、安定した量の補給トナーが現像ハウジング210Aに流入される(
図8の矢印D81)。
【0074】
<実施例>
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。なお、以後の各実施例は、下記の実験条件にて行った。
【0075】
<実験条件について>
・感光体ドラム31:OPCドラム
・感光体ドラム31の周速度:146mm/sec
・層規制ギャップG:0.3mm
・現像バイアスAC成分:矩形波振幅1.7kV、Duty50%
現像バイアスDC成分:270V
・感光体ドラム31の表面電位(背景部/画像部):430V/30V
・現像ローラー331の直径:16mm
・感光体ドラム31の直径:24mm
・磁性トナーの平均粒子径:6.8μm(D50)
・トナー補給口25と第1連通路223との軸方向の最短距離:10mm
・トナー補給口25と第2連通路224との軸方向の最短距離:140mm
【0076】
<実験1>
まず、新品のトナーコンテナ50が画像形成装置1に装着され、トナーコンテナ50内のトナーが空となるまで、印字率3.8%の画像が連続して印字された。この状態で、更に、予め重量が測定された新品のトナーコンテナ50が画像形成装置1に装着された。そして、白紙100枚が印字された後、筋状カブリが評価された。筋状カブリは、補給された補給トナーがトナー層を上滑りし、凝集したまま現像ローラー21に供給され発生するカブリである。また、新品のトナーコンテナ50の装着時に、トナーコンテナ50から現像ハウジング210に流入する補給トナー量を、交換前後における現像ハウジング210の重量差に基づいて評価した。
【0077】
表1に、筋状カブリおよびトナーコンテナ50の重量測定の結果について示す。なお、筋状カブリのレベルは、シートの背景部分において評価した。以後の筋状カブリのレベルにおいて、◎は、筋状カブリが全く発生していない状態を示す。また、○は、筋状カブリが100枚中5枚以下である状態を示し、△は、筋状カブリが100枚中15枚以下である状態を示し、×は、筋状カブリが100枚中16枚以上である状態を示す。
【0079】
表1において、比較例は
図9に示される従来の現像装置20Zの構成であり、実施例1は、
図7に示される本発明の第1実施形態に係る現像装置20の構成である。また、実施例2は、
図8に示される本発明の第2実施形態に係る現像装置20Aの構成である。表1に示されるように、実施例1および2において、筋状カブリが比較例よりも良化する結果が得られた。また、実施例1および2において、新品のトナーコンテナ50が装着された際に現像ハウジング210内に流入されるトナー量が、比較例よりも低減されることが確認された。
【0080】
<実験2>
次に、
図7に示される本発明の第1実施形態に係る現像装置20の構成において、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bが天板211から下方に向かって突出される高さを変化させた場合の評価結果について説明する。表2のNo.1から7に示される下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bを備えた現像ハウジング210が準備され、それぞれ24.5度/湿度50%の環境において、画像形成装置1に装着される。そして、印字率3.8%の画像が2000枚印刷されることで、現像ハウジング210内のトナーにストレスが与えられる。次に、この現像ハウジング210を28度/湿度80%の環境に60時間放置し、さらにトナーの劣化を促進させる。最後に、放置された現像ハウジング210を24.5度/湿度50%の環境にそれぞれ1時間放置した後、24.5度/湿度50%の環境に保管されたトナーを補給し、白紙100枚印字および印字率3.8%の画像を300枚印字し、F.D(カブリ濃度)を測定する。また、白紙100枚印字中に現像ハウジング210内に補給されたトナー量も同時に測定する。
【0081】
なお、上記のストレス条件によって、現像ハウジング210内のトナーは帯電が低い状態となり、そこに帯電の高いトナーが補給されることによってカブリが顕著に発生する。表2において、端部カブリとは、攪拌は十分されているが、現像ハウジング210内の補給トナーの割合が相対的に高い場合に発生するカブリである。また、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bの高さが増すと、現像ハウジング210内のトナー重量が減少し、ハーフ画像に縦筋が入るため、この弊害確認も同時に行った(ハーフ縦筋)。
【0082】
筋状カブリの評価基準は、実験1と同様である。ハーフ縦筋、端部カブリの評価は以下のように実施された。
【0083】
ハーフ縦筋:従来の現像装置20Zと比較して、○:大きな差なし、△:少し悪い、×:非常に悪い
端部カブリレベル1はF.D≧0.010の場合、レベル2は0.007≦F.D≦0.009の場合、レベル3は0.004≦F.D≦0.006の場合、レベル4は、0≦F.D≦0.003の場合である。(F.Dは400枚中の最大測定値。F.D値は、反射濃度計(東京電色(株)製TC−6DS)によって測定された。)
【0085】
表2に示されるように、上流側抑制壁28Bの高さH2と下流側抑制壁28Aの高さH1との比率(H1/H2)が、1.0〜2.0の範囲において(表2のNO.3〜5)、特に、トナー補給口25の上下流側のトナー分布が安定し、ハーフ縦筋、筋状カブリ、端部カブリが抑制される結果となった。また、いずれの実施例においても、新品のトナーコンテナ50が装着されたことで、現像ハウジング210内に流入されるトナー量が、先の比較例よりも低減されることが確認された。
【0086】
以上、上記に示した実施形態によれば、トナー補給口25よりも第1方向下流側に配置された下流側抑制壁28Aまたは抑制パドル28Cによって、トナー補給口25が対向する位置にトナーが滞留する下流側滞留部27が形成される。また、トナー補給口25よりも第1方向上流側に配置された上流側抑制壁28Bによって、トナー補給口25よりも第1方向上流側にトナーが滞留する上流側滞留部29が形成される。このため、現像ハウジング210内のトナー量が変化した場合であっても、トナー補給口25の上下流側にトナーの滞留部が安定して形成される。したがって、トナーコンテナ50内のトナー量が変化し、補給トナーがトナー補給口25に付与する圧力が変動した場合であっても、内部空間220に流入する補給トナーの量が変化することが抑制される。
【0087】
また、上記の実施形態によれば、トナー補給口25に流入した補給トナーは、下流側抑制壁28Aの下方に潜るように、第1方向に搬送される。このため、補給トナーが周囲のトナーと十分混合された状態で、第2搬送路222側に流入される。換言すれば、補給トナーがトナー層の上層を流れながら第2搬送路222側に流入することが抑止される。したがって、補給トナーが塊となって現像ローラー21に供給されることが抑制される。また、トナー補給口25の上下流部分に下流側抑制壁28A、上流側抑制壁28Bが突設されるため、トナーコンテナ50から多量のトナーが現像ハウジング210に流入することが抑止される。
【0088】
また、上記の実施形態によれば、天板211から下流側抑制壁28Aが突設される高さをH1、天板211から上流側抑制壁28Bが突設される高さをH2とした場合、H2≦H1≦2×H2の関係が好適に満たされる。すなわち、下流側抑制壁28Aの高さが、上流側抑制壁28Bの高さの1から2倍の範囲に設定される。この場合、トナー補給口25に流入した補給トナーが、トナー層の下方部分に搬送され、補給トナーの分散が安定して実現される。また、トナー補給口25の上下流に安定したトナー分布が形成される。
【0089】
また、上記の実施形態によれば、第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、第1回転軸23a回りに形成された第1螺旋羽根23bと、を有する。そして、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bが対向する領域において、第1攪拌スクリュー23には部分的に第1螺旋羽根23bが欠落された第1軸部26Aおよび第2軸部26Bが配置される。更に、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bは、第1螺旋羽根23bの外周縁より第1回転軸23a側に進入するように配置される。この構成によれば、下流側抑制壁28Aおよび上流側抑制壁28Bによって、トナー補給口25の上下流部に安定してトナーの滞留部が形成される。
【0090】
また、上記の実施形態によれば、抑制パドル28Cの回転によって、トナー補給口25が対向する位置にトナーが滞留する下流側滞留部27Aが形成される。一方、トナー補給口25よりも第1方向上流側に配置された上流側抑制壁28Bによって、トナー補給口25よりも第1方向上流側にトナーが滞留する上流側滞留部29Aが形成される。このため、現像ハウジング210内のトナー量が変化した場合であっても、トナー補給口25の上下流側にトナーの滞留部が安定して形成される。
【0091】
また、上記の実施形態に係る現像装置20、現像装置20Aを備える画像形成装置1によれば、シートに形成された画像上に現像剤カブリが生じることが好適に抑止される。
【0092】
以上、本発明の実施形態に係る現像装置20、現像装置20Aおよびこれを備えた画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0093】
(1)上記の実施形態では、トナーコンテナ50から現像装置20へのトナー補給が、下流側滞留部27、下流側滞留部27Aによって調整される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像濃度を検出する不図示の濃度センサーや、現像ハウジング210内のトナー量を検出する不図示のトナーセンサーの検出結果に応じて、トナーコンテナ50から現像ハウジング210にトナーが補給される態様であってもよい。
【0094】
(2)上記の実施形態では、現像剤として磁性トナーが採用される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像剤として、非磁性トナー、または2成分現像剤が採用されてもよい。